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【シャニマス×ダンガンロンパ】にちか「それは違くないですかー!?」【安価進行】

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202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/23(火) 22:54:08.98 ID:oKE09R4k0
1 ふゆこ
203 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/23(火) 22:59:46.38 ID:NE14fKE10
1 冬優子選択

【第1の島:ビーチ】


……あれ?
誰もいないと思ったら、黛さん?
こんなところで一人だなんて珍しいな、ちょっと声かけてみようかな……

にちか「こんにちは、なにやってるんです?」

冬優子「ひゃわぁ?! に、にちかちゃん……? ど、どうしたのかな? ふゆに何か用かな?」

にちか「用ってほどでもないですけど……ていうか、お邪魔でした? いま、なんかめっっちゃ飛び上がりませんでした?」

冬優子「え、えー……? 何のことだか……」

冬優子「ねえ、にちかちゃん、ふゆに話しかける前に何か聞こえた?」

にちか「え? なんのことです?」

冬優子「何も聞いてない?」

にちか「は、はい……見かけてすぐ声かけたので」

冬優子「そ、そっか! それなら大丈夫♡」


なんだかよそよそしい黛さんと一緒に過ごした……

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‣現在の所持品

【半分安全靴】
【ジャバイアンジュエリー】
【キルリアンカメラ】×2
【家庭用ゲーム機】
【携帯ゲーム機】
【トイカメラ】
【表裏ウクレレ】
【バール】

プレゼントを渡しますか?
1.渡す【所持品指定安価】
2.渡さない

↓1
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/23(火) 23:02:08.24 ID:oKE09R4k0
1 ジュエリー
205 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/23(火) 23:14:07.80 ID:NE14fKE10

【ジャバイアンジュエリー】を渡した……

にちか「これ、どうぞです!」

冬優子「わぁ……ペンダントだね、ありがとう……! ヤシの木をモチーフにしたアクセサリーなんだね!」

にちか「私じゃちょっと合わせるの難しそうなので……黛さんみたく、おしゃれに着こなせる人が持っておくのがいいかな、なんて!」

冬優子「……」

にちか「どうかしました?」

冬優子「う、ううん! なんでもないの! ありがとうね、にちかちゃん!」

(うーん……? 喜んでくれたんだよね……?)

【NOMAL COMMUNICATION】

-------------------------------------------------

黛さん、すごいなぁ……
こんな状況でも毎日キュートな振る舞いが途絶えないし、ずっとかわいいイメージのまんま!
これが素からにじみ出る可愛さってやつ……生まれたってのアイドル性ってやつなのかな……うぅ、ちょっと嫉妬。


冬優子「にちかちゃん、不安に感じてることとかない?」

にちか「え……? そりゃまあ、ありますけど……」

冬優子「だよね、こんな状況だもん……ふゆだって、怖くて怖くて……毎日寝るのがちょっぴり不安なんだ」

にちか「事務所の仲間はそばにいるとはいえ、こんな状況下だとどうしてもそうですよね。……寝れないとかですか?」

冬優子「ううん、眠れてないわけじゃないから心配しなくて大丈夫!」

冬優子「あさひちゃんと愛依ちゃんがいなかったらって思うと……心細くて仕方ないなぁ」

にちか「ですよねー、ストレイライトってすごく仲がいいですもんね!」

冬優子「うん♡ 二人とはユニット結成して以来のお友達だから!」

にちか「黛さんは面倒見がいいのもありますし、よくなつかれてる感じがします!」

冬優子「面倒見がよくて、なつかれてる……う、うん……そうだね!」

(……今、表情がちょっと引きつった?)

(き、気のせいだよね……よーし!)


1.なんだか家族みたいな空気感ですよね
2.二人のどんなところが好きですか?
3.自由安価

↓1
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/23(火) 23:25:16.84 ID:oKE09R4k0
1
207 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/23(火) 23:35:13.67 ID:NE14fKE10

急ぎ離れる用事ができたのでここで突然ですが終わりにします
1選択で書いておくので、次回はここから再開します

11/24の夜も更新できそうなら行います。
唐突で申し訳ないです……失礼します。
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/23(火) 23:42:16.25 ID:oKE09R4k0
楽しみに待ってます
209 :少し遅くなりましたが再開します ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/24(水) 21:34:10.60 ID:5s5mVYwB0
1 選択


にちか「黛さんがお母さんで、愛依さんがお姉さん、芹沢さんが末っ子さんって感じで……家族みたいな空気感に感じます!」

冬優子「か、家族……? そっか、そんな風に見えるんだね……」

(なーんか反応が微妙に悪いんだよな……)

にちか「ストレイライトっていつも仲が良く見えるから、喧嘩とかもしなさそーですもんね!」

冬優子「そうだね、愛依ちゃんはいい子だから喧嘩することもないかな!」

にちか「ん? 愛依さんは……?」

冬優子「え? あ、ちがうよ? あさひちゃんはホラ……年下で可愛らしいから、喧嘩なんてそんな」

にちか「そうですよね! 年だって5つも違うんだし、そんな喧嘩なんかしないですよね!」

冬優子「う、うん……」

にちか「普通はそうですよね!? それなのにうちのお姉ちゃんときたら……」

冬優子「……にちかちゃん?」

にちか「あれ……? お姉ちゃんってそういえば今、いくつだっけ……」

冬優子「もう、にちかちゃん……お姉さんの誕生日はちゃんと覚えておかないと! はづきさんは今……」

冬優子「……あれ?」

にちか「……なんか、この話はやめときましょうか」

冬優子「そ、そうだね……!」


【親愛度レベルが上昇しました!】

【黛冬優子の親愛度レベル…1.5】
210 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/24(水) 21:36:27.34 ID:5s5mVYwB0

この世の深淵に触れてしまったようで、妙に冷えてしまった背筋を感じながら自分のコテージへと戻った……
それにしても、黛さんのあのユニットのトークの時のぎこちなさはなんなんだろう……?

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【にちかのコテージ】

さて、そろそろ夕方だけど……

今日も美琴さんは練習するのかな……?
それならぜひともご一緒しないと……!

この前の疲れはまだ抜けきってはいないけど、今は自分の体よりも優先すべきことがある。
扉を乱暴に開けると急ぎ足で昨日の練習場所である海岸へと向かった。

211 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/24(水) 21:37:27.33 ID:5s5mVYwB0
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【第1の島 外周】


ただ、海岸までには島の外周を通るわけで、当然誰かに鉢合わせるリスクがある。
そしてその『誰か』は……私には選べない。


ルカ「……ちっ」


……最悪だ。なんでよりにもよって、この人と鉢合わせちゃうんだろう。
ルカさんも美琴さんとはまた別のばつの悪さを感じている様子で私から視線を逸らす、どうやら何事もなかった様子で通すらしい。


ルカ「……なんだよ、なんか文句でもあるのか」

にちか「あ、ありますよ、文句! めっちゃくちゃ!」

ルカ「……だろうな」

(でもそれを聞く気は無しってところかな……?)


このまま、私も黙っていたって良かった。
実際この人と私はほとんど無関係だ。つないでいるのは美琴さんだけで、しかも美琴さんはすでに私との方がつながりが濃い。
美琴さんの取り合いってだけなら私にとっくに軍配が上がっている。



_____でも、そんな単純な話じゃない。
212 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/24(水) 21:38:30.14 ID:5s5mVYwB0

にちか「ルカさんは……美琴さんと今のままでいいんですか?」

ルカ「……はぁ?」

にちか「ルカさんって美琴さんのこと悪く言うし、ぜんっっぜん褒めない分からず屋ですけど……」

ルカ「喧嘩売ってんのか?」

にちか「でも、それって言葉の上だけで……本当に美琴さんのことを恨んでたり、怒ってたりするわけじゃないんですよね?」

ルカ「……どういう意味だよ」

にちか「……っ!」

(……目の色が変わった)

(諦観的な投げやりな敵意じゃない……これは、よく研がれた包丁のように、鋭くとがった……深く突き刺さる敵意)

ルカ「何をわかった気になってるのか知らねえけど、お前に推し量れるようなものじゃねえんだよ。私と美琴の解散はな」

(……怖い)

(今にも私ののどを掻っ切って来そうなまでの気迫と息遣い。完全に私が彼女の逆鱗に触れてしまっているのは明らかだ)




(それでも……それでも!)



213 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/24(水) 21:40:18.46 ID:5s5mVYwB0

にちか「本当に美琴さんのことが嫌いなら、どうして練習をやめるように言ったんですか?! ほっといて、体が壊れるのを待てばよかったじゃないですか!」


≪ルカ「美琴は自分のことも、他人のことも顧みなさすぎなんだよ。……コンビ解消したのに、また同じことをやってるようじゃ救えないな」≫


にちか「いや、私がそうはさせませんけど!」

ルカ「……言っただろ、嫌いな相手でも一度は組んだ過去がある。そんなやつが怪我でもしたら夢見が悪いってだけ」

にちか「ちがう……嘘ばっか、嘘ばっっか! 自分にまで嘘ついて楽しいですか?!」

ルカ「は、はぁっ?! ガキの喧嘩じゃあるまいし……何言いだしてんだよお前……」

にちか「ガキ?! ガキってどっちがですか?! 本音を言う勇気も持てないで、仲直りすらできずにいる意気地なしとどっちがガキなんです?!」

ルカ「てめェ……黙って言わせてれば好き勝手いいやがって……!」

にちか「じゃあ言い返してみてくださいよ! 違うんですよね!? 美琴さんのこと、だいっっ嫌いなんですよね?!」

ルカ「お前なぁ……!!」

ルカ「……ちっ、付き合いきれねえ。どけ、お前と話してる時間なんかない」

にちか「わぁっ?!」


強く押されて尻もちをついた。走るまではいかない速足でその背中はどんどんと小さくなっていき、やがてルカさんは私の目の前から姿を消した。
結局、ルカさんには何も伝えられなかった……ただ私の感情をぶつけただけ。
でも、それでもきっと、何かルカさんとしても思うことがあった、そう信じたい。


≪ルカ「お前なぁ……!!」≫


最後に何かぶつけようとしたあの声は、震えていた。
私に対する怒りとはまた少しだけ違った色合いの震え。
私の見ているルカさんが、どこまで嘘なのかはわからないけど……きっとあの震えこそが、真実なんだと思う。
214 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/24(水) 21:40:54.49 ID:5s5mVYwB0
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【ビーチ】


それからすぐに美琴さんと合流して練習に取り組んだ。


美琴「……次、ターン」

にちか「は、はい!」


直前でルカさんに会ったことは隠しておいた。
この件に関しては美琴さんには踏み入らないでほしいと言われているのに、私はその約束を破ったからだ。


美琴「ちょっと遅れてるよ。もう少し早くできるかな」

にちか「や、やってみます!」


慣れない秘密を抱え込んだ私の体は、いつもよりきっと数ミリグラムぐらい重たくて。
なんだか練習の時もぎこちなかったと思う。
215 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/24(水) 21:42:39.10 ID:5s5mVYwB0
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【にちかのコテージ】

キーン、コーン…カーンコーン…

『えーと、希望ヶ峰学園歌姫計画実行委員会がお知らせします…』

『ただいま、午後十時になりました』

『波の音を聞きながら、ゆったりと穏やかにおやすみくださいね』

『ではでは、いい夢を。グッナイ…』


私が踏み込むべきじゃないし、美琴さんにも止められている。
それでも、我慢ができなかった。

ごめんなさい、美琴さん。でも、しょうがないんです。
今、誰よりも近くにいる私だからこそ……今、このコロシアイ南国生活にいるからこそ……黙って指をくわえてみているなんて出来ないんです。


≪ルカ「言っておくけど……私は殺れるからな」≫


ルカさんのあの言葉だけは、真実にしちゃいけない。
あの言葉を生むきっかけになった軋轢を、少しでも解消しないと。
それは私たちのためでもあり、なによりルカさんのために大切なことなんだ。


「……よし!」


どこまで私たちに時間の余裕があるのかはわからない。
でも、その時間がある限りは、絶対に……やめてやらないんだから。



美琴さんが嫌がっても……やめられない。
216 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/24(水) 21:44:13.53 ID:5s5mVYwB0
____

_______

__________

=========
≪island life:day 4≫
=========

【にちかのコテージ】


もうここで目を覚ますのも三回目。
慣れというのは恐ろしいもので、目を開いたときにこんなリゾート感ある内装が待ち受けていることにもはや違和感をほとんど抱かなくなってしまっていた。

それよりも、起きた瞬間に胸に湧き上がるのはルカさんと美琴さんのこと。
頭の中がなんだかそのことでいっぱいでやたら目が冴えて、いつものアナウンスよりも先に起きてしまった。

まだ集まるには早いけど……このままじゃ寝付けそうにもない。
なんとなく気が立ってしまった自分を抑えるために、これまたなんとなく部屋を出て、散歩をすることにした。
217 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/24(水) 21:45:37.58 ID:5s5mVYwB0
____
______
________

【レストラン】

なんだかすっかり汗をかいてしまった。
朝の爽やかな散歩で済ませるつもりだったのに、息も上がり気味で傍目に不自然じゃないかな……?
平静を装って涼しい顔して席につく。


美琴「にちかちゃん……どうしたの? 朝、ジョギングでもしてきたの?」

にちか「あ、あはは……そんなところです」

透「おー、健康的」

にちか「そ、そうなんですよ! 昨日は夏葉さん達が美琴さんも交えてやったって聞いたので、私もやりたいなーと思って!」

夏葉「あら、そうだったの……水臭いわ、言ってくれれば今日もやったのに。にちかを交えたジョギングの回もやらなくてはならないわね」

果穂「はい! にちかさんもいっしょに走りましょう!」


美琴さんには少し気づかれたようだけど、それ以上は追及はしてこなかった。
むしろ取り繕うための言葉を並べているうちに、なぜだかジョギングの回が開かれることになっちゃったけど……まあ、いいか。
218 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/24(水) 21:47:56.60 ID:5s5mVYwB0

摩美々「何か新しい発見はー?」

「……」

智代子「なかなかないみたいだね……」

美琴「もうこの島に来て4日目になるけど……なにも進展はないね」

冬優子「救助隊の船を見かけたりもしてないですよね……」

千雪「大丈夫かなぁ……助けは本当に来るんだよね……?」

透「おーい、助けろー。国―」

雛菜「もしかして雛菜たちのこと、みんな忘れちゃったのかな〜?」

恋鐘「そんなわけなか! 少なくともプロデューサーは絶対にうちらのことは忘れんたい!」

結華「やっぱりなんだか妙なことに巻き込まれちゃってるよねー、これ」


朝食会の情報共有でも目立った進展は無し。
新しい情報を持ち出す者は誰もおらず、結局そのままただ食事だけをつついた。

そして、そのまま全員で朝食を終えると、またいつものように自分たちの部屋に戻る。
……この繰り返しに終わりは来るんだよね?
219 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/24(水) 21:49:24.27 ID:5s5mVYwB0
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【にちかのコテージ】

部屋に戻ってシャワーを浴びて、服も着替えた。
一度汗をかいてしまったら乾いても気分が良くない。
サッパリ丸々入れ替わちゃわないと、汚いままの私が継続されたままだから。

さて、心機一転じゃないけど、ここからまた頑張んなきゃだ。
私にできることをやって、脱出の方法を探さないと!

【自由行動開始!】

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【現在のモノクマメダル枚数…10枚】
【現在の希望のカケラ…17個】

【事件発生前最終日の自由行動です】

1.交流する【人物指定安価】※ルカを除く
2.モノモノヤシーンに挑戦する
3.自動販売機を使う
4.休む(自由時間スキップ)

↓1
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/11/24(水) 21:57:50.23 ID:oJ0Q/9Gv0
新人投稿者「あっさり解説」です!よろしくお願いします!
>>sm39663816
>>sm39655470
>>sm39655441
マイリス登録おねがいします
https://www.nicovideo.jp/user/121826461
221 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/24(水) 22:11:29.87 ID:5s5mVYwB0

一応再安価しときます
基本変な書き込みは無視して下参照です

-------------------------------------------------
【現在のモノクマメダル枚数…10枚】
【現在の希望のカケラ…17個】

【事件発生前最終日の自由行動です】

1.交流する【人物指定安価】※ルカを除く
2.モノモノヤシーンに挑戦する
3.自動販売機を使う
4.休む(自由時間スキップ)

↓1
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/24(水) 22:20:56.91 ID:892YAtJu0
1 みつみね
223 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/24(水) 22:25:43.60 ID:5s5mVYwB0
1 三峰選択

【第1の島:結華の部屋】

ピンポーン

結華「はいはーい……あれ、にっちゃん? どうしたの、何か用事?」

にちか「いや、用事って言うほどでもないんですけど……せっかくならちょっと一緒に過ごせたらなーって」

結華「……ふふ、流石はみんなの妹、年上の心をわしづかみにするための手練手管は心得てるってワケだ」

にちか「え、ちょ、そんな下心なんかないですよー!」

結華「あはは、ごめんごめん。にっちゃんは弄りがいがあるからつい……」

結華「でもちょうどよかった、この前スーパーで見つけたお菓子があるんだよね。上がって!」

にちか「あ、はい……お邪魔します!」


結華さんの部屋でお菓子を食べて過ごした……

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‣現在の所持品

【半分安全靴】
【キルリアンカメラ】×2
【家庭用ゲーム機】
【携帯ゲーム機】
【トイカメラ】
【表裏ウクレレ】
【バール】

プレゼントを渡しますか?
1.渡す【所持品指定安価】
2.渡さない

↓1
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/24(水) 22:29:43.97 ID:892YAtJu0
1 キルリアンカメラ
225 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/24(水) 22:40:23.47 ID:5s5mVYwB0
【キルリアンカメラ】を渡した……

結華「あれ、なんか変わったタイプ……あんまり見たことないかも」

にちか「キルリアン写真って知ってます?」

結華「キルリアン……? なんかで聞いた気が……あ、あれか! オーラを写真に収めるってやつ!」

にちか「そう、そうなんですよ! 結華さん、【超大学生級の写真部】でしたよね。もしかしたら興味ないかなーって」

結華「オーラとかは流石に俄かに信じがたいけど……純粋に興味はある! でかした、七草にちか隊員!」

(やった! 喜んでもらえた!)

【PERFECT COMMUNICATION】

【親愛度レベルがいつもより多めに上昇します】

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結華「にっちゃんってさ、元々アルバイトやってたんだよね?」

にちか「え、はい……どうしたんですか?」

結華「いやただの世間話! あんまりこうやってにっちゃんと二人で話すこともなかったから」

(何かと場を引っ張ってくれるし、やっぱりこうやって接してても年上のお姉さんって感じでリードしてくれるし、やっぱ気楽に話せていいな……)

にちか「別に面白いこともないですけど、CDショップで働いてました。そこにプロデューサーさんが来て……まあなんやかんやって感じです」

結華「へぇ〜、CDショップの店員さん! いいじゃんいいじゃん、おしゃれな感じでてるよ!」

結華「でも、どうしてまたCDショップで? ……あ、嫌だったら答えなくても全然大丈夫」

にちか「大丈夫です! えっと、元々レコードとかそういうのが好きで、音楽に近いところで働きたいってのがあったんですよね」

結華「にっちゃんなかなか渋いんだ、やるね」

にちか「えへへ、家に昔のレコードとかが残ってて、よく聞いてたんですよね。だから同級生とかにもついうっかり自分の趣味のレコードの話をしすぎちゃってポカンとされるとかも結構あって」

結華「あはは、わかるわかる。三峰も好きなものの話になるとつい調子に乗って話過ぎちゃったりするからさ」

にちか「そうなんですか? 結華さんが好きなものって……」

結華「まあアイド……げふんげふん、いや、何……風景写真とか撮るの好きなんだよね。写真部、なんて称号いただいちゃってますけど拘りは結構本気であって……被写体によってカメラ使い分けたりしちゃってますから!」

にちか「え、すごいじゃないですかー! カメラも色々ありますもんね、デジカメとか一眼レフとか、全然違うんですよね」

結華「まあね、一眼レフだと暗くても撮影がしやすかったりとかいろいろあって……最近のスマホも結構高性能ではあるけど、まだ追いつかないところも多いんだよ」

にちか「すごー! カメラ博士じゃないですかー!」

結華「よせやいよせやい! おだてても何も出やしないぞー!」


1.じゃあ今度は代わりに私が結華さんにレコードおすすめしますよ!
2.実際に撮ってるとこ見てもよかったりします?
3.自由安価

↓1
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/11/24(水) 22:59:20.51 ID:892YAtJu0
2
227 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/24(水) 23:06:56.51 ID:5s5mVYwB0
2 選択

にちか「じゃあ今度実際に撮ってるとこみてもよかったりします?」

にちか「ほら、結華さんのこだわりをせっかくなら生で見てみたいって!」

結華「え、いいの……? むしろこっちからお願いしたいぐらい!」

結華「せっかくなら二人で写真撮りに行こうよ、前に一度ふゆゆともカメラを持って出かけたことがあったんだけど……すごくいいフォトスポット知ってるから!」

にちか「うわうわ……それめっちゃいいじゃないですか!」

にちか「……あ、でも待ってください。その……うち、あんまりお金に余裕がある家庭じゃなくて、その……」

結華「大丈夫、三峰のお古でよければ用意いたしますから!」

にちか「結華さん……!」

結華「なにせ可愛い可愛い三峰の妹分なんだからねー、それぐらいは面倒見てやりますよ!」

にちか「ありがとうございますー! まともなカメラなんか触るの、初めてですよ!」

にちか「うわ、島から出るのめっっちゃ楽しみになりました! 結華さん、絶対一緒に生きて脱出しましょう!」

結華「に、にっちゃん……それ死亡フラグ……」

にちか「え? なんです?」

結華「……ううん、なんでもない」


【親愛度レベルが上昇しました!】

【三峰結華の親愛度レベル…2.0】

【希望のカケラを入手しました!】

【現在の希望のカケラ…18個】
228 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/24(水) 23:08:54.18 ID:5s5mVYwB0
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【にちかのコテージ】

結華さんのカメラへのこだわり、気持ちはわかるなぁ……

愛ってホント突き詰めても突き詰めてもキリがないし、お金もまるで足りない。
そういえばこっちにいる間のバイト代って……

……うぅ、脱出したらシフト増やしてもらおう……

【自由行動開始!】

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【現在のモノクマメダル枚数…10枚】
【現在の希望のカケラ…18個】

【事件発生前最終日の自由行動です】

1.交流する【人物指定安価】※ルカを除く
2.モノモノヤシーンに挑戦する
3.自動販売機を使う
4.休む(自由時間スキップ)

↓1
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/24(水) 23:49:48.82 ID:892YAtJu0
1 まみみ
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/25(木) 00:38:56.36 ID:yfpu9+XA0
次はいつになりますか?
楽しみにしてます!
231 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 01:18:50.64 ID:R8XLdqbj0
申し訳ない、離脱してしまってました……
摩美々選択からまた再開します。
次回更新で事件発生パートまではいかないかもです(少々長めなので)

一応11/25も夜行けそうだったらやります
232 :少し早めですが再開します ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 20:45:21.17 ID:R8XLdqbj0
1 摩美々選択

【第1の島:牧場】

摩美々「……」

にちか「あれ、田中さん……どうしたんですか? こんなところにいるの、珍しいですよね?」

摩美々「え? あー……仕込みってとこかなー」

にちか「仕込み? 牛の肉で何か料理でも作るんです?」

摩美々「何そのバイオレンス発想ー……牛、めちゃくちゃ生きてるんだケド……」

摩美々「せっかくイタズラの仕込みで牛のそれを使うっていうボケ仕掛けてたのに、にちかのとんでも発言で滅茶苦茶だよー」

にちか「知らないですよー……なんかすみません」


なぜか機嫌を悪くした摩美々さんを宥めながら過ごした……


-------------------------------------------------
‣現在の所持品

【半分安全靴】
【キルリアンカメラ】
【家庭用ゲーム機】
【携帯ゲーム機】
【トイカメラ】
【表裏ウクレレ】
【バール】

プレゼントを渡しますか?
1.渡す【所持品指定安価】
2.渡さない

↓1
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/25(木) 21:35:25.07 ID:yfpu9+XA0
1 安全靴
234 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 21:40:11.08 ID:R8XLdqbj0

【半分安全靴】を渡した……


にちか「これ、どうです?」

摩美々「や、どうですって言われてもー……つま先に鉄板が入った靴なんて履きようがなくないー?」

にちか「でも、外でロケとかする時に使えるかもしれませんよ!」

摩美々「芋ほりとかの農業ならまだしも、工業ロケなんか聞いたことないしー……」

摩美々「これは流石に、貰ってもどうしようもないかなー……」

(うっ……しまった、別のものを渡せばよかったな……)

-------------------------------------------------


にちか「田中さんってよくプロデューサーさんにちょっかいだしてますよね!」

摩美々「……ちょっかいっていうか、からかってるっていうかぁ」

にちか「いや、別にいいんです! それがダメ!とかいう気もないですし、むしろもっとやってくれって感じなんです!」

摩美々「……はぁ?」

にちか「プロデューサーさんがイタズラやられた時の間抜け顔、めちゃくちゃ面白いんですよねー! いい大人が女子高生に振り回されるのって超ダサいしー!」

摩美々「ダサいかどうかはまあ別として……にちかも結構いいシュミしてますねー」

にちか「あはは、田中さんほどじゃないですってー! あー、この前車のカギを隠した時の慌てっぷりはケッサクだったなー!」

摩美々「……え」

にちか「それとかスマホのパスワードめちゃくちゃに入力しまくって制限かけた時、体震えてましたよー!」

摩美々「ちょ、ちょっとやりすぎじゃ……」

にちか「え? そうです? じゃあ普段……田中さんはどんなことしてるんですか?」

摩美々「え、落書きとか……突然写真撮ったりとか……」

にちか「……ぬるくないです?」

摩美々「こんなもんで十分でしょー……」


1.もっといいイタズラを考えましょう!
2.案外かわいいんですね
3.自由安価

↓1
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/25(木) 22:18:07.99 ID:yfpu9+XA0
2
236 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 22:31:03.42 ID:R8XLdqbj0
2 選択

にちか「案外田中さん、可愛らしいんですね」

摩美々「はぁー? な、なに急に……」

にちか「イタズラの内容も控えめですし、プロデューサーさんへのからかい方もじゃれてるみたいで……」

摩美々「……タバスコ」

にちか「へ?」

摩美々「これから毎日にちかの食事にいずれかのタイミングでタバスコを仕掛けることが今決定しましたー」

にちか「は、はあああああああ!?」

摩美々「年上に生意気な口を利く後輩にはきょーいく的指導が必要なのですー、ふははー」

にちか「り、理不尽過ぎません!?」

摩美々「それに……イタズラなら負けるつもりはないのでー、にちか、しばらく勝負だよー」

にちか「……! そういうことですか……! それなら私だって負けません!」

にちか「田中さんを驚かせて頭からひっくり返しちゃいますよ!」

摩美々「ふふー、やれるもんならやってみなよー」


【親愛度レベルが上昇しました!】

【田中摩美々の親愛度レベル…1.5】

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【今章におけるすべての自由行動パートが終了しました】
237 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 22:33:21.39 ID:R8XLdqbj0

田中さんに正面から果たし状を叩きつけられてしまった。
イタズラならプロデューサーさん相手に磨き上げてきた……私だって負けていられないよ!

コテージに帰ったら作戦準備!
まずは泥水と墨汁を混ぜるところから始めようかな……

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【にちかのコテージ】

島の探索をあらかたし終えて、一日の疲れとともにコテージの扉を開けた。
シャワーの一つでも浴びて、早いところ寝てしまおうか。
そんなのんきなことを考えながら、ゆっくりと支度を始めたその直後。

キーンコンカーンコーン…


にちか「え……? こ、こんな時間に……?」


夜時間の始まりと終わりを告げるチャイムとはまた別。
これまで過ごしてきた中で一度も聞いてこなかった時間でのチャイムに心臓が飛び上がる。
そしてその視線をモニターに向けると、砂嵐はうねり、モノクマがまたその姿を現した。


『島内放送、島内放送〜! オマエラの楽しい楽しい南国生活の幕開けを祝して、楽しい催しをご用意しました〜!』

『丹精込めて用意しましたので、ぜひジャバウォック公園の銅像前にお集まりくださ〜い!』


うーわ、楽しい催しって絶対ろくなことじゃない。
『ろくなことじゃない』くらいで済めばむしろいいけど、最悪の場合何か命に係わる話の可能性だってある。
だって、あのモノクマなんだもの。

南国の陽気に中てられた間の抜けたムードから、急速にピりついた空気の張り詰めたムードが漂い始める。
生唾一つ飲み込んだ。


にちか「……とりあえず、行ってみよう」

238 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 22:34:24.55 ID:R8XLdqbj0
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【中央の島 ジャバウォック公園】


透「ふぁぁ……眠た……」

千雪「急にこんなところに呼び出すだなんて、どういうことなのかな……」

夏葉「用心はしておいた方がいいわ、常に細心の注意を払いつつ、周りを見るようにしておきましょう」

果穂「でも、なんだか楽しそうです!」

あさひ「あのステージ、なんだろうね!」


慌てて駆け付けた私たちを待ち構えていたのは……妙にゴテゴテに飾りつけの為されたお立ち台とスタンドマイク付きのステージだった。
オレンジの配色のそれは、どこか既視感がある。


愛依「……あれ、漫才コンテストの奴じゃね?」

にちか「あー! それだ! それですよ! 年末の大会の、予選の奴〜〜〜〜!」

美琴「……そうか、お笑いのセットだったんだ」

雛菜「今からお笑いが見れるんですか〜? 雛菜ちょっとワクワク〜」

透「ショートコント、コンビニ」

摩美々「ちょっと、勝手にステージに上がったら何されるか分かったもんじゃないでしょー、降りてきなよー」

バビューン!!

モノクマ「こら〜! 素人が勝手にステージに上がったらあきまへーん!」


ようやっと姿を現したモノクマ。
その寸胴体系を無理やりスーツに押し込んだような姿は不格好。その不格好な体でぷりぷりと怒っている様子。
239 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 22:35:35.45 ID:R8XLdqbj0

千雪「あら? モノミちゃんも一緒なの?」

モノミ「あわわ……あ、あちしはやりたくないって言ったんでちゅけどね……?」

モノクマ「馬鹿言うたらあかん! ボクの相方はオマエしかおらへんねん!」

にちか「うーわ、コッテコテの似非関西弁……だっさ……」

モノクマ「モノミとボクで兄妹漫才で天下を取ったるで〜〜〜〜!」

摩美々「なんでもいいケド、やるなら早くやってくれるー? もう眠たいんでー」

モノクマ「ほら、観客の皆さんもボクたちの漫才を待ち焦がれてるじゃない! ほら、さっさと準備するんやで!」

モノミ「あぁ〜〜〜〜〜! 毛細血管がいっぱい集まってるところ・脇を攻撃するのはやめて〜〜〜〜〜〜!」


モノクマはそのままモノミをずるずると引きずって舞台裏へ。
既に今のこの状況が漫才のようなものだが、これからこれ以上にくだらないやり取りを見せつけられることになる。
想像しただけでため息が出た。


にちか「これ、本当に見なくちゃいけないんですかね……」

美琴「見ないと殺されるかもしれないから、ちょっとの辛抱だよ」

にちか「はぁ……そうですよね……すみません」


そして私たちはステージの前に置かれたパイプ椅子にとぼとぼと腰かけて、そこから数分。
聞きなじみある囃子とともに二人が姿を現した。

240 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 22:37:21.76 ID:R8XLdqbj0
**********************************************

モノクマ「どうぞよろしくお願いしますー!」

モノミ「よ、よろしくお願いしまちゅ……」

モノクマ「あ〜〜〜〜! 今、極太のスティックのりをいただきました〜〜〜〜! こんなんなんぼあっても困りませんからね!」

モノミ「いや困りまちゅ! そのままじゃ切手にも使えないし、スティックのりは女性にももちやすいサイズで再登場してもらわないと困りまちゅ!」

モノクマ「あんな、うちのおかんがどうしても思い出せないマスコットがおるねんな」

モノミ「はぅ……どこか聞いたことのある導入でちゅ」

モノクマ「フェルト地で愛されボディのかわいらしいウサギさんらしいねんな」

モノミ「それは……あちしでちゅ! 手触り抜群、容姿端麗、若年層から壮年層まで取り込める唯一無二の愛されマスコットでちゅからね!」

モノクマ「ボクもモノミのことだと思ったけどね。でもな、おかんが言うには毎晩の晩酌を欠かさないらしいねんな」

モノミ「それはあちしじゃないでちゅ! あちしは夜は毎日カモミールティー片手にビスケットのオシャンティーな夜にするって決めてるんでちゅ! 鮭とばなんかのイメージをつけないでくだちゃい!」
241 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 22:38:43.83 ID:R8XLdqbj0

モノクマ「でもな、でもな、おかんが言うには魔法が使えるマスコットらしいねんな!」

モノミ「それは……あちしでちゅ! マジカルステッキさえあればあんな夢こんな夢叶え放題なんでちゅ! マイナンバーカードだって2秒で作れちゃうんでちゅ!」

モノクマ「ボクもそう思ったんだけどね、どうやらおかんが言うには反社会勢力とつながりがあるマスコットらしいねん」

モノミ「それはあちしじゃないでちゅ! 反社会勢力とずぶずぶなマスコットなんて存在しまちぇん! 一切の犯罪歴のない人間だけが夢の世界の住人を演じることが許されるんでちゅよ? いや、あちしには中の人なんていまちぇんけど!」



モノクマ「でもな、おかんはそのマスコットは【みんなの記憶を奪っとる】って言うんよな」




モノミ「それは……!」

モノミ「あ、あれ……?」

242 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 22:39:47.35 ID:R8XLdqbj0

モノクマ「コロシアイ南国生活に参加している【みんなの記憶を奪っちゃってる】あくどいマスコットがいるんだってさ。全く、ひどいマスコットもいたものだよね!」

モノミ「あ、あはは……ほ、本当でちゅね……いったい誰のことやら……」

モノクマ「ほんでおかんが言うにはな、そのマスコットってピンク色のウサギみたいな見た目らしいんや!」

モノミ「……い、今のあちしはツートンカラーの愛らしいウサギでちゅ……人畜無害なウサギさんでちゅ……」

モノクマ「でもな、おかんが言うには最近そのウサギは色を変えられた挙句、お兄さんができたらしいねんな!」

モノミ「いやあああああああ! それ以上はやめてくだちゃい!」

モノクマ「で、オトンが言うにはな、それってモノミちゃうか?って!」

モノミ「……」

モノクマ「もうええわ! どうも、ありがとうございました〜〜〜!」

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243 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 22:41:02.98 ID:R8XLdqbj0

面白くもない間の抜けた漫才芸が幕を下ろした。
でも私たちは腹を抱えて笑うでもなく、不満に座布団を投げつけるでもなく、今自分の目の前に投げ込まれたその言葉を確かめて、震えることしかできずにいた。


(記憶が、奪われた……?)

モノクマ「ふぅ……久しぶりに漫才なんかしたから、なかなか舌が回らなくて困ったよ!」

モノミ「……あ、あちしは失礼しまちゅ」

ルカ「待てよ」

モノミ「ひぃ! い、斑鳩さん……!?」

ルカ「説明せずに逃げ帰るとか、許されると思ってんのか? さっきの言葉の意味、聞かせてもらえるんだろうな」

果穂「あ、あたしたちの記憶……う、うそですよね……」

夏葉「そんなはずはないわ……ただの悪趣味な冗談でしょう?」

モノクマ「まあこの件に関しては、さっき言った通りボクがやったわけではないのでモノミに聞いてもらわないと!」

バビューン!!
244 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 22:43:12.71 ID:R8XLdqbj0

にちか「モノミ……! 今、どういうことなの?!」

にちか「本当に私たちの記憶は奪われてるの?! 今って本当は、何年の何月、何日なの?!」

モノミ「え、えーっと……その……」

美琴「教えて」

美琴「私たちはライトの下から離れて……どれくらいの時間が経ったのかを」

モノミ「あのでちゅね……」


モノミは詰め寄る私たちを前に、はっきりしない物言いを繰り返すばかり。
自分のしてしまったことの罪の重さをはかりかねているかのような、そんな怯えたような表情のまま、しばらく。


モノミ「もうこれ以上お話しできることは何もありまちぇん!」

バビューン!!

灯織「……行ってしまいましたね」

愛依「け、ケッキョク……なんも教えてくれなかったね……」
245 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 22:44:42.57 ID:R8XLdqbj0

透「記憶、か……」

雛菜「雛菜たち、一体いつから記憶を失ってるんだろうね〜」

あさひ「ていうか、記憶を奪うってなんなんすか? そんなことができるっすか?」

結華「さあね……ただ、モノミ・モノクマ・モノケモノとこうも現実味のないことが続いちゃ……疑う気力も沸いてこないっていうか……」

千雪「モノミちゃんが私たちのそんなひどいことをするなんて、信じられないけど……」

ルカ「何を甘いこと言ってんだよ。あいつだって所詮はモノクマ側の存在、ウサミだか何だか知らねえが、ずっと私たちを欺いて笑ってやがったんだ」

智代子「だ、だとしても……どうして!? わたしたちの記憶を奪うことになんの意味があるの?!」

冬優子「その意味すら、ふゆたちは忘れてしまってるのかもしれないね……」


重く冷たい空気がのしかかる。
それも当然だ、人間の存在なんてものは、継続的な観測からなるものでしかない。
つい昨日の自分があるから、今日の自分がある。
これまでの十数年の蓄積が私という存在を形作っている。
でも、今その根幹から揺るがされているのだ。
いつから、どれくらいの記憶が抜け落ちているのかもわからない。


そんな状態で立っている今の自分は、本当に『わたし』だと胸を張って言えるのだろうか……?


246 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 22:46:12.09 ID:R8XLdqbj0






灯織「……落ち着きましょう、皆さん」





247 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 22:49:01.30 ID:R8XLdqbj0

それでも、彼女だけはこんな状態でも立ち上がった。
私たちの一歩前に出て、胸に手を当てて。自分自身もその手は震えているというのに、それでも鼓舞するために一歩を踏み出す。


愛依「ひ、灯織ちゃん……」

灯織「確かに記憶の欠落、それを聞いて私も冷静ではとてもいられませんが……不安に駆られてしまってはモノクマの思うつぼです」

夏葉「……ええ、その通りね。きっとモノクマは私たちにゆさぶりをかけたかったのよ。コロシアイになかなか手を付けようとしない私たちを焚きつけるために、不安という起爆剤を投入した」

灯織「だから、まずは深呼吸をして……隣を見てください。私たちには仲間がいます、頼れる存在がいるんです。不安に感じているなら、それを共有してください」

灯織「一人じゃなければ、きっとそれにも立ち向かえるはずなんです……!」

(……やっぱり、風野さんはすごいな)

美琴「……そうだね、狼狽えてても何も変わらないから」

果穂「もし本当にきおくがうしなわれてるなら、その分新しく思い出を作りましょう!」

智代子「果穂! そうだね、楽しい記憶は今からでも取り返しが効くからね!」

摩美々「はぁ……もっと重要な記憶も色々抜け落ちてるかもしれないケド、それは無視―?」

恋鐘「摩美々、今はそういうことにしとかんね。深く考えこんだら、沼んみたく深みにハマってしまうとよ!」

ルカ「……チッ、なんの解決にもなってねえじゃねえか」

あさひ「……わたし、何を忘れてるんだろ」
248 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 22:50:31.20 ID:R8XLdqbj0
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【にちかのコテージ】

キーン、コーン…カーンコーン…

『えーと、希望ヶ峰学園歌姫計画実行委員会がお知らせします…』

『ただいま、午後十時になりました』

『波の音を聞きながら、ゆったりと穏やかにおやすみくださいね』

『ではでは、いい夢を。グッナイ…』


一部の人を除いて不安はだいぶん和らいだ様子で、そのまま公園で解散となった。
もう夜時間を回っている、私もその瞼はだいぶん重たくなっていた。
ただ、それとは別に思考は巡る。
みんなの手前口にはしなかった不安がふつふつと込み上げる。
確かに仲間に共有できれば気が楽になる不安もある、けどすべてがそう易々と仲間に共有できる不安ばかりじゃないことも私は知っている。
特に私はみんなとは違う。本当のゼロからスタートした私は、その下地も、素材も、心構えも、何もかもが違っている。
違うもの同士の不安に共感なんかできない、そこにあるのはただの憐憫だ。

そんな惨めな真似、私には……


「……お姉ちゃん」


夜は、更けていく。

249 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 22:52:17.76 ID:R8XLdqbj0
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≪island life:day 5≫
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【にちかのコテージ】


昨日に引き続き、アナウンスよりも先に目が覚めてしまっていた。
そりゃ当然、あんなの聞かされて寝ていられるはずもない。
夢もなんだか気持ちが悪いものを見た。
学校の先生とか友達とかがグニャグニャとねじ曲がって、渦みたいになってそこに溶け込んでいく夢。
チーズフォンデュのようにドロドロになった自分の体が、すごく醜悪な感触だった。


「記憶がない……か」


それで目を覚ましたんで居ても立っても居られなくなり、既にコテージの部屋を出てホテルの中を歩くなどしてしまった。
それでもまるでスッキリとしない、ムカムカとしたものが胸にくすぶり続けている。


「あー! なんかもうっ!」


近くにあった紙をぐしゃぐしゃに丸めて近くに放った。
がさがさと耳障りな音を立てて紙屑の山は軋む。


「……とりあえず、なんか口に入れよ」


まだ朝食会には早い。
でも、この放っておけばこのイライラが無限に口から放出されそうで、それを抑え込むための栓が欲しくて。
私の足は自然とレストランに向かっていた。
250 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 22:54:00.38 ID:R8XLdqbj0
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【レストラン】

灯織「……! に、にちかさん……おはようございます」

にちか「おはようございます……相変わらず早いですね、普段から早起きなんです?」

灯織「い、いえ……どうしてもこんな状況だと目が覚めてしまうといいますか……」

にちか「あ、あはは……ですよねー……」

にちか「……? あれ、風野さん、その手に何か持ってます?」

灯織「っ!? い、いえ! これは別に、その、なんでも!」

(いやいや……隠すの下手すぎでしょ……紙っぽいのがモロ見えだったし)

(でも、なんだか追及するのはかわいそうだよね……見なかったことにしてあげよう)


風野さんは平然とした体を取り繕ってはいるものの、よっぽど触れられたくないものに触れられてしまったのだろう。動揺の色を全く隠せていなかった。

そのままなんとも居心地悪そうな時間が過ぎて、徐々に全員が集まったころ……

彼女は切り出した。
251 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 22:55:57.28 ID:R8XLdqbj0

灯織「あ、あの……もしよろしければ一つ、提案をお聞きしていただいても……」

結華「んー? どったの、ひおりん? なんだか珍しいね」

灯織「そ、その……せっかくこうやって283プロの皆さんがユニットの垣根を越えて集まったことですし……何か【パーティ】のような催しでも出来たらなと思いまして……」

あさひ「えっ?! パーティ!? 楽しそう!」

冬優子「あさひちゃん、まずは静かにお話を聞こうね〜」

灯織「ホテルには旧館もありますし、パーティ会場にはうってつけではないかと」

モノミ「いいでちゅね! すごく素敵な提案でちゅ!」

あさひ「あっ! モノミだ!」

モノミ「せ、芹沢さん……く、来るなら来いでちゅ! そう簡単に、あちしの縫い目がほどけるとは思わないことでちゅ!」

愛依「アハハ、そんな警戒しなくても大丈夫系! あさひちゃん、今はすっかり朝ご飯にムチューみたいだから!」

モノミ「へ?」

千雪「あさひちゃんのために島の果物でデザートを作ってあげたの。喜んでくれたみたいでよかった」

あさひ「すごくおいしいっす! これ何使ってるっすか?」

モノミ「ということはあちしの貞操は守られるってことでちゅか?」

果穂「てーそー……? それってなんですか?」

夏葉「……モノミ、変な言い回しはやめてくれるかしら」

252 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 22:57:23.64 ID:R8XLdqbj0

結華「と、とにかく! モノミもこのタイミングで姿を現したってことは何か話があるってコトでしょ?」

モノミ「あ! そうでちた! ミナサンのパーティのお話を聞いて居ても立っても居られなくなったんでちゅ。旧館を使ってパーティがしたいとのことでちたけど、長いこと使ってないせいでボロボロなんでちゅよね」

雛菜「え〜! 雛菜パーティやりたかった〜!」

モノミ「施設自体は汚れてはいまちゅけど、使う分に問題は無いので掃除さえすれば大丈夫でちゅよ!」

摩美々「えー、面倒くさー……」

灯織「ただ会場としてはこれ以上ないぐらいにうってつけですし……いたし方ありませんね」

透「あ、それじゃせっかくだし」

にちか「浅倉さん?」

透「この箸使ってくじ引き。ギャンブルで決めるってのは、どうよ」

雛菜「やは〜♡ それじゃあたりを引いた人が掃除係ね〜!」

千雪「う〜ん……でも一人で任せるにはちょっと旧館は広いような」

愛依「うち、掃除やるよ? せっかくのパーティだし、みんな気持ちよくできたほうがいいんじゃん?」

灯織「それでしたら私もお手伝いします。もともと言い出したのは私ですから」

果穂「あたしもやらせてください!」

恋鐘「うちも手伝うばい! こういうのは、全員でやった方が早かやけん!」

摩美々「えー、全員―……?」

結華「あらら……とおるんのくじ引きも面白そうだとは思ったんだけどね」

透「ちぇー」


そういうわけで結局なし崩し的に会場となる旧館の掃除は全員で行うことに。
正直私としては面倒だったし浅倉さんのくじ引き案に賛成ではあったんだけど……しょうがないか。
253 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 22:58:23.75 ID:R8XLdqbj0
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【旧館】

にちか「うーわ……埃っぽすぎ……美琴さん、私が美琴さんの分もやるので休んでて大丈夫ですよ!」

美琴「ううん、そういう訳にもいかないから」


いざ足を踏み入れた旧館はそこら中にクモの巣が張ってるし、埃もあちらこちらに溜まっているというありさま。
できれば美琴さんには足を踏み入れてすらほしくない。
うー……全員で掃除をするなんて流れになるから、もう!


灯織「正直想像以上の有様ですが……これだけの人数がいればすぐに終わるはずです、頑張りましょう!」

冬優子「うん♡ できた時よりもピカピカにしちゃおうね!」

智代子「よしっ! 果穂、掃除用のエプロンしっかり結べたよ!」

果穂「ありがとうございます! おそうじ用のスペシャルアーマーに変身! です!」

夏葉「負けないわよ果穂! 誰よりもこの旧館を一番きれいにするのは私なんだから!」

透「やるかー」

雛菜「あは〜、雛菜やりたくない〜」

結華「お、温度差!?」


きちんと準備を整えて真面目に掃除に挑もうというメンバー、行動一つ一つが仰々しいやたらやる気の入ったメンバー、全くと言っていいほどやる気のないメンバー。温度感もバラバラなメンバーたちでしばらくの間掃除に取り組んだ。
254 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:01:52.71 ID:R8XLdqbj0
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そして、掃除が終わったのは……昼前。


恋鐘「終わった〜〜〜〜〜〜〜〜!」

あさひ「え、もう終わるんすか? もっと床下の方とか掃除したかったっす」

灯織「ありがとうございます、皆さんのおかげで予定よりかなり早く清掃を終えることができました」

結華「一時はどうなることかと思ったけど、これならパーティも問題なく行えそうな感じ?」

透「頑張ったしね、めっちゃ」

雛菜「透先輩途中から同じところばっか掃除してなかった〜?」

透「え? あー、取れなくて。油汚れ」

摩美々「透が掃除してたの玄関周りじゃなかったぁ?」

千雪「ふふっ、でも玄関周りを綺麗にしておくのは大事だから。ありがとう、透ちゃん」

透「ただ掃除してただけなんで」

冬優子「それにしても愛依ちゃんとにちかちゃんはすごく手際がよかったね! ふゆ、驚いちゃった!」

愛依「んー、うちはばあちゃんが腰悪くしてる分やったげることが多いからかな?」

にちか「うちもそんな感じですかねー。お姉ちゃん、家だとてんでダメなので!」

美琴「そうなんだ、えらいね」

にちか「い、いやいやそんな!」
255 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:02:47.58 ID:R8XLdqbj0

智代子「お疲れー、果穂。あとでお菓子食べてリフレッシュしようね!」

果穂「はい! つかれた体にはとう分ほきゅうが必要です!」

智代子「よくぞ言ってくれました!」

夏葉「ふふっ……そんな見せつけるようにしなくても別に咎めたりはしないわ、智代子」

灯織「ひとまずは皆さんご苦労様でした。パーティ自体は、夜時間のチャイムが鳴ってから開始するのでそれまでは自由に過ごしてください」

摩美々「じゃあ摩美々は仮眠でもとろっかなー。今夜は灯織が寝かせてくれないみたいだしー」

結華「ま、まみみん?! その言い方は見過ごせないけど?!」

灯織「ふふっ……でも摩美々さんのように皆さんも体を休めておいてください。せっかくの機会、今夜は目いっぱい楽しんでいただきたいですから」


掃除を終えた私たちは、いったん風野さんの言った通りにそれぞれの個室に戻って体を休めることにした。
掃除というのは何かと無理な姿勢を強いられたり、重いものを持ち上げたり、自分が思っている以上に体が疲労するものだ。


美琴「今日は練習もしないつもりだから、にちかちゃんもゆっくり休んで」

にちか「え? もしかして私に気を使っちゃってます? 大丈夫ですよ、これぐらい平気です!」

美琴「違うの。私も今日はもともと練習をする気じゃなかったから」

にちか「え……そうなんですか?」

美琴「うん、丁度よかった。パーティと予定が重なったおかげで休憩をすることもないし」

にちか「それじゃ、美琴さんも今日はゆっくり休むようにしてください。体は資本って言いますし……」

美琴「心配してくれてありがとう。にちかちゃんもね」

にちか「は、はい!」
256 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:05:02.69 ID:R8XLdqbj0
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【にちかのコテージ】

私も自分の部屋に入ると、ベッドにそのまま倒れこんだ。
手足がシーツに溶け込んでいくような心地で、疲労もその白地に浸透していく頃……

私はそのまま意識を手放した。
257 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:06:35.32 ID:R8XLdqbj0
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≪night time≫

「……夜、か」


いつもならこのまま寝る支度をするところだけど、今日はそうじゃない。
旧館で行われるパーティのためにスクっと立ち上がった、丁度そのタイミングだった。


ピンポーン

(……インターホン?)


珍しい来客。慌てて扉を開けると、そこに立っていたのは風野さんだった。


灯織「こ、こんばんは……七草さん」

にちか「ど、どうも……あれ、パーティは……?」

灯織「そのことなんですが……少し、お手伝いいただきたいことがございまして」

にちか「手伝い?」

灯織「七草さん、もしよろしければ私と一緒に入場時の【ボディチェック】を行ってもらえませんか?」
258 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:07:36.06 ID:R8XLdqbj0

にちか「ぼ、ボディチェック? なんでまた……」

灯織「皆さんを疑う訳ではないんですが……状況が状況のため、念のために危険物が持ち込まれないように細心の注意は払いたいと思いまして」

にちか「わかりましたけど……なんで私なんですか?」

灯織「同世代の方にお願いしたくて……でも、どうやらチョコは放クラで集まっているようだったので」

灯織「市川さんは、その……なかなか捕まらなくてですね……」

(消去法ってことか……)

にちか「なるほど……ま、いいですよ。どうせ今から行くとこだったので」

灯織「本当ですか! あ、ありがとうございます……でしたらぜひ一緒に今から旧館の方へ」

にちか「あ、それじゃちょっと待ってくださいね。パーティ盛り上げるために用意してたものもちょっとだけあるので!」

風野さんにそう声をかけると、机の上に用意していたお菓子などを適当に手に取った。

にちか「じゃーん! これ、お気に入りなんですよー!」

灯織「ふふっ……今日くらいは遅くなってからお菓子を食べても許されますよね」

にちか「ですです!」
259 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:09:25.55 ID:R8XLdqbj0
-------------------------------------------------
【旧館 玄関】

灯織「一応先んじて七草さんの体を調べさせていただきますね」

にちか「あ、はい……」


風野さんは申し訳なさそうに頭を下げると、私の体を隅々までべたべたと触りだす。
一通り見終えると、満足した様子でふぅと息をついた。


灯織「はい、問題ないと思います」

にちか「ど、どうも……危険物なんか、そうそう持ってないと思いますけど」

灯織「念には念を、ですから……」

ボディチェックを終えて、ひと段落。そう思っていると、今度は逆に私の体に何かを取り付けた。胸元に両面テープでとめたそれは、花を模して造られた布飾りのようだ。

にちか「これ……何ですか?」

灯織「ええ……パーティを開くにあたって、果穂と千雪さんとで用意してくださったものらしくて、全員分ご用意いただいてせっかくなのでここでボディチェックのついでにお渡ししようかと」

(要はこれでご機嫌取りってわけね……)


風野さんは全員分に用意された花飾りを紙袋を広げて見せてくれた。
なるほど形の不揃いな様子が果穂ちゃんの制作風景を想起させ、なんとも愛らしい。

これなら確かにボディチェックのイライラも引っ込むかもしれない。
260 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:10:34.45 ID:R8XLdqbj0

灯織「あ、どなたか来たみたいですよ」

ガチャ

あさひ「こんばんは! ……あれ? 二人ともどうしたっすか?」

灯織「あさひ……一応パーティを始める前に参加者はみんな身体検査をしておこうと思って」

あさひ「ふーん……でも、わたしなにも変なものなんか持ってないっすよ」

灯織「念のためだから……ごめんね」


パンパン


にちか「……あっ」

灯織「プラスドライバー……人を刺すには十分……」

あさひ「えー、そんなことしないっすよー」

灯織「ごめん、これも念のためだから」

あさひ「ああっ!?」


風野さんにしては珍しいぐらいの強引さで芹沢さんからプラスドライバーをひったくると、そのまま手元にあったジュラルミンケースに放り込んだ。


灯織「パーティが終わったらちゃんと返すから……今は我慢して」

あさひ「むー!」


芹沢さんは納得していないといった様子で頬を膨らませる。
それでも風野さんが折れそうにないとみるや、ぷいとそっぽ向いて、そのまま会場へと走っていった。


にちか「ドライバーでもダメなんですか?」

灯織「全員に安心して参加していただきたいので……七草さんもあれぐらいでお願いします」

にちか「は、はい……」
261 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:11:45.70 ID:R8XLdqbj0

ガチャ

透「ばんはー」

雛菜「パーティもう始まってますか〜?」

灯織「市川さん……いえ、まだ始まっていません。その前に身体検査をしてもよろしいでしょうか? ……七草さん、浅倉さんをお願いします」

にちか「は、はい!」

透「厳重じゃん、めっちゃ」

にちか「ここまでやる必要はあるんですかねー……」


とはいえ一度引き受けてしまった仕事。
風野さんに言われるがままに浅倉さんの身体検査を行った。
全身をパンパンと叩いていき、不審なものはないか確かめて、さらには胸元も襟を掴ませてもらって一応は確認。


透「えー、恥ず……」

にちか「す、すみません……」



全身くまなく捜査して……不審なものは。



にちか「こんなの、なんで持ってきてるんですか? 十徳ナイフ」



____普通に見つかった。


262 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:13:07.33 ID:R8XLdqbj0

透「あー、なんでだろ」

にちか「いやいや?! 思いっきり刃物じゃないですか?!」

(こ、この人は……!)

雛菜「あ〜、それさっき使ったやつ〜! 透先輩持ってきちゃったんだ〜〜〜!」

(……え?)

透「あー、さっき。雛菜と食べたんだっけ、缶詰」

にちか「か、缶詰……?」

雛菜「雛菜が桃食べたくなったから〜、スーパーで透先輩に食べさせてもらっちゃった〜!」

透「開け方わかんなかったからさ、使ったの。缶切りのとこで」

灯織「は、はぁ……一応、回収しておいてもよろしいですか?」

透「ノープロブレム」

(全く人騒がせな……)

263 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:14:21.78 ID:R8XLdqbj0

ノクチルの二人の独特な空気感にため息をつきながら、私はジェラルミンケースにそのナイフを放り込んだ。
まあこの二人ならそんな思い付きで缶詰を食べようとしてナイフを持ち出すこともあるだろう。その点については納得も行く。

……ただ、浅倉さんに関して、胸中にふつと湧き上がった疑念を拭い去ることはできなかった。


にちか「い、一応もっかい見といていいですか?!」

透「え、いいけど……どうしたの」

にちか「ね、念のため! 念のためですから!」


ただ、当然それ以上のものは見つからず。
結局浅倉さんも会場にそのまま入っていってしまった。


(だ、大丈夫なんだよね……?)

灯織「七草さん……! 安全意識を高く持っていただけたようで非常にありがたいです……!」


完全に不純な疑いから来た再点検だったのだけれど、風野さんは何か別の勘違いをして、それにいたく感動したのか私の手を取って上下にブンブンと振った。
264 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:16:08.78 ID:R8XLdqbj0
そこからは次々と入ってくるメンバーを一人ひとり点検していった。


灯織「摩美々さん……な、ナイフなんかダメに決まってるじゃないですか?!」

摩美々「いや、これ刃が引っ込むビックリグッズなんだケド……」


とはいえ、流石に露骨な危険物を持ち込む人間などおらず……


にちか「あー、これ……アウトかもしれないです」

千雪「そうなの? 誰かの服がほつれでもしたらと思ったんだけど」

にちか「私はいいと思うんですけどね、別に……」


安全と危険とのその交差点ぐらいのものばかりを拾い集めるだけで……


美琴「にちかちゃん、何やってるの?」

にちか「み、み、みみみみ……美琴さん?!」

美琴「ボディチェック? それじゃあ、私もお願いできる?」

にちか「わ、私が美琴さんの体をあちこち触るなんてそんな……!」

灯織「七草さん……? ユニット同士だし七草さんの方がよいかと思ったんですが……無理なら私が代わりましょうか」

にちか「やります!!!!!!!!!!!」

灯織「は、はぁ……」


特にボディチェック事態に成果はないままに終わった。
265 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:18:07.50 ID:R8XLdqbj0

灯織「斑鳩さんはいらしていませんが……それ以外は全員これで確認できましたね」

にちか「まあ多分……来ないんじゃないですかね」

灯織「後は……会場の確認ですね、改めて」

にちか「え、ちょっ……風野さん?!」


突然くるりと向きを変えたかと思うと、そのままずんずんと風野さんは旧館の奥へ。
慌てて後を追っていくと、そのまま風野さんは厨房へと入っていった。

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【旧館 厨房】

恋鐘「ん? 灯織ににちか、何〜? 料理はあらかた済んだけん、大広間で待っとったら持っていくとよ?」

灯織「料理は大体終わった……そうですか」

恋鐘「……灯織?」

灯織「すみません、恋鐘さん!」


一言だけ謝罪の言葉を述べたかと思うと、風野さんはそのまま目にもとまらぬ速さで次々に卓上に並んだ調理道具をジュラルミンケースへと放り込んでいった。包丁もフライパンも何もかも一緒くた。すぐに厨房の調理現場は草一本生えない荒れ地のように、なにもなくなってしまった。


恋鐘「ふぇ〜〜〜〜〜?! な、なんばしよっと?!」

灯織「これも安全のためなんです……危害を加える可能性のあるものは少しでも減らしておかないとだめですから」

(そ、そこまでしなくとも……)


呆気にとられる私たち。それでも風野さんは意にも留めない様子ですぐに厨房を抜けて、別の部屋へと突き進んでいく。


にちか「す、すみません月岡さん!」


私も一言だけ謝って、すぐその後をついていった。


恋鐘「な、なんやったとやろ……」
266 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:19:22.60 ID:R8XLdqbj0
-------------------------------------------------
【倉庫】

灯織「この部屋は特に危険物はなさそうですね……」

にちか「はぁ……はぁ……か、風野さん……どこまで見る気なんですか、もうみんなで一回通り掃除しましたよね……?」

灯織「え、ええ……それはそうなんですが……」


それでも不安だとばかりに辺りをきょろきょろするばかりの風野さん。
心配性もここまで行くと重症だな……


にちか「誰も何も持ち込めないし、何も無いですって……あんまり慎重になっていると、パーティ遅くなっちゃいますよ?」

灯織「……それもそうですね」

灯織「七草さん、お付き合いいただきありがとうございました。パーティ、始めてしまいましょうか」

(よかった、分かってもらえた……)

灯織「皆さんお腹もすいていらっしゃるようですし、それだけでも済ませておきましょう」

にちか「え? それって、どういう……」

灯織「とにかく、いったんは大広間に行きましょうか」


風野さんの言葉の意味は良くつかめず、とりあえずは大広間に戻るとのことだったのでそれについていくことにした。
私も会場に入ってからそれなりに経った、ボディチェックや安全点検はもうたくさんと感じていたところだった。
267 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:20:40.27 ID:R8XLdqbj0
-------------------------------------------------
【大広間】

大広間ではすでに全員が待ち構えていた。手にはジュースの入ったグラスをもって、それぞれ思い思いに談笑をしている。
美琴さんも壁にもたれて、それはそれは優美にフォトジェニックに炭酸水を口へ運んでいた。


美琴「にちかちゃん、お疲れ様」

にちか「美琴さん、お疲れ様です! えっと、パーティはまだ始まってないんですかね」

美琴「うん、料理もまだ揃っていないようだし……始まりはみんなで合わせたいって」

にちか「なるほど……お待たせしちゃいましたかね」

美琴「いいの。恋鐘ちゃんもついさっき料理の盛り付けが終わったばかりみたいだから」

バンッ!

恋鐘「お待たせ〜〜〜〜! うちん特製、スペシャルディナーばい〜〜〜〜〜!」


勢いよく扉が開かれたかと思うと、山盛りになった料理がのせられたワゴンとともに月岡さんが登場。
和洋折衷、ジャンル豊かに取り揃えられた料理の数々、どれも美味しそうで思わずよだれが垂れてくる。


にちか「うわうわうわうわ……! めっっちゃくちゃ豪華じゃないですかー!」

あさひ「すごいっすー! これ、全部食べていいっすか?!」

恋鐘「ふふーん! 好きなだけ食べてくれて構わんとよ! 全員で食べてもまだ余るぐらいの量を用意させてもらったばい!」

夏葉「これは……負けてられないわね!」

智代子「うん! これは食べ尽くさないとむしろ失礼だよね、夏葉ちゃん!」


と、会場全体が食事を前に盛り上がりを見せる中。




……誰よりも最初に飛びついたのは【彼女】だった。
268 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:21:57.72 ID:R8XLdqbj0



灯織「美味しい! 美味しいです!」




恋鐘「ふぇ〜〜〜!? ひ、灯織〜〜〜!? まだいただきますもやっとらんね?!」

結華「ひ、ひおりん?! そんな大食いキャラだったっけ?!」

灯織「すみません、恋鐘さんの料理があまりにもおいしそうだったので……!」

あさひ「えぇ〜〜〜!? 灯織ちゃん、ずるいっすよ〜〜〜?!」

果穂「あ、あたしも食べたいです!」

灯織「あ、あちらのチャーハンもいただかないと……!」

にちか「うわ……な、なにこれ……風野さん、さっきから様子おかしすぎだよ……」

美琴「よっぽどお腹がすいてたんだね」

にちか「いやいや、にしてもですよ! 大会終わりの野球部じゃないんですから!」


ワゴンの上の料理を片っ端から口に運んだ風野さんは満足そうに「美味しかったです」と声を上げた。
そりゃそうだろうとその場にいた全員が思ったことではあるのだけど、それをやったのが芹沢さんなどではなく風野さんだったことに呆気に取られて言葉は出てこなかった。
269 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:23:50.68 ID:R8XLdqbj0

灯織「す、すみません……出過ぎた真似を……」

摩美々「や、別にいいんだケド……灯織、大丈夫―?」

灯織「……うう、急いで食べすぎたみたいです」


風野さんはよろよろとお腹を抱えながら大広間を出ていった。


にちか「な、なんだったんだろう……」

恋鐘「パーティで灯織も浮かれとるたい! うちもあれぐらい喜んで食べてもらえたら作った甲斐があるばい!」

雛菜「それじゃあそろそろ雛菜たちもいただいちゃいます〜? 雛菜お腹ペコペコ〜!」

冬優子「そうだね! 灯織ちゃんは抜けちゃったけど……」

摩美々「じゃ、乾杯の音頭は三峰、任せたー」

結華「え?! ま、まあいいか……えーっと……」
270 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:25:26.63 ID:R8XLdqbj0





結華「この島から全員そろって無事に脱出するための決起集会ということで……とりあえず、かんぱーい!」

「「「「「かんぱーい!」」」」」




271 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:26:36.60 ID:R8XLdqbj0

色々とあったけど、とりあえずパーティはその幕を開けた。
それぞれの机の上に豪勢な料理が並び、それを取り囲んでの立食パーティ。
卓と卓とを行き来しながらいろんな人と話をしつつ、パーティは進んでいく。


愛依「にちかちゃん、食べてる〜?」

にちか「は、はい! いや、すごいです……家にいたんじゃこんなの食べられないですから!」

恋鐘「そがん喜んでくれたらうちも嬉しか! ほら、このシュラスコも食べんね!」

あさひ「あ、それおいしそう! 私も食べたい!」

摩美々「ちょっとー、それ今摩美々が取ろうとしたやつなんですケドー……」

夏葉「いい、智代子? デカ盛りに挑むときは急ぐことより咀嚼に力を入れて消化液をより多く分泌するの。野菜を挟むことも肝要ね」

智代子「もちろん! デカ盛りパフェに挑んだ経験を生かす時だね!」

果穂「あ、あたしの顔くらいあります、このフライドチキン!」

千雪「ふふっ、ホントね。かじりついたら美味しさも倍になるよね」

美琴「食べないの?」

冬優子「あ、いや……その、ふゆ、油っぽいのはあんまり……」

透「おー、プロ意識」

雛菜「でも、その割にさっきから麻婆豆腐はいっぱいとってますね〜?」

結華「え? あ、あー……それ三峰も取っちゃってるから減りが早いだけなんじゃないかなー?」


食事の力というのは偉大だ。
馴染みのない人とでも同じ卓を囲めば、ついつい言葉が口から出てしまう。
そんなついついが飛び交って、重なっていくと、頬も綻んでしまう。

どんちゃん騒ぎが繰り広げられて、時間もどんどん過ぎていく。
272 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:27:47.62 ID:R8XLdqbj0
◆◇◆◇◆◇◆◇

美琴「……ふぅ」

にちか「あれ、美琴さん? どこか行かれます?」

美琴「ちょっと、夜風にあたろうかな。食べすぎちゃったみたいだから」

にちか「だ、大丈夫ですか?! い、胃薬とかいります?!」

美琴「ううん、大丈夫。ちょっと出てれば治るから。それに……この会場にモノクマとか、ルカとかが寄ってきても困るでしょ?」

にちか「見張りってことですか? それならご一緒します……!」

美琴「いいから、にちかちゃんはパーティを楽しんで」

にちか「で、でも……」

美琴「じゃあ、また後で」

にちか「あ、ちょ、美琴さ____

恋鐘「にちか〜〜〜〜! こげんところでなにしとる〜!? ほら、食べんね食べんね!」

にちか「わぁっ?! な、なんでこの人ジュースで酔ってるんですか〜!?」

摩美々「がっつり素面だよー、ほら。恋鐘は雰囲気で酔うタイプだからー」


美琴さんの後を追いたかったけど、なぜか月岡さんに捕まってしまいそのままお別れ。
私はしばらくそのまま酔っぱらい(素面)の対処に付き合うことに。
うぅ……料理はおいしいんだけど、押しつけがましい……
273 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:28:45.34 ID:R8XLdqbj0
◆◇◆◇◆◇◆◇


あさひ「えっ、このお花って果穂ちゃんが作ったの?!」

果穂「えへへ……千雪さんに教えてもらいました!」

千雪「果穂ちゃんがパーティを盛り上げるための飾りつけを手伝いたいって言ってくれたから、スーパーの布材を使って作ってみたの」

果穂「色付けはあたしがやりました!」

あさひ「へー……あ、そうだ!」

タッタッタッタッ

あさひ「冬優子ちゃん、愛依ちゃん! その花飾り、貸してほしいっす!」

愛依「え? うん、いいけど……何に使う系?」

冬優子「あさひちゃん、ふゆも聞かせてほしいな?」

あさひ「みんなの花飾りを集めて花束を作るっす!」

愛依「花束……? どしてまた?」

あさひ「今、パーティにはルカちゃんがいないけど……料理と一緒に渡してあげたらきっと喜んでくれるっすよ!」

千雪「まあ、素敵!」

果穂「わあ……! あたしも手伝います!」

果穂「すみませーん! みなさんの花かざりを一度回しゅうさせてくださーい!」

274 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:30:07.55 ID:R8XLdqbj0

ストレイライトの三人と千雪さん、果穂ちゃんは芹沢さんに協力するようで、卓を回って参加者の花飾りを次々に集めていった。


果穂「にちかさんの花かざりも、いいですか?」

にちか「え、あ……うん。ど、どうぞ……」

(正直、あのルカさんが花束をもらったところで喜ぶかは怪しいけど……)


私も特に断る理由はなかったのでそのまま果穂ちゃんに手渡す。
全員分の花飾りを一通り集め終わると、千雪さんが近くにあった装飾品の布とリボンとで起用に一つに取りまとめ、それを芹沢さんに手渡した。


あさひ「じゃあこれ……果穂ちゃん! 渡してきて!」

果穂「え? あたしですか?」

あさひ「わたしはもうちょっと料理食べたいから!」

千雪「そうだよね、こんなにおいしい料理……離れてる間になくなっちゃってたら悲しいもんね」

千雪「果穂ちゃん、貸して。これは私がきちんと責任をもってルカちゃんに届けます」

果穂「あ、す、すみません……ありがとうございます!」

千雪「ううん、いいの。私の分もパーティを楽しんでね」

(やれやれ……芹沢さんの思い付きなのに勝手なもんだな)
275 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:31:18.37 ID:R8XLdqbj0
◆◇◆◇◆◇◆◇

そうして千雪さんが花束を抱えて会場を後にした数分後。
入れ替わるようにして、風野さんが戻ってきた。
少しげっそりとした様子……最初の暴食で無理がたたった様子だ。


灯織「すみません、ご心配をおかけしました」

夏葉「灯織……大丈夫? さっきは……尋常ではない様子だったから」

灯織「え、ええ……私もそう思います」

愛依「アハハ……灯織ちゃんの分、まだ料理も残してあるよ。さっきの今だから辛いかもだけど、よかったら食べて」

灯織「ありがとうございます……ゆっくりいただきます」

透「これ、美味しかったよ。なんていうんだっけ……ザリ……ザリなんとか」

結華「いやいや、ザリから始まるものってザリガニくらいしかないでしょ?!」

雛菜「それラザニアだよ〜?」

276 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:32:31.34 ID:R8XLdqbj0

メンバーの入れ替わり立ち代わりが激しかったパーティ会場もいったんは落ち着きを取り戻した様子。
それを受けてか、三峰さんはふと思い出したかのように懐からデジカメを取り出し、全員の前に立った。


結華「あ、そうだ! 今日のパーティの写真撮っときたかったんだよね、一枚撮ってもよろしいですか?」

愛依「オッケー♪」

透「いいね、じゃんじゃん撮ろうよ」

結華「そう言ってもらえるとカメラマンとしても最高! よっし、それじゃあ行くよ〜!」

結華「はい、こっち向いて〜?」


結華「はい、チーズ!」


カシャッ

結華「うん、いい感じいい感じ! 後でスーパーで焼き増しするから、ちゃんと全員にお渡ししますよ〜!」

(うわうわ……283プロのメンバー揃ってのパーティ写真とか、どんだけ価値あるんだろう……?!)

恋鐘「結華、写真どがん感じになったばい? ちょっと見せてくれんね?」

結華「オッケー、ちょっと待って……今アルバム開くから……」

ピピッ

それは突然のことだった。
会場に突如として響く電子音。
てっきりデジカメの操作音かと思い、みんな三峰さんへ視線を送る。
三峰さんは自分ではないとばかりに首を振る。


____そしてその直後。
277 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:33:26.74 ID:R8XLdqbj0





バンッ!





暗転。
突如として私たちの視界は黒い闇にべったりと上塗りされてしまった。
278 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:34:51.27 ID:R8XLdqbj0

???「ふぇ〜〜〜〜!? 真っ暗ばい〜〜〜〜〜!」

???「く、くらいですー! て、てい電ですか?!」

???「あは〜! お化け屋敷みたい〜〜〜♡」


俄かにパニック状態に陥る室内。
それぞれがどこにいるかもわからず、誰が何をしているのかもわからない状況に突如陥った。


???「だ、大丈夫です……こういうこともあろうかと……あれ?」

???「やーん! ど、どうしましょう……暗くて何も見えません……」

???「これぞまさにお先真っ暗ってね!」

???「みんな落ち着いて、不用意に動くと危ないわ」

ガシャーン!

???「だ、大丈夫?! 今誰か転ばなかった?!」

???「ちょっとー、今誰か足踏んだでしょー?」

???「え……? な、なん……で……」

タパパッ

???「あれ、から揚げどっか行った……から揚げから揚げ……」

???「ちょ、ちょっと待ってて! うちがどうにかブレーカー入れてくるから! 壁伝いに行けばなんとかなるっしょ!」

???「なんだか目も慣れてきたっすね」
279 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:36:15.12 ID:R8XLdqbj0
そうして暫く思い思いに騒ぎ続けていると……


パッ

あさひ「あ、点いた!」

にちか「わぁっ?! ま、眩しい……!」


トンネルを抜けたかのように、前触れもなく視界が明るくなった。
ずっと闇を見続けていた目にはかえって光が眩しすぎて、思わず腕で自分の目を覆う。


冬優子「もぅ……なんだったんですかぁ……?」

夏葉「設備不良かしら……モノミはこんなこと言っていなかったと思うのだけど……」


徐々に視界の明暗の落差に目も馴染んできた。
私たちは口々に停電に対する不服の声を挙げながら、その腕を下げていき、世界を自分自身の眼で観測を始める。

280 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:37:18.41 ID:R8XLdqbj0

でも、それと同時だった。

私たちは自分自身の五感に強く違和感を感じた。
それは視覚でもなく、味覚でもなく、聴覚でもなく、触覚でもなく……【嗅覚】。


あさひ「……あれ? なんの臭いっすか? これ」

恋鐘「うちん料理とはまた違った臭い……」

雛菜「ていうか、なんだかすごく嫌な臭い〜……」


私は幼いころにこの臭いを嗅いだことがあった。
小学生の時だったか。自転車でそれはそれは結構激しく転んで、膝小僧を縫うか縫わないか、その一歩手前ぐらいに擦りむいたことがある。
膝は赤々とした色合いで、幼心に目をそむけたくなるくらいの凄惨な有様。
お姉ちゃんに見せるときにも、自分は目をつむっていた。

それでも、わかるのだ。
自分の鼻に届く臭いがあるから。
傷口から流れ出す、命と苦しみをないまぜにした、鼻の奥の奥まで染みついてしまう頑固な臭い。
281 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:38:17.92 ID:R8XLdqbj0





あさひ「あ! これ、血の臭いっすね」






282 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:39:43.02 ID:R8XLdqbj0

にちか「……!」

智代子「血の臭いって……なんで……?」

冬優子「う、うそですよね……?」

夏葉「違う! 違うわ! 考えすぎよ!」


背筋を何か冷たいものが撫でた。
それまでのパーティの熱が嘘のように急速に冷えていき、胃袋に溜まった料理が鉛のように重たくなっていく。

そんなこと、あるはずない。
だってこれは、全員で生き抜いていくための決起集会だったはず。
むしろ、あってはならないことなんだ。

そんな言葉を口腔でもごもごと呟きながらも、全員の視線はある一点へと向けられていく。
人間の本能というのは立派なものだ。理性とは無関係に、感覚でそれとわかると勝手にフォーカスを当ててくれる。
それがよくも悪くも……ね。
283 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:40:28.68 ID:R8XLdqbj0

そして、それは私も例外じゃない。
視線はどんどんと高度を下げていく。


壁、

みんなの顔、

パーティの料理、

それが乗っていた机、

机のその足……


…………

……………………

………………………………

…………………………………………

284 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:41:38.56 ID:R8XLdqbj0



………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………

………………………………………………………………………………………………赤。



285 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:42:28.53 ID:R8XLdqbj0






【パーティ会場の大広間、その床には風野灯織の骸が転がっていた】





286 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:43:13.67 ID:R8XLdqbj0
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CHAPTER 01

MIDNIGHTのせいにして

非日常編


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287 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/25(木) 23:45:32.61 ID:R8XLdqbj0

というわけで事件発生まで進めたので本日はここまで。
最近ずっとペースが低調だったので強引にですが進めさせていただきました。
今回の被害者は予想もしやすかったのではないでしょうか。
次回より捜査パートに移ります。

少し点検をしてからにしたいので次回は11/26の夜を予定しています。
安価で行動指定を行う予定なので、参加していただければ幸いです。

それではお疲れさまでした。
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/26(金) 00:24:17.93 ID:o5xbYzCu0
お疲れ様です!続きを楽しみにしてます!
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/26(金) 00:59:44.59 ID:9KrhxZ/J0
ガイシャかホシのどっちかだとは思ったけどやっぱりね
最初に飯食い散らかしたのはやっぱ毒味だったのかな
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/26(金) 23:21:31.53 ID:o5xbYzCu0
今日はお休みですか?
291 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/27(土) 00:09:45.90 ID:2HvOXjB50

すみません、完全に日付を書き込み間違えてました
一日空けて11/27のつもりでした…
お待ちいただいていたところ申し訳ありません!
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/27(土) 00:23:53.42 ID:QFqYBZKM0
明日も楽しみにしてます!
293 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/27(土) 20:58:04.13 ID:2HvOXjB50
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CHAPTER 01

MIDNIGHTのせいにして

非日常編


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294 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/27(土) 20:59:02.60 ID:2HvOXjB50

ほんの数分前、下手すれば数十秒前の話だ。
彼女は私たちと一緒に卓を囲んで、食事を口に運んで、和気あいあいとした会話をしていた。
ついさっきまで、生きていたはずなんだ。

……それなのに。

床に体をぐったりと預けた弛緩し切ったその体からは生気というものを一切感じない。
もはや“これ”がちょっと前には生きていたといわれても、信じられないほどに……【死んでいる】。
これまで漠然としたイメージでしか掴んでいなかった『死』が、これ以上ない鮮明かつ立体的で実像的な形で、私たちの前に姿を現した。


にちか「な、なんで……なんで……なんで風野さんが!?」


思わず風野さんの体に手を触れた。
まだその体はほんのりと温かく、彼女が命を落としたのがつい先ほどであったのを物語る。
ただ、その温かさは私の手の中で急速に、静かに……失われていく。
295 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/27(土) 21:00:11.89 ID:2HvOXjB50

智代子「灯織ちゃん! 灯織ちゃん?!」

あさひ「これ……!!」

果穂「……ひお、り……さん……?」

夏葉「……!! 果穂、見ちゃダメよ!」

にちか「……!! と、とりあえず、テーブルクロスでもかけて隠します!」


小学生が見るにはあまりに刺激が強すぎる。
とっさに私は近くにあったテーブルクロスを死体の上からかぶせた。


恋鐘「灯織、灯織……! 何が、何が起きとうね?!」

結華「ドッキリ……じゃあなさそうだよね」

透「……うん」


考えもしなかった事態を前に狼狽する私たち。目の前で起きているそれを咀嚼することができず、何度も何度も疑った。
頬をつねりもしたかもしれない。

悪い夢であってくれ。
そんなことを現実で思う時が来るなんて、思いもしなかった。


____でも、現実はそんな私たちのことを嘲笑う。
296 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/27(土) 21:02:06.00 ID:2HvOXjB50

ピンポンパンポーン!


冬優子「ひゃぁ!? こ、これって……?」

『死体が発見されました! 一定の自由時間の後、学級裁判を開きます!』

にちか「……は?」

雛菜「ん〜? 何〜? 今のアナウンス〜?」


矢継ぎ早に理解不能を押し付けてくるのが現実というやつだ。
ショート気味な思考回路に割り込んできた突然のアナウンス。
それを確かめるような時間も与えてくれずに、モノクマは姿を現した。

バビューン!!

モノクマ「どうもです!」

結華「も、モノクマ……! こ、これ何がどうなって……」

モノクマ「どうしたのさ、オマエラ。揃いもそろって校長室のツボを割っちゃったみたいな顔しちゃってさ」

智代子「そ、そんな可愛いものじゃないよ! 灯織ちゃんが、灯織ちゃんが……!」

モノクマ「なあんだ、ちゃんと状況はよくわかってるんじゃない。そうだよ、今この状況はオマエラが目で確認したとおり!」
297 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/27(土) 21:03:07.16 ID:2HvOXjB50





モノクマ「【風野灯織】さんが【オマエラの中の誰か】に【殺された】んだよー!」





298 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/27(土) 21:05:11.47 ID:2HvOXjB50

にちか「……!」


本当に、軽々しく口にした。
人の命が誰かの手によって失われたという新聞でも一面を飾るような大きな出来事を、さも当然に、むしろ娯楽の一つでもあるかのように、飄々と。


夏葉「ふざけないで頂戴……! 私たちの誰かが灯織を手にかけただなんて……そんなこと、あり得るわけないでしょう……?!」

モノクマ「あらあら、放課後クライマックスガールズの年長者たる有栖川さんらしからぬ言動でごぜーますね」

夏葉「ど、どういう意味かしら……?」

モノクマ「最年少の小宮さんを抱え込んでおいて、そんな現実逃避みたいなことを口にしちゃってさ、子供の教育には悪影響なんじゃない?」

智代子「げ、現実逃避なんかじゃないよ! だって……わたしも夏葉ちゃんと同じ考え! 仲間内でコロシアイなんて……!」

モノクマ「……はぁぁぁぁ、めんどっちいなぁもう! イヤイヤ期は未就学児の段階でフツー済ませておくものだよ!」

モノクマ「オマエラがどうこう言おうと確かにそれは勝手さ、でもいつまでも現実を直視しないと困るのはオマエラなんだよ」

摩美々「それって、さっきのアナウンスで言ってた【学級裁判】ってのー?」

(……!!)

(そういえばそんなことを言っていた。これまでに聞いたことのない言葉、それが今から開かれると……)

モノクマ「そう! そしてその【学級裁判】こそがこのコロシアイ南国生活のメインディッシュなのです!」
299 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/27(土) 21:07:46.44 ID:2HvOXjB50

モノクマ「オマエラ、この南国生活のしおりはしっかり確認してくれたよね?」

雛菜「モノミの書いてた、自然を大切にするとか仲良くするとかのやつ〜?」

透「……あれ、なんか増えてる」

にちか「え……?」

モノクマ「クロとなった生徒が本当にほかのシロの生徒に殺害を行ったことがバレていないか精査する、それが【学級裁判】なのです!」


【ルール その5 生徒内で殺人が起きた場合は、その一定時間後に、全員参加が義務付けられる学級裁判が行われます】
【ルール その6 学級裁判で正しいクロを指摘した場合はクロだけが処刑されます】
【ルール その7 学級裁判で正しいクロを指摘できなかった場合は、校則違反とみなして残りの生徒は全員処刑されます】
【ルール その8 生き残ったクロは歌姫計画の成功者として罪が免除され、島から脱出してメジャーデビューが確約されます】


モノクマ「学級裁判では誰かを殺害したクロを見つけ出すために全員参加で議論を行っていただきます。議論の結果指摘した生徒がクロだった場合は、クロだけがおしおき。間違った生徒を指摘した場合は、クロ以外の生徒全員がおしおきされ、見事クロの生徒が希望ヶ峰学園歌姫計画の成功者として、この島を出ることができるのです!」

モノクマ「ま、ほかにも細々したルールはあるけど、それは後で各自確認しといてよね!」

冬優子「それってつまりは犯人当てをしろってことですか……?」

恋鐘「ちょ、ちょっと待たんね! さっきから言うとる【おしおき】って何―?!」

モノクマ「あー、そっか! オマエラってばおしおきも知らないんだ! あのね、おしおきっていうのはね……」
300 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/27(土) 21:08:41.36 ID:2HvOXjB50




モノクマ「平たく言っちゃえば【処刑】だよ! エクスキューション!」

モノクマ「巨大な火山に突き落として人間とんかつを作るとか、大量のロボットで一斉に斬殺するとか! 薬を大量投入してオーバードーズにするのもいいなあ、いっそシンプルに野生動物を従えて轢き殺すのもあり! 予算があればゲームに見立てて処刑なんかもしちゃったりして!」

モノクマ「いやぁ、今から夢と妄想が膨らみまクリスティーナ!」




301 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/11/27(土) 21:10:14.74 ID:2HvOXjB50

にちか「……え? い、いやいやいやいや! じょ、冗談だよね……?」

モノクマ「冗談? いつだってボクは本気だよ、ブリバリのマジだよ!」

モノクマ「だってさ、これはコロシアイなんだよ? 一方的に殺すだけじゃ面白くない、殺し殺されのリスクを味わってもらわないと! いわばおしおきはコロシアイにおける、天ぷらの塩ってことだね」


言葉を失った。
モノクマは、ただ私たちの命を弄んでいるんじゃない。
人間としての尊厳すらも、おもちゃとしか見ていない。
人を殺す方法を晩御飯のおかずを考えるときのように、浮足立った口調で話すそれは、別の生物……いや、同じ世界の住人とも思えない異質さだった。


透「……じゃ、灯織ちゃんを殺した犯人を見つけないと……死ぬのはうちら?」

智代子「しかもおしおきなんて、ひどい方法で……」

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