カルネアデス・プリズム(名探偵コナン×竜とそばかすの姫)

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170 :探竜唱 ◆2k5pFFm6nI [saga]:2025/04/12(土) 02:46:03.62 ID:czXWw4F90

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かくして、二人のチアリーダーと真純は、
真純と共に近くに設置されていたオープンカフェ風のテーブル席に移動する。

「じゃあ、君達二卵性双生児なんだ?」

「そ、似てないって普通に言われるし。
名前も、安直とは言わないけど解り易いでしょ」

そう言ったのは、双菜と言うツインテールの娘だった。

「でも、動画を見せてもらったけど息はぴったり、鍛錬の賜物だね。
君達も、それにミチル君もね」

「でしょ」

「有難う」

ニカッと笑う双菜に続き、一実と言うポニーテールの娘が言う。
成程、ここまででも比較的賑やかな双菜に対して、
一実は姉を思わせる落ち着きがあり、
生まれの順と名前と性格が素直に繋がっている様にも見えた。

「そういう訳で、事件当時の関係者、正確には近辺で誰が何処にいたかって言う
タイムテーブルをなるべく正確に把握したいんだけど、
取り敢えず、初士路留君って今日の応援で君達と一緒だったで合ってる?」

真純の問いに、二人はこくりと頷く。

「それで、君達とミチル君は一度住民センターの控室に集合して
君達が着替えて先に会場に向かった。
着替えが遅れたミチル君は部屋の鍵を受付に持って行って
後から合流する予定だった。これでいい?」

「いい」

真純のまとめに双菜が答える。
171 :探竜唱 ◆2k5pFFm6nI [saga]:2025/04/12(土) 02:48:21.45 ID:czXWw4F90

「で、もしかして、
ミチル君って君達の学校でいわゆる王子様だったりする?」

「それで合ってる」

「格好いいから女子のファンも多いのは確かだけど」

真純の質問に双菜が笑みを含んで答え、一実がそれに続いた。

「彼女、身支度に時間がかかるって言ってたけど、
それってTシャツの下にサラシ巻いてるからかな?」

真純の問いに、二人は頷く。

「ここ何カ月かとかって小耳に挟んだんだけど」

「いや、それもっと前から。
そもそもミチ、小学の時の渾名が某サッカー漫画の応援団長だし。
って言うか、なんかの弾みで
そのコスプレで応援したのが大受けして今に至るって聞いたけど」

「うん。私達と応援始めたのは中学からだけど、
その時にはサラシ巻いて学ラン着てた」

双菜に続いて一実が言う。
172 :探竜唱 ◆2k5pFFm6nI [saga]:2025/04/12(土) 02:50:29.61 ID:czXWw4F90

「ずっと前から、か」

「そうだね。まあ、昔は何処の美少年ってスレンダーだったけど、
今はグラドルって言うか月曜日のって言うかAV?観た事ないけど」

「幻滅した?」

「まさか、おっぱいイケメンの溜息とか最高かよ」

「双菜。でも、それは本当。
言っとくけど前から御椀型でスタイルは良かったからね路留。
で、今年、学年変わってからだね。なんかもう鏡餅をパンケーキにする勢いで
脂汗流してぎゅうぎゅう締めてるから私達もそれやめなって言って」

「いやヒト姉ぇも言ってる事酷いから。
それで、インナーでなんとか出来るんじゃないって言ったんだけど、
様式美だとかなんとか意味不明な供述するからさ」

「だから、最近だと最初に私達が手伝って
無駄に動かない程度に締めてる感じ」

取り敢えず一実が話す現状に真純が小さく頷く。

「あの様子だと、仮に彼女が変装してその特徴を隠すなら、
一旦解いて隙間に挟んでるタオルを抜いて、
それでぺったんこになる特殊な下着でも装着してから、
それから又下着を脱いで元に戻すって事が必要になるかな?
もしくは全体的に何か詰め込んで肥満体に化けるか」

「あー、無理無理」

真純の言葉に双菜が手を振って否定する。
173 :探竜唱 ◆2k5pFFm6nI [saga]:2025/04/12(土) 03:36:20.06 ID:czXWw4F90

「うん、私も無理だと思う」

そう言って、一実がスマホを示す。
表示されたのはグループSNSだった。
一実が指した所には、

ごめん、ちょっとそっち行けなくなった

傷害事件に巻き込まれた。通りすがりだけど事情聴取は避けられない

大丈夫、僕が怪我した訳じゃないから

と言うメッセージが表示されている。

「これ打った時、路留一人でいたのかな?」

一実が問う。

「いや、これがリアルタイムならボクらと一緒にいたし、
時刻的にも実際に事件に遭遇してから発信してるね」

「まずあのサラシ巻きを一人で再現するのも難しいと思うけど、
私達が先に行ってから世良さん達に会う迄の間に
世良さんが言った事を実行するだけでもかなり無理、
その前のメールとかで私達が先に行った時間大体時間解るし。
ましてその間になんか事件を起こすとか」

「成程、確かにそれは無理そうだ。
それからもう一つ、彼女は君達に好かれてるみたいだね」

「勿論」

真純の言葉に双菜が即答した。
174 :探竜唱 ◆2k5pFFm6nI [saga]:2025/04/12(土) 03:37:54.44 ID:czXWw4F90

「いい娘だよ、路留は」

続いて答えたのは一実だった。

「頭が良くて気持ちが優しくて、ね。
事件の事調べるのはいいけど、
路留に妙な事をするならあなたは港南高校を敵に回す。
それは現実だって覚えておいた方がいいよ」

「分かったよ」

一実の言葉に、真純は肩を竦めるのを控えて真面目に答えた。
一実の隣では、お調子者に見える双菜も真面目な顔で真純を見ていた。

ーーーーーーーー

散歩道の街路樹に背中を預けていたコナンは、
ひゅっと放られた探偵バッジを右手で受け取った。

「なんか、参考になった?」

「取り敢えず、確実に潰せるラインを
一つ一つ抑える材料にはなった、って所かな?」

真純の問いにコナンが答える。

「確かに」

真純が口を開いた。

「女子同士の方が話し易い事ではあったかな。それは君の計画通りだ」

「まあね」
175 :探竜唱 ◆2k5pFFm6nI [saga]:2025/04/12(土) 03:39:06.68 ID:czXWw4F90

ーーーーーーーー

西多摩市内の救急病院観察室に、
渡辺瑠果と共に東京に来ていた高校吹奏楽部の面々が集まっていた。

「ルカちゃん、どう?」

その集団の中で先頭となった生徒が、
顔の絆創膏も生々しくベッドに座る渡辺瑠果に声を掛ける。

「うん、痕は残らないだろうって先生が」

「良かったぁ」

仲のいい友人から問われた瑠果の答えに、
声を掛けた女子生徒を初めとした吹奏楽部の面々が安堵を見せる。

「でもさぁ」

部員の一人が言う。

「警察って、全員に聞いてる形式的な質問とか本当に言うんだね」

「そうそう、階段の所であの学ランの娘と一緒じゃなかったら
ちょっとヤバかったかもね」

「え?」

「だってさぁ、控室でルカちゃんやられたんだよ。
東京で容疑者になりそうな知り合いとか当面私達しかいないじゃん」

「あー、なーる」

「でもさぁ、じゃあ、なんだったんだろうね」

「ねぇ」

最後の方は皆がごにょごにょ言い出した所で、
口を開いた瑠果に皆が注目する。
176 :探竜唱 ◆2k5pFFm6nI [saga]:2025/04/12(土) 03:41:06.01 ID:czXWw4F90

「この事で鈴ちゃんを責める事だけはやめて欲しいの。
それ、私がずつないき」

「分かってる」

ぴたりと止まって聞いていた部員の中から、
先頭にいた娘が真面目に頷いて答えた。

「憎いのは犯人、それだけだからね」

「有難う」

瑠果が言った所で、部員達は病院だから抑え気味に、
それでも隠せない慌ただしい気配を察する。

「ルカちゃん」

廊下からの声を聞いて、瑠果は両手の指で頬の絆創膏に触れ、
挙動不審に左右を見回す。
そして、正面の友人と目が合い、友人は小さく頷き瑠果も頷き返す。

「どうぞー」

その友人が応答し、観察室に千頭慎次郎が入室するのを潮に、
吹奏楽部の面々は静かに部屋から移動した。

ーーーーーーーー

コナンは、大会の会場近くから
再び控室等がある住民センターに向けて歩みを進める。

住民センターの北側は森になっており、
普通にセンターに入るならば道沿いに南側の玄関から入る事になるが、
センター北側程ではないにせよ、そちらに向かうルートも
半ば林の中の様な森林公園の散歩道がルートの多くを占めている。

実際にコナンのスマホにも蘭から報せが入っているが、
大会も終わりここ、事件の現場周辺に居座るには余り時間が無い。
それまでにすぱっと解決するには、未だ頭の中で組み立てるピースが足りない。
コナンは、一度頭をバリバリ掻いてから、ここまでの時系列、見聞きした事、
先程真純を通じて聞き出した情報を頭の中で整理し直す。
177 :探竜唱 ◆2k5pFFm6nI [saga]:2025/04/12(土) 03:42:27.07 ID:czXWw4F90

「………だとすると………」

「あの学ラン女よ」

低いが迫力のある声を聞き、コナンは顔を上げながらたじろぎそうになる。
そんなコナンの前方に、灰原哀が木陰からぬっと姿を現していた。

「灰原」

「あの学ラン女の、特に交友関係を徹底的に洗うべきね」

「ミチルのか?」

「第一発見者を疑うのはセオリーでしょう。
例え直接犯人じゃなくても何等かの関わりが出て来るかも知れないわ。
だから、あの学ラン女の交友関係人間関係を
徹底的に念入りに入念に洗い直して、
あのおっ学ラン女の周辺に不穏な人間関係が存在していないかどうかを
塵一つ逃さず徹底的に調べ尽くす必要があるわね」

江戸川コナンは、灰原哀とはそれなりに深い人間関係と言える間柄である。

哀はコナンの現在の身の上にも深く関わっている上に、
文字通り命懸けの修羅場その他、本来は高校生探偵であるコナンの
甚だしくドラマチックな場面を共にする機会も矢鱈多く、
それは、コナンにとっては、
体感として二十余年にも匹敵しようかと言う濃度を伴う
壮絶な人生経験を共にして来たと言う事だった。

そうした経緯を踏まえた所、まあ、平常運転の対応で大丈夫だろうと、
そう結論づける事が出来る程度には、江戸川コナンは
今の灰原哀の目の下の隈と三白眼が意味する所を理解していた。

==============================

今回はここまでです>>169-1000

続きは折を見て。
178 :探竜唱 ◆2k5pFFm6nI [saga]:2025/04/24(木) 02:14:32.69 ID:de+UqY4w0

山頂の絶景、堪能しました。

それでは今回の投下、入ります。

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>>177

ーーーーーーーー

「姉キ、上がったよ」

「ええ」

夜、風呂上りにダイニングで水分を補給していた園子は、
通りかかった姉の綾子に声を掛けた。

「お休み」

「お休みなさい」

綾子と挨拶を交わし、自分の部屋に戻った園子は、
そのまま後ろ向きにベッドに倒れ込んだ。

「あー、しんど」

スポーツの応援に出かけて
事件に巻き込まれて帰って来た疲労感を改めて反芻した園子は、
手を伸ばしたスマホの表示に気付いてタップする。
程なく、スマホに電話が着信した。

「もしもし、世良ちゃん?」

「園子君。遅くに悪いんだけど今ちょっといい?」

「いいよ」

「今日の事件、多分新一君もコナン君を介して噛んで来ると思うんだ」

「だろうねぇ」
179 :探竜唱 ◆2k5pFFm6nI [saga]:2025/04/24(木) 02:16:19.29 ID:de+UqY4w0

「それで、先に聞いておきたいんだけど、
新一君とミチル君って知り合いかい?」

「うん、知らない仲じゃないわよ」

「じゃあ、さっさと聞くけど、
二人の間に男女としての感情はあるのかな?」

「無いね。今日もそうだったけどミチル君は蘭をからかう方だし、
新一君もミチル君の事は苦手っぽいし」

「苦手?」

「なんて言うのかな?嫌いって訳じゃないよ、
異性の友達にしては仲がいい方だと思う。
ミチル君、自分で空手道場育ちって言ってるくらいだから
変な意味じゃなくて男慣れしてるし、
その辺はサッカー小僧だった新一君とも馬が合うんだけど」

「体育会系が問題無いなら、後は高度な頭脳戦かな?」

「そゆ事。元々、ミチル君と仲良くなったの蘭が先だからね」

「それは空手の?」

「うん。道場は別だったんだけど、
小学校の、まだ全然小さい頃に一緒になる機会があって、
その時にミチル君が蘭の空手の型を褒めてくれたって。
それから時々話す様になって、
組手や試合で意識する事も増えたったって」

「ふうん、それで蘭君から新一君にかな?」

「うん。あいつ、一応自制はしてるけど、
自分の好きな事を喋り出したら止まらなくなる悪癖があってね。
まあホームズの事なんだけど。
小学校何年生の時か、空手の大会の帰りにスイッチ入っちゃって、
蘭がいい加減うんざりしてた時に
横からするっと話を引き取ってくれたのがミチル君だったって」
180 :探竜唱 ◆2k5pFFm6nI [saga]:2025/04/24(木) 02:18:46.01 ID:de+UqY4w0

「じゃあ、彼女もシャーロキアンなんだ?」

「本人はクリスティー派って言ってるみたいだけどね。
知識も洞察もそこらの自称シャーロキアンが裸足で逃げ出すって。
新一君がそう言うんだから相当なものよ」

「それは大変だ。成程ねぇ、確かにちょっと想像はつくよ」

「でしょ。今日ガキんちょ見てても思ったんだけど、
新一君も頭が切れる分ちょっと小生意気な所あるじゃない。
だから逆にミチル君にはちょっと気後れしてたって言うか」

「新一君もなまじ頭が切れるだけに、
同じ年頃で賢いと認める女の子が相手だと勝手が解らなかったのかな。
お子様だと特にね」

「それかもね。
新一君が高校生探偵とか言って抜群に頭が切れるのは私も見てきたけど、
実際ミチル君も頭が良くて、新一君と一緒でもその点負けてなかったから。
流石に本物の事件に巻き込まれたってのは、
ミチル君に関しては今回が初めてかも知れないけど」

「とは言え、見てる限り本物の事件でも随分と腹が据わってるよ彼女。
頭の回転も速いし精神年齢も高めなのかな」

「あれで苦労人だからねぇミチル君。よく気が付いて優しくて、
私も蘭もそれ見て来たからね。
人懐っこくって何処か捕まえ所が無くて、
それで世良ちゃんと張るくらいのイケメン女子だから
そこも魅力って言えば魅力なんだけど
新一君なんかから見るとその辺ちょっとかもね」

「謎を謎のままにしておくのは居心地が悪いホームズ・フリークか」

「まあ、それでも新一君とも仲はいいんだけどさ」
181 :探竜唱 ◆2k5pFFm6nI [saga]:2025/04/24(木) 02:21:41.27 ID:de+UqY4w0

「そっか。まあ、覚えておくよ。
当面、今日の事件で動くのは毛利探偵じゃなければコナン君だろうけどね」

「ガキんちょかぁー、今回何気に結構ヤバイ犯人でしょ。
危ない事になんなきゃいいんだけど」

「ああ、それはボクも気を付けて見てるよ」

「お願いね。世良ちゃんと蘭が側にいたら百人力だから、
あんな女の敵、もし遭遇したらぎったんぎったんにしてやってよ」

「まあ、危ない事にならない内に解決する事を祈るよ。お休み」

「お休み」

ーーーーーーーー

降谷零警部は、セーフハウスに入るとパソコンを起ち上げ、
ネット回線に繋がっていない事を改めて確認してから記憶媒体を接続する。

「聴き取りの大半は弁護士自身が行ったもの」

呟きながら、降谷はイヤホンを装着して音声ファイルの一つにアクセスする。

「では、先生には私がインタビューをします」

「お願い。他人から聞かれて思い出す事もあるから」

降谷は、少しの間録音された二人の会話を聞き取る。

「回顧録作成を兼ねたclosed case file」

==============================

今回はここまでです>>178-1000

続きは折を見て。
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