【東方】霊夢「好感度スカウター」早苗「其の弐ですっ!」【安価・コンマ】

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1 : ◆439SIKhT0k [saga]:2021/11/23(火) 20:30:56.94 ID:pWFfB4Pt0
前スレ
【東方】魔理沙「好感度スカウター?」【安価・コンマ】
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1629449859/


【前スレの目次】
≪普通の魔法使い≫ 魔理沙  1-90、(110-176)
≪楽園の素敵な巫女≫霊夢   182-284、(729-800)
≪祀られる風の人間≫早苗   298-412
≪半人半霊の半人前≫妖夢   430-536
≪吸血鬼のメイド≫ 咲夜   578-702
≪古代日本の尸解仙≫布都   818-924

測定結果のまとめ(1-800まで)  802-807
番外編・風5         936-942



1キャラクターにつき、最大10名の好感度を測定するスレです。
しばらくは番外編を書きます。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1637667056
2 : ◆439SIKhT0k [saga]:2021/11/23(火) 20:51:57.63 ID:pWFfB4Pt0
このssは、「東方Project」の二次創作です。
そのため、原作にはない展開や設定が含まれることがあります。
3 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/23(火) 20:53:16.62 ID:pWFfB4Pt0
幽々子「妖夢ー、ちょっと来てもらってもいーい?」

幽々子「(……別に、妖夢じゃなくて他の幽霊達の料理でもいいとはいえ……あの子に作ってもらった方が満足できるのよね)」


シーン

幽々子「?」

幽々子「居たと思ってたけれど、出かけちゃったのかしら?」

幽々子「(……もしかしたら部屋に居るかもしれないし、いったんあの子の部屋にでも行ってみましょう)」



――――――――――

幽々子「(物音一つしないわね。 やっぱり外出中か……)」

幽々子「(って、あら? 戸が空いてる……?)」
4 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/23(火) 20:54:44.38 ID:pWFfB4Pt0
幽々子「妖夢ー、入るわよー?」

幽々子「……」チラッ

幽々子「(そこそこ綺麗にしてあるわね。 まぁ、あの子らしいといえばそうなのだけれど)」


幽々子「(……だからこそ、少し違和感がある)」

幽々子「(あの箪笥、何の変哲もないもののように見える……)」

幽々子「(でも、間違いなく何かがありそうね)」


幽々子「ふふふ……」

幽々子「(分かりづらいようにしたとしても、癖って中々直せないものよ)」

幽々子「(そうねぇ……あの子の性格からいって、怪しいのはこの辺かしら?)」ガサゴソ


幽々子「さーて、それじゃあ妖夢が隠そうと思ったものを見せていただきましょうか!」ワクワク
5 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/23(火) 20:56:08.26 ID:pWFfB4Pt0
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6 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/23(火) 21:03:40.83 ID:pWFfB4Pt0
AA間違えました……。
7 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/23(火) 21:11:45.04 ID:pWFfB4Pt0
―――――――――――――――――――――

日記をつけるように言われた。





―――――――――――――――――――――

修行頑張った。





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8 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/23(火) 21:13:13.74 ID:pWFfB4Pt0
―――――――――――――――――――――

今日も修行頑張った。





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……他に書くことが思い浮かばない。
これに意味があるのだろうか……。





―――――――――――――――――――――



幽々子「……」ペラッ

幽々子「……」ペラッ

幽々子「(……何かあまり面白くないというか……まぁ、まだまだあるし、飛ばしながら読みましょう)」パタン
9 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/23(火) 21:15:21.46 ID:pWFfB4Pt0
おじいちゃんに、これからはお師匠様と呼ぶようにと言われた。

おじいちゃんはおじいちゃんだし、お師匠様なんて呼ぶ気がしない……。
うーん……そうだ! おじいちゃんお師匠様と呼べば、どちらの言い分も問題なく通せるんじゃない? 私って頭いい!

だから、
分かりました。 おじいちゃんお師匠様!

と言ったら、固まったように思ったけど……私のすぐ横のところに矢庭に斬撃を放ったので、少し怖かった。

当然、その後のお師匠様の言ったことに私は頷くことしかできなかった。


いつの間にか居た幽々子さまは、この様子を見てクスクス笑っていた。
……笑うことないのに。 あんまり好きになれそうにない。


………………………………………………………


幽々子「(あら……この辺りから、書く量がかなり多くなってきたわね)」

幽々子「(修行頑張った。 という言葉が、あと何回出てくるやら……と思ったけれど、ここからは楽しく読めそう)」
10 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/23(火) 21:29:30.35 ID:pWFfB4Pt0
お師匠様に言われたことを全てこなそうとしていたら、昼ご飯を食べそびれてしまった。
……何となく、それが情けないような気がして、腹が鳴りそうになるのを耐えながら修行しようと思っていたら、幽々子さまが声をかけてきた。

緊張したのもあってか、先ほどまで比較的静かだったはずの私の腹の虫が、ぐぅと鳴った。


幽々子さまに、
「やっぱり来てよかったわ。 なんと、ここに美味しそうなおむすびや御菜に、あとはお菓子もあるのだけれど、貴方もいるかしら」 と言われたけれど、

私に用意されたものではないだろうし、と断ろうとした。

しかし、
「……ただ食べるだけ、というのはあまり楽しくないのよ。 いくら豪華な物を出されても、独りでは味気なく感じてしまうの」

「だからね、妖夢さえよければ、一緒に食べない? これは……ただのお願い、よ」

と返されてしまっては、私が取れる行動は一つしかなかった。
11 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/23(火) 21:54:17.18 ID:pWFfB4Pt0
あれから何日か経ち、ひょっとしたら幽々子さまはすごく優しいのではないか、ということに気づいてしまった。

お師匠様に厳しく𠮟られ、泣きそうになっていた日には、
「妖忌は妖夢のことが嫌いで厳しくしているわけではないのよ。 今は分からないかもしれないけれど、いつの日かきっと妖夢にも分かる日が来るわ」 と言われ、


イライラすることがあった時には、
「ねぇ、妖夢。 きちんと言葉で伝えなくては誤解されてしまうわよ、たどたどしくてもいいから話してごらんなさい」 と言われ、


またある日には、
「褒めていたわよ、今日はよく頑張ったわね……そうだ! ちょうど飴を持っていたの、妖夢にいくつかあげるわ」

と言われて渡された小さな包みには、よく知っている筆跡で、妖夢へと書かれていたから、私の感謝の言葉はきっと震えていて……。
それでも、幽々子さまは何も言わずに、いつものように笑みを湛えていたから、それが、却って私の涙腺にとどめを刺した。

幽々子さまは、私が泣き止むまでずっと頭を撫で続けていた。
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/24(水) 00:02:45.21 ID:SjrM4pOTo
おつおつ
13 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/24(水) 06:31:26.09 ID:0CARbUp70
幽々子さまって、たくさんのことを知っていますよね。 一体、どのくらい生きているのですか?

ほんの少しの疑問だった。 雨とか空気とか時を斬れる様になるには○○年は掛かる、とお師匠様が言っていたから、何となく、幽々子さまは何年くらい生きてるのか気になっただけ……。


「ごめんなさい。 覚えてないの、ずっと昔のことは……」

だから……私は、そんな顔を見るために言ったわけじゃない。

「それに、私は亡霊でしょう?」

「――もう、生きてはいないから。  きっと、年齢なんて、すぐ妖夢に追い越されてしまうわね――」


ふふ、と笑っているはずなのに、笑ってないような気がした。

こんなことなら、
「女性に年齢を聞くなんて失礼よ」
って、はぐらかされた方がよっぽどマシだった。


私は……幽々子さまのお役に立てるように頑張りたい、そのためには、もっと知る必要があるって思ったけど……余計なことをするくらいなら、考えない方が良いんじゃないかって……。
14 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/24(水) 23:20:00.92 ID:0CARbUp70
何があろうと無心であり続けようと思う。
前に、剣に迷いがある、と言われたことがあるから、間違っていないはずだ。



……お師匠様に厳しいことを言われたって、全然平気。

「妖夢……」

「今日は、いつも以上に頑張っているのね」

平常心……平常心……。


「えっと……。 その、大丈夫かしら?」

……私は、幽々子さまの方が大丈夫か心配だけど……。
って、余計なことを考えないように決心したばかりなのに……いやでも、これくらいは考えても問題ないんじゃ……とはいっても……うぅ、なんかよく分からなくなってきた……。


そんな状態になっていた時。 静謐な白玉楼にそぐわない、大きな音が響いた。

「……」

ぐるぐるとしてる頭、ぐぅぐぅと鳴るお腹。 いっそのこと、消えてしまいたかった。

幽々子さまは、ふぅとため息をついて、
「私、お腹が空いてしまったわ。 妖夢も来なさい、これは命令よ」 と言ってきたから、私は幽々子さまの命令通りの行動をした。


結局、それは、一つや二つではなかったけど……不思議と嫌ではなかった。
15 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/24(水) 23:29:40.33 ID:0CARbUp70
幽々子さまに、
「無心というのは、思いやりのないことという意味もあるのよ。 私は、妖夢にそうでいてほしくないわ」
と言われたので、無心であり続けようとするのはやめようと思う。

そう答えたら、少しだけ真剣な表情をした後、すぐにいつものような柔和な笑みを浮かべ、色々な話をしてきた。

でも、今の私には難しくてさっぱり分からなかった。


会話の最後に、頑張り過ぎたって良いことはないと言われた。
私は、別にそんなつもりはなかったし、まだ足りないような気がするけど……幽々子さまが言ってきたことなんだから、それが正しいんだよね?


………………………………………………………


幽々子「……」

幽々子「……」ペラ
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/25(木) 12:36:09.05 ID:Fc9uJrkMo
すき
17 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/27(土) 12:06:03.40 ID:2dagutTh0
今日は、お師匠様に私も幽々子さまにお仕えしたいです、と言ってみた。

てっきり、まだまだ未熟だから駄目と返されると思ってたのに、そのうち、という色よい返事をもらえた。
お師匠様は、駄目な時は駄目と言うことをよく知っていたから、遂に認められたんだと感じて嬉しくなった。
18 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/27(土) 12:09:46.50 ID:2dagutTh0
精神鍛錬のためと言って、お師匠様が怪談話をしてきた。


お昼頃に幽々子さまの知り合い(?)の紫さまが来たので、もてなすために準備をしていると、私のほかに誰もいないはずの場所で頬をつつかれたり肩を叩かれたりした。

紫さまが帰った後、意を決して幽々子さまに、
ここはお化け屋敷じゃありませんよね? と尋ねたら、肩を震わせていた。

……もしかしたら幽々子さまもお化けが怖いのかもしれない。

幽々子さまを守るためにも、夜は一緒に寝てください。 とお願いしたら快諾してもらえた。



ただ、一晩中見張りをするつもりだったのに寝てしまったのは最大の不覚。
19 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/27(土) 20:23:58.41 ID:2dagutTh0
長いことお師匠様が考え事をしていた。

考え事中なら勝てるかも、と考えた数刻前の自分を斬りたい。
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/27(土) 20:24:34.61 ID:K9Tfho6Io
うーんこの辻斬り思想
21 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/27(土) 21:02:23.26 ID:2dagutTh0
今日は修業が休みになった。

……いざ休日を与えられても、修行三昧だったから、何をすればいいのか分からない。

そう呟いたら、幽々子さまに、
「それなら、料理をしたらどうかしら。 食事はとても大切だし」

「……私も手伝ってあげるわ。 これでも……ううん、西行寺家の娘ですもの、一通りのことはできるようにしているの」 と返された。

幽々子さまの手を煩わせるなんて、少し畏れ多いけど……きっと、とても楽しいだろうなぁ。



「火をつけている時に、余所見をするなんて危ないじゃない」

「それは塩じゃなくて砂糖よ。 よく見ればわかるでしょう?」

「そこまで入れると味が……慣れてないうちはきちんと量って」

「粗雑にしたらその分だけ返ってくるのよ。 美味しいのが食べたいから、全力を尽くしなさい」


……ある意味、修行よりしんどかった。


………………………………………………………


幽々子「(……もう、ここまで読んでいたのね。 確か、この三日後に……)」
22 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/27(土) 22:58:37.49 ID:2dagutTh0
どうすればいいのかわからな■。

幽々子さまは、私に、
「しっかりなさい」 と言ってきたけど、そんなのでき■わけない。

なんで。 どう■て。
だって、私は剣でも何でも全然■熟だし、失敗ばっかりだ。


お師匠様。 ■のこと半人前だって、ずっと見てないと駄目だって、言ってたじゃないですか。
あれは、■だったのですか?


……私は、一緒に居てくれるなら、ずっと■人前でも構いません。
一人前でないと駄目と言うならば、頑張って■人前になりますから。



だから……そんなの、■やだよ……。

我が■も泣■言も、絶対にこれっきりにするから。

一生のお■いだから……私を、置いて■かないで。


………………………………………………………


幽々子「(所々、字が滲んでる。 一応、何て書いてあるかは推測できるけれど……)」
23 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/27(土) 23:02:32.96 ID:2dagutTh0
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幽々子「(……完全に塗り潰されていて、読めない)」
24 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/28(日) 00:01:53.27 ID:eucvLnzd0
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幽々子お嬢様に迷惑はかけられない。 この間
みたいなことは二度とないようにしないと。





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……これからは、私が剣術指南役兼庭師
なんだから、一生懸命頑張らなきゃ。





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25 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/28(日) 00:03:12.82 ID:eucvLnzd0
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真実は見えないし、聞こえない……いくら
考えたって、私にはきっとわからない。

だから、私はお師匠様の教えの通りに、斬って
斬って斬って……全てを斬ってしまえば、
いつかは……。




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26 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/28(日) 08:59:04.17 ID:eucvLnzd0
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大分慣れてきた。





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27 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/28(日) 09:01:06.79 ID:eucvLnzd0
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斬るのって愉しい。





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28 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/28(日) 09:02:14.15 ID:eucvLnzd0
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比較対象が規格外だっただけで、私はけっこう
強いのよ。

斬れば斬るほどそれが実感できるし……もし、
敵がいるとしたら、それは己ぐらいじゃない?





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29 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/28(日) 09:04:07.57 ID:eucvLnzd0
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そろそろ、自分自身だけじゃなくて刀も鍛えて
おかないとね……。

血がべったりと付いていたら、使い物にならな
くなっちゃうもの。





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30 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/28(日) 09:55:08.10 ID:eucvLnzd0
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いつも通り、斬って終わりのはずだった。

最期に何か言われるのも、
今までにないわけじゃなかったのに……。





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31 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/28(日) 09:56:31.82 ID:eucvLnzd0
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どんな怨み言だって、そんなことなかった。

なのに……どうして、
あの言葉が頭から離れないんだろう。





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32 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/28(日) 11:08:51.14 ID:eucvLnzd0
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……なんで、一太刀でやられるの?

むしゃくしゃする……最近は、
斬っても斬っても気が晴れない。





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幽々子「(……一、二文くらいしか書いていないわね。 それに、月日が経つにつれて、どんどん間隔が空いてきているし……)」

幽々子「(もしかして、隠してあったのは……もう書いていないし、見たくもないから? いえ、まだ判断するには早すぎるわ)」
33 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/28(日) 11:10:49.02 ID:eucvLnzd0
………………………………………………………


幽々子「……」ペラッ

幽々子「……」ペラッ

幽々子「……」パタン



幽々子「(やっぱり、私のしたことは……)」

幽々子「……」フルフル



幽々子「……」

幽々子「……」ペラッ


………………………………………………………
34 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/28(日) 11:12:13.77 ID:eucvLnzd0
今日は紫様と見慣れない妖怪が来た。 どうやら紫様の式らしい。

紫様もお嬢様も、少し硬い表情だった。
邪魔をしてはいけない、とできる限り余計なことをしないようにしていたが、何かをやらかしてしまったのか、紫様の式にじっと見つめられた。

理由を考えてみたが、ちっとも頭に浮かばなかった。
もしかして、寝癖か食べかすでもついてたのだろうか。 だとしたら、己の身支度すらまともにこなせなかったことに恥ずかしさを感じる。


………………………………………………………


幽々子「(これって……)」
35 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/28(日) 11:13:13.11 ID:eucvLnzd0
お嬢様に幻想郷の春を集めてくるように命じられた。
どうやら、西行妖を満開にするためらしい。

何度春になっても満開にならなかったことを気にしていたのだろうか。
それとも、西行妖で何かをするつもりなのだろうか。

……長いこと仕えている主人の胸中を推し量ることができないなんて……私は、まだまだ未熟者だ。
36 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/28(日) 11:14:40.63 ID:eucvLnzd0
大分春が集まってきた。
とはいえ、これでも西行妖の満開には足りないみたいだ。

……春を奪われていく幻想郷は、少し異常に見えたけれど、幻想郷をとても大切に思っているらしい紫様が反対しなかったのだから、気にする必要はないし、気にしてはいけない。

白玉楼の主であり、西行寺家のお嬢様が望んだ以上、私が取るべき行動は一つだけ。
37 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/28(日) 11:16:17.74 ID:eucvLnzd0
私のほかに、春度を集めている者が居るらしい。
そいつが持っているものを頂くことが出来るのならば、きっと、西行妖も満開になるはず。

……でも、どこか嫌な予感がするのは、
上手くいきすぎている気がすることと、お嬢様と幻想郷に舞っている雪がどこか似ている気がしたから……

とは書いてみたものの、お嬢様はあんなに繊細でもないし、
私が集めている間、白玉楼でぬくぬくしていると考えたら、不安は吹き飛んだ。
38 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/28(日) 11:18:14.75 ID:eucvLnzd0
――まるで、嵐のようにやって来た生きた人間相手に、私と幽々子お嬢様は敗北してしまった。

集めた春は再び幻想郷に戻っていき、銀色だった世界は、ゆっくりと彩られていった。


沈んでいる私に対して、お嬢様は、
「……これで良かったのよ。 花見は、皆でする方が楽しいものね」 と微笑んだ。

正直、納得できなかったけど、
「過ぎたことを悔やんでも仕方ないわ。 それにね……もし、私がいなくなったとしたら、妖夢は泣いてしまうでしょう?」 と、突拍子もないことを言ってきたから、


もしかして、お嬢様の話をちゃんと聞く必要なんてなかったのでは……? という気がしてきたので、これからは話半分に聞いておこうと思う。
39 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/28(日) 11:20:52.96 ID:eucvLnzd0
最近、日記を書くことが多い。
勿論良いことなのだろうけど、少し前は全く書く気がしなかったのに不思議なものだ。

日記について、お師匠様に何か言われたような気がするとはいえ、これが修行になるような気は一寸もありはしない。
けれど、教えをきちんと守っていればそのうちわかる気もする。


そうだ。 幽々子さまにコレを読まれたくないから、隠し場所を考えておかないと。


………………………………………………………


幽々子「(……そう思うなら、もっとちゃんと隠した方がいいわよ……。 まったく、詰めが甘いんだから)」
40 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/28(日) 21:31:19.64 ID:eucvLnzd0
なんだか、宴会が多い。
忙しいせいか分からないけれど、何故か今日は体が痛かった。 早めに治すために人間の里まで行ったら、霊夢と会った。


「酒の肴でも買いに来たの?」
そう聞いてきたということは、霊夢はそのためにここに来たのだろうか。

……霊夢なら良い場所を知ってるかも、と今日起きたら体が痛かったことを伝えた。

「え? 一応手加減したつもりだったんだけど……」

霊夢が手加減したことが何の関係があるのか、分からなかったため聞いてみたら、

「覚えてないの? あんた、昨日酒飲んで刀を振り回し始めたから、私が大人しくさせてあげたのよ」


そんなまさか。
私がそんなに酒癖が悪いはずもないし、幽々子さまは特に何も言ってなかったから、霊夢の勘違いじゃない? と言っておいた。

「うわ……アレで自覚なしとか、凄くタチ悪いわね」


よく聞こえなかったけど、
そろそろ帰らなきゃいけないから、と言われたので深く追求しないことにした。
41 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/28(日) 21:32:35.87 ID:eucvLnzd0
いきなりナイフが飛んできた。
どうやら、紅魔館のメイドが投げたもののようだった。

危ないじゃない、もし当たってたらどうするのよ。 と言ったら、

「ナイフの腕には自信があるし、当たっても半人半霊が全身幽霊になるだけでしょ。 別に問題ないわ」 と平然とした顔で返してきた。

問題しかない。 呆れながら、何でそんなことをしようと考えたのか聞いても

「そっちだっていきなり斬りかかってくるじゃない。 まぁ、私は貴方の持っている刃物より、良い物を使っているとは思うけど」


……今日は、ついでに喧嘩も買っておこうと思う。
42 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/28(日) 21:35:16.96 ID:eucvLnzd0
無縁塚からの帰り道。 偶然魔理沙と会ったから、少し話をした。


いつものように黒白だったけど、確か、今まで見たことのない服を着ていたから、思ったことを言ったら、

「……。 鈍感なあいつらは一言も触れてこなかったし、自称都会派魔法使いの方はダメ出ししてきたからな。 この服を褒めたのはお前が初めてだぜ」 と、はにかむように笑った。


「霊夢は、あーいうところが駄目なんだよなー」 とか言ってる時も御機嫌だったけど、

こういう服が気になるのかという言葉に、


そこまで黒いのは趣味じゃないし、私はどっちかっていうと……、いや、どうせ似合わないだろうから、服装なんてどんなだって構わないわ、と返したら、

「ふぅん……?」 と、少しイラつく顔をしてきたから、斬ろうとしたけど避けられた。

その後、魔理沙はミニ八卦炉を構えて、相手をしてやるとでも言いたげな表情を浮かべた。



……結局、私は負けちゃったんだけど……

「はっ、私に勝とうだなんて三十年早いぜ!」

ああ言ってくるなんて、ひょっとしなくても魔理沙ってかなりの負けず嫌い?
43 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/28(日) 22:22:29.63 ID:eucvLnzd0
色々あった。


ただ、幻朧月睨(ルナティックレッドアイズ) や真実の月(インビジブルフルムーン)、というのは非常にかっこいいと思った。

見えない月、すなわち新月を真(実の)月とするのはセンスが良く、幻朧月睨は、説明されないと意味が分からなさ過ぎて、それが凄そうな雰囲気を漂わせている……気がする。


ルナティックかっこいいスペカの名前をそのうち考える!
44 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/28(日) 22:26:50.00 ID:eucvLnzd0
思い浮かんだ名前をいくつか鈴仙に話してみたところ、

「悪くはないんだけど……」 と言い淀まれた。

気になったので、どこが駄目だったか尋ねてみたけど、お腹が空いていたので半分以上頭に入らなかった。 お団子食べたい。

鈴仙が、
「どう思う?」 と何度か聞いてきたけど、

適当にそうだね、とか相槌を打っておいたせいか
去り際に、 「ふふ、妖夢にこの領域(レベル)の話は早すぎたかしらね」 と呟いているのが聞こえた。

今度はちゃんと聞いとかないとなぁ……。


……そういえば、兎って少し調理が面倒なのよね……美味しいけど。
45 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/28(日) 22:29:30.53 ID:eucvLnzd0
幻想郷の外の世界からやって来たという、東風谷早苗、という人物が布教活動をしているのを見かけた。


「こんにちは、妖夢さん。 こんな所で会うとは思っていませんでした、貴方も何かを命じられたのですか?」

……確かに、幽々子さまに気晴らし兼買い出しに行くように言われたのだから、命令かもしれません。 私は、もう少し剣技の修行をしたかったのですが……と言ったら、

「……そうですか。 幽々子様は優しい方なのですね。 大きくて古風なお屋敷に住んでいらっしゃいますし、もう少し違った方なのかと考えていましたけれど……妖夢さんのこと、きっととても大切にしているのでしょうね」

そう返されるとは思っていなかったし、少し照れくさかったけれど……幽々子さまを優しい方だと褒められるのは、それ以上にすっごく嬉しかった。


「あと……買い出しと聞いて一つ思ったことなのですが、横に浮いている大きなマシュマロみたいなのは食べられるんですかね……?」

食べられませんよ。 と言ったら、しょぼんとしていた。



変わったところがあるなぁ、とは思ったが、話していてとても楽しかった。

ただ、一瞬だけ、違和感を抱くほど表情が大きく変わったのは少し気になった。
……でも、理由を聞いても教えてもらえないだろうし、考えても分からないんだろうな……と思ったら、何とも言えない気持ちになった。


やっぱり、斬るのが一番……いやでも、さすがに……。


………………………………………………………


幽々子「……」
46 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/28(日) 22:33:10.53 ID:eucvLnzd0
―――――――――――――――――――――













―――――――――――――――――――――
47 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/28(日) 22:35:35.67 ID:eucvLnzd0
幽々子「……」パタン


幽々子「(最近のは、見ないようにしましょう)」

幽々子「(あぁ、そうだ。 妖夢が帰ってくるまでに、これらを全て片付けておかないと)」

幽々子「(……人の秘密を覗き見るというのは、あまり褒められた行為じゃないし……)」

幽々子「(このことは私の胸の内にでも──)」
48 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/28(日) 22:37:19.16 ID:eucvLnzd0
―――――――――――――――――――――

「ただいま帰りましたー」

「お帰りなさい、妖夢。 今日のご飯はなぁに?」

「……幽々子さまだったら、聞かなくても匂いで判別できるんじゃないですか」

「むー。 なんだか最近妖夢が冷たい……かわいい妖夢に、遂に反抗期が訪れたのね……」

「はいはい。 お腹空いたのは分かったので、あっちで大人しくしててください」

「……」


ギュッ

「? どうしたんです、いきなり手なんか握ってきて」

「うーん……妖夢が迷子にならないように、かしら」

「いや、さすがにここで迷子にはなりませんよ。 幽々子さまは、私のことを何だと思ってるんですか?」

「半人前?」

「うっ。 その、今は半人前でも、そう遠くないうちに一人前になる予定ですし……」

「ふふっ……。 それなら、妖夢が一人前になるまでは無くなれないわね」

「……えーっと。 幽々子さまは、既に死んでいるのでは……」

「やぁねぇ、亡霊ジョークよ」

「……さぁ、こんな話はもうお終いにして、夕飯の支度を始めましょう?」
49 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/28(日) 22:38:05.97 ID:eucvLnzd0
【Take it with a pinch of salt】
50 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/28(日) 22:40:06.87 ID:eucvLnzd0


.          | ト、
.          | |  `ヽ、
.          | |     \   __ _
          ノノ      \ ____ `  .
        / '     /´ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ   ヽ
       くく     . '              ' ,
        \ 、  /         i         .
          | |  .  i i _i l  l __ _    . ハ
          LL__i il l i´ l l l l l .l ハ !` ./ i i
            | il i l ィ笊八jハj 笊ト.i  / i l il |
            |八 ハ i|{ |r' |    |r' | }ル'  l iハj
              ハ ト.人""  .  "" 人  / |
             | il | >  c_  イ__ハ/ハ/
             ト、ハjf「 |  V / } ./`ヽ
               / \レ'´ `レ'´ /   i
              /   「 ̄ 只 ̄`i    \
              \ __/ 〉/ 人 ヽ イi ____ノ
               /^ー/ レ' || \_j |─‐ヘ
      __       / /⌒∨ ̄ ̄ ̄.〈⌒\ハ
   /´    `ヽ   i   i トJ      ソ i  }
  /        i   |   _人[二二二二二].人__ノ.     Y´⌒ヽ
  i        ノ.    ̄〈    ̄  {o    ̄ 〉       |.Y´
  乂     (        X \  /}\   /X       ノ }
    \.     ` ---/  \ `´./\ `´ /  \二二二.ノ
.       `ー─── /       `´     `´       \

51 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/11/28(日) 22:41:25.17 ID:eucvLnzd0
【了】
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/28(日) 23:10:57.60 ID:oXEO3wDeo
おつおつ
これこれこの雰囲気すき
53 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/12/31(金) 17:42:31.13 ID:L8yhpzUh0
―紅魔館―

レミリア「フランが部屋から出てきて、ここで食事をしたがるなんて珍しいわね」カチャカチャ

フラン「そりゃあ、可愛い咲夜に頼まれたんだもの。 お姉さまからだったら絶対来なかったわ」

レミリア「ふーん。 でも、勘違いしないでほしいのだけれど、あの子は私の従者よ?」

フラン「そうね」モグモグ

レミリア「……」


パッ

レミリア「(まぁいいわ。 今日は咲夜がプリンを作ってくれる日だし、気にしないでおこう――)」パクッ

レミリア「っ。 か、からぁいっ!?」
54 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/12/31(金) 17:45:38.04 ID:L8yhpzUh0
レミリア「(何よコレ! とんでもなく辛いじゃない!)」

レミリア「(舌が滅茶苦茶ビリビリする! 辛さもここまでくるとからい、というよりもつらいわね……!)」


フラン「もう。 食事中にそんな大きな声を出すなんて、はしたないわよ?」クスクス

レミリア「……フラン……?」ゴゴゴ

フラン「……」

フラン「あらやだ、お姉さま。 私を疑ってるのかしら」

フラン「残念だけど、私はこの件にほんの少ししか関与していないわ。 美鈴と咲夜が思いついたことだもの」

フラン「……嘘だと思うなら、確かめてみたら?」ニコッ

レミリア「……」

レミリア「咲夜! ちょっと来なさい!」
55 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/12/31(金) 17:46:57.92 ID:L8yhpzUh0
カチッ

咲夜「お嬢様、いかがなさいましたか?」

レミリア「コレはいったい何なの!? とんでもなく辛かったわ!」

咲夜「プリン・ア・ラ・モード〜カラメノソースがけ〜ですわ」バチコン☆彡

レミリア「ちょっと上手いこと言おうとしてんじゃないわよ!」

フラン「(お姉さまにとっては美味しくなかったみたいだけど)」



咲夜「……わりと自信作だったのですが……お嬢様はお気に召しませんでした?」

レミリア「当然でしょ。 何でこんなものを作ろうと思ったのよ」

咲夜「この間、刺激が足りないと仰っていたじゃありませんか。 それで、美鈴に聞いたら激辛料理が適していると言ってまして……」

レミリア「少なくとも、そういう刺激じゃないことだけは間違いないわ」

咲夜「?」キョトン
56 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/12/31(金) 17:48:47.41 ID:L8yhpzUh0
レミリア「……」

レミリア「!」ハッ

レミリア「ちょっと咲夜、まさかフランにも同じものを用意してはいないでしょうね!」

咲夜「え? いえ、同じものですが」


レミリア「(それじゃあ、フランも悶絶してるんじゃ……)」チラッ

フラン「♪」パクパク


レミリア「(……あの辛いのを難なく食べ続けられて、その上機嫌がよくなっているなんてありえない。 きっと、咲夜はこっそりフランのだけ甘くしてたに違いないわ!)」


レミリア「フラン、それを一口寄こしなさい」ヒョイ

フラン「あっ」

パクッ

レミリア「っ」

レミリア「〜〜!!」


バタッ
57 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/12/31(金) 17:54:02.95 ID:L8yhpzUh0
レミリア「」



咲夜「……お嬢様、大丈夫でしょうか?」

フラン「別に心配しなくても、お姉さまだって一応吸血鬼なんだし、すぐに起き上がるんじゃない?」

フラン「どうせ、いくら殺そうとしたって死なない奴で、変わったもの好きなんだから、ヤバいやつでもバンバン出しちゃっていいと思うなっ」ニコニコ

咲夜「確かに……」

咲夜「それもそうですね」

フラン「うん!」
58 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/12/31(金) 18:13:44.32 ID:L8yhpzUh0
フラン「……」チラッ


フラン「あとねー、咲夜っ。 私、お願いしたいことがあるんだ!」

咲夜「? 何でしょうか?」

フラン「その、今のままでも十分美味しいんだけど……。 あーんってしてもらえたら、コレがもっと美味しくなるかなー、なんて」


咲夜「……一介の使用人には過ぎた真似となりますし……」

フラン「……やっぱり、だめ……だよね」シュン


フラン「いいよ、別に……我慢するの、慣れてるから。 本当は、ワガママ言うつもりなんてなかったの……咲夜に誘われて、浮かれちゃってたみたい」

咲夜「フラン様……」
59 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/12/31(金) 18:16:18.93 ID:L8yhpzUh0
…………………………

フラン「えへへ」

咲夜「(結局、断れなかった)」


フラン「♪」

咲夜「(まぁいいか、フラン様も喜んでるし……)」



フラン「……」

フラン「ねぇ、咲夜。 お姉さまの従者なんてやめてさ、私のメイドになってよー」

咲夜「うぅん……申し訳ありませんが、それだけはフラン様の頼みでも難しいですわね」

フラン「……。 どうしても?」

咲夜「えぇ」

フラン「そっかぁ……でも、絶対にお姉さまより良いって言わせてみせるから!」
60 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/12/31(金) 18:21:13.45 ID:L8yhpzUh0
咲夜「……ふふっ……」

フラン「どーしたのっ?」

咲夜「いえ……フラン様はよくお嬢様の事を口にしますし、よっぽど好きなんだろうなって思ったら微笑ましくなってしまって」

フラン「……」ピクッ





フラン「は……?」





フラン「……そんなわけ、ないでしょ……」

フラン「あんな、カリスマが全くないようなあいつを……?」

フラン「うふふ……咲夜って冗談も言うのね……。 でも、それは全っ然面白くないわ」

フラン「……もう、二度と言ってこないでくれる? 貴方は『お気に入り』だから、とっても大好きなのに……あんまりな発言をされたら、壊してしまいそう」


咲夜「えっと……」


フラン「……」

フラン「前は、もう少しマシだった。 やっぱり、あの異変の後から……」ボソッ

フラン「……そうね……うん……」


フラン「ちょっと、考えたいことができたから部屋に戻るわ。 せっかく作ったんだし、お姉さまにも全部食べさせといて」

フラン「ご馳走様でした」カタン


咲夜「……??」
61 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/12/31(金) 18:22:07.65 ID:L8yhpzUh0
【昨夜のお嬢様】
62 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/12/31(金) 18:23:27.68 ID:L8yhpzUh0


      -‐  ̄ / , -─--, _∠ -‐ ./i ̄ ヽ─-,      \_ゝ、  \
   ///////く /___ _|  ` ヽ __//.|   i、ニ _ -── ‐、 ゝ \/
   、///////<__  ./ / ゝ___ .-‐r´| ! .|    | | | V ',  i  ` ─- .\
    ヽ //////// / / /  ||- |.|‐.リ.| | | レ-─‐| i|    | |ヽ /
.      \///<  ./,イ !.  i || .!′  | ! /     リ| |   i i ! ! `‐=-
      ヽ////` | i | |   | | |===x  ヽ,| /    x===| l   | | |/- ´
       `,////.| | ',. |   ヽ,| !        レ         V/ /| |,'
        ,////|//.V ヽ  |`'  ///   ,   ///  イ /. | |
         、///// | .|\!ヽ               // /,イ/|
         ヽ./  .入| ヽ|    ,  -─ ‐- ,   /´ //!'|
                /  `'  `!\ /:::::::::::::::::::::::::::::ヽノ! /     ! ヽ
             |  / i  | i /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.レ'/  ト、 |ヽ|
      λ     | ./ .|  !  ::::::::::::::::/  ̄ ヽ:::::::::::::::l /|  / .`|           λ
     /:::::.      |/  .\ |_/ ̄ ニヲ  }ヽ ̄_‐-:!__|/            /:::::\
    /:::::::::::::ヽ      r─/ / / /γ、__r,\ `\\ 7 ̄/       ,..:::::::::::::::\
. /´ ヽ::::::__::::::ニ== /`ヽヽ { ./ / ./ /::::::|ヽ \  ヽ V / `  、 - =ニ、:::__:::::::/ ¨`ヽ,
     V´ `´   /   {ノ .|   /  .i |:::::::::} i  ヽ   ' y      ヽ    ` `V
           /  \   ヽ/,      |---.| '     ,'/   /   i
          ,    \  `l       |   |.      ,'´   /    ,
                \,-.',       |   |     ,-、/      ,
           i、       |ヽi     ト r-| __ /ノ         /
           | ヽ      | ` ‐─--ノ } \─'      ヽ       /|

63 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/12/31(金) 18:24:35.50 ID:L8yhpzUh0
【了】
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/31(金) 18:26:47.28 ID:+voYEtq2o
おつおつ
ゆかりん…やってんな???

ありがとうございました、良いお年を
65 : ◆439SIKhT0k [sage saga]:2021/12/31(金) 18:35:47.20 ID:L8yhpzUh0
乙ありがとうございます。
良いお年をお迎えくださいませ。
66 : ◆439SIKhT0k [saga]:2022/02/05(土) 21:09:16.66 ID:pTROcuWQ0
遅くなってしまい、申し訳ございません。
今から始めます。
67 : ◆439SIKhT0k [saga]:2022/02/05(土) 21:11:17.74 ID:pTROcuWQ0
〜白玉楼〜

妖夢「……好感度スカウター、ですか?」

幽々子「そう。 紫が持ってたんだけど、面白そうだから借りてきちゃった」

妖夢「はぁ、それじゃ怒られる前に返してきて下さい」

幽々子「妖夢ったら真面目ねぇ。 そんなんじゃ、あっという間におばあさんになってしまうわよ?」

妖夢「……」
妖夢「(生きた年数でいうなら、幽々子さまはかなり長く……いや、別に生きてるわけではないのか。 亡霊だし)」
68 : ◆439SIKhT0k [saga]:2022/02/05(土) 21:12:12.36 ID:pTROcuWQ0
幽々子「妖夢〜? 今、何か失礼なこと考えてない?」

妖夢「そんな、滅相もないです!」

幽々子「ふぅん」

幽々子「まあいいわ。 それじゃあ、妖夢にお願いがあるんだけど……」

妖夢「……間食でしたら、先ほど用意したものがあるので」
幽々子「そうじゃなくって」

幽々子「このスカウターを使ってきてくれないかしら」
69 : ◆439SIKhT0k [saga]:2022/02/05(土) 21:13:03.51 ID:pTROcuWQ0
妖夢「嫌ですよ。 私まで紫さまに怒られるじゃないですか」

幽々子「……箪笥の二段目」ボソッ

妖夢「!」

幽々子「ふふっ、結構面白かったわよ。 でも知らなかったわぁ、あなたこういう趣味があったなんて」

妖夢「」

幽々子「でも妖夢、隠し場所はもうちょっと考えないと駄目よ。 直ぐに見つかってしまうわ」
妖夢「あー! なんか急にこの機械が使いたくなってきたなぁー!」

幽々子「あらあら。 そんなにやる気を出してもらえるなんて嬉しいものね」
70 : ◆439SIKhT0k [saga]:2022/02/05(土) 21:16:02.50 ID:pTROcuWQ0
――――――――――

〜人間の里近郊〜

妖夢「はぁ……」

正邪「……ん? アイツは確か……」
71 : ◆439SIKhT0k [saga]:2022/02/05(土) 21:19:07.34 ID:pTROcuWQ0
〜人間の里〜

正邪「……」コソコソ


こころ「ふっふっふ、そこの剣を持っているお前! さあ、私と最強の称号を賭けて闘え!」

妖夢「えっ……あ、こころさん。 せっかくお誘い頂いたのに悪いのですが、今日は何分忙しくてですね」

こころ「むー。 真剣勝負なのに、逃げるのか?」

妖夢「そうは言っても、……が幽々子さまの…………以上、頼まれごとを放棄するわけにはいかないんですよ」


正邪「……」


妖夢「……に……れたら、斬ることも視野に入れなければいけないような物です」


正邪「(へぇ……。 騒がしくて一瞬聞こえない部分もあったが、どうやらアイツの持っている物は相当重要らしいな)」

正邪「ふむ……」


こころ「はーはっはっ!」


正邪「(考え事をしてる内に話が進んでたみたいだが……あの高笑い……)」

正邪「これは、面白いことになりそうだ」ニヤリ
72 : ◆439SIKhT0k [saga]:2022/02/05(土) 21:20:58.42 ID:pTROcuWQ0
――――――――――

妖夢「……」テクテク


正邪「……」コソコソ


妖夢「……それにしても、何で幽々子さまは私に好感度スカウターとかいう物を渡してきたんだろう……?」

妖夢「うーん……」


妖夢「……」

妖夢「…………」


正邪「……」


妖夢「!」クルッ

妖夢「ふふふ……」


正邪「(何だアイツ、急に振り返って笑い出したりして)」


妖夢「気づかれないようにしたみたいだけど、どうやら私の眼は誤魔化せなかったようね」


正邪「……!」

正邪「(クソ、隠れてるのがバレた……!? だが、幸いアイツはまだ刀を鞘から抜いていないようだ……その隙を付けばいける、か……?)」
73 : ◆439SIKhT0k [saga]:2022/02/05(土) 21:23:25.48 ID:pTROcuWQ0
妖夢「私は、悪を許さない。 邪悪なる『奴』は、絶対にこの楼観剣の錆にしてやるわ……それが、私に課せられた使命なのだから……!」キリッ


正邪「(……。 ケッ、ご立派な思想をお持ちなこって。 正義の味方気取りか? どうせ、コイツは強者が支配する世界を是とし、誰かが悪と定めたモノに対しては何をしたって良いと思ってんだろ)」


妖夢「破滅と再誕の宴(カタストロフィ)……。 まさか、あの言い伝えが本当だったなんてね……」


正邪「……」

正邪「(……は? カタ……いや、いきなり何言ってんだ……?)」


妖夢「くっ……右手が疼く……!」

妖夢「こんな、時に……何故……!?」ガシッ

妖夢「あと百年は猶予があったはずなのに、どうして……」


妖夢「!」ハッ

妖夢「そんな……『奴』に……呼ばれているとでもいうの……?」

妖夢「それじゃあ……この力は、私を蝕むモノ……。 でも、世界を救うためには……」

妖夢「ふっ……運命(さだめ)に抗うことはできない、か……」ボソッ

妖夢「私も、祖父のように……」



妖夢「……うぅん……」


妖夢「やっぱり、コレちょっと邪魔だなぁ……。 こんな所に誰かが来ることはないだろうし、少しくらいなら目を離しててもいっか」

ポイッ つ荷物
74 : ◆439SIKhT0k [saga]:2022/02/05(土) 21:27:02.91 ID:pTROcuWQ0
妖夢「さっ、続きやろ、続き……」

妖夢「……」


『面白かったわよ。 でも知らなかったわぁ、あなたこういう趣味があったなんて』


妖夢「〜〜〜!!」

妖夢「うぅ……」

妖夢「あぁぁぁぁ…………!」チャキッ


妖夢「……あー、もうっ! 幽々子さまのばかぁーー!」ビュッ!バキッ!

妖夢「そういうの! 見つけた時に! 面白かったとか言うの! どうかと思います!」

妖夢「さっきから何度も幽々子さまの顔がチラつくしぃ……! 見たとしても、黙っててくれればいいじゃないですかぁ……!」

妖夢「うわーーん! せっかく一瞬忘れられたのにーー!!」ブンブン






・・・・・

正邪「…………」

正邪「(……見なかったことにしておこう)」

正邪「(前にコイツにやられたことがあるし、今のを揶揄ってもいいんだが、そういうのはなぁ……)」

正邪「(……だが、大人しく去るってのも何となく納得がいかないし……好感度スカウターとやらは持ってかせてもらうか)」
75 : ◆439SIKhT0k [saga]:2022/02/05(土) 21:29:12.16 ID:pTROcuWQ0
――――――――――

妖夢「はぁ、はぁ……」

妖夢「うわ、思ったより時間経ってる……素振りしたら結構スッキリしたし、早く帰らなきゃ」

妖夢「幽々子さまに、待ちくたびれたーとか言われちゃいそう。 幽々子さまって、ホント私がついてないと駄目なん……」


妖夢「?」

妖夢「……」


妖夢「……あれ?」ガサゴソ

妖夢「…………」ガサゴソ


妖夢「好感度スカウターが、ない……?」


妖夢「(その瞬間、サーー、と血の気が引いていくのを感じた)」


妖夢「あ、あわわ……どうしよう、幽々子さまがアレの在処も内容も知ってるのに、頼まれたものを無くしたなんて知られたら……」

妖夢「(目の前で朗読……? いや、もし幽々子さまから紫さま、紫さまから霊夢、みたいにいつの間にか周知されて、○○ってどういう意味とか聞かれた日には……もう……)」


妖夢「……っ」

妖夢「とにかく、急いで探さないと。 さっきまではあったんだから、きっとすぐに見つかるはず」
76 : ◆439SIKhT0k [saga]:2022/02/05(土) 21:29:42.52 ID:pTROcuWQ0
――――――――――

正邪「さーって、どうするかな」



測定するキャラ↓2
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/05(土) 21:51:16.33 ID:sQeyjTMIo
針妙丸
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/05(土) 21:53:04.09 ID:NQkvM/z40
パチュリー
79 : ◆439SIKhT0k [saga]:2022/02/05(土) 21:59:38.14 ID:pTROcuWQ0
パチュリー→正邪【コンマ↓1】
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