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【シャニマス×ダンロン】にちか「それは違くないですかー!?」【安価進行】 Part.2
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243 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/01/26(水) 23:30:49.41 ID:lsA6xdjG0
お疲れ様でした!
244 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/01/26(水) 23:37:40.64 ID:pGkL0z1HO
お疲れさまです
おれの中の千雪さんの株がストップ高
245 :
公式生放送を見ていて少し遅れました、ゆっくり投下していきます。
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:23:03.11 ID:m2HupEjL0
-------------------------------------------------
CHAPTER 02
厄災薄命前夜
裁判終了
-------------------------------------------------
246 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:24:06.66 ID:m2HupEjL0
モノクマ「なんと! 二連続大正解〜〜〜!」
モノクマ「オートマティックなトラップを仕掛けて、超社会人級の手芸部である桑山千雪お姉さんを殺害したクロは超高校級の服飾委員の田中摩美々さんなのでしたぁ〜〜〜〜!」
摩美々「……はぁ」
一度は千雪の決死の覚悟のもとに解放されるかと思った処刑の重荷。
それを背負い直されたことによって、田中摩美々の表情はより沈痛なものになっていた。
夏葉「まさか、こんな終わり方になるとは思わなかったわ」
夏葉「摩美々、あなたの犯した罪は到底許されるべきものではない。でも、だとしても、あなたをこの場で失いたくはなかったわ」
摩美々「……ごめんなさいー」
智代子「夏葉ちゃん……」
冬優子「田中摩美々、あんたのやったことはふゆとしても許せない」
冬優子「うちの大事なユニットメンバーを身代わりに据えようとしたなんて、いい度胸じゃないの」
摩美々「そっか……冬優子は自分のことより、そっちで怒るんだぁ……」
冬優子「はぁ? 当たり前でしょ、ふゆの脅迫状に関してはあんたがやったことじゃない」
冬優子「まして、あさひがやったことでもないのよ」
あさひ「……!!」
夏葉「そのことも、おいおい話をしましょう……もちろん、透のこともね」
透「……うん、私も話したいかな」
雛菜「透先輩〜?」
247 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:25:38.08 ID:m2HupEjL0
美琴「今はそれよりも、限られた時間をどう使うべきかだよ」
美琴「モノクマがいつ強制的に執行してくるかもわからない。その前に話をしておかなくちゃ。そうでしょ?」
結華「美琴姉さん……うん、ありがとう」
美琴に促されるままに、メガネ女は田中摩美々の前に立った。
裁判の幕引き、その間際にこいつはユニット仲間の本当の気持ちに向き合うことを決めた。
それがユニットの年長者としての責任なのか、それともこいつとしての覚悟なのか。
私たちはその行く末を見届けてやらなくちゃならない。
摩美々「その前に料金の精算からねー、モノクマ、三峰の投票先はぁ?」
モノクマ「え? はいはい、えーっと……三峰さんは田中さんに投票してますね!」
モノクマ「ていうか投票は満場一致なので気にもしてなかったよ、どしたの急に!」
モノミ「もう、デリカシーがないでちゅね! あんたは女性の心をもっと勉強するべきでちゅ!」
摩美々「そっかぁ、三峰も、恋鐘も……やってくれたんだぁ」
恋鐘「うちも……最後に聞きたか、摩美々の本当の気持ちを」
恋鐘「だから、うちも逃げんかった。摩美々がそがん覚悟決めとるんやったらうちもそれを尊重するって決めたばい」
摩美々「ふふー、及第点ってとこですかねー」
結華「これでまだ及第点? 手厳しいなぁ」
摩美々「……」
248 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:26:48.98 ID:m2HupEjL0
それまでは飄々と周りを茶化しながら話していた田中摩美々。
だが、その時は刻一刻と近づいている。そのことを彼女も感じ取ったのだろう。
二人を前にして、自分の髪を撫でた後呼吸を一つ。
努めて落ち着いてみせるその顔は、少し強張っていた。
摩美々「摩美々が千雪を殺そうって決めたのはあの動機が発表された翌日、この島に来てから9日目の夜だよ」
(私が美琴とひさしぶりに練習をした日か……)
摩美々「私は、モノクマの用意したあのゲームをプレイしちゃったんだよねー」
結華「え……ゲームって、【かまいたちの真夜中】!?」
美琴「やっぱり、そうだったんだね」
摩美々「あのゲームは、ノンフィクション。実在の人物を題材にした、実際に起きたゲームを再現したゲームだったんだよー」
果穂「え、そ、それって……生きている人が、ゲームに出てくるってことですか?」
智代子「架空の人物じゃないってことだよ、果穂」
249 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:27:59.65 ID:m2HupEjL0
ルカ「……あのゲームに出てきてたのは、てめェら283プロの人間だ」
雛菜「へ〜?」
ルカ「今この場所に立っていない人間ばかりだけどな、私でも知ってる顔ぶれだったし……お前からすれば気が気でなかったんだろ?」
摩美々「その調子だとルカはプレイした側なんですねー」
ルカ「事件の捜査の時に、だけどな」
摩美々「なら、あのゲームがどんな内容だったのかも知ってますよねー」
(……言えって言うのか)
私を見つめたまま押し黙る田中摩美々。
学級裁判終わりという空気の中で、あんな凄惨な事件を口語るのは流石に抵抗を感じるが、
これより死に行くものたっての希望だ、聞いてやらないわけにもいかない。
それに、こいつはきっと私が語らない限りは本心を語るつもりもないんだろう。
250 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:28:28.63 ID:m2HupEjL0
ルカ「あのゲームでは……大崎甘奈が杜野凛世と幽谷霧子を襲撃して、大崎甜花を殺害していた」
愛依「……え? い、今の……うちの聞き間違い……?」
夏葉「甘奈が、凛世と霧子を襲って、甜花を……殺害した……?」
恋鐘「る、ルカ……冗談にしても悪質ばい……! 人の命をネタになんかしちゃいかんとよ……!」
摩美々「ルカは何も嘘を言ってない」
恋鐘「摩美々……!?」
摩美々「だって、同じものを、私は見たからこそ……この事件を引き起こしたんだから」
251 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:29:24.64 ID:m2HupEjL0
◆◇◆◇◆◇◆◇
あのゲームの真相は、明らかにしないとダメだった。
あのゲームに出てきていたキャラクター達、名前こそ持っていなかったケド……
私たち283の人間が見れば一発でわかる。
あのシナリオで描かれていたのは、甘奈が凛世や霧子を次々と襲っていく様子。手には刃物をもって、姿を隠して……
『Normal END』
でも、ゲームの中ではその真相にはたどり着けない。
甘奈が刃物を振り回し、霧子を襲い、甜花の死体が映って終わる。
勿論、このゲームが現実のものだなんて手放しに信じたわけじゃない。
でも、甜花の写真の妙なリアルさ、そして何よりこの場にいない霧子の存在が、どうしても気になって仕方がなかった。
モノミが抜き取ったという私たちの記憶。
その空白の記憶の中で、私たちが忘れ去ってしまった重要なものがあるとすれば……
それはきっと、この中にある。
でも、どれだけ試してもこのゲームをクリアする方法は分からなかった。
何度挑戦しても、画面には『Normal END』の文字が浮かび上がり、真実は闇の中。
私はその真実が欲しくて欲しくて……藁にも縋る気持ちだった。
他のみんなにはゲームをプレイしたことは黙っていなきゃダメだった。
でも……千雪にだけは、黙っていることはできなかった。
252 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:30:45.11 ID:m2HupEjL0
ピンポーン
千雪「……あら? 摩美々ちゃん、こんな遅くにどうしたの?」
摩美々「こんばんはー……ちょっと、話が合って……中入ってもいいー?」
千雪「あら、珍しい……うん、大丈夫よ。入って」
千雪はその時も平然としていて、まるで私の来訪の理由にも心当たりがなさそうだった。
私を部屋に招き入れると、千雪はちゃきちゃきと支度をしてお茶とお菓子とを机の上に広げた。
千雪「じゃあお姉さんに相談、聞かせてもらおうかな」
摩美々「……千雪はさぁ、あの広場のゲームってやったぁ?」
千雪「……!」
俄かに千雪の目元がピクリと動いた。
253 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:31:26.56 ID:m2HupEjL0
千雪「さあ……あの時、みんなゲームはやらないって約束だったでしょ?」
そんな安っぽい嘘で誤魔化し通せると思っているなら舐められたものだ。
人を騙したり嵌めたり、そういう悪戯じみたことは悪い子の専売特許。
他の誰かは騙せても摩美々の目は騙せない。
明らかな手ごたえを感じて、一切隠しもせずにその話を持ち出した。
摩美々「摩美々はさぁ、やっちゃったんだよねー。あのゲーム」
千雪「え……?」
摩美々「で、あのゲームはどんな内容だったと思うー?」
千雪「さ、さぁ……どうかしら」
摩美々「ゲームの中で甘奈が霧子を殺そうとしてたんだよ」
千雪「……!」
そんなのただのゲームの中のフィクションだ、普通はそう言ってあしらえばいい。
でも、千雪はそれをしなかった。私の口から出たその言葉を前に肩を震わせて、押し黙る。
間違いない、千雪はこのゲームの内容を知っていた。
プレイした側の人間の反応だ。
254 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:32:13.02 ID:m2HupEjL0
摩美々「甘奈、どうしちゃったんだろうねー。あんな風に追い詰められちゃって……けがの治療をしていた凛世と霧子に追い打ちをかけるように襲撃をかけて」
摩美々「まるでホッケーマスクの殺人鬼って感じじゃないー?」
千雪「……あ、甘奈ちゃん、が……」
摩美々「……ねえ、千雪―」
千雪「……え」
摩美々「いい加減嘘つくのやめてくれるー? 千雪はあのゲーム、プレイしたんだよねー?」
千雪「わ、私は……」
摩美々「私の目を見て答えてもらえますかぁ」
千雪「……っ!」
千雪「ま、摩美々ちゃん、は……その、霧子ちゃんのことを……あのゲームをやってどう思ったの?」
摩美々「はぁ? なんで霧子……今は甘奈の話をしてるんですケドー」
千雪「え……?」
摩美々「……?」
千雪「もしかして、摩美々ちゃん……ゲームのクリアはしてないの……?」
その瞬間、千雪の表情が一変した。
255 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:33:21.34 ID:m2HupEjL0
摩美々「ちょっと待っ……クリアって……もしかして、別のエンディングに千雪は到達したの……?!」
千雪「……摩美々ちゃん、悪いけど、お話はこれ以上できないわ」
摩美々「そ、そんなの認められないって……霧子は、霧子はどうなったの……!?」
千雪「あなたの見た通りよ、それ以上でも、それ以下でもないの」
摩美々「だから嘘つくのはやめ____」
千雪「ごめんなさい」
バンッ!
256 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:34:43.51 ID:m2HupEjL0
しばらく、何が起きたのかわからなかった。
見たことのない剣幕の千雪にいつの間にか立ち上がって後ずさりしていたらしく、私はその体を簡単に部屋の外に突き飛ばされてしまった。
そして眼前で響く施錠音。完全に締め出された形だ。
摩美々「……」
今の様子からしても、千雪が私に対して、ゲームのクリアした先にある真相を隠そうとしていることは明らかだった。
そして、私に投げかけたあの質問。
____「霧子についてどう思ったか」
霧子の安否以上のものがそこに含まれているのは間違いない。それさえも隠すということは、きっとそこに何らかの不都合が生じている。
甘奈についてもまるで答えようともしない。
ただ自分だけがたどり着いた真相を胸に抱えて、押し黙っている。
真相を共有しようという考えは毛頭持ち合わせていないらしい。
257 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:35:52.64 ID:m2HupEjL0
____誰も知らない真相は、虚構と同じ。
258 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:36:51.31 ID:m2HupEjL0
私の中に芽生えたのは、口封じという発想だった。
私自身、いつの間にかあのゲームの真相を知りたいという欲求から真相を知るのが怖いという不安感にその根底の思想が切り替わっていた。
甘奈が霧子を襲ったその後に何が起き、誰が死に、誰が生き永らえたのか。
それより先の真実に目を向けるのが、怖かった。
だから遠ざけた。
真相を知る人間をこの世から抹消することで、その真相を闇に葬り去ろうとした。
でも、この不安に足を取られたことで、私はもっと大切なものを見失っていた。
……私には霧子の他にも、アンティーカの仲間がいたというのに。
259 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:38:04.08 ID:m2HupEjL0
◆◇◆◇◆◇◆◇
摩美々「摩美々は……怖かったんですよ、あの事件の続きを知ることが」
摩美々「だって、甘奈は正常じゃなかった。みんなを殺さないとダメ、だなんて私の知る甘奈じゃなくて……その結果、実際……甜花を手にかけた」
摩美々「その先に待っている結末なんて、分かり切ってるじゃん」
摩美々「でも、だからこそ、それを知る人間さえ消してしまえばそれはあくまで予測で済む、確定はしない」
摩美々「摩美々は……霧子の死を、知りたくなかったんですよ……」
結華「まみみん……」
それは、震える身体で無理やり絞り出した、か細く、幽かな本心だった。
きっと、今この瞬間になるまで田中摩美々自身もその感情の言語化は出来ていなかった。
自分の口から出た『怖かった』『知りたくなかった』その言葉に自分自身で戸惑っているようで、田中摩美々はせわしなく自分のツインテールを撫でていた。
人というのは恐ろしい生き物だ、自分を突き動かしているものの正体も分からずに、それに従ってしまうのだから。
そして気が付いたときにはもう遅い。
無自覚な恐怖の暴走の行く末が、この今の田中摩美々だ。
283の連中の中でも冷静に事態を見極める側だとばかり思っていた、いやその認識は誤ってはいない。
ただ、彼女も年相応の【子供】だった、というだけ。
260 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:38:42.23 ID:m2HupEjL0
結華「……それでもやっぱり、三峰はもっと早くに、三峰に話してほしかったって思っちゃうな」
摩美々「……」
結華「そしたら、何も解決は出来なくても、一緒に怖がってあげることぐらいはできたかもしれないじゃん?」
結華「三峰が言えたことじゃないけどさ、不安とか恐怖とかって一人で抱え込んじゃうと膨らみまくっちゃって……それでも本人は一人で解決できる、誰も頼りたくないとか思っちゃうんだよね」
結華「そんな時、誰かに話すとちょっとだけ楽になったりして……」
摩美々「そう、だったカモ……ねー」
結華「……ごめんね、まみみん。三峰が、気づいてあげればよかったんだよね」
摩美々「ちょっと、なんでここで自分を責めるのー。どう考えても悪いのは摩美々じゃーん」
結華「……はぁ、Pたんみたいに上手くはいかないか。まだまだ三峰も若造ってことですな」
摩美々「じゃあ、摩美々は赤ん坊かなぁ」
結華「あはは、なにそれー」
おちゃらけた態度には、努めて明るくしようとしているのが透けて見えた。
三峰結華も、今逃げ出したいほどの恐怖を感じている。
暫くののち、今自分の目の前に経っている、愛してやまないユニットの仲間はその命を落とす。
でも、だからこそ、そこに涙を持ち込みたくはなかったのだろう。
無理やりにでも口角を吊り上げて、おどけた笑い方をした。
その笑い方が、あまりにも屈託がなく、ひどく痛々しくて、私は思わず目をそむけた。
261 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:39:53.97 ID:m2HupEjL0
____そむけた先で、目が合ったのは、モノクマだった。
モノクマ「あのさ、そんなに気になるんなら……【TRUE END】、見ちゃいます?」
262 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:40:37.73 ID:m2HupEjL0
ルカ「……は? おま……何言って……!」
俄かに動揺が走った。
ゲームの隠されたエンディング、真のクリアは千雪がずっと隠し続け、田中摩美々が闇に葬り去ろうとしたパンドラの匣だ。
それをこの場において、衆目に晒すというのは持つ意味が歪に大きい。
モノクマ「やっぱりね、製作者としましてはゲームも隅々までプレイしてもらいたいと思っちゃうわけですよ! なんたって我が子なんですからね!」
声高に語るモノクマに対し、どうしても尻込みをする面々。
それもそのはず、私と美琴、田中摩美々以外はおそらくゲームをプレイもしていない。
大崎甜花の死という事実をつい先ほどの情報として受け取った彼女たちからすれば、これ以上の情報などそう簡単に受け入れようなんて思わない。
263 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:41:24.16 ID:m2HupEjL0
……でも、そんな中でも食いついた人間が一人。
彼女は身を乗り出すようにしてまで、その【もう一つのエンディング】を求めた。
ずっと知りたくて知りたくてたまらなかった真実に向かって、必死に手を伸ばす。
摩美々「え、え……? そ、それって……霧子がどうなったかも見れるってことですか……?」
結華「ま、まみみん……ちょっと、落ち着いて……!」
摩美々「お、教えて……どうすればTRUE ENDが見れるんですか……」
モノクマ「おっ、いい反応ですねぇ。流石、事件を引き起こしただけのことはあるなぁ! ではでは、田中さんのそのやる気にこたえてお教えしましょう!」
モノクマ「タイトル画面で↑↑↓↓←→←→BAを入力してください! されば真実の扉は開かれよう……」
摩美々「げ、ゲームはどこなんですかぁ?! 早く、早く入力しないと……」
恋鐘「摩美々、ちょっと冷静にならんね! 摩美々はそのエンディングを封印ばするために千雪んこと狙ったと違ったばい!?」
摩美々「それどころじゃない……摩美々はもうあと少しの命なんだよ……真実を自分の目で確かめないと、一生知ることは出来ないんだから……!」
264 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:41:56.58 ID:m2HupEjL0
田中摩美々はもはや獣のようだった。
他の人間の手を振りほどき、言葉を拒絶し、真実という餌を追い求める。
もはや今の彼女には誰の言葉も届かない。
鬼気迫る様子に全員一歩引く中、彼女は裁判場の一角に置かれた筐体を見つけ、それに飛びついた。
摩美々「↑↑↓↓←→←→BA……↑↑↓↓←→←→BA……」
譫言のように口走るコマンドを、震える手でボタンを押してなぞった。
その瞬間、聞いたことのない効果音が鳴り響き、タイトル画面は私の知るものから一変した。
『かまいたちの真夜中 真相編』
摩美々「来た……来た……! これで、霧子がどうなったか分かるんだぁ……」
265 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:42:46.66 ID:m2HupEjL0
『それは、惨劇が巻き起こる前の日の晩。
学園内に住まう者たちの悉くが自分の部屋へ戻り、瞼を閉じて明日へ備えていた深夜の頃だった。
人目をはばかる様にして、廊下を歩む者が一人。
その手には一枚の紙片が握られていた。
ピンポーン
目当ての部屋の前でインターホンを鳴らした。この学園の寄宿舎は防音設備。
例え隣室だろうとも訪問があったことには気づかれはしまい。
まさか他の人間は、こんな時間に【D子】が出歩いているとは夢にも思わないだろう。
そして、数秒後。扉はゆっくりと開いた。
彼女を出迎えた人物は口を閉ざしたままに入室を促す。
そのただならぬ空気に生唾を一つ飲み込むと、静かに、後ろ手に扉を閉じてD子は彼女の後をついていった。』
266 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:44:04.08 ID:m2HupEjL0
『F子:来てくれてありがとう、D子ちゃん……♪
部屋の主であるF子は不敵な笑みを浮かべていた。
彼女は普段から笑顔を見せることが多い。柔和な雰囲気に不思議な魅力を兼ね備えた彼女の笑顔にはいつも力を貰っていた。
でも、今この局面において彼女の笑顔ほど不気味なものはない。だって、その裏には並々ならぬ思惑があることが分かり切っているから。
F子:お手紙、呼んでくれたんだね……
D子:……F子ちゃん、これどういうことなのかな
F子:え?
【D子 お前の命運は既に私の手中にある すべてを失いたくないのなら私の命令に従え】
D子:これ、どうみても脅迫状だよね……?
F子:ふふ……ふふふふ……♪
D子:な、なにがおかしいのかな
F子:これ、どうぞ……♪
F子はD子に近づいて、その手にある機械を握らせた。液晶付きのボタン操作、D子自身も見慣れている物だ。
____これは、【E子の使っていた】ゲーム機。
F子に促されるままにそれを起動する。
267 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:45:00.35 ID:m2HupEjL0
最新のゲーム機は多機能だ。写真撮影、動画撮影なんてお手の物。
手元のゲーム機でも、写真撮影用のアプリが起動していた。
既に何枚か撮影されているらしい、D子はその閲覧を始めた。
F子:ふふふふ……♪
そこに映っていたのは、最愛の姉・【E子】。
E子は数日前から体調を崩しており、F子の看病の下にあるはずだった。
そんな彼女が点滴を受けている写真がそこにあった。
でも、その点滴は普通じゃない。
そのパックには【必ず希釈して使用すること】と書かれているのだ。
心臓が嫌に早く打つ。呼吸も浅くなる。
268 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:45:37.17 ID:m2HupEjL0
F子:カリウム製剤はね、急速注入すると不整脈や心停止に繋がっちゃうんだ……
F子:これだけの量を、薄めることなく投与しちゃったら……E子ちゃんはどうなっちゃうのかな……
D子:や、やめて……! なんで、そんなことするの……!?
必死の問いかけをF子は嘲笑いながら体をくねらせる。
生殺を自分が握っていることに酔いしれるような恍惚とした表情、その口元からは一筋の涎さえ垂れていた。
違う、あまりにも違いすぎる。これまでずっと見てきたF子の人物像とあまりにも乖離している。
D子は自分の前のその人間を、もはやF子として見ることさえ拒んだ。
それでも、拒絶さえも無視してF子はD子に躙り寄る。
F子:お姉ちゃんがとっても大好きなD子ちゃんにお願いです……
D子:な、なに……何をしようとしてるの……?
F子:D子ちゃんには、別の誰かを……生贄さんを探してきて欲しいんだ……
F子:E子ちゃんの代わりに、死んじゃう誰かを……
D子:そ、そんなのって
F子:みんなの命は平等です……だからね、誰かを守るには、誰かを犠牲にしなくちゃダメなんだ……
破綻した喋り口。平等も何も、勝手にその天秤を置いたのはF子自身だ。
でも、D子にそこを追求することなどできない。E子が人質に取られていること、そしてF子に対する恐怖心が言葉を詰まらせる。
269 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:46:29.69 ID:m2HupEjL0
F子:D子ちゃんを一人にはしないよ……わたしも、協力する……
D子:な、なんで……? この学園じゃ、クロになるのは実行犯だけなんだよ……?
F子:ふふ……♪ わたしはね、みんなのポカポカが見たいんだ……
F子:手を取り合って立ち向かうあたたかさ……諦めず立ち上がるあたたかさ……
F子:そして、誰かのために戦うあたたかさ……
F子:D子ちゃん、お願いします……E子ちゃんのために、他の誰かを裏切ってください
D子:そ、そん……な……
F子はただ人を殺せと言っているのではない。自分にもその片棒を担がせて、特等席でその殺人ショーを見せろと要求してくる。
F子:これで心臓を狙えば一撃だから……
手渡されたのは新品の彫刻刀。その刃先は木材を抉るには十分すぎるほどによく研がれている。
彼女のいう通り、これを人の心臓に突き立てようなら、すっぽりと心臓を抜き取ることも可能だろう。
でも、それは人の命を奪い去るにしてはあまりに軽くて、乾いていて、それがとても不気味だった。
F子:じゃあ、作戦会議だね……どうやって、誰を殺そっか……?
D子の瞳を覗き込むその黒く濁り切った眼。
D子はその絶望にどっぷりと身体が浸かっていくのをゆっくりと実感していた。
一度落ちたら抜け出せない底無しの沼に、彼女は呑み込まれていたのである』
270 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:47:53.13 ID:m2HupEjL0
『D子:はぁ……はぁ……ごめん、C子ちゃん……でも、E子ちゃんのため、だから……
まだ事は始まったばかり、計画の初歩段階としてC子を襲い、騒ぎを起こす。そのために彫刻刀をちらつかせて不安を煽り、突き飛ばした。
肌を裂いたわけでも、肉に突き立てたわけでもない、取っ組み合い程度のやりとりなのに、D子の心臓はかつてないほどに暴れていた。
拍動が煩い、今にも喉から飛び出そうだ。
人をこれから殺めるという認識が、必要以上に血を沸騰させた。
バタバタ…
廊下の方から何人かの足音が聞こえた。D子の潜伏する女子トイレの前を抜けて、彼女たちは上階層へ。
F子の扇動がうまく行ったのだろう。今回の計画はF子による扇動が鍵を握る。
F子の捏造の目撃情報で上に登らせている間に保健室でF子と合流。C子をそこで気絶させ、体育館まで二人で運搬。
保健室に残ったF子がまたC子が連れ去られたと今度は寄宿舎エリアに誘導する。
ここで不審者役を交代して、今度はD子が保健室で襲われた形をとり、お互いのアリバイを確保したうえで体育館のC子を殺害する。そういう計画だ。
D子は恐る恐る扉を開けて首を覗かせる。誰もいない、今なら問題ないようだ。
271 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:49:03.04 ID:m2HupEjL0
そろりそろりとたどり着いた保健室。
中からはC子とF子の話し声が聞こえてくる。こうやって聞いていると、F子が狂ってしまったとは俄かに思い難い。
だが、彼女は確実に狂気に蝕まれている。
D子もその狂気から逃れる術などないのだ。
まだD子は不審者を演ぜねばならない、覚悟を決めて扉を引く。
D子:見つけた……
C子:……!? な、なぜここに……?!
F子:C子ちゃん、危ない……!
F子が庇うようにC子に覆い被さった。
視界を一気に遮るこの瞬間が合図、D子が後頭部を殴りつけるような素振りをすると、呻き声を上げながらF子はその場に崩れ落ちた。
C子:F子さん……!?
D子:次はお前だ……
F子の気絶は狂言だが、ここは本番。失敗すれば計画そのものがパー。愛してやまない姉の命も危うい。
渾身の力でこめかみを目掛けて殴りつけた。
元々痩身のC子は思っていた以上に軽く、地面に体を打ちつけても大した音はしなかった。
272 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:49:42.16 ID:m2HupEjL0
D子:……気絶、しちゃった……?
思わずそう口にしてしまった。
人を殴るなんて生まれて初めて、その手応えの気色悪さに掌を何度も見直す。
F子:D子ちゃん、力持ちさんだね……
戸惑い喘いでいると床に寝そべっていたF子がゆらりと身を起こしながら微笑んだ。
これでもう引き下がれない、その確信を携えた薄気味悪い微笑みだ。
D子:……次は、C子ちゃんを体育館に運ぶんだね?
F子:うん……いっしょに頑張ろうね……!
____「いっしょに頑張る」
アイドルとして活動していた頃も何度も耳にした言葉なのに、その言葉にゾワッと背筋を凍らされる経験はこれが初めてだった。
仲間ではなく、【共犯】。二人の関係性を指し示す言葉もこれで完全に変わってしまった。』
273 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:51:07.38 ID:m2HupEjL0
『体育館にC子を横たえて、大きな息を一つついた。
C子を襲撃して以来、D子はずっと着ぐるみを着ていた。
犯人を奇怪な存在として印象付けるための格好、そして犯人が複数人である事をカモフラージュするための格好だ。
運搬、殺害、逃走、そのいずれもこれを着たまま行うため手足は出せる設計にしておいたが、呼吸がしづらいのは盲点だった。
ただ持ち上げて運ぶほどの動作なのに、息苦しさが想像以上に体力を奪う。自分の吐いた息が篭っているのも心地悪い。
D子:とりあえず、これで第一段階、なんだよね
F子:うん……D子ちゃん、ノリノリだね……!
思ってもない事を。無理矢理従わせておいてノリノリも何もあったもんじゃない。
274 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:51:54.28 ID:m2HupEjL0
D子:C子ちゃん、ごめんね……こんな形で巻き込んじゃって
横たわるC子の姿を見ると、罪悪感という罪悪感が胃の奥底から湧き上がってくる。
ただ小柄だったというだけ、ただ狙いやすかったというだけ、それだけの理由でC子はこの数十分後に命を落とすことになる。
____他でもない、D子の手によって。
その事を思うとD子は譫言のように謝罪の言葉を口にせざるを得なかった。
そんな様子をF子は静かにクスクスと笑って見つめていた。
F子:ご苦労様でした……♪
突如としてF子はねぎらいの言葉をかけた。
それはきっと、共犯として最初の一線を超えたことに対する評価の言葉なのだろうと思った。
これはただの始まりに過ぎない、D子はそれをわかっていたから、その言葉は流して終わらせようとした。
D子:……まだまだだよね、F子ちゃん
F子:ううん、D子ちゃんはここまでだから……ご苦労様でした……♪
275 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:52:35.38 ID:m2HupEjL0
____でも、そうではなかった。
D子:え?
鮮血。
視界の一面が赤に彩られたかと思うと、喉のあたりに焼けつくような痛みを感じる。
痛みを訴えるため声を上げようとするが、声の代わりに飛沫が散る。
F子:今回の事件のクロは、わたしなんだよ……?
276 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:53:07.50 ID:m2HupEjL0
騙されていた、最初からF子はそのつもりだったのだ。
姉のE子を人質にされればD子が何も言えなくなる事を知っていて、自分のための舞台装置にしていたのだ。
絶命までの数瞬、途絶えゆく意識の中で思う。
もし、あの夜に断ることができたなら。
目の前のF子を突き飛ばして、E子をすぐに助けに行くことができたなら。
D子は選び取る選択肢を最初から間違えていた。
選ぶべき選択肢を踏むには、彼女は優しすぎて、少しばかり臆病だったのだ。
瞼が重い、段々とF子を挟むようにシャッターが降りてくる。
F子:ここまで手伝ってくれたお礼に、最後に教えてあげるね……?
崩れゆく身体に近づき、F子は囁く。
かつて共に過ごした日々と同じ調子の、柔和な響き。
277 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:54:12.82 ID:m2HupEjL0
F子:E子ちゃんは、もうとっくに死んじゃってるんだよ……♪
ただ、そこに並べ立てる事実はかつてないほどに残酷だった。』
278 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:54:56.58 ID:m2HupEjL0
『TRUE END』
摩美々「……はぁ?」
279 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:55:34.36 ID:m2HupEjL0
摩美々「こ、これ……何ですかぁ……?」
ゲームをクリアし終えた田中摩美々は弱々しく声を上げる。
当然だ、外野のある私ですらそのシナリオは飲み下すことができない異物感を感じている。
ユニットの仲間の無事を願い追い求めたはずの真実は、あまりにも残酷な形で牙を剥いた。
モノクマ「何って、TRUE ENDだよ?」
モノクマ「オマエが知りたくて知りたくて、でも知るのが怖くて桑山さんを手にかけてまで隠蔽しようとした真実そのものだよ!」
摩美々「ち、違う……摩美々が知りたかった真実はこんな……」
モノクマ「ん? なんでオマエが勝手に真実を裁定してるの?」
モノクマ「真実ってのは誰の意思にも関係なくそこに存在しているからこそ真実なんだよ? 誰かの願望や意思に合わせて動くものはただの都合の良い欺瞞だよね!」
摩美々「じゃあ本当に……霧子が甘奈を脅迫して……その上で甘奈を裏切って殺したっていうんですかぁ……?」
モノクマ「へー、オマエにはそう見えたんだ」
モノクマ「ごめんね、これはあくまでゲームだからさ、その細かい設定まではわかんないや!」
摩美々「ふ、ふざけないでくださいよー、このゲームがノンフィクションって言ったのはあなた……」
モノクマ「うぷぷぷ……さあどっちなんでしょうね?」
モノクマはのらりくらりと田中摩美々の追及を躱す。
このゲームが真実なのかどうか、そもそもノンフィクションという言葉をどこまで信用していいのか、それを知るのはモノクマのみ。
モノクマはその絶対的な知の優位を振り翳して悦に浸っているようだった。
280 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:57:10.27 ID:m2HupEjL0
モノクマ「まあ真偽はどうあれ、これが桑山さんが隠し通そうとした残酷な真実なんだよね」
モノクマ「桑山さんは最初この終わり方を見たときに相当戸惑ったはずだよ。だって、ノーマルエンドでは狂乱に堕ちた大崎甘奈さんが人を殺したシナリオだったのに、その裏では幽谷霧子さんが彼女を唆していた。つまりは加害者と被害者がそっくりそのまま裏返ったわけだしね」
モノクマ「それと同時に、大崎甜花さんのみならず大崎甘奈さんまでもが命を落としてゲームは終わってしまう。二人の面倒を見ていた桑山さんの感じた絶望もまた計り知れないだろうね」
モノクマ「でもね、彼女は憎しみを幽谷さんに向けようとはしなかったんだ。恨み憎しみ妬み嫉み……そのいずれをぶつける理由も権利も彼女にはあったのにね」
モノクマ「このゲームのエンディングを明らかにして仕舞えば、大崎さんの無念を晴らすこともできたかもしれない、それでも彼女はそうしない選択肢をとったんだ」
281 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:58:26.13 ID:m2HupEjL0
『今私が、これを明らかにしてしまえばアンティーカの3人は悲しんでしまう。大切なお友達が誰かを裏切るような真似をしてしまったこと、そしてお友達が変わり果てた事を知ってしまって……』
モノクマ「この島で暮らす年長者として、桑山さんは他のみんなを守る義務があると感じていました。ここで一緒に暮らすみんなが、できる限り多くの人が悲しまない選択肢を選ぶ決意をしたのです」
『もし誰かがゲームをプレイしてしまっても、私だけを憎めばいい。アルストロメリアは今はもう私だけ、私だけが憎しみをもらい受ければ解決する』
モノクマ「アンティーカの3人を守るため、ひいてはこの島の全員を守るため、彼女は罪と罰を背負い込む事を決意したのです。真実を闇に葬る事で、恨むべき相手は一人だけだとみんなに教えようとしたのです」
モノクマ「たとえそれが間違った真実だったとしても、ね」
282 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 21:59:23.13 ID:m2HupEjL0
モノクマ「でも、彼女の想いは届きませんでした。真実を隠そうとする彼女を疑う者が現れたのです。しかも、その疑う者は彼女が庇おうとしたアンティーカの一人だったのです」
『どうして教えてくれないんですかぁ……? もしかして、霧子を甘奈が殺す決定的なシーンがあるから、それをなんとか隠そうとしてる、とか?』
『摩美々ちゃん、わかって欲しいの……この真実は、あなたに知ってほしくない。心優しいあなたの胸を痛ませたくはないの』
モノクマ「二人の思惑はどこまでも平行線、交わることはありませんでした」
『霧子の安否を知りたい……でも、知るのが怖い』
モノクマ「そしてやがて、片方の直線がぶれ始めたのです」
『怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い』
モノクマ「知識欲はねじ曲がり、未知への恐怖へ。妄想ばかりが膨らんでいき、知らない真実は彼女の中でいつのまにか怪物に化けてしまったのです」
283 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:00:01.33 ID:m2HupEjL0
モノクマ「あーあ、田中さんが自分の好奇心に振り回されるんじゃなくて、少しでも桑山さんの想いに触れることができていたらこんな悲しい結末にはならなかっただろうにね」
摩美々「……そん、な」
千雪の覚悟は想像以上だった。彼女は一人でこの凄惨な真実を受け止め、そのうえで遺された人間全員を守ろうとしていたのだ。
私と肩を並べて花火をしていたあの瞬間も、ずっと心の中ではその苦しみが渦巻いていたことだろう。
そんな苦しみから彼女は解放されることもなく、すべては終わってしまった。
田中摩美々は愕然とその場に膝をついた。
真実を知ったこと以上に、千雪の心中を知ったことで、押し寄せてくるものがあったのだろう。
罪悪感というよりも、それは後悔に近かった。
自分自身の衝動を抑え込むことができなかった、その理性の敗北に打ちひしがれている。
284 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:01:15.56 ID:m2HupEjL0
……だが、時間はもう残っていなかった。
モノクマ「ま、これで全部明らかになったことですし、やっちゃいますか!」
結華「ま、待ってよ……それって……おしおき……?!」
摩美々「……ッ!」
モノクマ「うん、知りたかった真実を知れて田中さんも満足したでしょ? それにほら、そろそろお開きにしないとそこのキッズたちもお眠じゃないかなって」
果穂「そ、そんなことありません! あたしは全くねむくなんてないですから……摩美々さんをころさないであげてください……!」
あさひ「わたしも、摩美々ちゃんとまだお別れなんてしたくないっすよ」
摩美々「まだ、まだですよ……」
モノクマ「ん?」
摩美々「まだ、摩美々の知りたい真実は知れてないって……【霧子がどうなった】のか、これじゃわかんないじゃないですか……」
そうだ、確かに真相編と銘打っていたものの、そこにあったのは幽谷霧子の残忍な裏切りまで。
その先、大崎甘奈を殺害した後のことを私たちは知らない。
断片的に、恣意的に切り取られた情報を受け取ったことで、田中摩美々の中の衝動が再び熱を帯びる。
あの殺害の果てに幽谷霧子は何を手にしたのか、そして何を失ったのか。
誰よりもそばで見てきた存在だからこそのそれは、『知りたい』という知識欲よりももっと根源的なもの、『知っておかなければならない』だった。
285 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:01:54.93 ID:m2HupEjL0
でも、それを分かったうえでモノクマは田中摩美々の問いかけの一切を無視した。
あのエンディングを見ればその欲望が顔をのぞかせるのを知っていたから、
それを踏みにじるこの時を待ちわびていたかのように、声高々意気揚々として、処刑を宣言する。
摩美々「霧子は、無事なんですか……? 咲耶は? 他のみんなは?」
モノクマ「今回も、超高校級の服飾委員である田中摩美々さんのためにスペシャルなおしおきを用意しましたぞ!」
摩美々「教えてくださいよ、みんなは無事なんですか……?」
モノクマ「それでは張り切っていきましょう!」
摩美々「あのゲームは、本当にノンフィクションなんですか?」
モノクマ「おしおきターイム!」
摩美々「誰でもいいから教えてよ……」
286 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:02:32.68 ID:m2HupEjL0
摩美々「真実を、摩美々に教えてよ……」
287 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:03:20.18 ID:m2HupEjL0
-----------------------------------------------
GAMEOVER
タナカさんがクロにきまりました。
おしおきをかいしします。
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288 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:04:02.82 ID:m2HupEjL0
普段から『悪い子』を自称している田中さん。
そんな彼女は今裁きの場についています。
彼女に下されるのは『天国行き』か、それとも『地獄行き』か!?
閻魔大王様のアンサーズチェック!
…………
…………
…………
おめでとう!
見事『地獄行き』の片道切符を手に入れましたね!
これで名実ともに『悪い子』ですよ〜!
-----------------------------------------------
地獄めぐりぶらり旅
超高校級の服飾委員 田中摩美々処刑執行
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289 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:06:29.88 ID:m2HupEjL0
地獄に落とされた田中さんがまず最初に登らされるのは針山地獄!
まち針を刺された剣山みたいな針山をよじ登らなければ下から登ってくる巨大なトカゲに丸呑みにされてしまいます。
急いで急いで登らないと、ほら!
手に針が刺さったぐらいで止まってちゃダメダメ!
最近の若者はダメですねぇ、針が足を貫通したぐらいで音を上げちゃって。
それでも虫みたいに必死に必死に這い上がって、なんとか頂上に辿り着きました。
針山地獄を登ってみると行き着いたのは賽の河原!
早いところネイルストーンを積んで塔にしてしまわないとカメレオンに捕食されちゃいますよ!
だけどいくら積んでも積んでも獄卒に倒されてしまう、それが賽の河原。
出来たと思ってもすぐ壊されて、また出来たと思っても壊されて。
手足に空いた穴も痛むのか、いよいよ途中から田中さんは積むことすらできずに終わってしまいました。
当然田中さんは間に合わず、そのままカメレオンの口の中へ。
290 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:08:33.74 ID:m2HupEjL0
カメレオンの口の中は最後の審判、その寝台の上。
田中さんは気がつけばその舌をペンチでつまみ上げられている状態。
子供の時からよく言いますよね、『嘘をつくと閻魔様に舌を抜かれる』って!
嘘ばっかりついて人を揶揄ってばかりの田中さんの舌……こんなもの、もう要りませんよね!
ガタンッ!
音を立てて寝台の乗っていた床は抜け落ち、田中さんの舌の先っぽは体とお別れを告げました。
ぺンチにつままれた舌だけが風に靡いて、なんだか柳の葉っぱみたい。
地獄の地の底で自らの血に沈む田中さん、大好きな爬虫類とお揃いの舌になってしまいましたね。
これぞまさしくスプリットタン、なんちゃって!
291 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:09:51.16 ID:m2HupEjL0
……田中摩美々は死んだ。
知りたくて知りたくて仕方がない真実。その断片だけを渡されたまま、新たに沸きあがった疑問の身を抱えて、果てた。
その虚しさを前にして、私たちは言葉を発することができずにいた。
モノクマ「日本の夏、おしおきの夏……いやあ、これぞまさしく南国生活の風物詩ですな」
モノミ「なんてことを……なんてことをしてくれたんでちゅか!」
モノクマ「夜空に輝くは花火、地底に輝くは命の爆散。どっちが眩しいかって話ですよね」
モノミ「そんな品評会したくないでちゅよ!」
結華「……なんで、なんでまみみんにあんな残酷な真似をしたの!」
モノクマ「ん? なんのこと?」
恋鐘「ゲームのことたい! あんな終わり方なら、見せんほうがよかったのに……なんで最後の最後、追い詰めるようなことを……」
モノクマ「やれやれ、真実を教えてなかったら教えなかったで文句言うくせにさ、ボクは求められたままに真実を与えてやっただけだよ?」
292 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:10:20.06 ID:m2HupEjL0
結華「……でも、それでも……まみみんに、わざわざあんな表情させなくてもよかったじゃん……」
恋鐘「結華……」
メガネ女はその場に膝をついてすすり泣く。
あれだけ冷静に事態を見極めていたはずの田中摩美々が散々取り乱して命を落としたという光景はインパクトも大きく、私の耳にも彼女の悲痛な叫びが沁みついてしまっていた。
真実はいつも私たちを救う訳ではない、むしろ最後の最後に追い詰める決め手にもなりかねない。
あいつの死は私たちの心に大きく影を落とすこととなった。
あさひ「……あのゲーム、本当だったっすかね」
夏葉「……凛世」
そして、283プロの連中は私とは別に、新たな事実を咀嚼せねばならない。
大崎甜花と大崎甘奈の死、そしてあのゲームの中で起きていた【惨劇】だ。
幽谷霧子が二人を手にかけたあれはいったい何だったのか。
……その答えは全員の頭にぼんやりとは浮かんでいた。
でも、それを口にするのはためらわれる。
田中摩美々と同じだ、誰かがそれを口にしてしまえば、それが絶対になるような気がして、怖くて怖くて、その一歩が踏み出せない。
293 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:10:58.57 ID:m2HupEjL0
モノクマ「もしかして、このコロシアイは一回目じゃないのかもしれないね!」
そういう一歩だからこそ、モノクマは悠々とそれを口にした。
294 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:11:32.33 ID:m2HupEjL0
ルカ「お、お前……なんてこと言い出すんだよ!」
モノクマ「あのゲームが文字通りのノンフィクションなら、あのゲームに出ていたみんなはオマエラと同じようにコロシアイをさせられていたのかもしれないよね。ほら、それなら幽谷さんが二人を手にかけるのも納得でしょ?」
ルカ「ざけんな! そんなこと、そんなことあってたまっかよ!」
声を荒げる私とは別に、283の連中は静まり返っていた。
自分たちの頭にも浮かんだ可能性、それを場に持ち出されたことによって完全に委縮している。
その可能性に怯え、おずおずと肩をすくめる。
295 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:12:02.64 ID:m2HupEjL0
モノクマ「さあここでクエスチョン! この南国生活に参加していない283プロダクションのメンバー……櫻木真乃さん、八宮めぐるさん!」
美琴「……」
ルカ「……」
モノクマ「幽谷霧子さん、白瀬咲耶さん!」
結華「きりりんとさくやん……」
恋鐘「そ、そんなわけなか……ありえんって……」
モノクマ「西城樹里さん、杜野凛世さん!」
果穂「えっ……」
夏葉「違う、違うわ果穂……そんなわけない」
智代子「……二人とも」
モノクマ「大崎姉妹はまあ置いといて、樋口円香さん、福丸小糸さん!」
透「……」
雛菜「あは〜……」
モノクマ「以上の面々は一体全体どうしちゃったんでしょうかね? 彼女たちは希望ヶ峰歌姫計画に選ばれなかったんでしょうかね?」
モノクマ「うぷぷぷ……ゆっくり考えてごらんよ、答えはきっとオマエラならたどり着けるからさ」
296 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:13:10.65 ID:m2HupEjL0
私たちの間に、新たな疑問が投げ込まれた。
それは、答えの見え透いた疑問。
でもその答えはあまりにも重たすぎて、受け止めようとすれば膝が砕け散ってしまいそうな、何があっても認めたくない、最悪の答えだ。
それぞれ全員が解答に辿り着いたであろう沈んだ表情を浮かべると、モノクマは満足げに裁判場を後にした。
残された私たちの間には重たい空気ばかりが漂う。
結華「……ごめん、三峰ちょっともう耐えられない」
恋鐘「あっ、結華……待って、そんなふらついとって、一人じゃ帰れるか心配ばい!」
やがてアンティーカの二人が裁判場を後にした。
大切な存在を今しがた失ったばかりの二人、誰もそれを遮ろうとはしなかった。
297 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:14:02.78 ID:m2HupEjL0
あさひ「あのゲームが本当なら、わたしたちの他にもコロシアイはあったはずっすけど、みんながまだ死んだと決まったわけじゃないっすよ」
長い長い沈黙に耐えかねて口を開いたのは、中学生だった。
年の割に落ち着いた様子で、淡々と彼女なりに現状の分析を口にする。
あさひ「霧子ちゃん、甘奈ちゃん、甜花ちゃんの三人で起きたことは残念っすけど……今それを悲しんでてもしょうがないっすよ、わたしたちだって今コロシアイの真っ最中だし……」
____でも、今それは完全に悪手だった。
雛菜「ストレイライトの人たちには雛菜たちの気持ちなんかわかんない」
愛依「ひ、雛菜ちゃん……?」
雛菜「いいですよね〜、ストレイライトの人たちは、みんなこの場に揃ってて。でも、他のみんなは今だってずっと不安なんですよ〜?」
愛依「……で、でもうちらだって、283のみんなのことは心配で……」
雛菜「283のみんな、じゃなくて雛菜たちはユニットの仲間として心配してるんですよね〜」
愛依「ご、ごめん……」
298 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:14:41.53 ID:m2HupEjL0
智代子「……樹里ちゃんと凛世ちゃんがここにいない……その理由ってなんなのかな……?」
あさひ「だから、それを今考えても……」
冬優子「ちょっと一回黙りなさいあさひ!」
あさひ「……!」
黛冬優子が口を押えるようにして発言を遮った。
ずっとキャラを演じ分けて、好感度を保つようにしてきた分、場に適した立ち回りは心得ているようだ。
中学生が口を開けば開くほど、場の空気が悪化しているのは私にも感じ取れた。
それに、私自身にも湧き上がる衝動と怒り、それは『反発』だ。
夏葉「……申し訳ないけど、冬優子と愛依はあさひを連れて早くこの裁判場を去ってもらえないかしら」
愛依「な、夏葉ちゃん……?」
夏葉「今あさひにかかっている嫌疑がもし本当なのだとすれば、あさひが口にしている言葉はすべて仲間たちへの冒涜や侮辱に等しいのよ……!」
夏葉「あなたは、人が人を殺すことの意味を本当に理解しているの……?!」
299 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:15:28.23 ID:m2HupEjL0
この裁判のさなか判明した事実、芹沢あさひは事件をかき乱す【狸】である。
そのことがある以上、こいつが他の人間の生死に対する感情に口出しをすることは誰の目にも見ても許されざる侵犯だ。
小金持ちの震える右手が、彼女の感じている憤りとやるせなさをまさに体現していた。
あさひ「……えっ」
夏葉「……お願い、今は私たちから距離を置いてもらえるかしら。冷静になる時間をちょうだい」
冬優子「……行くわよ、あさひ」
あさひ「え、冬優子ちゃん?」
冬優子「……出ていく前に言っておくけど、あさひは変な奴だけど、そんな人の死を弄ぶような真似はしない。あの脅迫状だって別の誰かが送ってきたものだってふゆは信じてるから」
愛依「あっ、ちょ、冬優子ちゃん! あさひちゃん!」
ストレイライトの連中も追い出されるようにして裁判場を後にした。
最後に見せた中学生の寂しげな目、だけど現場の証拠の数々が、あいつが狸であることを物語っている。
恨みこそすれ、恨まれる道理などない。
……その筈だ。
300 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:17:34.90 ID:m2HupEjL0
果穂「あさひさん……」
夏葉「……果穂、悪いけどあさひとの不用意な接触は避けてちょうだい。これも、あなたのためだから」
果穂「でも、あさひさんがあんなことをするはずがないです……! なにかのまちがいです!」
夏葉「……私にも、分からないのよ」
完全に、空中分解だ。
この島にいた16人、全員で生きて帰ろうとそう息巻いていた人数の頭数が1つ、2つの消えていき、その間にあった結束はもはや意味をなしていない。
アンティーカはその中心核を失ったように危うく、放課後クライマックスガールズとノクチルは不安の薄靄を払しょくできず、ストレイライトは孤立への道をたどる。
ユニットそれぞれがまるで島になり、島の間には橋もかからない。
孤立無援の小集団があちらこちらに浮かび上がる、そんな不和の絶海が生まれ育ってしまった。
夏葉「コロシアイだなんて……そんなことが以前にもあったなんて、そんなこと、あり得ないわ……あっちゃならないもの……」
そうやって自分自身に言い聞かせるように口にしても、内心がそうは思っていないことは全員が知っている。
そうでなければ、わざわざあの中学生を遠ざけはしない。
301 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:19:08.12 ID:m2HupEjL0
美琴「……灯織ちゃんが、生きていれば訊ねることもできたんだけど」
ルカ「……そういえば、あいつの名前もゲーム中に出てきてたな」
美琴「うん、おそらくはA子、主人公があの子だったんだと思う」
≪灯織「以前、私も……誰も信用できないような【疑心暗鬼の状態】に陥ったことがありました。その時、私は大切なものをいくつも失って……そんな悲しみを、ここでも背負う訳にはいかないんです」≫
美琴「ルカはその時いなかったんだけど、灯織ちゃんはかつての体験を仄めかして語る時があったんだ。私たちはその意味を理解していなかったけど……もしかして、このことだったのかも」
ルカ「じゃああいつは……コロシアイに生き抜いて、またここでコロシアイに巻き込まれたってのか……?」
風野灯織、あいつも謎の多い人間だった。
というよりも、元々持っていた印象と少し違っていた。確か私がここに来る前の限りでは、あそこまでハキハキと先導に立つような人間ではなかったはずだ。
別に臆病者だと揶揄するつもりはないが、どちらかといえば一歩引いた補佐的な役回りをするような女だったように思う。
それが、人を信じぬくことを訴えかけるような情熱に満ちた姿勢を見せ、さらには全員を一人で守り抜こうとして……命を落とした。
あいつは、私たちの失っている記憶とやらの中で、何を見て、何を味わってきたのだろうか。
302 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:20:32.68 ID:m2HupEjL0
美琴「……」
美琴は、風野灯織のことを考えながらも視線は別の所に向けていた。
透「……」
その先にいたのは、浅倉透。
七草にちかが死の間際に告発した、外部との関与の疑われる人間。美琴の考えるところはすぐに私にも理解できた。
ルカ「……おい、お前……何か知ってるんじゃねえのか?」
透「え……何?」
こいつなら、あり得る。
私たちの失った記憶を、あったかもしれないコロシアイを、私たちの知りたい真実を知っている可能性がある。
303 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:21:25.64 ID:m2HupEjL0
ルカ「何、じゃねえ。七草にちかの裁判からずっと姿をくらましやがって、ちょうどいい機会だ。話してもらうぞ、お前はいったい何者なんだよ」
雛菜「ちょっと! 透先輩に何する気なんですか〜! 透先輩に何かしようって言うなら雛菜が相手になりますけど〜!」
ルカ「退いてろ、お前だって気になんだろ。残りの幼馴染が今どうなっているのか」
雛菜「……! そ、それは〜……」
ルカ「……お前、あのゲームの中のコロシアイについて、何か知ってんじゃねえのか?」
透「……」
ルカ「答えろよ、浅倉透」
透「……」
304 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:22:23.38 ID:m2HupEjL0
透「……知らない」
ルカ「お、お前……この期に及んで……!」
ガッ
浅倉透は頑なだった。
私が胸ぐらをつかんでも、まるで口を開こうとしない。
美琴が頬を叩いたときと同じだ。
こいつは何かを知ったうえで隠している、それは明らかなのだ。
でも、どれだけこちらが問い詰めたところでそれを今は語ることがないのもまた明らかだった。
透「……ごめん、話せることとかないから」
ルカ「……クソッ」
恫喝する私と目線を合わせるのも厭わず、ただじっと見つめている。
そのことが却って不気味で、私はその手を緩めた。
305 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:23:04.14 ID:m2HupEjL0
雛菜「透先輩、大丈夫……?」
透「全然、へーきへーき」
雛菜「……雛菜たちも、出ますね」
ただ、前回なら能天気女はここで私たちにもっと突っかかってきていたはずだ。
好いてやまない先輩を傷つけられたことに怒り心頭だった前回と異なり、今回は自分自身の中に沸いた疑問を認めているのか、ただその体をいたわるにとどめた。
能天気女はむしろ申し訳なさそうにするかのように、足早にその場を後にする。
美琴「……」
美琴はと言うと、汲んだその腕に指を食いこませて苛立ちを滲ませていた。
まだ七草にちかの浅倉透に向けた憎悪のしがらみから抜け出せてはいないんだろう。
私は、それに対して言葉を発することはできない。
他人が推し量るには、あまりに猛っている衝動だ。
306 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:23:58.39 ID:m2HupEjL0
そして残されたのは、放課後クライマックスガールズの連中と私たちの五人だけ。
顔を見合わせ、ため息とともに甘党女が切り出す。
智代子「……これから、どうしよっか。私たち、まだこの生活を続けなくちゃいけないんだよね……?」
ルカ「……どうするもこうするもないだろ、とりあえずは地上に戻らねーことには何も変わらねーぞ」
中学生の言っていたことは決して間違ってはいない、正論だ。
ここで他の連中の安否を心配してそわそわしていても事態が好転することもないし、その答えを得ることもない。
私たちがすべきなのは、自分たちの生還を第一に考えること。
夏葉「……そうね、みんな一度頭を冷やすべきだわ」
果穂「そう、ですね……あたしたち、協力しないといけないはずなのに……今のままじゃ……」
美琴「……」
帰りのエレベーターの空気は重たかった。
誰も言葉を発さずに、ただ壁にもたれて俯いていた。
仲間の死、仲間の裏切り、失った記憶、真偽不明の真実……受け入れがたいその全てを何度も何度も頭の中で検証するだけの時間だった。
そして、何も言わぬままホテルへと戻り、それぞれの個室へと帰っていく。
今日の所は、もうそうするしかない。
数時間前のあの花火大会の活気は、もはやどこにもなかった。
307 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:25:11.57 ID:m2HupEjL0
-------------------------------------------------
【ルカのコテージ】
「……」
帰るなりベッドにどさっと横になった。
やっと今この瞬間になって、実感するものがある。
(千雪は、本当に死んじまったんだな)
千雪の死体を見た瞬間から、必死に必死に麻痺させてきた神経が活動を始めた。
神経は情報を運ぶ。強引に押し切られて以来、無理やりに作らされた共に過ごしてきた時間という情報を、手足の先から脳の細胞の一つ一つまでに行き届かせる。
あの夜初めて飲んだ熱燗の味、並んで浴びた潮風の匂い、ともに散らした花火の閃光。
そんな何気ないものが蘇っては消えていく。
「……こんなの、ガラじゃねえって……!」
ベッド脇のちり紙を目元に押し当てた。
ちり紙は水を吸い上げて、少し重くなった。
308 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:25:43.49 ID:m2HupEjL0
「……クソッ、クソッ……!」
この島のコロシアイで一番苦しいのは、ここなんだろう。
遺された人間が、犯人を恨もうとしてもそれは適わない。
犯人もまた、この島に無理やり狂わされただけの哀れな存在。
恨みをぶつけたところで、その空虚さばかりが返ってくる。
更には、その犯人を殺すのは自分たち自身だ。
そこに正義も悪もない、大義名分のない死ばかりが募り、自分たちの生になる。
拳を振り上げても、下ろす先がない。
「……病んだ」
それでもなお立ち上がれるほど、私は立派な存在じゃない。
309 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:27:03.50 ID:m2HupEjL0
_____だから、私は千雪が遺してくれたものと共に生きる。
310 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:28:12.70 ID:m2HupEjL0
-------------------------------------------------
【美琴のコテージ】
一人で立ち上がれないなら、他のやつの手を借りる。
私はまだまだ一人だけで生きていけるほど、大人じゃない。
完全なカミサマなんかじゃなくて、未成熟なただの子供だと気づいたから。
美琴「……おいしい」
ルカ「……だろ、私も千雪の受け売りだけどよ。案外いけんだろ」
美琴「うん、熱燗ってこんな感じなんだね」
ルカ「たまにはツマミぐらい食えよ、酒だけだと却って体に悪いぞ」
美琴「ふふっ、ルカも冗談言うんだね」
ルカ「……うっせ」
机の上に酒とツマミを広げ、胡坐を組んだ。
ファンの連中には見せられないような、恥も醜聞もあったもんじゃないありのままの私。
それを見せられる存在が、今再び私のもとにいることに、感謝せずにはいられない。
311 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:29:01.52 ID:m2HupEjL0
美琴「そんなに一気に飲んで大丈夫?」
ルカ「大丈夫だよ、今更年上ぶんな」
照れくささで酒を仰いだ。
度数高めの酒を選んだせいか、やたらと今日は周りが早い。
やたらと額の辺りが暑くて、手を団扇がわりにする。
美琴「……ありがとう、ルカ。一人でいたら、私も不安を感じていただろうから」
ルカ「……おう、そうかよ」
美琴なりの優しさだろう。
目元を腫らして急に来訪した私に、負い目を感じさせないための言葉だった。
ルカ「成人してまずよかったと思うのは、やっぱ酒だな。酒があれば大体のことは忘れられる」
美琴「そうなんだ」
ルカ「そうなんだって……お前相変わらず飲んでないんだな」
美琴「うん、体にはあまり良くないでしょ?」
ルカ「ハッ……プロ意識が高いことで」
私とコンビを組んでいた時からずっと美琴はそうだ。
打ち上げの場でも酒は断って、ジンジャーエールを啜っていたような女。
芯がぶれないと言えば聞こえはいいが、ノリが悪いと取られたりはしていないだろうかと心配になる。
312 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:29:33.95 ID:m2HupEjL0
ルカ「ま、今日くらいはいいだろ?」
美琴「うん……そうだね」
美琴「この島にいる限りは……あまり関係ないかも」
酒に中てられたのか、美琴もあまり見ない表情で弱音を零した。
美琴「……これからどうなるんだろうね。みんな、バラバラになっちゃった」
ルカ「……おう」
美琴「アンティーカも、放クラも、ストレイライトも、ノクチルも……それぞれがバラバラになって……協力して脱出なんて、できそうにないかも」
そんなこと知ったこっちゃない。
私にとって大切なのは、ただ私一人が生き残ること。
他の人間が同士討ちしようが、仲間割れを起こそうが関係ない。
……以前までなら、そう思っていた。
313 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:30:35.33 ID:m2HupEjL0
≪千雪「ルカちゃん、線香花火、落ちてるよ」
ルカ「え……あ、あああああ!? お、お前今のはずるだろ!?」
千雪「私は何もしてないもの、今のはルカちゃんの負けですー」
(く、クソ……!)
ルカ「はぁ……わかったよ、私の負けだ。なんでも命令を言いな」
千雪「そっか、命令かぁ……考えてなかったなぁ」
千雪「……じゃあルカちゃんには、お友達を作ってもらおうかな」
ルカ「は、はぁ……?」
千雪「283プロのみんなともっと仲良くしましょう!」
ルカ「い、いやいや……今も花火大会に参加はしてるだろ?」
千雪「うん、だからその調子でみんなと関わり続けてほしいの。悩んだり、苦しんだりしたときに、一人で抱え込まないように」
ルカ「なんだよそれ……」
千雪「お酒の力がなくたって、ちゃんと自分から相談できるようになりましょう!」
ルカ「はいはい、わかりましたよ……」≫
314 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:31:48.35 ID:m2HupEjL0
私には、あいつから与えられた命令がある。
勝負というものは正々堂々ルールに則って行われなくちゃならない、それは勝敗決定後のペナルティだって同様に。
最後まで履行されることでやっと勝負は勝負として成立させられるのだ。
____本当に、とんでもない罰ゲームを考えつくものだ。
ルカ「……畜生、とんだ難題だよ」
美琴「……ルカ?」
私は酒を一気に飲み干して、御猪口を机に音を立てて置いた。
その音に反応して、美琴の視線もこちらへ。
ルカ「……っあー! 効くな、これ」
酒の勢いに任せて言ってしまえ。
千雪の下した命令、託してくれた想い、それは私にしかできないことだ。
一度孤立無援の闇に落ちた私だからこそ、この濃霧のかかった状況を切り開くことができる。
身体が焼けるように熱い。燃えているのは、腹の中、そのもっともっと奥の底。
飲みほした酒が、その炎の勢いをより激しくする。
立ち昇る豪炎はやがて火柱へ。
そして焔は力となり、衝動となり、言葉になる。
315 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:32:25.59 ID:m2HupEjL0
ルカ「……やるぞ、美琴。私たちが生きて帰るため、そんで、これ以上誰も死なさないため」
ルカ「このままじゃ、ダメだろ」
ルカ「私たちが……動かねーと」
美琴「……変わったね、ルカ」
ルカ「……うるせーよ」
美琴の言葉に乱暴な返事をしながら、また猪口に酒を注ぎ直した。
316 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:33:43.43 ID:m2HupEjL0
-------------------------------------------------
【???】
「……あちしは何としても戦い抜きまちゅ」
「たとえ、どんな敵が相手だって、誰があちしの前に立ちふさがったって」
「あちしは決してあきらめまちぇんよ」
「なんたってあちしはミナサンの南国生活を率いるディレクター」
「そして、あちしは希望ヶ峰学園の名前を背負って立つ超絶激かわマスコットなんでちゅから」
「希望ヶ峰学園歌姫計画……その遂行のため、あちしはこの身もささげる想いなんでちゅ!」
「だから、待っててくだちゃいね!」
-------------------------------------------------
317 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:34:44.19 ID:m2HupEjL0
-------------------------------------------------
CHAPTER 02
厄災薄命前夜
END
残り生存者数
12人
To be continued…
-------------------------------------------------
318 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:36:26.18 ID:m2HupEjL0
【CHAPTER 02をクリアしました!】
【クリア報酬としてモノクマメダルを20枚獲得しました!】
【アイテム:使いかけのリップを手に入れました!】
〔CHAPTER02を生き抜いた証。使い手を失ったその独特の色合いのリップは乾燥にひび割れている〕
319 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/01/27(木) 22:41:56.74 ID:m2HupEjL0
以上で2章はおしまいになります。
振り返ってみるとルカが主人公になるにあたっての立志編のようなお話でしたね。
書き始める前はここまで千雪との関係性が濃くなるとは思っていなかったので私としても意外な展開に転がりました。
シャニ本編では美琴との関係性修復どころか、まともな絡みも(なんなら出番も)まだそんなにないんですよね……
そして、それ故に今章は前シリーズの終盤並みの文量となっていました。今後は流石にここまでにはならない……はず。
さて、3章ですがまたしばらくお時間をいただきます。
更新の前には2章再開時と同様に事前に告知を書き込みにまいりますので気長にお待ちください。
ある程度話はすでにまとまっているので、早めに完成させられるよう頑張ります。
それでは2章もお付き合いいただきありがとうございました、またよろしくお願いします。
320 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/01/27(木) 22:44:52.28 ID:/AgEgMgw0
お疲れ様でした!
毎度のことながらスレ主のアイドルの解像度と表現力には感動させられますね……
321 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/01/27(木) 22:50:21.93 ID:khpYhbWO0
お疲れ様でした!
楽しみにしてます!
322 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/01/28(金) 22:43:42.27 ID:alHUJxgp0
乙乙
323 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/02/03(木) 11:07:22.14 ID:LH4xU4B90
乙です!
続きが楽しみです!
324 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/04(金) 23:06:00.97 ID:yHdRIbA90
追いついた!乙です
しかし前回の生き残りメンバーが
本当にまたコロシアイに参加させられているとしたら
なかなかに鬼畜な
>>1
だなって思うなぁ
ダンガンロンパ公式ですら一度生き残ったメンバーは結局○ななかったのに
325 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/04(金) 23:55:25.51 ID:/dccSP2z0
だとすると死んだはずの浅倉がいるのが謎なのよねぇ
前作ラストの夏葉のような誰かさんみたいなカラクリかもしれないけど
326 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/02/05(土) 21:29:14.81 ID:RusAAG6B0
今2作目ですけど原作みたいに3作目も考えていますか?
327 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/11(金) 01:30:40.78 ID:AMOZXJTY0
俺はそれよりももう主人公変わってるし次スレのタイトルもにちかのままだったら混乱する人出そうな気がするからどうするんだろうなぁって思ってる
このまま通すとしたらまさかのにちか復活フラグ・・・?
328 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/02/26(土) 23:04:57.72 ID:OPDxX83e0
-----------------------------------------------
GAMEOVER
クワヤマさんがクロにきまりました。
おしおきをかいしします。
-----------------------------------------------
329 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/02/26(土) 23:06:06.02 ID:OPDxX83e0
月へと向かうキャラバンの一行。
彼らは全員その身をフードのついたケープに身を隠し、ラクダたちに乗って進んでいきます。
人里も森もない広大な砂漠、後ろを振り返っても自分たちのつけた足跡の他には何もなし。
そんな寂寥な旅路を導くのは、先導をいく桑山さんの腰につけた巾着袋。
鈴を模したその巾着には、『C.K』の刺繍が施されていました。
-----------------------------------------------
ハンマープライス!
超社会人級の手芸部 桑山千雪処刑執行
-----------------------------------------------
330 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/02/26(土) 23:08:08.53 ID:OPDxX83e0
あと少しでオアシス、もう少し頑張りましょうね!
そう言って後続部隊を励ます桑山さん。
ですが、そんな激励を聞きながらも隊の一人が前方を指差します。
なんとそこに居たのはモヒカンが体躯の倍はあろうかという立派なヘアスタイルの荒くれモノクマたち!!
砂漠だろうとなんのそので進んでくるバギーにキャラバンは囲まれてしまいました。
荒くれモノクマはキャラバンのメンバーを次々に荷台の牢屋に積み込んでいきます。
彼らは立派な労働力、王国まで連れていけば奴隷として買い手は引く手数多でしょう。
一人、また一人と消えていきます。
荒くれモノクマにとっては一人一人が誰かなんてどうでも良いのです、所詮は社会の歯車の一つ。
大企業の社長が役員未満の社員の顔を誰一人として覚えていないように、奴隷に売り払う人間など押し並べて同じなのです。
そしていよいよ桑山さんのところへ荒くれモノクマがやってきて、ついにその腕を引ったくりました!
ああ、このうら若き乙女も奴隷としてその生涯を終えてしまうのでしょうか!
その瞬間、腰につけた巾着が地面に落ちました。
それは、アイドルでもなんでもないただの『桑山千雪』の作った巾着袋。
原価がどれだけかかっていても、所詮1円で売り叩かれてしまうような『誰かの作った』巾着袋。
……でも、それに荒くれモノクマは『値』をつけました。
331 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/02/26(土) 23:08:57.21 ID:OPDxX83e0
バキューン!!
拾い上げようとした桑山さんを一発の弾丸が貫きました。
巾着袋を亡骸から引ったくる荒くれモノクマ。
略奪した金を入れておく分にはちょうどいいぐらいの巾着袋、これはいい掘り出し物でした。
別に、誰が作ったとかそういうのはどうでも良かったんですよね。
……え? 代金?
お金の代わりに桑山さんの命で支払ったんです。
なんたって、今の時代はキャッシュレスですからね!
332 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/02/26(土) 23:18:19.26 ID:OPDxX83e0
というわけでお久しぶりです。
結局一か月お待たせしてしまいましたが、なんとか三章の書き溜めができたので事前の告知に参りました。
問題がなければ月曜日あたりから更新できると思います。
完全自己都合で恐縮なのですが、生活環境が変わった関係もありまして次の3章から更新の時間が決まった時間では取りづらくなってしまいました。
少なくとも変更などの際にはその日のうちに前もって時間は書き込むようにしたいとは思いますが、何卒ご了承ください。
ひとまず3章の初回更新は22時ごろからということで予定しています。
ご参加お待ちしております。
※感想などありがとうございました、いただいていた質問に関しては解答させていただきます。
>>326
シャニマスのアイドルとして現段階で登場しているアイドルは1と2で全員になるので続編は今のところは考えていません。
今シリーズが終わったら一旦区切りにするつもりです。
>>327
スレタイに関しては1章での主人公交代もあるのでそのネタバレを避ける意味でPart制にしています
すぐにレスでルカが主人公だとはわかってしまうのですが、一応開く前段階からバレるのは避けたいなと……
進行上は問題なさそうですし次スレでもスレタイはこの方式のまま行く予定です。
333 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/02/27(日) 22:28:12.35 ID:dfO2/uvw0
待ってます
334 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/02/28(月) 17:43:16.40 ID:Zw9x/iv00
申し訳ない、初っ端からですが修正必須の箇所を見つけたので更新
開始日を少しずらさせてください…
二日後の水曜日の10時ごろからでお願いします
335 :
更新前に現在までの状況を整理します
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/02(水) 21:57:03.85 ID:aUuuDLZd0
【3章段階での主人公の情報】
【超社会人級のシンガー】斑鳩ルカ
‣習得スキル…特になし
‣現在のモノクマメダル枚数…89枚
‣現在の希望のカケラ…24個
‣現在の所持品
【ココナッツジュース】
【ジャバの天然塩】
【ひまわりの種】
【エプロンドレス】
【新品のサラシ】
【オスシリンダー】
【メスシリンダー】
【トイカメラ】
【ドライビングニトロ】
【蒔絵竹刀】
【絶対音叉】
【七支刀】
【バール】
336 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/02(水) 21:57:57.19 ID:aUuuDLZd0
‣通信簿および親愛度
【超高校級の占い師】風野灯織…0【DEAD】
【超社会人級の料理人】 月岡恋鐘…1.5
【超大学生級の写真部】 三峰結華…0
【超高校級の服飾委員】 田中摩美々…0【DEAD】
【超小学生級の道徳の時間】 小宮果穂…1.0
【超高校級のインフルエンサー】 園田智代子…0.5
【超大学生級の令嬢】 有栖川夏葉…0
【超社会人級の手芸部】 桑山千雪…10.5【DEAD】
【超中学生級の総合の時間】 芹沢あさひ…2.0
【超専門学校生級の広報委員】 黛冬優子…0.5
【超高校級のギャル】 和泉愛依…0
【超高校級の???】 浅倉透…0
【超高校級の帰宅部】 市川雛菜…0
【超高校級の幸運】 七草にちか…0【DEAD】
【超社会人級のダンサー】 緋田美琴…0
337 :
それでは3章、始めます
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/02(水) 22:00:10.16 ID:aUuuDLZd0
冬優子「……で? あの脅迫状、あんたはどう思う訳?」
338 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/02(水) 22:01:22.32 ID:aUuuDLZd0
あさひ「え? どう思うってどういう意味っすか?」
冬優子「……ふゆの性格について書かれた脅迫状。ふゆはあんたたちにしか元々この性格は見せちゃいなかった、それなのにそれ以外の人間があんな文章書いてよこすなんて、怪しすぎるじゃない」
愛依「あれ? うちもヨーギシャから外してもらえてる感じ?!」
冬優子「当たり前でしょ、あんたがあんな手の込んだ真似できるわけないし……問題外よ問題外」
あさひ「……わたしたちに見せてた冬優子ちゃんとほかに見せてた冬優子ちゃんが違うってこと、わたしたち以外にも知ってる人はいるっすよね?」
冬優子「はぁ? 何よそれ、誰のこと言ってんの?」
愛依「あ、もしかして冬優子ちゃんのお母さん的な〜!?」
冬優子「……この島にうちの親がいるならここに連れてきてちょうだい」
あさひ「冬優子ちゃんのお母さんでも、お父さんでもないっす」
愛依「え? じゃあ誰なん? もしかして、アイドルの他の子にバレてたりしちゃってた感じ!?」
冬優子「……そんなわけない、ふゆは完璧に隠し通してたはずよ」
あさひ「……?」
あさひ「何言ってるっすか? いるじゃないっすか、わたしたちの近くに」
あさひ「冬優子ちゃんのことも、愛依ちゃんのことも、わたしのことも、全部全部知ってる人が」
冬優子「あんた、それってもしかして……」
339 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/02(水) 22:02:55.71 ID:aUuuDLZd0
あさひ「プロデューサーさんっす」
340 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/02(水) 22:04:18.60 ID:aUuuDLZd0
-------------------------------------------------
CHAPTER 03
Hang the IDOL!!〜弾劾絶叫チュパカブラ〜
(非)日常編
-------------------------------------------------
341 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/02(水) 22:06:28.70 ID:aUuuDLZd0
=========
≪island life:day 11≫
=========
【美琴の部屋】
キーン、コーン…カーンコーン…
『えーと、希望ヶ峰学園歌姫計画実行委員会がお知らせします…』
『オマエラ、グッモーニンッ! 本日も絶好の南国日和ですよーっ!』
『さぁて、今日も全開気分で張り切っていきましょう〜!』
昨晩の決起集会じみた部屋飲みから目を覚まして、その気分はあまり良いものではなかった。
二日酔いの反動があるというのもそうだが、それ以前に裁判終わりの私たちの惨状。
ユニットごとの孤立を極め、この島に来ていない人間の安否不明による漠然とした不安感。
私がいつも鬱陶しがっていた283プロの結束が失せてしまっていたようなあの空気感が、今も頭に纏わりついている。
酒を飲めば忘れられるかと思ったが、その効果は寝るまでの間ですっかり切れてしまったらしい。
妙に冴えた朝が、かえって苦しい。
342 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/03/02(水) 22:08:21.10 ID:aUuuDLZd0
「……ふぅ」
肺に溜まった空気をゆっくり吐き出した。
チャイムも鳴ったし、本来ならじきにレストランで朝食会の時間だ。
今日はあるのかどうかも分からないが。
ひとまず美琴を起こしてから向かうとするか。
そう思ってベッドの方に目を向けたが、美琴の姿はない。
きょろきょろとあたりを見渡すと、掛けてあったジャージも姿を消している。
……あいつめ、私をほっぽいて早速朝練してやがった。
相棒の相変わらずの傍若無人っぷりにため息をつきながら、私はキッチンに立つ。
鍵も持っていないのにここを空けるわけにはいかないだろう。
インスタントのコーヒーでもすすりながら、美琴の帰りを待つことにした。
珈琲のあてには、昨日の飲みで余ったミックスナッツを採用した。
カシューナッツの小気味いい食感が、ぽりぽりと音を立てて私の眠気をそぎ落とす。
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