真・恋姫夢想【凡将伝Re】5

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356 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2023/08/14(月) 22:21:56.22 ID:x8Kt1Aqa0
◆◆◆

「あのな。もっぺん言うぞ。健気だと思うがね。
身を挺しての通せんぼだけどな、それ無駄だし」

「まあ、そこでどんだけ頑張るつもりかね。一刻か、それ以上か?
 言っとくが、一刻もあればうちの技術部はお前さんの横に橋をかけてしまうぞ?」

ちょっとさばを読んだかもしらんが真桜ならば一晩といわず一刻で浮橋くらいは楽勝だろうさ。多分きっとおそらくメイビー。

そして、動揺する関羽に一番聞きたかったことを聞く。

「で、だ。天の御使いは再起を期すのかね?叩き潰すのも面倒くさいのだけんども」

「――ご主人様は、天の国に旅立たれた。最早中華に興味は持たれていない」

――その言葉が聞きたかった。

「ふむ。じゃあ、関羽よ、なぜそこにいる?もう、北郷一刀は逃がしたのだろうよ、天の国へと。
 どうしてそこにいるのかな?」

くしゃり、と秀麗な顔をしかめて関羽は黙り込む、口を開く。

「どうして……。どうして貴方はいるのですか!どうして、こんなにも貴方は私の心をかき乱す!
 貴方さえいなければ、きっと。きっとご主人様の描く、皆が笑える世が!」

ほう。
なるほどね。
じゃあ聞こうか。

「皆、って誰さ」

その、俺の問いに関羽は黙り込む。下を向く。

「関羽よ。お前は何を守りたいのだ?ご主人様たちか?それとも無辜の民か?」
「そ、れは……。民だ。無辜の民を守りたいからこそ私たちは――」

 苦しいところだよね。分かるよ。だが容赦せん。

「は、笑えるよな。その理想でどれだけの民が死んだか!理想を抱えてどれだけの民を溺死させたのか!戦に駆り出し、無駄死にさせ、寡婦と孤児を幾人作った!」

黙り込む関羽。俺は畳み掛ける。
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