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【コンマ】ウマ娘とトレーナーがラーメンを食べに行くだけのスレ
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322 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/18(金) 20:37:26.46 ID:X9tqqwHHO
今日はここまで。独自設定がある点、お詫びします。
学年設定は現状での推測によるものです。
323 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/18(金) 20:42:03.20 ID:7Z+jEl38o
おつおつ!
ラーメン○ゲさん!!?!
324 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/19(土) 19:47:46.33 ID:JzQJV121O
ククッ、とタキオンが笑った。
「なんだ、やっぱり知り合いじゃないか。訳ありみたいだけど」
「……私の恩人だよ。トレーナーをやっているのも、半分は彼の影響だ」
「恩人、ね。あの偏屈な叔父さんが、皮肉交じりとはいえ人を褒めるなんて珍しいとは思ってたけど」
そう。芹沢達也は私の「師」だ。トレーナーとしても、そしてラーメンについても。
『俺は俺の道を行かせてもらう。また会うことがあるかもしれんな』
10年前、トレセン学園を去った彼の言葉が蘇る。
あの人は間違いなく有能なトレーナーだった。「あの事件」がなければ、今頃は日本を代表するトレーナーになっていたかもしれない。
ウマ娘界から追放され、行方知らずであるとは聞いていた。ラーメン職人としても一流だった彼のことだ、どこかでひっそりと店を出しているかと思ったが、その情報はなかった。
まさか、中国に渡っていたとは。それも、向こうでラーメンプロデューサーもやっていたとは。
二足のわらじを履き、両方で頂点へと駆け上がろうとしているのは……どういう意図なのか?
「芹沢さんが帰国するのは、いつだ」
「詳しくは聞いてないよ。何せ身内の私すら、久々に連絡をもらったくらいだし。多分、春には戻ってくるんじゃないか?」
「そうか……」
訊きたいことはたくさんある。何より、「あの事件」の真相。芹沢さんが、あんなことをしでかしたとは、今でも信じられない。
「まあ、私も会うのは楽しみだよ。脚の治療についても何か考えがあるらしいからね」
「そうなのか?」
呆れたようにタキオンが私を見る。
「知らないのかい?叔父さんの別名を」
「別名?」
「そうさ。『魔法使い』……どんな虚弱なウマ娘でも、たちどころに強靭な身体となり、レースを勝ちまくる。
この前負けたけど、ゴールデンシックスティー、だったかな?あの娘もそうやって強くなった」
ゾワッと、嫌な予感が広がった。……10年前と同じだ。
芹沢達也は、担当ウマ娘へのドーピング疑惑をかけられ……日本を追放されたのだった。
325 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/19(土) 20:11:50.15 ID:JzQJV121O
「その、タキオンさんの叔父様なら……私の脚も」
「断言はできないけど、治るかもしれないねえ。私もできれば自分で治したいけど」
アルダンの目に光が戻った。おそらく、アルダンは芹沢さんのことを知らない。
「タキオン。君は、10年前のことは」
彼女の目が鋭くなった。
「子供の頃のことだよ?真相なんて知ってるわけがないじゃないか。
でも、叔父さんは素晴らしい人だ。トレーナーとしても、人間としても……いや、面倒な人だけど。汚れたことをしているわけがない」
その通りだ。私もそう信じたい。だが、日本では彼は「黒」となっている。真実は藪の中だ。
「……そうだな」
ざわつく想いを押し殺し、私はそう呟いた。タキオンがやれやれと首を振る。
「叔父さんの話をしたから、お腹が空いたじゃないか。それもラーメンが食べたくなったよ。
モルモット君……はラーメンは作れないな。天王寺トレーナー君、君は作れるかな?」
「すぐに言われて作れるわけがないだろう」
「なんだよ〜。私はラーメンが食べたいんだよ〜」
タキオンが頬を膨らませる。橋本トレーナーの日々の苦労がよく分かった。
アルダンがおずおずと手を挙げる。
「あの、ラーメンって……最近、天王寺トレーナーはよく他のウマ娘さんを連れて行ってるって聞きました。マックイーンさんやパーマーさんも行ったって」
「あ、ああ」
「私たちも、ご一緒できませんか?無理に、とは言いませんが」
チートデイは近い。まあ、申し出を断る理由はないか。
それに、今度行くつもりの店は……ある意味アルダンに向いた店かもしれない。脚だけでなく、基礎体力に不安を抱える彼女には、エネルギー変換効率の高い食事が必要だからだ。
「明日ならいいだろう。タキオンもそれでいいな?」
「今日じゃないのかよ〜。仕方ないな〜」
頬を膨らませてタキオンが言う。店が狭いのが少し気になるが、まあ何とかなるか。
326 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/19(土) 20:12:16.64 ID:JzQJV121O
第7R 「破顔」
327 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/19(土) 20:13:34.74 ID:JzQJV121O
実食編は多分明日です。
328 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/19(土) 20:32:03.29 ID:OjpBPp8Lo
おつおつ
芹沢さんとタキオン、言われてみれば似てる所あるな……北海道TVから成り上がった紅白司会も血統に入ってない?
329 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/20(日) 14:58:30.24 ID:MNaDcSqVO
*
「油そば?」
ちゃっかり助手席に座ったカレンが訊く。
「そうだ。今日は油そばを食べに行く」
薄曇りの中を、アウディA4は西に走る。「むー」と不機嫌そうに後部座席のタキオンが唸った。
「油そばぁ!?油まみれの麺なんて健康に悪いじゃないか!何より、スープもないなんて味が薄っぺらいに決まってる」
「芹沢さんには、ろくにラーメンのことを教わってなかったらしいな」
「何を言うんだね!?私が間違っているとでも……」
「私の栄養学の授業そっちのけで内職ばかりしてるから、気付いてないらしいな。よく考えろ、ラーメンでもっとも多く含まれるのは何だ?」
「ハッ、そんなの決まっているだろう?馬鹿にしないでくれ、炭水化物に決まってるじゃあないか」
「そうだ。で、最もエネルギー変換効率の高い炭水化物の摂り方は?」
パン、とアルダンが手を叩く。
「確か、麺だけを食べること……ですよね?」
「その通り。ボクサーが減量明けに食べるもので、最も多いのはうどんだ。それも、余計な水分のない、ぶっかけうどんが望ましい。
弱った胃でも消化がしやすく、かつすぐにエネルギーに変換されるからだ。
ラーメンの麺はぶっかけうどんほど消化は良くない。それでも、カロリーを抑えながら最大限の炭水化物を摂りたいなら、油そばは選択肢に入る。
大体2割、油そばはラーメンよりカロリーが低いのだそうだ」
「フン」とタキオンが鼻を鳴らす。
「そ、そのぐらい知っていたよ。それに、油そばの味は単調じゃないのかい?」
「タレの使い方で千差万別だ。ダシがないから複雑な味わいにはなりにくいが、それでも美味い店は美味い」
「まあ美味しければ万事よし!です!」
バックミラーに妙に得意げなバクシンオーが見えた。まあ、御託はここまでにしておこう。
……芹沢さんに笑われるな。「お前は知識を食いに来ているのか」、と。
330 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/20(日) 15:11:50.25 ID:MNaDcSqVO
*
「さて、着いたぞ」
「駅前、ですね。……向こうに行列がありますけど、あそこですか?」
アルダンが長蛇の列を指差す。私は苦笑した。
「ああ、あれは違う店だ。『桜台二郎』…… 二郎系列では上位の店だが、今日の目的地はあそこじゃない」
※二郎の行列には……
01〜70 誰もいない
71〜95 ウマ娘がいる
96〜99 二郎が閉店させられている
00 ん?あのハゲは
331 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/20(日) 15:46:29.88 ID:18lILhl+o
ヌッ
332 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/20(日) 15:58:17.14 ID:MNaDcSqVO
※並んでいるウマ娘がいる
安価下1〜3で最もコンマが大きいものとします。
333 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/02/20(日) 16:13:26.24 ID:UUW6Djnu0
イクノディクタス
334 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/20(日) 16:35:44.84 ID:JaG6RDGH0
メイショウドトウ
335 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/20(日) 16:36:36.07 ID:E67lXcTDO
ゼンノロブロイ
336 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/20(日) 16:55:30.06 ID:UUW6Djnu0
ツインターボ
337 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/20(日) 17:28:03.52 ID:nu2KD84yO
その時だ。
「ややっ!?あそこにいるのは!?」
そう言うなり、バクシンオーは向こうの行列へと走っていった。……行列に、見た顔がいる。あれは……
「メイショウドトウさんではありませんか!こんにちは!」
「あわわっ!?ば、バクシンオーさんっ!?」
混乱した様子でメイショウドトウが言う。オグリならともかく、彼女が二郎に並ぶというのはかなり意外だ。
「あ、ドトウちゃんだ!どうしたの?こんな所で」
「あう……カレンちゃんまで……違うんです、これは間違えちゃったんですぅ……」
「間違えた?」
「行きたいお店があって、でも駅を間違えちゃって……でもお腹が空いたから何か食べようと思ってたら、いつの間にか行列に巻き込まれちゃって……」
「人の流れに押された、ということか」
目を潤ませながら、ドトウがウンウンと頷いた。
「そもそも、これ何のお店なんですか?ラーメン屋さんみたいだけど、殺伐としてますしぃ……」
「まあ二郎だからな。このまま食べるのか?」
01〜20 せっかくだから、食べますぅ……
21〜75 助けてくださいぃ……
76〜00 お店を教えてくださいぃ……
338 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/20(日) 17:45:15.07 ID:znFuPqX00
あ
339 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/02/20(日) 18:46:21.48 ID:hLnE3OUG0
01
340 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/20(日) 19:03:26.19 ID:6reWywWYO
sageは付けないわ安価二度取ろうとするわで好き放題やってる末尾0は何なんだ
341 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/20(日) 19:18:30.83 ID:znS1evlKO
「せっかくだから、このまま食べますぅ……。並んだ時間がもったいないですしぃ……」
「まあ、そう言うなら仕方ないな。私たちは近くで食べているから、帰りは送っていこう」
「分かりましたぁ……」
しょんぼりと耳を垂れながらドトウが言った。大丈夫だろうか。
「トレーナーさんっ!二郎ってなんですか!?」
「二郎もラーメンの一種だが、色々特殊でな。ウマ娘にも量が多いから、ドトウが食べられるかどうか」
カレンが渋い顔をしている。
「カレンはあんま好きじゃない。カワイくないし、ウマスタ映えしないし。何よりニンニク臭くなるのがヤ」
「まあ、好き嫌いは分かれるな。ドトウは妙に頑固だから、あのまま食べることにしたんだろうが……」
「それよりお兄ちゃん、油そばのお店は?」
「それならすぐそこだ」
二郎ほどではないが、やはり長蛇の列が見えた。ここが目的地「破顔」だ。
「並んでますね……食券から先に買うのでしょうか」
「そうなってるな。店はかなり狭いから、注意してくれ」
引き戸を開けると、炭の匂いがした。私の体格だと、ギリギリ歩けるかどうかといったところか。
「『ラーメン』って軒先にあるのに、全部『汁なし』じゃないか。油そばとどう違うんだ?」
外からガラス越しにタキオンが訊く。
「基本は大して変わらない。油そばとは違ったタイプの『汁なし』を出す店もあるが、ここはほぼ油そばだな。タレがオイリーなら油そばと呼んで差し支えない。
一応醤油と塩と煮干しがあるが、私が決めていいか?」
「構わないよ」
私は塩の大盛りを5枚購入する。大盛りでも800円は、この物価高騰の折では割と安い。これも、スープに原価を必要としない油そばの強みだ。
342 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/20(日) 19:47:00.59 ID:znS1evlKO
*
待つこと20分。私たちが入ると、それだけでほぼカウンターが埋まった。
厨房からの香ばしい匂いが強まる。
「これは……炭火焼、ですか?」
「その通り。客に出す前に炙るんだ」
アルダンが興味津々といった様子で厨房を見る。メジロのお嬢様にとっては、ラーメン屋自体が新鮮なのかもしれない。
タキオンが、カウンターの上のポットを指差した。
「なんだいこれは」
「スープだ。麺をほぼ食い終えた頃に入れる。油そばで追い飯はよくあるが、スープ割りはまあまあ珍しいな」
そうしているうちに、私たちの丼が準備される。向こうから黒煙が上がると、肉の焦げた匂いが強まった。
「塩大盛りです」
麺には、たっぷりの魚粉とネギ。それに海苔と味玉、炭火焼のサイコロチャーシューが添えられている。
「よくかき混ぜ……「バックシーン!」」
また説明する前にバクシンオーが食べ始めていた。
「これはおいしいです!なんというか、力が湧く味です!!」
「……とにかく、ちゃんとかき混ぜて食べよう」
軽く上下に麺を混ぜ、一気に啜り込む。
その瞬間、口の中に魚粉とネギ、そして炭と唐辛子の香りが一気に拡がった。
パシーンッ!!!
ボタンが弾け飛ぶ。洗練という言葉からは程遠い。むしろ、ジャンクフードとすら思える暴力的な荒々しい味だ。
だが、それがいい。スープの雑味がないからこそ、こういう味の組み立てができるわけだ。
「むむっ!!?」
「これは……」
アルダンとタキオンも唸った。
「何というか……シンプルなようで、いくつもの香りがあるのですね……」
「なるほど、塩にした意味はこれだね?辛味が入ってるから、味がぼやけない」
「味覚は芹沢さん譲りか。何で料理がダメなんだ」
「だって料理なんて面倒じゃないか。モルモット君が作ってくれるし」
ウマスタ用の写真を撮り終わったカレンも「おいしー♪」と満足げだ。
「この炭火焼が美味しいね♪柔らかいし、味もしっかりしてる。さすがお兄ちゃん♪」
「味付け卵もおいしいです!さらにバクシンできますっ!」
バクシンオーの丼はもうほとんど空だ。相変わらず速い。
「麺が減ったらスープを少しずつ入れてくれ。また違った味になる」
私もスープ割りに動く。焦がしネギが浮いたスープは、ちょうど町中華のスープを思わせるような柔らかい味わいだ。
出汁の少なさを、香りと工夫で補う。こういう油そばもあっていい。
343 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/20(日) 20:00:17.33 ID:znS1evlKO
*
「んー、食べた食べた。たまにはこういうのもいいものだねえ」
タキオンが伸びをする。アルダンはというと、私に深々とお辞儀をした。
「天王寺トレーナー、ごちそうさまでした。とても美味しかったです。それに、何か元気が湧いてきたような」
「そう言ってもらえたら何よりだ」
ふと、ドトウのことを思い出した。そういえば、桜台駅前で待ち合わせていたが……
01〜50 もう無理ですぅ
51〜80 とても美味しかったですぅ
81〜99 美味しかったけど、やっぱり……
00 ん?あのハゲは
344 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/20(日) 20:03:23.60 ID:0HPPe4FS0
ほい
345 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/20(日) 20:05:55.70 ID:+Am0hvuao
やっぱりウマ娘、量は平気なんですねぇ
346 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/20(日) 20:12:39.21 ID:znS1evlKO
そう思っていると、ポンポンとタヌキのようにお腹を膨らませたドトウが上機嫌な様子でやってきた。
「あ、ドトウちゃん!大丈夫だった?」
「とても美味しかったですぅ。きしめんみたいな麺にゴロゴロとしたお肉……ああいうラーメンもあるのですねぇ」
どうやらちゃんと食べきったらしい。やはり、ウマ娘の胃袋は常人とは異なるのだろうか。
「ま、まあ満足なら何よ……ちょっと待った、その腹で車に乗れるのか?」
「は、はうう……食べすぎてしまいましたぁ……」
まあ、ギリギリなんとか詰め込めば乗れるか。送ると言った手前、仕方あるまい。
結局帰りの車がニンニク臭くなり、カレンはその後数日口を聞いてくれなくなってしまった。
どうにも一番のドジは私であったらしい。
第7話 完
※テーマが二郎系か○○系の場合、ドトウが登場するようになりました
347 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/20(日) 20:14:09.86 ID:znS1evlKO
以上です。桜台二郎はかなり量があった記憶がありますが、今でもそうなのでしょうか。
とりあえず記憶準拠で書いています。
次回登場のウマ娘を決定します。
安価下1〜5で、コンマが最も大きいものとします。
348 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/20(日) 20:15:43.48 ID:E67lXcTDO
ゼンノロブロイ
349 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/20(日) 20:15:43.59 ID:+Am0hvuao
ダイタクヘリオス
350 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/20(日) 20:16:16.86 ID:cUUcCcR8o
アグネスデジタル
351 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/20(日) 20:16:18.75 ID:0HPPe4FS0
サトイモ
352 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/20(日) 20:16:45.81 ID:6reWywWYO
キタサンブラック
353 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/20(日) 20:17:17.86 ID:F3/f5u1/0
ダイワスカーレット
354 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/20(日) 20:18:21.80 ID:znS1evlKO
アグネスデジタルとします。
続いてテーマを決めます。安価下1〜5で最もコンマが大きいものとします。
355 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/20(日) 20:20:23.56 ID:hLnE3OUG0
東陽町のラーメン麺徳
99
356 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/20(日) 20:23:43.91 ID:1OzxiLnKO
煮干系
357 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/20(日) 20:24:50.04 ID:0HPPe4FS0
池袋付近で美味しいところ
358 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/20(日) 20:28:10.23 ID:5PLxH6hRO
とみ田
359 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/20(日) 20:29:20.55 ID:18lILhl+o
二郎系
360 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/20(日) 20:38:19.95 ID:znS1evlKO
煮干し系で決定しました。幾つか候補があるので悩ましいですね……
更新は来週末です。
361 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/20(日) 20:42:00.53 ID:+Am0hvuao
おつ
芹沢さん登場いつかなー
362 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/20(日) 20:46:15.80 ID:znS1evlKO
少し多数決を取ります。
1 ザ・煮干しラーメン
2 煮干し+手打ちラーメン
3 最先端煮干しラーメン
3票先取です。(1の場合、時間が必要になる可能性があります)
363 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/20(日) 20:48:09.41 ID:5PLxH6hRO
1
364 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/20(日) 20:52:39.20 ID:+Am0hvuao
1
365 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/20(日) 20:56:00.00 ID:JaG6RDGH0
1
366 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/20(日) 21:01:55.58 ID:znS1evlKO
了解です。少し更新が遅れる可能性がある旨ご了承下さい。
367 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/20(日) 21:25:00.63 ID:+Am0hvuao
了解
368 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/21(月) 07:19:01.99 ID:SHUxHxf6o
SS速報避難所
https://jbbs.shitaraba.net/internet/20196/
369 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/23(水) 20:47:42.52 ID:3/VFmMLlO
週末が忙しくなりそうなので、早めに更新します。
370 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/23(水) 20:56:52.83 ID:oAAi4/WTO
*独自設定がある旨、ご了承下さい。
1時間以内をメドに更新します。
371 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/23(水) 21:10:45.30 ID:UncfGc7go
おっありがてぇ
372 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/23(水) 21:23:35.10 ID:tRnoMhkXO
2月末のトレセン学園は、どこか緊張から解き放たれた空気で包まれる。
卒業・進級試験の結果が判明するだけではない。入試の結果発表が行われた直後だからだ。
学園の入試倍率は高い。今年は確か、20倍はあっただろうか。出るのも困難だが、入るのも難しい。宝塚音楽学校並みの超難関と言える。
無論最優先されるのは実技だ。学力試験もあるが、実技が抜きん出ていれば全く問題にはならない。
「バックシン、バックシン……」
向こうでダンベルを持ちながらスクワットを行っている彼女……サクラバクシンオーもそのタイプだ。
学力試験は確か最下位。だが、それを補って余りに余りあるスプリント力で、彼女はここに入学した。
以来、1400mまでのレースで彼女に勝った者はいない。カレンも半バ身まで詰め寄るのが精一杯だった。
「少しオーバーワーク気味だな。高松宮が近いから、気合が入っているのは分かるが」
「ハイッ!!もちろん今年も勝ってみせますとも!何より今年は、親戚が入学するのですから!学級委員長として、そしてお姉ちゃんとして手本を見せねば!!」
「親戚?」
確か、バクシンオーの本籍の名字と同じ合格者はいなかったはずだ。私は首を捻る。
バクシンオーがスクワットをやめ、タオルで汗を拭いた。
「ハイッ!キタサンブラックといいます!!」
「ああ、あの子か」
中距離から長距離にかけての試験で軒並みトップレベルの成績を叩き出した注目株だ。
父親は演歌の超大御所。話題性だけでなく、実力も兼ね備えているスター候補生といえる。
彼女に限らず、今年は話題になりそうな新入生が多い。
里見財閥の御令嬢、サトノダイヤモンド。その親戚で香港のジュニアレースで名を馳せたサトノクラウン。
そして、元メジャーリーガーの父を持つシュヴァルグラン……今年も、いや例年以上に期待できる学年になりそうだ。
「にしても、気が早くないか?……ああ、新入生オリエンテーションでの模擬レースに向けて、か」
「ハイッ!キタちゃんには、是非このチーム『ゼニス』に入ってもらいたいですからっ!」
「うちはマイルまで専用のチームなんだが……」
その時、ドタバタと誰かが駆けてくる音がした。
※コンマ下
01〜80 アグネスデジタル
81〜95 アグネスタキオン
96〜00 たづなさん
373 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/23(水) 21:49:55.90 ID:UncfGc7go
やばい人
374 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/23(水) 22:25:33.86 ID:tRnoMhkXO
バン、とドアが開かれた。アグネスタキオンだ。
「天王寺トレーナー君!大ニュースだ、来年度から叔父さんがトレセン学園に戻るらしい!!」
「……本当か!?」
タキオンにしては珍しく、緊張した様子で頷く。
「中国での実績が評価されて、特例で追放処分が解かれるそうだ。過去のウマ娘に対するドーピング疑惑も、解けたらしい」
筋肉を流れる血が加速し、身体が紅潮するのが分かった。思わず顔が綻ぶ。
「本当かっ!!」
「叔父さんから連絡があったから間違いないよ。……ただ、気になることを」
「気になること?」
コクン、とタキオンが頷く。
「『俺をハメた連中には、報いを受けさせないとな』、だそうだ」
タキオンの顔が強張っていた理由が分かった。芹沢さんは、善人ではない。目的のためには手段を選ばないこともある。
私は昔のドーピング疑惑の真相は知らない。そしてそれが急に解かれたのも、かなりキナ臭い。……胸騒ぎがする。
「……そうか」
「何か企んでいるかもしれない。もちろんトレーナーとしては一流だが……気を付けた方がいいかもね」
「了解した」
その時、また向こうからドタバタとやってくる小柄な人影が見えた。……あれは。
「タキオンさんタキオンさん聞きました!!?今年の新入生、超推せるのばっかなんですけど!?入学前から尊死しそう……しゅきぃ……」
「デジタル君、そこで倒れそうにならないでくれたまえよ。入試結果発表後で、興奮するのは分かるが」
「今年の1年はどんなカップリングでしゅかねえ!?ウオダスを超える組み合せがあるかもしれないですねえ!?やっぱここはキタサト……っと、天王寺トレーナーじゃありませんか!こんにちは、今日はカレンちゃんは?」
「脚の定期検査だ。一応あんなことがあっただけに、念には念を入れてな」
アグネスデジタルが分かりやすく肩を落とした。
「そうですか……バクカレ、ありだと思うんですけどねえ……」
「バクカレとはなんですかっ!?」
バクシンオーがいつもの調子でやってきた。デジタルは「はわわっ」とタキオンの後ろに隠れる。
「そんな、現役最強スプリンターの御前で私などミジンコのようなもの……無礼な物言いをしてしゅみません、消えて詫びます……」
「どうして君はそう卑屈なんだか……君自身も優秀なオールラウンダーじゃないか」
ブンブンとデジタルが首を振る。
「私はそっと影から推しのあれやこれやを見るだけで十分なんですよお……ああ、後光で目が潰れてしまう……」
「何を言ってるのかよく分からないが。実際に話した方が、より距離が詰まるんじゃないか?
カレンと君は、確かクラスメートだろう。友達になりたいなら、場をセッティングするが」
「ひゃあっ!!?」
私の言葉に、デジタルが飛び退いた。
「そ、そんな恐れ多い……!!」
「いい機会じゃないか、行きたまえよ。そうだ、チートデイが今週末だったね。この前は私とアルダンさんがご相伴に預かったが、今度は君がどうだい」
「ひゃっ!?わ、私がですか!?」
私は微笑みながら首を縦に振る。
「私は構わないよ。ラーメンを食べるつもりだが、何かリクエストはあるかな?」
デジタルが少し考える素振りをした。
「……煮干し。そう!!煮干しです!!アイドルユニット『UMA48』の『ソダにゃん』が、煮干しラーメンが大好物と聞きまして!私もどんなものか食べたいんです!!」
「煮干し、か」
375 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/23(水) 22:34:14.69 ID:tRnoMhkXO
煮干しラーメンといっても色々ある。元祖は津軽ラーメンとされているが、それも透明度の高い清湯系とたかはし中華そば店のような濃厚系に分かれる。
そこから派生したものや、たけちゃんにぼしらーめんのようなタイプ、そしてフレンチの技法を導入した最先端のものと多種多様だ。
何より、煮干しラーメンは割と好き嫌いが分かれる。煮干し特有の苦味やエグみ、そしてしょっぱさが出ることが多いからだ。
それを中和するために、大体は玉ねぎのみじん切りが具に入る。それでも、癖のある店は多い。
「……万人向けのがいいか?」
デジタルの答えは意外なものだった。
「いえっ!ザ・煮干しラーメンみたいなのはいいです!!『ソダにゃん』も『ニボニボしたのがたまらないよお』って言ってましたし!」
「……そうか」
そうなれば、煮干しの「極致」に連れて行くよりほかあるまい。
私はニヤッと笑った。
「了解だ。ならば日本で最も濃いラーメン屋に行くとしよう」
376 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/23(水) 22:34:57.94 ID:tRnoMhkXO
第8R 「中華ソバ 伊吹」
377 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/23(水) 22:35:25.35 ID:tRnoMhkXO
次回更新は多分土曜です。
378 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/24(木) 00:46:15.46 ID:Tuh0jbWLo
おつ
379 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/02/24(木) 22:23:11.69 ID:WF7LhHQkO
そのソダにゃん白毛で目元にちょっと黒いほくろがある娘だったりしない?
380 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/24(木) 22:35:42.09 ID:z4VCscRyO
ageるなゆーとるねん
381 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/26(土) 19:39:13.61 ID:ZEh2cF8AO
*
「で、どこまで行くんですかー?」
興奮を隠しきれない様子でデジタルが言う。助手席のカレンは少し引き気味だ。
「デジタルちゃん、ちょっと落ち着いて」
「これがテンション上げずにいられますか!?
バクシンオーさんにカレンちゃん、スプリント界のツートップとご一緒できるだけでも尊死できるのに、ひょっとしたら行く先に『ソダにゃん』がいたりするかも……はあ、ほんと無理……」
「いや、アイドルが一人でラーメン屋に並ばないと思うよ……ねえ、お兄ちゃん」
私は苦笑した。
「まあ、な。特に今日の目的地は、とても女性向けの店じゃないからな」
「そうなの?」
「まあ、行けば分かるが……辺鄙だし、雰囲気はまあまあ殺伐としている。しかも味は超ストロングスタイルだ。
女性が入りやすいラーメン屋はかなり増えてきたし、内装に凝る店も多いが、まあそういう流れには全く逆行する店だな」
「むう。カワイくないのはちょっとつまんないかも」
「その分味は間違いない。何せ普通の『特濃』を名乗る煮干しラーメンより、倍の量を使ってるからな」
後部座席のバクシンオーが「ハイッ!!」と手を挙げた。
「煮干しラーメンって何ですか!?」
「いやいやバクちゃん、それは煮干しを使ってるから煮干しラーメンって……」
「いや、重要な問いだぞ、カレン。そもそも、多くのラーメン店がスープに大なり小なり煮干しを使う。
そのスープの主成分が煮干しだから煮干しラーメンというわけだが、それも色々種類がある」
「そうなの?」
うんうんとデジタルが頷く。
「さすが天王寺トレーナーさん!『ソダにゃん』もそう言ってました」
「随分そのアイドルは詳しいんだな。しかしトレセン学園の生徒じゃないだろう」
「入学前って聞いてますよ。来年辺り入るとか入らないとか。ひょっとしたら海外に行くかもって聞いてますけど」
「私よりよく知ってるな……」
「そりゃあウマ娘ちゃんの情報なら、本格デビュー前から情報収集は怠りませんとも!」
デビュー前からアイドル活動、ということはジュニアアイドルか。芸能界にはどうにも疎くていけない。
※コンマ下85以上で……
382 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/26(土) 19:39:34.12 ID:HViMzAV9o
むん!
383 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/26(土) 20:00:27.32 ID:vvyyVwDcO
※特になし
「で、どういう種類があるの?煮干しラーメンって、もう一大ジャンルになってるけど」
カレンが訊いてきた。私はハンドルを板橋方面に切る。
「よく言われるのは青森ラーメン起源説だな。津軽海峡の漁師を相手にした食堂が、普段からたくさん取れる煮干しをスープに使ったのが始まりとされる。
透き通ったスープに濃くてしょっぱめの煮干しスープが定番だ。新宿の『凪』は、確かこの系統だな。
ただ、濃厚煮干しラーメンがここまでブレイクしたのは、別の理由があるんじゃないかと私は考えている」
「そうなの?」
「『伊藤』という店が濃厚煮干しに細くパツパツとした麺を合わせて流行したのが大きい。ここは元々秋田の角館にあるんだが、その店主の弟が東京でやってる。
煮干しの苦味やエグみも旨味として取り込んだスープが話題になってな。今は銀座や赤羽にも支店がある。このフォロワーが、煮干しラーメンを広めたってわけだ」
「じゃあ、今日はその『伊藤』に?」
「その近所だが違う。『伊藤』の方向性をさらに尖らせ、極めた店だ」
板橋本町インターが見えてきた。目的地まで、もうそう遠くもない。
※目的地には……
01〜75 誰もいない
75〜95 誰かいる(再判定)
96〜00 あ!ソダにゃんだ!(再判定)
384 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/26(土) 20:07:56.68 ID:O0r5MW53O
バクシン!
385 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/26(土) 20:16:32.63 ID:p9rWvgZuO
※通常進行
大きな公園近くの駐車場にアウディを停め、店に向かうと開店前というのに既に行列ができ始めていた。
「こんな所にラーメン屋があるんですねえ」
「『場所代をいかに抑えるかが美味いラーメンを作る秘訣だ』と、ある超有名店の店主が言ってたな。辺鄙な場所にある店は、大体美味い」
店の前には幾つも注意書きが書かれている。少し異様な雰囲気ではある。
「『本当に煮干しが好きな人向けの店です』……と。そんなに濃いの?」
「さっきも言ったが、『特濃』をうたう店の倍煮干しを使ってる。1杯辺り何グラムだと思う?」
カレンは少し考えて言う。
※何グラムでしょう?当たった場合、実食後に……
安価下のみ、制限時間10分です。
386 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/26(土) 20:24:07.00 ID:HViMzAV9o
100g
387 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/26(土) 20:24:37.90 ID:pgwQUzTqo
500
388 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/26(土) 20:50:11.81 ID:p9rWvgZuO
※不正解、今回の○○の登場はなし
「100グラム、かなあ」
「残念、不正解だ」
「えー、確か『凪』で50グラムでしょ?その倍だからそのぐらいって思ったのに」
「まあ『凪』も濃い方だがな。ただ、ここ『中華ソバ伊吹』は別格だ。
最近量を増やして160グラムにしたらしい。スープの半分が煮干し、と聞いたらいかに狂ってるか分かるだろう?」
「……160グラム??そんなに使ったら、味も何も……」
私はニイと笑う。
「それが違う。まず、煮干しは全国から厳選された各種煮干しをブレンドして使っている。
しかも仕入れによって配合も変えてるらしいな。今日は……九十九里の背黒と長崎のアゴ煮干し、それと背黒二種とあるな」
後ろからデジタルがスマホを覗き込んできた。
「ひょえー、その日の配合をウマッターにアップしてるんですねえ……淡麗と濃厚って?」
「淡麗は水から炊いたスープ、濃厚はそこに動物系スープを合わせたものだな。まあ、どちらも超が付くほど濃いぞ……っと、食券を買わないとな」
店員の呼び出しに応じて、店内に入る。店内には全国各地の煮干しが入った段ボールがそこかしこに積まれていた。
「にょわっ!!?この濃厚な匂いっ!!まさに煮干しっ!!」
「お客さん、お静かに」
目付きの鋭い、大柄な店主がバクシンオーを睨む。その威圧感に、バクシンオーは思わずたじろいだ。
「は、はいぃ……」
再び列に戻る。
「……なるほど、女の子向けの店じゃないね、お兄ちゃん」
「まあ殺伐としてるからな。ここに女の子一人で来るのは考えにくいな。
ただ、味は本当に全国のラーメンの中でも上位ベスト10には入る。そこは保証する」
「うう、『ソダにゃん』には会えそうもないですねぇ……」
デジタルが肩を落とした。店員がもう一度私たちを呼ぶ。順番であるらしい。
389 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/26(土) 21:27:53.02 ID:p9rWvgZuO
濃厚と和え玉4枚を店員に渡す。いつもはハイテンションなバクシンオーだが、さっき注意されたからか珍しく大人しい。
「ウマスタにアップするのは?」
「着丼直後の撮影はいいそうだ」
「よかったー。にしても……すごいね」
カレンがちらりと隣の客の丼を見る。スープはどこまでも濃く、セメントのような粘度だ。
「食うとさらに驚くぞ。……と着丼だ」
丼の半分ぐらいが分厚いチャーシューで覆われている。そこに海苔と刻みタマネギ。煮干しのエグみを中和するのに、タマネギは欠かせない。
まずはレンゲでスープをすくう。ドロっとしていて、見るからに濃い。口に含むと……
パシーンッ!!
ワイシャツのボタンが弾け飛んだ。バクシンオーは「バック……」と叫びかけたが、自分で口を塞いでいる。
強烈、かつ鮮烈な煮干しの香りと旨味が口いっぱいに広がる。
しかし、一切の苦味やエグみはない。煮干し特有のしょっぱさは感じるが、それは煮干しの風味を損なわない、極めて微妙なバランスで留められている。
「「美味しい……!!」」
カレンとデジタルが同時に呟いた。この強烈な味は、理屈抜きで人にそう言わせるだけのものを持っている。
箸で麺をリフトアップする。細ストレート麺で、かなり硬めの茹で上がりだ。そこには特濃のスープが、ガッツリと絡んでいる。
啜ると、パキパキとした食感と共に煮干しがこれでもかと舌を刺激する。まるでスープを食べているかのようだ。
そのパワーに、箸が止まらなくなる。スープは飲んでもいないのにみるみる減り、あっという間に半分ほどになっていた。
ふと見ると、バクシンオーはほぼ食べ終えようとしている。……これは少しまずい。
「バクシンオー、スープがなくなる前に和え玉を」
「にょわっ!?でも、どう食べればいいのですか?」
「『高野』のように別に食べてもいいが、ここはつけ麺みたいに食べた方がいいな」
私もそろそろ頃合いだ。店員に和え玉を作ってもらうよう頼む。
390 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/26(土) 21:48:53.73 ID:p9rWvgZuO
「お待たせしました」
麺の上に何かの粉末がかけられたものが出された。鶏肉のそぼろのようなものか。
これをスープにつけて啜ると、動物系の旨味が足され、味にさらに深みが増した。
「バクシンバクシン……!!」
小声で言いながら、物凄い勢いでバクシンオーが和え玉を食べている。箸が進むのも無理はない。
これまで放置していたチャーシューも口にする。まるで二郎系のような、存在感十分の豚だ。
噛み切ると柔らかく、味もしっかり染みている。これもまた上質だ。
「ううっ……」
見るとデジタルが泣いている。
「デジタルちゃん、どうしたの?」
「『ソダにゃん』にもこの味を食べてほしかった……こんな美味しい煮干しラーメンを知らないなら、それは悲しすぎましゅ……」
「彼女が入学したら、先輩として連れて行ってやればいいじゃないか」
「……!!それもそうですね!!ああ、その時を考えたら……!!推しとラーメン、いい……」
店主が溜め息をついているのが見えた。これはそろそろ撤収時だな。
「申し訳ない、ご馳走様」
「天王寺さん」
去ろうとした私を、店主が呼び止めた。
「……何か?」
「芹沢サン、戻ってくるんだって?」
「……!!なぜそれを」
「業界じゃ有名な話さ。トレーナーのあなたなら、詳しい話を知ってるんじゃないかってね」
「うちに復帰すると聞いてますが」
「……そうか」
安堵とも落胆とも取れる溜め息を、彼はついた。そうか、ラーメン界に復帰するとなれば、それは激震に他ならない。
「らあめん清流房」。かつて日本の頂点に君臨したラーメン店。
彼の復帰は、その復活を意味するからだ。
391 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/26(土) 21:56:52.75 ID:p9rWvgZuO
*
「あー美味しかった!!雰囲気は殺伐としてましたが、本当に美味しかったですねえ!!」
「ハイッ!花マル、いえ花マル三重丸の美味しさだったでしょう!!」
「次来る時は声は抑えめにね……お兄ちゃん?」
はしゃぐ3人をよそに、私は物思いにふけっていた。
そうか、ラーメン界にも芹沢さんの復帰は伝わっていたのか。
彼は日本追放と共に、「らあめん清流房」も閉めた。
毒舌で知られる彼の店の閉店を一部の同業者は喜んだが、大半はそれを心より惜しんだ。私もその一人だ。
もし、彼が再び二足のわらじを履くなら、清流房も復活するかもしれない。
その時に、芹沢さんは何を作るのだろうか。
それは喜ばしい話のはずだ。しかし、妙に心がざわつく。
タキオンが言っていた「報い」とは、まさかラーメン界にも向けられているのではないか?
私は首を振る。考えすぎだ。
*
そのことが分かるまでに、そう時間はかからなかった。
第8話 完
392 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/26(土) 21:59:33.08 ID:p9rWvgZuO
今回はここまで。そろそろ芹沢サンも出したいところではあります。
次回登場のウマ娘を決めます。
安価下1〜5で、コンマが最も大きいものとします。
393 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/26(土) 22:00:15.18 ID:MmUJPZM60
ゼンノロブロイ
394 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/26(土) 22:00:18.68 ID:hGRYtTUG0
流行りのキタサンブラック
395 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/26(土) 22:01:21.12 ID:S5jsit9DO
マンハッタンカフェ
396 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/26(土) 22:01:32.31 ID:Q3suAGfzO
サトノダイヤモンド
397 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/26(土) 22:01:47.57 ID:2oh21dDiO
チヨちゃん
398 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/26(土) 22:12:06.89 ID:p9rWvgZuO
キタサンブラックに決定します。
設定上バクシンオーをお姉ちゃん呼びしますがご承知下さい。
テーマを決めます。安価下1〜5でコンマが最も大きいものとします。
399 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/26(土) 22:13:56.90 ID:mFyKORj9O
富山ブラック
400 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/26(土) 22:15:25.88 ID:MmUJPZM60
二郎系
401 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/26(土) 22:16:09.10 ID:pgwQUzTqo
二郎系
402 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/26(土) 22:18:45.37 ID:hGRYtTUG0
二郎系
403 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/26(土) 22:19:11.59 ID:JOpMa3HCo
中山のど・みそ
404 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/26(土) 22:24:14.49 ID:p9rWvgZuO
富山ブラックとします。ただ、東京にマトモな富山ブラックの店があるか次第ですね……
場合によってはずるい手段を使うかもしれません。富山ブラックでありながら富山ブラックでない、ある店を紹介する可能性があります。
405 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/26(土) 22:28:16.05 ID:hGRYtTUG0
乙わっしょい
406 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/26(土) 22:29:37.73 ID:pgwQUzTqo
おつおつ
ラハゲのウマ娘とバクシンオー(orカレンチャン)の対決あるか…?
407 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/26(土) 22:33:17.30 ID:p9rWvgZuO
>>406
それは構想中です。誰を出すかはある程度決めてはいます。
富山ブラックでおすすめの店を募集します。ちょっと調べましたが、東京だとどうにも数が少ないですね。
もしないようなら、裏技を使います。今は限定を出してないようなので、記憶を引き出してやります。
408 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/26(土) 22:40:21.01 ID:hGRYtTUG0
富山ブラックはカップ麺くらいしか食べたことない……
409 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/26(土) 23:37:19.13 ID:pgwQUzTqo
思いつかねえので裏技行こう
410 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/26(土) 23:57:34.11 ID:p9rWvgZuO
とりあえず明日までにリクエストがなければ裏技やります。
結果として○○系になるので高確率で○○○が出ます。
411 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/28(月) 08:15:51.59 ID:YLhsJVvA0
結局、裏技はどうしたのですかね?
412 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/28(月) 08:53:21.92 ID:F16PXIoXO
まだ一日しかたってないでしょうが
世界はお前中心には回ってないんだぞ
413 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/28(月) 12:56:59.45 ID:NI4vXnI/O
しつこく
>>1
に質問してばかりの末尾0くん、悪い意味でクソ目立ってるから自覚持った方がいいよ
414 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/02/28(月) 13:09:47.81 ID:pmgv1et0O
とりあえず店は某店で決定しました。
415 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/28(月) 14:36:24.32 ID:Dfq+vGFJO
了解ー
416 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/03/05(土) 20:35:38.30 ID:b/j2YtyNO
今週の更新は遅れるか、来週に延期になります。
仕事が多忙になりそうなので、更新頻度が今後減るかもしれません。
(ラーメン自体もそんなに食べに行けなくなりそうです……)
417 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/03/05(土) 21:01:13.28 ID:w83J2WYFo
リアル大事に
お仕事頑張って下さい
418 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/03/13(日) 14:42:02.44 ID:/UN7t0AIO
更新しますが、今日で終わらないかもしれません。
また、今はこのメニューを出していません。ご了承を。
419 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/03/13(日) 15:02:51.99 ID:/UN7t0AIO
「バクシンバクシンバックシーン!!!」
怒涛の勢いでバクシンオーがゴール板を駆け抜ける。2着のヒシアケボノとは3バ身もの差がついていた。
おお〜と、それを見ていた新入生から声が上がる。「ハッハッハ!!」とバクシンオーは胸を張ってそれに応えていた。
「バクちゃんすごいなあ。私も走りたかった〜」
カレンが口を尖らせた。私は軽く彼女の頭を撫でる。
「模擬レースは高等部の担当だからな。バクシンオーと一度本気でやり合いたいか?」
「うん!でも、カレンは高松宮記念も出れないんでしょ」
「香港スプリントのダメージがまだ抜けきってないからな。スプリンターズまで待つしかない」
「むむー。京王杯まで我慢、か〜」
トテトテと、誰かが近付く気配がした。黒い癖っ毛気味の小柄な少女だ。
「あ、あの……天王寺トレーナーさん、ですか?」
「ん、そうだが」
「はじめまして!あたし、キタサンブラックといいま「おお!キタちゃんじゃないですか!!」」
向こうから凄い勢いでバクシンオーがやってきた。キタサンブラックと名乗った少女の顔が明るくなる。
「あ、バクシンお姉ちゃん!!」
「おおっ!!あなたも私たちとバクシンするつもりなのですね!!いいでしょう、いいでしょうとも!!
短距離だろうが長距離だろうが、道はただ一つ!!ひたすらに鍛えてバクシンするのみですっ!!」
「あ、あのお……」
キタサンブラックはさすがに軽く引いている。私は咳払いをして割って入った。
「嬉しいのは分かるが、程々にな。ああ、キタサンブラックだったね。話は聞いている。私が彼女の担当トレーナー、天王寺だ」
「はい、よろしくお願いします!!お話はお姉ちゃんからかねがね聞いてます」
「話?」
「はいっ!とても優秀なトレーナーさんで、いつも美味しいラーメンを食べさせてくれるって」
※ゾロ目で……
420 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/03/13(日) 15:13:49.76 ID:znTVegcuo
こいぞろー
421 :
◆/4adlfiarI
[saga]:2022/03/13(日) 15:36:02.17 ID:/UN7t0AIO
※特になし
「ははは……君にまでラーメンの話が行っていたか」
思わず頭を掻く。すっかり「ラーメンのトレーナー」になっている気がする。
「あ、もちろんそれだけじゃないですよ?トレーニングとか、すごくちゃんと鍛えられるんだって。
見た目はちょっと怖いけど、頼れる人だって聞いてます」
「むむむ」とカレンがキタサンを覗き込んできた。
「あの、この方は……」
すぐに表情をいつもの営業用スマイルに変えて、カレンが答える。
「カレンチャンです♪ヨロシクね♪」
「あ、この方がカレンチャンですね!いつもウマスタ見てます!!」
「見ててくれるの!?うれしいな〜」
といいつつも、目はそう笑ってもいない。意外とブラコンの彼女は、基本私に近付く異性を警戒する。
バクシンオーはあの性格だから、恋愛関係にはならないだろうと彼女も安心しているが。母を早くに亡くしたせいか、独占欲は強めなのだ。
「……まあ、とにかく4月からよろしく頼む。うちのチームは短距離からマイルに特化しているから、君に合うかは怪しいが」
「そうなんですか?」
「私のトレーニングは速筋を中心に鍛えるものだ。何分、ボディービルダーとしての顔もあるものでね。
だから、長距離が得意な君に合うかは自信がない。それでも、というなら歓迎するが」
※キタサンの反応
01〜40 そうなんですか……
41〜70 でもお姉ちゃんと一緒がいいです!
71〜90 もう行くところは決めているんです(再判定)
91〜98 もう行くところは決めているんです
99、00 ???
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