真・恋姫夢想【凡将伝Re】5

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141 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/07/04(月) 23:06:18.88 ID:ib3VgL1k0
◆◆◆

「黄忠殿、どう思われますかな」

しかつめらしく問う陳宮を、かつての黄忠ならば微笑ましく思ったであろう。
若年でありながら主筋に尽くそうというその意気は好ましいものだ。それをきちんと導いてやるのが先達の役割。ではあるのだが。

「そうねえ……。とてもまだまだ実戦には出せるものじゃないわね」

「そうなのですか。弓兵の運用においては黄忠殿の右に出るものはおりませんからな。その言、知見。確かなものでしょう。
 そしてお恥ずかしながらねねの運用することになる騎兵についても芳しい報せがないのが現状なのですぞ」

深刻ぶって、と言うのは不当な評価である。彼女は、陳宮こそは。あの袁家が仕切った反董卓連合と相対して生き残った数少ない董家幹部の一人なのだからして。死線を潜った数では譲らなくとも、深度では。

だが、そうではない、と黄忠は頭を振る。
一体、自分は何をやっているのか、と思うのだ。軍務からは身を引いて、愛娘の教育のために北方へきたはずなのだが。

あれよあれよという間に弓兵の指揮を任じられ、こうして訓練に精を出す。漢朝に弓引くことになっている。幾度か劉備に問うたのだが、彼女の言、諸葛亮の言葉を聞くとそれが妥当と思ってしまう。だからこうしている。

かつての学友でもあった徐庶からはしきりに文が届く。彼女らしく、そこに内応の打診なぞはない。ひたすら自分と娘の心配をしてくれている。
もし自分が斃れたならば、娘は彼女に託そう。そう、思えば。軍務にも励めるというものである。
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