他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
BBS2ch
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報VIP
更新
検索
全部
最新50
このスレッドは950レスを超えています。そろそろ次スレを建てないと書き込みができなくなりますよ。
勇者「魔王は一体どこにいる?」の続編の続編の続編
Check
Tweet
202 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:27:40.00 ID:KbfSVIxh0
店員「あのー大丈夫ですか?」
ローグ「いやぁお恥ずかしい…ご迷惑をお掛けしやした」
店員「血が出ていますよ?手当しましょうか?」
ローグ「結構でやんす…あっしはあのゴロツキを追うんで心配せんで下せぇ」スック
怪しい女「…」タッタッタ
ローグ「あんさんもあの男に恨みでも?」スタ
怪しい女「フン!」
ローグ「何処に行っちまいやしたかねぇ…」---身のこなしはくノ一---
---なんでくノ一に狙われているのやら---
203 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:29:25.70 ID:KbfSVIxh0
『宿屋の部屋』
盗賊「リリース!」スゥ
剣士「うわ!!びっくりした…盗賊さんか」
マスター「…この人は?」
盗賊「仲間だ…とりあえず背中から降りろ」ヨッコラ
剣士「誰?」
盗賊「客だ…剣士に頼みがある…マスターの人相を変えて欲しいんだ」
剣士「ん?どんな風に?」
盗賊「とりあえず別の女だな…子供でも構わん」
剣士「おけおけ!子供にするのが楽だ」
マスター「私が子供に?」
剣士「うん…良いかな?」
盗賊「早くやってくれ…見つかると面倒になる」
剣士「変性魔法!」シュゥゥゥ
マスター「え…」
盗賊「よしこれで一先ず命を狙われることは無かろう…」
マスター「ありがとう助かった…」
盗賊「ほんでどういう事なんだ?」
マスター「私は騙されて麻薬を運ばされたみたいなの…口封じで殺される直前だった」
盗賊「見張ってた男3人だな?」
マスター「そう…公爵の刺客ね」
盗賊「まぁ良く酒場のマスターを何食わぬ顔でやってたもんだ」
マスター「狙われて居たのは男3人だけじゃなくて忍びにも…外に出たら兵隊にも」
盗賊「察するにヘロインを運んだんだな?」
マスター「騙されて運んでしまった…商船の中で私の荷物をすり替えられたの」
盗賊「お前は女王暗殺には関わって居ないんだな?」
マスター「私は公爵の指示通り海士島からフィン・イッシュの酒場に働き口を変えただけ」
盗賊「今までずっと密偵の役割をしていたのか」
マスター「結果的にそうなってしまった…報酬が良かったから」
盗賊「どうせあれだろ?魔石を大量に貰ってんだろ…美味い話ってのは俺に魔石を捌かせるつもりだった訳だ」
マスター「さすが盗賊さんね…すべてお見通し」
盗賊「ヌハハ胡散臭いとは思って居たんだ…ほんで魔石はどうした?」
マスター「全部すり替えられた」
盗賊「ヘロインはどうやって医者の手に?」
マスター「酒場に医者を名乗る人が直接取りに来た…その時は不妊治療の妙薬だと言われて疑わなかった」
盗賊「なるほどヘロインだと気付いたのはその後か」
マスター「そう…私は一門無しだったから不妊治療の妙薬を買い取りに来たと言われて直ぐにお金と交換したわ」
盗賊「医者はヘロインだと気付いて居ないのか?」
マスター「そんな事一言も言って無い」
204 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:31:16.81 ID:KbfSVIxh0
盗賊「そうか結局全員騙されていた訳か…じゃぁお前はどうしてそれがヘロインだと気付いたんだ?」ギロ
マスター「医者が殺された後に兵隊が足取りを追って酒場まで来て麻薬の取引相手を探してるって…」
盗賊「よく見逃されたな?」
マスター「それからずっと見張られて居たの」
盗賊「ほ〜ん…まぁ大体流れは分かった…ほんでお前これからどうする?」
マスター「もう宛てが無い…」
盗賊「お前の証言は大きく物事を動かす事になる…それを城に行って証言出来るか?」
マスター「公爵はフィン・イッシュで信頼が大きいのは知らない?」
盗賊「なぬ!?証言しても信じてもらえんという事か?」
マスター「多分…公爵はフィン・イッシュとセントラル両国の和平交渉の中心人物」
盗賊「驚きだな…信じて貰えたとしても和平が遠ざかる動きは取れないのか」
マスター「盗賊ギルドは未だ機能しているの?」
盗賊「んんん…ギルマス次第なんだがよ…この件でアサシンがどう動くかによるな」
マスター「そう…」シラー
盗賊「まぁちっと相談してみるわ…とりあえず子供の姿ならお前は安全だから金持って来い」
マスター「お金?」
盗賊「俺らあと金貨1枚くらいしか持って無いのよ…安心料でちっと寄越せ」
マスター「フフ…伝説の盗賊が金貨1枚…」
盗賊「後で女王を紹介してやっからよ…な?」
ガチャリ バタン
女オーク「あら?どこから連れて来たの?」
盗賊「おー水浴びから帰って来たんか…女オークにちっと頼みがあるんだが」
女オーク「何かしら?」
盗賊「子供用の着替えを買ってきてくれんか?」
女オーク「お金が無いわ?」
盗賊「あと金貨1枚ある…ほらよ」ピーン
剣士「ほっ!!もーらい」パシ
盗賊「着替えはお前等に任せる…マスター!お前の金は何処にある?」
マスター「私の家の戸棚に…」
盗賊「どうせ帰れんだろ?俺が盗んでくるから場所教えろ」
マスター「酒場の裏の建屋を間借りしているの…私の部屋は2階の角」
盗賊「分かった…何か盗って来て欲しい物あるか?」
マスター「何も…まだこっちに来たばかりで何も無い部屋」
盗賊「よし!ほんじゃここで待ってろ…直ぐに戻る」ダダ
205 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:33:23.13 ID:KbfSVIxh0
『1時間後』
ガチャリ バタン
ローグ「あららら?この子供は誰でやんすか?」
剣士「盗賊さんが連れて来た女の人だよ…僕が子供に変身させたんだ」
ローグ「なるほど…そら良い案っすね」
マスター「お陰様で…」
ローグ「いやいやコブラ酒のルールを守っただけでやんすよ…1人保護完了っすね」
剣士「もうみんなで酒場には行かない?」
ローグ「お金が無いでやんす…それに忍びがそこら中飛び回って居るでやんす」
マスター「私を探して?」
ローグ「それだけじゃ無いっすねぇ…どうも要人が何処かに潜んでるみたいでやんす」
マスター「公爵が来てるという噂は本当かも知れない…」
ローグ「ええ!?マジっすか…いやいや有り得ないっすね…公に行動なんかしやせんぜ?公爵は」
剣士「なんかゴタゴタしてるんだね」
ローグ「ちっと大人しくして居た方が良いでやんす…魔女さんの使い待ちっすね」
剣士「魔女に会ったんだ?」
ローグ「魔女さんも忙しい様で後で使いを出すとか」
剣士「なら大丈夫か…」
ガチャリ バタン
盗賊「帰ったぜぇ?お前中々金持ちじゃ無ぇか…金貨200ぐらいか?」ジャラリ ドサ
マスター「例の医者がそれを置いて行ったのよ」
盗賊「ちっと使わせてもらったぜ?ほら食い物と酒だ」ドサ
ローグ「おぉぉ久しぶりの肉…」
盗賊「てかお前の部屋の中に男が潜んでて戦闘になっちまった…痛てて」ポタリ
剣士「線虫!癒せ!」ニョロ
盗賊「おぉ悪いな」
マスター「相手は誰か分かった?」
盗賊「暗器使いだ…喋らせる前に逃げやがった…あっちも深手だが急所外したのがマズかったな」
ローグ「忍びじゃ無かったんすか?」
盗賊「分からんが特殊な暗器を使って居たのは間違いない」
ローグ「な〜んか物騒っすねぇ」ムシャムシャ
剣士「今日は出歩かない方が良さそうだね…まぁゆっくりしようか」
盗賊「そうだな…今日はハンモックじゃなくてベッドで寝れるんだしな」ドサ
剣士「マスターさん一つベッド使って良いよ?僕は女オークと一緒に横になるから」
マスター「ありがとう…」
206 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:35:26.62 ID:KbfSVIxh0
『夜中』
カクカク シカジカ
-------------
-------------
-------------
盗賊「…なるほど公爵はもう何年も前から移民を促してこの国にも足ががかり置いて来たっつー訳か」
ローグ「それじゃあっしは公爵の片棒を担ってた事になるんすが…」
盗賊「魔石とケシの流通コントロールでどうとでも出来る…こいつ相当賢いな」
マスター「この国は関税がかからないお陰でほぼセントラルが物価の指標を操作出来てしまう…それが弱点」
盗賊「まぁそれももう終わりだろ?この気候変動で商船はもう動けんしな」
マスター「だから今行動を始めて私も巻き込まれた…」
ローグ「公爵の足掛かりって具体的に何処か分かりやすか?」
マスター「銀鉱山の利権…廃坑になっていた場所を立ち上げ直した」
盗賊「ふむ…それだけじゃ切り捨ててもフィン・イッシュはそう痛まん」
マスター「銀で作った武器を軍隊に配布しているのも公爵」
ローグ「おっとっと…もしかして武器は全部公爵が握ってる感じなんすか?」
マスター「多分…」
盗賊「そういやフィン・イッシュがオークに武器を渡してるという話も聞いた事があるんだが…」
マスター「それも恐らく公爵が関与して居ると思う」
ローグ「あっしの言った通りでやんしたね?戦争を誘導していやすね…」
盗賊「あっちでもこっちでもマッチポンプか…どういう利があるか分からんな」
ローグ「表の顔じゃ和平交渉の先導役…こうやって足掛かりを得てるんすね」
盗賊「つまりすでに国の要人になってるってこったな…力を持った貴族はもう居ないってのは聞いて呆れる」
ローグ「力は金だけじゃ無いっすね…信用が力になる」
盗賊「だから暗殺がはびこる訳か…この状況をアサシンは黙って居ると思うか?」
ローグ「アサシンさんの敵は魔王なんすよ…魔王亡き今…守れなかった多くの命への懺悔の日々なんす」
盗賊「そういう所なんだよなぁ…女王に目染められなかったのは」
ローグ「不死者となってしまったんで無理も無いでやんすよ」
マスター「質問…あなた達は白狼の盗賊団としてフィン・イッシュへ?」
ローグ「…」ピタ
盗賊「それを聞いてどうする?」ジロリ
207 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:44:17.77 ID:KbfSVIxh0
盗賊「ぶっ!!あのアホ豪族か…あいつらどうなったんだろうな?」チラ
ローグ「セントラルに移送中な筈でやんすが…どうなりやしたかねぇ?」チラ
マスター「その口ぶりは事情を知って?」
盗賊「まぁな?囮だ囮!!」
マスター「まだ白狼の盗賊団は健在と見て良さそうね…」チラリ
盗賊「…」ジロ
マスター「??」
盗賊「さぁて!!仕事だ仕事…」グイ グイ ギュゥゥ
マスター「え!?どうして…」
ローグ「盗賊さん…」
ギロリ
盗賊「お前が盗賊ギルドの一員だった時どういう風に呼ばれて居たか知って居るか?」
マスター「…」
盗賊「女狐のお銀…セントラル支部で俺らの情報を横流しして居たのは知ってんだ…だから距離を置いた」
女狐「今度は違うわ」アセ
盗賊「上手く俺らに取り入って内部に入り込もうとしてんだろ?残念だが俺もそれほど馬鹿じゃ無ぇ」
女狐「誤解よ…今は盗賊業はやってない」
盗賊「お前を付け狙ってた奴は全員フィン・イッシュの忍びだったと俺が気付かんとでも思ったか?」
女狐「そんな事知らない…」
盗賊「それを公爵からの刺客だと嘘をついた…言い訳出来るか?」
女狐「誤解よ!」
盗賊「それとな?俺らの手口を知っちまった以上もうお前は生きられない…理解出来るな?」
女狐「え…」
盗賊「まぁベラベラと情報を出して信用を得るのは良いが…俺も元盗賊だ…こんな形で身内をやるのは心外だが…」
女狐「ねぇ待って!コブラ酒の契約は?」
盗賊「それを知ってるのは一部の人間だけなんだ…なんでお前がその一人なのかは知らんがな」
女狐「私を殺すつもり?」
盗賊「ローグ!!足を押さえろ」
ローグ「へい!!」グイ
盗賊「お前とは酒場の繋がり程度で止めて置きたかった…」スラーン
女狐「お願い…殺さないで…もう裏切らないから」ジタバタ
盗賊「ふぅぅ…アサシンはこうやって身内を屠って来たか」
ローグ「盗賊さん…」
女狐「お願い止めて…」
盗賊「あばよ…」ブン
グサリ! ポタポタ
208 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:46:05.29 ID:KbfSVIxh0
剣士「んあぁぁ痛いなぁ…」ポタポタ
盗賊「剣士!邪魔すんな…間違い無くこいつは刺客だ」
剣士「もっと平和に行こうよ…僕は幻術が得意な魔術師なのを忘れているよ」
女狐「ひぃぃぃ…はぁはぁ」ブルブル
剣士「人道に反するけどこの場合仕方が無い…催眠魔法!…君は僕達の秘密を他の誰にも話せない」
女狐「な…何を…」
剣士「人助けさ」
盗賊「なるほど…口封じはそれで良い訳か」
剣士「君がどう行動するかは自由だよ?でもね…一線を越える様な場合はどうなるか保証出来ないのは覚えて置いて」
女狐「…」ゴクリ
ローグ「こっわ…」
盗賊「命拾いしたな?これで俺らがどういう人種なのか理解出来たろう」
女狐「私の体は子供のまま?」
剣士「そうだよ…いつ元に戻るか僕も分からない」
女狐「フフフ…アーハハハハ完敗ね…もう何も出来ない」
盗賊「まだたんまり色々知って居そうだな?」
女狐「もう全部話したわ…私は白狼の盗賊団に憧れていた…突然盗賊が現れて試してみたくなった」
盗賊「やっと本音が出たか…裏切り癖さえなけりゃ俺らの仲間だったかも知れんのにな」
女狐「縁が無かったのね」
盗賊「お前だな?10年前にシャ・バクダ宿屋の店主と看板娘を嵌めたのは」
女狐「公爵はその頃から白狼の盗賊団を意識していた…私は雇われただけ」
盗賊「アサシンがやる気を失くしたのはその頃からだ」
ローグ「もしかして盗賊ギルド解体の裏にも公爵が関わって…」
女狐「気付くのが遅いわ」
盗賊「どうも生かして置けんなこの女…」
女狐「私は常に雇われ…悪気は無いのよ…私を雇う気は無い?」
剣士「何言ってるのさ…君はもう僕に逆らえないんだよ?自由にさせてあげてるだけだってさっき言ったじゃない」
女狐「う…」
盗賊「まぁそういう事だ…死ぬまで働け」
トントン
209 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:47:06.80 ID:KbfSVIxh0
ローグ「誰っすかねぇ?こんな夜遅くに…」
盗賊「客だ…入って良いぞ!」
ガチャリ ギーー
ローグ「あらららら?どういう事っすか?」
怪しい女「話はすべて聞かせて貰った」
盗賊「俺らの隣の部屋は忍びが借りてる訳よ…その女が魔女からの使いだ」
ローグ「ええええ?マジっすか…」
くノ一「強力感謝…これで一族にも説明が付く」
盗賊「酒場のマスターをどうする?連れて行くか?」
くノ一「もう泳がせる必要は無くなった…連行する」
マスター「いつから手を組んで…」
盗賊「お前の家に行った時だ馬鹿が…お前が思うより忍びはずっと優秀なんだ」
マスター「フフフ…さすが白狼の一味」
盗賊「ほんで何処に連行するんだ?俺らはどうすれば良い?」
くノ一「今宵は夜が明けるまで待たれよ…早朝に狼煙を上げる故にそこを目指すのだ」
盗賊「狼煙…また古典的な」
くノ一「急ぐ故失礼!…付いて来い」グイ
-----------------
-----------------
-----------------
210 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:48:07.30 ID:KbfSVIxh0
『早朝』
チュンチュン ピヨ
盗賊「なんで狼煙なのよ…見つけたか?」
ローグ「城の方じゃ無さそうっすねぇ…墓地も違う…」
剣士「ねぇ山の上の方…あれじゃ無いかな?」
盗賊「なぬ!?…あそこは古代遺跡に近い場所だ」
剣士「女王が忍んでいる場所ってもしかして…」
盗賊「なるほど…人里離れているという事か」
剣士「飛空艇で行く?」
盗賊「動物が多くて荒らされるかも知れんぞ?こっからなら歩いて2時間…」
剣士「歩きかぁ…じゃぁちょっと買い物して行きたいなぁ」
盗賊「ヌハハ金ならあるぞ?好きに使え」ジャラリ
剣士「女オーク?装備品を新調出来る…買いに行こう」
女オーク「私は今のままで良いわ」
剣士「ダメダメ…金属糸は僕には作れないからインナーだけでも買いたい」
盗賊「おおそうだ!銀の武器を一応用意しろ…ゾンビが出るかも知れんからな」
剣士「おけおけ…行くよ!」グイ
盗賊「集合は墓地!!良いな?」
剣士「分かった〜」シュタタ
---------------
211 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:48:54.32 ID:KbfSVIxh0
『2時間後_墓地』
スゥゥ ハァァァァ モクモク
ローグ「それ葉巻っちゅう嗜好品すね?煙なんざ美味いんすか?」
盗賊「ドワーフが吸ってるのを見て俺も試したくなってな…苦みが癖になる」モクモク
ローグ「あ…剣士君達も来やしたね」
盗賊「おぉ丁度良かった」
剣士「ゴメン!待ったかな?」シュタタ
盗賊「葉巻一本吸うくらいにはな?」
ローグ「装備品新調した様に見えやせんが…」
剣士「インナーだけさ…身に着けてるのと着けてないのじゃ傷の具合が全然違うから」
盗賊「違い無ぇ急所がカバー出来てるしな…さて行くか!!」スック
ローグ「こっから先は魔物が出るんすよね?」
盗賊「うむ…まぁリザードマン程度だからどうって事も無いが…」スタ
---------------
『林道』
バサバサ ザクザク
盗賊「…確かこの辺りに獣道があった筈なんだが…」キョロ
ローグ「なんかやけに静かな林っすね…」
剣士「あああ!!松ぼっくりみーっけ!!」スタタ
盗賊「一応魔物に警戒してだな…」
女オーク「毒キノコもあるわ…」ドスドス
ローグ「ハハ警戒感ゼロでやんすよ‥」
剣士「んん?木の上に何か居る…」クンクン
盗賊「どこだ?」ダダ
剣士「お面を被ってる…あれ忍びかな?」
盗賊「天狗だな…」
剣士「こっち見てるね…なんかエルフみたいで気味が悪い」
盗賊「ふむ…俺らを監視してるのか…それとも迎えに来たのか」
剣士「迎え?やっぱり忍びの人?」
盗賊「詳しくは知らん…ただこの辺では始めて見る」
剣士「まぁ気にしなくて良いかぁ…女オーク!松ぼっくり集めて行こう」スタタ
女オーク「うん…」ドタドタ
盗賊「おい!あんまり遠くへ離れるなよ?」
----------------
212 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:49:39.20 ID:KbfSVIxh0
ローグ「あの天狗あっしらの前方で一定距離保って居るでやんす」
盗賊「どうやら俺らを案内してんな?」
剣士「ねぇここ狭間が近いよ」
盗賊「どういう事だ?」
剣士「あの天狗見失わない様に進まないと迷う可能性がある」
盗賊「ほ〜ん…なるほどな?忍びの隠れ里がある訳か」
剣士「天狗に付いて行こう」スタ
盗賊「おいおいお前が一番迷いそうだマテ」
『隠れ里』
剣士「…この赤い門みたいな奴は何?」
盗賊「鳥居ってんだ…しかしまぁ上手く隠したな」
ローグ「鳥居の向こう側で天狗が立ち止まっていやす」
盗賊「潜って来いという事か…」
剣士「…なんだろう?不思議な感じだ」スタ
くノ一「客人の案内ご苦労…」
盗賊「おぉ忍びの姉ちゃん…ここは何だ?」
くノ一「我ら忍びが修行する隠れ里だ…こちらへ…アサシン殿が待っている」
剣士「やっと合流出来たね」
盗賊「ここに女王が忍んで居るんだな?」
くノ一「如何にも…信用出来る者が分からぬ故の事」
盗賊「女王は無事なんか?」
くノ一「…付いて来い」スタ
213 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:51:02.16 ID:KbfSVIxh0
『隠れ屋敷』
女戦士「剣士か?良く来たな…」
剣士「良かった…貝殻が通じないからどうしたかと…」
女戦士「どうやらここは狭間の中らしい…エルフの森と同じだ」
情報屋「待って居たのよ?」
剣士「女王様の容態は?」
女戦士「落ち着いては居るが昏睡が続いていてな…今は熱病で苦しんでいる」
剣士「線虫を掛け直す…見せて貰っても良い?」
女戦士「…との事だが構わんか?」
くノ一「…奥の部屋だ…一人だけ付いて来い」スタ
剣士「うん…」スタ
『奥座敷』
ハァハァ…
アサシン「…」ジー
剣士「アサシンさん…輸血の効果は?」
アサシン「…見ての通りだ…ゾンビ化の病と戦って居る」
剣士「大丈夫まだ生きてる…治療し直すよ」ゴソゴソ
くノ一「何をする気か?」
剣士「光の魔方陣を作って居るのさ…少し待って」ゴソゴソ
くノ一「この者は魔術師なのか?」
アサシン「信用して良い…勇者の血を引く者だ」
剣士「おっけ!浄化魔法!」シュゥゥゥ
女王「はうぅぅぅ…」ピクピク
剣士「線虫!癒せ!」ザワザワ ニョロリ
くノ一「…」ギュゥ グググ
剣士「よし…最後に睡眠魔法!」zzz
女王「すぅ…」スヤ
剣士「ゾンビ化した部分は浄化した…あとは線虫が傷を癒してくれる…目が覚めたら麻薬の事は夢だと思って居る筈」
アサシン「そうか…これで安心した」
剣士「もう僕に出来る事は無いから戻るよ」スック
くノ一「これで女王様はお目覚めに?」
剣士「うん大丈夫…あ!そうだ…夜光虫来い!」フワフワ ピカ
くノ一「これは…」
剣士「蛍だよ…命の水を運んで来るんだ…まぁ出来る事はこれで最後かな…じゃぁ行くね」スタ
214 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:51:50.73 ID:KbfSVIxh0
『土間』
メラメラ パチ
剣士「へぇ?不思議な作りの屋敷だね…家の中で焚火出来るんだ」
情報屋「これが又便利なのよ…スープがあるけど居る?」
剣士「うん…少し貰う」
盗賊「さて!魔女が居ないがこれで全員揃った…いやいや久しぶりだ」
情報屋「今日は話が尽きなさそう」
盗賊「酒が無いのが寂しい所だ」
商人「僕持ってるよ…居るかい?」
盗賊「お?商人が酒を持ってるたぁどういう事よ」
商人「僕にも色々あるのさ」
盗賊「むむ…お前フードで顔を隠す様になってから様子がおかしいとは思って居たがまさか…」
商人「ハハ血色の悪さが隠し切れなくてね…僕の心臓はとうに止まって居るよ」
情報屋「まぁそういう話は今度にしましょう…はいスープ飲んで」
剣士「ありがとう…」ズズズ
情報屋「じゃぁ情報交換しましょうか…」
カクカク シカジカ
-------------
-------------
-------------
215 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:53:53.54 ID:KbfSVIxh0
盗賊「フィン・イッシュで信頼出来るのは近衛侍と忍びの一族だけという事か…」
情報屋「そう…私達もセントラル国王から疑われて身の危険があるからこの隠れ里に潜んでるという訳」
盗賊「しかしまぁセントラル国王は馬鹿というか直ぐに騙されちまうんだな」
女戦士「そういう馬鹿正直な男だそうだ」
盗賊「暗殺の主犯の件は伝わって居ないのか?」
女戦士「近衛侍の方から伝えに行ったそうだがまだ反応は見て取れない」
盗賊「まぁ自分の家系から裏切り者が出てるのは認められんかも知れんな」
情報屋「家系から出たというか上手く利用されたのね…公爵という人物に」
商人「僕も驚いたさ…公爵は主要なお得意さんで悪い人では無かった」
盗賊「お前会った事はあるんだな?」
商人「無い…影武者なら会ってるかもしれないけど向こうも本人が動いてるとは思えないしね」
盗賊「魔女が女王にすり替わっているのだが…」
女戦士「和平交渉を女王無しでは進められないのだよ」
盗賊「勝手にやらせてて良いとは思えんのだが」
女戦士「女王の側近にも利用されている人間が居るかもしれないのだ…その辺りのコントロールは魔女に任せた方が良いと思う」
盗賊「独裁国家になっちまうぜ?」
女戦士「近衛侍はその辺を心得ているぞ?まぁ元より近衛侍は和平を望んで居ない」
ローグ「なんか読めて来やしたぜ?和平交渉は公爵から一方的に提案されてるんすね?」
女戦士「そういう事だ」
ローグ「元々戦争の小競り合いは公爵が誘導したマッチポンプ…その辺りを近衛侍は感づいてるんすね」
女戦士「その通り…セントラル国王率いる軍隊を足掛かりにフィン・イッシュの分断を謀って居るのだよ」
盗賊「つまり和平では無く攻めに転じた方が国の為…近衛侍はそう判断しているのか」
女戦士「その戦争を回避するには首謀者の暗殺…これが一番有効になる」
盗賊「実はだな…俺らがこっちの大陸に来た目的が…」
どうやら時の王の資産を全部公爵が抑えて居てな
その中にアーティファクトの冒険の書もあるらしいんだ
他にも色々有るかも知れ無ぇ
ほんで俺がそれを盗みに行くつもりだった訳よ
女戦士「ふむ…目的は合致するな」
216 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:55:59.29 ID:KbfSVIxh0
盗賊「殺すつもりは無かったが…剣士は公爵を骨抜きにする術を持って居る」
女戦士「剣士が?どんな隠し玉がある…」
剣士「幻術だよ…記憶を奪う事も出来る…人道を外れるけど」
女戦士「なるほど…命を奪う事無く事を納められるのか」
剣士「もう一つ大事な事を忘れてるよ…公爵は魔王を封じた魔石を持って居るかもしれない」
女戦士「なに?」
商人「ちょっと待ってちょっと待って…その情報の出所は?」
ローグ「あっしでやんす…証拠はありやせん…只状況証拠ならいろいろ知って居やす」
商人「魔王を封じた魔石を公爵が持って居たとすると…大量の魔石貿易はそこから来てる…」
ローグ「そういう一切合切を盗みに行くのがあっしらがやろうとしてる事でやんす」
商人「なんか色々読めて来たぞ…疑問が残るのが公爵の目的」
ローグ「それが分からんのです…公爵が冒険の書で何を見たかなんすよ」
情報屋「冒険の書…私が読んだのは遥か昔…光る隕石で溶けて行く世界のお話」
剣士「多分それは本当に在った出来事で精霊の記憶の一部…」
情報屋「分かるわ…同じように公爵も何かを見たなら啓示を感じたのかも知れない」
商人「啓示?」
情報屋「予言の一種よ…私もなんとなく知ってた…光る隕石が世界を滅ぼすって…」
商人「子供が生まれなくなる件の事か…」
情報屋「その時代…放射能と呼ばれていた」
ローグ「放射能…始めて聞く言葉っす」
情報屋「そういう知識が啓示の一つ…いわゆる予言なの」
剣士「じゃぁやっぱり地軸の移動も公爵は事前に察知していたと考えて良いね」
盗賊「国のお偉いさんには通達していた様だしな?」
女戦士「とりあえず公爵は危険な人物である事には変わりない…これからどうするか」
剣士「公爵の件は一旦僕に預けて欲しいかな…アダムの秘密を聞き出したいんだ」
女戦士「ほう?幻術で喋らせるか…」
剣士「うん…大きな戦争に発展してからでは探すのも困難になりそうだ…ここは隠密に行こうよ」
スタスタ
アサシン「話に割り込む様だが…一つ言っておく…公爵は悪い人間では無い」
217 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 14:58:57.97 ID:KbfSVIxh0
盗賊「おっとぉ?どういう訳なんだ?」
アサシン「元は私達の同志なのだ…盗賊ギルドの良き支援者でもあった」
盗賊「なんだよ真逆な意見を言うじゃ無ぇか」
アサシン「私達とは手段が違うだけで公爵も世界を救おうとしている…只噛み合って居ない」
商人「参ったね…関りが複雑で何が何やら…」
アサシン「仮に私達がその魔王を封じた魔石を手に入れたとして向こう陣営にどう映ると思う?」
商人「アーティファクトを使って世界を動かしている様に見えるだろうね…」
アサシン「それと同じだ…向こうにはこちらの動きが常を逸した一党に見えているのだよ」
ローグ「ちっと待ってくださいよ?公爵がやって居るのも移民を促して結果的に人を救う行為っすね」
剣士「ドリアードを復活させたのはどう説明するの?」
アサシン「私達は精霊樹を…向こう陣営はドリアードを…手段が違うだけでやって居る事は同じという事だ」
剣士「そんな…じゃぁアダムは破壊する必要が無かったと?」
アサシン「エルフには破壊する必要があっただろうな…どちら陣営が力を持つかだけの差だよ」
剣士「こういう事か…僕達は魔王に侵されるのを拒んだ…向こうは魔王を受け入れた」
アサシン「そういう事だ…魔王は世界の半分を約束する…つまり半分の人間は生き残る」
商人「くそぉぉ!!」バン
情報屋「商人…」
商人「初めからボタンを掛け違って居ると言うのか?もう半分どころか10分の1も生き残って居ない!!」
アサシン「私が掛け違ったボタンだ…始めの魔王復活を邪魔しなければこうはならなかった…済まない」
盗賊「初めから公爵の思惑通りに魔王を魔石に変えときゃ被害は無かったと言いたいのか?」
アサシン「それに抗って事態を悪い方へ転じさせたのは私達なのだよ…意味が分かるか?私達は白い悪魔なのだ」
盗賊「あぁ胸糞悪いな…お前はそれでやる気失せた訳だ」
アサシン「クックック言わないでくれ…」
剣士「…」
僕が初めに自分を意識し始めたのは光る夜の時だった
思い返せば無意識に虫を集めて居た様な気もする
そしてダイダラボッチを起こして光る隕石が落ちた
子供が生まれない原因を作ったのは
僕かも知れない
ボタンを掛け違うというのはこういう事
もう取り返しが付かない
僕のせいで世界は滅ぶ…
魔王は僕だ…
218 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:00:44.38 ID:KbfSVIxh0
『庭園』
チョロチョロ カコーーン
盗賊「妙な仕掛けだ…こりゃ何の意味がある?」
情報屋「これは鹿威しという仕掛け…野生の動物が寄って来ない様にする古来の工夫よ」
盗賊「ここは安全なんだろうがどうも退屈だ…」
情報屋「仕方ないわ…女王が目を覚ますまではフィン・イッシュに居ては私達も危険」
盗賊「そうだ…まだ言って無かったんだが新しい遺跡を発見したんだ」
情報屋「え!?何処に?」
盗賊「外海なんだがフィン・イッシュから北西だな…なんつったっけ…えーとハウ・アイ島という所があるんだ」
情報屋「知らない…いつの時代なのか分からない?」
盗賊「キ・カイと同じ開かずの扉が在るらしい…ほんでな?どうやらフィン・イッシュの祭事に使う祠も同じ様だ」
情報屋「えええええええ!?見たい…」
盗賊「まぁここの祠は女王に許可貰った方が良さそうだな」
情報屋「ちょっと待って…確か旧時代の世界地図をメモしてた筈…」ペラペラ
あった…そうよ…遺物が残って居る可能性のある分布図
フィン・イッシュも対象に入ってた…セントラルにもある筈
古代文明の遺跡の上に新しい文明が発達するのよ
ええと…今言ったハウ・アイ島はここの島ね?
盗賊「ちっと地図をひっくり返せ…」
情報屋「こう?」クル
盗賊「ふむ…大体そんな位置だな」
情報屋「未踏の地にある遺跡なんて大発見だわ」
盗賊「そこにな?リヴァイアサンと思われる大型の電気ウナギがいてよ…フィン・イッシュまで運ぼうとした探検家が居たんだ」
情報屋「リヴァイアサンが電気ウナギだった?本当に?」
盗賊「真相は分からんが剣士はそう思ってる」
情報屋「キ・カイと同じという事はウンディーネ時代より前…そしてホムンクルスが居るかもしれない」
盗賊「そういうこった」
219 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:02:44.42 ID:KbfSVIxh0
『座敷』
シーン…
アサシン「…」ジーー
剣士「アサシンさん…」
アサシン「剣士か…どうした?」
剣士「瞑想しているの?」
アサシン「まぁそんな所か…」
剣士「さっきの話…アサシンさんはどんなボタンの掛け違いを?」
アサシン「クックック…直接本人に聞きに来るとはお前も肝が据わって居る」
剣士「あ…昔の話は聞かされてなくて知らないのさ」
アサシン「私はお前の父親を殺そうとして居たのだ…いや一度魔王と一緒に葬った」
剣士「100日の夜だね?」
アサシン「それを招いたのも私の未熟からの結果なのだよ」
剣士「僕も取り返しの付かないミスをしてた事に気付いた…」
アサシン「ほう?」
剣士「10年前に光る隕石が落ちたのは多分僕のせいだ…そして子供が生まれ無くなった」
アサシン「…」
剣士「僕はね…生まれて来る筈の命を全部奪ってしまた様に思う」
アサシン「私と同じだと言いたいのか?」
剣士「うん…アサシンさんも同じ様に取り返しの付かない事で沢山の命を奪ってしまったんだと思う」
アサシン「私はその時薄々感づいて居たのだ…ただ自分の行いを正当化したかった…未熟故にな」
剣士「その時って?」
アサシン「公爵とは旧友なのだ勇者を葬る考えは一致していてな…奴は魔王を勇者諸共魔石に変えると息巻いていた」
剣士「そっか…アサシンさんのお陰で僕が生まれたのか」
アサシン「私では無い…お前の母…女海賊がすべてを塗り替えた…私の心までもな」
剣士「ママが…」
アサシン「私はな…勇者と魔王は表裏一体だと思って居た…勇者の元に魔王が来る」
剣士「…」
アサシン「勇者を葬れば魔王は来ない…それは考えが甘かった…魔王を集めるのは祈りの指輪を持つ誰でも良かったのだよ」
剣士「祈りの指輪…」
220 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:04:21.22 ID:KbfSVIxh0
アサシン「つまり公爵の思惑通りに進めればもっと早くに魔王を魔石に出来て居た筈…これが私の掛け違えたボタンだ」
剣士「そうすれば被害は最小で済んだ?…という事だね」
アサシン「私が足掻くが故に多くの友に手を掛けなくてはならなくなった…これが罪」
剣士「…ちがうよアサシンさん…それは結果論だよ…例えその時魔王を魔石に封じたとしても人類の滅亡はどんどん進む」
アサシン「私に講釈をするか…」
剣士「分かって居るんだ…人間の心から魔王は居なくならない…魔王は又来る」
アサシン「それを無くしたいと足掻き続けた結果…どんな未来が見えるのか…私には分からなくなってしまった」
剣士「ねぇアサシンさん?僕は取り返しの付かないミスをした事に気付いても不思議と前を見てる」
アサシン「ドワーフの血か?」
剣士「多分ね…僕が魔王を集めたらどうなると思う?」
アサシン「お前が魔王になると言うか?」
剣士「いや…多分もう既に魔王なのさ…幻術が得意な魔王…寄生虫を使ってすべてを操れる魔王」
アサシン「クックック馬鹿な事を言うと思えば…」
剣士「大丈夫…僕はコントロール出来てる」
アサシン「お前が魔王になったとしてどうする?世界を滅ぼすか?」
剣士「もう滅ぼしてしまった…それに気付いたよ」
アサシン「クックック馬鹿馬鹿しい…」
剣士「…どう?少しは気が晴れた?」
アサシン「退屈しのぎにはな?」
剣士「見て…いのりの指輪だよ」キラン
アサシン「…何故お前が持って居る?」
剣士「魔王だからさ…僕は人が抱える闇を取り込むことが出来る…でも僕には何も影響が無い」
アサシン「…」ギロリ
剣士「夜光虫!来い…」フワフワ
アサシン「蛍か…」
剣士「こうやって光を見せる事だって出来る」
アサシン「それがお前の答えか?」
剣士「ねぇもっと教えてよ…パパとママの事」
アサシン「フフ…」---これが勇者と魔王のあるべき姿なのかもしれない---
---これに気付くのに随分犠牲を払った---
---私はまだ生きて良いのか?---
---こう思えるのが希望なのか?---
221 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:06:18.88 ID:KbfSVIxh0
『道場』
カン カン コン
次は3人同時で構わない…来い!
行くぞ…同時に切りかかれ
はぁっ!!飛んだ?
着地にスキ在り!!
女戦士「フフ…流石に土に足を付けねば避けられんか…」
近衛侍「いやはや3人掛かりでは無いと懐に付けぬとは御見それ行った…」
女戦士「近衛侍達も良くここまで修行した物だ…型を見たいのだが良いか?」
近衛侍「由何…夢幻一刀流…鶴切り…鶯…不如帰…月光…燕返し」スン スン スン
女戦士「ふむ…私には出来そうもないな」
タッタッタ
剣士「音がすると思ったらここで立ち合いやってたんだね」
女戦士「剣士か…丁度良い見て行くと良い」
剣士「パパの型だ…僕も少し出来るよ」
近衛侍「ほう?」
剣士「ほら?鶴切り…鶯…不如帰…月光…燕返し」スン スン スン
近衛侍「その光る刀…いつぞやの剣豪の刀と見受ける」
女戦士「剣士!ここで真剣は抜くな」
剣士「あぁゴメン…」スチャ
近衛侍「しかしまだ若い」
女戦士「その剣豪の子なのだ…その刀は形見」
近衛侍「そうであったか…抜刀術の神業を拝見した事がありましてな」
剣士「パパは腰に差した刀からの抜刀術が基本だったね…僕は刀を背負ってるから出来ない」
女戦士「剣士…少し立ち会って見るか?」
剣士「おけおけ…ビッグママ…いや女戦士と立ち会うのは初めてだね」スチャ
女戦士「お前も時空を超えるのだろう?どれ程か見させてもらう」スチャ
近衛侍「ほほー面白い立ち合いと見た…某が合図を」
剣士「おっけ!!いつでも良いよ」
女戦士「…来い!」
近衛侍「始め!!」
222 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:07:24.70 ID:KbfSVIxh0
剣士「行くよ?」ダダ
カン カン コン
女戦士「なに?互角…」
剣士「あれ?防がれたなぁ…もう一丁!!」ダダ
カン カン コン
女戦士「これならどうだ!」グググ
剣士「くそう…」タジ
女戦士「ふん!!」ブン
剣士「うわぁぁ…」ゴロゴロ
女戦士「てい!!」ダダ
近衛侍「勝負あり!!」ビシ
女戦士「…」
剣士「強いなぁ…体格差か」
女戦士「剣士…時空の修行は終わって居なかったのでは無かったか?」
剣士「うん…飽きちゃったからさぁ」
女戦士「フフ親が親なら子も…そういう事か」
近衛侍「いやいや…なかなか良い試合を見させて貰った…若いのに見切りを体得して居られる」
女戦士「正直私も驚いた…格闘術を併用しないと剣術だけでは危険を感じた」
シュタタタ
くノ一「近衛侍!女王様がお目覚めに…」
近衛侍「おぉ!!試合の最中であるが御免…」スタタ
剣士「あ…走り方もパパみたいだ…」
女戦士「剣士…お前の父は剣技を伝えてこの国を守って居るのが分かるか?」
剣士「そうだね…分かるよ…多分剣の型の中にパパの意思が入ってる」
女戦士「それが分かれば良い…さて私達も女王の下へ行くか」スタ
223 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:08:36.81 ID:KbfSVIxh0
『奥座敷』
くノ一「女王様…まだ御安静に…」
女王「良いのです…アサシン様…近くへ」
アサシン「ご無事で…」スス
女王「夢を見ました…アサシン様に背負われる夢です…又私はアサシン様に救われたのですね?」
アサシン「看病は近衛侍と忍びの一族が…」
女王「くノ一…私はどれ程眠って居たのでしょう?」
くノ一「7日程…」
女王「そうだったのですね…私が隠れに居る理由が良く分かりませんがご苦労をおかけしました」
くノ一「滅相も無い…無事に目覚めて何より」
女王「アサシン様は事情を把握しておられて?」
アサシン「勿論…ですが今は御ゆるりと」
女王「子ども扱いですか?」
アサシン「フフまずは女王様の体力回復が先にと…」
女王「少し体を動かしてみたいのです…補助をお願いできますか?」
アサシン「御手を…」スッ
女王「昔の様に話して頂けませんか?他人行儀は嫌なのです」
アサシン「…これで良いのか?」
女王「はい…その方がアサシン様らしい」
アサシン「座敷で懐かしい顔が増えている…何か口にするか?」
女王「少し口が渇いております」
アサシン「スープがある様だ…飲むが良い」
224 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:10:21.01 ID:KbfSVIxh0
『座敷』
アーデモナイ コーデモナイ
盗賊「お!!嬢ちゃん…目ぇ覚ました様だな?」
情報屋「もう動いて平気なの?」
女王「盗賊様…お久しぶりで御座います」
盗賊「嬢ちゃんが握ったおにぎり食いに来たぜ?」
タッタッタ
剣士「ふぅ…あ!!女王様?」
女王「こちらの方は勇者様?」ハテ?
盗賊「あーーそいつは勇者の子供でな…剣士と名乗ってる」
女王「そうだったのですね…お世話になっております」フカブカ
剣士「え?いやぁ…こちらこそ」ペコペコ
アサシン「情報屋!スープを飲みたいらしい」
情報屋「用意するわ」アセアセ
盗賊「改めて紹介する…こいつが勇者の子で剣士な?」ドン
剣士「あ…はい」ペコペコ
盗賊「ほんでこっちのデッカイのが女オーク…ほんでこっちの貧相なのがローグ」
ローグ「いや貧相って酷くないっすか?」
女王「皆様この度は御迷惑をおかけした様で…」ペコペコ
剣士「いや…こちらこそ」ペコペコ
盗賊「何やってんだ…まぁまず食って体力付けてだな…てか俺ん家じゃ無いんだけどよ」
情報屋「肉と野菜のスープです…どうぞ」
女王「ありがとうございます…」スス ゴク
盗賊「ほほーやっぱ食い方が上品だな」
剣士「どんぐり居る?松ぼっくりもあるよ?あーそうだキノコもあったんだ」
女王「この雰囲気…皆様お変わりなくて安心しました」
盗賊「キノコは生じゃ気持ち悪りぃ…ちっと貸せ!焼いてやる」
ワイガヤ
----------
----------
----------
225 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:11:35.80 ID:KbfSVIxh0
女王「…松の実は私も大好きなのです」モグ
盗賊「キノコ焼けたぜ?」
剣士「僕も食べたい…」
盗賊「おー食え食え」
商人「良いなぁぁ食べられて…お酒だけじゃ口が寂しい」ゴク
アサシン「腹は減って居ないだろう?」グビ
女王「少し食べたら力が湧いて来たようです」
盗賊「まだ畑仕事やってんのか?」
女王「勿論…お陰で体力には自信があるのです」
盗賊「そりゃ良い…そういや船の操作の仕方教える約束すっかり忘れてたわヌハハ」
女王「船…そうでした港の船はどうなったのかご存じ無いでしょうか?」
盗賊「離岸してバラバラに停船してたぞ?」
近衛侍「女王様…政務の事は私共にお任せを…今は御歓談を続けて頂いて結構」
女王「私には約束事が沢山あった筈…」
近衛侍「ですから女王様はご心配なさらず静養されて下さい」
女王「…そうですか」
盗賊「まぁ座敷でゴロゴロすんのもそろそろ飽きたろぅ?ちっと散歩でもし無ぇか?」
女王「そうですね…近衛侍!外に出てもよろしいですか?」
近衛侍「お体に障らない程度に…」
盗賊「実はよ?祭事の時に使う祠が合ったろう?ちっと見たいんだよ」
女王「隠れ里からすぐ近くですね」
盗賊「あと温泉にも入りてぇな…」
女王「温泉…私も入りたいのですが側近が居なくては…」
くノ一「私目がご一緒します」
盗賊「ほんじゃ静養がてら温泉に行くぞ!!」
近衛侍「警護はお任せあれ…」
226 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:12:58.28 ID:KbfSVIxh0
『林道』
サラサラ サラサラ
女王「この小川を少し下った先が祭事の祠です」
剣士「この辺りはキノコが一杯だね」
女王「毒キノコですので食さない様に…」
剣士「大丈夫大丈夫!女オーク?このキノコ食べられそうだ」
女オーク「私専用ね?ウフフ」
盗賊「嬢ちゃん実はよ?俺らが祠に行きたい理由を言って無かったんだが…」
女王「はい察しております…」
盗賊「なんで聞か無ぇんだ?」
女王「察しておりますのでわざわざ聞く必要も無いと思いまして」
盗賊「扉を開けても良いのか?」
女王「どうぞご自由に…私は誰かのお役に立てる事が嬉しいのです…特にアサシン様には感謝しきれない恩がありますので」
情報屋「その祠は龍神を奉った祠よね?実はこの人たち龍神を発見してるのよ」
女王「そうだったのですね…龍神はいづこへ?」
盗賊「未踏の地で眠って居た様だ…今は外海で元気に泳いでる」
女王「伝説では龍神が祠を守って居たと伝えられています…きっと未踏の地にも祠が有るのでしょうね」
剣士「僕が説明するよ…多分誰かが龍神の使う雷で扉の開閉をしていたんだよ」
女王「誰か…」
くノ一「口を挟みますが我ら忍びの始祖…一角仙人かも知れません」
剣士「へぇ?」
くノ一「仙人には沢山の逸話が残って居ます…妖術を操り魔物を退けたなど…」
盗賊「まぁ俺らはその謎が知りたい訳だ」
情報屋「私は考古学者なので古代文明との繋がりを調べたい」
女王「なんだかワクワクする話ですね…奥に何があるのか楽しみになってきました」
盗賊「そう言って貰えると俺も鍵開けをやり易い…まぁ楽しみにしていてくれ」
227 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:14:26.48 ID:KbfSVIxh0
『祭事の祠』
ピチョン ポタ
情報屋「入り口が大分風化しているけど古代遺跡に間違いないわ」
女王「奥に祭壇があります…ついて来て下さい」スタ
情報屋「並んでいる石造は割と年代が新しい…」
女王「それは農業の神を奉った石造ですね…林道にも沢山ありますよ」
アサシン「クサナギの剣は祭事でどの様に使うのだ?」
女王「祭壇に置くだけですよ…置いても何も起こりませんけど」
アサシン「これは私が持って居て良い物なのか?」
女王「どうぞお持ちください…私には必要の無い物ですから」
アサシン「私はこの剣を返そうと思って居たのだが…」
女王「なぜ返されようとするのですか?」
アサシン「私はもう殺める事をしたく無いのだ」
女王「ではその剣でお守り下さい…私を守って下さった様に…どうか民をお守りください」
アサシン「守る…」
女王「ふさわしい方にお渡ししているつもりなのです」
アサシン「フフまぁ良い…祭壇は何処だ?」
盗賊「おぉコレか!このどす黒い器はなんだ?」
女王「贄として捧げる男性の血を入れる器です…古来からの慣わしなのです」
情報屋「龍神に血を?」
女王「龍神と言っても色々な龍神が居るのです…中には血を好む龍神も居ます」
盗賊「ほ〜ん…で?この祭壇の裏にあるのが例の扉か…」
女王「開けられそうですか?」
盗賊「こりゃキ・カイの扉と一緒だ…そうだな2時間で開く」
女王「時間が掛かるのですね…」
盗賊「温泉に行って来ても良いぞ?」
情報屋「そうね…開いた後に調査もしたいし今の内に入って来るわ」
剣士「僕も行って来るよ…女オーク!温泉行こう」グイ
女王「では後ほど戻ってきます…ご安全に」スタ
228 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:16:39.32 ID:KbfSVIxh0
『開かずの扉』
ヒュゥゥゥ
商人「もう扉を開けるのは慣れたもんだね」
盗賊「こう何度も開けりゃな?しかしお前…やけに落ち着いてるじゃ無ぇか…ホムンクルスが居るかもしれんぞ?」
商人「ハハ僕は居ないと思うよ…何故ならホムンクルスが生前に残された生体の数を教えてくれているから」
盗賊「ヌハハそういう事か…楽しみ半減だな」
商人「まぁこれで少し謎は解けた…ホムンクルスの寿命は400年…どうやって精霊が何千年も生き続けたのかね」
盗賊「体を乗り換えて来たって事か」
商人「うん…この大陸にはもう生体は残って居ないのさ」
盗賊「じゃぁ誰がこの扉を開け閉めしてたか?ってのが今から分かる訳だ」
商人「大体想像が付く…過去に戻った勇者2人だよ」
盗賊「仙人ってのもそうだな?」
商人「多分ね…それより未踏の地にあるという古代遺跡の方が気になるよ」
盗賊「ホムンクルスが眠って居る可能性が有るんか?」
商人「うん…残された生体の数は当時の行ける範囲での話さ…未踏の地は除外してる筈」
盗賊「でもよ?リヴァイアサンがそこで凍ってたって事はそっちにも行ってんだよな?」
商人「行ったけど肝心のリヴァイアサンが凍ってしまった…だから開けられなかった…可能性ありそうだよね?」
盗賊「なるほど…やっぱ行く価値ありそうだ」
商人「行くときは僕も連れて行って欲しい…実はさ…僕精霊樹の所に行って死のうと思ってたんだ」
盗賊「なぬ?」
商人「ゾンビは木に生まれ変われるじゃない?ホムンクルスの所に行きたかったんだよ」
盗賊「まぁ止めはしないが…」
商人「気が変わった…まだこの機械の犬は5年くらいは寿命がある…それまでこの世界の秘密を暴きたくなった」
機械の犬「ワン!」フリフリ
商人「僕のお墓は精霊樹で決まり…まだ体が動くからやれる事やる」
盗賊「おう!そういう生き方好きだぜ?」
アサシン「クックック死者が言う言葉か…足掻き方と言い変えた方が良いがな」
盗賊「そういうお前は王女を守ると言う生き甲斐が出来ただろ」
アサシン「セントラル国王と上手くやっていく自信は無いがな?」
商人「忍びの一族には気に入られて居たじゃない」
アサシン「まぁ退屈しのぎにはなるな…」グビ
盗賊「お?俺にも酒飲ませろ」
商人「僕が持ってるよ」ポイ
盗賊「お前等酔いたいなら聖水飲むんじゃ無いのか?」グビ
アサシン「アレは喉が焼ける…味はワインが最高だ」ゴク
盗賊「しかしまぁ…俺と一緒で酒無しじゃ生きて行け無ぇってな?ヌハハ」
商人「酔えるのが羨ましいよ」
229 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:18:22.15 ID:KbfSVIxh0
『2時間後』
ホクホク
女王「只今戻りました…扉は空きましたでしょうか?」ホクホク
盗賊「おぉ待ってたぜ〜?まだ入って無ぇぞ?」
女王「ワクワクしますね…」
盗賊「剣士!光を頼む」
剣士「おっけ!照明魔法!」ピカー
盗賊「一応危無ぇから後から付いて来てくれな?」
女王「はい…」ワクワク
盗賊「じゃぁ入るぜ?」スタ
『古代遺跡』
シーーン
女王「ガラス容器にテーブル…食器まで…これは一体」
情報屋「食器の年代を調べるわ…」ゴソゴソ
剣士「いつもの古代遺跡とほとんど同じだね…」
商人「やっぱりホムンクルスの生体は無い…予想通りだ」
盗賊「お宝は無さそうだな…」キョロ
剣士「ん?何だコレ?大きな食器かな…それとこっちの宝石みたいな奴は何だろう?」
盗賊「ほーーそりゃ鏡だな…ほんでこっちは又デカイ宝石だな」
情報屋「見せて?…スゴイ!この鏡は相当な年代物…宝石は瑪瑙ね」
女王「もしかすると失われた八咫鏡と八尺瓊勾玉かも知れません」
情報屋「八咫鏡…何かの書物で読んだ事あるかもしれない」
盗賊「まぁこれは嬢ちゃんの物だ…宝具にすると良い」
情報屋「鏡に何か記されてる…古代文字ね…ええとダメね書物が無いと読めない」
剣士「あ!!ここ魔方陣が組んである…退魔の方陣だ…足元に砂銀が置いてあるから踏まないで」
商人「ちょっと機器を触るよ…」ガチャ ガチャ
盗賊「ん?この容器外れるんか?」
商人「その筈…この容器の中にウラン結晶が入ってる筈なんだ」スポ
盗賊「どうよ?」
商人「無い…外されてる…」
盗賊「使ったと見るか?」
商人「だろうね?ここの機器の使い方を知らなかった様だね」
230 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:19:00.12 ID:KbfSVIxh0
情報屋「食器の年代がバラバラね…陶器があればもっと分かるのに」
商人「一番新しいのは?」
情報屋「700年くらい前ね…銀の食器の傷み具合がバラバラで良く分からないわ」
商人「ガラス容器が全部で6つ…年代毎に何度か来たんだろうね」
ローグ「もしかすると時の王の屋敷にあった精霊の石造は全部本物だったかも知れやせんね?」
商人「そうだね…そこにも石造が沢山あったんだよね?」
剣士「何個あったのか覚えて無いや」
商人「まぁこれで精霊の記憶に連続性が無い事の説明がついた…時の王が困惑した理由だよ」
情報屋「離れて再会するたびに記憶が無い状態なのね」
商人「外部メモリをちゃんと管理する人が居れば別なんだろうけど…」
盗賊「やっぱ遺跡に誰か入られてるとお宝は何も無ぇな…」
商人「鏡と宝石があったじゃないか…十分さ」
盗賊「俺が期待してたのはこのライト見たいな使える小道具なんよ…」ピカー
商人「次に期待しよう」
盗賊「まぁそだな?…ほんで嬢ちゃん!この鏡と宝石は持って帰るか?」
女王「どうしてここに安置されていたと思いますか?」
商人「ふむ…それは歴史を調べないと分からないね」
情報屋「そうね…鏡に書いてある文字を解読すれば何か分かるかもしれない」
女王「では一度持って帰りましょう」
盗賊「隠れ里だな?宝石は俺が運ぶから鏡は誰か持ってくれ」ヨッコラ
情報屋「じゃぁ私が…よいしょ…結構重い」
女王「では戻りましょう…日が暮れてしまう前に」スタ
231 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:19:54.41 ID:KbfSVIxh0
『隠れ屋敷』
女王「すっかり日が落ちてしまいましたね…私は奥座敷で少し休みますので皆さんもお寛ぎ下さい」
盗賊「嬢ちゃんは病み上がりだからしっかり休め…俺らの事は気にせんで良いぞ」
女王「はい…ありがとうございます…では」ペコリ
スタスタ
情報屋「…」チラリ
女戦士「…」コクリ
情報屋「くノ一さん内密にしておきたい話が…」
くノ一「何用で?」スタ
情報屋「女王様はしきりに喉が渇くと言ってたの…これは麻薬依存の症状」
くノ一「やはりそうですか…」
情報屋「本人は幻術魔法で覚えて居ないけど多分体が麻薬を欲してる…絶対に麻薬に近付けない様に」
くノ一「承知しました」
商人「脳内麻薬の受容体だっけな…それが落ち着くまで時間が必要らしいよ」
情報屋「どのくらい?」
商人「う〜ん…分からない…落ち着くまで情緒不安定になるんだってさ」
情報屋「しばらく国の政務には関わらない方が良いかもしれない」
剣士「魔女が精神安定の薬を作れるよ…それと睡眠魔法も効果的だと思う」
くノ一「急ぎで手配させます…」
情報屋「後は出来るだけ不安を解消させてあげる事ね…」
盗賊「それならアサシンしか居無ぇな…アサシンが何でも相談に乗ってやりゃ不安も無いだろ」
アサシン「…」ギロ
盗賊「なんだ嫌なんか?どうせ何もやる事無ぇんだろ?」
232 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:20:49.43 ID:KbfSVIxh0
『翌朝』
盗賊「おい起きろ…」ユサユサ
ローグ「へい…むにゃ…」
情報屋「もう行くの?」
盗賊「2〜3日で直ぐに帰って来る」
情報屋「女王様に挨拶して行った方が良いのでは?」
盗賊「寝てる所を起こすのも悪いじゃねぇか…まぁ適当によろしく言っといてくれ」
剣士「準備出来たよ」
盗賊「ローグが起き無ぇんだよ…おい!起きろ」ユサユサ
ローグ「へ〜い…」zzz
剣士「ビックママが酔っぱらてる…」
ローグ「え!!?マジすか…」ガバ
盗賊「アホか!!行くぞ」グイ
ローグ「あら?あららら…」ヨロ
情報屋「公爵の居場所は分かってるの?」
盗賊「行きゃ分かるだろ」
情報屋「和平交渉でこちらに来ているかも知れないって言ってたじゃない」
盗賊「なら都合良いだろ…泥棒に行くんだよ」
情報屋「フフあなたって人は…」
盗賊「まぁ心配すんな…帰って来たら遊んでやんよ」
情報屋「何言ってるの!騒がしいから早く出て行って」
盗賊「よし剣士!来た道覚えてるな?」
剣士「大丈夫」
盗賊「川下って速攻飛空艇に行く…セントラルまで半日程度だよな?」
剣士「うまく風に乗れば夜までには到着する筈…」
盗賊「うし!!急ぐぞ」
剣士「おけおけ…女オークおいで」グイ
--------------
--------------
--------------
233 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:22:02.79 ID:KbfSVIxh0
『飛空艇』
シュゴーーーーー バサバサ
剣士「進路東南東…偏西風に乗れてる」
盗賊「いやいや海岸の形が全然違う」
剣士「そうだね10メートル海面が変わるとこうも変わるんだね」
ローグ「海抜の低かった場所は海に浸食されてあっという間に深い海になるんすね…」
盗賊「この分だとセントラルは内壁まで海水が来てるかもしれんな」
剣士「逆だと思うよ…緯度が低いから前より海面が下がってるんじゃないかな」
盗賊「そんなに変わるもんか?」
剣士「月の影響もあると思う…今は北極の方向に月があって海水がそっちに引っ張られる」
盗賊「なるほど…満ち引きが半端ない訳か」
剣士「フィン・イッシュみたいに海抜のすこし高い場所じゃ無いと生活しにくいね」
ローグ「あっし思うんすがセントラルとフィン・イッシュは海で分断されていやせんか?」
剣士「迂回すれば繋がってそうだよ?もっと北の方」
盗賊「わざわざ迂回して戦争すんのもアホみたいだな?」
ローグ「そっすね…ていうか国境で小競り合いするのにどんな意味があるか分からんす」
盗賊「政治的な意味なんだろうな?」
剣士「そろそろ狭間に入る…ハイディング!」スゥ
盗賊「ところでローグ…公爵の居場所は分かってんのか?」
ローグ「へい…貴族居住区からほとんど出やせん」
盗賊「和平交渉があるとか言ってたんだが?」
ローグ「どうせ影武者か代役を立ててるんすよ」
盗賊「警備はどんな感じだ?」
ローグ「ラットマンリーダーが居るんすが他には2〜3人の警備が居るだけでやんす」
剣士「なんだ…それなら睡眠魔法使えば余裕だ」
ローグ「只一つ心配なのが…ラットマンリーダーをどうやって操っているかなんすよ」
剣士「あーそういえばそうだね…何で言う事聞くんだろ」
盗賊「アレか…魔女が持ってる幻惑の杖みたいな物を持ってる可能性があるってこったな?」
ローグ「へい…同じ物があるのか知りやせんが同等の何かは持ってるかも知れやせん」
盗賊「ちっと調べてから動いた方が良さそうだな…」
ローグ「そーっすね」
盗賊「じゃぁ今晩は偵察だけにしよう」
ローグ「あっしの屋敷が丁度近いんでそこに行きやしょう」
盗賊「そうか…じゃぁ一先ずそこだな」
ローグ「到着したらハイディングしたまま案内出来るっす…」
盗賊「分かったそれで行こう」
----------------
----------------
----------------
234 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:22:58.06 ID:KbfSVIxh0
『数日前_セントラル』
ピーーーーーーッ
見た事の無い魔物だ…数匹壁内に入り込んで居る!
敵は素早い!!射手!!弓を持て!!
何処へ行った?
あの魔物は勘が良い…衛兵の少ない裏路地を移動してる
探せ!!居住区へ入れるな!!
異形の生物「くそう!この恰好じゃ目立ち過ぎる…」シュタタ
異形の生物「確か下水から上層へ抜け道があった筈…」
異形の生物「まず公爵の屋敷だ…あそこに変化の杖がある」
異形の生物「それまでは我慢だ…」ギリリ
シュタタ
235 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:23:55.55 ID:KbfSVIxh0
『公爵の屋敷』
公爵「何やら外が騒がしい様だが…」
執事「様子を見て参りましょうか?」
公爵「又白狼の真似事をした盗人だろう…一応例の牢を確保しておけ」
執事「かしこまりました…」
公爵「しかし全く行方が掴めんとは…」
執事「キ・カイで確保されたという2人はご確認されたのでしょうか?」
公爵「勿論…海賊王の娘は見知った顔で驚いた」
執事「では白狼の一党だったと?」
公爵「知らぬ存ぜぬとの事だ…覇気も無い」
執事「又…雲を掴まされましたな」
ズルズル ピチャ
執事「ハッ…公爵様お下がりを」
公爵「んん?」
執事「施錠はして居た筈…何処から入って来たのですか?」スラーン
異形の生物「公爵!!僕だよ…変化の杖を持って居るよね」
公爵「なに?…その声はまさか…」
異形の生物「早く貸してよ…この恰好じゃ外も歩けない」
公爵「殿下…なぜその様な格好で?」
異形の生物「僕は回りくどいのはキライなんだ…この爪は良く切れるんだ…早くしろ!!!この薄ノロ!!!」ブン ザク
執事「ぎゃぁぁぁ…」ブシューーー
公爵「殿下…お戯れはおやめ下さい…ささ変化の杖をどうぞ…」スッ
異形の生物「それから魔王を封じた魔石はどうした?設置してた場所から無くなってる」
公爵「私が拝借しておりました…魔石が必要だったもので」
異形の生物「アレは僕の物だ…返してよ」
公爵「…」スッ
異形の生物「ふぅ…やっと落ち着ける」フリフリ シュワワー
公爵「お着替えをお持ちします…」
第3皇子「当たり前だ!!…わざわざ告知しないと動けないのか?」
公爵「ご立腹の様ですな?」
236 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:25:29.35 ID:KbfSVIxh0
第3皇子「そうだよ…話が違うじゃ無いか公爵…僕はすべてを失ったぞ?どう責任を取ってくれる?」
公爵「はて?すべてをと申しますと?」
第3皇子「アダムが破壊されて夢幻が消失したよ…」
公爵「なに!!?…いや失礼…それは本当でしょうか?」
第3皇子「何度も言わせないで欲しいな…イラつくんだよ…兄者がエルフを率いてアダムを破壊した」
公爵「まさか…エルフには毒の耐性が無い…ドリアードに入れる訳が無い」
第3皇子「兄者は不死者になってるのを忘れてる…実際兄者と対面したさ」
公爵「なんだ…と?私が半生をかけて成した事が水の泡になったと…まさか」ボーゼン
第3皇子「どうするんだよ…ドリアード化が解けて数万の異形の生物が森を徘徊してる…もう統制も何も無いんだぞ」
公爵「そこに白狼は見たか?」ギロリ
第3皇子「誰に向かって話している…偉そうな口利きしないで欲しいな」
公爵「黙れ小僧!!!」ドン チャキリ
第3皇子「くぅ…こんな事をして只じゃ済まないぞ」ジタバタ
公爵「もう一度聞く…答えろ…そこに白狼は居たのか?」ズブリ
第3皇子「うぐぐ…僕を殺すつもりかい?フフ…そうは行くか…」
公爵「すでにお前には地位も名誉も無い…只の小僧だ…殺すのは簡単…私の手駒になれば王の地位は約束してやる」ギロ
第3皇子「また僕を利用する気だね…そうやって母上も姉上も僕から奪った」
公爵「お前が選んだ道だ…私の知った事では無い」
第3皇子「結局僕には何も残らなかったよ…母上も姉上も兄者に取られた」
公爵「なら兄を超えて見ろ!!」ドカ ゴロゴロ
第3皇子「くぅぅ…そうさ超えてやるよ」ヨロ
公爵「超えるチャンスをお前にくれてやろう…第1皇子との対談に興味はあるか?」
第3皇子「大兄と対談?」
公爵「その顔は興味ありだな?」ギロ
第3皇子「今は状況が何も分からない…対談して何なんだよ」
公爵「それは後でゆっくり話してやる…まずは私の質問に答えろ…白狼の一党は見て居ないか?」
第3皇子「見てない…でもオークの匂いがした…それから大量の虫を使ってた」
237 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:26:42.79 ID:KbfSVIxh0
公爵「オーク…虫…まさかもう黄昏の賢者が動いて居るのか…しかもエルフと共闘だと?」
第3皇子「直にドリアードは虫に食い尽くされるよ…もうドリアード計画は終わりさ…人類滅亡待ったなしだ」
公爵「まだ終焉まで間がある…最後にもう一つだけやれる事が残って居る」
第3皇子「何だよ」
公爵「オークの予言…箱舟を我々が先に奪取すれば一部の人類は生き残れる」
第3皇子「さっき僕を王にする約束したよね?どうなってるんだよ」
公爵「お前が王にならなければオークの箱舟まで辿り着くのは難しいだろう」
第3皇子「どういう事だよ」
公爵「王として戦力を集めなければそこまで到達が難しいのだ…箱舟はオーク領地の更に奥…未踏の地に眠る」
その地はかつてヒュース・トンと呼ばれて居た
そこにオークに伝わる天翔ける箱舟がある
それはあらゆる生物を保存し未来へ送る事の出来る箱舟だ
4000年前の地軸の移動でヒュース・トンは南極点へと場所を変え封印された
そして再度地軸の移動で箱舟の封印は解かれ…オークはその地を目指して居る筈
公爵「我々が先に奪えば毒を浄化した未来へ人類の種を送る事が出来る…絶滅は免れる」
第3皇子「僕はそこに行けるのかい?」
公爵「最後に生き残った者が勝ちだ…兄を超えて見ろ」
第3皇子「よし僕は生き残ってやる…みてろよ」ググ
公爵「フフフ」---お前はハーフエルフだという事を自覚していない…小僧め---
238 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:27:36.62 ID:KbfSVIxh0
『談話室』
カクカク シカジカ
公爵「…すでにフィン・イッシュへは密偵を送って居る…和平交渉には好条件になっている筈だ」
第3皇子「大兄が率いる軍船で外海に出られる様に取り計らえば良い訳か…」
公爵「そうだ…お前の顔を見て断る事も出来まい」
第3皇子「いつ行動する?」
公爵「直ぐにだ…私の影武者が同行するから詳しくはそいつに聞け」
第3皇子「公爵はどうするんだよ?」
公爵「私はキ・カイの軍船に乗って向こうに渡る…高官と話を付けるから用が済んだらお前もキ・カイへ来い」
第3皇子「分かった…」
公爵「変化の杖は返して貰おう…交渉に必要になる」
第3皇子「ふん!!」ポイ
公爵「シェルタ砦にて待つ」
第3皇子「待ってよ…僕は手ぶらかい?」
公爵「フン…魔王を封じた魔石を持って更に何を欲しいと言うか」
第3皇子「お金だよ…お金が無いと何も出来ない」
公爵「好きなだけ持って行くが良い」ドサ ジャラリ
----------------
----------------
----------------
239 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:28:52.14 ID:KbfSVIxh0
『セントラル上空』
シュゴーーーー バサバサ
盗賊「あの船も座礁してんな…」
ローグ「海面は5メートルくらい下がったぐらいすか?」
盗賊「うむ…元々遠浅な入り江なのよ…ちょっと下がっただけで大きな船は座礁する」
ローグ「ポツポツ流氷も流れて来ていやすね」
剣士「やっぱり緯度が低いと寒い…」
盗賊「飛空艇を何処に降ろしゃ良いんだ?」
剣士「いつもの海岸は人が居るなぁ…」
ローグ「外郭の外側で良いんじゃないすか?あんまり人が行かんですし…どうせハイディングで門潜るんで」
剣士「そうだね…そっちの方が安全そうだ」
盗賊「おい!!見て見ろ…なんだアレ?」
剣士「ああ!!異形の生物…こんな所まで来てる」
盗賊「知ってんのか?」
剣士「ドリアードの中から出て来てるんだ…多分ドリアード化した人達なんだよ」
盗賊「全部バラバラの形してるんだが…」
剣士「中には強いのも居るよ…侮れない」
ローグ「あんなのが外郭の外に居ると良くないっすねぇ…」
剣士「いっそのことハイディングしたまま時の王の屋敷の庭に降ろそうか…全然人居ないよね」
ローグ「それが良いでやんす…貴族居住区も近いんで逃げる時もラクっすね」
剣士「おけおけ…ほんじゃ降ろすよ?ハイディング!」スゥ
----------------
240 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:29:57.29 ID:KbfSVIxh0
『ローグの屋敷』
リリース!
盗賊「ここがお前ん家か…良い所に住んでんな」
ローグ「あっしはもうこんな屋敷要らんです…なーんか散らかされていやすねぇ…」
剣士「入り口の扉に書簡が一杯挟まってるよ」
ローグ「面倒くさいっすねぇ…どうせ貴族達が面倒な依頼をしようとしてるんすよ」
盗賊「なるほど…それが住みたくない原因か」
ローグ「一応一通り目を通しておくんで自由に出回って良いっすよ?」
盗賊「公爵の屋敷は何処だ?」
ローグ「あー地図あるんで記を書きやす…ここっすね」カキカキ
盗賊「俺ぁちっと偵察行って来るわ」
剣士「じゃぁ僕はちょと外歩いて見ようかな」
ローグ「高級なローブがあるんで羽織って行って下せぇ…ちょっと行くと食事出来るレストランがあるんで行って見ると良いでやんす」
剣士「へぇ?レストラン…行った事ないや」
ローグ「金貨ありやしたよね?」
剣士「うん盗賊さんから貰った金貨が20枚くらいある」
ローグ「十分っすね…金貨見せたらちゃんと相手してくれるでやんす」
剣士「おっけ!!行って見る」ワクワク
ローグ「高級なローブは羽織って行って下せぇ…身なりを見られるんで」
剣士「分かったよ…女オーク遊びに行こう」グイ
241 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:30:58.46 ID:KbfSVIxh0
『街路』
ヒソヒソ
お前…ウィッグが取れ掛かって居るぞ
あら大変…あなたこそ鼻自が出ているでは無いですか…
又か…しかしエリクサーでもこの奇病は良くならんな
嫌ですねぇ…私もこれ以上毛髪が抜けては…
剣士「…」チラリ
紳士「あぁ失礼…いやぁ立派なローブですなハハ…」
淑女「どちらの御曹司様ですの?オホホホ…」
剣士「なんか体の調子悪そうだね?大丈夫?」チラ
紳士「いやいやお気になさらず…流行り病にやられましてなハハ…」フラ
剣士「お大事に…」
紳士「見ず知らずの方に心配されてしまうとは私とした事が…ではご機嫌よう」スタ
女オーク「…」チラ
剣士「…」コクリ
女オーク「セントラルは奇病が酷そう…」
剣士「うん…夜中に線虫をやってみるよ」
女オーク「この奇病は情報屋さんが言ってた放射能の?」
剣士「多分そうだね…治す事の出来ない毒…」
女オーク「キ・カイにはあまり見られないのはやっぱり光る隕石から遠いからなのね」
剣士「だと思う…あっちはまだ子供が少し生まれてるから」
女オーク「本当に滅亡に向かって居ると思う?」
剣士「考えたく無いよ…」
女オーク「フィン・イッシュ女王も子供が産まれなくて…」
剣士「こっちの大陸は殆ど生まれないんだ…産まれても死産…悲しいね」
女オーク「…」
スライムがどうして大量に発生しているのか
なんとなく分かって来た
この毒を食らって浄化する為だったんだ
正常な世界に戻そうとしているスライム達を
僕は何も知らず退治してた
どうしてこう…何もかも噛み合わないのか…
242 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:32:14.64 ID:KbfSVIxh0
『ローグの屋敷』
リリース!
盗賊「戻ったぜ?」
ローグ「早かったっすねぇ…どうでした?」
盗賊「屋敷に公爵らしき人物と数名人が居る…ラットマンリーダは見当たらんかったんだが…」
ローグ「公爵は口ひげを生やしてるんすが…」
盗賊「おぉ…なら間違い無さそうだ」
ローグ「実はっすね…書簡を確認したんすが公爵はあっしに用があるみたいでやんすよ…ちっと本人かどうか確認してきやす」
盗賊「ほう?何の用か分からんのか?」
ローグ「海賊王の娘を引き渡して欲しいみたいっす」
盗賊「ぶはは…売っちまえ!!」
ローグ「いやいや偽物に気付かん程無能じゃ無い筈なんすよ」
盗賊「見た目じゃ見分け付かんだろ?」
ローグ「なーんか裏があると思うんすよね…」
盗賊「ふむ…俺は今から屋敷の見取り図書こうと思ってた所だ…丁度良い俺も同行する」
ローグ「え!?ダメっすよ…2人居るとまともな話にならんです」
盗賊「俺はハイディングしながら屋敷の内部を見たいだけだ」
ローグ「姿現さんで下せぇ…良いっすね?」
盗賊「分かってる…ローグは出来るだけ屋敷の中を案内してもらえる様に動け」
ローグ「ふむふむ…海賊王の娘と交換条件で欲しい物物色させてもらうって言う手もありやすね…」
盗賊「おぉ良いじゃ無ぇか」
ローグ「物が無くなったらあっしが疑われるんすけどねぇ…」
盗賊「そこは白狼の盗賊団のせいにしちまえば良い」
ローグ「まぁ行ってみやすか!!」
盗賊「俺ぁハイディングしながら物陰に居るから好きにヤレ」
ローグ「わかりやした…じゃぁ行きやしょう」スタ
243 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:32:48.99 ID:KbfSVIxh0
『公爵の屋敷_門』
門番「公爵様は誰ともお会いにならん!立ち去れぃ」
ローグ「この書簡を見て下せぇ…あっしの方が急ぎで呼ばれてるんす」パサ
門番「ん?豪族の頭取…」ジロ
ローグ「あっしの顔に見覚えありやすよね?」
門番「ふむ…公爵様は屋敷でお休みだ…失礼の無いようにな?」
ローグ「分かってるでやんす…通りやすぜ?」スタ
ガラガラ ガシャーン
ローグ「誰か案内してくれんのですかね?」
門番「扉をノックして執事を待て」
ローグ「あぁそういう事っすね…失礼しやした」スタスタ
『公爵の屋敷』
トントン
ローグ「どなたか出て来やせんか?お客さんがきやしたぜ?」
執事「何用で?」ヒョコ
ローグ「おわ!!…なんちゅー所から顔出すんすか…ビックリしやしたぜ」
執事「執事になって間が無いので勝手が分からなくて…」
ローグ「なんか執事というかメイドさんっすか?」
執事「はい…つい先日までメイドをしていました」
ローグ「じゃ掃除中だったんすね?」
執事「ご用件をお伺い致しますが?」
ローグ「この書簡を見て下せぇ…あっしは呼ばれてる立場なんすよ」パサ
執事「ふむふむ…扉を開けますのでしばらくお待ちを…」
ローグ「なーんか変な執事でやんす…」
執事「聞こえていますよ?」ガチャリ
ローグ「そらすまんかったっす…ほんで入って良いっすか?」
執事「どうぞ…ご案内致します」
244 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:34:06.63 ID:KbfSVIxh0
『公爵の居間』
トントン
執事「失礼します…お客様をお連れしました」
公爵「誰だ?もう日が落ちていると言うのに…」
ローグ「豪族の頭取でやんす…書簡を見て急ぎで駆け付けたんすが…」
公爵「書簡?…あぁ何の件だったか…」
ローグ「…」
公爵「そうそう取引だったか…済まんが執事に任せて居てな」
ローグ「…」---この男---
執事「相場表をお持ちしましょうか?」
ローグ「ええと…海賊王の娘に相場があるんすかね?」
公爵「!!?あぁ忘れていた…その件か…執事此処へ」
執事「はい…」スタ
公爵「少し待って欲しい…」ヒソヒソ
執事「はい…はい…」ヒソヒソ
ローグ「あのですね…海賊王の娘を引き渡して欲しいという事が書いてあるんすが…どういう事なんすか?」
公爵「えーーーオホン!!あいにく現金の手配が出来ていないのだ」
ローグ「いや現金じゃなくても良いんすがね?それよりも何故引き渡して欲しいかの方が重要でして」
公爵「やはり理由無しで取引は出来ない…では引き取り願おう」
ローグ「ちっとそら失礼じゃ無いっすか?わざわざあっしを呼ぶからには理由がありやすよね?」
公爵「これは失礼…捕らえた経緯を詳しく知りたかったのだ」
ローグ「だからそれはなんでか聞いてるんすよ…取引なんすよね?」
公爵「一緒に捕らえた白狼の一味は…仲間の行方を聞いても知らぬ存ぜぬ」
ローグ「な〜るほど…ほんであっしが何か知って居ると踏んでる訳っすね?」
公爵「只今は現金が用意できない…取引は機を待ってという事で如何か?」
ローグ「あっしは現金じゃなくても良いんすよ…何か他に無いんすか?」
公爵「私はそれほど裕福では無い事は知って居るな?他には爵位の譲渡を融通するくらいしか…」
ローグ「屋敷をちっと見させて貰って良いっすか?」
公爵「大した物は無いのだが…」
執事「ご案内致しましょうか?魔石の保管状態をお見せするくらいなら…」
ローグ「それで構わんす…あっしは取引が嫌な訳じゃ無いんすよ…あっしの利になるかどうかっすね」
公爵「執事…案内した後丁重にお見送りをしてくれ」
執事「かしこまりました…」ペコリ
ローグ「じゃぁお願いしやす…」
245 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:34:41.56 ID:KbfSVIxh0
『廊下』
スタスタ
執事「こちらが応接間…客室…食堂…備品保管庫」
ローグ「外から見たら大きな屋敷なんすが意外とこじんまりなんすねぇ…」
執事「石造りな物ですから…続いて地下に公爵様の書斎と魔石の保管庫が御座います…どうぞこちらへ」スタ
ローグ「年代物の美術品がそこそこありやすねぇ…」スタスタ
執事「美術品に興味がおありで?」
ローグ「現金よりも取引がラクじゃないすか」
執事「気に入った物があればおっしゃって下さい」
ローグ「あっしは書物にも興味ありやすぜ?」
執事「どうぞご覧ください…歴史書ばかりの様ですが」
ローグ「こりゃまた沢山集めたんすね…」パラパラ
執事「そして魔石の保管状況がこちら…」
ローグ「うは…」
執事「如何でしょう?取引の参考になりましたでしょうか?」
ローグ「公爵は裕福じゃないと言ってたのはウソっすね」
執事「この魔石は既に売約済ですので保管してあるだけになります」
ローグ「参考になりやした…次の取引の機会を待って居るでやんす」
執事「では門までご案内致します」スタ
--------------
--------------
--------------
246 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:35:26.33 ID:KbfSVIxh0
『ローグの屋敷』
リリース!
盗賊「ふぅ…中々良い仕事するじゃ無ぇか!!」
ローグ「盗賊さんは会話聞いて無いっすよね?」
盗賊「あぁ…どうだったんだ?」
ローグ「公爵は偽物でやんす…見た感じ本人なんすが良く仕込んだ影武者っすね」
盗賊「…で事はお前もずっと騙されてたかも知れんな」
ローグ「へい…あまり表に顔を出さないってのは間違っているかも知れやせん」
盗賊「今居ないって事はやっぱりフィン・イッシュに行ってるのかもな?」
ローグ「そーっすね…」
盗賊「まぁそれは置いといて…屋敷の中にどうやら冒険の書は無さそうだな?」
ローグ「あっしも色々見たんすがアーティファクトらしき物も見つかりやせんでした」
盗賊「こら収穫無しで戻る覚悟も必要だな」
ローグ「気付いたんすが屋敷の間取りがやっぱおかしいっす」
盗賊「おぉ!俺もそう思った…ちっと待て見取り図を書く」
カキカキ
-------------
-------------
-------------
247 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:36:03.86 ID:KbfSVIxh0
ローグ「こりゃ中庭でやんすか?」
盗賊「いや…屋根に穴は開いて無ぇから多分縦穴だ」
ローグ「縦穴…」
盗賊「ゴミをその縦穴に放り込む訳よ…行き先は下水」
ローグ「じゃぁ下水に降りる隠し部屋があるんすね?」
盗賊「俺の予想だとやっぱ地下の書斎があやしい」
ローグ「そういえば公爵は時の王の派閥…その当時特殊生物兵器部隊が下水に基地を作って居やしたね」
盗賊「それだな…多分そこに繋がってんだ」
ローグ「下水は姉さんが爆破したでやんすよ」
盗賊「全部吹っ飛んだ訳じゃあるまい?どっかに残ってんだよ」
ローグ「貧民街から下水を探すんじゃ時間掛かりそうっすね」
盗賊「うむ…公爵の屋敷から直接降りた方が手っ取り早い…やっぱ明日の夜だな」
--------------
--------------
--------------
248 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:37:15.41 ID:KbfSVIxh0
『夜中』
ガチャリ バタン
剣士「戻ったよ…ふぅ」
盗賊「えらく遅かったじゃ無ぇか…何してたんだよ」
剣士「線虫を使って来たんだ…みんな流行り病に侵されてるみたいだから」
盗賊「なんだそういう事か…心配して損したぜ」
剣士「盗賊さんは体に異常ない?」
盗賊「無ぇな…ヌハハ年取ったせいかアザが中々治らん位だ」
剣士「…そっか」
盗賊「浮か無ぇ顔してるな?」
剣士「はっきり言うよ…盗賊さんも流行り病に侵されてるよ」
盗賊「俺ぁもうどうでも良い…十分生きたしな?」
剣士「そう言うと思った…でもね?一応線虫しておく…線虫!」ニョロリ
盗賊「効果あるんか?」
剣士「どのくらい寿命が延びるかは知らないよ…アザの治りが早くなればそれで良いさ」
盗賊「なんで治り難いんだ?」
剣士「血が固まり難いんだと思うよ…それから新陳代謝の低下かな?」
盗賊「昔みたいには体も動かんし…まぁ無理はし無ぇから」
剣士「出血は避けた方が良いかもね」
盗賊「ところで…公爵の屋敷に行って来たんだが明日の夜に行動する事にした」
剣士「その地図は?」
盗賊「これは下水のおおまかな地図だ…どうやら公爵の屋敷は下水に繋がっててな」
剣士「じゃぁ目標は下水にあるんだ」
盗賊「俺の勘だと間違いない…多分この区画の何処かにある…お前鼻が利くよな?」
剣士「まぁね」
盗賊「最終的にはお前の鼻に頼るかも知れん…しっかり鼻洗っとけ」
剣士「実は女オークも鼻が利くんだよ?」
盗賊「おぉ!そうだったのか…頼りになるなそれは」
剣士「そうそう…レストランで妙な噂を聞いたよ」
盗賊「何だ?」
剣士「殿下が帰って来たって…誰の事か分かる?」
盗賊「殿下…王族の誰かなんだろうがそれだけじゃ分からん」
剣士「その噂で持ちきりなんだ…貴族院の招集がどうのこうのってさ…ローグさんも呼ばれるかもね」
ローグ「あっしは貴族じゃ無ぇす…豪族なんで関係無いすね」
盗賊「今貴族で力持ってる奴なんか居ないんだろ?」
ローグ「あっしの知る限り公爵ぐらいのもんす」
盗賊「まぁ貴族院がゴタつくって事は王族のそれなりの地位の奴が戻って来た…ぐらいしか思い浮かばんな」
ローグ「あんまり気にする事も無いんじゃ無いすかね?」
剣士「そっか…その程度なんだ」
249 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:38:18.67 ID:KbfSVIxh0
『翌日_貴族居住区』
ヒソヒソ ヒソヒソ
侯爵殿と子爵殿が異議を唱えておってな…
議会が荒れるのは間違いない
新たに特権階級を設定するという話も出ている
公爵殿が囲い込みをしているのがそもそもの…
盗賊「こう人が多くちゃやり辛い…どうだ?水路から下は見えんか?」
剣士「一応見えるけどここから登って来るのは厳しいと思うな…」
盗賊「じゃ次行くぞ…こっちだ」タッタッタ
剣士「高さがあるのは何処も同じじゃ無いかな?」
盗賊「う〜む…やっぱ下水に降りて見んと抜け道探すのは無理か…」
剣士「水が流れて行ってるんだから必ず海には繋がってるよね」
盗賊「まぁそうなんだが…冷たい海なんか泳ぎたく無いだろ」
剣士「そっか…次探そうか」
盗賊「まぁ逃げ道を準備しておくに越した事は無いんだ…行くぞ」タッタ
『夕方_ローグの屋敷』
ガチャリ バタン
ローグ「盗賊さん戻ってきやしたね?ちっとマズイ事になってるっす…」
盗賊「どうした?」
ローグ「公爵の屋敷で貴族院の議会をやってるんすよ…今は人が沢山居るっす」
盗賊「なぬ!?」
ローグ「どうしやしょうかね?折角白狼のローブも用意したんすが…」ファサ
剣士「イイね似合ってる」
盗賊「注意がそっちに行ってるのはチャンスかも知れん…どうせハイディングで例の地下室まで直行だ」
ローグ「じゃぁ予定通りっすね?」
盗賊「只元来た道を帰るのは止めた方が良かろう」
剣士「ハハ水路にロープ設置しておいて良かったね」
盗賊「うむ…」
剣士「まぁ何か有ってもどうせ僕が睡眠魔法使うから大丈夫だよ」
ローグ「目を覚ました後にどうして寝てたんだ?って事になりやすんで乱用出来んです」
剣士「最後の手段さ…気楽に行こうよ」
盗賊「ようし!!日が落ちて暗くなり始めたら作戦開始だ…今の内に体温めておけ」
剣士「おけおけ!!女オークも白狼のローブ纏って?」
女オーク「…」ファサ
--------------
--------------
--------------
250 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:40:00.56 ID:KbfSVIxh0
『黄昏時』
スタスタ シュタ
盗賊「水場の窓が開いたままだ…あそこから入るぞ」
盗賊「侵入したらそのまま地下室へ降りるから付いて来い」
剣士「おっけ!」
盗賊「じゃぁ行くぞ!ハイディング!」スゥ
ハイディング!
盗賊「迷って無いな?」
剣士「大丈夫…みんな居る」
盗賊「来い!!」スタタ
『公爵の屋敷_地下室の扉』
リリース!
盗賊「よしローグ…後方を見張ってろ…鍵開けをする」ヒソ
ローグ「あいさー」ヒソ
盗賊「ん?開いてるな…中に誰か居そうだ」
剣士「1人かな…女の匂いだよ」クンクン
ローグ「変な執事っすね…悪い人じゃ無さそうなんで乱暴はしたくないっす」
盗賊「剣士!眠らせられるか?」
剣士「おけおけ…」
盗賊「騒ぐ前に頼む…開けるぞ?」
ガチャリ ギー
執事「ん?どなたですか?ここは立ち入り禁止と連絡して…」
剣士「睡眠魔法!」モクモク
執事「いま…すぅ…」フラ フラ
盗賊「入れ…鍵かける」カチャリ
ローグ「この執事さん横にして置きやすぜ?」ヨッコラ
剣士「あああ触ると起きる…」
執事「どなたですかぁぁぁ?」ムニャ
251 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:40:50.31 ID:KbfSVIxh0
ローグ「あわわ…」
盗賊「放って置け!隠し通路探すぞ…」スタ
ローグ「すんません」
盗賊「本棚の反対側の壁を良く調べてみてくれ」
剣士「う〜んおかしい所は無さそうだなぁ…」
女オーク「この執事さんは何か知らないの?」
剣士「お?なんだ…聞けば良いね」
盗賊「そんな事が出来るのか?」
剣士「睡眠魔法は幻術だよ…ねぇ執事さんこの部屋の隠し通路の場所教えて」
執事「隠し通路は御座いません…」スヤ
盗賊「なぬ!?」
剣士「困ったな…宛が違ったみたいだ」
盗賊「ゴミを何処に捨てるのか聞いてみてくれ」
剣士「ゴミ?…ええと執事さんこの部屋のゴミは何処に捨てるのかな?」
執事「書斎の壁にゴミ捨ての口が御座います…」
盗賊「よっし!!この壁だな…あった!!ここだ」
剣士「穴が小さいな…」
盗賊「いや…積んでる石壁が外れる…間違い無ぇここだ」ゴトリ
ローグ「下見えやすか?」
盗賊「見えんが…梯子がある…俺が先に降りるからローグは最後に外した石壁を元に戻してくれ」
ローグ「分かりやした」
盗賊「剣士と女オークは俺に続け…降りるぞ」スタ
252 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:41:32.02 ID:KbfSVIxh0
『下水』
ザザー ザブザブ
盗賊「足元に水が流れてるから気を付けろ…」
剣士「照明魔法居る?」
盗賊「お前の刀を少し抜く程度で十分な明かりになる」
剣士「なるほど…」スラリ
ローグ「石壁を元に戻して置きやしたぜ?」
盗賊「これで追っては来ない…ゆっくり目標を探せるってもんだ」
剣士「僕が光持ってるから先頭かな?」
盗賊「そうだな…とりあえず一本道だ進んでみよう」
ペチャ ペチャ
盗賊「ん?」
剣士「ラットマンの匂いだ…」
盗賊「なんだ敵が居るんか…」
剣士「あれ?共食いかなぁ…ラットマンの死体を漁ってるよ」
盗賊「俺の飛び道具はデカイ音が出るんだ…ローグ何か持って無いか?」
ローグ「いやいやあっしはダガーしか持っていやせん」
女オーク「私が倒すから先へ進んで…」スラーン
剣士「ちょっと待ってよ?睡眠魔法!」モクモク
ラットマン「!!?」ドタリ グゥ
女オーク「ふん!」ブン ザクリ
剣士「よし行こうか…」
253 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:43:53.28 ID:KbfSVIxh0
『段差』
ザザー
剣士「広い所に出た…どうする?下に降りる?」
盗賊「こっから降りると貧民街に繋がる下水だな…しまった逆方向だ」
剣士「なんだ戻ろう」
盗賊「うむ…方角がまた変な方向になるんだがなぁ…」
剣士「ねぇさっきからちょいちょいラットマンの死体があるけどさ…ここ誰か入って来てるよね」
女オーク「鉄柵も曲げられてるわ」
盗賊「だな?用心しろ」
ローグ「死体が古いでやんす…死んで一週間ぐらいは経っていやすね」
剣士「急いで戻ろうか…」シュタタ
『突当り』
ピチョン ピチョン
剣士「だめだ…もう進めない」
盗賊「くそう…やっぱ下の方なのか?」
ローグ「上に登る梯子も公爵の屋敷だけの様っすね」
女オーク「待って…ここの壁おかしいわ?」
剣士「あ!!本当だ…音の反射がおかしい」
盗賊「石が積んであるってか?よっ…」スカ
剣士「うわ何だコレ…壁じゃない」
盗賊「壁に見えるだけか…あだっ!!」ゴツン
ローグ「これ凹んだ鏡でこういう風に見えるトリックっすね…出っ張ってる所気を付けて下せぇ」
剣士「スゴイな…こんなトリック初めてだ…」
盗賊「そこら中にこんなんが仕込んで有るってか…あー痛てて」スリスリ
254 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:44:24.76 ID:KbfSVIxh0
剣士「盗賊さん!有ったよ…扉がある」
盗賊「ようし!!鍵掛かって居そうか?」
女オーク「何かの音がするわ…中に何か居ると思う」
ドスドス ドスドス
ローグ「ラットマンリーダーっすね…足音からすると4匹ぐらいでやんす」
剣士「おけおけ…詠唱するからちょっと待って…アブラカタブラ…」
盗賊「ラットマンリーダーは首を切り落とせ…失敗すると暴れ出すぞ?」
女オーク「わかったわ…」チャキリ
ローグ「あっしもバックスタブで行きやす…」スチャ
剣士「広範囲睡眠魔法!」モクモク
盗賊「おし!鍵開けるぞ?」カチャカチャ ガチン
剣士「僕が明かり役で先行する…入るよ?」
盗賊「行け!!」
ガチャリ ギーー
剣士「よし!!寝てる!!」シュタタ
女オーク「てぁぁ!!」ブン ザクリ ボトン
ローグ「バックスタブ!!」ジョキリ ボトン
盗賊「ほぉぉ女オークはパワーが有り余ってんな…」
剣士「任せて置いて良いね」
盗賊「うむ…」
255 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:45:17.09 ID:KbfSVIxh0
『隠し部屋』
ドタリ ピクピク
女オーク「片付いた…」スチャ
盗賊「見ろよアレを…」
剣士「古代遺跡の扉だ…」
盗賊「この感じじゃ開けられて1000年ぐらい経ってそうだ…ここで間違いなさそうだな」
ローグ「向こうにも扉がありやすぜ?」
盗賊「ありゃこっちから閂が掛かってる…どうせ秘密基地に繋がってたんだろ」
剣士「公爵はこの場所を独り占めしてたのかな?」
盗賊「だろうな…中に入ってみるか」
剣士「ここが情報屋さんが言ってた古代遺跡か…」
盗賊「まぁ公爵は割と深い所まで秘密を知って居たんだな…」
剣士「行こう…」スタ
『古代遺跡』
シーン
盗賊「…あった!!これだな?冒険の書は…」ゴソリ
ローグ「やりやしたね…」
盗賊「この書物は…」ペラペラ
剣士「それも持って帰った方が良さそうだね」
盗賊「オークの予言?…まてまて…あ〜なるほど公爵の手記だ」
ローグ「奥にお宝がどっさりありやすぜ?」
盗賊「マジか!!袋詰めして持って帰るぞ」
ローグ「ひゃっほい!!」スタタ
剣士「…もう謎の機械は風化して原型が無い…」
盗賊「ガラス容器だけは残ってるじゃ無ぇか…これだけなんで綺麗な状態なんだろうな?」
剣士「エリクサーで満たされてたんじゃないかな?」
ローグ「アーティファクトらしい物見つけやしたぜ?謎の横笛でやんす…これだけ丁寧に保管されていやした」
盗賊「他に何がある?」
ローグ「多分時の王の装備品っすね…デカイ剣とか色々あるんすよ」
盗賊「珍しそうな物全部持って帰るぞ…手分けして持とう」
剣士「杖とかもあるなぁ…何が封じてあるのか分からないけど」
盗賊「ここに置いとくと何に使われるか分からん…フィン・イッシュの遺跡かどっかに隠しておいた方が無難だ」
剣士「まぁそうだね…急いで持って帰ろう」ガチャガチャ
--------------
--------------
--------------
256 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:46:18.80 ID:KbfSVIxh0
『下水』
シュタタ
剣士「この荷物背負ってロープ登るのはキツイね」
盗賊「上からロープで引き上げるんだよ…それなら出来るだろ」
剣士「なるほど…」
盗賊「ローグ!お前は最後だ…俺らで荷物引き上げるからお前は下で荷物結んでくれ」
ローグ「分かりやした」
盗賊「よし!剣士と女オークは先に上がって見張ってくれ」
剣士「うん…女オーク先に上がって」
女オーク「わかったわ…」グイ ヨジヨジ
盗賊「荷物引き上げたら真っ直ぐ飛空艇へ向かう…良いな?」
剣士「おっけ!!…じゃぁ僕も登る」グイ ヨジヨジ
『貴族居住区_外れ』
グイグイ ギリリ
盗賊「よし!あと一つ…ロープ降ろすぜ?」シュルシュル
剣士「マズいな…衛兵が近づいて来る」
盗賊「なんとか注意逸らしてくれ…何か無いのか?」
剣士「う〜ん…煙玉しか…」
盗賊「どっか遠くに投げて騒がせば良い」
剣士「わかったよ…」チリチリ ポイ
盗賊「もっとだ!!ほんで騒げ」
剣士「…」ポイポイポイ
モクモクモク
剣士「衛兵さん!!なんか煙が出てるよ…あれ大丈夫?」
衛兵「んん?どこだ?」キョロ
剣士「ほら?あっちにも…こっちにも…」
衛兵「お前のその格好…ふざけて居るのか?」ジロ
剣士「ああ!!何か光った…」
衛兵「お前はそこで待って居ろ…」タッタッタ
ピーーーーーーーー
剣士「なんか疑われてる…どうしよう?」
盗賊「もう少し時間稼げ…よっこら!!」ドサリ
257 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:47:10.50 ID:KbfSVIxh0
女オーク「衛兵が戻ってくるわ…」
剣士「あの衛兵だけ眠らせる…睡眠魔法!」モクモク
衛兵「おいお前!!何を…した」フラ
盗賊「ローグ!!早く上がって来い…女オークは荷物を持って逃げる準備だ!!」
剣士「他の衛兵も集まり出した…なんで煙の方に行かないんだよ…」
盗賊「一発爆弾をどっかにぶち込め!!…ローグ早く登れ!!」
ローグ「はいよはいよ…ほっ」ヨジヨジ
剣士「ええい!!」チリチリ ポイ
ドーン!! パラパラ
衛兵「な…なんだぁ!!」キョロ
ザワザワ ザワザワ
煙だぁ!!何処か燃えて居るぞ!!
今の爆発音は!?
おい!!見ろ…あそこに白いローブの4人組
又白狼の真似事か?
ローグ「お待たせしやしたぁ!!」シュタ
盗賊「よっし!!荷物持って逃げるぞ…屋根沿いに貴族特区へ向かうんだ」
ローグ「あいさー」グイ
盗賊「剣士!!追っ手の攪乱を任せる…先に行くぞ」ダダ
剣士「え…あ…参ったなぁ苦手なんだよなぁ…こういうの」シュタタ
ピーーーーーーー
白狼だぁ!!屋根に上がってる!!通路遮断しろぉ!!
行き先は!?
分からん!!全部封鎖だ!!
---------------
---------------
---------------
その日の夜を騒がした白狼の一党は
財宝をばら撒く事無く忽然と姿を消した
被害に合った報告が皆無だった事から
只のお騒がせ事案として片づけられた
258 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:48:37.89 ID:KbfSVIxh0
『フィン・イッシュ_隠れ里』
ノソノソ
くノ一「魔女様をお連れしました…」
アサシン「忙しい所済まないな」
魔女「女王は安定しておるんか?」
アサシン「精神安定の薬で落ち着いては居るが嫌な夢を見ると言ってなかなか寝付けん様だ」
魔女「幻惑かえ?…」
アサシン「いや正気は保って居る…寝付けないから疲れているだけだ」
魔女「事の事情は説明したのかえ?」
アサシン「どうしても教えろと言うから近衛侍の方から粗方話したそうだ」
魔女「身内に毒殺されそうになったのは認められんじゃろう…」
アサシン「事実なのだから認めるしか無いだろう」
魔女「して…どうするかのぅ…和平交渉を待たせて居るのじゃが」
アサシン「魔女はどう思う?」
魔女「わらわは交渉に来た者の首をはねて公爵に付き返せば良いと思うて居るが…」
アサシン「それは宣戦布告と同意だぞ?」
魔女「逆じゃ…女王の暗殺を企てて何が和平じゃ」
アサシン「まぁ確かに…和平をしても利は無さそうだな」
魔女「セントラル国王が何度も頭を下げに来たが…あの男は本当に騙されやすい馬鹿じゃのぅ」
アサシン「魔女が女王にすり替わって居るのはバレて居ないのか?クックック…」
魔女「しかし国の大局じゃ…交渉は女王が担うべきじゃが…」
アサシン「うむ…」
女王「魔女様…お話聞こえていました」ヨロ
魔女「騒がせてしもうたのぅ…主は平気なんか?」
女王「はい…只少し疲れていまして」
魔女「嫌な夢を見るで眠るのが辛い様じゃな…実はのぅ…シン・リーンの魔術師の研究で最近分かった事があるのじゃ」
女王「悪夢に理由が?」
259 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:49:47.14 ID:KbfSVIxh0
魔女「うむ…どうやら出回って居るアヘン酒や麻薬を摂取すると夢食いが起こる様じゃ」
女王「夢食い…」
夢はのぅ…平行次元での行いに関連づいて居るのじゃ…いわゆる夢幻の様な物じゃ
この夢を食らい増大して逝く者…それが魔王じゃと分かって来た
10年前に勇者らが魔王の欠片を集め次元転移をしたのじゃが
やはりどこかで魔王は息づいて居る
魔女「主はそれを悪夢と言う形で感じて居る様じゃな…異常では無い故心配には及ばぬ」
女王「私はどうすれば安心出来ると思いますか?」
魔女「元々主には心の中に光を持って居る…それを忘れん様にすれば良いが…夢だとやはり忘れてしまうじゃろうのぅ…」
アサシン「銀の仮面はどうした?」
女王「城に置きっぱなしかと…」
魔女「おお!?良い案かも知れぬ…銀は厄除けの効果がある故…つけたまま寝て見るのも良いかも知れぬ」
女王「くノ一!私は城へ戻り仮眠を取ります…後に和平交渉を挑みます」
くノ一「御意に御座います…」
魔女「背後にわらわ達が居るで何も案ずる事は無いぞよ?見て見よ…この顔ぶれを」
女王「シン・リーンの王女…ドワーフ国の王女…旧シャ・バクダ王」
魔女「皆主の仲間じゃ…胸を張って良い」
女王「ありがとうございます…勇気が湧いてきました」ググ
260 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:51:29.44 ID:KbfSVIxh0
『座敷』
メラメラ パチ
商人「やっと退屈から解放されそうだ」
情報屋「魔女?これを見て…祭事の祠からこんな物が出て来たわ」
魔女「んん?鏡…はて?」
情報屋「女王が言うにはもしかして八咫鏡じゃないかって…」
魔女「むむ…もしやそれは真実を写すと言う鏡では無いか?」
情報屋「知って居るの?」
魔女「本物かも知れんで大事に扱わねばならぬ」
商人「こっちの大きな瑪瑙は?八尺瓊勾玉だっけな…聞いた事無い」
魔女「なんと!!それはシン・リーンがシャ・バクダに奪われたと言われる宝具…フィン・イッシュに有ったとは」
商人「なんか凄い効果があったりする?」
魔女「王を選ぶと言われて居る…この国に有るという事はこの大陸の真の王はフィン・イッシュに居ると言う事になる」
情報屋「あ!!思い出したわ…そうよ勾玉を廻って戦争をした歴史…こんなに大きな勾玉だったのね」
魔女「シャ・バクダが滅び既に消失したと言う事じゃったがここに隠されて居ったとはのぅ…」
アサシン「では在処が知れてしまうと戦争の火種になりかねんな…」
情報屋「じゃぁこういう事ね…先人は隠す事で争いを回避した」
魔女「賢いやり方じゃな…しかしこれを持ち帰るのはイカンと思うが…」
商人「元の場所に保管した方が良さそうだ」
情報屋「あの扉を閉める事は出来る?」
商人「簡単さ…魔女が閉める事が出来る筈」
魔女「わらわに何をせよと?」
商人「扉を閉めた後に中の空気をアンモニアに変性させるだけだよ…それで真空になる」
魔女「なんじゃ簡単な事じゃ…しかし変性の理屈を良く調べたのぅ?」
商人「発案は剣士さ」
魔女「そうか…納得じゃ」
商人「じゃぁこの八尺瓊勾玉だけ戻しに行こう…魔女ついて来て」
魔女「わらわは疲れて居る…背負って行け」ノソ
商人「待って待って…僕はこの大きな勾玉を背負うんだよ?」
女戦士「勾玉は私が持って行こう…商人は魔女を背負えば良い」
商人「なんだよ…まぁ良いか…早く乗って」
魔女「よっこら…」ノソ
--------------
261 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:52:19.23 ID:KbfSVIxh0
『古代遺跡』
ヨイショ! ゴトリ
魔女「…シン・リーンの精霊像の安置所とほとんど同じじゃな」
商人「へぇ…」
魔女「こちらの方が傷んで居らぬ」
商人「大体700年前に扉を閉めて封印した様だよ…多分過去戻りした勇者2人さ」
魔女「勘かえ?」
商人「足元を見て…退魔の方陣が仕掛けてある」
魔女「ふむ…退魔のぅ…」ジロジロ
商人「僕が知ってるのと同じだよ…間違い無い」
魔女「確かに退魔の方陣なのじゃが…勇者はこの方陣を知らん筈なのじゃが」
商人「え?」
魔女「わらわは教えて居らぬ…勇者が使こうて居ったのは光の方陣…少し違うのじゃ」
商人「そうだったんだ…」
魔女「退魔の方陣は光の方陣を簡略した物じゃから効果は退魔のみ…光の方陣を知って居れば問題は無いが…」
商人「700年前なら魔術師の黎明期…他の誰かに教わったのかも」
魔女「簡略化できる事を発見したのはわらわの師匠…つまり200年前より以前は発見されて居らぬ」
商人「じゃぁ女海賊は?確か塔の魔女から魔術書を貰ってた」
魔女「それなら辻褄が合う…文字が読めればの話じゃが」
商人「文字か…そうだな僕も文章から読み取った」
魔女「誰かに読み解かせたのやも知れんな…まぁそれは良いとしてこの空間の空気を変性させれば良いのじゃな?」
商人「そうだよ…扉を閉めるから先に出て」
魔女「参考になるのぅ…シン・リーンの宝物庫もこの様に施錠すれば良いな」ノソノソ
商人「じゃぁ変性魔法お願い…」ギギー バタン
魔女「変性魔法!」
商人「よしよし元通りだ…帰ろう」
-------------
262 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 15:54:12.89 ID:KbfSVIxh0
『林道』
カクカク シカジカ
--------------
--------------
--------------
魔女「…では剣士らは公爵が持って居る冒険の書を盗みに行ったのじゃな?」
商人「うん…他にも時の王の遺産が有るかもしれないからさ」
魔女「公爵はフィン・イッシュに来て居る様じゃが?」
商人「どうせ影武者だって言ってたよ」
魔女「ふむ…用心して居った方が良さそうじゃ…何を持って居るか分からんな」
商人「怖いよね?幻惑の杖みたいな物を持ってたとしたら」
魔女「しかし公爵はわらわも顔を知って居る…何故今まで見落として居ったんじゃろう?」
商人「知ってるのは影武者の顔なのかもね」
女戦士「魔女…私の父…海賊王の事なのだが変化の杖という物でバニーになりたいと言っていた事が有る」
魔女「変化の杖…なるほど変性して居る可能性があるのじゃな?」
商人「あああ!!そういえば10年前に死んだ領事…あいつは沢山の身分証を持ってた」
魔女「そうじゃったな…魔術師でも無いのに同じ顔で元老の身分も持って居ったな」
商人「変化の杖を使って他人に成りすましてる…そんな可能性ありそうだ」
魔女「アサシンが領事の身元を知って居った筈じゃ」
商人「ちょっと待てちょっと待て…領事は公爵の影武者の役をしていたんじゃ無いか?」
女戦士「それでは誰も信じられんな」
商人「わかったぞ…ローグが言ってた事はやっぱり本当だ…そうやってセントラル皇子3兄弟を分裂させて利用した」
魔女「やはり変化の杖を持って居るのが濃厚じゃな?」
商人「例の鏡が役に立つよ!!真実を写すんだよね?」
魔女「磨かんと鏡にはならんが…」
女戦士「私が磨こう…金属を磨くのは得意だ…むしろ磨いてみたい」
商人「よしよし…やる事が定まって来た」
---------------
---------------
---------------
263 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 18:42:14.20 ID:KbfSVIxh0
『王族の気球』
フワフワ
近衛侍「ささ皆様お待ちしておりました…お乗りください」
商人「迎えが来てる…」
アサシン「城へ戻るぞ…早く乗れ」
商人「八咫鏡は?」ヨイショ
アサシン「乗せてある」
魔女「ふぅ…疲れたわい」ノソリ
アサシン「祠は無事に封印された様だな?」
魔女「うむ…アサシンに質問なのじゃが死んだ領事を覚えて居るな?」
アサシン「思い出したく無いが…領事がどうした?」
魔女「主は領事の身元を調べて居ったじゃろう?」
アサシン「なんだそんな事か…セントラル王族の分家に当たる…与えられた特権が領事」
商人「公爵とは関り無いの?」
アサシン「血の繋がりは無い…関りがあるとすれば時の王の派閥側だという事ぐらいしか知らん」
商人「その程度か…」
アサシン「なぜその様な質問を?」
魔女「変化の杖という物が合ってな…それを使って他人に成り代わって居るやも知れんのじゃ」
アサシン「領事がか?」
商人「領事も…公爵もだよ…領事は身分証を沢山持って居たよね」
アサシン「なるほど魔女と同じ様に化ける訳だな…領事にそれが出来たとなるとすべての辻褄が合うな」
商人「公爵も他人にすり替わってる可能性が有ると思う」
アサシン「…」ギロリ
近衛侍「私は違いますよ…」
アサシン「誰も信用出来んでは無いか」
商人「そういう事だね…今回の暗殺事件も直ぐ近くに公爵が居たかもしれない」
女戦士「私が八咫鏡を磨いてみる…女王の許可が欲しいのだが磨いて良いか?」
女王「…そういう事でしたら喜んでお預けします」
魔女「しかし本当に変化の杖を用いて居ったとするとすべて公爵の意のままに事が進んだじゃろうな」
商人「そんな物を持たせておいてはいけないね」
魔女「その通りじゃ…奴が持って居るやもしれぬ時の王の遺産はすべて封印した方が良かろう」
商人「魔女が持ってる幻惑の杖もだよ…」
魔女「そうじゃな…これを持って居ると主らにも疑われてしまうでのぅ」フリフリ
--------------
264 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 18:43:18.93 ID:KbfSVIxh0
情報屋「世の中にどのくらいのアーティファクトが眠っているか分かる?」
魔女「さぁのぅ?時の王がかつてシン・リーンで魔術師に作らせた物なら分かるがそれ以外は分からぬ」
商人「どんな物が?」
魔女「ほとんどが杖じゃ…恐らく魔法が使えぬ精霊に持たせる為だったのじゃろう」
商人「精霊はそうやって身を守って来たのか…」
魔女「使わなくなったら処分すれば良かったのにな?思い出の品として保管して居ったのが良くない」
商人「それでどんな効果の杖だったの?」
魔女「いかづちを呼ぶ杖…マグマを操る杖…うみなりの杖…色々有るらしい」
情報屋「魔女が使う魔法が封じられているのね?」
魔女「うむ…全部そうじゃろうな」
商人「良い効果の杖は無いの?」
魔女「あるぞよ?癒しの杖…雨雲の杖…守りの杖…じゃが使い方を誤るとどれも危険なのじゃ」
商人「癒しの杖なんか誰が使っても良さそうじゃ無いか」
魔女「使い過ぎると老化してしまう」
商人「あーーそういう事か…薬の副作用みたいなもんなんだ」
魔女「じゃから何も知らぬ人間の手に渡らぬ様に封印した方が良かろう」
情報屋「杖以外にはどんな物が?」
魔女「一番知られて居るのはいのりの指輪じゃな…他には妖精の笛という物もあるらしい」
情報屋「妖精の笛…私冒険の書で読んだわ…ゴーレムを眠らせて操る笛」
魔女「10年前にゴーレムが暴れて居ったな?誰ぞが使うて居ったのは間違い無いじゃろう」
アサシン「状況的に公爵が使っていたと考えるのが正解だな」
魔女「有能な者が敵の中に居ると厄介じゃのぅ…」
---------------
---------------
---------------
265 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 18:44:52.28 ID:KbfSVIxh0
『フィン・イッシュ城』
近衛侍「女王様はお休みになられた…魔女様一行は客間にてお休みくだされ」
魔女「わらわの定位置は書物庫じゃ」
情報屋「私も調べ事をしたいわ」
商人「僕もだよ…ハウ・アイ島の事を調べたい」
女戦士「私は鏡を磨くとしよう」
アサシン「私はやる事が無いな」
魔女「女王の部屋でも守って居れ」
アサシン「近衛侍と忍が居れば十分だ…酒場にでも行くか」
魔女「寝られんと言うのも苦痛じゃのぅ…」
アサシン「言うな…行って来る」スタ
『酒場』
ドゥルルン♪
バニー「ハロハロ〜お一人様ぁ?」
アサシン「バニーの働き口はカジノでは無いのか?」
バニー「マスターが行方不明なのぉ…臨時で雇われよ?お酒何飲む?」フリフリ
アサシン「一番キツイのをボトルで頼む」ジャラリ
バニー「あら?お客さん…どこの豪族?」
アサシン「早く持ってこい」ジロ
バニー「芋酒ですぅ〜お注ぎになる〜?」
アサシン「そのままで良い」キュポン グビグビ
バニー「ウフフ良い飲みっぷり…パフパフは如何?」ボヨヨーン
アサシン「いくらだ?」
バニー「金貨1枚よ?」
アサシン「…」チャリーン
バニー「では個室の方へ…」フリフリ
ワイワイ ガヤガヤ
お金ならいくらでもあるんだ…ほら?楽しませてくれよ
あらすご〜い!!ねぇみんな見て?
僕は回りくどいのは嫌いなんだ…今すぐ脱いでよ
こう?
全部だよホラ全員脱いで大事な所を僕に見せるんだ
ワイワイ ガヤガヤ
アサシン「…」---あの男…いや気のせいか---
バニー「こちらですぅ…早くぅぅぅ」フリフリ
アサシン「あぁ済まない…」
バニー「お客様一人入りましたぁぁぁウフフ…楽しんで行ってね?」
アサシン「何?」
男共「パフパフの殿堂へようこそ!!さぁさぁこちらへ…」ムキムキ
アサシン「…」ボーゼン
266 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 18:46:41.39 ID:KbfSVIxh0
『翌日_謁見の間』
セントラル王は兵2名のみ帯同許可します…右手に整列を
近衛侍は私の左手側へ…側近は私の言葉を相手に伝えなさい
その他は傍聴席から立たない様にお願いします
では…全員銀の仮面を付けて待機
商人「…これは相当威圧的だ」
魔女「これで良い…この仮面は女王の威厳じゃ」
商人「仮面を被った集団に囲まれての和平交渉か…」
魔女「どんな交渉をして来るか楽しみじゃな」
衛兵「先方来賓されました…公爵と思われる人物と帯同の従士一人」
女王「お連れして下さい…では皆さんご静粛に…」
衛兵「謁見が許可された…2名!!入れ」
スタスタ
女王「…」ヒソヒソ
側近「女王の言葉を復唱します…ようこそお越しくださいました…和平の件…交渉に付けて喜びを感じる次第」
公爵「これは大層なおもてなしですなハハ…お体の調子が悪いと伺っておりましたが触りませんかな?」ニヤ
側近「お陰様で順調に回復しております」
公爵「それは結構…では早速本題に移らせて頂きますが先ずはセントラル貴族院への口利きとしての条件として…」チラリ
セントラル王「…」
側近「ためらわずおっしゃって下さい」
公爵「当初はセントラル王の引き渡しが条件でしたがその必要は無くなった事を冒頭に申し上げます」
セントラル王「!!?」
側近「代わりの条件は如何に?」
公爵「セントラル王との婚姻…そして王権の分与」
ザワザワ
側近「願っても無いご提案ですが民意がそれを許さないのです…困りましたねぇ」
267 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 18:49:09.66 ID:KbfSVIxh0
公爵「わたくしは先ほどから側近とお話をしていますが…もしかすると女王様は影武者という事は無いでしょうね?」ニヤ
近衛侍「無礼者!!」
側近「何故にその様な疑いを?」
公爵「いやいや私の情報筋では女王様は危篤状態と伺っておりましてな…土産にと思いまして特効薬も持参している次第」
近衛侍「特効薬…お主まさか…」
公爵「ハハ勘違いしないでくだされ苦痛を和らげるには必要な妙薬なのですよ…ここに」ドサ
セントラル王「貴様ぁ!!ぬけぬけと…」スラーン
第3皇子「おっとぉ!!大兄…危ないじゃ無いか」
セントラル王「何ぃ…お前…何故お前が此処に…」タジ
公爵「これ!身を明かすのが早いぞ」
第3皇子「もう茶番は良いでしょ?話は簡単さ…さっさと結婚してフィン・イッシュを僕らの自由にさせろという事だよ」
公爵「余計な事をしゃべるな!!」
第3皇子「こんな提案もある…大兄の持ってる王権を僕に譲れば良い…そうすればめでたくフィン・イッシュ女王と結婚出来るよね?」
セントラル王「ぐぬぬ…再会してお前はそんな話しか出来ないのか!!良く…良く生きていた…」
第3皇子「近寄らないで欲しいなフィン・イッシュの下僕に成り下がった大兄なんかもう知らないよ」
ガタン!
近衛侍「女王様…なりませぬ…落ち着いて下さい」
女王「交渉の件…飲みましょう…ただしこちらも条件があります」
公爵「それは良いご判断で…」
女王「公爵!…いえ…この公爵の偽物の首をはねて本物の公爵の下へ突き返すのです…それが条件です」
第3皇子「そんな事をしても意味が無いよ」
女王「あります…私はもう騙されないと言う意味なのです…近衛侍!!抜刀許可!!」
公爵「ひぇ…」ダダ
近衛侍「御免!!」シャキーン ボトリ
公爵「…」パクパク
女王「続いてセントラル王へ命じます…セントラル王権を第3皇子へ譲渡し私と婚姻しなければこの国を追放します」
セントラル王「…」
女王「私の王権を分与すれば条件をすべて飲んだ形…後はあなたが判断してください…あなたを信用します」
第3皇子「なんだよ勝手に進めないで欲しいな」
女王「戦争は終わりました…第3皇子…あなたも早く宣言をして下さい…戦う必要は無くなったのです」
セントラル王「第3皇子!!来い」グイ
第3皇子「触るな!!」
セントラル王「調印をする…兵を率いて帰るが良い」
第3皇子「フン!分かってる…港は好きに使わせて貰う」
268 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 18:51:22.27 ID:KbfSVIxh0
『傍聴席』
魔女「歴史が動いたな?」
アサシン「クックック…セントラルが滅びる瞬間を見たな」
魔女「第3皇子には王の器が無い様じゃ」
アサシン「うむ…しかしあの小僧が公爵と手を組んでいたとは…」
魔女「結果的にはこれで良かったかのぅ」
アサシン「まぁこれで貴族院は第3皇子を擁立する側とそうでない側で又分かれる…終わりだよあの国は」
女王「皆様ご心配をお掛けしました…」ペコリ
魔女「見事じゃたぞよ?真実の鏡には何が映って居ったのじゃ?」
女王「口論する兄と弟…その傍らで公爵では無い他人が薄ら笑いを浮かべていました」
魔女「伝説は本当の様じゃな」
女王「思わず首をはねる指示をしてしまったのを後悔しています」
アサシン「気に病むな…お前に毒を盛った者共なのだ」
女王「実は私にはそんな事を指示できる権力は無いのです」
近衛侍「女王様お気になさらず…私めは指示されて動いたのでは御座いません…勝手に切ってしまい忝い」
商人「女王の権限分与ってさ…良いの?セントラル王に分与しちゃって」
女王「その件でしたら私が王として持って居る権限は畑の管理なのです」
商人「畑?」
女王「権限は既に側近や近衛侍…そして忍びに分与済み…資産といえば畑と地下墓地でしょうか」
商人「アハハな〜んだ殆ど民主化してるのか」
女王「はい…でも畑は全部私の物ですから意外と権力は大きいのですよ?」
商人「食べ物を抑えてる訳ね」
女王「その半分をセントラル王に分与する訳です」
魔女「こりゃセントラル王は忙しくなるじゃろうのぅ」
女王「見て居ましたか?あのような状況でも弟の身を案じていたセントラル王を?」
魔女「うむ…なんというか素直なんじゃろうな」
女王「はい…只ひたすら真っ直ぐな人なのです…悪い人では無いのでご勘弁下さい」
魔女「さて人段落したようじゃし…わらわは書物庫へ戻るとするかのぅ」ノソ
この日セントラル王権は第3皇子へと譲渡され
フィン・イッシュ守備隊は解散する事となった
その大半はセントラルへ帰還する事を拒み
第1皇子を慕う者のみで構成される兵団が構成される
269 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 18:53:25.98 ID:KbfSVIxh0
『飛空艇』
シュゴーーーーー バサバサ
剣士「女オーク…オークの予言はこれで大体合ってるんだね?」
女オーク「私が知ってる事は少しだけど全部合致してるわ」
盗賊「こりゃ公爵はエライ秘密を知って居た様だな」
剣士「ほとんど情報屋さんが言ってた通りさ…光る隕石も地軸の移動も全部予言されてた」
盗賊「この手記に記されている通りだとすると俺らに残った時間はあと数年…」
剣士「こういう解釈も出来る…これ以上先の予言が無いからそれを終焉と勝手に決めつけてる」
ローグ「あー良いっすねそういう解釈…光が見えやす」
剣士「多分ね4000年前に人類の99%以上が死滅した事を今の時代にもそのまま当てはめてる」
盗賊「1%かよ…そん中に入れってか」
剣士「違う…その時は何も知らないから1%だった…でも今は知ってる…まだやれる事はあるよ」
盗賊「ハテノ村の遺跡で発見したあの液体…まだ謎が残ってるな?」
剣士「うん…あれはきっと事情を知ったママからの贈り物さ」
盗賊「思い出して来たぞ夢幻の夢って奴を…そうだ確か病気を治す薬をハテノ村の木の下に埋めた」
剣士「絶対にソレだよ…早く名も無き島に戻らなきゃ…」
ローグ「公爵がこの予言をいつ知ったのか手記を見て分かりやせんか?」
剣士「始めのページは30年以上前だよ」
盗賊「そんな昔から知って居たんならなんで隠してたんだろうな?」
剣士「信じて貰えなかったとか…何かの理由で隠蔽されたのかもね」
盗賊「30年前っちゃエルフ狩りが活発になった辺りだな」
ローグ「貴族がエルフを奴隷にして競っていやしたね?」
盗賊「まぁ今思えばいのりの指輪狙いだったんだろうな…もうちっと平和に行けば良かったのによ」
270 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 18:54:50.44 ID:KbfSVIxh0
剣士「ハイエルフが産んだ勇者の誕生にまで関わってる…そうかハイエルフが勇者を隠したのが事の始まりだよ」
盗賊「ほう?それでエルフ狩りが激化した…」
剣士「公爵はすべて思い通りに事が進んだ訳じゃ無いみたいだ…裏切りや抵抗に合って何度も失敗してる」
ローグ「あーそれで予言を隠してたんすね」
剣士「その抵抗も予言の一部だと解釈してるよ…予言を変えようと努力した結果なのか…」ヨミヨミ
盗賊「白狼の盗賊団も抵抗勢力になってた訳か…」
剣士「そこら辺で手記が止まってる…白狼の事は何も書かれてない」
盗賊「それも理由が読めん…なんでだ?」
剣士「僕なんか分かるよ…パパが次元の入れ替えで無理やり歴史を修正したからさ…」
盗賊「んんんよー分からん」
剣士「まぁきっとそういう理由で記憶の不合点が出るんだ…だから書き記せなくなった」
盗賊「忘れて行くってやつか?」
剣士「うん…その時書き留めて置かなかった事は忘れて行ってしまう…そういう事が公爵にも起きたんだよ」
女オーク「ねぇ盗賊さん?盗んで来たこの笛…オークの笛にそっくりなの」
盗賊「ん?どんな効果なんだ?」
女オーク「動物を眠らせる笛よ」
剣士「睡眠魔法か…幻術だからそれを知ってる人には効果が無い」
盗賊「試しに吹いてみろ」
ピーヒョロロ〜
盗賊「ぶははなんだ…音は出るが曲になって無ぇ」
剣士「なんか何も効果が無さそうだ」
ローグ「公爵が持ち歩いて無いって事は只の時の王の思い出の品かもしれやせんね?」
女オーク「上手に吹ける様に練習してみる」
剣士「貰って良いんじゃない?」
盗賊「昼と夜が入れ替わるぐらいの効果が欲しかったな?ヌハハ」
ピーヒョロロ〜
盗賊「まぁちっと疲れたんで寝るわ…」
ローグ「あららら?効果ありやすね」
剣士「その様だ…不思議な笛だなぁ…睡眠魔法とはちょっと違いそうだ」
女オーク「私が飛空艇を見ておくから寝てて良いわ」
剣士「うん…横になるふぁぁぁぁあ…」
271 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 18:55:38.19 ID:KbfSVIxh0
『夢』
妖精「おい!!起きやがれ!!」
僕「んん?誰?」
妖精「俺様だ!!いつもいつもコキ使いやがって!!」
僕「あ!!妖精だ…僕にも妖精の声が聞こえる様になったんだ」
妖精「反省してるのか!?」
僕「あぁゴメンよ無理なお願いばかりしてさ」
妖精「罰としてどんぐり食べちゃうぞ」
僕「うん…良いよ沢山食べて?」
妖精「分かればよろしい…」パクパク
僕「君は何処から来たの?」
妖精「笛に呼ばれて来たんだ…そしたら極悪人の君が居た」
僕「ハハ僕が極悪人?」
妖精「そう妖精をコキ使う極悪人だ」
僕「ゴメンねこれから優しくするから許して」
妖精「ふん!」プイ
僕「分かったよもっと質の良いどんぐりを用意しておくよ」
妖精「絶対だぞ?」
-------------
-------------
-------------
272 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 18:56:38.93 ID:KbfSVIxh0
『翌朝』
ピロロ〜♪ ピ〜ピロロ〜♪
剣士「ふぁぁぁ…」パチ
女オーク「起きた?」
剣士「…良い夢見たよ…妖精とお話が出来た」
女オーク「妖精を呼ぶ笛ね?」
剣士「多分そうだよ…良い物手に入れたね」
ニョロニョロ
剣士「ん?あれ?ワームがどんぐりかじってる…なんだ君だったのか」
女オーク「虫が妖精?」
剣士「そうらしい…そっか虫とお話出来るのか」
女オーク「この笛欲しい?」
剣士「欲しい…でも君が使って居て良いよ…僕笛吹けないし」
女オーク「ウフフいつでも吹いてあげるわ」
剣士「なんかすごく癒された感じだ…元気出て来たぞ!!」
女オーク「このワームにどんぐりあげれば良いの?」
剣士「うん…松の実もあげて見ようか」
女オーク「沢山あるわ…」パラパラ
剣士「おー食べてる食べてる…お腹減ってたのかー」
女オーク「そろそろフィン・イッシュが見えて来るはず…盗賊さん達を起こして?」
剣士「おけおけ…操舵は任せるね」
--------------
--------------
--------------
273 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 18:57:46.10 ID:KbfSVIxh0
『フィン・イッシュ_墓地』
フワフワ ドッスン
盗賊「いやぁ久々に良く寝た…良い笛ゲットしたな?」ノビー
剣士「睡眠魔法じゃ無いのがスゴイね…僕なんか夢で妖精とお話したよ」
盗賊「俺ぁ死んだ女盗賊が夢に出て来たんだ…あいつ妖精になったんだな」
ローグ「あっしも妖精の美女に囲まれてウハウハでやんした」
盗賊「こりゃクセになりそうだ…なんつーか寝覚めが最高だ」
剣士「今晩皆に聞かせてあげよう」
盗賊「おっし!!荷物持って…ん?何処行きゃ良いんだ?」
剣士「城で良いと思う…空から見た感じ厳戒態勢じゃなくなったみたいだし」
盗賊「まぁ一回城行ってみっか」ヨッコラ ガサリ
ローグ「大収穫でしたねぇ…金銀財宝も沢山あるでやんすよ」ヨッコラ
剣士「じゃぁ手分けして運ぼう…よいしょ!!」
274 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 18:59:13.54 ID:KbfSVIxh0
『フィン・イッシュ城_客室』
ガチャリ バタン
近衛侍「ここでお待ちください…魔女様を呼んで参ります」
盗賊「アサシン!!お前一人なんか?」
アサシン「まぁな?皆書物庫で寝泊まりしている…私は付き合って居れん」グビ
盗賊「女王はどうなった?お前又放置されてんだな?」
アサシン「クックック放置か…まぁそうなるか…体は回復してる様だから心配は無用」
盗賊「土産が沢山あるぜ?見て見ろ…」
アサシン「公爵はどうなった…」
盗賊「向こうに居たのは影武者だ…こっちに来てたんじゃ無いのか?」
アサシン「こちらへ来たのも影武者だった様だ…さて何処へ行ったのやら」
盗賊「だがな?公爵が持ってた主要な物は全部頂いて来た…冒険の書もこの通りだ」バサ
アサシン「では尚の事行き先が気になるな…それらはもう不要という判断だろう」
ノソノソ
魔女「無事に戻ったか…話は聞いたぞよ?冒険の書は手に入った様じゃな」
盗賊「おぉ魔女!!この通りよ…見てくれ謎の道具の数々を」
剣士「情報屋さん!!公爵の手記も持って来たんだ…読んでみて」
情報屋「え?手記?」
剣士「予言の事が書いてある…情報屋さんが言ってた事と似てるんだ」
商人「ちょちょ…僕にも見せて」パラパラ
魔女「いかづちの杖…マグマの杖…うみなりの杖…やはり隠し持って居ったな…しかし魔力が枯渇しておる」
盗賊「なぬ?じゃぁ使い物にならんのか?」
魔女「魔石で充填すれば良い」
盗賊「他には使えそうな物は無いか?」
魔女「アクセサリーはすべてそれなりのエンチャントが施されて居るのぅ…武器は呪われて居る」
盗賊「ぐはぁ呪いの武器か…使え無ぇじゃ無ぇか」
魔女「アーティファクトは冒険の書だけの様じゃな…やはり変化の杖は公爵が使って居る様じゃ」
女オーク「魔女様…この笛は?」スッ
魔女「おぉぉ妖精の笛じゃ…やはり有ったか」
剣士「この笛の効果は知ってる?」
魔女「ゴーレムなどの大型の魔物を眠らせる事が出来るらしいのじゃ」
剣士「その笛を吹いたらさ僕達も眠たくなって夢の中に妖精が出て来るんだ」
魔女「そうじゃろうそうじゃろう…」ウンウン
剣士「妖精とお話が出来るから気に入っちゃってさ…これ使っても良いよね?」
魔女「もしもゴーレムに出会うたらその笛で眠らせると良い…それ以外の使い道は思い浮かばんのぅ」
剣士「じゃぁ使って良いって事だね!!もーらい!!」
盗賊「ちぃぃぃ俺が使えそうな物が何も無ぇ…杖なんか要ら無ぇしな」
魔女「何を言うて居る!アクセサリーはすべて一級品じゃ…価値が計り知れぬ」
275 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 19:01:39.47 ID:KbfSVIxh0
『しばらく後』
アーデモナイ コーデモナイ
…アヌンナキ…これはオークシャーマンの名前よ
そしてこの箱舟は彼らの乗り物…これが未踏の地の氷床の下で眠ってる
オークは宇宙から来た外来生物だったのね
超古代の伝説にもアヌンナキは神として崇められてる…人類の創造主とか洪水の予言者だとか
この手記には4000年ごとに訪れる黒色惑星によって引き起こされる災害を
事前に警告する為に訪れると纏められて居るわ
でもウンディーネの時代に訪れたオーク達をその当時の人間達が捕獲してしまった…箱舟も一緒に
そしてオークが持つ不思議な技術の権利を廻って世界的な戦争が起きた
当時200億を超えた人口はこの戦争によってたった数十年で1億人にまで減少…
それはたった数発の光る隕石が原因…あっという間にウンディーネ時代が終わる
光る隕石から生じる毒に耐性の有ったオーク達は生き延び箱舟に帰ろうとするが
地軸の移動により生じた気候変動に阻まれ箱舟までは到達出来なかった…
そして4000後…再び地軸の変動が起きて氷床から彼らの箱舟が姿を現す
情報屋「これが私達の知らなかったウンディーネ時代からの歴史…」
商人「まだ続きがある…」
当時捕らわれの身となっていたオークシャーマンを導く人物が現れる
虫を巧みに操る者と女神の2人…後にオーク達はウンディーネと崇める事になった
この2人はオークに数々の予言を与えた
それはこの世界でオークが生き残る術の数々
その予言を絶やすことなく守り続けて…オークシャーマンは今も生きている
276 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 19:02:52.28 ID:KbfSVIxh0
情報屋「一度道を踏み外しそうになっているわ…暁の使徒との交わりでオーク達を分断する結果を導いてしまった事」
商人「まぁそうだね…人間と共存を望んだオークとそうじゃないオークに分かれた…でも結論は同じところに収束しそうだよ」
魔女「ではオークシャーマンが目指しておるのは未踏の地に封じられて居った箱舟なのじゃな?」
情報屋「きっとそうね…私達にそれを邪魔する理由は無いわ」
商人「魔女が研究してるオークの呪符…能動的な術じゃないのは変化無いね?」
魔女「うむ…重力などを操作する類の術では無い…動く星たちを秒単位で観測する術じゃ…それで天候を知るのじゃ」
情報屋「一つ注意して欲しいのが…今話した歴史は公爵が冒険の書を読んで得た知識を手記にしたという所」
魔女「事実では無いやも知れんという事じゃな?」
情報屋「私も冒険の書で同じ様な事を知ったわ…でも手記に書き留めなかった…事実と異なる可能性があったから」
商人「行って確かめてみないとね」
情報屋「そうよ…それ無しで学術記録としては残せない」
剣士「行こうか…僕は名もなき島に帰ろうと思ってたんだ…どうせ向こうの大陸に一回渡るんだし乗せて行くよ」
盗賊「おいおい…次行くのはハウ・アイ島だろ?」
商人「それなら僕も行きたいな」
剣士「4人までだよ」
盗賊「全員乗れるように改造すりゃ良いだろ」
剣士「ええ!?そんな大きな羽を支える材料なんか無いよ…今ので精一杯さ」
女戦士「幽霊船で行けば良いのではないか?折角合流したのだから又分かれるのも寂しいだろう」
剣士「んぁぁ急ぎたいんだけどなぁ…」
魔女「わらわが良い事を思いついたぞよ?盗賊が持って来た物の中に風のタクトという杖があったのじゃ」
盗賊「お?風を起こせるんか?」
魔女「そうじゃ航海の役には立たんかえ?」
盗賊「安定した横風受ければ真っ直ぐ行ける…横帆の有る幽霊船なら尚更だ」
ローグ「外海を大航海っすね?ワクワクしやすねぇ?」
盗賊「おっし!!決まりだな」
スタスタ
女王「お話聞いて居りました…その航海に私と主人も連れて行って貰えないでしょうか?」
魔女「なんじゃと?」
女王「皆様方がご一緒なのが一番安全な航海が出来ると思いまして」
盗賊「おぉぉ来い来い!!嬢ちゃんも城ん中に籠ってちゃ退屈なんだろ」
女王「はい…それもありますが皆様の仲間に主人も加えて欲しいのです…王という肩書が無くなってやっと自由になれたのです」
盗賊「だははこりゃ美味い酒が飲めそうだ…帆の張り方教えてやるぜ?約束してたもんな?」
魔女「ヤレヤレ…王が不在でも良いのか?この国は」
女王「側近が私の影武者として働きますので…私はしばらく静養という形で旅に出て見たいのです」
盗賊「本人が良いってんだから連れてきゃ良いだろ」
女戦士「私の船は30人程度が適正な人数だ…乗船する人員を纏めてくれ」
盗賊「アサシン!!幽霊船まで案内してくれ…飛空艇乗せる」
-------------
-------------
-------------
277 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/11/20(土) 19:04:23.99 ID:KbfSVIxh0
『幽霊船』
フワフワ ドッスン
盗賊「この飛空艇は船首側の甲板に固定が良さそうだ」グイグイ ギュゥ
剣士「僕はどうすれば?」
盗賊「船尾に乗っかってる貨物用気球で荷の運搬やってくれ…俺はちっと備品の整理やる」
アサシン「剣士…こっちだ」
剣士「荷の運搬かぁ…また旧式の古い気球だなぁ…」フワフワ
アサシン「フフ私の唯一の資産だ…20年近く使い込んで居る」
剣士「これさぁ木材変性させてもっと軽く丈夫に出来るよ?やってあげようか?」
アサシン「ほぅ?壊さない程度に改造は自由にやって良い」
剣士「おけおけ!変性魔法!」
アサシン「ん?何か変わったか?」
剣士「板の部分を樹脂に変性させたのさ…重さが半分以下になってる筈」
アサシン「その技は幽霊船にも使った方が良いだろう…あの船も随分使い込んで居る」
剣士「あとでやって置くよ…それで荷を運ぶって何が足りないの?」
アサシン「食料は十分ある…無いのは酒だ」
剣士「なんだそんな物か…」
アサシン「まぁあとは女王が何を持って行くかなのだが…」
剣士「僕は土を持って行きたいなぁ…果物とか育てられるし」
アサシン「ほぅ?それは良いな…女戦士に許可してもらえ」
剣士「よっし!樽に土を詰めて持って行こう」
278 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/11/20(土) 19:06:00.54 ID:KbfSVIxh0
『城_中庭』
ガガーン ビリビリ
ローグ「荷物をまとめていやすぜ?これ運んで下せぇ」ヨッコラ
剣士「うん…あそこで魔女は何やってるの?」
ローグ「なんか杖に魔法を封じて試し撃ちしてるでやんすよ…危ないんで近寄らんで下せぇ」
剣士「危ないとか言って自分で使うんじゃないか…」
ローグ「女王に護身用で持たせるらしいっす…情報屋さんも使い方教わっていやしたぜ?」
剣士「そういう事か…自分の身は自分で守れって事ね」
スタスタ
ローグ「やば…元セントラル王が来たでやんす…」
元セントラル王「もうその名で呼ばないでくれないか…私は戦士だ…戦士と呼んでくれ」キリ
剣士「アハハこんにちは戦士さん」
戦士「剣士殿にローグ殿…私にも何か手伝える事は無いか?」キラリ
ローグ「荷物を気球の中に運んでもらって良いっすかね?」
戦士「まかせたまえ!!どらぁぁぁぁぁ」ドドドド
ローグ「あら?あららら…ちょちょちょそれ今積んだばかりの荷でやんす」
戦士「あぁ私とした事が…勢い余って荷を下ろしてしまった様だ」
ローグ「ちょっと大丈夫すかねぇ…ゆっくりで良いんで頼んますよ?」
戦士「分かっているさ…どらぁぁぁぁ」ドドドド
剣士「いやぁスゴイなぁ…一気に荷が片付く」
ローグ「脳筋ってこういう人を言うでやんす」ヒソ
戦士「ふぅ…私も君達の幽霊船に興味があるのだ…連れて行って欲しいのだが」キリ
剣士「おけおけ!!船の片付けもあるんだ…助かるよ」
ローグ「じゃぁあっしは又荷物をまとめておくんで運んだら戻って来て下せぇ」
剣士「うん!直ぐに戻るよ…じゃぁ戦士さん乗って!!」
戦士「失礼する…」シュタ
ローグ「なーんかいちいちポーズ決めるの止めやせんか?」
戦士「気に障ってしまったか…済まない」キリ
ローグ「早く行って下せぇ…」---な〜んか変な人でやんす---
279 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/11/20(土) 19:07:26.00 ID:KbfSVIxh0
『幽霊船_甲板』
どらぁぁぁぁ バキバキ!
盗賊「うぉ!!甲板に穴空けるんじゃ無ぇ!ボケが!!」
剣士「女オークと腕相撲で互角だ…」
女オーク「まだ勝負ついてないわ…はぁはぁ」
戦士「私には負けられない理由があるのだ…受けて立とう…掛かって来い!!」グイ
女オーク「次は左腕よ…」グイ
剣士「はいはい…力抜いてぇ…レディーーーゴー!!」
戦士「ふんっ…」ミシミシ
女オーク「くっ…」グググ
盗賊「なぁ?…負けられない理由って何だと思う?」
剣士「さぁ?女には負けられなっていう事かな?」
戦士「どるぁぁぁぁぁ!!」ドコーン
女オーク「ぅぅ…まだよ…まだ右手は負けて無いわ…もう一度」
戦士「熱い!!熱いぃぃ!!」グイ
女オーク「勝負は一瞬…熱くなったら負けよ」グイ
剣士「…」ポカーン
戦士「どるぁぁぁぁ!!」ミシミシ
女オーク「私の…勝ち!!ふんっ!!」ドコーン
戦士「この私が…いやまだだ…両腕で勝負だ!!」
女オーク「望む所よ…」ガシッ
戦士「ふぬぬぬぬ…」グググ
盗賊「こら勝負付かんな…おい剣士!甲板に穴空いちまうから魔法で補強してくれ」
剣士「おっけ!!変性魔法!」
盗賊「しかしあのセントラル王がこんな脳筋ヤロウだったとはな…船乗りにゃ丁度良いが」
剣士「なんか面白い人だよ…なんというか悪意を全く感じない」
盗賊「うむ…天然の脳筋だ…第2皇子や第3皇子とまったく違ったタイプだ」
剣士「次は盗賊さんお酒で勝負してみたら?」
盗賊「ほぅ?そりゃ名案だ」
剣士「今晩は城でお祭りでもやろうって女王に話してみるよ」
盗賊「そうと決まりゃサッサと仕事片づけて城に戻るぞ」
280 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/11/20(土) 19:09:27.68 ID:KbfSVIxh0
『夜_城下』
ワイワイ ガヤガヤ
戦争が終わってセントラルの軍船が入港してくるんだってよ
じゃぁ今晩は終戦祝いの祭りなのか?
理由は聞いて無いがまた例の様に酒と食い物の配給よ…食いそびれんな?
女戦士「フフ…この国は祭りと聞けばすぐに人が集まる」
剣士「盗賊さんがお酒で元セントラル王と勝負するっていうのが事の始まりさ」
女戦士「それで女王が直ぐに手配した訳か」
剣士「うん…近衛侍が一気に動き出してさ」
女戦士「それはな?近衛侍は元セントラル王が膝を着ける所を見たいのだ…」
剣士「なんか楽しみだね」
魔女「勝負はもうついておる…盗賊に酒で勝てる者なぞ居らんわ」
剣士「あれ?女戦士…どうしたのその武器?」
魔女「それは呪われた武器じゃ…時の王が愛用して居ったんじゃろうがどうしても女戦士が使うと言って聞かんのじゃ」
女戦士「これは私が打ち直して使う…呪いなぞはねのけてやる」
魔女「それは破壊の剣という代物じゃ…呪いに支配されぬ様にせねばならんぞ?」
剣士「へぇ?良い剣なんだ?」
女戦士「材質はオリハルコン…お前の刀と同じだ…エンチャントに失敗して呪いが掛かっているのだ」
剣士「オリハルコンってどんなエンチャントが出来る?」
魔女「時空じゃな…量子転移を掛けて時空を切り取れる様にしようとしたのじゃろう」
剣士「へぇスゴイな…」
魔女「成功しておれば伝説の武器になったじゃろうな」
女戦士「単純に武器の性能としては一級品…いやそれ以上…丁度私の手に馴染む重さ」
魔女「呪いさえ無ければのぅ…」
剣士「どんな呪いなの?」
女戦士「稀に夢を見る…その瞬間足が止まる」
剣士「なんだそれだけか」
女戦士「私にはその夢が愛おしい記憶に感じてな…つい見入ってしまう」
魔女「これこれ何度も言うが呪いに支配されてなならぬ」
女戦士「分かって居る…私はこの武器が気に入ったのだ大事に使うさ」
剣士「他にも装備品が色々あったよね?」
魔女「自虐効果の付いた物ばかりでな…不死の体を持つ時の王しか身に着けられん」
女戦士「本当はそれも欲しいのだが流石に体が持たないと思ってな…どうにか呪いが解ければ私が使う」
魔女「無理じゃ!エンチャントは不可逆の変性じゃでもう元には戻らぬ」
女戦士「フフまぁ良い…この破壊の剣で十分だ」
281 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/11/20(土) 19:11:12.96 ID:KbfSVIxh0
『城_中庭』
ギャハハハハ ワイワイ
ローグ「食事持ってきやしたぜ?」モグモグ
女戦士「気が利くな」
ローグ「魔女さんもどうぞでやんす…」
魔女「盗賊の勝負はどうなっとるのじゃ?」
ローグ「見ての通りっすよ…互角に飲み比べていやす」
魔女「ほぅ…奴も酒豪とな?」
ローグ「どうも結託した様っすね…2人で他の近衛侍も巻き込む作戦に変わったみたいでやんす」
剣士「ハハ巻き込まれない様にしないとね」
盗賊「ごるぁ!!女オーク逃げんな…お前も飲め」グイ
女オーク「お酒は沢山飲まないのよ」
盗賊「酒に肉は一切入って無ぇんだ…材料は芋とキノコだぞ?」
剣士「盗賊さん!!女オークにお酒は意味が無いよ?酔わないから」
盗賊「なぬ!?そら面白く無ぇじゃ無ぇか!先に言えタコ」
女オーク「ふぅ助かったわ…もうお腹が膨れてしまって」
戦士「フハハハハこの勝負…私の勝ちと見た!げふぅぅぅ」フラ
女オーク「又言ってる…どうにかして剣士」
剣士「いや…ここは逃げよう」
魔女「うむ馬鹿に構っておると移るでな…」ノソノソ
商人「ようし!!僕が勝負してあげようじゃ無いか」
戦士「貴殿は商人殿だな?望む所だ…私は背を向ける事を決してしない」ヨロ
盗賊「おいおいこいつは止めとけ…ゾンビだから酒に酔わ無ぇんだ」
商人「あああ!!秘密をバラしちゃダメじゃ無いか!!」
戦士「なんと卑怯な!!貴殿はそれで良いのか!?」
盗賊「おいローグ!!やっぱ俺とお前しか居無ぇ!!来い!!」
ローグ「えええ?又っすか…」
戦士「ローグ殿…共に飲み明かしましょう!ハハハハ」
女戦士「私も一口飲んでみるか…」
戦士「おぉ!!女戦士殿…貴殿の話は伺っておりますぞ…なんでも一口で出来上がってしまうほど弱いとか」
女戦士「なに!!誰がそんな事を…」
ローグ「…」コソーリ
女戦士「ローグ!!来い!!」ギロ
ローグ「へい…」
女戦士「私は味見だけだ…後はお前が責任を取れ」
盗賊「樽持って来い樽だぁぁぁ!!」
うおぉぉぉぉ ワイワイ
282 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/11/20(土) 19:12:36.40 ID:KbfSVIxh0
『深夜』
んがぁぁぁ ぐぅ
戦士「…」ヨロ
盗賊「よぅ?横になったらどうよ?」グビ
戦士「いやいや私は最後まで立って居なければならん…ヒック」ヨロ
盗賊「ヨロヨロじゃ無ぇか…まぁしかし美味い酒が飲めたな?」グビ
戦士「平和…これ以上美味い酒の肴は無い」フラフラ
盗賊「分かってんじゃ無ぇか…身分違っても思う所は一緒だな?ヌハハ」
戦士「…」スラーン ブン ブン
盗賊「暴れて怪我すんなよ?」
戦士「酔い覚ましの運動さ」ブン ブン
『城のテラス』
魔女「ふぅむ…この勝負…元セントラル王の勝ちじゃな」
女戦士「まだ飲んでいるのか?…ぅぅん」グター
魔女「いやあの男一人だけまだ立って居る…大した胆力じゃな」
女戦士「フフ…セントラル城に立て籠もって居た時も奴だけは諦めずに居た…そういう男だ」
魔女「頭は回らんが英雄の器があるのぅ」
女戦士「英雄か…」
魔女「うむ…カリスマと言えば良いのか?王を失しても褪せん物を持って居る」
女戦士「この時代に英雄は必要だ…守ってやらねばならんな」
魔女「そうじゃな…次の時代の真の王はフィン・イッシュで花開くあの男の様じゃのぅ」
女戦士「んん?八尺瓊勾玉の件か?」
魔女「うむ…王を選ぶと言われる勾玉が発見されたで気になって居ったのじゃよ」
女戦士「私は破壊の剣に魅せられた隠者という所か」
魔女「主は海賊王の道じゃろうのぅ…海の英雄じゃ」
--------------
--------------
--------------
283 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/11/20(土) 19:14:25.76 ID:KbfSVIxh0
『翌日』
乗船する者を確認する
女王 いかずちの杖 軽装
戦士 王家の剣 重装
剣士 銀河の剣 中装
女オーク コバルトの剣 中装
女戦士 破壊の剣 重装
アサシン 草薙の剣 中装
盗賊 散弾銃 中装
ローグ ミスリルダガー 中装
情報屋 マグマの杖 軽装
商人 クロスボウ 軽装
魔女 幻惑の杖 軽装
くノ一 クナイ 中装
近衛侍 カタナ 中装
他調理士2名…医者2名…航海士2名…測量士2名
戦闘要員として兵団から男女混合の10名が同行する
出港は昼過ぎ…各自移送用の気球に乗って船へ乗船してくれ…以上!
盗賊「31人か…賑やかな航海になるな」
女戦士「スケルトンを合わせて40だ」
盗賊「避難は小舟2隻と貨物用気球…まぁこれで目一杯だな」
女戦士「外海に出て見たい連中が沢山居て直ぐに人員が決まった…乗れなかった人には申し訳ない」
盗賊「戦闘要員なんか要らないんじゃ無ぇか?」
女戦士「女王の警護なのだ…全員訓練された選り抜きだ」
盗賊「戦争に行くんじゃあるめぇし…」
女戦士「選り抜きというのは戦闘では無い…技術者や学者も含まれる」
盗賊「んん?古代遺跡の調査か?」
女戦士「そうなるな…女王がノリノリなのだ」
盗賊「なるほど国として海洋進出って訳か…自国領にする訳だな?」
女戦士「そういう事だ…アサシンの進言だよ抜け目がない」
盗賊「まぁ俺らはいつも通りにしてりゃ良いよな?」
女戦士「規律だけは守ってもらう…酒は夕食の時に一杯だけだ」
盗賊「ぐはぁぁ…マジか」
女戦士「長期航海になるかもしれんから健康管理と水の不足を防ぐ為だ…自分で作って飲むのも禁止する」
盗賊「やる事無くなるな…釣りでもすっか」
女戦士「それは大いに助かる…存分にやってくれ」
盗賊「おいローグ!!剣士!!そろそろ船に乗るぞ」
ローグ「へ〜い!!剣士さんも女オークさんもそろそろ行きやしょう」
剣士「うん…女オーク?種忘れてない?」
女オーク「私が持ってるわ?」
剣士「おけおけ!じゃ行こう」グイ
284 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/11/20(土) 19:16:01.61 ID:KbfSVIxh0
『幽霊船』
ザブン ギシギシ
剣士「僕達が寝泊まりするのは飛空艇にしようか…」
女オーク「そうね?居室は人が多そうだし」
剣士「食事もみんなと違うんだよね」
ローグ「あっしらも貨物用気球で寝る事になりそうでやんす」
盗賊「飛空艇は忙しいかも知れんぞ?女戦士は氷山を警戒しててな…飛空艇を飛ばして監視すると言ってる」
剣士「そっちの方が気楽で良いや…夜中の飛行だね?」
盗賊「そうだ…お前が持ってる光の石頼りになる」
剣士「おけおけ!夜中も航海した方が早く到着できるしね」
盗賊「船首にロープ結んで飛空艇で飛んだら幽霊船の周りを光で照らす感じだ」
剣士「夜中は交代で見張りしておけば良いのかな?」
盗賊「そうなると思う…お前等2人で大丈夫だよな?」
剣士「気楽で良いよ」
盗賊「まぁ昼間は降りて休んでも構わん」
ローグ「盗賊さん!貨物用気球で人員運搬に戻りやすぜ?」
盗賊「おー頼むわ…俺ぁハンモック編んどく」
---------------
フワフワ ドッスン
ローグ「はい皆さん降りて下せぇ…」ゾロゾロ
近衛侍「…これが有名な幽霊船ですか…ほー」
商人「普通の貨物船だよ…大砲も積んで無い…砲弾も無い」
くノ一「あのスケルトンは?」
商人「船を動かす奴隷さ…アサシンの命令を聞くんだ」
情報屋「私達が寝泊まりする部屋は何処?」
ローグ「盗賊さんに聞いて下せぇ…あっしはもう一回人員運搬に戻りやす」フワフワ
情報屋「桟橋に船が付けられないと本当に不便ね」
商人「そうだね…気球が無いとどうにもならない」
情報屋「さて書物の整理をしなきゃ…部屋は何処かしら」スタスタ
285 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/11/20(土) 19:17:31.93 ID:KbfSVIxh0
『昼間』
ザブ〜ン ユラ〜
女戦士「全員乗った様だな?」
ローグ「数確認しやした…全員居やす…はぁはぁ」
女戦士「よし…後で褒美をやる」
ローグ「ムフフフフフ…」
女戦士「では出港する!!碇を上げろぉ!!」
どらぁぁぁぁぁ ガラガラ
女戦士「進路北西!横帆展開!!」
盗賊「嬢ちゃん手伝え!!そこのロープほどけ」グイグイ
女王「は…はい!!」グイグイ
盗賊「マスト上がれるか?上にも同じロープあるからほどいて来い」
女王「わかりました…」アセアセ
盗賊「戦士!!船首の縦帆開いて2番に結べ!!」
戦士「2番…2番…右の2番なのか左の2番なのか…」ズドド
盗賊「2番って書いてあんだろ!!早くしろぉ!」
戦士「どらぁぁぁ!!」グイグイ ギュゥ
グググ ギシ
女戦士「面舵一杯!!」グググ
アサシン「クックック…ドタバタだな…私は高見の見物だ」
女戦士「魔女!風のタクトで南風を吹かせてくれ」
魔女「ホレ…」フリフリ
ビュゥゥゥ
盗賊「おお!!良い風が来たぞ…風を横から受ける!!女王こっち来い!!ロープの結び方見とけ」グイグイ ギュゥ
女王「はい…」アセアセ
盗賊「今から横帆の角度調整するんだ…ちっと力が必要になる…まぁ見とけ」グイ
女王「私もお手伝いを…」グイ
286 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/11/20(土) 19:18:16.86 ID:KbfSVIxh0
盗賊「そうだ!そうやって引っ張って金具に結ぶ!」グイグイ
バサバサ ググググ ユラ〜
女戦士「そのまま保持…進路定まるまで待て」
盗賊「ふぅぅ船が進みだしたぜ?しばらくフィン・イッシュとはさよならだ」
女王「はい…出港は感慨深いですね」
盗賊「だろ?置いて来た物が気になるだろ?それでも向こう側を目指すのが海の男よ…」
女王「私は女ですけれど…」
盗賊「悪いな働きっぷり見たら男だと思ってたわヌハハ」
『甲板』
ザブ〜ン ユラ〜
盗賊「ようし!進路定まったな…ざっと15ノットぐらいか…」
女戦士「思ったより速度が出るな」
盗賊「昼夜この速度で帆走出来るなら相当早く到着するんじゃ無ぇか?」
女戦士「一日300km進めると仮定して海図と比較するとハウ・アイ島まで10日程」
盗賊「狭間に入るのは昼間だけだな?」
女戦士「うむ…昼間に何度か狭間を使って4〜5日だな…もしかすると3日で行けるかも知れん」
盗賊「風のタクトすげぇな…」
魔女「主は杖なぞ要らんと言うて居ったな?」
盗賊「こんな使い方出来るなんて思わなかったもんだからよ…海で安定した風が続くことは無いからメチャクチャ便利だ」
女戦士「この風はどの範囲で吹いているのだ?」
魔女「船の周りだけじゃな…風が巻き込んで一方向から吹いて居るだけじゃ」
盗賊「俺にその杖クレ」
魔女「そうじゃな…使うのも面倒じゃった所じゃ…ホレ」ポイ
盗賊「これがありゃ俺のポンコツ飛行船をもっと早く飛ばせる…むふふふ」
魔女「火事場に風を吹き込む様な使い方はせん様にな?」
盗賊「おぉ!!そんな使い方もあるのか」
情報屋「ちょっと魔女…そんな事教えたら逆効果よ?」
魔女「しもうた…こ奴の頭の悪さを忘れておった」
女戦士「さぁ日が沈むまでの間に狭間に一度入るぞ」
287 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/11/20(土) 19:19:39.70 ID:KbfSVIxh0
『黄昏時』
リリース!
女戦士「進路を太陽に向ける…取り舵」グルグル
剣士「なんか甲板で観測の準備始まってる…」
商人「新しい海図と航路を作ってるんだ…緯度経度の算出だよ」
剣士「経度ってどうやって算出するんだろう?」
商人「見に行くと良い…真上に来る星と太陽の角度を観測するらしい」
剣士「真上…そうかそれだと詳しい星座が記された書物が必要だ」
商人「らしいね?観測士はその辺り熟知してるよ」
剣士「へぇ…ちょっと見て来る」シュタタ
女戦士「商人…新しい海図を見たいのだが」
商人「今インクを乾かしてる」
女戦士「方角は合っているのか?」
商人「大丈夫…とりあえず西の方に向かえば座礁する事は無いよ」
女戦士「それなら良い…例の探検家の海図は役に立って居るか?」
商人「大分歪んでるみたいだから航海士と相談しながら新しい海図を描いてるんだ」
女戦士「海では目標物が無いからその島を探せるのかも怪しい」
商人「あー実はね…僕の機会の犬がハウ・アイ島の座標を知ってるんだよ」
女戦士「なんだそういう事か…では現在地の座標も分かるだろう」
商人「うん分かってる…観測の精度を試して居るんだよ…それで探検家の海図と比較して浅瀬の位置を特定しようとしてるのさ」
女戦士「フフ私が心配する事では無いか」
商人「まぁ例の海図を生かす為の観測だよ…心配しなくて良い」
女戦士「では私は少し休んで航海士に任せるとしよう」
商人「もうすぐ食事だよ?行って来たら?」
女戦士「お前は口が寂しかろう…私用の酒を持って来てやる」
288 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/11/20(土) 19:20:54.14 ID:KbfSVIxh0
『夜』
ピカーーーー
盗賊「こりゃ夜でも視界良好だ…おっとぉ!!竿が引いてる」グググ
ローグ「あの光のお陰っすね…良く釣れやす」グイグイ
盗賊「クラーケンなんか釣れたらどうする?」
魔女「わらわが焼きイカにするで案ずるな」グイグイ
戦士「どらぁぁぁぁ!!一本釣りぃぃ」グイ
ピチピチ パタパタ
盗賊「だははは釣りは俺の勝ちの様だ…跪け!!」グググ
戦士「ハハハたまにはこんな事もある…敗北とは心が折れる事…私の心を折る事なぞ出来ん」キリ
ローグ「あややや始まったでやんす…」
女王「…」ニコニコ
魔女「むむ!!大物じゃ…女王や!いかづちの杖を使ってみぃ」ググ
女王「は…はい!」フリフリ
ガガーン!!ビリビリ
盗賊「ぬぁ!!釣りに雷落とすのは反則だろうが!!」
魔女「うるさいのぅ…引き上げるの手伝わんかい!!」グイグイ
ローグ「うわ…サメっすよ…」
盗賊「おぉぉ肝油が取れるじゃ無ぇか…サメは保存食になる上に割と美味い」グイグイ
魔女「釣りはわらわの勝ちじゃな」
盗賊「おいローグ!!目を覚ます前に速攻捌くぞ…肝油が航海には貴重な薬になる」
ローグ「へい!!解体は任してくだせぇ」スパスパ
289 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/11/20(土) 19:22:14.06 ID:KbfSVIxh0
『日の出』
カチャカチャ
星座の確認と角度の記録を…
天中の星は予測とズレて居ないか?
南極星は角度相違なし
盗賊「んがぁぁぁ…すぴーーー」zzz
情報屋「又あの人あんなところで寝てる…寒く無いのかしら」ゴシゴシ
女戦士「いつもの事だろう…湯でも沸かしておいてやれ」
情報屋「でも大分暖かくなってきたみたい」
女戦士「温暖な海流に入った様だ…次は天気が心配になる」
情報屋「それは経験?」
女戦士「まぁな?こういう場所では天気も変わるし海流も方向が変わるのだ」
情報屋「嵐の航海は避けたいわね」
女戦士「嵐では無い…少し雨が降る程度…水不足にならない救いの雨だよ」
情報屋「なら良かったわ…航海1日目で嵐なんて最悪よね」
女戦士「しかしこれだけ人数が揃った航海はさすがに楽だ…普段は夜寝られないからな」
情報屋「兵団から来た人員を戦士さんが統制しているお陰もあるわね」
女戦士「さすが軍属上がりという所か」
情報屋「間が抜けている様でそうでも無いのよね…不思議な人だわ」
女戦士「しかしだな…船首で仁王立ちするのは止めてもらいたい…言って来てくれないか?」
情報屋「あの人いつ寝るのかしら…」
女戦士「まさか立ったまま寝て居ないだろうな?」
情報屋「フフありえそう…」
290 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/11/20(土) 19:23:19.88 ID:KbfSVIxh0
『船首』
ザブン ユラ〜
情報屋「…あのー…もし?」
戦士「すぅ…」パチ
情報屋「体冷えませんか?」
戦士「あぁ私とした事が…うたた寝してしまった様だ」フリフリ
情報屋「交代の時間が過ぎていますのでお休みになられては?」
戦士「ハハお気になさらず…航海に心が躍って居るのですよ…朝日!!又今日が始まった!!感謝」
情報屋「気を張りっ放しだと疲れませんか?」
戦士「気を遣わせてしまって申し訳ない…私は只朝日を全身に浴びて身を清めたかっただけ」
情報屋「身を清める?」
戦士「過去と決別したいのですよ…この光の向こう側に行きたい」
情報屋「そうですか…」---心に闇を抱えてる---
戦士「では私はこれにて…」スス
情報屋「…」
裏切り…謀略…挫折…絶望すべて経験して来た人
それでも尚光に向かって進む背中
そういう人なのね…
291 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/11/20(土) 19:25:22.44 ID:KbfSVIxh0
『デッキ』
ギシギシ ユラ〜
女戦士「よし!飛空艇が戻ったな?狭間に入るから総員休んで良い…ハイディング!」スゥ
商人「新しい海図持って来たよ…」パサ
女戦士「今どこだ?」
商人「ここさ…まだ大した進んでない」
女戦士「狭間にどれだけ入って居られるかだな」
商人「海流がどうなってるか分からないから適宜確認しよう…現在地は僕が直ぐに調べるから」
女戦士「そうだな…商人!お前は一睡も出来ないのか?」
商人「眠たくならないんだよ…どうして?」
女戦士「いや…昔と関わり方が少し変わったなと思ってな…辛く無いか?」
商人「辛いさ…永遠の命なんか欲しいと思わない方が良いよ」
女戦士「私が説教される側になるとはな…フフ」
商人「僕はこの体になって初めて気づいたよ…欲望あっての人間だってね」
女戦士「言う事が逆になったか?」
商人「人間から魔王を取り払うと人間じゃ無くなる…食欲…性欲…強欲…少しは必要だ」
女戦士「アサシンも同じ様な事を言っていた」
商人「だろうね…まぁ酒で口の渇きを癒せるだけマシかな…一応酒を飲みたい欲求はあるから」
女戦士「欲求か…」
商人「今は古代遺跡を探窟したい欲求もあるし気が紛れる…そればっかり考えるのは少し苦痛だけど」
女戦士「つまり前に進めば良いのだな?」
商人「んんーそういう事なんだろうか?」
女戦士「歩むことが人間である証…そう言い変えても良いな」
戦士「それだあああああ!!」ドドドド
女戦士「んん?暑苦しい男が来たな…」
戦士「そうだ私はそれが言いたかった…歩む事!進む事!それが未来!!だから私は行く!!」キリ
商人「ハハハ本当…王様には思えない人だ」
戦士「私は王様なぞ肩書だけの物は要らない!!平和だ!未来だ!民を救い未来に連れて行く…だから私は立つ!!」
女戦士「フフ暑苦しいが純粋なのは嫌いでは無い…ただ船首で仁王立ちするのは邪魔だから止めて貰いたい」
戦士「ハハそれは失敬した…以後気を付ける」キリ
女戦士「さて狭間に入ってしばらく何もする事が無い…今の内に休んでくれ」
戦士「そうか!船長の指示には従う…一つ!休息している事は内密にしてくれ」
女戦士「わざわざ言う物か」
戦士「感謝!!」スタ
商人「…なんだろうなぁ…な〜んかめんどくさい人だ」
292 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/11/20(土) 19:26:53.57 ID:KbfSVIxh0
『2日後』
ギャァァァス バッサ バッサ
クロスボウは引き付けてから撃て…ボルトを無駄に使うな!!
怪我人は居室に入るんだ
盗賊「…なんで海のど真ん中にガーゴイルが居るんだよ…」タジ
魔女「狭間の深い場所があるのじゃろう」
盗賊「あいつらどこで羽休めすんのよ」
魔女「知るかいな…空を飛び回られては戦い辛いのぅ」
戦士「臆病者め!!この私に恐れをなしたか!!掛かって来い腐れコンコンチキ!!」バンバン
盗賊「何やってんだあの馬鹿」
魔女「いやあれで良い…盗賊や…ガーゴイルが集まったら一気に撃つのじゃ」
盗賊「あいつ巻き添え食らうぞ?」
魔女「承知の上じゃろう…あ奴はそういう戦い方なのじゃ」
戦士「ハハハそんな攻撃では私は倒せん!!束になって掛かって来い!」ブンブン
ガーゴイル「ギャァァァァ!!」イラ バッサ バッサ
戦士「全体射撃!!てぇえええええええ!!」
バシュン バシュン バシュン バシュン バシュン バシュン
戦士「突撃!!」ヨロ
剣士「おっけ!!」シュタタ ブン ザクリ
女オーク「はぁ!!」ブン グサ
女戦士「やるな!?戦士!!」
戦士「私とした事が…ボルトを二三食らってしまった」ヨロ
剣士「線虫!」ニョロリ
戦士「なぁに…これしきの事」ズボ
剣士「傷口は直ぐに塞がる…出血だけ抑えて」
戦士「気を遣わせてしまったな…まだ2匹飛んでいるから私の背後へ…」
剣士「大丈夫…あの2匹は僕がやる」チャキリ
戦士「飛び道具かね?」
剣士「見ててよ?木が落ちて来るよ」ターン ターン
剣士「成長魔法!」グングン
ザブーーーン ギシギシ
盗賊「どわぁぁぁ!!」ゴロゴロ
剣士「貴重な木材ゲット!!引き上げ手伝って」シュタタ
戦士「…」アゼン
盗賊「おま…危無ぇだろ!!船に落ちたら沈没すんぞ…」
剣士「結果オーライさ…丁度木材欲しかったんだ」
293 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/11/20(土) 19:28:14.44 ID:KbfSVIxh0
『船長室』
女戦士「洋上に空飛ぶ魔物が出るのは想定外だ…この海域は迂回した方が良い」
商人「もう狭間の中に入ってて方向見失ってる」
女戦士「迷ってしまったか…何なんだここは」
女王「もしかして…」
近衛侍「女王様…ニライ・カナイでは?」
女戦士「ニライ・カナイ?知って居るのだな?」
女王「フィン・イッシュの沖の方に有ると言われる安土…死者の国です」
商人「国?島か何かがあるのかな?」
女王「分かりません…竜宮があるとか死後に行く浄土があるとか…伝説で伝えられているだけですので」
情報屋「竜宮…伝説だと海の中ね…そして人魚の住まう地と言われてる」
女戦士「まぁその竜宮が海の中にあるとして私達はその上を通過しようとしている訳だな?」
近衛侍「竜宮と言えば龍神が住まうとも…」
商人「剣士達が言ってた電気ウナギかも知れないね」
女王「龍神と言っても沢山居ますので分かりません」
女戦士「兎に角一刻も早くこの海域を出ないと危ない訳だ…さてどうする」
ガチャリ バタン
剣士「はぁはぁ…銀貨を集めてる!!皆持ってる銀貨を出して!!」
商人「どうしたんだい?そんなに慌てて…」ジャラリ
剣士「レイスだよ…ゴーストも空を飛んでるんだ…魔方陣を隅まで張る」
商人「大変な事になってきてるな…手伝おうか?」
剣士「大丈夫!魔方陣張り終わって安全になったら出て来ても良いよ…銀貨貰って行くね」シュタタ
294 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/11/20(土) 19:29:35.98 ID:KbfSVIxh0
『甲板』
ンギャーーーーー
剣士「魔女!銀貨持って来たよ」ジャラリ
魔女「魔方陣はわらわが張るで主は戦闘員の武器に照明魔法を掛けて来るのじゃ」
剣士「おっけ!」
魔女「まさかレイスが出るとは思うて居らんで銀を荷に入れて居らなんだな…」
剣士「余った銀貨で僕が即席で武器作るよ…銀貨は節約して使って」
魔女「うむ承知した…早う照明魔法掛けに行って来い」
剣士「うん!!」シュタタ
--------------
ローグ「近づくな!!って言ってるでやんす」ブン スパ
レイス「ンギャーーーー」シュゥゥゥゥ
盗賊「レイスと戦えるのは俺らだけか?」キョロ
ローグ「その様でやんすね…」ダダ ブン スパ
盗賊「ガーゴイルと同時に来られるとキツイぜ?」ダダ ブン スパ
剣士「照明魔法!」ピカー
戦士「むむ!!これは?」
剣士「それでレイスと戦える筈!!魔方陣張り終わるまでレイス近づけないで!!照明魔法!」ピカー
盗賊「おぉ増援だな?船首側を頼む!!」
戦士「承知!!」
盗賊「光の影を作るな!!そっからレイス湧いてくんぞ!!」
戦士「光を受けた者は背を庇いながら散開だ!!続け!!」ダダ
ンギャーーーー シュゥゥゥ
盗賊「やるなあいつ等…やっぱ戦闘慣れしていやがる」
ローグ「助かりやしたね…今んところ死者無し」
剣士「よっし!僕も…」スラリ ピカー
295 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/11/20(土) 19:31:16.78 ID:KbfSVIxh0
『10分後』
ンギャァァ バッサ バッサ
盗賊「レイスが近づいて来なくなった…後はガーゴイルだけか」
魔女「やっと隅まで魔方陣を張り終わったわい…」ノソノソ
盗賊「おぉ魔女…あのガーゴイル撃ち落せるか?」
魔女「腰が痛いのじゃ…主らで何とかせい」ノソノソ
剣士「木材!!木材!!」ターン ターン
剣士「変性魔法!」グングン
ザブ〜ン ユッサ ユッサ
剣士「またまた木材ゲット!!」
盗賊「何に使うんだよ…引き上げんのダルいんだが」
剣士「虫の食料さ…キノコだって生やせる」
戦士「剣士殿…相談なんだがその木材で弓矢は作れないか?」
剣士「ん?出来るよ?」
戦士「この船にはクロスボウは沢山あるが弓矢が乗って居ない…弓矢があれば対空をもう少し有利に運べる」
剣士「おけおけ!!とりあえず10個くらいあれば良いかな?」
戦士「助かる…急ぎで使いたい」
剣士「ちっと待って…すぐ作るから」
『船長室』
ガチャリ バタン
魔女「戦闘は落ち着いたぞよ?」
女戦士「そうか良かった…魔女にも今の状況を聞いて欲しいのだ」
魔女「ふむ…迷ってしまって居るのじゃな?」
商人「そうだよ…下手に進路変えると狭間に迷ったまま出られなくなるという話をしてた」
魔女「その通りじゃな…真っ直ぐ進んでもいつ出られるか分からんが…」
女戦士「狭間の範囲を予測出来ないか?」
魔女「さぁのぅ?何も目標物が無いで分からぬ」
商人「島でも何でも良いから何か有ったら良いんだけど…」
女戦士「進路変えずに何か見えるまで進むしか無いな」
魔女「魔物はガーゴイルだけじゃで対処出来る…問題は疲労じゃな」
女戦士「仕方ない…交代で戦おう」
商人「僕はクロスボウしか武器を持って無いよ?」
魔女「案ずるな…ガーゴイルは不死者には襲って来ぬ故…主は相当有利じゃ」
商人「お?そういう事ね?」
魔女「剣士が銀の武器を作ると言うて居ったからそれを使って落ち着いて倒せば良い」
商人「よし!!」
女王「私もいかづちの杖で戦えば良いですか?」
魔女「飛び回って居るガーゴイルに当てるのは難しいがやるしか無い」
情報屋「じゃぁ私もマグマの杖で…」
296 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/11/20(土) 19:32:30.64 ID:KbfSVIxh0
『居室』
ギコギコ シュッシュ
剣士「木材と樹脂のコンポジット弓だよ…出来た奴から持って行って」シュッシュ
戦士「矢は技師に作らせる…材料を少し頂く」ガサガサ
剣士「矢羽が無いでしょ?どうするの?」
戦士「リーフがある…飛距離は出なくても良いからけん制出来れば良い」
剣士「おけおけ…後でちゃんとした矢も作ってあげるよ」
戦士「剣士殿は器用でなかなか頼れる…共にこの難局を乗り越えよう!」キリ
剣士「ハハ…」汗
戦士「では私は弓を配布してくる…」ズドドド
ガガーン ビリビリ ドーン パーン
剣士「お?魔法を撃ち始めたか…」
女オーク「私達は交代で少し休憩よ」ドスドス
剣士「外はどうなってる?」
女オーク「魔女と女王と情報屋さんの3人で魔法撃ってるわ」
剣士「触媒の無駄遣いにならなければ良いけど…」
女オーク「杖を使って撃ってる」
剣士「あーなるほど…この船には魔石が沢山乗ってたね…そういう事か」
女オーク「私も杖なら使える?」
剣士「フフフフフ…杖じゃ無くて良い…コバルトの剣は強烈な雷を封じる事が出来るぞ…フフフフフ」
女オーク「この剣で?」
剣士「荷室に魔石があるから持って来てくれるかな…その間にコバルトの剣にエンチャントしておくよ」
女オーク「わかったわ…」ドスドス
297 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/11/20(土) 19:33:37.42 ID:KbfSVIxh0
『数分後』
アブラカタブラ ライジングソード チョチョイノチョイ
剣士「はぁ!!」ビシビシ ビリ
女オーク「持って来たわ」
剣士「丁度エンチャント成功した…飾り石を魔石に交換する…」ガチャガチャ
女オーク「どうやって使うの?」
剣士「この剣は切っ先にミスリル銀が仕込んである…雷の出口はそこになるから敵に向けて魔石を強く握れば良い」
女オーク「簡単そうね?」
剣士「握る強さで雷の出方が変わるから上手く調整して?…びっくりするよ?雷はコバルトで増幅するからさ」
女オーク「わかったわ」
剣士「この外したアダマンタイトは無くさない様に大事に持っておいてね」ポイ
女オーク「ハイディング用ね」
剣士「因みにエンチャントしたのは只の雷魔法…基本魔法だけどコバルトの増幅でビックリ魔法になってる筈」
女オーク「フフ楽しみ…」
剣士「よっし!!その剣に名前を付けよう…雷神の剣!!どう?」
女オーク「じゃぁ私は雷神ね?」
剣士「かっこいいなぁ…僕も欲しくなって来たなぁ…」
298 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/11/20(土) 19:36:17.02 ID:KbfSVIxh0
『甲板』
ガガーン ビリビリ
ガーゴイル「グェ…」ピクピク
女王「だんだんコツが分かって来ました」
魔女「これは良い訓練じゃな…」
戦士「落ちたぞ!!行けぇぇ!!」ズドドド
ビビビビビ ビシビシ
魔女「むむ!!誰じゃ?」
女オーク「私のコバルトの剣にエンチャントしてもらったの」
魔女「ほう?剣士がエンチャントとな?」
女オーク「雷の基本魔法をエンチャントしたのよ」
魔女「コバルトに雷とな…ふむ…最良の組み合わせじゃ…飛んで居るガーゴイルに当てて見よ」
女オーク「まだ使い方に慣れていなくて…」ギュゥ
ビビビビビビ ビシバシ
魔女「雷の出口が又小さいのぅ…もっと強く出せんのか?」
女オーク「もっと強く?」グググ
ビカビカ!! ビビビビビ
戦士「おお!!ガーゴイルに穴が…」
魔女「それじゃ!!当たれば威力は絶大じゃ…出口が小さい分威力が凝縮されておる」
情報屋「これで4人体制で魔法を撃てるわね」
魔女「うむ…全方位手分けじゃ」ノソノソ
299 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/11/20(土) 19:37:47.16 ID:KbfSVIxh0
『2日経ったぐらい』
ガガーン ビリビリ ドーン パーン
女戦士「さすがに戦い詰めでは皆疲れが出て来ているな」
アサシン「100日の闇を思い出す…疲れで不平不満が出る前に対処せねば後悔するぞ?」
女戦士「分かって居る…しかし狭間から出る術が無い」
アサシン「船底の荷室が比較的静かで眠る事が出来るだろう…兵を休めるべきだな」
女戦士「うむ…兵に食事と休息を与えて来る」スタ
アサシン「甲板は任せろ…」シュタタ
-------------
アサシン「女王!それから情報屋は船底の荷室で仮眠を取れ」
女王「ふぅ…魔法が薄くなっても?」
アサシン「少しくらい甲板まで攻められても問題無い…何とかする」
情報屋「女王…従いましょう」
女王「はい…」スタ
どらぁぁぁぁぁぁ!! ばっちこーーーい!!
アサシン「さて私も加勢するか…」シュタタ
盗賊「おぉ来たな?」
アサシン「どういう作戦だ?」
盗賊「戦士がガーゴイルを引き付けて俺らが弓で狙い撃ちよ…ほんで死体からローグが角を採取する」
アサシン「角をどうする?」
盗賊「回復魔法のエンチャントに使うんだとよ…長期戦の想定だ」
アサシン「そうか皆そのつもりで居るか」
盗賊「やっぱり戦士は実践積んでるから読みが深いぞ?…長期戦想定して兵の損耗最小限に動いてる」
アサシン「100日の闇を生き残った経験だな…ここからが本番なのだ」
戦士「総員!!撃てぇぇぇぇ!!」
シュン シュン シュン シュン グサ グサ グサ グサ
戦士「どらぁぁぁぁ!!」ブン グサ
盗賊「行くぞ!!」ダダ
アサシン「フフ…」シュタタ
-------------
-------------
-------------
300 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/11/20(土) 19:38:48.32 ID:KbfSVIxh0
『何日経ったか不明』
ガチャリ バタン
女戦士「ええい!!いつになったら狭間から出られる!!」ドン
アサシン「クックックまだ死者は出て居ないのだから取り乱すな…交代するから休め」
女戦士「交代したからと言って眠れる物か」
アサシン「ワイトが居ない内は序の口…頭を冷やすのだ」
女戦士「ワイト?聞いた事が無い…何なんだそれは」
アサシン「悪霊だ…魔方陣を超えて夢の中に現れる」
女戦士「通りで眠れない訳だ…」
アサシン「何?誰もそういう話をして居ないが?」
女戦士「訓練されて居るから弱音を吐かんだけだ…皆眠れないで耐えている」
アサシン「そうか次の段階に入っていたか…行方不明者が出るぞ」
女戦士「…」ジロリ
アサシン「そう怖い眼で見るな…不明者が出ると一気に士気が下がる…さらには内ゲバだ」
女戦士「どうしろと言うのだ」
アサシン「言いたく無いが…最後の手段として私に噛まれるという方法もある」
女戦士「…もう良い…聞きたくない」
アサシン「済まんがそういう状況だと理解しておけ…まぁ兎に角少し休め」スック
女戦士「…」
301 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/11/20(土) 19:39:50.11 ID:KbfSVIxh0
『船底の荷室』
ググググ ギギギー
女王「ううん…はぁはぁ」ガバ
魔女「やはり眠れんか…」
女王「又…又悪い夢を…」プルプル
魔女「これでは睡眠魔法は逆効果じゃな…どうしたもんか」
ソヨソヨ
商人「空気入れ替えて涼しくしてもダメかい?」
魔女「ダメじゃ…見てみぃ皆うなされて居る」
商人「何日もこんな状況が続くのは良く無いね…疲れが取れない」
女戦士「魔女…来てくれ相談したい事が有る」スタ
魔女「んん?どうしたのじゃ?」
女戦士「剣士が妖精の笛を使えば良い夢が見れると言っているのだ…只全員眠ってしまうリスクがある」
魔女「妖精!!それじゃ…妖精を呼んで狭間の外に案内させれば良い!!」
女戦士「なに?」
魔女「忘れておったわい…そうじゃ妖精を呼べるのじゃ…」
女戦士「では使わせて良いんだな?」
魔女「全員眠ってしまうのはちと考え物じゃな…剣士一人でガーゴイルと戦う事になってしまうが」
商人「耳を塞いでみたら?」
魔女「そんな方法で防げるとは思わんのぅ…」
女戦士「一度剣士と話をしてみてくれ…居室だ」
魔女「うむ…行って見る」ノソリ
1502.71 KB
Speed:0.8
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報VIP
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
名前:
E-mail
(省略可)
:
書き込み後にスレをトップに移動しません
特殊変換を無効
本文を赤くします
本文を蒼くします
本文をピンクにします
本文を緑にします
本文を紫にします
256ビットSSL暗号化送信っぽいです
最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!
(http://fsmから始まる
ひらめアップローダ
からの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)
スポンサードリンク
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)