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【シャニマス×ダンロン】にちか「それは違くないですかー!?」【安価進行】 Part.3

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595 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/19(木) 22:36:10.79 ID:lUoTZCfC0
B
596 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 22:38:35.54 ID:kJ67nvvf0

【COLLECT!】

そうだ、水素の性質……確か水素って、空気より軽いんだったよな。
ゴンドラに水素を充満させた時も……多分、空気より軽いから水素はゴンドラの上部に溜まるはずだ。
これ、何かに使えないか……?
何かと組み合わせると、大きな意味を持つはずだ……
あのゴンドラの事件当時の状態を思い出してみよう。

A.【ゴンドラの密閉性】
B.【ゴンドラに載っている夏葉の体勢】
C.【ゴンドラの強制ロック】
D.【観覧車の回転速度】

↓1
597 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/19(木) 22:40:18.23 ID:lUoTZCfC0
B
598 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 22:42:29.36 ID:kJ67nvvf0
-------------------------------------------------
B
-------------------------------------------------

【COLLECT!】

そうか……メカ女は強制スリープボタンを押されているし、あの重量……きっと犯人は直立や座らせた状態では載せていないはずだ。
だったら、水素が溜まっている上部に体が接することもなく、床に寝そべる形になっていたに違いない。
それだったら……空気清浄機能も発動のしようがないよな!?
だって、ほかならぬメカ女の身体が水素の混じった気体そのもの触れちゃいねえんだから……!
なら、今の私に必要なのは事件当時水素がゴンドラの上部に溜まっていたことの証明だ。
ゴンドラの上部に水素が溜まっていたなら、爆発が起きたのもゴンドラの全体ではなく、上部だけのはず。
それを裏付けるような証拠はなかったか?

【正しいコトダマを選べ!】

>>402 >>403

↓1
599 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/19(木) 22:43:18.66 ID:dSdGFz7r0
【死体の焦げ跡】
600 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 22:45:40.45 ID:kJ67nvvf0
-------------------------------------------------
【死体の焦げ跡】
-------------------------------------------------

間違いない……メカ女の死体はバラバラにはなっていたが、死体についていた焦げ跡はあくまで上半身だけ。
それって直立の時に上半身部分だけで爆発が起きたことの証拠になるよな。
そしてそれは、事件当時にゴンドラに溜まっていた気体が水素だったことの証明に他ならない。
見えたぞ……冬優子の主張を論破する、強力な証拠が!


【FORGING!!】


コトダマ【死体の焦げ跡】→【ゴンドラに充満していた水素】
〔空気より軽い気体である水素はゴンドラの上部に溜まっていたと考えられる。そのため、水素爆発が発生した際でも燃焼が起きたのは夏葉における上半身のみであり、死体の焦げ跡も上半身についているのみである〕

601 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 22:46:40.12 ID:kJ67nvvf0
-------------------------------------------------

【ノンストップ議論開始!】

発言力:♡×10
集中力:☆×3.5

コトダマ
‣【モノクマファイル4】
▹【ゴンドラに充満していた水素】
‣【おやすみスイッチ】
‣【夏葉の眼球】
‣【泥】
‣【島のパンフレット】
‣【ワイヤーフック】


冬優子「あんたの推理はどれも確実性に欠けんのよ」

冬優子「まず、有栖川夏葉を殺害した水素爆発」

冬優子「これ自体は水素吸引機を使わなくても【可能】よね」

透「わざわざ機械を使わなくても、化学反応を利用すればいいもんね」

あさひ「水素の入手手段は沢山あるっす、手っ取り早いのが吸引機ってだけっす」

雛菜「でも、ゴンドラの中に【充満させる】のって相当な量が必要だよ〜?」

雛菜「一から集めなおすのってすごく大変だと思う〜」

冬優子「それに有栖川夏葉の空気清浄機能が水素相手に【発動しなかった保証もない】んでしょ」

冬優子「水素なんて普通の大気中には含まれない、ああいうのってガスそのものの有毒性じゃなくて含まれてる割合とかを感知するんじゃなくて?」

モノクマ「うぷぷぷ……どうだろうね?」

モノクマ「空気清浄機能なんてただのジョークだったりして!」

あさひ「わたしは夏葉さん本人から聞いたっす、嘘なんてそんなのあり得ないっす!」

冬優子「あいつの水素爆発は、そもそも疑問が残んのよ!」


【正しいコトダマで矛盾する発言を論破しろ!】


1.発言する(コトダマと撃ち込む先の発言を併せて指定安価)
2.集中力を使う(コトダマの数が減る)

↓1
602 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/19(木) 22:47:53.05 ID:dSdGFz7r0
【ゴンドラに充満していた水素】→【発動しなかった保証もない】
603 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/19(木) 22:48:00.14 ID:lUoTZCfC0
発動しなかった保証もない→ゴンドラに充満していた水素
604 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 22:50:07.99 ID:kJ67nvvf0

ルカ「それは違うぞ!」

【BREAK!】

ルカ「……いや、水素だからこそ空気清浄機能は働かなかった。これは間違いないはずだ」

冬優子「確かに水素は体に即座に害をなす物じゃない。医療品にだって使われているし、美容の現場にも持ち込まれてる」

冬優子「でも、有栖川夏葉の空気清浄機能について詳細に分かってもいないのに確実に働いていないなんてどうして断言できるのよ。空気中に含まれる物質の割合を感知して、水素が異常値になった時点で分解するように働いていた可能性だって……」

ルカ「違うんだ、メカ女の空気清浄機能がどんなものかなんてそもそも関係なかったんだ。犯人の手口が明らかになった今、あいつの空気清浄機能は何が起きようと働いていなかったと断言できる」

冬優子「なんですって……?!」

ルカ「考えてみろ。あいつはどうやって観覧車に載せられたんだった?」

智代子「えっと……犯人がロケット花火を打って、不意を突いて強制スリープボタンを押したんだったよね?」

ルカ「そう、あいつ自身に意識はなかったんだ。つまり、脱力しきった状態……しかもあの重量と来た。わざわざ犯人があいつを持ち上げて座らせたり立たせたりする理由がどこにある?」

透「まあ、普通はそのまま乗っけるよね。ゴンドラの床とかに」

冬優子「何よ、それがなんだって言うのよ」

ルカ「メカ女はゴンドラの中で、寝転がった状態だった。これがとにかく重要なんだよ」

恋鐘「ど、どういうことばい!?」

605 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 22:50:59.07 ID:kJ67nvvf0

ルカ「本日何度目かの化学の勉強のお時間だ。水素について……その性質を思い出してみろ」

雛菜「水素の性質〜? 水を電気分解したら発生するとか、可燃性だとか、それ以外でってことですか〜?」

智代子「な、何かあったっけ……?」

あさひ「……空気より、軽い……」

ルカ「さすがだな、中学生。その通りだ。空気より軽い気体なんだ、ゴンドラの中に充満するっつってもそれはゴンドラの上部だけなんだよ」

冬優子「……!!」

ルカ「メカ女が寝そべっているよりも高い地点に溜まっていく水素。どれだけ高機能な空気清浄機能だろうが、そもそも触れてもいない気体を検知することはできやしないはずだ」

ルカ「そして目を覚まして、なんらかの理由によって脱出を試みたメカ女は機械が検知するよりも先にロケットパンチを射出。こうなっちまえば先に爆発が起きてしまう」

ルカ「それを裏付けるのが、あいつの死体の焦げ跡なんだよ。あいつの身体はバラバラになっちまってから気づきにくかったがよ……焦げ跡がついてるのはあくまで上半身部分だ」

ルカ「それって気体がゴンドラの上部にしか溜まっていなかったことの証明に他ならないだろ。ゴンドラ全体に充満していたってんなら全身に焦げ跡は及んでいたはずだぜ?」

ルカ「死体発見現場の泥と合わせ、空気よりも軽い可燃性の気体だって話となると……それはもう水素しかねえ」

ルカ「その水素をゴンドラに充満させられるほどのもんは……冬優子の持っていた水素吸引機ぐらいのもんだろうが!」

冬優子「……」

606 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 22:52:02.43 ID:kJ67nvvf0

冬優子「あんたの言い分はよく理解した、確かに今の論証は水素爆発を裏付ける話かもしれない」

冬優子「……でもね、ふゆが犯人だと断定する論理上には載ってない。他の人間に水素を充満させられなかったってわけじゃないんだから」

雛菜「でも、化学反応をわざわざ起こして水素をためるなんて手間も時間もかかりすぎると思うし苦しいと思うけどな〜」

冬優子「うっさい! ふゆは手元にあるカードは全部使う……どんなに小さな可能性だろうと、残る限りは追及させてもらうわよ!」

美琴「あなたが追及するのは勝手だけど……あくまで学級裁判は多数決。他のみんなの心証がどちらに傾いているかは気にしたほうがいいと思うけどね」

冬優子「……それは、そう……だけど!」

冬優子「こんなところでふゆは負けてらんない……負けてらんないのよ!」

(……冬優子、お前……)


確かに、私たちは冬優子に対して確定的な証拠を突き付けているわけではない。
あくまで可能性の高い二つの嫌疑をぶつけているというだけ。
でも……これは正式な裁判ではない、あくまで学級裁判。
私刑を下すのには十分な証明は為されているはず。
既に天秤も殆どそちらに傾いているはず。美琴のように諦めるように促す言葉が出るのも納得はいく。

607 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 22:53:06.70 ID:kJ67nvvf0

だけど、私は知っている。
そんな形勢など冬優子だって百も承知だ。
もうここまで来れば逃げ場はほとんどないことを知っている。
だからといって冬優子がおめおめ首を差し出すわけがない。

冬優子は何も醜態をさらしているわけではない。
自分の命に縋りついて、みっともなく生き残ろうとしているわけではない。

冬優子は、責任を果たそうとしている。
これまでにこの場で命を散らしてきた三人に対して、自分が手にかけた有栖川夏葉に対して、そして何より……自分の仲間たちに対して。
自分の生を諦めるようでは彼女たちに申し訳が立たない。

最後まで戦い抜くという責任。
彼女はそのために刃先の折れた刀を何度だって構えなおす。
何度だって私にその鋩を向ける。

冬優子は私ならその責任のための闘いに応えてくれると知っているから。
共に三峰結華を説得し、共に小宮果穂が殺めた二人に報いてきた戦友なら、その意図まで汲み取ってくれると信じてくれた。
そうじゃないと、私にわざわざ犯人として指名などさせはしない。


……分かってんだよ、黛冬優子。
だって、私もお前と……【同族】だからな。

608 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 22:54:08.89 ID:kJ67nvvf0

冬優子「水素爆発だって、ロケット花火だって……そんなの、ふゆ以外にだって可能だった。抜け道は存在してんのよ」

冬優子「それをやったのが、ふゆだって断定するんなら確固たる証拠を示しなさい」

智代子「そ、そんな証拠なんてあればとっくに突き付けてるよ……」

あさひ「冬優子ちゃん……」

ルカ「……ハッ」

ルカ「……いいぜ、付き合ってやるよ。お前は私にとって、この島に来て初めてできた対等な……ダチだ」

ルカ「だからよ……その最初で最後の喧嘩は最後まできっかり決着つけねーと、収まんねーよな」

冬優子「上等よ、ルカ……あんたのその憎まれ口、ずっとイラついてたのよ」

ルカ「おう、こっちだっててめェの空かした態度はずっとトサカに来てたんだ」

冬優子「あら、奇遇ね。そんじゃやりましょうか、一世一代の大喧嘩。タイマンで」

ルカ「ハッ……上等だよ、クソッたれ!」


609 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 22:54:52.42 ID:kJ67nvvf0





「「全力でぶっとばしてやる!」」





610 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 22:55:51.21 ID:kJ67nvvf0
-------------------------------------------------

【パニックトークアクション開始!】


冬優子「その程度でふゆに勝ったつもり?」【防御力50】
冬優子「上等じゃないの」【防御力55】
冬優子「これで決めます……!」【防御力60】
冬優子「誰が終わりって言いました?」【防御力65】
冬優子「あんたのことは、ふゆがちゃんと終わらせてあげるから」【防御力70】


【盾の防御力をコンマで削り切れ!】

↓1〜5
611 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/19(木) 22:56:11.95 ID:lUoTZCfC0
612 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/19(木) 22:57:01.54 ID:dSdGFz7r0
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/19(木) 22:58:04.79 ID:dSdGFz7r0
614 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/19(木) 22:58:38.84 ID:lUoTZCfC0
615 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/19(木) 22:58:39.54 ID:dSdGFz7r0
616 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 23:01:53.39 ID:kJ67nvvf0
-------------------------------------------------

【コンマ 95 54 79 84 54】

【ピトス・エルピスの効果によりコンマの値が+15します】

【最終コンマ 110 69 94 99 69】

【ALL BREAK!】

ルカ「ぶっとばしてやるよ!」


【冬優子「そもそも、ふゆがロケット花火を撃って不意打ちしたなんて証拠はどこにもないのよ!」】


応/煙/反/硝


【正しい順番に並び替えて、コンマ値70以上でとどめをさせ!】

↓1
617 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/19(木) 23:02:30.31 ID:lUoTZCfC0
硝煙反応
618 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/19(木) 23:04:57.00 ID:dSdGFz7r0
(安価の順番と盾の順番が対応してるなら最後の1枚、ピトス足してもいちたりてない気がするけどまあいいか……)
619 :なぜか普通に失敗の所を一度通していますがガバです ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 23:05:23.60 ID:kJ67nvvf0

【コンマ31】

【ピトス・エルピスの効果によりコンマの値が+15されます】

【最終コンマ 46】

【発言力:♡×10→♡×9】

冬優子「これがあんたの全力? ルカ……あんた、案外非力なのね」

(ざけんな……このまま終わってたまるかよ……!)

-------------------------------------------------

ルカ「ぶっとばしてやるよ!」


【冬優子「そもそも、ふゆがロケット花火を撃って不意打ちしたなんて証拠はどこにもないのよ!」】

応/煙/反/硝

【正しい順番に並び替えて、コンマ値70以上でとどめをさせ!】

↓1
620 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/19(木) 23:06:06.85 ID:dSdGFz7r0
荘園反応
621 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/19(木) 23:07:32.74 ID:dSdGFz7r0
ふふっ、漢字変換ミスったわ
622 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 23:07:56.73 ID:kJ67nvvf0

【コンマ85】

ルカ「くらいやがれ!」

【BREAK!!】

ルカ「確かに今、私たちの手元にも……これまでにも、冬優子がロケット花火を撃った証拠は何かあったわけじゃない」

ルカ「でもな、その証拠は……ずっと私たちの目の前にあったんだよ」

智代子「私たちの……目の前……?」

ルカ「それを確かめる術がないから、ずっと手をこまねいちゃいたが……冬優子がここまで食い下がるんだったらこっちだって手は選んじゃいられない」

冬優子「どんな手があるっての、言ってみなさい!」

ルカ「モノクマ! 手ェ貸せ!」

モノクマ「えっ、ボクですか!? そ、そんな急に手を貸せと言われましても……ボクにできるのはせいぜい罪人を縊り殺すことぐらいでして……」

ルカ「グチグチ言ってんじゃねえ、私たちに硝煙反応を調べさせろ」

恋鐘「しょーえんはんのー……ってなんね!?」

美琴「……サスペンスドラマのお仕事で何度か出会ったな」

美琴「拳銃なんかを発射したときに衣服に付着する硝煙を検査する薬品。名前は忘れたけど……火薬が炸裂した時には付近に成分が散布されるんだよ」

623 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 23:08:27.08 ID:kJ67nvvf0

透「火薬ってことは……銃と同じなんだね。花火も、硝煙をぶちまける」

雛菜「じゃあ、ストレイの人の身体には硝煙がべったり〜?」

冬優子「……そ、それは!」

ルカ「ま、それが実際どうかは……検証してみてからにしようぜ。なあ、モノクマ!」

モノクマ「う〜〜〜ん……それってどうなの? この学級裁判ってオマエラの捜査と推理で犯人を導き出すのが目的であってさ、そういう化学捜査の領域にボクが介入するのってあんまりフェアじゃない気がするんだよね……」

ルカ「んだと……?」

あさひ「そうっすよ! 化学捜査をここでだけ解禁するのはおかしいっす! これまでの事件と条件が変わっちゃうっす!」

(まずい……ここはなんとしても通さねえと……)

あさひ「モノクマが公正にこのコロシアイを進行するって決めた以上はその言葉は守らないとズルっす!」

モノクマ「う〜ん……やっぱりそうだよねぇ……」

(私しかいない……私しか、もう冬優子を楽にしてやれる人間はいねえってのに……!)

624 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 23:09:28.96 ID:kJ67nvvf0





冬優子「いいわ、やってみなさいよ」




625 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 23:11:02.84 ID:kJ67nvvf0

ルカ「冬優子!? お、お前……!」

冬優子「ルカ、あんたはこの検証をすれば満足するんでしょ? それならいいわ、引き受けてあげる。モノクマ、本人が承諾してるんだからそれを断る道理はないわよね?」

モノクマ「え? う、う〜〜〜んと……まあ、いいのかなぁ……」

あさひ「冬優子ちゃん、何言ってるんっすか?! なんで、そんなこと言うんすか!?」

冬優子「あさひ、あんたさっきからキャンキャンうっさいのよ。耳が喧しくてたまんないわ」

冬優子「いい。今から真実が明らかになるわけだけど……結果がどうであれ、それをちゃんと受け入れること。あんた、年の割には頭が無駄に回るんだから……真実から目を背けて騒ぐとか、そんなダサい真似をしたら許さないわよ」

あさひ「冬優子ちゃん……」

冬優子「ほら、モノクマ。さっさとやって頂戴。硝煙反応とやら、確かめてみましょうよ」

(……冬優子)

(ハッ……まだまだ私は甘い。これだけやっておいて、決定的な証拠は見つけられず)

(結局……冬優子に助けられちまったんだもんな……情けねえ)

626 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 23:12:09.72 ID:kJ67nvvf0

モノクマ「わかりました! それではこれより、黛さんの硝煙反応を検査いたします!」


モノクマ「てれれってれー! ジフェニルアミン〜〜〜〜〜〜〜!!」


モノクマ「これはアニリンっていうのから合成される化合物なんだけど……まあ詳しい説明は文系なんで省略するよ」


モノクマ「とにかく、さっき緋田さんが言った通りなのです! この薬品を拳銃などを使用した人間の衣服にぶっかけるとあら不思議! その衣服が紫色に変わ
ってしまう優れもの!」


モノクマ「これを黛さんにぶっかけたその結果はいかに……! 真実はクロか、それともシロなのか〜〜〜〜〜!?」


ジャバァッ!!
627 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 23:14:06.23 ID:kJ67nvvf0


特殊な液体をかけられた冬優子の衣服。


智代子「こ、これって……」

透「あっちゃ〜……」

恋鐘「冬優子、こいは……こん色の変わり方は……」

雛菜「あは〜? 服、【紫】一色って感じですね〜?」


それは私たちの目の前で……みるみると紫色に染まりあがっていった。
つまり、黛冬優子がロケット花火を使用したという紛れもない事実……

彼女が【クロ】であるという純然たる事実が、そこに浮かび上がったのだった。


ルカ「硝煙反応が出たってことは、冬優子はロケット花火を撃っていたってこと。つまり……有栖川夏葉を不意打ちして強制スリープボタンを押した人間だってことだ」

ルカ「これで認めてくれるよな、冬優子」

628 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 23:15:21.60 ID:kJ67nvvf0

冬優子「……」


冬優子「…………」


冬優子「…………………………」





冬優子「……ゲームセット、ってとこね」




629 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 23:16:32.82 ID:kJ67nvvf0

あさひ「……なん、で……」


私と冬優子の最初で最後の大喧嘩はこうして幕を下ろした。
私の手からは何かが塵となって消えていき、冬優子の目の前には首を括るためにあるような綺麗な輪っかが垂れさがる。
この喧嘩の幕引きは、どうあがいても最悪な形でしか終わらない。


冬優子「あんた、もっと早くノックアウトしなさい。なんか不細工な終わり方になっちゃったじゃないのよ」

ルカ「はいはい、検証が足りず悪うござんした」

冬優子「ったく……まあ、ふゆの想定より証拠が隠滅されちゃってたから致し方ないけどね」


だからって、私たちの表情が陰鬱の底に陥るかと言われればそれはノーだ。
今この瞬間、感じているものだって黒々としたものなんて殆どない。
そこにあるのは最後まで向き合い続けることができたという安どと、そして相手が自分を信じ続けてくれたということに対する確かな効力感。
満ち足りたというと語弊があるが、そこに流れる汗は決して脂ぎったものではなかったことは間違いない。

630 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 23:17:25.93 ID:kJ67nvvf0

智代子「本当に、ふゆちゃんだったんだね。夏葉ちゃんを殺しちゃったの……」

冬優子「……園田智代子。あんたの大事な存在を奪ってしまったこと……それはいくら謝っても足りるものではないと思う」

冬優子「でも、一つ言わせてもらうとすれば……この事件、有栖川夏葉自身の望むところでもあったのよ」

智代子「……えっ」


クロが確定した今、被害者のユニットメンバーであった甘党女は当然ながら……両目に涙を浮かべながらその理由と今の心情とを尋ね求める。
だが、冬優子はその要求をいったんは棄却した。


冬優子「ま、細かいことは後にしましょうか。そういう長話は処刑の前にでもすればいいわ」

智代子「ちょ、ちょっと待って……ふゆちゃん、それってどういう____」

冬優子「まだこの裁判は終わってないわ」

ルカ「……ハッ」

冬優子「ルカ、付き合ってもらうわよ。ふゆがこの事件を起こしたのは……ここから先が目的なのよ」

631 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 23:18:11.05 ID:kJ67nvvf0

それは、何も想いを踏みにじるわけではなく、ほかに優先すべき事項があったから。
冬優子にとって何よりも優先されるべきなのは……誰かを殺めた動機ではなく、もっとその大前提。

この事件そのものに託した思い、そして策略である。
自分自身が犯人だと確定した今、それをこの場で明らかにすることに冬優子は異常なまでの意欲を見せた。
きっと、それは私と言う存在が今ここにいることに対しての甘えでもあったんだろう。
斑鳩ルカならば付き合ってくれる、なんてカミサマに対してどこまでも不遜な態度だと思う。

でも、それくらい罰当たりな方が崇められる立場の人間としても気楽なもんだ。


ルカ「はぁ……ダチってのはこんな人使いが荒いもんなのか?」

冬優子「そーよ、ほら文句言わずにやることやる」

ルカ「チッ……それじゃあしょうがねえ、やってやるよ」

ルカ「今からこの事件を最初っから全部振り返る。そんで……そこから先は、てめェの好きにやりな」

冬優子「上出来、それでよろしい」

ルカ「じゃあ、始めるぞ。これがこの事件の全部だ……!」

632 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 23:19:25.21 ID:kJ67nvvf0
-------------------------------------------------

【クライマックス推理開始!】

【act.1】

ルカ「今回の事件、私たちははじめスタート地点を完全に見誤っていた。というのも、死体の発見現場が実際の殺害現場から大きく動かされていたんだが……死体のぶちまけたオイルがその誤認を招いたからなんだ。ただ死体が落下した時にぶちまけただけのオイル、それをあたかも私たちは殺害時にぶちまけられたものと勘違いしちまったんだよな」


ルカ「実際の殺害現場は遊園地の観覧車、そのゴンドラの中だ。犯人はその中でなかなか突拍子もないトラップを仕掛けてメカ女の命を奪ったんだが……それは後に語るとするか。まず、前提としてメカ女をゴンドラに載せるってのが難題だからな」


ルカ「メカ女は私たちよりも肉体のスペックも上、更に人体改造(物理)のせいで通常よりも死角が少なくなっている。ただの物理攻撃なんて受けつかない鋼鉄の身体だし、更には暗所では自動で赤外線カメラによって補正をかけることもできる。ただ、犯人はその赤外線カメラ自体を利用して犯行に及んだんだ」


ルカ「被害者であるメカ女をなんらかの方法で呼び出した犯人は、不意打ちを仕掛けた。その際に使用したのがロケット花火だ。これは第三の事件発生時に、病院とモーテルに二手に分かれて私たちが行動した時に犯人が回収しておいたもの。犯人を置いて他に使用できる人間はいなかったんだが……そこはまあ証明は難しいな」


ルカ「犯人の射出したロケット花火はメカ女の視界を一瞬にして光でいっぱいにした。それまでの暗所で補正をかけていた赤外線カメラはその瞬間に使い物にならないお荷物になる。完全に視覚情報が遮断されてしまったメカ女、その不意をつくことで犯人は強制スリープボタンを押すことを可能にしたんだ」

633 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 23:20:07.05 ID:kJ67nvvf0
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
【act.2】

ルカ「強制スリープボタンを押して意識を奪ったメカ女を、犯人は観覧車のゴンドラに載せた。そのゴンドラは犯人が病院から持ち出しておいた水素吸引機で、水素を充満させたゴンドラだ。メカ女の重量は百キロを優に超える。ゴンドラに積むので犯人はきっと精いっぱいだったんだろう、その体は寝そべった状態でゴンドラに載せられたんだ」


ルカ「その寝そべった状態ってのがなかなかネックでな。あいつの身体に搭載されている空気清浄機能は、空気より軽いためゴンドラの上部に溜まった水素は検出しなかった。そのままメカ女は何も気づかずスリープモードのままに空中へと運ばれて行った」


ルカ「ゴンドラの速度もきっと調整しておいたんだろうな。一定の高さを超えたところでゴンドラは完全にロック。ナパーム弾すらも通さない鉄壁のシェルターカプセルが完成する。ここまですれば仕込みは完了。後は勝手にメカ女が目を覚ますのを待つだけだ」


ルカ「メカ女にはきっと張り紙でもしておいたんだろう。お仲間の命を脅迫に取るようなメッセージなんかで……すぐにでも助けに行かなくては、脱出しなくてはと思わせるような誘導を行った。目を覚ますなりその誘導に連れられてしまったメカ女はゴンドラから脱出するために……自慢のロケットパンチをぶっ放した」


ルカ「その瞬間、ゴンドラ内の水素が一斉に反応。ゴンドラの中で大爆発が起きちまったんだ。メカ女の身体はものすごい勢いでゴンドラに叩きつけられ、その衝撃で回路が破損。あいつは死亡することとなった。あわせて、ゴンドラの上部の気体で燃焼反応を起こしたため、上半身には焦げ跡もついた。水素爆発の化学反応で、水分もいくらか付着したかな」


ルカ「とにかく、犯人はあの私たちの中で最も殺しづらいであろうメカ女をオートマチックに殺すことに成功したんだ。ほんの少しの化学の知識を用いることでな」

634 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 23:20:42.97 ID:kJ67nvvf0
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
【act.3】

ルカ「とはいえ、ゴンドラには爆発の痕跡も残っているし、死体と一緒に発見されてしまえば真実にたどり着くのも時間の問題だろう。そう考えた犯人は次の工程に移る。それは死体の移動だ。この殺害現場から離れたところに死体を移すことでより事態を複雑にしようと試みたんだ」


ルカ「そこで犯人が考えたのは、なんと観覧車をまるまる糸車にしてやろうというぶっ飛んだ方法。ワイヤーで観覧車を巻いた後、その端を別のアトラクションであるバイキングと死体そのものにくくりつければ準備完了」


ルカ「後はファイナルデッドルームのクリア特典であるアトラクションの操作権限を用いて観覧車の回転方向と速度を弄り、バイキングを動かすだけ。バイキングと同じ方向に回転する観覧車、そしてバイキングの牽引力が合わさることで一気に死体ごとワイヤーは巻き取られる!」


ルカ「持ち上がった死体は取り付けられたワイヤーフックがワイヤーから外れることでそのまま宙に投げ出され、あとは慣性で飛んでいく。犯人からすればどこに落ちるかなんてのはどうでもよかったんだろうな。とにかく、爆破に用いたゴンドラを見られないこと。それが重要だったはずだ。そしてその目論見は見事大成功」


ルカ「落下した先で死体は衝撃でバラバラになり、中のオイルもぶちまけられたことで完全に現場はその落下先だと思わされちまった。犯人のやつ、そこまで食えない奴だとは思っちゃいなかったよ。……お前にしてはよく考えたよな」




ルカ「これで満足のいく証明はできたか? 黛冬優子」

【COMPLETE!!】



-------------------------------------------------
635 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 23:21:40.34 ID:kJ67nvvf0

冬優子「やるじゃないルカ、カンペキよ。あんたの言う通り、事件は今あんたが言った通りの方法でやらせてもらったわ」


冬優子は私の証明を一通り聞き終えるとご満悦と言った感じで何度か頷いた。
私もそれを確認すると半歩後ろに下がる。ここから先の中心はこの犯人様にゆだねることにする。
私自身、冬優子のすべてをまだ理解しちゃいない。
その含みを訊かないことには、私も満足できやしないのだ。


美琴「随分余裕みたいだね」

冬優子「余裕……というよりも、まだふゆにはやることが残ってるから」

ルカ「いい加減聞かせてくれよ、なんなんだよ……そのやることってのはよ」

冬優子「そうね、ルカ……あんたの推理、多分正解なんだと思うけど……ちょっとだけふゆとしては否定したいポイントがあるのよね」

恋鐘「な、なんだか容量を得ん言い回したい……冬優子は何が言いたかよ」

雛菜「多分正解ってまるで他人事みたいな言い回しですよね〜」

冬優子「そう、他人事なのよ。ルカの推理に出てきた行動の一部はね」

ルカ「な、なんだと……!?」

冬優子「今更有栖川夏葉を手にかけたこと自体は否定しない。それは間違いないわ、事件の犯人はふゆよ」
636 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 23:22:35.63 ID:kJ67nvvf0






冬優子「でもね、殺害してからその後……死体を運搬したくだりはふゆは一切関与していないわ」





637 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 23:23:43.82 ID:kJ67nvvf0

ルカ「死体を、運んでねーだと……?」

冬優子「そ、糸車とかバイキングだとか……そこら辺のはふゆは知らない。やっちゃいないのよね」

美琴「……それってつまり、事件現場を荒らす者がまた現れたってことだよね」

冬優子「そうなるわね、どこぞの誰かさんが狸って呼んでたやつが現れたのよ」

(……ってことはだ)


当然私たちの視線は一気に中学生……芹沢あさひの元へと集まる。
二回目の事件……千雪の事件でスケープゴート役にされた冬優子の元に届いた脅迫状。
それはストレイライトのメンバーでなくては知ることのできない秘密の書かれたもの。
アリバイなどの条件も絡み、狸として私が指摘したのは芹沢あさひなのだ。
冬優子の事件現場を荒らした狸、その話題になれば当然疑いの目も向く。


冬優子「ふゆの狙い通りにね」


そんなメンバーの窮地に、冬優子はほくそ笑んだ。

638 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 23:24:43.38 ID:kJ67nvvf0

冬優子「狸ってのは相当にお間抜けらしいわね。ふゆに誘い込まれたとも知らないで、せっせと現場に工作なんかしちゃって……」

ルカ「ど、どういうことだよ!? お前が……誘い込んだ?!」

冬優子「ええ、ふゆが狸を呼び寄せてやったの。餌をぶら下げることでね」

冬優子「これまでの狸の行動、思い返して御覧なさい。あいつは七草にちかの事件で暗視スコープを黒塗りにして、桑山千雪の事件でふゆを犯人に仕立て上げようとした。前者では事件を起こす下準備、後者では現場を荒らして真実を有耶無耶にしようとした。……その心は?」

ルカ「……私たちを、学級裁判で殺そうとしてるのか?」

冬優子「まあ、そうなるでしょうね。現場を荒らす理由なんて、それぐらいのものだもの。狸の行動には、ふゆたち他のメンバーに対する殺意が垣間見えているわ」

冬優子「……なら、犯人があからさまな事件を起こした時、狸はどう思うかしら」

智代子「なんとしても現場を荒らして……間違った回答に誘導しなくちゃいけない?」

冬優子「そういうこと。狸は学級裁判で誤答させることを目的としているんだから、そんなあからさまな現場黙っちゃいられないのよ」

透「まあ、そっか。犯人ですーってやつがいる事件、狸はやりたくないんでしょ」

冬優子「だからふゆはあえて、現場に水素吸引機をそのままにしてやったわ。ルカでもあさひでも……みれば一発でわかるような証拠を残してやったの。ゴンドラも爆発の衝撃で中が少しひしゃげていたし、あの状態ならすぐに犯人がふゆだって誰でもわかったでしょうね」

あさひ「水素吸引機……あの時の」


冬優子「狸はそれを見て、すぐに死体を移さなきゃと思ったの。焦って焦って……【何故か】ゴンドラの脇に置かれていたワイヤーを手に取った」


美琴「……え?」

639 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 23:25:25.12 ID:kJ67nvvf0

冬優子「そのまま【何故か】門が開いていて止まっていたバイキングの船頭にワイヤーをくくりつけた」

恋鐘「ま、また【何故か】……?」

冬優子「そして【何故か】逆回転に設定されていた観覧車とバイキングを動かして、死体を移動させたのよ」

ルカ「お前……その【何故か】って」

冬優子「ふふっ……ホント間抜けな狸さんよね、全部全部、ふゆの設計図通りに動いてくれちゃって」

雛菜「それじゃ狸の行動は、ぜんぶぜ〜んぶ、狙い通りだったってことですか〜?」

智代子「そ、そんなの……全部、ふゆちゃんは考えてたの?!」

冬優子「ふゆの狙いはただ一つ。ルカ、あんたなら分かるでしょ」


冬優子はそう言って、まっすぐに私の瞳を見つめた。
冬優子から感じる一本の強く太い芯。これこそが、冬優子の今の行動原理……この事件を引き起こした一つの大きな動機なんだろう。
一人の人間を殺め、そのうえで狸をおびき寄せるような罠を仕掛け、裁判で自らをクロだと私に証明させて、その結果今この瞬間がある。
この瞬間の、そのために冬優子はすべてを尽くしてきたんだ。



冬優子の、その狙いは_____


640 :最後の最後にクソ面倒なコンマ〜〜〜〜〜〜!!! ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 23:27:35.42 ID:kJ67nvvf0
-------------------------------------------------

【発掘イマジネーション開始!】

■■■■■の■■を証明するため

【指定の範囲内のコンマを出して結論を掘り当てろ!】


一文字目 01〜30の奇数
二文字目 01〜30の偶数
三文字目 31〜60の奇数
四文字目 31〜60の偶数
五文字目 61〜90の奇数
六文字目 61〜90の偶数
七文字目 91〜00


↓1〜16
641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/19(木) 23:28:18.40 ID:lUoTZCfC0
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/19(木) 23:28:48.52 ID:lUoTZCfC0
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/05/19(木) 23:29:18.56 ID:LIF4/FS1O
わっせ
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/19(木) 23:29:33.05 ID:7XT+Vjty0
645 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/19(木) 23:29:39.36 ID:lUoTZCfC0
646 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/19(木) 23:29:46.52 ID:dSdGFz7r0
推定ラスボスが多いこの裁判……
647 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/05/19(木) 23:29:47.70 ID:LIF4/FS1O
わっせ
648 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/19(木) 23:30:16.74 ID:lUoTZCfC0
649 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/19(木) 23:30:47.75 ID:dSdGFz7r0
ここまでほぼ全部四文字目
650 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/05/19(木) 23:30:58.18 ID:LIF4/FS1O
わっせ
651 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/19(木) 23:31:19.52 ID:lUoTZCfC0
652 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/05/19(木) 23:31:46.52 ID:LIF4/FS1O
奇数が出ない
653 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/19(木) 23:31:50.78 ID:lUoTZCfC0
654 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/05/19(木) 23:32:17.08 ID:LIF4/FS1O
52何でこんなに出るんだよ
655 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/19(木) 23:32:20.99 ID:dSdGFz7r0
あと七文字目だけ?
656 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/19(木) 23:32:27.00 ID:lUoTZCfC0
657 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/19(木) 23:34:45.22 ID:dSdGFz7r0
三文字目がダメっすかね?
658 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 23:35:58.82 ID:kJ67nvvf0

【コンマ 40 52 56 05 36 52 70 74 75 18 52 52 78 08 99 00】

カンカンカンカン……

【ぞろ目の値が出ました!】

【が、既定のコンマ内で採掘が終わっていないためボーナスは発動しませんでした……】

カンカンカンカン……


芹沢■さひの潔白を証明するため


【指定の範囲内のコンマを出して結論を掘り当てろ!】


三文字目 31〜60の奇数


↓1〜4
659 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/05/19(木) 23:36:24.14 ID:R0PohS9bO
わっせ
660 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/19(木) 23:36:58.51 ID:dSdGFz7r0
高めのゾロ目2つ出たのにかなしい
661 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/19(木) 23:37:15.04 ID:sASLsx2oO
すっす
662 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/19(木) 23:38:20.64 ID:sASLsx2oO
っす
663 :お疲れ様でした。 ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 23:39:37.24 ID:kJ67nvvf0

【コンマ14 51】

カンカンカンカン……

【発掘完了!!】
__________________

芹沢あさひの潔白を証明するため
__________________


ルカ「芹沢あさひの潔白を証明するためか……!」

あさひ「えっ……」

ルカ「あのアトラクションのバイキングは身長制限が160cmと異常に高い。ループをする部分があったり、特殊なつくりをしているからだと言ってたが……私の推理では犯行の行動に組み込まれていたこのバイキングが、狸によるものなのだとしたら」

ルカ「その瞬間……私が今まで狸としてみていた芹沢あさひは……狸ではあり得なくなってしまう……!」

智代子「そっか……あさひちゃんは私と同じであのアトラクションの身長制限に引っかかる……! あのアトラクションを使って死体の移動は出来ないよ……!」

美琴「狸が偽装工作に使いやすいように、あえて偽装工作を途中辞めにしておいた。それを利用すれば、あさひちゃんが狸の嫌疑から外れるようになっていたなんてね」

あさひ「冬優子ちゃん、わたしのために……わたしのために、罠を仕掛けてくれたんっすか?」

冬優子「さあね。ふゆは恩着せがましい真似は好きじゃないの」

(……なるほどな、さっきは甘党女を黙らせるために言ったのかと思ったが)

(そう考えるとこの事件が有栖川夏葉も望むところってのは……あながち間違いじゃなかったのかもしれねーな)

664 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 23:40:45.18 ID:kJ67nvvf0

冬優子「ま、ふゆはこの裁判で死んじゃうわけだけど……生き残るあんたたち、忘れんじゃないわよ。狸は身長160cm以上の人間……あさひと園田智代子以外の中に混ざってる」

冬優子「そのことは、ゆめゆめ忘れないように……わかった? ルカ」

ルカ「ハッ……わーったよ」

智代子「な、なんだかおこぼれで私まで容疑者から外してもらえちゃった……」

美琴「……」


冬優子が命がけで張り巡らせた策略。
それは事件に決着がついた後に大きな展開をしてみせた。
私たちがずっと抱き続けていた疑念を根底から瓦解させ、彼女にとって特別な存在を一気に解放させた。

狸をドツボにはめた、事件のうちに隠したトラップ。
それを本人こそ照れ隠しで認めはしないが、その目的は長く目をかけてきた憎むべきも愛すべき年下を守るために他ならなかった。

665 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 23:41:53.37 ID:kJ67nvvf0

俗な言い方をすれば、愛情なんて言えてしまうんだろうが……私にはその二文字に収まるものではないと思う。
冬優子が芹沢あさひに向けているものはそんな単純なものじゃない。
本気で煩わしい存在だと思っているし、本気でいない方が楽だと感じているときもある。
その一方で、本気で自分には欠かせない存在だと思っているし、本気でずっと笑っていてほしいと思っている。
そんなちぐはぐな二律背反を積み重ねた感情を、たった二文字で表現しきれるはずがない。


____ましてや、その果てに自分の命を懸けた証明があるのだから。


冬優子「……モノクマ、とりあえず投票タイム。お願い」

あさひ「……冬優子ちゃん!」

冬優子「このガキがごねだす前に、早く」

モノクマ「わかりました! それでは急いでまいりましょう!」

モノクマ「投票ターイム! オマエラはお手元のスイッチでクロだと思う人物に投票してくださーい!」

モノクマ「議論の結果導き出されたクロは正解なのか、不正解なのかー!」

モノクマ「さあ、どっちなんでしょうかね?」

666 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 23:42:52.95 ID:kJ67nvvf0

-------------------------------------------------


      【VOTE】
〔冬優子〕〔冬優子〕〔冬優子〕

   CONGRATULATIONS!!!!

     パッパラー!!!


-------------------------------------------------
667 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 23:43:36.31 ID:kJ67nvvf0





【学級裁判 閉廷!】





668 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/19(木) 23:47:00.94 ID:kJ67nvvf0

というわけで4章の学級裁判が終わったところで本日はここまで。
ちょっとコンマ参照のゲームが多すぎましたね……
ピトス獲得してなかったらもっと泥沼になってたな……

次回裁判終了を投稿して、長かった4章もようやく終わりとなります。
金土は予定が入っているので、更新できるとすれば日曜になるかと思います。
また21時ごろより、安価はございませんがどうか本章も最後まで見守ってやってください。

それではお疲れさまでした。
669 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/20(金) 00:06:49.07 ID:aOfenW/40
お疲れさまでした
冬優子……
正直キャラ的に4章クロ枠っぽいよなあ……ってずっと思ってたから解釈一致ではあるけど悲しい……
冬優子の反論をピトス込みでギリギリ上回ってるところとか、あさひの反論に復活からのピトス抜きでの突破とか、
冬優子の反論の盾の耐久が最後の1枚の1だけ残るところとか、最後の発掘でやたら同じコンマが出てたりとか、
よく見ると全体的にコンマがめちゃくちゃ頑張ってる裁判だった
670 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/20(金) 01:49:24.02 ID:2nqnjoEX0
>>1

最後に衝撃の事実・・・
果たしてその狸は誰でそいつは次の章で散るのか?
それとも最後の章で姿を表すのか?
どちらにしろ美琴は透をその狸って疑う事になるんだろうなぁ
671 :以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします [sage]:2022/05/20(金) 02:43:20.21 ID:z4U57Ial0
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
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VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
672 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/20(金) 03:19:18.50 ID:p5cuD51Y0
>>670
展開潰しする奴嫌い
673 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/20(金) 07:00:39.37 ID:2nqnjoEX0
誰にでも予想できることを言っただけで
展開潰しと申されましてもな・・・

674 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/20(金) 16:48:05.68 ID:5CiVek0YO
お疲れさまでした
検討プロセッシングすき
675 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/20(金) 17:18:20.98 ID:p5cuD51Y0
>>673
言い方が悪かったゴメン

お前そのものが嫌い
いつだか作中のトリックが理解出来なくてゴネてた奴を連想する
676 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/20(金) 22:15:14.35 ID:czaNATSK0
なんやこのちゃおラジみたいに性格の悪いやつ(困惑)
677 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/22(日) 20:38:00.76 ID:6yJfGnKD0
-------------------------------------------------



CHAPTER 04

アタシザンサツアンドロイド

裁判終了



-------------------------------------------------
678 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/22(日) 20:39:22.66 ID:6yJfGnKD0

モノクマ「ピンポンピンポン! 大当たり〜! 超大学生級のアンドロイド、現代叡智の結晶とも言うべき美しき有栖川夏葉さんをメッタメタのガッチャガチャにぶっ壊して殺害したのは……」

モノクマ「綺麗なバラにはトゲがある! 超専門学校生級の広報委員・黛冬優子さんなのでした〜!」


犯人として指摘された。
それはものの数十分と経たないうちに蹂躙されて、命を奪われることを意味する。

それを前にして、冬優子はなおも態度を変えなかった。
それは、これまでに私の見てきた冬優子のあり方と相違しなかった。

人並みに悩んで、人並みに苦しむ彼女……
それでも、自分自身の決断には人一倍の責任感を持ち、そしてその評価には正面から向き合う強さがある。
元々備わっていたものなのか、それともアイドルとして活動する中で身につけた素養なのか、
283の人間じゃない私からすれば分からないが、この点において彼女が私より遥かに『大人』であることは間違いない事実だ。

679 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/22(日) 20:40:23.18 ID:6yJfGnKD0

智代子「……ふゆちゃん、もう聞かせてもらえるよね?」

冬優子「……ああ、話さないといけないわね」


園田智代子はただの遺された者ではない。
一度黄泉より舞い戻ったと思った有栖川夏葉、その期待と喜びを踏み躙られるような形で奪われてしまった。
冬優子の犯行によって生じた精神的ダメージはそれだけ大きい。
それを裁判の最中、進行のためにと不意にされたことを芳しく思っていないのが見てとれた。


智代子「さっき……学級裁判中、ふゆちゃんは言ってた。この殺人は夏葉ちゃんも望むところだったって」

冬優子「ええ、言ったわ」

智代子「本当に……そうなの? 夏葉ちゃんは自分から、ふゆちゃんに殺されにいったの?」


だが、冬優子は園田智代子の言葉を前にして少しためらうような素振りを見せた。
その言葉は間違ってはいないが、中央を正面から射止めたわけではない……そんな表情だ。


冬優子「いや、そうじゃないわ……死はあいつも望むところだったけど……ふゆもそうだったの」

智代子「えっ……?」


そして実際冬優子が口にしたのは、これまでの想定とはまた異なった事実だった。
680 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/22(日) 20:41:08.85 ID:6yJfGnKD0





冬優子「ふゆもあいつも、本気で殺し合った。どっちが死んでも、おかしくなかったのよ」



ルカ「お、おい……どういうことだよ、それ!」





681 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/22(日) 20:42:29.34 ID:6yJfGnKD0
◆◇◆◇◆◇◆◇◆


真夜中だと言うのに電飾は灯ったまま。
誰を載せるでもない観覧車はなおも動き続け、真っ黒な波にポツリポツリと丸い明かりを落とし続けている。
夜の本来あるべき静けさを嘲笑うような場内BGMを耳にしながら、その時を待っていた。

組んだ腕にはロケット花火を隠し持っている。
数日前の絶望病の一件で隔離生活を強いられた時、あさひが悪用しないようにふゆが一通り押収したものだ。

……ふゆはこれで、命を奪う。
正確にはロケット花火で視界を奪ってからいくつかの工程はあるけれど、直接的か間接的かくらいのもので、これが凶器の一部であることには相違ない。
そして、これが凶器として作用しうる相手は限られている。


「……あなただったのね、冬優子」

682 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/22(日) 20:44:25.32 ID:6yJfGnKD0

標的は姿を表した。
これから生死をかけたやりとりをしようと言うタイミングで、その標的は不気味なほどに物怖じをしていなかった。

いや、彼女らしいと言えば彼女らしい。
自信に満ちた表情を努めてみせようとしている彼女なら、命を落とす直前、そのコンマの一秒まで表情を崩すことはないだろうと思った。


「悪いわね、こんなことに付き合わせちゃって」
「何も謝ることはないわ、あなたも大きな決断を下した末の今なのでしょう?」


有栖川夏葉の推測した通りだ。
実際行動に移すには大きな障害があった。
人を殺めるなんてことはこれまでに経験もないし、きっとその一線を超えてしまえばふゆはこれまでのふゆではいられなくなる。
これまでのどれでもない、新しい自分を作り出さなければ到底耐えられない。
でも、そんなことに耐えられる器などふゆに作り出すことができるのだろうか?
ふゆはそこまで傲慢でも、図々しくもない。

そして、自分が手を下した瞬間に生じるリスク。
目の前に吊り下がる天秤を、正しき方向に傾けることができるのか。
みっともなく生に縋り付くような真似をしてはしまわないか。
絶対に完璧な黛冬優子を、最後の最後で自分の手で台無しにすることがあってはならないのに。
683 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/22(日) 20:45:49.11 ID:6yJfGnKD0

そんなしがらみの一切を、ふゆはねじ伏せた。
正確には目を瞑っただけかもしれない。
それでも、いい。
この一歩を踏み出すことには大きな意味があった、誰かが踏み出さなくちゃいけなかった。


「あんたこそ、別に来なくてもよかったのに。一眼見れば分かったでしょ、この手紙の送り主は殺すつもりで送ってるって」
「あなたと同じ気持ちなのよ。私も……あなたと同じで守りたいものがある。その志を同じくするものとなら、命をかけてもいいと思った」


今更この場に置いて有栖川夏葉の見立てを否定する気もなかった。
ふゆが犯行に及んだ理由は、誰の目に見ても明らかだったから。
この島に来る前から、ずっとずっと口では否定して、心の中でも自分に言い訳をし尽くしてきたが……この局面になればそれは意味をなさないと思う。

684 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/22(日) 20:47:08.71 ID:6yJfGnKD0



____ふゆは、今。



あさひを守る為にこの場に立っている。
別に自分だけなら飢えて死んだって構いやしない。

でも、あいつはただでさえ他の連中に不審な目を向けられているのに、それに加えてひもじい思いまでさせて、どんどん衰弱していっている。
それを目の前で見せられて黙っているほど、ふゆはいい子ちゃんじゃない。
きっと、愛依ならこの状況でも誰かを手にかけることなんて頭に浮かびもしないと思う。

だとしても、ふゆはふゆだから。
685 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/22(日) 20:48:20.72 ID:6yJfGnKD0


「だから……全力で行くわ。全力であなたの命を奪いに行く、全身全霊を持って殺させてもらう」


有栖川夏葉はふゆを見据えて、低く腰を落とした。
名家の生まれなのだ、武の心得だってあるんだろう。
素人目にも感じる気迫が、ふゆの肌をチクチクと刺した。


「上等、あんたこそ……殺されても文句言うんじゃないわよ」


だからといってそれに臆するようなふゆでもない。
こちらには対抗策だって用意してあるんだ、あとは一か八かの博打に挑むだけ。
ギャンブルなら、弱みを見せた方が負ける。
ふゆはこんなところで、負けてらんない。


「それじゃあ、行くわよ。次に合図した時が、始まり」
「ええ、いつでもどうぞ」
「……それじゃ」
686 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/22(日) 20:49:15.19 ID:6yJfGnKD0





「死んでもらうわ」





687 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/22(日) 20:50:18.98 ID:6yJfGnKD0
◆◇◆◇◆◇◆◇


智代子「夏葉ちゃんとふゆちゃんで……殺し合った……?!」

冬優子「……何も正面から殴り合いをしたわけじゃない。ルカの言った通りふゆがロケット花火で不意打ちをしたんだから激しい接触はなかったわ。でも、有栖川夏葉はふゆにスイッチを押されるその瞬間まで本気でふゆを殺そうとしていたわ」

智代子「そ、そんなの……本気かどうか……」

冬優子「わかるわよ、殺意をふゆは真っ正面から浴びたんだから」


きっと、冬優子の言うことは嘘ではない。
冬優子の口から語られたやりとりも、そこに込められている他の誰かを守りたいと言う想いも、これまでに見てきた二人と相違なかった。
有栖川夏葉と黛冬優子、お互い一度は大切なものをその手から失ってしまった身……
今回の動機で衰弱し、失われていく、最後の大切なものを前にして、黙っていることはできなかったのだろう。

688 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/22(日) 20:51:48.01 ID:6yJfGnKD0

冬優子「だからといって責任逃れをするつもりもない。あんたから大切な存在を奪った事実は変わらないんだから、ふゆはその咎めと謗りとを受け入れる義務はある」

冬優子「……存分に、詰ってくれていいわ」

智代子「……」


冬優子はそう言うと、黙って園田智代子を見据えた。
相変わらず、憎たらしい女だ。
そこまで堂々と語られたら、こちらの方が言葉に詰まる。
実際……園田智代子は口を開かなかった。






パンッ


そして、その代わりに乾いた音が響いた。
689 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/22(日) 20:53:20.34 ID:6yJfGnKD0

智代子「きっと、夏葉ちゃんが生きてたら『私と冬優子は真っ向勝負で雌雄を決したの。結果が不服であっても、それに茶々は入れないでほしいわ』って言うと思う」

智代子「……だからこれは、果穂の時……ふゆちゃんが夏葉ちゃんの顔を叩いた分だよ」


園田智代子の中にはやるせない思いが渦巻いていた。
冬優子の言うことには信憑性もある。
有栖川夏葉の死はきっと本人にとっては不本意なことでもない。
その敗北を受け入れるだけの覚悟をして、事切れたと思う。

でも、それとは別に感情は湧くのだ。
かけがえのない存在を失った相手を、本人がそうだったからとすぐに許せるほど甘口の人間でもない。
かといって自分の感情の赴くままの行動をとれば、それは仲間の決意と死とを踏みにじる行為になる。
その思慮の果ての平手打ちだった。
あくまで仇討ちではなく、いつかのやり返し。
そういう体をとって、想いをぶつけた。


冬優子「……優しいのね、あんた」


赤く染まった頬をさすりながら、つぶやいた。


智代子「武士の情けだよ、ふゆちゃん」
690 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/22(日) 20:54:44.86 ID:6yJfGnKD0

そして、順番は回る。次に冬優子が向き合うべきなのは他でもない自分の仲間。
冬優子自身が、遺して逝く相手だ。


あさひ「冬優子ちゃん、本当にわたしの為に……夏葉さんを殺したっすか?」

冬優子「……」


投票が終わった今、その回答を拒む理由が見つからない。
冬優子は大きなため息をついてから、中学生の方に向き合った。


冬優子「……あのね、目障りだったのよ」

あさひ「……え?」

冬優子「こっちのことなんか一切考えないで、自分の興味関心の赴くまま、それで散々振り回したかと思えば何故だか収まり良く事態がまとまっている。そういうあんたの持ってるところが、すごく目障りだった」

あさひ「……冬優子ちゃん、わたしのことそんな風に」

691 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/22(日) 20:56:10.71 ID:6yJfGnKD0

冬優子「でも、この島に来て、どんどん弱っていくあんたの方がよっぽど目障りだった」

冬優子「他の人間に疑いの眼差しを向けられるわ、制約のある生活を強いられて自由を失うわ、果てには食事も取りあげられてどんどん弱っていくわ」

冬優子「……あんたの、そんなところ見たくなかったのよ」

冬優子「……鬱陶しくてしょうがないから。あんたを取り巻くあれこれを一気に解消したの、ただそれだけ。他意はないわ」


あくまで字面上は、自分のためという体を装ってはいた。
でもその文脈が、『ある特定の人物のため』であることは明白で、本人もそれを流石に解したらしい。
初めこそ拒絶の言葉に面食らっていたが、すぐに前のように『ユニットのお姉さん』に向ける顔色に変わっていた。


冬優子「まあ、でもよかったでしょ? これであんたにかかってた嫌疑は晴れた。ルカにかけられてた言いがかりも全部払拭して、自由の身よ」

あさひ「……」


ただ……それでも中学生には不服だったらしい。
頬を少しだけ膨らませて、抗議の意思を込めた凝視。
らしからぬ雰囲気に、冬優子も少しばかりたじろぐ。

692 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/22(日) 20:57:40.10 ID:6yJfGnKD0

冬優子「……なによ、黙ってふゆの目なんか見て。あんたらしくもない」

あさひ「冬優子ちゃんは、本気でそう思ってるっすか?」

冬優子「……はぁ?」

あさひ「わたしは、嫌っす。絶対絶対……冬優子ちゃんとお別れなんかしたくない。それなのに、冬優子ちゃんはやっぱり自分のことばっかり」

冬優子「あんた聞いてた? ふゆが犯行に及んだのは、あんたを守るためで……」

あさひ「違う、それはただの目的と理由で……冬優子ちゃんはその過程をわかってないっす」

冬優子「何を言ってんの! ふゆがあんたのためにどんな決断をしたのか……」

あさひ「もう今、8人しかいないんっすよ? それに、冬優子ちゃんが死んじゃったら7人になる。それに愛依ちゃんも、果穂ちゃんもいない……」

あさひ「なんで、なんでそんなことをしたっすか? なんでみんな、わたしを一人にするっすか……?」

冬優子「……あんた」


あさひ「わたしの気持ちを考えないで、そんなことをするなんて……冬優子ちゃんらしくないっすよ」


芹沢あさひの言う通りだ。
冬優子が犯行に及んだ理由、それは独りよがりで押し付けがましい善意とも取ることができた。
たとえ容疑が晴れようとも、空腹が解決しようとも、黛冬優子という存在を失うことが芹沢あさひにどれだけ大きな衝撃を与えるのかを無視した動機。
自己正当化の出汁に使われていることに気づいた芹沢あさひは、その疑問を口にしたのである。

693 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/22(日) 20:58:45.93 ID:6yJfGnKD0

冬優子「……それは、その」

あさひ「わたしは他のみんなに疑われても、冬優子ちゃんが生きてる方がいいっす!」

冬優子「そんなこと、言ったって……」

あさひ「ねえ、冬優子ちゃん!!」


それは、冬優子自身に教えられたこと。
小宮果穂との死別を一度経験した彼女は、その死の間際に感情のありのままをぶつけ合うことで、そこに通わせたものを強く実感することができた。
だから、今回も彼女は歳のままの等身大の子供として、冬優子の元に縋りついた。
ごねたところで何が変わるでもないと知っていながら、その我儘を押し通そうとした。
声の限り、自分の感情を吐き出し続けた。

現実は当然、変わらなかった。
この状況においても、モノクマはただ無表情に動くこともなく、時間が経つのを待ち侘びている。
冬優子の死は、逃れられない運命。


……でも、冬優子自身の在り方には揺らぎの色が見えた。
694 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/05/22(日) 20:59:40.13 ID:6yJfGnKD0





冬優子「ふゆを、これ以上……困らせないで……」





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