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【シャニマス×ダンロン】にちか「それは違くないですかー!?」【安価進行】 Part.2
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545 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 22:31:26.59 ID:7xcqTvao0
【満月が煌々と照らす窓の近くで首から大量の血を流して息絶えているのは、超高校級のギャル・和泉愛依だった】
546 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 22:32:58.13 ID:7xcqTvao0
「……う、嘘……だろ……」
ついさっきのことだ。
私たちが看病しに来たとき、こいつはどこから持ち込んだともわからない花を嬉しそうに見せてくれた。
その花は混じりっ気のない純白の花弁を広げていて、私のように花を愛でる習慣のない者でも思わず見とれてしまうほどだった。
そんな花は、その持ち主の首から噴き出したであろう血で紅に染まっている。
「……クソッ」
____だが、事態はそれでは終わらない。
死体に完全に気を取られてしまっていたが、一度視野を広げてみてみるとこの現場の異常さに気が付いた。
お嬢様病の影響ですっかり様変わりした病室ももちろん異常ではあるのだが、この部屋には荒らされた痕跡がある。
……もっと言えば、【窓が割られている】のだ。
547 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 22:34:38.65 ID:7xcqTvao0
その結論に行きつくまでにはそう時間はかからない。
こんな殺人現場でわざわざ窓を割る、しかも病室の扉は閉まっていた。
それならこの割れた窓が犯人の脱出経路であることは間違いない。
破壊された窓のその隙間から首を出してみると、すぐ出たところにガラスが散乱している。
やはりこれは犯人が脱出するために内側から割ったものとみて間違いないだろう。
音が鳴ってからまだそう時間は経っていない。
ともなると、犯人はまだ近くにいることになる。
「……逃がさねえ!」
私はすぐに病室を飛び出し、ロビーへと向かった。
病院を出入りする唯一の玄関口が、ここだ。
『なにがあったの! ルカ、答えなさい!』
『ルカさん、どうしたんですか!?』
画面を横切る私の姿を目撃したのか、冬優子たちの声が聞こえてきた。
でも、それの相手をしている余裕なんかない。
犯人はすぐにでもこの場を立ち去ってしまうかもしれない。
その前に確固たる証拠を、犯人自身を捕まえてやらなくては。
それができるのは私だけなのだから。
548 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 22:35:31.63 ID:7xcqTvao0
ガチャ
私は観音開きのその扉の取っ手を掴んで、すぐに開け放した。
なんとしても犯人を捕まえなくちゃいけない、ただその一心で他のことは一切考えていなかった。
勿論、今更考えたってどうにかなるものではない。
でも、覚悟の一つでも決めておくべきだったかもしれないと今なら思う。
549 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 22:36:01.69 ID:7xcqTvao0
扉を開けた先に待っている、もう一つの絶望的な状況に直面するための、覚悟を。
550 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 22:36:50.63 ID:7xcqTvao0
【病院の入り口の扉を開け、駐車場で血の海に沈む三峰結華の姿を目撃した】
551 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 22:39:21.38 ID:7xcqTvao0
-------------------------------------------------
CHAPTER 03
Hang the IDOL!!〜弾劾絶叫チュパカブラ〜
非日常編
-------------------------------------------------
552 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 22:40:51.54 ID:7xcqTvao0
理解というのはいつも遅れて来る。
浅い眠りに落ちていた間に少しばかり停止していたシナプスにはこのものの数分の間に目の前に現れた現実というものが受容しがたく、私は暫く呆然と立ち尽くしていた。
悲嘆にくれるでもない、絶望に陥るでもない、困惑に喚くでもなく、ただ感情に自我がたどり着くまでに時間を要していたのだ。
「……は?」
目の前に広がる赤、その中に沈む“何か”。
その理解は、背後から聞こえてくる怒声のような叫び声とともにやってきた。
『ルカ、何があったの?! いい加減教えなさい!』
「え……あ、えっと……」
冬優子の問いかけに自分の言葉で説明をしようとして、初めて私は理解を手にした。
今のこの数分の間に二人の人間が命を落としたこと、またそれが始まってしまったこと。
本能にようやっと理性が追い付いたのだ。
私はふらつく足取りでなんとかモニタの前に辿り着き、なんとかその一言だけを絞り出した。
「……死んでる」
553 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 22:42:01.65 ID:7xcqTvao0
____
______
_________
ピンポンパンポーン!
『死体が発見されました! 一定の自由時間の後、学級裁判を開きます!』
病院の駐車場にはほとんど全員が揃っていた。
あの通話の後にすぐに冬優子と小学生は合流し、中学生もどこかから姿を現した。
私もなんとか二階の休憩室の二人を叩き起こし、駐車場に戻ってきた。
果穂「結華さん……!? な、なんで……」
智代子「な、なんでまた起きちゃうの……」
冬優子「嘘……結華が、どうして……!?」
一段と受けているショックが大きかったのはやはり冬優子だった。
私も冬優子と数日前に、三峰結華の説得に同伴した身。あの時にようやっとの思いで心を開かせ、
外に連れ出したというのにこんな事となってしまうなんてなんと報われないことか。
まるで力なく膝から砕け落ちる冬優子には、その心中に冷たくドロドロとした何かが広がっているのが透けて見えるようだった。
554 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 22:43:23.83 ID:7xcqTvao0
……だが、彼女が受けるショックはこれでは終わらない。
この事件は三峰結華の一つで終わらない、より近くにいた存在が喪われてしまったことを、私は冬優子に伝えなくてはならない。
ルカ「……今回は、一人じゃねえんだ」
美琴「一人じゃないって……まさか」
ルカ「……ああ、病院の中で……和泉愛依も死んでる」
冬優子「……は?」
あさひ「愛依、ちゃん……?」
私がその名前を口にしたとたん、冬優子は私の胸倉をつかみ上げた。
眉間には一瞬にして皺が寄り、奥歯を噛み砕きそうなほどにその口元には力がこもっている。
冬優子「ふざけんじゃないわよ……アンタ、そんな冗談言っていいと思ってんの!?」
冬優子の憤怒はもっともだ。三峰結華の死に加えて、和泉愛依も事切れたことなど到底受け入れられるものではない。
ただ、どれだけ怒ろうとも現実は変わらない。私があの病室で見た惨状を否定するに足る言葉などどこを探して見つからないのだ。
私は返す言葉が見つからず、ただ視線を逸らしてうなだれた。
555 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 22:44:48.43 ID:7xcqTvao0
冬優子「……チッ!」
私の反応に業を煮やしたのか冬優子はその手を離し、ツカツカと音を鳴らしながら病院の中に入っていった。
おそらく、私の言葉の真偽のほどを確かめに行ったのだろう。
あさひ「……ルカさん、本当……なんっすか?」
ルカ「……おう」
そして、ストレイライトのメンバーは冬優子だけではない。
私たちを散々かき乱してきたはずの狸も、その仲間の死をすぐには飲み込めず、私に確認をしてきた。
あさひ「……愛依ちゃんが、死んじゃった」
私の言葉を反芻して、その場にぺたりと座り込む。
冬優子の激情とは対照的に、まるで魂が抜け落ちたような反応だ。ぼうっと地面を見つめて、それ以上は動こうとはしない。
こいつには散々煮え湯を飲まされてきたが、この反応を見ていると少し胸が痛む。
14歳という未成熟な器、その容量から溢れ出たものがそこら中にまき散らされている。
智代子「そんな……二人同時に死んじゃうなんて……」
でも、私たちに悲嘆にくれる時間は与えられていない。
誰かが死んだということは、今私たちの命も生きるか死ぬかの瀬戸際にあるということ。
載せられた天秤が正しい方向に傾かないと、私たちもこの二人とともにあの世行きだ。
ルカ「とりあえず、もう一つの事件現場に行くぞ。……やらなきゃ、死ぬのは私たちなんだ」
556 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 22:46:13.53 ID:7xcqTvao0
-------------------------------------------------
【愛依の病室】
病室の扉は今度は開かれていた。
恐らく冬優子が先に来て、その死を確かめているのだろう。
そう思って他の連中に先行して中の様子を伺った。
ルカ「……待て」
私はそこで美琴たちを制した。
ルカ「……中学生以外は一旦ここで待機、三分だけ時間をやるぞ」
あさひ「……ルカさん」
ルカ「早く行ってこい、時間はそう残ってねえんだ」
こいつにかける情けも容赦もない、あの裁判以降そう思っていた。
だが、和泉愛依の死を聞いた瞬間のあの力の抜けようは演技のそれではなかった。
何か大事なものが崩れ去ったような、足を絶望にからめとられた時のような、そんな言い表しようもない感情を見せていた。
私は、その感情には救済を与えたいと思った。
今のこいつは分からないが、かつてのこいつが仲間とともに笑いあった時間があったのは確かだ。
なら、その時間に見合うだけの対話はあってしかるべきだと思う。
557 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 22:47:52.90 ID:7xcqTvao0
冬優子「……あんた、何馬鹿なことしてんのよ。あんたはふゆのライバルで……アイドルの頂点目指すんでしょ……? なんで、こんなとこで死んでんのよ……」
あさひ「愛依ちゃん……嘘っすよね……わたし、まだ愛依ちゃんとしたいことがいっぱいあるっすよ……? まだまだいっしょに行きたいところがいっぱいあるっすよ……」
骸は何の言葉も返さない。
瞳を閉じて、口元を苦痛に歪ませたその表情ばかりを月明かりが照らす。
冬優子「許さない……許さないんだから……ふゆとまともに闘いもせずに舞台から降りるなんて……不戦勝なんてふゆが喜ぶと思う……!?」
あさひ「愛依ちゃんに頭撫でてもらった時のふわふわする感じ、もう感じられないっすか……? 愛依ちゃんとギュッてしたときのあの匂い、もう嗅げないっすか……?」
死とはどこまでも非情だ。
突然舞い降りて、その人間を連れて行ってしまうがために、周りの人間にはお別れの言葉すら許さない。
遺された者たちは悔やんでも悔やみきれない思いを抱き、ただ自分の身を傷つける以外の術を持たない。
しても仕方のない後悔がこみあげることを食い止めるのは叶わず、全身から抜け落ちたものがその虚空にばかり吐き出される。
冬優子「いつもうるさいくせして、急に静かになってんじゃないわよ……愛依」
彼女たちも、その感情をただ霧散して終わってしまう。そう思われた。
冬優子「……」
558 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 22:50:30.05 ID:7xcqTvao0
____でも、彼女が私たちに見せた姿はそうではない。
冬優子「あさひ、立ちなさい。いつまでもこんなことやってる時間はないわ」
あさひ「……冬優子ちゃん」
黛冬優子という人間は、悲劇のヒロインなんて器ではない。
自分の身に降りかかった悲運を嘆き、身をよじり苦しむばかりで同情を買うなんて性に合わない。
そんな悲運があるというのなら、自分自身の手で切り開きたい。
彼女はそういう人間だ。
田中摩美々の裁判の時だってそうだ、あらぬ疑いをかけられ追い詰められた果てに黛冬優子という人間はその内をすべて暴露した。
彼女にとってそれはイレギュラーに他ならなかったが、そのイレギュラーさえも武器にして、彼女は大立ち回りをしてみせた。
冬優子「上等じゃないの、ふゆにこんな挑戦しかけておいて。犯人はとっくに覚悟はできてるんでしょうね」
559 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 22:51:27.21 ID:7xcqTvao0
なら、今だってそうだ。
他にないパートナー、ライバルとして認めていた存在、そして自分自身の内面と近しいものを感じ取り、同族としてシンパシー以上のものを感じていた存在の二つを同時に喪ったが、彼女はそれだからと言って折れたりはしない。
奪われたのなら、それに見合うだけの報いを受けさせるまで。
彼女からその二つを奪い去った人物に、自分自身の手でやり返してやらないと気が済まない。
冬優子「いいわ、ふゆがやる。ふゆがこの手で、犯人を処刑台に送ってやるわよ」
この状況で彼女に顕れたのは、そういう負けん気だった。
そんな彼女の奮起に応えるかのようなタイミングで、死体発見アナウンスが鳴り響いた。
ピンポンパンポーン!
『死体が発見されました! 一定の自由時間の後、学級裁判を開きます!』
先ほどのは三峰結華のもので、今回が和泉愛依のものということなのだろう。
月光に照らされる冬優子の後ろ姿、そのアナウンスは決戦の合図のようにも聞こえてしまった。
560 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 22:54:07.42 ID:7xcqTvao0
バビューン!!
モノクマ「あーらあーらやっちゃったー! ついに三回目の事件発生だね!」
モノクマが出てくるのを見て、私たちも病室に踏み入った。
冬優子と中学生、二人の様子を暫く見届けた私たちの中にも、この事件に挑むにあたっての闘志の火種のようなものが芽生えていた。
モノクマと相対するその心持は、これまでの裁判以上に前のめりだ。
ルカ「モノクマ……またしてもてめェの思い通りってか」
モノクマ「いやぁ、やっぱりオマエラを信じて正解だったよ! せっかくばらまいた病気が何の意味もナシに終わっちゃうんじゃやっぱり退屈だからね。事件を起こしてくれた犯人さんには花丸をあげましょう!」
冬優子「御託はいい、さっさとモノクマファイルをちょうだい。ふゆは今最高にイラついてんのよ」
モノクマ「おー、怖い怖い……前回までの黛さんとは大違いですね……これまでが猫をかぶってたなら今はサーベルタイガーみたいですよ」
モノクマ「でもね、モノクマファイルを共有するにしても、一気にやっちゃいたいんですよね。なので、【全員】がこの場に揃ってからでないと」
智代子「全員って……絶望病にかかってた人も?」
果穂「え!? でも、夏葉さんたちはすっごく高いねつが出てます……今回のさいばんは……あたしたちだけでどうにかなりませんか?」
美琴「確かに……病気の時にあの裁判はかなり堪えそうだよね」
モノクマ「ん? あー……そうか、そのことね。それならもう心配いらないよ!」
ルカ「あ? どういう意味だよ」
モノクマ「まあすぐに分かるって……ホラ!」
561 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 22:55:05.30 ID:7xcqTvao0
そう言ってモノクマたちは私たちの後の扉を指さした。
廊下に面する病室の扉、そこは私たちの視線が集まると同時にガラガラと勢いよく開かれて、彼女たちが現れた。
夏葉「みんな!? 今のアナウンスって一体!?」
恋鐘「また事件ば起きとーと!?」
透「え、嘘じゃん」
雛菜「透先輩……また事件、起きちゃったの〜……?」
そこに立っていたのは病魔に侵され、本来なら今もベッドの上で眠っているはずの連中。
彼女たちはいつもと変わらぬ様子で現れ、そして私たち同様に凄惨な現実を前に驚愕を示した。
果穂「みなさんもう病気はなおったんですか!?」
智代子「つ、つい数時間前まで39度の熱が出てたはずだよ!? そんな急に治る!?」
モノクマ「まあもう事件は起きたし、病気のお役目もおしまいだよねってことで。さっさと全員治させていただきましたぞ!」
手の打ちようもなく、ただ体力が失われてしないように右往左往して世話をしていたというのに、そんな思い付きで治してしまったというのか?
私たちの苦労を嘲笑うような発言に戸惑いを隠せない。
562 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 22:56:29.62 ID:7xcqTvao0
果穂「とっこう薬……ですか?」
透「マジだ。雛菜ももう熱出てない」
雛菜「透先輩? ていうか、雛菜たちまるで状況が分からないんですけど〜?」
夏葉「……私もよ、ここ数日の記憶が何だか朦朧としているの。モノクマ、少しみんなと状況を整理してもいいかしら」
モノクマ「う〜ん、ボクとしては早いとこ裁判を見たい気持ちもあるんだけど……情報の前段階で差があるとフェアじゃないもんね。なるはやで頼むよ」
夏葉「ありがとう、みんな、ここ数日のことに関して教えてもらえるかしら」
小金持ちたちは本当に状況がわかっていないらしい。
どうやら自分たちが病気にかかっていたことすらも定かではないらしく、病院とモーテルに分かれて看病をしていたことから説明は始まった。
数日に及ぶ看病、そしてそんな生活の中に突然起きた事件。
三峰結華と和泉愛依の死、それを短い時間でできる限り詳細に伝えた。
小金持ちと能天気女は説明をある程度噛み砕けたらしいが、長崎女は流石に別。
三峰結華の死という言葉でつまずき、そこから先が入ってこない。
563 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 22:57:39.36 ID:7xcqTvao0
恋鐘「ゆ、結華が死んだ……?! そ、そげなわけなか! だ、だってこの前摩美々が……摩美々が殺されて……結華まで死んでしもうたら、うち、うち……!」
冬優子「しっかりしなさいよ! あんたがそんなんなら、誰が結華の仇を討つの?!」
恋鐘「ふ、冬優子……?」
冬優子「泣くんなら全部終わった後、分かった?」
だが、そんな長崎女も冬優子は強引に引き戻す。
冬優子「結華があんたたちをどれだけ思って動いてたか、分からないわけじゃないでしょ? なら、今あんたがすべきなのは、そのための恩返しじゃないの」
恋鐘「……そうばい、もう今、アンティーカはうちしか残っとらん……それなら、うちがしっかりせんといかんとよ!」
冬優子「その意気よ、あんたみたいな肝っ玉なら犯人だって見つけられるわ」
仲間の心情を読み取り、抜群の鼓舞をかけるのは猫をかぶっていた時期に培ったスキルでもあるんだろう。
誰よりも人の心の機微に敏感な冬優子はそのリーダーシップをいかんなくふるった。
長崎女の戸惑いも一転、すぐにその決意は固まったようだ。
その表情の移り変わりを確認すると、冬優子は私たちに向き直り、今度はその頭を下げてみせた。
564 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 22:59:20.47 ID:7xcqTvao0
冬優子「……お願い、この事件の解決のために……あんたたちの力を貸してほしい。結華に愛依……ふゆにとって、これ以上なくかけがえのない存在だった二人を奪い去った犯人を……ふゆはなんとしても見つけ出したいの」
ルカ「冬優子、お前……」
冬優子「……今回ばかりは、負けてらんないのよ」
冬優子からは、なりふり構っていられないという切迫した雰囲気を感じた。
数日前、二人で三峰結華の部屋に踏み込んだ時。あの時と近しいものを私は感じていた。
あの時も、あいつは三峰結華を救い出すには同族である自分がやらなくてはならないという義務感を帯びていた。
でもそれは、他人に与えられるようなものではなく、ストイックな彼女だからこそ自分で自分に課す義務の意味合いが強い。
この事件もその通り。三峰結華と和泉愛依。
すぐそばで支え、そして足りないものを補い合ってきた存在を同時に喪った彼女だからこそ、この事件を解決する殿に着くのは自分でなければならない。
その義務を課していたのだろう。
彼女は、私たちの先導に立ち、その旗を振りかざしたのだった。
565 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 23:01:59.45 ID:7xcqTvao0
その場に居合わせた者はすぐに感じ取る。
彼女の抱く闘志、そして執念。
それに呼応するように、気が付けば私たちはその拳を振り上げていた。
共に戦地に赴く同胞として、共にその真実を追い求める迷い子として。
全員がその旗手のもとに名乗りを上げた。
ルカ「ハッ、お願いされなくてもそのつもりだ。間違えたら私も死んじまうんだからな」
美琴「うん、頑張ろう」
恋鐘「冬優子……うちも、絶対に結華の仇を取りたか! ぜったいぜ〜〜〜〜〜ったい! 今回の裁判は勝たんといかん!」
果穂「ふゆさん……ぜったい、ぜったいになぞを解き明かしましょう! 結華さんと、愛依さんの無ねんを晴らさないと!」
夏葉「冬優子、あなたの想い……受け取ったわ。ぜひ協力させてちょうだい。あなたのため、そして私たち自身のために真実を見つけ出すのよ」
智代子「もちろんだよ! 絶対犯人を見つけ出そうね!」
あさひ「冬優子ちゃん、わたしもやるっす。絶対、絶対……愛依ちゃんを殺した犯人を見つけるっす」
透「うちらも手伝う。脳細胞フル稼働さすわ」
雛菜「透先輩いつになくやる気だし、雛菜もがんばろっかな〜」
566 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 23:03:18.32 ID:7xcqTvao0
その奮起の声を聴いて、冬優子はその顔を上げる。
冬優子「……ありがとう、あんたたち」
私たちの心は『なんとしても犯人を見つけ出す』、それで一つになっていた。
でも、間違いなくこの中に一人、二人を殺しておきながら大ホラを吹いている人間がいる。
私たちの奮起を茶番だと嘲笑っているのかもしれない。
それならそれでせいぜい今のうちに笑っておけばいい。
今にその顔は苦悶に歪むことになる。
私たちはそれぞれの戦う理由のために、今回も真実を解き明かす。
_____絶対に。
【捜査開始】
567 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 23:05:33.58 ID:7xcqTvao0
-------------------------------------------------
モノクマ「さて、そちらもお話は済んだようですね、それではさっそく参りましょう!」
ピピッ
モノクマが指を鳴らすとすぐに端末が反応した。
私たちもそれに応じて懐から端末を取り出し、画面へと目を落とした。
『被害者は和泉愛依。死因は頸動脈を刃物で裂かれたことにより失血およびショック死。死因となった裂傷は背後から刃物を首筋に沿わして切りつけたような傷跡となっている。衣服にも乱れた様子はなく、目立った抵抗の痕も見られないため、即死だったものと思われる』
ルカ「背後に立たれて、そのまま首を斬られたって感じか……?」
美琴「犯人は不意打ちで殺害したってことなのかな。刃物を持っている犯人を目撃すれば、普通は抵抗するよね」
ルカ「そうなるだろうな……抵抗も何もしないなんてのは流石に考えづらい」
ルカ「それかもしくは、犯人に完全に油断しきっていたパターンか。犯人がまさか殺してくるとは思わず、背を向けたところで突然襲われたとかな」
美琴「そうか……そういう方法もあるんだ」
568 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 23:07:30.88 ID:7xcqTvao0
モノクマ「今回の事件は被害者がお二人なので、両方の情報を記載しています! しっかりと両方に目を通すように!」
『被害者は三峰結華。死因は正面から頭部に強い衝撃を受けたことによる脳挫傷。頭部からは出血も激しく、即死だったものと思われる。死因となった傷のほかに、全身に及ぶ打撲痕があり、一部は骨折もしている』
ルカ「……胸糞悪いな」
美琴「即死だったのに、それに更に何度も殴りつけた痕があるなんて……」
ルカ「よっぽど殺害できたかどうか不安だったんだろうな、夜中に起きた事件で、よく見えてなかっただろうし」
美琴「それにしても酷い……もしかして、犯人は結華ちゃんに恨みでもあったんじゃないかな」
(あいつに恨みだと……?)
(あいつが恨まれるようなことなんてまるで心当たりはないな……)
コトダマゲット!【モノクマファイル3】
〔被害者は和泉愛依。死因は頸動脈を刃物で裂かれたことにより失血およびショック死。死因となった裂傷は背後から刃物を首筋に沿わして切りつけたような傷跡となっている。衣服にも乱れた様子はなく、目立った抵抗の痕も見られないため、即死だったものと思われる。
被害者は三峰結華。死因は正面から頭部に強い衝撃を受けたことによる脳挫傷。頭部からは出血も激しく、即死だったものと思われる。死因となった傷のほかに、全身に及ぶ打撲痕があり、一部は骨折もしている〕
569 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 23:09:41.95 ID:7xcqTvao0
-------------------------------------------------
モノクマ「ほいじゃ、今回も捜査の時間はボクは高みの見物と行きますかね。精々セコセコ頑張って真実求めて駆けずり回れば〜?」
バビューン!!
モノクマもいなくなり、私たちは事件に集中。
今回の事件は二人の犠牲者が出ている、効率よく調べないと前回の事件のゲームの時のように時間オーバーにもなりかねない。
調べる現場は【和泉愛依の病室】と【病院前の駐車場】の二つだよな。
どちらもその【死体周辺】には情報が多く残されている、見落としがないように調べないとな。
そして、病室の方は【割られている窓】も気になる。犯人に繋がる手掛かりは何か残されていないだろうか?
今回は私たちは病院とモーテルに分断されている間に起きた事件だ、双方の情報・状況は整理しておく必要がある。【聞き込み】もいつもより多めにした方がいいかもな。
ルカ「美琴、今回もよろしく頼むぞ」
美琴「うん、こちらこそ」
さて、どこから動くとするか……
570 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 23:11:38.69 ID:7xcqTvao0
安価ミス
今回は病室と駐車場、二つの捜査場所をどちらから先に調べるか選ぶところから始まります
1.病室【愛依の死体発見現場】
2.駐車場【結華の死体発見現場】
↓1
571 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/03/08(火) 23:13:15.29 ID:To/PBRez0
病室
572 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 23:20:06.60 ID:7xcqTvao0
1 選択
-------------------------------------------------
【愛依の病室】
死体発見現場となった病室では、冬優子がせわしなく動いて調査を進めている。
つい先ほどの私たちの協力を仰ぐ大演説の後、彼女自身その言葉に鼓舞されているところもあるだろうが、私にはどこか焦っているようにも感じられた。
自分自身がこの事件の真実にはたどり着かなければならない。
そのモチベーションはプラスでありマイナスだ。
過ぎた義務感は時に視界を曇らせる。
……その曇りを拭い去ってやるのが、私たちの役目でもある。
可能な限り、こいつには協力してやらないとな。
さて、調べるべきところは【和泉愛依の死体周辺】、そして【割れた窓ガラス】だ。
そして、今現在この病室にいる【小学生】、【冬優子】……そして【モノミへの聞き込み】も一応やっておくか……?
-------------------------------------------------
1.死体周辺を調べる
2.割れた窓ガラスを調べる
3.果穂に聞き込みする
4.冬優子に聞き込みする
5.モノミに聞き込みする
↓1
573 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/03/08(火) 23:24:06.94 ID:To/PBRez0
1
574 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 23:26:28.76 ID:7xcqTvao0
1 選択
【死体周辺】
和泉愛依の死体は窓のある壁に力なくもたれかかるようにしている。
流れた血は壁を汚しながら伝い、その床にシミを作っている。
どうやら死亡現場はここで動かされた形跡などもないようだ。
冬優子「愛依のやつ、犯人に押し入られて殺されたのかしらね」
ルカ「……」
冬優子「……何? 変に気使われるとこっちもやりづらいんだけど。大体あんたそういうの苦手でしょ、ルカ」
ルカ「お、おう……」
冬優子「こいつも絶望病なんかじゃなければ犯人の入室をみすみす見逃したりなんか……いや、そうでもないか……」
冬優子「……ホント、どこまでもお人好しなやつだったのよ。このギャルは」
ルカ「……」
冬優子「自分の事なんかそっちのけで他人の事ばっか優先するようなやつで、それでいて本人も気づいてないようなところまでよく見てやがんの。生意気ったらありゃしないわ」
(……こいつ、気丈にふるまってるようでも口を開けば思い出話)
(やっぱり心の中では喪失感から脱しきれてないんだろうな)
冬優子は私たちが捜査することは別段咎める気はないらしい。
真実を追い求めるための協力なら惜しまないという体勢。
その好意には甘えさせてもらおう。
575 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 23:28:16.17 ID:7xcqTvao0
死因となった首元の切り傷……特に不自然な点はないな。
衣服にも目立った乱れはないし、やはり不意を突かれて切られてしまったようだ。
美琴「だいぶ油断をしてたのかな……後ろから首筋を裂かれてるようだけど」
ルカ「不意打ちか……相当に油断してた相手だったか、ってとこだろうな。それこそ気心の知れた相手とか……」
美琴「でも、彼女大体の相手には心を開いてたよね」
ルカ「正直、これじゃ絞れそうにはないな。人の好さに絶望病で判断能力もかなり低下してたと来たら、いよいよ誰でもありだ」
和泉愛依の死体には残念ながら目立った手掛かりはなさそうだ。
その命を奪った犯人の手さばきも相当なものらしい。
ルカ「ちょっと死体動かしてみるか……冬優子、大丈夫か?」
冬優子「え、ええ……いいわよ」
ルカ「……よっと」
死体そのものではなくその付近に何か手掛かりはないか、私と美琴は二人係で丁重に死体を動かして、検証してみた。
死体そのものがあった場所にダイイングメッセージなんてものはないが……死体の影になっていた部分。そこに妙な【水たまり】を見つけた。
576 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 23:31:51.57 ID:7xcqTvao0
ルカ「なんだ? この水……やけに冷てぇ気がするけど」
美琴「窓が開けっぱなしだから冷えちゃったのかな」
冬優子「……というか、この水は一体なんなのよ。どこから来たわけ?」
ルカ「んー……?」
部屋を見渡してその水の出元を探る。
ぐるりと見渡して、自分の記憶とも照らし合わせると、一つだけ心当たりがあった。
ルカ「……これ、もしかしてあの時の花瓶か?」
美琴「……花瓶?」
≪ルカ「だからお前はどこからこんなの持ってきてんだよ!」
透「おー、なんか咲いてんじゃん。めっちゃ」
愛依「こちらのお花はゲッカビジンと言いますの、ほんの一夜のみにその花を咲かせる姿から、その花言葉は『儚い美しさ』……今こうしてお二方と見れたこと、恐悦至極に存じますわ」
ルカ「いや知らねーけど……花をいつ調達していつ育てたんだよ」≫
577 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 23:33:09.90 ID:7xcqTvao0
ルカ「ああ、そうか……あの時は浅倉透との夜番だったから美琴も知らないか。こいつ、病室に何かと持ち込む癖があっただろ?」
冬優子「ちょっと待ちなさいよ、何よその癖」
美琴「癖というか、彼女の症状の一つなんだと思う。目を離したすきに病室にお嬢様っぽい何かが持ち込まれてしまっていることがよくあったの」
ルカ「ティーセットやら、天蓋付きベッドやら……その中の一つに、この花瓶があったんだ」
よく見ると、水たまりの周辺には陶器の割れた破片も散乱している。
欠片はあちらこちらに散らばっているので、復元こそ適わないがその表面の模様には見覚えがあった。
あの時、ゲッカビジンを飾っていたアンティーク調の花瓶のなれの果てがどうやらこれということらしい。
ルカ「犯人と争った時にでも落ちたのか?」
美琴「でも、愛依ちゃんの衣服には乱れはなく、争った形跡もないんだよね? だとすれば、それは落ちた理由としては不自然なんじゃないかな」
ルカ「それはそうか……なら、なんで割れてるんだ?」
冬優子「……妙な話ね、いつ割れたのかわからない花瓶なんて」
コトダマゲット!【割れた花瓶】
〔愛依の病室で割れていた花瓶。前日に愛依が病室に飾ったもので、ゲッカビジンを元々飾っていた。愛依は犯人と争った形跡もないが、一体何の拍子に割れたのだろうか……〕
578 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 23:34:35.95 ID:7xcqTvao0
冬優子「とりあえず、このままにしておくと誰かが踏んでしまってもいけないし片付けておくわよ」
ルカ「おう、頼んだ」
花瓶の破片という手掛かりは一応抑えておいたし、冬優子の片付けの進言をそのまま承諾。
すぐに冬優子はその場にしゃがみこんで破片を集め出した。
(やっぱり、何か行動をしていないと気がまぎれないんだろうか)
そんな下種な勘繰りをするのもつかの間、すぐに冬優子は何か気づいた様子でこちらに向き直る。
その手には何か透明な薄いものを拾い上げている。
冬優子「これ、何かしら……花瓶の破片の中に混ざってたわよ」
ルカ「あ? ……ただのゴミじゃねえのか?」
手に取ってみると、それはビニール袋の切れ端のようなものだとわかった。
花瓶の水に塗れて濡れてしまっているが、それ以上でもそれ以下でもない。
部屋を掃除していたら、どこからともなく顔を出しそうな、そんなありふれた切れ端だ。
579 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 23:35:37.01 ID:7xcqTvao0
冬優子「これだけじゃ特に見覚えも……ないわよね」
ルカ「まあ、な……」
冬優子「捨てちゃってもいい? 役に立ちそうもないし……」
美琴「待って。一応私が回収しておく」
ルカ「美琴……」
美琴「現場にあるものは勝手な判断で除外しない方がいいと思うから。全部集められるものは集めておこう」
そうだった、こいつは妙に慎重なところがあるんだった。
万全な準備ができているステージの前でも念には念を重ねるところがあって、それに私も少し辟易しているところがあった。
久しぶりに見た相方の慎重癖に小さなため息をつきつつ、私もその情報だけは記録しておくことにした。
コトダマゲット!【ビニール片】
〔愛依の病室で割れていた花瓶の近くに落ちていたビニール片。花瓶の中の水をかぶったのか、全体が濡れている〕
-------------------------------------------------
1.割れた窓ガラスを調べる
2.果穂に聞き込みする
3.冬優子に聞き込みする
4.モノミに聞き込みする
↓1
580 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/03/08(火) 23:38:30.41 ID:To/PBRez0
2
581 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 23:41:28.27 ID:7xcqTvao0
2 選択
-------------------------------------------------
【果穂に聞き込み】
今回も事件について情報は他の連中からもかき集めねーとならないな。
特に病院とモーテルの二手に分かれていたさなかに起きていた事件ということもあり、お互いの認識、知っている事実には違いも多々あるはずだ。
私の知らない情報、知っている情報。それぞれちゃんと整理しておく必要がある。
ルカ「大丈夫か、辛かったら無理すんじゃねーぞ」
果穂「ルカさん……いえ、だいじょうぶです! あたしもみなさんといっしょにたたかうので、こんなことで弱音を上げてちゃいけませんから!」
美琴「えらいね、果穂ちゃん」
果穂「え、えへへ……そうですか」
こいつとは私は事件当時、一緒にテレビ通話をしていた。
冬優子と私と一緒にアリバイが確実に存在する人間の一人ということになる。
こいつの視点から見た事件について、確認しておくか。
582 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 23:42:46.81 ID:7xcqTvao0
ルカ「じゃあ、協力してもらうぞ。お前、今回の事件の発生中……私と一緒にテレビ通話をしてたよな」
果穂「はい、ふゆさんといっしょにお話してました!」
ルカ「私がロビーで仮眠をとっているときにこいつらから深夜三時ごろに着信があってな、慌てて繋いだんだよ」
美琴「そんなに遅い時間に……? 何があったの?」
ルカ「確か……中学生と三峰結華が姿を消したんだったか?」
果穂「はい……えっと、ルカさんにはいちどお話したんですけど、そのまえにあたしたちのモーテルで変なことが起きたんです」
美琴「変なこと……」
果穂「寝るときはみんなそれぞれ自分の部屋で寝てたんですけど、深夜になって、だれかがあたしの部屋のドアノブをガチャガチャってひねってきたんです!」
果穂「だれかが来る用事もなかったので、もしかしてだれかがころしにきたのかなって……そう思うとこわくて動けなくて……」
果穂「しばらくじっとしてたら、インターホンが鳴って……それで出てみたらふゆさんだったんです」
ルカ「それで冬優子と合流して、ライブハウスまで来たわけか」
583 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 23:43:50.09 ID:7xcqTvao0
果穂「行く前にあさひさんと結華さんの部屋のインターホンも鳴らしたんですけど、まるで反応がなくて、おかしいので……病院にいるみなさんはなにか知らないかなって思って、急いで連らくしたんです」
美琴「ちょうどそのタイミングで事件が起きちゃったんだね」
ルカ「十中八九そのドアノブを捻ったやつが二人を殺した犯人だな……手掛かりとかは他にねーのか?」
果穂「す、すみません……あたし、こわくて動けなかったので……」
美琴「ううん、大丈夫。果穂ちゃんの選択は間違ってない。下手に部屋を出ていたらそれこそ危険なのは果穂ちゃんの方だから」
果穂「美琴さん……ありがとうございます!」
事件直前にモーテルを訪れていた不審者か……
三峰結華はきっとそいつに襲われてしまったんだろう……
だが、それと同時に行方をくらましていた中学生。
あいつが【狸】だと確定している以上……これが偶然の符合だとは思えないな。
コトダマゲット!【果穂の証言】
〔事件発生前、モーテルの各部屋を何者かが訪問し、ドアノブを捻っていた。恐怖を感じ動けずにいたところ、冬優子が助けに来てくれ、所在のわからないあさひと結華について尋ねるために病院にテレビ通話を繋いだ〕
-------------------------------------------------
1.割れた窓ガラスを調べる
2.冬優子に聞き込みする
3.モノミに聞き込みする
↓1
584 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/03/08(火) 23:53:48.59 ID:To/PBRez0
2
585 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/08(火) 23:55:26.84 ID:7xcqTvao0
時間が厳しくなってきたので本日はここまで。
次回冬優子の聞き込みより再開します。
事件も発生して、3章も後半戦ですね。
毎度のことながら事件について犯人を特定するようなネタバレコメントはできる限りお控えいただけますと幸いです。
次回更新は3/9(水)22時ごろから、捜査パートをやり終えたいですね。
それではお疲れさまでした、またよろしくお願いします。
586 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/03/09(水) 00:14:59.39 ID:3xxdXCM60
>>1
乙!
あさひと結華が居なくなったって聞いた時に
何となく誰が死ぬか予感はしてたけど
前作生存組がどんどん死んでいくなぁ・・・
587 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/03/09(水) 00:51:16.20 ID:zhPbB9Uu0
3
588 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/03/09(水) 00:52:52.26 ID:zhPbB9Uu0
リロードしてなかったわ
愛衣が死んでしまって悲しい
589 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/03/09(水) 02:25:12.71 ID:3xxdXCM60
>>520
むしろ逆だと思う
それだと1章ラストでルカが感じた
「月の形が変わらない」って違和感の説明がつかないのと
もしも仮に前作が仮想世界で透がそこから復活出来たとしたら
(そもそも透は前作1章の被害者)
生き残り組を含めた味方達に色々話を聞かされていないはずがないと思うし
>>507
の2章の動機であるゲーム内のコロシアイを知らないと辻褄が合わない気がするんだよね。
590 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/03/09(水) 09:35:34.02 ID:LTu2ZLeW0
自分語り乙
591 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 21:59:40.23 ID:igcFWV240
2 選択
-------------------------------------------------
【冬優子に聞き込み】
ルカ「……なあ、冬優子。今ちょっと大丈夫か?」
冬優子「え? ……ええ、何? 何かふゆに訊きたいことでも?」
ルカ「私たちが病院にいた間、モーテル組が何をしてたのか聞きたいんだけどよ」
私たちはここ数日この病院に籠りっぱなしで看病していたため、その外で何が起きていたかについてはまるで情報を持っていない。
朝と晩の定期通信もあったが、限られた時間で話すことも絞られていてはこちらの知らないこともあるだろう。
モーテル組の動向をたずねるうえで、冬優子以上の適任はいない。
冬優子「そうね……といっても、特になにも無いわよ? ふゆと結華であさひと果穂ちゃんの面倒を見てただけで、変わったことも何も」
ルカ「そうなのか?」
冬優子「あさひがやりたいって言うことに付き合ってやるのが主だったかしら。花火とか、虫取りとか……やりたくもないけど付き合わされたわね」
美琴「事件の前日には何をしたの?」
冬優子「昨日は……そうね、四人で一緒に海に行ったわ。あさひが泳ぎたいっす〜って言いだすから、二人を泳がせてふゆと結華はビーチでパラソル広げて寛いでた」
冬優子「……あの時、もっと結華と話しとけばよかったのかしらね」
ルカ「……」
冬優子「冗談、気にしないで。ふゆから話せるのはこんなとこだから、もっと別のとこ調べなさい」
なるほど、病院の外の連中はほとんど行動らしい行動はしてなかったらしい。
私たちが戻ってくるまでの間の面倒を見ることで終始していたようだ。
あの年下二人が不安に感じないように、必死に日常というものを守り続け、その結果三峰結華は命を落とした。
……なんともやるせないものを感じるな。
コトダマゲット!【冬優子の証言】
〔隔離生活が始まってから、モーテル組はほとんどあさひと果穂の面倒を見るので手いっぱいだった。事件の前日にも、二人を連れて海で遊んでいたらしい〕
-------------------------------------------------
1.割れた窓ガラスを調べる
2.モノミに聞き込みする
↓1
592 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/03/09(水) 22:02:27.44 ID:3xxdXCM60
1
593 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:04:46.19 ID:igcFWV240
1 選択
-------------------------------------------------
【割れた窓ガラス】
この部屋に入って死体と同じくらいに目につくのが、この窓だ。
乱暴にこじ開けられたであろう窓は、ギザギザの鋭利な断面が剥き出しになっており、指を少しでも触れようものなら鮮血が流れてしまうだろう。
美琴「大胆な犯人だよね、窓ガラスを割っちゃうなんて」
ルカ「おう……音もかなり大きかったし、だいぶ乱暴したみたいだな」
美琴「これまでの二つの事件とは少し毛色が違うね、やっぱり」
七草にちかと田中摩美々。私たちはこれまで二つの事件を経験し、彼女たちの犯行を全て解き明かしてきた。
だが、ここまでの『悪意』を感じる凶行は初めてだ。
明確に犯人がその手を汚し、己がエゴイズムのために重ねた犯行。それを象徴するのがこの割れた窓ガラスだ。
しかし事件を解き明かす上ではその『悪意』も重要な手掛かりになるはずだ。この割られた窓に隠された真実を私たちの手で突き止めねば。
美琴「ガラス窓が割られた時、ルカは冬優子ちゃんと果穂ちゃんの二人とテレビ通話を繋いでたんだっけ」
ルカ「おう、あいつらから緊急の連絡があってな。ちょうどそのタイミングで背後からこの窓が割れるでけー音がしたんだよ」
美琴「その音自体は二階にいた私たちも気づいたな、汗をかいてたからそれを拭ってから階段を下りたんだけど」
ルカ「汗をかいてた?」
594 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:05:46.75 ID:igcFWV240
美琴「事件当時……深夜三時ごろだよね。私と智代子ちゃんは非番だったから、仮眠室で寝ることになってて」
ルカ「……あ? なんか変な言い方すんな」
美琴「うん、私は……寝てなかったから」
ルカ「はぁ? お前、何してたんだよ! ……まさか」
美琴「なんだか目が覚めちゃったから、会議室を使わせてもらって自主練をしてたかな」
ルカ「はぁ……練習熱心もそこまで行くと病的だな」
美琴「流石にボイスレッスンはしてないよ。他の人を起こしてもいけないから」
(それでこいつは到着が遅かったのか……)
ルカ「ただまあ、練習中だった美琴ですら気づくぐらいには音は大きかったってわけだな」
美琴「うん、病院内にいた人なら確実に聞いたはずだよ」
ルカ「……」
美琴「ルカ?」
595 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:06:55.41 ID:igcFWV240
ルカ「ああ、いや……犯人のやつ、連続殺人なんて結構なことをする上に……大きな音まで鳴らして豪胆な野郎だなと思ってよ」
美琴「……でも、脱出にはこの窓しかなかったんでしょ? 大きな音を鳴らしてでも逃走したかったんじゃないかな」
ルカ「……なんだかモヤモヤするんだよな」
ロビーでは私が寝ていたし、窓の他に出入りできるような場所はこの病院内には存在していない。
そうなれば音を鳴らすリスクを踏んででも窓を叩き割るしかなかった。
その理論自体はわかるんだが、この釈然としない感じはなんなんだ?
今回の事件は連続殺人、私の目の前で二人の命が奪われた。
これだけの大きな殺人なのだから、どうやっても目撃者が生まれてしまう危険性があると思うが……
今回の犯人は目撃されることをそこまでのリスクとして踏んでいないように感じる。
あんな音を鳴らすよりは、ロビーで寝静まっている私のそばを通過する方がまだマシな気もする。
……考えすぎか?
コトダマゲット!【割れたガラス窓】
〔和泉愛依の病室の窓は犯人によって割られており、脱出経路に使われたものと思われる。事件当時、ルカをはじめとした病院にいるすべての人間がその割れる音を聞いていた〕
596 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:08:03.30 ID:igcFWV240
美琴「犯人はこの窓から出て行ったんだよね?」
ルカ「ああ、私が現場に駆け付けた時には病室の扉は閉まってた。特に怪しい様子もなかったし、出て行ったならそこの窓だろうな」
美琴「……ちょっと窓から外を見てみるね」
ルカ「首、切らないように気をつけろよ」
私の言葉に応じて美琴は慎重にその首を窓から外に出した。
なるほど窓が割れてできた空間は人一人が出入りするには十分な大きさだ。
よっぽどトチらない限りはケガもせず出て行けるだろう。
ルカ「何か怪しいもんとかあるか?」
美琴「……窓を出てすぐの所にガラスの破片が落ちてる。窓の割れた破片だね」
ルカ「犯人が割った時にそのままになってるんだろうな」
美琴「回収する時間も何もなかっただろうし……隠す必要性もないもんね」
ルカ「……ん? 窓の破片は外に落ちてるんだよな?」
美琴「え? うん……」
ルカ「窓の外側に破片が散らばってるってことは、病室の内側から外側に向けて割ったことになる。いや、脱出のためなんだから当然っちゃ当然なんだけど……」
美琴「……それができるのって、病院内の人間だけだよね」
ルカ「そういうことになるな……」
(病院にいた連中……アリバイは不透明な部分が大きいが……まさか……?)
コトダマゲット!【窓ガラスの破片】
〔愛依の病室の窓、その外側に落ちていた破片。犯人は病室内から外に向けて窓を割り、脱出を図ったものと思われる〕
597 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:09:35.53 ID:igcFWV240
美琴「……」
ルカ「まだ何か気になるもんでもあんのか?」
美琴「暗くて見づらいけど……向かいの茂みに……何か茶色いものが見えるの」
ルカ「茶色……?」
訝しんで私も美琴の脇から首をのぞかせた。
まだ日も登らない深夜も深夜、視界はかなり悪いがじっと目を凝らすとぼんやりその影が浮かび上がってきた。
茂みの根本あたり、低木の幹に身を隠すようにしておかれているのは【ガムテープ】のようだ。
ルカ「くしゃくしゃに丸め込まれてるけど……あれ、なんなんだ?」
美琴「病院の設備が転げ落ちた……わけではなさそうだよね」
ルカ「……ぱっと見、血が付着しているような感じでもないよな」
美琴「うん、ただ使用済みのガムテープを丸めてるだけみたいに見える」
(……犯人が何かに使ったのか?)
コトダマゲット!【ガムテープ】
〔愛依の病室の向かいの茂みに落ちていたガムテープ。ぎゅっと丸め込まれていたが、特に血痕が付着している様子はない〕
-------------------------------------------------
【選択肢が残り一つになったので自動進行します】
598 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:11:49.28 ID:igcFWV240
-------------------------------------------------
【モノミに聞き込み】
……実は、さっきから部屋の隅で妙なものが目についていた。
私たちの目から隠れようとしているのか、それとも気づいてもらいたくて気をひこうとしているのか、
角にたまった埃のように背を向けて押し黙っているピンクの物体。
ルカ「……モノミ、何やってんだてめェ」
モノミ「い、斑鳩さん……ど、どうも……」
ルカ「どうもじゃねえよ、なんで事件現場にてめェがいんだ」
モノミ「えーっとでちゅね……今回の死体発見アナウンスが鳴った時に、あちし背筋がゾワゾワってしたんでちゅ。あちし、医療ミスやっちゃったのかなって」
美琴「……医療ミス?」
モノミ「はい……もしかして、あちしのせいで死んじゃったのかなってすごく不安になって……」
ルカ「……ああ、それで怖くなって確かめに来てたってわけか」
599 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:13:05.20 ID:igcFWV240
美琴「ルカ……? モノミの言う医療ミスって何?」
ルカ「そうか……美琴たちは知らねえんだな。実は昨日……一度ナースコールが鳴ってるんだ」
美琴「え……?」
ルカ「鳴らしたのは放クラの小金持ち。あいつ、容体が急変して心停止まで行ってたんだよ」
モノミ「はい、それで治療のためにあちしが病室に駆け付けて……なんとか助け出すことができたんでちゅ。ペースメーカーを使って心拍を確保したんでちゅよ」
美琴「ペースメーカー……よく聞く言葉ではあるね」
ルカ「おう、優先席の近くでは携帯電話を使うなってあれだ。電波の干渉を受けやすいらしいからな」
モノミ「でも……それから数時間と経たないうちに死体発見アナウンスがなっちゃったので、あちしがやらかしたのかと思って……」
美琴「……そんなことがあったんだ」
ルカ「まあ当の本人はモノクマに病気を治してもらってピンピンしてるけどな」
モノミ「有栖川さんが亡くなったんじゃなくて安心する部分と、二人が亡くなってショックな部分とが入り混じって複雑な感情でちゅ……」
ルカ「……その安心はあんまり口に出すんじゃねーぞ」
コトダマゲット!【モノミの処置】
〔事件前夜、夏葉の容態が急変してナースコールが鳴った。心停止にまで陥っていたため、ルカたちはモノミを呼び出して治療を要求。ペースメーカーを使うことでなんとか一命をとりとめた〕
600 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:17:20.43 ID:igcFWV240
ルカ「病室で調べられるのはこれくらいか……」
美琴「ルカ、今回はもう一か所事件現場があるよ」
ルカ「おう、移動するか」
今回は時間もかつかつ、効率よく立ち回らないといけない。
区切りのいいところで腰を上げて顔を持ち上げると、冬優子の後ろ姿が目に入った。
冬優子「……」
ものも言わずに体を無理やりにでも動かしながら捜査している。
その後ろ姿には哀愁と執念をないまぜにした感情が炎のように揺らめいている。
今回は、あいつにとって特別な意味のある戦いだ。
私を友達として承認したあいつを、放っておくわけにはいかないな。
ルカ「……よし」
自らの頬をぴしゃりと叩いて、私はその場を後にした。
601 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:19:12.11 ID:igcFWV240
-------------------------------------------------
【病院前駐車場】
病院の前にはコンクリートの舗装がされたそれなりに広い敷地があり、白線でしっかりと駐車スペースも確保されている。
その所々からは雑草が固い舗装を突き破って顔をのぞかせる。
そんな文明と自然のせめぎあう冷たい地面の上で、三峰結華は自らの赤い体液の上に横たわり、黙りこくっている。
恋鐘「結華……うち、ここ数日の記憶がほとんどなかよ……摩美々が死んで、ふさぎ込んでしもうた結華に戻ってきて欲しくて、毎日毎日結華が好きやった料理ば作って待っとって……」
恋鐘「やっと顔を出してくれたその日に、うち病気になってしまったばってん……なんだか結華に会ったの、すごく久しぶりに感じるばい……」
(……)
アンティーカは連続でメンバーを失ってしまい、更には長崎女は病気にかかっていたのでここ数日の記憶も定かではない。
こいつの感じている喪失感たるや、これまでの私たちとはまた別の辛さがあるだろう。
恋鐘「……結華がなんで死んでしまったのか、うちも絶対知りたか」
だが、それでもこいつは冬優子に発破をかけられて立ち上がった。
相当な覚悟だったと思う。実際、こいつの手には何度も抓ったような跡がある。
きっと悲しみや苦しみがこみあげる度に、痛みでそれを上書きしようとしていたんだろう。
別に同情や憐憫ではない、これは私が生き残るためというのが第一。
その過程で、こいつに与する必要があるのなら、それをするだけ。
ルカ「……手、貸すぞ」
恋鐘「ルカ……ありがと〜〜〜〜!」
-------------------------------------------------
1.死体周辺を調べる
2.智代子に聞き込みする
3.透に聞き込みする
4.美琴と相談する
↓1
602 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/03/09(水) 22:21:38.28 ID:R/hkPNTX0
1
603 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/03/09(水) 22:22:10.76 ID:3xxdXCM60
1
604 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/03/09(水) 22:22:46.67 ID:rE62Lum50
1
605 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:23:31.45 ID:igcFWV240
1 選択
-------------------------------------------------
【死体周辺を調べる】
ルカ「流石に痛ましいな……」
首筋の切り傷一つで命を落とした和泉愛依とは対極に、三峰結華は残忍さが際立つ殺し方がされている。
モノクマファイルの記述にもあった通り、命を奪う直接の原因となった正面からの殴打痕だけでなく、全身のいたるところに及ぶ打撲や骨折。
犯人のやつ、殺意という殺意をぶつけていったらしい。
恋鐘「犯人、結華に何か恨みでもあったと……?」
ルカ「私の目から見ても、あいつは特に誰かに恨まれるような性格はしてなかった気がするけどな。……ま、人の感情なんか推し量ったところでわかりゃしねえんだけどよ」
そんな激しい加虐の痕跡を辿っていると、一つ違和感を覚えた。
これほどまでに全身に殴打をされていて、まして顔の正面から殴りつけられているというのに、こいつの特徴的な要素の一つ・メガネは全くの無傷なのだ。
フレームすら歪んでおらず、レンズも割れてもいない。
ルカ「妙だな……これだけ殴られればメガネも壊れてそうなもんだが」
恋鐘「事件当時はかけとらんかったと?」
美琴「でも、今はかけてる……」
ルカ「偽装工作の一つってことか……?」
でも、この事件は私の目の前でリアルタイムに起きたもの。そんな周到に何か細工をするような時間はなかったはずだ。
メガネを奪ったうえで殴って、殺害した後にまた戻すなんて工程を踏む必要がどこにある?
ルカ「……覚えておいた方がよさそうだな」
コトダマゲット!【結華のメガネ】
〔結華の死体がかけていたメガネ。普段から着用していたものと同一で、本人の物。結華は全身を殴打されて殺害されていたものの、メガネはフレームも歪んでおらずレンズも全く割れていない〕
606 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:24:27.54 ID:igcFWV240
ルカ「……うっ」
今回の三峰結華の死体はこれまでのいずれよりも凄惨だ。
血に塗れたその体、いざ調べようと思ってもどうも尻込みしてしまう。
恋鐘「ルカ、ちょっとどかんね」
そんな状況でも、やはり一番の理解者だったであろうユニットの仲間はまるで怯まない。
手が止まった私を他所にやり、てきぱきとその体を調べていく。
恋鐘「モノクマファイルの情報とほとんど一緒ばい……傷跡、死因……どれも間違いはなさそうたい……」
恋鐘「……あれ」
ルカ「ど、どうした?」
恋鐘「……ルカ、これなんやろ? ちょっと見てくれんね」
607 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:25:30.05 ID:igcFWV240
そういって長崎女が摘まみ上げたのは、三峰結華の服にわずかに付着していた繊維のようなもの。
どうやら静電気か何かで引っ付いていたようで、青い糸のようなものは夜風に靡いている。
ルカ「……こいつの服、上下どっちもこんな色合いじゃねえな」
恋鐘「なにかがほつれた後の繊維みたいに見えるばい……もしかして、犯人の服やったりすると?」
ルカ「……いや、どうだろうな。こんな風に繊維がはがれて付着するなんて、それこそ密着でもしない限りはあり得ないだろ。犯人と抱き合ったわきゃねえしな」
恋鐘「……確かにそうやね」
今私が口にした通り、自分の衣服以外の繊維が付着することなどそうそうある話ではない。
布と布がこすれあわない限りは普通起きない現象だ。
モーテルにいた三峰結華なら、小学生と中学生の相手でもしかすると付着することはあるかもしれないが……今は深夜。
流石に日中とずっと同じ服を着ているわけではないだろう。
ルカ「いったい、なんの繊維なんだ……?」
コトダマゲット!【青い繊維】
〔三峰結華の衣服に付着していた青い繊維。本人の服のいずれとも異なるが、繊維が付着するには衣服同士がこすれあう必要があるため、出所が不明〕
-------------------------------------------------
1.智代子に聞き込みする
2.透に聞き込みする
3.美琴と相談する
↓1
608 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/03/09(水) 22:28:13.46 ID:3xxdXCM60
2
609 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:30:21.63 ID:igcFWV240
-------------------------------------------------
【透に聞き込み】
浅倉透……こいつとは事件が起きる前に一つ話をした。
こいつの今抱え込んでいること、そのものを聞き出すことはできなかったがこいつが敵ではないことは十分に理解した。
いつかその腹の内をこいつが明かす日を待って、双方歩み寄っていく必要がるという結論だ。
ルカ「おい、話聞いてもいいか」
美琴「……ルカ」
美琴はまだ警戒を解いていないようだが。
七草にちかの死に際がずっと尾を引いている悪印象、この二人の和解もいつか仲介せねばならないなと思う。
袖を引っ張る美琴を一時黙らせ、私は浅倉透のそばによる。
透「ん、何?」
ルカ「いや、なんだかお前が深く考え込んでるのが見えたからよ。何か思いついてるんじゃないかって」
透「あー……思いついたって言うか、思い出した?」
ルカ「思い出した?」
610 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:30:58.37 ID:igcFWV240
透「うん……あれ、知らない? 今回の事件の手口、多分あれと関係してるんだけど」
ルカ「まるでこっちは見当もついてねえんだ、さっさと言いな」
透「……【映画館】。後で行ってみなよ」
映画館……この島が解放されてすぐに一回行ったきりだ。
確かモノクマ自主製作のクソみたいな映画を公開してるんだったか。
そういえば浅倉透はちょうど私たちが立ち寄ったタイミングで映画を観終わって出てきていた。
もしかして、こいつの言う『思い出した』ってのは、何か映画の内容と関係してるのか?
ルカ「……美琴、捜査に目途がついたら映画館に行ってみるぞ」
美琴「……うん」
ルカ「美琴?」
美琴「……なんでもないよ」
-------------------------------------------------
1.智代子に聞き込みする
2.美琴と相談する
↓1
611 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/03/09(水) 22:32:39.19 ID:3xxdXCM60
1
612 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:34:47.91 ID:igcFWV240
1 選択
-------------------------------------------------
【智代子に聞き込み】
甘党女、こいつは事件当時美琴と同じで非番だったので仮眠室で休んでたはずだ。
情報としては私の方が持っていそうなもんだが、万が一ということもあるしな。
一応話だけは聞いておくか。
ルカ「よう、捜査は進んでるか」
智代子「ルカちゃん……大変だったね、夜番のタイミングでこんなことが起きちゃって」
ルカ「おう……お前は事件当時、仮眠室にいたんだったか?」
智代子「うん、今晩はお休みを貰ってたからね。ゆっくり眠らせてもらってました」
ルカ「それじゃあ何も見てないし、聞いてもないか……精々捜査頑張れよ」
智代子「えっ、は、早くないですか!?」
ルカ「いや、だっててめェは事件当時寝てたんだろ? なんも使える話も持ってねぇだろ」
智代子「い、いやいやいやいや! あるから、あるから、話!」
ルカ「はぁ……んだよ」
613 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:36:16.89 ID:igcFWV240
智代子「といっても事件の前……あの大きなガラスの割れる音がする前の話なんだけどね。気になるものを見たんだよ!」
ルカ「え? でもお前、仮眠室にいたんだろ? 誰とも会わずに」
智代子「それはそうなんだけど……あの部屋にもほら、窓があるでしょ? その窓から見えたんだ!」
(仮眠室の窓から……?)
智代子「すっかり私も眠りに落ちちゃってて、寝息を立てながら寝てたんだけど……しばらくしたら、窓の外からなんだか機械音みたいなものが聞こえてきてね」
智代子「それで何が起きてるのかなって窓の方に近づいて目を凝らしてみたの。そしたら……そしたらね!?」
智代子「な、なんと……UFOが窓の外を飛んでたんだよ!?!??!?」
ルカ「……」
智代子「な、なんでそんなに反応が薄いの!?」
ルカ「……いや、別に。お前は呑気で羨ましいなって」
智代子「の、呑気……でも本当に見たんだからね!? 窓の外を光りながら浮いたり沈んだりしてる飛行物体があったんだって!」
ルカ「なあ、私は一応事件に関係する話を聞きに来たんだ。その頓知来な目撃証言はそれに類するもんなのか?」
智代子「え、えーっと……」
ルカ「……はぁ」
やたら食い下がってきやがったからちょっとは期待したんだが、これは期待外れだったな。
事件は私の目の前で起きたんだ。やっぱり頼りになるのは自分の目、ってことか……
コトダマゲット!【智代子の証言】
〔事件が発生する前、窓の外にUFOを見た。光りながら浮いたり沈んだりする飛行物体はどう考えてもUFOに違いない(本人談)〕
-------------------------------------------------
【選択肢が残り一つになったので自動進行します】
614 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:38:07.13 ID:igcFWV240
-------------------------------------------------
【美琴と相談する】
ルカ「美琴、何か気になることはないか?」
美琴「気になること? 捜査自体はルカと一緒にしてるから情報に差はないと思うけど……そうだ、一つ気になると言えば【絶望病】についてかな」
ルカ「今回の動機……そのせいで私たちはこんな状況に追い込まれてるわけだが」
美琴「騒ぎが起きたのはちょうど二日前だね。発症者は恋鐘ちゃん、夏葉さん、愛依ちゃん、雛菜ちゃんの四人。レストランに全員集まって、そのまま入院に至った」
ルカ「そこからは病院とモーテルの二手に分かれて隔離生活だったな」
美琴「絶望病は元の性格とは大違いな性格になってしまう症状を伴う高熱性の病気。それぞれの症状については良く知ってるよね」
ルカ「ああ、あんだけ散々看病させられたらな」
美琴「それにしても、モノクマはどうやって全員をあんな瞬時に治療したんだろうね」
ルカ「……考えても仕方がねえだろ、あいつの行動に説明がつかないのはこれに限った話じゃない」
美琴「……絶望病なんて病気そのものもそうだし、モノクマの科学力や資金力は現実離れしすぎてる」
ルカ「……」
美琴「……ごめん、ここから先を考えるのは今やるべきことじゃなかったよね」
ルカ「おう、ひとまずは今回の動機として絶望病がふりまかれた、そのことだけ抑えておけ」
コトダマゲット!【絶望病】
〔モノクマによって二日前に島内に持ち込まれた未知の病気。恋鐘、夏葉、愛依、雛菜が発症し、そのまま入院することとなった。恋鐘は標準語病、夏葉はぐうたら病、愛依はお嬢様病、雛菜はネガティブ病とそれぞれの本来の性格とは魔反対とも言うべき性格になってしまった〕
615 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:39:54.78 ID:igcFWV240
-------------------------------------------------
さて、事件現場での捜査は大体やり終えたか。
和泉愛依と三峰結華、二人の命を奪った犯人に少しは近づけているんだろうか……
まだ先の見えない不安を抱きながら、私たちは足を進めた。
次に向かったのは浅倉透が事件との関連を示唆した施設、【映画館】。
私たちは島が解禁されて以来まるで寄り付いていなかったが、映画を鑑賞したことのある浅倉透には何か思い当たる節があるらしい。
つい昨晩、あいつは私たちの間に信頼を勝ち取るためにできることをすると宣言したばかり。
……今のあいつなら、きっと信用に足る。
映画を見るとなると相当に時間を食うが、これに賭けてみる価値はあるだろう。
-------------------------------------------------
616 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:41:05.87 ID:igcFWV240
-------------------------------------------------
【映画館】
モノクマ「あれあれ? お二人さんどうしたの、事件の捜査に飽きちゃったカンジ?」
ルカ「ちげーよ、これも捜査の一環だ」
美琴「……」
モノクマ「ふーん……まあいいや、それより、ここにわざわざ足を踏み入れたってことは……そういうことなんだよね?!」
ルカ「……おう、さっさと入れろ」
モノクマ「分かりました! ……と、言いたいところなんだけどね」
モノクマ「この映画館ではチケットを購入してもらわないと中には入れないシステムになってます。ああ、お代は特に必要ないんだけどね?」
モノクマが指さして見せた先には自動券売機。
料金もないというのに二度手間じゃなかろうか。
とはいえこんなところでクレームをつけるのも時間が惜しい。
指示に従ってすぐに券売機の前へ。
617 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:42:10.99 ID:igcFWV240
ルカ「えっと……チケット、大人2枚だな」
『人数分の電子生徒手帳をかざしてください』
ルカ「……あ?」
美琴「どうやら購入には電子生徒手帳を読み込む必要があるみたいだね」
ルカ「……ったく、めんどくせえな」
ピピッ
『以上でよろしければ精算ボタンを押してください』
支払いも何もないのに電子生徒手帳をかざす意味などあるのだろうか。
そんな風に疑問を抱きつつもボタンを押して精算へ。
すぐに機械音と共にゆっくりとチケットが発行された。
チケットには『モノ太郎〜THE MOVIE〜 イカルガルカ 1カイメ』と刻印されていた。
ルカ「……回数?」
美琴「私の方にも『アケタミコト 1カイメ』って書いてあるね。さっきの電子生徒手帳はこの刻印のためだったみたいだね」
わざわざ律儀に回数まで刻印してご丁寧なことだ。
どうせ見終わればこんなチケット破り捨ててしまうというのに。
618 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:43:39.35 ID:igcFWV240
美琴「……あれ?」
もはや呆れかけていたところ、券売機がまた動き出した。
チケットの排出口からさらに2枚の紙片が吐き出されたではないか。
ルカ「これ……ステッカーか?」
『おめでとう! キミは伝説への第【1】歩を踏み出した!
モノタロウステッカー獲得まであと4回』
丸の形をしたペラペラの紙は裏面が剥がせるようになっており、粘着面が顔を出す。
冷蔵庫やらなんやらに子供が貼り付けるようなそれだ。
その性質はともかくデザインがモノミを模したような犬なので到底使う気にはならないが。
モノクマ「それは来場者特典のステッカーだよ! モノ太郎の映画の出てくる人気キャラクターがデザインされててね、オマエラの見た回数に応じてステッカーもグレードアップするんだ!」
ルカ「……はぁ」
モノクマ「5回目の来場者特典はすごいよ……なんたって全面ホロレアリティ仕様でね、更には立体視を利用して……」
(……引くほど興味ないな)
どうやら自動券売機で電子生徒手帳を読み取るのはその無価値なステッカーの配布のための工程だったようだ。
延々つらつらと誰も聞く気のない最後の来場者特典とやたの説明を続けるモノクマを他所に、私たちは劇場入場口へと向かった。
あいつの話をまともに聞いていたら時間がいくらあっても足りゃしねえ。
……この来場者特典のシール、マジでいらねえな。
コトダマゲット!【入場者特典】
〔映画館で映画を見る際、電子生徒手帳を読み取ることで発行されるステッカー。見た回数に応じてステッカーのデザインが変化する仕様。1回目の視聴では犬のデザインだった〕
619 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:45:24.55 ID:igcFWV240
-------------------------------------------------
【映画館 劇場内】
映画館の中はそれなりの広さ。
この島にいるのは16人だが、その5、6倍はあろうかという座席数。
適当に私と美琴は中央に腰かけて、その上映を待った。
すぐにジーッという音と共に場内の照明が落ち、目の前のスクリーンに映像が流れ始めた。
○●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇
『モノ太郎 〜THE MOVIE〜』
『昔々ある所に、おじいさんとおばあさんが暮らしていました。おじいさんは若くしてその両親を失ったものの、元々生まれは良く多額の生命保険を受給することができたので、この年になるまでろくに苦労もせずにぬくぬくと暮らしてきました』
『おばあさんは特に何かが秀でているという訳ではなかったものの、単純に顔がこの身だという理由でおじいさんに拾われ、おばあさんもその資産を利用するという目論見で結婚を受け入れました』
『そんなお互いに愛のない関係が何十年と続き、子どももいよいよこの年まで設けることもなく、漫然と日々を過ごしていました』
620 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:47:54.20 ID:igcFWV240
『ある日おじいさんはグリーンカントリーでキャディーにセクハラをしに、おばあさんは公民館で老人会で老後の資産マウントを取りに出かけました。そんな日の帰り道、おばあさんが八百屋さんの軒先に並んだ一つの大きな大きな桃を見つけたのです』
『お姉さん! こいつは今日仕入れたばかりの新鮮な桃でね、まるで生き物が入っているみたいに表面が脈を打ってるんだ。どうだい、食べてみたら若返るかもしれないぞ!』
『流石にその桃は不気味に感じはしましたが、毒見におじいさんに食べさせればいい、死んでしまえば資産が転がり込んでくる。そう思いおばあさんは購入を決意し、その日の晩の食卓に並べました』
『おじいさんや、今日は変わった桃を買ってきたんですよ。今ここで切って食べてみませんか?』
『食卓の上に載った桃はまるで命を宿しているかのように脈を打っています。おじいさんも流石に驚いた様子ですが、ゲテモノをたまには食べてみるのもいいだろうと桃を食べることに賛成しました。そこで、おばあさんが包丁を振りかざしたその直後』
『ミギャアアアアアアア!』
『激しい断末魔とともに、桃の中からそれはそれは可愛らしい、白黒ツートンカラーのたまのようなクマが生まれてきたのです。モノクロカラーの愛らしいクマは自らをモノ太郎と名乗り、おじいさんとおばあさんの前に仁王立ちしました』
621 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:48:57.80 ID:igcFWV240
『こんな腐った老害がのさばっているなんて、きっと行政のトップが鬼のように心の濁り切った不細工なビール腹のやつなんだろう』
『正義に生まれ正義に生きるモノ太郎は老害夫婦にすぐに愛想をつかし、貯蓄していた食料を根こそぎかっさらって永田町まで行くことにしました』
『途中でモノ太郎の正義の心に感化された動物たちが仲間にしてくれと懇願してきました』
『最初に声をかけてきたのはワンちゃんでした。わんわん! あちしも正義のために戦いたいでちゅ! あちしの鼻はよく利くんでちゅ、不正だってすぐに嗅ぎつけまちゅよ! お腰につけたお団子を一つ貰ったら、あんたのために全力を尽くしまちゅ!』
『犬畜生がキャンキャンと喚いて耳障りなので、咽喉を掻っ捌いて殺しました』
『次に声をかけてきたのはおサルさんでした。ウッキッキー! あちし、あんたに惚れまちた! あんたの正義の心は本物でちゅ! その腰に付けた団子を一つ貰えればあんたと一緒に乗り込んで、議場内を引っ掻き回してやりまちゅよ!』
『エテ公が何を勘違いしたのか、図が高いので真正面から撲殺しました』
『最後に声をかけてきたのはキジさんでした。ケーン! あちし、この空と同じように世界にも自由を取り返したいんでちゅ! あちしの目は鷹にも負けないんでちゅ、どんな悪行だって見逃さないんでちゅよ! あんたから団子を貰えれば、偵察だって巡回だってお手の物でちゅ!』
『害鳥が病原体を媒介してはいけないので、焼いて殺しました』
『そしてとうとうモノ太郎は議事堂に辿り着きました。中ではたくさんの鬼のような政治家たちが、自分たちの利益のためにレスバトルに勤しんでいます』
『やい! 政治家たちがちゃんとしないから、いつまでも老害連中の声がでかいんだ! ちゃんと政治家なら市民のための政治をしろ!』
『モノ太郎の演説に胸を撃たれた政治家たちはすぐに改心し、額を地面にこすりつけて謝罪しました。モノ太郎は彼らからなんやかんやで賠償金をむしり取り、老後は不労所得で穏やかに暮らすことができましたとさ。めでたしめでたし』
『〜FIN〜』
○●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇
622 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:50:02.10 ID:igcFWV240
ルカ「……」
美琴「……」
上映が終わった後の私たちは完全な無言だった。
退屈をとことん突き詰めると、最終的には嫌悪感を通り越して吐き気まで覚えるということを私はこの日初めて知った。
この映画を見るために時間を費やすというのは、人生で考えられ得る限り最低の時間の潰し方だ。
私たちはそのまま無言のままに劇場を後にした。
コトダマゲット!【モノクマの映画】
〔第3の島の映画館で上映されていたモノクマの自主製作映画。主人公のモノ太郎が犬を咽喉を掻っ切って殺し、サルを撲殺し、キジを焼き殺し、最終的に自分だけ得をして終わるという退屈この上ない映画〕
623 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:51:25.67 ID:igcFWV240
-------------------------------------------------
キーンコーンカーンコーン……
『えー、覆水盆に返らずなんて言葉がございますが、あの言葉を作り出したやつって絶対つまんないやつだよね』
『溢れた水は二度と盆に戻らない? やれやれ、ボクくらいになると物事を大局的に見るからね。あらゆる可能性を考慮するんだ』
『もし宇宙で水を溢したなら水はむしろ宙に浮くから、盆に返すのは簡単だよね。もしエッシャーの騙し絵だったなら溢れた水はどこかで盆に繋がっているからそもそも返す以前の話だよね』
『大事なのは発想の転換。凝り固まった考え方では見えるものも見えてこないってことだよね!』
『はてさて、オマエラの頭はどれだけ硬いのか、それとも軟いのか……見させてもらいましょうか!』
『時間だよ〜! 中央の島のモノクマロックまで集まってたも〜〜〜!』
……タイムアップだ。
夜も明けないまま真実を追い求めて奔走したが、その成果はあったのだろうか。
今はまだこの手に握られているものの持つ意味もわからないし、解答に行き着くための道筋も見えていない。
暗闇の中の綱渡りをするような感覚に、思わず背筋に冷たいものを感じてしまう。
「……だからなんだってんだ」
嫌というほど知り尽くしている。世界は一人のために動いたり、一人のために緩んだりはしない。
ただそこに事実を並べ、ただ非常に時計の針を進める。
臆していればズンズンと処刑台が迫ってくるだけ。
それなら、その速度に振り落とされないように私も世界にしがみつくだけだ。
624 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:53:38.11 ID:igcFWV240
-------------------------------------------------
【中央の島:モノクマロック】
これでここに来るのも3回目。
不恰好なモノクマを模した岩石像を見るのも、恐怖と不安に慄く連中を見るのも三度目。
……後者は、見るたびにその数を減らしているが。
冬優子「……絶対に逃がさないんだから」
恋鐘「うちがやるしかなか……うちがやらんといけんばい……」
今回の事件はこれまでのケースと別。純然たる悪意を節々に感じる凶悪な連続殺人だ。
慄く連中の中でも仇討ちに熱り立つ姿がよく目立つ。
その熱に当てられたように、私は自然と冬優子に話しかけていた。
ルカ「冬優子、準備は万全か」
冬優子「イエスとは言い難いけど、『やるしかない』でしょ? 手、貸してもらうわよ」
ルカ「千雪とは違った意味でお前も大概図々しいよな」
冬優子「図々しいとはご挨拶じゃないの、ふゆは使えるものは何だろうが使い尽くす主義なだけよ」
心の支えであっただろう二人を同時に亡くしたことで、一時流石に私も心配していたが、捜査前に見せた決意と覚悟は今も揺らいでいないようだ。
もちろん多少無理をしている部分はあるだろうが、それでも安心して見ていられるだけの気丈な振る舞いをしてみせた。
625 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:55:18.45 ID:igcFWV240
だが、当の冬優子本人は自分以外のところに心配を持っているらしい。
冬優子「……ねえ、あんた。今回の捜査中、あいつの姿って見た?」
ルカ「あいつ……?」
親指を使って自分の背後を指す。
その先には少し俯いて、呆然と立ち尽くす中学生の姿があった。
冬優子「……あいつ、相当参ってるみたいよ。やっぱり愛依を失ったのがかなりデカいんでしょうね」
ルカ「……」
そういえば、風野灯織が死んだ時も、千雪が死んだ時も、あいつは捜査の前線に出ばっていた。
あいつが事件を掻き乱し、その掌の上で踊る私たちを嘲笑う【狸】である以上は、先の二つの事件同様に特等席でことの顛末を見届けたいはずだ。
だのに、今回のあいつは沈み切ってしまってまるで動いていない。
冬優子「……あんたたちからすれば、あいつは疑いの存在なんでしょうけど。ふゆからすれば、あいつもユニットの仲間で……面倒を見続けてきた、妹分みたいなやつなのよ。あんな表情されると、こっちだって黙ってられないの」
ルカ「……おう」
冬優子「……はぁ、どうしたもんかしら。愛依ならこういう時上手いこと励ましてやれるんでしょうけど」
626 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:56:10.65 ID:igcFWV240
思えば、事件の捜査中……今回は【狸】の影を感じることもなかった。
七草にちか、田中摩美々の事件においてもその介入は裁判を進めていく上で明らかになった部分は大きいが、今回はそれとはまた違う。
混じりっけのない純然たる様相とでもいうべきか、奴の気配が全くと言っていいほどしないのだ。もはやこれは勘というものに近い感覚だろう。
あさひ「……愛依ちゃん」
ゴゴゴゴゴ…
はじまった地響き。視界を上にやれば、赤く灯るモノクマロックの瞳。
三度目の学級裁判、その入り口が今開かれた。
冬優子「さっさとエスカレーターに乗るわよ。こっちはウズウズしてんだから」
冬優子は迷うそぶりもなくすぐに搭乗。
恋鐘「う、うちも……やる気と根気がメラメラ燃えとるとよ!」
夏葉「ええ、二人の命を奪った犯人……絶対に明らかにしましょうね」
果穂「正義のために……負けられません!」
そんな冬優子の背中に引っ張られるように私たちは次々とすぐにそのエスカレーターに飛び乗っていく。
そして全員が巨大なモノクマ像の口の中へと運ばれたタイミングで、今度は降下が始まった。
627 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:57:33.32 ID:igcFWV240
-------------------------------------------------
【モノクマロック内部 エレベーター】
ゴウンゴウンと音を立てて降りていくエレベーター。
その中で立つ私の心中は、これまでとは違っていた。
七草にちかの事件の時は、美琴と向き合う覚悟もなく、ただこの島での暮らしにイラついていた。
田中摩美々の事件の時は、千雪を失ったことに対する怒りと苦しみに苛まれ、やり場のない感情に悶えていた。
……今回はどうだ?
私が和泉愛依と三峰結華の死に対して感じているのは、悲哀か、犯人への怒りか、生に縋る未練か?
多分どれも正しいし、どれも違う。
私が抱いている感情の根源に、いい加減目を向けなくちゃいけないんだろう。
この島で暮らすうちに、283プロの連中と暮らすうちに、感じるようになったその儚くも力強いその繋がりを、意識せねばならない段階がきた。
きっとそれを、千雪はずっと望んでいたはずだ。
冬優子「……」
冬優子はエレベーターの端で拳をギュッと握りしめ、口元も硬く結んでいる。
……あいつは、この私を【友人】として認めてくれた。
そしてそれを、私も受け入れることができた。
あいつに戦う理由があるのなら、私はそれに準じる義務がある。
美琴「ルカ?」
ルカ「……いや、別に」
何も難しいことじゃない。
美琴とずっと一緒にやってきたこととおんなじだから。
チ-ン!
そしてエレベーターは地底にたどり着く。
628 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:59:03.33 ID:igcFWV240
-------------------------------------------------
【地下裁判場】
モノクマ「ようこそここへ! 遊ぼうよパラダイス! 生と死入り混じる混沌のワンダーランド、学級裁判場へようこそいらっしゃいました〜!」
モノミ「何がワンダーランドでちゅか! こんな変なワンダーランド、略していうならヘン___」
美琴「また内装が変わってるね……今度は西部劇?」
ルカ「島の雰囲気に合わせたってとこだろうな。くだらねえ、そんなことする前にもっと金の使い道があるだろうに」
あさひ「……」
(チッ……こっちまで調子が狂うな)
智代子「もう、3回目になるんだね……」
夏葉「智代子、私たちはこれまでに2回乗り越えたのよ。3回目だって無事に乗り越えられる、落ち着いていきましょう」
透「あー、三度目の正直ってやつだ」
雛菜「透先輩、なんかそれ違わない〜?」
冬優子「……始めるわよ。この中に潜むクロを引き摺り出さないと」
ルカ「……おう」
激情に燃えている冬優子。少しばかり熱が入り過ぎているような気もするが、それにわざわざ水を差すこともあるまい。
私たちは冬優子に続いて、その証言台に一人一人ついて行った。
はじめ16あったはずの証言台も、6つの席には遺影を模した立て札が立っている。
彼女たちの写真には『×』が赤く上塗りされ、その写真もモノクロだ。
失った存在はもう戻ることはない、それを改めて突きつけられているようで、何度見てもむせ返りそうだ。
629 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 22:59:58.38 ID:igcFWV240
……和泉愛依。
超高校級のギャルの称号を持っていたあいつは、それまで私が持っていた印象とは大きく違っていた。
クールなキャラクターで男女問わずワーキャー言われる存在でずっと気に食わない奴だったが、蓋を開けてみると、至って普通の年頃の女……いや、それどころか慈母みたいな器量で、他の連中のことばかり気にしているようなやつだった。
お人好しが過ぎるところもあったが……こんな形で命を落とすべき人間じゃなかったと、わずか数日の縁の私でも思わされる。
……三峰結華。
あいつは、つい数日前に自分でその一歩を踏み出す覚悟を決めたばかりだった。一度閉ざした扉を開き直すのには相当なエネルギーが必要だったはずだ。自分が気づくことのできなかった田中摩美々の思い、そして失われた記憶の中で起きていたかもしれない惨劇。それらの辛く重たい現実に向き合って、生きていくと誓ったのに。
犯人はそれを嘲るように、命を奪い去った。
一体犯人はどんな感情でこの裁判に挑んでいるのだろうか。
してやったとばかりにふんぞり返っているのか、自分の命が脅かされることに慄いているのか。
だが、どっちであろうと関係ない。
事情も理由も問わない、ただ引き摺り出して処刑台の上に乗せるだけ。感情は、その後でいい。
630 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 23:00:37.61 ID:igcFWV240
_______生きていくためには、勝ち抜くしかない。
631 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/09(水) 23:03:57.02 ID:igcFWV240
という訳で本日はここまで。
捜査パートも終わったので次回から学級裁判パートに移ります。
後日また裁判前準備パートのテンプレを用意するので次回更新時までに書き込みがあれば反映します。
特になければそのまま再開します。
次回更新は3/12(土)22時ごろからを予定しています。
……が、ワクチン接種を行う都合で副反応次第で延期するやもしれないことを前もってお伝えしておきます。
二回目でかなり拗らせた人間なので……書き込みがなければ察してください。
それではお疲れさまでした、またよろしくお願いします。
632 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/03/09(水) 23:06:38.14 ID:R/hkPNTX0
お疲れ様でした
633 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/03/09(水) 23:08:56.79 ID:3xxdXCM60
>>1
乙
634 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/03/10(木) 22:37:27.80 ID:nvabncrR0
担当がクロっぽそうなので期待してます
635 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/12(土) 19:21:06.54 ID:m0H3iog60
undefined
636 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/12(土) 19:23:04.47 ID:m0H3iog60
書き込みエラーですかね…?
副反応で発熱状態になってしまったので本日の更新は延期させてください…
回復していれば明日の22時ごろより再開します。
併せて裁判前準備パートを書き込んでいなかったので用意しておきます
次回までに書き込みがあれば反映いたします
637 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/12(土) 19:24:18.18 ID:m0H3iog60
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【裁判前準備パート】
☆裁判を有利に進めるアイテムを獲得することができます
何か購入したいものがある場合は次回までにその旨を書き込んでください。
指定が多ければ多数決、特に購入指定が無ければ何も購入せず裁判を開始します。
?ルカの現在の状況
【現在のモノクマメダル枚数…107枚】
【現在の希望のカケラ…28個】
【自動販売機】
≪消耗品≫
【ヒーリングタルト】…5枚
〔誰の口にも合いやすいマイルドな口当たりの優しい甘さ。裁判中に使用すると発言力を2回復できる〕
【ヒーリングフルーツタルト】…10枚
〔フルーツをトッピングして満足感アップ。裁判中に使用すると発言力を4回復できる〕
【高級ヒーリングタルト】…15枚
〔国産フルーツを贅沢にトッピングした高級タルト。裁判中に使用すると発言力が最大まで回復する〕
【プロデュース手帳】…15枚
〔これは彼と彼女たちが過ごしてきた美しき日々の証。誰よりも理解者たる彼は、いつだってそばで戦ってくれる。裁判中に使用するとノンストップ議論・反論ショーダウンを無条件クリアする〕
≪希望のカケラ交換≫
【花風Smiley】必要な希望のカケラの数…20個
〔毎日の自由行動回数が2回から3回になる〕
【Scoop up Scrap】必要な希望のカケラの数…30個
〔他のアイドルとの交流時に、所持品の中で何が渡すと喜ばれるプレゼントなのか分かる〕
【霧・音・燦・燦】必要な希望のカケラの数…10個
〔発言力ゲージが+2される〕
【幸福のリズム】必要な希望のカケラの数…30個
〔他のアイドルとの交流時の親愛度上昇が+0.5される〕
【I・OWE・U】必要な希望のカケラの数…20個
〔発言力ゲージが+3される〕
【われにかへれ】必要な希望のカケラの数…20個
〔集中力ゲージが+3される〕
【ピトス・エルピス】必要な希望のカケラの数…20個
〔反論ショーダウン・パニックトークアクションの時コンマの基本値が+15される〕
【おみくじ結びますか】必要な希望のカケラの数…10個
〔集中力ゲージが+2される〕
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
638 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/03/13(日) 13:31:55.64 ID:fq9m6j3V0
6章は自由行動ないから自由行動はあと4章5章だけだし、親愛度レベルが特段上がってる子がいなくてコミュの完走も危うそうなので、希望のカケラの所持数的には自由行動回数増やす【花風Smiley】を購入しておいた方がいいんじゃないかと思いますねー
639 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/03/13(日) 16:52:49.21 ID:aCHvbQMp0
手帳とタルトは買っておいていいんじゃないかなと思う
特に手帳は反論で苦戦すること多いっぽいし
640 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/13(日) 19:17:47.51 ID:Fo0hVhpD0
今日は予定通り再開できそうです。
現状出ているところでは希望のカケラで【花風smiley】、メダルでタルトと手帳の購入ですが種類と個数はどうしましょうか
特に指定がなければヒーリングタルトと手帳を一個ずつにします
641 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/03/13(日) 22:02:58.39 ID:XDPk3+GO0
一個ずつでいいと思います
642 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/13(日) 22:03:48.04 ID:Fo0hVhpD0
それではコトダマを整理するところから開始します。
裁判前準備の行動指定は先述の通り、スキル【花風smiley】の習得、【ヒーリングタルト】と【プロデュース手帳】を一つずつ購入としておきます。
モノクマメダル枚数
107枚→87枚
希望のカケラの個数
28個→8個
に変動します。
643 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/13(日) 22:04:59.01 ID:Fo0hVhpD0
CHAPTER03 コトダマ
‣【モノクマファイル3】
〔被害者は和泉愛依。死因は頸動脈を刃物で裂かれたことにより失血およびショック死。死因となった裂傷は背後から刃物を首筋に沿わして切りつけたような傷跡となっている。衣服にも乱れた様子はなく、目立った抵抗の痕も見られないため、即死だったものと思われる。
被害者は三峰結華。死因は正面から頭部に強い衝撃を受けたことによる脳挫傷。頭部からは出血も激しく、即死だったものと思われる。死因となった傷のほかに、全身に及ぶ打撲痕があり、一部は骨折もしている〕
‣【割れた花瓶】
〔愛依の病室で割れていた花瓶。前日に愛依が病室に飾ったもので、ゲッカビジンを元々飾っていた。愛依は犯人と争った形跡もないが、一体何の拍子に割れたのだろうか……〕
‣【ビニール片】
〔愛依の病室で割れていた花瓶の近くに落ちていたビニール片。花瓶の中の水をかぶったのか、全体が濡れている〕
‣【割れたガラス窓】
〔和泉愛依の病室の窓は犯人によって割られており、脱出経路に使われたものと思われる。事件当時、ルカをはじめとした病院にいるすべての人間がその割れる音を聞いていた〕
‣【窓ガラスの破片】
〔愛依の病室の窓、その外側に落ちていた破片。犯人は病室内から外に向けて窓を割り、脱出を図ったものと思われる〕
‣【果穂の証言】
〔事件発生前、モーテルの各部屋を何者かが訪問し、ドアノブを捻っていた。恐怖を感じ動けずにいたところ、冬優子が助けに来てくれ、所在のわからないあさひと結華について尋ねるために病院にテレビ通話を繋いだ〕
644 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/13(日) 22:05:44.46 ID:Fo0hVhpD0
‣【冬優子の証言】
〔隔離生活が始まってから、モーテル組はほとんどあさひと果穂の面倒を見るので手いっぱいだった。事件の前日にも、二人を連れて海で遊んでいたらしい〕
‣【モノミの処置】
〔事件前夜、夏葉の容態が急変してナースコールが鳴った。心停止にまで陥っていたため、ルカたちはモノミを呼び出して治療を要求。ペースメーカーを使うことでなんとか一命をとりとめた〕
‣【結華のメガネ】
〔結華の死体がかけていたメガネ。普段から着用していたものと同一で、本人の物。結華は全身を殴打されて殺害されていたものの、メガネはフレームも歪んでおらずレンズも全く割れていない〕
‣【青い繊維】
〔三峰結華の衣服に付着していた青い繊維。本人の服のいずれとも異なるが、繊維が付着するには衣服同士がこすれあう必要があるため、出所が不明〕
‣【智代子の証言】
〔事件が発生する前、窓の外にUFOを見た。光りながら浮いたり沈んだりする飛行物体はどう考えてもUFOに違いない(本人談)〕
‣【絶望病】
〔モノクマによって二日前に島内に持ち込まれた未知の病気。恋鐘、夏葉、愛依、雛菜が発症し、そのまま入院することとなった。恋鐘は標準語病、夏葉はぐうたら病、愛依はお嬢様病、雛菜はネガティブ病とそれぞれの本来の性格とは魔反対とも言うべき性格になってしまった〕
‣【入場者特典】
〔映画館で映画を見る際、電子生徒手帳を読み取ることで発行されるステッカー。見た回数に応じてステッカーのデザインが変化する仕様。1回目の視聴では犬のデザインだった〕
‣【モノクマの映画】
〔第3の島の映画館で上映されていたモノクマの自主製作映画。主人公のモノ太郎が犬を咽喉を掻っ切って殺し、サルを撲殺し、キジを焼き殺し、最終的に自分だけ得をして終わるという退屈この上ない映画〕
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