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【コンマ】ウマ娘とトレーナーがラーメンを食べに行くだけのスレ
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569 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/01(日) 21:56:46.57 ID:78PruUIj0
ほ
570 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/01(日) 22:11:39.33 ID:n1nbGtiAO
「……手はあります。ただ、自信があるわけじゃないですが」
「手、ですか」
「ええ。持久系のトレーニングは、天王寺トレーナーの速筋中心のトレーニングとは違います。重要なのは、リカバリーなんです。
地道な走り込みに酸素カプセルによる休養を組み合わせ、超回復を促す。野球選手がよく使っている手法を、私も採用してます」
後ろのライスシャワーが頷いた。
「うん、ライス、三田村さんのおかげで強くなったよ。息切れもしなくなったし」
「なるほど。ただ、自信がないとは」
「スプリンターの娘に同じ手法が通用するか分からないというのが一つです。私にとっても、初めての取り組みですから……。
もう一つは、ブリュスクマンという子が突き抜けた化け物かもしれないということ。それでもやるなら、是非とも協力させて下さい」
眼鏡の奥から、強い意志が見えた。私も首を縦に振る。
「ありがとうございます。後はカレンの意思ですね」
※カレンチャンの反応
01〜35 ……三田村さん、かあ……別の人いないの?
36〜70 うーん、やってみるかなあ
71〜90 うん、分かった。いいよ
91〜00 ふふふ〜ん♪
571 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/01(日) 22:16:30.20 ID:8Htbn4vPo
あ
572 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/01(日) 22:18:36.75 ID:tTDJ3KZXo
ほい
573 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/01(日) 22:30:03.48 ID:n1nbGtiAO
*
三田村嬢と部屋に入ると、カレンの表情が曇った。
「何お兄ちゃん?三田村さんと一緒に」
「いや、例の中距離を走るって話だが……」
「だからカレンには無理!というかなんで三田村さんなの?別の人はいないの?」
私は三田村嬢と顔を見合わせた。こんな刺々しい対応をされるとは、予想外だ。
「……私なりに考えた結果なんだが」
「嫌なものは嫌なの!この話はおしまいっ!」
カレンはプイと立ち去ろうとする。……これは参った。
そこに、甲高い声が響いた。
「待つのです!」
「……バクちゃん?」
「学級委員長として、ちゃんと話は最後まで聞くべきだと思います!トレーナーさんにも考えがあるはずです!」
珍しく厳しい表情で言うバクシンオーの気迫に圧されたのか、カレンが席に戻った。
「……分かった。で、どういうことなの」
私は三田村嬢との共同トレーニングを説明し始めた。カレンは一応聞いているが、不満そうな気配は消えていない。
「……というわけだが」
「話は分かったよ、お兄ちゃん。でも、嫌なものは嫌。せめて、三田村さん以外に……」
※3人の反応
01〜30 特になし
31〜75 三田村トレーナー、何かに気付く
76〜95 天王寺も何かに気付く
96〜00 ややっ、そういうことでしたか!
574 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/01(日) 22:35:06.93 ID:78PruUIj0
えい
575 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/01(日) 22:45:13.37 ID:aBrYUwQHo
SS避難所
https://jbbs.shitaraba.net/internet/20196/
576 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/01(日) 22:51:18.96 ID:n1nbGtiAO
「あっ」
三田村嬢が声を上げた。一瞬ちらりと私を見る。それでようやく私も理解した。
……なるほど、そういうことか。
「少し、席を外していいか?三田村トレーナーと相談したい」
「……!?いいけど」
トレーナー室を出て、空いていた実習室に入った。ここなら、誰にも聞かれない。
「カレンの件ですが」
「ええ。嫉妬、ですよね。彼女、天王寺トレーナーを『お兄ちゃん』と呼ぶほど慕ってますし……」
「いや、実は……実妹なんです。母を早いうちに亡くして、私が育てたという事情が」
「……!!そういうことでしたか、なおさら納得が行きました。……なるほど」
基本人には猫を被るカレンが、いきなり敵意剥き出しにするというのはとても珍しい。その時点で、私も気付くべきだった。
つまり、私を取られると思っているのだ。それは考えすぎなのだが。
「ええ。だからちゃんと説明すれば……」
三田村嬢は難しい顔をしている。何を考えているのだろう。
※天王寺と三田村トレーナーの反応
01〜75 何も起きない
76〜95 ……あ
96〜00 天王寺トレーナー、大事なお話が
577 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/01(日) 22:53:22.85 ID:0Ii85YRsO
や
578 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/01(日) 22:57:09.41 ID:tTDJ3KZXo
コンマいい流れきてる!
579 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/01(日) 23:24:39.33 ID:n1nbGtiAO
一瞬、またちらりと三田村嬢が私を見た。眼鏡の奥に見えるその瞳が、わずかに熱を帯びているように見える。
……あ。
いや、そんなはずはない。この34年、女性とはほぼ無縁で生きてきたからだ。
だが、この向けられている感情は……覚えがないわけじゃない。
これは、恋愛感情だ。
大学時代に、一度だけだが交際経験はある。一応それなりのこともしたが、「堅物で面白くない」と半年で別れた。
だから、私に恋愛は向いていないと思っていたし、実際それっきりだった。そして、そういうものだろうとも思っていた。
ウマ娘のトレーナーになってからもそうだ。担当のウマ娘とは、常に一線を引くよう心掛けてきた。
トレーナーと結ばれるウマ娘は決して少なくはないが、私にはそういうのは合わない。あくまで一指導者として在るべきだと思うようにしていたし、それは正しかった。
公平に、そして的確に。それが今の私の地位を作り上げたのは、疑いない。
だから、きっとこのまま独りで生きていくのだろうと思っていた。それが嫌だというわけじゃないし、寂しいわけでもない。
だが、人に異性として好意を向けられることはあるとは……正直、想定の外にあった。
そして、三田村嬢の感情を理解した瞬間、カレンの心情も推察できた。
……カレンは、三田村嬢の私への感情を理解しているのではないか?
思えば、そういうフシはあった。豚星。に行った時も、牽制するようなことを確か言っていた気がする。
「……三田村トレーナー」
「えっ!?はいっ、な、何でしょう?」
自分の彼女に対する感情は、決して悪いものではない。ただ、恋愛感情かと言えばまだそうでもない。
そうである以上は、ここでカレンの感情を伝えることは、あまり望ましくないように思えた。
とすると……
「……一度、三田村トレーナーからカレンをご飯に誘ってみてくれませんか?」
「え?」
「私は抜きです。こういうのは、女性同士の方が上手くいく。あと、もちろんお礼もします」
「でも、どこに連れていけばいいか……」
私はニコリと笑った。
「もちろん、心当たりはあります」
580 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/01(日) 23:33:41.29 ID:n1nbGtiAO
※今回のテーマを決めますが、今回は自由安価ではなく選択式です。
店の特徴だけ書いておきます。
1 じっくり話せる、夜は居酒屋バーのラーメン
2 六本木にある最先端スープのラーメン
3 ミシュラン掲載の都内トップレベルの名店
3票先取です。
581 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/01(日) 23:50:06.77 ID:ipIKA6H3o
1
582 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/01(日) 23:53:30.56 ID:0Ii85YRsO
2
583 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/01(日) 23:54:53.13 ID:78PruUIj0
1
後5分で決まらなかったら日付変わるし仕切り直した方が良さそうかな
584 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/02(月) 00:00:32.74 ID:GEI2HZj9O
日付が変わったので仕切り直します。申し訳ありません。
585 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/02(月) 00:01:48.09 ID:nbPpD1sS0
改めて1
586 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/02(月) 00:05:26.22 ID:pvpmS4T2o
1
587 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/02(月) 00:10:17.94 ID:9/UVx3dt0
1
588 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/02(月) 00:23:11.05 ID:I+VZ4YI5O
了解です。少々お待ち下さい。
589 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/02(月) 00:50:43.78 ID:pvpmS4T2o
かかりカレンチャン……イイ…
590 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/06(金) 17:46:29.74 ID:rYV+b3N9O
SS避難所
https://jbbs.shitaraba.net/internet/20196/
591 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/07(土) 17:20:58.86 ID:0ktTnQHXO
更新始めますが、どちら視点か決めます。3票先取です。
1 カレンチャン視点
2 三田村視点
592 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/07(土) 17:31:58.75 ID:U8/9RbiK0
2
593 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/07(土) 17:49:00.82 ID:tXnwbPaI0
2
594 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/07(土) 17:50:06.08 ID:ookNP2sDO
2
595 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/07(土) 18:13:32.74 ID:DL8oELkfO
第12R 「神田とりそば なな蓮」
596 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/07(土) 18:30:27.28 ID:DL8oELkfO
*
「天王寺トレーナー、遅くなるって」
そう告げると、カレンチャンの表情が明らかに不機嫌そうになった。
「……どのくらいですか?」
「分からないわ、急用が入ったって」
「……そうですか」
分かりやすく塩対応だ。そもそもここに来るまでも、彼女は終始無言でスマホを弄るだけだった。
それはそうだろう。彼女にとって私は天王寺トレーナーを奪う「敵」なのだ。
3人で食事という体で(もちろん天王寺トレーナーの協力も得て)彼女を誘ったのだけど、「どうしてもというなら」と反応は極めて芳しくないものだった。
……本当に上手く行くのかしら……
もちろん、天王寺トレーナーに急用が入ったというのは嘘だ。あくまで私たち2人で話し合うのが狙いだ。
確かに、腹を割って話した方が上手くいくかもしれない。だけど、失敗したら……
私は一度胸に手を当て、大きく深呼吸した。
なぜ天王寺トレーナーが、こんな提案をしたのか。それは私を信頼してくれているからに他ならない。
……でも、何を言えばいいんだろう。「お兄さんのために協力して」?それとも、芹沢トレーナーのことを、洗いざらい話す?
どちらも、多分上手くはいかない。カレンチャンは頭がいいだけじゃなく、我も強い子だ。あまりそうは見せないだけで。
取り繕った言葉はすぐに見透かされる。綺麗事を言っても、きっと「カレンには関係ない」と一蹴されるだろう。
……とすると。
「三田村さん?」
カレンチャンが訝しげに訊いてきた。そう、これしかない。
「いえ、何でも。予約していたお店に、先に行きましょうか」
597 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/07(土) 19:32:18.81 ID:DL8oELkfO
*
「……まさか、居酒屋ですか?」
「ラーメン屋って聞いてたけど……」
店構えは少し渋めの居酒屋バーに近い感じだ。店選びは天王寺トレーナーがしてくれたわけだけど……大丈夫かしら。
店内に入ると、炭火焼鳥の香ばしい香りが広がっていた。ジャズが流れていて、小洒落た雰囲気ではある。
「予約していた天王寺ですが……」
「お待ちしておりました、どうぞこちらへ」
小上がりに通され、カレンチャンと向かい合う。彼女はいよいよ機嫌が悪い。
「本当にお兄ちゃん来るんですよね?来ないなら帰りますよ」
「ちょっと待って。……とりあえず、軽く注文だけしましょうか」
なるほど、ちゃんとラーメンもある。しかも、麺は国産ブランド粉と本格的だ。
ただ、いきなりラーメンというのも変だろう。ここはちゃんと頼んでおこう。
「ご注文は?」
「えっと……皮にねぎま、それにトマトを。あと……この『ちゃざく』というのもお願いします。飲み物は……ウーロン茶をふた……」
……ノンアルで、素面のままでやれるのだろうかと、ふと思った。未成年者の前でお酒は教育者としてマズい。
でも、本音をぶちまけるには、これだ。
「ウーロン茶と、『黒龍』をお願いします」
「かしこまりました」
店員が厨房に入っていくなり、カレンチャンが私を睨んだ。
「今頼んだの、まさかお酒ですか?」
「ええ。お兄さんが来る前で悪いけど」
「……信じられない。そんな常識のない人だとは思いませんでした」
「そうね、でも常識を超えないと、仕方のないこともあるわ」
やがて、お通しとウーロン茶、そして日本酒の入ったグラスと枡がテーブルに運ばれてきた。
私はそれを、一気に飲み干す。
「えっ??」
喉を熱い液体が流れていく。芳醇な香りと甘みが口の中に広がり、体温が一気に上がっていった。
「……ぷは」
「ちょっと……」
「ごめんなさい〜、今のと同じの、もう一つで」
カレンチャンが、唖然とした様子で私を見ている。そんな彼女に、私は微笑んだ。
「ふふ。ちょっとテンション、上がっちゃった。ごめんなさいね、お酒の力を借りたかったの」
「……は?」
「知ってるの。あなたと天王寺トレーナーが、実の兄妹ということ。知ったのは、ここ最近だけど」
「まさか、お兄ちゃんが?」
「ええ。それで色々納得が行ったの。なんで私のことを、あなたが拒否したのか。
私はあなたにとって『泥棒猫』。そうじゃない?」
598 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/07(土) 19:33:09.45 ID:DL8oELkfO
「……呆れた。そんなの、意識しすぎ……」
「でもないわ。確かに、私は天王寺さんが好き。だから、あなたが私を敵視するのも正しい」
カレンチャンは黙って私を見ていた。そして、絞り出すように呟く。
「……まさか、もうお兄ちゃんと」
「いいえ。今は完全な片想い。あなたが心配することは、何にもないわ」
運ばれてきたお酒を、一口口にする。
「でも、片想いのままいるつもりもない。だからこれは、一種の『宣戦布告』ってわけ」
彼女が歪んだ笑みを浮かべた。
「思ったより全然いい性格してますね。優等生キャラだと思ってました」
「あなたもね。『カワイイカレンチャン』は、あくまで余所行きの演技。そっちの辛辣な方が素でしょ?」
「お兄ちゃんから聞いたんですか」
「いいえ、単なる推察」
焼き鳥を口にすると、炭火の香りとともに豊かな肉汁が溢れた。ラーメン屋のレベルじゃない、本格的な地鶏の焼き鳥だ。
「……猫を被るのが上手いあなたには、こうやって本音で話した方がいいと思ったの。そうじゃないと、きっと信用してもらえない」
「本音を言ったところで、信用するとでも思いました?」
「いえ、思わないわ。でも、私にはこれしか思い付かなかった」
599 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/07(土) 19:40:59.89 ID:U8/9RbiK0
この「天王寺」て璃奈なのかな?
「りなりーボード」の変化に注目!
600 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/07(土) 20:00:36.81 ID:DL8oELkfO
「なら話はこれでおしまい、ですね」
「そうね。でも、お兄さんはどうするの?」
「勝手に2人で仲良くやってて」
カレンチャンが立ち上がった。
……ダメだったか。賭けは失敗、か……
その刹那、彼女の顔が青くなった。
「……ってまさか、お兄ちゃんはあなたの気持ちを?」
「……分からない。嫌われてはないと思うけど、ただの同僚にしか思われてないかも」
カレンチャンは立ち上がったまま、身動き一つしない。どういうことだろう?
10秒ぐらいして大きな溜め息をつくと、彼女は再び座った。
「……参ったなあ。お兄ちゃんに一本取られちゃった」
「え?」
「とぼけないで。お兄ちゃん、来ないんでしょ?初めからお兄ちゃんの掌の上だった、そういうこと」
「……どういうこと?」
「お兄ちゃんの性格、知ってるでしょ?真面目な堅物で、ボディービルとトレーナー業、それとラーメンをはじめとしたグルメ以外に興味なし。
自分のプライベートのことなんて、絶対に話さない。もちろん、カレンが本当の妹なんて、多分同僚の誰も知らない」
彼女は串焼きのトマトを口にする。
「そんなお兄ちゃんが、カレンのことを話したということは……少なくとも、お兄ちゃんはあなたにはそれだけ心を許してる。恋愛的な好きかどうかは分からないけど。
多分、三田村さんがお兄ちゃんを好きだというのも、察してると思う」
顔が一気に熱くなった。これは多分、酔いのせいじゃない。
「えっ?ちょっと……」
「わっかりやすいなあ。カレンぐらいの年齢でもそんなウブな反応しないよ?
とにかく、お兄ちゃんがお膳立てをしたというのは、こうなることも予想済みってこと。
どうなるか分からないけど、三田村さんとはそれなりに長い付き合いになるかもだし。
嫌でも付き合わないといけないなら、ここでゴネててもしょうがないでしょ」
天王寺トレーナーが私を?いや、まだそういう関係になるとは分からない。
でも、そこまで好意がバレバレだったなんて……どういう顔で会えばいいんだろう。
ヤレヤレと彼女が苦笑した。
「言っとくけどお兄ちゃんはカレンのだからね?そこだけは譲らないから、覚えておいて。
というか、結構ウマスタ映えするお店だなあ。どんどん頼んじゃお♪三田村さんのおごりでしょ?」
601 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/07(土) 20:12:38.74 ID:DL8oELkfO
*
それからカレンチャンとは色々なことを話した。ウマスタ映えする写真のコツや、題材の選び方。どこがいいお店なのかを見分けるポイントも教えてもらった。
ライスたちがよくカフェに行っているのも思い出した。あまり休日を一緒に過ごすことはないのだけど、一度誘ってみるのもいいかもしれない。
そうしているうちに結構な時間になった。ウマ娘としては少食と聞いていたけど、それでもカレンチャンの前には焼鳥の皿がうず高く積まれていた。……お金、大丈夫かな。
「じゃあ、そろそろ締めにしよ♪やっぱりラーメンだよねえ」
「え、まだ入るんだ……」
「ラーメンは別腹♪ってね。三田村さんもお酒強いね」
「ははは……そうかしら」
メニューには塩そばと醤油そば、それに新潟風煮干しそばもあるらしい。つけ麺まで含めると結構種類があるけど……
※コンマ下
6の倍数 塩そば
6の倍数+1 醤油そば
6の倍数+2 塩つけそば
6の倍数+3 醤油つけそば
6の倍数+4 鴨そば
6の倍数+5 新潟風煮干しそば
602 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/07(土) 20:14:09.59 ID:KSUDeVO2o
お
603 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/07(土) 20:15:26.49 ID:DL8oELkfO
新潟風煮干しそばで決定しました。少々お待ち下さい。
604 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/07(土) 21:15:44.82 ID:DL8oELkfO
更新は明日にします。
605 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/07(土) 21:57:18.53 ID:NPMLb+U3o
おつおつ
これの度量はボスウマですわ
606 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/08(日) 20:19:49.81 ID:SAgt1fn3O
「じゃあこの『新潟風煮干しそば』にしようかな。新潟風ってよく分からないけど」
天王寺トレーナーなら知ってるのだろうか。そもそも新潟ってそんなにラーメンがあるところだっけ。
「あ、じゃあカレンもそれで。東京で新潟ラーメンって、そこそこ珍しいよね♪どれかなー」
「新潟ラーメンっていうのがあるんだ」
フフン、と得意そうにカレンチャンが鼻を鳴らした。
「新潟って御当地ラーメンがいくつもあるんですよ〜。まず、新潟市中心のあっさり煮干しラーメン。青森のとは違って昔ながらの中華そばみたいな感じです。
新潟市には味噌ラーメンもあって、割りスープがついてくるのが特徴ですね。
で、長岡市のが生姜醤油ラーメン。これは秋葉原の『青島食堂』が代表格で、かなり濃い醤油味。
そして、多分一番メジャーなのが、燕市や三条市の『燕三条ラーメン』ですかね」
「さすが天王寺トレーナーの妹さんだけあって、詳しいのね……」
「全部お兄ちゃんからの受け売りですけど。実際に食べたのは、青島食堂と燕三条ラーメンの『潤』ぐらいですね。
ここのはどれなんだろ、煮干しってあるから燕三条かな?」
「どういうのなの、それ」
「見てのお楽しみ♪ウマスタ映えするかなー」
どういうラーメンなんだろう。ウマスタに載せるとなると、インパクトがあるんだろうか。
しばらくすると、店員が丼を持ってきた。……これって。
「スープの上に大量の脂??」
「あ、やっぱり燕三条系だ」
そう言うなり、カレンチャンは器用にラーメンと自分とが両方入るポジションを確保し、パシャリと自撮り写真を撮った。
「ん〜、ちゃんとカワイク撮れてるね♪後でアップしよ」
「え、これって脂っこくはないの?」
「食べてみれば分かりますよー。というか、本家に比べるとビジュアルは大分上品かも。とにかく、いただきまーす」
疑心暗鬼で麺を箸で持ち上げる。少し太目で楕円っぽい変わった麺だけど……
……ズズッ
……!!
「美味しいっ……!!思ってたよりずっと上品で、煮干しの味もしっかり出てる……!」
「ですね♪本家燕三条のをもっと洗練させて、キレを良くした感じ。
荒々しさを抑えてる分より煮干しが強調されてて、これはこれでアリですね♪」
タマネギや三つ葉の味がアクセントになっていて、しつこさはまるで感じない。むしろマイルドで、飲みやすくすらある。
2種類のチャーシューも、柔らかくて美味しい。特に炭火で焼いた方のは、相当ハイレベルなのが私でも分かった。
「それにこの麺……とてもスープと絡む。スープも煮干しだけじゃないのかしら」
「多分。鶏のスープが混じってるのかな?だから濃厚だけど飲みやすいですね」
アルコールを入れた胃には、とても優しい味だ。カレンチャンにつられてそこそこ焼鳥も食べたけど、すんなり完食できてしまった。
607 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/08(日) 20:34:53.96 ID:SAgt1fn3O
*
「ふー、お腹いっぱい♪ごちそうさまでしたー」
「はは……こちらこそ」
出費はまあまあな値段になった。食べている最中に天王寺トレーナーから連絡が入り、「今日のは私が後で建て替えます」とあったけど、それはそれで申し訳なく思った。
あるいはそれも織り込んでて、カレンチャンはあれだけ食べたのかもしれない。
「……で、トレーニングの件。受けてくれるかしら?」
店を出て切り出すと、カレンチャンはうーんと唸った。
「……正直、自信はないです。1400までしか持たないのは、自覚してますし。
三田村さんのことがなくても、多分悩んでたと思います。……策、本当にあるんですよね?」
「一応。基礎的なスタミナを付けさせるために、うちでは酸素カプセルを使った超回復法を導入してるの。それである程度は距離がもつようになると思う。
問題は、それだけじゃ多分足りないということ。距離をもたせるためには、あなた一人じゃ足りない」
「それってどういう」
「『ラビット』を使ったペース破壊。それで2400mを1800に『短縮』するの」
608 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/08(日) 20:41:40.07 ID:SAgt1fn3O
そう、逃げウマ娘を使ってペースをかき乱してもらう。超スローで走るなら、カレンチャンが使う本気の脚は短くて済むからだ。
だけど、問題は2つある。まず、ラビットが最初からスローで逃げても、それはたちまちブリュスクマンをはじめとした他のウマ娘に看破される。あっさり抜かれ、普通のペースにされるのがオチだ。
余程絶妙なペースで逃げないと、本質的にスローだと分かっているカレンチャンは、脚を温存できない。
そしてもう一つ。誰にラビット役を任せるか、だ。恐らく、ラビット役がブリュスクマンに勝ち切ることはない。負けるために走るのを、誰が快く受け入れてくれるのだろうか。
……その時、あるウマ娘の顔が浮かんだ。それは……
第12話 完
609 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/08(日) 20:42:48.46 ID:SAgt1fn3O
次回登場ウマ娘を決めます。3票先取です。
1 キタサンブラック
2 セイウンスカイ
3 ツインターボ
4 マヤノトップガン
610 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/08(日) 20:44:40.72 ID:zGER7aVFo
3
611 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/08(日) 20:45:25.49 ID:WlsFkp+20
4
612 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/08(日) 20:48:28.91 ID:5CENdabx0
2
613 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/08(日) 20:48:55.44 ID:paxhXFZ6o
3
614 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/08(日) 20:51:20.98 ID:aFD1m/DDO
2
615 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/08(日) 20:53:04.88 ID:VCctxTh3O
2
616 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/08(日) 20:54:55.39 ID:SAgt1fn3O
セイウンスカイで決定します。続いてジャンルを決めます。
安価下1〜5で、コンマが最も大きいものとします。
617 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/08(日) 21:07:31.19 ID:paxhXFZ6o
冷やしラーメン
618 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/08(日) 21:08:55.10 ID:WlsFkp+20
チャーシューメン
619 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/08(日) 21:11:17.05 ID:9Emq1voXO
鶏白湯
620 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/08(日) 21:12:28.90 ID:cC4AmMHcO
本格派豚骨ラーメン
621 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/08(日) 21:35:21.17 ID:kOEzcYYW0
二郎系
622 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/08(日) 21:56:32.15 ID:SAgt1fn3O
豚骨ラーメンで決定します。少しリサーチに時間がかかるかもしれません。
623 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/08(日) 22:04:59.57 ID:paxhXFZ6o
おつー
624 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/11(水) 12:51:11.39 ID:aRZi1Zy3O
今週の更新は厳しそうです。申し訳ございません。
625 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/11(水) 12:54:19.53 ID:p2aZAmiso
お疲れ様です、
626 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/21(土) 16:54:46.22 ID:G6JDJff3O
第13R
627 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/21(土) 17:14:05.15 ID:G6JDJff3O
「天王寺トレーナー、お話が」
授業終わりの私を、三田村嬢が呼び止めた。確か、この前のカレンとの話し合いは上手く行ったとは聞いていたが……
「カレンの件ですね」
彼女は少し辺りを気にすると、小声で告げた。
「天王寺トレーナーのトレーナー室で。カレンチャンも交えて話した方が良さそうです」
すぐに部屋に戻り、カレンに声をかける。話の内容を知っているからなのか、「ああ、あの件」と言ってきた。
「あの件?」
「うん、すぐに分かるよ。でも、カレンも詳しくは知らないの」
ノックの音がして、三田村嬢を招き入れる。コーヒーメーカーのスイッチを入れ、休憩用のソファーに座らせた。
「で、何かお考えが」
「はい。『ラビット』を使うことにします」
「ラビット?」
三田村嬢が頷いた。
「はい。カレンチャンの脚を2400まで保たせるには、スローペースが不可欠です。それも、超スロー。
そして、それを作り出し、かつブリュスクマンに気付かれないようにさせるには、ペースを作る『ラビット』が必要なんです」
なるほど、一理はある。しかし、そこには重大な問題がある。
「マラソンで使われる手法ですね。だが、それは自分が負けることを前提に動かないといけない。何より、そういう絶妙なペースの逃げを打てるウマ娘なんてそうそう……」
「一人、心当たりがいます。これから彼女に交渉に行こうかと」
「誰ですか」
「……セイウンスカイです」
※コンマ下
5の倍数 三田村トレーナーが担当
それ以外 男性トレーナーが担当
ゾロ目 ???
55 ??????
628 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/21(土) 17:16:39.91 ID:DbrdvmkP0
あ
629 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/21(土) 17:49:00.34 ID:G6JDJff3O
*
「え、私に用ですか?しかも天王寺さんと三田村さんの二人で」
風祭トレーナーの部屋を訪れると、セイウンスカイはじゃがりこを食べながらダラダラしているところだった。
「ああ。風祭君は?」
「あー……フラワーの練習を見に行ってます。用があるのはトレーナーさんじゃなくて、私になんですよね。これからお昼寝タイムだったんですけど」
「すまん。風祭君にも話を通した方がいい話だから、出直した方がよさそうだな」
「んー、困っちゃいましたねえ。セイちゃんモテモテ!なーんちゃって。
とりあえず、そうしてもらえます?私はのんびり寝たい……」
その時、不意にドアが開いた。小柄な少女の隣に、少し不機嫌そうな顔の体格のいい青年がいる。
「またサボりか」
「ゲゲッ、聞かれちゃってました?」
「あとで校庭3周だな。……と、天王寺さんと三田村さんじゃないですか。どうしたんです急に」
「ええ、折り入って話が。セイウンスカイにあるお願いをしようかと」
「お願い、ですか」
風祭トレーナーが怪訝そうな顔になる。彼は有能で熱心な男だが、やや融通の効かない所がある。
セイウンスカイにラビットをやってもらうことを、すんなり受けてもらえるとは考えにくい。もちろん、彼女の説得も重要になるが。
「ええ。本当に心苦しいお願いですが」
私はブリュスクマンと、対ブリュスクマンに向けた作戦を話し始めた。一通り説明し終わると、苦々しげな表情で風祭トレーナーが首を振る。
「論外です。そもそもそれは一種の八百長行為だ。お二人ともに優秀なトレーナーだと思っていただけに心底残念ですよ、お引き取りを」
まあ、そう来るだろうと思っていた。この件、何のメリットも彼らにはない。
無論、それに対する反駁の準備はしている。
「お待ち下さい。これはあなた、そしてセイウンスカイが勝つ有力な手段でもある。
レースは大体半年後、東京2400にて行われると聞いてます。『スペシャルチャンピオンズミーティング』として、ダービー以上の規模で行われるものです。
無論、あなたとセイウンスカイは出るつもりのはずだ。そして昨年の菊花賞の再現を狙っている、そうでしょう?」
「……それが何か?」
「セイウンスカイの逃げは警戒されている。だから、単騎逃げは期待できない。ただ、そこにもう一人の逃げがいたら?
そして、その存在がペースの把握を困難にさせるのなら、どうなると思いますか」
「話が見えないんですが」
私は身を乗り出した。
「フェイク『馬鹿逃げコンビ』を作るんですよ。セイウンスカイと、私のカレンチャンの2人で」
630 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/21(土) 18:28:00.14 ID:ePWkp5uMO
「フェイク『馬鹿逃げコンビ』?」
「ええ。2年前にパーマーがダイタクヘリオスと宝塚・有馬とグランプリ連覇した時の手法です。
ハイペースのように見せかけて2人で大逃げ、しかしその実は息を入れてドスロー。
直線に入った時には脚がたっぷりと残っている。そういう理屈です。
2人で馬鹿みたいに逃げるから、捕まえたくても警戒からそう前には行けない。それを再現させます。セイウンスカイとカレンチャンの2人で。
多分どちらかは潰れるでしょう。しかし、スタミナのあるセイウンスカイは生き残る可能性が高い。そのまま粘り込めるとしたら……」
風祭トレーナーがふうと溜め息をついた。
「なるほど。それでわざわざカレンチャンの作戦を教えにきたと?」
「ええ。悪い話じゃない。あなたとセイウンスカイに片八百をやってもらうわけでもない。普段通りやって、こちらがそれをアシストする。それだけのことです」
「……スカイ、どう思う?」
※コンマ下
01〜30 気が進みませんね
31〜90 ちょっとトレーナーさん、席外してもらえます?
91〜99 いいですよー
00 ?????
631 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/21(土) 18:30:08.48 ID:ZbEBl1/S0
せいや
632 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/21(土) 18:44:44.13 ID:ePWkp5uMO
少し休憩します。
633 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/21(土) 18:45:00.50 ID:TMtSJX4yo
たんおつ
634 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/21(土) 21:24:50.14 ID:inDY2dvrO
セイウンスカイは少し下を向いて考える素振りをした後、「トレーナーさん、ちょっと席を外してもらえます?」と切り出した。
「え」
「いや、ちょいとお二人に相談事があって。トレーナーさんのことは信頼してますけど、女の子同士でないと言えない話もあるんですよー」
「……そうか。三田村さん、いいですか?」
「あっ、はい」
どうにも男性陣はお邪魔のようだと思い席を立ちかけると、「天王寺トレーナーも残って下さい」と言われた。どういうことだろう。
風祭トレーナーが部屋を出るのを確認すると、セイウンスカイが「はあぁ」と溜め息をついた。
「何か風祭君とあったのか?」
「いえ、何も。……何もないから困ってるんですよこっちは」
私は三田村嬢と顔を見合わせた。
「どういう意味?」
「まあその説明は後で。お二人の意見、よく分かりました。私もブリュスクマンっていう新入生の話は聞いてます。
『史上最強、世界最強の新入生』で、トレーナーが胡散臭いハゲメガネ。実力は間違いないってのも知ってます。
で、お二人の作戦も理解しました。でもそれ、多分私に負けろっていうことですよね?」
「……そうとは言ってないが」
「にゃはは、このセイちゃんにはお見通しですよ?私が逃げ粘るような展開になるなら、スピードで勝るカレンチャンが多分差せるって。
確かに私の勝ち筋はそれしかないし、私が勝つならその作戦しかない。でも、多分カレンチャンに負ける。スタミナが保つなら」
さすが、中等部でもトップレベルの頭脳があるとされる彼女だ。学力テストの結果はグラスワンダーほどではないが、それでも科目によっては学年1位になることも少なくない。
「こちらの狙いはお見通しだったというわけか……。すまないが、そういうことだ。
だが、今のところこれが打倒ブリュスクマンには一番近い。受けてはくれないか」
「このままだと私に得は何一つないですよね?だから、取り引きといきませんか?」
「取り引き?」
セイウンスカイが頷く。心なしか、顔が赤くなっているように思えた。
「あのー……ですね。私、トレーナーさんのことが好きなんです。ウマ娘としてじゃなく、女の子として。
でも、距離を詰めようと思ってもどうしたらいいか分からなくて。いつもついついごまかしちゃって。
そうしてる間にフラワーとどんどん仲良くなっちゃって。いや、そういうことにならないとは思ってますよ?
フラワーはまだ12だし。それに、私の幼馴染ですっごくいい子だから彼女を取られるのもやだし。
あーもうとにかく!お二人にはトレーナーさんと私をくっつけるお手伝いを……してもらえないかなぁって」
私は細い目を見開いた。……そう来るとは思わなかった。
三田村嬢も驚いた様子だったが、すぐに微笑んで話しかける。
「まずはお食事とか誘えばいいんじゃないかな?練習終わりとかなら、ある程度聞いてもらえるかも」
「……それができたら苦労しないですよ。理屈がないと……」
理屈、か。
……これだ。
「『チートデイ』を口実にするのはどうだ」
635 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/21(土) 21:35:51.70 ID:inDY2dvrO
「『チートデイ』?」
私は定期的にバクシンオーやカレンチャンをチートデイに誘っていることを明かした。
筋力の効率良い増強に繋がる方法であることを説明すれば、風祭トレーナーも納得はするだろう。
説明が一通り終わると、「うーん……」とセイウンスカイが唸った。
「まだ質問が?」
「いや、どこに連れていけば喜ぶんだろうなって。というか、フラワーを仲間外れにするのもどうかと思っちゃって……」
「ニシノフラワーのことなら、歳の近いカレンチャンが何とかするだろう。路線が同じこともあって、仲も確か良かったはずだ」
「あとは風祭君の好みよね。いきなり高級店は無理があるし……」
「……あ」
パン、とセイウンスカイが手を叩いた。
「確か、トレーナーさんは福岡出身だって言ってました。で、こっちにはちゃんとした豚骨ラーメンがないってぼやいてたような」
「豚骨、か」
「心当たりあるんですか?」
「……まあなくはない。ただ、ちょっと女性にはキツい店だが、それでもいいか?」
「はい!それで距離が詰められるなら!」
そういうことなら店は決まりだ。あとは、我々も同行するかだが……
1 同行する(その後のデート?は結果のみ)
2 2人だけにさせる(セイウンスカイ1人称)
※3票先取です
636 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/21(土) 21:37:03.42 ID:yC9Mm88k0
2
637 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/21(土) 21:38:20.58 ID:DbrdvmkP0
2
638 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/21(土) 21:38:40.76 ID:8pwW1puOo
2
639 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/21(土) 21:39:58.71 ID:inDY2dvrO
第13R 高円寺「健太」
640 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/21(土) 21:40:25.95 ID:inDY2dvrO
では2とします。少々お待ちを。
641 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/22(日) 23:58:30.15 ID:BWh7lUcpO
*
「……遅いなあ」
私は腕時計を見た。時刻は9時45分。まだ待ち合わせには15分も時間がある。
でも、私は30分前に来てしまった。まさに入れ込みだ。自分が悲しくなる。
コーディネートはバッチリだ。普段のオーバーオールじゃなく、キングに頼んで女の子っぽいワンピースを見立ててもらった。ズボンじゃないから下がすーすーして落ち着かない。
これはデートじゃない。あくまで「チートデイ」というトレーニングの一環。それは分かってる。
でも、やっと来たこの千載一遇の機会、モノにしないわけにはいかない。そう、いかないのだ。
天王寺トレーナーは「案内ぐらいはしておこうか?」と申し出てくれたけど、丁重に断った。他の子たちもいる中で、私たちだけ離脱というのは流石に難度が高過ぎる。
皆一緒にご飯というのも悪くはない。そもそも、そんな機会すら作れていなかったのだから。
だけど、多分この機会を逃したら、私は一生風祭さんとの距離を詰められないままだ。私はそう直感していた。
「……早いな」
驚いたような声が不意に聞こえた。思わず顔が綻びそうになるのを強引に抑える。
「ト、トレーナーさんこそ、遅かったじゃないですか」
「むう、大分前に着いたつもりだったんだがな。まあいいか」
渋い表情で風祭さんが言う。ダメだダメだ、何で素直になれないかなあ……
「そ、そんなことより、チートデイですねえ。セイちゃん、初めてなんですよー」
「む、そうだな。フラワーも一緒のほうがよかったんだが、天王寺トレーナー及びカレンチャンとの合同トレーニングじゃ仕方ない」
「やり方はバッチシ天王寺トレーナーから聞きましたよー。好きなものをお腹いっぱい食べる!それだけでトレーニング効率が上がるなんて、素敵ですねえ」
「俺も半信半疑だが、天王寺さんの実績は凄いからな。何より、ボディービルダーとしても著名だ。うちでも試してみる価値はある。
にしても、なぜ俺より先にスカイに説明したんだろうな?」
ギクッと一瞬なった。そこを突っ込まれると具合が悪い。
「さ、さぁ??と、とにかく行きましょうよー。場所は高円寺!……高円寺?」
「いや、スカイが店を選んだんじゃないのか?」
「あ、はは……そうでしたね」
自慢じゃないけど、私は地理に疎い。高円寺なんて、今まで行ったこともない。大丈夫かなあ……
「そもそも何を食べるつもりなんだ」
「あ、えっと、豚骨ラーメンにしようかなと。トレーナーさん、福岡の出身でしたよね?だからせっかくなんで、トレーナーさんにも楽しんでもらえないかなーって」
※風祭の反応
01〜30 東京で豚骨?
31〜70 ほう、それは楽しみだな
71〜95 君もラーメンが好きなのか
95〜00 ほう……
642 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/23(月) 00:00:07.01 ID:6vCv4Bq6o
それ
643 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/23(月) 00:11:18.14 ID:Mbucx0MWO
「東京で豚骨?」
トレーナーさんが怪訝そうになった。というより、嫌そうな表情だ。
「え?」
「いや、俺に気を遣ってくれたのは分かるが、東京でマトモな豚骨ラーメンはまず食べられないぞ。というより、俺は知らない。
だからこっちに来てからラーメンは食べないようにしてるぐらいだ。悪いが、別の店にしないか」
「……そうなんですか」
「本場の豚骨は大体が臭い。だから異臭騒ぎが起きかねない東京じゃ、ちゃんとした豚骨ラーメンは出せないと聞いたことがある。
だから、連れて行ってもらって不機嫌になるなら、行かない方がいいってことだ。すまないが」
……こんな展開は想定外だ。顔面が蒼白になるのが自分でも分かる。
ただ、天王寺トレーナーはラーメンにおいては絶対の知識がある人であるらしい。風の噂でそう聞いていた。
だから、多分このお店は大丈夫のはずだ。……うん、きっとそうだ。
※コンマ下
01〜70 通常進行
71〜80 ????登場
81〜00 ??登場
644 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/23(月) 00:13:19.68 ID:q1F6RthQ0
お
645 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/23(月) 00:15:25.40 ID:Mbucx0MWO
続きは週内に。いきなり前途多難な幕開けですが……?
646 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/23(月) 00:24:04.86 ID:3x0XEqTvo
あっコイツ……
647 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/23(月) 00:24:38.27 ID:3x0XEqTvo
おつおつ
セイちゃんがんばえー
648 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/28(土) 21:26:36.33 ID:u/Usl88AO
私は勇気を振り絞って何とか声を出した。
「あっ、でもでも、ほんっとうにセイちゃんお墨付きのとこなんですよー?だからねっ、行きましょうよ」
「……まあ、スカイがそこまで言うのなら」
風祭さんは微笑んだ。だけど、ほんのわずかに溜め息をついたのを聞き逃す私じゃない。
この人は嘘がつけない、不器用な性格だ。だから、たまに他のトレーナーと衝突することもある。
そういう曲げない生き方を好きになったのだけど、こういう時ぐらいは見せないでほしかったな。
でも、美味しいと分かればきっと機嫌も直してくれるはずだ。そして、そうなれば……うん、きっと上手く行く。……多分。
*
総武線から中央線に乗り継ぎ、私たちは高円寺に着いた。
電車の中では、どうにもギクシャクした感じになってしまった。またいつものように天気の話だけで終わっては話にならない。ムードをなんとか変えなきゃ。
場所は天王寺トレーナーから聞いている。この商店街を突っ切って行くんだっけ。
※道中で……
01〜50 誰かに会う
51〜70 誰とも会わない
71〜95 行列に誰か並んでいる
96〜00 ……あれは?
649 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/28(土) 21:27:40.35 ID:xuTTR5Hz0
あ
650 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/28(土) 21:28:21.61 ID:K3Ip5naeo
あ
651 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/28(土) 21:30:55.93 ID:u/Usl88AO
※出会ったのは……
01〜35 ネイチャ(風祭トレーナーが担当)
36〜70 ネイチャ(別のトレーナーが担当)
71〜85 ネイチャ(三田村トレーナーが担当)
86〜00 再判定
652 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/28(土) 21:32:32.74 ID:K3Ip5naeo
うい
653 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/28(土) 21:54:51.13 ID:u/Usl88AO
商店街に入った時、どこかで見たツインテールの少女が八百屋のおばちゃんと歓談していた。
……ゲゲッ、マズい!
「トレーナーさん、この道はやめときましょうよ」
「え、何でだ?」
「何でもかんでもですよ!ほらっ、行きまし」
「あれ?そこにいるのはひょっとして!?」
あー、もう……気付かれた。何で私っていつもこうなんだろう……思わず天を仰ぐ。
「ん、ナイスネイチャか?」
「あー、やっぱり。セイちゃんおいっすー。風祭トレーナーもご一緒で、どうしたんですか」
「ああ。ちょっと所用でね。君こそ奇遇だな」
「あー、ここアタシの地元なんですよー。おばちゃん、この人がトレセン学園のトレーナーさん。アタシの担当じゃないけど」
八百屋のおばちゃんと風祭さんが話し始めた。ネイチャは落胆している私に気付いたのか、申し訳無さそうに耳打ちする。
(ごめん、邪魔するつもりはなかったんだけどさ)
(あー……いいよ。何かこんなことになる気はしてた)
(デートでしょ?三田村さんから話は聞いてる)
私は目を丸くした。そうか、彼女は三田村トレーナーの担当なのだった。ここに私たちが来る可能性も聞いていたんだろう。
「そうなの?」
「しっ、声が大きい。どこのお店に行くかも大体聞いてる。あそこでしょ?」
彼女の視線の少し先には、数名の行列ができていた。どうやらあそこが目的地らしい。
「あー、うん。でもあんまり空気がよくなくてさ。ちょっと自信ないんだ……」
「まあそこはこのネイチャさんに任せなさい!ご飯食べた後にもう一度ここに来てもらえば、ばっちしデートルートを紹介してあげる」
「本当に!?」
「どうかしたのか、スカイ」
風祭さんが振り向いた。私は慌てて「な、何でもないです」と返す。
「じゃ、そういうことで。あそこマジで美味しいから、きっと気に入ると思うよー」
「ん?ナイスネイチャは誘わなくていいのか?」
「あー、アタシはもうご飯食べちゃったんで。また後でー」
そう言うと何事もなかったかのように、ネイチャはおばちゃんとの会話に戻っていった。
デートコース……最初は新宿でお買い物とか考えてたけど、高円寺で何かあるのかな。
※行列には……
01〜85 誰もいない
86〜95 誰かいる(再判定)
96〜00 ん?あんたは……
654 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/28(土) 22:05:29.75 ID:u/Usl88AO
上の判定を修整します。
96以上は特に何もなしです。
655 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/28(土) 22:05:57.54 ID:u/Usl88AO
96以上以外は、の間違いでした。
656 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/28(土) 22:15:44.39 ID:vd9bX2uxo
ん
657 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/28(土) 22:41:51.34 ID:u/Usl88AO
*
行列に近付くと、何か異臭がし始めた。……何だろう、これ。獣の臭いというか、なんというか……
しかし、いい匂いとは到底呼べない。……これは大変な選択ミスをしちゃったのかも……
「トレーナーさ……」
「……この臭いは」
風祭さんが驚いたように鼻をうごめかした。
「え?」
「いや、間違いない。これが本物の豚骨の臭いだ。しかし、よく都内で……」
「これが豚骨ラーメンの臭いなんですか?」
「ああ。しっかりと骨から煮出しているとこういう臭いになる。ただ、下処理を中途半端にやった豚骨でスープを取った場合でも似た臭いになることはある。
本当にしっかりした豚骨ラーメンの店は、実は本場でもそう多くはないんだよ」
「そうなんですか」
「ああ。だから最近は福岡でもマトモな豚骨ラーメンを出す店は限られてる。東京で出会えるとは思ってなかったが……」
店には外との敷居がなく、まるで半分屋台みたいな感じだ。「中洲長浜屋台ラーメン初代 健太」とある。
店の中には「極悪スメルを味わってください」とある。なるほど、確かに強烈な臭いかも。
少し並んで食券機でラーメンを2枚買う。メニューは基本「豚骨ラーメン」だけ。ご主人一人で切り盛りしているらしい。
「福岡といえば、屋台ですよね」
「屋台のラーメンは大体観光客用の出来合いのスープを使ってるから、こんな臭いはさせてないんだ。
あと、スープを継ぎ足す『呼び戻し』は屋台でやるには難しいとも聞いてる。スープを使い切る『切り取り』が殆どだが、それでも長時間煮込まないから意外と味は薄い」
「そんなもんなんですかね」
「イメージと現実は、悲しいかな大分違うんだよ。……ここのが本物ならいいが」
風祭さんが少し寂しそうに言った。ひょっとしたら、向こうでも豚骨ラーメンは絶滅危惧種になりつつあるんだろうか。
そうしていると、「お待ち」との声と共に丼が2つ、私たちの前に置かれた。
スープの表面には油の膜が張っていて、スープは思っていたほどクリーミーな感じじゃない。むしろサラッとした感じだ。
※80以上で?
658 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/28(土) 22:42:09.19 ID:Cnf9ZMgf0
よ
659 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/28(土) 22:54:00.01 ID:u/Usl88AO
※特になし
(追加情報なし)
続きは明日です。
660 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/28(土) 22:55:58.58 ID:Cnf9ZMgf0
乙です
661 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/28(土) 22:57:16.66 ID:K3Ip5naeo
おつつ
662 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/29(日) 18:48:36.46 ID:Ei6SN/jaO
「スープの匂いは……普通ですね」
麺を持ち上げると、極細麺にスープの脂が絡んでいた。思い切って啜ると……
「んっ!!?」
濃厚な豚骨の旨味がダイレクトに舌を刺激した。そして、何より……熱いっ!
「……違う」
レンゲでスープを味わいながら、風祭さんが呟く。しかし、表情には驚きはあっても、落胆はない。
「えっ、それってどういう……」
「俺の知っている長浜ラーメンとは違う。だが、紛れもなくこれは豚骨だ。
濃厚な久留米でも、ライトな長浜でもない。こんな豚骨ラーメンがあったなんて……」
そう言いながら、風祭さんは麺を啜った。そして小さく頷く。
「東京風にアレンジしたわけでもない。……何だろう、これは……」
よく分からないけど、美味しいのは確かだ。もう一度私は麺を味わった。パツパツとした歯応えが、サラッとしたスープにとても合っている。
スープは脂っこいかと思いきや、意外と後味はサッパリしている。濃厚だけどクドくない、それでいて薄くもなく濃厚。
矛盾したものが両立している、そんな不思議なスープだ。そしてスープをよく見ると、何か細かい粉みたいなものが沈んでいる。……骨の粉末?っぽい。
ゴマと辛子高菜、そして紅生姜はカウンターから入れ放題らしい。辛子高菜を一欠片入れると、味が一気に引き締まった。
何より、このスープを覆う油膜だ。スープが冷めにくいから、味がしっかりしたままでボヤけない。これが本場の豚骨ラーメンなんだろうか。
ふと横を見ると、風祭さんが「替え玉頼めますか」と訊いていた。あ、そういえばそんなのもあるんだっけ。
「トレーナーさん、どうです?」
「旨い。ただ、このスープの正体は何だ……?」
ご主人が替え玉を持ってきたタイミングで、風祭さんが切り出した。
「すみません、こちらどこで修行を?」
「あー、うちは『博多シャバ系』の『駒や』なんです。割と新しい系列なんで、知らない福岡の人も多いかもですね」
「『博多シャバ系』」
「ええ。スープの取り方も普通のお店と大分違うんです。というか、大昔のやり方に近いのかな。
だから、『古いけど新しい』豚骨ラーメンなんです」
豚骨ラーメンにも派閥みたいなのがあるんだ。全然知らなかった。
ご主人が厨房へと去ると、風祭さんはぼーっとしていた。
「古くて新しい、か……固定観念に囚われていたのかな」
そう言うと、替え玉の麺を啜り、また「……うん、旨い」と彼は呟いたのだった。
663 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/29(日) 18:53:23.57 ID:Ei6SN/jaO
*
「いやー、美味しかったですねえ。……満足、していただけました?」
風祭さんはボーッとした様子だったが、しばらくしてビクッと反応した。
「あっ、ああ。旨かった。間違いなく旨かった。だが、何だろうなあのラーメン……俺の知る豚骨ラーメンじゃないのに、何か懐かしかった。あれは一体……」
視線の向こうにネイチャがいた。まだ八百屋のおばちゃんと話していたらしい。
「おいっすー。どう、美味しかった?」
「美味しかったよー。でもトレーナーさんが何か悩んでいるみたいで」
「へ?」
風祭さんが一歩前に出た。
「ネイチャ、『博多シャバ系』って何か知ってるか?」
※75以上で知っている
※00で??
664 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/29(日) 18:55:54.12 ID:QSNqEgMr0
あ
665 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/29(日) 18:56:42.76 ID:h01gk7Cso
おなじみ
666 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/05/29(日) 19:16:42.79 ID:Ei6SN/jaO
「ほえ?いやー、ネイチャさんにはラーメンのことはさっぱり。うちのトレーナーさんが最近一生懸命勉強してるみたいだけど」
「三田村トレーナーが?まあ、天王寺トレーナーなら知ってるだろうが……」
「まあ、美味しければなんだっていいじゃないですか。で、セイちゃんちょっとちょっと」
ネイチャが私を呼んで耳打ちした。
(2つ候補があるんだけど)
(へ?どういうこと?)
(いやさ、高円寺って結構カフェあるのよ。で、メルヘンな方とシックな方とどっちがいい?)
何かいきなり二択を迫られた。うーん、ここは……
1 メルヘンな方
2 シックな方
※3票先取
667 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/29(日) 19:17:07.03 ID:y8qoDJquo
1
668 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/05/29(日) 19:23:17.26 ID:qDkf9ijj0
2
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