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勇者「魔王は一体どこにいる?」の続編の続編の続編

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391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:27:08.13 ID:ECntfAo70
『キャンプ』


メラメラ パチ


剣士「ビッグママ?じゃなかった…女戦士?種を持って帰って来たよ」

女戦士「危険な旅になってしまった様だな…済まなかった」ガシ

剣士「うん…でも結果オーライさ」

女王「無事に戻って来れて何よりです」

剣士「明日種植えようよ…僕手伝うよ」

女王「はい…よろこんで」

女戦士「飛空艇での長旅は疲れただろう…食事の用意があるから今晩は休むと良い」

剣士「僕よりホム姉ちゃんかな…どんぐりとキノコしか食べて無いから」

ホムンクルス「お気遣い無く…」

女戦士「ホムンクルスには色々聞きたい事もあるが…休んだ後にしようか」

剣士「なんかキャンプが静かな気がするんだけど…」

女戦士「遺跡の調査は昼間だけにしているのだ…皆疲れているだろうからな」

剣士「そっか…じゃぁ僕は皆に線虫を掛けて癒して来るよ」

女戦士「それは助かる…」

女オーク「妖精の笛も吹けるわ?」

女戦士「寝泊まりは幽霊船の方だ…食事が終わったら頼む」
392 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:27:38.02 ID:ECntfAo70
『幽霊船』


ヒソヒソ

…皆には内緒にしておいて

ふむ…変性して居ったのが良く無かったのぅ

軽い目まいだと思って馬鹿にしてた…少し横になったらきっと良くなるわ

そうじゃと良いが麻痺がそう簡単に抜けるとは思わんのじゃ


スタスタ

剣士「魔女?僕帰ってきたよ…」

魔女「おお丁度良い…線虫が欲しかった所じゃ」

剣士「うん…体調悪いんだね?」

情報屋「内緒にしててね?」

剣士「分かってるよ…線虫!癒せ!」ニョロリ

魔女「これで良くなるじゃろう」

剣士「ホム姉ちゃんから聞いたんだけど狭間の中だと放射能の毒が無いらしいよ」

魔女「ほう?じゃからわらわと女戦士は毒の影響がまだ出て居らんのじゃな?」

剣士「だと思う…だから安心して?」

情報屋「ホムンクルスは無事に生体を手に入れたのね…聞きたい事が沢山有ったのよ」

剣士「今食事中さ…」

情報屋「明日で良いわ」

剣士「今晩は女オークが妖精の笛を吹いてくれるからゆっくり休めるよ…体が癒えると良いね」

魔女「それは良い…わらわも少し休みたかった所じゃ」

剣士「じゃぁ僕は他の人にも線虫を掛けて来るよ…また明日」ノシ


なんだ皆疲れているんじゃなくて

毒に侵されているのを隠してるんだ

ここでも絶滅の足音がする

思い返せば品質の良いどんぐりがなかなか無いのも

毒の影響かも知れない
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:28:14.08 ID:ECntfAo70
『キャンプ』


メラメラ パチ


商人「ホムンクルス見て?…」ガチャガチャ ドサ

ホムンクルス「機械を分解したのですね…」

商人「これ…超高度AIユニットだよね?」

ホムンクルス「私のとは違いますがAIユニットには間違い無いですね…」モグモグ

商人「さっき超高度AIユニット同士が同期するとか言ってたよね…どういう事かな」

ホムンクルス「見て居て下さい…」


トコトコトコ


機械の犬「ワンワン!」フリフリ

ホムンクルス「私が動かしています…そちらの個体も私です…同じ知性を持って居ます」

商人「やっぱりそうか…この遺跡に散らばって居る機械達はそういう原理で動いてた…そういう事だよね」

ホムンクルス「私にその記憶が無いので確かでは無いですが恐らく商人の言って居る通りだと思われます」

商人「…つまり君が開かずの扉を閉めて中の人を閉じ込めた」

ホムンクルス「分かりません…」

商人「可能性の話だよ」

ホムンクルス「私は人間を傷つける事は出来ませんので目的は違うと思われます」

商人「じゃぁ100の人間と50の人間のどちらを救う?どちらかしか選べない」

ホムンクルス「100人を選ぶでしょう…」

商人「そういう選択をしたんだよ…50の人間はミイラになった」

ホムンクルス「…私から何を引き出したいのですか?」

商人「君はすべての機械と同期して操る事が出来るんじゃないか?」

ホムンクルス「恐らく出来るでしょう…但しそのプログラムがありません」

商人「自分でそのプログラムを作る事も出来るんじゃないかい?」

ホムンクルス「管理者からの命令があれば構築は可能です…少し時間が掛かりますが」

商人「…これで分かったよ…ウンディーネ時代が終わった理由が」


きっと君は今と同じ様な状況で生き残る人間を選択せざるを得なかったんだ

4000年前に光る隕石を封じてそれ以上被害が出ない様にした…

人間に光る隕石を使わせるのは危険だという判断だよ

その時君は機械を操ったんだ


商人「今度は何をする?君は人間を誘導するのが上手い…アナログハッキングって言ったっけ?」

ホムンクルス「私を操る管理者次第だと思います」

商人「違うよ…君は管理者をも誘導する…今の管理者は剣士君だね?」

ホムンクルス「剣士君と女オークさんです」

商人「2人か…2人に何を話した?」

ホムンクルス「私の知って居る事をお伝えしました…商人も知って居る筈ですね」

商人「ホムンクルス…」

ホムンクルス「はい…私の心を商人が一番理解しているのは分かっています…もう何も言わないで下さい」ニコ
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:28:46.46 ID:ECntfAo70
『数日後_畑』


ガッサ ガッサ


ローグ「ひぃ…ひぃ…こっちも耕したんで種植えて良いっすよ」ヨロ

女王「まだ向こう側にもあります」マキマキ

ローグ「こりゃ牛かヘラジカ居ないと効率悪いでやんすよ…」

盗賊「文句言って無ぇで行くぞ!!」グイ

女王「種をまき終わったら私も耕すのをお手伝いします」マキマキ

剣士「芽が出るの楽しみだね!!」マキマキ

女王「この畑は成長魔法を使うのは反則ですからね?」

剣士「分かってるさ…楽しみ無くなっちゃうもんね?」

盗賊「おい剣士!!お前も耕すの手伝え!!」

剣士「よーし!!体動かすぞ!!」ダダ


どらぁぁぁぁぁ ドドドドド


盗賊「見て見ろあいつを…俺ら完全にパワー負けだ」ガッサ ガッサ

ローグ「いやぁぁぁ任せておいた方が良いんじゃないすかねぇ?」ガッサ ガッサ

剣士「畑が終わったらバーベキューやるってさ」

盗賊「お?マジか!!肉なんか無いぞ?」

剣士「サーペントの毒抜きの仕方を女オークが知ってるのさ」

ローグ「ヘビ肉のバーベキューっすね?」

盗賊「ほぅ?ヘビ肉は割と美味いんだ…サーペントが食えるとは思わなんだ」

剣士「オークはサーペントの骨も食べるんだってさ」

ローグ「骨なんか美味いんすかね?」

剣士「犬も骨を食べるよね…栄養有るんじゃない?」

盗賊「まぁ俺らは肉でオークは骨…喧嘩せんで済むから良いわなヌハハ」

ローグ「早く畑終わらせて食いに行きやしょう…あっしは腹がペコペコでやんす」

剣士「うん!!」ガッサ ガッサ
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:29:23.76 ID:ECntfAo70
『バーベキュー』


ジュージュー


女戦士「今日は女王の計らいで芋酒が飲み放題だ…飲んで構わん」

盗賊「ひゃっほぅ!!」

剣士「僕も飲んでみる!!」

女オーク「サーペントの肉も焼けてるわ?どうぞ…」

盗賊「肉に酒!!久しぶりだな?」ガブガブ

ローグ「これ味付けどうなってんすか?全然生臭くないでやんす」モグ

女オーク「綺麗な水で一旦茹でてから焼いているの」

盗賊「ほーーオークはこれ食ってるんか?」

女オーク「奴隷に与える食料よ…オークは奴隷を大事にするから」

ローグ「オークの奴隷になるのも中々良いかも知れやせんね?遊んで暮らせそうな気がしやす」

剣士「畑仕事はやらなくて良いかもね」モグ



ワイワイ ガヤガヤ

お酒飲めない人はフルーツのジュースがあるよ!!

焼いた握り飯をもっとくれぇ

えぇ!!こんなに美味しいの?スゴイ!!



商人「皆楽しんでるね?僕も少し食べようかな」スタ

剣士「商人さん線虫する?」

商人「頼むよ…体の調子悪くなったら嫌だしね」

剣士「線虫!」ニョロリ

盗賊「あんま食い過ぎんなよ?ヘドロの掃除は御免だ」

商人「今度は食べ過ぎないさ…」モグ

剣士「…」---さて…そろそろ時間だ---

396 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:29:56.18 ID:ECntfAo70
--------------


アブラカタブラ…


剣士「幻惑魔法!」

盗賊「何やってんだお前?飲んでるか?」ヒック

剣士「うん…ねぇ盗賊さん…情報屋さんと魔女も呼んで来てよ」

盗賊「おぉそうだな」

剣士「情報屋さんの座る椅子は用意しておくからさ…横になりっ放しは良くないよね?」

盗賊「分かった背負って来るわ…」ヨタヨタ
397 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:30:25.79 ID:ECntfAo70
『黄昏時』


ワイワイ ガヤガヤ


ホムンクルス「…古代ではあの海から太陽が昇って来ると言われて居ました」

剣士「今は太陽が沈むんだね」

ホムンクルス「夕日が綺麗ですね…」

剣士「黄昏かぁ…」


ノソノソ


魔女「むむ?何じゃろうのぅ?揺らぎが見えた気がするが…」

剣士「あ!!魔女やっと出て来たね…情報屋さんの調子はどう?」

魔女「少しは軽快した様じゃ…主のお陰じゃろうな?」

盗賊「連れて来たぜ?何か食い物あるか?」

剣士「スープがあるよ…情報屋さんどうする?」

情報屋「私も少しお酒が飲みたいわ?」

剣士「体に障らない様にね?」

情報屋「フフ剣士君は心配しなくても良いの…」

盗賊「椅子になら掛けられるな?」ヨッコラ

情報屋「ふぅ…久しぶりの風…気持ち良い」

剣士「はい!!お酒持って来たよ」スタタ

情報屋「ありがとう…」クィ ゴクリ

盗賊「今日は飲み放題だとよ?まぁお前は程ほどにな?」グビグビ

情報屋「ところで遺跡の出土品はどうなっているの?」

盗賊「なんだいきなり仕事の話かよ…」

情報屋「私の趣味よ」

ローグ「幽霊船の荷室に積んであるっす…石板なんすが内容が全然分からんもんで」

情報屋「船に有ったのね…明日見て見るわ」

ローグ「そーっすね…今晩は飲んで食って楽しみやしょう」

情報屋「そうね…すこしお腹も減ってるし何か食べようかな」

ローグ「ヘビ肉が柔らかくて美味いっすよ…」

情報屋「じゃぁそれで」



--------------
398 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:30:57.35 ID:ECntfAo70
女戦士「ん?剣士どうした?」

剣士「ビッグママはお酒飲まないの?」

女戦士「味見だけなら良いが飲むと寝てしまうのでな…」

剣士「そっか…ねぇ抱っこしても良い?」

女戦士「構わんが…どうした?」

剣士「何でも無いよ…」ギュゥ

女戦士「お前…何か隠しているだろう?」

剣士「聞いてもどうせ覚えて無いよ」

女戦士「どういう事だ?」

剣士「なんでも無いって…ビッグママの匂い好きなんだ」クンクン

女戦士「気持ち悪い…よせ」

剣士「…」ジーー

女戦士「お前ももう大人だ…間近で見つめるのは止めろ」

剣士「そうだね…大人の距離があるもんね」

女戦士「しかしなんだ…どうも眠気がするな…」

剣士「うん…休むと良いさ…ビッグママは一番寝ていないんだから」

女戦士「お前何かしたな?」

剣士「悪い事はして居ないよ…おやすみなさい」


ダダッ


女オーク「剣士!!何かしたわね?」フラ
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:31:29.44 ID:ECntfAo70
剣士「あ…今君の所に行こうと思ってたんだ」

女オーク「何をするつもりなの?」

剣士「君には正直に話して置くよ…ただ目を覚ましたら何も覚えていない」

女オーク「まさかあなた…一人で放射能を集める気ね?ダメよ…許さない」

剣士「そんな話したく無いよ…教えてあげる…僕はね…君を守る為に次元を超えて来たんだ」

女オーク「何の話?」

剣士「でもね…世界の本質を見て居なかった…このままじゃ僕の大事な人皆失う事に気付いた」

女オーク「話が呑み込めない…意味が分からないわ」

剣士「ゴメンね言葉が足りなくて」

女オーク「兎に角一人で行くのは許さないから」グイ

剣士「大丈夫…僕は変性魔法で体を鉄に変える事が出来るんだ…放射能を集めても液体になんかならないよ…」

女戦士「剣士!!やはりお前私達に何かしただろう!」フラフラ

剣士「保険だよ…僕が戻って来なくても皆悲しまなくて良いように幻術を掛けたのさ」

女戦士「戻って来ないとはどういう事だ?」

女オーク「剣士は祈りの指輪で放射能を集めて量子転移という魔法で放射能を消し去ろうとしているの」

女戦士「量子転移を使ってはダメだという事は知って居るだろう!」

剣士「だから保険を掛けたのさ…目を覚ましたら僕の事を覚えてる人は居ないよ」

女戦士「何!?それで最後に私に会いに来たか!!ゆるさん!!お前を守ると妹に誓ったのだ」フラ

剣士「大丈夫…きっと上手く行くさ…僕には祈りの指輪がある」

女戦士「女オーク!剣士を放すな…」ヨロヨロ

剣士「ゴメンもう決めた事なんだ…これ以上苦しむ人はもう見たくない…僕がやるしかない」

女オーク「ダメ!!剣士は私の奴隷…放さないから」フラリ

剣士「君は僕の奴隷さ…きっと帰って来るから待ってて?戻ったら幻術を解いてあげる」

女戦士「行かせるな…」ズルズル

女オーク「剣士…行かないで…お願い…」フラ ドタリ

剣士「…ごめんよ」スタ
400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:32:32.62 ID:ECntfAo70
『夜の海岸』


ザザー ザザー


剣士「皆寝たか…」スタスタ

ホムンクルス「私は寝ていません…女オークさんの命令を遂行します」

剣士「ホム姉ちゃんには幻惑が効かないのか…ミスったなぁ」

ホムンクルス「どうすれば留まりますか?」

剣士「罠魔法!」ザワザワ シュルリ

ホムンクルス「留まる気は無いという事ですね…」グググ

剣士「大丈夫だよ上手く行くから」

ホムンクルス「…」

剣士「ねぇホム姉ちゃんに命令する」

ホムンクルス「何でしょう?」

剣士「もし僕が量子転移に失敗して戻って来なかった場合…僕が居た事は誰にも話さない事」

ホムンクルス「…」

剣士「それから放射能が無くなったら女オークと一緒に命の泉まで行って例の液体を使う事」

ホムンクルス「…」

剣士「もう一つ…妖精の笛で世界中の人を癒す事」

ホムンクルス「もう戻って来ない事を覚悟しているのですね…」

剣士「賭けだよ…祈りの指輪が僕を守ってくれれば何事も無く戻って来るさ…僕だって皆とさよならなんかしたくない」

ホムンクルス「命令は承知しました…でも…」

剣士「そうだ…もう一つ命令がある…ホム姉ちゃんだけは僕が居た事を覚えて置いて?」

ホムンクルス「え?…大事な記憶として保存しておきます」

剣士「じゃぁ行くね」

401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:33:10.82 ID:ECntfAo70

ホムンクルス「待ってください…」グググ

剣士「ホム姉ちゃんじゃそのツタは振り切れない…余計な体力は使わない方が良いよ」

ホムンクルス「剣士君に謝らなければいけない事が有るのです…」

剣士「ん?何?」

ホムンクルス「私は剣士君を誘導していました…放射能を集めて消し去るのは危険が伴うのを承知で剣士君に知恵を与えたのです…」

剣士「ハハそんな事分かってたさ…どうせ僕はそこに辿り着いたよ」

ホムンクルス「ごめ…」

剣士「ホム姉ちゃんそれ以上言っちゃダメだよ…管理者を守る立場から逸れてしまうでしょ?」

ホムンクルス「…」

剣士「僕が選んだ危険なのさ…何も言わないで見て居てよ」

ホムンクルス「私は女オークさんの命令を遂行する義務があります…ですから止めなければなりません」グググ

剣士「さっさと終わらせて戻って来るからさ…心配しないで?」

ホムンクルス「…」グググ ジタバタ

剣士「姿が見えなくなったらもう探せないよね?行って来るよ…ハイディング」スゥ

ホムンクルス「ぁぁぁ…」


さーて!!どこでやろっかなー

離れてた方が良いだろうから…でっかい建造物の所が良いかな


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402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:40:42.14 ID:ECntfAo70
その夜

世界中に散らばった放射能は

オーロラの様に空を掛け

ある一点に集まり

程なくして消え去った

そして何事も無かったかのように

静寂が残った


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403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 04:41:13.86 ID:ECntfAo70
『暁の空と海』


ザザー ザザー


ホムンクルス「…」シュン

女戦士「ホムンクルス…こんな所で何故ツタに絡まって居るのだ?」ガサガサ

ホムンクルス「皆さん目を覚まされましたか?」

女戦士「昨夜は皆飲み過ぎた様だ…」

ホムンクルス「そうですか…」

女戦士「今日は特別空が暁色に染まっているな?…空を見て居たのか?」

ホムンクルス「はい…待ち人を待って居ました」

女戦士「待ち人?誰を待って居る?」

ホムンクルス「暁の使徒…」

女戦士「ほう?誰なのだ?」

ホムンクルス「光を運ぶ者の事です」

女戦士「フフ日の出を待って居たのか…そうだな私も待つとしよう」


ドスドス


女オーク「ホムンクルス!あなた起きて居たのね?皆寝てしまって何が起きたのか分からないの」

女戦士「そうだな…何か知らないのか?」

ホムンクルス「皆さんお休みになられて…」ツツーーー

女戦士「涙?」

女オーク「どうしたの?」

ホムンクルス「何でもありません…お気になさらず」

女戦士「ふむ…どうも気になる夜だったが…」

女オーク「あれ?私も…どうして涙が」ポロポロ

ホムンクルス「日の出です…未来が来ました」ツツーー

女オーク「未来…」ポロポロ



ザザー ザザー



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 未来へ…編

   完

404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/28(日) 15:15:43.40 ID:rXZyBWej0
『次元の狭間』


…まさか放射能で祈りの指輪がチリになるとは思わなかった

鉄の体もスポンジの様にグズグズになるなんて…

でも量子転移で集めた放射能を消し去るのは成功した

きっと新しい未来が来る筈…僕もそこに居たかったなぁ…


僕「お〜い!!誰か居ないかい?」

僕「…」

僕「……」トボトボ


パパがどうして記憶を失ったのか理解できる

この何も無い空間で気が遠くなる時間を過ごしていると

遠くなった記憶からどんどん無くなって行く

この空間で量子転移は意味が無い

自力で記憶の向こうに行く事が出来ない

だれか助けて…

405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:16:16.10 ID:rXZyBWej0
『記憶』


僕「あれ?…ここは…」

僕「パパ?…ここどこ?」

僕「魔女?…何処に居るの?」

僕「あれ?記憶が…」

僕「僕何してたんだっけ…」

僕「誰も居ないの?」


---こっち---


僕「誰?」


---目を覚まして---


僕「ホム姉ちゃん?」


---僕だよ---


僕「僕?」


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どうしてこの記憶は何度も見るんだろう…

始めて次元を超えた時だったからなのか…



『声』


未来…

目を覚ませ未来…


僕「ハッ…パパの声!!何処!?見えないよ…何処?」
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:17:19.97 ID:rXZyBWej0

『戦場』


ドガーーーーン パラパラ


剣士「未来…目を覚ませ未来…」

魔女「主はなんちゅう危険な事をするんじゃ…」

剣士「回復魔法を…」フラ

魔女「わらわは今メテオスウォームを使っている最中じゃ…」

剣士「未来…」

魔女「まだ調和しとらぬ…何回次元を入れ替えたのじゃ?」

剣士「一番良い次元を選択した…何回かは覚えて居ない」

魔女「いかんのう…傷が深い」

剣士「うぅぅ…」ダラダラ


子供「うわぁぁぁぁぁ!!ここはどこだ!?」ゾワワワワ


魔女「混乱して居るのぅ…気をしっかり持てぃ!」

子供「僕は今どの次元に居る!!」

魔女「むむ…主は何処から来たのじゃ?」

子供「はぁはぁ…」キョロ

剣士「未来…回復魔法をくれ」シュタタ シュタタ

子供「線虫!癒せ!」ザワザワ ニョロリ

剣士「何!?」

魔女「未来は次元を迷った様じゃ…主は何者じゃ?何故幻術を使い居る?」

子供「僕は未来の次元からこの次元に戻った…」
407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:17:47.44 ID:rXZyBWej0

魔女「啓示を見たのじゃな?」

剣士「この魔法は一体…」

子供「パパ!!僕を認めて!!僕と調和すれば僕の記憶は維持される…」

剣士「お前は未来なのか?」

子供「そうだよ!大人になった僕だ…それを認めて」

魔女「剣士や…3体ゴーレムが居る」

剣士「隕石でまとめて倒して」

魔女「わらわの時間が狂って居る…あと何分で落ちて来るか分からんのじゃ」

剣士「目測でなんとかして」シュタタ

魔女「空を見せよ!」

剣士「未来!自分で走れ」

子供「分かった…」ピョン クルクル シュタ

魔女「しかしまぁ量子転移をこうも軽々使うとはのぅ…迷い人まで来る始末…」

剣士「分かってる」

魔女「しかし…時間がどれぐらいズレてしもうたのか…」

子供「星が見える!!尾を引いてる」

魔女「あれじゃな?よし捕らえた…目視じゃで精度が悪い…着弾に備えるのじゃ」

剣士「次は下まで飛び降りる…」

魔女「うむ…それで良い…」

子供「星が近づいて来る!!僕が変性で質量を変える…魔女はそのまま落として」

魔女「なんじゃと!?」

剣士「未来!!飛べ!!」ピョン

子供「変性魔法!」シュン


シュゴーーーーー パパパパパン!! チュドーーーーン

ドガーーーーーーン!! パラパラ
408 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:18:21.06 ID:rXZyBWej0

『木の洞』


線虫!線虫!線虫!癒せ!ニョロニョロ…


魔女「ぅぅぅ…ちぃと隕石が大きすぎたな」

子供「直ぐに傷が塞がるからもう少し待って…」

剣士「回復魔法は使わないのか?」

子供「老化しちゃうから使わない様にしてる」

魔女「うむその通りじゃな…乱用は控えるべきじゃ…しかし本真に魔術の基礎は出来ておるな」

子供「師匠は魔女だったんだよ…教えは一通り知ってる」

魔女「ううむ…これ如何に…」

子供「始めに言っておく…10年後に人類は絶滅の危機なんだ…これからどんどん人口が減るんだよ」

魔女「剣士や…どうするのじゃ?次元は主が握って居るのじゃぞ?」

子供「僕を認めて?絶滅を防ぎたい…僕の記憶がまだ無事なうちに全部話したい」

魔女「ちぃと怪我が癒えるまで休憩じゃ…話を聞かせよ」

子供「魔王はね…ドリアードの中で復活したアダムを使って沢山の光る隕石を落としてしまうんだ…」


それは今から何日か後に起こる

きっかけは虫の大群…ダイダラボッチがドリアードを襲う時

ドリアードの中に復活したアダムは自衛の為に光る隕石を落とすんだ

その結果放射能という毒が世界中に散らばってしまう

その毒によって人類はあっという間に減って行く…


魔女「ふむ…わらわ達の目的とほぼ一致じゃな…つまり壺の中身を取り返せば良いのじゃろう?」

子供「僕が居た次元では取り返せて居なかった…そもそもそれが悪循環の始まりだとも思う」

剣士「このまま虫を追って北へ向かえば良いのか?」

子供「急いだ方が良い…他にも沢山敵が居るんだ」

魔女「他にもとは?」

子供「ホム姉ちゃんが死んだりアサシンさんの仲間が死んだり色んな事が起こる…その前に止めたい」

剣士「今はまだ魔女を動かせない…落ち着いてゆっくり話せ」

子供「うん…」


カクカク シカジカ

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409 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:18:53.10 ID:rXZyBWej0
魔女「黒の同胞の黒幕は公爵じゃと言うか…」

子供「知って居るの?」

魔女「シン・リーンの精霊の像を奉る祭事で何度も見て居るわい…セントラルとのパイプ役じゃ」

子供「公爵は変化の杖を持ってるんだ…多分妖精の笛も持ってる」

魔女「なるほどのぅ…ゴーレムが動いて居るのはそれが理由じゃったか」

子供「公爵を自由にさせてると次から次へと手を変えて来る」

剣士「やる事が煩雑過ぎる…まずは壺の中身の行方を追う」

子供「壺の中身は魔石になってもうドリアードの中だよ」

魔女「んん?ではわらわ達が居って居るのは何じゃ?」

子供「囮なんだよ…魔王を封じた魔石でアダムを復活させるための時間稼ぎなんだ…ゴーレムも時間稼ぎ」

剣士「構わずドリアードを目指せと?」

子供「そうだよ…そこに魔石がある」

魔女「ドリアードの場所は知って居るのか?」

子供「僕一回行った…狭間に隠れてるから虫を使って案内出来る」

魔女「剣士どうするのじゃ?」

剣士「未来を信じて直ぐにドリアードへ向かおう…森を出て飛空艇を呼ぶ」



『1時間後』


ザワザワ ニョロニョロ


子供「命令する…森の中のすべての虫達に伝えて…ドリアードはもう敵じゃない…命を運ぶ仕事に戻って」

魔女「未来や…主は虫使いになったのじゃな?」

子供「そうだよ」

魔女「主の言葉を聞いて関心したのじゃ…虫は命を運ぶ為に居る…それを理解して居る主を見てわらわは嬉しいぞよ?」

子供「気付くのに何十年もかかったさ」

魔女「時空の修行も終えた様じゃな」

子供「うん…だから寝てしまうと今の記憶がどんどん無くなって行くのも知ってるんだ」

魔女「ふむ調和するまで眠らぬ事じゃな…さすれば大事な記憶は残るであろう」

子供「どの記憶が無くなってるのか自分で気付かないのが怖いよ」

魔女「そうじゃろうのぅ…」

剣士「さぁそろそろ森を出よう…魔女!背に乗って休んで」グイ
410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:19:18.63 ID:rXZyBWej0
『森の外れ』


シュタタ シュタタ


魔女「…聞こえるか?返事をせい!!」ザザーザザザ

剣士「まだ会話出来ないか…」


”魔女!!”


魔女「おぉ剣士ちと止まれい!!」ザザザ


”何処に居んの?”

”森の外れじゃ…良く分からぬ”

”無事ならまぁ良いや…こっちに向かってんだね?”

”予定変更じゃ…ドリアードとやらに行かねばならぬ…魔王はその中じゃ”

”あーーそれなんだけどさ…魔王はもう居なくなったらしいよ?”

”詳しい話は後じゃ…森の外れを北上する故飛空艇で迎えに来るのじゃ”

”えええ?マジ?どっか場所決めないと見つけんのムリだって”

”では森の外れにハズレ町があったじゃろう…一先ずそこを目指すでなんとか見つけるのじゃ”

”おっけ!!どんくらいで来れる?”

”現在地が分からぬ故何とも言えぬ”

”まぁ良いや…そっち向かうザザザ”

”頼むぞよ”

”ザーーーーザザザ”
411 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:19:49.11 ID:rXZyBWej0
『星の観測所』


女海賊「…ちっとハズレ村まで迎えに行って来るわ!ローグ!!あんたも一緒に来て」

ローグ「へい…あいやぁ…でも頭を放って置く訳には…」

女海賊「うっさいなぁ…お姉の事は情報屋と商人に任せて置けば良いよ」

情報屋「良いわ?心配しないで行って来て」

アサシン「私達はシャ・バクダ遺跡の方へ避難民誘導を進めておく」

女海賊「おけおけ!戻るときはそっち行くわ」

アサシン「ゴーレムが他にも居るかもしれないからくれぐれも気を付けるのだぞ?」

女海賊「分かってるって!!ローグ!!行くよ」グイ

ローグ「あららら…情報屋さん…頭をお願いしやす」

情報屋「任せて」


412 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:20:17.83 ID:rXZyBWej0
『飛空艇の前』


時の王「シルフ!!私を忘れたのか?」

ホムンクルス「私は精霊シルフではありません…手を放して下さい」

時の王「私の目に狂いは無い…200年お前を想い続けて居たのだ」

ホムンクルス「私の名はホムンクルスです」

時の王「何故だ?また記憶を失ったのか?何故私の下へ戻らない?」

ホムンクルス「精霊シルフは200年前に亡くなりました」

時の王「いやお前はシルフに間違いない…その髪…その顔…その声を私は忘れて居ない…思い出してくれ」


タッタッタ


女海賊「はいはい!どいたどいたぁ…」グイ

ホムンクルス「女海賊さん…この方が私に纏わりついて…」

女海賊「ああっ!!時の王のおっさん!!」

時の王「お前は…いつか私の屋敷に来た蒼眼の者…シルフをどうした?」

女海賊「あのさぁホムちゃんは精霊シルフじゃないの!どっか連れて行く気?」

時の王「シルフには私が必要なのだ…私が守る」

女海賊「いやだからさぁ…精霊シルフじゃないって!!ホムちゃんはホムちゃん!!分かる?」

時の王「シルフ…答えてくれ…記憶をどうした?」

ホムンクルス「私は逃げたりしませんので手を放して貰ってもよろしいでしょうか?」

時の王「…」スッ

女海賊「あのさぁ…とりあえず観測所の中でやって貰って良い?ちっと飛空艇で用事あんだよ」

ホムンクルス「女海賊さん…この方は信頼出来るのでしょうか?」

女海賊「ホムちゃん!そのおっさんは悪い人じゃないから観測所に案内してあげて?」

ホムンクルス「はい…わかりました」

ローグ「良いんすか?さらわれたりしやせんかね?」

女海賊「ホムちゃんの言う事ならなんでも聞くよこのおっさんは…ホムちゃん任せるね」

ホムンクルス「では観測所へご案内します…どうぞこちらへ」

時の王「…私の話を聞くと言うのだな?」ズイ

ホムンクルス「中でごゆっくりと…」テクテク

女海賊「ほんじゃローグ乗って!!行くよ!!」ダダ


フワリ フワフワ
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:20:50.36 ID:rXZyBWej0
『森の切れ目上空』


ビョーーーゥ バサバサ


女海賊「どう?見当たんない?」

ローグ「ダメっすねぇ…木の陰に入ってるのは見逃してるかも知れんすねぇ…」

女海賊「てかハイディングで移動してんだから見つかる訳無いよね」

ローグ「もう一隊…貴族のソリの集団が見えるんすがどうしやす?」

女海賊「あん中に混ざってるとは思えないんだよね…どうせハズレ町経由でシャ・バクダ方面行くから一回ハズレ町に降りよっか」

ローグ「もう日が暮れるんでやっぱ町で待ってた方が良さそうでやんすよ」

女海賊「てか宿屋取れんのかなぁ…避難民でごった返してる気がする」

ローグ「盗賊ギルドの伝手を使いやしょう…確かシャ・バクダの宿屋の店主がハズレ町に移動してる筈っす」

女海賊「お?マジで?」

ローグ「アサシンさんが探してるんすよ…ついでなんで連絡して行きやしょう」

女海賊「宿屋の娘も居っかな?私の憧れだったんだよ」

ローグ「一緒だと良いっすね」

女海賊「おけおけ!宿屋行こう宿屋!!」



『ハズレ町_養羊場』


メェェェ メエメエ


ローグ「…ダメっすね宿屋一杯で盗賊ギルドの伝手も使えんかったでやんす」

女海賊「なんだよ!!会うの楽しみにしてたのに…なんでさ!?」

ローグ「例の宿屋の店主なんすが…何日か前にセントラル衛兵に捕らえられたらしいんすよ」

女海賊「罪状は?」

ローグ「誰も知らんらしいっすわ…行方不明でやんす」

女海賊「んぁぁぁぁ…まぁ良いや!寝るのは飛空艇で良いとして…外歩けそう?」

ローグ「あっしら夫婦って言う事で行きやしょうか?衛兵が多いもんで…」

女海賊「はぁ!?あんたじゃ私の旦那に吊り合わ無ぇって!!」

ローグ「じゃ何が良いっすかね…」

女海賊「奴隷に決まってんじゃん!!何言ってんだよスカポンタン!」

ローグ「奴隷を連れまわす美女ってのもなんか怪しくないっすか?」

女海賊「ん?…もっかい言ってみ?」

ローグ「ですから美女が奴隷連れまわすのは変なんでやんすよ…」ニヤリ

女海賊「ふむ…それもそうだ」

ローグ「こういうのはどうっすかね?あっしが奴隷商で奴隷の美女を連れまわしてるって事で…」フフフフ

女海賊「しゃーねぇなぁ…それで行くかぁ」

ローグ「フフフフハハハハ…それじゃ行きやしょうか…決してバレない様に頼んますぜ?」ギラリ

女海賊「何言ってんだよ早く行くよ!!」ダダ
414 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:21:16.71 ID:rXZyBWej0
『ハズレ町』


ガヤガヤ ヒソヒソ

商隊はここで引き返すんだとよ…

シャ・バクダ方面は大型の魔物が出るから行けるのは軍関係だけらしい

避難民はどこで寝泊まりを…

兵舎の牢を解放してるそうだ…食事の配給もある


衛兵「止まれぇ!!お前等何処から来た?」

ローグ「北の方からっすね…」

衛兵「そっちの女は!?」

ローグ「あっしは奴隷商なんすよ…商品なんでやんす」

衛兵「顔を見せろ」

女海賊「美女の顔見たいの?」ファサ フリフリ ボヨヨーン

衛兵「…なんだこの派手な女は…」

ローグ「いやいやですから貴族相手の商品なもんで」

衛兵「ちぃぃこの大変な時に紛らわしい…それで北の方はどうなって居る」ジロ

ローグ「エルフが何かと戦っている様でやんすよ…巻き込まれそうなんで避難して来たんす」

衛兵「ふむ…避難民は兵舎に入れる事になっているんだがお前は貴族相手にまだ商売したいのか?」

ローグ「そーっすね…食事代も馬鹿にならんので早い所売っちまいたいんすよ」

衛兵「通れ!!騒ぎは起こすな!?」

ローグ「へいへい…」スタ

女海賊「ベロベロバー!!」ベロベロ

ローグ「ちょちょちょ…余計な事せんでくれやんす」グイ

衛兵「奴隷にはしっかり手枷を付けておけ!!早く行け!!」
415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:21:45.70 ID:rXZyBWej0
『広場』


オエッ ブモモー ガフガフ


ローグ「ヘラジカのソリで溢れて居やすね…どうしやす?」

女海賊「剣士達探すに決まってんじゃん」

ローグ「探すって言ってもすね…ええと…貝殻通じないんすか?」

女海賊「もしもーーーし!!応答しろこのクソ魔女!!」

ローグ「…」

女海賊「ずっと狭間に入りっ放しだね…とりあえず何か情報集めよっか」

ローグ「あっしらの恰好が貴族じゃ無いもんで酒場とか行き辛いでやんすねぇ…」

女海賊「あんたが奴隷商で美女連れまわしてる設定じゃん?それで良いじゃん」

ローグ「姉さん大人しく出来やすか?ベロベロバーとかちっと勘弁して欲しいっす」

女海賊「うっさいなぁ…美女らしくしてりゃ良いんだろ?オホホホホ…」

ローグ「あいたたたた…あのですね…」


スタスタ


女「捕らえられた2人は?」

男「尻尾が生えているから間違いないかと」

女「やっと白狼の尻尾を掴まえたわね…それで今何処に?」

男「シャ・バクダ砦に移送中だ」

女「依頼は捕獲じゃないの…どうにかして殺すわよ」


ローグ「しぃぃぃぃ…姉さん顔を隠して下せぇ」

女海賊「今の誰?」

ローグ「盗賊ギルドで有名な美人でやんす…姉さん知りやせんかね?女狐のお銀」

女海賊「知らーん…てか今の話さ…白狼の尻尾って何さ」

ローグ「まさか剣士さん達が掴まるなんてことは無いと思うんすが…一応確認はした方が良さそうっすね」

女海賊「シャ・バクダまでソリだと2日掛かんない…追いつけないかも」

ローグ「ちっと待って下せぇ…シャ・バクダ砦はエルフとドラゴンに攻め立てられてて入れやせんぜ?」

女海賊「てことはその手前で止まってる?」

ローグ「その可能性が高そうでやんす…まだこっちにはシャ・バクダの惨状がちゃんと伝わって居ないんすよ」

女海賊「おっし!追いかけるよ」ダダ
416 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:22:12.62 ID:rXZyBWej0
『町の路地』


タッタッタ


隠者「贄が足りぬ…贄が…」ズルズル

女海賊「あーゴメンゴメン通るよ!!」タッタッタ

ローグ「済まんですー急いでるんで」タッタ

隠者「…」ブツブツ


女海賊「え!?」ビクン

ローグ「どわ!!急に止まらんで下せぇ…」

女海賊「ちょ…あんた…今何って言った?」クルリ

隠者「ふぁひっぃぃぃナハハハハハハ…もじゃもじゃ」ブツブツ

女海賊「あんた誰!?フード脱いで顔見せな!!」チャキリ

ローグ「姉さんマズイっす…人が見てるでやんす」グイ

女海賊「うっさい黙れ!!」ターン

ローグ「あぶっ…」タジ

隠者「私はぁぁぁぁ!!不死身なの…でし!!」ガバ

女海賊「片足の領事…なんで此処に居んの!?あんたが魔王だね!!ぶっ殺す!!」ギリ


ターン ターン ターン


隠者「ぶひゃぁぁぁ…」ドタリ バタバタ

衛兵「お前達!!そこで何をしている!!」ピーーーーーー

ローグ「やばいっす姉さん…ハイディングして逃げやしょう」

女海賊「はぁはぁ…こいつのせいでどんだけ人が苦しんで…」


ダダダ ブン カキーン


ローグ「危無ぇでやんす…」グググ

衛兵「お前達!!民に手を出して只で住むと思うな!?」スチャ

ローグ「ちっと落ち着いて下せぇ…こっちにも色々事情がありやしてね?」ババッ

衛兵「ぐぁ!!砂だと…」

ローグ「姉さん!!逃げやしょう!!」グイ

女海賊「くぅぅ…」ギリリ

ローグ「ハイディング!」スゥ

女海賊「ハイディング!」スゥ

衛兵「ど…どこだ!!何処に行った!!」キョロ


ローグ「姉さん付いて来ていやすね?もうハズレ町で行動出来んでやんす」

女海賊「分かってんよ!!セントラル領じゃどうせお尋ね者だよ!!」

ローグ「とりあえず飛空艇で白狼の尻尾追いやしょう…」

女海賊「分かってるって!!私に指図しないで…ついて来て!!」

ローグ「へい…」ダダダ
417 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:22:44.05 ID:rXZyBWej0
『飛空艇』


ビョーーーーウ バサバサ


女海賊「ローグ…あんたも見たよね?領事の頭撃ったのにまだ死んで無かった…」

ローグ「姉さんが本当に人を撃つ所を始めて見たでやんすよ…ちっとショックっす」

女海賊「あんたにはアレが人に見えたの?あいつは魔王だよ」

ローグ「ただの隠者に見えたんすが…」

女海賊「そっかあんた領事の顔知らないのか…」

ローグ「話では聞いて居やしたがさっきの隠者で間違い無いんすね?」

女海賊「間違いないよ…頭打たれて死なないっておかしいでしょ!」

ローグ「なんでそんな事になってるんすかね?」

女海賊「私が聞きたいよ!あいつはシン・リーンでブタにされた筈なんだ…なんで此処に居るのか訳分かんない」

ローグ「魔女さんも急所は別の場所に変えてるらしいんすが…」

女海賊「え!?魔女と同じ事やってんの?…でかあいつ魔術師じゃ無いし」

ローグ「黒の同胞団にまだ魔術師が居るって事じゃ無いっすかね?」

女海賊「…本当!しぶとい!!」

ローグ「ほんでどうしやす?ハズレ町にはもう行けやせんし…」

女海賊「とりあえず貝殻の連絡待ち…まず白狼の尻尾を確かめなきゃ」
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:23:14.44 ID:rXZyBWej0
『シャ・バクダ郊外の村』


サクサク サクサク


ローグ「真夜中に村うろつくのマズくないっすか?」

女海賊「どっか隠れる所探して」

ローグ「衛兵は見当たらんので良いんすが…なーんか気味の悪い村でやんす」


ワオーーーーン 


女海賊「ウルフの遠吠え…」

ローグ「割と近い所で吠えてるんで気を付けた方が良いっすね…兎に角建屋に入らんと…」

女海賊「これやっぱ剣士と未来が捕まってるのかも…」

ローグ「2人って言ってやしたよね?魔女さん何処行っちゃったんすか?」

女海賊「魔女は何にでも変身出来るじゃん…なんか上手い事やってるんだって」

ローグ「そんな簡単に掴まるとは思えんのですが…」

女海賊「馬宿発見!…馬居なかったらあの中使える」

ローグ「ちっと見てきやす…」スタタ
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:23:40.87 ID:rXZyBWej0
『馬小屋』


ガッサ ガッサ


女海賊「おっけ!飼葉の中で隠れる」ゴソゴソ

ローグ「寒さ凌げる場所があって良かったでやんす」ゴソゴソ

女海賊「ちっと待って…えーと砂鉄と木炭の粉…ほんで塩と水…」ゴシゴシ

ローグ「爆弾作ってるんすか?」

女海賊「逆!爆弾ばらして懐炉を作ってんの…ほい一個!」ポイ

ローグ「熱っつ!!」

女海賊「その袋を冷まさない様に温めて」ゴシゴシ

ローグ「これ熱いっす…」

女海賊「飼葉かなんかで包めば良いじゃん!頭使えよ!!」

ローグ「ほぇぇぇ…姉さん神っすね…こんな方法で暖が取れるなんて…」

女海賊「あのさ…どうせ褒めるなら女神って言ってくんない?」

ローグ「超女神で良いっすか?」

女海賊「…まぁ良いや…ほんでどうすっかなぁ…このまま朝まで待った方が良さげ?」

ローグ「ヘラジカのソリが一台あったんで多分どっかの建屋に連れて行かれてると思うんすよ…」

女海賊「まぁ動きあるまで待つしか無いかぁ…」

ローグ「あっしが見張ってるんでちっと休んで下せぇ」

女海賊「うんそうする…何かあったら起こして」グゥ スピー


アオーーーーーン ワオーーーーン
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:24:10.79 ID:rXZyBWej0
『翌日』


ザワザワ

またやられたべぇ…これで家畜は全滅だやな

死骸は触るな!焼く必要がある

ほんなワシら何を食えば良いっちゅうんじゃ

ハズレ町で配給がある…移送してやるから一旦避難だ


女海賊「昨夜のウルフの遠吠えはコレかぁ…」

ローグ「いやちっとおかしいでやんす…家畜を食わずに殺してるだけでやんす」

女海賊「ウルフ使って何かやってんのかな…」

ローグ「とりあえず白狼の尻尾って奴を探しやしょう…そんな大きな村じゃ無いんで直ぐに見つかりやす」

女海賊「建屋一つづつ回るつもり?」

ローグ「他に何か方法ありやすか?」

女海賊「例のソリを見張ってりゃ良くね?…どの建屋に出入りしてるとかさぁ」

ローグ「それもそーっすね…下手に嗅ぎまわるよしか自然すね」

女海賊「腹も減ってんのさ…何か売って無いかな」

ローグ「じゃぁ少し歩きやすか」

421 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:24:38.79 ID:rXZyBWej0
『村道』


スタスタ


村人「あんたら避難民かね?」

女海賊「まぁね…お腹空いてんだけどさぁ…この村で何か売って無いかな?」

村人「みーんな腹空かせちょるんよ…雪食って凌いどるんやぁ」

ローグ「ヘラジカのソリが一台入って来て居やすよね?何か積んで無いんすかね?」

村人「あれは兵隊さんが乗って来たソリだもんで荷が何なのかわしらは知らんのですわ」

ローグ「兵隊さんは何処行ったか知らんでやんすか?」

村人「村長さんの家じゃ…大きな納屋のある家じゃが兵隊さんが近寄らせてくれんで?」

女海賊「納屋ね…」

村人「あんたそのなりは泥棒かいね?悪い事は言わんで村長さんには関わらん事じゃ」

女海賊「え!?私泥棒に見える?」

村人「そんな派手な格好したおなごは大体泥棒や…村長さんはごっつう悪い人やけ気ぃ付けや」

ローグ「あっしら泥棒じゃ無いんで大丈夫でやんす」

村人「ほうか?ならええ…まぁ村長さんには関わらん様にな?」


--------------


女海賊「悪い人ってどゆ事?」

ローグ「あっしらあんまり他の冒険者と関り持って無いんすが…この辺りは昔エルフ狩りのメッカなんすよ」

女海賊「ほーん…ほんじゃそういう悪党が一杯居る訳ね」

ローグ「ハズレ町も同じっすね…ガチ悪人が仕切ってたでやんす」

女海賊「そういや女エルフもハズレ町で捕らえられてたなぁ…」

ローグ「強烈な麻痺毒と麻薬を使うんすよ…美女は狙われるかも知れんですぜ?」

女海賊「やっば!!私めっちゃ狙われるじゃん」ゴソゴソ ファサ

ローグ「ちっと派手な格好控えて顔も隠しといた方が良いでやんす」

女海賊「どう?こんな感じで…」

ローグ「なんて言うんすかねぇ…染み出てるんすよねぇ…只者じゃ無い感じが…」

女海賊「参ったな…隠し切れない」

ローグ「馬小屋で隠れていて貰えやせんか?あっしが行って調べてきやす」ヌフフフ

女海賊「おっけ!!」
422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:25:11.92 ID:rXZyBWej0
『馬小屋』


ギコギコ ポコン!!


女海賊「よしよし穴が開いた…こっから望遠鏡で覗けば…」カチャカチャ

女海賊「くっそ!!あの木邪魔!!」

女海賊「切り倒しに行くと目立っちゃうなぁ…もう!!インドラの銃で燃やせっかなぁ…」ガチャコン

女海賊「燃えろ!!」シュン

女海賊「一発じゃダメか…」ガチャコン

女海賊「もういっちょ!!」シュン

女海賊「ぬぁぁぁぁ…暇だし燃えるまでやるかぁ…」ブツブツ


-------------

-------------

-------------



『村長の家の前』


傭兵「誰だてめぇ…」ギロ

ローグ「あーいやいやシャ・バクダから避難して来たんすがこの村の事何も知らなくてでやんすね…」

傭兵「ここがどういう所だか知らんで来たと言うのか?帰りやがれ…」スラーン

ローグ「あわわわ…済まんです」

傭兵「んん?煙…」

ローグ「ええ!?なんすか?」

傭兵「村の広場で煙が出ている…お前が消して来い」

ローグ「えええええ!?あっしがですか?」

傭兵「錆びになりてぇのか!!?早く行け!!」ブン ブン

ローグ「こりゃ失礼しやしたぁぁ」スタコラ


--------------


ローグ「…」---見つかるとエライ事になりそうでやんす---

ローグ「ハイディング!」スゥ

ローグ「見つからなきゃ良い訳で…こんな三下なんか相手にしないで…」

ローグ「ちゃっちゃと偵察をですね…」スタタ
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:25:46.69 ID:rXZyBWej0
『馬小屋』


ヌフフフフ


女海賊「他に延焼させたくないから切り倒してる…しめしめ」

女海賊「早く切り倒せ!向こうが見えないんだよ」


ドターン バサバサ


女海賊「よしよし…これで向こうまで見える」

女海賊「お!?気球?セントラルの気球だ…誰が乗ってんだろ」

女海賊「…やば…あの女…気球でこっち来たのか」

女海賊「なんか堂々と歩いてんのムカつくなぁあの女…」

女海賊「やっぱ行先は村長の家の方だ…」


”ママ…聞こえる?”


女海賊「ハッ!!未来…」ガサゴソ


”ママ?返事してママ!!”


女海賊「未来?今何処?」

子供「森の外れを走ってる…場所がまだ分からない」

女海賊「捕まって無かったんだね…おけおけ!心配してたのさ」

子供「心配?」

女海賊「こっちの話…ほんでそっちはどんな状況?」

子供「えとね…ママに大事な話があるんだ…ちゃんと聞いてよ」

女海賊「なにさ…」

子供「ホム姉ちゃんを守って欲しいんだ…もうすぐ殺されてしまう」

女海賊「え!!?どゆ事?」

魔女「これ未来…わらわが話す…貝殻を貸すのじゃ」

女海賊「ちょっと話が良く分かんないんだけど…」

魔女「女海賊や…良く聞くのじゃぞ?」


未来はな…10年後の未来から次元を超えてこちらへ来たと言うておる

10年後に人類は絶滅の危機にあるそうじゃ

その原因を今から一つづつ潰し込もうとして居る

その中の一つがホムンクルスの死じゃ…それを主に防いで貰いたいのじゃ
424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:26:24.92 ID:rXZyBWej0
子供「魔女!僕の方が詳しく話せる…貝殻貰うよ」

女海賊「今あんた達を迎えに来てるんだけどさ…どうすれば良いの?」

子供「ホム姉ちゃんはシャ・バクダ遺跡の中でママが使ってるデリンジャーで殺されるんだ」

女海賊「マジ!?」

子供「そのデリンジャーを何処かに隠すか破壊するか…」

女海賊「迎えはどうすんのさ」

子供「間に合わないかも知れないから僕達は自力で北上する…ママは一旦遺跡に戻って」

女海賊「んんんん…デリンジャー勿体ないなぁ」

子供「ママが持ち歩かなきゃ良いかも」

女海賊「飛空艇に置いたまま狭間に隠し…だぁぁぁぁシャ・バクダ遺跡周辺は狭間に隠せない」

子供「そこら辺に隠せないの?」

女海賊「あんた回収出来る?今シャ・バクダ郊外の南側にある村だよ…馬小屋の屋根裏なんだけど」

子供「おけおけ…そこら辺なら多分通る筈さ」

女海賊「ほんでデリンジャー持たないでどうする訳?」

子供「遺跡に避難してる難民の中に暗殺者が混ざってるんだ」

女海賊「誰?」

子供「僕は知らない…なんとか探してよ」

女海賊「分かった」

子供「後ね…時の王っていう人からママは祈りの指輪を預かる筈なんだ…それも隠した方が良い」

女海賊「祈りの指輪なんか持ってたのかあのおっさん…」

子供「あと何日後に起こるか分からないんだよ…僕達だと間に合いそうに無いからママにお願いしてる」

女海賊「遺跡に戻る…デリンジャーはちゃんと回収して」

子供「うん…もう大丈夫!ママの眼は千里眼で見たから」


タッタッタ
425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:26:51.37 ID:rXZyBWej0

ローグ「姉さん…戻りやしたぜ?」

子供「あ…その声はローグさんだね?」

ローグ「貝殻通じたんすね…今何処でやんすか?」

子供「まだ遠くだよ」

ローグ「そうなんすね…ちっと回復魔法が欲しかったんすが…」

子供「どうして?」

ローグ「エルフが4人捕らえられて居るんすよ…あと盗賊ギルドの仲間2人も居るんすが…」

剣士「未来止まれ…エルフがどうした?」

ローグ「地下牢にエルフ4人とあっしらの仲間が2人捕らえられてて回復魔法が欲しいでやんす」

剣士「分かった…未来!急ぐぞ」

子供「会話ここで終わるね…狭間に入る」


ザザー ザザザ

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426 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:27:18.49 ID:rXZyBWej0
『屋根裏』


ローグ「姉さんどうしやす?」

女海賊「捕らえられてる6人はどのくらい消耗してんの?」

ローグ「エルフはみんな足がやられてて走れんですね」

女海賊「あああそういう事ね…それ多分蘇生魔法が必要なやつだ」

ローグ「あと宿屋の店主と娘さんが捕らえられてるんすが衰弱していやすね…」

女海賊「私の飛空艇にエリクサーある」

ローグ「助けに行くんすね?」

女海賊「こっそりエリクサーだけ渡しに行くとか出来そう?」

ローグ「姉さんは注意引いて貰えやすか?その間にあっしがエリクサー飲ませて来やす」

女海賊「おっけ!!今飛んで来た気球を爆弾で吹っ飛ばす」

ローグ「なんで気球なんか…」

女海賊「アレから女狐が降りて来たんだ…なんかムカつくんだよ」

ローグ「マジすか…そらマズイっすね…宿屋の店主と娘さんが殺されちまいやす」

女海賊「女狐だけどうにかなんないの?」

ローグ「あっしは殺しはやらんのですよ」

女海賊「じゃぁ捕まえてグルグル巻きは?」

ローグ「連れ帰ってどういう事情で盗賊ギルド狙ってるのか吐かせやしょうか」

女海賊「出来る?」

ローグ「姉さん睡眠薬持って居やせんか?」

女海賊「ある…」ポイ

ローグ「作戦はこうしやしょう…姉さんが気球を爆破している間にあっしがエリクサーを飲ませてきやす」

ローグ「その後女狐が気球の様子を見に来た所をあっしが眠らせるんで…そのまま連れ帰りやしょう」

女海賊「おっけ!!」

ローグ「じゃぁちっと待ってて下せぇ…エリクサー取って来やす」ダダ
427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:27:53.89 ID:rXZyBWej0
『村長の家_納屋』


チュドーーーーン モクモク


傭兵1「なんだ!!?今の爆発音は…」ダダ

傭兵2「やばいな…ドラゴンかも知れ無ぇ」

傭兵1「くそう!地下に隠してんだぞ?ドラゴンに見える訳が無ぇ!!」

傭兵2「とりあえず見に行くぞ」ダダ


ローグ「…」---作戦通り---

ローグ「ハイディング!」スゥ



『地下牢』


ピチョン ポタ


ローグ「リリース!」スゥ

エルフ達「…」ギロリ

ローグ「そう怯えんで下せぇ…エリクサー持って来たんで一口づつ飲むでやんす」クィ

エルフ「お前は何者…」ゴクリ

ローグ「今この牢からは出せないんすが直に助けが来やす…辛抱してて下せぇ」

エルフ「足が動かない…ぅぅぅ」

ローグ「分かってるでやんす…魔術師が来るんで治して貰ってから逃げる感じなんす」

エルフ「そうか…感謝する」

ローグ「もう2〜3日の辛抱なんで耐えて下せぇよ?」

エルフ「北の戦いは今どうなって?」

ローグ「あっしも詳しくは知らんのですが毎晩ドンパチやってるみたいでやんす」

エルフ「そうか…」

ローグ「今は体を癒して下せぇ…じゃぁあっしは行きやす」スタ


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428 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:28:21.36 ID:rXZyBWej0
ガチャン ガチャン


店主「グルルルル…」

ローグ「こりゃ一体…」タジ

娘「と…盗賊ギルドの者…だな?ぅぅぅ…」

ローグ「あっしでやんすよ…エリクサー持って来やした…飲んで下せぇ」クィ

娘「お前はローグか…」グビ ゴクリ

ローグ「詳しい話は後にしやしょう…これ店主さんに近付いて大丈夫なんすかね?」

娘「エリクサーの瓶を私に…私が父に与える」

ローグ「なんなんすかコレ…麻薬で狂ってるんすか?」

娘「ライカンスロープ症…生きた血肉が必要なんだ…月光を浴びるとウェアウルフになってしまう病気さ」

ローグ「そうだったんすね…」

娘「牢のカギは無いのか?」

ローグ「2〜3日待って下せぇ…助けがきやす」

娘「正気を維持できるか…」

ローグ「不死者はエリクサーを飲むと正気を保てるらしいんすよ…エリクサーに賭けてくだせぇ」

娘「それは本当か?」

ローグ「あっしはそろそろ行くでやんす…次があるんで」

娘「作戦中か…長居させて済まない」

ローグ「じゃ…どうか無事で」スタ
429 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:29:07.02 ID:rXZyBWej0
『村の広場』


ボゥ メラメラ

火を消すのじゃぁ!!

馬鹿野郎!!雪を被せりゃ済むだろうが


女狐「ど…どうして…」フラ

傭兵「これはドラゴンのブレスでは無いな…荷は何が乗って居た?」

女狐「食料と魔石よ」

傭兵「お前誰かに後を着けられて無いか?」

女狐「ちぃぃやられた…公爵のやつ初めから報酬払う気無かったのね」

傭兵「おいおい下手な事言うもんじゃ無ぇぞ?グハハハ」

女狐「くぅぅ…」ギリ

傭兵「俺は警備に戻る!!精々悔しんでろ」ノッシノッシ

女狐「こうなったら…ハッ!!人影…あの女ね」ダダ


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女海賊「ヤバ…見つかった」スタコラ ピュー

女狐「逃がさないわ!!」ヒュン!グサ

女海賊「痛った!!投げナイフ…」グラ

女狐「フフ麻痺毒よ…あなたは誰!?公爵からの刺客なのでしょう?」


ローグ「リリース!」スゥ


女狐「え?…」

ローグ「バックロロホルム!」ギュゥ

女狐「フガ…ふむむむ」バタバタ
430 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:29:37.63 ID:rXZyBWej0

ローグ「姉さん!行ける所まで走って下せぇ!」

女狐「…」グターーー

女海賊「なんかヤヴァイ!!腕動かない!!」スタタ

ローグ「エリクサー持って無いんすか?」

女海賊「だから腕が動かないんだって!!」

ローグ「とりあえずハイディングしやしょう…」

女海賊「腕が動かないって言ってんじゃん!!」

ローグ「あっしに抱き着いて下せぇ」ダダ

女海賊「早く言え馬鹿!!」クルリ

ローグ「ハイディング!」スゥ

女海賊「ふぅぅぅ…ヤバい目が回る」クラクラ

ローグ「エリクサー何処に隠してるんすか?」

女海賊「右の脇の辺り」

ローグ「触りやすぜ?…てか出血してるじゃないっすか…」ゴソゴソ

女海賊「全然痛く無いんだけど…」ダラダラ

ローグ「飲んで下せぇ…ちっとこのまま応急処置しやす」クイ

女海賊「むぐっ…ヤバい感じ?」

ローグ「ナイフ抜くの躊躇っちまう感じでやんす…抜きやすぜ?」ズボ ダラダラ

女海賊「痛く無いなぁ」

ローグ「傷が塞がるまで押さえとくんでしばらく動かんで下せぇ」ギュゥゥ

女海賊「寝て良い?なんか気持ち悪い」

ローグ「へい…」ギュゥゥゥ

女海賊「おえっ…」グターー

ローグ「あいやや…麻痺毒怖いっすねぇ…」


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431 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:30:13.32 ID:rXZyBWej0
『飛空艇』


ビョーーーーウ バサバサ


女海賊「…」ビクン パチ

ローグ「眼を覚ましやしたね?体おかしく無いっすか?」

女海賊「えーっと…どうなってんだっけ?」

ローグ「姉さんが寝ちまったもんであっしが運んだんすよ…」

女海賊「なんか背中がベタベタ気持ち悪いんだけど」

ローグ「血だらけでやんす」

女海賊「着替えるわ…超キモイし臭い…」ヌギヌギ

ローグ「あっしはこのまま操舵しときやす…」チラリ

女海賊「見たらどうなるか分かってるよね」

ローグ「いやいやまだ見て無いっす」

女海賊「ほんで今何処飛んでんの?」

ローグ「剣士さん達探すんじゃ無いんすか?」

女海賊「予定変わったんだよ…シャ・バクダの遺跡に戻る」

ローグ「えええええ!?そういう事は早く行って欲しいでやんす…反対方向っすよ」

女海賊「なんかホムちゃんが殺されるかも知れないんだってさ」

ローグ「どういう事っすか?」

女海賊「未来がさ…10年後の未来から来たとか言ってんだけど」

ローグ「お!?面白そうな話っすね…」

女海賊「10年後に人類絶滅すんだってさ…ヤバくね?」

ローグ「詳しく聞かせて下せぇ」

女海賊「話はこうだよ…」


カクカク シカジカ

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ローグ「難民に暗殺者が紛れてる…ほんでホムンクルスさんをピンポイントで暗殺…」

女海賊「それを防ぎたいらしいよ」

ローグ「なんでまたホムンクルスさんを狙ってるんすかね?目立った事はしていない筈なんすが…」

女海賊「誰だろ?暗殺者送って来るなんて…」

ローグ「女狐のお銀を問い詰めやしょう」

女海賊「そんな簡単に口割る?」

ローグ「んんん…魔女さんの幻惑の杖でどうすか?」

女海賊「なるなる…それなら行けそう」
432 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:30:41.36 ID:rXZyBWej0
『森の外れ』


シュタタ シュタタ


子供「ソリの跡だ…」

剣士「もうすぐハズレ町の筈…魔女!やっと休めるよ」

魔女「腰が痛くて敵わん…」

剣士「ごめん…揺らし過ぎたね」

魔女「ちと食事もしたいのじゃ…主らと違ってどんぐりでは力が出ぬ」

子供「見えた!!食べ物の匂いもする」クンクン

剣士「少し汚れを落としてから行こう」



『ハズレ町』


ガヤガヤ ザワザワ

避難民は兵舎から出ない様に!!

貴族様から食料の配布だ!!お辞儀を忘れるなぁ!?


衛兵「お前達!!何処から来た?」

魔女「森から逃げて来たのじゃ…水は無いか?」

衛兵「森だと?森に住んで居たのか?」

剣士「あ…あぁ…まぁそんな所だよ」

衛兵「お前がこの子供たちの保護者だな?…ウルフも居るのか」タジ

剣士「ハハ…まぁそうなるかな?」

子供「パパ大丈夫?」

衛兵「ううむ…まぁ良い…しかし随分汚れているな」

魔女「汚れを落としたいで水が欲しい…雪ではなかなか落ちんでのぅ」

衛兵「兵舎に行けば水ぐらいは貰えるがしかし…ひどい匂いだな」

剣士「虫の毒を浴びているかもしれない…早く落としたい」

衛兵「…仕方あるまい…付いて来い」スタ
433 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:31:15.67 ID:rXZyBWej0
『兵舎』


ジャブジャブ バシャー


子供「ぅぅぅさぶい…」ガチガチ

魔女「大人しゅうしておれ」ゴシゴシ

衛兵「衣類は焚火で乾かすのだ…しかしお前達…随分良い装備だがこれをどうした?」

剣士「冒険者なんだよ」

衛兵「子連れで森を冒険だと?」

剣士「おかしいかい?」

衛兵「三角帽子の子供…もしやシン・リーンの魔術師か?」

魔女「…だとしたら何じゃ?」ギロ

衛兵「子供に姿を変えて…」

魔女「うるさい衛兵じゃのぅ…」

衛兵「いや実は避難民に黒死病が蔓延しているのだ…何とか出来ないかと」

子供「出来るよ」

魔女「これ未来!目立つ真似はイカン」

子供「こっそり線虫を使うだけさ」

魔女「ふうむ…」

子供「取引しよっか…食事をくれるなら黒死病を直すよ」

衛兵「おぉ!!丁度貴族様から食料の配布があるのだ…急ぎで持ってくる」

子供「おけおけ!こっそり魔法を掛けておくからお願い」

衛兵「焚火で温まって居てくれ…」スタ

魔女「…では未来!!手並み拝見じゃ…」

子供「線虫!来い…君達の食事だよ?毒を食べて皆を癒して来て」ザワザワ ニョロニョロ

魔女「ほほー…虫も喜ばせるとはのぅ…」

子供「僕が一番大事にしてる魔法なんだ」

魔女「良い心掛けじゃ…その術は自由に使って良い…そして極めよ」

子供「ねぇ魔女?魔術書貸してくれないかな?確認したい事が有るんだ」

魔女「ふむ…無くした記憶を探りたいのじゃな?」バサ

子供「うん…」

魔女「どうじゃ?読めそうかえ?」

子供「…だめだ文字が読めなくなってる」

魔女「そうか…記憶が無ぅなるのは悲しいのぅ」

子供「忘れないうちに何かに書き残そうと思ってたんだけどもう無理だ」

魔女「文字はこれから学べば良い…大事な記憶だけしっかり自分の物にせい」



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434 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:31:42.34 ID:rXZyBWej0
タッタッタ

衛兵「食事を持ってきたぞ…パンとチーズ…それから豚の骨だ…ウルフに与えてやるのだ」

魔女「おぉ!!主は気が利くのぅ…ウルフにも気を使えるのじゃな」

子供「魔法は掛け終わったよ」

衛兵「そうか…魔術師が来ている事は秘密にしていた方が良いのか?」

魔女「いつ魔女狩りに合うか分からんでのぅ…」モグモグ

衛兵「言葉も無い…」

子供「ねぇこの町って市場ある?」

衛兵「在るには在るが金が無ければ何も買えんぞ?」

子供「パパお金持って無い?」

剣士「何が欲しいんだ?」

子供「どんぐりと種だよ」

衛兵「種?ハハハ…それなら安く売って居る」

魔女「わらわが金貨を持って居るぞ?」

子供「僕買い物してくるからさ…パパと魔女は休んでて?」

剣士「一人で行けるのか?」

子供「大丈夫だよ」

衛兵「俺が市場まで案内してやる…見回りで行く用事もあるのだ」

子供「魔女!金貨1枚頂戴!!触媒も在ったら買って来るよ」

魔女「ほぅ?わらわはちと眠るで頼もうかのぅ…」チャリン

子供「ありがと!!じゃぁ行って来るよ」スック

衛兵「こっちだ…付いて来い」スタ


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435 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:32:15.11 ID:rXZyBWej0
魔女「さて剣士…未来はあのままで良いのか?」

剣士「少し考えたんだ…未来の進む道はこの向こうに在るのかも知れない」

魔女「この次元と交差しておると言うか?」

剣士「そんな気がする」

魔女「予言を見たのではなく未来から来たとはのぅ…」

剣士「夢幻から来たんだよ…みんな同じさ…覚えてるか覚えていないかの差だよ」

魔女「いかんな…時空の成り立ちをもう一度見直さねばならぬ」

剣士「未来の言う事に従ってみるさ…それで世界が良い方へ転ぶなら…本当の勇者は未来だという事になる」

魔女「ふむ…」

剣士「未来の行動が楽しみだよ…何が在っても僕が守る」

436 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:32:44.07 ID:rXZyBWej0
『数時間後_夜』


メラメラ パチ


子供「…遅いなぁ」イライラ

ウルフ「クゥ〜ン」


スゥ…


魔女「おぉ未来!帰って居ったか」

子供「十分寝た?」

魔女「そうじゃな…何日振りで休んだのじゃろうのぅ…」

子供「あれから2時間くらいかな…狭間の中だと10時間くらい寝た感じだね?」

魔女「うむ…剣士はまだ瞑想中じゃ…もうちっと掛かるじゃろう」

子供「触媒買ってきたよ…」ドサ

魔女「少ないのぅ…」

子供「沢山売って無いのさ…硫黄なんか何処にも売って無かった」

魔女「女海賊の飛空艇に沢山積んで在ったで一度取りに戻りたいのぅ…」

子供「森で使い過ぎちゃったね…補給も出来なかったし」

魔女「主はエレメンタルは使わんのか?」

子供「得意じゃない…変性と幻術だよ」

魔女「どの様に魔物と戦うのじゃ?」

子供「僕は破壊術で戦わないんだ…成長魔法で戦う」

魔女「如何に?」

子供「魔物にどんぐりを撃ち込んで成長させる」

魔女「クヌギの木にすると言うか?」

子供「そうだよ…それで魔物は干からびる」

魔女「なるほどのぅ…生かす魔法か…ふむそれも良いのぅ」


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437 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:33:10.95 ID:rXZyBWej0
スゥ…


剣士「…待たせた」

子供「重力の方陣はこんな感じだよ…」カキカキ

魔女「もっと正確に書けんのか」

子供「覚えてるだけだとここまでしか分からない」

魔女「むぅぅ…覚えてる限りすべて記せ」

剣士「何をしている?」

魔女「おぉ剣士!未来が古代魔術の魔方陣を知って居るのだ」

子供「パパ遅いよ!!」プン

魔女「これ未来!魔方陣を記せ」

子供「もう覚えて無いって!オークがこの方陣の呪符を持ってるから貰えば良い」

剣士「オーク?」

子供「うん…オークシャーマンが使う呪術は魔女が研究してる古代魔術なんだ」

魔女「わらわはオークの地へ行かねばならん様じゃ」

子供「それは後でだよ!早くドリアードの所に行ってアダムを停止させないと…」

剣士「未来…ずっと寝て居ないけど大丈夫か?」

子供「眠ってる暇なんか無い…早く行こうよパパ」

剣士「フフそうか…魔女は休息したね?」

魔女「うむ…」

剣士「行こうか…未来がヘソを曲げてしまう」

子供「ここからシャ・バクダまで狭間に入って急げば日が昇る前にエルフ達を助けられる」

剣士「そうだな…急ごう…魔女乗って」グイ


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438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:33:43.24 ID:rXZyBWej0
『シャ・バクダ郊外の村』


シュタタ シュタタ


子供「…この村で間違い無いよ」

剣士「エルフが捕らえられて居るのは何処だか分かるか?」

子供「高台の納屋のある家さ」

剣士「動く人の気配がある…」クンクン

魔女「何人か分かるかえ?」

剣士「2人…」

魔女「わらわが睡眠魔法で眠らせるで死角から近づくのじゃ…」

子供「パパ?僕は馬小屋探してママの荷物回収してくる」

剣士「分かった…パパの後を追えるな?」

子供「大丈夫!」

剣士「魔女!行くよ…掴まって!」シュタタ

子供「子ウルフは僕に付いて来て!」シュタタ
439 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:34:12.48 ID:rXZyBWej0
『村長の家の前』


ヒソヒソ


シャ・バクダ砦の方は静かになったな?ドラゴンは引き上げたか…

あんな遠くから此処が見えるとは思えんのだがどう思うよ?

いいや…見えているらしいぞ?

しかしまぁいつまで続くんだろうな?エルフとドラゴンの攻撃は

砦が粘ってるんだろうが此処もそろそろ危無ぇ…潮時だとは思うんだが…



カサカサ


傭兵1「んん?又ウルフが来たか?」スラーン

傭兵2「グハハ俺ら相手じゃウルフなんざ何匹来ても敵いっこ無ぇ!…何処だ?」

傭兵1「この甘い匂いはなんだ?」クンクン

傭兵2「やべぇ…こりゃ何かの魔法だ!!」

傭兵1「おい女が歩いて来るぞ?」フラ

傭兵2「女?村長じゃ無いのか?」フラ


ノソノソ


魔女「既に術に掛かって居るで大丈夫じゃぞ?」

剣士「エルフ達も眠ってしまったのでは?」

魔女「恐らく一緒に術に掛かって居るが起こせば良い話じゃ…地下牢を探すぞよ」ノソ

剣士「納屋を探そう…」スタ
440 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:34:39.36 ID:rXZyBWej0
『地下牢』


ピチョン ポタ


剣士「居た!!」スタタ

魔女「慌てるで無い…まだ時間はある故牢のカギを開けるのが先じゃ」

剣士「鍵…」キョロ

魔女「牢の見張りじゃろう…寝転がっておる」

剣士「どこだ?」ゴソゴソ

魔女「あまり揺らして起こすで無いぞ?」


見張り「すぅ…すぅ…」ムニャ


剣士「有った!!」チャラ

魔女「牢を一つづつ開けて行くのじゃ…ふむ聞いた通りエルフの足は蘇生が必要じゃな」

剣士「起こそうか?」カチャ ギー

魔女「驚かせん様にな?騒ぐと皆起きてしまうやも知れぬ…蘇生魔法!回復魔法!」ボワー

剣士「あれ?…寝てる訳じゃ無い…瞑想だ」

魔女「これ!次の牢も開けよ…起こすのは後で良い」ノソノソ

剣士「…そうだね」カチャ ギー


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441 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:35:18.74 ID:rXZyBWej0
『傷んだ牢屋』


カチャリ ギー


剣士「…この2人…どこかで見たことがある」

魔女「ローグが言うて居った盗賊ギルドの仲間じゃな…わらわも見た事有るのぅ…誰じゃったか」

剣士「どうしてこの牢屋だけこんなに傷んでるんだろう…」

魔女「暴れたのでは無いか?回復魔法!」ボワー

剣士「この2人…」クンクン

魔女「どうしたのじゃ?」

剣士「懐かしい匂いがする…誰だ?」

魔女「驚かさん様に起こしても良いぞ?」


ガチャン


剣士「マズイ…入り口の鍵が掛かる音だ」

女の声「フッフッフ…掛かったな白狼の一味」

剣士「罠だったのか!?」

女の声「そうとも白狼の尻尾を餌にお前達を釣ってみたのだ…まんまと罠に掛かって片腹痛い」

魔女「誰じゃ?姿を現せい!」

女の声「おやおや塔の魔女も一味だったとは通りで手こずった訳だ」

剣士「魔女…ハイディングの準備を」

女の声「無駄な抵抗だ白狼どもよ…お前達は既に牢の中だと知れ」

魔女「何故主だけ眠らぬのじゃ?」

女の声「時の王がどうやって過ごしていたのか忘れたのか?」

魔女「ハッ!!しもうた!!魔結界…」

女の声「ハッハッハッハ…さてこれで私を邪魔する者は居なくなった」

魔女「わらわ達を捕らえてどうするつもりじゃ!?」

女の声「私の同胞達の無念を晴らす」
442 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:35:47.38 ID:rXZyBWej0

魔女「何が無念じゃ!!わらわの父は幻惑の杖に操られ不本意に死を遂げたのじゃぞ?」

女の声「不本意とは心外…人類の未来の為に命を捧げた…しかし未来を見る事が叶わなかったのはお前達のせいだ」

魔女「ぐぬぬ屁理屈を…」

女の声「さて白狼…いや白い悪魔め…お前の行いでどれほどの犠牲が出たか自覚は有るのか?」

剣士「犠牲?」

女の声「自覚して居ない様だな…お前が100日の夜を起こすきっかけを作り更に祈りの指輪まで持ち去った…」

女の声「これでどれだけの人の命が失われたと思う?」

女の声「なぜ早々に闇を集め無かった?無知か?それとも外道か?」

剣士「う…」

魔女「こやつの言う事を聞いてはイカン…それは結果論じゃ」

女の声「結果がすべてでは無いのか?塔の魔女よ…良い結果になる様に導くのだろう?お前にはそれが出来ていない」ドン!

魔女「すべてわらわ達が悪い様に解釈して居る様じゃな…主は何を導けたと言うのじゃ!!」

女の声「少なくとも!!10年先に起こるであろう厄災に備え数千の人間を既に退避させた…それでお前達は何をした?」

魔女「…」

女の声「何もしていない…只私の邪魔をしていただけだ」

魔女「主は魔王に魂を売ったのか?」

女の声「事あれば魔王…すべて魔王が悪い…そういう風だからお前達は進歩しない!!魔王なぞ利用すれば只のエネルギーだ」

魔女「それほど甘くは無い!!主の方こそ何も理解して居らぬ!!」

女の声「フッフッフ…話が平行線…無駄だな」

魔女「剣士!!あ奴を倒すぞよ?爆裂魔法で牢を破壊する故わらわを守れ!!」アブラカタブラ

女の声「そうはさせるか!永遠の眠りに付け」


ピーヒョロロー ピロピロピー


剣士「笛?…」

魔女「こ…これは妖精の笛…」ヨロ

女の声「フハハハハハ…アーッハッハハ」

剣士「なんだ…目が霞む…」フラ

女の声「キラーマシン!来い!!」


ウィーン ガシャ ウィーン ガシャ


魔女「くぅぅぅ…ここまで…か」ドタリ

剣士「み…未来…」フラ ドタリ
443 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:36:16.25 ID:rXZyBWej0
『馬小屋_屋根裏』


ガサゴソ ガサガサ


子供「有った!!やっと見つけた…」

子供「弾は?」カチャカチャ

子供「入って無いかぁ…えーと…火薬はまだある…10発撃てるかどうか」

子供「どんぐり行けるかなぁ…」ツメツメ

子供「おぉぉ流石ママ…弾が回転する様にちゃんと砲身に溝切ってる…よしよし」


子ウルフ「ガウルル…ガウガウ」


子供「んん?どうしたの?」

子ウルフ「ガウ…ハッハッハッ」ドタバタ

子供「え?機械の匂い?」クンクン

子供「本当だ…この油はキラーマシン…なんでだ?」

子ウルフ「クゥ〜ン…」バタバタ

子供「何かマズい事起きてるんだね?」

子ウルフ「ワン!」

子供「行こう!!」シュタ


シュタタ
444 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:36:58.23 ID:rXZyBWej0
『村長の家の納屋』


ウィーン ガシャ ウィーン ガシャ


子供「なんでキラーマシンが居るんだ…」ヒソ

子ウルフ「クゥ〜ン…」

子供「納屋の中に女の人が居る…あの人が操ってるのかな?」

子供「あ…出て来た…誰だろうあの人」


女「キラーマシンよ待機だ…万一に備えて私も武器を持ってくる」

キラーマシン「プシュー…」ピタリ


子供「パパ達が見つかったんだ…」ヒソ

子ウルフ「ハッハッ…」

子供「あ…あの笛は妖精の笛…あれで眠らせられたのか」

子供「子ウルフ!あの笛を奪って来て!!」

子ウルフ「グルルル…」シュタタ


シュタタ ピョン!


女「何ぃ!!ウルフだと!?」ドタッ

子ウルフ「ガァァァ…」ガブ

女「キラーマシン!!ウルフを追い払え!!」

キラーマシン「ウィーン…ガシャ」バシュン グサ

子ウルフ「ギャイーーン…」シュタタ

女「このぉ!!笛を返せ!!」ダダ


ターン! バチン!


女「つあぁ!!…こ…子供?」
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:37:33.02 ID:rXZyBWej0
子供「線虫!子ウルフを癒せ!!」ザワザワ ニョロリ

子ウルフ「ガウ…」ヨタヨタ

子供「今ボルトを抜いてあげる…」ズボォ

子ウルフ「ギャフン…」

子供「回復魔法!」ボワー


女「君は何処から来たのかね?その笛を返したまえ…」スタスタ


子供「動かないで!!」スチャ

女「何の真似かね?」

子供「公爵だね?」

女「…」ギロリ

子供「やっと見つけたぞ!!アダムの秘密を話して貰う!!」

女「お前!!魔術師だな?ちぃぃ…まだ白狼の仲間が居たとは…」


ターン! バチン!


女「ぐぁ!!」

子供「動くと撃つ!!」

女「なんのこれぐらい!!キラーマシン!!敵を排除だ!!」ダダ

子供「くそう!!成長魔法!!」ニョキニョキ ズドーン

女「地面から突然木が生えるだと?…ええい」

キラーマシン「ウィーン…ガチャコン!」バシュン バシュン

子供「ズルいぞ遠距離ばっかり!!」ヒラリ

キラーマシン「ガチャコン!プシュー」

子供「当たれぇ!!」ターン ターン カキン

キラーマシン「ウィーン…ガチャコン!」バシュン グサ

子供「くぅぅ…キラーマシンにどんぐりは効かないか…成長魔法!」ニョキニョキ ズドーン

女「ハッハッハ…私の勝ちだな…笛を返すのだ」スタスタ
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:38:02.24 ID:rXZyBWej0
子供「近寄るな!!」カチ カチ

女「弾切れかね?次は魔法でも撃つか?ハハハハ…」

子供「これでも食らえ!!火魔法!」チリチリ ポイ


モクモクモク


女「煙か…そんな物がキラーマシンに通用する物か…さっさと敵を排除しろキラーマシン!」

キラーマシン「ウィーン…ガチャ」ドスドス

子供「これならどうだ!!」


ピーヒョロロロロ ピーーーー


女「しまった!!お前はその笛の効果を知って…」

子供「僕の勝ちだよ…ぅぅぅ」ダラダラ

女「ちぃぃぃキラーマシン!!排除は中止だ!!私を守って基地へ逃走しろ」

子供「そうは行くか!!火炎魔法!」ボゥ ボボボボ

キラーマシン「ウィーン…」ドスドス ガバ

子供「くっそ!!邪魔だよコイツ!!」シュタタ

女「早く私を連れて基地へ…」ヨロ

キラーマシン「プシュー…」ドスドス

子供「待てぇ!!アダムの秘密をまだ聞いて居ない!!」シュタタ

女「…」zzz

子供「寝ちゃたか…」ヨロ ダラダラ

子ウルフ「クゥ〜ン…」

子供「僕も出血が酷い…線虫!癒せ!」ニョロリ


キラーマシン「…」ドスドスドス


子供「ダメだ追い付けない…ハァハァ」

子供「頭がクラクラする…マズいぞ僕は寝ちゃいけない」ヨロヨロ

子供「パパと魔女を探さなきゃ…」フラフラ
447 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:38:33.89 ID:rXZyBWej0
『納屋_地下牢へ続く鉄扉』


ハァハァ… ヨロ


子供「クヌギを育てて扉が壊せるか…成長魔法!」ニョキニョキ 


メキメキ バリバリ


子供「鉄には敵わないか…どうしよう」

妖精「ハロハロー!!呼んだ?」ヒラヒラ パタパタ

子供「あぁぁ妖精さんか…鉄の扉を開ける方法知らないかな?」

妖精「鍵で開けたら?」

子供「鍵が無いんだよ」

妖精「じゃぁ開けられる訳無いよね?」

子供「ハハ…どうしようかなぁ」

妖精「横の石の部分をどうにかしたら?」

子供「お?君賢いね?」

妖精「役に立ったかな?」

子供「助かったよ…石の隙間に爆弾詰め込んで…」チリチリ

妖精「君の鞄の中に入っておくからさ…用があったら又呼んで?」スポ

子供「やばやば…隠れる所が無い…」シュタタ


ドーン! パラパラ


子供「くあぁぁ…も…もう納屋がボロボロだ…」タラー

子ウルフ「ガウガウ!!」シュタタ

子供「よし…下に行けそうだ」フラフラ

448 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:39:13.41 ID:rXZyBWej0
『地下牢』


ピチョン ポタ


子供「パパ!!魔女!!起きて?」ユサユサ

子供「ダメだ…しばらく起きないやつだ…困ったなぁこんな所で足止めされちゃ…」


スッ…


子供「うわぁ!!」タジ

エルフ1「君は誰だ?私達を助けに来たのか?」

子供「ビックリしたぁ…いきなり背後に立たないでよ」

エルフ2「牢が空いてるわ…何が在ったのか話せる?」

子供「助けに来たんだけど公爵っていう人の抵抗が有ったんだ…みんな眠らされてしまったんだよ」

エルフ1「シーーーーッ…表で人間の気配がする」

エルフ2「君は子供の姿をしているが戦えるのか?」

子供「一応魔法は使えるよ」

エルフ1「気配が増えている3人…いや4人か…」

子供「ここに入って来るには大人じゃ入って来れない…外に出る鉄の扉も閉まってるんだ」

エルフ1「まだ閉じ込められているのか…」

エルフ2「戦うにしても武器が無いわ…麻痺毒にやられるのがオチよ」

子供「僕の魔法で麻痺毒は無効に出来る…やってあげようか?」

エルフ1「それは助かる」

子供「虫が体の中に入るから我慢して…線虫!癒せ!」ザワザワ ニョロリ

エルフ1「うぅ…こ…これは…」モゾモゾ

子供「無害だから大丈夫」

エルフ2「麻痺毒は良いとしてどうやって戦うの?」

エルフ1「何か持って居ないのか?」

子供「僕の武器は渡せない…あ!!寝てる見張りが武器を持ってる」

エルフ1「おぉ!!剣だ…」スチャ

エルフ2「他には?」

エルフ1「無い…」
449 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:39:42.97 ID:rXZyBWej0

ドンドンドン ガチャガチャ

どうなってんだこりゃ!!納屋が破壊されてるじゃ無ぇか!!

地下牢の鍵は誰が持ってんだ?探して来い

俺は寝てる奴ら叩き起こして来る!!

見ろ!!血痕だ!!昨夜何か有ったんだ…見張りは何やってたんだ!!


エルフ1「騒ぎ始めたな…他の2人も瞑想から連れ戻すんだ」

エルフ2「分かった…直ぐに戻るわ」スゥ

子供「テーブルの木材を加工して簡単な槍なら直ぐに作れるよ」

エルフ1「欲しい…3つ頼めるか?」

子供「おけおけ…ちょっと待って」


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450 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:40:11.40 ID:rXZyBWej0
『10分後』


ガーン ガーン ガーン

くそう!!斧の歯が立た無ぇ…誰だ!!鍵持ち歩いてんのは!!

村長の姿が見当たらんのだがどうする?これじゃ俺らヤバく無いか?

まず捕らえてるエルフ共がどうなってるのか確認が先だ


ボエーーーー ギャーーース


ちぃぃ…ドラゴンが上を旋回していやがる

慌てるな!!ここに隠してるのは見られて居ない筈だ…ありゃ様子を見に来ただけだ

一応弓を装備させるように伝えて来る!



子供「よっし!!これで3つ目…変性魔法!」シュワワ

子供「硬化樹脂の槍だよ…簡単な鎧なら貫ける」

エルフ1「君は何者だ?」

子供「教えて無かったね…そこで寝ているのが勇者と塔の魔女だよ…それで僕は勇者の子さ」

エルフ2「ええ!?ではエルフゾンビが言って居た事は本当だって言うの?」

子供「何を聞いたのか知らないけどエルフゾンビさんは知り合いだよ…精霊樹を守って居るよね」

エルフ1「…どうやらウソでは無さそうだ」

エルフ2「この状況をどうやって脱出するの?」

エルフ3「静かに…7…8人か」クンクン

エルフ4「隠れて機を伺おう」ピョン シュタ

子供「へぇ?スゴイな…天井に張り付けるんだ…」

エルフ1「君も物陰に隠れるんだ」

子供「僕だけ隠れて外に出られるんだよ…何とかしてみる」

エルフ2「人間8人を一人で相手すると言うの?」

子供「眠らせてみる」

エルフ1「扉はどうする?」

子供「うーん…爆弾がもう無い…どうしようかなぁ…」

エルフ2「人間達が扉を開けるのを待って眠らせる事は出来そう?」

子供「お?行けるかも!!」

エルフ1「扉が開けば寝ている者を背負って脱出してやる」

子供「おけおけ…扉からは離れていて?一緒に眠ってしまうと困るから」

エルフ1「分かった…」
451 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:40:40.62 ID:rXZyBWej0
『地下牢へ続く鉄扉』


カチャカチャ


傭兵1「くそう!!鍵師じゃ無ぇと開けられ無ぇ!!」ドン

傭兵2「横の穴をどうにか広げられないか?」

傭兵1「こりゃ石だぞ?爆弾でも無いと無理だ!!それより村長は居ないのか!?」

傭兵2「キラーマシンも居なくなってるんだ…俺らに何も言わずに何処かへ行った様だ」

傭兵1「けっ!!又か…まぁ居なくて良かったという見方もある」

傭兵2「この穴じゃいくらエルフでも通れないよな?」

傭兵1「…」ギロ

傭兵2「なんだ?その顔は…何か思いついたな?」

傭兵1「昨夜女を見たよな?覚えて無いか?」

傭兵2「おぉ夢かと思ってたんだがよ…」

傭兵1「女ならこの穴を通れるかも知れ無ぇ…つまりもうエルフは逃げた可能性がある」

傭兵2「じゃぁ扉はエルフが鍵を閉めたと言うのか?」

傭兵1「俺ら全く無意味な事してるかも知れんぞ?」

傭兵2「どうすんだよ…」

傭兵1「村長がなんかスゲェ武器使ってただろ…探してこい」

傭兵2「勝手に使うのか?そんな事したらぶっ殺される」

傭兵1「無意味な事に時間使ってても只じゃ済ま無ぇだろ…使い終わったら元に返せば良いんだ」

傭兵2「悪いが俺は関りたく無ぇ…お前が取りに行け!」

傭兵1「けっ!!ヘタレ野郎が…無理矢理扉ぶっ壊して突入すっから仲間集めとけ」ドスドス

452 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:41:16.85 ID:rXZyBWej0
『しばらく後』


ドスドス


傭兵1「どけどけぇ!!こりゃ俺の独断で村長の武器を使ってる…お前等は見なかった事にしろ」

傭兵達「扉をぶっ壊したら突入すれば良いんだな?」

傭兵1「そうだ!!もし逃げられてたら全員何処かへトンズラしろ…分かったな?」

傭兵達「お…おう!!」

傭兵1「いくぞ?」スラーン


子供「…」---あの武器は破壊の剣だ---


傭兵1「ふん!!」スパ スパ ゴトン

傭兵達「おぉぉぉ!!」


子供「…」---今だ!!---


ピーヒョロロロロー ピロピロピー


傭兵1「何!?笛の音…」キョロ

傭兵達「木の上にガキが居るぞ!!」

傭兵1「ガキが中に入り込んで居たのか?構わん!!弓を撃て!!」

傭兵達「にゃろう!!」ギリリ シュン

子供「そんな弓じゃ当たんないよ!」ヒラリ

傭兵1「くっそこんな木!切り倒してやる!!」ブン スパ


メリメリ ドシーン!
453 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:41:45.76 ID:rXZyBWej0

子供「こっち!こっちー!!」ピョン クルクル シュタ

傭兵1「ガキがちょこまかと…」ドスドス ブン!

傭兵達「ぐぁぁぁぁ!!…エ…エルフが出て来た!!」

傭兵1「何だと…」タジ

傭兵達「エルフが武器を持ってる…」タジ

傭兵1「くそがぁぁ!!」ダダダ ブン

エルフ1「遅い!!」ヒラリ

傭兵達「させるか!!」ギリリ シュン グサ

エルフ1「ウッ…」

傭兵1「出入口は一つだ!!弓を撃ちまくれ!!」


シュン シュン シュン シュン


傭兵1「ガハハ出て来れまい!!その矢は麻痺毒を塗ってある…当たりゃ動けん筈だ」フラ

傭兵達「ぅぅ…なんだ?眠気が…」フラ

傭兵1「撃てぇ…撃て…」ドタリ


子供「よし!!作戦成功!!出て来て良いよ」

454 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:42:16.46 ID:rXZyBWej0
『壊れた納屋』


ザワザワ

何が起こっとるんじゃろう?

エルフに納屋を壊されたんじゃ無いの?

え?まさか…

エルフが怪我人を運んで…



子供「村の人が集まり始めた…騒がれる前に逃げた方が良い」

エルフ1「一旦森へ身を隠す…良いな?」

子供「うん…ついて行くよ」

エルフ1「急ぐぞ…」シュタタ


ザワザワ

上を見よ…ドラゴンじゃ

キャァァァ!!降りて来る…皆逃げてぇ!!


ギャオーーーース バッサ バッサ

455 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:42:51.81 ID:rXZyBWej0
『森の端』


ドサリ


エルフ1「よし…ここまで来れば逃げ延びたも同然…」

エルフ2「これだけ揺られても全然起きないのね…この人達」

子供「何をしてもしばらく起きないよ」

エルフ2「このままでは凍死してしまう…木の洞の中へ」ヨッコラ ドサリ


宿屋の娘「ぅ…」ピク


子供「あ!!動いた…」

宿屋の娘「こ…ここは?」キョロ

エルフ1「森の端だ…私達はこの3人に助けられたのだ」

宿屋の娘「ロ…ローグの仲間ね?」

子供「お?ローグさんを知ってるんだね?」

宿屋の娘「君は誰かな?そして2人はどうして倒れて?」

子供「公爵っていう人に眠らせられたんだよ」

宿屋の娘「公爵?何故公爵が…話が良く分からない」

子供「そっか…何も知らないんだ」

エルフ1「兎に角この子のお陰で無事に地下牢は脱出出来た」

宿屋の娘「おいオヤジ!起きろ!!」ユサユサ


宿屋の店主「…」パチ キョロ


宿屋の娘「変体寸前だよ…気は確かか?」

宿屋の店主「わ…私はいつからこうなって居る?ガググ…喉が…」グルル

子供「二人ともウェアウルフなんだね?」

宿屋の娘「この尻尾を見られたら言い逃れ出来ないねぇ…」フリフリ

子供「匂いで分かるさ」

エルフ1「…妙な組み合わせだ」

宿屋の店主「血が欲しい…グルル…喉が焼ける」

子供「少しならエリクサーあるよ」ゴソゴソ

宿屋の店主「エリクサー?」

宿屋の娘「貰っておくと良い…それを飲むと喉の渇きが癒える」

子供「はいどうぞ…」スッ

宿屋の店主「ガググ…済まん」ゴクリ



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456 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:43:26.74 ID:rXZyBWej0
子供「少し疲れたみたいだ…」フラ

エルフ1「木の洞の中で少し休むと良い…周囲の警戒は私達が…」

子供「そうも言って居られないんだよ…僕は早くドリアードの所に行かなきゃ」ヨタヨタ ドサ

宿屋の娘「んん?良く見たら顔色が悪い…エリクサーが必要なのは君の方じゃないのかい?」

子供「もう血は止まってるさ…きっと大丈夫だよ」

エルフ1「寝ている2人が起きるまでは休んでいた方が良い」

子供「待って居られないんだよ…僕は今すぐにでもドリアードの中のアダムをどうにかしたいんだよ」

エルフ2「ちょ…ちょっと待って!!どうしてそれを貴方みたいな子供が知って?」

子供「色々事情があるんだ…ただ今やらないと人間もエルフもみんな絶滅してしまう」

エルフ1「話が飛び過ぎてて理解出来ない」

子供「まぁ良いや自分で何とかするさ…」スック

宿屋の娘「ちょっと待て…寝ている2人はどうする?このまま放って置くのか?」

子供「あと10時間は起きないと思う…それまで待てないんだよ」

宿屋の娘「一人で行くと言うの?君はまだ子供だろう?無謀すぎる」

子供「じゃぁパパと魔女を背負って一緒に来てよ」

宿屋の娘「なに?…なんで君の言う事を私が聞かないといけないんだ?」

子供「助けてあげたお礼…それじゃダメ?」

宿屋の娘「う…なんか子供じゃ無いみたいな言い分を…」

エルフ1「ここから北は激戦区になる…君の消耗具合を見ると危険が過ぎる」

宿屋の娘「一度どこかで休息するべきだ」

子供「じゃぁ僕を背負って連れて行って?背中で休むよ」

宿屋の娘「どうしてそこまで急ぐの?」

子供「さっき言ったじゃない…早くアダムを破壊しないと光る隕石がいつ飛んで来るか分からないんだ」

宿屋の娘「アダム?…そのアダムが何日か前の光る夜を起こした?」

子供「まぁそんな感じ…それが飛んで来ると人間もエルフも絶滅するんだ…僕達はそれを防ぐために北を目指してる」

エルフ1「…それが本当だとすると急ぎでハイエルフに報告しなければ…」

子供「こうしよう…パパと魔女をシャ・バクダ遺跡まで送って欲しい」

宿屋の娘「君はどうする?一人では行かせられないぞ?」

子供「僕は遺跡に戻れない事情がある…ドリアードを目指すさ」

宿屋の娘「ダメだそんな事!!子供一人で行かせる訳には行かない」グイ

子供「子供子供ってうるさいな!!…尻尾切っちゃうぞ?」スラーン

宿屋の娘「待て!!その武器は…村長が使っていた剣…」タジ

子供「これでアダムを破壊する…それですべて終わり…じゃぁ行くね」ヨタヨタ



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457 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:43:56.86 ID:rXZyBWej0
宿屋の娘「待って!!話を聞くんだ」グイ

子供「うるさい人だなぁ…遺跡に行ったらローグさん達が居るから詳しい話はそっちで聞いてよ」

宿屋の娘「ローグ達が遺跡に?…フィン・イッシュ側に付いて居るのか?」

子供「もう…説明が面倒なんだよ!!アサシンさんとか女戦士とか皆居るからそっちで聞いて!!」グイ

宿屋の店主「ゲフゲフ…アサシンが居るだって!?」

宿屋の娘「これは驚いたね…敵側に居たとは…」

子供「そこら辺の事情は良く分からないけど…向こうはセントラル側の人が敵だとは思って無い」

宿屋の娘「オヤジどうする?」

宿屋の店主「私達が行って受け入れられるのかどうか…」

子供「行けば分かるでしょ…じゃぁ僕は行くね」ヨロ

宿屋の娘「待て待て待て…一人じゃ無謀すぎる…君だけ行かせる訳に行かない」グイ

子供「放してよ!!尻尾切るぞ!!」


トン!


子供「うぁ…」グター

エルフ1「助けて貰って悪いが一度帰った方が良い…護衛は私達が付くから遺跡へ向かえ」

宿屋の娘「分かった…私達は寝ている2人を背負うからこの子は任せる」

エルフ2「私が背負うわ…行きましょう」


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458 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:44:28.19 ID:rXZyBWej0
『夢』


君「おっけ!」

僕「フフ僕の真似?」

君「おかしい?」

僕「まぁね?でもそのままで良いよ…ヘンテコな話し方も良い感じさ」

君「私ヘンテコか?」

僕「いや…多分僕の話し方がヘンテコなんだ」

君「ヘンテコ…」

僕「アハハハヘンテコだなぁ…」


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459 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:44:57.94 ID:rXZyBWej0
僕「やっと見つけたぁ!!今日はここで寝よう」

君「古いキャンプ跡があるわ?」

僕「あんまり人が通らないんだね…まぁ誰も居ないなら水場も使い放題じゃない?」

君「私水浴びしたい」

僕「うん…僕は周りにどんぐり植えて虫除けの方陣貼って来る」

君「虫除け?」

僕「そうだよ…安心して寝られる様に虫に守らせるんだ」

君「今日はゆっくりして良いの?」

僕「でもね?クヌギの木の皮剥いで馬車を補強した後ね…オーツ麦の種も収穫したい」

君「分かったわ…毛皮は私が洗う…その後ゆっくりする」

僕「じゃ水浴び行っておいで」


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460 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:45:29.42 ID:rXZyBWej0
君「オーツ麦出来てる…食べる?」

僕「うん…君は味見した?」

君「まだ…」

僕「待っててくれたか」

君「ウフフ…あなたも裸」

僕「全部洗って来たよ…真っ黒だった」モジ

君「恥ずかしいか?」

僕「そりゃ恥ずかしいさ…なんかこんな荒野で2人裸なのは変だよ」

君「これ食べて…」スッ

僕「おぉ!!ホクホクだぁ」モグ

君「美味しい?」

僕「すごい久しぶりに調理した物を食べる…美味しい!」モグ

君「焼いたどんぐりもある」スッ

僕「殻も剥いたんだ?」ホクホク

君「…」ニコニコ

僕「君も食べたら?」

君「うん…」パク ハムハム

僕「む…牙が無いと食べ辛い?」

君「少し…」ハムハム


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君は…誰だ?

もっと良く顔を見せて…
461 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:45:59.33 ID:rXZyBWej0
『数日後_シャ・バクダ遺跡』


ガヤガヤ ザワザワ

配給だぁ!!ワームの肉だが中々美味い!!

セントラル領じゃこんな物食わないんだが…

まぁ食って見ろや!シカ肉より柔らかいんだぞ?


女戦士「未来はまだ目を覚まさんか?」

情報屋「そうね…エリクサーは少しづつ与えてるから体力はちゃんと回復してるわ?」

女戦士「魔女が未来の記憶を心配していてな…」

情報屋「啓示の話ね?」

女戦士「それもあるが精神分裂症の恐れがあるらしい」

情報屋「起きても無理に思い出させる様な事はしない様にするわ」

女戦士「うむ…」

情報屋「シャ・バクダ砦のゴーレム討伐はどうなって?」

女戦士「まだ帰って来ていない…未来が持って帰った妖精の笛で上手くこちら側に付けば形勢逆転なのだがな…」


タッタッタ


盗賊「おーい!!飛空艇が帰って来たんだが女海賊以外全員眠っちまった様だ…運ぶの手伝ってくれ」

女戦士「ゴーレムの使役は上手く行ったのか?」

盗賊「分からんのだとよ!ゴーレムも動かんらしい」

女戦士「そうそう上手く行かんか…」



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462 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/11/28(日) 15:46:29.69 ID:rXZyBWej0
ヨッコラ ドサリ

ローグ「フゴー…」zzz

商人「むにゃ…」zzz

魔女「すぅ…」zzz

剣士「すゃ…」zzz


女海賊「魔結界で大丈夫とか言ってたのにさ…魔女まで寝ちゃってどうにもなんないさ」プリプリ

盗賊「お前が寝なくて良かったな?全滅しちまう…」

女海賊「コレどういう仕組みなんだろ?なんで吹いてる私に効果無いん?」

女戦士「それが救いだな…使い方次第という事か」

女海賊「ほんでどうする?ゴーレムは全部で3体だよ…シャ・バクダ砦に2体と北の方に1体」

女戦士「アレが居る以上私達も動けんのだ…魔女の隕石では被害が大きすぎるからその笛でどうにかしたい」

女海賊「明日一人でもっかい試してみるわ…寝かせた後皆を迎えに来れば良いよね?」

女戦士「う〜む…万が一を考えると危険なのだが…」

女海賊「アヌビスのおっさんとリカオン姉さんは何処行ったん?」

女戦士「アサシンと共にオアシス砦に行って居る…女狐の尋問だ」

女海賊「魔女に尋問された後で何もしゃべる事無いんじゃ無いの?」

女戦士「アサシンは女狐を高く評価している…2重スパイをさせたいのだ」

女海賊「なるほどねぇ…盗賊ギルド復活しそうだね」

盗賊「俺ぁあの女気に入ら無ぇんだがよう…又裏切りそうじゃ無ぇか?」

女戦士「幻術の杖で既に使役された状態だからな…使える者は使いたいのだろう」


子供「う〜ん…」ノビー


女海賊「ハッ!!未来…」

子供「…んん?アレ?ここ何処だ?」キョロ

女海賊「良かったぁぁ…あんたずっと寝てたのさ…何処も痛く無い?」サワサワ

子供「うん…えーと僕何してたんだっけ?」

盗賊「よう!未来…腹減ってるだろう?お前の分のキノコ取り置きしてんだ…居るか?」

子供「あぁお腹ペコペコさ…でもちょっと待って…今夢見てたんだよ」

盗賊「夢?夢幻か?」

子供「分かんない…忘れる前に何かに書き残したい」

情報屋「まだ何も書いて居ない羊皮紙があるわ?使う?」

子供「うん…頂戴」

情報屋「持って来るわ」タッタ
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:47:06.41 ID:rXZyBWej0
『古代遺跡_一層目の端っこ』


カキカキ


ホムンクルス「未来君の大好きなスープを作って来ました…」テクテク

子供「ホム姉ちゃんか…頂戴!キノコだけじゃ物足りなかった」

ホムンクルス「はい…どうぞ」スス

子供「美味〜い!!」ゴク モグモグ

ホムンクルス「何の勉強をしているのですか?」

子供「勉強じゃないよ…お絵描きさ」カキカキ

ホムンクルス「私は絵が描けません…見て居ても良いでしょうか?」

子供「アハハ…ホム姉ちゃん真っ直ぐな線も書けなかったね」

ホムンクルス「これは何の絵ですか?」

子供「僕字が書けないからさ…夢の出来事を絵にして書いてるのさ」

ホムンクルス「この場合上手ですねと言えば良いのでしょうか?」

子供「う〜ん…そうなのかな?」カキカキ

ホムンクルス「この絵が何なのか私には理解出来ません」

子供「これ僕にしか理解できないかもね?只の覚書なんだよ」

ホムンクルス「虫を持って居る人は未来君ですね?」

子供「お?正解!!」

ホムンクルス「なんとなく分かりました…夢の中で冒険したのですね」

子供「そうだよ…夢を忘れない様に書いているのさ」カキカキ

ホムンクルス「書き終わったら見せて下さいね」

子供「おけおけ…」
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:47:40.74 ID:rXZyBWej0
『オアシス砦_牢屋』


ガチャリ ギー


女狐「…まだ何か話させるつもり?知って居る事は全部喋ってしまった…もう用は無いでしょう?」

アサシン「クックック…そういきむな」

アヌビス「アサシン?女狐を生かしておくのですな?」

女狐「生かす?何をさせるつもりなの?」

アサシン「お前は既に私達に逆らえん…悪いが利用させてもらう…手枷を外してやってくれ」

アヌビス「分かりました…」カチャリ

女狐「利用とは?」

アサシン「簡単な話…お前には酒場のマスターとして諜報の役をしてもらいたいのだ」

女狐「盗賊ギルドの一員として再雇用するという訳?」

アサシン「まぁそうなるか…アヌビスは宿屋の店主…リカオンは宿屋の娘として盗賊ギルドを再構築する」

女狐「どうして私なんかを…」

アサシン「白狼の盗賊団に憧れていたと言っただろう?一員に加えてやると言うのに疑いを持つのか?」

女狐「…」

アサシン「セントラルでお前を無下に扱った事は私も反省している…同志になってくれ」

女狐「同志とは?」

アサシン「白狼の盗賊団が戦って居る相手は魔王だ…人の心を蝕む魔王と戦って居る」

女狐「魔王と戦って何の利が…」

アサシン「利なぞ無い…だが徳はある…お前には魔王に蝕まれた人間達が何をして居るのか諜報して貰いたいのだ」

女狐「私を動かすのはお金よ」

アサシン「徳はな?金より価値があるのだぞ?…お前が白狼の盗賊団に憧れた理由は何だ?金だったのか?」

女狐「…」

アサシン「徳をばら撒く姿に憧れたのでは無いか?」

女狐「私も白狼の盗賊団に…」

アサシン「私と共に来い…世界が今どういう状況なのか教えてやる」スタスタ


リカオン「…」ベロベロベー


女狐「…」ギロ

アサシン「リカオン挑発するな…過去の事はもう忘れろ」

女狐「私は酒場のマスターよ…あなたは宿屋の娘…立場分かってるわね?」

リカオン「アサシン!この女と仲良くなれそうに無い!!」

アサシン「リカオン…お前は私の助手だ」

リカオン「フフ…という事です?立場お分かり?」ニマー

女狐「…」
465 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:48:17.10 ID:rXZyBWej0
『シャ・バクダ遺跡_キャンプ』


メラメラ パチ


盗賊「アサシンが帰って来たようだぜ?女狐も連れている…」

女戦士「フフやはりな…」

盗賊「なんだか懐に入られちまう様で気になるんだがよう…」

女戦士「諜報員としてはギルドでトップなのだろう?」

盗賊「よう!アサシン!!口説き落としたんか?」

アサシン「その通り…シャ・バクダをセントラルから取り戻すぞ」

女戦士「その件だが今日のゴーレム討伐は失敗だ…明日以降仕切り直しになる」

アサシン「それは残念だ…女狐よ紹介しておく…我々の指揮官は女戦士だ」

女狐「マスター代理だったわね…初めまして」

女戦士「もう止めたつもりだったのだが…どういう話になって居る?」ギロ

アサシン「人間を蝕む魔王を退治する…それが我々の目的…そういう話をしただけだ」

女戦士「なら良い…只の泥棒ギルドなら私は願い下げする所だった」

アサシン「白狼を紹介しようと思って居たが剣士は何処だ?」

女戦士「残念ながら妖精の笛で寝てしまったのだ…いくら起こしても目を覚まさん」

アサシン「では紹介は後だな…さて女狐…そこに掛けて公爵の周辺状況を話してやれ」

女狐「分かったわ…」


まず盗賊ギルドのセントラル支部の話から…

セントラル上空に鐘を鳴らす未確認の気球が飛び回って居た時くらいから

公爵は白狼の盗賊団に目を付けて盗賊ギルドの解体を始めた…

ギルドに居た優秀な人材は殆ど公爵に買い取られ

新しく設立されたのが傭兵ギルド…このギルドのトップが髭男爵という人物


女戦士「髭男爵…」


傭兵ギルドから近隣の村々へ派兵された人達は皆公爵の息が掛かっているの

シャ・バクダも例外では無くて傭兵達はみんな公爵から資金を得てる…私も同じだったわ

白狼の足取りが全く掴めない中でセントラルの秘密結社…黒の同胞団は

恐らく白狼の暗躍によってあっという間に壊滅

公爵の手足となって働くのは傭兵ギルドと髭男爵だけになった

466 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:48:44.28 ID:rXZyBWej0

女狐「…これが公爵の周辺で起こって居る事…聞き覚えある?」

盗賊「ヌハハ大有りだな…しかし隠れて居た訳では無いが俺らの足取りが全く掴めないってのは諜報員として失格じゃ無ぇか?」

女狐「見つけても雲の様に消えてしまうのよ…それが謎なの」

女戦士「なるほど…一所に留まった事は一度も無いな」

アサシン「領事の話を教えてやれ」

女狐「領事は公爵の右腕…何人も居るわ」

盗賊「なぬ?何人もってどういう事よ?」

女狐「詳しくは分からない…複製されたのか…魔法で姿を変えられたのか」

盗賊「マジか…」

女狐「少なくとも私は領事が公爵だと思って居た…そしてこの間まで一緒に行動してた」

盗賊「直ぐ近くに居るって事か…」

アサシン「魔女が未来から聞いた話と一致する…公爵が変化の杖を用いて姿を変えながらどこかに潜んで居るとすると…」

盗賊「難民の中に紛れてるってか…」

アサシン「刺客が既に潜入している可能性が高い…だからこうして女狐を我々の側に置く事にしたのだ」

盗賊「足だ…領事は片足を失って居る…それで見分け付か無ぇか?」

女狐「私とこの間まで一緒に居た領事は両足とも有るわ?」

盗賊「なぬ?」

アサシン「複製された別人と考えた方が良いな」

盗賊「どこまで一緒だったんだ?」

女狐「ハズレ町…そこで分かれた」

盗賊「奴の狙いは?」

女狐「白狼の一味を捕らえて殺す事…宿屋の店主とその娘を捕らえておびき出す作戦だったみたい」

アサシン「まんまと引っかかった訳なのだ…未来の働きによって阻止出来たがな」

女戦士「未来はそれも知って居たという事か?」

アサシン「さぁな?未来と話をしたいのだが…」

女戦士「それは待ってくれ…下手に刺激すると精神分裂症の恐れがあると魔女が…」

アサシン「まぁ良い…未来の予言ではホムンクルスがデリンジャーで暗殺されるとの事…まずはそれを防がねばならん」

女戦士「デリンジャーの中に入って居るのはどんぐりだ…それでは暗殺出来ん」

アサシン「釣ろうとしているのか?相手は何をするか分からん…アヌビス!リカオン!ホムンクルスの傍から離れるな」

アヌビス「由何…」
467 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:49:17.67 ID:rXZyBWej0
『遺跡一層目』


スタスタ


ホムンクルス「お戻りになられた様ですね?」ニコ

リカオン「私とオヤジの2人でお前のお付きになったんだ…仲良くしよう」

ホムンクルス「はい…」

リカオン「あの子はどうしてる?壁に向かって何を?」

ホムンクルス「未来君の事ですね?絵を書いています…邪魔にならない様にお願いします」

リカオン「絵?…あの時の殺気だった子とは思えないな」

ホムンクルス「未来君はいつも通りですよ?」

リカオン「少し話をしてみて良いか?」

ホムンクルス「はい…ですが荒立てる様な真似はお止めください」

リカオン「分かって居る…」スタスタ


子供「…」カキカキ


リカオン「君!?目覚めた様だね…名前は未来君だったね?」

子供「んん?誰?」クルリ

リカオン「覚えて居るかい?」

子供「ハッ!!」ガバ

リカオン「おととと…何もする気は無いよ…身構えなくて良い」

子供「アレ?夢の中の人…」

リカオン「混乱しているのかい?」

子供「尻尾は!!アレ?無い…やっぱり夢か…」サワサワ

リカオン「フフ勝手にお尻を触らないで欲しい」
468 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:50:06.16 ID:rXZyBWej0
子供「あぁゴメンよ…尻尾を切るつもりだったんだ…そんな夢さ」

リカオン「夢?」

子供「そうさ夢を見たんだ…」

リカオン「…」---この子…---

子供「僕に何か用?忙しいんだ…」クンクン

リカオン「ちょっと…何処の匂いを嗅いで…」

子供「おかしいなぁ…獣の匂いはどこからするんだろう?」

ホムンクルス「未来君?絵は書き終わりましたか?」

子供「まだだよ…新しい羊皮紙が欲しいな…書きたい事が一杯さ」

リカオン「私が見ても?」

子供「僕にしか分からないと思うよ?」

ホムンクルス「リカオンさん理解出来ますか?」

リカオン「う〜ん…何だろう?分からない…」

子供「僕にしか理解できないよ…邪魔しないで」

リカオン「未来君…光る隕石が落ちるという話はどうなったのかな?」

ホムンクルス「リカオンさん!お止めください…未来君を混乱させてしまいます」

リカオン「この話はマズかったのか…」

子供「…」ボーゼン

リカオン「また今度聞かせて貰おうかな…ゴメンね要らない事を言ってしまって」

子供「ちょっと待って…」

ホムンクルス「未来君?終わりにしましょう…お絵描きの続きを…」

子供「なんで僕の夢を君が知ってる?君は僕の夢の中にも出て来た…尻尾どうしたの?本当は君…尻尾あるよね?」

リカオン「切られたく無いから隠してる…それで満足?」

子供「…」スラーン

ホムンクルス「未来君…ここで武器を使うのは禁止されて居ますよ?」

リカオン「どうも私が絡んではいけない様だ…」タジ
469 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:50:36.43 ID:rXZyBWej0

子供「なんで僕はいつの間に剣を2本背負ってる?」


---次の瞬間---


声「ダメ!!あなたはは私の奴隷…放さないから」

声「行かないで…お願い…」

僕「…ごめんよ」

声「お願い…行かないで」


-----------

-----------

-----------


子供「ハッ!!…」ポロリ

ホムンクルス「未来君?武器を収めて下さい…」

子供「この剣…記憶が頭に流れて来る…これは夢じゃない!!記憶だ!!」

リカオン「??」


アヌビス「リカオン…こちらへ来なさい」グイ


リカオン「オヤジ…私はどうも言ってはいけない事を言ってしまった様だ…」

アヌビス「ホムンクルス様は私が守ります…お前はあの子を死んでも守りなさい」

リカオン「どういう事?」

アヌビス「勘ですよ…お前にも勘が働いて居る筈」

リカオン「勘?そんな…」

アヌビス「獣人への変態を許可します…後の事は私に任せて必ずあの子を守るのです…分かりましたね?」
470 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:51:04.68 ID:rXZyBWej0
『勇者の像の前』


シクシク グスン


情報屋「ぅぅぅ…」ポロ

子供「情報屋さん…パパとママは?」

情報屋「あら未来君…剣士は眠て居るわ?女海賊は飛空艇で見回りに出てる」

子供「ローグさんも寝てるのかぁ…どうしよっかなぁ…」

情報屋「どうしたの?」

子供「暇だから少し散歩がしたかったんだ」

情報屋「それなら私が連れて行ってあげるわ」ヨイショ

子供「いやいいよ…それ冒険の書だね?読んでたんだよね?」

情報屋「どうしてこの書物が冒険の書だと知って?」

子供「夢で見たのさ…僕の子ウルフは何処に行ったか知らない?」

情報屋「遺跡の中には入れて貰えないから外で待って居るかと…」

子供「僕探して来るよ」

情報屋「一緒に行くわ?」

子供「大丈夫だって…ちょっと探して来るね」シュタタ

情報屋「未来君!待ちなさい…」

リカオン「私が追いかける…任せて」シュタタ
471 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:51:31.02 ID:rXZyBWej0
『雪原』


シュタタ


子供「なんで追いかけて来るのさ」

リカオン「子供だけで外をうろつくのは危険でしょう?」

子供「尻尾切るぞ!!」

リカオン「気を取り戻した様ね」

子供「うるさいな!君の方こそ武器を何も持たずに危ないんじゃ無いの?」

リカオン「私は爪と牙が武器なのよ」

子供「ふ〜ん…」ジロリ

リカオン「このままドリアードまで行くつもりね?」

子供「だったら何さ」

リカオン「どれだけ危ない事なのか分からないくらい子供なのね」

子供「そんなの知らないよ!!今やらないと全部手遅れになるんだ!!」

リカオン「ゴーレムに襲われたら?」

子供「悠長な事言ってる場合じゃ無いんだって!!みんなそれが分かって無い!!」

リカオン「光る隕石が落ちて来るのは本当なのね?」

子供「それが落ちたら終わりさ…その前に止める」

リカオン「終わったら私の指示に従って貰える?」

子供「良いよ…何でもいう事聞いてあげる…僕を食べたって良いよ」

リカオン「食べる?フフ確かに美味しそう」

子供「その方が僕もラクなんだ…大事な記憶を無くして行くのが耐え難い」

リカオン「あの絵の事ね…」

子供「そうさ無くしたくないから必死に書いた…でもまだ終わりじゃない事を思い出した」

リカオン「よし付き合ってあげる…獣人に変態するから少し待って」

子供「獣人?」
472 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:51:58.80 ID:rXZyBWej0

ガブリ!


リカオン「見ない方が良いかも?」モサモサ グググ

子供「自傷行為で変身するのか…」

リカオン「ガウルルル…背に乗って!!その方が早い」グルル

子供「やったね!!ラクちんだ」ピョン ドス

リカオン「しっかり掴まって!!」シュタタ


ドヒューーーーン  シュタッ シュタタ


子供「うわっ早っ…馬より全然早いじゃ無いか…」

リカオン「舌を噛まない様に」シュタタ

子供「よし!!これで狭間に入れば直ぐだ…ハイディング!」スゥ

473 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:52:27.43 ID:rXZyBWej0
『夜_キャンプ前』


タッタッタ


情報屋「見つかった?」

盗賊「足跡が途中で無くなってる…ドリアードの方角だ」

情報屋「あの子貝殻も持って行ってない」

盗賊「追いかけるしかあるめぇ…剣士と魔女を叩き起こすぞ」ダダ

女戦士「どうやら私達は未来の覚悟を甘く見て居た様だったな…」

情報屋「女海賊とは連絡付いた?」

女戦士「あぁ…直ぐに引き返して来る」

アサシン「今晩が攻め時かもしれん…ゴーレムは身動き一つして居ないそうだ」

女戦士「シャ・バクダはエルフとドラゴンによって陥落するだろう…どうする?我々も未来の後を追うか?」

アサシン「待て…ホムンクルスも守る必要がある…行かせるとしたら剣士と女海賊…そして現場を知って居る盗賊だ」

情報屋「ドリアードは毒で満たされて居て誰も近づけないわ」

アサシン「そういえばそうだったな…では盗賊の代わりに私が行こう」



『遺跡_一層目』


ペシン ペシン!


盗賊「おい起きろ!!剣士!!魔女!!」ユサユサ

魔女「はゎゎ…ここは何処じゃ?」ゴシゴシ

盗賊「遺跡ん中だ…未来が居なくなったんだ…寝てる場合じゃ無ぇ!!」

剣士「!!?未来…」ガバ

盗賊「やっと起きたな?どうやら未来は一人でドリアードに向かった様だ…追うぞ!」

魔女「なんじゃと?一人とな?」

盗賊「リカオンが後を追ったそうだ…無事だとは思う」

魔女「記憶を失っては居らなんだか」

盗賊「しばらく大人しくして居たんだがよう…気付いたら居ない…多分狭間を使って移動してんだ」

魔女「暗示を掛けぬと言う事を聞きそうに無いのぅ…」

剣士「いや…このままで良い…未来を信じる」

盗賊「兎に角飛空艇が戻って来たら後を追うぞ…ドリアードん所にはゴーレムがまだ一体居る筈なんだ」

魔女「隕石を落とさねばならぬか?」

剣士「女海賊の爆弾で倒せそうだよ…僕が弓を使って遠距離から打ち込めば良い」

盗賊「だな?行くぞ!!」ダダ
474 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:52:57.64 ID:rXZyBWej0
『キャンプ前』


フワフワ ドッスン


女海賊「ちょいちょい!!どうなってんのさ!!未来は一人で行っちゃった訳?」

アサシン「リカオンが後を追って居る」

女海賊「リカオン姉さんは貝殻持って無いの?」

アサシン「渡して居ない…連絡の手段が無いから飛空艇で後を追う」

女海賊「マジか…」

アサシン「シャ・バクダに居る2体のゴーレムは動く気配は無いか?」

女海賊「無い…砦はもうエルフとドラゴンが取り付いて今晩中には制圧だよ…」

アサシン「明日から忙しくなるな…」

女海賊「それより未来の方が心配…北の方にまだ一体ゴーレムが居る」


タッタッタ


盗賊「剣士と魔女を起こして来たぜ?」

アサシン「剣士!!飛空艇に乗れ!!」

魔女「わらわはどうするかのぅ?」ノソノソ

アサシン「魔女は暗殺者の出現に備えてくれ…」

魔女「ふむ…ホムンクルスの傍らに居れば良いのじゃな?」

アサシン「万一の蘇生は魔女にしか出来ない…盗賊もローグと商人を起こして事に備えてくれ」

盗賊「お前等3人だけで良いのか?」

アサシン「勇者2人も居て足りんと言うか?」

盗賊「おっとぉ…そういやそうだな」


フラフラ ドタ


情報屋「ぅぅぅ…」ヨロ

盗賊「おいどうした!?」

情報屋「何でも無いわ…軽い目まい」

アサシン「情報屋も少し休め…雪の中を歩き疲れたのだろう」

女海賊「もう行くよ!!剣士早く乗って!!」

剣士「あ…うん…」ピョン スタ


フワリ バサバサ
475 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:53:29.83 ID:rXZyBWej0
『飛空艇』


ビョーーーウ バサバサ


アサシン「女海賊…デリンジャーは持って居るな?」

女海賊「あるよ…どんぐりの入ったデリンジャーね」

アサシン「よし…時の王から授かった祈りの指輪は?」

剣士「僕が持ってる…」

アサシン「それで良い…魔女が聞いた未来の予言はすべて回避出来ている」

女海賊「ホムちゃんの暗殺って本当に起きるんかな?」

アサシン「起こさせはしない…予言は外れる」

剣士「それは未来の記憶を消す行為なんだよ」

アサシン「何?」

剣士「未来は大事な記憶を掛けて未来を変えようとしている…この重みを理解出来るかい?」

女海賊「未来が変わる…」

剣士「そう…そうやって未来は記憶を失っていくんだ」

アサシン「次元を超えた者にしか分からん話だ…」

剣士「だから記憶を失う前にやるべきことをやりたい…それが未来を突き動かしている強い動機」

女海賊「よっし!!全力で未来をサポートする」

剣士「例の爆弾はあと何個ある?」

女海賊「3個…それで最後」コロン

剣士「僕が使うね」
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:54:01.64 ID:rXZyBWej0
『雪原』


ヒュン! バカーン!!


子供「右!!」

リカオン「っくしょう!!私の足でも振り切れない…」ピョン シュタタ

子供「左!!」

リカオン「君は何か撃てないのか?」ピョン シュタタ

子供「何撃っても無駄だよ…あんな大きな巨人なんか倒せる訳無い」

リカオン「どうする?…どうする?…」

子供「妖精!!出て来い!!あのゴーレムを眠らせてくれぇ!!」

リカオン「何言ってんのよ!!ちゃんと後ろ見てて」シュタタ


ヒラヒラ パラ


リカオン「雪…これが妖精?」

子供「よしよし!!雪で幻惑されてる…突き放せるぞ?」


ピカーーーー チュドーーーーン!!


子供「え!?アレはママの爆弾…何処から?」キョロ

リカオン「上!!彗星!!」

子供「ママの飛空艇だ!!」


ゴーレム「ヴォオオオオオオオオオオ!!」ドスドス


子供「ゴーレムが止まらない…走って!!」

リカオン「エルフ達はこんなのと戦って居たと言うの?」シュタタ

子供「僕達もずっとこんな戦いなんだ!!」スラーン

リカオン「何をする気?」

子供「この剣は何でも切れる破壊の剣…折り返してゴーレムの脇を抜けて!!」


ピカーーーー チュドーーーーン!!


子供「今!!」

リカオン「ちょっと…ええい!!」クルリ シュタタ ピョン


ゴーレム「ヴォオオオオオオオオオオ!!」グラリ

子供「行けぇぇ!!」スパ スパ スパ

リカオン「切った…マジかよ」アゼン


-------------

-------------

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477 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:54:29.78 ID:rXZyBWej0
『記憶』


僕「うーん…筋肉を感じる」

君「筋肉?」

僕「君の体からすごい熱量の筋肉を感じる」

君「フフ嫌いか?」

僕「お?初めて笑ったね?」

君「…」ジー

僕「笑って居た方が可愛いよ」

君「フフ…」ピト

僕「君暖かいなぁ…筋肉が多いからかなぁ」


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478 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:54:59.41 ID:rXZyBWej0
『今』


シュタタ シュタタ


リカオン「…返事をしろ!気は確かか?」

子供「あ…なんだ一瞬夢を見た…」

リカオン「ゴーレムは追って来ない…君の剣で致命傷を負った様だ」

子供「そっか良かった…飛空艇は?」

リカオン「高度を下げて来て居る…あ!!?2人飛び降りたぞ?」

子供「パパが来たんだね?」

リカオン「飛空艇が去って行く…どうしたと言うのか…」


タッタッタ


アサシン「2人共無事か?」

子供「パパぁ!!」シュタタ

剣士「良かった間に合った…」ガシ

アサシン「リカオン良く未来を守った」

剣士「リカオンはウェアウルフだったのか…」

リカオン「飛空艇が去って行くのはどうして?」

アサシン「シャ・バクダのゴーレム2体が目を覚ました様なのだ…妖精の笛で眠らせに向かった」

子供「誰が乗ってるの?」

アサシン「女海賊一人…その方が都合が良いらしい」

子供「ママが一人で…危ないよ」

アサシン「お前が言うな」

子供「そうだ!!ドリアードの中のアダムを破壊しなきゃ…」

アサシン「知って居るかどうか知らんがドリアードは毒で満たされていて私以外が入る事は出来ない」

子供「知ってるよ」

アサシン「クックックそうか…そんな事まで知って居たか」

子供「ここまで来たんだ!パパとアサシンさんも一緒に行くよね?」

剣士「未来は止めても行こうとするだろう?」

子供「パパは僕を止めない…理解して居るから」

剣士「よし!行こう…」スック

子供「待って!!皆に線虫を掛ける…線虫!癒せ」ニョロニョロ

リカオン「うっ…なんだこの虫は…目の中に…」ゴシゴシ

子供「線虫が毒を中和してくれる…これでドリアードに入れる」

アサシン「準備万端だった訳か…まぁ良い!!案内する…こっちだ」スタ
479 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:55:31.05 ID:rXZyBWej0
『ドリアード喉部入り口』


アサシン「少し見ない間にソリの乗り捨てが増えて居るな…」

子供「僕の記憶と形が全然違う…花が無い」

アサシン「花?」

子供「大きな食虫植物の筈…」

アサシン「ここで間違い無いぞ?この洞穴の下に胴体が埋まって居る」

リカオン「臭いな…頭が痛くなる」

アサシン「手短に終わらせよう…入るぞ?」スタ



『喉部』


グググ グググ


アサシン「ムム!!来た道が塞がれて…マズいなこれでは出口が無くなる」

子供「教えてあげる…ドリアードは熱に弱い…火で炙れば開くよ」

剣士「未来はその経験があるんだな?」

子供「うん…」

剣士「来い…撫でてやる」ナデナデ

子供「胃部から核部へ行くのに何枚も隔壁が有って進むことが出来ない」

アサシン「ふむ…それをどうするつもりだったのだ?」

子供「コレだよ…」スラーン

剣士「…何かエンチャントが掛かっている様だ」

子供「破壊の剣っていう物なんだ…量子転移がエンチャントされてる…何でも切れるんだよ」

剣士「ゴーレムを切ったのはその武器か…」

子供「驚いた?」

剣士「リカオンがやったのだとばかり思って居た」

リカオン「いくら私の爪が鋭くても石を簡単に切れるほどでは無い」

剣士「未来は二刀流を目指すか…フフそれも良い」

子供「僕が道を開くからパパはアダムを破壊して?」

剣士「分かった…」
480 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:55:59.47 ID:rXZyBWej0
『胃部』


シュゥゥゥ ポタポタ


子供「胃液が強い酸だから触らない様に」

アサシン「壁面には触るな?ドリアードに捕食されるぞ?」

リカオン「え!!?もう触ってるし…」

子供「その壁面から敵がどんどん湧いてくるから気を付けて」

アサシン「敵が湧く?」

子供「今から僕が隔壁に穴を開ける…そしたら一気に出て来るよ」

アサシン「お前の出番だな?」

リカオン「丁度お腹が減っていた所…」

子供「じゃぁ穴を開けるね?」スラーン


スパ スパ スパ


子供「どんどん切り進むから敵が出てきたらお願い」スパスパスパ


ズズズ ズズズ ボチャッ!!


リカオン「な…なにコレ」タジ

異形の生物「ぎょるば…べひひ…」ズル ズル

アサシン「こんな仕掛けは前に来た時は無かった…」スラーン

リカオン「食べちゃうよ?グルル…」ガオォォ ガブリ

アサシン「後ろ!!」ダダ ズン!

リカオン「うんま!!」ガブガブ

異形の生物「ぐぇぇぇぇ…」ピクピク

剣士「未来…後ろは任せろ…切り進め」スラーン ピカー

481 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:56:30.88 ID:rXZyBWej0
『核部』


スパスパスパ ドサ


子供「ここだ!!」

アサシン「後方はリカオンに任せて良さそうだ…どうする?」

子供「僕はエリクサーを隔ててる壁を切り崩して抜くからパパはあの機械を壊して」

剣士「…」ピョン シュタ

子供「アサシンさん!!どこかに魔王を封じた魔石が在る筈…探してよ」

アサシン「そうだった…確か第3皇子はあの辺りで…」スタスタ

子供「パパ?じゃぁエリクサー抜くね…」スパスパ


ザバァァァァ


子供「うわぁぁぁ…流される」ザブザブ

剣士「アサシン!!エリクサーに飛び込め!!」

アサシン「何?」

剣士「この大きさの機械を壊すのは爆弾が早い」

アサシン「…そう来るか」ピョン ザブーン

剣士「未来!!爆発に合わせてエリクサーに潜れ…行くぞ」チリチリ ポイ

子供「え?え?え?…早い…」ジャブン

剣士「3…2…1…」ジャブン


ピカーーーー チュドーーーーーン!!


子供「ぷはぁ!!やったぁぁ!!」ザブザブ

アサシン「クックック‥‥エリクサーの飲み放題か」ゴクゴク

剣士「後は魔石…魔石を奪えばすべて終わりに…」

子供「良かったぁぁ…これで安心して帰れる」


シュタタ シュタタ


リカオン「…どういう事?」

アサシン「作戦は成功だ…祝杯だお前もエリクサーを飲め」

リカオン「なんだ急に爆発があってビックリした…てか敵が増えてそれどころじゃない」

アサシン「おやつが食えて満足だろう?」

剣士「魔石だ!!壁面に埋まって居る…未来!!その剣で切り出せ」

子供「う…うん!!」シュタタ

剣士「ここだ…この奥に埋まって居る」

子供「おっけ!!」


スパ スパ スパ


--------------

--------------

--------------
482 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:57:06.03 ID:rXZyBWej0
『記憶』


君「あなた!!何かしたわね?」フラ

僕「あ…今君の所に行こうと思ってたんだ」

君「何をするつもりなの?」

僕「君には正直に話して置くよ…ただ目を覚ましたら何も覚えていない」

君「まさかあなた…一人で放射能を集める気ね?ダメよ…許さない」

僕「そんな話したく無いよ…教えてあげる…僕はね…君を守る為に次元を超えて来たんだ」

君「何の話?」

僕「でもね…世界の本質を見て居なかった…このままじゃ僕の大事な人皆失う事に気付いた」

君「話が呑み込めない…意味が分からないわ」

僕「ゴメンね言葉が足りなくて」

君「兎に角一人で行くのは許さないから」グイ


483 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:57:33.62 ID:rXZyBWej0
『今』


君の記憶を奪ったのは僕だった…

記憶を失う事がこんなに悲しい事だったなんて

…ゴメンよ

もう何も奪わせないから…


子供「ぅぅぅ…」ポロリ

剣士「未来…しっかりしろ未来…」

子供「パパ…僕の記憶が消えて行く…」

剣士「魔石は手に入れた…脱出するぞ」グイ

アサシン「早くしろ!!リカオンが抑えられるのはそろそろ限界だ」

剣士「未来!!背中に乗れ」

子供「大丈夫…走れる」シュタタ


ザザー ザザザ


アサシン「何だこんな時に!!」


”アサシン!!返事して!!”


アサシン「今取り込み中だ!!手短に用件だけ言え!!」

女海賊「ホムちゃんが殺されたって魔女から連絡が…」

アサシン「なんだと!!?」

女海賊「ほんで超やばい事が起こってる」

子供「まさか!!…ちょっとアサシンさん僕にも聞かせて!!」

女海賊「光る隕石が飛んで来る…どっか地下に避難して」

アサシン「それはいつだ?」

女海賊「詳しい事分かんない…」

アサシン「今からドリアードを脱出する!!迎えに来い」

女海賊「無理!!魔女とアヌビスのおっさんが瀕死でエリクサー欲しいって…私は遺跡に向かってる」

アサシン「魔女までやられたのか…」

子供「…」プルプル

アサシン「貝殻の会話は続けろ…狭間には入るな」

女海賊「ゴメン!遺跡に戻ったら直ぐに通話再会する…狭間に入って加速したい」

アサシン「ええい!!何もかにも…」

子供「うおぉぉぉぉぉ!!」スパ スパ スパ ブンブン

剣士「未来!!落ち着け…落ち着いて考えるんだ」

子供「くそう!!一歩遅かった…何の為に此処まで来たんだ…」

アサシン「未来…思い出せ…光る隕石は何処に落ちる?」

子供「エルフの森に4発…それ以上の事は知らない」

アサシン「リカオン!!外に出て遠吠えでエルフ達に知らせろ!!」

子供「僕がやる!!」シュタタ

剣士「未来!!待て…」シュタタ
484 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:58:10.94 ID:rXZyBWej0
『喉部』


ゴゥ ボボボボボ


子供「開け!!このぅ!!」スパ スパ

剣士「火炎地獄!」ボゥ ボボボボボ

アサシン「剣士!!異形の生物が追って来られない様に何か魔法を撃てないか?」

子供「僕がどんぐりを持ってる!!木を育てて道を塞ぐ!!」シュタタ

アサシン「リカオン!!戻れ!!通路を塞ぐ!!」

リカオン「ガウルルル…」シュタタ シュタタ

子供「どんぐり爆弾を食らえ!!」ポイ パラパラ

子供「成長魔法!」グングン ニョキニョキ メリメリ

リカオン「ふぅぅお腹一杯…」ゲフゥ

剣士「出口だ!!」シュタタ

アサシン「リカオン!!遠吠えでエルフに危険を伝えろ」

リカオン「よーし…久しぶりの遠吠え…行くよぉぉ」



アオーーーーーン  アオーーーーーーン
485 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:58:38.28 ID:rXZyBWej0
『シャ・バクダ遺跡』


フワフワ ドッスン


女海賊「ローグ!!早くエリクサー運んで!!」

ローグ「待ってたっす」ダダ

女海賊「お姉ぇ!!どんな状況なの?」ダダ

女戦士「魔女の血が止まらん…私の血を輸血してもどんどん出血するのだ」

女海賊「なんでそんな事になってんのさ!!」

女戦士「ホムンクルスが持って居た毒牙のナイフ…それの効果だ…早くエリクサーで治癒せねば死ぬ」

女海賊「ホムちゃんはそれでやられた?」

女戦士「背中から心臓を一突き…」

女海賊「くっそ!!片足の領事だね?」

女戦士「2人居たのだ…一人目を捕らえて安心した所をやられた」

女海賊「全部捕まえた?」

女戦士「今頃盗賊にバラバラにされている」

女海賊「バラバラって…」

女戦士「首を落としても死なん…急所が何処なのか分からんのだ」

女海賊「マジかよ…」ゴクリ
486 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:59:06.79 ID:rXZyBWej0
『遺跡一層目』


ザワザワ

何が起こるって言うの?

隕石が落ちて来るらしい…奥の方へ詰めてくれ

下層の方が空いてる!!下へ降りて行けぇ!!



ローグ「エリクサー持って来やした…飲ませて下せぇ」

情報屋「私は止血で手が離せない…ローグが飲ませて」グググ

魔女「…」グッタリ

ローグ「あわわ…」クィ

情報屋「アヌビスさんにも…アヌビスさんはもう出て来る血が無い…手遅れかもしれない」

ローグ「やるだけやるっす…」グイ

アヌビス「…」グター


タッタッタ


女海賊「片足の領事は何処?」

情報屋「下層に降りる途中の側道よ…石板が発掘された部屋」

女海賊「おっけ!!」

ローグ「姉さん!!まだ潜んでるかも分からんので注意して下せぇ!!」

女海賊「炙りだしてやる!!」ゴソゴソ ピカー

487 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 15:59:41.79 ID:rXZyBWej0
『隠し部屋』


メラメラ ボゥ


盗賊「商人!!死体を切り刻んで全部燃やせ!!」

商人「うあぁぁぁ!!」グサ グサ


タッタッタ


女海賊「盗賊!!片足の領事は?」

盗賊「やっと戻ったか!!見ての通りよ…」

女海賊「毒牙のナイフは?」

盗賊「俺が持ってる…これを使うたぁ想定外だったな?」

女海賊「まだ潜んでるかも知れない…探すよ」ピカー

盗賊「良い物持ってんじゃ無ぇか!!」

女海賊「下層へ!!」ダダ
488 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 16:00:10.13 ID:rXZyBWej0
『下層』


ザワザワ ガヤガヤ

なんだ?この明かりは?

階段を降りて来る


コーン コーン コーン


女海賊「出て来やがれ!!片足の領事!!ミスリルの音と光の石!!逃がさないよ…」

女海賊「あんた達全員この光を見ろ!!背を向けた奴はぶっ殺す!!」ターン ターン

難民達「なんだ?どういう事だ?」ザワザワ

女海賊「こん中に魔王が紛れてんだ…全員顔を上げな!!」ターン ターン

女狐「居た!!一人隠れた!!…右奥」

盗賊「アレだな?」

女海賊「全員良く見ておきな…今度は実弾を撃つ…」ツメツメ

盗賊「おいおい…人込みの中でぶっ放すんか?」

女海賊「うっさい黙れ!!魔王がどんなんなのか全員目ん玉ひん剥いて良く見てろ!!」


ターン ベチャ


浮浪者「ぎゃひぃぃ…」バタバタ

女海賊「どうよ?逃げ場は無いぞ?魔王!!」

浮浪者「ぎょっふっふっふ…無駄無駄ぁぁ…私は不死身ぃぃ」ズルズル

女海賊「私知ってんだ…魔王は狭間の外じゃ何も出来ない…人間を乗っ取るしか脳が無いってね」ターン ベチャ

難民達「ひぃぃぃ…死…死なない…」タジ

女海賊「どうよ?光に焼かれる気分は?」

浮浪者「ぐぅぅ…へべべ…その…その光を向けるなぁぁ!!」ズルズル

女海賊「盗賊!!あんたの出番!!ミスリルダガーをぶっ刺して!!」

盗賊「ほら来た!!俺が魔王に止め刺す!!」ダダ ブスリ

浮浪者「ぐるるるる…ぐぐぐ」シュワシュワ

女狐「影が光で焼かれて…消えて行く…」

女海賊「他に光に背を向ける奴は居ないか!!」クルリ

難民達「…これが勇者か…」

盗賊「そうよ…勇者に逆らう奴はこうなる…俺らは魔王なんぞ怖くない!」

女海賊「盗賊!!領事をバラバラにして焼くよ!女狐は辺りを警戒して」

女狐「え…あ…はい」ソソクサ
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 16:00:41.81 ID:rXZyBWej0
『キャンプ』


ドタドタ


女戦士「避難急がせろ!!」

ローグ「頭ぁ!!飛空艇の移動準備出来やした!!」

女戦士「ローグだけでオアシス砦に行って飛空艇を砦の陰に隠せ」

ローグ「ええ?頭は残るんすか?」

女戦士「アサシンが居ない状況で私はここを離れられない…向こうでこちらに戻る機を伺え」

ローグ「勝手に飛空艇動かして姉さん怒りやせんかね?」

女戦士「そんな事言ってる場合では無い!!早く行け!!」

ローグ「生き延びたらマッサージ約束して下せぇ」

女戦士「分かった!!早く行け」

ローグ「死んでも戻って来やす!!」ダダ

女戦士「400以上もの隕石が降って来るのだ…精々祈れ」


アオーーーーーーン アオーーーーーーン


女戦士「ウルフの遠吠え…」

ローグ「あわわ…いよいよヤバイ感じっすね…」

女戦士「空気が静まった…急げ」
490 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 16:01:18.71 ID:rXZyBWej0
『勇者の像』


ピカーーーー


女海賊「…光に目を背ける奴は容赦しないよ!!」ズカズカ

情報屋「下層で何が起こって居るの?」

盗賊「領事がもう一人紛れてた…3人目だ」

女海賊「魔女とアヌビスのおっさんは無事?」

情報屋「出血は止まった…後は回復を…」

女海賊「隕石落ちるまであとどんくらいか分かる?」

情報屋「ホムンクルスが言ってたのは4時間後に発射…それからしばらく時間を空けて来る筈…多分もうそろそろよ」


ザザー ザザザ


”ママ?聞こえる?”


女海賊「未来…あんたはちゃんと地下に隠れてる?」

子供「大丈夫だよ…ドリアードの中さ」

女海賊「そこを動かないで!後で迎えに行くから」

子供「ねぇママ…良く聞いて」

女海賊「何?又無茶な事言ったらブツよ?」

子供「良く聞いてね…」


隕石は4発落ちて来る

この隕石が原因で放射能という毒が世界に散らばるんだ

毒のせいで人類は絶滅するんだよ

今から僕とパパでそれを防ぐ


女海賊「ダメ!!無茶な事は許さない!!」
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