真・恋姫夢想【凡将伝Re】5

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107 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/06/06(月) 21:47:15.03 ID:WaWAh3II0
「ほほう、では一体全体どういうことでしょうかな?正直見違えるくらいですが」

揶揄混じりのその言葉。それに劉璋は考え込む。

「そうね。やっぱり二郎の、おかげかしらね……。
 うん、二郎が私の蒙を啓いてくれたのよ。
 だから、私はね。恩を返さないといけないと思うのよ。
 あの、曹操みたいな化け物とやりあわないといけないの。
 私ならできるって、言ってくれたの。
そんなのって、ないわよね。
言われたら、やるしかないじゃない!」

破顔一笑。
劉璋は笑って魅せる。

そうだ。そうなのだ。
あの男に、留守は任せたなんて言われたのだ。
血筋だけが存在の全て。そう言われていた自分に懸けられた期待、信頼。
それに応えずしてなるものか。

「だから、使えるものは何でも使うわ。できることは何だってする。
そうね。重かった劉姓、今はありがたいくらいよ。
 知ってる?
私って宮中では今上陛下の次に尊い血筋なのよね」

皇族であるということの重さ、そして何より、その血の力。
それを自覚し、溺れない。使いこなすのだと。

「まあ、それで辛うじて曹操の配下程度と遣り合えてるって感じなんだけどね」

正直、相当に手心を加えられているなあ、と思いもするのよね、と。
嘆息、ひとつ。

「話がずれたわね。
まあ、そんなわけで桔梗にはのんびりとしてもらうってわけよ。
 それでお母様に対する牽制にもなるしね。
 だからいつも通り昼間から呑んだくれてなさいな」

その言いぐさ。傲然とした支配者の振舞。
厳顔をして自然と膝をつかせるその在り様。

「お見事でございます。
 いや、流石と言うべきか。血は争えぬと言うべきか……」

その言に劉璋はフン、と鼻で笑う。

「お母様にも、桔梗たちからも何も貰ってないけどね。
 いえ、だからこそ。かしら?
 ほんと、二郎には感謝しないとね」

溢れる本音と恨み言。
それに怯む厳顔ではない。

「なるほどなるほど。
 恋する乙女は無敵、という奴ですな。
 いや、まことに結構!」

「ば、馬鹿じゃないの?
 誓ってそんなんじゃないし!」

相手が二郎とかほんとありえないという悲鳴を置き去りにして。

内心、これしきの言葉で乱れてほしくはなかったのだが。
これもお役目、いたしかたなし。

「ほほう、そこは詳しく聞いておきたいですなあ。
 何せこれから外出もままならぬことになるのですから」

むきー、と激昂する劉璋をあしらう厳顔。
――厳顔が果たして劉焉から「ある種の」密命を帯びていたのかどうか。
彼女はその生涯において言及することはなかった。
そしてその解釈は分かれて尚、魅力的な英傑であった。
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