真・恋姫夢想【凡将伝Re】5

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386 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2023/09/12(火) 20:57:39.68 ID:062XtsZZ0
「きっちりと天の御使いと劉備を討ち取ってこようと言うのだ。
なに、ちょっとしたおつかいだろう?
ちゃあんと、無辜の民には毛ほども傷を負わせないとも」

「ええと、そうだな。俺が言ったのは便宜上の方便というか、な。分かってるのだろう?」

慌てる俺の様子を可笑しげに笑い、ちゅ、と口づけをし。

――星のその顔は凛々しく、雄々しく。その笑みは華麗で。

「分かるともさ。これはそれがしのけじめ。その機会だということだ。
 あの日あの時あの場所で、それがしが主の悋気を逸らした。
その結果がこれだ。このありさまだ。
 それがしの軽挙がこの状況を招いたと言ってもいい。
だから……けじめをつける。
 つけねばならないのだ」

そう言って星はニヤリ、と笑う。
その笑みが痛々しい。きっとずっと。ずっと気に病んでいたのだろう。
あの時、北郷一刀を庇ったことを。

「なに、すぐに帰ってくる。それがしの帰るところは……」

きゅ、と俺を抱きしめてすりすりと頬を。
そして何やら字伏に耳打ちし、得物を奪う。

そして見栄を切る。

「はーはっは!せめて、よおく見知った青竜偃月刀。命を絶たれるならばそれが情けというものだろうよ!
 ――国士無双、趙子龍。参る!」

◆◆◆

――そうして、ちょうど十日後。
帰還した星の手には蛇矛。かの張飛の得物である。
それを見て、関羽と呼ばれていた女は泣き崩れた。

つまりは、そういうことである。
そうして、北伐は幕を閉じた。閉じたのである。
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