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【シャニマス×ダンガンロンパ】灯織「これが私たちの答えです」【安価進行】
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209 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 14:14:35.45 ID:uz0wsKDr0
『卒業〜graduation〜』
ここまで四つのおしおきを終えて来た有栖川さん(偽)はもう虫の息。
地面に這いつくばるようにしながら、呼吸をするので精一杯。
……お別れの時は刻一刻と近づいています。
だったら最後に、思い出のための写真を撮ってあげましょう!
有栖川さん(偽)の這いつくばる教室の床が急に抜けたかと思うと、抵抗する余力もない体はそのまま無防備に落下。
待ち受けるのはあのシャッター付きの巨大カメラ。
これなら、美しい思い出の一枚が撮れそうですね!
ほら、有栖川さん(偽)も嬉しそう。
自分の死を直前にして押し寄せる絶望感の快楽を前に、その笑顔はアイドルさながらの美しさです!
____シャッターチャンス!
カシャッ
グシャッグシャ……バキッ……
一生に一度の卒業写真に写った彼女は、もはや有栖川さんでもましてや元々の彼女とも似ても似つかない、醜い醜い肉塊でしたとさ。
210 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 14:17:26.00 ID:uz0wsKDr0
正体不明の、夏葉さんの見た目をした人物の死。
それがなんとも居心地悪く頭と心中とを濁らせた。
分かってはいたことだが、あまりにもこの学園では命が軽すぎる。
これまでの仲間の死とも異なる、本当にただ無機質に処理のためだけに行われたおしおきにそれを実感して成らなかった。
努「……終わったな」
智代子「ひ、ひどい……!」
灯織「な、なんてことを……!?おしおきを実行する必要性はありませんでしたよね……!?」
努「……お前たちは甘すぎる」
努「この学園では殺すか殺されるかだ。この学園から出ていくなら、死をもって代金とせねばならない。自分の命か、他人の命を犠牲にしてな」
灯織「だからって、用が済んだら切り捨てるんですか?!」
努「ああ」
灯織「……!!」
努「彼女も生前話していただろう。チーム・ダンガンロンパとはゲームのダンガンロンパにおける思想に感化された集団……己が死という絶望を享受できて、むしろ私に感謝すらしているかもしれないな」
摩美々「そんなの、狂ってるってー……」
211 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 14:20:08.77 ID:uz0wsKDr0
努「まあ、過ぎたことは仕方ないだろう? これ以上彼女を悼んだところで彼女たちが戻ってくるわけでもない。我々がすべきなのは、これからの話だ」
雛菜「これから〜?」
努「ああ、この学園を出た後の君たちの処遇についてだ」
(……え?)
努「さきほど彼女から説明もあった通り、諸君らにはVERTEXの優勝を目指してコロシアイ合宿生活の生存者たちでユニットを組織してもらう予定だ。コロシアイの中でいくつも直面した絶望、それを乗り越えた諸君らなら最高のアイドルになれると確信しているぞ」
灯織「ま、待ってください!」
努「……どうした? ユニットは不満か?」
灯織「それ以前の話です……この学園を出るって……本当なんですか?!」
努「……? 何を言っているんだ、君たちはもともとこの学園から出るためにコロシアイをしていたはずだろう?」
灯織「だ、だとしてもです……黒幕であるあなたが、こうもすんなりと脱出を許可するなんて……」
努「それも先ほど説明した通りだ。既にお前たちの成長は十分なものとなった、VERTEXでも十分やれるはずだ」
努「……外の世界が怖いか? 確かにお前たちはこの一か月、鳥かごの中の生活を強いられてきた、だがお前たちが本来住んでいたのは外の世界の……もっと自由な青空だったはずだ」
努「お前たちは元居た空に戻るだけ。なにも怖がることはない」
(……違う、これならまださっきの夏葉さんの偽物の話し方の方が信用できた)
(あの人はおそらく、表面上のことしか聞かされていなかったんだろう……だから心からVERTEX優勝のためという建前の目的を信じて語ることができた)
(でも、社長の口ぶりはそうじゃない……脱出という餌をぶら下げて、それに私たちが食いつくのを待っている)
(……この裏に、間違いなく何かがある)
212 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 14:22:27.13 ID:uz0wsKDr0
愛依「でも、これで外の世界に出られんなら……一旦社長の言う通りに脱出する?」
雛菜「ここにいる理由もないですしね〜」
智代子「……」
摩美々「どうしたの、チョコー?」
智代子「……ごめんね、この学園からもう出れるって言うこの局面になってなんだけど……凛世ちゃんの言ってたことが気になるなって」
灯織「凛世の言葉……?」
-------------------------------------------------
灯織「それって裁判の最後に語ろうとしていた……『コロシアイ合宿生活を続けようとした』ことと関係してるの?」
凛世「……はい」
めぐる「コロシアイ合宿生活を続けたかったってこと……なんだよね?どうして……?」
めぐる「わたしたちと同じ気持ちだったら、むしろ全員生き残ることを目指したかったんじゃないの……?」
凛世「凛世の気持ちが、みなさんと共にあることと……生還を望む気持ちとは、必ずしも同じでないのです……」
円香「……それ、どういう意味?」
凛世「この学園から、生きて出ていくこと……それは死するよりも、残酷なことなのでございます……」
灯織「……え?それってどういう意味……!?」
凛世「……詳しくは、語れません」
凛世「ただ、今コロシアイ合宿生活が終われば……これまでのみなさんの苦しみ、そして想いが……泡沫に散り果てることとなってしまうのです……」
凛世「ここで生活が終わるくらいなら、みなさんをここで……凛世の手で弔いたく、この裁判を起こさせていただいたのです……」
(死以上に苦しむことになる生還……?)
灯織「……凛世は、凛世なりに考えてこの事件を起こしたってことだったんだね」
凛世「……左様です」
-------------------------------------------------
213 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 14:24:09.31 ID:uz0wsKDr0
智代子「凛世ちゃんは、このコロシアイが終わってしまうことを怖がってるような口ぶりだったよね……? でも、今のわたしたちに、特にそういう事態は起こってないのが、なんとなく気になって……」
灯織「……確かにそうだね、私たちの苦しみや想いが無に帰ってしまうなんてことまで言ってたけど……今の社長の話では特にそんなものが感じられなかった」
愛依「ってことは、社長はうちらにこの脱出について何か隠してるってコトなんかな……?」
努「……」
摩美々「凛世の言ってたこと、その意味を考えてからでも判断は遅くないかもねー」
雛菜「それじゃあそれを議論してみよっか〜! ね、いいですよね〜?」
努「……好きにしろ」
(……凛世が私たちに託してくれた想い、その真意を読み解く時が来た)
(きっとこれが、真相にたどり着くうえで最も重要なピースになる……!)
214 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 14:25:35.09 ID:uz0wsKDr0
-------------------------------------------------
【ノンストップ議論開始!】
コトダマ
‣【被検体α】
‣【VERTEX】
‣【プレゼン資料】
‣【コロシアイ学園生活】
‣【Aへのメール】
‣【2F男子トイレ奥の空間に存在したメモ】
‣【キャンプの写真】
‣【コロシアイの動機】
努「この合宿生活のプログラムは終了した」
努「諸君らにはこの学園を出た後≪VERTEXに挑戦してもらう≫」
努「そこで最高のアイドルになって私の悲願が達成される……!」
智代子「でも凛世ちゃんはこのコロシアイは終わらせちゃダメだって言ってたよ!?」
摩美々「このコロシアイを終わらせることで≪何かしらのデメリットが生じる≫のかもねー」
愛依「死ぬより残酷なことってなんなんだろ……」
雛菜「≪これまで通り生きていけなくなる≫のはそうだよね〜」
雛菜「みんなユニットの仲間を失ってるんだし、お仕事も日常も変わっちゃうよね〜」
摩美々「でも、それってコロシアイが続こうが続くまいが変わらなくないー?」
智代子「やっぱり私たちの知らない何かがあるんだよ!」
努「……」
【正しいコトダマで正しい発言に同意しろ!】
↓1
215 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 14:34:16.84 ID:iL5AHmL80
被検体α → これまで通り生きていけなくなる
216 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 14:36:22.86 ID:ooW7Zp/WO
何かしらのデメリットが生じるに被験体α
217 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 14:37:36.69 ID:uz0wsKDr0
灯織「それに賛成です!」
【同意!】
灯織「……これまで通り生きていけなくなる、それは確かにこのまま学園を出ても同じことではある」
灯織「でも、ただコロシアイを経験した人間だから……以上の意味がそこにあるんじゃないかな」
雛菜「え〜?」
灯織「……むしろ、別人としての生き方をするしかなくなるっていうぐらいに」
愛依「別人……それってうちが和泉愛依じゃなくて、別の誰かになるってこと……?」
灯織「ここに、とある実験記録があります。地下一階の開発室で回収したものになるんですが……なんだかそれに関連性の高い記述があるんです」
『我々の開発も一定の成果をあげた。マウスによる生体実験も無事に成功、いよいよ続いての段階に遷移することとした。本実験の最後では全被験者への適用が予定されているが、特に適正値の高い被検体αに先行して適用した。彼女はもとより性格面で類似性があったためか、特に拒絶反応も発生することなく実験も成功した』
雛菜「性格面で類似性〜?」
智代子「これって実験の中身がまるで見えてこないね……性格にかかわる実験って何のことだろう……?」
灯織「多分、これってその人自身の性格を変えてしまうみたいな実験なんじゃないかな?」
摩美々「……!! そういう意味では、今摩美々たちは目撃したばかりだよねー」
摩美々「別人としての生き方をするしかなくなった人を……」
智代子「も、もしかしてさっきの夏葉ちゃん?!」
218 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 14:39:12.91 ID:uz0wsKDr0
灯織「あの人は、元々夏葉さんとは何ら関係のない人だったと社長も話していました。それなのに、あのレベルの人格再現……そして、私たちはあれに似た現象をこれまでに一度見ています」
摩美々「それって、霧子のことだよねー」
-------------------------------------------------
モノクマ「本物の超高校級の保健委員の人格をそっくりそのまま幽谷さんの中にインプットしてあげたんだ!」
モノクマ「ていっても流石に上書きしたわけじゃないよ?海馬の部分にチョチョイとメスを加えて脳髄の分泌物が……」
モノクマ「まあ詳しい説明はどうでもいいよね、それこそ超高校級の神経学者にでも聞いてやりなよ!」
咲耶「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
咲耶「それじゃなにかい?!いま、私の前に立っているのは霧子の姿をした別人だということかい?!」
霧子「ふふ……♪」
モノクマ「だから、上書きじゃないんだって!上書きじゃなくて統合!」
モノクマ「もともとあった幽谷さんの人格と超高校級の保健委員の人格が融合したんだよ!」
-------------------------------------------------
灯織「あの時にもモノクマは、人格を霧子さんの体の中に入れ込んだと言っていました……どんな技術なのかはサッパリですが、夏葉さんと同じことがそこで行われていたのではないですか?」
雛菜「うーん、多分霧子ちゃんのパターンと夏葉さんのパターンは正確には違うんじゃないかな〜」
雛菜「霧子ちゃんの場合はもともとあった人格を残したうえで人格を統合させてるけど、夏葉さんを真似た人は人格そのものを変えちゃってるし〜」
雛菜「社長の話し方をみるに、雛菜たちの人間性まで捻じ曲げるんじゃこのコロシアイの目的がブレちゃうもんね〜」
愛依「……えっ!?それじゃあうちらも霧子ちゃんとさっきの夏葉ちゃんみたいに人格を入れられちゃうってことなん!?」
努「……」
智代子「そっか……そう考えると凛世ちゃんの言ってたこともわかるよ。わたしたちは実際別人のように変わってしまった霧子ちゃんのことを見ちゃったし……あれと同じことが私たちの身に起きたら……」
灯織「社長……違いますか? 私たちをこの学園から脱出させる、そこにはもっと別の意図……私たちの身に何か手を加えようとする意図があるのではないですか?」
努「……」
219 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 14:42:10.39 ID:uz0wsKDr0
努「……聡いな、お前たちは」
社長は笑うように独り言つと、その場で指を鳴らした。
再び場内に響き渡る地響きに当惑する私たちに憮然とする社長。
それから数刻後、私たちは衝撃的な光景を見ることとなった。
灯織「て、天井が……割れた……?」
地の奥底に押し込められた私たち。
日の光の一つも届かぬ深淵の住人ともなった私たちの目に飛び込んできたのは、太陽と見まごうばかりに巨大な電灯だったのである。
天井の一切を占有する巨大な電灯には、なにか複雑な回路のようなものが透けて見える。
努「これが何だかわかるか? お前たちも知っての通り、【思い出しライト】だ。ここまでの巨大なものは初めて見るだろうがな」
愛依「うちらの記憶を呼び起こす……ように見せかけて、記憶を植え付けるための機械……」
努「人格とはすなわちその人間がこれまで過ごして来た人生経験そのものだ。人との対話、積み重ねた努力、苦悩の経験、挫折の葛藤……それらすべてを蓄積したものが人格を形作る」
努「そしてその蓄積が、【記憶】と呼ばれるものなのだよ」
灯織「それってつまり……」
220 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 14:44:07.04 ID:uz0wsKDr0
努「そういうことだ。卒業が確定し次第、お前たちには人間一人分の記憶を受け取ってもらうぞ」
221 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 14:45:09.08 ID:uz0wsKDr0
灯織「人間一人分の……記憶!?」
摩美々「思い出しライトを使えばその人の持ってない記憶だってねじ込めるのは身をもって経験済み……その応用ってわけですかぁ」
雛菜「っていうより雛菜たちに使った思い出しライトはその試作版みたいな感じだったりするんじゃないかな〜」
愛依「ってことはうちの体に、もう18年分の記憶が入るってこと?!そんなんどうなんの?!」
灯織「……どうなるのかは、霧子さんをもって目撃しています」
努「なに、完全に別人になるというわけではない。元あった人格に更に属性が付与される、程度に考えておけばいい」
摩美々「そう単純な話じゃないですよねー」
愛依「て、てかさ! 記憶を入れるにしても、いったい誰の記憶を入れるわけ?!」
智代子「そうだよ! まさか……これまでになくなったみんなの記憶を……!?」
努「ふん、そうではない」
努「大体今見たばかりだろう、生きた人間の記憶では操作する側も把握しきれない要素が表出してしまう。園田の食習慣のようにな」
努「そうした際に人格が事実の需要に対し拒否反応を起こしてしまえば使い物にならなくなってしまう」
智代子「じゃあ、いったい誰の記憶を入れるの……?」
(生きた人間の記憶だと不適切……?)
灯織「もしかして、あれってそういうことだったんですか……?」
雛菜「灯織ちゃん何か心当たりがあるの〜?」
灯織「うん……チーム・ダンガンロンパは私たちの中にこの人たちの記憶を入れ込もうとしてるんじゃないかな……」
【正しいコトダマを選べ!】
>>5
〜
>>7
↓1
222 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/09(土) 14:50:47.08 ID:cKcIg8Sd0
【コロシアイ学園生活】
223 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 14:53:37.20 ID:uz0wsKDr0
灯織「この人たちの記憶を入れ込もうとしたのではないでしょうか?」
愛依「……あれ? でも霧子ちゃんに入れられた記憶って超高校級の保育委員の子の記憶なんだよね? コロシアイ学園生活にはいなくない?」
灯織「……あっ」
(コロシアイ学園生活の参加者の記憶……間違ってはいないけどわずかに食い違う)
(もっと直接的な証拠はなかったかな……?)
【正しいコトダマを選べ!】
>>5
〜
>>7
↓1
224 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 14:55:30.06 ID:3Iy7L2zD0
候補者リスト
225 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/09(土) 14:56:41.68 ID:+nHyngZR0
コロシアイ学園生活
226 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 14:57:47.45 ID:uz0wsKDr0
灯織「これです!」
【解!】
灯織「ロッカールームに保管されていたリストなんですが……このリストにはこの場にいる全員、それにこれまで犠牲になった人たちも全員の名前が書かれています」
灯織「そしてその横には……超高校級の才能も」
摩美々「才能……?」
灯織「希望ヶ峰学園にいたとされる生徒の持っていた才能ですよ。思い出しライトでねじ込まれた記憶の中でも、いくつか心当たりがあります」
灯織「例えば、真乃にはこの学園で与えられた才能と同じく【超高校級の飼育委員】・田中眼蛇夢の名前が書いてありますし、私にも【超高校級の占い師】・葉隠康比呂の名前が書いてあります」
摩美々「実際霧子にねじ込まれた人格も、【超高校級の保健委員】・罪木蜜柑のものだったことを鑑みるとー……」
摩美々「あの思い出しライトで私たちにねじ込みたい人格は、概ねこのリスト通りってことでいいんじゃないかなぁ」
努「クククッ、ご明察だよ。そのリストと同じデータがあの光源からは放射される仕組みになっている。幽谷はその予行といったところだったわけだ」
努「実際彼女自体は強い適正を示してね、実験としては成功といえるだろう。……まあ、罪木の人格形成の要素として江ノ島盾子に対する崇拝が含まれたがゆえに少々暴走してしまったがね」
227 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 15:00:10.52 ID:uz0wsKDr0
愛依「ってかちょっと待ってよ! 希望ヶ峰学園も、超高校級の才能も、この人たちもみんなみんな……フィクションの存在なんでしょ?!」
灯織「……だから先ほど社長は生きた人間の記憶だと人格の入れ込みに支障があるって言ったのだと思います。あくまで創作物の中のキャラクターであれば、人格構成要素のすべてを拾うことも可能、詳細な設定も思いのままでしょうし」
摩美々「それになにより、この人は完全にチーム・ダンガンロンパの組織の人間なんだよー? ゲームの思想に完全に感化されちゃってるわけで、そんなバカげた発想をしててもおかしくはないってことだよねー」
努「……馬鹿げている? 違うな」
努「確かにダンガンロンパは一ゲーム、一フィクションの存在にすぎない。だが、才能を持つ者同士が潰し合い、淘汰し合い……その結果生まれる生存者という存在……彼らほど美しい存在もない」
努「そして彼らはもとよりこの国の希望と言うべき存在なのだ。そんな希望が、我々の世界にもいれば、このくだらない退屈で飽和しきった世界を照らしてくれるとは思わないか?」
努「そう、この世界には希望が求められている……! 我々はそのためにダンガンロンパをこの世界で再現することに決めたのだ……!」
愛依「ダメだ……うち、一個も理解できないし……したくもない」
228 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 15:02:20.56 ID:uz0wsKDr0
灯織「要は社長は、ダンガンロンパのキャラクターを私たちと人格統合するためにこのコロシアイを起こしたってことなんですね……?」
努「ああ、そうして生まれる【超高校級の歌姫】たちを率いてVERTEXに優勝する……!! それこそが私の実現を目指した、【方舟計画】なのだよ!」
灯織「【方舟計画】……!! 本当の狙いはこれだったんですね……」
摩美々「ダンガンロンパのキャラクターの人格、それを私たちという箱舟に乗せて現実世界へと持ち出す……」
摩美々「明らかになってみればそのまんまのネーミングだったってわけですねー」
智代子「でも、それだったら……コロシアイなんかする必要はなかったですよね?!」
智代子「人格を入れ込むだけじゃ……こんな仲間同士で血を流す必要なんか!」
努「それは違うな」
229 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 15:06:41.29 ID:uz0wsKDr0
努「お前たちもこの学園でコロシアイに身を投ずるまでは退屈な日常を貪るだけの存在、希望とは程遠い【凡人】だったのだよ」
努「だが、ここでコロシアイ合宿生活を体験してみてどうだ? 死というものを意識するようになったお前たちは大きく変わった。何があろうとも前に進む勇気、仲間のことを信じ続ける意志の強さ、物怖じせずに現実に向き合える胆力。そのすべて、この生活でなくては育まれることの無かった【要素】を得た」
努「そして、それはコロシアイの世界にいたダンガンロンパの超高校級の生徒たちも持っていた【要素】だ」
灯織「……!!」
努「……このコロシアイは、必要なものだったのだよ。お前たちと、入れ込む人格との適合率を上げるためにはな」
摩美々「それじゃあ摩美々たちは、自分以外の何者かになるためにこのコロシアイをしてたってわけですかぁ……」
智代子「じゃあ凛世ちゃんが言ってたここでコロシアイを終わらせないって言うのは……」
努「あの段階でダンガンロンパの超高校級の生徒たちとの適合率はある程度満たしてはいたんだ。幽谷が実際成功したわけだしな、だからあの時の動機は半ばコロシアイを打ち切ることも覚悟したものだった」
努「ただ、杜野はこの目的を知ってしまっていたからな。私を裏切って、延期する方向に動いたわけだ。全く……厄介なことをしてくれたものだよ」
230 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 15:07:40.07 ID:uz0wsKDr0
灯織「……あなたの目的はわかりました。そのうえで一つお聞きしていいですか?」
努「どうした、風野」
灯織「この候補者リスト……浅倉さんのところの表記についてお伺いしても」
雛菜「……!! 透先輩のとこ、黒塗りになってる……?!」
智代子「それに横矢印で灯織ちゃんの名前が書いてある……?」
努「……ああ、それか」
努「そうだな、お前たちは……特に風野は知っておくべきだろうな。だが、それの答え自体はお前も知っているはずだぞ?」
灯織「……え?」
努「そこの黒塗りの下を明らかにする、その大きな手掛かりを知っているはずだ」
努「示して見せろ、お前ならできるはずだ」
(浅倉さんの黒塗りの部分を明らかにする手掛かり……? それって……)
【正しいコトダマを選べ!】
>>5
〜
>>7
↓1
231 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 15:13:58.41 ID:/TPZDUlUO
【2F男子トイレ奥の空間に存在したメモ】
232 :
すみませんちょっと離席してました
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 15:20:25.83 ID:uz0wsKDr0
灯織「これです!」
【解!】
灯織「もしかして、あの男子トイレ奥で見かけたメモ書きのことですか?」
摩美々「それって確か……『このコロシアイは浅倉透のため』ってやつだったっけー」
努「その原本は樋口が処理してしまったわけだが……その通りだ。あのメモ書きは、初めから真実を示していたのだよ」
灯織「真実を……?」
雛菜「幼馴染の雛菜にもサッパリだったし、あれってどういう意味だったの〜?」
努「そうだな、ここはお前たちのお得意の推理で整理してみようじゃないか。箱舟計画、浅倉透、風野灯織……その要素を繋ぐ一つの回答が思いつかないか?」
摩美々「モノクマの時の回りくどさは今も健在ですねー」
(私と浅倉さん……箱舟計画……これらを繋ぐ、回答……?)
(あの黒塗りの下を予測するうえで、あのメモ書きがどんなふうに効力を発揮するというの……?)
233 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 15:21:10.74 ID:uz0wsKDr0
-------------------------------------------------
【ロジカルダイブ開始!】
Q1.箱舟計画の目的は?
A.世界を絶望で満たすこと
B.生き残りに江ノ島盾子の人格を入れ込むこと
C.適合率の高い超高校級の生徒の人格を入れ込むこと
D.別の星で種の保存をすること
Q2.「このコロシアイは浅倉透のため」とはどういう意味?
A.透がコロシアイの黒幕
B.透がチーム・ダンガンロンパに呼びかけた
C.透をこのコロシアイの中で殺す予定だった
D.透に入れ込む予定だった人格が目当てだった
Q3.どうして透の候補者リストには黒塗りと灯織の名前があった?
A.透に入れ込む予定だった人格を灯織に入れることにしたから
B.灯織の人格を透に入れ込む計画に変わったから
C.透には既に別の人格を入れてしまったから
D.入れるはずの人格がロストしてしまったから
【正しい道筋を選んで推理を組み立てろ!】
↓1
234 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 15:23:41.06 ID:QkaTF2IzO
C→D→A
235 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 15:26:22.78 ID:uz0wsKDr0
灯織「推理はつながりました!」
【解!】
灯織「先ほどの箱舟計画の目的を確認しますと、私たちの中に超高校級の生徒たちの人格を入れ込むことが目的だったはずです」
灯織「そうなると、『このコロシアイは浅倉透のため』という文言がそれにガッチリとはまってくるんです」
努「……ほう?」
灯織「浅倉さんに入れ込むための人格が、目的だったという意味合いにはなりませんか?」
摩美々「え、それじゃあ摩美々たちは……透とその人格の適合率をあげるための舞台装置だったっていうコトー?」
智代子「わたしたちの誰が生きて、誰が死んでも……関係なかったってこと……?」
努「……」
灯織「でも、浅倉さんは最初の事件で命を落としてしまった……黒幕の計画ははじめに破綻してしまった」
灯織「でも、浅倉さんに入れるはずだった人格の適性は……私にもあったのかもしれません」
摩美々「そのための黒塗りと矢印ってことですねー?」
雛菜「透先輩に入れるはずだった人格を、灯織ちゃんに切り替えたっていうことなんだ〜!」
灯織「その人格が誰なのかはわからないけど……黒幕の真の狙いは、その人格の受け皿だったということなのではないでしょうか」
努「……流石、それでこそ【超高校級の希望】の器だ」
236 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 15:27:57.11 ID:uz0wsKDr0
愛依「超高校級の……希望……」
努「今言ってくれた通り、箱舟計画の中でも最も実現が望まれていたのが、超高校級の希望・苗木誠の人格の実現なのだよ」
愛依「……あれ? 苗木誠って超高校級の幸運じゃなかったっけ?」
努「ああ、お前たちに思い出しライトで入れ込んだ78期生の入学時の報道……あの段階では彼は一般市民の代表としての超高校級の幸運という才能を与えられていた」
努「だが、ダンガンロンパとは彼の成長譚でもある。仲間の死を乗り越えて前へと進み続ける彼は、超高校級の絶望・江ノ島盾子を打ち破ることにも成功する……その結果、彼は超高校級の希望とまで言われるようになったのだ」
智代子「確かにすごい人だけど……透ちゃんと灯織ちゃんの人格をかき乱す理由にはならないはずだよ!」
努「お前たちが何と言おうと……箱舟計画に変更はない。お前たちと人格統合を行い、超高校級の高校生を作り出すため、苗木誠をこの現実に作り出すため……」
努「このコロシアイは終結を迎えるのだ!」
(こ、これが……このコロシアイの全貌……!!)
237 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 15:29:35.45 ID:uz0wsKDr0
努「さて、真相をすべて騙り終えたところで、そろそろ頃合いだな」
摩美々「頃合いって、まさか……摩美々たちを卒業させて、人格を入れ込むんですかー?」
灯織「……!!」
努「ああ、お前たちが投票ボタンで黒幕である私に投票した時点で頭上の思い出しライトが起動する。それを通して、箱舟計画の全ステップが完遂されるわけだ」
智代子「そ、そんな……そんなの嫌だよ! そんな、別の人の人格なんか……!」
努「……もしそれが嫌なら、別の誰かに投票することだな。だが、自ら『絶望』を選び取るようなアイドルなどこの世界では求められてはいない。その時点で待っているのは残虐を極めるおしおきだ」
雛菜「それって要するに、【別人になるのを受け入れることができないならここで死ね】ってことですよね〜?」
愛依「ま、マジで言ってる……? こ、こんなん……選べるわけ無いじゃん……」
愛依「やだよ……うち、うち以外の誰かになんてなりたくない……」
愛依「冬優子ちゃんと、あさひちゃんと過ごした思い出に……別の誰かが入ってくるなんて……そんなの……!!」
(私だって……そうだ……)
(真乃とめぐると過ごしたこの記憶に……他の誰かが入ってくる……その結果、私が今こうやって思い出に感じている感情が変わってしまうかもしれない)
(そんなの、受け入れられるわけがない……)
238 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 15:31:06.35 ID:uz0wsKDr0
努「別人になるというわけではないとさっきも言った通りだが……?」
摩美々「アイデンティティに外から手を加えられたらもうそこに自我なんかない……ただ人の形をした人形じゃーん……」
智代子「……凛世ちゃんは、この選択をさせないために私たちをあそこで殺そうとしたんだ……」
智代子「……あの時に、凛世ちゃんに投票しなければ……こんな選択をしなくても済んだのかな……」
雛菜「……円香先輩は雛菜に生きてほしいって言ってたけど……こんな形で生き残っても、意味ないよね〜……」
灯織「……真乃、めぐる……」
努「さあ、審判の時だ。お前たちには自分の手で『希望』か『絶望』かを選んでもらうぞ。この世界の『希望』となるのか、『絶望』に身を堕として退廃的な死を迎えるのか。選択肢は二つに一つだろう?」
「…………」
239 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 15:34:28.46 ID:uz0wsKDr0
(……そう、みんな抵抗の意志を示してはいるけど結果はもう見え透いている)
(誰も、自分の死を自ら望むことはできない。それは自分自身の弱さだけによる話ではなく、これまでのコロシアイ合宿生活を生き抜いてきたからこそ)
(ここまでに命を散らして来た仲間たちは、全員私たちの生存を望んでくれていた。ここで『絶望』を選ぶことは、その想いを裏切ることになる)
(だから私たちは、もう……この濁り切った『希望』を受け入れることしかできないんだ……)
努「お前たちには手元にあるスイッチで投票をしてもらう。黒幕である私に入れるのが『希望』の選択肢、それ以外の誰に入れても『絶望』の選択肢だ」
努「さあ、始めようか……新時代のアイドルが誕生する、世界中が待ちわびた投票タイムを!」
(……私たちに、選択肢なんかない)
(初めから、決まっていた)
(この物語は、『希望』で終わることが決定している。それ以外の結末なんて認められていない)
(そんな、予定調和の物語……)
240 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 15:36:10.26 ID:uz0wsKDr0
「……あはっ」
____ブツンッ
241 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 15:37:42.49 ID:uz0wsKDr0
-------------------------------------------------
【ノンストップ議論開始!】
コトダマ
‣【希望】
‣【絶望】
愛依「うちは……生きて帰らなくちゃダメだし……兄弟も、あさひちゃんも、冬優子ちゃんも……会わなくちゃいけないし……」
愛依「でも……別の人格が入ったら、うち、ちゃんとみんなに心から話すことはできるのかな……」
智代子「凛世ちゃんの気持ちを……なんで汲み取ってあげられなかったんだろう……」
智代子「わたしたちが生きていることは、本当に正しかったのかな……」
雛菜「今になって、円香先輩が羨ましいよ〜」
雛菜「円香先輩は最後まで透先輩と小糸ちゃんを思って逝けたのに……雛菜は……」
摩美々「霧子と咲耶の死なんて最悪を経験しておきながら、今度は自我の喪失―?」
摩美々「どこまで言っても最悪しかないじゃーん……」
灯織「希望を、えらぶしかない……」
灯織「絶望を選ぶことなんか許されない……」
灯織「でも……希望だって……選びたくない……」
【正しいコトダマなんてない、私たちに選択権なんかない】
242 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 15:40:51.08 ID:uz0wsKDr0
-------------------------------------------------
【ノンストップ議論開始!】
コトダマ
‣【希望】
‣【絶望】
愛依「うちは……生きて帰らなくちゃダメだし……兄弟も、あさひちゃんも、冬優子ちゃんも……会わなくちゃいけないし……」
愛依「でも……別の人格が入ったら、うち、ちゃんとみんなに心から話すことはできるのかな……」
智代子「凛世ちゃんの気持ちを……なんで汲み取ってあげられなかったんだろう……」
智代子「わたしたちが生きていることは、本当に正しかったのかな……」
雛菜「今になって、円香先輩が羨ましいよ〜」
雛菜「円香先輩は最後まで透先輩と小糸ちゃんを思って逝けたのに……雛菜は……」
摩美々「霧子と咲耶の死なんて最悪を経験しておきながら、今度は自我の喪失―?」
摩美々「どこまで言っても最悪しかないじゃーん……」
灯織「希望しか道は残っていない。人間は例え辛くても悲しくても、逃げることなんて許されない」
灯織「自分を滅ぼす希望でも、それに縋ることしか許されない」
灯織「私たちは希望の奴隷だ」
【もう諦めた方がいいかもしれない】
243 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 15:43:35.82 ID:uz0wsKDr0
-------------------------------------------------
【ノンストップ議論開始!】
コトダマ
‣【希望】
‣【絶望】
愛依「うちは……生きて帰らなくちゃダメだし……兄弟も、あさひちゃんも、冬優子ちゃんも……会わなくちゃいけないし……」
愛依「でも……別の人格が入ったら、うち、ちゃんとみんなに心から話すことはできるのかな……」
智代子「凛世ちゃんの気持ちを……なんで汲み取ってあげられなかったんだろう……」
智代子「わたしたちが生きていることは、本当に正しかったのかな……」
雛菜「今になって、円香先輩が羨ましいよ〜」
雛菜「円香先輩は最後まで透先輩と小糸ちゃんを思って逝けたのに……雛菜は……」
摩美々「霧子と咲耶の死なんて最悪を経験しておきながら、今度は自我の喪失―?」
摩美々「どこまで言っても最悪しかないじゃーん……」
灯織「……いつまでこうやってるんだろう」
灯織「私たちに選択肢はないって分かってるはずでしょ?」
灯織「さっさと希望で、終わらせないと……みんな、それを待っているんだし」
【……本当に?】
244 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 15:45:59.45 ID:uz0wsKDr0
-------------------------------------------------
【ノンストップ議論開始!】
コトダマ
‣【希望】
‣【絶望】
愛依「うちは……生きて帰らなくちゃダメだし……兄弟も、あさひちゃんも、冬優子ちゃんも……会わなくちゃいけないし……」
愛依「でも……別の人格が入ったら、うち、ちゃんとみんなに心から話すことはできるのかな……」
智代子「凛世ちゃんの気持ちを……なんで汲み取ってあげられなかったんだろう……」
智代子「わたしたちが生きていることは、本当に正しかったのかな……」
雛菜「今になって、円香先輩が羨ましいよ〜」
雛菜「円香先輩は最後まで透先輩と小糸ちゃんを思って逝けたのに……雛菜は……」
摩美々「霧子と咲耶の死なんて最悪を経験しておきながら、今度は自我の喪失―?」
摩美々「どこまで言っても最悪しかないじゃーん……」
灯織「……ダメ、早く選ばないと……前に、進まないと……」
灯織「希望の道に進まないと……犠牲になったみなさんの想いを踏みにじるわけにはいかない……」
灯織「私たちは、希望を選ぶこと以外期待されていない……!!」
【……絶対に、選ばないといけないのか?】
245 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 15:47:27.67 ID:uz0wsKDr0
「……え?」
無限にも思える自問自答。
希望と絶望という回答の分かり切った二択を前にして逡巡していた私の脳裏に何かが響いた。
___それは、私の内側から鳴らすもの。
銅鑼でも鳴らされたのように、内側から臓物と血管とを振動させ、やがてその揺れは無気力な希望で凍えさせられた脳を再度刺激した。
思考を止めて、傀儡になろうとしていた私の脳幹に、俄かに何かが走る。
それは絶望でも、まして希望なんかでもない。
そんな漠然としたくだらない概念なんかじゃない。もっと形があって、根源的で、原初の存在。
この学園で過ごすうちに実り実って膨らんだ、人と人とのつながり。
断崖から身を投じて地の底へと向かっていた私を、【絆】の綱が結び留めた。
246 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 15:48:42.66 ID:uz0wsKDr0
浅倉さんはこんな時でも悠然とした態度でなにか斬新な発想をしてくれる。
真乃はきっと私の横であの掛け声とともに鼓舞してくれる。
小糸は怯えながらも、一緒に戦う皆さんに必死についていく。
樹里は震える私たちの背中を力強く押してくれる。
甜花さんはここぞという時はやる人だから逆境でこそ強くなる。
甘奈はみんなを気遣って明るく振舞ってくれる。
霧子さんはこんな時だからこそ落ち着かせてくれる空間を提供してくれる。
咲耶さんは頼りがいのある振る舞いでみんなを率いてくれる。
樋口さんはきっと変わらず冷静に事態を見極める。
めぐるは震える私たちの手を取って、温かく抱きしめてくれる。
_____きっと、皆さんが生きていたら……私たちは……!
何かが急にこみ上げてくる。胸へとせりあがってきたそれは、抑えることもできず……そのまま……!!
コトダマゲット!【絆】
〔このコロシアイ合宿生活で得た力。信じるべきものはそこにある〕
247 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 15:50:37.97 ID:uz0wsKDr0
何が『希望』だ『絶望』だ……
希望ヶ峰学園も、超高校級も、ダンガンロンパも……何もかも知ったことじゃない!
私たちは、私たちなんだ……
誰にも、選ぶべき道を左右されるべきじゃない……!
だから、私にできることは……これだけ……!!
-------------------------------------------------
【議論スクラム開始!】
「希望を選ぶしかない」vs【私たちは……】
愛依「うちは……生きて帰らなくちゃダメだし……兄弟も、あさひちゃんも、冬優子ちゃんも……会わなくちゃいけないし……でも……別の人格が入ったら、うち、ちゃんとみんなに心から話すことはできるのかな……」
智代子「凛世ちゃんの気持ちを……なんで汲み取ってあげられなかったんだろう……わたしたちが生きていることは、本当に正しかったのかな……」
雛菜「今になって、円香先輩が羨ましいよ〜……円香先輩は最後まで透先輩と小糸ちゃんを思って逝けたのに……雛菜は……」
摩美々「霧子と咲耶の死なんて最悪を経験しておきながら、今度は自我の喪失―?……どこまで言っても最悪しかないじゃーん……」
-------------------------------------------------
【意見スロット】
【絆】
【絆】
【絆】
【絆】
【意見スロットを正しい順番に並び替え、敵スクラムを向かい討て!】
↓1
248 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 15:52:29.60 ID:QkaTF2IzO
【絆】
【絆】
【絆】
【絆】
249 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 15:54:22.37 ID:uz0wsKDr0
【灯織「これが私たちの進むべき道……!」】
愛依「うちは……生きて帰らなくちゃダメだし……兄弟も、あさひちゃんも、冬優子ちゃんも……会わなくちゃいけないし……でも……別の人格が入ったら、うち、ちゃんとみんなに心から話すことはできるのかな……」
【灯織「大丈夫です!」
灯織「希望を選ばずとも変える方法は必ずあるはずです……今のままの愛依さんで、ご家族に、ストレイライトのお二人に再会しましょう!」】
智代子「凛世ちゃんの気持ちを……なんで汲み取ってあげられなかったんだろう……わたしたちが生きていることは、本当に正しかったのかな……」
【灯織「思い出して!」
灯織「凛世はチョコの選ぶ道のことを最期まで信じていた……凛世のために生きる、そのために選ぶ道は希望の他にもあるはず……!」】
雛菜「今になって、円香先輩が羨ましいよ〜……円香先輩は最後まで透先輩と小糸ちゃんを思って逝けたのに……雛菜は……」
【灯織「信じて!」
灯織「雛菜、幼馴染の全員に託されたその想いを信じよう。ここで希望を選ぶ生き方じゃなく、幼馴染の三人が望んだ生き方が他にあるはずだよ!」】
摩美々「霧子と咲耶の死なんて最悪を経験しておきながら、今度は自我の喪失―?……どこまで言っても最悪しかないじゃーん……」
【灯織「諦めるにはまだ早いですよ!」
灯織「何も希望で終わらないといけないわけじゃないです……私たちは……絆を信じるという道があります……!!」】
-------------------------------------------------
【CROUCH BIND】
【SET!】
【コンマの合計値700以上で相手のスクラムを打ち破れ!】
【スキルとアイテムの効果によりコンマ値が+70されます】
↓直下より六回連続でコンマ判定
250 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 15:55:48.05 ID:QkaTF2IzO
ばい!!
251 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/09(土) 15:56:16.24 ID:cKcIg8Sd0
あ
252 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 15:56:49.22 ID:QkaTF2IzO
す゛こ゛い゛て゛す゛〜
253 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/09(土) 15:57:02.39 ID:DB/mDvct0
はい
254 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 15:57:11.18 ID:QkaTF2IzO
わぁ、牛丼!
255 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/09(土) 15:57:17.07 ID:nUhwo7t00
むん!
256 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 15:57:29.90 ID:QkaTF2IzO
わくわくぅ!!
257 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 16:00:38.63 ID:uz0wsKDr0
>>250
〜
>>255
【コンマ判定 5+24+22+39+18+7+70×6<700】
(……私は諦めない)
(希望でも絶望でもない……私たちだけの答えを突き付けるその瞬間までは……!)
【CROUCH BIND】
【SET!】
【コンマの合計値700以上で相手のスクラムを打ち破れ!】
【スキルとアイテムの効果によりコンマ値が+70されます】
↓直下より六回連続でコンマ判定
258 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/09(土) 16:01:19.98 ID:cKcIg8Sd0
あ
259 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 16:01:50.92 ID:QkaTF2IzO
てやーん
260 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 16:02:36.80 ID:QkaTF2IzO
どうもです!
261 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 16:03:11.92 ID:8F/Zo4Oe0
ほい
262 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 16:03:22.29 ID:xz1Baf6HO
あ
263 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 16:03:33.26 ID:QkaTF2IzO
本日のログインボーナスですよ〜
264 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 16:03:59.02 ID:QkaTF2IzO
ひぃん
265 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 16:06:01.24 ID:uz0wsKDr0
>>258
〜
>>263
【コンマ判定 98+92+80+92+29+26+70×6>700】
【全 論 破】
灯織「絆を信じて進むんです!」
【BREAK!】
どちらかを選ぶ必要なんかない。
希望も絶望も……そんなの自分の意志、まして誰かの意志に基づいて選び取るようなものじゃない。
どっちも抱き込んで呑み込んで、そうやって人は生きていくものだから。
それで初めて人は成長できる。
だから、そのどちらにも縋るようじゃダメ。私たちは、もっと別のものを信じて立ち上がって希望も絶望も、正面からぶつかっていく。
その手に取った武器の名前は、【絆】。
このコロシアイ合宿生活の中で私たちが育んできた……
____才能なんかよりよっぽど強い力だ。
266 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 16:07:25.96 ID:uz0wsKDr0
努「お前たちには手元にあるスイッチで投票をしてもらう。黒幕である私に入れるのが『希望』の選択肢、それ以外の誰に入れても『絶望』の選択肢だ」
努「さあ、始めようか……新時代のアイドルが誕生する、世界中が待ちわびた投票タイムを!」
灯織「待ってください!」
努「……何?」
灯織「皆さん……投票の前に一度、ここで過ごしてきた日々を振り返ってみてください」
灯織「そこには必ず、かけがえのない仲間という存在がいたはずです。彼女たちは私たちに思いを託して命を落としてしまいました」
灯織「確かに、『希望』か『絶望』か……なら、私たちには希望しか選択肢がないように見えてしまうかもしれないですが、それだけじゃないと思うんです」
灯織「だって、私たちの仲間がそんな退廃的な選択肢を選ぶことを望むとは思えませんから」
灯織「これまでに犠牲になったみなさんに胸を張れる生き方を私はしたい……それは間違っても、黒幕の言う通りになることじゃない」
灯織「……だから私は、【絆】を信じることにしました」
灯織「これまでの人生で関わってきた絆、ここで培った新しい絆……このすべてが、私に進むべき道を示してくれるはず……」
努「……何を言うのかと思えば、ただの感傷的なスピーチか」
努「目の前にある通り、お前たちに残された選択肢は『希望』と『絶望』の二択だけだ。その胸に絆を抱くのは勝手だが、他にできることも何もないだろう?」
灯織「……それは違います」
努「……何?」
267 :
最後の戦いです
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 16:09:32.96 ID:uz0wsKDr0
灯織「私たちにできることはまだ残っています……そうでしょう、皆さん……?!」
愛依「……うちらに、できること……?」
灯織「私たちが信じられる絆……それを思い出してください……!」
灯織「私たちには、誰よりも信頼できる人がいるじゃないですか……!」
努「くだらん! いい加減その口を閉じたらどうだ、風野!」
灯織「そうはいきませんよ……! 絆を紡ぐために、止めるわけにはいきません……」
努「小癪な……! お前たちは黙って才能の受け皿になればいいものを……!」
灯織「私は絶対に……希望にも、絶望にも……負けはしませんから……!」
(……やるしかない、これが正真正銘最後の戦い。皆さんに、絆の力を証明するしかない……!!)
-------------------------------------------------
【パニックトークアクション開始!】
努「私は甘くないぞ」
努「……網膜に焼き付いている」
努「チーム・ダンガンロンパの悲願のために」
努「希望が明日を照らす!」
努「希望が未知を退ける!」
努「思い出を希望の犠牲にしろ!」
【コンマの合計値600以上で相手に反論しろ!】
【スキルとアイテムの効果によりコンマ値が+70されます】
↓直下より六回連続判定
-------------------------------------------------
268 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 16:10:15.11 ID:QkaTF2IzO
あ
269 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 16:10:43.12 ID:QkaTF2IzO
は
270 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/09(土) 16:10:55.10 ID:cKcIg8Sd0
あ
271 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 16:10:57.19 ID:QkaTF2IzO
ふ
272 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 16:11:29.09 ID:QkaTF2IzO
あ
273 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 16:11:55.09 ID:QkaTF2IzO
ひ
274 :
最後の戦いです
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 16:14:35.81 ID:uz0wsKDr0
>>268
〜273
【コンマ判定 11+12+10+19+09+09+70×6<600】
努「お前たちは希望を選び取るだけでいい……! その選択をなぜ拒むのだ……!」
(……違う)
(そんな選択なんかが私たちの進む道じゃない……)
(選ぶんじゃなくて……道を切り開くんだ……!)
-------------------------------------------------
【パニックトークアクション開始!】
努「私は甘くないぞ」
努「……網膜に焼き付いている」
努「チーム・ダンガンロンパの悲願のために」
努「希望が明日を照らす!」
努「希望が未知を退ける!」
努「思い出を希望の犠牲にしろ!」
【コンマの合計値600以上で相手に反論しろ!】
【スキルとアイテムの効果によりコンマ値が+70されます】
↓直下より六回連続判定
-------------------------------------------------
275 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 16:15:20.34 ID:JrMFmVsn0
にへ………!
276 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 16:15:21.59 ID:QkaTF2IzO
か
277 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 16:15:40.10 ID:xz1Baf6HO
あ
278 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/09(土) 16:15:49.08 ID:LAXPi2vl0
にち………!
279 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 16:15:54.83 ID:QkaTF2IzO
よし、楽しく話せたな!
280 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 16:16:19.72 ID:xz1Baf6HO
あ
281 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 16:16:23.34 ID:QkaTF2IzO
滅びの爆裂疾風弾!!
282 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 16:18:57.00 ID:uz0wsKDr0
>>275
〜
>>280
【コンマ判定 34+59+10+08+83+72+70×6>600】
【ALL BREAK!】
-------------------------------------------------
灯織「信じられる希望がある限り、私が折れることはありません!」
【努「どこに信じられる絆がある! お前たちの絆はすべて希望の前に無に帰すのだ!」】
ロ/―/ュ/プ/―/サ/デ
【正しい順番に並び替えてすべてを終わらせろ!】
↓1
283 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 16:19:22.93 ID:QkaTF2IzO
プロデューサー
284 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 16:20:59.78 ID:uz0wsKDr0
灯織「絆は決して折れません!」
【BREAK!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!】
灯織「私たちには残された可能性が、信じられる絆が残っています」
灯織「そしてその絆は実際に私たちを救ってくれた、守ってくれた」
灯織「そして今もなお、私たちと共に戦ってくれている」
灯織「……皆さん、これを見て下さい」
そして私は皆さんの前で、あの手記を広げる。
几帳面にも私たち全員のプロデュース録の残された、あの人の性格の滲み出た手帳。
ボールペンで丁寧に記されたそれを、ゆっくりと読み上げていく。
285 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 16:22:37.62 ID:uz0wsKDr0
『摩美々本人はついつい照れ隠しをしてしまいがちだが、仕事に対する真摯な姿勢は立派なものだ。仕事先の評判もいい、またバラエティのオファーも入ったし、ファッションブランドとのコラボの話も持ち上がっている。本人のスケジュールと相談しつつ進めていきたい』
摩美々「……」
『雛菜も最近ではレッスンにしっかりと打ち込んでくれているようだ。トレーナーさんからもお褒めの言葉をいただいた。甘やかしすぎてもいけないけど、今日くらいはいいだろう。雛菜が大好きなケーキ屋さんで、とっておきのおみやげだ』
雛菜「……」
『他の二人を支えようとするあまり自己主張が抑えがちだった愛依も、その弱点を克服しつつある。ツイスタでの発信も好調、自分自身の写真を自ら投稿する回数が増えたのが俺からしても嬉しい。もっとファンとの距離を縮めて行けるように、俺がイベントの幅を広げていかないとな』
愛依「……」
『自分自身の個性と常に悩んで来た智代子だが、本人が思う以上に世間はアイドルの園田智代子を必要としている。彼女のひたむきに努力する姿勢が評価されつつある今、智代子を波に乗せてやるのが俺の仕事だ。売り込み先ならリストアップしておいた、今日も空いた時間があれば少しでも電話をかけていこう』
智代子「……」
灯織「こうして、誰よりも私たちの側で、私たちのことを思ってくれた方がいる。そして、この方は今も私たちのために動いてくれている」
灯織「今こうやって私が立てているのも、この方のおかげですから」
努「……まさか、その手帳の持ち主は」
灯織「ええ、あなたもご存じの通り。私たちのプロデューサーですよ」
努「なぜ、なぜこんなところにあいつの手記が……?!」
灯織「みなさん……お願いします! 確かに今の私たちにできることは何もないかもしれない……でも、だからといって希望なんて道に逃げるのは違う……」
灯織「絆を……プロデューサーを……あの言葉を信じましょう……!」
-------------------------------------------------
『待……ザザ……れ……ザザ……』
灯織「あ、あの……!!なんとお礼を申し上げたらいいか……!!私の命を救ってもらっただけでなく、裁判に挑む準備まで手伝ってもらって……」
『ザザ……おをあげ……くれ……俺は……ザザ……無事なら……れでいい……ザザ……大丈……対助け……るからな……ザザ』
灯織「あの……あなたは……もしかして……」
『灯織、待っててくれ』
-------------------------------------------------
灯織「あの人は、必ず私たちを助け出してくれますから……!」
286 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 16:24:04.93 ID:uz0wsKDr0
愛依「うちも……プロデューサーならきっと助けてくれるって信じる……! だって、あのプロデューサーだもんね!」
灯織「愛依さん、ありがとうございます」
【愛依「オーブネ?に乗ったつもりでプロデューサーに任せちゃう! 信じることも強さ、だもんね!」】
智代子「そうだよね……凛世ちゃんも樹里ちゃんも、誰かの選択肢に従うだけの生き方なんか望まないもんね……!」
灯織「チョコ……!」
【智代子「うん、わたしはわたしが信じたいものを信じて、行きたい道を行くよ! チョコアイドルの道もそうやって選んだんだしね!」】
雛菜「円香先輩……雛菜たちは信じて信じてここまで来たよ……そして、それはこれからも……」
灯織「雛菜……」
【雛菜「雛菜は雛菜がやりたいことしかやらない! 希望を選ぶなんて雛菜はやりたくないんだよね〜〜〜〜〜♡」】
摩美々「……そんなにかっこつけておいて最後は他力本願って締まんないなぁ。ふふー、そういうのも灯織らしいケド」
灯織「摩美々さん……!」
【摩美々「いいよー? 摩美々もプロデューサーのこと信じてあげます、でも助けてくれなかったら灯織共々デコピンの刑ねー」】
287 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 16:25:08.27 ID:uz0wsKDr0
努「……くだらん」
努「くだらんくだらんくだらん! お前たちには、希望になる以外の選択肢なんか用意されていない! たとえあいつがお前たちを助け出そうとしていても、そんなことは知ったことではない……! お前たちに希望を選ばせて……それで私は……私は……!」
努「投票タイムだ……手元のスイッチで『希望』に投票しろ! それで私の方舟計画を実現させろ!」
愛依「うちらはうちらの信じたいものを信じる」
摩美々「今の摩美々たちにはプロデューサーを信じて待ち続けることが求められてる」
雛菜「それなら、雛菜たちがすべきことはわかるよね〜?」
智代子「う、うん……! このスイッチに、わたしたちの選ぶべき道はないんだもんね……!」
(……『希望』も『絶望』も、知ったことじゃない! 勝手にやっていればいい!)
灯織「私たちが選ぶのは……!」
288 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 16:26:07.47 ID:uz0wsKDr0
-------------------------------------------------
【投票タイム】
どちらかを選んでスイッチを押してください
【希望】を選んで方舟計画を実現させる
【絶望】を選んで犬死する
制限時間 5min
※制限時間絶対厳守!
↓1
-------------------------------------------------
289 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 16:26:59.62 ID:QkaTF2IzO
どちらも選ばない
290 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/09(土) 16:27:54.71 ID:Upebbwqs0
(これは「5分間放置しろ」という意味では…?)
291 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 16:31:18.46 ID:uz0wsKDr0
(……私たちは、選んだ)
(選ばないという選択肢を、選んだ……!)
(誰一人としてこの五分間、スイッチに触れることはなかったんだ……!)
努「……は?」
努「何をしてる……おい、投票しろ! 投票をするんだ!」
灯織「すべて自分の思い通りになると思っているのなら、勘違いですよ社長」
努「な、なに……?」
灯織「プロデューサーは私たちに『必ず助けるから待っていてくれ』と言ったんです。私たちはプロデューサーとの間の絆を信じることにした……だから」
雛菜「たとえ一生かかっても、雛菜たちはそれまで結論なんか出さないよ〜〜〜〜〜♡」
努「な、なにを言っている……」
智代子「希望なんか絶対に選びませんからね! だって、別の人格だなんて入ってきちゃったらチョコアイドルって言う唯一無二の個性がみすみす死んじゃいますから!」
愛依「うちはちゃんと、うちのまんまで皆に会いたいから……それができない希望も絶望もマジでキョーミない!」
努「……くッ! それならこっちで票を操作するまで……!」
摩美々「えー、そんなことしちゃっていいんですかぁ? このコロシアイって全国に配信されてるんでしょー? まさか黒幕が票の操作なんて、公平じゃない真似しませんよねー?」
努「な……お、お前たち……! 本気で言っているのか……?」
灯織「本気も本気ですよ。絶対に私たちは投票なんかしません。『希望』だの『絶望』だの……あなたたちに巻き込まれるいわれもありませんので」
努「ふ、ふ、ふざけるなぁ! そんなこと、許されるわけないだろう! アイドル事務所を立ち上げてからずっと夢見て来た悲願があと少しで達成されるというのに、お前たちは私の夢を……夢を……!」
愛依「自分の夢のために他の人の命を弄ぶなんて、うち絶対許せないから!」
努「どれだけの時間と金を費やしたと思っている……! もはやこの計画は、私の人生そのものなんだぞ……!」
雛菜「散々雛菜たちの人生をかき乱しておいてよく言えましたよね〜〜〜〜!」
努「た、頼むッ! せめて誰か一人だけでも票を入れてくれれば、多数決で結論を出せる……!」
智代子「だったら一票も入れられませんね! わたしたちの絆の結束はそう簡単には敗れませんよ!」
292 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 16:32:40.72 ID:uz0wsKDr0
努「……なんてことだ」
努「私は、希望を追い求め……その希望に適うだけのアイドルを作り出そうと努めたばかりに……その希望をも凌駕する存在を作り出してしまったというのか」
努「……はは、プロデュース業としては一丁前じゃないか」
私たちの絆の結束を前に、天井社長は膝から崩れ落ちてしまった。
人の命と尊厳とを踏みにじる彼の計画は完全に瓦解したのである。
彼はそのまま朽ちた低木のように力なくうなだれたまま、私たちはスイッチを前にしてにらみつけるようにしていた。
今できるのは、プロデューサーからの助けを待つことのみ。
大丈夫、必ず助けは来る。
何度もお互い声を掛け合い、何分も、何十分も、もしかすると何時間も……
ずっとずっと待ち続け……その時は来た。
293 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 16:33:54.08 ID:uz0wsKDr0
『みんな、待たせた!』
294 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 16:35:06.21 ID:uz0wsKDr0
場内に響き渡る聞き馴染みのある声。
モニターに目を向けると見覚えのあるスーツの男性がそこには映っていた。
「「「「「プロデューサー!」」」」」
『ようやっと学園内設備にアクセスできた……大丈夫、その巨大な思い出しライトは無効化済みだ。投票してくれて構わないよ』
灯織「ありがとうございます、プロデューサー」
『いや、お礼を言うべきは俺の方だ。不安な中、よく俺のことを信じて待ち続けてくれたな』
摩美々「まぁ助けてくれなければデコピンだったのでー」
『ははっ、それじゃあ俺も九死に一生ってところか』
久方ぶりの再会と救出とに歓喜する私たち。
その声に呼び起こされてか、天井社長はよろよろとその身を起して、モニターに縋るようにしてプロデューサーに向き合った。
295 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 16:36:09.00 ID:uz0wsKDr0
努「よくも、よくもやってくれたな……私の計画をここまで台無しにしたことは何があろうとも許さん」
『……私も、自分自身許されるべきだとは思いません。あなたに近しい立場にいながら、あなたの狂気を感じ取ることができず、あろうことかアイドルたちを何人も失ってしまった。私もあなたと同じく大犯罪者ですよ』
努「お前……私の宿願を狂気だと……? どの立場からそんなことが言える……!」
『……同僚だからこそですよ』
その口調は、これまでに聞いたどのプロデューサーの言葉よりももの悲し気だった。
天井社長はそれに感化されてかどうか、額をモニターに付けたまま、ずりずりと地面に滑り落ちていった。
296 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 16:37:22.68 ID:uz0wsKDr0
灯織「さて、終わらせなくてはいけませんね」
愛依「もう……大丈夫、なんだよね。プロデューサーがしっかりライトは解除してくれたんだよね!」
智代子「うん!大丈夫だよ、だってあのプロデューサーさんなんだよ!」
摩美々「ま、できてなかったらそれこそデコピンなんでー」
雛菜「雛菜はコーヒーを百倍苦くしちゃおっかな〜!」
灯織「ふふっ、そうだね……それぐらいのことはしてもいいかも」
(……これで、本当に終わる)
(誰かに与えられたエンディングでない、本当のエンディング)
(自分の手で、仲間たちの手と共につかみ取った、どんな終わり方よりも美しいエンディング)
(……決してハッピーエンドじゃないけれど、これは一つの最適な終わり方)
(絆を頼りにした、トゥルーエンドは今この手の中に)
297 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 16:38:23.77 ID:uz0wsKDr0
灯織「それでは、お手元のスイッチで投票してください!」
智代子「わたしたちで!」
愛依「うちらで!」
雛菜「雛菜たちで〜!」
摩美々「摩美々たちでー」
灯織「私たちで! このコロシアイ合宿生活を終わりにしましょう!」
298 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 16:39:12.55 ID:uz0wsKDr0
-------------------------------------------------
【VOTE】
〔希望〕〔希望〕〔希望〕
CONGRATULATIONS!!!!
パッパラー!!!
-------------------------------------------------
299 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 16:40:03.80 ID:uz0wsKDr0
-------------------------------------------------
【学級裁判 閉廷!】
-------------------------------------------------
300 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 16:44:35.99 ID:uz0wsKDr0
最後の学級裁判、これにて終了です。
演出の意図を皆さん汲み取っていただけて非常にありがたかったです。
絆の議論スクラムとかもう解答はそのままコピペでしかないので、お付き合いしていただけるか心配でした笑
また、
>>288
での投票タイムは、『投票しない意思表示』が為されればそれでOKだったのでそのまま進行いたしました。
やることとしては変わりませんしね。
さて、ここでしばらく休憩を挟ませていただきます。
学級裁判終了パート及びコロシアイ合宿生活の閉幕を20:30〜から投稿させていただこうと思います。
安価・コンマはもうございませんがどうか最後まで見届けていただけると幸いです。
それではいったんお疲れさまでした。
また後でお会いしましょう。
301 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/09(土) 16:50:32.93 ID:eC9rh4bLO
お疲れ様でした!!
学園外のみんな早く見たい!
302 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/09(土) 17:23:02.60 ID:r2ZqYPeX0
乙です!
>>249
変える→帰る かな?
303 :
誤字申し訳ない……やっぱりありましたね
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 20:30:22.45 ID:uz0wsKDr0
____ゴルゴダの丘の果ては見えない。
304 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 20:31:27.53 ID:uz0wsKDr0
背に感じるその重みは一歩一歩と歩みを進めるたびに重量を増していくような気すらして、
その重さに負けて臓物を吐き出してしまいそうになったことも一度や二度ではない。
___いっそ押し潰されてしまった方が楽になるのだろうか?
……いや、そうではない。
背負い続けるからこそ、最後にはそれで命を落とすからこそ十字架は十字架足り得るのである。
その責務から外れるようでは贖罪などできるはずもない。
だから私はこの丘を登り続けることしか許されない、してはならないのである。
305 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 20:33:09.49 ID:uz0wsKDr0
彼女と出会ったのはほんの偶然だった。
当時の私はまだキャリアも浅く、仕事にやりがいを見出すことに必死になっていた。
自分から望んで飛び込んだ世界、そこはそれまで思っていたように透き通る場所ではなく、淀みの底から濁りのない水面を求めて泳ぎ続けるような場所。
なんとかこの心の拠り所となる場所を探し続ける日々だった。
そんな中で、彼女を見つけたのだ。
何気なく同僚の担当する事務所のアイドルが参加したオーディションの結果を見ている時だったか、
……今でもなぜ彼女があれほどまでに私の目を引いたのかはわからない。
ただ、邪な考えだったことは言うまでもないだろう。
私は彼女を見て、プロデュースしたい、つまりは【自分の道具にしたい】と思ったのだ。
彼女はまるでうだつの上がらない日々を送っていた。
女優の眩い光明に当てられた彼女は、夜灯に集う羽虫のように触れることもできない理想の傍で右往左往するばかり。
参加するオーディションというオーディションに次々に落ちていた。
____彼女なら、簡単に籠絡できると思ったのだろう。
私がスカウトするまでそう日数はなかったはずだ。
306 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 20:36:51.21 ID:uz0wsKDr0
そして私の目論見は正しかった。
女優になりたいという彼女の欲望を芸能界で活躍したいという欲望にすり替えて彼女をアイドルとして売り出した。
容姿はそれなりだったこともあり、レッスンでダンスを上達させれば見栄えはするものになった。
仕事も女優志望時代に比べると入ってくるようになり、彼女自身も途中までそれに納得していた様子だった。
だが、メッキはすぐに剥がれた。
彼女は元々、アイドルなんて存在には魅せられていなかった人間。
女優ではどうしようもないからアイドル、その妥協が歌唱力となって現れた。
執拗なレッスンでなんとか聴けるものにはした。
それでも他のアイドル連中に比べれば満足のいくものではなく、収録現場で雑音が聞こえてくることが増えた。
『これ、どこまで調整できる?』
『別に歌は普通なんだよな……』
『かわいいだけでもね……』
それが発端だったのかもしれない。ずっと従順だったはずの彼女が時折反発を見せるようになった。
______こんなの私じゃない
そう言って飛び出す彼女を見ると、「その通りだ」という言葉しか見つからなかった。。
女優志望がどこへやら、アイドルという妥協で押し込まれた場所で無理やりレッスンと仕事をさせられ、さらにはそこで小言を受ける。
そんなのやりたいはずもない。
307 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 20:39:11.80 ID:uz0wsKDr0
だから、時には彼女の好きなようにさせてやった。
ガス抜きでもさせてやれば満足するだろうと思った。
だが、彼女がガスを抜くことなどできなかった。
私の方針に沿わない形では、世の評価は全く得られなかったのである。
ガス抜きをするどころか、むしろそれに栓をするような結果を受け取って戻った彼女はこれまで以上に従順になった。
私が見ているのは彼女ではなく、彼女という容器に注ぎ込まれるアイドルのエッセンス。
だから彼女自身の足に合わせようなんてことは思いもせず、その靴に足を合わせるように指示をした。彼女はそれに従順に従った。
____私は、最後まで彼女のことを見ようとしなかった。
308 :
◆zbOQ645F4s
[saga]:2021/10/09(土) 20:41:23.03 ID:uz0wsKDr0
突然、彼女が仕事の約束を破ってきた。
空港集合だというのに、いつまで経ってもその影はない。
焦燥に駆られた私は彼女の姿を探し回り、ようやく事務所近くの神社でその姿を見つけた。
仕事を放棄しようとした怒りもあったが、その様子を見ているとどうしても心配が沸いてならなかった。
というのも、私は一度彼女にプレゼントを渡して拒絶されていた。
特に他意があったわけでもない、ただその日がちょうどクリスマスだったというだけ。
それなのに異常なまでの拒絶を示した彼女の心から、
荒びを感じてならなかった私は宥めることに必死で、プレゼントを今度こそ受け取ってもらおうとそれを差し出した。
……今思えばそれが彼女の背中を最後に押した要因だったのだろう。
私が彼女のために渡したのは新品の【ダンスシューズ】。
『足に合わせるんじゃない靴に合わせるんだ』
『こんなの私じゃない』
おそらく彼女の脳裏には過負荷、自己同一性の喪失、将来の展望への不安……そういったものが一度に想起されたのだろう。
箱を開けた瞬間の彼女の表情を私は未だに忘れることができない。
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