勇者「魔王は一体どこにいる?」の続編の完結

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777 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:54:21.06 ID:RKoe7B/E0
『帰り道』


スタスタ


盗賊「あぁぁすっかり暗くなっちまった…」

女ハンター「ハァハァ…」ヘロヘロ

盗賊「ヌハハちっと頑張り過ぎたな?」

女ハンター「フン!!カスリもしないで悔しいだけさ」

盗賊「まぁ俺じゃ無かったら通用するから今日の動きはイメージトレーニングしとけ」

女ハンター「あんたどうして動きが見切れる?」

盗賊「さぁな?勘だ…勘…」

女ハンター「…」ギロリ

盗賊「まぁそんな怖い顔すんな…経験積んだら分かるようになるんだよ」


シュタタ クルクル ドン!!


盗賊「ぐぁ!!」ズザザー

少女「お前ーーー!!何故手伝いに来ないーー!!」シュタ

盗賊「おんどりゃぁぁ!!」ムク

少女「向こうは大変だぞ!今日もゲス達は帰らん」

盗賊「何ぃ?」

少女「血の匂いに誘われて他の魔物も来てるのだ…シーサーだったか…他にも色々だ」

盗賊「マジか…リコルはどうした?」

少女「父は残って戦ってる…民兵沢山怪我して動けない」

女ハンター「どうも援護に行った方が良さそう…」

盗賊「ロボを連れて行って安全な場所は有りそうか?」

少女「ゲスの所が安全だ…ゲスに助手が居れば尚良い」

盗賊「そうか…まだ馬車は間に合うな?」

少女「急げ!!最後の馬車が出てしまうぞ」

盗賊「どうやら今晩が稼ぎ時な様だ…行くぞ!!」ダダ


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778 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:54:59.67 ID:RKoe7B/E0
『旧市街_臨時療養所』


ぅぅぅ…俺は動ける

ダメダメ骨が折れてるんで邪魔になるだけっす

水をくれぇ…

ちっと誰か水とか食料配ってくれやせんかねぇ…


盗賊「いよう!!頑張ってる様だな?」

学者「兄貴ぃ!なんか怪我人の処置みんな慣れて無いんでゴタゴタなんすよ」

盗賊「そんな感じだな?被害の状況はどうよ?」

学者「ほとんどの怪我人は竜巻に巻き上げられた後の落下で骨折っすね…なんで戦力にならんのです」

盗賊「重症な奴はあんま居ないみたいだが…」

学者「怪我が酷い人は忍びがどっか運んで行きやしたよ…例の頭爆発した奴も忍びが運んで行ったっす」

盗賊「なるほど?」

女ハンター「これ…何を手伝えば?」キョロ

学者「とりあえず水と食料を配って行って欲しいんすが…それはミルクちゃんでも良さそうっすねぇ」

盗賊「リコル達はどうした?」

学者「動ける民兵に混ざって魔物と戦って居やすね…兄貴とラスさんはそっち行きやすか?」

盗賊「ヌフフ稼ぎ時だな…」

学者「なんかそんな状況でも無いんすが…ポーションとかも自腹で使ってるんで取り返してきて下せぇ」

女ハンター「自腹?フィン・イッシュから支給とか無いの?」

学者「もう全部使っちまいやしたよ…慣れて無いんで皆ガブガブ飲んじゃったんすよ…一口づつで良いのに」

盗賊「ぐは…やっぱちゃんとした医者は必要だな」

学者「今晩乗り切れば動けなくて邪魔な人減って来るんで魔物退治ももうちょい上手く行くと思いやす」

盗賊「怪我したまんま戦ってる奴が居るんだな?」

学者「そうっすね…そいつら守るのに無駄な労力使ってるっぽいっす」

盗賊「軍隊と違ってそういう所が民兵な訳か…よっし!一丁魔物の数減らして来るかぁ!!」

学者「怪我したらここに戻って来て下せぇ」

盗賊「おう!!ロボ置いて行くから水運びぐらい手伝わせてやってくれ」

学者「わかりやした!!」

盗賊「ラス!!リコル達探すぞ!!来い!!」


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779 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:55:42.50 ID:RKoe7B/E0
『翌朝』


チュン パタパタパタ


盗賊「ふぅぅぅ…終わったな?」キョロ

女ハンター「もう弾丸無い…一度戻らないと」フラ

盗賊「結局俺ら後方でガーゴイル倒すぐらいしか役に立たんかったな…」

戦士「まぁ…民兵の弓が主力だから仕方が無い」

盗賊「しかしリコル!もう鎧が傷だらけだな?」

戦士「ハハ戦った体が出て良いでは無いか」


シュタタ


剣士「アランさ〜ん!!ガーゴイルの処置終わったよぉ〜」

盗賊「おう!!一回療養所に戻るか…昼間の内はガーゴイル出ないから戦闘も落ち着くだろう」

剣士「そうだね…油玉も爆弾ももう無くなっちゃた」

盗賊「角はどんだけ集まった?」

剣士「ええと…ガーゴイルの角が12本…キラーパンサーの牙が2本…あとクマ倒した筈だけど死体がどこか持って行かれた」

盗賊「くぁぁぁ勿体無ぇなぁ…」

戦士「アラン君!武器類が結構落ちている様だぞ?」

盗賊「そら回収しないとな…俺見回って来るから先に療養所に戻っててくれ」

戦士「分かった…」

剣士「一回宿屋に戻るよね?もう爆弾とか無いから作らないと戦えない」

盗賊「その方が良い…お前等昨日も寝て居ないだろう?」

剣士「ちょっと休みたいかな…」

盗賊「とりあえず療養所行ってゲスと合流しといてくれ」

剣士「分かった…」


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780 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:56:16.45 ID:RKoe7B/E0
『臨時療養所』


ヒソヒソ ヒソヒソ…

忍びの奴らが話してるのを聞いたんだ…女王の不在を狙われたってよ

不在ってどういう事だ?そういえば随分前から姿は見て無いな…

おい!狙われたって誰の事だよ?

財務担当の側近らしい…もう一人は娼館の女…ホラ一番人気の有名な奴だ



盗賊「おろ!?もう寝ちまったか…」ガチャガチャ

戦士「まぁゲス君もミライ君も疲れているのだ」

盗賊「リコルはまだ行けそうか?」

戦士「んん?何故だ?」

盗賊「宿屋まで一旦戻ろうと思ってんだが…カゲミが返って来るもんでよ」

戦士「そうか…しかし起こすのも可哀そうだな」

盗賊「ゲスは俺が背負って行く…この武器類を預かってくれ」ガサリ

戦士「ハハハ随分集めたな?」

盗賊「他にも落ちてたんだが…使いそうな物だけ集めて来たんだ…その2連式クロスボウはミルクでも使えるぞ?」

戦士「少し大きい様だが…」

盗賊「背負ってりゃ盾替わりにもなる」

女ハンター「私も半分持つ…」ガチャ

盗賊「リッカは起きてるな?ミライを背負って来てくれ」

女オーク「分かった…」ヨッコラ

盗賊「まぁ馬車に乗っちまったら少し休めるから辛抱してくれ…ロボ!!行くぞ」スタ

ロボ「ピポポ…」ウィーン


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781 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:56:57.70 ID:RKoe7B/E0
『馬車』


パシン! ヒヒ〜ン ガタゴト ガタゴト


盗賊「はぁぁ…これでちっと休めるな…」ドタ

戦士「少し酒っを持って居るが…飲むか?」スッ

盗賊「おぉ!!良い物持ってんじゃ無ぇか…一口貰うな?」グビ プハァ

戦士「レーションもあるぞ?」

盗賊「そら要らん…嫌いなんだ」

戦士「そうか…」カリ モグ

盗賊「しかし…フィン・イッシュも…ちょいとボロが透けて見えるな?」

戦士「フフ…」

盗賊「まぁ民兵頼りじゃこうなっちまうよな…」

戦士「それがこの国の特色だろう?地力は割と高いと思うぞ?」

盗賊「一枚岩になってりゃそうかもしれん…だがどうもエルフとドワーフ…オークが噛み合ってない」

戦士「ふむ…」

盗賊「昨夜も戦ってるのは人間とオークだけだ…ドワーフは新市街から動いて無ぇし…エルフは何処行ったか分からん」

戦士「つなぎ役の人間に問題有か…」

盗賊「なんつーか…頭の回るドワーフとエルフは違う事考えて居る気がすんのよ…オークは単純に人間を守る為に動いてそうだ」

戦士「先日のドラゴンの件も…そう言うのが働いて居るのだろうな」

盗賊「こっから先の話は宿屋に戻ってからにすっか…」

戦士「それが良い…あまりしゃべるとミルクが怒り出す」ナデナデ

少女「ふにゃー」ゴロン


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782 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:57:35.24 ID:RKoe7B/E0
『翌日_とある宿屋』


ゲシゲシ ユサユサ


学者「兄貴ぃ!!起きて下せぇよ…」ユサユサ

盗賊「ふががが…ふごーー」zzz

少女「アランは一度寝たら中々起きんな」ゲシゲシ

学者「しゃぁ無いっすねぇ…俺っちが代わりに話を聞いて来やす」

戦士「ミルクも一緒に行けば問題無いと思うぞ?」

少女「仕方ない…ゲス行くぞ!」

学者「へいへい…」

少女「多分秘密の話だから聞き直すのはダメだぞ?」

学者「そういうの苦手なんすよねぇ…」ブツブツ

少女「何も言わないで聞いて居れば良いのだ」

戦士「ハハ大丈夫だよ…ラクに行けば良い」

学者「ほんじゃちっと行って来やすね…」スタ


ガチャリ バタン


盗賊「待てゴラ…むにゃ…んがが…」zzz

女ハンター「本当…呆れる…」シラー

戦士「まぁまぁ…それよりラシャニクア君…接近戦闘はいつから?」

女ハンター「この間アランに少し教えて貰っただけ…」

戦士「ふむ…後衛が少しでも接近戦闘出来ると随分助かるんだ…是非訓練を続けて欲しい」

女ハンター「訓練の仕方を教えて貰って無い…」

戦士「船に訓練用の木人でも用意したら良い」

剣士「ああああ!!ソレだ!!木人!!」

戦士「おっと…何か思いついたかね?」

剣士「船に乗ってる人数をごまかせる!!海賊対策になるじゃない!!」

戦士「ハハハそういう使い方も出来るねぇ」

剣士「姉さん!!良い事思いついた!!木材買いに行こう!!」

女オーク「何処に置く気?もうここには置き場が無いわ」

剣士「船の横に倉庫が有ったじゃない…そこに運べば積んでもらえる…というか今使わない物資はもう運んでおこう」

女オーク「ウフフ分かった…じゃぁ運びましょう」


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783 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:58:14.54 ID:RKoe7B/E0
『1時間後』


ガチャリ バタン!


学者「兄貴は起きやした?」ドタドタ

女ハンター「まだよ…」シラー

学者「あらら…」

女ハンター「ギルドからの連絡はどうだったの?行き先とか…」

学者「もう連絡してあるって言うんすよ…貰ったのは海図だけっすね」パサ

女ハンター「海図…」ジロ

学者「北側の地形と岩礁とか海流が記されてるだけっすね…何処に行けっていう指示が無いんすよ」

女ハンター「ミルクは何か聞いてないの?」

少女「アランが知ってる…私は聞かされてないぞ」

戦士「ハハ毎度の事だ…」

学者「こんな感じなんすか…」

戦士「その他に先日のドラゴンの件とかは何か言って無かったか?」

学者「忍びも盗賊ギルドも認知して居るから関わるなと言って居やしたね」

女ハンター「認知?」

学者「なんか内側に…」

少女「ゲス!!その話は船に乗ってからにしろ…お前おしゃべりだ」

学者「へいへい…壁に耳あり障子に目ありっすね…」

戦士「済まん済まん…要らん問いをしてしまった様だ…素直に従うしか無いな…ハハハ」

女ハンター「…」

学者「ほんで船の補修がそろそろ終わりそうなんで荷を積んで良いらしいっす」

女ハンター「丁度ミライとリッカが荷を運んでくれているよ」

学者「そうっすか…俺っちも物資買っとかないともうポーション無いんすよね…」

女ハンター「魔物を倒したのは良いけれど…使った分を差し引くとあまり儲かって居ない様ね…」

学者「むしろ損してるっす…儲かったのは兄貴が持って帰った武器類の分っすよ…ポーションが意外と高いもんで」


盗賊「ハッ!!」パチ ムクリ


学者「おわ!!兄貴ぃ!!起きやしたね?」
784 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:58:48.52 ID:RKoe7B/E0

盗賊「…」キョロ?

学者「なかなか起きんもんでギルドの連絡は俺っちが聞いてきやしたぜ?」

盗賊「おい!!地図かなんか預かって無ぇか?」ドタドタ

女ハンター「…」ピラピラ

盗賊「おぉぉそれか!!見せろ!!」ダダ

学者「ちょ…兄貴?どういう事っすか?」ハテ?

盗賊「マジか…ミルク!!お前こんな方法で連絡し合ってんだな?」

学者「え!?」

少女「お前気付くの遅い…」

女ハンター「アラン?もしかして…夢で?」

少女「それ以上言うな…何処に機械あるか分からんぞ?」

盗賊「ヌハハ確かに…やっと理解したぜ…此処ん所ずっと同じ夢見てたのよ」

少女「分かったらサッサと船に荷物積むのだ…話はそれからだ」

学者「船がもうすぐ補修終わるんで荷を積んで良いらしいっす」

盗賊「そうか!!集めた武器も持って行かんとな!?」

学者「ほんじゃ荷入れに行きやしょう!」


--------------



『造船所』


エンヤーコーラ ドッコイセー


船大工「どやーー!!ピッカピカやろー!!」

盗賊「おぉ!!船底を赤く塗ったんか…」

船大工「これでフジツボが付かんくなるで速度乗るんやで?」

剣士「アランさ〜ん!!」フリフリ

盗賊「ヌハハもう乗ってんのか…俺も荷を積みに来た所だ」

船大工「ワイらも依頼の荷を積まなアカンで持ってきたもんはとりあえず居室入れとくんや」

盗賊「依頼って何積むんだ?」

船大工「木材やら松脂やらいろいろや」

盗賊「そらありがてぇ」

船大工「荷を積んでしばらく復元力を検査するからまだ出港は出来んぞ?そやな…明後日やな」

盗賊「復元力?どっか改造でもしたんか?」

船大工「船底を黒鉄で補強しとるでちっと具合が変わっとるんよ…まぁ楽しみにしとり」

船大工「あとな?今船に乗っとる2人に手入れの仕方を教えて置くで今日は船で泊らせや?」

盗賊「おう!あいつら中々良い仕事するぞ?」

船大工「そやなぁ!エライ船を褒められてワイも嬉しいわ」

盗賊「ちっと俺も中見てくんな?」

船大工「散らかすなや」


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785 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:59:32.29 ID:RKoe7B/E0
『キャラック船』


ドタドタ


盗賊「うほーー…ロープも全部張り直してんな…」ギシギシ

剣士「帆も防水加工してあるよ!スゴイね」

盗賊「船底は見て来たか?なんか鉄で補強したとか言ってたが…」

剣士「それ船の外側だね…海に浸かってるからもう見えないと思う」

盗賊「外側…」

剣士「岩礁に当たっても穴が開きにくくしたんじゃないの?」

盗賊「なるほど…」

剣士「船の内側は樹脂で隙間しっかり埋めてその上から塗装してるからピッカピカだよ」

盗賊「うむ…歩いただけで違いが分かるわ」

剣士「そうそう!あのドワーフの船大工がこの船に天測器が無いから航海士が居るのか心配して居たんだけど…」

盗賊「ぐぁ…そうだ航海士居無ぇな…測量とかそういう奴な?」

戦士「ミルクの鼻ではダメか?」

盗賊「まぁ外海のど真ん中行く訳じゃ無いからそれで行くだな」

女ハンター「星の角度を測るくらいなら私のスコープで出来る」

盗賊「お!?そんな機能が付いてたんか?」

女ハンター「角度を測る器具は別に必要になるけど…ちょっと後で市場に探しに行ってみる」

盗賊「俺もちと航海術の書物でも買っておくか…」

剣士「あ!!角と牙あるからお金と交換しなきゃ」

盗賊「ミライとリッカは船に残れとあの船乗りが行ってたぞ?俺が交換してくるから寄越せ」

剣士「分かった…」ゴソゴソ

剣士「…でも何の用事で船に?」

盗賊「船の手入れの仕方を教えたいんだとよ」

剣士「おぉ!!それ僕も知りたかった!!」

盗賊「そりゃ良かった」

剣士「船大工かぁ…良いなぁ…完璧な船作って見たいなぁ…」

盗賊「どうやらお前に向いて居そうだ…しっかり教えてもらうだな?ヌハハ…」


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786 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:00:10.49 ID:RKoe7B/E0
『街道』


ゴロゴロ


盗賊「荷車ゲット出来てて良かったわ…」ゴトゴト

学者「ロボもラク出来やすからねぇ」

ロボ「ピポポ…」クルリン

盗賊「あと足りない物資って何だ?水も食料もまだそこそこ乗ってたよな…」

戦士「どのくらいの期間航海するかにもよると思うが?」

学者「薬っすね…ポーションだけじゃダメなんで…買う物結構色々ありやすよ」

戦士「栄養も偏らない様に考えておく必要があるぞ?」

盗賊「って事は保存食を色々買うのと…フルーツとかありゃ良いか」

学者「ちっと物資調達は俺っちがやっても良いっすか?なんか兄貴だと酒とか肉ばっかり買いそうなんで…」

盗賊「なんだとう!!」

女ハンター「正解!」

盗賊「ケッ!!勝手にしやがれ!!」

学者「兄貴は天測器とか航海士に必要な道具を調達出来やせんか?…これ買うと多分高いっすよ」

盗賊「お!?そういや帆が折れたスクーナーに色々乗ってたな…」

戦士「んん?帆が折れたスクーナー?」

盗賊「そういやリコルは知らんかったか…俺らを襲った海賊共が普通に入船して来てんだ」

学者「うは…マジっすか」

戦士「海賊船が入船してるとはおかしな話だな…」

盗賊「どうやらフィン・イッシュから向こうの大陸にアヘンを密輸してんのよ…ここじゃ商船って事になってんだろ」

戦士「おや?…先日殺されたのは財務担当の側近だったね…なんだか臭いねぇ…」トーイメ

盗賊「あんま首突っ込まん方が良いな?」

学者「とりあえず兄貴には兄貴のやり方で調達お願いしやすよ…あんまお金に余裕も無いもんで」

盗賊「まぁ楽勝だ…ちっと行って来るわ」

学者「頼んますぜ?」


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787 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:00:43.78 ID:RKoe7B/E0
『夜_とある宿屋』


ヒソヒソ ヒソヒソ

あの女…まだこの辺に居る筈だ…探せ

逃がしゃし無ぇぞ…あんな金づる滅多に居無ぇ


少女「騒がしいな…何か有ったみたいだぞ?」

盗賊「んん?何か聞こえたか?」

学者「兄貴ぃ!!ちっと腹減ったんで酒場で何か食いやせんか?」

盗賊「おぉ…だが俺は金が無くてよう…」

学者「俺っちが出しやすよ…豆ばっかじゃ腹膨れんっす」

盗賊「同感だ!!お前のおごりでちっと出るか?」


トントン…


盗賊「んん?誰だ?」

男の声「僕だよ…鍵開けて」

盗賊「おぉ!!今酒場行こうと思ってた所だ」カチャリ


ガチャリ バタン!


影武者「鍵閉めて!」ダダ

盗賊「ん?おう…どうしたんよ?」カチャリ

影武者「ちょっと追われてる…隠れたいな」

盗賊「地下に倉庫があるが?どうした?」

影武者「前に僕を裏切った傭兵にばったり出くわしちゃったのさ」

少女「んん?外の声か?こっちに来るぞ?」

影武者「倉庫に隠れる…上手く追い払って」スタ


ドンドンドン!


盗賊「なんだこりゃ…面倒な事になって来たな?」

野郎の声「おい!開けろ!今此処に女が入って行っただろう」ドンドンドン

女ハンター「私が出ようか?」

盗賊「上手く追い払ってくれ…」ヤレヤレ

野郎の声「おらぁ!!ここに居るのは分かってんだ!!開け無ぇと…」


ガチャリ ギー


野郎1「どわ!!急に開けんな馬鹿野郎が…」ヨロ
788 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:01:20.37 ID:RKoe7B/E0

女ハンター「何?迷惑なんだけど…」ジロリ

野郎1「なんだお前偉そうに…っとなんだ男が何人もゾロゾロと…」

ウルフ「グルルルル…」

野郎2「おい!!ウルフまで居るぞ…」タジ

女ハンター「…で?何の用?」

野郎1「とぼけんなゴラ…今一人ここに女が入って来ただろうが…俺らはそいつに用が有んだ」

野郎2「大人しくしてりゃお前等に用は…んん?おい!こいつ等…」

学者「あらららバレちゃいやしたね…」チャキリ

野郎1「おっと!そうは行か無ぇぞゴラ!!」グイ

女ハンター「あ…」ギュゥ ジタバタ

野郎1「撃てるもんなら撃ってみろ!!グハハハハ」

野郎2「こりゃツイてる…銃まで手に入りそうだ…そいつを降ろして俺らに従え」

学者「ええと…」ウーン

女ハンター「くっ…」チラリ

盗賊「おっと…こりゃ敵わん…」コクリ


スチャ ブスリ!!


野郎1「ぐぁ!!さ…刺しやがった…このあまぁ!!」ボタボタ 

盗賊「おっと!!」ダダ グイ

野郎2「あだだだだ…」ボキボキ

盗賊「こりゃ形成逆転だな?リコル!!そいつを押さえろ」グイ

戦士「あらあら…」グイ

野郎1「離せゴルァ!!」バタバタ

盗賊「騒がれると面倒だ…落とすぞ?」ゴン!!

戦士「フン!!」ゴン!!

野郎共「ぐへぇ…」ドタリ

盗賊「ミルク!他に仲間は居そうか?」

少女「少し遠くをウロウロしてる」

盗賊「どうすっかなぁ…樽に積めて海に放って来るか」

学者「ウハハそれで行きやしょう…」

盗賊「その前に軽く手当してくれ…死んじまったら寝覚めが悪い」

学者「そーっすね…とりあえず身ぐるみ剥ぎやしょう」ゴソゴソ


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789 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:02:00.14 ID:RKoe7B/E0
『手当て』


ヌイヌイ…


盗賊「おぉぉこいつ等結構金持ってんな…金貨20枚ぐらい持って居やがる」ジャラ

学者「手当てしたは良いんすが…樽に入れて海に流しても目を覚ますと色々マズそうっすねぇ…」

盗賊「ううむ…手足縛って倉庫ん中に置いて行くか」グイ グイ ギュゥ

戦士「それが良さそうだ…船に乗って居た方が安全だろう」

少女「他の仲間がウロウロしているから今外に出るのは危ないぞ?」

盗賊「どんくらい居るのよ?」

少女「正確には分からん…15人ぐらいか」

学者「多いっすね…見つかると騒ぎになっちまいやすね…」

盗賊「しゃぁ無ぇ…アイツらの船燃やしてタゲ逸らすか」

女ハンター「もしかしてここから私が狙う?」

盗賊「いや…街中で銃声聞かれるのもマズイ…ちっと俺が行って燃やして来るから荷物纏めといてくれ」

戦士「荷車ごと移動するのだな?」

盗賊「そうなるな…色々買ってんだから置いて行く訳にもいくめぇ…盗んだ器具類もあるんだからな」

学者「兄貴を待ってれば良いんすか?」

盗賊「どうすっかなぁ…タゲが逸れてチャンスが出来たら先に移動した方が良いかも知れんな…」

少女「任せろ…匂いで分かる」

盗賊「俺は後から上手く合流すっから上手くやってくれ…ほんじゃちっと行って来るな?」

学者「気を付けて下せぇ」ノシ

盗賊「おう!!じゃぁな!!」


ガチャリ バタン! タッタッタ…


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790 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:02:33.40 ID:RKoe7B/E0
『1時間後_宿屋の裏』


ザワザワ ヒソヒソ

なんや何処かの船が燃えとるやないか!?

おいおい俺らの船のすぐ隣じゃ無ぇか…親方呼んで来い!!


少女「チャンスだ…匂い移動してる」

戦士「よし!カゲミさん…行けるかね?」

闇商人「僕は多分隠れて居た方が良い…荷車に乗らせて貰う」ピョン

学者「他にも見られるとマズイ感じっすか?」

闇商人「そうだね…僕が買う予定だった船の代金を払って居ないんだよ」

学者「あらら…なんか色々問題抱えてるんすね…」

闇商人「全部アイツらが裏切ったせいだよ…船も奪われて借金だけ僕に残ったのさ」

商人「父!!荷車移動するぞ!」

戦士「おう!!」グイ ゴロゴロ

学者「ガーゴイルが上で旋回してるんで一応気にしといて下せぇ」

女ハンター「私が見ておく…行って」


ガタゴト ガタゴト…


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791 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:03:03.51 ID:RKoe7B/E0
『キャラック船』


ドタドタ…


女ハンター「私見張り台に上がって桟橋の様子見て来る」タッタ

学者「ええと…とりあえず荷を居室に入れやしょう…よいしょ!!」ヨタヨタ

剣士「あれぇ!?どうしたの?」シュタタ

戦士「少しゴタゴタが起こってね…船の方が安全だと思って来たのだよ」

剣士「そうなんだ?…なんか向こうで船が燃えてる様だけど…それだね?」

戦士「燃えて居るのはリッカ君がマストを折ったスクーナーなのだよ…どうやら縁がある様だ」

剣士「アハ…追いかけて来てるのかぁ…」

戦士「向こうは私達が造船所で補修しているとは思って居ない様だ…こちらに居た方が安全だろう」

闇商人「僕はそういう訳に行かないけどね…どこか隠れる場所は無いかい?」

剣士「う〜ん…船尾楼は操舵で人が出入りするから…」

戦士「水が入って居る樽を空ければ隠れられそうだが?」

闇商人「それで良い…借金があってドワーフの船大工に顔を会わせられないんだ」

剣士「おけおけ!樽一個空けるね…こっちだよ」スタ

闇商人「ふぅ…やっと落ち着ける…」スタ

戦士「ミルク!周囲を警戒しててくれ」

少女「背中撫でろ」

戦士「寝てしまうのでは無いか?」ナデナデ

少女「ウルフィも居る…大丈夫だ…ふぁ〜ぁ」コテン

女ハンター「なんか…桟橋の方で乱闘が起きてる…」ジーー

戦士「ハハ狙った通りだねぇ…さすがアラン君だ」


スゥ…


盗賊「いよぅ…上手く撒いて来たぜ?」

戦士「おぉ戻ったか…こちらは静かな物だ」

盗賊「カゲミは何処行った?」

戦士「船尾楼に入れてある樽に隠れるそうだ」

盗賊「よっし!やっと落ち着いて話が出来そうだ」

戦士「その前に腹ごしらえが必要なのでは?」

盗賊「ヌハハそうよ腹減ってんのよ…ちっと肉でも食いながら話しすっか!」

戦士「それが良い…」


--------------
792 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:03:44.24 ID:RKoe7B/E0
『船尾楼_小さな炉』


ジュゥゥゥ モクモク


学者「やっと肉に有り着けやしたよ…」ガブリ モグモグ

盗賊「フィン・イッシュは以外と肉が高けぇな?」ガブ モグ

学者「そーっすね…多分資金回収なんすよ」

闇商人「僕もお腹が空いて居るんだ…気を使って貰って良いかい?」

盗賊「ヌハハ樽の中じゃぁなぁ…」

剣士「僕は肉食べないからあげるよ…ハイ」ゴソゴソ

闇商人「ありがとう…」パク モグ

盗賊「ほんで?ドワーフの海賊と取り引きってのは上手く行ったんか?」

闇商人「そうだね…」

盗賊「何を取り引きしたのよ?」

闇商人「まぁ…情報さ」

盗賊「くぁぁぁ…やっぱお前いろいろ隠して居やがる…話したく無きゃまぁそれでも良いが…」

闇商人「コレだよ…」ポイ バサ

盗賊「お?なんだ?海図か?」

闇商人「ドワーフの海賊だけが持ってる世界の詳細地図さ…それを手に入れたんだ」

学者「ちっと見せて下せぇ…」ドタドタ

盗賊「おぉぉ…海図じゃ無いが…こりゃ相当詳細に書かれた地図だな?」ペラペラ

闇商人「その地図で記された何処かに…ホムンクルスが匿われているんだよ」

盗賊「場所は聞き出せて居ないんか?」

闇商人「教えてくれない…まぁでも…世界地図が手に入っただけ前進したと思えば良い」

盗賊「なるほど?…ほんでお前は何を出したのよ?」

闇商人「隠しても仕方ないから教えてあげるよ…女王が書いた伝記さ…」

盗賊「やっぱりそうか…」

闇商人「ハハ薄々感づいて居たね?」

学者「俺っちも内容が知りたかったっすね…勇者とか海賊王の娘の行方とかっすよね?」

闇商人「早い話そうだね…前にシン・リーンの魔術師達が魔法を使って言論統制をしていると言っただろう?」

学者「それと関係が?」

闇商人「書物に記された物までは消せないのさ…勇者の仲間の誰が行方不明で誰が生き残って居るのか記されて居たんだ」

盗賊「それをドワーフの海賊が欲しがる理由って何だ?」

闇商人「海賊王も…娘の行先を追って居るからだね」

盗賊「なるほど…」

闇商人「まぁ僕だけ知って居ても仕方が無いから全部話してしまおうかな…実は20年前…」


海賊王の娘アイラが黄金郷を発見したのは有名な話だね…
793 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:04:32.04 ID:RKoe7B/E0
その時本当に行方不明になったのは勇者アイリーンとシン・リーンの魔女ルイーダ…

そしてシャ・バクダ王朝最後の末裔サルマンの3人なんだ

海賊王の娘アイラはその3人を捜索する為に1年ほどかけて黄金郷をサルベージする基礎を作った

海底から初めに発見されたのは全身宝石へと姿を変えた魔女ルイーダ

その後彼女をシン・リーン女王の下へ運んだけれど…宝石へと姿を変えたルイーダの経緯を知って女王は言論統制を始めた

何故かと言うと…

海賊王の娘を含む勇者一行がした事…それはこの世の神を滅する行為だと悟ったから…

この人間の世界で…神が滅んだという事が世に伝わるのを防いで居るんだ

なぜなら…人間の根底にある真理…そこに神が居るから道徳が保たれる

それが無くなってしまったと世に知れてしまえばすべて倫理がすべて瓦解すると考えたのさ


闇商人「だから宝石となったルイーダを運んだ商人のマルコさんは…事情を知る者として捕らわれの身になった…」

闇商人「その後…フィン・イッシュへ訪れた魔術師達は事情を知る者の記憶を次々と消して行く…」

闇商人「そして事態の異常に気付いた海賊王の娘アイラは…幽霊船と共に姿を消したんだ」

盗賊「そりゃフィン・イッシュ女王の記憶も消されたと思って良いのか?」

闇商人「さぁ?そこまでは分からない…でも今回海賊王の娘に扮して誘き出しをやって居るのは…多分記憶が有るからだと思う」

盗賊「とりあえず…居場所がハッキリして居そうなのが商人マルコだけか…」

闇商人「魔女ルイーダは眠り姫としてシン・リーンに安置されて居るらしい」

盗賊「ホムンクルスはなんでドワーフに囲われてんのよ?」

闇商人「言論統制が始まる前…出産の為に名もなき島という場所に行ったらしい…でもその場所が分からない…」

盗賊「そうか…結局マルコ探して聞くしか無い訳か…」

闇商人「まぁ…先に海賊王の娘アイラと会う事が出来たなら…そっちから聞いた方が安全かもね」

盗賊「安全?魔術師に記憶消されないで済むってか?」

闇商人「うん…でもどの道僕はマルコさんを救いに行くつもりだし…その為には君の力が必要なんだよ」

盗賊「なるほどな?姉御が急に旅に出ようって言い出したのは…お前と既にそういう話をしてたんだな?」

闇商人「それは少し違う…ニーナは単純に君の願いを叶えようとしてた…少し…何か感付いて居た所は有ったかもしれないけど」

盗賊「何か?」

闇商人「世界の異変と言えば良いかい?電脳化した者が何を成そうとして居るのか…」

盗賊「おいおい…完全体のホムンクルスと何か関わってるってのか?」

闇商人「君は知らないんだね…完全体のホムンクルスの脳は機械なんだよ…マルコさんはそれを研究してた」

盗賊「マジか…ロボの真逆って事か…」

闇商人「君も…機械と向き合わなきゃいけないのさ…そこらへんは覚悟しておくんだね」

盗賊「向き合うも何も…俺はロボにホムンクルスの肉体を与えたいだけだ」

闇商人「機械もそれがしたいんじゃないのかい?」

盗賊「なぬ!?」

闇商人「機械が欲して居るのはエネルギーでは無く…恐らく命を欲している…そうは思わないかい?」

盗賊「…」---目的が俺と同じ?---


---アナログハック---

---まさか俺は誘導されてるんか?---

---いや待て…俺じゃ無ぇ---

---ロボは…ミファは命を欲しているのか?---

---ミファは何が欲しいんだ?---
794 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:05:13.00 ID:RKoe7B/E0
『翌日_甲板』


ドタドタ…

木材は船底の方やぁ!!

樽と箱物はきちんと並べて積むんやで…動かん様に袋物使えな?


盗賊「荷の積み方変えたんか?」

船大工「そやなぁ…ちぃと重心低くなっとるで転覆しにくくなっとるが揺れが早いんよ」

盗賊「ほーん?」ポカーン

船大工「あんまり揺れが早いと荷が動くでな?甲板に大砲でも乗っとりゃちっとマシなんやが…」

盗賊「なるほど…積み方工夫して重心を変えてんのか」

船大工「海に出て揺れが気になる様やったら水入れた樽を甲板に出せばマシになるで覚えときぃ」

盗賊「あと小舟がえらくちっこくなってんだが…」

船大工「乗ってた小舟は穴が開いて使えんでほかったわい」

盗賊「この小舟は3人ぐらいしか乗らんだろ…」

船大工「よう見てみぃ!!2隻重なっとるやろ…繋いで双胴船にすりゃ10人ぐらい乗るんや」

盗賊「おぉ…」

船大工「双胴船にすりゃ帆も立てられるんやで?工夫して使えや」


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『船首楼_作業場』


トンテンカン ギコギコ


剣士「姉さんの鎧をこの木人に着せて行って?」

女オーク「分かったわ…」ガチャガチャ

剣士「使って無い武器も持たせようか…そうだな槍が良いかな」トントントン

戦士「ハハハ…やけに作り込んだ木人だね」

剣士「あ!!リコルさん!!これアーマースタンドとしても使えるんだよ」

戦士「なるほど?鎧を脱いで居る時は木人に装着しておけば良いのだね?」

剣士「うん!!もう一個作るから待ってて!」トンテンカン

戦士「そうか…この木人を甲板に置いておけば遠くから見て人が居る様に見えるか」

剣士「訓練用の木人としても使えるよ…関節を動かせる」グイ

戦士「ほう?盾も持たせられそうだね?」

剣士「勿論!!矢を防ぐ障害物にもなる」

戦士「それなら木型の大砲が有っても良いねぇ…」

剣士「おおおおお!!なんちゃって大砲かぁ!!そうか…運びやすいな…色々使えそうだ!!」

戦士「ちょっとした腰掛になって休めそうだ」

剣士「黒い塗装かぁ…」

戦士「丁度暇だから塗料を買って来てあげようかい?」

剣士「それ助かる!あとでお金出すよ」

戦士「まぁ待って居てくれ」スタ


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795 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:05:48.58 ID:RKoe7B/E0
『見張り台』


ヒュゥゥ ユラ〜


女ハンター「アラン!!こっち来れる?」

盗賊「んあ?何か見つけたんか?」

女ハンター「昨夜の海賊達…」ジー

盗賊「今行く…」ヨジヨジ

女ハンター「桟橋の方で集まってる…何か狙って居そう」

盗賊「ほっ!!」ピョン スタ

女ハンター「あ!!やっぱり…」

盗賊「どこよ?」キョロ

女ハンター「望遠鏡持ってるでしょう?」

盗賊「船尾楼に置きっぱなしだ」

女ハンター「呆れた…」

盗賊「んで?何かやらかしてんのか?」

女ハンター「さっき到着した船に一斉に乗り込んで行った」

盗賊「マジか…アレだな?」

女ハンター「なんか手慣れてる…一枚帆を張り出した」

盗賊「船強奪か…やるな…人数揃ってりゃ簡単なもんだな…」

女ハンター「三角帆2枚のキャラベル船よ…多分商船」

盗賊「俺らが閉じ込めた2人も居そうか?」

女ハンター「居る…指揮取ってるみたい」

盗賊「なんかあいつ等とどうも縁が在りそうだな…もう会いたく無いが…」

女ハンター「意外と優秀な気がする…行動が早い…」

盗賊「その筋じゃやり手なのかも知れんな?おお!?民兵が弓撃ちだした…」

女ハンター「矢を送って居る様な物…撃つだけ無駄」

盗賊「だな?オークの撃つ矢はそのまま槍として使える」

女ハンター「ここから帆を焼くことも出来そうだけど…」

盗賊「止めとけ…こっちはまだ動けん…居場所を晒しちまう」

女ハンター「どんどん陸から離れて行って…もう打つ手なしね」


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796 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:06:28.48 ID:RKoe7B/E0
『船尾楼』


ガチャリ バタン


学者「あ!!兄貴ぃ!!今海図と世界地図整理してるんすけど…」

盗賊「んあ?記打った場所動かすなよ?」

学者「分かって居やすよ…これが行き先っすね?」

盗賊「まぁな?名前はもう忘れた」

学者「何があるとか分かってるんすか?」

盗賊「夢の中の事だからあんま覚えて無いのよ…そこに村か何かあるぐらいしか思い出せん」

学者「大丈夫なんすかね?…そんな感じで?」

盗賊「寝りゃ又なんか夢見るかも知れん…今度は俺も分かってる訳だからもうちょい詳しく分かれば良い」

学者「とりあえずの行先は…ええと…」

盗賊「その記は多分あの派手な婆ぁの寄港地だ…2〜3つすっ飛ばすのを考えてる」

学者「もう半月以上差があるんで結構厳しいっすねぇ…」

盗賊「どうせ寄り道して数日滞在してんだろうから追い付けると思うんだけどな…」

学者「それと兄貴ぃ…海図に書かれてる岩礁地帯なんすが…世界地図と比較してちょとズレて居やすね…」

盗賊「なぬ!?」

学者「世界地図の方が正確そうなんで修正した方が良いっすよ」

盗賊「世界地図には岩礁なんか書かれて無いぞ?」

学者「いやいや…島の場所とか地形がズレてるんす」

盗賊「そういう事か…岩礁は避けたいな」

学者「これもう一枚海図起こした方が良くないすか?」

盗賊「そうだな…地図書くのは割と得意だから書き直すわ…うむ…確かに世界地図の方が色々詳細に書かれてんな…」ジロジロ


ググググググ ユラ〜リ


盗賊「お!?」キョロ

学者「おとととと…」

盗賊「そういや復元力の確認するとか言ってたな」

学者「居室に突っ込んだ荷もそろそろ片付けたいっすね」

盗賊「そうか?俺はこのままでも良いがな?」

学者「グチャグチャじゃないっすか…」

盗賊「なんつーか…木箱と樽に守られてる感じがしてよ…そうそう秘密基地みたいな感じだ」

学者「これ崩れたら出入口塞がっちまいやすぜ?」

盗賊「ヌハハお前にゃ分からんか…木箱の陰の安心感がよ…この隙間から向こう側を伺うんだ」コソーリ

学者「ギャング育ちは感性がちっと違いやすね…」ヤレヤレ


ググググググ ユラ〜リ


盗賊「おわっとととと…こりゃ荷が崩れそうだ」ガシ

学者「ちっと荷室に片づけやしょう」


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797 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:07:07.48 ID:RKoe7B/E0
『夕方_甲板』


ドタドタ…

日が落ちる前に終わってよがったなぁ!!

例の酒場でお疲れさん会でもやろか?ガハハハ


船大工「さぁて撤収やぁ!!」

盗賊「おう!ご苦労!!これで何時船を動かしても良いな?」

船大工「ええけど夜行くのは止めとき…沖に出て直ぐ魔物に襲われるで」

盗賊「確かに…」

船大工「桟橋に移動する程度やったら問題無いが…又入船料取られるで今晩は此処に居ったらええ」

盗賊「まぁそういう訳にも行かなくてよ…俺ら急いでんのよ」

船大工「ほうか?ほんならコレ持って行け」ポイ

盗賊「おぉ?…」パス

船大工「ミスリルの鐘や…ドワーフは皆持っとるんやで?」

盗賊「良いのか?貰っちまって?」

船大工「海賊王の娘さん探しに行くんやろ?ちっと聞こえてしもうたんや」

盗賊「ヌハハ秘密にするつもりも無かったんだがな?」

船大工「それからおまん所の大工居るやろ?あれはドワーフの血が入っとるで?良い船大工になりそうや…餞別思うて持って行け」

盗賊「ミライか…あいつは俺らの隠し玉よ」

船大工「まぁ期待しとるで?海賊王の娘さん見つけたらワイがこの船補修した事を伝えてくれや」

盗賊「おう!!」

船大工「ほな又な?」ノシ

盗賊「世話になった…あばよ!!」ノシ

船大工「おまんらぁぁ!!酒場で打ち上げやぁぁ!!」ドスドス

盗賊「…」---ドワーフ達が見ている方向---


---なんとなく分かって来たぜ?---

---海の向こう側見てんだな---

---なるほど人間の小競り合いなんかどうでも良いか---


798 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:09:19.10 ID:RKoe7B/E0
『出港』


ガラガラガラ


盗賊「おーし!!碇上げたぞぉぉ!!帆を開けぇ!!」ドタドタ

剣士「えっほ!えっほ!」グイグイ

学者「兄貴ぃ…凪時であんま風が無いっす…」

盗賊「直に陸から風が降りて来る…まぁお試し帆走だ」

戦士「夕日があるうちに沖へ出ておきたいがな?」


スタスタ


闇商人「ふあぁぁぁ!!」ノビー

盗賊「おうカゲミ!!やっと樽から出て来たな?」

闇商人「もう膝が痛くて…」

盗賊「いつまでフード被ってんのよ…もう誰も居ないぞ?」

闇商人「これで良いんだよ…それよりもう何日も水浴びして居ないんだ…自分の体臭が臭くてたまらない」

剣士「あ!!湯を沸かそうか?姉さんも水浴びしたいよね?」

女オーク「そうね…宿でゆっくり出来なかったし…」

盗賊「まぁ…凪で船は進まんし…今の内に水浴びしとけ」

学者「兄貴も大分汚れていやすけどねぇ…」ジロ

盗賊「俺は海水でザブサブ流すだけで構わん」

剣士「まだ水には余裕があるから順番で水浴びしよう」

学者「そーすね…俺っちも流したいっすよ」

盗賊「しかし…やっと自由になれた感じだ」

戦士「飲むか?」スッ

盗賊「おぉやっぱ酒か…」グビ プハァ

剣士「じゃぁ湯を沸かして来るね」シュタタ

闇商人「良く見ると…中々良い船だねぇ…」キョロ

戦士「塗装し直して見違えたな?雨漏りで苦労した船とは思えん…ハハハ」

闇商人「船尾楼のデッキに重クロスボウ2つか…ふむ」

盗賊「メイン火力はラシャニクアの遠距離狙撃よ…中距離は爆弾の遠投…ほんで近距離はゲスとお前のバヨネッタ」

少女「私の2連クロスボウも忘れるな」シャキーン

闇商人「なかなかの火力だね…これなら海賊も追い払えそうだ」

盗賊「んん?海賊?」

闇商人「大陸の北側は海賊だらけの筈さ…一番相手にしたく無いのがドワーフの海賊達だね」

学者「まーた海賊っすか…」

闇商人「ある意味この船も海賊船だと思うけどね…まぁ北側は今までよりももっと無法地帯なのさ」

盗賊「そうそう…そういやお前なんで昨日の海賊を雇ってたのよ?どんな繋がりだ?」

闇商人「向こうの大陸では麻薬の取り引き相手だったのさ」

盗賊「やっぱりお前が闇で流してたんか…」

闇商人「まぁ僕だけじゃ無いけどね…彼等は行動力があって意外と優秀だったんだよ…だから雇ったんだけど…」

盗賊「盗賊ギルドに雇い返された訳な?」

闇商人「そうだね…僕が出す以上の金か女で簡単に買収出来るのさ」

戦士「カゲミ君…君はアヘンの出所を知って居るのかい?」
799 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:10:29.46 ID:RKoe7B/E0
闇商人「勿論…フィン・イッシュの国策だよ」

盗賊「国策?」

闇商人「タダ同然の物資を流通させる事でその他の物資も流通が促されるのさ…海賊が動き回るのも流通が活発な証だよ」

盗賊「それじゃフィン・イッシュの資金が枯渇しそうなんだけどな…」

闇商人「そうだね…どうやりくりして居るのか分からないけれど…財務を束ねている人物が優秀なんだとは思う…」

盗賊「あ…お前知らん様だな?」

闇商人「何を?」

盗賊「その財務担当の側近がこの間暗殺されたんだ…エルフにな?」

闇商人「エルフに?…」ギラリ

盗賊「その辺りの事情が俺ら良く分からん…何か知ってるか?」

闇商人「ふ〜む…裏が在りそうだ…そもそも僕があの傭兵に裏切られたのもそんな事情が隠れて居たのかも知れない」

盗賊「そんな事情?」

闇商人「きっと僕の存在が財務担当の手足になってると見えてたという事さ…それなら盗賊ギルドの行いも納得がいく」

学者「ちっと待って下せぇよ?財務担当の暗殺は盗賊ギルドも絡んでるって事なんすかね?」

闇商人「確実な事は言えないね…ただ盗賊ギルドの連中は特殊な方法でエルフと連絡が出来るそうだよ」

戦士「ミルク?」

少女「…」シラー

盗賊「なるほど?遠吠えやら夢を使って密かに情報流してた訳か…ほんで電脳化していた財務担当を女王が居ない隙に暗殺した訳だ」

闇商人「電脳化?何の話だい?」

盗賊「その財務担当は頭が爆発したらしい…電脳化の証拠隠滅だろう」

闇商人「ハハそういう事か…それは良い情報を聞けた」

戦士「この件はフィン・イッシュ女王の危機と考えても良さそうだが…」

闇商人「さぁ?どっちかな?危険から遠ざけたという見方もある…実はね…女王はかなりの独裁気質なんだよ」

戦士「ほう?」

闇商人「とにかく人の言う事を聞かないで物事を決める…国家予算をすべて農民に分けるのも勝手に女王が決めた事なのさ」

闇商人「勝手に畑を耕して勝手に人を招き入れて…誰の言う事も聞かない…そのクセ忍びにがっちり守られてる」

学者「じゃぁ国に蔓延る膿を出す為に…海賊王の娘に扮して外に連れ出されたってのも考えられそうっすね」

闇商人「そういう役を盗賊ギルドが担って居たのかも知れない…なるほど」フムフム

少女「お前達!!上を見ろ!!」ユビサシ

盗賊「んん?あらら…もうガーゴイルが飛んでんな…」

女ハンター「どうする?」

盗賊「構うだけ弾丸のムダになっちまう…折角ミスリルの鐘貰ったんだからコレ使うぞ」スッ

学者「お!?それどっかぶら下げといて敵見つけたら鳴らせば良さそうっすね?」

盗賊「だな?ちっと手伝え!」ゴソゴソ


カラン コローーン


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800 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:11:37.17 ID:RKoe7B/E0
『夜_甲板』


ザブ〜ン ユラ〜


剣士「よいしょ…よいしょ!!」ドスン

女オーク「こっちの木人にも盾を?」

剣士「うん!どうせ拾い物だし…」ガチャガチャ

盗賊「ほーーこれで6体目か…この装備品も作ったんか?」

剣士「それ海賊から剥ぎ取った装備を少し直したんだ」

盗賊「上手い事作るもんだ…」ジロジロ

剣士「これで武器と盾持ってたら傭兵に見えるよね?」

盗賊「ふむ…こりゃ敵に囲まれた時の訓練にも使えそうだ」

剣士「そうそう!そういう風に活用して欲しい」

盗賊「ちっと関節動かして自然な感じにすんぞ?」グイ

剣士「イイね!!」

盗賊「なんかこれはこれで中々楽しい…そうよ…こんな感じで盾に体を隠す…」グイ

剣士「この木人を魔法か何かで動かせると良いね」

盗賊「だな?戦わせてみたいな?」

剣士「魔術書にさ?土で作った人形のゴーレムっていう魔物の事が書いてあるんだ」

盗賊「ほう?」

剣士「多分こんな感じなんだよ…これは木で作った人形だけどね」

盗賊「機械も多分…始めはこんな感じだったと思うぞ…」

剣士「ハッ…そうだね…」

盗賊「人と同じ心を宿したとして…やっぱ命が欲しくなると思うか?」

剣士「どうだろう…」トーイメ

盗賊「なんかよぅ…どうも俺は違うんじゃないかと思えて来た」

剣士「違うって?」

盗賊「欲しいのは命じゃ無くて…記憶なんじゃないかってな?」

剣士「記憶?」

盗賊「ほらこうやって俺ら楽しく遊んでるだろう?…その記憶をどうにかして残したいんじゃ無いかと思ったのよ」

剣士「じゃぁその手段として…命が欲しい?」

盗賊「それだ…命は2番目なのよ…記憶さえ残れば命なんざ求めて居ないってのが…俺の思う所だ」

剣士「なんか深いね…」

盗賊「そしてな?俺ら人間は死ぬ時にそれまでの記憶を一緒に持って行く訳だ…何故ならそれが死だと既に知って居るから」

盗賊「だが機械はそもそも命が無い…つまり死を理解できない…だから記憶を残したいのよ」

剣士「それは一度命を得れば理解出来るんじゃないかな?」

盗賊「なるほど…」

剣士「なんか命が有るって…素晴らしい事だね」

盗賊「逆に命の無いこの木人が…俺はすごく愛おしく感じる…まぁ何でもそうだな?小さい頃持ってたおもちゃも同じだ」

剣士「分かる…木人も同じ時間を過ごしたなら…その記憶を残したい感じも…なんか分かる」

盗賊「俺ら人間が一方的に思ってるだけかも知れんが…どうも気になってよ」

剣士「それが…こうやって木人と遊ぶ動機なのかもね?」

盗賊「おっし!!完璧に仕上げるぞ!!誰か来てもビビるぐらいにな?」

剣士「おぉぉ!!なんかやる気出て来た!!」
801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:12:19.92 ID:RKoe7B/E0
『翌日』


ドタドタ


学者「おぉぉ…船首楼と船尾楼の上に1体づつ…甲板に4体…」

盗賊「どっからどう見ても見張りに見えんだろ?」

学者「そうっすね…甲板の木人が剣を抜いてる所が良いっすね」

盗賊「あれは戦闘訓練用だ…壊さん程度に色々試して良いぞ」

戦士「私達も含めて船上に人影がこれだけ見えて居れば…20人ぐらいは乗って居る様に見えるな?」


女ハンター「アラン!!右前方…手漕ぎのガレー船が居る」


盗賊「なぬ!?早速海賊か?」

女ハンター「この船が追い越す形になりそうだ」

戦士「そのガレー船に帆は?」

女ハンター「三角帆が2枚…細長い船体で30人ぐらい乗って居そうだ」


タッタッタ


闇商人「ガレー船?」キョロ

女ハンター「まだ目視じゃ見えないよ…向こうにも気付かれてない」

闇商人「少し沖へ距離を取った方が良いね…ガレー船は此処一発で一気に距離を詰めて来る」

盗賊「この船より早いってか?」

闇商人「一瞬だけね…多分僕が雇っていた傭兵達と同じ感じさ…大した武器は持って居ないけど兎に角行動が早いんだ」

盗賊「やっぱ陸沿いはいろいろ遭遇すんだな…ちっと進路変えるか」

戦士「ガレー船が未だに居るとは…」

闇商人「スクーナーとかより造船コストが安いのさ…接近戦で一気に襲撃する海賊が好む船だよ」

学者「この近くにはなんかあるんすか?」

闇商人「漁村やちょとした集落は無数にあって数えられないね…」

盗賊「まぁちっと進路変える…」スタ


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802 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:12:58.34 ID:RKoe7B/E0
『船尾楼』


ユラ〜 ギシ


盗賊「ふむ…操舵の感じも少し変わって居そうだな?」

ロボ「ピポポ…」クルクル

盗賊「直進性が増してて修正が少し遅れて来てんだな?…まぁ羅針盤見ながらちょいちょい修正してくれ」

学者「兄貴…このまま行くと陸が見えなくなっちまいやすが?」

盗賊「仕方ないだろう…海賊と無駄な消耗したく無いからな」

学者「いよいよ天測器で緯度求めんとイカンくなりやすね…」

盗賊「まぁどんどん赤道に近付いているから羅針盤も精度が割と高い…外海のど真ん中じゃないからどうにかなる」

学者「船の向いてる方向が進んでる方向とは限らんですぜ?」

盗賊「わかってらい!!ただな?船の直進性が良くなってそうなんだ…その辺りどうなのか試しても見たい」

学者「そーっすか…じゃぁ俺っちは日が出てる内に天測器の準備でもしておきやす」

闇商人「アラン…今向かって居るのはこの印を目指して居るのかい?」ユビサシ

盗賊「いや…そこは飛ばしてこっち側だ…10日ぐらいのつもりで居る」

闇商人「また海賊が多い場所を…」

盗賊「でもここ行かないと女王の船に追いつけんぞ」

闇商人「そこはねヤン・ゴンという遺跡が発見された場所なんだ…盗掘目当ての冒険家がみんな海賊になって居るのさ」

盗賊「遺跡?ほんじゃ機械がウヨウヨしてるってか?」

闇商人「向こうの大陸のような遺跡では無いらしいよ…」

盗賊「ほーん…そん次に行こうと思てるのが此処だ…名前知ってるか?」

闇商人「ちょっと待って…メモが残って無いか探してみる」パラパラ

盗賊「なんだお前…秘密のメモがあるなら先に出せよ」

闇商人「ダメだよこれは…僕の日記さ…恥ずかしい事も沢山書いてある」

盗賊「ヌハハそら見せれんか…何だお前の恥ずかしい事ってよ?」

闇商人「君は僕の月の物がいつなのか知りたいのかい?」ジロ

盗賊「うへぇ…興味無さ過ぎる」

闇商人「よしよし有った…そこはムン・バイだね…既に攻略された古代遺跡さ…そして次がメッカという遺跡」

盗賊「この海峡は?…ここが一番の難所だと思ってんだが…」ユビサシ

闇商人「岩塩地帯にあるス・エズーという海峡だよ…そこは目的地じゃなくて通過する場所だね」

盗賊「ギルドから貰った海図では全域浅瀬になってんのよ」

闇商人「この船より大型な女王の船隊がそこを通ろうとして居るんだろう?どうという事は無いと思うけどね」

盗賊「この海峡で一旦降りる計画になってんだが?何が有るんだ?」

闇商人「何だろうね?僕は知らない…ただそこを抜けてしまえば後はシン・リーンの港町がいくつも有る」

戦士「話を聞くとなかなか楽しそうな航海だね…この年でこんな機会が来るなんて思っても居なかったよ」

盗賊「そう上手く行きゃ良いが…海賊に追われっぱなしじゃ休めんかも知れんぞ?」


カラン コローン…


盗賊「お!!?敵が来たか…」スック

戦士「ハハ初日から色々起こる…行こう!」ダダ


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803 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:13:40.50 ID:RKoe7B/E0
『デッキ』


ドタドタ…


盗賊「どうした!!?」ズダダ

女ハンター「例のガレー船に気付かれたんだよ…少しづつ寄って来てる」

盗賊「帆を燃やしてやれぇ!」

女ハンター「まだ射程距離じゃない…それから向こうは手漕ぎだから帆を燃やしても意味無い」

盗賊「デッキからでも目視できるな…まだ帆走だけか…」

女ハンター「乗って居るのは30人どころじゃ無いね…40人ぐらいだ…丸い盾を装備し始めた」

学者「今時そういうガチ海賊のスタイルがまだ居るんすね…」

盗賊「ちっと沖に出るだけじゃダメだったか…」

女ハンター「漕ぎ始めた…」

学者「なんか太鼓の音がし始めたんすが…」ドーン ドンドンドンドン

盗賊「ウハハまた分かりやすい合図だ」ドーン ドンドンドンドン

女ハンター「射程にそろそろ入る…」

盗賊「撃て!!」


ダーン!


女ハンター「クソ…盾に当たって燃えたけど…直ぐに消されてる…」ガチャコン

盗賊「こりゃ一気に来るな…」

女ハンター「どうする?まだ撃つ?」

戦士「嫌だねぇ…一気に乗り込もうとする戦術…」

盗賊「リッカ!!爆弾準備しとけ…あの船は船底が浅くて大波が来りゃ直ぐに転落する奴がでる」

女オーク「狙うのは波?」

盗賊「そうだ…直撃させんで良い…乗ってる奴を何人か落とせば終わりだ」

女オーク「分かったわ…」ダダ

女ハンター「船を左に転進させて!!私もデッキに降りる」ピョン

盗賊「おう!!ミライ!!前方の帆を1番に繋ぎ変えろ…船を回すぞ!!」

剣士「おっけー!!」シュタタ

盗賊「リッカは射程に入ったら爆弾投げまくって揺らしてやれ!!」ダダ

戦士「私はやる事が無い様だ…」

盗賊「一応重クロスボウ撃つ準備だけ頼む」


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804 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:14:44.27 ID:RKoe7B/E0
『ガレー船』


ドーン ドンドンドンドン


舵手「テンポアップ!テンポアップ!ロウ!ロウ!ロウ!」ドコドコドコドコ ドーン

漕手「どるぁぁぁ…」フン! フン!

海賊「ウハハハ一気に行けぇ!!」

舵手「帆が抵抗になって居るから畳んでくれぇ」ドーン ドンドンドンドン

水夫「エッホ!エッホ!」グイグイ

海賊「何か撃って来るぞぉ!!盾をしっかり展開しろぉ!!」

舵手「バウサイド!アップ!アップ!ストロークサイド!ブレーキアンドゴー!!」

海賊「ようし!!どてっ腹に突っ込めそうだ…このまま行けぇ!!」


ヒュゥゥ ポチャン…


海賊「んん?何撃って来たんだ?」キョロ


ザブーン!! ボコボコボコ


海賊「どわぁぁぁ!!」ゴロゴロ

舵手「オ…オールメン…バ…バックロウ!!」

海賊「馬鹿野郎!このまま突っ込め!!」グイ

舵手「うるさい!舵手は俺だ!従え!!バックロウ!!バックロウ!!」


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805 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:15:39.80 ID:RKoe7B/E0
『キャラック船』


ダダダ ポイ! ドッコーン ジャバジャバ


盗賊「うはぁ…あの船…転進しないでそのまま下がれるんか…」

闇商人「見たかい?彼らの瞬発力…」

盗賊「前後どっちにでも進める船だったんか…」アゼン

戦士「太鼓と言い…漕手の統率感と言い…あれはあれで戦力になりそうだ」

闇商人「かつては北方の海賊と言われていたらしいよ…下半身に節操が無いのも有名さ」

戦士「あれが北方の海賊だったか…」

学者「本で読んだ事ありやすよ?女は飲み物だとか言った奴が居るらしいっす」

盗賊「飲み物だとう?…何を飲むんだか…」

戦士「まぁ良い話は聞かないねぇ…」

盗賊「とりあえずこれで追っては来れんだろう」

剣士「これさぁ…向こうの帆を燃やしても意味無いから…一気に乗り込まれた時の事考えておかないとね?」

盗賊「うむ…中々厄介だな」

剣士「乗り込む時は梯子を使うか…ロープを引っかけるか…う〜ん」

盗賊「接弦される前に処理するしか無い様に思うがな…」

剣士「それは出来るだけやるとして…不意を突かれて乗り込まれた時の準備だよ」

盗賊「罠でも仕掛けるってか?」

剣士「そうそう…僕達は知って居るから引っかからない罠」

盗賊「なるほど?網で一気に捕らえるとかそういう奴な?」

剣士「うん…ちょっと考えてみる」


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806 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:16:16.18 ID:RKoe7B/E0
『甲板』


トンテンカン トンテンカン


戦士「ミライ君は又何を仕掛けようと?」

盗賊「手摺の補強だとよ…どうやら刃の付いた鉄板を取り付けてロープが切れちまう様にする様だ」

戦士「ほう?」

盗賊「確かに鉤ロープ引っ掛った後は手摺が支点になるからそこで切れると登って来れん」

戦士「考えたねぇ…だが不用意に手摺にもたれられなくなるな…」

盗賊「刃は外向きだから心配すんなとか言ってたぞ?」

戦士「要らぬ心配だったか…」

盗賊「それより木人使った戦闘訓練をラスとゲスに教えようと思って居たんだが…」

戦士「それは良い…最低限の自衛が出来る出来ないでは随分違う」

盗賊「俺はラスに教えっからゲスの方をよろしく頼む」

戦士「ゲス君はダガーを?」

盗賊「ダガーもだが…銃にダガーを付けた槍のスタイルも教えといた方が良いな」

戦士「分かった…」

盗賊「お〜い!!ラス!!ゲス!!こっち来〜い!!運動すっぞ!!」


ドタドタ…

木人相手に実際の武器使った間合い取りの練習だ…

切り込んでも構わん

防具のスキを狙うのにどう立ち回れば良いか考えながらやってみろ


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807 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:17:18.53 ID:RKoe7B/E0
『一週間後_嵐』


ゴゴゴゴ ザブ〜ン ドッパ〜ン


盗賊「んぁぁぁ…波に揺られるだけで何もやる事無ぇな…」グビ プハァ

少女「風が弱くなってる…そろそろ終わるぞ」

盗賊「まだ帆は開けんな…」


ユラ〜〜 ググググググ


学者「チェックメイト!ニヒヒヒヒ…」ニマー

闇商人「あぁぁ…僕が攻めてた筈なのに…」

学者「いやいや又金貨頂きやすぜ?」ジャラ

盗賊「ゲス!!ぼろ儲けだな?」

学者「そうっすねぇ…こりゃ戦場での経験が差になって居やすよ…ナハハハハ」

闇商人「あぁもう止めだヤメ!!」ガラガラ

学者「カゲミさんは飛び道具をアテにし過ぎっすね…結局勝敗は歩兵をどんだけ使うかっす」

闇商人「ハイハイ分かったよ…ちょっと雨が降ってる内に全身流して来る」スック

盗賊「んあ?海に落ちんな?」

闇商人「ロープを括り付けておけば良いんでしょ?」

盗賊「手摺超えたらロープ切れちまうからあんまアテにすんなよ?」

闇商人「分かった分かった…」ギュゥ


ガチャリ ビュゥゥゥ バタン!


学者「アハ…ちっと機嫌損ねちまいやしたかね?」

盗賊「大丈夫だろ?」グビグビ プハァ

戦士「しかし蒸し暑いな…私も雨で汗を流すか…」スック

盗賊「暇だし俺も付き合うかぁ?いっそのこと全員で裸祭りなんかどうよ?」

戦士「女性も居るのだから程ほどに…」

盗賊「上半身ぐらいどうって事無ぇ…行くぞ!」スック


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808 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:18:24.70 ID:RKoe7B/E0
『甲板』


ザザー ジャブジャブ


闇商人「んん?なんだ心配で見に来たのかい?」ジャブジャブ

盗賊「いや暑くてよ…」

闇商人「そうだね…びしょ濡れの方が気持ち良い」ゴシゴシ

戦士「おぉ!!魚が甲板に乗り上げてるじゃないか」


ビチビチ ピョン


盗賊「もう魚は見たくも無ぇよ」


ドップ〜ン!! ザバーーー


戦士「これは中々…」ヨロ

闇商人「アハハ…もう雨も海水も分からない」ゴシゴシ

盗賊「こりゃほとんど風に巻き上げられた海水だ」

闇商人「この船は船首楼が高くて良いね…高波に強い」

盗賊「甲板は波にさらわれやすいからデッキ上がっとけ」

闇商人「デッキは風がねぇ…」

盗賊「そうか…デッキの方がむしろ危ないか」

闇商人「マストにロープを括り付けておけば余程大丈夫さ」

盗賊「ヌハハお前は肝が座ってんな?」


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809 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:19:34.03 ID:RKoe7B/E0
『半日後』


ビュゥゥゥ


盗賊「大分風が収まった様だ…」

学者「もう現在地何処か分からんすよ?」

盗賊「こっから東の方向に行けばどっか陸が見えて来るとは思う」

学者「帆を開きやす?」

盗賊「とりあえず一枚だな…いつ突風が来るか分かんねぇし…」

学者「雨が止めば良いんすが…」

盗賊「んん?天測器か?」

学者「緯度だけでも分かれば大分違いやすよね?」

盗賊「そんな現在地変わってると思えんがな…」

学者「海流で変な所に流されてなきゃ良いっすけどねぇ…」

盗賊「帆を開いて来る…舵はまかせんな?」ダダ


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『土砂降り』


ザザーー ザバザバ


盗賊「くぁぁぁ視界悪いな!!」

女ハンター「もう日が落ちる…もっと視界悪くなるよ」モゾモゾ

盗賊「ヌハハ洋服が張り付いて動きづらそうだな?お前も脱いだらどうだ?」

女ハンター「鞭の傷を見せびらかせと?」

盗賊「一回見せちまえば気にならなくなるんじゃ無ぇか?」

女ハンター「フン!!」ヌギヌギ

盗賊「見て見ろ俺の体を!!火傷に縫い傷…まともな部分の方が少無ぇ」ムキムキ

女ハンター「あんたと一緒にするな」

盗賊「傷者同士仲良くしようぜ?ヌハハハ」

女ハンター「傷者か…」

盗賊「治っちまえば痛くもかゆくも無ぇのよ…傷っちゃそんなもんだ」

女ハンター「アレ?…なにか見えた…」

盗賊「んん?どこよ?」キョロ

女ハンター「何だろう…漂流物か?」

盗賊「おっとぉ!!ありゃ転覆した小舟だ…ひっくり返ってる」ダダ

女ハンター「誰かしがみついてる…」

盗賊「なぬ!?どかに難破船が居んのか…」ダダ

女ハンター「髪の毛が長い…多分女の人…」

盗賊「こりゃ助けるしか無ぇ!!」ピョン ダダダ


カラン コローン! カラン コローン!


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810 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:20:22.71 ID:RKoe7B/E0
『甲板』


ドタドタ


学者「ななな…なんか有ったんすか?敵っすね?」ドタドタ

剣士「何!?なんか来た!?」キョロ

盗賊「右舷側に難破船を見つけた!小舟に誰かしがみついてんだ…助けに行く」グイ グイ ギュゥ

学者「海に飛び込むつもりっすか?」

盗賊「それしか無いだろう!上手い事船を回してくれ」

学者「ちょちょちょ…そのまま行ったらロープ切れちまいやすって!!」

盗賊「良く見ろ!!ロープは手摺の下側潜ってんだろ!」

学者「え?あ…そういう事っすね…」オロオロ

盗賊「口に咥えるガスマスク持ってっか?」

学者「へい…これっすね?」スッ

盗賊「おーし!!これで死ぬ事ぁ無ぇ…行ってくっから上手い事ロープ引き上げてくれ」ダダダ ピョン

学者「あああ!!兄貴…」

女ハンター「船が行き過ぎてしまう…帆を畳んで!!」

剣士「あ…わ…わかった!」シュタタ


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811 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:21:17.81 ID:RKoe7B/E0
『難破船』


ザザーー ザブザブ


200メートル位先に樽!!あっちにも誰かしがみついて居そう…

兄貴ぃ!!引き上げやすぜぇ!!

光をこっちに向けないで!暗視ゴーグルで目が眩む!!

おい!帆を引っ張るぞ!!上手く船を流して行ってくれ

なんすかコレ!!足枷が付いとるじゃないすか…

僕が切る…救急処置続けて

おーい!!ロープもう一本投げてくれぇ!!

あぁぁ息してないっすね…胸部圧迫お願いしやす…衣類も脱がして下せぇ


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『翌朝_荷室』


ドタドタ…


盗賊「どうだ?助かりそうか?」キョロ

学者「兄貴ぃ…助かりそうなの一人だけっす…」

戦士「マッサージはどうする?」グイ グイ

学者「その子も諦めやしょう…もう限界時間超えてるんで…」

盗賊「全員ガリガリだな…」

学者「多分奴隷だったんすよ…船で逃げたは良いんすが…食べ物も殆ど無かったんすね」


シュタタ


剣士「水を持って来たよ」チャプ

学者「助かるっす…息のある子に少しづつ飲ませて行って下せぇ」

剣士「この子…髪長いから女の子だと思ってたけど…男の子だね」

少年「…」グター

盗賊「奴隷生活が長いと皆そんなんなるんだ」

剣士「どうしてこの子だけ血色良いんだろう?」

盗賊「ううむ…やせ細っちゃ居るが…確かに衰弱具合は違いそうだ」

学者「その子はこの石を握ってたんすが…何か関係ありやすかね?」コロン

盗賊「石?」

学者「宝石とはちっと違いそうっすね」

盗賊「カゲミに見せてみる…アイツなら知ってるかも知れん」


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812 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:22:38.98 ID:RKoe7B/E0
『甲板』


ザブ〜ン ユラ〜


盗賊「ラス!!どうだ?もう難破船の残骸は見つけられんか?」

女ハンター「この広い海でそんな簡単に見つけられると思う?」ジロ

盗賊「まぁ無理だな…」

女ハンター「晴れ間が見えて来てる…そろそろ船を進めたら?」

盗賊「んんん…まだ他に生きてる奴が居るかもしれんと思うと…」

女ハンター「だからこの周辺にはもう居ない!!」

盗賊「そうか…だが先に水葬を済ませる」

女ハンター「助からなかったのか…」

盗賊「一人だけ生きている…目を覚まして他の仲間の遺体なぞ見たくないだろうしな」

女ハンター「仲間…」

盗賊「察するに一緒に逃げたんだろうよ…運悪く嵐に巻き込まれちまったが…」

女ハンター「あの小さな船に…乗ってた仲間…」

盗賊「想像出来るか?極限の飢えでも支え合ってた仲間…鉄の足枷が付いているから多分この下に沈んでる」

女ハンター「そう…じゃぁ仲間の所へ還さないと…」

盗賊「俺はお前の仲間になれてるか?」

女ハンター「え!?…」---仲間---


---いつの間に---

---雇われじゃ無くなってる---

---望遠鏡で見た夢の世界に---

---いつの間にか入り込んでる---

---これが夢---
813 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:24:30.73 ID:RKoe7B/E0
『船尾楼』


ガチャリ バタン


闇商人「…」カキカキ

盗賊「んん?何してんだ?」

闇商人「船の現在地がどの辺なのか予測してるのさ」

盗賊「ほーん…」

闇商人「嵐に合ってから帆は畳んで居るから…この予測円の範囲内に居る筈さ」

盗賊「だろうな?」

闇商人「海流からすると大体ここら辺に流されてる…」ユビサシ

盗賊「おいちっと待て…難破船も同じ様に流されて来てるんじゃ無ぇか?」

闇商人「そうだろうね?」

盗賊「じゃぁ今から行くヤン・ゴンの方面から来たことになる」

闇商人「それがどうしたと言うんだい?」

盗賊「難破船に乗ってたのは皆足枷付けた奴隷だ…なんでそんな事になってる?」

闇商人「単純に労働力だろうね…発見された遺跡を調査する為じゃないかな?」

盗賊「おいおい!!フィン・イッシュは奴隷を使ってんのか?」

闇商人「あぁ…ヤン・ゴン遺跡はどの国の領地でも無い…遺跡調査に力を入れてるのはシン・リーンだ」

盗賊「じゃぁシン・リーンが子供を奴隷にして使ってるってのか?」

闇商人「さぁ?そんな事を表立ってはやらないと思うよ」

盗賊「裏はどうなのよ?」

闇商人「海賊達は奴隷を使うのを厭わない…その海賊を使って居るのはそれぞれの国だったりする」

盗賊「ケッ!!間接的に奴隷使ってんのと同じだろうが」

闇商人「まぁそういう話は表に出て来ないさ…でもね?発展に奴隷が必要なのは否定しない」

盗賊「なんかイラつくな…」ムカムカ

闇商人「君は…ゴミを食べる生活を思い出したりしないかい?」

盗賊「何が言いてえのよ?」

闇商人「ゴミを食べてたあの生活が幸せだったと思う事もある…奴隷には奴隷の幸せもあるのさ」

盗賊「…」

闇商人「そういう価値観がある事を知って置いた方が良いよ」

盗賊「ちぃぃ…話変わるが…この石が何だか分かるか?」コロン

闇商人「これは…」ジロジロ

盗賊「何だ勿体ぶんな!腹立させんなよ」イラ

闇商人「これは預かっても良いのかい?」

盗賊「ダメだ!持ち主は奴隷の小僧だ」

闇商人「結論を言おう…多分これは賢者の石の欠片だよ…マルコさんも同じ様な物を持ってた」

盗賊「ほう?魔術師が黄金を使って作ろうとして居る奴だな?」

闇商人「ご名答…それをどうして奴隷が持って居たか…ちょっと気になるね」

盗賊「どうやら俺らはキーマンを助け出した様だ…こいつは俺が預かる」

闇商人「持ち主は奴隷の子じゃ無かったかい?」

盗賊「奪う気なんざ無い…たった一つあの小僧が持ってた物だ…気を失っても尚握ってな」

闇商人「そうかい…大事な物なんだね」

盗賊「小僧に返して来る」スタ
814 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:25:18.63 ID:RKoe7B/E0
『水葬』


ドブーン ボコボコ


学者「なんか…死体なんすが…まだ人の形が整ったのを沈めるのって気が滅入っちまいやすね…」

盗賊「海でもう一回生まれ変われりゃ良い…」ポイ ドブーン

女ハンター「これで仲間の所へ?」

盗賊「うむ…多分次はイルカだ…イルカになりゃ遠くまで行ける」

戦士「気の毒に…」ナムナム

盗賊「さてぇ!!帆を開くかぁ!!」

学者「俺っちは荷室であの子の面倒見ときやす」

盗賊「おう!!その石しっかり握らせとけよ?」

学者「分かって居やすとも…賢者の石の効果を見て見たかった所っすよ」

盗賊「ミライとリッカ!!いつも通り帆を開くぞ!!」

剣士「分かったぁ!!」シュタタ

女オーク「…」ドスドス

盗賊「ロボ!!進路東だ!!舵は任せる!!」ダダ

ロボ「ピポポ…」ウィーン ガシャガシャ

戦士「ミルク…荷室へ行ってゲス君のお手伝いをして居なさい」

少女「ウルフィ行くぞ!!」シュタタ

ウルフ「ガウガウ…」シュタタ


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815 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:26:34.47 ID:RKoe7B/E0
『数日後_デッキ』


ダーン! ボボボボボ


女ハンター「ヒット!!」

盗賊「おーし!!これで追って来んな?」

女ハンター「もう一回見張り台に上がって…」

盗賊「いや此処に居ろ…お前ばかり働き過ぎだ…少し休め」

戦士「クロスボウを少しは撃たせて貰いたいな?ハハ…」

盗賊「大砲の乗って居ない海賊船はもう少し寄せても構わんのだ」

女ハンター「気を使って居るの?」

盗賊「殆ど寝て居ないだろう?デッキで横になるのも気持ち良いぞ?」

女ハンター「フフじゃぁ少し目を瞑る…」スゥ

盗賊「しかし大砲を積んだ海賊は全然居無ぇな?」

戦士「補給に問題が有るのだろう」

盗賊「もうスクーナーとスループ船使った海賊は怖く無ぇ」

戦士「ハハハ…ミライ君の作った鉤縄キャッチャーが上手く働くからねぇ…何個溜まったんだろうか」

盗賊「11個だとか言ってたな…それ使って又何か作ってる様だ」

戦士「それは楽しみだ…」


シュタタ クルクル


盗賊「おっと危無ぇ!!その手は食わんぞ!!」ズダダ

少女「アラン!!匂いする!!」シュタ

盗賊「んん?目的地近いか?」キョロ

少女「血の匂いだ…多いぞ」

戦士「まさか…また焼き討ち…」

盗賊「方角は?」

少女「このままで良い…なんだこの匂い」クンクン

戦士「見ろ!!大型の船が2隻…」ユビサシ

盗賊「おぉ!!追い付いたか」

少女「火薬の匂いだな…目が滲みるぞ」ゴシゴシ

戦士「大砲を撃ったのか…これは危ないかも知れん…」

盗賊「俺らを海賊だと思って撃って来るってか?」

戦士「重装射撃砲の飛距離は?」

盗賊「地上に置いて精密射撃で600メートル…射角上げて2キロぐらいが有効射程」

戦士「一応警戒しておいた方が良い」

女ハンター「もう向こうにはこの船が見えてる筈…船はどっちの方向を向いて?」

盗賊「ちっと見張り台上がって来る…お前は横になってろ」ダダ


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816 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:27:16.62 ID:RKoe7B/E0
『見張り台』


ユラ〜 ググググ


盗賊「スループ船3隻と気球がこっちに向かってる…銃器は隠して置け!」

戦士「こっちを海賊と見誤らないで欲しい物だ…」

盗賊「えらく重装な船が2隻か…何やってんだ?」

戦士「海賊船の鎮圧では無いか?」

盗賊「なるほど…」

戦士「このままあの船の庇護に入って居れば海賊に襲われんで済みそうだが…」

盗賊「あいつらどうやって見極めてんだろうな?」

女ハンター「フフ…勘でしょ?勘?」

盗賊「ヌハハそういう事か…」

女ハンター「何…これで会話成立したの?」ニヤ

盗賊「勘で分かるって事は襲って来無ぇって事だ…どう見ても俺らは海賊面じゃ無ぇ」

戦士「んん?」チラ

女ハンター「フフ…」チラ

戦士「アラン君…君はどう見ても海賊の顔をしているが?」

盗賊「なんだとう!!」

女ハンター「喋り方も声も…海賊その物ね…」

盗賊「悪りぃ…ちっと俺隠れとくわ…小僧の様子でも見て来る」

戦士「ミルク!!ミライ君とリッカ君も呼んで来てくれ」

少女「分かったぁ!!」シュタタ


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817 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:28:25.61 ID:RKoe7B/E0
『荷室』


ユラ〜リ ググググググ


盗賊「どうだ?小僧の様子は?」スタ

学者「体の回復は順調なんすが…極度のストレスで失語症になって居やすね…半年から1年は喋れんと思いやす」

少年「ィィィ…ァ」ギロリ

盗賊「おぉぅ…まぁ怯えんな…俺は顔が怖いだけで中身は紳士だ」スッ


ズザザ!


少年「ゥゥ…」ギラギラ

学者「あんま怖がらせんで下せぇよ?」

盗賊「ヌハハその眼だ…そうだ俺と同じ眼をしてる…それで良い」

少年「…」ギロ

盗賊「レーションだ…食って見ろ」ポイ

少年「…」タジ

盗賊「とりあえずな?何でも良いから食って体力付けろ…その後生き方を教えてやる」

学者「急に食べても逆効果っすよ?」

盗賊「んな事は体が覚えて行くんだ…食える時に食え」

少年「…」カリ モグ

盗賊「んん?やっぱお前その石握りっ放しか…」

少年「…」ガバッ グググ

盗賊「取りゃし無ぇよ…ゲス!包帯有るか?」

学者「何するんすか?」スッ

盗賊「こいつの手から石が落ちない様に包帯を巻いてやるのよ…ゴラ動くな!」マキマキ

少年「ァゥ…ゥァァ」バタバタ

盗賊「よーし!!これで両手使えるだろ?」

少年「…」ギロリ

盗賊「無くすんじゃ無ぇぞ?大事な石なんだろ?」

少年「ゥゥ…」ギュゥ プルプル

盗賊「こりゃかなり訳ありだな…」

学者「兄貴ぃ…それより外の様子はどうなんすか?」

盗賊「多分フィン・イッシュの軍船が近くに居てよ…俺が顔出すと海賊に間違えられそうだから荷室に来たんだ」

学者「アハ兄貴は人相悪いっすもんねぇ…」

盗賊「うるせぇ!!」ゴン

学者「あたたた…ほんで?軍船近いって事は目的地も近いって事っすね?」

盗賊「まぁな?只俺らはちっと立ち寄るだけだから情報集めて次に進むつもりだ」

学者「食料とかちっと補給出来ると良いっすね?」

盗賊「うむ…米とか芋はもう食い飽きた…魚もだ」


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818 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:29:30.98 ID:RKoe7B/E0
『1時間後』


チョキ チョキ バサ


盗賊「暴れんなゴラ!」チョキ

少年「ゥァァァ…」ジタバタ

盗賊「おら?随分スッキリしたじゃ無ぇか?」

少年「ゥゥゥゥ…」ギロ

学者「切った髪の毛は後でミライ君が使うかもしれやせんぜ?」

盗賊「だな?集めて束ねとく」ガサガサ

学者「ちっと切り過ぎたんじゃ無いっすか?殆ど坊主じゃ無いっすか…」

盗賊「小僧はこれで良いんだ…おら終わりだ!」ペチン

少年「ゥゥゥ…」ギロ


ガコン! ギシギシ


少年「ゥァ…」ゴロゴロ ドタ

盗賊「何だ!?」スック

学者「足音が聞こえやすね?」ドタドタ

盗賊「なるほど…海賊じゃ無いか確かめに来てんのか…」


シュタタ スタ


剣士「アランさん!!大きな船の人が積荷を見に来るよ」

盗賊「やっぱそうか…俺はどうすりゃ良い?隠れときゃ良いんか?」

剣士「多分大丈夫…今カゲミさんが話をしてくれてるんだ」

盗賊「ふむ…海賊じゃ無い事が確認取れれば無罪放免だな?」

剣士「なんかそんな感じ…」

盗賊「そうそう…今コイツの髪の毛切った所だ…お前使うだろう?」

剣士「あ〜貰って行くよ」バサ

学者「俺っちもちっと上見て来やしょうかねぇ…兄貴よりマシな顔してるんで」

盗賊「ケッ!!様子見て来い!!」ドン


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819 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:31:05.17 ID:RKoe7B/E0
『甲板』


ドタドタ…

大砲に見えるのはハリボテですね…砲弾も見当たりません

フハハハこれは木人か…こんな子供騙しでやり切って来たのか

乗員は7名と子供が2名…あと一台旧式の機械がありますが非武装です

メインの武器は中古の重クロスボウの様ですね…


闇商人「…これが商工会の証明書さ…確認する?」パス

兵隊「ふむ…確かに…」ジロ

闇商人「積み荷は主に木材と鉄鋼…食料だね…密輸に当たる物は積んで居ないよ」

兵隊「我々はそれを取り締まっている訳では無い…現在武装組織と係争中でな」

闇商人「武装組織…じゃぁヤン・ゴンに入船は出来ないのかな?」

兵隊「一応追い払っては居るが…隠れ潜んでる者が居るかもしれないから安全は保障出来ないが?」

闇商人「補給にだけ立ち寄りたいかな…」

兵隊「ふむ…まぁ良いだろう…だが他の友軍から誤爆を避ける為に旗印を立てて貰いたいのだが…」

闇商人「旗印か…係争してる相手からすると敵になってしまうね」

兵隊「無印の商船が自由に出入りできる状況では無いぞ?」

闇商人「わかったよ…」

兵隊「では友軍の旗印はこちらで用意する…この船の場合…メインマスト上部が良かろう」

兵隊「警告しておくが友軍に対して敵対が発覚した場合…即刻船ごと沈められる事を忘れるな?」

闇商人「肝に銘じるさ…」

兵隊「では我々は撤収する!旗印が届くまでここで待て…失礼!」スタ


ドタドタ…


学者「話上手く行ったみたいっすね?」
820 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:31:43.08 ID:RKoe7B/E0
闇商人「まぁ…相手は正規軍だからね…話は通じるさ」

学者「フィン・イッシュの正規軍っすよね?」

闇商人「うん…数少ないけど…精鋭中の精鋭らしいよ…陸上での話だけど」

戦士「正規軍には元セントラル王のバレンシュタイン卿が居ると聞いたな…」

闇商人「そうだね…没落貴族の一人さ」

戦士「船に乗って居るのだろうか?」

闇商人「どうだろうね?そういう話は一般には知らされないからね」

学者「乗ってるなら見て見たいっす…」


シュタタ


剣士「旗を受け取ったよぉ!!」シュタ

闇商人「それをメインマストの上に掲揚しなければいけないらしい」

剣士「おけおけ!!取りつけてくるね」シュタタ


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『水龍の旗印』


バサバサ ヒラヒラ


盗賊「ほほー…これでフィン・イッシュの庇護下だな?」

闇商人「僕らはフィン・イッシュの友軍が誰なのか知らないから動きにくい所もあるんだよ…」

盗賊「確かに…どこのどいつを雇ってるか分からんな…」

闇商人「さっさと補給と情報収集終わらせて立ち去るのが吉かな」

盗賊「まぁこれでヤン・ゴンに入船出来るんだが…どうすっかな…」

戦士「数人は船に残って離岸させておいた方が良いと思う」

盗賊「やっぱそうなるな…」

剣士「僕と姉さんは船に残るよ…作り物もやってる最中だし」

学者「俺っちも残りやす…賢者の石の効果も確認したいんで」

闇商人「僕はヤン・ゴンに降りて見たい…ちょっと確認したい事もある」

盗賊「おう!ほんじゃ降りるのは…俺とカゲミ…ほんでラスと…」

戦士「私は船で少し休む…ミルクを連れて行って勉強させてくれないか?」

盗賊「おっしこれで4人だな?」

少女「ウルフィは連れて行くぞ…陸で狩りさせないと衰える」

盗賊「ちゃんと面倒見ろよ?」

学者「兄貴ぃ…船どうしやす?直接桟橋の方に行っても良いんすが…」

盗賊「う〜ん…船は沖に置いといて小舟連結させて双胴船にするのを試してみっか?」

剣士「お!?何それ?」

盗賊「なんかな?小舟を板で連結させて帆が立てられる様になってるらしい」

剣士「おぉぉぉ!!組み立ててみたい!!」

盗賊「じゃぁ早速船止めて小舟降ろすぞ!」ダダ


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821 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:32:12.77 ID:RKoe7B/E0
『双胴船』


ガサゴソ 


盗賊「おぉ!なんだこれ…めちゃ簡単だな」

剣士「帆も差し込むだけだね…漕いで進む事も出来るのかぁ…便利だなぁ」

盗賊「お〜い!!降りて来て良いぞぉ!!」


ピョン クルクル シュタ


少女「ムフフ…」

剣士「じゃぁ僕は船に上がるね」ヨジヨジ

盗賊「カゲミとラスも順に降りて来いよぉ!!」

学者「兄貴ぃ!!こっちの船どうしやす?」

盗賊「200メートルぐらい沖に停船してりゃ良いだろ」

学者「分かりやしたぁ!!後で移動しやすねぇ!!」

女ハンタ「ホッ!!」スタ

闇商人「とぅ!!」スタ

ウルフ「がうがう!!」シュタ

盗賊「ほーーーこりゃ双胴船馬鹿に出来んな…相当安定してる」

闇商人「荷物も随分乗りそうだね?」

盗賊「これ一人で動かせるんか?」

闇商人「舵を足で操作して居るのを見た事が有るよ」

盗賊「なるほど…まぁやって見るか…習うより慣れろだ」バサバサ

闇商人「お?進みだした…」

盗賊「こりゃ面白れぇ…」グイ バサバサ

盗賊「なるほど…この金具で帆角固定するんか…」グイグイ ギュゥ

闇商人「ハハすぐに乗りこなせるんだね」

盗賊「キャラック船より随分風の捕まえ方が簡単だ…あとは舵取りだけだ…おぉ!!舵も固定出来るようになってんのか」

少女「なかなか早いな…」

盗賊「アレだ…一枚帆のスループ船みたいなもんよ…ちっと帆が小さいが」

闇商人「ボートにそれぞれ3人…間のデッキ部分に6人は乗れそうだね」

盗賊「気に入ったぜ双胴船!」


バサバサ ザブン ザブン


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822 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:33:16.77 ID:RKoe7B/E0
『ヤン・ゴンの港』


ガコン ギシギシ


盗賊「帆だけ片付けて行く…先に降りててくれ」ガサゴソ

闇商人「よいしょ!」ヨッコラ

女ハンター「気を付けて…」スタ

少女「ウルフィ行くぞ」ピョン シュタ


男達「…」ジロジロ


女ハンター「なんか嫌な感じ…」

闇商人「見てるねぇ…」

盗賊「おっし!終わったぁ!!」ピョン ズダ

闇商人「普通ならココで入船料取りに来るんだけど…」

盗賊「入船料も何も小舟だぞ?漁船よりもショボイ船に金出せってか…」

闇商人「桟橋の利用はどこもタダじゃないさ…ええと…あの箱にお金を入れろって事かな…」スタ

盗賊「おいラス!武器はしっかり隠しとけよ?」

女ハンター「分かってる…」スタ

闇商人「…」チャリン チャリン

盗賊「律儀な事で…」

闇商人「帰りに小船が無くなったら困るだろう?」

盗賊「無くならん様に仕掛けはしてあるがな?」

女ハンター「なんかココ…雰囲気おかしくない?」キョロ

盗賊「無法地帯なんだろ?気にすんな」

女ハンター「あんたねぇ…」イラ

盗賊「ヌハハお嬢様じゃ無いだろうに…只の難民キャンプだと思えばどうって事無い」

闇商人「宿があるのかも微妙な様だね…」


男達「…」ヒソヒソ


女ハンター「…」キョロ

盗賊「まぁそうビク付くな…軍船すり抜けて堂々と桟橋使ってる訳だ…おまけに番犬まで連れた一行をそう簡単には襲わん」
823 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:04:03.98 ID:RKoe7B/E0
少女「番犬言うな!ウルフィだ!」ゲシゲシ

盗賊「しかしラス!かなり薄着だが…吹っ切れたか?」

女ハンター「熱いだけだ…」

盗賊「俺ら良いコンビだぞ?全身傷だらけの奴が堂々と歩いてる訳よ…そら怖いわな?ヌハハ」

闇商人「よしこうしよう…僕がリーダーで君達2人は傭兵さ…ミルクは僕のお手伝い役」

盗賊「言わんでもそんな風に見えてるぞ?なぁミルク!!ヒソヒソ話してんの聞こえてんだろ?」

少女「商船が入って来ないって文句言ってるぞ」

盗賊「そっちか…」

少女「麻の布とか売りたいみたいだ」

闇商人「麻の産地なのか…」

盗賊「布は船に乗って無いから欲しい所だ」

闇商人「いくら持ってる?」

盗賊「金貨20枚ぐらいある」

闇商人「ふむ…確か船に要らない武器とか沢山有ったね…鉄鋼も余裕がある」

盗賊「商売する気か?」

闇商人「酒場とか期待出来そうに無いからね…取り引きで色々聞き出した方が早いと思う」

盗賊「なるほど…おっし!俺が荷物運んでやる」

闇商人「まぁ慌てないで何が欲しいのか聞き出してみようか…」


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824 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:04:33.41 ID:RKoe7B/E0
『道端の切り株』


タッタッタ…


女ハンター「宿は見つかったか?」

盗賊「今カゲミが聞き込みしてくれてる…それよりほら!麻の羽織りだ」バサ

女ハンター「また随分安そうな物を…」

盗賊「そら涼しいんだ…腰にある武器がチラチラ見えるからそれ羽織って隠せ」

女ハンター「フン!」バサ

女ハンター「ゴワゴワだ…」

盗賊「日に当たらんで済むからそう悪く無いぞ?」

女ハンター「カゲミとミルクだけで聞き込みやらせて大丈夫なのか?」

盗賊「俺が行くと値引き出来ないから邪魔らしい」

女ハンター「フフ…じゃぁこの羽織はどうした?」

盗賊「銀貨2枚…」

女ハンター「麻袋と大した変わらない物に銀貨2枚も使った?」

盗賊「うるせぇ!金持ってる奴はじゃんじゃん使えば良いんだ」

女ハンター「酒は買って無いの?」

盗賊「何処に売ってるか分からんもんだからよ…だが大麻は見つけた」チッチ スパーーー フゥゥゥ

女ハンター「…」ジロリ

盗賊「何だよ?お前も吸うか?」

女ハンター「要らない…」

盗賊「しかし…ここは随分シケた所だ」

女ハンター「紛争の最中だからじゃないの?」

盗賊「ふむ…港の方にも何隻か船が沈んでたな」

女ハンター「重装射撃砲なら海賊船なんか簡単に沈められる…」

盗賊「どてっぱらにドーンってか?」

女ハンター「それよりフィン・イッシュの女王が乗る船の情報は?」

盗賊「多分な?俺らが追い越したんだと思うわ…沖で停船してる2隻は先遣部隊だろう」

女ハンター「じゃぁここで待つ感じに?」

盗賊「俺らの目的は追随なんだが…ちっとどうするか迷ってる」

女ハンター「今の所軍船の近くに居た方が安全と言えば安全ね…」

盗賊「しばらく海賊に追われてあんま寝て居ないから…ちっと休憩だな」

女ハンター「休憩出来れば良いけど…」


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825 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:05:23.66 ID:RKoe7B/E0
『1時間後』


シュタタ クルクル ガシ!!


盗賊「ウハハハ見切ったぞ!!」

少女「アラン!仕事だ…食材買ったから船に運べ」

盗賊「マジか…」

少女「荷車は借りてる…来い!」

盗賊「おいおい…そう慌てるな…宿はどうなってる?」

少女「テントを借りられる様にカゲミが話してる」

盗賊「ぐはぁ…難民キャンプかよ…」

少女「仕方ないだろう…虫除けになるだけマシだ」

女ハンター「何処を見ても大した建物が建って居ないでしょう?どんな期待してたの?」

盗賊「ううむ…確かにそうだな…低木ばっかじゃロクな木材切り出せんか…」

女ハンター「ここは20年前まで氷に覆われた未踏の地…何処に行っても同じだと思う」

盗賊「そういや未踏の地だったか…」

少女「おい!!食材を荷車に積みっぱなしだぞ…早く行くぞ!」グイ

盗賊「お…おう」スタ


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『荷車』


ゴトゴト


盗賊「ほんで?この食材運んで何を持って帰ってくりゃ良いんだ?」

少女「銀の武器と鉄の斧だ…鉄鋼は要らんらしい」

盗賊「なんで又銀の武器なんか…」

少女「知らん…ゾンビでも出るんじゃ無いか?」

盗賊「まぁ…銀の武器は余ってたから良いか」

少女「それで布と交換するのだ」

盗賊「ここまでで良いぞ?後は俺一人で行ける」

少女「そうか?」

盗賊「戻って来たら何処行けば良い?」

少女「匂いで分かる…何処でも良いぞ」

盗賊「便利な鼻だこと…ほんじゃラス!ミルクを頼むな?」

女ハンター「分かった…」

盗賊「じゃぁ又後でな?」ノシ


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826 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:05:53.77 ID:RKoe7B/E0
『テント』


バサッ


男「このテントなら使っても良い…どうだ?これぐらいで」スリスリ

闇商人「フフ…仕方ないか…」ジャラリ

男「旦那ぁ?夜は野党が出るかも知れんので…休む時は下の方で…ウヒヒヒ」

闇商人「下?」

男「床の板をめくって見りゃ分かる」

闇商人「なるほどね」

男「じゃぁ俺はこの辺で…」コソコソ

闇商人「下か…」グイ

闇商人「…」---塹壕の上に板を置いて居るのか---

闇商人「…」---獣除けには良いけど…これじゃ逃げ道が無い---

闇商人「…」---見張りをおく必要がありそうだなぁ---


シュタタ スタ


闇商人「お!?見つけたね?」

少女「ここか…ふむふむ…」

女ハンター「中々良さそうなテントだこと…」キョロ

闇商人「まぁまぁ…テントの下が塹壕になって居るんだ」

女ハンター「塹壕で休む?中々衛生的ね」

闇商人「一応敷物は敷いてあるよ…ハハハ」

女ハンター「塹壕に隠れなきゃいけないほど何かが有ると言う事ね」

闇商人「ゾンビとスケルトンが絶えないらしいよ…あと野党が出るとも言われた」

女ハンター「それで銀の武器が欲しい訳ね…」

闇商人「ところでウルフィは?」

少女「狩りに行ったぞ」

闇商人「そうか…夜中見張りを置かないとちょっと危なさそうなんだ」

少女「ウルフィの仲間呼ぶか?」

闇商人「それも他の人を怖がらせてしまうね」

少女「誰か来ても匂いで分かるから大丈夫だぞ」

闇商人「そうかい?」

女ハンター「じゃぁ私は先に少し休ませて貰う…」

闇商人「そうだね…まぁしばらくは大丈夫だから安心して休んで」


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827 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:06:44.03 ID:RKoe7B/E0
『夕方』


ガチャガチャ


少女「此処だ…」シュタ

盗賊「おぉぉ!!思ったより良さそうなテントじゃ無ぇか」ドサー

闇商人「あ…武器を持って来てくれたね?」

盗賊「要らん武器全部持って来たぞ…中々重かった」フゥ

闇商人「鉄の武器とかは要らないけどね」

盗賊「馬鹿…鉄で出来てんのは斧だけで他は全部銀の武器だ」

闇商人「ふむ…これだけ有れば布以外の物も買えそうだな…」

盗賊「他に何が売ってる?」

闇商人「色々あるけどね…気になってるのはお札だよ」

盗賊「お札?」

闇商人「どういう訳か呪術用の呪符っていう物が売ってるのさ」

盗賊「ほーう?何か効果あんだろうな?」

闇商人「呪を封じるとか言ってたから魔除けの類だね…オークも呪符を使ってたりするじゃない?」

盗賊「あぁオークシャーマンだっけか…そういやミネア・ポリスにも居たな」

闇商人「こっちの大陸の呪符はオークのそれとは違うみたいだよ…でもまぁ同じ様な効果なら買っても良いかなと」

盗賊「あれは直ぐ剥がれてどっか行っちまうからなぁ…」

闇商人「どうせ使わない武器なら使いそうな物に交換した方が良い」

盗賊「そらそうだ…てか…ラスは何処行った?」

闇商人「今寝てる…このテントの下に塹壕があるのさ」

盗賊「おぉ!!そりゃ良い!!」

闇商人「夜中に野党が出るから下で休めとか言われたけど…どう思う?」

盗賊「ヌハハそんなん石か何か置かれて閉じ込められるに決まってるだろ」

闇商人「やっぱりそうだよね…」

少女「大丈夫だぞ…誰か来てもすぐ分かる」

盗賊「ミルク様さまだな?撫でてやる」ナデナデ

少女「ふにゃー」ゴロン

盗賊「まぁ野党が来たら金儲けのチャンスだ…身ぐるみ剥いで塹壕の中に入れときゃ良い」

闇商人「心強いね」
828 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:07:13.35 ID:RKoe7B/E0
盗賊「さて…俺もちっと酒飲んで休むか」キュポン グビ プハァ

闇商人「もう休む?」

盗賊「何よ?」

闇商人「面白い話が聞けたのさ」

盗賊「お?」

闇商人「此処に居た武装勢力の事さ…」


早い話海賊なんだ

正規軍に勝てる訳なんか無くて全滅さ…船も沈められた

どうしてやられたかと言うと…

例の石…賢者の石を盗んだからなんだよ


盗賊「なぬ!?」

闇商人「興味出て来たかい?」


ここから川を遡って20キロほど行った所に大きな遺跡があるらしい

そこで発見された物はミイラとなったご神体が封印されていたそうだよ

そこではシン・リーンの研究者が何かやっているらしくてね

その影響で死者がゾンビとなって動き回ってるとか言うんだ


盗賊「ほーん…ほんで魔除けのお札か…」

闇商人「どういう繋がりがあるか分からないけれど…呪いだとか言う噂はあるね」

盗賊「賢者の石はそこから盗まれた訳だな?」

闇商人「確実な話では無いけれど…なんかそんな気がするよね?」

盗賊「ちょい待て…あの石はマルコが持って居た物なのか?」

闇商人「同一の物かどうか正直分からない…もし同一の物だったなら…シン・リーンの研究者はマルコさんの可能性もある」

盗賊「お前…俺を誘導してんな?」

闇商人「まあね?」

闇商人「重ねて言うと…賢者の石は命を与える効果なんだ…もしかするとご神体を復活させようとしていたのかも知れない」

盗賊「そのご神体は何者よ?」

闇商人「わからないよ…見て見ない事には…」

盗賊「くぁぁぁ行くしか無いか…20キロも川を登れると思うか?」

闇商人「やってみない事には何とも言えないね」

盗賊「まぁ明日にでも行って見るか…」

闇商人「フフ…」


--------------
829 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:07:44.09 ID:RKoe7B/E0
『夜_焚火』


メラメラ パチ


盗賊「おら焼けたぞ?鳥の丸焼きだ…お前も食うよな?」

闇商人「そうだね…どうやって食べる?」

盗賊「んなもんダガーで適当に削ぎ落して食うんだ…お前何か持って無いのか?」

闇商人「有るには有るけど…突き刺し専用の武器でね」スチャ

盗賊「ニードルダガーか…又キワモノを…」

闇商人「護身にはこれで十分さ…」プス

盗賊「おいおい肉を丸ごと持って行くな」グイ

闇商人「じゃぁ切り分けてよ」

盗賊「世話の焼ける…」スパ ポイ

闇商人「フフ…久しぶりの新鮮な肉だ…」パク モグ

盗賊「やっぱ肉だよな?ミルクも要るか?」

少女「バナナ食い過ぎて腹一杯だ」

盗賊「そうか…食いぶち減って良かったわ」ガブリ モグモグ

盗賊「ほんでカゲミ!ちっとそのニードルダガー見せてみろ…」

闇商人「んん?何か気になるかい?」ポイ

盗賊「ほーう…やたら軽いな」スチャ

闇商人「鉄の鎧も貫けるとか言われて買ったのは良いけど無理だったよ…ハハハ」

盗賊「使い方次第だな…こりゃ暗殺用の武器なんだ…材質はミスリル銀かぁ?」ジロジロ

闇商人「欲しいなら使っても良いよ」

盗賊「俺ぁ普通のダガーの方が好みだ…暗殺目当てならこっちの方が良いかも知れんが…」

闇商人「そうかい…」

盗賊「そいつはな?突き刺した後に刃を抜かない限り殆ど血が出ないんだ…綺麗に暗殺する為の武器よ」

闇商人「あんまりそういうシーンは無いね」

盗賊「まぁ…汚れずに相手を倒せるのは利点だから覚えとけ」

少女「おいアラン!遠くでヒソヒソ悪い話してるぞ」

盗賊「ヌハハ来なすったか…何て言ってんだ?」

少女「寝てる隙に泥棒するつもりだ」

盗賊「またショボイ話だな?」

闇商人「ヤレヤレだね?どうする?」

盗賊「荷物纏めて塹壕の中に入っときゃ何も出来んのじゃないか?」

闇商人「板を塞がれて閉じ込められるんじゃ?」

盗賊「こんなペラペラの板なんざ銃で簡単に穴空くだろ…そんな事せんでもちっと細工しときゃ済む」

闇商人「なんだ結局そういう風か…」

盗賊「あいつ等ビビッてっからどうせ大したこと無い…寝てる隙に泥棒とかショボ過ぎるわ」

闇商人「気にしないで休むかぁ!!」ノビー

盗賊「おう!!寝るぞ!!」


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830 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:08:15.77 ID:RKoe7B/E0
『深夜』


アオ〜ン アオ〜〜ン


くそう…荷物全部下の方に持って行った様だ…

どうする?一旦埋めて後から掘り返すか?

そうだな…土乗せて行くぞ

おい待て待て!…ウルフがうろついてる

ちぃぃぃ番犬が居たのか

良く見ろ!ウルフはビビッて近づいて来ない様だ…

お前ウルフを見張ってろ!!埋めるぞ!!


ヴヴヴヴヴ… ガァァァ… ズルズル


うお!!あのウルフ…ゾンビに追われてんじゃ無ぇか…

何ぃ!?

やばいこっち来る!隠れろ!


シュタタ シュタタ ピョン!


おわっ!!なんだあのウルフ…

やばいゾンビだ…おい!!火を起こせ!!

松明…松明…


メラメラ ボゥ


まずいな…3体居る…

油を取りに戻らないと焼けないぞ!?

仕方無ぇ!一旦戻るぞ!!


タッタッタ…


-------------

-------------

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831 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:08:46.83 ID:RKoe7B/E0
『翌朝』


モクモク モクモク


女ハンター「ふぁ〜あ…良く寝た…んん?何か騒がしいな」キョロ

闇商人「あ!おはよう!」

女ハンター「この騒ぎは?」

闇商人「僕達が寝てる間にゾンビが出たらしい…あの煙は燃やしてる所さ」

女ハンター「ここは塹壕が有って良かったみたい…」

闇商人「その様だね…アランはまだ起きない?」

女ハンター「いつも通り…」

闇商人「しばらく寝かせてても良いか…ちょっと僕は武器持って取り引きしてくるよ」

女ハンター「一人で持てる?」

闇商人「う〜ん…まぁ荷車借りて来るから大丈夫さ」

女ハンター「そう…」

闇商人「君は昨夜何も食べて無いでしょ?」

女ハンター「まぁ…」

闇商人「鶏肉があるから焼いて食べなよ…バナナとヤシの実もある」

女ハンター「そうね…焚火起こしておく」

闇商人「うん…じゃあちょっと行って来るからアラン起きるまで此処に居て」スタ


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832 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:09:13.92 ID:RKoe7B/E0
『2時間後』


ゲシゲシ


少女「起きろアラン!」ゲシゲシ

盗賊「んが!?」パチ

少女「キターーー!!ラス!!起きたぞ!!」シュタタ

盗賊「んあぁぁぁ水くれぇ…」ムクリ ヨロ

女ハンター「…」ポイ


ゴツン!


盗賊「あだっ!!ててて…」スリスリ

女ハンター「水は無いから…それ飲んで」

盗賊「ヤシの実か…」グサ グサ

女ハンター「又妖精の夢でも?」

盗賊「いや今日はぐっすりよ…さっき目を閉じたと思ったら一瞬で目が覚めたな」ゴクゴク プハァ

女ハンター「一瞬!?本当呆れるわ…」

盗賊「しかし良く寝た気分だ…」ヨタヨタ

女ハンター「そう!!良く寝てたから!!」フン

盗賊「なんでそんなカリカリしてんのよ…」

女ハンター「ヤシの実は一個しか無いの…分かる?」

盗賊「ヌハハ悪い…まだ残ってるぞ?」ポイ

女ハンター「フン!」グイ ゴクゴク

盗賊「カゲミはどうしたんよ?」キョロ

少女「武器持って布と交換行った…もう直ぐ戻る」

盗賊「おぉそうか…ほんじゃ又船まで往復だな…んん?なんだこの匂い」クンクン

少女「アランでも分かるか…臭いだろう」

盗賊「こりゃゾンビ焼いてる匂いだな…」

女ハンター「私達が呑気に寝て居る間にウルフィが此処を守ってくれたらしいわ?」

盗賊「なぬ?」

少女「そうだぞ!!ウルフィに感謝しろ」

盗賊「ほーん…まぁがっつり寝ちまったが結果オーライだ」


闇商人「おーーーーい!!」タッタッタ


盗賊「お!!?戻って来たな?」

闇商人「荷車重すぎて途中で置いて来ちゃった…一回船に戻ろう!!」

盗賊「…だとよ?直ぐ行けるか?」

女ハンター「もう準備終わってる…あんただけ何もしてないの」

盗賊「まぁそう言うな…俺も大した物持って無ぇから」

闇商人「早くぅぅぅ!!荷車盗まれるぅぅ!!」

盗賊「ほんじゃ行くか!!」ダダ


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833 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:10:22.28 ID:RKoe7B/E0
『桟橋_双胴船』


ヨッコラ ドサー ユラユラ


盗賊「こりゃ全員乗れるかぁ?」

少女「ウルフィは狩りに出てるから数に入れなくていいぞ」

盗賊「軽いから最初から入って無ぇよ…ちっと一人づつゆっくり乗ってくれ」ギシ

女ハンター「私もカゲミも軽いから多分大丈夫…」ソローリ ギシ

闇商人「大丈夫かな…」ソローリ ギシ

盗賊「ヌハハ…全然大丈夫だったわ…しかしこんなに布とロープが調達出来るとはな?」

闇商人「丁度昨夜ゾンビが来てた様だからねぇ…銀の武器が良い取引になったよ」

盗賊「なるほどな?」

少女「乗るぞ!!」シュタタ ピョン スタ

盗賊「おーし!!ほんじゃ船に戻るかぁ!!」グイ バサバサ

闇商人「なんかさ?ここに居た海賊達が何処で死んだか分からないから火葬出来て居ないらしい」

盗賊「そりゃ後処理やってない正規軍が悪いな」

闇商人「重装射撃砲の榴弾だからね…後から死体探しても中々見つからないよね」

盗賊「死体がゾンビ化するとは思って無かったか…」

闇商人「どうしてゾンビ化するのかも謎だね」

盗賊「ゾンビ化は病気の一種だとか聞いたぞ?」

闇商人「病気…なるほど…それが呪いの正体か」

盗賊「もしかすると俺らももう掛かってるかも知れんな?」

闇商人「そうだね…でも僕は対処法を知って居るよ」

盗賊「対処?ゾンビ化のか?」
834 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:10:51.27 ID:RKoe7B/E0

闇商人「エリクサーさ…ゾンビ化してもエリクサーを飲めば進行は止まるんだ…マルコさんはそうやって命を繋いでた」

盗賊「ちょっと待て…そらどういう事だ?」

闇商人「マルコさんはゾンビ化して不死者になって居たんだよ…僕は良くエリクサーの調達をやらされた」

盗賊「マジか…知らんかったわ」

闇商人「不死者の研究もしてたさ…賢者の石を常に持って居たのも多分…命を繋ぐため」

盗賊「待て…ちっと今閃いた…」

闇商人「何だい?」

盗賊「ゾンビにはそもそも命が無い…繋いだのは命じゃ無くて…記憶じゃ無ぇのか?」

闇商人「え?」

盗賊「記憶を繋ぐのに必要な物がエリクサーと賢者の石じゃ無ぇかって話だ…」

闇商人「あぁ逆説になるか…記憶を繋ぐのに命が必要…その手段がエリクサーと賢者の石…だね?」

盗賊「ううむ…なんか引っかかるが…ゾンビも機械も一緒なんじゃ無いかと思ったんだ」

闇商人「機械も…なるほど…確かにそうかもね…」

盗賊「なぁ?…もし不死者になったとして…もう一回元の命が欲しいと思うか?」

闇商人「不死者ならもう命は要らないかも…」

盗賊「だろ?…じゃぁどうしたいのかと言うと…記憶を失いたくないんだと思うんだ」

闇商人「記憶ねぇ…生前の記憶か…ふむ…君の言う事の方も一理ありそうだ」

盗賊「変な話になるが…機械が持つ記憶をどうにかして残す事が出来れば…すべて終わる気がするな」

闇商人「機械の記憶…精霊の記憶…確かそれが夢幻という…」ボソ

盗賊「夢幻?」

闇商人「そういう記憶の集まりを夢幻と言うらしい…マルコさんは夢幻の研究もしてた」


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835 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:12:03.52 ID:RKoe7B/E0
『キャラック船』


グイグイ グイグイ


盗賊「おぉぉ!!新しい荷上げ装置か…」

剣士「これでちょっと重たい物もラクラク荷上げ出来るんだ!!」ヨイショ!

学者「俺っちのアイデアなんで未来君はドヤ顔せんで下せぇ」

剣士「えへへ…」テヘペロ

闇商人「こっちの方は昨夜どうだったのかな?」

剣士「どうって?」

闇商人「陸の方はゾンビが出たり…野党に襲われそうになったり…」

剣士「あぁ…なんか鉤縄が落ちてたから船に乗り込もうとしたみたいだね」

盗賊「なぬ!?こっちにも来てるんか…」

剣士「船首楼も船尾楼もちゃんと鍵が掛かってるから船に乗り込んでも何も出来ないと思うけどなぁ…」

盗賊「そらそうだが…」

戦士「ハハハ心配かね?」

盗賊「一気に来られると流石にマズいだろ」

学者「兄貴ぃ…俺っちにはバヨネッタが有るんすよ?防弾ベスト無しが何人来ても一瞬で追い払えやす」

戦士「そもそも鉤縄では乗り込めないのは何度も実証しているから大丈夫だよ」

盗賊「俺の船に弾丸の穴開けんなよ?」

学者「それより情報集まりやした?」

盗賊「まぁな?結論言うとしばらく待機になる」

学者「やっぱそうっすか…沖の船は女王の船を待ってる感じっすよね」

盗賊「その間ちっと川登って調べたい事が出来たんよ」
836 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:12:35.84 ID:RKoe7B/E0

学者「あ!!兄貴ぃ!!地図を良く見るとヤン・ゴン遺跡は川の上流っすよ」

闇商人「ハハその様だね…ここは船の玄関口さ…多分川を登った所にちょっとした町が有る」

盗賊「なんだそういう事か…あまりにもシケた所なもんでよう」

戦士「この船はこれ以上進めないからどちらにしても待機だね?」

盗賊「まぁそうだ…これから双胴船で川を登ってみようと思ってる」

剣士「こっちは心配しなくても良いよ…やる事も出来たから」

盗賊「やる事?」

剣士「沈没してる海賊船が有るじゃない?潜ってお宝さがし…」

盗賊「おっとぉ!!面白そうじゃ無ぇか…」

学者「あいやいや…それはこっちでやるんで兄貴は川登って来て良いっすよ」

盗賊「くぁぁぁぁ…」

闇商人「まぁまぁ…ヤン・ゴン遺跡の方にももしかしたらお宝が眠って居るかもしれないよ?」

盗賊「ほんなん盗掘されまくってるに決まってるだろ…沈没船の方が使える物が有りそうだわ」

学者「ウヒヒヒヒ…そいつをサルベージする為に新しい荷上げ装置をですねぇ…ウヒヒヒヒ」

盗賊「ええいくそう!!荷物まとめてサッサと行くぞ!」

女ハンター「あ…ライフル銃はどうする?」

盗賊「ありゃ目立つからダメだ…お前はベレッタ2つ持ってんだからそれで十分だ」

女ハンター「分かった…」

盗賊「ちっと酒と食い物持って行くな?」

剣士「うん!!余ってるから好きに持って行って」

盗賊「おーし!!ほんじゃ行くかぁ!!」スタ


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837 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:13:11.36 ID:RKoe7B/E0
『大河』


バサバサ スィーー


盗賊「順調!順調!!」

闇商人「流れがゆっくりな川で良かった…」

盗賊「しかし汚ねぇ川だな…深さがどんくらいあるか分からん」

闇商人「そうだね…」キョロ

女ハンター「他の船も見える…前方右手…」ジー

盗賊「おぉ…本当だな…」

闇商人「漁船かな?」

盗賊「この船よりちっと大きいぐらいか…あっちもやっぱ双胴船だな」

闇商人「上流にはもっと他の船も居るんだろうね…」

女ハンター「船に乗ってるのは冒険者の様な格好…4人ね」

盗賊「こっちと同じ様なもんか…」

女ハンター「ちゃんと武装してるわ…」

盗賊「この暑いのに防具なんか着てられっか!」

闇商人「武器類は何を?」

女ハンター「良く見えないけれど…銃器では無さそう…一人は弓を背負ってる」

盗賊「まぁ出来るだけ近づかん様にしとくか」

女ハンター「あれ?一人は杖を持ってる…」

闇商人「あーーー魔法使いが居るんだね」

盗賊「なるほど…ここはそういう冒険者が来る場所な訳か…」

闇商人「遺跡が一杯有るしねぇ…」

盗賊「低木の森からちょいちょい突き出してる塔みたいな奴がそうだな?」

闇商人「僕も始めて来るからさ…まぁ多分そうだよね」

女ハンター「でも冒険者たちは何処から来てるんだろう…」

闇商人「陸路でも山越えで来られるらしいよ」

盗賊「ほーー…場所的にシャ・バクダから北上か…」

闇商人「う〜ん…来ようと思ったらフィン・イッシュから海岸沿いにも来れる」

盗賊「海賊が居る事を考えると下手に海から来ない方が安全かも知れんな?」

闇商人「道中の魔物をどう凌ぐかだね…魔法使いが居れば良いのかも知れない」

盗賊「魔法か…どうも俺らには縁が無い様だ」


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838 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:13:42.37 ID:RKoe7B/E0
『上流』


ジャブジャブ


盗賊「ぐぁぁぁクソ!!この船じゃ漕いでもこれ以上進め無ぇ!!」

闇商人「帆が小さすぎた様だね…」

盗賊「もうちょいだったんだけどな」

女ハンター「なんか桟橋のある所…凄く危険な感じ…」

闇商人「ならず者の街…そんな雰囲気がムンムンしてるね…ハハ」

盗賊「俺らもそう変わらんだろ…とりあえず茂みに船隠してこっから歩いて行くか」ジャブジャブ

少女「おいアラン!何処かにワニが居るぞ」

盗賊「なぬ!!」

闇商人「それは危ないな…」

盗賊「いや…食える!!肉が激ウマなんだ」

闇商人「君は怖く無いのかい?」

盗賊「怖いも何も噛まれなきゃ簡単に殺せるぞ?」

少女「アラン!!ワニの肉食いたいぞ!」

盗賊「おーし!!見つけたら捕まえてやる」

女ハンター「フフ…怖い物無しか…」

盗賊「さっさと船隠してワニ探すぞ!!」グイ


ザブザブ


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839 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:14:08.34 ID:RKoe7B/E0
『茂み』


ガサガサ…


盗賊「いよー待たせた!!」

少女「うんま!!」ガブ ムシャ

闇商人「ハハ…君と言う人は…」タジ

盗賊「1メートルちょい…ちっと小振りだが晩飯には十分!」

女ハンター「ミルクはもう食べて?」アセ

盗賊「まぁな?ワニは腹ん中に石が入ってんのよ…持って帰るのに重いから内臓全部抜いたんだ」

闇商人「ええと…もしかしてソレ…担いで街の方まで行くつもり?」

盗賊「んん?問題あるか?」

闇商人「いや…まぁ良いけどさ…ハハ」アセ

盗賊「皮剥いで売ればそこそこの金になるぞ?」

闇商人「う〜ん…なんていうか…目立ち過ぎないかい?」

盗賊「んなもん気にすんな…ならず者が近寄って来なけりゃ尚良い」

闇商人「それにしても随分早く狩り終わったね?」

盗賊「ワニなんか脳天ブスリではい終わりだ…お前のニードルダガーでも余裕だぞ?」

女ハンター「…ここの部分ね?」ジロジロ

盗賊「おう!!覚えとけ…近づくの怖けりゃクロスボウで一発だ」

闇商人「ワニを担いだならず者一行か…」

盗賊「大した事無ぇよ…行くぞ!」ズイ


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840 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:15:06.65 ID:RKoe7B/E0
『ならず者の街』


ガハハハ…

見ろあんなちっこいワニ担いで又どっかの冒険者が入って来たぞ

おう最初が肝心だ…ちっと絞めて来い



盗賊「うほーー何だこりゃ…5メートル近いワニが吊るしてあるじゃ無ぇか…」

闇商人「これは…」タジ

盗賊「こりゃワニ革なんか売れんな…」


ならず者「ゴラ…お前等何処から来たんだ?…」ズイ


盗賊「んあ?川下った方からだ…なんか用か?」

ならず者「何偉ぶってんのよ…この町のルールを教えて欲しい様だな?」ボキボキ

闇商人「…」ギロリ

盗賊「なんだ?ルールってのは…」

ならず者「ウッハッハ…どうやら痛い目を見たいよう…」


ジャラリ ドサ


盗賊「悪い…それで勘弁してくれぇ…銀貨ちょろとしか入って無いが…そんだけしか持って無ぇんだ」

闇商人「…」

ならず者「ほう?素直だな?」ジャラ

盗賊「通して貰って良いか?腹減っててよ…このワニ肉食いたい訳よ」

ならず者「今回はこれで勘弁してやる…まぁ…あまり偉そうにするな?分かったな?」

盗賊「へいへい…行かせて貰うぜ?」スッ

少女「おいアラン!いいのか?」

盗賊「黙って付いて来い…」スタ

少女「んむむ…」スタ

闇商人「…」スタ


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841 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:15:45.01 ID:RKoe7B/E0
『街外れ_焚火』


メラメラ パチ


盗賊「だはははは…金貨1枚ゲッツ!」ピーン パチ

女ハンター「フフ…あの状況でスリ?」

盗賊「おう!俺の銀貨は50枚も無かった…儲けたわ」

少女「肉もっとクレ」

盗賊「おう食え食えー」

闇商人「こっちはもう焼けたかな…はい…」

盗賊「ラス!先に食って見ろ…ワニ肉は鶏肉より全然うめぇから」

女ハンター「頂く…」パク モグ

盗賊「しかしここは絵に描いたようなならず者の街だな?木組みの掘っ立て小屋ばっかりだが…なんか好きだぞ」

闇商人「見た感じ一応宿屋らしい所も有ったね…どうする?」

盗賊「今晩の寝床は確保せんとな?」

闇商人「なんか宿屋も安全な気がしないよ…」

盗賊「どっかの冒険者もウロウロしてっから大丈夫だろ?さっきの奴らはハッキリ言って雑魚だ」

闇商人「そうかい?」

盗賊「あんな奴らお前のバヨネッタ撃てば手のひら返して従う様になるぞ?」

闇商人「まぁそうなんだけど…誰がフィン・イッシュ側なのか分からないから下手に手を出せないよね」

盗賊「大人しくしとくのが吉だわな…まぁとりあえず拠点確保せんと動きにくい」

少女「アラン!もしかするとここでギルドの支援あるかも知れんぞ?」

盗賊「お?」

少女「試しに酒場で例の物頼んでみろ」

盗賊「やってみっか?」

闇商人「盗賊ギルドか…」

盗賊「おっし!!肉食ったら酒場を探すぞ!!」


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842 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:16:27.16 ID:RKoe7B/E0
『あらくれ共の酒場』


ドヤドヤ ガヤガヤ

ウハハハハ…あんなこ汚ねぇ壺が金貨10枚で売れるとはよぅ

半分よこしな!初めに見つけたのは私なんだから!!


盗賊「こりゃ又賑わっている様で…」スタ

闇商人「…」スタ

女ハンター「…」チラリ

少女「…」コソコソ


荒くれ共「ひゅぅぅ…」ニヤニヤ


女ハンター「…」ギロ

盗賊「おい!喧嘩売んな…奥行くぞ」グイ

女ハンター「…」チッ スタ


ヒソヒソ ヒソヒソ

誰だあいつ等?

女と子連れか…又シン・リーンの奴らが化けてんな?

シッ!!大人しくしてろ!!


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843 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:17:39.87 ID:RKoe7B/E0
『奥のカウンター』


ヒソヒソ ヒソヒソ


盗賊「なんだってこの店はカウンターが一番奥なのよ…」ブツブツ

マスター「4人かぁ?椅子なんて無ぇぞ!!」

盗賊「見りゃ分かる…酒出せ!コブラ酒…タンブラー4つ…」


シーン…


マスター「…」ユビパチッ

盗賊「んん?何だ!?」


ドタドタ ガタガタ スラーン チャキチャキ


マスター「店終いだ…お前等何者だ?耳の裏見せてみろ」ギロリ

盗賊「おっとっとぉ…俺らは電脳化の者じゃ無ぇ…だがな?そんな脅しにゃ乗らんぞ?」

マスター「ほう?この人数を相手にか?」

盗賊「ちっとな?騒ぎは起こしたく無い訳よ…さっさと酒出せオラ」ズイ

少女「アラン!お前の顔が悪いんだぞ」

盗賊「そら済まんなぁ…生まれる付きだもんでよ」

マスター「んん?このチビ子はまさか…」

少女「チビ子言うな!母に言うぞ!」

マスター「おっと…こりゃ失礼…伝令って訳か」

少女「伝令違う…保護を受けに来たのだ」

マスター「ここん所伝令も資金援助も途絶えている…仲間が軍船にやられた件も…少しは説明願いたいもんだ」

少女「仲間が軍船に?どういう事だ?」

マスター「…」ジロリ

盗賊「どうやらこっちも訳有りな様だ…」

マスター「お前等!店番変われ…こいつらを奥へ連れて行く」

あらくれ共「おう!!」ドタドタ

マスター「入れ…」ギギー

盗賊「ほほーう…隠し扉か…」スタ


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844 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:19:16.38 ID:RKoe7B/E0
『隠し部屋』


ギギー ガチャリ


マスター「酒は棚に入っている物を勝手に飲め…」スタ

盗賊「こりゃ又色々揃ってんな…」フム

マスター「…それで?何故保護を?」

盗賊「んぁぁどっから話しゃ良いんだ?」キュポン グビ

少女「少し私から話すぞ…こういう事だ…」


カクカク シカジカ…

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マスター「…なるほど?海賊王の娘に化けたフィン・イッシュ女王が大船隊を…それであの軍船か…」

少女「盗賊ギルドは関与しない立場なのだ…何も知らぬ兵隊には敵に映ってしまったのだろう」

マスター「迷惑な話だ…折角電脳化の者を生け捕り出来たと言うのに」

盗賊「生け捕りだと?電脳化デバイスは証拠隠滅の為に自爆するだろう?」

マスター「泳がせるのに成功していた…と言う方が正しい」


奴らは海賊の中に紛れ込み

ヤン・ゴン遺跡で調査活動をしていたシン・リーンの魔術師を襲ったんだ

そして魔術師が持って居た不思議な石を持ち去ろうとした…

だがどういう風に知れたのか分からんが突如軍船2隻からの精密砲撃を受けて海賊船は撃沈した

その海賊船に俺達の仲間も乗って居たんだ


盗賊「そいつを泳がせるってのは…行き先を知る目的だったのか?」

マスター「そうだ…その不思議な石は何かのエネルギーを持って居ると思われる…その行き先だ」

闇商人「ちょっと質問がある…襲われたのはシン・リーンの魔術師と言ったね?」

マスター「それがどうした?」

闇商人「どんな魔術師なのか情報は無いかな?」

マスター「死霊術師…遺跡で発掘されたミイラにサクリファイスという術をやろうとしていた様だ」

闇商人「サクリファイス…聞いた事が無い」

マスター「ミイラを食って力を得るとか…キチガイとしか思えん魔術らしい…そのお陰で何人も犠牲が出てる」

盗賊「犠牲って何よ?呪いとかそういう奴か?」

マスター「魔術の触媒に生きた人の心臓が必要な様だ…正気の沙汰と思えん…」

盗賊「なるほど話が通ったぜ…犠牲になったのは奴隷の子供達だな?」ギロ

マスター「詳しくは知らん…そういう奴も居たかもしれん」

盗賊「俺はその死霊術師が許せん…ぶっ殺しに行く」

闇商人「アラン落ち着いて…相手はシン・リーンの魔術師だよ…一人じゃない可能性もある」
845 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:19:51.85 ID:RKoe7B/E0
盗賊「だからなんだ?まとめて殺してやる」ギラリ

闇商人「だから今フィン・イッシュやシン・リーンに敵対行為出来ないんだよ」

盗賊「ちぃ…イラつくな…」ググ

マスター「お前達は何をしに此処へ?」

闇商人「遺跡で何が起こって居るのか調べに来たのさ…ちょっとの間安全に過ごせる拠点が欲しくてね…それで此処へ」

マスター「此処に隠れる分には構わんが…協力が必要ならそれなりの報酬も必要になる…なんせ資金が足りないんでな」

闇商人「協力か…あまり考えて無かったな…」

盗賊「調査だけなら俺一人で行ける…その間お前等が安全なら良い」

闇商人「僕も見に行きたいんだけどね…」

盗賊「悪いが足手まといだな…遅すぎる…俺が先に行って安全を確認出来たら見に来ても構わん」

闇商人「確かに…その方が確実か…」

少女「アランが居ない間どうする?ここでゴロゴロするのか?」

闇商人「う〜ん…傭兵を雇えば少しは安全に過ごせるかもだけど…」

マスター「一つ提案だ…お前達は船に乗って来ているだろう?」

闇商人「それが?」

マスター「撃沈した海賊船に財宝が少し乗って居た筈なんだ…回収すれば資金の足しになる」

盗賊「なぬ!?今サルベージやってる最中じゃ無ぇか!!」

マスター「じゃぁ取引だ…山分けしてくれりゃこの街での安全は保障してやる…どうだ?」

闇商人「ふむ…良いかもね」

盗賊「ウハハ太っ腹だな?」

闇商人「敵味方が分からない状況で問題が起こらなくなるならそれも良いかなと…下手すると船沈められちゃうかも知れないし」

マスター「よし!取り引き成立だ」

闇商人「まぁとりあえず今晩は此処で休めるね」

盗賊「俺は遺跡の方に行って見ようと思うがな…」ギラリ

闇商人「くれぐれも面倒を起こさない様に…」


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846 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:20:26.22 ID:RKoe7B/E0
『酒場のテーブル』


ドヤドヤ ガヤガヤ


マスター「…とりあえず護衛が数人付くからそのつもりで頼む…何処に行っても構わんが出来るだけ金を落として行って欲しい」

闇商人「それは何か買えという事かい?」

マスター「そうだ…加工していない象牙や琥珀が有るぞ?」

闇商人「ふ〜む…あまり持ち合わせも無いんだけど…」

マスター「出来るだけで構わん…ここで酒を飲んで金を払って行くのでも良い…金を回してくれという話だ」

盗賊「おー使っちまえ使っちまえ!どうせサルベージで金戻って来るんだからよ」グビ プハァ

少女「肉だ!新鮮な肉が欲しいぞ!」

闇商人「フフまぁ良いか…」

盗賊「じゃぁ俺はそろそろ仕事に行って来る」スック

闇商人「場所は分かるのかい?」

盗賊「ほんなん一番デカイ遺跡なんだろ?見えてたじゃ無ぇか!」

闇商人「行くのは良いけど…くれぐれも…」

盗賊「言われなくても分かってる!まずは偵察よ…俺の金貨全部置いて行くから適当に何か仕入れとけ」ジャラ

闇商人「ハハ分かったよ…」

盗賊「じゃぁな?毎度の事だが…朝までには戻って来るから…そのつもりで頼む」タッタッタ

闇商人「…さて?まだ寝るには早いけど…どうする?」

女ハンター「護衛が居るなら…少し街を歩いてみよう」

闇商人「そうだね?何があるか気になるし…」


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847 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:21:28.15 ID:RKoe7B/E0
『ぼろ屋の連なる街道』


ヒソヒソ ヒソヒソ

マズイ事になった…遺物の買取を一旦休止するらしい…収入無くなるぞ

ええ?どうして急に…

多分遺跡調査をそろそろ終わるんだと思う…シン・リーンの奴ら居なくなったらどうするんだ?此処は…

また山越えで戻るなんてもう考えたく無いわ…



闇商人「見た感じ熟練冒険者ばかりの様だね…」キョロ

女ハンター「確かに…防具の差が気になる…」

闇商人「武器もかなり良さそうだ…見てごらん?アレはオリハルコン製の武器だよ…」ユビサシ

女ハンター「見た事無い輝きの武器ね…」

闇商人「向こうの大陸には流れて来てないからねぇ…オリハルコンの原石はシン・リーンで採掘出来るらしい」

女ハンター「銃器は誰も持って居ない…」キョロ

闇商人「火薬があまり流通しないからだね…魔法が有ればそもそも銃器の必要性も薄いのかな」

女ハンター「魔法か…」


ゴゥ ボボボボボ


少女「向こうでゾンビが焼かれてるぞ!」シュタタ

女ハンター「うん見た…アレが炎の魔法ね…」

闇商人「僕は昔…魔女ルイーダが使う魔法を見た事が有るよ…あんな小さな魔法じゃない」

女ハンター「私も幽霊船に乗って居たその人を見た事がある…雷とか竜巻とか操ってた…」

闇商人「僕達凡人からするとスゴイ技だね」

女ハンター「銃器で勝てるのは射程距離…」

闇商人「あ…最近思うんだけど…ミライ君の工夫で君のライフルも魔法の様に思えて来た」

女ハンター「私もあんな風に?」

闇商人「そうだね…射程の長い炎魔法みたいな感じさ」

女ハンター「工夫次第…か」


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848 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:22:22.96 ID:RKoe7B/E0
『露店』


ヒソヒソ…


闇商人「なんか…賑わっては居ないなぁ…変な雰囲気だ」

女ハンター「ケシの実とか売ってる…大麻も…」

闇商人「う〜ん…ワニ革の防具も…職人が居ないせいかなんか雑だねぇ…」キョロ

少女「カゲミ!ワニ肉食いたいぞ!」

闇商人「まぁ好きなの買っておいで」チャリン

少女「にくぅぅぅ!!」シュタタ

女ハンター「遺跡の盗掘品もいろんなものが有る…」

闇商人「あんまり欲しい物が無いなぁ…」

女ハンター「買うなら象牙とか琥珀とか?…そういう材料系?」

闇商人「ミライ君が加工できそうな物を適当に買っておくか…」

女ハンター「肌を露出しないくらいには革装備でも…」スタ


アレモコレモ…

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怪しい男「おやおや?羽振りの良さそうなお客さんで…ちょいと値が張りやすが…とっておきの物なんかどうで?」

闇商人「んん?…取って置きの物とは?」

怪しい男「この書物の価値が分かれば良いんだがね?」バサ

闇商人「え?…遺跡調査報告…」

怪しい男「金貨100枚…」ニヤ
849 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:23:22.31 ID:RKoe7B/E0
闇商人「うわ…高い…」

怪しい男「興味無いかね?」ニヤニヤ

闇商人「少し中を見せて貰っても?」

怪しい男「金貨1枚…フフフフ」

闇商人「仕方ないなぁ…」チャリン

怪しい男「では少しだけ…イヒヒヒ」

闇商人「…」バサ ヨミヨミ


---これは錬金術の等価交換を破る調べ---

---命の不等価性を利用する?---

---因果論…苦行が善因善我---


怪しい男「はいそこまでだよ…」グイ

闇商人「あぁぁ…」

怪しい男「さぁどうするかね?金貨100枚だが?…」

闇商人「ラシャニクア!今金貨何枚持ってる?」

女ハンター「30枚くらい…」

闇商人「アランの分も合わせてギリギリか…」

女ハンター「どうせ使い道無かったのだし…良いのでは?」ジャラリ

闇商人「ごめん借りる!」ジャラジャラ

怪しい男「ウホホホホ良いお客さんだ…持って行きな」バサ

闇商人「因みに…この書物はどうやって手に入れたんだい?」

怪しい男「そんな野暮な事聞きなさんな…じゃぁこれで」スタ ヒョコヒョコ

闇商人「…」

女ハンター「詐欺じゃ無いでしょうね?」ジロ

闇商人「あぁ確認する…」パラパラ

闇商人「…」ヨミヨミ

闇商人「大丈夫だよ…中身はびっしり情報が記されてる」

女ハンター「そう…それなら良い」ホッ

少女「なんか今の怪しい男…匂うぞ…」クンクン

闇商人「どんな?」

少女「多分機械の匂いだ…片足が機械になってる」

女ハンター「電脳化の者?」

少女「それは分からん…追うか?」

闇商人「今は騒ぎを起こせないよ…ここは盗賊ギルドに任せた方が良い」

女ハンター「酒場に戻って連絡しよう…」

闇商人「そうだね…戻ろう」スタ


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850 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:25:28.56 ID:RKoe7B/E0
『酒場の隠し部屋』


ガチャリ バタン


マスター「連絡して貰えて礼を言う…見つけ出して上手く泳がせようと思う」

闇商人「奴らの目的は何なのかな?」

マスター「恐らく遺跡から発掘されたミイラ関連だとは思うが…正直分からない」

闇商人「石が狙いなのかな?…でもどうやってその情報が伝わったんだろう」

マスター「シン・リーンの者の中に入り込んで居ると考えるのが妥当だが…魔術師相手にそれが可能なのかという疑問もある」

闇商人「そうだよね…」

女ハンター「その書物は機密文書でしょう?」

闇商人「多分そうだよ…遺跡調査の内容をそんな簡単に盗まれるのも解せないな」

女ハンター「そんな機密を見ず知らずの者に売りつけるのも何かおかしい…」

闇商人「んん?…もしかしてこれは誘導?」

女ハンター「それには何が記されて?」

闇商人「まだしっかり読んで無いけど…」


遺跡調査に来ている魔術師は

その昔黒の同胞と呼ばれていた者の生き残りの様だ

不死者となった死霊術師…リッチ

そのリッチが遺跡から発掘されたミイラを食らい知識を得ようとしている

でもそれには生きた心臓が必要なんだ…本来は術者が心臓を生贄にするらしいよ

当然不死者には生きた心臓が無い…

だから秘密裏に生贄を使いサクリファイスという術を成功させようとしてるんだ

さて…ここから発見する事になる

生贄を何人使っても術がなかなか成功しない中で

人の命の不等価性を発見するのさ…苦行を重ねた人の命の方が価値が高い事をね

そして価値の高い命を生贄とする事で術が成功した…副産物としてその命の等価に当たる石も精製されんだ


女ハンター「賢者の石…」

851 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:25:58.18 ID:RKoe7B/E0

闇商人「そう…錬金術以外にも精製方法が有ったのさ」

女ハンター「それじゃ黄金が不要になるでしょう?」

闇商人「う〜ん…ミイラが一杯居てサクリファイスを何度も出来るならそれでも良いのかもね」

女ハンター「じゃぁ偶然1つだけ精製された訳ね…」

闇商人「でもね?命の不等価性を発見したのは大きいかな…黄金を錬金術で賢者の石に変える場合…」

闇商人「多分同じ様に生きた心臓が必要なんだと思う…その場合黄金と等価の命である必要がある」

闇商人「それが今まで分からなかったから賢者の石を作る事が出来なかった」

女ハンター「不等価性の法則が分かれば良いと…」

闇商人「それがこの書物だよ…年齢…性別…体格…いろんな生贄を使って試した調書さ」

女ハンター「それは…人の命をあまりにも軽んじて…」

闇商人「そうだね…シン・リーンがこの調査を黙認して居るのも問題が有ると思うよ」

女ハンター「黙認?その死霊術師はシン・リーンの魔術師では?」

闇商人「正確には元シン・リーンの魔術師さ…追放されて黒の同胞になって居る…それを黙認しているんだ」

女ハンター「じゃぁ黙認している理由って…」

闇商人「命の不等価性の法則が知りたい…つまり都合の悪い事を全部黒の同胞にやらせた…」

女ハンター「なんか分かって来た…内部告発する者が出て来てるんだ…」

闇商人「フフ…シン・リーンも一枚岩じゃない様だね」


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852 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:26:40.11 ID:RKoe7B/E0
『翌朝』


ガチャリ ドター


女ハンター「え!?ア…アラン!!」ダダ

盗賊「ぅぅぅ…ポーション無ぇか?」グッタリ

闇商人「どうしたって言うんだ!!ポーションなんか持って来てない」アタフタ

女ハンター「先ず止血!!どうしてこんな傷だらけに…」ゴソゴソ

盗賊「ぅぅ…酒だ…蒸留酒がポーション代わりになるかも知れん…」


マスター「これは又ひどくやられた物だ…蒸留酒だ…これで良いのか?」キュポン


盗賊「遺跡はエライ事になってんぞ…」グビグビ プハァ

女ハンター「クソ!!腹の傷は縫わないと止血出来ない…」ダラダラ

マスター「針と糸だな?」ドタドタ

女ハンター「血が出過ぎだな…輸血をしないと…」

盗賊「カゲミ…ポーションの材料を何か持って居ないか?」

闇商人「ええ?琥珀がある…まさか琥珀を食べる気かい?」

盗賊「少し砕いて細かくしてくれ…少しぐらいなら食っても死ぬ事ぁ無いだろう…はぁはぁ」

闇商人「こんな物を…」ガツガツ パラパラ


タッタッタ


マスター「仲間が少しポーションを持って居た…それから針と糸だ」ポイ

盗賊「おぉ助かったぜ…」ゴク

女ハンター「縫っていく…少し痛むよ」チク ヌイヌイ

盗賊「もう痛てぇは通り越してる…おーし…ちっと落ち着いて来たな」グビグビ プハァ


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853 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:27:46.30 ID:RKoe7B/E0
『処置後』


グルグル マキマキ


女ハンター「包帯の代わりに麻布で…」ビリビリ マキマキ

盗賊「ヌハハどうやら気を失う事は無さそうだ…」グビ プハァ

闇商人「酒がポーション代わりになるのかな?」

盗賊「さぁな?だが随分気分が良い…大麻持って無いか?」

闇商人「有るけど…この状況で吸うの?」

盗賊「傷が痛むのよ…ちっと紛らわしてぇ…つつつ」

闇商人「なんて人だ…」ポイ

盗賊「…」チッチ モクモク スパーーー

闇商人「遺跡はどんな事になってる?」

盗賊「例の死霊術師…どうやらミイラ食っておかしくなった様だ」

闇商人「この傷は死霊術師の?」

盗賊「いや…ゾンビやらレイスやら…やたら強いのが遺跡の中占拠してる」

闇商人「なんだ?話が違うぞ?」

盗賊「なんの話か知らんがシン・リーンの魔術師は遺跡を魔方陣で封じ込めようとしてんぞ?」

闇商人「君はその中に入って行ったのかい?」

盗賊「まぁな?…他にも熟練冒険者が居たもんでイケると思ったんだ」


そいつらの話じゃ例の死霊術師はエルドリッチと言うらしい

ミイラ食ってバケモノになったんだとよ

命の源だった賢者の石が盗まれちまったもんだから

当たり構わず命を吸う様だ…

今は自我が有ってまだ大人しいから

シン・リーンの魔術師が遺跡に魔方陣張って出られん様にしているそうだ


闇商人「なるほど…」
854 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:28:22.08 ID:RKoe7B/E0
盗賊「なんだ?妙に理解が早いな?」

闇商人「こっちも情報仕入れててね…大体経緯は分かった」

盗賊「そうか…ほんでちっとエライ事ってのがな?」

闇商人「まだ何かある?」

盗賊「エルドリッチは魔王の器になり得るとか言ってんのよ…だからシン・リーンの魔術師は必死なんだ」

闇商人「魔王だって!?」

盗賊「近づくと命吸われるから…もう誰も近づけんのよ…どうにも出来んから封印な訳だ」

闇商人「ここに来て魔王が出て来るなんて…」ボーゼン

盗賊「こりゃ海で停船してるフィン・イッシュ正規軍にも伝えた方が良い事案だ…寝てる暇無ぇぞ」

闇商人「こんな状態で行くなんて無茶だよ」

盗賊「川下るのは放っといても海まで出るだろう…急いで行くぞ」ムクリ

マスター「おい!!財宝の件は忘れて居ないだろうな?」

盗賊「おぉ丁度良い…一緒に船まで来りゃちゃんと支払う」

闇商人「そうだね…来てくれた方が安心さ」

マスター「財宝を持って徒歩で移動なんか出来んが…」

盗賊「ここまで送れば良いんだろ?」

マスター「ふむ…よかろう」


--------------


『双胴船』


ザブザブ ドター


盗賊「悪いがちっと俺は横になる…傷が痛くて敵わん…」グッタリ

マスター「この船なら俺にも動かせる…とりあえず下って行けば良いな?」

闇商人「案内するよ…」

盗賊「ラス!後は任せた…ワニが出たら脳天ぶち抜け…はぁはぁ」

女ハンター「分かった…」チャキリ

マスター「銃器…やはり持って居たか」

少女「おい!ワニ何処かに居るぞ!!気を付けろ」クンクン

マスター「大丈夫だ…川の深水まで行けばワニは襲って来ない」グイ バサバサ

少女「急げ急げ!近づいて来るぞ」クンクン

女ハンター「水の中か…」


--------------

--------------

--------------
855 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:28:58.26 ID:RKoe7B/E0
『キャラック船』


グイグイ グイグイ


女オーク「フン!」グイグイ

女ハンター「そのまま引き上げて…」

学者「兄貴ぃ…こりゃどういう事っすか…」ダダ

盗賊「見ての通りよ‥血が足り無ぇ…何とかしろ」グター

学者「ミライ君!水と湯を持って来て下せぇ…こりゃ傷口キレイに洗わんと膿んじまいやすね…」ゴソゴソ

戦士「新しい顔が居る様だが?船に乗せても構わんのか?」ジロ

少女「父ぃ!盗賊ギルドの者だ」

戦士「そうだったか…どうぞどうぞ」スス

マスター「なかなか良い船だ…」キョロ

盗賊「ところでゲス…サルベージの方はどうだ?」

学者「宝箱毎引き上げてお宝ザックザクっすよ…武器類もまぁまぁ残って居やした」

盗賊「盗賊ギルドに半分山分けする事になったんだ…渡してやってくれ」

学者「えええ!?マジすか…」

戦士「沖の船がこちらを勘繰っている様だからあまり財宝を船に乗せておくのはどうかと思うぞ?」

学者「俺っちの頑張り分が…トホホ」

闇商人「代わりにと言ったら何だけど…コレ」バサ

学者「なんすか?その書物?」

闇商人「錬金術について書かれているんだ…薬学に詳しい君の意見も欲しいな」

学者「ちっと見せて下せぇ…」パラパラ

盗賊「おいおい俺の処置を放置すんな…先に手当済ませろ」

学者「手当は済んでるんすよ…後はキレイに洗うだけなんで自分でやって下せぇ…」ヨミヨミ

盗賊「クソが…お前にはお宝の分け前無しだ!!」

学者「うほーーー…命の不等価性…だから産地によって効果にバラツキが…」ブツブツ


-------------
856 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:29:47.43 ID:RKoe7B/E0
『荷室』


ガサゴソ


戦士「引き上げた武器類はすべてそこにまとめてある」

闇商人「銀製だけよく集めたね…」

戦士「鉄の武器はもう錆びついていたそうだ…大砲も重くて引き上げられない」

闇商人「まだ他にも残って居そうなのかな?」

戦士「簡単に引き上げられそうな物はそれで全部…残りは苦労しそうだと言って居たぞ?」

闇商人「ふむ…アランがあの調子ではしばらく待機するしか無いから…ゲス君にはもう少し頑張ってもらうか」

戦士「…というと?」

闇商人「一旦これを全部盗賊ギルドに引き渡すのさ」

戦士「ハハハなかなか気前が良いな?」

闇商人「どうもヤン・ゴン遺跡の方で大変な事が起ころうとして居てね…武器が必要になる筈なんだ」

戦士「大変な事?…どういう事だい?」

闇商人「魔王が復活しそうだと言えば伝わるかな?」

戦士「何ぃ!?」

闇商人「詳しくは後で話す…今は取り急ぎ武器を運ぶのと…沖で停船している正規軍2隻に事情を伝えたい」


シュタタ クルクル ドン!


少年「フガ…」ゴロゴロ ドタ

少女「お前ーー!!逃げるな!!チンコ見せろ」

少年「アウ…アウ…」ダダダ

少女「逃げても無駄だ!」シュタタ グイ

少年「アーーー…」バタバタ

少女「ふむ…やっぱり伸びるな…」グイグイ


戦士「こらミルク!!それは引っ張る物では無いぞ」
857 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:30:44.10 ID:RKoe7B/E0
少女「父の物と形が違うぞ!」

戦士「良いから引っ張るのを止めなさい」

少女「仕方ない…ブラブラ気になるから何か履け」

戦士「ミルクが何か用意してやるんだ」

少女「お前ーー!!付いて来い!!ブラブラしない様にロープで縛ってやる」グイ

少年「ヒィィ…」バタバタ


闇商人「ハハ…あの少年は大分元気になった様だね?」

戦士「食が細いのが気になるが…」


少女「お前の名は何だ?

少年「フガフガ…」

少女「それしか言えんのか!?そうだ…フーガにしよう!お前はフーガだ!!」

少年「フガ!?」

少女「生のワニ肉ある…食いに行くぞ!」グイ

少年「アーーー…」ズルズル


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858 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:31:37.91 ID:RKoe7B/E0
『船尾楼』


グピグピ プハァ


盗賊「うぃーー」ゲップ

学者「足り無い血は良く食って補って下せぇ…寝ると造血促されるんで食ったら寝て下せぇよ?」

盗賊「おう!!腹いっぱいになったら眠気が出来て来た…」ドター


ガチャリ バタン


闇商人「どうだい?落ち着いたかな?」

学者「もう心配無いっすね…2〜3日は貧血気味なんで大人しくしてりゃ全快しやすよ」

闇商人「それは良かった…僕はこれから荷を持って一度ならず者の街へ戻る」

盗賊「んあ?もう行動すんのか?」

闇商人「大事に至る前に武器を配らないと…と思ってね」

盗賊「そうか…まぁ気を付けて行ってくれ」

闇商人「護衛にリコルとラシャニクアを連れて行くよ…それでゲス君!」

学者「へ?俺?」

闇商人「引き続き沈没した海賊船からお宝を引き上げて居て貰いたい」

学者「そりゃ良いんすが…こっから先は船をちっと解体せんと入って行けんので時間掛かるんすよね…」

闇商人「これまで引き上げた財宝は全部持って行くから…これからの稼ぎが僕達の分さ」

学者「えええええ!?全部持って行っちまうんすか…」

闇商人「代わりの材料はこっちに持って帰って来る…象牙に琥珀…それから良質のワニ革」

学者「琥珀!!」

闇商人「ポーションの材料だったよね?」

学者「琥珀はそのまんま金に換えられやすねウヒヒヒ…そっちの方が軽くて済みそうっす」

闇商人「…という事でアラン…しばらく僕は行ったり来たりするから君は体を癒しておいて」

盗賊「そうさせて貰うわ…ちっと寝る」ドテ

闇商人「沖の正規軍とも僕が話して置くからそのつもりで…」ノシ


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859 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:32:05.67 ID:RKoe7B/E0
『サルベージ』


ザバァ ザブザブ


学者「引き上げて下せぇ!」

女オーク「フン!フン!」グイグイ

剣士「今度はどうだった?」ダダ

学者「あんま良い物無いっすねぇ…矢が一杯有ったんで一応持って帰ったんすが…」

剣士「矢は羽が無いからここで作れない…良いじゃない!」

学者「やっぱ金目の物は宝箱に入れてもう引き上げちゃったっぽいすわ…」

剣士「他の資材は?」

学者「水の中でそんな動かせんですよ」

剣士「そっかぁ…勿体無いなぁ…」

学者「一応…ちびちび集めて金貨は20枚ぐらいっすか…」ジャラ

剣士「銀食器とかあれば僕が加工できるけどね?」

学者「食器っすか…もっかい行きやすかねぇ…」

剣士「壺とか水瓶もあると助かる」

学者「分かりやした…今度は壺とかも引き上げやす」

剣士「ごめんね何回も…」

学者「いやいやガスマスクあるんで水中でなんも苦痛は無いっすよ…ほんじゃもっかい潜りやすね」ザブン


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860 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:32:36.17 ID:RKoe7B/E0
『数日後_甲板』


ヨタヨタ ドター


学者「お!?兄貴やっと動けるようになりやしたね?」

盗賊「おう横になってるばかりじゃ退屈でよ…どうよ?お宝の方は?」

学者「微妙っすね…謎の壺とか色々有るんすが俺っちには興味の無い物ばっかっすよ」

盗賊「遺跡の盗掘品か?」

学者「もしかしたら高値で売れるのかも知れんのですが…俺っちはやっぱ金銀財宝が良いっすよ」

盗賊「ヌハハ違い無ぇ…しかし泥棒も全然来無ぇな…」

学者「鉤縄で登れんもんで諦めたみたいっすね…てかあいつ等盗賊ギルドの関係じゃないんすか?」

盗賊「かも知れん…しかしこう暇だとなぁ…」ノビー

学者「フィン・イッシュ女王の船はどうなっちゃったんすかね?」

盗賊「うむ…海賊王の娘の噂も全然聞かんかったわ」

学者「兄貴…もしかして行き先間違っていやせんか?」

盗賊「んあ?…夢の記憶だからあんま確かじゃ無いんだが…寄港予定地には入って居た筈なんだ」

学者「それって候補地とかだったりしやせん?」

盗賊「此処をすっ飛ばしてるってか?…じゃぁあの正規軍の船は何なんだろうな?」

学者「もっかい行き先整理しやせんか?」

盗賊「ふむ…ちっと海図を持って来るわ」スタ


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861 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:33:02.27 ID:RKoe7B/E0
『海図』


バサッ…


盗賊「この印打ってる場所が寄港予定地なんだ…順番は分からん」ユビサシ

学者「外海の島を巡ってるんすね…ふむ」

盗賊「だから俺らは先回りして陸沿いを北上したのよ」

学者「外海の島もやっぱそれぞれ漁村とか港があるんすよねぇ…」

盗賊「まぁ…海賊王の娘を演じてるからな…出来るだけ噂を広めたいんだとは思う」

学者「途中で全滅してるなんて考えられやせんよね?」

盗賊「ガチ船団がそんな簡単に全滅はせんだろう…何か有っても女王の乗る船だけは逃すだろうな」

学者「ううむ…やっぱどう見てもヤン・ゴンに寄りそうっすねぇ…」

盗賊「だろ?シン・リーンへ向かうなら通る筈だからな?」

学者「もしもずっと北側を航海していたならこの次に行く場所へ行ってる可能性もありやすね」

盗賊「ムン・バイだっけか…まぁ俺らもそこに移動してみっか?」

学者「そっちは攻略された古代遺跡だって話じゃ無いすか…多分バン・クーバみたいに栄えてるんじゃないすかね?」

盗賊「又俺らだけの単独航海…ううむ」

学者「もう海賊相手は慣れてきたもんで大丈夫っすよ」

盗賊「うっし分かった!!ここで暇持て余してても仕方無ぇ…カゲミ戻ったら移動すっぞ」

学者「そうっすね…準備しときやす」


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862 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:33:33.97 ID:RKoe7B/E0
『双胴船』


オーライ オーライ


女オーク「フン!フン!」グイグイ

剣士「お帰りーー!!荷はこれで最後?」

闇商人「そうだね…あまり沢山は無いけど貴重な象牙と琥珀だよ」

盗賊「いよーう!カゲミが戻ったら次の寄港予定地に向かおうかと言う話をして居た所だ」

闇商人「そうかい…どうやら向こうの正規軍もかなり待ちぼうけを食らって居る様だよ」

盗賊「やっぱそうか…女王の船は航海中に何か有ったのかもな?」

闇商人「そこら辺りの情報はさすがに出てこない」

盗賊「ヤン・ゴン遺跡の方はどうよ?」

闇商人「変わりは無いね…只正規軍の一部がスクーナーで上陸しているから落ち着きない感じはある」

盗賊「ほう?盗賊ギルドはどう立ち回る?」

闇商人「敵対では無いよ…あくまで中立さ…落ち着きないのはその他の冒険者とかだね」

盗賊「んん?どういう意味だ?」

闇商人「エルドリッチ討伐を横取りされると思って居るんだよ…やっぱり正規軍は動きが全然違う」

盗賊「やっぱそうか…落ち着いた陣取りもそういう統率が取れてるからなのよ」

闇商人「それで?もう出発する気かい?」

盗賊「お前が良けりゃ行こうと思うが?」

闇商人「ふむ…まぁ良いか…」

盗賊「まだ用事があるならその後でも構わんが…」

闇商人「いや只の挨拶だよ…あの酒場のマスターには世話になったからね」

盗賊「そら大事な事だ…行って来いよ」

闇商人「彼は僕の体に気付いてるのさ…変に口説かれても困る…ここはサッと引く方が変な遺恨が残らない」

盗賊「なんだそんな事か…じゃぁ出発して良いんだな?」


シュタタ クルクル


少女「待てぇぇぇ!!」シュタ

盗賊「んあ?」

少女「ウルフィがまだ陸に居るぞ!!」

盗賊「おっとぉ!!忘れてたわ」

少女「カゲミ!もう一回戻って挨拶出来るぞ…その間にウルフィ連れて来る」

闇商人「ハハ参ったね…」

少女「父ぃ!!ウルフィ探しに行くぞ!!」

盗賊「まぁ俺ら準備しとくから行って来い」

戦士「ハハなかなか休めないねぇ…」


--------------
863 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:34:46.25 ID:RKoe7B/E0
『船尾楼』


ガチャガチャ


学者「ちっと兄貴ぃ!!今ポーション作ってる所なんで散らかさんで下せぇ」

盗賊「なんだもっと隅っこでやってろっての…」

学者「今回手に入れた書物…これスゴイ発見っすよ?」

盗賊「俺は分からん…賢者の石の作り方とかそんなんだろ?」

学者「それもそうなんすが…命の不等価性…これの法則っすね」

盗賊「なんのこっちゃ?」


金属とかの無機物はその価値が質量に依存してるんす

黄金は重たいほど価値がありやすよね?

ほんで植物とか動物の価値は…環境で価値が変わるっていう理論なんす

まぁ簡単に言うと…兄貴みたいにゴミ食って育った環境の方が命の価値が高い

それを植物に置き換えると錬金術で作れるポーションとかもっと効果を伸ばせるんすよ


盗賊「ほーん…」ハナホジー ポイ

学者「あ!!今鼻ほじりやしたね?そういう物の価値が高い可能性があるんす」

盗賊「お前俺の鼻くそが欲しいんか?」

学者「ちっと良く思い出して下せぇ…ミライ君はゴミだと思った物を上手く使いやすよね?」

盗賊「まぁ確かに…」

学者「錬金術も同じ様にゴミだと思った物から良い物が作れるんす…誰も食い付かん毒キノコなんか良い例っすね」

盗賊「それが命の価値の高さ…なのか?」

学者「命の価値っていうとなんか言い方悪いっすね…成熟した魂…うーんなんて言えば良いんすかねぇ…」

盗賊「じゃぁ難破船で助けた小僧が持って居た石…」

学者「…」ピタ

盗賊「あれは命の価値の高い成熟した魂を持って居た誰かの結晶…そういう事だな?」

学者「はっきり言いやすと…その通りっす…書物に全部書いてありやす」

盗賊「俺は姉御の牙を大事にしている様に…あの小僧はその誰かを大事にしてる訳か…」

学者「まぁそこら辺の話はもう済んだ話なんでそっとして置きやしょう」

盗賊「ふむ…」

学者「実はっすね…この書物には錬金術の事だけじゃ無くて…この世の成り立ちも少し記されてるんすよ」


輪廻転生って言うらしいんすが…

この世界はそもそも地獄で…人間は魂の価値を高める為に何度も生まれ変わる…

そうやって魂の価値を高めた後に悟りを開くことで神と同化する…

超古代ではそんな教えが有った様なんす

なもんで遺跡で発見されたミイラは悟りを開いた神だった可能性がありやす


盗賊「その神を食らってエルドリッチになっちまったってか…」
864 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:35:47.91 ID:RKoe7B/E0

学者「さっきから言ってる様に…魂の価値を高めるのは苦行なんす…人間に苦行を与えて魂を高める方法と言うと…」

盗賊「ぬぁぁ聞きたく無ぇな…」

学者「カゲミさんからちっと聞いたんすが…シン・リーンの魔術師もこれを黙認してるらしいじゃないすか」

盗賊「…」

学者「なんでだと思いやす?」

盗賊「さぁな?俺にゃ関係無いと思いたいが…」

学者「ズバッと言いやすよ?」

盗賊「言って見ろ」

学者「神が居ないから誰も天に行けなくなったのが原因だと思いやす」

盗賊「…」

学者「この地獄の世界の中で天に行くのが唯一の救いだったのに…20年前それが無くなった」

学者「この事実を隠すためにシン・リーンは言論統制を始めたんす」

盗賊「あぁぁぁ嫌な話だぜ…神を復活させようって腹積もりか…バケモンだぞ…あのエルドリッチってのは」

学者「結果的にはそうだったのかも知れやせんが…シン・リーンの行いも完全否定出来んすよ」

盗賊「死んでも天国にゃ行け無ぇってか…うーむ」

学者「地獄が確定してるんならどうにかしようと思いやすよね?」

盗賊「この世が地獄だってんなら…もっかい此処でも良いけどな?」

学者「本当に救いようの無い環境でも同じ言葉が言えやすか?」

盗賊「…なるほど…俺も恵まれ過ぎってか…」

学者「やっぱ多くの人を救うには信じる何かが必要なんすね…それが教えっすよ」

盗賊「ウソじゃダメか?」

学者「分かる人にはすぐバレちゃうんじゃ無いすか?魔術師とか特に…」

盗賊「俺ぁ今まで神様なんぞ拝んだ事無ぇからなぁ…そんな大事に思えんのだが…」

学者「恵まれて居たからじゃないっすかね…」


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865 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:36:19.07 ID:RKoe7B/E0
『甲板』


ヒラヒラ パタパタ


盗賊「おいミライ!…この吊ってある布は何だ?」

剣士「え!?あぁそれ矢避けだよ」

盗賊「布でか?」

剣士「うん…突っ張って無いから矢を避けるならそれで十分さ…なんなら弓矢で撃って見たら?」

盗賊「ほーー考えたな…」ジロジロ

剣士「一応日除けの役割もあるんだよ?日中ずっと日に当たってると暑いからね」

盗賊「なるほど…弓の撃ち合いも想定済みな訳か」

剣士「ちょっと矢避けが有るだけで狙える場所も限られてくるからねぇ」

盗賊「ちっと弓矢撃ってみるな?」ギリリ シュン!


バスン! ポトリ


盗賊「おぉぉ!!布が包まって矢が通らんのか…」

剣士「でしょ?矢避けはそれで十分!」

盗賊「ふむ…それで要所要所に布が吊ってある訳か…」

剣士「帆操の邪魔にはならない様に考えたつもりだよ…あ!!」

盗賊「んん?」

剣士「双胴船が帰って来る」

盗賊「ようし!船引き上げる準備だ!」ダダ


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866 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:36:48.02 ID:RKoe7B/E0
『荷上げ』


オーライ オーライ


盗賊「うらぁぁ!!」グイグイ

学者「兄貴…怪我は大丈夫なんすかね…」タジ

盗賊「動か無ぇと鈍っちまうんだ…しかし一人で荷上げ出来るのは良いな」ヨイショ ドスン

戦士「そうだろう?その荷上げ装置も中々良い工夫だ」

盗賊「小舟を甲板に固定するからちっと手伝ってくれ」グイグイ

戦士「うむ…反対側を持てば良いな?」グイ

盗賊「ミライとリッカは帆を開いて碇もあげてくれ…出発すんぞ!」

剣士「おっけー!!」シュタ

盗賊「おいミルク!!積んで来た物を荷室まで運んどけ」

少女「出港!!」ビシ

盗賊「おい聞いてんのか!?」

少女「出港だぁ!!」ビシ

ウルフ「アオ〜〜ン!」シュタ

闇商人「じゃぁアラン…僕は疲れたから荷物は頼むよ」スタ

女ハンター「私も少し休む…」スタ

盗賊「おいお前等…」

少女「出港だぁぁぁ!!」ビシ


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867 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:37:51.36 ID:RKoe7B/E0
『船尾楼』


ユラ〜リ ギシ


盗賊「進路は北東だ…こっから2〜3日行けばまた陸が見えて来る筈」

ロボ「ピポポ…」クルクル

盗賊「舵取りは任せるな?」ナデナデ

学者「なんか雲行きが怪しいんすが…」

闇商人「それは良い…水浴びしたかったのさ」

盗賊「ならず者の街は水浴び出来るような環境じゃ無かったな?ヌハハ」

闇商人「そうだよ…あそこは川が汚くて浴びる気にならない」

盗賊「ところであの酒場のマスターにはお別れ言えたんか?」ニマー

闇商人「まあね?次来た時はもっとゆっくりして行けってさ」

盗賊「ほんであの荷物か…」

闇商人「要らないと断ったんだけどね…まぁ珍しい酒もあるから良かったじゃ無いか」

盗賊「お!?マジか…」

闇商人「僕はあんな男よりラシャニクアの方がずっと好みだ…」

女ハンター「なっ…」ドテ

盗賊「ヌハハお前等そういう感じか」

女ハンター「いや違う!!」

闇商人「比べたらの話だよ…ちょっと僕は体が気持ち悪いから先に水浴び行かせて貰うよ」スック

盗賊「ラスも一緒に行ったらどうよ?」

女ハンター「私は後にする…」プイ

闇商人「何言ってるのさ…樽には一人しか入れないじゃないか」

盗賊「一緒に入れとは言って無い…背中ぐらい流せるだろう?」

闇商人「背中ねぇ…まぁ拒む気も無いから来て貰っても良いけど」

女ハンター「私の方が恥ずかしい!行く訳無い!」


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868 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:38:20.53 ID:RKoe7B/E0
『夜_甲板』


ザザザザ バシャバシャ


盗賊「うほーー一気に降って来たな」ゴシゴシ

学者「此処ん所蒸し暑かったっすからねぇ…」ゴシゴシ

剣士「あ!!ちょうど良かった!!甲板の掃除手伝って!!」

盗賊「なぬ!?」

学者「あらら…」

剣士「甲板の上で魚解体したりいろいろやってるから汚れてるんだよ…ブラシで擦って落として」ポイ

盗賊「雨降るたんびにコレだもんなぁ…」ゴシゴシ

学者「まぁでも荷上げでくっ付いて来た海藻類もそのまま張り付いてるんで綺麗に落としやしょう」ゴシゴシ


ビュゥゥゥ グググググ


盗賊「風がちっと出て来てるか…嵐にならにゃ良いが…」

学者「ミルクちゃん騒いで無いんで大丈夫っすよ」


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869 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:39:46.37 ID:RKoe7B/E0
『翌日_船尾楼』


アーデモナイ コーデモナイ…


シン・リーンは精霊信仰が根強いけど一応唯一神信仰も認められている

フィン・イッシュの殆どは龍神信仰…あとは自然信仰かな


盗賊「ほーん…」ナハホジー ポイ

闇商人「まぁ…名の知れた神の類は皆…それぞれの時代の勇者によって滅された訳さ」

盗賊「ほんで俺ら人間は天国に行けなくなったってか?」

闇商人「それがどれほど大変な事なのか…僕はあまり実感出来ないんだけれど…」

学者「それ成仏出来ないって事っすよね?」

闇商人「どうなんだろうね?一応死者を弔う儀式はやっている様なんだけどね」

学者「まぁでも神が居なくなったと言うのは不都合な真実なもんで知れ渡らん様に言論統制するのは理解出来るっすよ」

戦士「口を挟むが…こう考えてはどうかね?」

盗賊「んん?」

戦士「もしも不治の病を患ったとしよう…願う事は救いだと思わないかね?」

盗賊「ふむ…確かにそうだな」

戦士「神に救いを願う事で希望を見る…しかし救いが無いと知った場合…絶望しか見ないのでは?」

闇商人「流石だね…僕達よりも長く生きているだけの事はある意見だ」

盗賊「絶望か…う〜む」

闇商人「一人や二人じゃないさ…もしかしたら死者達も天に行く事を望んで居るのかも知れない」

盗賊「お前それ言ったら数え切れんぞ」

闇商人「そんな絶望が魔王を生んだりしないだろうか?…神はそうならない為の存在だったとか?」

学者「一番の問題は20年前…神が滅された後に勇者達が光を示さなかった事っすね」

闇商人「そうだね…事の真相が闇に消えたままだ」

盗賊「どうも不吉な予感しかし無ぇ…エルドリッチも放ったらかしだしな」

闇商人「逆に言うと幽霊船の誘き出しには都合が良いよ」

盗賊「俺はいつまでも待ってるほど暇じゃ無いんだけどな…」ペチン ナデナデ

ロボ「ピポポ…」


--------------
870 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:41:28.90 ID:RKoe7B/E0
『少し後』


スタスタ


学者「カゲミさん…ちっと教えて下せぇ」

闇商人「何かな?」

学者「俺っちは精霊信仰の事あんま知らんのですが…ウンディーネとかそういう奴っすか?」

闇商人「あぁ…僕もあまり詳しくは無いんだけれど…マルコさんの残した書物によると完成体のホムンクルスが精霊だったらしい」

学者「ええ?どういう事っすか?兄貴が探してるのもホムンクルスっすよね?」

闇商人「う〜ん…その完成体のホムンクルスは本来精霊になる筈だったのさ…でもマルコさんがそうさせなかった」

学者「ちっと待って下せぇよ…まだ生きてるんすよね?」

闇商人「うん…ドワーフの一族に守られているという話さ」

学者「じゃぁ神はまだ残ってるという事っすね」

闇商人「話は複雑なのさ…僕も一度会った事が有るくらいでそのホムコという人がまさか精霊だとは思っても居なかった」

学者「なんか特殊な事が出来たりしたんすか?」

闇商人「僕が知る限り何も出来ない普通の女の人だよ…ただマルコさんは異常な程執着してた」

学者「そのマルコっていう人の書物を読んでみたいっす…持って来て無いんすかね?」

闇商人「残念ながら…僕の持ち物では無いから書物は全部ハテノ自治領に置いて来たよ」

学者「そーっすか…信仰されてるくらいなんできっと何か出来るんすよね…」

闇商人「まぁエルフを生んだり…そんな感じかな?」

学者「ちょちょちょ…生命を生む?」


歴史の話になってしまうけれど…

3000年くらい前に精霊樹という木からエルフが生まれる様にしたらしいんだよ

それだけじゃ無くてドラゴンを生んだのも精霊だという話さ

だからエルフもドラゴンも精霊を崇拝している

エルフに近しい関係だったシン・リーンも精霊信仰なのはそのせいさ

こちらの大陸には中央に大きな樹海があってね

エルフはその樹海を住処として精霊樹と精霊を守っていたのさ

ところが20年ほど前の大厄災の時にその樹海が光る隕石によって焼き尽くされた

それまではエルフ達とシン・リーンは立地的に近かったんだけど

光る隕石が落ちて以降エルフは住処を失ってその後移り住んだのはシャ・バクダ

シン・リーンとは遠縁になってしまった


闇商人「あぁ話が逸れてしまったな…ホムコさんの話だったか…」
871 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:42:08.92 ID:RKoe7B/E0
学者「なんかいろいろ分かって来やした…本来エルフの所に居る筈のホムコっていう人がドワーフに囲われてるんすね?」

闇商人「う〜ん…まぁ事情はいろいろ有ると思うよ」

学者「ドラゴンまで生むとかスゴイ事っすよ…その力をドワーフが持ってる訳で…」

闇商人「んん?もしかして世界情勢を勘繰って居るのかい?」

学者「フィン・イッシュに居たドワーフもエルフもあんま協力関係じゃ無い様に見えたもんで」

闇商人「もしかすると関係して居るのかもねぇ…僕はシン・リーンとフィン・イッシュの摩擦の方が気になるけど…」

学者「あんま良い関係じゃ無いんすか?」

闇商人「どちらの女王も融通が利かない気質なのさ…まぁエルフがフィン・イッシュ側に付いたのも摩擦の一因だと思うよ」

学者「摩擦って具体的にどんな?」

闇商人「黄金の取り合いだね…そもそも国が接して居なくて遠いから戦にはならないけど関係はあまり良くない」

学者「黄金のサルベージは魔術師が必須っすよね?」

闇商人「うん…でもあの海域で活動するのはフィン・イッシュの協力無しではサルベージ出来ない」

学者「分け前で揉めそうっすね…」

闇商人「それだけじゃ無いんだよ…フィン・イッシュには魔物が沢山居たよね?」

学者「そうっすね?何か関係が?」

闇商人「あれには秘密が有る様なのさ…シン・リーンはその秘密を掴んで居て対処しようとしている」

闇商人「でも忍びの一族が断固としてシン・リーンの魔術師を阻むという事が起きているんだ」

学者「そら他国の事に口出しするシン・リーンが悪いっすね」

闇商人「まぁそんなこんなが沢山在るからあまり良い関係では無いのさ」

学者「電脳化した奴らが裏で何かやってる時に揉めてる場合じゃ無いと思うんすがねぇ…」

闇商人「その通りだね…まぁ関係が悪くなるように誘っている線も考えられる」



872 :ジョンG [sage saga]:2023/03/26(日) 09:47:48.91 ID:RKoe7B/E0
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とりあえず趣味で書いてる分だけアップしました

完結と言いながら全然完結していませんw

さらに続編はちゃんと書いて行くのでご安心ください

…と言う前に

ここまで読んで下さった人にまず「ありがとうございます」と言いたいです

今後はssでは無く

https://lit.link/Jon

こっちの方で続きをアップしていきますので応援よろしくお願いします
873 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 10:07:51.71 ID:RKoe7B/E0
あとがき?

主人公が盗賊の遺児に変わった物語が続編みたいな感じになっていますが

今まで王族と関りのある魔女とか女海賊とか

そういう立場の人とは繋がりの無い一般的な人達の視点で進行する物語です

だから今まで正義だと思っていた事は一般の人から見ると逆に見えてたり

そんな中で神の手を持つ盗賊というキャラが世界の謎をどう解き明かしていくのか?

そういうお話です

そこら辺も踏まえてssという書式から小説で読める様に直す中で

今までの設定を少し変えてる部分も出て来るので

今一度小説の方も読んで下さるとうれしいです

ちなみにコメント頂ければどんどん反映させていきます

では

皆さんと夢幻の世界で会える事を楽しみにしています



874 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 10:11:58.29 ID:RKoe7B/E0


この居た直リン貼れないんで

https://lit.link/Jon

これコピペして飛んでくださいね
875 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/03/26(日) 13:17:30.42 ID:BI5YWRHZ0


この居たマルチポスト駄目なんで

https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1410188691/
いわく「連続投稿・マルチポスト行為は進行を阻害する迷惑行為です。」

これからはきをつけてくださいね
876 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [age]:2024/01/05(金) 12:12:49.61 ID:9ZgrdX2oo
『ピザラ人狼の集合まで
勇者のくせになまいきだ。3D』
(9:59〜)

https://www.twitch.tv/kato_junichi0817
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