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真・恋姫夢想【凡将伝Re】5
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175 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2022/10/03(月) 19:38:05.30 ID:SN9kABrZ0
「そうだね、やっちまいな。安心おし。ここの物資はきちんとあたしたちが届けてやるさ。
張飛殿はさくっと本懐を遂げればいいさね」
ここまで無言であった張燕がニヤリ、と笑いながら煽る。
「ここまで虚仮にされて退いたらもう、負けたも同然さね。退けないあんたの矜持は分かるよ。だから、思い知らせてやんなよ」
我が意を得たとばかりに張飛は頷き。
「ええと、吐いた唾を……。
にゃ!とにかく、けちょんけちょんにしてやるのだ!」
弾丸の如く張飛は吶喊する。手には蛇矛を振り上げて。
「わー、逃げろー」
言った時には既に戦場を離脱する勢いである。ただし、挑発しながら。
「こっこまでおいでー」
あっかんべーしながらお尻をぺちぺちと叩いて張飛を挑発する。馬上で。
「ば、かにするなあ!なのだ!」
ギュン!と張飛の駆ける速度が急上昇する。だが、それも馬岱の想定内。
「はは!その大層な矛、重そうだよねー。投げ捨てたらたんぽぽに追いつくんじゃない?
ねえ、将帥としてありながら自分も兵卒も憔悴してるこの状況、どんな気持ち?どんな気持ち?
ほらほら、単騎特攻はいいけどもっと視野を広くしないと愛しのご主人様は失望するんじゃないかなー。むしろもう、失望して貴女のことなんかどうでもいいとか思ってるかもねー」
「にゃー!
おにいちゃんはそんなこと言わないのだ!ぜったい許さないのだ!」
その殺意を馬岱はことごとく躱し、翻弄する。
ただの一度も干戈を交えず、逃げ回り、逃さない。
実に三日という期間、張飛を挑発して嘲笑ったのだ。
そして、張飛は肝心の決戦に参戦叶わなかったのである。
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