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デジタルモンスター研究報告会 season2
- 1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/15(土) 00:25:36.59 ID:ukM/fkgyo
- 前スレ
研究員「安価でデジモンを進化させる」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1639266280/
生命の定義とは何か?
条件は四つだ。
一つ、遺伝子を持つこと。
二つ、能動的に栄養活動を行える代謝系を持つこと。
三つ、自己増殖できること。
四つ…
『魂』を持つこと。
この四つの条件を満たすのであれば、その肉体は素粒子から構成される物質である必要はない。
デジタルデータの肉体を持ち、生命の定義の四条件を満たす、情報生命体…
それを人は、デジタルモンスターと呼んだ。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1689348335
- 2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/15(土) 00:26:26.84 ID:IXiwxZtPo
- やったー!!!!
- 3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/15(土) 00:29:14.61 ID:4GnAqwJI0
- お帰りなさい
- 4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/15(土) 00:38:21.48 ID:VHWhAq+RO
- 我々はデジタルモンスター研究所の研究員。
これまでの社会では、デジタルモンスター達は好奇の目で見られたり、その生態系を映した映像を娯楽として楽しまれている程度だった。
マッシュモンを育成できるデジタルペット端末『デジタルモンスター』は、購入者からとても評判がいい。
動画サイトでは、マッシュモンと飼い主のやりとりを映した動画が上げられることもあり、人気を集めている。
そういうわけで現在、奇妙なことだが、一般人に『デジモンの中で一番最初に思い付くのはどれ?』と聞くと…
ほぼ全員がマッシュモンの名を挙げるのである。
キモカワ系マスコットキャラクターとして大人気なのだ。
そうしてデジモンは、良くも悪くも画面の向こう側にしかいない、関わろうと思わなければ関わりようのない存在だと思われていた。
しかし、ある事件をきっかけとして…
社会はデジモンへの警戒を一気に強めた。
デジモンを利用した情報窃盗事件だ。
ハッキングデジモンを倒したのもまた、デジモン達であった。
そうしてコンピューターセキュリティとクラッカーの攻防には、デジモンという新たな要素が否応にも関わってくることになるのであった。
…そんなわけで、ハッキングデジモンを見事撃退した我々の研究所は、デジモンサイバー犯罪への対策技術開発のために、急遽規模拡大されることになったのだ。
- 5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/15(土) 00:44:32.05 ID:auboCbDI0
- 警察の管轄とはまた違うのね
- 6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/15(土) 01:01:26.34 ID:VHWhAq+RO
- 我々の研究所には、何名か新人が来たので、自己紹介をすることにした。
そういえば、我々の名前をまだ読者の皆様には伝えていなかった。
訳あって本名は伏せるが…
以後はニックネームで名乗らせていただこう。
まず私は、研究員の一人…あだ名は「ケン」。
自慢は体力だ。
エナジードリンクを一切接種せずとも、二日は余裕で徹夜していられる。
そもそもショートスリーパーで、日に3時間くらいしか寝ないのだ。
好きなデジモンはスターモンだ。だってかっこいいじゃん。
次は研究所のリーダー…あだ名はそのまんま「リーダー」。
人前で喋るのが得意で、度胸が物凄い人だ。駆け引きや交渉も上手く、皆に慕われている。
自分では目的達成のために非情になれるつもりでいるようだが、根の優しさが枷になったところを何度か見たことがある。
好きなデジモンはゴートモンだそうだ。コカトリモンやディアトリモンといった最強クラスの外敵を葬ったとこに感動したらしい。
そして女性研究員…あだ名は「クルエ」。
カワイイものが大好きらしい。割りと冷酷な発想ができるあたり、実利主義なようだ。
好きなデジモンはプルルモンやトコモン、ゴマモンだそうだ。
フローラモンやコマンドラモンも好きだと言っていた。それ言うのはズルいぞ。みんな好きだからあえて言わなかったのに。あとその二体を挙げるならちゃんとマッシュモンも好きって言え。
カリアゲの研究員…あだ名は「カリアゲ」。
一度髪型を変えてツーブロックにしたことがあったが、相変わらずカリアゲと呼ばれていた。
好きな食べ物は鶏軟骨のカラアゲだそうだ。ビールを飲みながらかっこむのがたまらんのだとか。
好きなデジモンはコカトリモンと言っていた。美味そうだかららしい。…後で聞き直したら、どうやらそれは一発ギャグのつもりで言ったらしく、本当はボアモンやサラマンダモン等の炎で包まれた体を持つデジモンが好きらしい。
痩せた研究員…あだ名は「メガ」。
趣味でイラストを描いているらしく、デジモンのイラストをネットに投稿して万バズしているらしい。
オタク気質な奴で、ひとつのことにこだわると周りが見えなくなることがある。
好きなデジモンはゴートモンだそうだ。リーダーと被ったな。だがお前の趣味はよくわかるぞ。
そして新人研究員…あだ名は「シン」。
デジモンに強い興味があって来たらしい。大変いいことだ。
好きなデジモンはグレイモン、パイルドラモン、ホエーモン(完全体)、ジャガモンだそうだ。素直でよろしい。
- 7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/15(土) 01:17:27.76 ID:VHWhAq+RO
- 研究所では早速、デジモンサイバー犯罪の対策について議論が始まった。
リーダーはプロジェクターで、私が書いてる議事録を映しながら、司会をしている。
「さて…まずは。何か案のある奴はいるか?」
リーダーがそう言うが…なかなか案が挙がらない。
そりゃまあ、どうすりゃいいかなんていきなり聞かれても分からんよな。最適解をいきなり出せるはずがない。
さて…
こういう時に有効な、議論を進めるためのテクニックがある。
私は挙手して発言した。
「ハッキングデジモンが出現したら、コマンドラモンとマッシュモンをその場へ向かわせて退治させるのはどうでしょうかー?」
一同はしばらく、静まり返ったが…
やがてカリアゲが口を開いた。
「な、何言ってんだ!これから敵がどんどん増えるかもしれないし、強くなっていくかもしれないぞ!この二体だけじゃやられちまうぞ!」
続いてメガが発言した。
「前の戦いで勝てたのは運が良かったと思う。次同じ条件、同じ面子で戦ったら、相手はもうスカモン大王のコクピットを曝すような真似はしないだろう。勝てないよ」
クルエも続いて挙手した。
「そもそも後手にまわるのがビミョーですよね〜。こないだの事件も結局情報は盗まれましたし。未然に防ぎたいですよねー、犯人とっちめたいですねー」
新人のシンも続いて言った。
「相手はきっともっと強いデジモン出してくるッスよ!戦力強化は必須ッス!」
- 8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/15(土) 01:19:25.01 ID:v5q9IUsDo
- なるほど
- 9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/15(土) 01:26:26.76 ID:VHWhAq+RO
- 一通り聞いた後、私は発言した。
「なるほど。つまり今必要なのは、こういうことですね」
議事録に箇条書きをした。
@セキュリティデジモンの頭数を増やして、パワーアップする必要がある
A相手にセキュリティデジモンの弱点を突かれないように、多様な戦略を揃える必要がある
Bそもそもハッキングデジモンの侵入自体を阻止したり検知する仕組みが必要
C敵の動向を探り、手口の変化に警戒する必要がある
4つの箇条書きを書き終えた後、私は続けて話した。
「兎にも角にも、まずは今挙がった4つの課題を解決しないことには仕方ないってことですね」
「おぉー」
一同はそれっぽい指針が見えてきたことに感心しているようだ。
…これが、発言者が少ない会議を活発にさせるテクニック。
「最初にあえて、すぐできるけどダメな案」を出す。
人は誰でも変なこと言って批判されて恥をかきたくないのだ。だからアイデアをいきなり出すのに抵抗を持つ者は多い。
だが、あえて即効性があるけどダメな案を出すことで、他の参加者は「批判する側」に回れる。
というか、そうしないと最悪の案に決まってしまうという危機感を煽る。
そうすることで参加者は、「批判される側」でなく「批判する側」になれるので、ためらいなく発言できるようになるのだ。
しかしまあ…君らいい大人だろ。
私にこんな子供騙しみたいなテクを使わせなくても活発に議論してほしいぞ。
- 10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/15(土) 01:33:13.33 ID:VHWhAq+RO
- リーダーが腕組みしながら口を開いた。
「よくまとめたなケン。他にも色々考えるべきことはあるだろうが、取っ掛かりはこんなもんでいいだろう。まずはこれら4つの課題に対して『今できること』を挙げていくことで、ロードマップを組み立てていこう」
カリアゲがつぶやく。
「今できることかー…。あんま多くなさそうだな」
クルエがため息をついた。
「なんか一気に全部満たす近道とかないすかねー」
メガがきっぱり言った。
「無いでしょ」
千里の道も一歩から。
地道に研究を進めつつ、その時点でできる精一杯の運用を試行錯誤していくしかない。
- 11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/15(土) 01:33:49.93 ID:VHWhAq+RO
- 〜つづく〜
- 12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/15(土) 01:37:13.62 ID:4GnAqwJI0
- 乙です
- 13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/15(土) 01:37:37.88 ID:orqqURr5o
- 乙
続編待ってた
- 14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/15(土) 01:43:31.02 ID:WdvH6ju1o
- おつ
続編ありがとう!
- 15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/15(土) 02:21:39.05 ID:HYaWYHmb0
- 生命体の定義は「エネルギー代謝を行い自己保存と自己複製が可能な物質系」だから遺伝子や魂魄の有無は無関係
- 16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/15(土) 07:23:24.21 ID:KuwapxTRo
- そこら辺はseason1で触れられてる
- 17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/15(土) 08:08:20.88 ID:xKfs3G2T0
- ハッカーのデジモンがマッシュモンの遺伝子デジモンだけならまだ勝機ありそうなのにデジタルワールドにも干渉できて他のデジモンも捕まえられるし手段選ばないからなあ…
- 18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/15(土) 08:35:43.56 ID:orZ5u5TT0
- スカモン並みの戦闘力と知恵持ちのユニットが量産されたらたまったもんじゃないね
一見クソ野郎なのに主に従順っぽいから仲間割れは期待できなくて
- 19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/15(土) 18:00:19.51 ID:DsxLRtf9o
- >>6
世界の行く末を左右するかもしれないのに少々さびしい組織だ
- 20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/16(日) 00:53:25.43 ID:jEMBp6duO
- 我々はこの指針を実現するための具体的な施策について議論を始めた。
まずはリーダーが口を開いた。
「スカモンの背後にいる者が何者かは分からないが…敵は少ない方が…いや、増えない方がいい。そして戦いはなるべく、戦う前に勝てる方がいい。武力的衝突を最小限に抑えながらハッカーを排除する…それが最も合理的だ」
その通りだ。
「えぇっと…どういうことだ?」
カリアゲが首を傾げる。
「ようはデジクオリアやデジモンキャプチャーの販売規制を真っ先にやるべきってことじゃないですかー?デジモン達にケンカしてもらうよりもー」
クルエが髪をくるくる巻いて弄りながら答えた。
リーダーは頷いている。
「そうだ。結局ハッカー共がハッキング用デジモンを育成するには、有償ライセンスで純正品のデジクオリアを使用しているからだ。ならば、その供給元を抑えてしまえばいい」
デジクオリアを販売元といえばカンナギ・エンタープライズですよね。日本発の多国籍企業の。
「ああ。悪用される危険性がある以上、デジクオリアの販売規制をかけるべきだ。俺はそう思う」
私もそう思います。
「…そう言われると、ボクもそう思う」
メガも同意見のようだ。
「デジモンちゃん達が必要以上に傷付くのはやですもんねー」
クルエも賛同してくれた。
「よ…よし!カンナギ・エンタープライズへ交渉しに行こう!」
満場一致のようだ。
うちの研究所には他にもメンバーが多数いるが、そちらでも特に異論は出なかったようだ。
それなりにお偉い公務員の方や、スポンサーにも同行してもらい、我々はカンナギ・エンタープライズへ向かった。
- 21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/16(日) 00:56:11.00 ID:om/Ov7i1o
- エンタープライズと聞くとサイスル思い出す
- 22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/16(日) 01:03:48.12 ID:jEMBp6duO
- …
カンナギ・エンタープライズ日本支社のオフィスに着くと、女性職員が出迎えた。
「初めましてぇ〜♪社長秘書の岸部エリカと申します〜♪よろしくお願いしまぁす♪」
岸部エリカと名乗った女性は大変な美人であった。
「うひょー!すげー美人!」
おいカリアゲ!なんつうこと言うんだ!
令和の時代にそんな発言をする奴があるかバカ!
「あっすんませんつい…でへへ…」
「ま〜ぁ♪褒められて嬉しいです〜♪よろしくお願いしますねぇ♪」
岸部さんは微笑んでいる。
スポンサーさんも微笑んでいるが、二人のやりとりを見て汗をダラッダラにかいている。
そりゃそうだ。
うーん…カリアゲには後で説教だな。コンプライアンスとか色々。
応接室にて、リーダーはデジクオリア販売規制の相談をした。
危険なハッカーがデジモンを悪用したら、世界規模の混乱が起きかねない。
だから、デジクオリアのライセンスを発行する相手を、政府管轄の組織による許可制にしてほしい…
そう頼んだ。
岸部さんは答えた。
「でもウチ多国籍企業ですよぉ?海外支社でライセンス発行をするときは、どちらさんから許可もらうんですかぁ?」
- 23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/16(日) 01:11:36.98 ID:jEMBp6duO
- メガはメガネをいじりながら答えた。
「その場合はその国の支社からライセンスを発行すれば…」
「あらぁ、うちの支社はさすがに世界196ヵ国すべてにあるわけじゃないんです〜♪ですからムリですね♪」
うぅ〜ん。そりゃ確かにそうだ。
カリアゲはうーんと唸ってから口を開いたは。
「じゃあよ…何かしらのさ、国際機関の承認を得なきゃダメってことにしたらどうだ?」
「いち企業のいち製品のライセンス発行を、国際機関が管理?うふふ、ずいぶん大げさですねぇ」
岸部は口に手の甲を当てながらくすくすと笑っている。
「まあ分かってると思いますけどぉ、うちの会社のお客さんが減るだけの提案をされて、はいそうですねって首を縦に振るメリット、ありませんよねぇ?」
そう来たか…。
- 24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/16(日) 01:21:36.78 ID:jEMBp6duO
- リーダーは険しい表情で返答する。
「自分が何を言っているか分かっているのか…?あなた達は、犯罪に加担することも厭わないと言ってるのか!?」
「道具を正しく使う人もいれば、悪用する人もいる。それはデジモンに限らず、コンピューター全部そうでしょう?Wind●wsの購入に国際機関の許可いりますぅ?」
「むむ…」
あのリーダーが苦戦している…。
「誤解しないでください、うちは別に、悪用を推奨してはいませんよぉ?」
「ならばなぜ賛同してくれない!?」
「だって…あなた達がいう承認機関とやらが、そもそも信用できませんもの♪」
「!?」
「仮にあなた達がデジクオリア使用の承認権を独占したら…あなた達の暴走を誰が止められるんですかぁ?」
「暴走だと…?」
- 25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/16(日) 01:26:34.46 ID:xQI6KUwoo
- スポンサーさんもだが商売に関わる人は中々痛いところをついてくる
- 26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/16(日) 01:26:37.11 ID:jEMBp6duO
- 「そうですよぉ、承認機関がごく一部の人達の手に渡ったら、もうその機関は世界中に好き放題デジモンでサイバー攻撃し放題じゃないですか♪誰も止められなくなりますよ♪」
「馬鹿げたことを…そんなことは…」
そこまで言って、リーダーは言葉を止めた。
「そんなことは?」
「…」
り、リーダー?
断言してくださいよそこは。
「うふふふふ♪賢い方ですねリーダーさんは♪その通り、あなた達の提案って、ようはサイバー戦争の道具を自分たちが独占して、世界をコントロールしたいって言ってるのと同じです♪うっふふふ♪」
岸部は笑っている。
クルエがつんつんと私の服の袖をつっついてきた。
どうしました?
「ケンさん…私、あの女嫌いです」
まあ…わからんでもないけどさ…
ヒソヒソ話だとしてもさ、今言うなよ。
- 27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/16(日) 01:36:40.84 ID:jEMBp6duO
- リーダーは苦い顔をしている。
「たしかに…あなたの言うことには一理ある。武力の行使権をひとつの組織が独占し、誰も対抗できなくなる…それは、理想的ではないかもしれない」
「そうですねぇ♪」
「だが…世界中でデジモンを利用した犯罪者どもが野放しになるよりはずっとマシなはずだ!よく考えてみろ!デジモンによるサイバー攻撃から全てのネットユーザーを守るために、どれだけ大量のセキュリティデジモン達を維持しなくてはならないのか!?」
リーダーは熱くなっている。
「維持費用は莫大になるぞ!うちもスパコンを駆使してようやく餌を捻出してるというのに!全てのネットユーザーがそのコストを捻出しなくてはならなくなる!そうでなければつけ入れれるからな。よく考えてみるんだ…地獄だろう、そんなのは!」
「ふふ…♪」
「ならば、たとえ武力の独占という形になってでも、混沌より秩序を目指すべきだ。その方が結果的に、皆がコスト捻出のために苦労せずに済むはずだろう!」
「しゅーじんのじれんま、ですねぇ♪」
「そうだ。だから頼む…。今ならまだ間に合う!パンドラの箱に鍵をかけてくれ!」
「まぁ♪素敵な言い回し♪」
必死に頭を下げるリーダーに対して、岸部はくすくすと笑みを浮かべるだけだ。
- 28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/16(日) 01:39:08.02 ID:/eC/I58io
- リーダーさん本当にマッシュモン達に非人道的なことやれてるのか?
- 29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/16(日) 01:44:53.41 ID:jEMBp6duO
- 「じゃあ、こうしましょう」
岸部は自身の口元に指を添えた。
「ライセンスの料金を、1000倍に上げます♪それでいいなら構いませんよ♪」
「ひゃっ…!?」
リーダーは青ざめている。
今だって安くないライセンス料金を払っているのだ。具体的には書かないけど…。
1000倍になったら流石に厳しすぎる。研究所そのものが維持できるかってレベルの話になってくる。
「だってそうでしょう?その話を飲むなら、本来私達が得られた収益が千分のイチくらいになっちゃうじゃないですか♪そんなにデジクオリアの価値を感じて独り占めしたいのなら、それくらい払ってもらわないとぉ♪釣り合いませんよぉ♪」
岸部は脚を組み替えながら余裕の表情をしている。
カリアゲがは不愉快そうな顔をしている。
「そ、そんな無理難題…!足元みやがって!平和より金のほうが大事なのかよ!」
「それはこっちのセリフですけどぉ?うっふふふ、お金がかさむなら平和を諦めるんですかぁ?政府からの補助金とかあれば払えるんじゃないですかぁ?」
- 30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/16(日) 01:47:10.69 ID:JWfDKO7i0
- 本当にピンチの時いつも頼りになったコマンドラモンさん助けて
- 31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/16(日) 01:48:33.75 ID:8WM9F/jVo
- もはや国家予算
- 32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/16(日) 01:51:44.32 ID:jEMBp6duO
- す、スポンサーさん、どう思います?
「ね、値段交渉をしようじゃないか。1000倍は厳しいが…100倍くらいで手を打つのはどうかね?」
「だぁ〜め♪頼み方がカワイくなかったから、1100倍にしますね♪」
「元より増えた!?むむ…」
スポンサーは頭を抱えている。
「…その額になると、この場で即決はできない。というか…そこまで値上げすると、君達カンナギエンタープライズにとっても損な結果になるんじゃないかね?誰も買わなくなるぞ。そもそもデジモンの研究自体やれなくなってしまう。君達が今ほどほど丁度良く得ているはずの収益もなくなるのではないかね?」
「ん…」
岸部が眉をピクっと言わせた。
おおっ効いている…?
- 33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/16(日) 02:00:41.84 ID:jEMBp6duO
- 「そうだ。分かるだろう?今の値段を1000倍に釣り上げたからといって、君達の収益が今の1000倍になるわけではない!そんな値段は払えない、と誰もがデジモン研究事業から撤退し、結果的に収益が一万分の一になることだって十分あり得るだろう!分かっているのかね君ィ!」
スポンサーさんは自信満々にそう告げた。
「む…く…」
岸部は眉をヒクヒクさせている。
おお、効いてる!効いてるぞ!スポンサーさんが優勢だ!
「だが我々は、今の100倍になるのなら…どうにか払えるぞ!デジクオリアを使ったビジネスやサービスを黒字化するビジョンだってある。どうだね、お互いwin-winなのはこのあたりじゃないかね?」
「…それは、…」
「ハッハッハ!だいたいねぇ。我々は払えるが…多国籍企業の君達が急にデジクオリアの値段を100倍に吊り上げたら、よその国からどう思われるかね!株価暴落が間違いなく起こるぞ、んん?いいのかね君ぃ?」
「…っ!」
岸部はスカートをぎゅっと握っている。
足元を見て墓穴を掘ったせいで自爆してるんじゃないかあの人…?
- 34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/16(日) 02:05:06.23 ID:jEMBp6duO
- 「どうだね?カンナギエンタープライズが株価暴落を起こさずにライセンス料金を吊り上げるなら…50…いや…25倍でギリギリってとこだろう。どうだね?お互いの落とし所はその辺じゃないかね?君達はライセンス料金を上げられる!我々はネットの平和を守れる!win-winじゃないか!まだ断る理由があるかね!?」
うおぉ、なんか流れで25倍まで根切りやがった!
色々突っ込みを入れたいが…今は下手に口を挟まないでおこう。
どうだ…向こうの反応は…?
- 35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/16(日) 02:05:33.69 ID:jEMBp6duO
- つづく
- 36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/16(日) 02:22:24.75 ID:xpAbC/SGo
- おつおつ
こっちはこっちで調子にのってんねぇ!
- 37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/16(日) 10:26:10.86 ID:0Kdk/qrw0
- この企業社長の娘さん(大食い)とかいそう
- 38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/16(日) 10:33:22.45 ID:6KymHq0no
- スポンサーさん頼りになるな
- 39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/16(日) 16:26:40.58 ID:uI5pRw9Oo
- この企業ハッカーを裏で操ってそう
- 40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/16(日) 20:49:19.71 ID:gHbv6DCW0
- ってか社長じゃなくて秘書が取引担当なのか
- 41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/17(月) 00:38:20.37 ID:4cRLknN50
- サイスルもやってたか
- 42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/17(月) 01:29:13.95 ID:rBr5ExBpo
- 今日はお休みか
- 43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/17(月) 10:36:32.13 ID:Wi2Jc5aYO
- 「やぁ、すまない。待たせたね」
応接室へ、スーツ姿の男性が入ってきた。
「カンナギエンタープライズジャパン」
- 44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/17(月) 10:50:09.82 ID:Wi2Jc5aYO
- するとそこへ…
「やぁ、すまない。待たせたね」
我々のいる応接室へ、スーツ姿の男性が入ってきた。
「カンナギエンタープライズジャパンCEOの神木だ。待たせてしまってすまないね、前の会議が長引いたもので」
私はCEOに挨拶した。
「お久しぶりです、ケンです。実際に会うのは、最初にデジクオリアとデジドローンのテストをご依頼頂いた時以来ですね」
「ああ、ケン。君のレポートはよく読んでいる。我が社の製品をうまく活用してクラッカーのデジモンを倒したそうだね。嬉しいよ」
リーダーやスポンサーも挨拶をした。
「待っている間、うちの岸部が話を聞いたそうだね。どこまで話したかな」
リーダーは、話の流れを説明した。
CEOは静かに話を聞いていたが、やがて口を開いた。
「なるほど、結論から言おう。クラッカーへの販売規制をする気は毛頭無い」
それを聞いたカリアゲは、ガタっと音を立てて席から立ち上がる。
「なんだって!?そこの美人秘書さんはさっき、ライセンス料金を吊り上げれば応じるって言ってたぞ!?」
だから本人の前で『美人』秘書ってつけるんじゃないよ…
「岸部にそんな決定権は与えていない。部下が勝手に口走ったことだ。一旦白紙に戻そう」
「でぇっ!?な、なんだそりゃ!ズルいぞ!さっきはいいって言ってたのに!」
「彼女の発言は言質として機能しない」
「なんだそりゃ…」
「岸部、あとは私が対応する。お茶の代わりを持ってきなさい」
「は、はい…失礼しますCEO」
カリアゲは不満そうにしている。
私の考えすぎかもしれないが…
このCEO、はじめからこれを狙っていたんじゃないんだろうか。
挑発が得意な岸部にこちらの腹の中を探らせて、本性を暴く。
そして話の流れが不利になったらバトンタッチして、なんやかんや言って白紙に戻す。
そうして一度だけ、話をリセットできるように仕掛けておいたのではないだろうか…。
疑いすぎかもしれないが。
- 45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/17(月) 11:07:35.99 ID:Wi2Jc5aYO
- カリアゲは納得行かないようだ。
「で、でもよお!そっちだってハッカーに製品を悪用されてマイナスイメージが付くのは不本意じゃねえのか!?」
スポンサーがそれに続けて話す。
「正直に言うが、規制がかかるのは時間の問題だと思うぞ神木くん!デジクオリアが悪用されて社会が混乱してから、君の不本意な形で規制をされることだって考えられる。それが分かりきっている以上、ある程度君の望む形で規制案を盛り込んでおいた方が、のちのち損せず済むと思うがねぇ!」
CEOはふーっと息を吐く。
「私には優秀なハッカーの友人が数多くいる。彼らと区別するために、悪意のあるハッカーをクラッカーと故障させてもらう」
「それはすまなかったね。そうしよう」
「…我々が戦う相手は、クラッカーだけじゃない。我が社のソフトウェアを違法コピーしたり、我が社の特許権を侵害して同様の技術のハッキングツールを勝手に作るような奴が現れることも危惧しなくてはならない」
「ふむ…。もともと違法行為をはたらくクラッカーには著作権侵害など気に留めないだろうからねぇ」
「デジクオリアは、我が社が莫大な予算を投じて苦労して開発したソフトだ。そう簡単にコピーされることはないはずだ。少なくとも、有償ライセンスの料金を払えば誰にでも使用させている今はね」
「今は…か」
「そう。同じものを作り直すよりも、我が社から買ったほうが遥かに安上がりだ。だからクラッカー共も、今は我が社のデジクオリアを正規購入して使用しているだろう」
そういうとこは律儀なんですね。
何に使ってるかは監視してないんですか?
「していない。あえてね」
あえてですか…
- 46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/17(月) 11:19:41.57 ID:rBr5ExBp0
- 時間が経って自力で作れるようになればそもそも規制は無駄か…
- 47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/17(月) 11:21:55.67 ID:Wi2Jc5aYO
- 「だが我々が販売規制を行ったならば、クラッカー達は違法コピーソフトを開発して使うようになるだろうな」
そう簡単に真似できるものなんですか?
「可能なはずだ。我々が莫大な予算を投じたのは、根幹となる基礎技術の研究開発の部分だからね。特許を取っている以上、システムの基礎理論は論文で公開している。それを実装しているプログラムは企業秘密だがね…。だからサルマネは言うほど簡単でないが、言うほど難しくもない」
カリアゲが顔をしかめながら答える。
「論文で公開しなきゃよかったんじゃねーか?」
「そうはいかない。基礎理論を公開しなければ、デジクオリアの映像を『カンナギエンタープライズ社が捏造したフィクション映像だ』と疑われても反証できなくなるからね。インチキ技術だと疑われないために必要なことだ」
「うーん…違法コピーされるかもしんねーけどよ、とりあえず販売規制しとけばクラッカーの勢力は落とせるだろ。だめなのか?」
「ああ、駄目だ。販売規制という安直な手段で対策した気になったら、誰もセキュリティデジモン開発に予算を回さなくなる。君達の戦力は育たない。…そんなときに違法コピー品のデジクオリアで戦力強化したクラッカーがデジモン犯罪を仕掛けたら、誰が対抗できる?」
「…あ」
カリアゲは黙ってしまった。
リーダーは苦い顔をしている。
「…それは、そうだな…」
スポンサーは扇子を取り出して、ぱたぱたと扇いでいる。
「ハッハッハ!結論が出てしまったね!神木CEO!この話し合いは君の勝ちだ!降参だ、ハーッハッハ!」
- 48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/17(月) 11:27:05.24 ID:YQfxTly7o
- 正論ではあるけどこのままでは無駄足だ
- 49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/17(月) 11:31:40.75 ID:Wi2Jc5aYO
- カリアゲは、はぁーっと溜め息をついた。
「そんな面倒事を引き起こすソフトをよぉ…なんで開発しちまったんだ?こんなことになるなら作らないほうがよかったんじゃねーか…」
「…?君は知らないのか?デジクオリアが元々何をするために作られたソフトなのか」
「ん?デジモンを見れるようにするためじゃないのか」
「いいや。デジタルモンスターそのものが初めて発見されたのは、デジクオリアを使って君達がデジタルワールドを調査したときだろう」
「そういやそうだな…。ん?あれ?え?どういうことだ?分かんなくなってきたぞ?」
要するに…カリアゲ。
因果関係が逆だ。
デジモンを見るためにデジクオリアが開発されたんじゃない。
デジクオリアが開発されたからデジモンを発見できたんだ。
「???あれあれあれ?えっと、じゃあ…デジクオリアが発明された時点じゃデジモンは見つかってなかったのか?」
そうなる。
「じゃあ、デジクオリアって元々なんのために作ったんだ?」
- 50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/17(月) 11:47:04.81 ID:Wi2Jc5aYO
- そう話しているうちに、岸部さんがお茶をもってきてくれた。
笑顔がちょっと怖い。
神木CEOは、お茶を飲むと、少しだけ目を瞑った。
「…時間が余った。少しだけ、昔話をしないか」
「え?昔話ぃ?なんの?」
カリアゲが首を傾げる。
CEOの提案に、リーダーが答える。
「そうだな…研究が進んできた今、デジクオリアに対する認識を深めるためにも、今一度振り返っておきたい。どうやらデジクオリアの論文を読んでない者もいるようだ」
リーダーはカリアゲをちらっと見る。
「う…すまねえ、詠もうとしたけどアレ難しくってよ…一語一句がよくわかんねえ」
スポンサーはカリアゲを扇子で扇ぐ。
「ハーーッハッハッハ!分からないものを素直に分からないと言えるのは優秀な側の人間だよカリアゲ君達。見栄を張って知ったかぶるような、使いものにならない輩が世の中には大勢いるんだからねぇ!」
「褒められてる気がしねぇ〜…」
CEOはスクリーンにプロジェクターで資料を映した。
「では、改めて振り返ろうか。デジクオリア開発の経緯を」
一同のやりとりを聞いたクルエが、私にひそひそ話をしてきた。
「てかこの人達、なんで敬語使わないんすかねー?」
それは言及するな。
今その…なんか…そういうノリのあれなんだよ…うん。
マジで言及しないで。
- 51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/17(月) 11:48:35.29 ID:Wi2Jc5aYO
- つづく
- 52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/17(月) 11:51:55.77 ID:rBr5ExBpo
- 乙
そりゃそうだ敬語使うよな普通w
- 53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/17(月) 11:52:57.18 ID:TdTZ5h3/o
- 乙
カリアゲさん研究職についてるんだから高学歴なんだよな…?
どう見ても研究より運動タイプな気が
- 54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/17(月) 18:06:17.74 ID:KtqbIF4bO
- CEOは静かに語り始める。
「数年前…ドイツの物理学者が『魂』の存在を証明したあの日以来、生物学の常識はひっくり返った。永らく機械論的唯物論で説明されてきた生命の営みが、魂という四次元空間上の情報生命体によって制御されていたと解明されたんだ」
スクリーンには、魂の構造を模式化した図が表示されている。
「我々…三次元空間に棲む生物よりも前に、この世界には既に生命は存在していた。我々の五感では知覚できない、『情報空間』とでもいうべき四次元空間的領域に…『情報生命体』がね。我々はこれを魂と呼ぶ」
細胞の模式図と、魂の関係性が図示された。
「原始の地球で、魂たちはタンパク質を使い、己の器である原核生物を作り上げた。厳密に言えばタンパク質というよりは分子、いや…素粒子であえるクォークを媒体とした肉体と呼んだほうが適切だな」
「やがて原核生物は細胞核を得て真核生物へ進化し、動物、植物、菌類…その他原生生物が誕生した。それらは多細胞生物となり、一個体が複数の細胞や魂を持つようになった」
人間の脳の機能局在を示すマップが表示された。
「そうして動物は進化を続け、我々人類となった。人類は脳を発達させて、想像力を獲得し、『心』という自分だけの心の中の世界を生み出せるようになった。それが人類の文明や芸術、宗教が発展してきた理由だ」
カリアゲはぼーっとした目で見ている。
「ほーん…」
CEOは、何ページか資料を飛ばした。
話を巻こうとしているようだ。
「前置きが長すぎたね、すまない。…魂の存在が証明されたとき、我々はこう考えた。…『魂が実在するなら、これまで霊と呼ばれてきたモノも実在』するのではないか?」とね
- 55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/17(月) 18:21:02.33 ID:KtqbIF4bO
- 「霊ってあの幽霊か?ヒュードロドローっていうオバケの?」
「正しくは『そう言い伝えられている何か』だ」
「?どう違うんだ?」
「当時それらを実際に目撃した者達が、事態を正しく解釈していたのは限らないし、正しく言い伝えられているとも限らない。フィクション作品による誇張でパブリックイメージが捻じ曲げられてもいるだろう」
「あぁー…なんか風で舞った布が月明かりで照らされただけのものを、オバケと見間違えた…って聞いたことあるな。あるいはプラズマがどうこうとか」
「その通り。実際そうであるケースもあるだろうが…、『現代科学ではそうとしか説明できない』故に我々がそうだと決めつけているものでもある」
「え…実際にオバケがいたかもしれないってことか?」
「その可能性があるということだ。そして我々は研究した。世界各地の心霊現象や、土着信仰、シャーマニズムの習慣などをね」
「ふーん…」
「結論から言うと…世界各地のシャーマニズムの習慣が根付いた原点を推測すると、どうやらそこには共通の『何か』が存在しているらしい、ということが分かった」
「共通の何かって?」
「儀式だ」
「儀式…」
「現代において、伝承されている祈祷をやったところで、実際に怪奇現象を起こせるわけではない。だが…それらの原点では、偶然か必然か、何らかの奇跡を引き起こす条件が揃い、実際に引き起こすことに成功したらしいことが分かったんだ」
「あ〜、それを上辺だけ真似てきたけどうまく再現できないって状態が続いてんのか」
- 56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/17(月) 18:33:56.11 ID:KtqbIF4bO
- 「でもよ、昔の人はどうやってそんな儀式を作ったんだ?」
「…あらゆるシャーマニズムの儀式は『霊視』から始まる。霊とされる何かを目撃した者達から当時の状況を聞き、それを体系化し、人工的に起こそうとしたらしい」
「ありえねえって思うけど…まあ魂があるって分かった今、否定できねーよな…」
「ある素質を持った人物が、精神をトランス状態にし、何らかの所作をすることで…超自然的な『何か』と繋がる。それは世界各地で、神仏とか精霊とか云われるものだ」
CEOは、その儀式を図式化した画像を表示した。
「我々はこれをコンピューター・ソフトウェアで再現することを試みた。…世間からも株主からも、馬鹿馬鹿しいと批判されたよ。それでも多額の予算を投じて、我々は研究を続けた。…そうして、ついに再現に成功したんだよ」
「すげぇ…」
「我々は特殊な人工知能に祈祷の儀式をさせることで、人工知能の『心』を『超自然的な何か』へ接続し、その心象風景を映像として出力することに成功した!」
リーダーが静かに口を開いた。
「…それが、最初期型のデジクオリアか」
「そうだ。デジクオリアは元々、『霊』や『冥界』を観測するために開発したんだ」
- 57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/17(月) 18:36:19.22 ID:rBr5ExBp0
- 色々怖い…
- 58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/17(月) 18:43:57.84 ID:KtqbIF4bO
- 「そうして霊視用人工知能が接続された『世界』を広く見回すために、デジドローンを開発した。そして君達に、何か意味のあるものが見えてこないかを調査をしてもらうために協力してもらったんだ」
そうして私が…
デジタルワールドの海底で、クラゲ型デジモン…ポヨモンを見つけた。
「そう、君の功績だケン。…驚いたよ。我々は天国とか地獄と呼ばれる世界で、幽霊と呼ばれる何かを見るつもりでいたんだ。だが実際にそこにいた幽霊は…肉体を獲得し、進化する力を身に着けていた」
あれらには、デジタル「クリーチャー(生物)」ではなく、「モンスター(怪物)」という名を付けさせていただきました。
「君の命名は適切だったよケン。あれらはかつて、世界各地のシャーマン達が目撃に成功した怪異そのものだったのだから。生物というよりは怪物なのだろうね」
カリアゲが驚く。
「え!?じゃあデジモンって幽霊なのか?」
「逆だ。かつて幽霊と呼ばれたものの正体が、何らかの手段で観測されたデジモンなんだ」
「ええ…でもよ、デジモンってデジタルネットワークの世界に住んでるデジタル生命体だろ?なんでインターネットが発明されるより前にデジモンがいるんだ?」
- 59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/17(月) 18:48:01.91 ID:fL2teLpto
- この社長さん秘書ほど性格悪くはなさそうだ
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