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【安価・コンマ】皆で作る物語
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149 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/14(日) 22:07:27.39 ID:pZKSw9aG0
あ
150 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/14(日) 22:07:27.42 ID:2JZNfRGmo
あ
151 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/14(日) 22:25:48.25 ID:HUEZ1tnzo
カチューシャの言葉通り、アイスエイジは立ち上がるとこちらに向かって駆けてきた。
靴のつま先に氷のナイフを創り出すと、赤崎めがけて飛び蹴りをする。赤崎はそれを躱し、カチューシャは弾を撃とうとしたが、アイスエイジは飛び蹴りと同時にナイフを投げてきた。
アイスエイジは受け身を取りながらこちらを向くと、次々と氷のナイフを投げてくる。
すると赤崎がナイフめがけて拳を振り抜く。すると熱波が飛び出し、ナイフはあっという間に溶けた。
赤崎は水蒸気でできた煙の中から飛び出すと、アイスエイジの顔面に再びストレートを繰り出す。
(芸がないなぁ〜)
そんな事を思いながら軽く躱そうとしたアイスエイジだったが、丁度避けようと思っていたとこを狙うようにして氷の弾が放たれた。
(クソッ!)
そのまま避ければ弾が頭を貫通して間違いなく死ぬ。それ故、アイスエイジは赤崎の全力を真正面から受けるよりほかはなかった。
再び吹っ飛んだアイスエイジがつばを吐きながら立ち上がると同時に、赤崎の背後にあった入り口からヤクザ達が部屋に入ってきた。
「ようやく来たか、お前ら。給料分の働きはしろよ」
「おうっ!」
↓1
46~80 倒した
21~45 膠着
11~20 ダメージを受けた
01~10 ダメージを受けた(次の判定悪化
152 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/14(日) 22:27:57.48 ID:zTfslKp4o
。
153 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/14(日) 23:12:55.97 ID:HUEZ1tnzo
赤崎がヤクザ達に向かっていくのを尻目に、カチューシャはアイスエイジと相対する。
「全く、やんちゃな猫は俺の手に余るぜ」
チッ、チッ、チッ、と音を立てながらアイスエイジは人差し指を立てる。
カチューシャは弾を放とうとしたが、それよりも早くアイスエイジが動いた。
再び靴先にナイフを創り出すと、足技による連撃を見舞ってくる。厄介な事に、それだけでなく手に握ったナイフをも振りかざしてくる。しかも度々ナイフの刃渡りを変えてくるので油断ならない。
対するカチューシャも足技を主体として何とかアイスエイジの攻撃を防ぐ。
「おお、子猫ちゃん!少しは腕を、いや爪を磨いたか?」
アイスエイジはそんな軽口を交えながら、笑みの混じった余裕そうな表情のまま攻撃を繰り出す。
喉仏を目掛けて繰り出された蹴りを、カチューシャは左腕と左膝で挟むように受け止める。
「おお!」
驚くアイスエイジをよそに、右手でナイフを折ろうとする。しかし、アイスエイジは掴まれた体勢を利用してカチューシャを投げ飛ばそうとする。
しかしカチューシャもそれに反応し、投げられた勢いを利用して1回転をしながら着地する。アイスエイジが立ち上がる前に弾を放とうとするが、牽制の投げナイフが飛んでくる。
すっかり体勢を整えたアイスエイジがナイフを構える。対するカチューシャはアイスエイジに向かって走りながら弾を2発放った。1発は頭、もう1発は胸だ。
「っと!」
案の定アイスエイジは氷のキューブで弾を防ぐ。
だがそんな事はカチューシャも織り込み済みだった。2つの氷のキューブを踏み台のようにして飛び上がると、肩車のように彼の肩に乗りかかり脚でアイスエイジの首を絞める。
そのままアイスエイジを地面めがけて投げ飛ばすと、ようやく彼は気を失った。
「…ふう」
ふと赤崎の方を振り返ると、向こうも既に終わったようで、ヤクザ達が地面で伸びていた。
「やったな、クールキャット!」
赤崎がハイタッチしようとするが、カチューシャはそれを無視してアイスエイジを引きずって部屋から出る。
「あ、待てよ!…ま、後始末は警察に任せるか」
赤崎はヤクザ達が気がかりだったが、取り敢えずクールキャットを追うことにした。
154 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/14(日) 23:13:42.74 ID:HUEZ1tnzo
2人は大部屋の屋外に面したシャッターから外に出たが、そこに待っていたのは複数台の車だった。
「…もう警察を呼んだの」
「いや…」
事もあろうに、車から出てきたのはヤクザ達だった。
2人はすぐに戦闘態勢に入る。
「さて、そこまでだ!大人しく俺達のクライアントを返してもらおうか!」
黒いサングラスをかけたスキンヘッドの男が脅しをかけるように叫ぶ。
「あと3秒で解放しないと、蜂の巣にするぞ」
それを聞いた赤崎に冷や汗が流れる。
「さーん!」
「クールキャット、ここは一旦中に!」
赤崎の問いにカチューシャは答えない。
「にーい!」
(いつも通り…殺せばいいだけ…)
「いーち!」
カチューシャが氷の弾丸を展開する。
「撃てぇっ!」
その言葉と同時に、ヤクザ達の頭上に何かが降り注ぐ。どうやら赤いボールのようなもので、ヤクザ達は次々と気を失って倒れていく。
「これは…」
そう呟くとカチューシャはボールを拾った。よく見ると硬質化した赤い羽根が丸められている物のようだ。
「詩音!」
赤崎が空に向かって大きく手を振る。
そんな光景を上空から見ながら、詩音は一息つくように額の汗を拭った。
「ま、間に合って良かったよ〜」
155 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/14(日) 23:25:08.66 ID:HUEZ1tnzo
「なるほど、経緯はともかく実に助かった」
シルバーナイトが椅子に腰掛けながら満足そうに微笑む。
「それで、アイスエイジはどうなるんだ?」
「勿論、法の裁きを受けるさ。今は特製の檻に閉じ込めているがな」
「そうか!」
赤崎は満足そうに笑った。
「それで、情報は?」
カチューシャが尋ねる。
ああ、そうだったな、とシルバーナイトは顎の前で手を組む。
ダイヤモンドダストについての手がかりとは?
↓3までで反転させた上でコンマの値が最も高いものを採用
今日はここまで。
156 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/14(日) 23:53:18.14 ID:oveW82rYo
神出鬼没ではあるが比較的暑い地域では絶対に見掛けない
157 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/14(日) 23:59:10.43 ID:hyAU7EXxO
最近ある地域で液体窒素の水溜まりが多数目撃されている。ダイヤモンドダストの仕業である可能性が高い
158 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/14(日) 23:59:24.43 ID:J3kc37Hc0
実は先月半殺しにしたのだが別のヴィランの手引きで脱獄した
159 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/16(火) 21:55:21.21 ID:QncVmXIro
氷の能力者割と多いな
160 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/17(水) 22:46:02.13 ID:yUYIkUNLo
「彼女はどこに現れるか予測のつかないヴィランだ。だがこれまでの動向を見るに、気温の高い地域には現れないようだ」
それを聞いた赤崎が、そういえば、と呟く。
「確かにダイヤモンドダストが現れるのは北海道や東北だったな。東京でも事件を起こしてたが、決まって冬だった」
「だけど、寒い地域なんていくらでもある」
カチューシャの言葉を聞いて、シルバーナイトは軽く笑った。
「確かにな。だが少なくとも世界中を這いずり回る必要はなくなっただろう?何であれ彼女を見つけたいのであれば、寒い地域を当たるといい」
「そうだな!シルバーナイト、本当に助かった!」
「構わないさ。クールキャットは私が信頼しているヒーローだ。であれば、彼女がともに行動している君を助けるのも吝かではない」
すると赤崎が握手をしようと手を差し出した。シルバーナイトは笑顔を見せながらそれに応じる。赤崎の目にはそれが友好の証であるように映った。
だがカチューシャにはそれが他人を利用するときの作り笑顔のように見えた。彼女はそういった顔には鋭敏に反応する。
「追加の情報が入れば君たちにも教えよう。では仕事もあるので、そろそろ…」
「そうだな!」
そう言うと今回は珍しく赤崎が先に部屋を出た。
カチューシャは去り際に改めてシルバーナイトを見る。
「どうした?」
彼は笑顔を崩さない。
「…何もない」
そう告げるとカチューシャは部屋を出て扉を閉めた。
そうしてカチューシャの自宅に帰る道すがら赤崎が口を開いた。
「これで1つ前進だな!」
そんな赤崎をよそにカチューシャは思慮に耽っていた。
(私の知っているシルバーナイトはどこまでも合理的なヒーロー。正義のために、正義とも思えないような冷徹な決断を下す)
そんな彼が親切心でダイヤモンドダストの情報を教えてくれたとはとても彼女には思えなかった。赤崎はすっかり彼のことを信じているようだが。
(そもそもどうしてシルバーナイトはダイヤモンドダストの情報持っていたの?少なくともレッドマーゾが来るより前から彼女を探ってたことになる)
一時的とはいえ、ここから遠く離れた日本で活動していたヴィランの情報をわざわざシルバーナイトが探っていた。その事実がカチューシャには引っかかる。
(それに…関係あるかはわからないけど、思えばアイスエイジも何か変だった。どこか手を抜いていたような?)
電話の内容もカチューシャの疑念を深める材料だ。
(彼は何かの計画を進めている様子だった。それも他人に従って…)
基本的にヴィランとなる人物は往々にして我の強い人物ばかりだ。そんな彼らが徒党を組むことは──一時的なものを除いて──そう多くない。ましてや、従えることができる人物などいるのだろうか?
「大丈夫か?」
カチューシャの思考は顔を覗き込んできた赤崎によって中断された。
「悩みがあるなら言ってくれ。俺たち、バディだろ!」
そう言った赤崎の笑顔は、薄暗い荒野の中で周りを照らす焚き火のようだった。
彼の赤い瞳。見ている者の心を穏やかにするような温かい光。
「何でもない」
だがその光はカチューシャのもとには届かないようだ。光はいずれ消える。ならば最初から暗闇に身を置くほうがいい。そうすれば、惑わされることもない。
第2話、終
161 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/17(水) 22:49:35.87 ID:yUYIkUNLo
では第3話のキーワードを↓3まで募集します。
>>159
ヴィランに関しては私が氷限定で募集したからですね。もしかすると差別化のためにもダイヤモンドダスト以外のヴィランの能力を、アイスエイジも含めて変更するかもしれません。
そして非常に短いですが今日はここまで。
162 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/17(水) 22:53:24.99 ID:OYZFYYEJo
雪解け
163 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/17(水) 22:56:32.76 ID:+cPA9Hcj0
3人組
164 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/17(水) 22:57:18.54 ID:PBdF2OGDO
氷と翼
165 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/17(水) 23:40:13.02 ID:QugL1kFQo
おつー
166 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/20(土) 18:49:11.14 ID:CIvBy9Gco
第3話「暗躍する影」
作戦名:サプレッション作戦
概要:国防高等研究計画局が新たに開発した試作兵器AH01、通称─(検閲済み)─の性能試験評価を行う。試験地及び対象は─(検閲済み)─に決定された。具体的な手順として─(検閲済み)─が考えられる。
備考:他国における許可のない軍事行動であるため、本作戦に従事する隊員たちの公的な取り扱いは退役兵となる。
──アメリカ国防総省の内部リークより抜粋
167 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/20(土) 18:50:09.71 ID:CIvBy9Gco
とある地域の荒野、雪嵐が吹きすさぶ中、三人の屈強な男たちが洞窟の中で暖を取っていた。
「目的地までは後4日ってところか」
僅かな明かりのもと、地図を読み解きながら男が呟いた。
「…今回の任務、どう思う」
すると、味が良いとは言えない戦闘糧食を食べていた男が口を開いた。
「どうって、何がだ」
「…ターゲットについての情報が正確すぎる。こんなピンポイントに何処に行くか分かるはずがない」
「だが、情報部の連中はこれにかなりの力を入れているようだ。そのおかげじゃないか?」
「…だといいがな。奴らを信用していないわけじゃないが、出来過ぎている気がする」
すると洞窟の入り口の方で見張りを行っていた男が口を開いた。
「そんな事より交代の時間だ。寝させてくれ」
「分かったよ」
168 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/20(土) 18:54:06.02 ID:CIvBy9Gco
『日本のヒーロー、スカイウイングの実態に迫る!』
そう題されたネットニュースを、赤崎はカチューシャの自宅で読んでいた。
『日本の読者にとっては爆撃ガールという名前の方が馴染み深いであろうこのヒーローについて、新たな実態が明らかになった!これまで彼女が爆撃してきたものは自身の財布、買い物袋、カバンと枚挙に暇がないが──』
「ハハハ、相変わらずの扱いだな」
あたふたと慌てふためく詩音の姿が赤崎の脳裏によぎる。赤崎はそのまま記事をスクロールする。
『──そんな彼女だが、つい最近手柄を上げたようだ。アイスエイジと称されるヴィランの密取引を防いだのである!警察によると貨物の中身は大量の銃器であり──』
「へぇ〜。おーい、クールキャット!」
すると赤崎はリビングで何らかの資料に目を通しているカチューシャに記事の内容を伝えた。
「大量の銃器…」
カチューシャは資料をめくる手を止め、目を瞑る。
(アイスエイジがただの銃器密売をしていただけ?…何か引っかかる)
だがその思考は携帯にかかってきた世界戦隊連盟からの電話に遮られた。
ちょうど同じタイミングで赤崎にもメッセージが届いたようで、アイスエイジのことは2人の頭から消え去った。
「はい」
「私だ」
その声はシルバーナイトのものだった。
「どうかした?」
「ああ、ダイヤモンドダストに繋がるかは分からんが、気になる情報が手に入った」
カチューシャは返事をせず、無言で話し続けるよう促す。
「何でもここ最近、西部の山岳地帯でヴィランが活動したと思しき痕跡が見つかった。残念ながら背格好や性別は分からないが、可能性はあると思ってね」
「…分かった。調べてみる」
「そうしてもらえるとコチラとしても負担が減る。では健闘を祈る」
そう告げるとシルバーナイトからの電話は切れた。
今伝え聞いたことをレッドマーゾにも伝えるためにカチューシャは口を開こうとしたが、赤崎が先に話を始めた。
「なあ、前会った詩音って覚えてるよな?」
カチューシャの頭に、内気な性格とは不釣り合いな真っ赤な羽を広げた女子の姿が浮かぶ。
「ええ」
「実はその詩音がこっちに来るらしいんだ」
「そう」
その返答に赤崎は呆気にとられた。
「理由とか、聞かないのか?」
その言葉にカチューシャは氷のような冷たい目で応える。
「私には関係ないこと」
「…とにかく、詩音が来るんだ。ってのも───」
↓1詩音が2人のもとへ来る理由は?
169 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/20(土) 19:07:39.18 ID:PF7l44/U0
日本とロシアのヒーローが共闘しているのでこれを気に両国の関係を円滑にしていきたいという上の目論見がありその第一歩として両国のお使い役に指名された
170 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/20(土) 19:11:28.47 ID:gyAiozWk0
数日前に自分はヴィランだと言い張る子供が襲って(?)来た
どう見ても普通の子供だったが居候という形で居ついている
何かヴィランの事件に巻き込まれたかもしれないので、一緒に調査して出来れば子供の両親を探して欲しい
171 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/20(土) 19:48:38.68 ID:njF2mS4Ko
突然の休暇を貰ったため、赤崎へ個人的に助力しに来た
172 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/20(土) 20:12:17.94 ID:CIvBy9Gco
「俺も難しいことはよくわからないんだが、政府から国連を介してこっちに来るようお願いされたらしいんだ。聞いた感じでは俺とクールキャットがバディを組んでることをきっかけに、日本とロシアの間で良好な関係を築きたいとかなんとか」
「そう」
「あー、だからしばらく詩音も俺達と一緒に行動するらしい。いいか?」
「ええ」
というより、カチューシャにしてみればどうでもいいというのが本音だ。国家同士の駆け引きも、レッドマーゾやスカイウイングの意向もどうでもいい。ただ借りを返す、それだけだ。
「ところで、1つ情報が手に入った」
カチューシャは先程シルバーナイトから聞いた話をそのまま赤崎に伝えた。
「その西部の山岳地帯ってのは寒いとこなんだろ?」
「ええ」
「なら、可能性はあるな!ほんの少しでも可能性があるなら行くに決まってるさ!丁度詩音が空港につく頃合いだ。迎えに行って、そのまま現地に向かおう!」
「分かった」
そうして2人は空港へと向かった。
「お、いたいた!おーい、こっちだ!」
赤崎が詩音に向かって大きく手を振る。それを見た詩音は重そうなキャリーケースを2つ引っ張りながらコチラへと小走りで向かってくる。
「赤崎くん!」
先程まで強ばっていた詩音の表情がみるみるうちに和らいでいく。
「ひ、ひとりで海外に行くなんて初めてで、すっごく緊張したよ〜」
「それぐらい大したことないだろ?」
「私にとっては大事なの!」
「それに荷物多くないか?」
「多くない!」
すると詩音がカチューシャの方を見た。どうやら正面から目を合わせることはまだ無理らしい。
「え、えと、よ、よろしくお願いします。赤崎くんから聞いてると思いますが、私の名前は巽詩音です。ひ、ヒーローネームはスカイウイングです」
深々とお辞儀をする詩音を見ながらカチューシャは、わかった、と手短に挨拶を済ませる。
「それじゃ早速で悪いけど、今から西部の山岳地帯に行くぞ。荷物はそこの国連のスタッフさんが運んでくれるからな」
詩音がこくりと頷く。
「じゃあ、乗って」
カチューシャはリモコンで車の鍵を開けながら2人に告げた。
そうして目的地へと向かう道中、後部座席に座った詩音が声を落としながら隣の赤崎に尋ねた。
「あの、クールキャットさんっていつもあんな…感じ?」
「ああ。変わらないぞ」
それを聞いて詩音は胸をなでおろす。
「よ、良かったよ〜。てっきり私、嫌われてるのかと」
「そんな事ないさ。俺が家にいるときもいつもああだし、誰に対してもああだと思うぞ」
その言葉を聞いた途端、詩音の眉がピクリと動いた。
「い、家?」
「ああ、言ってなかったな。今は彼女の家に泊めて貰ってるんだ。最初は色々と問題あるかと思ったが、無下にするのもあれだし、それに意外と居心地が良くてな」
「…い、いや、大丈夫じゃないでしょ!そんな若いふたりがひ、1つ屋根の下なんて…!」
突然の大声に耳を塞ぎながら、赤崎は必死に弁明を試みる。
「い、言いたいことは分かるけど、現に何もないし大丈夫だろ?」
「そ、そういう事じゃなくて…。もしゴシップ記者とかに嗅ぎつけられたらどうするの!」
「いやー、誰も俺のゴシップに興味なんかないさ」
その言葉を聞いて詩音は大きくため息をつくと、それっきり目的地に着くまで口を開くことはなかった。
173 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/20(土) 20:14:12.95 ID:CIvBy9Gco
山岳地帯の麓に続く森林の入り口で、3人は車を降りた。
「ここからは歩きながら、痕跡を探す」
カチューシャの言葉にふたりとも頷く。
「これを渡しておく」
そう言ってカチューシャが取り出したのは無線機だった。
「別行動するときはこれで連絡を取ること」
そうして3人は森の奥へと足を踏み入れる。
どこまでも続く木々と白い雪。カチューシャの案内がなければとっくに日本人2人は遭難していただろう。それどころか地元の人間でも下手をすれば迷いかねない。
「これだけ見通しが悪いと、ヴィランを見つけるのは苦労しそうだな」
「うん…。森の中じゃなかったら、私が上から手伝えるんだけど」
すると赤崎が大きなくしゃみをした。
「追跡がバレる。静かにして」
「わ、悪い」
気まずそうに頭を掻く赤崎に詩音がカイロを渡す。
「いいのか?」
「うん。私は羽のおかげでそこまで寒くないから」
「羽?」
貰ったカイロを頬に当てながら赤崎が尋ねる。
「うん。ほら、羽毛があるからそれで熱がこもってあんまり寒くないの」
「へぇ〜、羽ってのは飛べるし暖かいし便利だな!俺も変身すればかなり暖かくなるんだが…」
すると2人は突然止まったカチューシャの背中に激突した。
カチューシャが無言で指を指す。その方向には小さな山小屋があった。
3人は素早く山小屋の入り口近くに移動する。カチューシャの合図とともに、3人は室内へとなだれ込んだ。
「これは…」
「もぬけの殻、だな」
「うん。ちょっと調べてみようよ」
↓3までで反転させた上で最もコンマの値が高いものを採用
174 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/20(土) 20:20:41.81 ID:CIvBy9Gco
ごめんなさい。何を見つけたかです。
↓3までどうぞ
175 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/20(土) 20:23:14.65 ID:XxwwN5+v0
蛙の氷漬け
176 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/20(土) 20:28:22.31 ID:grOtqZdDO
謎の薬
177 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/20(土) 20:30:34.01 ID:cLNF9MFbo
血液の痕
178 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/20(土) 21:20:07.87 ID:CIvBy9Gco
特に矛盾もないので3つとも採用します。
「な、なにこれ…」
詩音が吐きそうな顔をして指差したところには、氷漬けにされた蛙が置いてあった。
「非常食」
「ひ、非常食って…。蛙を食べるんですか?」
「味は悪くない」
「た、食べたことあるんだ…」
「2人とも!こっちに来てくれ!」
そう叫んだ赤崎は裏口近くの窓際にしゃがみこんでいた。
「こ、これって…」
「ああ、血だ」
窓のあたりには飛び散ったガラス片とともに血痕が付着していた。
「…誰かに襲われたみたいだな」
「それじゃあ、ここで誰かがヴィランに襲われたってこと?」
「かもな」
付近を見渡していたカチューシャは、血痕が続く裏口のすぐ横に小さなシリンジが落ちていることに気がついた。中身は青色の液体だ。
「それは?」
「分からない。鎮痛剤の類かも」
「麻薬とかじゃないですよね…?」
後で成分を分析してもらおうと、カチューシャはそれをポッケに突っ込んだ。
そのまま裏口から外に出ると足跡が続いているのを発見した。
「どうやら怪我をした人物は慌てて逃げ出したみたいだな」
「だね」
カチューシャは周りを見渡して、ある違和感に気づいた。
「1人分の足跡…」
「ど、どうしたんですか?」
「ここには逃げた者の足跡しかない。なら、襲撃者はどこに?」
こめかみに手を当ててしばらく考え込んだ後、詩音は目を見開いた。
「私みたいに空を飛ぶヴィランなんじゃないですか?」
カチューシャは上空を見渡す。
「飛ぶには少し木が多い」
「うーん。じゃあ…」
そんな2人の会話を赤崎が遮る。
「とにかく!この跡を追えば、少なくとも怪我をした人には会えるさ!」
「…ええ。行きましょう」
そうして3人は足跡を追いながら、更に森の奥へと進んでいった。
↓1コンマ 遭遇したのは?
00~15 何者かと交戦するヴィラン
16~70 3人組
71~ ヴィラン
179 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/20(土) 21:22:19.06 ID:gyAiozWk0
あ
180 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/20(土) 21:27:57.18 ID:CIvBy9Gco
戦っているヴィランとは?
>>120
か新キャラでお願いします。
新キャラの場合は以下のテンプレートでどうぞ
本名:(不明でも可)
ヴィランネーム:
性別:
年齢:
出身:
能力:
見た目や性格等の特徴:
来歴:(これはなくてもいいです)
↓3までで反転させた上で最もコンマの値が高いものを採用
181 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/20(土) 21:33:41.08 ID:cLNF9MFbo
本名:無し
ヴィランネーム:キメラ
性別:不明
年齢:不明
出身:不明
能力:異能力は無い
見た目や性格等の特徴:色んな動物が組み合わされたおぞましい化け物
来歴:手軽に戦力を増強させるために作り出された兵器
182 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/20(土) 21:35:13.52 ID:5mqUcetXo
名前:テオドシウス・ローディアヌス
ヴィランネーム:シャドウ
性別:男
年齢:30
出身:ギリシア
主な活動地域:世界
能力:影中移動や影操作などの影支配系能力
見た目や性格等の特徴:ギザギザボロボロの黒衣と大鎌を常に持ち歩いている危ない人。ただのクソ真面目殺し屋さん。
来歴:暗殺稼業の一族に生まれた生粋のヒットマン。金次第で誰でも[
ピーーー
]が仕事以外では虫も殺さない。金を積めば暗殺以外でも何でもする。ベビーシッターから暗殺までなんでもござれ。影からの奇襲が得意。
183 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/20(土) 21:42:28.04 ID:MCHhz/lHo
>>120
184 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/20(土) 21:42:47.07 ID:kO7CunSBO
本名:ダグラス・ハワード
ヴィランネーム:博士
性別:男
年齢:26
出身:アメリカ
能力:毒
見た目や性格等の特徴:白衣の似合う伊達男。仮面をしており素顔は不明。毒物使いのため戦う相手は掠り傷すら致命傷になり得る。性格は糞オブ糞
来歴:優秀な研究者だが研究のためにやり過ぎたため学会から追放。しかしある組織からの支援を受け裏で研究を続ける。様々な兵器を作り出すが基本的にヒーローからもヴィランからも嫌われたトップクラスのお尋ね者。
185 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/20(土) 21:45:10.10 ID:mkVOgOes0
本名:不明
ヴィランネーム:アイスクローン
性別:女
年齢:0
出身:無し
能力:氷系で何かの能力が一つ
見た目や性格等の特徴:見た目はヴィラン側がこれまで確認してきた氷系能力者の誰かに酷似している傾向がありそれぞれ差はあれど基本的に能力はそれほど強くないが数が多い
来歴:数々の氷系能力者のデータや採取した細胞などで作り上げた安く多く作れるクローン
186 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/20(土) 22:23:04.43 ID:CIvBy9Gco
すいません、今回は人型のヴィランを想定してたので
>>181
ではなく、2番目に高い
>>183
を採用します。
そんでもって氷系が多いので涼宮の能力は放電、ヴィランネームも雷光に変えさせていただきます。
暫く足跡を追って森の中を進んでいると、ものすごい爆音が聞こえてきた。
「な、何だ?!」
一行が先を急ぐと、少し開けた空間に出た。
そこでは凍った滝を背後に謎の3人組と戦っている黒髪の男性がいた。
「ど、どういう状況なんですか?!」
詩音の困惑した声は、目の下のキズが特徴的な若い男性の指先から閃光が走ったと同時に突如鳴り響いた爆音にかき消された。
光の先では、謎の3人組が隠れていた大きな岩が小さな煙を上げながら真っ二つに割れている。
カチューシャはいち早く状況を把握しようと集中する。
(恐らく、シルバーナイトが言っていたヴィランはあの男)
それは間違いないだろう。だが何より不可解なのは彼と対峙している3人の男だ。
彼らが一般人でないのは火を見るよりも明らかだ。寒冷地仕様に調整、塗装された白い軍用装備。所持している装備、銃器、いずれも先進国の特殊部隊が使うような一級品。少なくともチャチなギャングや犯罪者ではない。
(だけど彼らの情報は何も聞いていない。シルバーナイトは彼らの事を知らなかった)
彼女の脳裏にまたもや妹の言葉がよぎる。
『あの方の秘密主義的な傾向は以前からありましたが、近頃はそれが輪をかけて酷くなっています』
(…あるいは彼はこの事を知っていたけど敢えて隠した、か。もしそうなら、あの3人組から情報が得られるかも…確証はないけど)
ヴィランを止めるにしても素性のしれない集団と関わり合いになるのは厄介事を招くのみ。しかし仮に静観すると決めたとして、赤崎は従うだろうか?
(…決めるしかない)
↓3まで多数決
1 3人組に加勢してヴィランを止める
2 ヴィランも3人組も無力化する
3 静観する
187 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/20(土) 22:28:58.30 ID:5mqUcetXo
2
188 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/20(土) 22:32:23.20 ID:izM8qCryo
3
189 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/20(土) 22:33:21.72 ID:cLNF9MFbo
2
190 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/20(土) 22:37:57.01 ID:CIvBy9Gco
2に決まったところで、今回はここまで。
191 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/20(土) 22:41:40.97 ID:MCHhz/lHo
おつー
192 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/24(水) 19:48:45.39 ID:F1Lruttao
どちらも無力化する。カチューシャがそれを伝える前に、赤崎は木々の合間を通り抜けると3人組に向かって叫ぶ。
「撃つのをやめろ!俺はヒーローのレッドマーゾだ!」
突然現れた闖入者にヴィランも3人組も、状況を計りかねていた。
そんな様子を動揺しながら見守る詩音と異なり、カチューシャは唇を噛む。
(まずい…このまま共闘する流れになったら無力化して情報を聞き出すことができない…)
そんなとき3人組のうちの1人が銃口を赤崎に向けた。もっともその射線上には赤崎より奥に居るヴィランも含まれていたので、本当に赤崎を狙ったかは分からないが。
だがカチューシャはそれを、対立に持っていく絶好の機会だと捉えた。氷の弾丸を1発、男の頬をかすめるように放つ。男の頬からは血が流れ出た。
その瞬間全員の視線がカチューシャに集まる。
「クールキャット!?」
そう叫んだ赤崎の目は、どうして、と訴えかけるようだった。
するとすぐに多数の銃弾がカチューシャ達を狙って飛んできた。赤崎は慌てて変身を終えると、詩音と同じ様に木の裏に急いで身を隠す。
「なんで撃った!」
語気とともに、赤いオーラが激しく揺れる。
「ごめんなさい、威嚇射撃のつもりだったの」
赤崎の方に視線を送ることもなく、カチューシャは淡々と答えた。
「お、落ち着いて、赤崎くん!銃で狙われてたのは事実だし…」
マスクに覆われて表情は分からないが、身体を纏うオーラの具合から、赤崎は冷静さを取り戻したように見える。
「…分かった、こうなったら仕方ない。取り敢えずどっちも黙らせるぞ!」
「ええ」
「う、うん!」
一方で、ヴィラン──雷光と呼ばれる涼宮蒼冬──は苛立ちを募らせていた。
(ただでさえ訳のわかんねえ軍人野郎どもに襲われてんのに、ヒーローだと!?ふざけんな!)
怒りのあまり目の下の傷跡がピクピクと痙攣している。
そしてその怒りを放出するかのように辺り一帯に電気を撒き散らした。
(…っし、落ち着け。よく分かんねぇが、アイツラは味方同士って訳でもなさそうだ。なら、うまいこと立ち回ればコッチにも勝ち目はある。…それに、まだアレがあるしな)
そして謎の3人組はこの場にいる者達の中で最も冷静だった。
「ふん、まさかヒーローが来るとはな」
弾倉を装填しながら、スキーマスクを被った男が悪態をつく。
「少々予想外だが…やるしかあるまい」
「だな。テストの対象が増えたとでも思うとするか」
↓1
91~ 戦局有利(次の判定緩和)
51~90 戦局有利
31~50 膠着
16~30 戦局不利
06~15 戦局不利(次の判定悪化)
01~05 戦局不利(次の判定大幅に悪化)
193 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/24(水) 19:51:48.43 ID:jPT9o8+oo
あ
194 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/24(水) 20:16:03.93 ID:F1Lruttao
「そ、それでどうするの?」
「3人組は私が相手する。近接タイプのレッドマーゾは分が悪い」
「分かった!じゃあ俺はヴィランだな!」
「貴方は…」
カチューシャが詩音の赤い翼に目をやる。それを受けて詩音は恥ずかしそうに羽を折りたたむ。
「その羽、前に会ったときは硬質化してたけど銃弾には耐えられるの?」
「は、はい!」
「なら、貴方は状況を見て適宜私かレッドマーゾの援護を」
「わ、わかりました!」
作戦会議を終えた3人はそれぞれの持ち場へ移動する。
カチューシャは赤崎と詩音の移動の援護の為、3人組に大量の弾丸を放つ。流石の弾幕に彼らは岩陰から一切頭を出せない。
その隙に赤崎は雷光のもとへ駆け寄る。
「ちっ!来んな!」
そう言いながら雷光は指先から、赤崎めがけて電気を放つ。最初の数発は外した。だが、次の一発は確実に当たる。そう思った時、空から鋭利なものが飛んできた。
「なんだこれ…赤い羽根?」
何とか避けた雷光が、羽根が飛来した方向を見ると凍った滝の上に詩音が陣取っていた。
高所を取られた、そう思うのもつかの間、身体の正面に熱気を感じる。慌てて視線を戻すと、レッドマーゾのストレートが目前に迫っていた。
「なにっ!?」
決まったと思った赤崎は、雷光が己の拳を片手で受け止めたのを見て驚いた。
↓1
91~ 戦局有利(次の判定緩和)
51~90 戦局有利
31~50 膠着
16~30 戦局不利
06~15 戦局不利(次の判定悪化)
01~05 戦局不利(次の判定大幅に悪化)
195 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/24(水) 20:26:07.20 ID:Bv9Mtjndo
あ
196 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/24(水) 20:52:09.46 ID:F1Lruttao
「さて、準備できた」
岩陰に隠れていたガスマスクの男はグレネードランチャーを構えると、カチューシャが隠れている森に向かって発砲を始めた。
着弾と同時に爆発が周囲を襲う。それも数発ではない、数十発だ。加えて軽機関銃による制圧射撃まである。
(かなり連携が取れている…)
そんな事を考えているカチューシャの鼻が妙な臭いを感じ取った。これは何かが焦げているような臭いだ。背後を振り返ってみると木が何本か燃えている。
(焼夷弾…!何発か見当違いのとこを狙ったのかと思ったけど…!)
このままだと火炙りにされてしまう。カチューシャは追い立てられる獣のように森の外に出るが、そこに待っていたのは軽機関銃の弾幕だった。
「クールキャットさん!」
それを見ていた詩音は急いでカチューシャのもとに降り立つと、しゃがみこんで覆うようにして羽を広げて彼女を守る。
「だ、大丈夫ですか!?」
カチューシャが顔を上げると、潤んだ栗色の瞳がこちらを見ていた。
「ええ。貴方は?」
「な、何とか」
辛さを悟られまいと詩音はカチューシャに笑顔を向ける。
「くっ!」
どうしても2人の事が気にかかってしまう赤崎は苦戦を強いられていた。
「ちょこまか避けるなぁ!」
雷光の能力は放電。それ故、単なる殴り合いでも気は抜けない。少しでも掠ってしまえば恐ろしい程の電流が身体を襲うからだ。
赤崎は雷光のパンチ、蹴り、頭突き、それらを触れずに避けるので精一杯だった。
「これならどうだっ!」
雷光は赤崎の目の前で掌を合わせる。すると閃光が走った。
「くっ!?」
目の前で雷の光を見たかのような光景に、赤崎の視覚が混乱する。
その隙を見逃すことなく、雷光は赤崎の頭を両手で掴むと電気を流した。
「ぐあああぁぁぁぁ!!」
↓1
91~ 戦局有利(次の判定緩和)
51~90 戦局有利
31~50 膠着
16~30 戦局不利
06~15 戦局不利(次の判定悪化)
01~05 戦局不利(次の判定大幅に悪化)
197 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/24(水) 20:53:14.37 ID:j9F5klEC0
あ
198 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/24(水) 21:14:45.85 ID:F1Lruttao
「はっ!見掛け倒しなヒーローだったな」
雷光が両手を離すと、赤崎は全身から煙を上げながら膝をつく。
「赤崎くん!」
そのまま倒れ込む、かと思ったが赤崎は手を地面について留まった。
「何!?」
雷光は再び拳を握りしめ、電気を蓄える。
詩音はそれを防ごうと翼の片方だけを振るって硬質化した羽を飛ばす。
「ちっ!」
雷光の右手が赤崎の頭をめがけて振り抜く寸前で、彼は慌てて後ろに飛んで羽を避けた。
だが、今度は詩音が危ない。軍用ヘルメットを被った男が、露わになった詩音の頭に銃口を定める。
引き金に指が掛かったその時。
「…了解」
胸につけた無線機で誰かと連絡を取ったかと思うと、彼は腰にさげていたスモークグレネードを投げた。
そうして3人組は煙の中へと消えていった。
(逃げられた…!仕方ない、当初の目的を果たす)
↓1
81~ 戦局有利(次の判定緩和)
36~80 戦局有利
21~35 膠着
11~20 戦局不利
01~10 戦局不利(次の判定悪化)
199 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/24(水) 21:16:09.07 ID:jPT9o8+oo
ラッキー起これ
200 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/24(水) 21:50:32.21 ID:F1Lruttao
「赤崎くん!」
詩音は今にも倒れそうな赤崎のもとへ駆け寄る。実際、気力で踏みとどまっているのが精一杯の様だ。
詩音は雷光を睨みつけると、空に飛び上がって戦いを始める。
スカイウイングの羽、クールキャットの氷の弾丸。その両方から四方八方を攻撃されている雷光は、自らに迫るそれらを放電で叩き落とすことで必死だった。
赤い羽根と青白い氷に囲まれる中、雷光はズボンのポケットからとあるシリンジを取り出した。中に入っているのはあの青い液体だ。
(軍人どもは去って、ヒーローも1人は動けねえ。2対1でこっちが数的には不利だが、こいつを使えば…)
雷光は躊躇いなくそのシリンジを首元に刺すと、中身を血管に注入した。血液が体内で煮えたぎっているような痛みと共に、強大な力の感覚が雷光を恍惚とさせる。
「ククク…!」
まるでテスラコイルのように、雷光の周囲にバチバチと電気がはしる。彼の黒の短髪は逆立ち、凶暴さを思わせる表情はより深まっている。
(麻薬でも鎮痛剤でもない…それよりももっとたちの悪い‘‘なに’’か…!)
↓1
81~ 戦局有利(次の判定緩和)
41~80 戦局有利
36~40 膠着
01~35 敗北
201 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/24(水) 21:51:51.85 ID:YR71I7Lko
たった一人に負けるか
202 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/24(水) 21:52:01.88 ID:j9F5klEC0
あ
203 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/24(水) 22:23:39.05 ID:F1Lruttao
「はぁぁっ!」
雷光が光り輝く右手を天に掲げると、まるでそれに呼応するかのように彼の周囲に雷が落ちる。
空から攻撃していた詩音も、今は翼を雷に焼かれてしまわないよう地面に降り立っている。
「このままじゃ…」
何とかこの状況を脱したいが、今は少しでも物陰から姿を晒そうものなら、まるで意志を持っているかのような電流に焼き焦がされてしまうだろう。
とはいえ、ただ指を咥えて見ているわけにもいかない。
(これはかなり体力を消耗する…。でもやるしか、ない)
カチューシャは目を瞑り、意識を集中させる。氷のように冷たい意志と力。自分を構成する核。それを解き放つように、息を吐き出す。
目を見開いたカチューシャは右手で指を鳴らす。
すると視界を埋め尽くすほどの弾丸が展開される。そしてそれらは竜巻のように渦巻く。地面や岩を削り取りながら、雷光のもとへと氷の竜巻がすべてをなぎ倒しながら進む。
それを認めた雷光は両手から、巨大な木の幹と同じ程の直径を持った電流を放電する。
氷と電気がぶつかり合い、周囲は激しく照らされる。電流が氷の弾丸に触れて、それを砕くごとに銃声のような乾いた音がこだまする。
気づけば周囲の森はすっかり火が広がっており、その場は異様だった。赤い炎と蒼白の氷と白い光が入り混じる風景。
そんな中、赤崎が立ち上がった。
「くっ…!」
何とか、立ち上がれる程度にまで回復したようだ。或いは気力で何とか立っているのか。
↓1
41~ 勝利
21~40 膠着
01~20 戦局不利
204 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/24(水) 22:26:43.67 ID:jPT9o8+oo
レッド復活
205 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/24(水) 22:52:16.91 ID:F1Lruttao
意識を取り戻した赤崎は目の前の光景に驚嘆する。彼のヒーロー人生の中で、ここまでの光景を見たのは初めてだ。
そんな気持ちを振り払うように頭を振ると、赤崎は腕に力が入るかを確かめる。
「まだやれるぞ…!」
氷の弾丸の嵐が遂に全て砕け散り、視界が開けたその時。
赤崎は雷光めがけて全力で拳を振り抜く。そうして放たれた炎の波が雷光を襲う。
(今!)
カチューシャはそれに合わせて雷光の頭上を目掛けて氷の弾を数十ほど放つ。
赤崎は意図していなかったが、炎によって溶けた氷が水となり雷光に降りかかる。
「ふっ、ハハハハ!」
だが雷光は赤崎の炎を防いだばかりか、水にも気づいて放電を止めていた。
「これで俺を倒せると思ったか?甘いんだよぉ!」
そう高らかに宣言した雷光だったが、突如頭を押さえると呻き出した。
「ぐっ…いてぇ!」
その時、力の制御を失った一筋の光が雷光のもとに降り注ごうとしていた。
彼が気づいたときには目の前は既に光に覆い尽くされていた。そして次に訪れたのは暗闇。
「うう…」
だが、その暗闇は死ではなかった。雷光に飛びかかって彼の命をすんでのところで救ったレッドマーゾの影だった。
今日はここまで。
206 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/24(水) 23:26:54.93 ID:8nESBvuno
おつー
207 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/24(水) 23:38:34.44 ID:+tIknyt7o
乙乙
208 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/24(水) 23:50:19.27 ID:j9F5klEC0
乙です
209 :
以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします
[sage]:2022/08/25(木) 02:40:54.30 ID:IA2KeHgu0
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
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210 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/30(火) 19:28:07.33 ID:daDCwBgqo
「無事、だな」
大きく肩で息をしながら赤崎が呟く。
その言葉を聞いて雷光は目を丸くしていたが、直ぐに気勢を取り戻し、目の前の青年を睨みつける。
「どうして助けた…」
赤崎は呼吸を整えると立ち上がって、雷光に向けて手を伸ばしながら口を開いた。
「ヴィランだろうと誰だろうと、死に値する人間なんていない」
「っ!」
そのとき、雷光の胸中は久しぶりの感覚に騒がしくなっていた。バケモノや異端者、悪党としてではなく、ただ一人の人間としての感覚。まるで春の陽射しで雪が溶けていくように、彼は心を開いた。
「ふっ…」
凶暴さを感じさせる表情は和らいでいき、雷光は赤崎の手を取って立ち上がった。
「わ、私、警察と消防隊と国連に連絡してきます!」
そう言って詩音は少し離れて場所で電話を始めた。
一方で赤崎と雷光のやり取りは少し下がったところから見物していたカチューシャにとって1つの発見を与えた。
これまで彼女は情などというものは、決断力を鈍らせる足かせに過ぎないと考えていた。だが目の前の光景を見るに、必ずしもそうではないようだ。
(だけど…)
しかし学びを得たとはいえ、それを実行するかはまた別の話だ。
(今更自分を変えようとも、変えたいとも思わない。私はこのままでいい)
「それで、何があったんだ?」
赤崎が変身を解きながら雷光に問う。
「ああ、俺はあるガキからこの薬を渡された」
雷光が取り出したのはあの青い薬だ。
「この薬を使ってここらで暴れれば、金をくれるってんでな」
「その子供は、どんな子だった?」
「ああ、奴は…ダイヤモンドダストとか言ったか」
「ほ、本当か!?」
思わず赤崎は雷光の肩を掴む。
「あ、ああ」
「何か…彼女の居場所に関する手がかりを知らないか!?」
ダイヤモンドダストに関する手がかりを募集。今回は居場所とかアジトとかの直接的な手がかりでお願いします。
↓3までで反転させた上で最もコンマの値が高いものを採用
211 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/30(火) 19:34:12.30 ID:HAhC0zn+O
北極海に浮かぶ国籍不明の戦艦に今は滞在している
212 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/30(火) 19:34:49.46 ID:hCHtO9ADo
カナダ
213 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/30(火) 19:36:47.89 ID:Y3wlxO7MO
北の方に周囲一帯ごと氷漬けになった街がある
214 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/30(火) 20:24:50.90 ID:daDCwBgqo
「そうだな────」
雷光はダイヤモンドダストとの取引を思い返す。
あれはサンクトペテルブルクの工業地帯でのことだ。工場の事務室でのダイヤモンドダストと数人の部下との話し合いの場。
「これを打って暴れろって?」
「そうだよー」
目の前の少女は天真爛漫な笑顔を見せる。
雷光は手渡された薬に目をやる。
「これ、何だ」
「いいものだよ!それをチクっとするだけで最強になれるの!」
テーブルに頬杖をつきながら彼女は足をブラブラさせる。
「…ったよ。金のためだ」
するとその時、部下の一人が少女に耳打ちをした。
「はぁ?なんで!」
まるでおもちゃを取り上げられて駄々をこねる子供のように声を上げる。すると彼女と部下は部屋から出ていった。
「しばらく待て」
そして1人、部屋に残った部下が雷光にそう告げる。
「…ふん」
(コイツらが何もんかは知らねえが、信用できないのは間違いないな)
その時、雷光の目にテーブルの上に置かれた情報端末が入った。
(これだ!)
雷光は監視の目が違うところを向く機会を待ち、それを素早く手に取った。
(パスワードか。当然だな。だが…)
雷光は端末に電気を流して回路の操作を試みる。
(っし!なになに…)
『積荷をムルマンスク州のZATO52に送れ。しばらくそこに滞在する』
(はぁ、どこだよそれ?)
それだけしか確認できなかったが、ダイヤモンドダストが戻ってくる気配を感じたので雷光は端末をもとに戻した。
そして時間は今に戻る。
「ってなわけだ。どこか知ってるか?」
「うーん…」
「知ってる」
後ろに控えていたカチューシャが口を開いた。赤崎と雷光がカチューシャを見る。
「ムルマンスク州はロシアの北方にある州。ZATOは閉鎖都市のこと。ソ連崩壊後、多くの閉鎖都市が開放されたけど、中には今も秘匿されてるものがある。ZATO52は…心当たりがある」
「本当か!」
「ええ。何年か前に、ZATO52が一夜にして氷漬けになったって噂話を聞いた」
赤崎が輝いた目で彼女を見る。一方、雷光はどこか納得いかないという表情だった。
「閉鎖都市…ってことはロシアが管理してんのか?だったらあのガキもロシアの手先ってことか?」
「…一部の閉鎖都市は政府でさえ持て余してる場所もある」
「つまり…分かんねえってことか」
215 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/30(火) 20:28:49.13 ID:daDCwBgqo
「それで、あの3人組は?」
カチューシャが話題を変えるように雷光に問う。
「…俺もよくは分かんねえ。山小屋で休んでたら急にあのクソ共に襲われたんだ。勿論ぶっ倒そうとしたんだが、うまく力が出なくてな」
「…何か異常はなかった?」
「そうだな…特にないが。あ、そう言えば、山小屋に入る前に首元に違和感があったな」
それを聞いたカチューシャは断りもなく雷光の首元を探り始めた。そして彼女は雷光の後ろ首に何かの跡を発見した。
(これは…針の跡?この男が自ら使った薬でないとしたら、一体…?)
それを確認したカチューシャが側から離れると、雷光は話を続けた。
「そんで…逃げてるうちにここに追い込まれて…まあ、後は知っての通りだ。それで、俺はどうなるんだ?」
「罪は償ってもらおう。まずは国連に引き渡して──」
電話を終えて戻ってきた詩音はカチューシャが近くにいない事に気づいた。
(どこに行ったんだろう?)
暫く辺りを探すと、カチューシャは3人組が居た辺りでしゃがみこんでいた。
「大丈夫ですか?」
「ええ」
(結局あの3人組の正体は分からなかった。つまり…シルバーナイトの疑念についても)
2人の間に沈黙が流れる。気まずさに耐えかねた詩音が先に口を開いた。
「あ、あの、赤崎くんの事…」
「何?」
鋭い声色に狼狽えながらも、詩音は話を続ける。
「え、えと、バディの事、どう考えてるのかなって」
「…何も」
「え?」
カチューシャの答えは詩音が考えていたものとは全く違った。ある意味喜ばしいように思えたが、それ以上に、詩音は彼女の発言に形容し難い悲しみを感じた。
(何もって…さっきも命がけでヴィランと戦ったのに…)
詩音も人付き合いが得意な方という訳ではないが、それでも人と関わることの暖かさを知っている。それがあの赤崎なら尚更だ。
だがカチューシャの態度はまるで、人との関わりを可能な限り排除しようとしている。
(どうして、だろう…)
「おーい、ふたりとも!そろそろ行こう!」
詩音の思考とカチューシャの調査は、赤崎の呼び掛けによって中断された。
「そうね、行きましょう」
カチューシャは立ち上がると赤崎の方へと向かった。
(クールキャットさんは今、何を考えているんだろう)
彼女の背中を見ながら、そんな事を思う詩音も後を追う。
そうして4人はその場を去ることにした。
第3話、終
216 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/30(火) 20:29:48.53 ID:daDCwBgqo
では第4話のキーワードを↓3まで募集します。
217 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/30(火) 20:34:56.79 ID:d/9AcUWwo
太陽
218 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/30(火) 20:35:08.93 ID:PuNjulgG0
宝
219 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/30(火) 20:35:28.48 ID:toZAmDUpo
巨大ロボ
220 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/30(火) 22:32:02.06 ID:daDCwBgqo
第4話 「閉鎖都市」
ZATOというのは正式には閉鎖行政地域組織を指します。核兵器や新技術の開発の為に設置されたものが多く、その性質上、地図からは抹消され秘匿されているのが殆どでした。ソ連崩壊を機にそれらの多くに名前がつけられ、開放されました。しかしながらその排他的な性格故、一部では現在もその居場所を隠し存続しているものがあると言われています。特にソ連崩壊時には何かと不都合な書類等は内々に処分されたこともあり、その実数は正確には把握できていません。実際にソ連崩壊後、政府の支援を受けられなくなったZATOが大規模な犯罪集団となって命脈を保っていた、というケースも存在します。ですのでこれらの実態を把握することは喫緊の課題とも言えます。
────とある学者の書籍より抜粋
221 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/30(火) 22:36:07.14 ID:daDCwBgqo
「…うん、うまい!」
「だね。ロシアンティーにハマっちゃうかも!」
赤崎と詩音はキーウの街角にある喫茶店で一休みしていた。
「クールキャットさん、どれくらいかかるかな?」
「さあ?まあ、そう長くはかからないって言ってたし、待とう」
「うん…」
一方、カチューシャは自宅でアレクサンドラと会話をしていた。クールキャットとコールドキャットとしてではなく、姉妹として話をするためだ。
「本当にあそこに行かれるのですか?」
俯きながらアレクサンドラが呟く。
「ええ。そこにダイヤモンドダストがいる」
「ですが、あそこは…」
カチューシャは目を瞑る。
「サーシャ、ただの場所よ」
ゆっくりと目を開きながら、姉は妹に諭すように告げる。
「そう、ですわね」
するとアレクサンドラはカチューシャの手を取った。
「これ、覚えていますか?」
手渡されたものは小さな人形だった。昔、カチューシャがあり合わせの材料を使って作ったものによく似ている。もっとも、出来はそれよりも遥かに良いが。
今よりずっと幼い頃、アレクサンドラはカチューシャが作ってあげた人形をいつも大事そうに抱えていた。
「今度は私からお姉さまに差し上げます」
「…ありがとう。それじゃあ行ってくる」
「はい…」
そうして3人は国境を越え、ロシアへと赴き、ムルマンスク州まで向かった。
カチューシャの運転で舗装もされていない道をゆく。
「ロシアって本当に広いね〜」
詩音が窓に顔をくっつけながら話す。
「これだけ広いとノビノビ飛べそうだよ〜」
「ハハハ、それにここなら荷物を落としても大丈夫だしな!」
「ちょっと!」
「悪い悪い!」
そんな2人のやり取りをバックミラー越しにカチューシャは見ていた。
「もうすぐ着く」
「本当ですか?」
詩音はキョロキョロと周りを見渡す。やがて丘を越えると、その向こうに大きな氷の塊が見えた。
「…あれ、ですか?」
みるみるうちに詩音の顔が青ざめていく。
「ええ、そうよ」
「これは…氷漬けどころか…」
思わず赤崎も絶句する。
ZATO52──海に面した崖の近くに築かれた閉鎖都市。その全体が氷のドームに覆われ、まるで何かに飲み込まれたようだった。
「ま、まさか、昔からこうなんですか?」
「いえ、こうなったのは数年前だそうよ。一夜にしてこうなったらしい」
「冗談だろ…」
222 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/30(火) 22:39:14.45 ID:daDCwBgqo
3人は車を降りると氷の壁のそばによる。
赤崎がコンコンと壁を叩く。
「かなり分厚いな。俺の炎でもぶち抜けるかどうか」
「空もザッと見てきたけど、完璧に囲まれてました。崖の方も、何故か崖下までしっかり氷に覆われてました」
「…こっち」
そう言うとカチューシャは近くにある斜面の方へと向かう。
「ここよ」
「これって…」
「排水口か?」
「ええ。ここからなら中に入れるはず」
カチューシャは懐中電灯を取り出すと暗闇の中に入って行った。
「ほ、本当に行くの?」
「当然だろ?」
そう言って先に入る赤崎。詩音は自分の服を改めて確認する。
「気合い入れて来るんじゃなかった…」
ため息をつきながら、詩音は翼を折り畳むと置いて行かれないよう急いで二人の後を追った。
下水道の中は思ったよりもきれいだった。もちろん鼻の曲がるような臭いは染み付いていたが。
「何も流れてない…ね」
「それもそうか。こんなふうになった街に人が住んでるはずもない。そりゃ出るもんもない訳だ」
「き、汚いよ…」
カチューシャは無言で前を歩く。心なしかその速度はいつもより速い。
彼女の脳裏にかつての光景が蘇る。
幼い妹の手を取りながら懸命に暗闇を走る。足元で飛沫が上がり、汚物が顔の近くに飛んでくる。それでもただひたすらに前に進む。妹の手は震えている。…いや、これは自分の手の震えだったか?
「クールキャット?」
レッドマーゾの声でふと我にかえる。気づけばかなり進んでいた。
「…ここから外に出れる」
今日はここまで。
223 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/30(火) 22:42:00.85 ID:d/9AcUWwo
おつ
224 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/30(火) 23:00:51.48 ID:zOTeiz7GO
乙乙
225 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/09/06(火) 19:49:08.31 ID:NGz2EYs+o
はしごを登ると、大通りに出た。
「きゃあ!」
詩音が叫び声を上げながら尻餅をつく。その視線の先には氷の彫像があった。
「なんだこれ…びっくりさせるなよ」
赤崎が軽く小突く。
「…これ、人ね」
「ああ、人の彫像だな」
「そうじゃない。氷漬けにされた、人よ」
「なっ…!」
確かに彫像にしては随分リアリティのある表情だ。まるで何か恐ろしいものから逃げようとしている顔だ。
「じゃ、じゃあ、これ全部が、人、ですか?」
詩音は辺りを見渡して、そこら中に置いてある彫像に目をやる。中には倒れて砕けたものや体の一部がないものもある。
「そうね…」
「不気味だな。けど…あたりの景色は壮観だ」
街の内部はやはり完全に氷のドームに包まれている。高さも相当のものだ。街そのものも完全に氷漬けになっており、あたかも氷の彫刻でできた街のようだ。
「暗いね。でも、キレイ…」
詩音は空を見上げる。
分厚い氷のドームに覆われた内部は太陽の光も届かずかなりの暗さだ。だが僅かに届いた光が内部で反射し、天井に写り込んで、その様は小さな宇宙のようだ。
それはこのドームを作り上げた者の心を反映しているようにも思われる。太陽も及ばないような暗闇に、僅かな明かりが入り込み、中をぼんやりと照らす。
「ところで、クールキャットはこの街に何で詳しいんだ?」
「それは──」
その時路地裏の方から声が聞こえてきた。
「おい、さっさと来い」
「悪い悪い、こんな寒さじゃアソコも萎びちまってな」
「ったく、トイレくらい見回りの前に行っとけ!」
彼らの足音は間違いなくこちらに近づいてきている。
「隠れましょう」
「ああ!」
3人は近くの建物中に逃げ込み、窓から様子を窺う。
「大体、こんなところに来る奴なんて誰も居ないだろう?」
「そんな事言ってるとお前も氷漬けにされるぞ」
「はいはい…」
そんなことを言いながら見張りと思われる人物達は建物の前を通り過ぎていった。
「ふぅ…」
気が抜けたのか詩音が床に座り込む。
「アイツらは何者だ?」
「分からない。けど1番可能性が高いのはダイヤモンドダストの部下でしょうね」
「だといいんだが。…それにしても─」
赤崎はふと部屋の中を見渡す。どうやらバーか何かの店の類だったようで、特に変わった点はない、氷漬けな事以外は。
「建物の中にいるのに寒いな…」
腕をさすりながら赤崎が呟く。
「ま、まあ、建物ごと凍ってるしね…」
二人をの会話を聞きながら、カチューシャは再び過去の記憶に直面していた。
226 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/09/06(火) 19:49:44.95 ID:NGz2EYs+o
どのような過去か?
↓3までで反転した上でコンマの値が最も高いものを採用
227 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/09/06(火) 20:14:38.98 ID:tEODoC+Ko
姉妹で非人道的な組織に誘拐された
228 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/09/06(火) 20:20:02.87 ID:lQeE/h5uo
元ヴィラン
229 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/09/06(火) 20:20:06.49 ID:6J+4HqBDo
一番古い記憶
雪原に1人、凍死寸前
230 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/09/06(火) 20:25:29.25 ID:3rxlzoCs0
双子の妹がいたが現在行方不明
231 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/09/06(火) 20:45:35.50 ID:NGz2EYs+o
肌を刺すような寒さが過去を思い出させる。それも覚えている中でも、最も古いものだ。
それが何歳ごろだったかも検討はつかない。ただ一つだけはっきりと感じたのは、死の予感だ。
どこまでも続く雪原に、猛吹雪。何故そんなとこにいたのかは分からない。それでもただ一人歩き続け、やがて倒れた。
白い視界が徐々に暗くなっていく。吹雪の音も次第に薄れ、意識が朦朧とする。そして向こうからボンヤリとした影が近づいてくるのを見たのが、最後の記憶だ。
カチューシャは我にかえると、その記憶を振り払うように頭を軽く振る。すると床に落ちている小さな人形に気がついた。
手に取ってよく見ると、それがかつて妹に渡した人形だったことに気がついた。
(どこにいったのかと思ってたけど、こんなところに…)
妹が宝物を失くしたと、さんざん泣き喚いたことが思い出される。それを丁寧にポケットにしまうと、カチューシャは口を開いた。
「これからどうする?」
「当然、ダイヤモンドダストを見つける!」
「でもどうやって見つけるの?私が空から探す?」
詩音が軽く翼をはためかせる。
「けど他にも見張りはいるはず」
「そうですよね…。いっそのことあの人たちの後を追うのはどうでしょう?」
「それか、取り敢えず中心部を目指すのはどうだ?」
カチューシャと詩音の疑問の眼差しを受けて、彼は話を続けた。
「だって、いかにもヴィランが居そうな時計塔があっただろ?」
その答えをきいてカチューシャは静かにため息をつき、詩音は苦笑いするしかなかった。
「とにかく選択肢は限られる。なんにせよ早く決めましょう」
↓1どう動くか自由安価
232 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/09/06(火) 21:05:27.22 ID:A9a9Rx2wo
中心部を目指す
233 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/09/06(火) 21:23:52.84 ID:NGz2EYs+o
「中心部を目指す、それで行こう!」
「どうしますか、クールキャットさん?」
「…まあ、いいでしょう。最悪何もなくても、時計塔からなら安全に周囲を見渡せる」
「そうですね。それじゃ、いこっか?」
「ああ!」
そうして3人は建物を後にした。
↓1コンマ
20以下で時計塔につくまでに見張りに見つかった
234 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/09/06(火) 21:24:15.71 ID:tEODoC+Ko
あい
235 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/09/06(火) 21:55:00.15 ID:NGz2EYs+o
「異常なし、と」
「ボスにどやされる前に帰るとするか」
銃を手にした男たちは車に乗り込むとその場を去った。
「また見張りか、ずいぶん多いな」
「その分ダイヤモンドダストがいる確率も高いってことだよ、きっと」
「だといいけどな」
「…ダイヤモンドダストは少女、それであってる?」
質問の意図が汲み取れず困惑した顔をしながらも赤崎は頷く。
前を歩く二人を追いながらカチューシャは思考を巡らせる。
(ダイヤモンドダストは10歳前後の少女。なら部下という存在に2つ疑問が生じる)
1つは、いくらヴィランといえども幼い子供に、大の大人が─それも見た感じでは犯罪者崩れの─従うのかという疑問。
とはいえこれに関してはある程度の妥当な結論は出せる。赤崎の話によればダイヤモンドダストの気性は激しい。であれば、恐怖によって部下を従えているのかもしれない。
(だとしてもまだ疑問は残る。少女に部下の組織化が可能なのかという点。もしかすると優れた副官のような存在がいるのかもしれない。…けど目的は?)
そんな事を考えている内に、気づけば時計塔の近くまで来ていた。
時計塔は大きな噴水のある広場に位置している。その広場付近は要塞化、というほどでもないが多少手が加えられており、見張りも十数人はいる。
「思ったより多いな。流石に正面から挑むのは無茶だな」
「ええ。ダイヤモンドダストに気取られたくもないし、何とか忍び込むしかない」
「が、頑張りましょう!」
↓1コンマ
35以下で見つかった
236 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/09/06(火) 21:55:41.53 ID:3rxlzoCs0
あ
237 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/09/06(火) 22:56:40.05 ID:NGz2EYs+o
「おい、ちょっとタバコ吸ってくる」
厚手のコートを着た中年男性が仲間に語りかける。
「はあ?あんた、見張りはどうすんのよ!」
「お前がいるだろ?大丈夫、ほんのちょっとだけだ」
それだけ言うと男はその場を離れてしまった。
「ったく!これだから中年オヤジは…」
ネオンオレンジのダウンジャケットを着た女性は悪態をつく。すると男が行ったのとは反対方向の塀の向こうから、何かが砕ける音がした。
まさかこんなところに侵入者が来るはずがない、そんなことを考えながらも彼女の鼓動は早鐘を打つ。
銃のセーフティが解除されていることを確認して、塀の向こう側を覗き込む。そこにあったのは氷が砕けちった破片だけだった。
「…ほ、ほら見たことか。どうせ上から氷の粒が落ちてきたとかそんなだろ」
そんな事を呟きながら持ち場に戻る彼女だったが、自分が見張っていた扉が僅かに揺れていたことには気づかなかった。
時計塔の内部では赤崎と詩音が一息ついていた。
「ふう、うまく入れたな」
「クールキャットさんのおかげで証拠も残りませんでしたね!」
「…とにかく中を調べましょう」
時計塔の大きさはかなりのもので、見取り図を見る限り各フロアに複数の部屋が存在しているようだ。
「1つずつ調べるしかなさそうね」
「ああ。とりかかろう!」
そうして3人は1階ずつフロアを捜索した。その殆どは氷漬けになった当時のままが殆どで、あとはいくつか見張りのものと思われる雑貨等が置いてあるだけだった。
そして最上階のひとつ下のフロアまで来た。その中に1つだけ、雰囲気の異なる扉があった。息を合わせて、3人が突入する。
「ひっ!?」
すると中にいた白衣の男が怯えるようにしてしゃがみこむ。
どうやら中は研究室のようだ。いくつかのモニターと実験器具、そして例の青い薬があった。
「おい、大丈夫か?」
赤崎が男に近づこうとするが、彼は怯えたように頭を抱えたまま動こうとしない。
「や、やめてくれ!言われたとおり働いてるじゃないか!?」
その声は酷く混乱しており、かなり震えている。
「お、落ち着け。俺達はヒーローだ」
その言葉に男はビクリと体を震わせる。
「ひ、ヒーロー!?やめろ、放っといてくれ!どうせアンタらもあのヴィラン共には敵いっこない!なにを相手にしてるかもわかってないんだろ!?下手に動いて殺されたくないんだ!」
「かなり怯えてるけど…」
「でも放っとけないだろ?」
「…」
↓3まで多数決
1放っとく
2保護する
今日はここまで。
238 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/09/06(火) 22:57:50.39 ID:cXwMHpRto
2
239 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/09/06(火) 23:00:51.64 ID:tEODoC+Ko
2
240 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/09/06(火) 23:04:16.49 ID:3rxlzoCs0
2
241 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/09/06(火) 23:14:19.31 ID:6J+4HqBDo
おつ
242 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/09/13(火) 17:39:09.38 ID:fsJ1DJpRo
「やっぱり連れ出すべきじゃないか?」
赤崎の問いに答えることなく、カチューシャは研究者を見つめる。
(…見張りは居なかった、少なくともこのフロアには)
「と、取り敢えず、顔を上げてください」
そう言いながら、詩音が男の顔を覗き込むようにしてしゃがみこむ。するとその時、男が舌打ちをした。
「え?」
すると男が顔を上げる。若者らしい溌剌とした整った顔立ちで、見るものを強く惹き付ける。だがそこには同時に不気味さを感じさせるものもあった。
彼は素顔ではなく、仮面をかぶっているようだ。よく見ると、高名な科学者たちの肖像──アルベルト・アインシュタイン、ロバート・オッペンハイマー、フリッツ・ハーバーなど──の集合によって、モザイクアートのように一つの顔が形成されていた。
そこには過去の偉人たちに対する、彼なりの敬意と傲慢が込められていた。
男は袖の下から噴射器を取り出し、詩音に向ける。
「な、何ですかっ!?」
中身が噴射されるすんでのところで、カチューシャが密かに用意していた氷の弾丸によって狙いがそらされた。
噴射された液体は詩音の隣にあったテーブルにかかったが、その箇所には拳大ほどの穴が空いていた。
「ちっ…。これだから、ヒーローというのは嫌いなのさ。人の話を聞かずに、傲慢な振る舞いしかしない」
科学者は立ち上がりながら白衣の裾を払う。
「お前、ヴィランか!」
変身を終えた赤崎が男に問う。
「ヴィラン?違う違う、僕はただの博士だよ」
男は気怠げにスプレーを持ちながら戦闘態勢に入る。
「コイツを黙らせる」
「ああ!」
「は、はい!」
↓1
76~ 1発KO
21~75 戦局有利
16~20 膠着
6~15 戦局不利
01~06 戦局不利(次の判定悪化)
243 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/09/13(火) 17:46:18.07 ID:hP81LbMqO
ふん
244 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/09/13(火) 18:15:16.93 ID:fsJ1DJpRo
博士と自らを自称した男の動きは速かった。彼が毒が入った容器を放り投げると、炎が燃え上がっているかのように毒の壁ができた。詩音と赤崎を、一歩引いたところにいたカチューシャから分断したのだ。
(…これじゃ弾も防がれる)
赤崎は博士の懐に入り込もうとするが、牽制で放たれる毒の噴射のせいで思うように行かない。
詩音は室内ということで能力がうまく発揮できずにいる。いくつか羽を飛ばして赤崎の援護を試みているが、効果はあまり芳しくない。
↓1
76~ 1発KO
21~75 戦局有利
16~20 膠着
6~15 戦局不利
01~06 戦局不利(次の判定悪化)
245 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/09/13(火) 18:17:09.31 ID:MnAJ6EM60
はあっ
246 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/09/13(火) 18:31:19.82 ID:fsJ1DJpRo
赤崎たちが決定打を与えられない一方で、博士にも焦りはあった。
(だいたい、僕は武闘派じゃないんだよ。今だって何とか分断して拮抗できてるけどさ。早いとこここから逃げないとね)
幸い近くに出口はあるが、背中を見せようものなら一撃を食らうのは間違いないだろう。
博士がそんな事を考えている内に、次第に毒の壁が消滅しつつあった。
↓1
76~ 1発KO
21~75 戦局有利
16~20 膠着
6~15 戦局不利
01~06 戦局不利(次の判定悪化)
247 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/09/13(火) 18:32:48.58 ID:3lRkIb7e0
た
248 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/09/13(火) 19:01:12.80 ID:fsJ1DJpRo
ようやく毒の壁が消えたのを確認すると、クールキャットは弾を2つ用意した。
博士も壁が消えてしまったのは見えていたが、スカイウイングの羽根を避けるので精一杯だった。その上次第に精度がよくなってきている。
そんな博士の窮状に気づいたのかレッドマーゾが仕掛けようとする。白衣の科学者もやられまいと、毒の噴射機を用意する。
「っ!」
鋭い痛みが手の甲を襲う。見てみると、手の甲に小さな穴が空いていた。
「科学者の大事な手に穴を開けるなんて、それでもヒーローかよ…!」
そんな言葉に構うことなく、レッドマーゾは膝蹴りを博士の鳩尾に容赦なく叩き込んだ。
博士は腹を押さえながら倒れ込む。仮面をつけているので表情は変わらないが、口元の方から涎らしき液体が垂れていた。
「こ…降参だよ…」
震えながら両手を挙げて、博士は力なく呟いた。
「や、やりました!」
レッドマーゾは博士を後ろ手に拘束すると、床に膝立ちさせた。
「それで、どうする?」
「情報を聞き出す」
↓1
博士に何を質問する?
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