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研究員「安価でデジモンを進化させる」

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694 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/30(火) 23:31:57.09 ID:zm1NUAgko
…さて。
ブロッサモンを倒した、竜人型デジモン…エクスブイモンと、蜂人型デジモン…スティングモン。

彼らは、ブロッサモンの頭部を運び、サバンナの方へ向かった。

そこには、大きな集落があった。
ディノヒューモン農園を中心として、原始的な文明ができていたのである。

爬虫類型デジモンと、蜂型デジモンか共生し、農作物を育成する巨大農園。
エクスブイモンとスティングモンは、ブロッサモンの頭をそこへ持ち帰ったのであった。
695 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/30(火) 23:36:43.65 ID:zm1NUAgko
エクスブイモンは、村の長であるディノヒューモンのもとへブロッサモンの頭部を届けた。

ディノヒューモンは、ブロッサモンの頭部を何度も切断し、細切れにした。
おおよそ500ピースほどに分離された。

それを乾燥させた後、石をくり抜いて作った容器の中へ入れて貯蔵した。

ディノヒューモンは、この乾燥ブロッサモンを何に使うのであろうか…。
696 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/30(火) 23:43:21.61 ID:zm1NUAgko

数日後。
ディノヒューモンは、群れのデジモン達に何かを指示した。

すると群れのデジモン達は、いっせいに森へ向かった。
そして木々を伐採し、材木にして、サバンナの集落へ持ち帰ったのである。

木材の有用性に気付いたということだろうか。

次々に木を切り倒していく集落のデジモン達。
怒ったレッドベジーモンが攻撃を仕掛けたが、フライビーモンやモスモンの集中攻撃を受けて倒された。


もしかしたら彼らは、ブロッサモンが倒れ、材木を収集しやすくなる機会を伺っていたのかもしれない…。
697 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/30(火) 23:46:46.63 ID:zm1NUAgko


その頃。

森の中では、ジャガモンとウッドモンが向かい合っていた。

ジャガモンは、自分の体の中から、大きな芋を取り出し、ウッドモンへ差し出した。

ウッドモンはその芋を食べた。


すると、ウッドモンの肉体は、急激に巨大化を始めた。


https://i.imgur.com/ydN30Hu.jpg

枯れ木そのものであったウッドモンは、青々と生い茂る葉に包まれた。
698 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/30(火) 23:51:27.05 ID:zm1NUAgko
その進化を見届けたジャガモンは、深くうなずくと…

体表を構成する岩石のような装甲が、ボロボロと剥がれ落ちていった。

ジャガモンの肉体はどんどん崩れていく。


やがて、ジャガモンはこぢんまりとした姿となった。
頭部から、根っこと枝、葉が生えた姿だ。
サイズは小さめの成熟期程度だ。


その小さな体になったジャガモンは、目を瞑り…
そのまま眠った。




しばらく観察したが、ジャガモンは目を覚まさなかった。
間違いなく生きてはいるが、太陽光を浴びてわずかに光合成するだけであり、動き回ったりはしないようだ。
699 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/30(火) 23:52:22.85 ID:zm1NUAgko
大木へ進化したウッドモンこと、ジュレイモンは…
休眠状態のジャガモンを一瞥すると、森の中心へと進んでいった。
700 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 00:10:44.43 ID:LRT6okKKo
…ときに。

現在のデジタルワールドは、成熟期…レベル4デジモンを頂点とした生態系ではあるものの、個体数では成長期…レベル3デジモンの方が多い。

それは何故なのだろうか?
なぜデジタルワールドは、レベル4デジモンで埋め尽くされていないのだろうか。


デジモンはレベル4になれば格段に戦闘能力が増す。
それならば、どいつもこいつも成長期で留まっておらずに、みんなグレイモンやスターモン、モノクロモンといった戦闘能力の高いレベル4や…あるいはスコピオモンのようなレベル5になってしまった方が、個体の生存率は上がるはずだ。

しかしながら、デジモン達は誰も彼もが戦闘能力の高い姿を手にしたわけではない。
プカモンやヌメモン、ベジーモンのように、あえて弱い姿を選んで進化する個体も大勢いるのである。


それは一体、なぜなのか…?
701 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 00:17:26.29 ID:LRT6okKKo
それは、高い戦闘能力をもつ肉体を維持するには、莫大な消費カロリーを必要とするからだ。

かつて出現したレベル5デジモン、スコピオモンを覚えているだろうか。
スコピオモンは、その強靭な肉体を維持するために、森林に住むデジモン達を乱獲した。

あのときは森林のデジモンの10〜20%が消え、生態系のバランスが変わったともいわれる。

もしもあのままスコピオモンを止めるものがいなかったら、どうなっていただろうか?
森林のデジモン達は絶滅していたかもしれない。
そうなれば、スコピオモンは間違いなく餓死していたことであろう。

故に、スコピオモンは。
圧倒的な強さを持ってはいたが、生存に有利かというと全くそんなことはなく、むしろとても脆い存在だったといえる。
702 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 00:23:49.89 ID:LRT6okKKo
かつて我々の世界は、巨大生物であふれていた。
トンボの祖先は体長が30cmもあったといわれているし、全長20mを超える恐竜が陸上を闊歩していたこともあった。


しかしながら現在では、そんな巨大生物はほぼ存在しない。
トンボは小さくなり、恐竜は小鳥になった。

皆あえて大きさと強さというアドバンテージを捨て、小型化したのである。


そう、つまり。
大きく強くなることだけが進化ではない。
小型化し、弱くなることで、環境に適応しやすくなることもあるのだ。

それがデジモン達の進化の方向性のひとつだということである。
703 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 00:26:46.28 ID:LRT6okKKo
では、デジモンにとってレベル5への進化は、死の病なのであろうか?

過剰なパワーと引き換えに強い空腹に襲われるだけの、誤った進化なのだろうか。


…そうとは言い切れない。
ひとつ、レベル5に到達しても、安定して生きていける系統がある。


それは、光合成によって体内で栄養を合成できる、植物型デジモンだ。

ジャガモンやブロッサモンがそうだ。
704 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 00:31:40.09 ID:LRT6okKKo
あのブロッサモンは一体何者だったのであろうか。
ジャガモンとの関係は一体なんだったのだろうか。

我々の研究所は、ブロッサモンは『ジャガモンの後継者である』と仮説を立てた。


ジャガモンは、スコピオモンに対抗するために、スターモンとウッドモン、大勢のゴツモン達が融合して進化したレベル5デジモンである。
その戦闘能力は、これまで見てきたデジモン達の中で群を抜いて最強であった。
ジャガモンならば、グレイモン・ティラノモン・グラウモンの3体と戦っても、大してダメージを受けずに勝っていただろう。


だが、ジャガモンは戦闘能力が高すぎるあまり、消費カロリーが高く、『森の守護者』を担うにはオーバースペックだった。

単独の戦士として最強であっても、守護者としての役割に向いた肉体をであるかというと、そうとは言えないのだ。

だからジャガモンは、デジタマを産み、後継者であるブロッサモンを育てたのだ。





…だが。
そのブロッサモンは死んだ。
705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 00:33:46.01 ID:LRT6okKKo
そして今、ジャガモンは体内のエネルギーをウッドモンへ渡し、ジュレイモンへと進化させた。


ジャガモンのような、動物型と植物型のハーフではなく。
完全な植物型のレベル5デジモンに、守護者の座を譲ったのである。
706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 00:35:44.03 ID:LRT6okKKo
ジュレイモンは、さくらんぼのような赤い果実を実らせた。

甘い香りに誘われ、動物型デジモン達がジュレイモンの周囲に集まり、果実を食べていく。

ジュレイモンはそれを眺めながら…
にっこりと笑っていた。
707 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 01:19:50.59 ID:S+vp7nWso
ジャガモンも現役引退か
708 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 03:59:15.35 ID:YFi/b0Ak0
現実で一番大きい生物って言ったら確かに木だもんなあ……
709 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 13:21:45.98 ID:WJ2eg3gB0
どこの世界も飯の確保は死活問題だ
710 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 16:35:56.09 ID:8gtM5zKKo
草食以外は誰かが餌にならんと食物連鎖できないしな…
可哀想だけど小さい子たちはたくさん産んで食われるしかない
711 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 17:10:08.09 ID:f1VzQWCpo
デジタルなモンスターだけど自然の摂理には逆らえない
712 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 22:33:03.26 ID:UY437IRqo
我々は、レベル5デジモンについての研究をレポートにまとめた。
そして講演会で発表した。

デジモン研究の講演会には、学者のみならず一般の方々もよく来てくれる。
小さな男の子もちらほら散見される。

一通りの発表が終わり、質疑応答の時間に入った。
様々な人々からの質問が行われる中、小学生とみられる男子から、思いもしなかった質問が飛んできた。


「レベル5デジモンはなんでそんなに強いんですか?」


…我々は答えを持ち合わせていなかった。
というより、考えたこともなかったのだ。
「なぜレベル5デジモンがそんなに強いのか」などと。


かつて出現した暴虐の王、スコピオモンは、体のサイズはスナイモンと同程度だったはずだ。
だが、パワーもスピードも体力も、レベル4とは比較にならないほど向上していた。


少なくとも現実の動物なら、体のサイズが変わらないなら、筋繊維の密度もそう大きく変わらないはずだ。
体内に蓄えられるエネルギー量もそう大きな違いはないはずだ。


それなのに、スコピオモンはなぜあんなに強かったのか?

…我々はその理由を調査しようとした。

だが、断念した。
サンプルが少なすぎるためだ。

今後、レベル5デジモンからデータ計測できる機会はあるのだろうか…。
713 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 22:45:18.52 ID:UY437IRqo


デジモン達は、デジタルワールドでどんどん生息分布を広げていく。

森林やサバンナ、密林、寒冷地帯、湿地帯など…。


やがてデジモンは、険しい山岳地帯へと進出しようとしていた。

山の麓には森林が生い茂っているが、高度が増すにつれ、ゴツゴツとした岩肌が露出している。
大地が大きく傾き、デコボコしている。

それ故か、モノクロモンのように重い体を持つデジモンは、この環境に不向きなようだ。

既に植物型デジモンや、テントモン等の羽をもつ昆虫型デジモン達は、この環境に適応していた。

そんな中に、グレイモンの子供の一体…
ファルコモンがやってきた。
https://i.imgur.com/7OIywm2.jpg
714 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 22:53:35.81 ID:UY437IRqo
ファルコモンは、小型恐竜デジモン、アグモンに近い種である。

鋭い爪をもち、地面をどしどしと直立二足歩行するという共通点がある。

アグモンとの大きな違いは、硬い嘴と羽毛を持つことだ。

その嘴は、地面をつついて植物を掘り起こして食べたり、攻撃に使ったり、巣材を折ったり…様々な用途があった。

その羽毛は、体温を維持するのに役立った。羽毛の中に空気を含んでいるため、体温を奪われにくい。また、撥水性をもつため、雨にぬれても強い。
ときに巣材になったりもする。

ファルコモンは、アグモンより確実に進化した種であった。


やがてファルコモンは、レベル4へ進化し、さらに強靭な肉体を手に入れた。


https://i.imgur.com/kkHmLhU.jpg
ニワトリに似た姿のデジモン、コカトリモン。
だがその暴れっぷりは、ニワトリというより恐鳥類に近かった。
715 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:01:46.93 ID:UY437IRqo
これまで、デジモンはただひたすらデカくて強ければよい、というわけではないことが、繰り返し語られてきた。

だが、レベル4としての強さの極限を攻めた、巨躯をもつグレイモン。
その子供であるコカトリモンもまた、親同様に、強さと狂暴さを極めようとしていた。

コカトリモンは極めて獰猛であり、直系の祖先であるタスクモンを彷彿とさせる暴れっぷりを見せた。

あるとき、コカトリモンは、山岳地帯で他のデジモンを発見した。

テントモンに近い種とみられる、レベル3デジモン…
コカブテリモンである。
https://i.imgur.com/cros2MF.jpg
716 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:04:05.74 ID:UY437IRqo
コカトリモンは、コカブテリモンに襲いかかると、鋭いクチバシをコカブテリモンの頭部に力強く打ち付けた。

コカブテリモンの頭部は、アイスピックを振り下ろされた氷のように粉砕された。

コカトリモンは鋭い爪とクチバシで、コカブテリモンを八つ裂きにし、バラバラにして食べた。
717 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:16:16.94 ID:UY437IRqo
食事の最中に、コカトリモンは、新たなデジモンを発見した。
https://i.imgur.com/53z6JEM.jpg

昆虫族の中でも上位の強さを誇る、スナイモンである。
かのスターモンと互角の戦闘力を持つ種だ。戦いは避けた方がよいだろう。


だが、コカトリモンは雄叫びをあげ、スナイモンに襲いかかった。

スナイモンの鋭い刃がコカトリモンに振りかざされる。
凄まじいスピードだ。


だが、コカトリモンは口から炎のようなものを吐き、スナイモンの刃に浴びせた。


スナイモンの刃は、石…もといセメントのような物質で覆われた。
これでは自慢の切れ味が活かせない。

コカトリモンは、スナイモンの関節部へ、この炎を吐きつけた。
スナイモンの関節部はどんどんセメントで固められ、動きが鈍っていった。

やがてコカトリモンは、スナイモンの首に噛みつくと…
頭部を噛みちぎって切断した。


我々は驚いた。
あのスナイモンを、ここまで圧倒するとは。
さすがはグレイモンの子孫…。


コカトリモンは、スナイモンを解体して捕食した。
718 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 23:21:53.45 ID:YFi/b0Ak0
コカトリモン、あんまり強いイメージはなかったけど石化能力はそりゃまあ強いわな……
719 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:23:41.78 ID:UY437IRqo
コカトリモンは、スナイモンを食っている最中に、また新たなデジモンを発見した。
https://i.imgur.com/8biGpQL.jpg

カラツキヌメモンの子孫とみられる、モリシェルモンである。

スナイモンの死骸を放置して、雄叫びをあげてモリシェルモンへ襲いかかるコカトリモン。
モリシェルモンは、固い殻の中に隠れた。


だがコカトリモンは、鋭いクチバシを、モリシェルモンの殻へ打ち付け続けた。

やがてモリシェルモンの殻は、アイスピックを突き立てられた氷のように砕けた。

そうしてコカトリモンは、モリシェルモンの軟らかい体を食い千切って捕食した。

暴れて抵抗するモリシェルモンであったが…
コカトリモンは、モリシェルモンの頭部へクチバシを突き刺し、脳を引きずり出して食った。


なんという獰猛さであろうか…。
720 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:26:46.00 ID:UY437IRqo
翌日、再びデジモン狩りをするコカトリモン。
新たな獲物はすぐに見つかった。


https://i.imgur.com/YK9hxcl.jpg
ヤギ型デジモン…ゴートモン。
ボアモンの子供だ。

コカトリモンはニタリと笑うと、食いかけのコカブテリモンを捨て置き、ゴートモンの方へ駆け出した。

ゴートモンは、蹄のある自慢の脚で逃げ出した。
さすが走ることが得意なボアモンの子だけあって、走行スピードは速い。
木々の間を縫うように、機敏な走りを見せた。


だが、コカトリモンも猛スピードで爆走し、ゴートモンを追いかけた。
凄まじいパワーのクチバシで木々をへし折ってなぎ倒しながら追跡する。
721 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 23:27:46.46 ID:FfYDiL2+o
グレイモンの子孫つっよ…
こんなの余裕で天下統一じゃないですか…
722 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:29:58.78 ID:UY437IRqo
やがてゴートモンは、険しい崖へと追い詰められた。

コカトリモンは、ゴートモンを崖へ追いやってていく。

するとゴートモンはなんと、崖の下に飛び降りた。
そして崖の僅かな突起に蹄をひっかけて、切り立った崖を登り始めたのである。

驚くコカトリモン。
だが、美味そうな獲物を目の前にして、このままおめおめと似がせるわけがない。
コカトリモンもまた、崖の下に飛び降り、ゴートモンのように崖にしがみつこうとした。
723 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 23:32:25.03 ID:tecEvoFk0
あれ?アグモン今まで出たっけ?
724 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:32:52.52 ID:UY437IRqo
だが、無理だった。

足を滑らせたコカトリモンは、200mの高さの崖から転落した。

必死に翼をバタつかせたが、飛ぶ機能は備わっていない。

どんどん遠ざかっていくゴートモンを睨みながら、コケエエエエと大声で叫んだ。





…そのままコカトリモンは、激しく地面に体を打ち付けた。

バーーーーンという大きな音が、30秒ほど山々に木霊した。
725 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:38:16.26 ID:UY437IRqo
やがて砂埃が消えると、地面に倒れ伏しているコカトリモンの姿が現れた。

全身を複雑骨折し、内臓も破裂しているとみえる。

なんとも痛ましい姿だ。



目玉が飛び出ているコカトリモンは、絞り出すように鳴き声を発しようとするが…
気嚢が破れており、声を発することができないようだ。


死に瀕して悔しそうな表情をするコカトリモン。
己こそが最強だったはずだ。間違いなく山の生態系の頂点だったはずだ。
その自分が、あんな弱そうな奴を捕食できず、こんな無惨な最期を遂げるだなんて。

最強であるはずの自分に、こんなことがあっていいはずがない…!


…そんなことを考えているのが、コカトリモンの全身からありありと伝わってきた。
726 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:40:37.45 ID:UY437IRqo
コカトリモンは、最期の力を振り絞り、デジタマを産んだ。
そして徐々に冷えていくぬくもりで、デジタマを温めた。





コカトリモンの死骸が、ヌメモンやゴキモンに食い尽くされた頃…

その遺骨の下の地面が、モコモコと盛り上がった。
727 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 23:40:38.32 ID:YFi/b0Ak0
過剰な攻撃性は自滅に繋がるってことだなあ
728 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:49:14.66 ID:UY437IRqo
地面から出てきたのは、なんとも可愛らしい姿の幼年期デジモンであった。
https://i.imgur.com/jiHyVLF.jpg

草の実などを食べて成長し、一回り大きくなった。
https://i.imgur.com/aSMy2Mq.jpg


やがてレベル3になると…
親よりも、さらに鳥に近い姿となった。
https://i.imgur.com/j3KPXqT.jpg


鳥型デジモン…ピヨモンは、未発達な翼で、ばたばたと飛んだ。

地上から飛び上がるのは得意じゃないらしい。
たった一世代で、大空を舞う力が備わるわけではないようだ。


だが、それでも…
崖から飛び降りても、ゆるやかに着地することはできるようだ。
729 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:53:56.41 ID:UY437IRqo
ピヨモンは、崖から飛び立って地面を目指しているときに、何かが目に入った。

それは、ピヨモンの親…コカトリモンのように、ゴートモンを追いかけている、恐鳥型デジモン。ディアトリモンの姿であった。
https://i.imgur.com/TJasJB7.jpg


ディアトリモンは、崖を登るゴートモンを追いかけ…
そして、足を滑らせて転落した。



あのショッキングな音が、再び山々の間に木霊した。
730 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:55:20.82 ID:UY437IRqo
つづく
731 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 23:59:00.19 ID:YFi/b0Ak0

山岳のヤギ、強い
732 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/01(木) 00:05:17.97 ID:oDW6wgJ0o
〜オマケ〜

紹介するのが遅れていた。これがアグモンである。
https://i.imgur.com/atrQ69D.jpg

タスクモンが産んだ卵から産まれたレベル3デジモンであり、これらがグレイモン、グラウモン、ティラノモンへと進化したのだ。

口から炎を吐くことができ、レベル3の中では最強クラスといわれる戦闘力をもつ。
レベル4デジモンのヌメモンやベジーモンと互角の力を持つとさえいわれる。

強さを突き詰めようとするアグモンの遺伝子は、強大なレベル4デジモンに進化し得るポテンシャルを持っているのである。
733 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/01(木) 00:08:34.38 ID:ofigKZ2Uo
鳥なのに飛べない奴等は悲惨だ
734 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/01(木) 08:52:11.40 ID:KsWPbD8E0
ピヨモンはまだ落ち着きありそう
735 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/01(木) 10:40:44.76 ID:aVrFe9B/o
飛べないにしても滑空くらいできたら良かったのにね
736 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/01(木) 20:35:01.52 ID:lWoanl7ko
戦闘だけなら天下だなアグモン→グレイモン一族
737 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/01(木) 22:24:59.26 ID:dAo3F5IXo
デジタルワールドのエネルギー循環、栄養循環は、どのような仕組みになっているのだろうか?

一見すると、太陽光を使って成長した植物が、草食デジモンの餌となり、それが肉食デジモンの餌となり、死んだデジモンが分解されて植物の栄養になる…という、現実の生態系と同じシステムに思える。


しかしながら。
デジモンというものを詳しく調べていくと、「ん?」と疑問点が湧いてくる。

第一に…
デジモンは「データ」を食べる生き物であることが分かっている。
ただし、デジモンはサイズがでかいだけのランダムノイズなどは食べない。
価値のある情報を選り好みして食べるのだ。
我々が、コマンドラモンやマッシュモン、フローラモンの餌を、データのコピペではなく、データマイニングによって計算コストと時間コストをかけて都度生成していることからも、それは明らかだ。

しかしながら、「データを食べる」ということが具体的にどういうことなのか、よく分かっていないのだ。

食べたデータが分解され、デジモンの体内で消えたことで、代わりに何のエネルギーが生まれるのか?

分からないことだらけではあるが…
デジモンの代謝系は、我々人間が、糖と酸素からATPを合成して、細胞内で分解してエネルギーにする仕組みとは、根本的に異なるシステムであることは間違いない。


すると、そのエネルギーの源となっている、デジタルワールドにおける「太陽」とは何なのであろうか?


デジクオリアが我々に「太陽」として見せているコレは一体何なのであろうか?
738 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/01(木) 22:35:51.76 ID:dAo3F5IXo
そもそもデジタルワールドとは何なのか。

デジタルネットワーク上に存在している世界…というと、なんとなくわかったような気にはなる。

だが、現実のデジタルネットワークは、世界各地のサーバーや端末内の様々なシステムによって極めて精巧に作られている。

コンピューターウィルスは世界中に蔓延してはいるが、各種セキュリティソフトによって逐次駆除されている。

こんな精巧なモンスター型のボットを構成している巨大なデータが、あちこちのサーバーやパソコンのディスク上の領域に丸ごと入っているかというと…
現実のデジタルワールドを見る限り、あまりそうとは考えられない。


しかしながら。
フローラモンやマッシュモン達は、確実に我々のサーバー内に「いる」こともまた事実なのだ。


我々人間は、原子や分子の構造体という形で、現実世界に『いる』。


ではデジモンは、どんな形で、どこに『いる』のだろうか。
739 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/01(木) 22:53:30.04 ID:dAo3F5IXo
様々な研究によって、少しずつ、それが分かり始めてきた。

デジモンが存在する「デジタルワールド」…
その媒体となっている「デジタルネットワーク」とは、ノイマン型コンピュータ端末同士の相互通信ネットワークや、それを構成する磁気テープ上のゼロイチのデータ情報のことだけを指しているのではないのだ。

それらの端末を利用している、我々人間の脳もまた、「デジタルネットワーク」を構成する一部分なのだ。

人間だけではない。
地球上の様々な動物の思考回路…脳も、デジタルネットワークを構成する要素となっている。

動物だけでもない。
近年の研究によって、森林を構成する植物同士は、菌根菌の菌糸を回線としたネットワークを構成し、相互に情報交換をして協調して活動していることが明らかになっているのだが…
そのような植物同士の情報ネットワークもまた、デジタルワールドを構成する「デジタルネットワーク」の一端であることが、いくつかの研究によって示唆されている。
740 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/01(木) 23:03:17.64 ID:dAo3F5IXo
植物や人間の思考回路はアナログではないか?それではアナログワールドにいるアナログモンスターではないか?と言われることもある。

それは、まあ…今更といえば今更というか。
最初にそう名付けられてしまったから、今もそう呼ばれているということだ。

電流の向きがマイナスのベクトルとして決まっているように。

自然界を支配するといわれる4つの力…
重力と電磁気力に続く「弱い力」と「強い力」が、仮称のまま正式名称になってしまったように。


通称として広く知れ渡り、様々な論文で使われてしまった以上、今更名称を変えるわけにもいかなくなった、ということだ。

もっとも、変えるべきだなんて意見は一度たりとも聞いたことはないが。
741 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/01(木) 23:14:27.69 ID:dAo3F5IXo
あまりこのあたりを詳しく説明してもドツボにはまるので、詳しくは我々が出している論文を見て欲しい。
きっと理解の助けになるはずだ。


近年では、「現実世界とデジタルワールドの間で、物体の転送ができないか?」という研究を行っている機関もあるらしい。

もしもそうなれば、人類にとって大きな恩恵となることは間違いない。
ゴミ処理問題や農地開発など、「土地が足りない」ことによる問題の解決の糸口になるかもしれない。

また、化石燃料の代替となるエネルギー源を得られるかもしれない。

もっとも、そんなことが本当に可能となるかどうかは怪しいが…

我々がデジタルワールドを観測する技術「デジクオリア」は、その領域に至るための足がかりであることは間違いない。
742 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/01(木) 23:23:37.60 ID:9B9kfaSu0
読ませてくれ……論文!!

今のデジタルワールドは全然原始的だし
本格的に人間の手が加えられるようになったら荒らされそうだなあ
743 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/01(木) 23:31:32.07 ID:dAo3F5IXo
話がそれてしまって申し訳ない。
元々は、デジタルワールドの栄養循環がどうなっているか、デジモンは食べたデータをどのように生体エネルギーへ変換しているのかという話だった。

しかしながら、それをきちんと論理的に納得できるように説明するには、どうしても複雑な話に言及せざるを得ないのだ。


抽象的、オカルト的な話に喩えるのは苦手なのだ。
うまく簡潔に説明できずに申し訳ない。


ともあれ、私の同僚の言葉を借りるならば…
『エネルギー保存則がこの世に存在するように、情報もまた完全に消滅することはない』という法則が、この世には存在するらしい。


たとえば、純水と乾燥した土がそれぞれ独立で保管されていたとして…
それを混ぜて泥水にしてしまえば、それが元々は純水と乾燥した土だったという情報は、我々からすると消えてしまったように見える。

しかし実際は、その結果が観測されることにより、「乾燥した土がどのような過程で水に溶けていくのか?」という知識や、泥水そのものが持つコロイド溶液の性質に関する科学的知見など、新たな情報が生み出される。


デジタルワールドの栄養循環や、デジタルモンスターのエネルギー代謝とは、この概念に近いのだそうだ。


『情報が消えることで、新たな情報が生まれる』…。

その連鎖によって、デジモンは活動している、ということらしい。

そして、デジタルワールドにおける太陽とは、この概念でいうところの『巨大な情報源』…

いわば「我々の認識できる世界から失われていった情報」が、何らかの方法でデジタルワールドへ送られ、日光のように降り注いでいる…ということのようだ。


ぼやっとした説明になってしまったが、なんとなくイメージは分かってもらえたことだろう。
744 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/01(木) 23:34:31.34 ID:vUTbkIeto
人間のいらないものがデジモンにとってのいるものになってるんだな
745 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/01(木) 23:44:38.66 ID:dAo3F5IXo
人間のデジタルネットワークには、コンピュータのデータを破壊するプログラムが多数存在している。

我々はそれをワームやウィルスに喩え、「データを食べて殖える生命のようだ」と比喩したことがあった。

しかしながら、その比喩は一見合っているようで、実は誤りがある。
なぜならウィルスやワームは、自己増殖することとデータを破壊することの間に、機能的な繋がりがないからだ。

殖えようと思えば、データを破壊せずともいくらでも殖えることができる。
かつて流行したことのあった「チェーンメール」のように。

つまり、ワームやコンピュータウィルスは、別に「データを栄養にしているわけではない」のである。


だが、コンピュータウィルスの流行をきっかけとして、デジタルワールドの存在が我々の技術で観測できるほど顕現できるようになったことは、決して偶然ではない。


デジタルネットワークが肥大化し、それを構成する情報を破壊する悪質なプログラムが増えたことで、「我々の世界から失われる情報」の量が爆発的に増加したのである。

つまり、それと対になるように、我々の世界からデジタルワールドへ送られる情報量もまた、爆発的に増加したのだ。
746 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/01(木) 23:56:48.82 ID:9B9kfaSu0
世のハードディスクが削除されたり暗号化されたりする度にデジタルワールドが富んで来たんだな……
747 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/01(木) 23:59:39.22 ID:pTAUatDf0
デジタルが喋れればデジタルワールドのこと分かるのになあ
748 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/02(金) 00:05:40.34 ID:VkqQSjxro
デジモンは、コンピュータウィルスが進化して産まれたデジタル生命体…という通説は、合っているようでもあり、そうでもないといえる。

これは、動物の進化のイメージが近いといえる。

動物は、細胞内のミトコンドリアによって酸素と糖分から莫大なエネルギーを得る力…「好気呼吸の力」を獲得した生物群だ。
好気呼吸によって得られる活動エネルギーは、メタン細菌のような他の代謝システムをもつ生物が生み出す活動エネルギーよりも遥かに大きい。

そのミトコンドリアの起源は、αプロテオバクテリアと呼ばれる好気性細菌だったといわれている。

しかしながら、動物はαプロテオバクテリアそのものが直接進化して誕生した生物というわけではない。

原始的な真核生物が、αプロテオバクテリアを取り込んで、細胞内共生することで進化した種だ。


デジモンもまた、ウィルスそのものから直接進化した存在というよりは、データを分解・吸収するための手段として、ウィルスを利用するようになった生物、ではないかと予想されている。


デジタルワールドには、『デジモン以外のデジタル生命体』も存在している。
たとえば微生物や細菌、植物に近い生命が確認されている。

それらデジタル生命体の中のひとつであり、最も強力に進化した系統が「デジタルモンスター」なのだ。
749 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/02(金) 00:09:14.42 ID:Bt3c95Ulo
ウイルスではないけどウイルスと似た能力も使える生き物か
750 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/02(金) 00:12:55.73 ID:VkqQSjxro
かつて我々の研究所で発生した「ゴミ箱マッシュモン事件」を覚えているだろうか。

ゴミ箱の中にあるデータが、どんどん消えていき、マッシュモンの餌となっていた事件である。

あのときは、コンピュータをスキャンしてもコンピュータウィルスは見つからなかった。

それはそうだ。ウィルスセキュリティソフトは、コンピュータに有害なプログラムをなんでも除去してくれる魔法のソフトではない。
ウィルス定義ファイルに基づいて、ウィルスとみなされたプログラムを除去しているにすぎない。


あの時、研究所のパソコンに巣食っていたプログラムは、ウィルス定義ファイルで引っ掛けることができなかったのだ。

マッシュモン…
「分解者」の姿と力を得たそのデジモンは、データを分解するプログラム…デジタルワールド製のコンピュータウィルスを菌糸のように操り、ゴミ箱の中のデータを破壊し、吸収しやすいように加工していたということだ。


つまり、マッシュモンは…
デジモンの起源を解き明かすことにおいて、重要な意味を持つデジモンなのかもしれない。
751 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/02(金) 00:13:30.78 ID:VkqQSjxro
つづく
752 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/02(金) 00:14:52.55 ID:F+maKwm4o

まさかのマッシュモン
753 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/02(金) 00:16:22.73 ID:fWmvZ4fR0

デジモンは基本見た目通りの能力ね
754 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/02(金) 00:43:54.51 ID:HjqHUSUX0

菌類、研究対象として価値あるな
進化には恵まれてないが……
755 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/02(金) 10:05:39.18 ID:ZwQbZq98o
際限なく仲間を生み出せるし生き物としては優秀すぎるな
756 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/02(金) 18:47:04.85 ID:St8y0vCR0
今飼ってるデジモンはコマンドラモン フローラモン ボスマッシュモンか
757 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/03(土) 11:38:20.42 ID:6JA/Veupo
増殖の効率良すぎるマッシュモンに絶滅の危機を抱かせるほどの天敵は果たして存在するのか
758 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/03(土) 14:04:59.67 ID:lKD0CZQ7o
植物と植物型デジモンの違いは何だろうか?

結論から言おう。全くの別物である。
植物型デジモンは、植物の特性を習得することで、地中から栄養を吸ったり光合成する力を身に着けたというだけの、れっきとした動物デジモンである。
いわば植物への収斂進化だ。


そもそもデジタルワールドに自生している植物も、厳密には我々の世界の植物そのものではないのだが…
あるデジタル生命体が、空から太陽光のように降り注ぐデータを吸収して栄養にし、その場から動かずに殖えるという生態を突き詰めた結果、我々の世界の植物に収斂進化したという結果は合理的といえる。
759 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/03(土) 14:09:15.24 ID:6JA/Veupo
キター!
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/03(土) 14:12:07.78 ID:lKD0CZQ7o
樹木という生物は、全身を構成する細胞のうち、生きた状態のものの割合はかなり少ない。
中空部分は死んだ細胞でできており、生きた細胞は表皮や成長点、枝葉の部分、根くらいしかない。

だが樹木型デジモンであるウッドモンやジュレイモンは、角質など一部を除けばほぼ全身の細胞が生きている。


また、細胞の構造も植物とは異なる。
動物のように動き回ったり戦ったりする必要があるため、駆動部には筋繊維ないしそれと同等の動きをする細胞が詰まっている。

つまり植物型デジモンは、外骨格デジモンの一種なのである。
サンゴやイソギンチャクをイメージしてもらると分かりやすいだろうか。
761 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/03(土) 14:16:49.09 ID:lKD0CZQ7o
我々は「植物型デジモンの祖先は何か?」を調査したことがある。

その結果、最も可能性が高い種として挙げられたのがこれだ。
https://i.imgur.com/qOkjolq.jpg

刺胞動物型デジモン、サンゴモン。
珊瑚のように硬い骨格で身を包んだ、軟体のデジモンであり、海に生息している。

こいつが上陸し、植物を食べて暮らしている中で、やがて表皮の中に葉緑素を取り入れることに成功し、植物型デジモンへと進化したということらしい。

762 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/03(土) 14:40:31.26 ID:lKD0CZQ7o
まるで太陽光のようにデジタルワールドへ降り注ぐエネルギー…

それは我々の世界から失われていった情報である、と、いうのが定説だ。

ここでひとつ疑問がある。
デジタルワールドにおいて、デジモン達の中を巡ったエネルギーは最終的にどこへ行くのか?ということである。

我々のいる現実世界では、太陽光は地上の生物の中を様々なエネルギーとして循環した後、最終的には熱エネルギーとなって、空気中や水中へ放出される。それがそのまま地球の中へ留まっていたら、地表はどんどん高熱化してしまうだろう。
だが、それらが持つ熱は熱輻射線という電磁派へ変換されて、宇宙の外へ放出される。だから太陽光に照らされても、地球の温度は維持されるのである。

では、デジタルワールドではどうなのか?
熱輻射のように、世界の外へ排熱するシステムはあるのだろうか。

…少なくとも『それらしいものがある』という仮説を立てなければ、生態系が維持されていることを説明できないといえるだろう。
763 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/03(土) 14:48:20.12 ID:lKD0CZQ7o
熱されたものが冷えるのは当然の摂理だ。
それは空気や水への熱伝導だけでなく、熱エネルギーが赤外線として放射されるためでもある。

その仕組み自体が、デジタルワールドにも備わっているのか、我々はコマンドラモンの協力を得て実験によって確かめた。

サーバー上のローカルなデジタルワールド空間で、コマンドラモンの爆弾を爆発させた。
その後、デジクオリアのカメラを調節し、可視光線外の波長…赤外光が発せられるかを確かめた。

その結果、爆発によって温まった物体や空気が、遠赤外線を発していることが確認された。

つまり、デジタルワールドにも熱放射の仕組みはあると考えられる。
764 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/03(土) 14:54:48.72 ID:6JA/Veupo
成長期の間は色んなことを学習させられるな
765 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/03(土) 15:05:16.27 ID:lKD0CZQ7o
…しかし。
デジタルワールドの太陽光は、その全てが熱と光だけでできているわけではないようだ。

なんと、デジタル生命体にとって栄養素そのものとなる、データ…情報が、粒子のような形で、太陽光とともに降り注いでいるのである。

熱や光は熱放射で捨てられるだろうが、こちらは捨てられることはなく、そのまま栄養分としてデジタル生命体の肉体を構成する粒子として残存し、循環し続ける。

デジタルワールドにいる成熟期デジモンの数は、はじめに比べて随分増えた。


それはすなわち、太陽から発せられた栄養データが、そのまま生態系に蓄積し、どんどん高栄養状態になっていっているからだ。
766 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/03(土) 15:23:37.47 ID:lKD0CZQ7o
…こういったデジタルワールドの栄養循環の仕組みを、高校時代からの友人に、宅飲みしながら話してみた。
彼はこういう話に興味を持ってくれる。職場以外でこの手の難解な話に付き合ってくれるのは、大変有り難いことだ。


友人は「まるで死んだ情報が辿り着く天国みたいだな」と言った。

なかなかおもしろい喩えだ。
死者の魂が辿り着く「冥界」という概念は、世界中の様々な宗教に存在している。
もっとも、冥界に行った後どうなるかは千差万別だ。輪廻転生するとか、いずれ神との約束の地へ復活するとか言われている。

そう考えると、我々の世界から消えた「情報」は、デジタルワールドでデジタル生命体の栄養となることで、輪廻転生している…とか言えなくもないのかもしれない。


友人はさらに続けて言った。
「そういや前に、デジタルワールドって実は人の脳や植物の根っこみたいなアナログの情報媒体にも繋がってるんだよな?」

どうやらそういうことらしい。

「じゃあさ、人間が死んだ後…その人の脳の中の記憶や人格といった情報も、デジタルワールドに送られるのか?」


とんでもないことを言うやつだ。
そんなこと考えたこともなかった。
767 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/03(土) 15:33:55.93 ID:lKD0CZQ7o
ハハハ、何言ってんだ…と思ったが。

冷静に考えると怖くなった。

なぜデジタルワールドに栄養として送られる情報が「www(ワールドワイドネットワーク)に接続されたコンピュータ機器内の情報」だけだと言い切れるのか?

外部に接続されていないローカルネットワーク上で失われた情報が、デジタルワールドに送られないという保証がどこにあるというのか。

そもそも、ネットワークなんてのは物理的に言えば「情報を正規化し、電気信号や光回線信号、電波信号に変換して、機器間でやりとりしているだけ」の概念である。
物理的な連続性はないのだ。

それならば。
視聴覚によって外部との情報交換ができる、我々人間の脳が、スタンドアローンの端末だなどと何故言い切れるのか?

光や音を入力とし、手や声を出力としてネットワークに接続されている生体コンピュータと捉えれば、我々の脳も「ネットワークに接続されている」と言えるのではないだろうか。


ならば。
我々の記憶や人格が「失われた後、デジタルワールドに送られる」ことを否定しきれないのではないか?
768 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/03(土) 15:34:59.24 ID:lKD0CZQ7o
…その晩、私は久々に恐怖と好奇心のせいで眠れなくなった。

こんな感覚は、子供の頃に心霊番組を観た時以来であった。
769 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/03(土) 15:35:58.06 ID:lKD0CZQ7o
つづく
770 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/03(土) 15:36:30.24 ID:9Iw9mMpno
単純な武力でも知能でもデジモンは恐るべき生き物なのにこわいこわい
771 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/03(土) 15:36:56.23 ID:ldxOXyXe0
772 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/03(土) 15:42:26.48 ID:6JA/Veupo
人間そのもののデータ使ってるならこのデジタルワールドにも人間同然のデジモンもそのうち…
773 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/03(土) 16:22:14.87 ID:2LB5F9TV0
デジタルワールドとデジモンが何かまだまだわからないからどんな仮説も否定できない
774 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/03(土) 16:54:34.05 ID:aPoMvTto0
植物型デジモンでも現実の肉食生物みたいに捕食能力あるんだったら光合成の分得してるだけじゃね?と思ってたらちゃんと掘り下げられてた マジでしっかりしてるなあ
775 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/03(土) 22:03:45.82 ID:GQTis+Iko
デジモンに関して知ってることは学者も一般人も大差ないから発想は無限大
776 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/04(日) 13:50:39.00 ID:Rwinpa1ho
マッシュモンだけでも人類滅ぼせそうな物量なのにシンプルに強いデジモンまだまだたくさんいるから争いになったら人類負けちゃうな
777 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/04(日) 23:59:51.96 ID:wQyziKWco
今日はなかったか悲しい
778 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/05(月) 19:11:05.82 ID:SiEWJj1Go
ある日、とある鉄鋼会社から我々の研究所へ電話がきた。
曰く、会社のサーバーが未知の悪質なコンピュータウィルスに感染し、ネットワーク回線のトラフィック量が爆増してしまったそうだ。
様々なセキュリティソフトを試したが効果がない。
もしかしたらデジモンの仕業かもしれないので、調査してほしい…との依頼であった。


我々は依頼を引き受けることにした。
早速、鉄鋼会社のオフィスへ向かった。


我々は今後のデジモン調査のために、専用PCを用意した。
名付けて『ランドンシーフ』。揚陸艦という意味だ。

このPC端末には、マッシュモン、フローラモン、コマンドラモンが居住するためのスペースと、彼らヘの餌となるデータをマイニングするソフトウェアが仕込まれている。

強固なセキュリティによって内部のデジタル空間を保護しており、対デジモン用の様々な設備を搭載している。

我々は、ランドンシーフを鉄鋼会社の回線へ接続した。

まずは様子見のため、ネットワーク内にデジドローンを飛ばして偵察を行った。
779 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/05(月) 19:15:31.57 ID:SiEWJj1Go
やがてデジタル空間可視化ソフト「デジクオリア」のウィンドウ画面に、デジドローンから送信された映像が映し出される。


デジタル空間の中は、図書館を彷彿とさせる風景であった。
様々な資料が入ったバインダーが、棚に陳列されている。

だが、異変はすぐに見えた。
黄色いスライム状の物体が、デジタル空間の床や棚をウジュウジュと大量に這い回っているのである。

https://i.imgur.com/f5KklKj.jpg

これは…見たことのあるデジモン。
ズルモンだ。
780 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/05(月) 19:20:23.54 ID:cmTVxjpSo
幼年期とはいえ大量かあ
781 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/05(月) 19:23:55.03 ID:dwACPmNH0
デジモンセイバーズのDATSみたいなことしてるな
782 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/05(月) 19:24:56.06 ID:SiEWJj1Go
やがて、ズルモンは動きを止めると…
進化を始めた。

レベル3…成長期デジモンとなったのである。

https://i.imgur.com/4JsLekH.jpg

周囲を見回すと、どうやらズルモンだけでなく、この成長期デジモンも大勢いるらしい。

そのデジモンの姿は…一見するとナメクジ型デジモン、ヌメモンによく似ていた。
だが、大きな違いがあった。

この成長期デジモンは、自重を支える力があまり強くないようだ。
かなり体高を低くした状態で、床をズルズルと這い回っている。

そしてこいつは、頻繁に体を分裂させたり、異個体間で結合したりしているのである。

まるで粘菌だ。
ヌメモンならこうはいかない。
783 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/05(月) 19:34:10.63 ID:SiEWJj1Go
同僚の一人が、このデジモンに「ゲレモン」と名付けた。
ちょっと品のない響きだが…まあド直球でないだけ良しとしよう。

ゲレモンの胴体から飛び出た2つの眼球のようなものは、どうやら視覚を担う器官のようだ。やはり眼なのだろう。

ゲレモンは、棚からバインダーを取り出すと、それを開き、資料を舌でベロンベロンと舐め回した。

舐められた資料は消えてはいないため、どうやらデータを食べているわけではないようだ。

ゲレモンやズルモン達の群れの動きを見ると…
どうやらゴミ箱の中のデータを食べて栄養を補給しながら、資料舐めをしているようだ。



…私は、このデジモンの形質に覚えがある。
これと似た性質の生物が、現実に存在するのだ。

名を「キイロタマホコリカビ」という。
784 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/05(月) 19:38:54.70 ID:SiEWJj1Go
キイロタマホコリカビは、普段はアメーバ状の単細胞生物として振る舞い、細菌などを食べて成長する。

だが、環境が変わると、多数の個体同士が合体し、ナメクジ体と呼ばれる多細胞生物へ姿を変え、地面を這う。

そして、やがて子実体を伸ばして、そこから胞子をばら撒くのである。



これらのズルモンとゲレモンを見ていると…
どうやらズルモン達は一個体がそのままゲレモン一個体になるのではなく、多数のズルモン達が集合してひとつにまとまることで、一体のゲレモンとなるようだ。


もしもこいつらがキイロタマホコリカビを模倣しているのであれば…
「ナメクジ体」の名にちなんで、ナメクジ型デジモンであるヌメモンに似た姿へ収斂進化するのも頷ける。
785 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/05(月) 19:51:49.10 ID:SiEWJj1Go
こいつらも、マッシュモン同様に、幼年期や成長期のまま分裂して増殖する『デジタマを産まないデジモン』なのだろうか。

さて、どうやらこいつらのせいで、ネットワークのトラフィック量が増大しているらしいが…
それはどういうことなのだろうか。


我々は、デジドローンを移動させ、ネットワーク回線の出入口付近付近を調査した。

やがて、トンネルのようなものが見えてきた。これがインターネット回線だ。

すると…
おお、なんということだ。

インターネット回線のトンネルの壁は、まるで悪玉コレステロールのプラークが詰まった血管のように。

ゲレモンないしズルモンと思われる粘菌が、びっしりと張り付いていたのである。

内部はもはや黄色いトンネルであった。
わずかな隙間の中を、データが行き来している。

なるほど…これがトラフィック量増大の原因か。
こいつらが壁に張り付き、トンネルを狭くしていたせいで、データの送受信が滞っていたのだ。
786 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/05(月) 19:58:57.22 ID:SiEWJj1Go
今回は、デジドローンを飛ばすだけで、あらかた事態が把握できた。

デジモンの仕業であることを鉄鋼会社の社員へ伝えた。

さて、問題はここからである。
これらのズルモン&ゲレモン軍団をどうすればよいのだろうか?

マッシュモンのように高い知性は感じられない。対話は無理だろう。

各パソコンのデータをバックアップし、すべて初期化すればよいのだろうか。
戦って殲滅すればよいのだろうか…?


皆様の意見を聞きたい。
↓1〜3
787 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/05(月) 20:02:53.12 ID:cmTVxjpSo
こればかりはしゃーない
駆除
788 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/05(月) 20:07:15.98 ID:2SoW8sDI0
まず適当に捕獲して解析して効率的に撃退する手段用意を試みる
789 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/05(月) 20:12:17.46 ID:6Dokber/0
奴等の補給線を断つために殲滅と平行してゴミのお掃除
790 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/05(月) 20:21:42.56 ID:SiEWJj1Go
「そ、それで…?うちの会社のサーバーは、直せるんですかい…?」

この状態から復旧する方法は、ただひとつ…
巣食っているデジモン達を、駆除するしかありません。


「駆除…できるんですか?」

やってみなければ分かりませんが…
それなりに戦力はあります。

「それじゃお願いしやっす!」



決めた。
ズルモンとゲレモン達を、駆除しよう。

とはいえ、いきなり何の情報もなしに突入するのは危険だ。
下手を打てば、我々の大切な仲間を失いかねない。

まずは更なる情報収集と分析をして、奴らの弱点を探ることにした。
791 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/05(月) 20:26:19.76 ID:SiEWJj1Go
まずはゲレモンを一匹捕獲して、隔離チェンバーへ閉じ込め、分析をすることにしよう。


ゲレモンはレベル4のヌメモンに似てはいるが、レベル3のデジモンだ。
純粋な戦闘能力ではこちらの勢力が上だろう。

とはいえ…奴らが毒を持っている可能性がある。
正面からいきなりケンカを仕掛けるのは得策ではない。


だが、暴れるレベル3デジモンを、デジモンキャプチャーで捕獲することは難しい。
…やはりマッシュモン、コマンドラモン、フローラモンのうち誰かに捕獲してもらうしかない。
792 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/05(月) 20:45:18.79 ID:SiEWJj1Go
そんな話をしていると、マッシュモンがチャットを飛ばしてきた。

『かみよ すこし ながいたたかいに なっても へいきか』

ん?
まあ、今のところ回線が重くなってるだけで、データを食われているわけではないから…
多少長引いても、確実に駆除できるならいいよ。

『では わたしに まかせてくれ』

どうするつもりだ?

『わたしが ここでふえれば せんりょくがますはずだ』

前みたいに根城にする気か!?
いや考え直せ。仮に君がたくさん増殖してゲレモン達を倒したとして…
その後、増えた個体はどうするんだ?

『また いぜんのように たびにいかせれば いい』

…別の手段も考えようか。

『わかった』

そうして我々は再び、ゲレモン捕獲作戦を考えるのだった。
793 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/05(月) 20:45:45.76 ID:SiEWJj1Go
つづく
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