真・恋姫夢想【凡将伝Re】5

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6 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/02/14(月) 21:44:48.53 ID:Yo7ay6Bq0
「姉者、来客だぞ」

日輪はとうに地平に姿を隠し、満月がその存在を高らかに主張するような時刻である。日中の過酷と言っていい練兵。それをこなし、湯を使って軽く夜食――曹操からの差し入れである――をつまむかどうか、それとも酒精を呷るかという至福の時間帯。
夏候惇は訝しげに声の主である妹を見る。この時間を大事にしているというのは衆知の事実だというのに。だが。いやだからこそ、その来客に興味を抱く。

「ふむ。秋蘭自らの報せとなれば会わんわけにはいかぬな。いい、通してくれ」

常にあらず、どこか楽しげな表情の妹。それを見て夏候惇は秘蔵の火酒を準備する。どうやら余程の来客らしい、と。
そしてその予想は正しくあった。

「何だ、二郎か。珍しいなこんな夜更けに」

通された青年の姿に夏候惇は拍子抜けしつつも納得する。なるほど、これならば追い返すわけにもいかないわけだ、と。

「どうした、夜這いにでも来たのか?」

薄手の夜着からのぞく脚線美を見せつけながらニヤリ、と笑う。
ん?と身を乗り出して胸の谷間をあからさまに強調する。常ならば目は釘づけなれどもつれない返事なのだが。

「ああ、まあ、そうなる、か……」

苦悶と言っていい口調でそんな言葉を捻りだす。その眼は固く閉じられており、夏候惇はニヤリ、と笑う。

「ほう、なかなか面白そうな顔をする。だが、辛気臭いのは好かんな。正直話を聞く気にもならん」
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