風都探偵ss Wの称号/風の導き

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/12/29(木) 01:18:16.56 ID:40Vp8nIJ0
風都探偵のssです。
アニメの影響を受けて書いてみました。
物語の時期は大体原作110話直後だと思ってください。それではどうぞ…

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1672244295
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/12/29(木) 01:21:50.12 ID:40Vp8nIJ0

 風都。その名の通りこの街にはいつも透き通った心地の良い風が吹いている。
 街の中心に位置する巨大な風車を催した風都タワー、そこから流れる風は街に住む住人ならば誰もがその恩恵を受けるだろう。
 そして俺こと左翔太郎もそのうちの一人だ。
 愛用の帽子を深く被りながら今日もこの街に流れる風を心地よく感じて…


「翔太郎!そっち行ったよ!早く捕まえて!?」


 そんな黄昏る俺を余所に喧しい声が…
 助手のときめだ。せっかくハードボイルドに決めていたのに邪魔してくれるぜ。
 ちなみにこれでも仕事中だ。迷子になった猫を捕まえるべくときめと二人で追いかけている真っ最中。
 え?お前サボッてないで働けだと?いやいやサボっていたわけじゃない。
 こうして風の流れを感じて猫が何処へ行くのか探っていたんだよ。
 まあそうこうしているうちになんとか猫を路地裏まで追い詰めた。

3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/12/29(木) 01:22:40.18 ID:40Vp8nIJ0


「さあ、観念しな。もう逃げ場はないぜ。」


あとは捕まえるだけだ。そう思って猫に近づこうとした。


「ダメ!そっちは危ないよ!」


思わずときめが叫んだがなんと猫は捕まるのを嫌がり俺たちの隙をついてスルッと抜け出し道路へと飛び出た。
やべっ!なんと道路にはトラックが現れた。
すぐに俺は駆け足で走り出して猫を捕まえた。だが遅かった。
猫を掴んだと同時にトラックが俺の目の前まで迫ってきた。
このままだと轢かれる。そう思った俺はなんとか猫だけは守ろうと背中で庇おうとした。


………おかしい。なんともないぞ。
ひょっとしてトラックの運転手が咄嗟にブレーキを踏んで止まってくれたのだろうか。
だとしたらありがたい。俺はすぐに運転手にお詫びとそれにお礼を言おうと振り向いたがそこには驚くべき光景があった。

4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/12/29(木) 01:23:29.65 ID:40Vp8nIJ0


「よう、無事かい。」


なんと俺の前に見知らぬ男が立っていた。
 しかもその男はなんと片手でトラックを受け止めていたのだ。
 10トンはある大型トラックだぞ。それをこの男は片手で平然と受け止めている。
 これは…一体どういうことだ…?


 「翔太郎!猫ちゃんは!それに…」


 「ああ、俺は…猫も無事だ。けど…アンタ…大丈夫か…?」


すぐにときめが駆け寄ってきてくれたが俺はまだ呆然としたままだ。
だってそうだろう。目の前にいる男がトラックを受け止めているんだぜ。
こんなの仮面ライダーでもなければ無理に…待てよ…まさかこの人は…


「驚かせて悪かったな。けど無事でよかった。」


「いや、こっちこそ助けてくれてありがとう。
それにしてもこの力…アンタ…ひょっとして仮面ライダーなのか?」


 助けてくれた命の恩人に思わずそんな質問をしてしまった。
 不躾かもしれないが仕方がない。目の前でこんな事態が起きたんだから警戒してしまうのは当然だ。
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/12/29(木) 01:24:45.62 ID:40Vp8nIJ0


 「そういえば…素顔で会うのは初めてだったな。」


 「素顔で会うのは?まるで以前に会ったことがある言い方だな。」


「ああ、これまでも何度か会っているぞ左翔太郎。」


オイオイ、まさか俺の名前までご存知とは…
 けど何度もと言われても俺にはこの人と会った記憶がない。
 これでも探偵をやっている身だ。職業上出会った人間の顔はそう簡単には忘れない。
 だからこそ疑問だ。本当にこの男は何者だ?


 「悪いが俺はアンタと会った記憶が本当にないんだが…」


 「そうだろうな。こうして面と向かって話をすることすら初めてだからな。
それじゃあ自己紹介させてもらうよ。俺の名は一文字隼人。またの名を仮面ライダー2号だ。
改めてよろしくな左翔太郎。いや、仮面ライダーW。」


 そう言いながら彼は俺に挨拶がてら自己紹介してくれた。
 え?一文字?仮面ライダー2号?えぇ――――――ッ!?


6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/12/29(木) 01:30:48.93 ID:40Vp8nIJ0


 「フィリップ大変だー!話を聞いてくれ!なんと偶然スゲー人と会ったんだ!?」


 一文字さんと出会った直後、俺は急いでかもめビリーヤードの二階ある鳴海事務所へと戻った。
 まさか単なる迷い猫の捜索中に伝説の男一文字隼人が現れたんだ。
 これぞまさにビッグニュース。そう思い血相変えて事務所に戻ってきた。
 だが事務所に戻ると相棒のフィリップは確かに居るがもう一人見知らぬ男がいた。
 見た目大柄で渋そうなライダーズジャケットを着込み見るからに厳つい男だ。
 まさか依頼人か?そう思ったが…しかし男は事務所の台所でなんと珈琲を淹れていた。
 しかも事務所にある珈琲豆を勝手に使ってる!それはこの街で一番美味い鈴鳴珈琲店で仕入れた豆なんだぞ!?
 そう動揺する俺に対して男は淹れてくれた珈琲をカップに注いでそれを俺とフィリップ、それに依頼人に猫を返して遅れて帰ってきたときめに渡してくれた。
 まあせっかくなんだしひと口飲んでみた。


 「美味…」
 
 
 思わず言ってしまったが本当に美味い。これは最高だ。
 俺だって上手く淹れようと努力してるのになんだよこの人簡単にやってのけるなよ心が折れるだろうがよ。つか誰なんだよ!?


「誰とは心外だな。以前に会っているはずだぞ。」


男がそう言ってきたが…そういえばどこかで会った気が…あ!


「どうやらようやく気づいたようだね翔太郎。そう、彼の名は本郷猛。仮面ライダー1号だよ。」


隣でフィリップが呆れながらに彼のことを紹介してくれたが…
同時に俺もようやく思い出した。そういえば会っていた。
そう、仮面ライダー1号こと本郷猛。俺たちの大先輩だ。
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/12/29(木) 01:33:18.37 ID:40Vp8nIJ0


「いや〜美味いな珈琲!まさに立花のおやっさん直伝だな。」

 
「そうだな。けど豆がよかったのもあるぞ。本当にいい豆を使っているな。」


それから先程出会った一文字さんも合流して客人の本郷さんに一文字さん、それと俺たち鳴海探偵事務所の面々と和気藹々(?)としたお茶会となった。
それにしても目の前に信じられない光景がある。
なんせうちの事務所にあの伝説の男たちが珈琲片手にくっちゃべっているんだ。
こんな光景滅多に見れるもんじゃないぞ。


「ねえ、いい加減説明してよ。この人たち一体何者なの?」


そんな緊張する俺の隣に相槌するようにときめがこの人たちが何者なのかと説明を求めてきた。
まあ事情を知らないときめには一応説明しなきゃならないんだが…


「悪い…実は俺もよく知らないんだ…」


「え?嘘?だって何度か会ってるんでしょ。」


まあ確かに何度か会ってはいるのは事実だ。
けど思えばいつも他のライダーたちとの集まりだったり戦闘の真っ最中だったりでまともに話かけたことがなかった。
そんな二人について改めてどう説明すればいいのかなんてむしろ俺の方がしてほしいくらいだ。

8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/12/29(木) 01:34:45.50 ID:40Vp8nIJ0


「…仕方ない。ここは僕の出番のようだね。」


すると本郷さんの淹れた珈琲を飲み終えた相棒のフィリップが席から立ち上がると瞑想をするような動作を取った。
どうやら相棒は地球の本棚に入ったようだ。
俺の相棒ことフィリップはこの地球の凡ゆる記憶が保存された地球の本棚を閲覧する力がある。
俺には見えないが、いまフィリイプの目の前にはこの地球の記憶が保存された大量の本棚がある。
これを一冊ずつ読み解くのはかなりの手間が掛かるだろう。
だがフィリップはそんな手間を省くためある言葉を口にした。


「キーワードは[仮面ライダー]」


そう一言呟くとフィリップの前にあった大量の本棚は一瞬で殆どが消え去り一冊の本が残された。
本に記されたタイトルは[仮面ライダー]
フィリップがキーワードで検索して得た知識だ。
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/12/29(木) 01:37:15.63 ID:40Vp8nIJ0


「かつてこの世界に悪の組織があった。その名はショッカー。」


「ショッカーは才能ある人間を洗脳して改造人間を尖兵にして世界征服を企んだ。」


「本郷猛と一文字隼人。彼らはショッカーによって改造された改造人間だった。」


その昔、俺たちが生まれる前から暗躍していた悪の組織ショッカー。
悪逆非道の限りを尽くして人々の平和を脅かした非道な集団だ。
そんなショッカーに本郷さんと一文字さんは改造手術を受けて改造人間にされた。


「だが彼らは洗脳される直前に組織を脱走した。」


「そして人類の平和と自由のために戦う戦士、仮面ライダーとして戦うことを決意した。」


「仮面ライダー1号、仮面ライダー2号、数多の脅威を退けた彼らに人々は称賛するかのようにこう呼んだ。」


「栄光のダブルライダーとね。」


そう、仮面ライダーの始まりは彼らにあった。
本郷さんがショッカーを脱走して仮面ライダーとして戦わなければ今頃この世界はショッカーによって世界征服されていたかもしれない。
今日まで平和が保たれているのは彼ら先輩ライダーたちのおかげだと俺は思っている。

10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/12/29(木) 01:38:47.44 ID:40Vp8nIJ0


「え? 1号と2号でダブルライダー?仮面ライダーって翔太郎とフィリップに…それと所長の旦那さんのことじゃないの?」


「いや、仮面ライダーの称号は僕たちだけのものじゃない。他にも大勢いるんだよ。」


本郷さんに次いで新たに仮面ライダー2号となった一文字さん。
それ以降も仮面ライダーの系譜は続いた。
仮面ライダーV3、ライダーマン、仮面ライダーX、仮面ライダーアマゾン、仮面ライダーストロンガーと…昭和の時代だけでも10人以上もの仮面ライダーが存在している。
平成では…聞いた話だと1万人を越したというがそれだけのライダーがいたら村が出来そうな人数だな。
まあそんなわけで今や仮面ライダーも大所帯と化していた。


「へえ、てっきり仮面ライダーはダブルとアクセルだけかと思ったけど他にも居たんだ。
あれ?ということは翔太郎たちって本郷さんたちの許可なく仮面ライダーの称号を今まで勝手に使っていたということなの?」


オイやめろ。その件についてはあまり触れないでくれ。
俺たちは先代のおやっさんの意思を継いで仮面ライダーとなった。
つまりこの件を辿るとそもそもおやっさんが勝手に仮面ライダーを名乗ってたことから始まって…
だからこの問題は本当にややこしいんだよ。

11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/12/29(木) 01:40:46.68 ID:40Vp8nIJ0


「ハハハ、ライダーの称号なんて勝手に使ってくれて構わないよ。
お互いライダーになった経緯は異なるだろうがそれでもキミたちは人を守るために立ち上がった。
その想いがあれば十分だ。」


 「その通りだ。なんせ浅倉なんて凶悪犯がライダーを名乗っているくらいだ。
それを思えばこの街を守るためにライダーを名乗るキミたちは余程立派だよ。」


…そういえば居たよな…浅倉なんてやばいのが…NEVERの傭兵たちもライダー名乗ってたし…
まあそれはともかくとしてこうして俺たちは今まで曖昧で済まされていた仮面ライダーの称号に関して本家ダブルライダーから許可を得られた。
けどこの件に関しては雑談にしか過ぎないのだろう。恐らく本題はこれからだ。

12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/12/29(木) 01:42:41.88 ID:40Vp8nIJ0


 「ところで本郷、お前どうしてこの街を訪れた?ちなみに俺はカメラマンの仕事で訪れたわけだが…」


「うむ、それに関してだがまずは俺の方から風都の探偵諸君に聞きたいことがある。先日キミたちが解決した死仮面連続殺人事件についてだ。」


この件に触れられて俺とフィリップは思わず苦い顔になった。
まずは事件の概要を説明しよう。事件は古代民族文化の東堂幸三教授の死から始まった。
その死に顔はいま思い出しても余りにも不気味なものだった。
引きつったような激しい笑顔の死体。それが事件の始まりだった。
俺たち事件の調査を進めていく中でこの事件がかつてこの街でガイアメモリをバラ撒いて暗躍していた組織ミュージアムの長である園崎琉兵衛が絡んでいることを突き止めた。
園崎琉兵衛はロンドバレル島の遺跡を発掘するに辺り死んだ東堂の他に三人の協力者がいた。
電子工学と生物学のルーク・ランカスター、発掘学の調査技師の吾妻仁、遺伝子学の咲夜栄介。
彼らのイニシャルを肖ったL・A・S・Tのメンバーたちの連続殺人。
狂気の殺人鬼により次々に襲われるL・A・S・Tのメンバーたち…その犯人の正体は…
 まあ、この事件に関しては最後まで語らなくてもいいだろう。どうしても知りたければ本誌を読んでくれ。
とにかく俺は本郷さんに事件の詳細を明かした。
けれど本郷さんは事件についてよりもある点について興味を示していた。
それから少し思い悩んだ意味深な表情を浮かべながら考え事に耽っていた。

13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/12/29(木) 01:44:51.73 ID:40Vp8nIJ0


「やはり…そういうことだったか…」


「オイオイ、自分だけ納得するなよ。みんなわけがわからなくてサッパリだぞ。」


「すまん一文字、俺もまだ半信半疑なんだ。
それでだ。もうひとつ諸君に頼みたいことがある。俺たちを園崎邸に案内してくれないか。」


その言葉に俺は思わず飲んでいた珈琲を吹いてしまった。
ときめが汚いと叫んでいるがぶっちゃけそれどころじゃない。
この人は自分が何を言っているのかわかっているのか?


「本郷さんいくらアンタの頼みでもそれは聞けないぜ。あそこはかつてミュージアムの本拠地だったんだぞ!?」


かつて園崎低の主である園崎琉兵衛とその一家が住んでいた屋敷だ。
それに園崎は…

14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/12/29(木) 01:49:30.19 ID:40Vp8nIJ0


 「本郷さん、あなたが園崎邸に行く目的は一体何なんだ。それを教えてほしい。」


 隣に座る相棒のフィリップが冷静にそれで淡々とそう尋ねた。
 俺がこの件に触れられたくない理由はフィリップにある。
 何故ならフィリップは園崎琉兵衛の実の息子だ。
 既にミュージアムが崩壊して数年が経過しても家族の縁はそう簡単に切れるものじゃない。
 だから触れてほしくない。おまけに…


 「いまこの街には裏風都の住人たちが暗躍している。園崎邸に近づけば彼らを刺激する可能性がある。」


 フィリップは本郷さんにこの街の現在の状況を説明した。
 確かにフィリップにしてみれば園崎家の問題には触れてほしくないだろうがそれだけの私的な事情ばかりじゃない。
 園崎邸にはアレがある。だから下手に近づけば裏風都の連中を刺激する可能性は高い。
 

 「わかっている。だが俺もどうしても確かめたいことがある。無理な頼み事だとは重々承知しているが頼む。」


 それでも本郷さんは頑なだった。
 まあ1号ライダーにこうまで頼まれたが断ることなど出来ない。
 それにこの人たちなら妙なことにはならないはずだ。
 こうして俺はまず風都署のジンさんに建物に入る許可を取りたいと連絡を入れた。
 現在あそこは風都署の…それも超常犯罪捜査課の管理下に置かれている。
 ちなみにだが本来こういった件はジンさんの上司であり俺たちと同じ仮面ライダーこと照井竜に相談するのが筋だ。
 けどあいつは留守中。うちの所長で奥さんの亜希子を連れて親戚への挨拶がてら大阪に行っている。
 あいつら結婚して暫く経つのにまだ親戚への挨拶回りを済ませていなかったらしい。
 そんなわけで新婚旅行を兼ねて大阪まで羽を伸ばしているそうだ。
 まったく復讐に燃えていた男も今となっては形無しだな。まあそんなわけでジンさんからアポは取れた。
 こうして俺たちはさっそく園崎邸に向かうためそれぞれのバイクに乗って出発しようとするが…
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/12/29(木) 01:52:05.52 ID:40Vp8nIJ0


 「…何だ…?」


 一瞬の出来事だった。バイクに乗り込む瞬間に妙な風が吹いた。
 そのことに俺以外誰も気づく素振りはなかったが…
 けど嫌な感じだった。こう何か胸騒ぎがするような…
 とにかく考えても仕方ない。俺は一足先に発進したみんなの後を追って愛車のハードボイルダーのアクセルを吹かした。
 こうして園崎邸へと向かうわけだが…けれどこの時この胸騒ぎの予兆を確信すべきだった。
 何故ならこれこそがこれから起こる事件の前触れだったのだから。

16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/12/29(木) 01:56:23.54 ID:40Vp8nIJ0
とりあえずここまで、大雑把な導入部でした。

ちなみに翔太郎たち風都のライダーが仮面ライダーの称号を使っていることに関してこれは私の独自解釈に過ぎません。
なので本気になさらず
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/01(日) 10:50:56.10 ID:pjoVrKqs0


 鳴海探偵事務所を出て30分弱といったところだろうか。
 本郷さんと一文字さんが乗る市販のバイク、それに俺とフィリップが乗るハードボイルダーにときめが乗った亜希子の原付が古びた廃墟の前で止まった。
 
  
 「着いたぜ。ここが園崎邸だ。」


 バイクから降りた俺たちは園崎邸の前に立った。
 ミュージアム崩壊と同時にこの屋敷は炎に包まれ無人の廃墟と化した。
 この屋敷の主だった園崎琉兵衛はかつてここで人類そのものを地球と一体化させるガイアインパクトを企てた。
 だがその野望も俺たち仮面ライダーによって打ち砕かれこうして廃墟のみを残してすべてが消えた。まさに強者どもが夢の跡だ。
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/01(日) 10:52:55.85 ID:pjoVrKqs0


 「…」


 そんな当時の思い出に耽る俺たちを余所に本郷さんは敷地内へと入った。
 それも鉄の鎖で施錠された門を苦もなく素手でこじ開けてだ。
 さすがは改造人間。こんな頑丈な鎖は俺じゃ絶対無理だ。
 あとからこの廃墟の管理人から滅茶苦茶怒られたが俺と一文字さんが謝ってなんとか事なきを得た。
 けど問題は本郷さんだ。
 まるで夢遊病の患者みたく何かに導かれるように迷いもなく敷地内を歩いていた。
 それから屋敷の中に入りそこから地下へと続く階段を降りるが…


 「ここで行き止まりか。」


 建物が崩れて行き止まりになっている瓦礫の山を見て本郷さんはようやく我に帰ったのか正気に戻ってくれた。
 それでも瓦礫の山に手をかざして何かを感じていた。


 「大きな力を感じる。やはり…そういうことだったのか…」


 何かを感じた本郷さんはようやく自分の考えに確信を持てたようだ。
 しかし同行している俺たちには事情がさっぱりわからないままだ。
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/01(日) 10:54:20.48 ID:pjoVrKqs0


 「本郷いい加減に話してくれ。そのためにわざわざここまで来たんだろ。」


 「そうだな、長い話になる。まずはこれを見てくれないか。」


 本郷さんは胸元のポケットから一枚の古びた写真を出して俺たちに見せた。
 写真には三人の男が写っていた。一人は若かりし頃の本郷さん。(見た目は今と全然変わらない)
 それに中央に居るのは初老の男でもう一人若い男が写っているがこいつ何処かで見覚えが…
 待てよ…この男…ひょっとして…


 「父さん…間違いない…これは父だ…けど…どうして…」


 どうやらフィリップも気づいたようだ。
 この古びた写真に写っているのは本郷さんとそれにもう一人は若き日の園崎琉兵衛だ。
 けどこれはどういうことだ。何故本郷さんと園崎琉兵衛が一緒に撮った写真がある?
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/01(日) 10:56:52.51 ID:pjoVrKqs0


 「フィリップ、改めて話そう。
俺とキミのお父さん園崎琉兵衛はかつて城南大学の同期生だったんだ。」


 「まさか!そんな話聞いたこともない!?」


 「無理もない。俺も園崎がミュージアムの黒幕だと知ったのは彼が死んだ後だった。
だから今までどうしても打ち明けることが出来なかったんだ。」


 本郷さんと園崎琉兵衛が大学の同期生だったのは本当に驚きだ。
 隣にいる一文字さんも知らなかったようだし長年の相棒にも打ち明けていなかったのはよっぽどの事情があるようだ。
 

 「本郷さん、わざわざこの場所まで来て長年の秘密を打ち明けるにはそれなりの事情があったと思う。そのことを話してほしい。」


 「わかった。すべてを話そう。俺と園崎は大学の同期生で気の合う学友だった。
園崎はよく故郷の風都を自慢していたよ。この街はとてもいい街だと…いつか来てくれ…その時は案内すると…」


 本郷さんは園崎琉兵衛と大学生活を共に過ごした過去の思い出を淡々と語った。
 二人とも学業に専念していくがいつの頃か琉兵衛は自分の研究に没頭するようになった。
 それから暫くしてのことだった。

21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/01(日) 10:59:11.81 ID:pjoVrKqs0


 「ある日、園崎は学会である発表をした。それが風についてだ。」
 

 その内容はロンドバレル島でL・A・S・Tのメンバーたちに説いた内容と同じものだった。
 どうやら園崎琉兵衛はこの時既に後のガイアメモリ製造に関わる核心に迫っていたようだ。
 ところが…


 「だが俺も含めて……殆どの人間がその説を信じなかった。」


本郷さんは俯きながら悔いるようにそう呟いた。
無理もない。園崎家の当主としての権力があればいいが何の力もない一介の学生が訴える学説など誰が信じるだろうか。
ましてや恐らく当時はまだ仮説の段階にしか過ぎず確かな根拠が何一つ無かった。
そんな実証出来るわけもなく殆どの人間から相手にされずいつしか園崎琉兵衛は学内から疎まれるようになった。
 その後、本郷さんもまた園崎琉兵衛との交流が途絶えて学校を卒業後はすっかり音信不通となり今日に至った。


「だが園崎は長い歳月をかけて見つけ出した。この先にあいつが探し求めていたものが…泉が…」


 本郷さんは再び目の前の瓦礫に手をかざしてその先にある存在を感じ取っていた。
 同時に俺も過去の出来事を思い出した。
 かつてこの園崎邸の地下には緑色に輝く泉があった。
 園崎琉兵衛はそれをガイアゲートと呼びその力を使ってガイアインパクトを実行に移そうとした。
 だがそれは風都を守る俺たち仮面ライダーによって未然に防がれた。
 本郷さんが感じているのは今はもう塞がれた泉の力なんだろう。
 ここまでの話で本郷さんと園崎琉兵衛の関係は把握出来た。
 それでもフィリップはまだ何か納得していないようなところがあるらしくこんな質問をした。
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/01(日) 11:01:20.77 ID:pjoVrKqs0


「本郷さん。あなたは殆どの人間といった。…つまり僅かながら父の説を信じた人間がいたんですね。」


「ああ、それがこの人だ。俺たちの恩師にあたる緑川博士だ。」


そういって本郷さんは先程見せた写真中央の初老の男性を指した。
なるほど、この人が緑川博士か。


「待て本郷!緑川博士といえばお前を改造人間にした…言うなれば仮面ライダーの生みの親じゃないか!?」


「そうだ。緑川博士こそショッカーに洗脳されるはずだった俺を救い出し仮面ライダーへと導いた恩師。
当時緑川博士は教え子だった園崎の話を信じた。
俺たち仮面ライダーは大自然の使者と謂われているが何故風の力を用いるのか。
一文字、お前とて一度は疑問に思ったことがあるはずだ。」


 その言葉に一文字さんは思わず悩み込んだ。
 しかし緑川博士が園崎琉兵衛の話を信じたとしたら…

23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/01(日) 11:02:11.80 ID:pjoVrKqs0


 「園崎の話を信じた博士はこう考えたのだ。
風には火、水、土、木にはない無限の可能性があるのだと…
だからこそ博士は仮面ライダーが用いる力に風を選んだのではないか。
この場所に来て俺はこのことにようやく確信が持てた。」


 なるほど、本郷さんが無理を承知でここに案内してほしいと頼み込んだのはそれが理由か。
 これでこの場所での要件は済んだ。
 だが直後にフィリップに向かい頭を下げながらこう告げた。


 「フィリップ、いや…園崎来人くん。すまない。俺のせいだ。
学生時代に俺もお父さんの話を信じてやれば…
キミたち家族がガイアメモリによって振り回されることはなかったのに…」


 「そんな…頭を上げてください…僕たち家族があのような末路を辿ったのはあなたのせいではない…」


 本郷さんのそれはある意味で懺悔のような謝罪だった。
 そんな謝罪にフィリップは逆に申し訳なく思っている。
 こんな二人のやり取りを見て俺は思わずこう呟こうとした。
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/01/01(日) 11:03:48.15 ID:pjoVrKqs0


 「一人は悪の道を…もう一人は正義の道を…お互い真逆の道を歩むとは…運命のすれ違いか。」


 だが俺が呟く前に一文字さんがそんな皮肉めいたことを言ってしまった。
 運命のすれ違いと言われたら…そうかもしれない。
 本郷さんはショッカーに拉致され改造手術を受けた。本来なら彼は悪の道に染まるはずだった。
 だが彼は緑川博士に助けられて仮面ライダーとなって正義の道を歩んだ。
 園崎琉兵衛はこの街に戻り結婚して家族を育みやがてガイアゲートを見つけ出した。
 だがヤツはその力に魅入られフィリップをはじめ家族を犠牲にしてガイアインパクトを引き起こそうと悪の道を歩んだ。

 これほどまで相反する運命はないだろう。けど俺は思う。
 二人は歩んだ道は決して運命ではない。必然だ。
 何故ならこれは俺自身が園崎琉兵衛と対峙したからこそわかることだが…
 あの男は過去の一件がなかったとしても必ずやガイアメモリの力を手に入れて街を混沌に貶めていただろう。   

 さらに追求すべきは園崎琉兵自身の説を信じた恩人の緑川博士が生み出した仮面ライダーの存在だ。
恐らく意図しなかったことだろうが自分の唱えた説を信じた恩師により仮面ライダーは誕生した。
後に仮面ライダーの称号を受け継いだ息子のフィリップによって倒される。
 園崎琉兵衛と仮面ライダーの関係を知ったいまとなってはこれが彼の運命だったのだろう。
自身がもたらした結果によりその野望を阻まれた。運命の柵…
まさに皮肉めいた自らの業が招いた末路だったのかもしれない。

25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/01(日) 11:56:25.77 ID:pjoVrKqs0


 「ねえ、これで用事は済んだわけでしょ。それなら早くここから出ない?なんだか気味が悪いわ。」


 今まで黙って話を聞いていたときめがいい加減帰ろうと訴えてきた。
 そうだな、もうこれで要件は済んだ。長居していいような場所じゃないんだ。
 早く事務所に戻ろうと…そう思った時だ。


 「待てッ!お前たちこのまま帰れると思うなよ!!」


 急に背後からそんな怒鳴り声が聞こえてきた。
 何だ?まるで昭和の悪役みたいな台詞を吐いてくるな。
 後ろを振り向くとそこには先程門前で出くわした管理人の男だ。
 管理人はえらい剣幕でこちらを睨みつけているが一体何者だ?
 すると管理人が作業着を脱いだ。脱ぐとその下には詰襟の白いスーツが…これはまさか…
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/01(日) 11:57:58.68 ID:pjoVrKqs0


 「お前!財団Xのエージェントか!?」


 間違いない。こいつの制服は財団Xのものだ!
 そしてこいつは財団Xから送り込まれたかつてミュージアムに出資していた財団Xの…加頭順と同じエージェントか!


 「加頭…懐かしい名だな…昔は俺もあの人の下で働いていた…」


 「ハンッ!それじゃあ敵討ちでもしに来たわけか!」


 「馬鹿を言うな。あんな何を考えているのかもわからない冷血漢の敵討ちをしたがる物好きがいるものか。」


 うわ、かつての部下に思いっきり死体蹴りされてるぞ加頭…
 まあ確かにあの男は人間らしさに欠けていたという点は否めないか。
 それから男は懐から何かを取り出した。ガイアメモリだ。それも[D]の刻印が記されていた。


 「ガイアメモリか。やはり財団はまだミュージアムの遺産を…風都を狙っているわけかよ!」


 ミュージアムの崩壊、及び担当エージェントだった加頭順の死で財団Xはこの街から撤退した。 
 そう思っていたがやはり財団はミュージアムの遺産を欲しているようだ。
 こうして園崎邸にエージェントを配置していることが何よりの証拠だ。

27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/01(日) 11:58:52.83 ID:pjoVrKqs0


 「フフ…ハハハ…ミュージアムの遺産?風都を狙う?寝ぼけたことを言うな!このゴミ溜めに価値などあるか!?」


 なんだともういっぺん言ってみろ!この街がゴミ溜めだと!?


 「こんなゴミ溜めの街にも…ガイアメモリにも価値などないんだよ!」


 財団Xのエージェントはその手に握り締めているガイアメモリをまるで今にでも投げ捨てようとするような勢いでそう言い放った。

28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/01(日) 12:01:02.22 ID:pjoVrKqs0


 ここで物語から脱線するがこの男の詳細を説明しておこう。
 この男の名はダスト。勿論本名ではなく組織から与えられたコードネーム…なんて洒落たものでもない。
 単なるあだ名だ。それも蔑称に近い。
 何故こんな蔑称が付けられたのか?この事情を語るには加頭順が死んだ直後まで遡る。
 かつてこの男は加頭の部下だった。そのため財団はこの男にガイアメモリの量産を一任していた。
 既にミュージアムから既存のガイアメモリのデータは得られていた。
 それこそミュージアムの頂点に在ったテラードーパントの力すら…
 ダストが財団Xからガイアメモリの生産を任されてから数年は量産ラインも順調だった。
 だがそれも僅か数年と短い期間に過ぎなかった。
 年々新しい仮面ライダーが増えていくに連れて悪の組織もミュージアム以外に数多く増えた。
 太古のメダルに宿るグリード、ゾディアーツ、ファントム、インベス、ロイミュード…etc…
 俺が知るだけでも相当な数の悪の組織が出現した。
 それに伴い財団も連中に出資して新たな怪人のデータを得ていく。
 財団Xも一応は企業だ。いつまでも同じ製品を造っていては顧客に飽きられる。
 

 「今やガイアメモリは過去の遺物。財団Xでは二束三文の価値すらない!単なるゴミなんだよ!!」


 そうなってくるだろうな。いくら財団Xが既にガイアメモリのデータを全て採取していたとしても開発元だったミュージアムが潰えたせいで新規のガイアメモリを生産することは出来ない。
 つまりガイアメモリに未来はない。そう判断した財団はガイアメモリをお払い箱にした。
 先のないガイアメモリより新たな可能性のある上位互換たる新製品の開発に着手すべきだ。
 ある意味普通の会社でいうコストカット。こうなると割を食うのは担当者だったダストだ。
 ガイアメモリの生産が打ち切られた以上、どうすることも出来やしない。
 今更何処ぞの悪の組織にガイアメモリを売りつけようとしても時代遅れの製品に価値などないと門前払いされるのがオチだ。

29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/01(日) 12:04:31.29 ID:pjoVrKqs0


 「だから俺はもう一度組織でのし上がるために機会を待ち続けた!そしてようやくそれが訪れた!」


 「何言ってやがる。そんな機会なんて今まで何度もあっただろ。何で今頃になって…」
 

 ミュージアム崩壊後も風都では事件が絶え間なく頻発していた。
 EXEのチンピラたちやそれに最近では裏風都の連中が暗躍している。
 風都で暴れようとする機会なんていくらでもあったはずだ。
 するとダストは俺たちの方を指した。


 「お前だ!本郷猛!」


「ミュージアム…それも園崎琉兵衛の身辺を調べてお前たちがかつて学友だったこと、それに過去の経緯を辿った。それでこう考えた。お前はいずれこの街を訪ねると…」


「長年我ら財団Xの関連組織を潰してきた仮面ライダー1号…それに一文字隼人までいるとなれば…」


「伝説のダブルライダーを倒せば大きな手柄になる!そしてもう一度返り咲くことが出来る!!」


要するにこいつは本郷さんを誘き出そうとしたわけか。
財団Xのエージェントならクライアントの身辺調査なんて朝飯前か。
これでダストの事情はわかった。
まあ事情がわかったところで財団Xのエージェントである以上容赦はしない。

30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/01(日) 12:05:41.09 ID:pjoVrKqs0


『DUST!』


ヤツは身体にあるコネクタにガイアメモリを接続。禍々しい音声が発せられたと同時に不気味な怪物に変化する。
全身が錆び塗れで無機質な身体でありながら黒い液体がドロドロ流れた気味の悪い巨体だ。
おまけにヤツの背後からゾロゾロとマスカレイドたちが現れた。
どうやら奴さんやる気満々だ。


「財団Xのエージェントならば容赦せん!」


「本郷俺も戦うぜ!財団Xは俺たちの敵だ!」


同時に本郷さんと一文字さんも戦闘態勢に入った。
二人とも拳を握り締めて今すぐにでも飛び出す勢いだ。
けど悪いがここは風都だ。つまり…
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/01(日) 12:06:41.90 ID:pjoVrKqs0


「こいつの相手は俺たちに任せてくれ。なあフィリップ。」


「ああ、この街の平和を乱す者は僕たちが許さない。」


俺は変身用ベルトのダブルドライバーを取り出し腹部に装着した。
同時にフィリップの腹部にもダブルドライバーが出現。
これで戦闘準備は整った。


「気をつけろ。ヤツは堂々と出てきたのだから何か策があるぞ!」


本郷さんの助言は最もだ。こんな堂々と出てきて正攻法で戦うのだから相当自信があるようだ。
それを踏まえるとヤツと戦うには…
そんな考え込んでいると俺たちの前を飛行するメカが現れた。こいつは…

32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/01(日) 12:08:29.36 ID:pjoVrKqs0


「エクストリームメモリ!フィリップまさか初っ端から…」


「敵が未知の存在ならばこちらも全力でいくべきだ。」


フィリップが召喚したのはまさかのエクストリームメモリだ。
確かに通常フォームよりは効果的かもしれないが初手からこいつを使うのはフィリップにしては珍しい選択だ。
そんなフィリップだがよく見ると不機嫌な様子だ。
そうか、ここは園崎邸の…しかも家族が亡くなった場所でありフィリップにしてみれば墓所みたいなものだ。
だというのにダストは土足でこの墓所を土足で踏み込んだ。
それを考えたらフィリップが不機嫌なのは当然か。
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/01(日) 12:11:35.94 ID:pjoVrKqs0


「OK!先輩たちの前だ!カッコイイとこ見せようぜ!」


フィリップの意見を聞いた俺は自らのガイアメモリを取り出した。
色が黒くそれでいて[J]の刻印が印されたガイアメモリ。同じくフィリップも緑色の[C]の刻印が印されたガイアメモリを握り締めた。


『CYCLONE!』 『JOKER!』


握ったガイアメモリから発せられた音声と共に俺たちは同時にこう発した。


「 「変身ッ!」 」


その瞬間、エクストリームメモリが俺たちの頭上に舞い降り同時に俺とフィリップの身体はひとつに同化した。
周囲には眩い光が発せられてその光の中から一人の戦士が現れる。
左右が緑と黒、それに真ん中が銀色の三色に染まった最強の戦士。
これぞ俺たちがひとつになった仮面ライダーWサイクロンジョーカーエクストリームだ。

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