真・恋姫夢想【凡将伝Re】5

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7 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/02/14(月) 21:45:23.53 ID:Yo7ay6Bq0
んなこと言っても、さあとぶつくさ垂れる男の鼻っ柱を弾く。
なにをする、と顔を上げた男ににちゅ、と口づけてとっておきの火酒を流し込む。

「な……!」

「お、少しは見れる顔になったではないか」

辛気くさいのは勘弁だ。とばかりに笑う夏候惇に、紀霊も苦笑する。
かなわないな、と。

「で、だ。どうした。二郎がこんな時に、こんな時刻に私を訪ねるということは何かあったのだろう」

わくわく、と目を輝かす夏候惇の勢いに紀霊は苦笑する。

「や、大変なことは起こってるだろう。蜀とか蜀とか蜀とかさ」

気炎万丈。笑みを深めた夏候惇が吠える。

「は、論ずるに足りんな、足りんよ。
 華琳様が本気を出せば鎧袖一触の有象無象でしかない!
 ああ、なるほど。なるほどな。確かに華琳様自ら出るのは難しい、な。
 なるほど。曹家の名代としたら私しかないな。
 水臭いな、二郎よ。漢朝のためならば粉骨砕身するともさ」

夏候惇は漢朝の直臣でもある。その言に迷いはない。何より腕が鳴るというものである。

「や、春蘭の手を煩わせるつもりはないよ」

「ほお?私の出る幕はない、と……?」

剣呑な表情を浮かべる夏候惇にやや狼狽えながらも紀霊は説明を続ける。

「いくつか理由はある。まず、洛陽は安泰ではない。涼州、益州。ここは不穏極まりない。手を打ってはいるが、洛陽が囲まれる可能性だってある。それに……」

言い募る男の言を遮って夏候惇は問う。

「御託はいい。正直どうでもいいからな!
何だか知らんが泣きつきに来たんだろう?私に」

聞かせろよ、その話と囁く夏候惇に紀霊は白旗を上げる。
色々ご破算だが、これでこそ「あの」曹操が最も信頼するわけである。

「……正直華琳の動きが読めない。そして華琳の動き次第で詰んでしまう。
そこまで追い詰められてる。だから春蘭の口添えがどうしても欲しいってわけさ」

「口添えとは言ってもな……。
 私は華琳様の決定に抗うことはないぞ?
 華琳様の意向に口を挟むことなぞできん」

「それでいいさ。ただ、俺は俺にできることをするしかないってことさね。
 でも、春蘭の言うことに耳を傾けない華琳でもないだろう?」

まあ、その進言の内容にもよるのではあるのだろうが、と紀霊は内心で呟く。
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