真・恋姫夢想【凡将伝Re】5

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176 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/10/03(月) 19:38:46.71 ID:SN9kABrZ0
◆◆◆

更に、蜀陣営には衝撃が走る。
帰参し、無事に物資を届けた張燕はにこやかに告げる。
そこは蜀陣営の物資集積場。張燕にしても初めて訪れる重要拠点である。
本来ならばここまでの誘導は張飛単独で当たるはずであった。

「ああ、張飛殿は野盗を追ってったよ。なに、治安維持を意識する。大したもんさね」

ニヤリと張燕は笑い、ほくそ笑む。

「まあ、火のないところに煙は立たぬ、ってね。ほら、煙がとんでもないことになってるよ」

もくもく、と物資の貯蔵庫から昇る黒雲に出迎えた諸葛亮は瞠目する。その間隙を逃さぬ張燕ではない。

「もらった!」

諸葛亮に放たれた横薙ぎの一撃を関羽が辛うじて防ぐ。

「貴様ぁ!」

「ちい!仕留めそこなったか!
だがね!あたしゃね、故あらば、寝返るのさ!」

張燕は懐から包みを取り出し、投擲する。赤黒い塊が空間を支配して。

「く、小癪な!」

「はは!そこに突っ込まないとは恐れ入った!
赤霞の術、ってことさね!」

その実体は辛子と胡椒の粉末なのだが、その影響は大きい。その影響下であれば関羽だとしても討ち取れると算段していたのだが。

「まあ、そこまで猪でもないか」

人知れず張燕は苦笑する。だが、重大なのはそこではない。
焼き払われた食糧をはじめとした膨大な物資。これにより蜀陣営は短期決戦を強いられることになるのである。

「さて、ここから先は風まかせ、さね」

追いすがる兵を鼻歌交じりに翻弄し、義理は果たしたとばかりに張燕は笑う。

そして彼女は自分の賭けた男の勝利を確信していたのである。

「なにせ、賭け事は胴元に限るらしいからねぇ」

……彼女は胴元が賭場に介入したときの惨状をこれ以上になく知っていたのだから。
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