【安価スレ】堕ち行く光

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/07/31(日) 23:26:38.97 ID:DydsF5+UO
生きるということは、背負うということ。
道半ばに斃れた仲間の想い、願いを背負い、進むということ。

生きるということは、苦しむということ。
生きている限り、離別と喪失の苦しみは際限なく襲ってくる。
理不尽や不条理の苦しみも、生きている限りは決して終わらない。

生きるということは、奪うということ。
進む道を阻む者の命、希望、心を踏み躙り、断ち切る。
この世に生きる者は皆何かしらを奪い、骸の上に生きている。

苦しむ心を。責任を。全てをかなぐり捨てることが出来たら、どれだけ楽だっただろう。
何も感じない心を持っていれば、どれだけ楽だっただろう。

今までに、どれだけ苦しんだだろう。
これから、どれだけ苦しむのだろう。

そんなことを考えながら、俺は目を閉じた。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1659277598
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/07/31(日) 23:27:31.09 ID:oe7E69neO
曇天の空から降り注ぐ豪雨が、乾いた大地を潤す。その中を、一人の青年が歩いていた。
精気の抜けた顔は雨とも涙ともつかぬ液体で濡れ、その眼差しは深淵のごとき闇を湛えている。
誰の目に見ても悲惨な出来事があったのだと想像させる姿であり、事実、彼にとっては世界に絶望するに足る悲劇があった。

麻布に覆われた『何か』を大事そうに抱き抱え、当もなく彷徨う旅人は、この世界に希望など抱いてはいなかった。

「…滑稽だな。俺も、貴女も」

人のために戦い、傷つき、癒し。その結果が護りたかった人々からの痛罵とは。
端から見返りなど求めていなかったが、こうも堂々と非難され、手のひらを返されては呆れることすら出来なかった。
寧ろ、その結末を見抜けなかった自分の眼の節穴具合に嘆息するばかりだ。

「貴女は良かったのか?こんな終わり方で」

麻布を捲り、顔を露出させる。その表情からは、彼女の後悔がありありと感じられる。

「俺は…嫌だな…」

勇者は聖女の亡骸を強く抱きしめ、声無き嘆きを上げた。
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