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真・恋姫夢想【凡将伝Re】5
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371 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/08/21(月) 22:06:32.22 ID:oDFXJMpu0
「そですね。稟ちゃん。
二郎さんはとっても優しくて、そうして、甘いお方なのですよ」
程立の声に郭嘉は頷く。項垂れる。
一体、自分はあの青年のお気楽な笑顔の裏にある葛藤を、苦悩や煩悶を。どれだけ斟酌できていたのかと。
「思えば、です。
ほんと、賈駆さんは愛されてたと思うのですよね〜」
賈駆。そして董卓一派。
「……なるほど。畏れ多くも禁裏を血に濡らしての宦官誅殺が市井にまで知れ渡っていること。適切に対処した二郎殿が、です。
魔王なぞという悪名が広がる。いかにも不自然です」
――ひどいものに至っては劉協や皇甫嵩を誅殺したのだという言説まで流布している。その紀霊の悪名に隠れて意外なほどに董卓一派については気にする者は少ない。少なくなった。
「悪名を以て悪名を制す。
そして彼女らはその死を以て将兵を救い、満足して死んでいったというわけですか。
――全く、度し難い」
思えば、風説の流布や制御こそが彼の最も得意とする手法。そしてその傍には張勲という情報処理の専門家(エキスパート)がいるのだ。手足となる張家がいるのだ。
「本当に。度し難い」
もや、と何か不愉快なものがこみ上げてくる。
「くふふ。清廉な英雄については星ちゃんが受け継いでくれましたからね。
まあ、それについて星ちゃんも色々と思う所があったみたいですが〜」
「風、貴女は!」
郭嘉が語気を荒げるもどこ吹く風。
「さて、そろそろ参りましょか〜?」
そう。軍師二人と天下無双。奇しくも荒野を彷徨っていた三人とその拾い主。
その四人で今後の方策が話し合われるのだ。それは北伐の始末だけでなく、中華全土の行方すら左右するであろう。
「天下の差配すら思うが儘。宿願が叶ってよかったですね?」
茶化す程立をうるさいとばかりに一つこづく。
「おお、ひどいひどい。卑しくも軍師ならば口舌にて掣肘を加えるべきと思うのですが〜」
「言ってなさい。まあ、私たちのやるべきことは決まっていますが」
此度の戦で晒した不様。それをあの青年の責とさせるわけにはいかない。それは二人に共通した認識である。
「……あの方はまだ。
まだまだ漢朝に必要なのですから」
常のように淡々と呟く郭嘉。程立はくふふ、と笑みを漏らすのみであった。
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