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真・恋姫夢想【凡将伝Re】5
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384 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/09/12(火) 20:56:46.49 ID:062XtsZZ0
「郭嘉、程立参上いたしました」
どっかりとふんぞりかえる紀霊に、軍師二人が恭しく頭を下げる。
そして郭嘉は不快気に鼻を鳴らし、程立はくふふ、と笑みを漏らす。
二人の視線は好意的とはけして言えず、その人物を貫く。即ち、かつて関羽と呼ばれていた存在を、だ。
何故この場に彼女がいるのか、などという問いを郭嘉は発しない。この北伐の始末。それに必要な材料であるからだろうと見当をつける。そして、その、姓も名も、字も真名も奪われた哀れな存在の悄然とした有様に僅かに憐憫を覚える。
閑話休題。
紀霊とは何者か。そう問われれば郭嘉は迷いなく答えるであろう。「人たらし」であると。
敵も味方も、彼に接すれば老若男女を問わずに彼を好ましく思ってしまうのだ。そう、政敵――かつての何進や今の曹操――であっても、だ。更には彼の魅力に籠絡される人物の多いことよ――無論自分を含めてだが――と郭嘉は内心苦笑する。
そうだ。紀霊の、なんとも言えない魅力をもってすれば彼女を籠絡することも――時間を要しただろうが――可能だったはずだ。
そして、そんな紀霊。彼が全力で心を折りに行けばどうなる。それはつまり、ご覧の有様というやつである。
「ぽきり、といっちゃったみたいですね〜」
くふふ、と笑う親友。
どこか空恐ろしいものを感じながらも郭嘉は辛うじて鉄面皮を保つ。
郭嘉が口を開く前に問題の人物が。
「二人ともよく来てくれた。これから、この北伐の始末をつけようと思う。ああ、この字伏は気にしない方向で」
見れば涼しい顔をして趙雲は紀霊の傍――字伏と紀霊の中間――に立っている。おかしな気を起こしても趙雲ならば指一本触れさせないであろう。まずはそこに安心し、郭嘉は気を引き締める。戦争というものは始めるよりも終わらせる方がずっと難しい。その終着点をどうするか。それがこの場で決められるのだからして。
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