【安価・コンマ】皆で作る物語

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57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/07(日) 21:03:41.35 ID:WxmpN9zzo
名前:不破 恭士郎(ふは きょうしろう)
性別:男
年齢:18
出身:日本
主な活動地域:日本
能力:身体能力強化
見た目や性格等の特徴:見た目は無愛想だが中身は熱血
来歴:かつて暗殺剣を扱う一族の子供だったがテロにより父と自分以外の親族は亡くなってしまう
後に父は一般人の女性と再婚しそこの家庭で育つ
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/07(日) 21:07:43.30 ID:gVO/7imf0
初手で高コンマ来ると作っても絶対採用されねえよって諦めそうになるね…
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/07(日) 21:13:50.74 ID:PxSslkiDO
採用されなかったキャラも登場させて欲しいな
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/07(日) 21:22:41.25 ID:aSx416AA0
コンマはそういうもんや!
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/07(日) 22:21:23.50 ID:0zM449WAO
この手のスレって設定決めだけで満足してエタってばっかだから後どれだけ設定作ってから本編始めるつもりなのかだけ早めに確認しておきたいわ
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/07(日) 22:25:50.68 ID:/H2FyKCZo
採用されなかったキャラも機会を見て登場させるつもりです。

設定決めは、後は主人公に関することを3つほど決めたら本編入ります。その他の設定は本編を進めながら必要になり次第やります。
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/07(日) 22:27:49.52 ID:/H2FyKCZo
というわけで主人公はカチューシャに決定です。

ヒーローネームを決めてもらうのを忘れてたのでこれから決めます。

↓3まで多数決
1:そのままカチューシャにする
2:別に名付ける
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/07(日) 22:31:04.88 ID:nswLEojso
タイバニ感
2
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/07(日) 22:34:32.61 ID:kJeTTl9Y0
2
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/07(日) 22:39:12.56 ID:/H2FyKCZo
↓3まででコンマの値が2番目に高いものを採用
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/07(日) 22:41:59.74 ID:ue+24WjkO
コンマって十の位程度なら操作できるから反転したほうがいいと思うけど

安価はニヴルヘイム
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/07(日) 22:47:17.55 ID:kJeTTl9Y0
コンマ関係無く気に入ったもので良くない?

クールキャット
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/07(日) 22:47:44.36 ID:Frubxrwa0
アイスガンマン
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/07(日) 22:48:50.75 ID:1hcD49uXO
ぶっちゃけこの程度の設定は>>1側で決めてもらわないとテンポ悪くなるような
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/07(日) 22:51:05.30 ID:Frubxrwa0
まぁキャラ案とセットでよかったでしょって気はする
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/07(日) 22:54:34.23 ID:/H2FyKCZo
ではクールキャットで決定。

>>67
助言ありがとうございます。次からは反転も検討します。

>>68
確かにそれでもいいかもしれないですね。

>>70
そうかもしれませんね。個人的にはみんなで作っていけたらなーという思いがあったので・・・

>>71
すいません、テンプレに入れ忘れてたんです。
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/07(日) 23:01:13.13 ID:/H2FyKCZo
次もテンプレに入れ忘れてたんですけど、ヒーローライセンスについてです。これもテンポ悪いかもしれませんが今回の設定決めに関しては大目に見ていただけると嬉しいです。

↓5まで多数決
1:国連
2:世界戦隊連盟
3:ライセンスを持たないモグリのヒーロー
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/07(日) 23:03:39.88 ID:syLr+zx8O
3
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/07(日) 23:05:50.42 ID:nswLEojso
2
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/07(日) 23:06:29.15 ID:JEsEqw5M0
2
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/07(日) 23:08:58.39 ID:QAXhO8330
2
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/07(日) 23:09:40.35 ID:cPfzUvJy0
2
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/07(日) 23:17:18.03 ID:/H2FyKCZo
では2で。

次はカチューシャのヒーローとしての目的について決めます。悪を罰するためとか、なんとなくとか、生きるためとか、何でもいいです。

↓3までで、反転させた上でコンマの値が最も高いものを採用
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/07(日) 23:19:07.24 ID:aSx416AA0
目的はない、それがヒーローの仕事だからしているだけ
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/07(日) 23:20:32.96 ID:PxSslkiDO
食っていく為の金稼ぎ
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/07(日) 23:23:20.86 ID:nswLEojso
自分には何もないけど何かを持っている人達の助けになりたい
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/07(日) 23:29:37.44 ID:/H2FyKCZo
では>>81に決定。

設定はいまのが最後です。次の安価を募集したら本編行きます。

ではこれから第1話を始めますが、エピソードのキーワードを募集します。キーワードは「血」みたいなシンプルなのでもいいですし、作中に登場した人名や、適当に〇〇事件とかでもいいです。
↓3まで募集

※これは実験的な試みなので第1話限りになる可能性があることだけご了承ください。
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/07(日) 23:30:25.23 ID:FECU2vr1o
塹壕
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/07(日) 23:31:53.11 ID:iTbY5MOdo
バディ
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/07(日) 23:33:09.85 ID:qhaG2BvF0
「あなたは誰?」
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/07(日) 23:34:44.33 ID:K0P1I66Xo
ビギンズナイト
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/08(月) 00:09:37.05 ID:OxwEkYCdo
第1話「邂逅」

···あんたも物好きだな。あれは泥と血に塗れた塹壕でのことだ。あのとき、俺は確かに天使を見た。宗教画に書かれてるような笑顔は持ち合わせちゃいなかったがな。···確かに世間一般からすれば彼女はヒーローとは呼べないかもしれない。だが、命を救われた俺に取っちゃ紛れもなくヒーローさ。

──とある兵士へのインタビューより抜粋
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/08(月) 00:14:00.33 ID:OxwEkYCdo
「ブリャコフ、権威主義のクソッタレは見えるか?」

雪と泥でぬかるんだ塹壕の中、腰を下ろした中年の男性が隣りにいた若者に声をかける。

「サー、見えるのは母なる大地だけです」

双眼鏡を覗きながら地平線に目を配る金髪の若者が答える。

「なら良し。ここは政府の犬どもから俺たちの自治区を守る上で欠かせない地だ。奪われるわけにはいかない」

「そのとおりであります。ただ──」

なんだ、とでも言いたげに中年の男がブリャコフを見る。

「我らがヒーローに来ていただいたらすべて解決するのでは?」

「バカヤローが!」

ゴツンという鈍い音と同時にブリャコフは頭に痛みを感じた。

「事はそう単純じゃねえ。色々と“政治的な”問題があるんだよ」

「はっ。ですが、この睨み合いは一体いつまで続くのでしょうか?」

「さあな。奴さんたちが諦めるまでさ。とにかくだな──」

続く言葉は、空を切り裂くような甲高い音にかき消された。

「砲撃だーっ!」

監視員が大声を上げて叫ぶのと同時に轟音が鳴り響き、地面が激しく揺れる。

視界を揺さぶる衝撃波とともに、塹壕の至るところに鉄の破片や土砂が降り注ぐ。

「ブリャコフ、生きてるか!?」

「ゲホッゲホッ···問題ありません!」

「よし!いいか、気を抜くな!すぐに敵が──」

顔についた泥を払いながら突撃銃を構えようとしたその時、視界の端に塹壕の外からこちらを見下ろす人影がうつった。

「っ!」

その軍服姿は間違いなく政府軍のものだ。ブリャコフと同年代か少し上程の敵兵は、ライフルの引鉄に指をかけている。

冷や汗が額を流れるのを感じ、死を意識したその時。眼の前の兵士が口から血を吹いて地面に倒れ込んだ。

「な、なんだ?」

「サー、か、彼女は!?」

顔にこびりついた血を拭いながら、ブリャコフが指さした方を見ると、そこには一人の若い女性がいた。

白い毛皮の外套に、赤いロシア帽。晴れ渡る空のような青と雪のような白が同居した髪色、そして彫刻のような美しい顔立ちに不釣り合いな鮮血。

彼女は飛び交う銃弾に眉を一つも動かすことなく、こちらを見た。

「命拾いしたね」


なんかミリタリーものみたいになってますが、ヒーローものにちゃんと軌道修正できるとは思います。

今日はここまで。
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/08(月) 00:48:15.81 ID:a0c63xgK0
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/08(月) 00:51:05.87 ID:DWVO7exKo
おつ
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/08(月) 00:57:50.25 ID:fQORAuivo
おつ
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/08(月) 06:44:51.47 ID:S3HJvnhv0
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/08(月) 20:01:17.13 ID:OxwEkYCdo
カチューシャは一息つくと、塹壕の中で呆然とする兵士達から正面に視線を戻した。

「何してる!相手は一人だぞ、殺せ!」

政府軍の将校が拳銃を片手に周りの部下に喚き散らしている。

叱咤を受けて政府軍の兵士たちは一斉に銃口をカチューシャに向ける。

「···ふん」

カチューシャが片手を挙げると同時に、彼女の左右に大量の弾丸が展開される。

カチューシャの様子を伺っていたブリャコフがつぶやく。

「あれは···氷?」

カチューシャが片手を振り下ろすと、それに呼応して氷の弾丸が政府軍めがけて飛んでいく。

青白く輝く氷と真っ赤な血が飛び交うさまはどこか美しくもある。

「ええい、身を隠せ!」

将校に言われるまでもなく兵士たちは土嚢や、砲弾によって地面に開けられた大きな穴に既に身を隠していた。

「これで終わり」

カチューシャのつぶやきと同時に、再び氷の弾丸が展開される。ただし、今度は政府軍の頭上に、だが。

腐っても将校、異変に気づいた彼は周りを見渡し、頭上に浮かぶ大量の銃弾に気づいた。

「クソッ──」

そうして文字通り、銃弾の雨が彼らの頭上に降り注いだ。
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/08(月) 20:05:27.31 ID:OxwEkYCdo
こうしてこの地での戦いは、突如現れた一人の女性の手によって自治組織側の勝利に終わった。

政府軍と自治組織の塹壕の間、無人地帯をカチューシャはゆっくりと歩く。

ブリャコフは塹壕の縁に腰掛けながらそんな彼女の様子を見ていた。

「どうした、ブリャコフ?」

勝利の祝杯としてウォッカを飲みながら、中年の男性が声をかける。

「いえ···」

言い淀んだブリャコフだったが、カチューシャを目で追いながら言葉を続けた。

「クールキャットの噂は聞いていました。ただ···本当に彼女がそうなのか、と」

クールキャット──ウクライナやその周辺地域で活動しているヒーローだ。とは言っても、大多数のヒーローとは違う、特殊なヒーローでもある。

それはつまり、殺しを躊躇わないこと。そして彼女は自発的に活動することはそう多くなく、基本的には世界戦隊連盟からの依頼を通してのみ活動する。

この特殊な行動規範故に、人によっては彼女のことをヒーローの風上にも置けない“傭兵”だと揶揄することもある。

「あんな人が、どうして···」

そんなブリャコフの様子を中年の男性は鼻で笑った。

「どうした、まさかクールキャットに恋でもしたか?やめとけ、こっぴどく振られるのがオチだ」

「違いますよ!ただ、僕は彼女を見てると何というか···心配になるんです」

「心配だ〜?心配されんのはむしろお前の方だよ。さっきもクールキャットが俺たちのケツをふいてくれたおかげで、こうして生きてるんだ」

「そう、ですね」

そんな二人の会話は露知らず、カチューシャは鉄条網と死体を避けながら無人地帯を歩く。

そんなとき、突如カチューシャの背後から声がした。

「死ね、悪魔!」

死体のフリをしていた政府軍兵士のようだ。彼の手にはショットガン。いくらヒーローといえど、この至近距離で散弾を喰らえばひとたまりもない。

だというのにカチューシャの思考は落ち着いていた。彼女にとっては死の存在も、悪魔という罵倒も身近なものだ。とっくにそんなものには慣れてしまっていた。

(死、か···)

そんなとき、また違う方向から声が聞こえてきた。

「危ない!」

↓1声の主は誰?
安価で採用されなかったキャラ、作中の登場人物、新規キャラ、どれでもいいです
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/08(月) 20:09:06.99 ID:VTouqOKoo
>>56のキャラ
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/08(月) 20:48:57.19 ID:OxwEkYCdo
声の主はおよそ戦場には不釣り合いな格好をしていた。赤を基調としたフルフェイスのマスクとコスチューム、そして赤い熱気のようなものを帯びている。傍から見ればなにかのアニメのコスプレと思うだろう。

彼は躊躇いもなくカチューシャと兵士の間に立つと、腕をクロスして守りの姿勢をとる。

「クッ···!」

真正面から散弾を喰らった男はうめき声を上げながらも、拳に力を入れると兵士の顔を正面から殴った。

1メートル程吹っ飛んで、兵士は塹壕の中に落ちていった。

「あなた──」

声をかけようとしたその時、男はそのまま地面に倒れて気を失ってしまった。

カチューシャは男を仰向けに寝かし、心臓に耳を当てる。

(生きてる···。外傷もないし、疲労で倒れた?なら、放っておいても死にはしない)

カチューシャは無意識に作り出した氷の銃弾を掌で弄びながら思考を続ける。

(···一応、命を救われた。借りは作りたくない)

仕事を遂行するにあたって借りを作ることほど厄介なことはない、というのが幼い頃からカチューシャが学んできた教訓の1つである。

カチューシャは男を担ぎ上げるとその場をあとにした。


「ん···ここは?」

さっきから止まない振動に思わず目が覚める。

「キーウ」

とっさのことでそれが何処なのか分からなかったが、そう言われてあたりに目を凝らすと市街地の通りを歩いているみたいだ。

ここでようやく男は自分がおんぶされていることに気づいた。

「お、降ろしてくれ!」

17になってまでおんぶされるのは流石に恥ずかしく、思わず声を荒げる。

「わかった」

するとカチューシャはあっさり彼を降ろした。

「あ、ありがとう」

そう言って見上げた先にある顔に、彼は思わず見惚れてしまった。

「あなたは誰?」

しばらく呆けていた男は、こちらを覗き込む瞳に自分の姿が写っているのを認めて我に返った。

「俺は──」

↓1
赤崎のヒーローネームは?


98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/08(月) 20:50:11.99 ID:X50tTSiTO
レッドマーゾ
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/08(月) 20:54:00.31 ID:lewicER1o
キズナレッド
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/08(月) 21:02:27.29 ID:OxwEkYCdo
「赤崎灯、ヒーローネームはレッドマーゾだ」

国連から発行されたヒーローライセンスをカチューシャに見せる。

「私はクールキャット」

赤崎は名前を聞くと握手しようと手を差し伸べる。しかし、カチューシャはその手を取ることなく歩き始めた。

「っ···」

何か気に触ることでもしただろうかと考えながら、赤崎は置いていかれないよう彼女の後を追う。

小走りでクールキャットの横まで移動すると、彼女が口を開いた。

「それで、どうしてここに?」

赤崎はなぜウクライナに?
↓3までで、反転させた上でコンマの値が最も高いものを採用

なお赤崎のヒーローライセンスについてはこちらで決めさせていただきました。
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/08(月) 21:08:24.61 ID:a0c63xgK0
別の国に行く途中にヴィランの襲撃を受けて飛行機が墜落した
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/08(月) 21:09:12.57 ID:eHKoQ71p0
氷を使うヴィランを探している
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/08(月) 21:13:54.48 ID:7dn/tNJhO
追っていたヴィランが国境を超えて逃亡したため
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/08(月) 22:05:18.93 ID:OxwEkYCdo
うまいこと組み合わせられそうなので3つとも採用しますね。


「日本から氷を使うヴィランを追いかけてきたんだ。ただ、そのことがバレてたのか乗っていた飛行機を撃墜されて···」

同じ飛行機に乗っていた人達のことを思い出し、赤崎は悲痛な面持ちになる。

「それで荒野を渡り歩いてたら、気づいたらあの場にいて···」

「そう···」

するとカチューシャは上着の内ポケットから、ヒーローライセンスを取り出した。

「言っておくけど、私はヴィランじゃない」

「別に疑ってなんかない!」

再び大声を出してしまった赤崎は、その気まずさを打ち消そうとするかのように口を開いた。

「俺も質問していいか?」

「ええ」

「···どうして彼らを殺した?」

はじめ、カチューシャは彼が何のことを言っているのか分からなかったが、すぐに目の前の人物が“普通の”ヒーローであることを思い出した。

「やるべきことをやっただけ」

カチューシャの答えに赤崎は顔をしかめる。

「そりゃ、俺だって世界が綺麗事だけで成り立ってるとは思わない。でも、もっとやりようはなかったのか?だって···ヒーローは命を救う存在だろ、奪うんじゃなく」

思いをぶつけるように目の前に立ち塞がる赤崎を、カチューシャはスルーして歩き続ける。

「あなたに理解してもらう必要もないし、何を言われても私の考えは変わらない。ただ、やるべきことを、やっただけ」

「っ···」

赤崎が唇を噛みしめる中、通りの向こうから歩いてきた市民がカチューシャに声をかける。

「やあ、クールキャット!先の戦いでは大活躍だって?ほんと、あんたは俺たちのヒーローだよ!」

確かにクールキャットは普通のヒーローとは違うかもしれない。だが時に、相手の死をもってしか平穏を得ることができない人々もいる。特にここ、ウクライナはその歴史的な経緯を見てもそうだ。

ヒーローの庇護のもとようやく自治を獲得した一部の市民にとって、紛れもなくクールキャットはヒーローなのである。

とはいえ国連はその組織の性格上、人を殺すヒーローにライセンスを与えるわけにはいかない。それ故クールキャットを始めとした、アンチヒーローやそれに類するようなヒーローは世界戦隊連盟が受け皿となっている。

これは国連と世界戦隊連盟との間での、暗黙の分業体制となっている。
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/08(月) 22:08:39.54 ID:OxwEkYCdo
「ああ、それにサーシャ婆さんが礼を言ってたぞ。猫を見つけてくれてありがとうってな!」

「仕事だから」

そんな冷たいカチューシャの対応とは真逆で、市民はクールキャットに笑顔で礼を言いながらその場を去った。

「···」

そしてそんな光景──市民に感謝されるヒーローの姿は赤崎がよく見慣れ、憧れてきたものだった。

「ところで、どこに向かってるんだ?」

「私の家」

「はい?」

「だってあなた、今日の宿はないでしょ。うちに泊まるといい」

「えーと···」

ヒーローで熱血な性格とはいえ、赤崎も思春期の男子。喜ぶべきか、嘆くべきか、微妙な心情だった。

だがクールキャットの言うとおりでもある。もちろん国連の支部に連絡すれば手配してくれるかもしれないが、確実ではない。何より、今日はそこまでするほどの体力ももうない。

「じゃあ、お言葉に甘えて。···どうして良くしてくれるんだ?」

「私はあなたに命を救われた。だけど借りは作らないし、仮に作ってもすぐ返す主義なの。だからあなたのヴィラン探しを手伝ってあげる。それで借りはなし」

その言葉を聞いて赤崎は考え込む。

(慣れない土地だし、彼女の力が借りられるのはありがたい。それに、これもある種の絆の始まりかもな。でも──)

「わかった、頼む。ただ、2つ」

「何?」

カチューシャは立ち止まると、振り返って赤崎を見る。

「1つ、できれば殺しは無し。少なくとも俺は誰も殺さない。それでも手伝ってくれるか?」

「ええ」

「よし。じゃあ、2つ。貸し借りは今の時点で無し。俺たちは今から、バディだ!」

カチューシャは首を傾げる。

「どういうこと?」

「だから、その、なんて言えばいいんだ···。とにかく俺たちは互いに背中を預け合う対等な立場、二人で困難を乗り換える、それがバディだ」

1つ目はともかく、正直カチューシャに2つ目の内容はあまりピンとこなかった。何故なら、背中を預けられるものなど居ないというのが、幼少の頃から学んだ別の教訓だからだ。

とはいえここで言い合っても生産性はない。向こうがどう思おうが、自分は彼のヴィラン探しを手伝って借りを返す。それだけだった。

「わかったわ」

それを聞くと赤崎は手を差し出した。

「···はあ」

その手をカチューシャが握ると、赤崎は満面の笑みでこう告げた。

「バディ結成だ!」

第1話、終
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/08(月) 22:10:11.48 ID:OxwEkYCdo
早いですが区切りがいいので今日はここまで。

第2話のキーワードを募集しておきます。
↓3まで募集
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/08(月) 22:13:20.60 ID:2q0M7lWlo
爆撃
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/08(月) 22:14:13.36 ID:S3HJvnhv0
野心
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/08(月) 22:14:58.65 ID:6CbtL5rDO
再会
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/08(月) 22:15:50.58 ID:UBp5jtWKo
結ばれる絆
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/09(火) 00:43:34.78 ID:8JIaHbQuo
おつ
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/09(火) 20:58:18.49 ID:ctbfpsCxo
今日は本編は進めませんが、少しキャラを募集します。
まずはウクライナのトップヒーローを決めます。

※トップヒーロー=ヒーローを主体とした自治組織(ヒーロー·コミューン)において強い影響力を持っているヒーロのこと

↓3までで反転させた上で最もコンマの値が高いものを採用します。

テンプレに少し改良を加えました。
本名:
ヒーローネーム:
ヒーローライセンス:(国連、世界戦隊連盟、無資格のいずれか)
性別:
年齢:
出身:
主な活動地域:(今回はウクライナのみ)
能力:
見た目や性格等の特徴:
来歴:(これはなくてもいいです)
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/08/09(火) 21:06:07.58 ID:aZujtKZi0
本名:アレクサンドラ
ヒーローネーム:コールドキャット
ヒーローライセンス:世界戦隊連盟
性別:女
年齢:12
出身:ロシア
主な活動地域:ウクライナ
能力:氷像動物を作って操作する
見た目や性格等の特徴:青白い髪 カチューシャよりは人間味がある程度
来歴:カチューシャの歳の離れた妹、ややシスコン
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/09(火) 21:08:51.32 ID:89eDpknI0
本名:イグナート・グランキン
ヒーローネーム:シルバーナイト
ヒーローライセンス:世界戦隊連盟
性別:男
年齢:35
出身:ロシア
主な活動地域:ウクライナ
能力:銀を生成し、それを操れる。弾丸として射出も可能
見た目や性格等の特徴:鎧に似た銀のスーツを纏っている。正義感は強いが冷酷で決断的。やらねばならぬことを躊躇わず実行に移す事ができる
来歴:幼い頃はヴィラン組織で銀の生成マシーンとして利用され資金源となっていたが、独自に能力を研鑽しヴィラン全員を皆殺しにして脱走した
世界経済を崩壊させられる危険能力の持ち主として危険視されており、彼を狙う国や組織は多い。シルバーマンは己が自由に正義を実行するために力と地位を望み、世界戦隊連盟のトップヒーローに上り詰めた
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/09(火) 21:28:55.18 ID:hMQumd+Ko
本名:エカチェリーナ・ロマノフ
ヒーローネーム:絶対皇女
ヒーローライセンス:国連
性別:女
年齢:25
出身:ロシア
主な活動地域:ウクライナ
能力:絶対零度、あらゆる生命は生存をストップする。
見た目や性格等の特徴:白髪赤目美人。真顔クールキャラだが存外ノリは良い。
来歴:ロシア地域における最強のヒーロー。小さい頃からヒーロー然として生活しまた戦ってきた。そのため市民の命を第一にするヒーローの鑑。
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/09(火) 22:05:32.05 ID:ctbfpsCxo
>>114を採用します。あとの二人もおそらく登場させます。

では次は赤崎が追っているヴィランを募集します。

↓3までで反転させた上で最もコンマの値が高いものを採用します。
本名:(不明でも可)
ヴィランネーム:
性別:
年齢:
出身:
能力:(今回は氷関係に限定します)
見た目や性格等の特徴:
来歴:(これはなくてもいいです)
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/09(火) 22:06:32.35 ID:ctbfpsCxo
ごめんなさい間違えました。採用は>>113です。

ヴィランの案を↓3までどうぞ。
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/09(火) 23:04:27.87 ID:hMQumd+Ko
名前:シルバーベルヒ
ヴィランネーム:アイスエイジ
性別:男
年齢:28
出身:アイスランド
主な活動地域:世界
能力:氷
見た目や性格等の特徴:マフィアが来てるような豪華な毛皮のコートを着た長身男。ノリの良い芸術家肌で他人とのコミュニケーションはフレンドリー。
来歴:国際暗躍精鋭組織に所属している。本来群れないヴィランが珍しく連合を組んだ少数による世界組織。世界中で暗躍しており、彼もまたリーダーからの命令に忠実に行動している。
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/09(火) 23:21:40.28 ID:sPCaafylO
本名:不明
ヴィランネーム:ダイヤモンドダスト
性別:女
年齢:13
出身:北極圏
能力:絶対零度の領域を作り出す。この能力の関係上、他者の氷属性攻撃に対して強い耐性を持つ
見た目や性格等の特徴:白銀のさらさらロングヘアに、仄暗いアイスブルーの瞳を持つ少女。顔つきや体型は年齢よりもやや幼い
性格は悪い意味で天真爛漫。周囲への被害などは一切考えず、自らの思うままに活動する。自分からは平気で他者に暴力を振るうが、暴力を振るわれるのは苦手
来歴:国連や世界戦隊連盟の影響が及ばない地域で生まれる
その異常な能力から忌み嫌われ虐待を受けていたところ、とあるヴィラン組織に救われてそのままそのグループに加わった。彼女の故郷が局所的な絶対零度の吹雪で滅んだのも丁度その日である
彼女は自分を救ってくれたヴィラン組織やその指導者に心酔している
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/10(水) 03:35:06.32 ID:qhdqkT/uO
本名:涼宮 蒼冬(すずみや あおと)
ヴィランネーム:白銀
性別:男
年齢:23
出身:日本
能力:凍結
見た目や性格等の特徴:黒髪の短髪で長身。目の下にキズがあり、強面な印象。
気が短くちょっとしたことで怒り周りをよく凍らせる。
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/11(木) 20:03:23.53 ID:t4FGOPF8o
>>119を採用します。

ではコンマ判定を一つ行って今日は本編に入ります。

↓1
偶数:巽 詩音
奇数:不破 恭士郎
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/11(木) 20:05:04.12 ID:wMc8td8jo
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/11(木) 20:59:38.32 ID:t4FGOPF8o
「それで、どこに向かってるんだ?」

先を行くカチューシャに赤崎が問いかける。

「ここのヒーロー・コミューンよ。そこであなたの追っているヴィランの手がかりが得られるかも」

前を歩きながら、振り返ることもなくカチューシャが逆に赤崎に問う。

「それで、ヴィランについてもう少し詳しい情報は?」

「ああ、本名はわからない。国連のリストではダイヤモンドダストと呼ばれていて、前にも言ったが氷を操る力を持ってる」

「聞いたことない」

「そうか···。年はたぶん10かそこらだと思う」

ふと赤崎の脳裏に日本で見た彼女の姿が浮かんだ。

白昼堂々、人で賑わうショッピング街を襲ったのだ。結局、何がしたかったのかもわからず、挙げ句の上に取り逃がした。

だがそれよりも赤崎が気にかかっていたのは、あんなに幼い少女が強い暴力性を持っていた点だ。

いったいどんな経験を経れば、あのような偏執的な加虐性が備わるのだろう。よほど酷い目にあったに違いない。そう思うと否が応でも拳に力が入る。

「着いた」

そんな赤崎の思考はカチューシャの声によって遮られた。

「ここが···」

赤崎が顔を上げた先には、鮮やかな緑色をした丸みを帯びた屋根に、金色の尖塔が特徴的な建物があった。かつては教会として使われていたのだろうか、歴史を感じさせる佇まいだ。

「行くよ」

カチューシャに促されて中に入ると、大きな空間が広がっていて、大勢に人でごった返していた。

雑談をしに来た老人たち、ヒーローについての展覧を見に来た子どもたち、コミューンの一員として忙しなく働く人々。

そんな人混みの中をすいすいと抜けていくカチューシャに、なんとか置いていかれまいと赤崎は必死についていく。
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/11(木) 21:06:53.98 ID:t4FGOPF8o
すいません、タイトル忘れてたのでもっかい最初から投下します。

第2話 「銀と猫と皇女」

ここのヒーローと言えば?そうだな、まずはシルバーナイトだな。確かにチョイと過激かもしれんが、今の時代はああいうヒーローが必要なのさ。おっと、それに絶対皇女も忘れちゃいけねえ。彼女がいる限り悪がのさばることはないさ。それに、何より我らがコールドキャットだ!あんなに幼いヒーローが俺達のために頑張ってんだ、そりゃコッチも頑張ろうって気になるさ!

──ある市民へのインタビューより抜粋
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/11(木) 21:07:24.31 ID:t4FGOPF8o
「それで、どこに向かってるんだ?」

先を行くカチューシャに赤崎が問いかける。

「ここのヒーロー・コミューンよ。そこであなたの追っているヴィランの手がかりが得られるかも」

前を歩きながら、振り返ることもなくカチューシャが逆に赤崎に問う。

「それで、もう少し詳しい情報は?」

「ああ、本名はわからない。国連のリストではダイヤモンドダストと呼ばれていて、前にも言ったが氷を操る力を持ってる」

「聞いたことない」

「そうか···。年はたぶん10かそこらだと思う」

ふと赤崎の脳裏に日本で見た彼女の姿が浮かんだ。

白昼堂々、人で賑わうショッピング街を襲ったのだ。結局、何がしたかったのかもわからず、挙げ句の上に取り逃がした。

だがそれよりも赤崎が気にかかっていたのは、あんなに幼い少女が強い暴力性を持っていた点だ。

いったいどんな経験を経れば、あのような偏執的な加虐性が備わるのだろう。よほど酷い目にあったに違いない。そう思うと否が応でも拳に力が入る。

「着いた」

そんな赤崎の思考はカチューシャの声によって遮られた。

「ここが···」

赤崎が顔を上げた先には、鮮やかな緑色をした丸みを帯びた屋根に、金色の尖塔が特徴的な建物があった。かつては教会として使われていたのだろうか、歴史を感じさせる佇まいだ。

「行くよ」

カチューシャに促されて中に入ると、大きな空間が広がっていて、大勢に人でごった返していた。

雑談をしに来た老人たち、ヒーローについての展覧を見に来た子どもたち、コミューンの一員として忙しなく働く人々。

そんな人混みの中をすいすいと抜けていくカチューシャに、なんとか置いていかれまいと赤崎は必死についていく。
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/11(木) 21:17:33.17 ID:t4FGOPF8o
階段を登り2階に移動する。やがてある部屋の前に到着した。

「あら、クールキャットさん。今は会議中なのですが──」

全て言い終える前に部屋の中に入っていった彼女を見て、受付係が呟く。

「いつもどおりですね···」

そんな光景を尻目に部屋の中に入ると、そこでは3人のヒーローが議論を重ねていた。

「だから何度言えば分かるんだ?政府の連中は今にもここを掌握しようと、常に睨みを効かせている。隙を見せれば、この地の人々は終わりだ」

一人はシルバーナイト。年の割に深く刻まれた皺が、数々の苦労を経験してきたことを思わせる。

「へえ、あなたって頭まで銀でできているなんて驚きね。わからない?政府側は決して敵というわけではないわ。彼らだって私達が守るべき命よ」

もう一人は絶対皇女。比較的ロシア地域のヒーロー事情に疎い赤崎でさえその名を聞いたことがある。

「コホン...現状維持、でいいのではございませんか?」

そして最後はコールドキャット。その体に不釣り合いな大きな椅子に腰掛けている姿からは、どこか愛玩動物のような可愛らしさが醸し出されている。しかしそれとは対象的に目つきは鋭い。

「…よろしい、今はな。だが、いずれこの問題にも本腰を入れて取り組まざるを得ない。動くのならば迅速に、だ。では私は失礼する」

そうして出口の方へと向かおうとしたシルバーナイトはカチューシャの横に立つと、彼女の肩に手を置いた。

「先の戦いでの活躍は聞いている。流石は私が見込んだヒーローだ。いつもの通り、活動の‘‘支援金’’は振り込んでおいた。今後も頼むぞ」

そう告げると、彼は部屋から出ていった。

「あら、誰かと思えばニャンニャン姉妹の上の方。…相変わらず、血の匂いが落ちないわね」

「シャワーは浴びた」

二人の間に沈黙が流れる。絶対皇女のクールキャットを見る目には、人殺しに対する侮蔑と同時に、どこか捨てられた子猫を見るかのような同情の意もこもっていた。

「ところで、そこの少年は?」

「俺は赤崎灯。ヒーローネームはレッドマーゾだ」

すると絶対皇女は赤崎と同じ目線まで屈むようにして顔を持ってくると、その真っ赤な瞳で彼を見る。彼女の瞳はまるで万華鏡の様に多様な色味の赤が入り混じっている。

「あなたのこと、知ってるわ。野暮用で日本に行ったときに見たのよ」

「えっ?」

「こういうやつでしょ、へんしーん!」

すると彼女は、赤崎がヒーローの姿に変身する際の身振りをしてみせる。

「あー…」

絶対皇女のような名を馳せるヒーローに知られているなんて普段であれば喜ぶところだ。だが部屋に入ったときから彼女は変わらず真顔のままなので、赤崎は反応に困っていた。

「あら、意外とノリが悪いのね。まあいいわ。それじゃ、私もこれで」

そう言い残すと絶対皇女は颯爽とその場を後にした。
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/11(木) 21:20:42.55 ID:t4FGOPF8o
(なんかテレビで見るのと違った印象だな。さっきもニャンニャン姉妹とか言ってたし。…ん、姉妹?)

そんな赤崎の疑問は次の言葉で打ち消された。

「会えて嬉しいです、お姉さま」

「元気みたいね、サーシャ」

そう言って椅子から降りると、コールドキャットはカチューシャの目の前まで移動して、スカートの裾をつまみながらお辞儀した。

「その男は…まさか…」

赤崎は明らかに年下の少女にその男呼ばわりされた事に引っかかったが、先にカチューシャが口を開いた。

「彼はバディの赤崎。ダイヤモンドダストという名のヴィランを追っている」

「バディ…ですか。それは…」

赤崎は何故か一瞬、コールドキャットに睨まれた気がした。だがふと目を擦ると、彼女の目はカチューシャに向いていた。

「そういう事でしたら、シルバーナイトに聞いてください」

「わかった」

「キミはトップヒーローなんだろ?このあたりのことなら何でも知ってるんじゃ?」

赤崎の問いに、コールドキャットは彼の顔を見上げながら答える。

「日本がどうかは知りませんが、わたくしは名目上のトップヒーローですわ。人々からの人気が高いから据えられただけで、いわば客寄せのマスコットです」

とはいえ、彼女も強い力を持ったヒーローではあるのだが。

「ここのヒーロー・コミューンを実質的に差配しているのは先ほどのシルバーナイトと絶対皇女のお二人です。そしてシルバーナイトさんは…色々と政治的にも精通している方ですから」

「だから、普通の人が知らないことも知っている、と。なるほどな」

「ええ。ああ、それとお姉さま。師匠とはいえ、シルバーナイトさんにはその…少し気をつけてください」

「どうして?」

「あの方の秘密主義的な傾向は以前からありましたが、近頃はそれが輪をかけて酷くなっています。どんな野心があるにせよ、信条からして少なくともここの人達に害は及ばないでしょうが…」

「わかった」

すると用事を終えたカチューシャを引き止めるように、コールドキャットが袖をつかむ。

「たまにはゆっくりしてはいかが?その、おたがい忙しくしていて、あまり話せていませんし…」

「…考えておく」
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/11(木) 21:37:10.70 ID:t4FGOPF8o
そうして部屋を出ると、赤崎はカチューシャに話しかける。

「彼女、コールドキャットは妹だったのか」

「ええ」

自分の妹が組織のトップに立つというのはどのような感じがするのだろうか?そんなことを思いながら、赤崎はカチューシャとともにシルバーナイトの執務室に入った。

電話の最中だったようで、部屋に入るとシルバーナイトが少し待つように手で合図してきた。

「わかった。よし、進めろ。じゃあ切るぞ」

電話を終えると、シルバーナイトは椅子から立ち上がりロシアンティーを淹れ始めた。

「それで、なんの用かな?」

「こっちのレッドマーゾがダイヤモンドダストと言う名のヴィランを探してる。手がかりはない?」

3人分のロシアンティーを淹れ終わったシルバーナイトは、席に座って香りを味わいながら喉を潤した。

「ない、こともない。だが、少し頼みたいことがある」

「頼み?」

てっきりあっさり情報を教えてくれると思っていた赤崎が疑問を口に出す。

「ああ。ヒーローとは言え、全てが対価なしに手に入るわけではない。もしそうなら、それは盗人だ、だろ?」

「…確かに」

実際、悲しいことにヒーローだからという理由で増長し、謙虚さを失うヒーローも何人かいる。そういったヒーローは得てしてヴィランへと転身することがほとんどだが。

「それで何をすればいいの?」

カチューシャの問いにシルバーナイトが口を開く。

「そうだな──」

シルバーナイトの頼みとは?
↓3までで反転した上でコンマの値が最も高いものを採用
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/11(木) 21:48:25.63 ID:wMc8td8jo
我が国が取り逃がしたヴィランが日本に潜伏しているという情報が入ったので協力を要請
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/11(木) 21:52:59.03 ID:xvMeIVgj0
力と地位を利用して小規模な不正を行っているヒーローがいる。それを退治してほしい。シルバーナイトが粛清してもいいが、自分一人で何でもやり過ぎると反感を買うため
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/11(木) 21:57:34.64 ID:B4FuwWxD0
>>129
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/11(木) 23:02:48.69 ID:t4FGOPF8o
取り逃がしたヴィランとは?

↓1コンマ
偶数:アイスエイジ
奇数:白銀
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/11(木) 23:05:53.22 ID:cBQmzePno
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/12(金) 00:03:33.96 ID:S7NUc0I2o
「実は我が国で活動していたヴィランが日本に高飛びしてな。アイスエイジと言う厄介者だ。彼を捕まえてほしい」

「ってことはつまり、はるばるウクライナまでやって来たのに今度は日本にとんぼ返りしろって事か?」

「まあ、そうなるな。本当は他の者に頼もうかと思っていたが丁度、日本人の君が来たのでね」

「私は構わない」

そう答えたカチューシャが赤崎を見る。

「…やろう、情報を得るためだ。それに、ヴィランを止めるのはヒーローの役目だしな!」

「よし、奴についての簡単な情報はこれだ」

そう言って差し出された資料をカチューシャは手に取った。

「ではよろしく頼むよ」

差し出された手を赤崎は強く握る。

二人が部屋から出ようと席を立ったとき、シルバーナイトが口を開いた。

「クールキャット、また以前のように私の下でサイドキックになるつもりはないか?」

「考えておく」

振り返ることもなく、部屋を出ながら彼女はそう言った。

「失礼します」

一礼すると赤崎も部屋を出て、扉を閉める。

相も変わらず先を急ぐカチューシャを追いかけながら、赤崎は後ろ手に渡された資料に目を通す。

「コイツのことは知ってるのか?」

「ええ。何ヶ月か前にここにやってきたヴィラン。飄々としてるけど油断ならない男」

「そうか…。まあ、まずは日本に行かないとな。向こうについたら俺に任せてくれ。一人、力になってくれそうな知り合いがいる」
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/12(金) 00:12:18.32 ID:S7NUc0I2o
そうして二人は日本の、東京まで赴いたのだった。

「ここのヒーロー・コミューンに行くべきだと思う」

赤崎に連れて来られたとあるビルの屋上で、忙しなく行き交う車の流れを見ながらカチューシャが意見を口にした。

「まあそう言うなって。ヒーロー・コミューンに入ってくる情報にはヴィランに関わるものが多いだろ」

赤崎の言葉を聞いて、カチューシャは訳がわからないという表情をしながら腕を組む。

「だからコミューンに行くべき」

「確かにな。だけどヴィランに繋がる情報ってのは意外なところからやってくるもんなんだ。少なくとも俺の経験上はな」

そう言った赤崎の目は確信に満ちていた。少なくともカチューシャが度々遭遇した、人を騙す目つきとは違っている。

「いつも通りならもうそろそろのはずなんだけど…ああ、居た!」

赤崎が視線を向けた方に顔をやる。だがカチューシャの目にはオレンジ色に染まる夕焼けが見えるだけだ。だが、よく目を凝らしてみるとその中に一つ、黒い点がある。

その点はどうやらこっち向かってきているようだ。次第に点が大きくなり、やがてそれが赤い翼を生やした人だとわかる。

「おーい、詩音!俺だー!」

いきなり大声を出した赤崎に驚いたのか、詩音と呼ばれた女子は両手で抱えていた買い物袋を落としてしまった。怪我人は居なかったようだが、下ではちょっとした騒ぎになっており、スマホで上空を撮影してる者もいる。

詩音はあたふたと地上の様子を窺っていたが、改めてこちらを見ると猛スピードで接近し、赤崎の隣に降り立った。

「な、何回言えば分かるの、赤崎くん!急に声出さないでって言ったじゃぁん…!これじゃ、また爆撃ガールなんて呼ばれちゃうよ…」

「ハハハ、悪い悪い!後で俺が皆に謝っておくよ」

すると詩音が人差し指をモジモジさせながらカチューシャの方をチラチラと見る。

「え、えーと、そのお綺麗な外国人の方は…?」

「彼女は…クールキャット、ウクライナのヒーローだ」

そう言えば本名を聞いていなかったな。そんなことを考えながら赤崎は話を続ける。

「実は今、アイスエイジって名前のヴィランを追ってるんだ」

それを聞いて詩音が首を傾げる。

「あれ?確かダイヤモンドダストを追ってたんじゃ?」

「あー…話せば長くなる。とにかく、最近変な噂を聞かないか?妙な外国人が居たとかさ。‘‘空飛ぶヒーローの会’’に入ってる詩音なら、何か聞いてないかと思ってさ」

「うーん…」

詩音が両手の人差し指をこめかみに当てながら考え込む。無意識だろうか、翼がバサバサと羽ばたいている。

「これか分かんないけど、最近会ったヤンキーさんが、いつもの溜まり場を怖い大人たちに奪われたって言ってたな〜。そこに外国人の人も居たとか」

「時期は?見た目は何か言ってたか?」

「2、3週間前かな。見た目は…ノッポで暑い中毛皮のコートを着てたって」

「ピッタリだな!場所は?」

ガッツポーズをしながら赤崎が喜ぶ。

「河川敷近くの廃工場だって言ってたよ」

「わかった。じゃあ、そこに向かうってことで良いか?」

赤崎の問いにカチューシャは無言で頷いた。

「本当に助かったよ、詩音!困った事があったら何時でも俺を頼れな!それが絆だ!」

詩音が二人を引き止める間もなく、そう言いながら赤崎とカチューシャはその場を去っていった。

「あはは…相変わらずだなぁ。嬉しいような、悲しいような…」

残されたのは詩音の乾いた笑い声だけだった。
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/12(金) 00:12:46.42 ID:S7NUc0I2o
今日はここまで。

せっかくなんで詩音のヒーローネーム募集しときます。
↓1
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/12(金) 00:21:13.55 ID:PeW1SlZDO

スカイウイング
138 :以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします [sage]:2022/08/13(土) 03:25:25.90 ID:uIQIfXwr0
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
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139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/14(日) 19:47:09.46 ID:HUEZ1tnzo
すっかり日が沈み、あたりは闇に包まれていた。聞こえてくるのは川の流れる音とカエルの鳴き声だけだ。

「詩音が言ってたのはあそこだな」

二人は近くの物陰に身を潜めながら廃工場の様子を窺う。

辺りに人の気配はない。だが中に誰かがいるのは確かなようで、搬入口のシャッターの隙間からぼんやりと光が漏れている。

「さて、どうする?」

「…2手に別れて奇襲」

「孤立するのは危険じゃないか?詩音の話しぶりからして相手は何人かいるみたいだし」

「なら忍び込んで、敵の戦力を把握する」

「それか、二人で一気に突入するかだな。どうする?」

↓1
1:2手に別れる
2:忍び込む
3:正面から突入する
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/14(日) 19:50:12.21 ID:oveW82rYo
2
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/14(日) 20:16:14.57 ID:HUEZ1tnzo
「潜入する」

「わかった」

そうして物陰から出ようとした時、カチューシャはふと気づいた。

「変身は?」

すると赤崎は気まずそうに頭を掻きながら、それなんだが、と口を開く。

「実は変身する時、かなり光ってしまうんだ。それに変身を終えたあとも炎のオーラのせいで、周りを照らしてしまう」

なるほど、とカチューシャは呟く。

赤崎は光を放つことをマイナスに見ているようだが、歩く光源になりそうで便利だ、という感想がカチューシャの頭に浮かんだ。

「だから戦いの直前に変身するよ」

「分かった。なら行こう」

そうして猫のように身軽な動きで廃工場に向かっていくカチューシャを、赤崎は音を立てないように追い掛けた。

二人は割れた窓から工場の中に入ると、放置されたドラム缶の裏に身を隠した。

「積み荷の中身は何か知ってるか?」

黒いスーツを身に纏い、日本刀を持ったイカツイ男が隣の見張りに尋ねる。

「知るかよ」

そう答えた男は拳銃に不備がないか確認する。

「でも気にならないか?」

すると拳銃を持った男は大きなため息をついた。

「あのなぁ、気になる気にならないの問題じゃねえんだよ。信用の問題だ。勝手に中身でも見てみろ、オヤジの評判が地に落ちちまうぞ」

「…それは困る」

「だろ?わかったらその空っぽな頭で見張りの仕事を全うするんだな」

へいへい、と日本刀の男は答えて口を閉じた

「あれは?」

カチューシャが後ろにいる赤崎に振り返ることなく尋ねた。

「あれはヤクザだな。いわゆる…マフィアみたいなものだ。詳しくは分からないがアイツラはただの雇われみたいだな」

「なら、先を急ぐ」

赤崎は頷くと、カチューシャの後を追った。

↓1コンマ
40以上:警備に見つからなかった
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/14(日) 20:18:15.93 ID:tMzh6GUpO
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/14(日) 20:48:10.23 ID:HUEZ1tnzo
先程の小部屋からしばらく進むと、組み立てラインだったと思われる広い大部屋に出た。

部屋の中央には山積みになった黒いケースが散乱している。

当然のことながらその周囲にはドスや銃器を手にしたヤクザが周囲に目を光らせていた。

「あれがさっき言ってた積み荷か?」

「みたい。けどアイスエイジは居ない。もう少し探そう」

「分かった」

二人は足元に注意しながらボロボロのキャトウォークによじ登り、先を進む。

廃工場に電気が通っていないことが幸いして、天井付近はかなりの暗さだったので見張りに気づかれることなく進むことができた。

広場を通過し、キャットウォークから降りたあと、しばらく進んでいると、奥の小部屋から話し声が聞こえてきた。

「ああ。ちゃんと仕事は果たしたぜ?」

カチューシャはその声に聞き覚えがあった。どこか人懐っこさを感じさせるような、一方で小馬鹿にしているような、そんな両面性を備えた軽妙洒脱な声。

「アイスエイジ」

カチューシャは声を落としながら小部屋を指差す。

「本当か?」

そう問われたカチューシャは改めて耳を澄ます。

「大丈夫だよ、ヤツらに俺の素性はバレてない。ぜ〜んぶ、アンタの計画通りさ」

ここまで聞いてカチューシャはより一層確信を深めた。

「間違いない」

「…分かった。タイミングは任せる」

カチューシャは頷くと、ドアノブに手をかけた。

↓1コンマ
55以上で奇襲成功
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/14(日) 20:49:13.52 ID:J3kc37Hc0
a
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/14(日) 20:50:07.09 ID:oveW82rYo
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/14(日) 21:26:28.44 ID:HUEZ1tnzo
ドアノブに手をかけると、カチューシャは躊躇いなくドアを開けた。それと同時に背後から光が漏れてきた。おそらく赤崎が変身したのだろう。

ドアを開けると机に腰掛けながら電話をしている男が目に入った。

赤地に白の毛皮がよく映えるコートに、黒のシルクハット。間違いない、アイスエイジだ。

「へえ」

そう呟くアイスエイジに、カチューシャは躊躇いなく彼の脚を狙って氷の弾丸を飛ばした。が、しかし、アイスエイジはそれを防ぐように氷の壁を現出させた。

「ウオオオォォ!」

気合のこもった掛け声と同時に、カチューシャの横をすり抜けるように赤崎が飛び出した。その勢いのまま赤崎は炎が宿った拳で氷の壁を砕く。

「ブラボー、ブラボー!いいパンチだ!」

壁が崩れて露わになったアイスエイジは大きな拍手で赤崎を褒めた。

「こんな夜遅くに誰かと思えば、子猫に…コスプレ野郎と来た!おかしいな、今夜のパーティーにそんな客は招待してないがねぇ?」

「諦めろ、アイスエイジ!おとなしく投降するんだ!」

その言葉を聞いてアイスエイジは腹を抱えて笑い始めた。

「ハハハハ!おいおい、言ってやれよ、クールキャット。諦めるのはお前たちの方だってな」

アイスエイジの言葉に答えることなく、カチューシャは次の一手を繰り広げる。

↓1
81~ ダメージを与えた(次の判定緩和)
41~80 ダメージを与えた
21~40 膠着
11~20 ダメージを受けた
01~10 ダメージを受けた(次の判定悪化)
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/14(日) 21:27:15.94 ID:zTfslKp4o
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/14(日) 22:03:08.13 ID:HUEZ1tnzo
今度はアイスエイジの手を狙って弾丸を放つ。しかし氷のキューブが現れ、弾を防いだ。

(弾の雨を降らせれば早い…けど、それだとアイスエイジは死ぬ)

そんな事を考えるカチューシャをよそに、赤崎はアイスエイジに真正面から突っこむ。

「いいねぇ、ガッツのある少年は嫌いじゃない!」

アイスエイジは氷のナイフを2本創り出すと、それを両手で構えた。

赤崎のストレートを横に躱すと、アイスエイジは肩の腱を狙ってナイフを振り上げる。

すかさずカチューシャは氷の弾丸でナイフを弾いた。だがアイスエイジはそれを気にすることなく、ナイフを振り下ろすような動作をする。するとその動きに合わせて、アイスエイジの右手に再び氷のナイフが現れる。

「くっ!!」

赤崎は身体を引き締めるように力を入れる。すると彼の纏っていたオーラが更なる輝きを放つ。すると、赤崎の肩に切っ先が触れるか否かというところでナイフが溶けた。

(…俺の氷を溶かすとは。ポテンシャルは悪くない。だが…)

するとアイスエイジは素早く赤崎の首を片手で締める。

その様子を丁度アイスエイジの側面に当たる位置から見ていたカチューシャは再び弾丸を放つ。

当然それを予期していたかの様に、氷の壁がせり上がる。カチューシャはその壁の横を通り抜けるようにしてアイスエイジの背後に回る。

するとアイスエイジは右手で赤崎の首を絞めたまま、これまたカチューシャが来ることを予期していたかのように左手でナイフを振るってきた。

カチューシャはそれをかがんで避けると、しゃがんだ状態からアイスエイジの顎をめがけて回し蹴りをお見舞する。

「ガハッ!?」

蹴られた勢いで、アイスエイジは自分の作った氷の壁を粉々にしながら吹っ飛んだ。

「ゲホッ、助かった!」

喉をさすりながら赤崎が感謝を述べる。

「まだ終わってない」

↓1
81~ ダメージを与えた(次の判定緩和)
36~80 ダメージを与えた
21~35 膠着
11~20 ダメージを受けた
01~10 ダメージを受けた(次の判定悪化
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/14(日) 22:07:27.39 ID:pZKSw9aG0
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/14(日) 22:07:27.42 ID:2JZNfRGmo
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/14(日) 22:25:48.25 ID:HUEZ1tnzo
カチューシャの言葉通り、アイスエイジは立ち上がるとこちらに向かって駆けてきた。

靴のつま先に氷のナイフを創り出すと、赤崎めがけて飛び蹴りをする。赤崎はそれを躱し、カチューシャは弾を撃とうとしたが、アイスエイジは飛び蹴りと同時にナイフを投げてきた。

アイスエイジは受け身を取りながらこちらを向くと、次々と氷のナイフを投げてくる。

すると赤崎がナイフめがけて拳を振り抜く。すると熱波が飛び出し、ナイフはあっという間に溶けた。

赤崎は水蒸気でできた煙の中から飛び出すと、アイスエイジの顔面に再びストレートを繰り出す。

(芸がないなぁ〜)

そんな事を思いながら軽く躱そうとしたアイスエイジだったが、丁度避けようと思っていたとこを狙うようにして氷の弾が放たれた。

(クソッ!)

そのまま避ければ弾が頭を貫通して間違いなく死ぬ。それ故、アイスエイジは赤崎の全力を真正面から受けるよりほかはなかった。

再び吹っ飛んだアイスエイジがつばを吐きながら立ち上がると同時に、赤崎の背後にあった入り口からヤクザ達が部屋に入ってきた。

「ようやく来たか、お前ら。給料分の働きはしろよ」

「おうっ!」

↓1
46~80 倒した
21~45 膠着
11~20 ダメージを受けた
01~10 ダメージを受けた(次の判定悪化
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/14(日) 22:27:57.48 ID:zTfslKp4o
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/14(日) 23:12:55.97 ID:HUEZ1tnzo
赤崎がヤクザ達に向かっていくのを尻目に、カチューシャはアイスエイジと相対する。

「全く、やんちゃな猫は俺の手に余るぜ」

チッ、チッ、チッ、と音を立てながらアイスエイジは人差し指を立てる。

カチューシャは弾を放とうとしたが、それよりも早くアイスエイジが動いた。

再び靴先にナイフを創り出すと、足技による連撃を見舞ってくる。厄介な事に、それだけでなく手に握ったナイフをも振りかざしてくる。しかも度々ナイフの刃渡りを変えてくるので油断ならない。

対するカチューシャも足技を主体として何とかアイスエイジの攻撃を防ぐ。

「おお、子猫ちゃん!少しは腕を、いや爪を磨いたか?」

アイスエイジはそんな軽口を交えながら、笑みの混じった余裕そうな表情のまま攻撃を繰り出す。

喉仏を目掛けて繰り出された蹴りを、カチューシャは左腕と左膝で挟むように受け止める。

「おお!」

驚くアイスエイジをよそに、右手でナイフを折ろうとする。しかし、アイスエイジは掴まれた体勢を利用してカチューシャを投げ飛ばそうとする。

しかしカチューシャもそれに反応し、投げられた勢いを利用して1回転をしながら着地する。アイスエイジが立ち上がる前に弾を放とうとするが、牽制の投げナイフが飛んでくる。

すっかり体勢を整えたアイスエイジがナイフを構える。対するカチューシャはアイスエイジに向かって走りながら弾を2発放った。1発は頭、もう1発は胸だ。

「っと!」

案の定アイスエイジは氷のキューブで弾を防ぐ。

だがそんな事はカチューシャも織り込み済みだった。2つの氷のキューブを踏み台のようにして飛び上がると、肩車のように彼の肩に乗りかかり脚でアイスエイジの首を絞める。

そのままアイスエイジを地面めがけて投げ飛ばすと、ようやく彼は気を失った。

「…ふう」

ふと赤崎の方を振り返ると、向こうも既に終わったようで、ヤクザ達が地面で伸びていた。

「やったな、クールキャット!」

赤崎がハイタッチしようとするが、カチューシャはそれを無視してアイスエイジを引きずって部屋から出る。

「あ、待てよ!…ま、後始末は警察に任せるか」

赤崎はヤクザ達が気がかりだったが、取り敢えずクールキャットを追うことにした。
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/14(日) 23:13:42.74 ID:HUEZ1tnzo
2人は大部屋の屋外に面したシャッターから外に出たが、そこに待っていたのは複数台の車だった。

「…もう警察を呼んだの」

「いや…」

事もあろうに、車から出てきたのはヤクザ達だった。

2人はすぐに戦闘態勢に入る。

「さて、そこまでだ!大人しく俺達のクライアントを返してもらおうか!」

黒いサングラスをかけたスキンヘッドの男が脅しをかけるように叫ぶ。

「あと3秒で解放しないと、蜂の巣にするぞ」

それを聞いた赤崎に冷や汗が流れる。

「さーん!」

「クールキャット、ここは一旦中に!」

赤崎の問いにカチューシャは答えない。

「にーい!」

(いつも通り…殺せばいいだけ…)

「いーち!」

カチューシャが氷の弾丸を展開する。

「撃てぇっ!」

その言葉と同時に、ヤクザ達の頭上に何かが降り注ぐ。どうやら赤いボールのようなもので、ヤクザ達は次々と気を失って倒れていく。

「これは…」

そう呟くとカチューシャはボールを拾った。よく見ると硬質化した赤い羽根が丸められている物のようだ。

「詩音!」

赤崎が空に向かって大きく手を振る。

そんな光景を上空から見ながら、詩音は一息つくように額の汗を拭った。

「ま、間に合って良かったよ〜」
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/08/14(日) 23:25:08.66 ID:HUEZ1tnzo
「なるほど、経緯はともかく実に助かった」

シルバーナイトが椅子に腰掛けながら満足そうに微笑む。

「それで、アイスエイジはどうなるんだ?」

「勿論、法の裁きを受けるさ。今は特製の檻に閉じ込めているがな」

「そうか!」

赤崎は満足そうに笑った。

「それで、情報は?」

カチューシャが尋ねる。

ああ、そうだったな、とシルバーナイトは顎の前で手を組む。

ダイヤモンドダストについての手がかりとは?
↓3までで反転させた上でコンマの値が最も高いものを採用


今日はここまで。
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/08/14(日) 23:53:18.14 ID:oveW82rYo
神出鬼没ではあるが比較的暑い地域では絶対に見掛けない
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