カルネアデス・プリズム(名探偵コナン×竜とそばかすの姫)

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177 :探竜唱 ◆2k5pFFm6nI [saga]:2025/04/12(土) 03:42:27.07 ID:czXWw4F90

「………だとすると………」

「あの学ラン女よ」

低いが迫力のある声を聞き、コナンは顔を上げながらたじろぎそうになる。
そんなコナンの前方に、灰原哀が木陰からぬっと姿を現していた。

「灰原」

「あの学ラン女の、特に交友関係を徹底的に洗うべきね」

「ミチルのか?」

「第一発見者を疑うのはセオリーでしょう。
例え直接犯人じゃなくても何等かの関わりが出て来るかも知れないわ。
だから、あの学ラン女の交友関係人間関係を
徹底的に念入りに入念に洗い直して、
あのおっ学ラン女の周辺に不穏な人間関係が存在していないかどうかを
塵一つ逃さず徹底的に調べ尽くす必要があるわね」

江戸川コナンは、灰原哀とはそれなりに深い人間関係と言える間柄である。

哀はコナンの現在の身の上にも深く関わっている上に、
文字通り命懸けの修羅場その他、本来は高校生探偵であるコナンの
甚だしくドラマチックな場面を共にする機会も矢鱈多く、
それは、コナンにとっては、
体感として二十余年にも匹敵しようかと言う濃度を伴う
壮絶な人生経験を共にして来たと言う事だった。

そうした経緯を踏まえた所、まあ、平常運転の対応で大丈夫だろうと、
そう結論づける事が出来る程度には、江戸川コナンは
今の灰原哀の目の下の隈と三白眼が意味する所を理解していた。

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今回はここまでです>>169-1000

続きは折を見て。
178 :探竜唱 ◆2k5pFFm6nI [saga]:2025/04/24(木) 02:14:32.69 ID:de+UqY4w0

山頂の絶景、堪能しました。

それでは今回の投下、入ります。

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>>177

ーーーーーーーー

「姉キ、上がったよ」

「ええ」

夜、風呂上りにダイニングで水分を補給していた園子は、
通りかかった姉の綾子に声を掛けた。

「お休み」

「お休みなさい」

綾子と挨拶を交わし、自分の部屋に戻った園子は、
そのまま後ろ向きにベッドに倒れ込んだ。

「あー、しんど」

スポーツの応援に出かけて
事件に巻き込まれて帰って来た疲労感を改めて反芻した園子は、
手を伸ばしたスマホの表示に気付いてタップする。
程なく、スマホに電話が着信した。

「もしもし、世良ちゃん?」

「園子君。遅くに悪いんだけど今ちょっといい?」

「いいよ」

「今日の事件、多分新一君もコナン君を介して噛んで来ると思うんだ」

「だろうねぇ」
179 :探竜唱 ◆2k5pFFm6nI [saga]:2025/04/24(木) 02:16:19.29 ID:de+UqY4w0

「それで、先に聞いておきたいんだけど、
新一君とミチル君って知り合いかい?」

「うん、知らない仲じゃないわよ」

「じゃあ、さっさと聞くけど、
二人の間に男女としての感情はあるのかな?」

「無いね。今日もそうだったけどミチル君は蘭をからかう方だし、
新一君もミチル君の事は苦手っぽいし」

「苦手?」

「なんて言うのかな?嫌いって訳じゃないよ、
異性の友達にしては仲がいい方だと思う。
ミチル君、自分で空手道場育ちって言ってるくらいだから
変な意味じゃなくて男慣れしてるし、
その辺はサッカー小僧だった新一君とも馬が合うんだけど」

「体育会系が問題無いなら、後は高度な頭脳戦かな?」

「そゆ事。元々、ミチル君と仲良くなったの蘭が先だからね」

「それは空手の?」

「うん。道場は別だったんだけど、
小学校の、まだ全然小さい頃に一緒になる機会があって、
その時にミチル君が蘭の空手の型を褒めてくれたって。
それから時々話す様になって、
組手や試合で意識する事も増えたったって」

「ふうん、それで蘭君から新一君にかな?」

「うん。あいつ、一応自制はしてるけど、
自分の好きな事を喋り出したら止まらなくなる悪癖があってね。
まあホームズの事なんだけど。
小学校何年生の時か、空手の大会の帰りにスイッチ入っちゃって、
蘭がいい加減うんざりしてた時に
横からするっと話を引き取ってくれたのがミチル君だったって」
180 :探竜唱 ◆2k5pFFm6nI [saga]:2025/04/24(木) 02:18:46.01 ID:de+UqY4w0

「じゃあ、彼女もシャーロキアンなんだ?」

「本人はクリスティー派って言ってるみたいだけどね。
知識も洞察もそこらの自称シャーロキアンが裸足で逃げ出すって。
新一君がそう言うんだから相当なものよ」

「それは大変だ。成程ねぇ、確かにちょっと想像はつくよ」

「でしょ。今日ガキんちょ見てても思ったんだけど、
新一君も頭が切れる分ちょっと小生意気な所あるじゃない。
だから逆にミチル君にはちょっと気後れしてたって言うか」

「新一君もなまじ頭が切れるだけに、
同じ年頃で賢いと認める女の子が相手だと勝手が解らなかったのかな。
お子様だと特にね」

「それかもね。
新一君が高校生探偵とか言って抜群に頭が切れるのは私も見てきたけど、
実際ミチル君も頭が良くて、新一君と一緒でもその点負けてなかったから。
流石に本物の事件に巻き込まれたってのは、
ミチル君に関しては今回が初めてかも知れないけど」

「とは言え、見てる限り本物の事件でも随分と腹が据わってるよ彼女。
頭の回転も速いし精神年齢も高めなのかな」

「あれで苦労人だからねぇミチル君。よく気が付いて優しくて、
私も蘭もそれ見て来たからね。
人懐っこくって何処か捕まえ所が無くて、
それで世良ちゃんと張るくらいのイケメン女子だから
そこも魅力って言えば魅力なんだけど
新一君なんかから見るとその辺ちょっとかもね」

「謎を謎のままにしておくのは居心地が悪いホームズ・フリークか」

「まあ、それでも新一君とも仲はいいんだけどさ」
181 :探竜唱 ◆2k5pFFm6nI [saga]:2025/04/24(木) 02:21:41.27 ID:de+UqY4w0

「そっか。まあ、覚えておくよ。
当面、今日の事件で動くのは毛利探偵じゃなければコナン君だろうけどね」

「ガキんちょかぁー、今回何気に結構ヤバイ犯人でしょ。
危ない事になんなきゃいいんだけど」

「ああ、それはボクも気を付けて見てるよ」

「お願いね。世良ちゃんと蘭が側にいたら百人力だから、
あんな女の敵、もし遭遇したらぎったんぎったんにしてやってよ」

「まあ、危ない事にならない内に解決する事を祈るよ。お休み」

「お休み」

ーーーーーーーー

降谷零警部は、セーフハウスに入るとパソコンを起ち上げ、
ネット回線に繋がっていない事を改めて確認してから記憶媒体を接続する。

「聴き取りの大半は弁護士自身が行ったもの」

呟きながら、降谷はイヤホンを装着して音声ファイルの一つにアクセスする。

「では、先生には私がインタビューをします」

「お願い。他人から聞かれて思い出す事もあるから」

降谷は、少しの間録音された二人の会話を聞き取る。

「回顧録作成を兼ねたclosed case file」

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今回はここまでです>>178-1000

続きは折を見て。
182 :探竜唱 ◆2k5pFFm6nI [saga]:2025/04/27(日) 00:47:35.25 ID:03uZibKc0
訂正です
>>179
===========(誤)↓================
「なんて言うのかな?嫌いって訳じゃないよ、
異性の友達にしては仲がいい方だと思う。
ミチル君、自分で空手道場育ちって言ってるくらいだから
変な意味じゃなくて男慣れしてるし、
その辺はサッカー小僧だった新一君とも馬が合うんだけど」

「体育会系が問題無いなら、後は高度な頭脳戦かな?」
============(正)↓================
「なんて言うのかな?嫌いって訳じゃないよ、
異性の友達にしては仲がいい方だと思う。
ミチル君、自分で空手道場育ちって言ってるくらいだから
変な意味じゃなくて男慣れしてるし、
その辺はサッカー小僧だった新一君とも馬が合うんだけど」

「体育会系が問題無いなら、後は高度な頭脳戦かな?」
==============================

訂正は以上です。

それでは今回の投下、入ります。
183 :探竜唱 ◆2k5pFFm6nI [saga]:2025/04/27(日) 00:48:58.08 ID:03uZibKc0

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>>181

 ×     ×

西多摩市北部住民センター傷害事件の翌日早朝。
如何にも観光客然としたグラサン三人組が高知駅バスターミナルに降り立った。
三人組は、其の儘近くのレンタカー事務所に直行、
事前に話を通しておいた事務所で借り入れた車に乗って近くの警察署に向かう。
警察署の駐車場でスーツ姿の二人組と合流し、計五名で署内の会議室に赴いた。

「警視庁捜査一課強行犯捜査三係主任佐藤美和子警部補です」

そこで、佐藤がサングラスとウイッグを外しながら自己紹介を行う。

「同じく三係高木渉巡査部長です」

「同じく三係千葉和伸巡査部長です」

美和子に同行した警視庁捜査一課の面々が自己紹介を行い、
続いて、会議室に待機していた面々がおよその自己紹介を行う。
ここで待機していたのは、高知県警の本部、所轄から
強行犯担当、少年担当にサイバー担当を加えた十人余りの捜査班だった。

「ご協力感謝します。
早速ですが、マル害渡辺瑠果の鑑取りを行ったのは?」

「私です」

佐藤の問いに挙手したのは県警捜査一課の巡査部長だった。

「こちらに届いた報告を読む限り、特段のトラブルは把握されていない、
そういう事ですか?」

「はい、渡辺瑠果に関しては率直に言って平和そのもの。
事件に発展する様な個人的トラブルは発見されませんでした」

張り詰めた空気の中、デカ長が報告を行う。
捜査報告に於ける「特にありません」。
それは、刑事にとって、上司に詰められ或いは結果に裏切られ、
自分の底の浅さを思い知らされるその恐れと背中合わせの言葉。
184 :探竜唱 ◆2k5pFFm6nI [saga]:2025/04/27(日) 00:51:34.99 ID:03uZibKc0

「渡辺瑠果の鑑取りはこちらでも行いました」

佐藤が続ける。

「渡辺瑠果、千頭慎次郎、東京に来ている吹奏楽部の部員及び引率。
それらの事情聴取を見る限り、
こちらとしても事件に繋がる様な特段の事情は把握出来ませんでした」

それは、東京、高知、双方事情を知る者なら納得出来ると言う、
その様な雰囲気だった。

「渡辺瑠果に対する評価は、明るく社交的で
学校のクラスでも吹奏楽部でも人望の厚い人気者。
部活の中心メンバーで相当数の友人もいる。
加えて、学内では評判の美人で、
女性としての人気も学校内ではトップクラス。
渡辺瑠果自身の人間性も至って健全で、
社交的で外面がいい一方で気持ちの優しい裏表のない性格、
家族関係にも今の所問題は見当たらない。
我々が聞き込んだ範囲でも大凡この様な評価となりましたが、
これはあなたの調べと概ね一致すると考えていいのですね?」

「はい、こちらの聞き込みも大凡同じ結果です」

佐藤の問いに県警で鑑取りを行ったデカ長が答える。

「周辺の男子生徒から見た渡辺瑠果。
正確に言うと、吹奏楽部の女子部員から見た
渡辺瑠果と男子生徒一般との関わりですが、
クラスや吹奏楽部等、一定の理由がある所では男子生徒の友人もいて、
そういう相手には友人として至ってフランクに接している。
一方で、そうした明るい性格に加えて吹奏楽部のエースでもあり、
華やかな美人として学内一般に知られる立場であった為、
男女の関わりとしては高嶺の花と見られる事が多く、
実際に振られた男子生徒も過去に複数存在していた模様」

そこまで言って、佐藤は資料の頁を捲る。
185 :探竜唱 ◆2k5pFFm6nI [saga]:2025/04/27(日) 00:55:08.80 ID:03uZibKc0

「そして、渡辺瑠果自身は自分自身の恋愛に対してむしろ奥手で純情。
それでも恋人である千頭慎次郎との関係は至って円満であり、
彼女の普段の明るくフランクで社交的な周囲との関りとは打って変わって
男女ともに初々しいとしか言い様が無いこの恋人同士の交際を、
本人達も周囲も好意的に受け止めている。
以上がこちらで把握している渡辺瑠果の敷鑑概要ですが、
そちらの調べとも大凡一致する様ですね」

「その通りです」

「学校内では評判の美人で部活のスターでもある人気者。
本人に問題が無いとしても、
一方的な嫉妬やストーカーと言ったトラブルに巻き込まれた様な形跡は?」

「確認しましたが、警察への被害相談は勿論、渡辺瑠果の家族や友人、
周囲の人間関係からその様な形跡は現時点では発見されていません。
強いて言うなら、千頭慎次郎と交際する前、
学内でも有名なモテ男である久武忍との関係が噂された事もあった様ですが、
本人達が只の友人関係と言う以上の関心を示さなかった事もあって、
周辺含めてトラブルと言う程の話にはならなかった様です」

「その話はこちらでも把握していますが、
やはりトラブルの芽と言ったものすら見出せませんでした」

佐藤と県警の鑑取り担当が確認のやり取りを交わす。

「不審者情報も確認されたんですね?」

「ええ。改めて人を出して記録と地取りで確認しましたが、
渡辺瑠果のテリトリーで不審者と言うべき情報は確認されませんでした」

答えたのは、階級としては佐藤よりも上の警部である
この警察署の刑事課長だった。

「仮にこちらに美少女狙いの変質者がいたとしても、
東京で犯行を行うのは流石に不自然ね」

佐藤が独り言の様に言う。
186 :探竜唱 ◆2k5pFFm6nI [saga]:2025/04/27(日) 01:02:14.99 ID:03uZibKc0

「では、渡辺瑠果の友人である内藤鈴。内藤鈴は渡辺瑠果の同級生であり、
インターネット空間『U』で『ベル』の名前で活動している人気シンガー。
高知県警からも資料を送っていただきましたが、
現状、こちらもベルに関する決定的なトラブルは把握していない。
大小幾つかのトラブルはあっても大凡の所は少年係を中心に対処済みであって
比較的悪質なものに就いても
今回の事件に関しては当事者のアリバイが成立している。
この様にまとめてもいいんですね?」

「こちらで直接手を出そうと言う類の事例に就いてはそう言う事になります」

佐藤の問いに返答したのは、
県警本部に属する少年担当の女性警部補だった。

「ベルの実質的なマネージャ―として
警察との交渉を含むトラブル対応を行っている別役弘香への事情聴取。
主に別役弘香との交渉窓口になっている所轄の少年係、
地域警察から刑事警察の所轄、本部の記録から
担当者への聞き取りに至る迄引っ繰り返して調べましたがね。
まあ、あれだけの有名人なので
それなりにいざこざやトラブル、嫌がらせもあって、
中には送検まで行ったものもあるにはありましたが、
報告の通り、そこから今回の事件に繋がるのかとなると、
まず物理的に東京での犯行が難しいケースばかりでして」

発言したのは、県警本部捜査一課の警部補だった。
『U』の歌姫ベル、その世界的有名人への地元対応が突如降って湧いた、
と言うのが高知県警の状況だった。

先ず、所轄警察署に関しても、
ベルこと内藤鈴が通う高校を管轄するこの警察署と
内藤鈴の現住所を管轄する高知県中西部の警察署。
ベルに関しては、この二つの警察署が直接的に関わっている。

今回は被害者である渡辺瑠果の自宅がこちらの警察署の管内であると言う筋論と、
実際に事件に至った以上、県警の中でも比較的都市部で
荒事に慣れていると言う事でこちらの警察署が主として扱う事になっていた。
187 :探竜唱 ◆2k5pFFm6nI [saga]:2025/04/27(日) 01:05:25.22 ID:03uZibKc0

「只、ファンが多い分アンチも多いですから、
行き過ぎ、嫌がらせのネット投稿やメールまで広げると
現実問題として際限がありません。
いや、もちろん悪質性危険性の高いものをなるべく選り分けて
一つ一つ鋭意確認している所ですが」

「その点に就いては、警視庁に於いても捜査中です。
二度手間を避けると言う意味でも、
連携を密に協力しての対処を宜しくお願いします」

この手のネット脅迫捜査の経験者として
県警捜査一課から派遣された巡査部長の言葉に、佐藤が頭を下げた。

高知県警のベル対応に当たって、
生安と刑事の連携は、主にキャリア組の幹部から厳命されていた。

大体に於いてベルに関わるトラブルの予防や相談、対応は
生活安全警察の範疇になるのだが、
もし『U』の歌姫ベルに何か取り返しのつかない事が起きてしまったとして、
それ以前に県警が細かな刑法犯罪への対応を怠っていた、
等と言う事が捲れた日には、社会的に首が飛ぶどころか
県警の物理的殲滅等と言う言葉すら視野に入る。

その事は、主に県警内のキャリア組を通じて
警察庁の意向としても例えでは済まないと厳しく釘を刺されている事であり、
若手を中心に県警内でも決して大袈裟な事ではないと言う事は理解されていた。

「事件が東京と言う事で、気懸りは竜の事ですが」

先程の少年担当の警部補が発言した。

「それは、こちらでも把握しています。
しかし、こちらもそのラインの人間による犯行と言うのは
物理的に難しいと言うのが現時点で浮上している関係者に就いての結論です」

佐藤に視線を送られた高木が返答する。
188 :探竜唱 ◆2k5pFFm6nI [saga]:2025/04/27(日) 01:08:38.66 ID:03uZibKc0

「では、依頼しておいた三名の行動確認に就いては?」

「内藤鈴に就いては、護衛と相談と言う名目で
PS(警察署)で顔見知りの少年係の女警が
彼女の自宅に泊まり込みで張り付いています」

佐藤の質問に本部少年担当の警部補が言う。

「その女警が連れて来るんですか?」

「今日の任意出頭には機捜からも人を出します。
こちらも過去のトラブルで面識がある相手です」

続けての質問に本部捜査一課の警部補から回答があった。

「そうですか。内藤鈴は必ずここに連れて来て下さい。
万一の場合は転んでも構いません」

佐藤の言葉に、会議室が静まり返る。

「佐藤主任、カタギの高校生、それもベルに別件でワッパを打てと?」

刑事課長が引きつり気味に尋ねる。

「飽く迄万一の時です。その時は私が、警視庁が責任を負います」

刑事課長も、地方とは言え本部の一課も経験して管理職を務めている。
この部屋の他の面々も、
佐藤の言葉が警視庁捜査一課の本気である事を早々に理解した。

「久武忍は?」

「念のため自宅に人を張り付かせていますが、
帰宅後外出した形跡はありません。
こちらも予定時刻に出頭する事になっています」

佐藤の問いに刑事課長が答える。
189 :探竜唱 ◆2k5pFFm6nI [saga]:2025/04/27(日) 01:11:42.19 ID:03uZibKc0

「別役弘香は?」

「正規の出頭要請の他、
銀行にあま………再就職した我が社のOBを通じて
彼女の父親に必ず出頭させる様に釘を刺してあります。
これまで別役弘香は我々と協力関係にあり、
事件以降は自宅周辺の重点警邏も指示済みですから
予定通りに出頭すると言う事で」

「そうですか」

刑事課長の声が硬くなっていたが、佐藤はあっさりと了承する。
別役弘香が警視庁の捜査にも積極的に協力して来た事は確かだ。
別役弘香の父親は地元地銀のトップであり、
県警と銀行、互いに無碍には出来ない関係である事も想像に難くない。

「ベル・プロジェクトのキーパーソンは別役弘香ね」

佐藤が念を押す様に言う。

「別役弘香は内藤鈴の友人であり、
ベルの実質的なマネージャ―、プロデューサー。
その様に聞いています」

佐藤に視線を向けられ、千葉が発言した。

「別役弘香はこれまでもベルに関わって何度か警察と関わっていますが
結構な切れ者ですよ。今回の件で事情聴取した時もそうです」

発言したのは所轄刑事課の主任巡査部長だった。

「高校生にしては、でしょう。
ナメてかかる心算は全く無いけど、そういうの慣れてるから。
油断しない様に心しておくわ、有難う」

佐藤が応じる。
190 :探竜唱 ◆2k5pFFm6nI [saga]:2025/04/27(日) 01:15:36.77 ID:03uZibKc0

「別役弘香は確かに頭のいい、如才ないタイプの娘ですが、
ベルの事、内藤鈴の事を心から大切にしている事も確かです」

発言したのは所轄署少年係の女性警察官だった。

「ベル・プロジェクトのメンバーは実質五人。
その内二名には東京で事情聴取しました。
予定通り出頭し次第、私が内藤鈴を、高木部長が別役弘香、
千葉部長が久武忍を事情聴取しますのでご協力願います」

「分かりました」

佐藤の言葉に一同が応じる。

「それでは、時間まで少し用事を済ませて来ます。
何かあれば千葉部長を通じて連絡をお願いします。
高木巡査部長、荷物持ちに同行しなさい」

「はっ。高木巡査部長、これより同行致します」

佐藤と高木が会議室を出た後、千葉和伸巡査部長は速やかに県警勢に包囲され、
先程目の前で展開された猿芝居に就いての説明を求められた。

==============================

今回はここまでです>>182-1000

続きは折を見て。
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