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【シャニマス×ダンロン】にちか「それは違くないですかー!?」【安価進行】 Part.2
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856 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:11:38.02 ID:ztf/P3ZF0
果穂?「二人はなかなか手ごわかった……だが、この魔王軍のさんぼうとしての頭のうをフルか働させればすきを突くことなどぞう作もない!」
果穂?「ジャスティスピンクには味方だとしんじこませて窓から部屋にあがりこみ、後ろを向いているうちにジャスティン・ダーク・ソードでげきは!」
果穂?「ジャスティススカイブルーは部屋をたずね、出てきたところを連れ出して……薬をのませてやった」
果穂?「そしてねむっているうちにジャスティン・ダーク・フォールでノックアウト」
果穂?「全部キミのすい理通りだよ、ジャスティスディープブラック」
ルカ「それ、私の事か……?」
モノミ「あ、あわわ……小宮さんにいったい何が……あれじゃ、ヒーローごっこの悪役みたいでちゅ……」
(……あ?)
(ヒーローごっこの……悪役……?)
果穂?「ハーーッハッハッハッ! ゆかいゆかい、たたかいは楽しいなあ、ジャスティス戦士よ!」
智代子「か、果穂はどうしちゃったの……果穂が何言ってるのか、全然わかんないよ……」
雛菜「まるで別人ですね〜……?」
(……間違いない、小宮果穂……こいつは……)
857 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:12:26.64 ID:ztf/P3ZF0
ルカ「絶望病に、感染してやがる……」
858 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:14:23.99 ID:ztf/P3ZF0
◆◇◆◇◆◇◆◇
____それは突然の事だった。
夜の定期通信も終えて、あさひの相手もし終えて、やっと迎えた落ち着ける時間。
シャワーを浴びて美容ケアをして、やっとの思いでベッドに辿り着く。
コテージのベッドより少しだけ固めのマットレスは、よく体が弾んだ。
一体どうしたことだろうか。
知らず知らずのうちに変な島に送り込まれただけでなく、そこから仲間内でのコロシアイを要求され、果てには未知の病の感染拡大と来た。
流石のふゆでもメンタルに来るものがある。
「……はぁぁぁぁぁ」
色んなものをため込んで重たくなった肺の空気をゆっくりと吐き出して、それからようやく寝床に着く。
明日になったらまた定期通信を行って、あさひの面倒を見て、食事を用意して……その繰り返し。
繰り返しで終わればいいが、それこそふゆたちだって病魔に侵されないとは限らない。
先が見えないどころか、先に待つ闇がこちらへこちらへと手を伸ばしてきているような、そんな薄気味悪い感覚を覚えながら、必死に瞼を下ろした。
この島に来てからというものの、まともに朝まで寝れた覚えがない。
寝ていてもその途中でふと目を覚まし、閉塞感のようなものを感じて身を捩る。
モーテルに来てからも、それは同じだった。
でも、今晩ふゆの目を覚まさせたのはもっと別の物だった。
859 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:15:33.21 ID:ztf/P3ZF0
ガチャ! ガチャガチャガチャ! ガチャ……ガチャガチャガチャ!
「……は? 何?」
深夜に部屋に響く荒々しい音。その音の鳴る方を見ると、部屋の入口。
そのドアノブが何者かによって何度も何度も動かされているのが目に入った。
来客だろうか、いやそんなはずはない。
普通の客ならインターホンを鳴らすはずだし、そもそも今はこんな深夜の時間帯。
まともな神経をしていれば訪問なんてしてこない。
「……ひっ」
思わずその場にへたり込んだ。
この部屋のドアにはのぞき窓もない。
何者かの突然の訪問に慄いてその顛末を見届ける以外のことは出来るはずもなかった。
860 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:16:57.26 ID:ztf/P3ZF0
数十秒ほどドアの向こうの主はドアが開けないか試したかと思うと、ドアノブを捻る手はぱたりと止まった。
もうあきらめていったのだろうか、そう思っても心臓がずっとバクバクとうるさい。
この島に来て、ふゆたちに課せられた命題がずっと頭に浮かんでいた。
『誰かを殺してこの島を出ろ』
もしかして、ふゆを標的にした誰かが……?
そんな不吉な考えがずっと拭えず、数十分間体勢を崩すことも忘れて浅い呼吸をしていた。
しばらくして、ある程度冷静になった時に気づいた。
もしかして、犯人はふゆを狙い撃ちにしたのではなく、モーテルに住んでいる人間を無差別に狙っているのではないか。
ふゆの部屋はしっかりと戸締りをしていたからすぐに諦めたけど、他の部屋はどうかわからない。
特にあさひなんかは、そこらへんもルーズそうだ。
ふゆは慌てて立ち上がり、ドアノブを握った。
……でも、すぐには動けなかった。
もし、犯人がドアの前でふゆのことを待っていたら?
そんな不意打ちに会えばひとたまりもない。
でも、こうしている間にも他の部屋で誰かが襲われていたら?
モーテルにはまだ高校生にもならない幼い子が二人もいる、彼女たちはふゆなんかよりよっぽど危険な立場だ。
でも……でも……
そんな逡巡をどれだけしたのかはわからないが、『すぐに』扉を開けることはできず、いくらかの時間を要した。
861 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:18:20.75 ID:ztf/P3ZF0
扉を開けてみても、人気はない。薄明りに照らされる闇をじっくり目を凝らしてみても、何も動く者はない。
ひとまず、この場は大丈夫のようだ。
まずインターホンを鳴らしたのはあさひの部屋。
こいつのことだから、そう簡単にくたばりはしないだろうけど、一応不安は不安だ。
しかし、しばらく待ってみても応答がない。
寝ているのだろうか? いや、それにしてもまるで気配を感じない。
主を失った部屋の特有の冷たさがドアの下からふゆの足首を掴んだ。
「……結華、果穂ちゃん!」
慌てて後の二つの部屋のインターホンも鳴らした。
違う、そんなの、絶対に違う。
ふゆの脳裏をよぎった考えを否定してくれる人を求めて、とにかく必死だった。
深夜の突然の訪問に腹を立てるぐらいでいい、ふゆに安心できる日常をよこしてほしい。
ボタンを押す指は震えてすらいた。
ガチャ…
顔を上げると、モーテルの扉の一つが開いていた。
ふゆがインターホンを鳴らした部屋の一つ……それは果穂ちゃんの部屋だった。
862 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:19:54.00 ID:ztf/P3ZF0
「ふ、ふゆさん……ですか……?」
「か、果穂ちゃん!」
飛びつくようにしてふゆは果穂ちゃんの部屋に押し入った。
「だ、大丈夫!? なにもされてない!?」
肩を掴んでガクガクと揺さぶる。
ふゆと同じ背丈のその体は、小刻みに震えていた。
ふゆの視界の中で、そのくりんとした瞳が潤んでいく。
彼女もまた、恐怖に打ち震えていたのだ。
「ふゆさん……ふゆさん……さっき、あたしの部屋を……誰かが!」
果穂ちゃんの話はふゆの体験とそっくりそのまま同じだった。
ベッドで眠っていたところ、突然部屋にドアノブを捻る音が響き、それが数十秒続いた。
何もかが自分の命を狙っていると思い、そこから動けなかったという。
「こわかったよね……果穂ちゃん」
「ふゆさん……あれは、なんだったんですか……?」
「ふゆにもわからない……でも、果穂ちゃんが無事でよかった」
しかし、やはりふゆの不吉な考えは当たっていたようだ。
犯人はふゆだけでなく、モーテルの人間を一通り訪問している。
そうなると、あさひと結華の下でも同じことがきっと起きているはずだ。
863 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:20:46.43 ID:ztf/P3ZF0
「あさひさんと結華さんは……だいじょうぶなんですか?」
「……わからない。さっきもインターホンを鳴らしたけどまるで応答がないの」
「そ、そんな……!」
こんな深夜に行方をくらますなんてただ事ではない。
もしかして、犯人に部屋から連れ出されているのかもしれない。
だとすれば、事が起きる前にどうにか二人を見つけ出さないと……そう考えに至るまで時間はかからず、ふゆはすぐに立ち上がった。
果穂ちゃんという存在を前にして、年上ゆえの自負が蘇ったのかもしれない。
さっきまで不安と恐怖で震えていた手は、怒りと焦燥の震えに変わっていた。
「あ、まってください! ふゆさん!」
「果穂ちゃん……?」
「やみくもにさがしてもダメだと思います……病院の人に、協力してもらいませんか!?」
確かにそれはそうだ。
そもそも、この島にいるのはモーテルと病院に泊まっている人間ですべて。
なら、あの犯人もその中にいる。
ともすれば、病院側の協力を得られれば二人を見つけ出し、救い出すこともできるかもしれない。
ふゆは焦るばかりでそんな単純なこともすっかり忘れてしまっていた。
「わかった、果穂ちゃんも一緒に来てくれる? ここに一人でいたら危ないから」
「は、はいっ! おねがいします!」
ここに一人で置いておくわけにはいかない。
ふゆは果穂ちゃんの震えるその手をとって、ライブハウスに向けて走り出した。
864 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:22:34.31 ID:ztf/P3ZF0
……でも、この時に気づいておけばよかったのかもしれない。
深夜の来訪者に対して、怯えていたその手は……なんだか妙に【熱かった】。
865 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:23:38.53 ID:ztf/P3ZF0
◆◇◆◇◆◇◆◇
モノクマ「月岡さんの【標準語病】、有栖川さんの【ぐうたら病】、和泉さんの【お嬢様病】、市川さんの【ネガティブ病】」
モノクマ「そして」
モノクマ「小宮さんの【悪の怪人病】……これが絶望病パンデミックの全貌だったんだよ!」
ルカ「悪の怪人だぁ……?」
智代子「元々はジャスティスファイブの仲間だった、12人目のジャスティス戦士『ジャスティスブラック』。戦いの途中で悪の組織の思想に感化され、敵となって再登場する」
智代子「果穂はその怪人にきっとなりきってるんだと思う……」
冬優子「ちょ、ちょっと待ちなさいよ……それじゃ、あいつは……自分を悪の怪人だと思い込んで、二人を殺したっていうわけ……?」
冬優子「そんなの、そんなの……どうしろって言うのよ……あいつらの仇は、あんな異常者だって言うの……?!」
『異常者』、そんな言葉をあの小学生を形容するために使う日が来るなんて思いもしなかった。
だが、今のあいつはどこから見ようが理解できない存在だ。
物語の中の存在だと自分自身のことを錯覚し、そのキャラクターの行動原理に従って他人をその手にかける。
あいつはもう、私たちの知る『小宮果穂』なんかじゃない。
866 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:24:44.97 ID:ztf/P3ZF0
夏葉「果穂……あなた、誰よりも輝く、誰よりも強くて優しい……そんなヒーローになるんじゃなかったの……?!」
果穂?「フフッ……私はもうジャスティスの道には戻らない……この命、この身はすべて悪にささげるのだ!」
ルカ「……もういい」
ルカ「てめェが犯人だってのはもうイヤになるほど、全員が理解した。お前に投票して、全部おしまいだ」
果穂?「……おしまい?」
果穂?「何を言っているんだ、ジャスティスディープブラック」
果穂?「さてはキミはヒーローアニメを見てこなかったんだな? どんなヒーローアニメでも守られるおやくそくをしらないのかな?」
ルカ「お約束、だと……?」
果穂?「てきが第二形たいになってから、たたかいは本番なのだーーーーーっ!!」
【果穂?「負けないぞ、ジャスティスファイブ!」】反論!
867 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:26:31.89 ID:ztf/P3ZF0
ルカ「なっ……てめェ、なんのつもりだよ!?」
果穂?「ハーーーーーーーーーーッハッハッハッ! 言った通りだよ、たたかいはここからが本番だ。キミにも付き合ってもらうぞ!」
ルカ「バカ言ってんじゃねー……てめェは自白もしてる、証拠もある。これ以上何の議論が必要だってんだ!」
果穂?「まさかキミはあのすい理で本当にあっていると思っているのか?」
ルカ「はぁ……? お前も認めたじゃねーか」
果穂?「笑止、笑止、笑止! キミのすい理ははじめっから大間ちがいなのだ!」
ルカ「んだと……!?」
果穂?「さあ、正義と悪……どちらか強いのか勝負だ!」
(こいつの言ってることは支離滅裂でもう滅茶苦茶だ……)
(こうなったら、なんとかしてねじ伏せて黙らせる……!)
-------------------------------------------------
【反論ショーダウン開始!】
発言力:♡×5
集中力:☆×4
コトノハ
‣【果穂の証言】
‣【智代子の証言】
‣【絶望病】
‣【結華のメガネ】
‣【モノクマの映画】
果穂?「なかなかやるじゃないか、ジャスティスファイブ!」
果穂?「まさか私に変身をさせるまで追いつめるとはな……」
果穂?「だが甘い! 悪はこんなことではほろばない!」
果穂?「ピンチの時ほどヒーローはつよくなる……」
果穂?「かつて私に流れていたジャスティスの波動が私をこの局面でさらにつよくする!」
果穂?「さあ、キミたちに倒せるかな?!」
◆◇◆◇◆◇◆◇
【発展!】
ルカ「さっきから何を言ってやがる……」
ルカ「お前が二人を殺した犯人なんだろ……!?」
◆◇◆◇◆◇◆◇
果穂?「ざんねんだが、私に二人はころせない」
果穂?「ドローンのそんざいを確かに私は知っていた」
果穂?「だけど、そのドローンをどうやって使うというんだ?」
果穂?「ドローンはジャスティスグリーンが回しゅうしていたはずだ」
果穂?「彼女の部屋にドローンがあるかぎり、【私につかうことはできない】!」
果穂?「ハーーーーーーーーーーッハッハッハッ!」
【矛盾する発言を正しいコトノハでコンマ50以上で論破しろ!】
1.発言する(コトノハと斬りつける先の発言を併せて指定安価)
2.集中力を使う(コトノハの数が減る)
3.アイテムを使う
【プロデュース手帳】×1
↓1
868 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/03/17(木) 23:29:01.52 ID:IZqyH9nl0
【私につかうことはできない】→【絶望病】
869 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:31:00.73 ID:ztf/P3ZF0
ルカ「その矛盾、斬らせてもらう!」論破!
【BREAK!】
ルカ「ドローンを回収したのは小金持ち。確かにドローンはアイツの部屋に収納されているはずだ」
ルカ「だけど、てめェがそれを使うのには、なんの支障もなかったと思うぞ」
果穂?「クックックッ、なかなか言うじゃないか」
果穂?「じゃあ聞こうか、いったいわたしがどうやって彼女の部屋のドローンを使うというんだい?」
ルカ「どうするもこうするもねえ、ただ部屋から盗み出せばいいだけの話だ」
雛菜「え〜〜〜〜!? 盗み出すって、そんなにコテージのセキュリティってザルなの〜〜〜〜〜!?」
モノクマ「もう、失礼しちゃうな! コテージの扉の鍵はそれぞれに配った鍵とボク以外では開け閉めできない仕様だよ! ピッキング防止加工までしてるんだから、盗みに入るなんて不可能だよ!」
あさひ「じゃあ鍵さえあれば、部屋に入れるんっすね!」
夏葉「……鍵、ですって」
夏葉「……」
夏葉「……な、ないわ……私の部屋の鍵が、どこにもないわ!」
870 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:32:11.44 ID:ztf/P3ZF0
ルカ「こいつをはじめとした入院患者は入院中ずっと病人用の服を着ていた。今この場で来ている服とは別だな」
ルカ「つまりその段階で持っていた所持品は、本人とは離れた場所での管理になる。確か病室の入り口あたりの籠に入れてたんだっけか?」
冬優子「確かに……監視の目も緩んだ位置にあったかもしれない」
ルカ「別にそこから抜き出さなくとも……もっと早い段階なら怪しまれる心配もなく抜き取ることができただろうけどな、多分こっちのタイミングで抜き取ったんだろ」
智代子「もしかしてそれって、夏葉ちゃんたちが病院に搬送されるタイミング……?!」
ルカ「こいつがその時にもう絶望病にかかっていたんだとしたら、あのすべての始まりの朝……レストランで盗みを働いていた可能性は高いな」
夏葉「果穂……あなた……」
果穂?「クククッ……やるじゃないかジャスティスディープブラック」
果穂?「ジャスティスグリーンの部屋の鍵はこれだよ」
夏葉「……そ、そん……な……」
果穂?「あのときはジャスティスファイブもみんなあせっていたようだからね、すきをつくことはかん単だったよ」
871 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:33:17.73 ID:ztf/P3ZF0
智代子「か、果穂……あの時、すごく真剣に夏葉ちゃんを介抱してたよね……? その時から……ずっと、こんなことを考えてたの……?」
果穂?「……」
果穂?「ククククッ、どうだ、私のさくりゃくも見事なものだろう!」
美琴「……この子、悪びれる様子もないね」
冬優子「マジでどうなってんのよ……!」
ルカ「まあいい、これでますますお前への疑いは揺るがぬものとなった……もうこれ以上文句はないな?」
果穂?「文句……だと?」
果穂?「ハーーーーーーーーーーッハッハッハッ! 文句はないが……勝利せん言ならさせてもらおうか!」
ルカ「こ、この期に及んで諦めねえのか……?」
智代子「もう……やめてよ……誰の目に見ても、果穂が犯人なのは明らかなんだよ……?」
智代子「これ以上、もう……滅茶苦茶なことしないでよ……!」
果穂?「そんなことで私に勝てると思うなよ、ジャスティスファイブ!」
果穂?「光ある所にかならず影がある! キミたちがいるかぎり、悪は栄えつづけるのだーーーーーーーっ!!!」
【果穂?「受けてみろ! ジャスティン・ダーク・ソード!」】反論!
872 :
これが最後の安価です
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:35:12.00 ID:ztf/P3ZF0
果穂?「たのしい……たのしいな、ジャスティスファイブ!」
果穂?「ひさしぶりだ……こんなに全力でたたかったのは!」
ルカ「お前……マジでいい加減にしろよ、どこまで往生際が悪いんだよ」
果穂?「ハハハハッ! おうじょうぎわが悪いのもこれまた悪の美学!」
果穂?「最後の最後まで、私は戦い抜く! 覚ごしろ!」
(……付き合いきれねえな)
(……終わらせてやる、ここで……この裁判のすべてを!)
-------------------------------------------------
【反論ショーダウン開始!】
発言力:♡×5
集中力:☆×4.5
コトノハ
‣【モノクマファイル3】
‣【冬優子の証言】
‣【ガムテープ】
‣【窓ガラスの破片】
‣【青い繊維】
果穂?「私はまだあきらめないさ……この命、この身のすべては悪のはんえいのため!」
果穂?「ジャスティスファイブは宿てき、ここで私がたおさなくてはならない」
果穂?「クククッ、戦いのよろこびできずがうずくな……」
果穂?「目を見開いてみるがいい……これこそが私の手にきざまれた、たたかいの古きずだ!」
果穂?「このきずのうずきを、戦いのゆえつで満たしてくれよ……ジャスティスファイブ!」
◆◇◆◇◆◇◆◇
【発展!】
ルカ「お前……その手のひらの切り傷……!?」
ルカ「どう考えても……窓ガラスの破片をガムテープから引っぺがすときのやつだろ……!?」
ルカ「お前……何がしたいんだよ……!」
◆◇◆◇◆◇◆◇
果穂?「クククッ、何をかんちがいしているのか知らないが……」
果穂?「このきずは事件とは無関係だ」
果穂?「事件が起きる【ずっとずっと前からあったきず】でね」
果穂?「たまたま手のひらにできていただけの切りきずなんだよ」
果穂?「これだけでクロだなんて、みとめられない!」
果穂?「私の勝ちだ、ジャスティスファイブ!」
【矛盾する発言を正しいコトノハでコンマ60以上で論破しろ!】
1.発言する(コトノハと斬りつける先の発言を併せて指定安価)
2.集中力を使う(コトノハの数が減る)
3.アイテムを使う
【プロデュース手帳】×1
↓1
873 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/03/17(木) 23:36:23.29 ID:cV9ugKFp0
ずっとずっと前からあったきず→冬優子の証言
874 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:38:43.37 ID:ztf/P3ZF0
【コンマ判定 29】
発言力:♡×5→♡×4
果穂?「ハハハハッ! そうだ、その調子だ!」
果穂?「もっと私を楽しませてくれよ! 地ごくの底まで、たたかいつづけようじゃないか!」
(クソッ……切れ味が足りねえか……!)
(一息に終わらせてやる……!)
-------------------------------------------------
【反論ショーダウン開始!】
発言力:♡×4
集中力:☆×4.5
コトノハ
‣【モノクマファイル3】
‣【冬優子の証言】
‣【ガムテープ】
‣【窓ガラスの破片】
‣【青い繊維】
果穂?「私はまだあきらめないさ……この命、この身のすべては悪のはんえいのため!」
果穂?「ジャスティスファイブは宿てき、ここで私がたおさなくてはならない」
果穂?「クククッ、戦いのよろこびできずがうずくな……」
果穂?「目を見開いてみるがいい……これこそが私の手にきざまれた、たたかいの古きずだ!」
果穂?「このきずのうずきを、戦いのゆえつで満たしてくれよ……ジャスティスファイブ!」
◆◇◆◇◆◇◆◇
【発展!】
ルカ「お前……その手のひらの切り傷……!?」
ルカ「どう考えても……窓ガラスの破片をガムテープから引っぺがすときのやつだろ……!?」
ルカ「お前……何がしたいんだよ……!」
◆◇◆◇◆◇◆◇
果穂?「クククッ、何をかんちがいしているのか知らないが……」
果穂?「このきずは事件とは無関係だ」
果穂?「事件が起きる【ずっとずっと前からあったきず】でね」
果穂?「たまたま手のひらにできていただけの切りきずなんだよ」
果穂?「これだけでクロだなんて、みとめられない!」
果穂?「私の勝ちだ、ジャスティスファイブ!」
【矛盾する発言を正しいコトノハでコンマ60以上で論破しろ!】
1.発言する(コトノハと斬りつける先の発言を併せて指定安価)
2.集中力を使う(コトノハの数が減る)
3.アイテムを使う
【プロデュース手帳】×1
↓1
875 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/03/17(木) 23:39:54.07 ID:IZqyH9nl0
3
876 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/03/17(木) 23:40:39.20 ID:cV9ugKFp0
ずっとずっと前からあったきず→冬優子の証言
877 :
お疲れさまでした!
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:42:43.46 ID:ztf/P3ZF0
【プロデュース手帳を使用しました】
【彼がアイドルたちと紡いできた日々が蘇る……】
【過去の記憶は裏切らない、確かな思い出の数々が行くべき道を指し示してくれた……!】
-------------------------------------------------
ルカ「いい加減終わりにするぞ!」論破!
【BREAK!】
ルカ「もう……諦めてくれ、もう戦いにもなっちゃいねえんだ……」
ルカ「お前のその手のひらの傷が事件よりももっと前からついていた、そんな主張は通らねえんだよ……」
果穂?「……なんだって?」
ルカ「お前は昨夜の定期通信の方にはいなかったから、私たちがこのことを知ってるとは思わなかったか? モーテル組は昨日、昼間は海に行って水遊びをしたらしいじゃねーか」
冬優子「……! そうね、あさひにせがまれて……結華と果穂ちゃんも一緒に行ったわ」
ルカ「そんな大層な切り傷を拵えて海になんか行ったらどうなるか、ガキの頭でも理解できんだろ」
恋鐘「傷口に文字通り塩を塗り込むようなもんばい……想像を絶する痛みを味わうことになるとよ!」
美琴「我慢したところで周りの人が気付きそうだもんね、そんな傷」
ルカ「お前がその水遊びを平気な顔してやりきったという事実。そして今お前の手のひらにそんな切り傷があるという証拠。組み合わせて考えれば結論はただ一つ」
ルカ「お前が事件の偽装工作で作った切り傷しかあり得ねえんだよ!」
878 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:43:32.46 ID:ztf/P3ZF0
もはや矛盾ともいえないレベルの話だ。
この場にいる誰もが分かり切っているようなことを、わざわざ嘘をついてまで誤魔化そうとする。
もはや戦局は誰の目に見ても明らかなはずだ。
……それでも、こいつは譲ろうとはしない。
果穂?「今のは、今のは効いたぞ……ジャスティスディープブラック!」
ルカ「いい加減諦めろ……もはやお前の主張は成立しちゃいない……結果はもう見えてるだろ……!」
果穂?「言ったはずだよ……光りある所に必ず影あり、キミたちがジャスティスをさけび続ける限り、私もその前に立ちふさがりつづけるのだ!」
美琴「……ルカ」
ルカ「……ああ、分かってる。こいつはもう、ここまで来たら戻れなくなっちまってる。もう自分でもどうしようもないんだろ」
ルカ「だったら、無理やりにでも終わらせてやるさ。事件の全部を今ここでこいつにぶつけて……黙らせてやる」
ルカ「覚悟しな、悪の怪人……カミサマがお前に裁きをくらわしてやるよ」
879 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:45:20.46 ID:ztf/P3ZF0
-------------------------------------------------
【クライマックス推理開始!】
【act.1】
ルカ「この事件はモノクマの仕掛けた動機、絶望病が全ての元凶だ。この病気は極度の高熱を起こし、それと同時に感染者の性格を魔反対に裏返したような言動を引き起こさせるという特徴がある。感染したのは長崎女、小金持ち、被害者の和泉愛依、能天気女……そして今回の犯人だ。口を開けば方言だった長崎女は標準語しか話さなくなり、ストイックだった小金持ちは怠惰な振る舞いになった。ギャルの裏返しがそうなのかは知らねえが……被害者の和泉愛依はお嬢様みたいになっちまった。能天気女はなんかネガティブ通り越して陰鬱だったな。だが、性格の転換で一番デカかったのが、今回の犯人だ。常日頃ヒーローに憧れていたあいつがなっちまったのはその真逆、悪の怪人だったんだよ」
ルカ「しかもその発症タイミングは全員同時。ただ、私たちは今回の犯人の症状には気づかなかった。というのもあいつ自身が潜伏する方法をとったからだ。さっきから口にしてるキャラクター像からしても、そういう役回りの怪人なんだろうな。私はまるで知らねえが……随分と厄介なことをしてくれたものだ。他の連中と一緒に介抱しているような素振りを見せつつ、あいつは小金持ちからコテージの鍵を抜き取っていた」
ルカ「というのもこれはコテージに回収していたドローンを利用するため。ドローンの存在は中学生に悪用されるのを避けるために情報を伏せた上、小金持ちが回収していたんだ。その秘匿性も相まって私たちの誤解を導いたんだな」
ルカ「モノクマから絶望病が感染症であることを聞いた私たちは隔離を行うことを決意。第3の島は病院とモーテルがあってどっちも宿泊可能らしいからな。泊まり込みで看病することになったんだ。でもこのチーム分けがまずかった。私たちの中で最も年齢の低い犯人に自由に行動させるチャンスを与えちまったんだ」
880 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:46:19.67 ID:ztf/P3ZF0
【act.2】
ルカ「事件が起きたのは騒動が始まって3日目の深夜のこと。入院した連中が眠るのを見届けて、私たちもほとんどが眠っていた時のことだった。おそらく、犯人は日中にある程度仕込みは済ませておいたんだろうな。中学生がよくわからない看板とやらに騙されて深夜に部屋を留守にしていたり、三峰結華が来訪をそのまま受け入れ駐車場まで素直にでていったり、そういう工作ができたのも今回の犯人だからこそだろうな」
ルカ「まず三峰結華を適当な理由で連れ出し、病院前の駐車場まで行って意識を奪う。ドラッグストアの昏睡薬でも使えばそう難しい話じゃないはずだ。意識を失った体をライブハウスから持ってきたブルーシートに横たえた犯人は、その四隅のわっかをドローンのフックにかける。ドローン一台だととても人の身体なんて持ち上げられやしないが、四台も使えば話は別。重さは分散してゆっくりとでも浮上する」
ルカ「だが、犯人の誤算はこの時のドローンを甘党女に目撃されてしまったこと。まさかこんな深夜に起きている奴なんていないと思ってたんだろうな。起きていたとしてもそいつは看病中、病室の方にいたんじゃその明かりにも気づかないっていうのもある」
ルカ「そして、ある程度の高さまで行ったらビニールシートから滑り落とすようにして、頭から落下させる。この落ち方にしたのにも理由がある。それは、この連続殺人をモノクマの映画を利用した見立て殺人に演出するためだ。見立て殺人にすることによって、殺害の順序・起きたタイミングを勝手に目撃者が誤解することを図るトリックだったんだよ」
ルカ「頭から落下した三峰結華は顔の正面から強く打ち付けてそのまま死亡。全身のあちこちもその衝撃で打撲痕のような跡が残った。ちなみに、犯人はこの落下の時にはメガネは外していたみたいだな。落下の途中で外れたり、部屋にレンズの破片が飛び散ることを嫌ったんだろうな」
881 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:47:17.07 ID:ztf/P3ZF0
【act.3】
ルカ「次のターゲットを狙うために、玄関からは入らず、病室に回り込んで被害者の和泉愛依の部屋を訪れた。絶望病の患者は冷静な判断能力を失っていた、訪問があればすんなり受け入れたと思うぜ。そうじゃなくとも犯人は可愛い可愛い最年少なんだからな」
ルカ「部屋に上がり込んだ犯人は隙を見て和泉愛依の首元を裂いて殺害。恐ろしい連続殺人がここに始まった。犯人は殺害を時間をかけて別々に行ったわけだが、それをリアルタイムで起きたように他の人間に思わせるという方法をとった。その瞬間のアリバイがあれば容疑者から簡単に外れることができるからな」
ルカ「そのための偽装工作、最初の一手はガラス窓だ。ガムテープを一面に貼り付けた上で窓を割った。ガムテープにくっついていた窓からは破片が散らばることもなく音も立たない。現に病院にいたはずの私たちは誰も気付かなかったわけだしな」
ルカ「だが、破片が飛び散らないのはメリットでもありデメリットだ。ガムテープにくっついた破片なんてのは不自然極まりない、他のやつがその意図に気づいたらトリックの全てもおじゃんだ。だから犯人は一つ一つ、丁寧にテープから外していった。『今この瞬間に部屋の内側から外側へ窓を割って逃げだした』犯人像を崩すわけにはいかないからな。でも、ガラスの破片を全部外すなんて真似、いくら慎重にやったって必ずどこかで手を切っちまう。実際、今回の犯人の手のひらにもその傷跡はしっかり残っていた。まさに捨て身の作戦だったみたいだな」
ルカ「続いて、音のトリックの仕掛けを作る。花瓶が時間差で落下してアリバイを確保するためだな。犯人が使ったのは病室にあった冷凍庫、その氷嚢だ。花瓶の壁に沿わせるように氷嚢を内部に敷き詰めて、あとは机の端でバランスを安定させる。時間が経てば中の氷が溶けて液体になり、バランスを崩して落下する寸法だ。まあ小学校の理科の知識でできちまうトリックだ、あいつが犯人でも問題なかったろうぜ」
ルカ「そこまで仕込みが終われば準備はOK。割っておいた窓から逃げ出して、何食わぬ顔してモーテルへと戻っていった」
882 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:47:58.11 ID:ztf/P3ZF0
【act.4】
ルカ「犯人が最後に行うのはアリバイの確保。要は自分のアリバイを証明する証人を立てる作業だな。ここでも犯人は偽りの犯人像を作り出した。それは、『モーテルを片っ端から訪問して襲撃をかけている』犯人だ」
ルカ「モーテルには冬優子しかいないことが犯人にはわかっていた。だから、冬優子の部屋のドアノブだけを執拗に捻った。当然、こんな深夜にそんな真似をされれば警戒しないはずもない。冬優子に揺さぶりをかけたら準備OK、後は自分の部屋に戻って、さも自分も同じように狙われたかのような発言をすればいい」
ルカ「最年少である犯人はその瞬間守らねばならない弱者という立ち位置に着くことが可能で、実際冬優子も彼女と行動を共にすることになった。まさか自分がアリバイ確保のための小道具扱いされているとも知らずにな」
ルカ「偽りの犯人像に踊らされた冬優子は犯人を引き連れてライブハウスへ。消えてしまった中学生と三峰結華の居場所を探すため協力してほしい、という旨の緊急通信を病院へと送った。たまたまロビーで眠っていた私がそれに気づき、応答。ちょうどそのタイミングだった」
ルカ「犯人が仕掛けていた花瓶のトリックが作動。病院中に花瓶が割れる音が鳴り響き、急いで現場に急行。そこで最初に目につくのが、割れた窓ガラス。そこからは完全に犯人の思い通りさ、私は今この瞬間に和泉愛依を殺して窓を割って脱出した犯人をイメージして……無意味にアリバイを確保している犯人を疑いもしなくなっちまった」
ルカ「……なあ、こんな姑息な真似をお前がしたって言うのかよ……?」
ルカ「小宮果穂……もう、終わりにしようぜ」
【COMPLETE!】
883 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:49:27.32 ID:ztf/P3ZF0
果穂?「……そ、そんな……わ、私……私は……」
必死に擁護していたはずの小金持ちと甘党女も、小学生の変貌ぶりにもはや言葉を失って黙りこくっている。
そして、小学生本人は目の前に突き付けられた『敗北』の二文字を未だ受け入れられず、
口をパクパクと動かしたかと思うと、頭を手で押さえて、苦悶の表情を浮かべた。
果穂?「私は負けない……ジャスティスファイブに負けない……ジャスティスファイブなんかに……ジャスティスファイブなんかに……」
フィクションの世界に自我を落としてしまった彼女は現実というものがもはや分かっていない。
瞳孔を広げ、呼吸を浅くするその様子は尋常ではない。
果穂?「あ、あれ……? なんで、あたし……ジャスティスファイブのことを、わるく言うの……? で、でも……あたしはジャスティスブラックだから……」
そして、それはどんどんエスカレートしていき、いよいよ彼女は言葉を失った。
884 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:50:29.36 ID:ztf/P3ZF0
果穂?「え、あ、あ……」
ルカ「お、おい……だ、大丈夫かよ」
果穂?「……あ、ああ、あああ」
夏葉「か、果穂……あなた、ダメ、ダメよ……いかないで……いかないでちょうだい……」
智代子「果穂……? なんで、果穂、答えて……わたしたちの声にこたえてよ、果穂!」
小学生というその器は、あまりにも容量が少なく、そして脆い。
自分の中に混在する現実と非現実とが入り混じり、ぶつかり合い、そしてその体を蝕んだ。
____その果てにあったのは、器の瓦解だった。
885 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:51:44.88 ID:ztf/P3ZF0
ルカ「……こんなの、ありかよ」
もはや小宮果穂の目は虚ろで、何も見ていなかった。
両腕を力なくだらりと下げ、背筋は折れ曲がり、口はだらしなく開けたまま。
もはや、そこに彼女はいなかった。
夏葉「……果穂、よく頑張ったわね……果穂……果穂……」
その抜け殻を小金持ちは抱きしめて、すすり泣く。
涙が頬を伝って小学生の顔に落ちたが、それでもなお反応の一切を示さない。
こんな幕引きがあっていいだろうか。
私たちは、自分たちが生き残るために犠牲となる人間を選ぶ学級裁判に臨んだ。
どんな結論が出ようとも、私たちはそこから逃げ出さず向き合うその覚悟を決めた。
決めていた、はずだった。
蓋を開けてみると、そこにあったのは最もいとおしく、最も希望の象徴に近しい存在の裏切り。そしてそれで事は終わらず、その希望の象徴はもはや絶望に堕ちるでもなく、自壊してしまった。
私たちはきっと、それでもこの票を崩壊したそれに投じて、生き永らえる。
それは分かっている、そうしなくてはならない。
そうでなければ、裁判に挑んだ意味も、ここまでに二人を犠牲にしてきた意味も失われてしまうから。
頭ではそう理解しているのに、このモヤモヤと、その中に沈む真っ黒な何かが頭から離れず、私たちは硬直してしまった。
果穂?「……あ、あ」
私たちがここまで選んできた道は、本当にあっていたのだろうか。
思わずそんなことが頭によぎってしまった。
886 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:52:23.36 ID:ztf/P3ZF0
ルカ「……モノクマ、投票タイムだ」
美琴「ルカ……」
ルカ「……これ以上、続けてたらこっちがおかしくなっちまう」
夏葉「ルカ……あなたね……!」
ルカ「……後でいくらでも殴ってくれたって良い。だけど、この裁判を私たちの手でちゃんと終わらせないと……ここまで紡いできたものが全部パァだ」
ルカ「後悔は、その後にしようぜ」
智代子「……」
モノクマ「え〜、なんだかいつにもましてお葬式ムードなので大変恐縮ではございますが、これもお約束なので」
モノクマ「投票ターイム! オマエラはお手元のスイッチでクロだと思う人物に投票してくださーい!」
モノクマ「議論の結果導き出されたクロは正解なのか、不正解なのかー!」
モノクマ「さあ、どっちなんでしょうかね?」
887 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:53:31.07 ID:ztf/P3ZF0
-------------------------------------------------
【VOTE】
〔果穂〕〔果穂〕〔果穂〕
CONGRATULATIONS!!!!
パッパラー!!!
-------------------------------------------------
888 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:54:06.33 ID:ztf/P3ZF0
【学級裁判 閉廷!】
889 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/17(木) 23:56:55.37 ID:ztf/P3ZF0
長かった三章の学級裁判もこれにておしまいです。
お付き合いいただきありがとうございました!
次回裁判終了パートは近日公開になります。
少しまとまった時間がいつ取れるかわからない日が続くので具体的な日時は言えませんが、数日のうちには書き込みに参ります。
安価は無いので、少しだけお待ちいただければ。
それではお疲れさまでした。
890 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/03/18(金) 00:00:41.44 ID:cTbRn/SaO
まさに弾劾絶叫って感じだった...
お疲れ様でした!
891 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/03/18(金) 00:01:23.20 ID:C1iOisx30
>>1
乙
果穂は被害者か生き残るとばかり思ってただけに
クロで退場するのは全く想像してなかったなぁ
892 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/03/18(金) 00:41:59.89 ID:zncExueK0
ドローンだったりチケットだったり条件がかなり絞られてましたね。原作通り後出しで病人が出るのはわかってたからメタ的にはかなりわかりやすかったですね。ドローンを知ってるキャラから病人組を抜いてさらに映画一回目組を抜く。
893 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/03/18(金) 01:25:46.91 ID:ScClV/cU0
ジャスティスVモノクマに必殺技喰らって爆死かな…
894 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/03/19(土) 00:20:07.00 ID:SceNOL8QO
放クラ、圧倒的クロ率…!
オール被害者のアルスト見習って?
895 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/03/19(土) 20:55:58.48 ID:Eq9zpq7j0
sageてくれ、頼むから
メール欄の隣にチェック押すだけ
896 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:07:51.81 ID:ELRlNcof0
-------------------------------------------------
CHAPTER 03
Hang the IDOL!〜弾劾絶叫チュパカブラ〜
裁判終了
-------------------------------------------------
897 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:10:12.42 ID:ELRlNcof0
モノクマ「なんと、なんと! 3回連続大正解! 和泉さんと三峰さんをぶっ殺した憎むべき連続殺人犯の正体は、みんなに愛されてやまない小宮果穂さんなのでした〜!」
果穂?「あ、ああ……」
これまでのいずれとも違う幕引きに、私たちはたじろいでいた。二人の命をエゴイズムを元に奪い去った、許されざる犯人。
その正体もそうだが、ことが判明してからのこいつの豹変ぶり、そしてその果てに待ち受けていた自我の崩壊。
これら多くの事象が一度に私たちを襲ったことで情報としてそのまま飲み込むことができず、
モノクマの高らかな宣言も何も、その耳には届いては来なかった。
夏葉「……ッ!」
全員がその混迷に俯く中、小金持ちは動き出した。自らの乗っていた証言台を降り、迷うことなく私の席へ。
そしてその勢いのままに、胸ぐらを掴み上げてきた。
夏葉「ルカ! あなたはこれで満足なの?! 真実を解き明かしさえすれば……それで、それで満足だというの?!」
ルカ「……」
その言葉を、否定することはできなかった。
小宮果穂という存在をまるで家族のように感じていたこいつからすれば、この幕引きは悲痛以外の何者でもなかろうが、
私からすれば自分自身の生存のため、真実のため、これ以外の終わりかたはなかった。
そこに満足という言葉を使うのであれば、私はそれを甘んじて受け入れるほかないのである。
898 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:10:59.40 ID:ELRlNcof0
夏葉「あの子はまだ幼くて……必死に頑張っていたのよ!? それなのに、あなたは自分が生き残るという大義名分を振りかざして追い詰めて……」
こいつが激情に流されて、おかしな言葉を口走っていることを咎めることはできた。
こいつが口にしているのは、殺人犯を庇い立てるような言葉。
だが、その心中は理解できた。
犯人として指摘していたはずの私でも思わずその胸を痛めてしまうほど、
自分よりも幼く、儚い存在が壊れてしまった瞬間というのは、直視に耐え難いものがあった。
その理解が、私に言葉を詰まらせた。
夏葉「あの子を……果穂を返してちょうだい!」
しかし、理解とは別に働くものがある。言葉というのは拡散性だ。
正面に吐き出したはずのものでも、空気に立てた波紋は次第に広がりを見せ、周囲の人間にも届く。
小金持ちが口走った言葉の数々は、その周囲の人間にはよほどのものとして映ったらしい。
冬優子「……ざけんじゃないわよ」
小金持ちの肩に、冬優子の右手が乗っていた。
それに気づいて小金持ちが顔を向けた瞬間。
パシンッ
その場に乾いた音が響いた。
899 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:11:54.11 ID:ELRlNcof0
夏葉「……え?」
冬優子「幼さが免罪符になるとでも思ってるの? あんたにとって可愛くてしょうがないガキかもしれないけど……そのガキが、ふゆにとってのかけがえのない存在を奪い去ったことを棚にあげてんじゃないわよ」
夏葉「……ふゆ、こ……」
冬優子「一番困ってんのはふゆなのよ……あれだけ犯人を処刑台に上げてやるって啖呵を切ったのに……終わってみれば小学生のガキで、しかもその自我が崩壊してしまった……?」
冬優子「こんなの、愛依と結華にどう伝えろっていうのよ……!」
ビンタした方も、された方もその額に涙が伝っていた。
ヒリヒリと赤く腫れる頬よりも、反動でじんわりと響く掌よりも、その胸の痛みが涙腺に届いていたようである。
失ったもの、これから失うもの。
到底秤にかけられるものでもなく、並べて評価するようなものでもない。
黒く冷たく澱んだものが競り上がるのを抑止する術もない。
強いて許される発散が、その一滴の雫なのである。
900 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:13:19.69 ID:ELRlNcof0
智代子「……本当に、果穂がやったんだよね」
モノクマ「はい! 公平なジャッジの元に、オマエラは今回の学級裁判も無事正答にたどりつきました!」
モノクマ「お二人の命を奪ったのは小宮果穂さんで間違いないですよ〜!」
美琴「……やるせないね」
モノクマ「う〜ん、なんだかみんなテンション低いなぁ。せっかく生を勝ち取ったのに、せっかくならもっと喜ぼうよ!」
恋鐘「とても喜べる状況なんかじゃなかよ、果穂があげんこつなってもうて……」
モノクマ「月岡さんなんか、お友達の仇を討てるってなってテンションも上がるかと思ったら、紫モードですか、思い出ゲージも溜まりませんか」
果穂?「あ、あ……」
モノクマ「そっか、オマエラはクロだった小宮さんがあんな風に壊れちゃったからお通夜ムードなんだよね」
モノクマ「わかるなぁ、おもちゃが壊れちゃった時とかって1日引きずるよね」
夏葉「あ、あなた今……果穂のことを玩具呼ばわりしたの!?」
智代子「お、抑えて夏葉ちゃん……だ、だめだよ……今歯向かったら……!」
羽交い絞めにして無理やりに激高する小金持ちを抑え込んだ。
愛すべき存在を軽んじられ、踏みにじられていることに相当頭に来ているらしい。
まるで獣かのように荒々しい鼻息がここまで聞こえてくる。
そんな様子を見ていたモノクマは、まるで妙案が思いついたかのように口にした。
901 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:14:18.23 ID:ELRlNcof0
モノクマ「わっかりました! それでは小宮さんを元に戻してみせましょう!」
ルカ「……は?」
それは、事件が起きた時のことを彷彿とさせた。
あれほどまでに全員を苦しめた凶悪な感染症である絶望病を、ほんの数分足らずのうちに完全に回復させてしまった時の事。
モノクマの持つ、超常的な力が想起された。
パチンッ
そして、私たちの予測は相違なかったらしい。モノクマが指をその場で鳴らした瞬間。
バターン!
小学生はその場に糸の切れたマリオネットのように膝から砕け落ちた。
902 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:15:34.81 ID:ELRlNcof0
夏葉「か、果穂……!? 果穂、大丈夫!? 返事を、返事をしてちょうだい!」
慌てて抱きかかえる小金持ち、その腕の中で小宮果穂は……瞼を開けた。
果穂「……なつ、は……さん……? あれ……ここ……は……」
夏葉「か、果穂……あなた、正気に戻ったの……!?」
美琴「こ、これって……」
ルカ「どこまでもモノクマの思うがままってか……!?」
その薄く赤らんだ瞳には、かつての姿と同様に光の粒がきらめいていた。
絶望病に感染して、自分自身を悪の怪人だと思い込んでいた時に失われたハイライトが蘇った……在りし日の小宮果穂の姿が、そこにあった。
903 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:16:04.13 ID:ELRlNcof0
夏葉「果穂、果穂……!」
思わず両手でぎゅっと抱きしめた。
年の割に成熟した身体はその両腕には収まらなかったが、お返しの抱擁を試みる腕は、確かに幼さを携えた細さだ。
この未成熟な器に、あの澱みのすべてが流し込まれていたのだと思うと、決壊が起きたことも当然のように思える。
譫言のように、許しを請う言葉を繰り返した。
夏葉「ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……」
果穂「……夏葉さん」
小宮果穂はそっと頭を撫でるようにして、微笑んだ。
そのことが余計にトリガーとなったのか、胸元で有栖川夏葉は嗚咽を漏らし始めた。
904 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:18:21.06 ID:ELRlNcof0
果穂「……みなさん、聞いてください」
だが、一方の小宮果穂は涙を流してはいなかった。
突然に取り戻した自我、そして直面する現実。
そんな状況に身を置いてなお、怯むようなそぶりを見せなかった。
真剣なまなざしで私たちのことを見つめ、口元は固く結んでいる。
果穂「わかってます、あたし……これからしんじゃうんですよね」
ルカ「……!」
果穂「だから、しぬ前に、あたしの言葉でしゃべらせてください!」
裁判場内に響き渡るほどの声量と共に、深く頭を下げた。
私たちはそれに、言葉を返さなかった。
彼女の小さな身体で起こした決意には、言葉ではなく態度で返すべきだろうと思ったから。
全員、ただ静かにその頭頂部が上がって、改めてその顔を見せるのを待った。
礼を終えて再び面を上げる、その表情はさっきと変わっていない。力強い決意に満ちている。
905 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:19:12.18 ID:ELRlNcof0
果穂「絶望病にかかっちゃって、自分でも自分が何だかわかんなくなっちゃって……あたしの頭の中で、ずっと他の人をころせってだれかがうるさくて……」
果穂「それがいやでいやで、きがついたら愛依さんと結華さんをころしちゃってて……そのことは、なんとなくおぼえてます」
果穂「……いま、こうしてるってことは多分……あたしをクロだってわかってもらえたんですよね」
果穂「ほんとうに、ごめんなさい。それと、ありがとうございます。あたしをクロだってちゃんと投ひょうしてくれて……」
智代子「……ごめんね、果穂。守ってあげられなかったよ」
果穂「ちがいます! ちょこ先輩がまもらないといけないのは、あたしじゃなくて……みなさんです! あたしは、みなさんをうら切ったんです……」
(……裏切り、か)
ルカ「なあ、今の口ぶりからして……事件の記憶がすべてあるってわけじゃないんだよな」
果穂「えっと……二人をころしたのは、おぼえて……いや、わすれられるはずもなくて……でも、どうやってころしたとかは……あんまり……」
どこかたどたどしい口調は、言葉を探り探りで話している印象だ。
自分が二人を殺した犯人だということを自覚しているがゆえ、事を荒立てないために神経を使っている。
906 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:20:06.16 ID:ELRlNcof0
果穂「でも……おぼえてなくても、あたしがやったことには変わりないんです。きのうの夜のあたしが……ぜんぶぜんぶ、悪いんです……!」
強いな、と率直に思った。
無自覚な自分が犯した罪を認め、それに類する罰を受けることも拒まない。
並大抵の精神力では出来ることじゃない。
そうだ、こいつはずっとそうだった。
この島に来てからも、来る前からも。
年齢も出自もバラバラのグループを、最年少ながらにひとまとめにしていただけのリーダーの器がある。
私たちの中で、一番強い存在だったと言っても間違いではなかったかもしれない。
年相応の無邪気さを持ちながら、現実や責任から逃げずに立ち向かえるだけの素養が確かにあったのだ。
そんなこいつを、絶望病という病気がすべて変えてしまった。
器に過ぎた罪を注ぐだけでは飽き足らず、
ヒーローという心のよりどころ、アイデンティティまで捻じ曲げられ、器そのものを破壊されてしまっていたのである。
こいつはきっと、それを朦朧とする中で実感していたが故、一度は自我が崩壊してしまったのだ。
907 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:20:48.63 ID:ELRlNcof0
果穂「……ごめんなさい! あたし、あたし……どれだけあやまっても足りない、罪をおかしてしまいました」
果穂「ゆるしてもらえなくていい……それでも、ごめんなさいだけは言わせてください!」
果穂「ほんとうに、ごめんなさい……!!」
小宮果穂は何度も何度も頭を下げた。
『ごめんなさい』という言葉、これまでの人生でも何度も何度も聞いてきた。
学生時代の友人のいざこざ、家族にテストの点数を見せた時の誠意、仕事で予定をぽしゃった時のマネージャーの弁解……どれもこれも、そのニュアンスは違った。
そして、今この場で聞いている『ごめんなさい』はそのいずれよりも幼くて、混じりっ気が無くて、
_______何よりも重たい、『ごめんなさい』だ。
908 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:21:52.45 ID:ELRlNcof0
自分の中のすべてをぶちまけて謝罪に徹する小宮果穂に、静かに冬優子は歩み寄った。
裁判が始まる前、犯人を自ら処刑台に送ると息巻いていた彼女は今、感情を露わにはしていない。
ただゆっくりと近づいて、手を触れることもなく眼前に立つ。
冬優子「……果穂ちゃん、ごめんね。どれだけ謝られてもふゆは許してあげられそうにない」
果穂「……ふゆさん」
その言葉は極めて冷淡なものだった。
小宮果穂の覚悟と感情を詰め込んだありったけの『ごめんなさい』を冬優子は飲み込みはしなかったのである。
冬優子「愛依と過ごした時間、結華にかけた言葉……全部全部、ふゆにとっての宝物だったから。どんな理由があっても、それを奪った果穂ちゃんは許せない、許しちゃいけないって思うの」
果穂「はい……」
そしてそれを、小宮果穂は驚きもしなかった。
拒絶されることも覚悟したうえでの『ごめんなさい』、それに返される反応としては当然の物だったんだろう。
冬優子「……でもね」
果穂「え……」
909 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:22:40.03 ID:ELRlNcof0
冬優子「ふゆ、果穂ちゃんと一緒に過ごした時間も……宝物だと思ってるんだ」
910 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:24:10.14 ID:ELRlNcof0
大切な存在を奪った相手を許すことなんて、通常あるはずもなく、綺麗ごとを語るのは彼女の性にも合わない。
罪にはそれ相応の罰を下す必要があるし、遺されし者の感情を、奪った人間は知るべきだ。
さっきまでの言葉は、和泉愛依と三峰結華の理解者であった『黛冬優子』から出た、そうあるべき『結論』なのである。
しかし、『結論』はいつだって一つとは限らない。
人一人にだって、立場や思いが複数あって、そのそれぞれに至るべき『結論』が存在している。
今冬優子が口にしようとしているのは、事務所の仲間の『黛冬優子』としての『結論』だ。
事務所で同じ時間を過ごしてきた人間として、小宮果穂をかわいがり世話を焼いてきた人間として、彼女の覚悟には相応の救済があるべきだと彼女は至った。
冬優子「果穂ちゃんと一緒に遊んだり、笑ったり……そんな時間があったこと、ふゆは絶対に忘れない。果穂ちゃんだって、ふゆにとってかけがえのない存在の一つだったから」
果穂「ふゆさん……」
冬優子「……ふゆも、守ってあげられなくて悪かったわ。わざわざモーテルで面倒をみる役目も買って出たって言うのに……とんでもない罪を背負わせるようなことになっちゃって」
果穂「そんなことないです……ふゆさん……あたし、今すっごくうれしいんです……」
果穂「ふゆさんがゆるさないでくれたこと……そして、あたしのことを思ってくれてたって知れたこと……すっごくすっごく……しあわせです!」
冬優子「……バカな子ね」
冬優子の目元の何かが、照明の明かりを僅かに反射したように見えた。
照れくささとはまた違った何かを感じた彼女は思わず背を向けた。
一人の人間としての黛冬優子の『結論』は厳しくも優しい、小宮果穂のための『結論』だった。
911 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:25:21.22 ID:ELRlNcof0
そんな彼女の結論を間近で見て、もう一人の理解者が一歩歩み出た。
恋鐘「ねえ、果穂。うちも最後に聞きたいことがあるけん、答えてくれんね?」
果穂「恋鐘さん……はい、なんですか?」
月岡恋鐘も事件発生直後はあれほど錯乱していたというのに、この局面においてその表情は不思議なほどに穏やかだった。
同じく大事な存在を奪われた黛冬優子の到達した『結論』、同胞としてその別れにかけるべき言葉の『結論』は、自分にも当てはまると感じた。
この胸に湧き上がる憎悪と憤怒、それとは別に小宮果穂をこれから失ってしまうであろうことを嘆く気持ち。
今ここにおいて口にすべきなのは、一つの質問だと思った。
恋鐘「モーテルで過ごした二、三日。結華は……何回笑っとった?」
果穂「……!」
912 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:26:51.74 ID:ELRlNcof0
月岡恋鐘に、ここ何日かの記憶はほとんどない。
三峰結華が一度塞ぎ込んでからまともに会話をすることもなく病気に倒れ、目が覚めた時には全てが終わってしまっていた。
だからせめて、最後にその失われた時間の補填を求めようとした。
小宮果穂と三峰結華、二人の過ごした時間の一端だけでも知りたいと思った。
果穂「結華さんは……ずっと、あたしには笑顔を見せてくれました。おはようを言う時も、ご飯を食べる時も、おやすみなさいをする時も……ずっとずっと、笑顔でした……!」
恋鐘「……そいが聞けてよかったばい」
恋鐘「果穂、結華はきっと恨んどらんばい。果穂も必死やったけんね、でも……天国で、ちゃんと自分の口で『ごめんなさい』は伝えなきゃいかんよ」
果穂「……はい! もちろんです!」
三峰結華という人間はよく知っている。
他人のことを慮って、その場のために動くことのできる人間だ。
きっと小宮果穂に笑顔を見せ続けていたなら、そういうことなのだろう。
彼女自身が、小宮果穂に見せるべきものはそれだと結論づけた。不安や恐怖を自分が取り除かねばならないと自らに義務を課したのだ。
それなら、彼女の死後もその義務は引き継がらなければならないはずだ。
たとえ許すことはできなくとも、救済はまた別に設けてやりたいと思った。
913 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:28:00.55 ID:ELRlNcof0
冬優子「あさひ……あんたもこっちに来なさい」
あさひ「……!」
小宮果穂がクロだと確定して以来、沈み切っていたのは放クラの二人だけではない。
芹沢あさひと小宮果穂。私は事務所は違うのでその詳しい関係性までは知らないが、この島での暮らしを見ているだけでもよくわかる部分があった。
冬優子「果穂ちゃんと話ができるのも今の内よ。いつまでもしょぼくれてるんじゃないの、後で悔やんだって取り返しが効かないんだから。思ってること、感じてること……この際全部ぶちまけなさい」
あさひ「……冬優子ちゃん」
果穂「あさひさん! おねがいです、あたしとお話してください……!」
あさひ「果穂、ちゃん……」
年も近しく、好奇心が旺盛なのもよく似ていた。
お互い活発な性格もあって、ズイズイとお互いを引っ張っては一緒に出かけ、それぞれの『楽しい』を共有しあった仲だった。
友達を超えて、親友の仲となり、そして姉妹にも近しい信頼関係がその間にはできていた。
握りしめた絆のもう一端、それを握る相手は今から死にゆく運命。
覆せない別離を前に、言葉は勝手に口から出た。
914 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:29:04.86 ID:ELRlNcof0
あさひ「果穂ちゃん、わたし……つらい、悲しいよ」
果穂「あさひさん……?」
あさひ「さみしいよ、嫌だよ……果穂ちゃんとお別れなんかしたくない」
一切のフィルターのかかっていない、言い換えも何もないストレートな感情。
もはやそれは言葉というよりも叫びに近しいものだった。
ただでさえ小さな体を、胸を押さえて折り曲げて、臓物を絞るようにして言葉を吐き出している。
冬優子の言葉を受けて、中学生はその胸の内の全てを今ここで曝け出すと決めた。
自分の本能のままに生きているように見えてその実、自分自身の感情においても見えていない部分の多い人間。
こいつが自分自身の感情を吐き出すのに、他に術を知らなかったのである。
915 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:30:25.10 ID:ELRlNcof0
あさひ「嫌だ! 嫌だ嫌だ嫌だ……嫌だ! 果穂ちゃんが死んじゃうなんてそんなの嫌だよ……!」
悶えながら吐き出していく感情の激流。
それはやがて言葉を受ける、小宮果穂をも飲み込んでいく。
果穂「あさひさん……」
芹沢あさひの言葉に中てられたように、いつしか小宮果穂もギュッと自分の胸元を掴んでいた。
服には皺がより、下唇を強く噛み締めている。
夏葉「……果穂、いいの。私たちのことは今だけは忘れてちょうだい」
果穂「夏葉さん……?」
夏葉「あなたも、自分の想いに素直になっていいの。私たちの前だからとか気にせずに……言いたいことを言うべきよ」
彼女の感情の堰を切ったのは、有栖川夏葉。
同じユニットの仲間として、誰よりも近くでその成長を見届け支えてきた大人として、最後にポンと背中を押してやった。
果穂「……はいっ!」
小宮果穂はずっと胸の奥に押し込めたものを引き摺り出した。
二人を殺したという罪悪感が蓋をしていたものが一気に噴き上がる。
916 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:31:59.16 ID:ELRlNcof0
果穂「あたしもです……あさひさん、あたしも……あさひさんとお別れなんか、したくありません!」
あさひ「もっといっしょに虫取りに行きたかったし、おばけ探しもしたかったんだよ……」
果穂「あたしも、もっといっしょに冒けんしたり、もっといっしょに遊んだりしたかったです……!」
あさひ「いやだよ……いやだよ! 行かないで、果穂ちゃん!」
勿論今までの謝罪も全て心より生まれたものだ。
でも、それ以上に、今ここでぶちまけた感情は大きな意味と質量とを持つ。それは年相応、等身大の少女として、エゴのままに口にした感情だったから。
あさひ「果穂ちゃん、果穂ちゃん! なんで、なんで死んじゃうの……!?」
果穂「あさひさん、ごめんなさい……! あさひさん、あたしもお別れしたくないです……!」
それは、この場において誰よりも幼い二人だからこそできたこと。
自分の中の感情を咀嚼する工程も踏まずに舌の先に乗せ、考えるより先に相手にぶつける。
どれだけ幼稚な言葉でもいい、いっそ言葉になっていなくたっていい。
その想いを、その言葉を、その熱を、誰よりも素直に表現できるのが『幼さ』と言う彼女たちの特権なのだ。
美琴「……」
その美しくも悲痛な光景に、デジャブを覚えなくはなかった。
私の隣に立つ美琴も、組んだ腕に力がこもる。
917 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:32:53.81 ID:ELRlNcof0
……だが、時というのは無情だ。
別れは私たちの思いを感知せず、ただ訪れる。
モノクマ「あ〜〜〜! 湿っぽい、湿っぽい! ジメジメが過ぎますぞ!」
918 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:33:40.60 ID:ELRlNcof0
モノクマ「ちょっと盛り上がるかなと思って人格を戻してやったら、長尺で御涙頂戴の茶番を繰り広げちゃってさあ!」
モノクマ「部屋の湿度が5%は上がったよね、ふかふかだったボクの毛皮もすっかり湿っちゃったよ」
モノクマ「そういうわけで……そろそろ乾燥させちゃいましょうか! 最高にホットでバイブスあがっちゃう、おしおきタイムの時間だよ〜!」
私たちの会話に痺れを切らしたモノクマがついにその宣言を口にしたのである。
智代子「そ、それって……果穂の処刑……?!」
果穂「……!」
夏葉「ま、待ってちょうだい! あなたも裁判は全て見ていたのよね?! 果穂は絶望病にかかっていて意識も朦朧としていたのよ!? 無自覚な殺人で裁くなんて許されざる暴挙だわ!」
思わずその足元に縋り付く有栖川夏葉。
だが、そんな訴えなどモノクマが耳を貸すはずもない。
919 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:34:35.93 ID:ELRlNcof0
モノクマ「往生際が悪いなあ。あのね、自覚してなかったら罪がなくなるなんてそんなわけないでしょ? あるのは小宮さんが二人を殺害したと言う純然たる事実」
モノクマ「法の番人であるボクからすれば、感情論なんて問題外なんだよね」
夏葉「そ、そんな……」
感情論で救われるなら、七草にちかと田中摩美々の犠牲もなかった。
それは痛いほどにわかっているはずなのに、押し寄せる絶望の波に思わず足が震えた。
いよいよ小宮果穂の処刑が目前に迫り、遺される者たちは阿鼻叫喚の様相だ。
そんな中、彼女は前に進み出た。
果穂「モノクマさん、ありがとうございました!」
モノクマ「はぬ?」
果穂「最後に、あたし自身の言葉であたしの気持ちを伝えられてよかったです。『ごめんなさい』をいう時間をもらえて、うれしかったです!」
夏葉「果穂……あなた」
果穂「えへへ……しんじゃうのは、ちょっとこわいですけど……それ以上に、何も言えずにしんじゃう方がつらいです。みなさんとお話しできて、あたしのきょうふもちょっと収まりました!」
わざわざ敵に頭を下げてまで、小宮果穂はその絶望を取り除こうとした。
本当に、どこまで行っても強いガキだ。
私たち以上に大人びた配慮に、思わずこちらも呆気に取られた。
920 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:42:15.26 ID:ELRlNcof0
モノクマ「ま、そういうわけでそろそろ始めちゃいますか!」
果穂「ずっと変わらないものがあり続けるから、あたしたちは変わっていけるんです」
果穂「つよくなって、おおきくなって……それでどんどん大人になる」
モノクマ「今回も、超小学生級の道徳の時間である小宮果穂さんのためにとっておきのおしおきをご用意いたしましたゾ!」
果穂「あたしは……もう大人にはなれないですけど、みなさんならすっごくかっこいい大人のひとになれると思います!」
果穂「だから、大人になっても……あたしを、その『変わらないもの』の中の一つとして、覚えておいてくれるとうれしいです」
果穂「あたしにとっての『変わらないもの』は……みなさんと過ごした時間と、思い出だったから!」
モノクマ「それでは張り切っていきましょう! おしおきターイム!」
果穂「えへへ……最後は、泣くよりも、笑っておわかれしたいです! ヒーローは、だれにもなみだを見せないんです!」
921 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:43:00.13 ID:ELRlNcof0
果穂「みなさん……今まで、ありがとうございました!」
922 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:44:21.46 ID:ELRlNcof0
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GAME OVER
コミヤさんがクロにきまりました。
おしおきをかいしします。
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923 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:46:59.13 ID:ELRlNcof0
我々人間の命は、吹けば消えゆく儚い存在……
その命は、死神たちが蝋燭に灯した火と繋がっており、彼らの管理のもとにあるのです。
この薄暗い空間には、全部で16の蝋燭が立っています。
太く、長く聳え立つ蝋燭は人間八十余年の生涯を蓄えている。
でも、その先端の炎がいつまでも燃え盛るかと言われればそれはノー。
『かざのひおり』『ななくさにちか』『くわやまちゆき』『たなかまみみ』『いずみめい』『みつみねゆいか』
これらは全てその先端の炎が消えてしまった蝋燭。
まだ土台部分はたくさん残っているにもかかわらず、炎の消えた蝋燭は乱雑にそこに投げ出されています。
さて、そろそろ次のお時間ですね。
死神モノクマがその送風機を向けた先は、『こみやかほ』の蝋燭。
彼女の命の灯火も、ここで消え去ってしまうのでしょうか?
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死神
〜many screams〜
超小学生級の道徳の時間 小宮果穂処刑執行
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924 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:48:10.30 ID:ELRlNcof0
送風機の強風に靡く炎、あれが消えてしまってはまずいと小宮さんは手当たり次第に燃えそうなものをどんどんと投げていきます。
なんだかカッコいい感じの木の棒、学校のプリント、満点のテスト、図工の作品……
それらを媒介にして火の勢いは徐々に回復……
でも、死神モノクマも手を緩めません。
送風機のみならず自分の手で団扇も仰ぎます。
火が風で立ち消えてしまわないように、小宮さんはもっともっとたくさんのものを放り込みます。
真っ赤なランドセル、思い出のリコーダー、修学旅行で食べるすき焼きのなんか青いやつ、あの頃すっごく流行っていたから買いに走ったスニーカー……
しかし、死神モノクマの方が上手のようです。
いよいよ空調も本格的に作動させ、蝋燭の火は風に靡きに靡いています。
このままじゃダメ! 火が消えてしまう!
そう思って手に取ったのは……ジャスティスファイブの変身ベルト。
小宮さんは躊躇って躊躇って……
……投げることができませんでした。
ジャスティスファイブは彼女の思い出、そして心の拠り所。それを擲つことなど、たとえ命がかかっていようともできないのです。
925 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:51:17.58 ID:ELRlNcof0
……でも、ウッカリさんですね。
小宮さんったら、ヒーローはピンチの時に必ずやってくるって知っていたはずでしょう?
小宮さんの視界を明るくする、その光源の元には仁王立ちするジャスティスレッドの姿が!
助けを求める小宮さんの元に、一番のヒーローがやってきてくれたのです!
さあ喰らえ、悪の怪人・死神モノクマ!
悪焦がす正義の焔! ジャスティン・フレイムだァ〜〜〜〜ッッッ!!!!
流石はジャスティスレッドです。
死神モノクマを退けるだけではなく、蝋燭の火も更に激しく燃え盛らせてくれました。
火柱のように燃え盛る炎は蝋燭をどんどん溶かしていき、溶けた蝋はジェル状になって小宮さんの元へ降り注ぐ。
摂取何百度はあろうかという灼熱の蝋が小宮さんに纏わり付いて、その肌を、その肉を、徐々に徐々に焼いていきます。
ジュウジュウという音に混ざって小宮さんも思わず声を上げます。
926 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:52:23.21 ID:ELRlNcof0
その苦悶の声に抑えきれず、もう一人のヒーローが走り出しました!
それはモノクマの仕込みの偽物ジャスティスファイブなんかではなく、彼女に取っていつもそばにいた、大好きで最高なヒーローの一人。
____【有栖川夏葉】さんでした。
有栖川さんは自分の身が灼かれることも厭わず、素手で小宮さんの体にまとわりつく蝋をその手で剥がしていきます。
でも、垂れてくる蝋の方が量も勢いも圧倒的。
有栖川さんの目の前で小宮さんはどんどん蝋人形へと変わっていきます。
そして、有栖川さんの腕も焼け爛れ、見るも無惨な姿に。
それでも彼女は必死に救おうとしました。
剥がして、剥がして、剥がして、剥がして、剥がして、
剥がして、剥がして、剥がして、剥がして、剥がして、
剥がして、剥がして、剥がして、剥がして、剥がして、
剥がして、剥がして、剥がして、剥がして、剥がして……
最後には、全身の火傷の苦痛で有栖川さんは意識を失い横たわってしまいました。
その隣には綺麗な綺麗な小宮さんの蝋人形が横たえられていましたとさ。
927 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:53:51.95 ID:ELRlNcof0
-----------------------------------------------
ルカ「……は?」
智代子「な、夏葉……ちゃん……?」
小宮果穂の凄絶な死、それに慟哭する暇もなく私たちの前でそれは起きた。
今回の事件の犯人でもない、シロである有栖川夏葉がおしおきの最中に割って入り、そして彼女はその巻き添えとなってしまった。
私たちはすぐさま彼女の元へと走り出す。
ルカ「お、おい……!? 何やってんだ、お前……!!」
溶岩のような蠟が全身を包んだことでその皮膚は激しく焼け爛れ、その内側の筋組織や脂肪分を焦がす。
火葬場の煙突から吐き出された煙のような独特の臭気が、近づいただけで鼻を刺した。
智代子「夏葉ちゃん、夏葉ちゃん!! なんで、ダメだよ……死なないで!」
恋鐘「智代子、いかんよ! 不用意に触ったら智代子まで火傷してしまうばい!」
智代子「でも、でも……! 早く蠟を剥がしてあげないと、夏葉ちゃんまで死んじゃうよ……!」
928 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:55:05.57 ID:ELRlNcof0
モノミ「やい、モノクマ! お前、大変なことをやってしまいまちたね! 有栖川さんは二人を殺した犯人でもないのに、おしおきをやるなんて重大なルール違反でちゅ!」
モノクマ「ぐ、ぐぬぬ……勝手に飛び入りをしてきたのは有栖川さんの方だろ! これはそう、事故なんだよ!」
モノミ「事故なら事故で、ヒヤリハット案件でちゅ! 有栖川さんの死は予防もできたはずでちゅ、アンタの怠慢さが招いた……」
智代子「……ま、待って!」
モノミ「え、ええ?」
智代子「夏葉ちゃん、夏葉ちゃん……聞こえてる?」
突如声を上げて場を制した甘党女。
彼女の握る有栖川夏葉の手のひらは、私たちの目の前でゆっくりと登っていく。
夏葉「……私は、まだ……生きているわ……」
929 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:56:17.94 ID:ELRlNcof0
皮膚がめくれあがった悲惨な状態ではあるものの、高々と掲げたその手には、確かに生の主張が息づいていた。
私たちは即座にモノクマの方へと詰め寄った。
ルカ「おい! さっさと治療……病院に運べ!」
透「コロシアイの続行が困難な怪我は治療する……そう言ってたよね」
冬優子「このまま有栖川夏葉が命を落としたら一番困るのはあんたなんじゃないの? さっさと搬送しなさい!」
モノクマ「やれやれ、ゴキブリ並みのしぶとさだね……わかった、わかりましたよ! ボクとしてもこんな形で頭数が減るのは不本意だからね!」
モノクマ「エマージェンシー! エマージェンシー! 救急救命センター24時、出動!」
モノクマが手を掲げた直後、鳴り響く地鳴り。遠くから聞こえてくるサイレン。
両者は徐々に近づいてきて、そしてものの数秒と経たないうちに。
ズガドーン!!
壁をぶち破って救急車が姿を現した。
930 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:57:07.69 ID:ELRlNcof0
モノクマ「後は医療界のバーストと呼ばれているボクにお任せあれ! きっちりかっちり有栖川さんを治療してあげちゃうからね!」
美琴「……バーストだと、数字が大きすぎるんじゃないかな」
冬優子「……ああ、そういうこと。21超えちゃってんじゃないの」
あさひ「……? どういう意味っすか?」
ルカ「死ぬほど有名な医療漫画があるだろ……その、ツギハギの!」
モノミ「こら〜! しょうもない茶番で版権に絡みそうな話題はやめてくだちゃい!」
恋鐘「ていうかそもそも救急車、どがんしてここまでやってきたと〜〜〜!?」
智代子「こ、ここって地下だったよね!?」
モノクマ「細かいことは気にすんな! 座標をちょっとばかしいじくっただけのことだからさ!」
ルカ「まあもうこいつが現実離れしてんのは今更な話なんだけどな……」
モノクマはてきぱきと担架やら呼吸器やらを使い、無駄に手際よく満身創痍の小金持ちを救急車へとのせ、走り去ってしまった。
コロシアイの進行は何よりも優先する奴だ、どんな手段を使おうとも死なせはしないはずだ。
931 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:57:44.75 ID:ELRlNcof0
透「大丈夫、無事だよ。絶対」
智代子「うん……夏葉ちゃん……お願い……」
雛菜「それにしても、どこに行ったんですかね〜」
ルカ「ここは地下だから、どこに行くも何もねーはずだが……」
モノミ「病院に行ったはずでちゅ! この島の医療設備なんて、あそこぐらいのものでちゅから!」
(……そんな自信満々に言うことか?)
美琴「だとしたら、私たちも急いで病院に向かった方がいいね」
智代子「うん……夏葉ちゃんがちゃんと助かったのか、見届けないと!」
あさひ「……はいっす!」
私たちは、考える暇もなくすぐにその後を追った。
小宮果穂の死によってぽっかりと開いた心の穴を、有栖川夏葉の生還という吉報で補填しようとしていたのか。
それとも、辛い現実を直視しなくていいように、目の前の喫緊の課題に逃避をしていたのか。
どちらともわからないが走り出した足を誰も止めようとはしなかった。
932 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 22:59:15.10 ID:ELRlNcof0
-----------------------------------------------
【第3の島:病院 ロビー】
病院に辿り着いた私たちを待っていたのは『手術中』と点灯するランプ。
私たちが入れたのはロビーまでで、廊下へと続く扉はカギがかけられ閉ざされていた。
手術中の様子を見せることはおろか、音も聞かせたくないということだろうか。
ロビーの椅子に全員ずらりと座り、その時を待った。
「…………………………」
両手を合わせて神に祈るようにしたり、頭を押さえてためいきをしたり、貧乏ゆすりをしながら時計を何度も見返したり。
思い思いに過ごして、何時間が経っただろうか。
ギィィィィ…
扉は、突然に開いた。
933 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 23:00:31.01 ID:ELRlNcof0
モノクマ「手術は成功しました……一命はとりとめましたよ」
ブカブカな手術着に身を包んだモノクマは額を拭うようにしながら、そう言った。
智代子「成功……? 夏葉ちゃんは、無事なの……?」
モノクマ「ええ、ぴんぴんしてますわ」
智代子「本当に、本当に……?」
モノクマ「ええ、元気な女の子ですよ」
智代子「……! よかった……よかった……」
その場に泣き崩れる園田智代子。
私たちは彼女の元に駆け寄り、その肩に手を当てた。
嗚咽を漏らし、泣きじゃくる彼女には支えが必要だったのだ。
934 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 23:01:39.63 ID:ELRlNcof0
透「あんなに全身の火傷酷かったのに、すごいね」
モノクマ「そりゃまあボクですから! サバンナの中央で自ら開腹手術を行っただけの技術はありますよ!」
雛菜「もう本当に命を落とす心配はないんですか〜?」
モノクマ「はいよ! さっきも言った通り今はもうピンピンしてます」
恋鐘「ピンピンって……流石にまだ意識は戻っとらんとやろ?」
モノクマ「え? いや、だから言ってんじゃん。超がつくほど元気だから……今にも走り出しそうなぐらいになってるけど」
ルカ「はぁ……?! あ、あいつは死ぬ一歩手前だったんだぞ……!? そんなものの数時間でそんなに回復するわけねーじゃねえか!?」
モノクマ「はぁ……やれやれ、ボクの手腕がそんなに信用なりませんか。これだから前時代の人間は困るな、オマエラあれでしょ。カメラの写真撮影は魂が抜かれるからやりたくないとか言ってた口!」
美琴「それはつまり、面会謝絶とかでもないってこと……?」
モノクマ「うん、全然OKだよ! 絶望病の治療の時に使ってた病室にそのままぶち込んでおいたから、行ってみたら?」
智代子「夏葉ちゃん……夏葉ちゃん!」
その言葉を聞くなり私たちはすぐにモノクマの隣をすり抜けて廊下へと走り出した。
目指す先は有栖川夏葉の病室。全身の火傷で一時命を落としかけた仲間が待っているというその病室に向かって一目散だった。
彼女が一時陥っていた生命の危機を目の前で確認した私たちからすれば、モノクマの話は半信半疑ではあったがそれ以上に期待が強かった。
失われかけたその命が戻ってきたのだというのならこれ以上の吉報はない。
思考よりも先に行動が先んじたのだった。
935 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 23:03:05.58 ID:ELRlNcof0
モノクマ「……まぁ、元通りに直ったとは一言も言ってないけどね」
936 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 23:04:24.65 ID:ELRlNcof0
-----------------------------------------------
【夏葉の病室】
ガララララ!
「夏葉ちゃん!」
甘党女は躊躇することもなく、勢いよくその扉を開けた。
誰よりも回復を願い、その再開を待ちわびていた彼女。
手術成功の知らせを聞いて、歓喜の涙を浮かべていたその表情は……
____扉を開けると同時に【困惑】へと変わった。
「あら、智代子……それにみんなも。心配をかけてしまったわね。もう大丈夫よ」
そして、その困惑は私たち全員に共有される。
937 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 23:05:44.38 ID:ELRlNcof0
「……え?」
「どうしたのよ、みんな。そんなに口をぽっかりと開けてしまって。せっかくの再会なのだからもっと喜びあいましょうよ」
目の前の彼女は、これまでと同じように私たちに接している。
共に長い時間を過ごしてきた、この島で生き残りを目指して協力してきた仲間として、喋っている。
だが、私たちはその前の前にある非現実を中々咀嚼できず……再会を喜び合う前に、その疑問をつい口にしてしまっていた。
「お、お前……それ、どうしちまったんだよ」
私の震える指での指摘を聞いて、有栖川夏葉はその右手を改めて眺め、解答を持ち出した。
「……ああ、これね。人生万事塞翁が馬、何が起きるかわからないでしょ?」
「そ、それにしても無理があるでしょうが……」
「夏葉さん……それ、どうやって動いてるっすか?! 見せて、見せてほしいっす!」
その右手は照明の光を反射して輝く。
指を一本開いても閉じても、部屋には駆動音が響く。
938 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 23:06:50.56 ID:ELRlNcof0
超大学生級の令嬢、有栖川夏葉。
「私、有栖川夏葉は生まれ変わったの……」
「【超大学生級のアンドロイド】・有栖川夏葉としてね!」
_____その体は、完全に機械へと変わっていた。
939 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 23:07:43.77 ID:ELRlNcof0
-------------------------------------------------
CHAPTER 03
Hang the IDOL!!〜弾劾絶叫チュパカブラ〜
END
残り生存者数
9人
To be continued…
-------------------------------------------------
940 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 23:09:03.68 ID:ELRlNcof0
【CHAPTER03をクリアしました!】
【クリア報酬としてモノクマメダル25枚を獲得しました!】
【アイテム:割れたメダリオンを手に入れました!】
〔ジャスティスファイブの変身グッズのメダリオン。専用のベルトに差し込むとヒーローのボイスが流れる特別仕様だが、割れてしまってもうベルトにうまくハマらない〕
941 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/22(火) 23:18:29.99 ID:ELRlNcof0
という訳で、これにて三章は完結となります。
なんだかんだ二章と大差ない文量になってしまった……
三章の展開は実は前シリーズを書いているときから考えていた物でした。
三章でクロになる、夏葉が巻き添えを食らうなどの展開も当時から考えており、おしおきも当時考えていたものをそのまま使っています。
続編シリーズを書くなら絶対に外したくないとの思いで今回形にしました。
さて、四章更新までまたしばらくお時間をいただきます。
四月は忙しくなると思うので、更新が滞るかもしれませんがどうかご容赦ください。
それでは三章もお付き合いいただきありがとうございました、またよろしくお願いします。
942 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/03/22(火) 23:30:27.49 ID:fdXn26OE0
おぉ、もう…
乙乙
943 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/03/24(木) 11:26:04.25 ID:dz9KEzXxO
SS避難所
https://jbbs.shitaraba.net/internet/20196/
944 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/04/08(金) 20:48:31.16 ID:OJSLI4Ra0
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GAMEOVER
ミツミネさんがクロにきまりました。
おしおきをかいしします。
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945 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/04/08(金) 20:49:42.47 ID:OJSLI4Ra0
ここはどこかにあって、どこにもないそんな無機質で透明な街。
聳え立つ建物という建物は無表情にネオンを照らし、その光の下で人々は顔を隠すようにして歩いていく。
空は真っ暗、星の光も落ちてこない。
灰色に膨らんだ雲は今にも落ちてきそうな、そんな鉛のような圧を見るものに与えています。
でも、彼らは逃げない、立ち去らない。
目の前の明かりが赤色であり続ける限り。
ただ、ルールがそうだからというだけで。
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アンビバレンス・アンブレラ
超大学生級の写真部 三峰結華処刑執行
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946 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/04/08(金) 20:50:55.61 ID:OJSLI4Ra0
信号が青に変わり、人の群れは動き出します。
それぞれが対岸に向かって交差する波。
不揃いながらもぶつかることもなく、器用に流れていく。
その合間を縫うようにして雨がざあざあと落ちてくる。
三峰さんの足取りは重たい。
傘で自分の顔を隠すようにしながら、ゆっくりと水溜りを丁寧に踏み抜いていきます。
パシャと音を立てて踏むことで、誰かに気づいてもらいたい……なんて、子供じゃあるまいし。
彼女が歩くたびに、背負ったリュックのキーホルダーが揺れて、雨と靴音の中で不協和音となりました。
そんな耳障りで、無音にも近い時間。
『___結華』
薄暗い幕を切り裂くように、背後で彼女を呼ぶ声がしたような気がしました。
あの雨宿りの時のように、彼女の影を探し回ってそこら中を駆け巡ってくれた時のように_______
きっと彼なら自分のことを見つけ出してくれる、そんな信頼に後ろ髪引かれて振り返る。
947 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/04/08(金) 20:51:54.28 ID:OJSLI4Ra0
でも、そこにいた人間の正体を彼女は知ることはできませんでした。
彼女を待っていたのはこれまでを凌駕するほどの『ヒト』の群れ。
傘の幕で顔を隠したのっぺらぼう共が真っ正面からぶつかってきて、とうとう三峰さんはその場に倒れ込みます。
しかしこの街では掬い上げてくれる人たちなど誰一人としていません。
そこにいるのは規則正しく、コピー品の日常を演じるだけの舞台装置。
イレギュラーに目を向けている余裕などないのです。
三峰さんの存在は道端に転がっている石ころのように、誰の気にも止められることすらなく、踏まれ、踏まれ、踏まれ。
交差点の信号が再び赤になるころ、その中央ではボロ切れのようになった“何者か”が雨に打たれて横たわっていましたとさ。
948 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/04/08(金) 20:52:49.90 ID:OJSLI4Ra0
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GAMEOVER
イズミさんがクロにきまりました。
おしおきをかいしします。
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949 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/04/08(金) 20:53:57.61 ID:OJSLI4Ra0
ストレイライトの愛依サマは同世代の女子からの人気の高い、クールでミステリアスな最高にカッコいいアイドル!
そんな彼女には、ファンを惹きつけてならない……ギャップのある側面がありました。
……え?
ギャル?
何言ってるんですか、あんなにカッコいい愛依サマがギャルなわけないでしょうが!
前にも披露したことのある、【書道】の腕前の話です!
幼少期から書道に親しんできたと語る愛依サマ、袴姿もバッチリお似合いですね!
そんな彼女は今からお殿様の前で一筆書いて献上するようです。
愛依サマに限ってそんなことはないと思いますが……万が一、漢字を書き損じるようなことがあれば……
お殿様が大事に大事に飼っている虎が黙っていない、かもしれませんね。
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ヘビアシ
超高校級のギャル 和泉愛依処刑執行
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950 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/04/08(金) 20:55:19.16 ID:OJSLI4Ra0
自分の背丈ほどある筆をとり、しっかり墨汁を吸わせて取り掛かり始めました。
愛依サマに指定されたのはお殿様の祝宴を飾り付ける垂れ幕の書き下ろし。
『シュク! お殿様ユメの百万ゴク達成!』
なあんだ、ちょ〜簡単な漢字ばっかりですね!
これなら愛依サマならなんの心配もいりません!
しかし、本人はどうやら頭が真っ白なご様子。
シュク……って口へんだっけ?しめすへんだっけ?
震えながら慎重に一筆一筆書いて行きます。
『祝』
よし、これはちゃんと書けました。
続いてアイドルの皆さんなら何度も口にする言葉ですが……?
『夢』
素晴らしい! 愛依サマらしい達筆が冴え渡ります!
そして最後、これは漢字は簡単ですが読みが特殊で……
『石』
さすが! 愛依サマなんですもの、この程度簡単でしたよね!
成功に歓喜して思わず飛び跳ねる愛依サマ。
普段とは違ってこういうキャピキャピした様子なのも魅力的ですね。
951 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/04/08(金) 20:56:04.09 ID:OJSLI4Ra0
……でも、ちゃんと筆を置いてからジャンプすべきだったんじゃないですか?
墨汁が筆から飛んで、紙にパタパタと落下。
お殿様がみるみるうちに不機嫌になっていくのに気付いて、愛依サマは慌てて誤魔化します。
散ってしまった墨汁を起点にして、綺麗なお花の水墨画を書いて作品を盛っていきます。
愛依サマの芸術センスで持っていけば問題な……
ガッシャ-----ン!!!!
あらら……公式な場で出すような垂れ幕にそんな勝手な真似をしちゃいけませんよね。
盛ればいいってもんじゃないですよ、そんなギャルじゃないんですから。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
その日の夜の祝宴で、愛依サマの手がけた垂れ幕が披露されました。
その垂れ幕は、愛依サマのイメージカラーによく似た色の絵の具飾られていましたとさ。
952 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/04/08(金) 20:56:49.42 ID:OJSLI4Ra0
というわけでお久しぶりです。
シャニマス本家でまさかのロンパ風シナリオが実装されるとは思いませんでした!
流石公式の手腕、脱帽の一言でした…
さて、四章更新の準備があらかたできましたのでご報告に上がりました。
四章は次スレでの更新を考えています、そのためこのスレは購買パートでもやって埋めてしまおうかと思います。
テンプレを貼っておきますので、モノモノヤシーンなり自動販売機なり書き込んでくださると反映いたします。
明日また同じ時間に書き込みがあればそれを反映して購入するようにしておきます。
953 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/04/08(金) 20:59:17.47 ID:OJSLI4Ra0
【自動販売機】
≪消耗品≫
【ヒーリングタルト】…5枚
〔誰の口にも合いやすいマイルドな口当たりの優しい甘さ。裁判中に使用すると発言力を2回復できる〕
【ヒーリングフルーツタルト】…10枚
〔フルーツをトッピングして満足感アップ。裁判中に使用すると発言力を4回復できる〕
【高級ヒーリングタルト】…15枚
〔国産フルーツを贅沢にトッピングした高級タルト。裁判中に使用すると発言力が最大まで回復する〕
【プロデュース手帳】…15枚
〔これは彼と彼女たちが過ごしてきた美しき日々の証。誰よりも理解者たる彼は、いつだってそばで戦ってくれる。裁判中に使用するとノンストップ議論・反論ショーダウンを無条件クリアする〕
【283プロのシャツ】…50枚
〔283プロの仲間たちの結束の証。生存している全員の親愛度を2ずつ上昇させる(上限に到達してもスキル獲得には交流が必要となる)〕
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
≪贈答品≫
〇メダル10枚
【オートミール】
〔燕麦を脱穀して作った加工食。鳥さんも同じものを食べられるので、一緒に日向ぼっこもできちゃう夢の食事〕
【エアメール】
〔海を越えて空を超えて思いを届けるレターセット。たとえばらばらに離れてしまっても思いは一つ〕
【魔法のビデオ】
〔モデルから華麗な転身を遂げた少女が披露した、小学校でのサプライズライブの映像。新たな道を歩みはじめた彼女は、少女たちに醒めぬ魔法をかける〕
【新品の包帯】
〔怪我をした時にサッと負ける応急処置。常に清潔であるために一度使ったものはもう使ってはならない〕
【観戦チケット】
〔とある球団のホーム球場の観戦チケット。なかなか予約が取れないらしく、ファンからすれば垂涎物〕
【プロデューサーさま人形】
〔和服のアイドルが常に携帯している藁人形を模して作られたぬいぐるみ。もたれかかれるぐらいのサイズ感〕
【アプリコット】
〔ティーンエイジャー向けのファッション誌。女の子の興味関心に合わせた多種多様なテーマを取り扱う〕
【バトルパス】
〔某ガンシューティングアーケードゲームのユーザーカード。名前とともに戦績を刻むことができるが、残念ながらこの島に筐体はない〕
【髪留め】
〔ごくシンプルなデザインで機能性を重視した髪留め。どんなファッションにも合わせやすい反面本人の素材力が試される〕
【マクサ・ドロップス】
〔からんと缶を振ればいろんなフレーバーの飴玉が転がり出る。ハッカ味が残りやすいのはもはやお約束〕
〇メダル20枚
【親愛のお守り】
〔白兎は歩みを止めぬものに幸運を運ぶ。どんなアイドルに渡しても大喜びしてもらえる不思議なお守り〕
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
【お役立ち品】
※今後メダルが溢れてしまうことがあれば希望のカケラを購入できるようにすることも考えています
・283パス 30枚
〔アイドルをプロデュースするのにライセンスは必要ない。これは彼の決意の形に過ぎない。他のアイドルの親愛度を12にした時に得られるスキルの詳細が分かるようになる(交流時に判明)〕
・敏腕記者セット 40枚
〔記事は自分の足で稼ぐのが信条、労力はかけた分だけ返ってくる。自由行動がある日の行動終了時コンマ判定を行い末尾の枚数分のモノクマメダルが手に入るようになる〕
・虹の羽 40枚
〔虹色に輝く色鮮やかな羽、その輝きは明日を照らす。探索パートで獲得するモノクマメダルの量が倍になる〕
・金の鍵 70枚
〔閉じかけた記憶と経験とを呼び覚ます不思議な鍵。コロシアイ南国生活の中で命を落とした仲間から得られるはずだったスキルを獲得できる〕
・スーパーはづきさん人形 99枚
〔どんな事務仕事も一人でやり終えてしまう天才的な事務員を模して作られた人形。メダルを消費することで自由行動が可能な日を追加することが可能になる。追加するのに必要な枚数は10枚→20枚→30枚…と増加する。章ごとに必要な枚数はリセット〕
954 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/04/08(金) 21:02:11.94 ID:OJSLI4Ra0
【現在のモノクマメダル枚数…112枚】
1.モノモノヤシーンに挑戦する(枚数指定)
2.自動販売機で購入する(複数指定可能)
3.何も買わない
※1と2は同時指定可能です
↓〜明日まで(複数あれば多数決など)
955 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/04/09(土) 20:43:26.23 ID:lMFchYm80
手持ちプレゼントが少ないのでモノモノヤシーン10連ぐらいしておきたいのと、
自由行動先がバラバラで親愛度が満遍なく上がってないのでいっそ283プロのシャツを2枚買っててもいいんじゃないですかねー
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