真・恋姫夢想【凡将伝Re】5

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94 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/05/16(月) 22:38:05.07 ID:YFoWzSuU0
「いや、すっきりした。これはきちんと。そう、きっちりと方針を発信せんといかんところだった。
 ありがとうな、張紘。いつだってお前は俺を正しくしてくれるよ。
 ほんと、お前に会えてよかったよ」

「よせやい、おいらこそ拾われた身さ。
 恩、って言うとお前は嫌うけどな。
 おいらは拾われたのが二郎でよかったと思ってるよ」

むしろ、とも思う。だから、多分、田畑に塩。井水に毒。
そんなことを言われても付き合ったろうなと思う。いや、もっと悪辣な施策であっても、だ。
民を数字として見ることに慣れすぎていて、それを自覚してなお前を向く。
顔も名前も知らない数字の一つのために世を糺す。
そしてきっと前を向くのだ。向かい風をなにするものぞと。
だから。

「おいらはね。二郎。
 ほんとに感謝してるんだぞ。
 おいらがこうしていられるのは二郎のおかげなんだからな」

万感。
込められた思い。
どれだけの気持ちが、思いが伝わるだろうか。
いや、伝わっている。それ以上に汲んでくれている。
だからこそ、目の前で懊悩している男を安心させてやりたい。

「だからな、二郎、二郎よ。
 おいらはどこまでも、いつまでもお前に付き合うって」

だからさ、と笑う。

「なに、三人寄れば文殊の知恵だったか?
 二郎にしては上手いことを言うと思っていたが、確かにそうさ。
 おいらたちが揃えばたいていのことはなんとかなるさ。
 な、そうだろ?」

優雅に茶を喫していた沮授もこれには苦笑する。

「そうですね張紘君。君の言うとおり。その通りと思いますよ。
 実際、たいていのことはなんとかなりますし、しますよ」

苦笑する沮授。彼こそ袁家で一番実務を担っている人物であるのは万人が認めるところである。
だからこそ、沮授に比類すると言われる張紘の存在はかけがいのないものだ。
その立ち位置を含めて。

「まあ、おいらたちは楽進殿と典韋殿の腕前に期待してきただけだしな。
 なにせ二郎もご自慢の腕前だったからな。
 楽しみにしてるよ」

弛緩した空気。
肩をたたき合う。そして空気を読まない男もいる。

「凪!流琉!
 ご指名だ!美味しいところ頼むぞ!」

違うそうじゃない。
沮授と張紘が同時に思ったことである。

なお、予想以上に振る舞われた料理は絶品だったようである。
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