【シャニマス×ダンガンロンパ】灯織「これが私たちの答えです」【安価進行】

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158 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/07(木) 21:48:16.34 ID:1PTEZRlO0

雛菜「ん〜〜〜……」

愛依「雛菜ちゃん、どしたん? なんか気になる?」

雛菜「今改めてメール読んでたら〜、やっぱりこれがコロシアイとは無関係だとは思えないな〜って!」

智代子「そうだよね……夏葉ちゃんがチーム・ダンガンロンパの人間だってわかった今だと、どう考えても無関係ってことはないと思うな」

雛菜「……これって、チーム・ダンガンロンパ側はやめるように黒幕に要求してるんだよね〜?」

灯織「うん……そうなると思うけど」

雛菜「だとしたら、雛菜たちはこの組織と黒幕の対立を目の前で目撃してるかもしれないね〜〜〜〜!」

(……えっ?)

(組織と黒幕の対立……? この合宿生活でそんなタイミングが……?)

(思い出せ……思い出すんだ……!)

(夏葉さんにとって、このメールは弱点の一つになる……!)

-------------------------------------------------
【ひらめきアナグラム開始!】


『ノ/き/う/い/マ/モ/ん/の/し/ゅ/ク/て/き』


【正しい順番に並べ替えろ!】

↓1
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/07(木) 21:56:37.35 ID:r1ntUhj20
モノクマきのうていし
160 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/07(木) 21:58:29.77 ID:1PTEZRlO0

(うーん、ちょっと違うな……)

(概ねの方向は間違ってないはず、あとは細部を詰めていこう……)

-------------------------------------------------
【ひらめきアナグラム開始!】


『ノ/き/う/い/マ/モ/ん/の/し/ゅ/ク/て/き』


【正しい順番に並べ替えろ!】

↓1
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/07(木) 21:59:06.46 ID:39oawL9h0
モノクマのきんきゅうていし
162 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/07(木) 22:00:40.55 ID:1PTEZRlO0

灯織「そうか、わかりましたよ!」

【解!】

(モノクマの緊急停止……そう、めぐるの事件が起きる前のあの出来事)

(あれは明らかに外部の干渉を受けてモノクマが作動しなくなってしまったが故のアクシデント)

(黒幕と組織の対立構造が見えてきた意味……その意味は大きく変わってくる)

(……そして、もう一つ思い当たる出来事がある……!)

-------------------------------------------------
【ひらめきアナグラム開始!】


『し/ぱ/き/お/っ/い/の/し/お』


【正しい順番に並べ替えろ!】

↓1
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/07(木) 22:01:06.14 ID:39oawL9h0
おしおきのしっぱい
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/07(木) 22:01:26.22 ID:B0QZ6MvKO
おしおきのしっぱい
165 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/07(木) 22:03:02.78 ID:1PTEZRlO0

灯織「そうか、わかりましたよ!」

【解!】

灯織「……以前にも一度、黒幕側が一人ではなく複数人なのではないかという議論になったことがあります」

摩美々「それって、円香の事件の前……モノクマが緊急停止した時の話―?」

灯織「はい、モノクマは私たちに関わることはおろか、アナウンスすら流す暇もないほど別の何かにかかりっきりになっているタイミングがありました」

灯織「もしかして、あの時……夏葉さんはチーム・ダンガンロンパがコロシアイを強制的に中断させようとしてきたのに対応していたのではないですか?」

夏葉「なっ……!」

灯織「それに、黒幕の意図通りにいかなかったことはもう一つ。私のおしおきですよ」

灯織「黒幕は完全にあそこで私を殺しにかかっていた。それなのにおしおきは中断され、私を殺し損ねてしまいました」

摩美々「その時にもモノクマはめちゃくちゃに焦ってた、『あいつら』なんてのも言ってたっけー」

夏葉「そ、それは……」

灯織「夏葉さん、本当にこのコロシアイはチーム・ダンガンロンパの意図するコロシアイなんですか?……というよりも」




灯織「あなたは本当に夏葉さんなんですか?」



166 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/07(木) 22:05:19.64 ID:1PTEZRlO0

夏葉「……な、なにを言っているの灯織!どこからどう見ても私は私でしょ?!」

灯織「確かに見た目の上では夏葉さんですが……放課後クライマックスガールズをまとめあげてきた、落ち着きと配慮ある夏葉さんの行動とはとても思えないですよ」

智代子「夏葉ちゃんはそれでもわたしたちの知らない一面があっただけって言うんだろうけど……そうじゃないってわたしは思うんだ」

智代子「友達ってね、表面上の会話、表面上のかかわりだけじゃないんだよ。仲良くなった相手のことってなんとなくわかっちゃうんだから」

智代子「好きなものとか、性格とか……全部が全部、言われなくたってなんとなくわかるんだよ。でもね、今の夏葉ちゃんはそうやって感じる、私に見せてこなかった夏葉ちゃんとも違う」

智代子「全くの別物にしか感じないんだよ!」

夏葉「智代子……残念よ、あなたに信じてもらえないなんて」

智代子「わたしの中の夏葉ちゃんはそんなに弱々しく情に縋るような真似をしないんだよ!」

摩美々「ちょっと、二人とも……ヒートアップしてるけどさぁ、これって本気であの夏葉が別人だって主張してるわけー?」

愛依「見た目はガチで夏葉ちゃんだけど……」

灯織「確信があるわけではないですが……この中で誰よりも長い時間を一緒に過ごした智代子の直感を私は信じようと思います」

智代子「灯織ちゃん……!!」

愛依「……よし、そんならうちもチョコちゃんを信じるよ! うちも、あの夏葉ちゃんが偽物だった方が気楽だし!」

雛菜「あは〜!それなら雛菜もチョコちゃんを応援する〜〜〜!」

摩美々「ふふー、それじゃあ摩美々もチョコに後のりしよっかなぁ」

167 :システムとして議論スクラムと被りますがどうかご容赦を…… ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/07(木) 22:09:09.61 ID:1PTEZRlO0

夏葉「ちょっと……あなたたち、滅茶苦茶よ!?自分の目で見ているのが全てでしょ!?なぜ現実を受け止めないの!?」

灯織「現実が全てじゃない、それを教えてくれたのは夏葉さんですよね」

智代子「……みんな、わかったよ!わたしが責任をもって……夏葉ちゃんの真実を暴いてみせるよ!」

夏葉「智代子、まさかあなたとここで対決することになるとはね……いいわ、手加減はしない。全身全霊、全力であなたも立ち向かって来なさい!」

智代子「夏葉ちゃんこそ!」

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【パニックトークアクション開始!】


夏葉「私こそが有栖川夏葉よ!」
夏葉「現実を受け入れなさい!」
夏葉「私に勝てると思うのかしら?」
夏葉「全身全霊、全力で行くわ」
夏葉「あなたたちは最高のアイドルになれるわ」
夏葉「完璧な反証をしてみなさい!」


【コンマの合計値600以上で相手に反論しろ!】

【スキルとアイテムの効果によりコンマ値が+70されます】

↓直下より六回連続判定
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/07(木) 22:09:25.93 ID:B0QZ6MvKO
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/07(木) 22:10:09.15 ID:r1ntUhj20
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/07(木) 22:10:16.66 ID:B0QZ6MvKO
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/07(木) 22:10:45.22 ID:q+7IbvV90
それ
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/07(木) 22:12:17.34 ID:q+7IbvV90
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/07(木) 22:12:52.14 ID:39oawL9h0
すごいのよ
174 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/07(木) 22:14:38.96 ID:1PTEZRlO0

【コンマ判定 93+15+66+22+34+14+70×6>600】

【ALL BREAK!】

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智代子「わたしはわたしの中の夏葉ちゃんを信じるよ!」


【夏葉「私は有栖川夏葉よ、誰が何と言おうと有栖川夏葉なのよ!】


ッ/油/に/ケ/ロ/醤/コ


【正しい順番に並び替えて、コンマ値100以上でとどめをさせ!】

【スキルとアイテムの効果によりコンマ値が+70されます】


↓1
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/07(木) 22:15:38.56 ID:39oawL9h0
醤油にコロッケ
176 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/07(木) 22:17:23.54 ID:1PTEZRlO0

(あ、あれ……? これってかけてるのとかけられてるのが逆……?)

(さ、さすがにメインはお醤油じゃなくてコロッケだよ!)

-------------------------------------------------

智代子「わたしはわたしの中の夏葉ちゃんを信じるよ!」


【夏葉「私は有栖川夏葉よ、誰が何と言おうと有栖川夏葉なのよ!】


ッ/油/に/ケ/ロ/醤/コ


【正しい順番に並び替えて、コンマ値100以上でとどめをさせ!】

【スキルとアイテムの効果によりコンマ値が+70されます】


↓1
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/07(木) 22:17:49.56 ID:39oawL9h0
コロッケに醤油
178 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/07(木) 22:19:40.55 ID:1PTEZRlO0

智代子「真実はちょこっとだけほろ苦い!」

【BREAK!】

智代子「夏葉ちゃん、本当に本物の夏葉ちゃん……なんだね」

夏葉「智代子……ようやくわかってくれたのね」

智代子「ごめん、夏葉ちゃん……この質問だけ、最後にさせてもらってもいいかな?」

夏葉「え、ええ……なにかしら。それで信用がもらえるのならお安い御用よ」

智代子「……うん、あのね」

智代子「わたし、園田智代子がコロッケを食べるときに何をかけるのか教えてもらってもいいかな?」

摩美々「……はぁ、チョコ、なにその質問……」

灯織「摩美々さん、今はチョコを信じてみましょう。何も考えなしに質問を投げかけるような人ではないですから……」

摩美々「や、割とチョコは行き当たりばったりな気もするケド……?」

夏葉「コロッケを食べるときに、どうするか……?そんな質問、なんの意味があるのかしら」

智代子「いいから答えてみて!」


夏葉「……」



夏葉「…………」



179 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/07(木) 22:20:47.05 ID:1PTEZRlO0






夏葉「………………ソース、じゃないのかしら」






180 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/07(木) 22:21:33.36 ID:1PTEZRlO0

智代子「……!!」

愛依「……チョコちゃん?」

智代子「これではっきりしたよ……この夏葉ちゃんは、本物の夏葉ちゃんなんかじゃない!」

愛依「ええ!?い、今ので!?」

雛菜「別に何もおかしなところなかったよ〜?」

智代子「ううん、それがあるんだよ!致命的な、本物の夏葉ちゃんとの矛盾点がね!」

夏葉「……」
181 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/07(木) 22:22:12.99 ID:1PTEZRlO0






智代子「だって、わたしはコロッケの時は醤油だから!」





「「「「「……」」」」」


182 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/07(木) 22:23:18.20 ID:1PTEZRlO0

灯織「こ、コロッケに……」

摩美々「醤油……」

雛菜「そんな人いるんだ〜!」

愛依「うちも醤油は使わないかな……?」

夏葉「智代子、そういう驚きって誰しもが通る道だわ。私も似たような経験があるの」

夏葉「メインがシチューなのに、パンがなかったのよ……!」

智代子「夏葉ちゃん、そのくだり……もう放クラのみんなで一度、昔に経験してるんだよ!」

夏葉「な、なんですって!?」

智代子「反応まで夏葉ちゃんのそのままなのはすごいけど……あの時の記憶を失っているとは言わせないよ!」

摩美々「私たちなら記憶を取られてるって説明がつくケド、黒幕側が記憶を失ってるわけないもんねー」

愛依「じゃあ、この夏葉ちゃんは……」

雛菜「偽物さんだね〜〜〜〜♡」

夏葉「ち、違うの……違うのよ……」




夏葉「私は……私は……」




183 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/07(木) 22:23:51.12 ID:1PTEZRlO0





「いやああああああああああああああああああああああ!!」






バタン!



184 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/07(木) 22:24:58.45 ID:1PTEZRlO0

灯織「……ケリはついたみたいですね」

愛依「えっと……まぁそこの夏葉ちゃんが本物の夏葉ちゃんじゃないってわかったならさ……」

愛依「あれは結局誰なん?誰かのヘンソ―ってこと?」

摩美々「チョコでも区別がつかないレベルで夏葉そのもの、となるとマスクをつけたとか服装をまねたとかそんなレベルじゃないよねー」

摩美々「……夏葉そのものになるために、整形したとかぁ」

灯織「せ、整形……」

智代子「だとしたら、どうして黒幕は夏葉ちゃんの整形をしたのかな……そこまでして、夏葉ちゃんに罪をかぶせたかったの?」

(夏葉さんを騙ることの意味……?)

摩美々「……今思えば、地下のトレーニングルームとかは夏葉っぽさを出すにはくどいぐらいでしたよねー」

雛菜「トレーニングのイメージの強いアイドルって言ったら限られますもんね〜」

愛依「ね、真っ先に夏葉ちゃんのことを思ったもん!」

灯織「つまり、あれは夏葉さんに疑いを向けさせるためのミスリードの設備だったということですか……」

(……ん?)

(だとすると、黒幕は夏葉さんの存在を【隠れ蓑】にしようとしたってことになるの……?)
185 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/07(木) 22:26:11.44 ID:1PTEZRlO0

灯織「じゃあ、黒幕は他にいるってことなんですか……?」

愛依「ええ?!ここに来て!?」

摩美々「この夏葉を騙っている誰かの取り乱し様……本当の黒幕のスケープゴートってところですかねー」

雛菜「裁判での黒幕特定を間違った結論に導くためだったってこと〜?」

智代子「じゃあわたしたちがこれまでの議論で話し合ってきた証拠品もそのミスリードのためだったの?」

灯織「いや……その全部がそうだってわけじゃないと思う」

摩美々「 “A”っていう人間へのメールは、まず間違いなくこのコロシアイの黒幕に充てられたメールだったはずだしねー」

雛菜「それに、未成年連続失踪事件にかかわるぐらいに社会的な権力がある人なのは間違いないですよね〜」

愛依「あ、あとモノクマが宣言してたし、うちらの事務所の人ってのは外せないよね!?」

摩美々「そこを揺るがせば、それこそチーム・ダンガンロンパの配信を視聴している人間が納得しないでしょうしねー」

雛菜「ん〜……でも、それに該当するアイドルってなると夏葉さんしかいなくない〜?」

智代子「あ、美琴さんはどう?! 苗字のイニシャルもA、だよ!」

灯織「うーん……美琴さんはまだ事務所に入って日も浅いから……このコロシアイを指揮するうえで必要な私たちに対する知識が乏しいかも」

愛依「あと大人なのは千雪さんだけど……苗字も下の名前もイニシャルはAじゃないし……」

雛菜「候補がいなくなっちゃったね〜」

(……現実的な問題として、こんな規模のコロシアイを運営できる人間はそうそういない)

(黒幕の特徴を満たした存在、そうなると自然と夏葉さんになってしまう……)
186 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/07(木) 22:27:37.96 ID:1PTEZRlO0

夏葉「……」

愛依「夏葉ちゃんの偽物も、なんかあんな感じになっちゃってるし……」

智代子「真の黒幕、真の黒幕……うーん!アイドルの中には該当者がいないよ〜!」

灯織「……ん?」

灯織「ごめん、チョコ! 今のもう一回言ってもらってもいいかな!」



智代子「え? 【アイドルの中には該当者がいない】……」




灯織「そうか……そうだったんだ……」

摩美々「灯織―?」

灯織「私たちの事務所の中で、先ほどの条件を同時に満たす人間が夏葉さんのほかにもう一人だけいます」

愛依「えっ?! マジ!?」

灯織「本来なら、黒幕候補にあの方の名前が並んでもおかしくないのに……地下一階のトレーニングルームの印象だけで雲隠れしていたんです」

灯織「あの人に、そんなイメージはありませんから」

雛菜「え〜? 誰の事〜?」
187 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/07(木) 22:29:27.29 ID:1PTEZRlO0


(わかった、このコロシアイの真の黒幕が……!)


(イニシャルがA、社会的な権力、283プロダクションの人間……)


(私たちのすぐそばで、ずっと私たちのことを見ていたあの人なら……)


(このコロシアイを指揮することだって可能なはず……!)


摩美々「灯織、真実が見えているなら怖がることはないよー」

愛依「だってうちらがいるじゃん! ね!」

智代子「うん! 覚悟はとっくに決めてるよ!」

雛菜「灯織ちゃん、一緒にその一歩を踏みだそうよ〜!」

灯織「……ありがとうございます、おかげで不思議とこの瞬間でも落ち着いていられる」

灯織「私の口から、述べさせていただきます」

灯織「このコロシアイを始めた、その黒幕の名前は……!」

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【真の黒幕を指摘しろ!】

↓1
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/07(木) 22:29:49.64 ID:39oawL9h0
天井 努
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/07(木) 22:30:45.74 ID:q+7IbvV90
天井努
190 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/07(木) 22:34:09.12 ID:1PTEZRlO0

智代子「そ、それって……」

雛菜「社長さんの名前〜!」

摩美々「そっかぁ……確かに夏葉の特徴のすべてがそっくりそのまま社長にも当てはまるんだ……」

愛依「確かに社長はイニシャルもAだし、チーム・ダンガンロンパなんて組織に入っててもおかしくないし……」

雛菜「事務所の仲間って言うのもしっかり満たすよね〜!」

智代子「てっきり黒幕はアイドルの誰かだと思い込んじゃってたけど……私たちを支えてくれていた大人たちも、事務所の仲間なんだもんね!」

灯織「あの方なら、私たちのことも知り尽くしているし、私たちの行動だって管理できる。もはや、社長を置いて黒幕になれる人間なんていないと思う……」

摩美々「って、灯織は言ってますケドどうなのー?」

夏葉「……」

智代子「まるで反応がないね……」

愛依「ハイジン?みたいになってんじゃん……」

灯織「この方を頼っていても仕方ありません……アピールするなら、うってつけのものがありますよね」


そう、私たちには何万もの視線が向けられている。
きっとその中の一対は、真の黒幕のものなはず。彼を引きずり出すために声をかけるべきは、監視カメラだ。
191 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/07(木) 22:34:55.92 ID:1PTEZRlO0

灯織「……今の推理が間違っているのならそれで構いません。ですが、今の推理通り、このコロシアイの黒幕が天井社長だというのならその姿を見せてください」

摩美々「そうじゃないと視聴者も納得しないですよー」

私たちの推理から、しばしの静寂。
黒幕側からの反応も、偽の夏葉さんの反応も、なにも起きず、変わらぬまま……長い長い時が経った後。






_____それは突然にやってきた。




192 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/07(木) 22:36:05.59 ID:1PTEZRlO0

ゴゴゴゴゴ……


智代子「じ、地震?!」

愛依「なんかこれ、前にもなかった?! 樹里ちゃんの時の救急車みたいな……」

雛菜「咲耶さんの時の空気清浄機もこんな感じで地響きがしてましたね〜」

摩美々「……ってことは……」

灯織「何かが来ます!」


ズガドーーーーーーーーーーーン!


____私たちの予感は的中した。



193 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/07(木) 22:37:48.09 ID:1PTEZRlO0





「素晴らしいな、流石我がプロダクションが誇るアイドル達。期待以上の成果を見せてくれたな」





194 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/07(木) 22:38:57.25 ID:1PTEZRlO0

爆ぜ散った裁判長席からはまるで何かの初号機が発進するかのような発射台が飛び出し、そのスモークの中には見覚えのある男性の姿があった。
壮年でありながら、姿勢は崩れておらず、口元には積み重ねた年齢からなる含蓄あるほうれい線が見える。

間違いない、私たちのプロダクションの社長……【天井努】その人だった。

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【超社会人級の絶望 天井努】






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195 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/07(木) 22:47:02.91 ID:1PTEZRlO0

区切りなので本日の更新はここまで。
ついに本当の意味で最後の対決、真の黒幕・天井努との対決に移ります。

それに先立って、もうここまで来たら裁判を中断することなく一気に最後までやってしまいたいと思います。
裁判の後のパートも全部同日に挙げる意味合いで『最後まで』です。
半年余りで続いたシャニロンパにケリをつけましょう。

というわけで明日の更新をお休みして、土曜日の日中から夕方にかけて進行しても大丈夫でしょうか?
これでよろしければまた明日に土曜日の再開時刻を書き込みにまいります。
それではお疲れさまでした。

※大きな地震がありましたが皆様大丈夫でしょうか、余震にもお気を付けください。


196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/07(木) 22:52:05.26 ID:r1ntUhj20
お疲れ様でした 了解です
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/07(木) 22:55:54.95 ID:eCYU39Si0
甘いぞ遊戯!
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/08(金) 13:26:23.92 ID:wNHj0d0UO
ちょっとこれは甘くなさすぎですよ、社長…
199 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/08(金) 19:04:35.09 ID:RSwio1Co0

シャニロンパ最終回の更新は10/9(土)14:00〜にしようと思います。
どうかお付き合いただければ幸いです。
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/09(土) 08:05:47.49 ID:r2ZqYPeX0
了解です!
201 :それでは最終回更新、はじめます ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 14:02:08.62 ID:uz0wsKDr0

灯織「やはり、社長が黒幕でいらっしゃったんですね……」

努「本来なら私は姿を現す予定もなく、このまま彼女に黒幕役を代行して終わるつもりだったんだがな」

努「まあ彼女は彼女の役目をしっかり全うはしてくれた……諸君らが私の想像以上の成長を見せてくれたということだな」

摩美々「そんなことで褒められてもうれしくありませんー」

(本当に、この人が黒幕だったんだ……)


目の前の社長の姿は、さきの夏葉さん以上に見慣れた姿。
今思えば偽物の夏葉さんにはどこか言葉にならないほどの小さなものだけど、違和感があったような気もする。
しかし、この社長には寸分たりともその姿に揺らぎがない。実像と想像とがガッチリとハマって一致する。

有無を言わせない、【現実】がそこにはあった。

202 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 14:03:06.68 ID:uz0wsKDr0

努「しかし、流石に生きた人間をまねたところでどうしても粗は出てしまうものだな。まさか園田にそんな変わった食習慣があるとは想像していなかったよ」

智代子「コロッケに醤油はそんなに変わった風習でもないですよ!」

灯織「ごめんチョコ、それは擁護できないかもだけど……」

努「それ以外は大したものだっただろう? 正真正銘、有栖川夏葉を再現させてもらった」

摩美々「じゃあやっぱりー……」

努「ああ、彼女は偽物だ。その体に流れる血は有栖川のものでもないし、ましてや元々の顔は似ても似つかぬものだったよ」

智代子「ほ、ホントに夏葉ちゃんに寄せるためだけに整形を……?」

努「ああ、この女性はチーム・ダンガンロンパの協力者だ」

夏葉「……」

努「絶望に魅せられていた彼女はコロシアイを盛り上げるためならと快く承諾してくれた。これまで生きて来た自分を捨て去り、有栖川夏葉の模倣となって生きて、死にゆくことを」

愛依「そ、そんなんで……自分を捨てられんの……?」

努「だが、所詮この女性は入れ物に過ぎない。自分自身では有栖川夏葉だと思い込んでいたが、キミたちの推理のもとに自我同一性を失した今……廃人と変わりないまでの前後不覚に陥っているようだ」

夏葉「……」


かつて有栖川夏葉だった女性はうつろな目で天を見上げるだけで、社長の言葉にも一切の反応を示さない。本当にこの人は、ただの傀儡だったんだ……
チーム・ダンガンロンパのコロシアイという絶望の踏み台になるためだけの傀儡。
そう思うと憎しみを向けることもできず、やりようのない思いが体中をかけめぐる。

203 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 14:05:38.33 ID:uz0wsKDr0

摩美々「ちょっといいですかぁ?」

努「どうした」

摩美々「見た目は整形でどうにかしたって言っても、性格までどうやって夏葉を再現したんですかぁ?」

摩美々「チョコですら最初は気づけなかったレベルに成功に再現された夏葉、一朝一夕にできるものじゃないと思うんですケド」

努「……お前の洞察力には目を見張るな」

智代子「わたしがコロッケに醤油をかけること、それ自体は知らなかったみたいだけど……反応は夏葉ちゃんそっくりだったよ!」

努「……ふん、当然のことだ。お前たちが先ほどまで話をしていたのは、有栖川夏葉であり有栖川夏葉ではない者。それだけだったということだ」

愛依「んん……?」

努「有栖川夏葉の存在を信じ込ませることに成功した、彼女の働きは立派なものだったよ」


社長はそう言って、夏葉さんの偽物を一瞥したかと思うと……




努「……だが、そろそろ邪魔だな。黒幕としての役割は無事私に受け継がれる、彼女はもうお役御免だ」



204 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 14:06:52.53 ID:uz0wsKDr0

衝撃的な言葉を口にした。ここでのお役御免とは、そう言うコトだ。
実際社長の右手は、あのスイッチに手がかかっている。
これまでに何人もの人間をクロとして葬ってきた、あの【スイッチ】。

思わず脊髄反射のように声が口を飛び出る。
この人が何者なのかもわからない、でも仲間の見た目と瓜二つの人間をこのまま黒幕の意図通りに葬り去らせることは、流石に許すわけにはいかなかった。
でも、それは私の心中での話。
いくら願おうと、祈ろうと……現実とは私とは無関係に進行していく。


____まして、相手は心が麻痺しきったコロシアイの黒幕だ。


灯織「……待ってください!!」


私が制止をする間もなく。

205 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 14:07:27.97 ID:uz0wsKDr0





努「おしおきタイムだ」


スイッチは押されてしまった。





206 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 14:08:40.55 ID:uz0wsKDr0
-------------------------------------------------



GAMEOVER

アリスガワさんのそっくりさんがクロにきまりました。
おしおきをかいしします。



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207 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 14:11:06.53 ID:uz0wsKDr0

すっかり廃人のようになってしまった有栖川さん(偽)。
でも、ここは学級裁判。人格に問題があるとしても免罪なんかはあり得ません。
目には目を歯には歯を、おしおきにはおしおきを。
これまで幾人もおしおきのもとに屠ってきた彼女は、おしおきの輪廻に飛び込むしか道はないのです!

さあ、始めましょう……一世一代のおしおきエンターテインメントを!


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

超大学生級の絶望的おしおき

超大学生級の絶望(笑) 有栖川夏葉(偽)処刑執行


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『ありったけの輝きで』

トップを目指す有栖川さんらしいエレガントかつ煌びやかな衣装に身を包んだそっくりさん、カラスも当然放っておきません。
ガトリングのように放たれるカラスたちが次々から次へとその肉体を

啄んで啄んで啄んで啄んで啄んで啄んで
啄んで啄んで啄んで啄んで啄んで啄んで
啄んで啄んで啄んで啄んで啄んで啄んで
啄んで啄んで啄んで啄んで啄んで啄んで


『人生☆CLIM@X!!』

相手がボロボロだからって、喧嘩で手抜く奴いる?
___いねえよなぁ!!?

溢れんばかりの不良モノクマたちが一斉に襲い掛かり集団リンチ。
その姿も影も見えねえけど……喧嘩にルールも秩序もいらねえもんなぁ?!!
208 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 14:13:32.21 ID:uz0wsKDr0

『死・屍・累・々』

ありゃりゃ、ちょっとばかしやりすぎてしまったっぽいね。
カラスに啄まれて、不良にボコられて……既に体中が傷まみれで血まみれですね。

じゃあ治療してあげないと!
モノクマドクター緊急出動!全身包帯でぐるぐる巻きにしちゃおうね!
身動きが取れないくらい、締め付けすぎて骨が折れて内臓が圧迫されるぐらいにキツキツで!


『凛として散る花の如く』

もう風情とか風流とか正直どうでもいいよね?
和の心とか知ったことないんですわ。
やっぱこのご時世、ドカンと一発大きなもん打ち上げた方が目を引くってもんですよ!
ほらほら、有栖川さん(偽)もそんな桜の木の下で陰鬱にしてないで!

ほら、一世一代の大花火ですよー!

あ、やっべ……間違えて空じゃなくて有栖川さん(偽)に打ち込んじゃった……

209 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 14:14:35.45 ID:uz0wsKDr0

『卒業〜graduation〜』

ここまで四つのおしおきを終えて来た有栖川さん(偽)はもう虫の息。
地面に這いつくばるようにしながら、呼吸をするので精一杯。

……お別れの時は刻一刻と近づいています。

だったら最後に、思い出のための写真を撮ってあげましょう!
有栖川さん(偽)の這いつくばる教室の床が急に抜けたかと思うと、抵抗する余力もない体はそのまま無防備に落下。
待ち受けるのはあのシャッター付きの巨大カメラ。

これなら、美しい思い出の一枚が撮れそうですね!
ほら、有栖川さん(偽)も嬉しそう。
自分の死を直前にして押し寄せる絶望感の快楽を前に、その笑顔はアイドルさながらの美しさです!


____シャッターチャンス!


カシャッ

グシャッグシャ……バキッ……





一生に一度の卒業写真に写った彼女は、もはや有栖川さんでもましてや元々の彼女とも似ても似つかない、醜い醜い肉塊でしたとさ。
210 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 14:17:26.00 ID:uz0wsKDr0

正体不明の、夏葉さんの見た目をした人物の死。
それがなんとも居心地悪く頭と心中とを濁らせた。
分かってはいたことだが、あまりにもこの学園では命が軽すぎる。
これまでの仲間の死とも異なる、本当にただ無機質に処理のためだけに行われたおしおきにそれを実感して成らなかった。


努「……終わったな」

智代子「ひ、ひどい……!」

灯織「な、なんてことを……!?おしおきを実行する必要性はありませんでしたよね……!?」

努「……お前たちは甘すぎる」

努「この学園では殺すか殺されるかだ。この学園から出ていくなら、死をもって代金とせねばならない。自分の命か、他人の命を犠牲にしてな」

灯織「だからって、用が済んだら切り捨てるんですか?!」

努「ああ」

灯織「……!!」

努「彼女も生前話していただろう。チーム・ダンガンロンパとはゲームのダンガンロンパにおける思想に感化された集団……己が死という絶望を享受できて、むしろ私に感謝すらしているかもしれないな」

摩美々「そんなの、狂ってるってー……」
211 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 14:20:08.77 ID:uz0wsKDr0

努「まあ、過ぎたことは仕方ないだろう? これ以上彼女を悼んだところで彼女たちが戻ってくるわけでもない。我々がすべきなのは、これからの話だ」

雛菜「これから〜?」

努「ああ、この学園を出た後の君たちの処遇についてだ」

(……え?)

努「さきほど彼女から説明もあった通り、諸君らにはVERTEXの優勝を目指してコロシアイ合宿生活の生存者たちでユニットを組織してもらう予定だ。コロシアイの中でいくつも直面した絶望、それを乗り越えた諸君らなら最高のアイドルになれると確信しているぞ」

灯織「ま、待ってください!」

努「……どうした? ユニットは不満か?」

灯織「それ以前の話です……この学園を出るって……本当なんですか?!」

努「……? 何を言っているんだ、君たちはもともとこの学園から出るためにコロシアイをしていたはずだろう?」

灯織「だ、だとしてもです……黒幕であるあなたが、こうもすんなりと脱出を許可するなんて……」

努「それも先ほど説明した通りだ。既にお前たちの成長は十分なものとなった、VERTEXでも十分やれるはずだ」

努「……外の世界が怖いか? 確かにお前たちはこの一か月、鳥かごの中の生活を強いられてきた、だがお前たちが本来住んでいたのは外の世界の……もっと自由な青空だったはずだ」

努「お前たちは元居た空に戻るだけ。なにも怖がることはない」

(……違う、これならまださっきの夏葉さんの偽物の話し方の方が信用できた)

(あの人はおそらく、表面上のことしか聞かされていなかったんだろう……だから心からVERTEX優勝のためという建前の目的を信じて語ることができた)

(でも、社長の口ぶりはそうじゃない……脱出という餌をぶら下げて、それに私たちが食いつくのを待っている)

(……この裏に、間違いなく何かがある)
212 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 14:22:27.13 ID:uz0wsKDr0

愛依「でも、これで外の世界に出られんなら……一旦社長の言う通りに脱出する?」

雛菜「ここにいる理由もないですしね〜」

智代子「……」

摩美々「どうしたの、チョコー?」

智代子「……ごめんね、この学園からもう出れるって言うこの局面になってなんだけど……凛世ちゃんの言ってたことが気になるなって」

灯織「凛世の言葉……?」

-------------------------------------------------

灯織「それって裁判の最後に語ろうとしていた……『コロシアイ合宿生活を続けようとした』ことと関係してるの?」

凛世「……はい」

めぐる「コロシアイ合宿生活を続けたかったってこと……なんだよね?どうして……?」

めぐる「わたしたちと同じ気持ちだったら、むしろ全員生き残ることを目指したかったんじゃないの……?」

凛世「凛世の気持ちが、みなさんと共にあることと……生還を望む気持ちとは、必ずしも同じでないのです……」

円香「……それ、どういう意味?」

凛世「この学園から、生きて出ていくこと……それは死するよりも、残酷なことなのでございます……」

灯織「……え?それってどういう意味……!?」

凛世「……詳しくは、語れません」

凛世「ただ、今コロシアイ合宿生活が終われば……これまでのみなさんの苦しみ、そして想いが……泡沫に散り果てることとなってしまうのです……」

凛世「ここで生活が終わるくらいなら、みなさんをここで……凛世の手で弔いたく、この裁判を起こさせていただいたのです……」

(死以上に苦しむことになる生還……?)

灯織「……凛世は、凛世なりに考えてこの事件を起こしたってことだったんだね」

凛世「……左様です」

-------------------------------------------------
213 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 14:24:09.31 ID:uz0wsKDr0

智代子「凛世ちゃんは、このコロシアイが終わってしまうことを怖がってるような口ぶりだったよね……? でも、今のわたしたちに、特にそういう事態は起こってないのが、なんとなく気になって……」

灯織「……確かにそうだね、私たちの苦しみや想いが無に帰ってしまうなんてことまで言ってたけど……今の社長の話では特にそんなものが感じられなかった」

愛依「ってことは、社長はうちらにこの脱出について何か隠してるってコトなんかな……?」

努「……」

摩美々「凛世の言ってたこと、その意味を考えてからでも判断は遅くないかもねー」

雛菜「それじゃあそれを議論してみよっか〜! ね、いいですよね〜?」

努「……好きにしろ」

(……凛世が私たちに託してくれた想い、その真意を読み解く時が来た)

(きっとこれが、真相にたどり着くうえで最も重要なピースになる……!)
214 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 14:25:35.09 ID:uz0wsKDr0
-------------------------------------------------
【ノンストップ議論開始!】

コトダマ
‣【被検体α】
‣【VERTEX】
‣【プレゼン資料】
‣【コロシアイ学園生活】
‣【Aへのメール】
‣【2F男子トイレ奥の空間に存在したメモ】
‣【キャンプの写真】
‣【コロシアイの動機】


努「この合宿生活のプログラムは終了した」

努「諸君らにはこの学園を出た後≪VERTEXに挑戦してもらう≫」

努「そこで最高のアイドルになって私の悲願が達成される……!」

智代子「でも凛世ちゃんはこのコロシアイは終わらせちゃダメだって言ってたよ!?」

摩美々「このコロシアイを終わらせることで≪何かしらのデメリットが生じる≫のかもねー」

愛依「死ぬより残酷なことってなんなんだろ……」

雛菜「≪これまで通り生きていけなくなる≫のはそうだよね〜」

雛菜「みんなユニットの仲間を失ってるんだし、お仕事も日常も変わっちゃうよね〜」

摩美々「でも、それってコロシアイが続こうが続くまいが変わらなくないー?」

智代子「やっぱり私たちの知らない何かがあるんだよ!」

努「……」

【正しいコトダマで正しい発言に同意しろ!】

↓1
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 14:34:16.84 ID:iL5AHmL80
被検体α → これまで通り生きていけなくなる
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 14:36:22.86 ID:ooW7Zp/WO
何かしらのデメリットが生じるに被験体α
217 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 14:37:36.69 ID:uz0wsKDr0

灯織「それに賛成です!」

【同意!】

灯織「……これまで通り生きていけなくなる、それは確かにこのまま学園を出ても同じことではある」

灯織「でも、ただコロシアイを経験した人間だから……以上の意味がそこにあるんじゃないかな」

雛菜「え〜?」

灯織「……むしろ、別人としての生き方をするしかなくなるっていうぐらいに」

愛依「別人……それってうちが和泉愛依じゃなくて、別の誰かになるってこと……?」

灯織「ここに、とある実験記録があります。地下一階の開発室で回収したものになるんですが……なんだかそれに関連性の高い記述があるんです」


『我々の開発も一定の成果をあげた。マウスによる生体実験も無事に成功、いよいよ続いての段階に遷移することとした。本実験の最後では全被験者への適用が予定されているが、特に適正値の高い被検体αに先行して適用した。彼女はもとより性格面で類似性があったためか、特に拒絶反応も発生することなく実験も成功した』


雛菜「性格面で類似性〜?」

智代子「これって実験の中身がまるで見えてこないね……性格にかかわる実験って何のことだろう……?」

灯織「多分、これってその人自身の性格を変えてしまうみたいな実験なんじゃないかな?」

摩美々「……!! そういう意味では、今摩美々たちは目撃したばかりだよねー」

摩美々「別人としての生き方をするしかなくなった人を……」

智代子「も、もしかしてさっきの夏葉ちゃん?!」
218 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 14:39:12.91 ID:uz0wsKDr0

灯織「あの人は、元々夏葉さんとは何ら関係のない人だったと社長も話していました。それなのに、あのレベルの人格再現……そして、私たちはあれに似た現象をこれまでに一度見ています」

摩美々「それって、霧子のことだよねー」

-------------------------------------------------
モノクマ「本物の超高校級の保健委員の人格をそっくりそのまま幽谷さんの中にインプットしてあげたんだ!」

モノクマ「ていっても流石に上書きしたわけじゃないよ?海馬の部分にチョチョイとメスを加えて脳髄の分泌物が……」

モノクマ「まあ詳しい説明はどうでもいいよね、それこそ超高校級の神経学者にでも聞いてやりなよ!」

咲耶「ちょ、ちょっと待ってくれ!」

咲耶「それじゃなにかい?!いま、私の前に立っているのは霧子の姿をした別人だということかい?!」

霧子「ふふ……♪」

モノクマ「だから、上書きじゃないんだって!上書きじゃなくて統合!」

モノクマ「もともとあった幽谷さんの人格と超高校級の保健委員の人格が融合したんだよ!」

-------------------------------------------------

灯織「あの時にもモノクマは、人格を霧子さんの体の中に入れ込んだと言っていました……どんな技術なのかはサッパリですが、夏葉さんと同じことがそこで行われていたのではないですか?」

雛菜「うーん、多分霧子ちゃんのパターンと夏葉さんのパターンは正確には違うんじゃないかな〜」

雛菜「霧子ちゃんの場合はもともとあった人格を残したうえで人格を統合させてるけど、夏葉さんを真似た人は人格そのものを変えちゃってるし〜」

雛菜「社長の話し方をみるに、雛菜たちの人間性まで捻じ曲げるんじゃこのコロシアイの目的がブレちゃうもんね〜」

愛依「……えっ!?それじゃあうちらも霧子ちゃんとさっきの夏葉ちゃんみたいに人格を入れられちゃうってことなん!?」

努「……」

智代子「そっか……そう考えると凛世ちゃんの言ってたこともわかるよ。わたしたちは実際別人のように変わってしまった霧子ちゃんのことを見ちゃったし……あれと同じことが私たちの身に起きたら……」

灯織「社長……違いますか? 私たちをこの学園から脱出させる、そこにはもっと別の意図……私たちの身に何か手を加えようとする意図があるのではないですか?」

努「……」
219 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 14:42:10.39 ID:uz0wsKDr0


努「……聡いな、お前たちは」


社長は笑うように独り言つと、その場で指を鳴らした。
再び場内に響き渡る地響きに当惑する私たちに憮然とする社長。
それから数刻後、私たちは衝撃的な光景を見ることとなった。


灯織「て、天井が……割れた……?」


地の奥底に押し込められた私たち。
日の光の一つも届かぬ深淵の住人ともなった私たちの目に飛び込んできたのは、太陽と見まごうばかりに巨大な電灯だったのである。
天井の一切を占有する巨大な電灯には、なにか複雑な回路のようなものが透けて見える。


努「これが何だかわかるか? お前たちも知っての通り、【思い出しライト】だ。ここまでの巨大なものは初めて見るだろうがな」

愛依「うちらの記憶を呼び起こす……ように見せかけて、記憶を植え付けるための機械……」

努「人格とはすなわちその人間がこれまで過ごして来た人生経験そのものだ。人との対話、積み重ねた努力、苦悩の経験、挫折の葛藤……それらすべてを蓄積したものが人格を形作る」

努「そしてその蓄積が、【記憶】と呼ばれるものなのだよ」

灯織「それってつまり……」
220 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 14:44:07.04 ID:uz0wsKDr0






努「そういうことだ。卒業が確定し次第、お前たちには人間一人分の記憶を受け取ってもらうぞ」






221 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 14:45:09.08 ID:uz0wsKDr0

灯織「人間一人分の……記憶!?」

摩美々「思い出しライトを使えばその人の持ってない記憶だってねじ込めるのは身をもって経験済み……その応用ってわけですかぁ」

雛菜「っていうより雛菜たちに使った思い出しライトはその試作版みたいな感じだったりするんじゃないかな〜」

愛依「ってことはうちの体に、もう18年分の記憶が入るってこと?!そんなんどうなんの?!」

灯織「……どうなるのかは、霧子さんをもって目撃しています」

努「なに、完全に別人になるというわけではない。元あった人格に更に属性が付与される、程度に考えておけばいい」

摩美々「そう単純な話じゃないですよねー」

愛依「て、てかさ! 記憶を入れるにしても、いったい誰の記憶を入れるわけ?!」

智代子「そうだよ! まさか……これまでになくなったみんなの記憶を……!?」

努「ふん、そうではない」

努「大体今見たばかりだろう、生きた人間の記憶では操作する側も把握しきれない要素が表出してしまう。園田の食習慣のようにな」

努「そうした際に人格が事実の需要に対し拒否反応を起こしてしまえば使い物にならなくなってしまう」

智代子「じゃあ、いったい誰の記憶を入れるの……?」

(生きた人間の記憶だと不適切……?)

灯織「もしかして、あれってそういうことだったんですか……?」

雛菜「灯織ちゃん何か心当たりがあるの〜?」

灯織「うん……チーム・ダンガンロンパは私たちの中にこの人たちの記憶を入れ込もうとしてるんじゃないかな……」


【正しいコトダマを選べ!】

>>5>>7

↓1
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/09(土) 14:50:47.08 ID:cKcIg8Sd0
【コロシアイ学園生活】
223 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 14:53:37.20 ID:uz0wsKDr0

灯織「この人たちの記憶を入れ込もうとしたのではないでしょうか?」

愛依「……あれ? でも霧子ちゃんに入れられた記憶って超高校級の保育委員の子の記憶なんだよね? コロシアイ学園生活にはいなくない?」

灯織「……あっ」

(コロシアイ学園生活の参加者の記憶……間違ってはいないけどわずかに食い違う)

(もっと直接的な証拠はなかったかな……?)


【正しいコトダマを選べ!】

>>5>>7

↓1
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 14:55:30.06 ID:3Iy7L2zD0
候補者リスト
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/09(土) 14:56:41.68 ID:+nHyngZR0
コロシアイ学園生活
226 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 14:57:47.45 ID:uz0wsKDr0


灯織「これです!」

【解!】

灯織「ロッカールームに保管されていたリストなんですが……このリストにはこの場にいる全員、それにこれまで犠牲になった人たちも全員の名前が書かれています」

灯織「そしてその横には……超高校級の才能も」

摩美々「才能……?」

灯織「希望ヶ峰学園にいたとされる生徒の持っていた才能ですよ。思い出しライトでねじ込まれた記憶の中でも、いくつか心当たりがあります」

灯織「例えば、真乃にはこの学園で与えられた才能と同じく【超高校級の飼育委員】・田中眼蛇夢の名前が書いてありますし、私にも【超高校級の占い師】・葉隠康比呂の名前が書いてあります」

摩美々「実際霧子にねじ込まれた人格も、【超高校級の保健委員】・罪木蜜柑のものだったことを鑑みるとー……」

摩美々「あの思い出しライトで私たちにねじ込みたい人格は、概ねこのリスト通りってことでいいんじゃないかなぁ」

努「クククッ、ご明察だよ。そのリストと同じデータがあの光源からは放射される仕組みになっている。幽谷はその予行といったところだったわけだ」

努「実際彼女自体は強い適正を示してね、実験としては成功といえるだろう。……まあ、罪木の人格形成の要素として江ノ島盾子に対する崇拝が含まれたがゆえに少々暴走してしまったがね」
227 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 15:00:10.52 ID:uz0wsKDr0

愛依「ってかちょっと待ってよ! 希望ヶ峰学園も、超高校級の才能も、この人たちもみんなみんな……フィクションの存在なんでしょ?!」

灯織「……だから先ほど社長は生きた人間の記憶だと人格の入れ込みに支障があるって言ったのだと思います。あくまで創作物の中のキャラクターであれば、人格構成要素のすべてを拾うことも可能、詳細な設定も思いのままでしょうし」

摩美々「それになにより、この人は完全にチーム・ダンガンロンパの組織の人間なんだよー? ゲームの思想に完全に感化されちゃってるわけで、そんなバカげた発想をしててもおかしくはないってことだよねー」

努「……馬鹿げている? 違うな」

努「確かにダンガンロンパは一ゲーム、一フィクションの存在にすぎない。だが、才能を持つ者同士が潰し合い、淘汰し合い……その結果生まれる生存者という存在……彼らほど美しい存在もない」

努「そして彼らはもとよりこの国の希望と言うべき存在なのだ。そんな希望が、我々の世界にもいれば、このくだらない退屈で飽和しきった世界を照らしてくれるとは思わないか?」

努「そう、この世界には希望が求められている……! 我々はそのためにダンガンロンパをこの世界で再現することに決めたのだ……!」

愛依「ダメだ……うち、一個も理解できないし……したくもない」
228 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 15:02:20.56 ID:uz0wsKDr0

灯織「要は社長は、ダンガンロンパのキャラクターを私たちと人格統合するためにこのコロシアイを起こしたってことなんですね……?」




努「ああ、そうして生まれる【超高校級の歌姫】たちを率いてVERTEXに優勝する……!! それこそが私の実現を目指した、【方舟計画】なのだよ!」




灯織「【方舟計画】……!! 本当の狙いはこれだったんですね……」

摩美々「ダンガンロンパのキャラクターの人格、それを私たちという箱舟に乗せて現実世界へと持ち出す……」

摩美々「明らかになってみればそのまんまのネーミングだったってわけですねー」

智代子「でも、それだったら……コロシアイなんかする必要はなかったですよね?!」

智代子「人格を入れ込むだけじゃ……こんな仲間同士で血を流す必要なんか!」

努「それは違うな」
229 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 15:06:41.29 ID:uz0wsKDr0

努「お前たちもこの学園でコロシアイに身を投ずるまでは退屈な日常を貪るだけの存在、希望とは程遠い【凡人】だったのだよ」

努「だが、ここでコロシアイ合宿生活を体験してみてどうだ? 死というものを意識するようになったお前たちは大きく変わった。何があろうとも前に進む勇気、仲間のことを信じ続ける意志の強さ、物怖じせずに現実に向き合える胆力。そのすべて、この生活でなくては育まれることの無かった【要素】を得た」

努「そして、それはコロシアイの世界にいたダンガンロンパの超高校級の生徒たちも持っていた【要素】だ」

灯織「……!!」

努「……このコロシアイは、必要なものだったのだよ。お前たちと、入れ込む人格との適合率を上げるためにはな」

摩美々「それじゃあ摩美々たちは、自分以外の何者かになるためにこのコロシアイをしてたってわけですかぁ……」

智代子「じゃあ凛世ちゃんが言ってたここでコロシアイを終わらせないって言うのは……」

努「あの段階でダンガンロンパの超高校級の生徒たちとの適合率はある程度満たしてはいたんだ。幽谷が実際成功したわけだしな、だからあの時の動機は半ばコロシアイを打ち切ることも覚悟したものだった」

努「ただ、杜野はこの目的を知ってしまっていたからな。私を裏切って、延期する方向に動いたわけだ。全く……厄介なことをしてくれたものだよ」

230 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 15:07:40.07 ID:uz0wsKDr0

灯織「……あなたの目的はわかりました。そのうえで一つお聞きしていいですか?」

努「どうした、風野」

灯織「この候補者リスト……浅倉さんのところの表記についてお伺いしても」

雛菜「……!! 透先輩のとこ、黒塗りになってる……?!」

智代子「それに横矢印で灯織ちゃんの名前が書いてある……?」

努「……ああ、それか」

努「そうだな、お前たちは……特に風野は知っておくべきだろうな。だが、それの答え自体はお前も知っているはずだぞ?」

灯織「……え?」

努「そこの黒塗りの下を明らかにする、その大きな手掛かりを知っているはずだ」

努「示して見せろ、お前ならできるはずだ」

(浅倉さんの黒塗りの部分を明らかにする手掛かり……? それって……)


【正しいコトダマを選べ!】

>>5>>7

↓1
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 15:13:58.41 ID:/TPZDUlUO
【2F男子トイレ奥の空間に存在したメモ】
232 :すみませんちょっと離席してました ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 15:20:25.83 ID:uz0wsKDr0

灯織「これです!」

【解!】

灯織「もしかして、あの男子トイレ奥で見かけたメモ書きのことですか?」

摩美々「それって確か……『このコロシアイは浅倉透のため』ってやつだったっけー」

努「その原本は樋口が処理してしまったわけだが……その通りだ。あのメモ書きは、初めから真実を示していたのだよ」

灯織「真実を……?」

雛菜「幼馴染の雛菜にもサッパリだったし、あれってどういう意味だったの〜?」

努「そうだな、ここはお前たちのお得意の推理で整理してみようじゃないか。箱舟計画、浅倉透、風野灯織……その要素を繋ぐ一つの回答が思いつかないか?」

摩美々「モノクマの時の回りくどさは今も健在ですねー」

(私と浅倉さん……箱舟計画……これらを繋ぐ、回答……?)

(あの黒塗りの下を予測するうえで、あのメモ書きがどんなふうに効力を発揮するというの……?)
233 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 15:21:10.74 ID:uz0wsKDr0
-------------------------------------------------
【ロジカルダイブ開始!】

Q1.箱舟計画の目的は?
A.世界を絶望で満たすこと 
B.生き残りに江ノ島盾子の人格を入れ込むこと 
C.適合率の高い超高校級の生徒の人格を入れ込むこと 
D.別の星で種の保存をすること

Q2.「このコロシアイは浅倉透のため」とはどういう意味?
A.透がコロシアイの黒幕
B.透がチーム・ダンガンロンパに呼びかけた
C.透をこのコロシアイの中で殺す予定だった
D.透に入れ込む予定だった人格が目当てだった

Q3.どうして透の候補者リストには黒塗りと灯織の名前があった?
A.透に入れ込む予定だった人格を灯織に入れることにしたから
B.灯織の人格を透に入れ込む計画に変わったから
C.透には既に別の人格を入れてしまったから
D.入れるはずの人格がロストしてしまったから

【正しい道筋を選んで推理を組み立てろ!】

↓1
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 15:23:41.06 ID:QkaTF2IzO
C→D→A
235 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 15:26:22.78 ID:uz0wsKDr0

灯織「推理はつながりました!」

【解!】

灯織「先ほどの箱舟計画の目的を確認しますと、私たちの中に超高校級の生徒たちの人格を入れ込むことが目的だったはずです」

灯織「そうなると、『このコロシアイは浅倉透のため』という文言がそれにガッチリとはまってくるんです」

努「……ほう?」

灯織「浅倉さんに入れ込むための人格が、目的だったという意味合いにはなりませんか?」

摩美々「え、それじゃあ摩美々たちは……透とその人格の適合率をあげるための舞台装置だったっていうコトー?」

智代子「わたしたちの誰が生きて、誰が死んでも……関係なかったってこと……?」

努「……」

灯織「でも、浅倉さんは最初の事件で命を落としてしまった……黒幕の計画ははじめに破綻してしまった」

灯織「でも、浅倉さんに入れるはずだった人格の適性は……私にもあったのかもしれません」

摩美々「そのための黒塗りと矢印ってことですねー?」

雛菜「透先輩に入れるはずだった人格を、灯織ちゃんに切り替えたっていうことなんだ〜!」

灯織「その人格が誰なのかはわからないけど……黒幕の真の狙いは、その人格の受け皿だったということなのではないでしょうか」






努「……流石、それでこそ【超高校級の希望】の器だ」





236 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 15:27:57.11 ID:uz0wsKDr0

愛依「超高校級の……希望……」

努「今言ってくれた通り、箱舟計画の中でも最も実現が望まれていたのが、超高校級の希望・苗木誠の人格の実現なのだよ」

愛依「……あれ? 苗木誠って超高校級の幸運じゃなかったっけ?」

努「ああ、お前たちに思い出しライトで入れ込んだ78期生の入学時の報道……あの段階では彼は一般市民の代表としての超高校級の幸運という才能を与えられていた」

努「だが、ダンガンロンパとは彼の成長譚でもある。仲間の死を乗り越えて前へと進み続ける彼は、超高校級の絶望・江ノ島盾子を打ち破ることにも成功する……その結果、彼は超高校級の希望とまで言われるようになったのだ」

智代子「確かにすごい人だけど……透ちゃんと灯織ちゃんの人格をかき乱す理由にはならないはずだよ!」

努「お前たちが何と言おうと……箱舟計画に変更はない。お前たちと人格統合を行い、超高校級の高校生を作り出すため、苗木誠をこの現実に作り出すため……」

努「このコロシアイは終結を迎えるのだ!」

(こ、これが……このコロシアイの全貌……!!)

237 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 15:29:35.45 ID:uz0wsKDr0

努「さて、真相をすべて騙り終えたところで、そろそろ頃合いだな」

摩美々「頃合いって、まさか……摩美々たちを卒業させて、人格を入れ込むんですかー?」

灯織「……!!」

努「ああ、お前たちが投票ボタンで黒幕である私に投票した時点で頭上の思い出しライトが起動する。それを通して、箱舟計画の全ステップが完遂されるわけだ」

智代子「そ、そんな……そんなの嫌だよ! そんな、別の人の人格なんか……!」

努「……もしそれが嫌なら、別の誰かに投票することだな。だが、自ら『絶望』を選び取るようなアイドルなどこの世界では求められてはいない。その時点で待っているのは残虐を極めるおしおきだ」

雛菜「それって要するに、【別人になるのを受け入れることができないならここで死ね】ってことですよね〜?」

愛依「ま、マジで言ってる……? こ、こんなん……選べるわけ無いじゃん……」

愛依「やだよ……うち、うち以外の誰かになんてなりたくない……」

愛依「冬優子ちゃんと、あさひちゃんと過ごした思い出に……別の誰かが入ってくるなんて……そんなの……!!」

(私だって……そうだ……)

(真乃とめぐると過ごしたこの記憶に……他の誰かが入ってくる……その結果、私が今こうやって思い出に感じている感情が変わってしまうかもしれない)

(そんなの、受け入れられるわけがない……)

238 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 15:31:06.35 ID:uz0wsKDr0

努「別人になるというわけではないとさっきも言った通りだが……?」

摩美々「アイデンティティに外から手を加えられたらもうそこに自我なんかない……ただ人の形をした人形じゃーん……」

智代子「……凛世ちゃんは、この選択をさせないために私たちをあそこで殺そうとしたんだ……」

智代子「……あの時に、凛世ちゃんに投票しなければ……こんな選択をしなくても済んだのかな……」

雛菜「……円香先輩は雛菜に生きてほしいって言ってたけど……こんな形で生き残っても、意味ないよね〜……」

灯織「……真乃、めぐる……」

努「さあ、審判の時だ。お前たちには自分の手で『希望』か『絶望』かを選んでもらうぞ。この世界の『希望』となるのか、『絶望』に身を堕として退廃的な死を迎えるのか。選択肢は二つに一つだろう?」



「…………」



239 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 15:34:28.46 ID:uz0wsKDr0


(……そう、みんな抵抗の意志を示してはいるけど結果はもう見え透いている)


(誰も、自分の死を自ら望むことはできない。それは自分自身の弱さだけによる話ではなく、これまでのコロシアイ合宿生活を生き抜いてきたからこそ)


(ここまでに命を散らして来た仲間たちは、全員私たちの生存を望んでくれていた。ここで『絶望』を選ぶことは、その想いを裏切ることになる)


(だから私たちは、もう……この濁り切った『希望』を受け入れることしかできないんだ……)


努「お前たちには手元にあるスイッチで投票をしてもらう。黒幕である私に入れるのが『希望』の選択肢、それ以外の誰に入れても『絶望』の選択肢だ」

努「さあ、始めようか……新時代のアイドルが誕生する、世界中が待ちわびた投票タイムを!」



(……私たちに、選択肢なんかない)


(初めから、決まっていた)


(この物語は、『希望』で終わることが決定している。それ以外の結末なんて認められていない)


(そんな、予定調和の物語……)

240 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 15:36:10.26 ID:uz0wsKDr0





「……あはっ」


____ブツンッ




241 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 15:37:42.49 ID:uz0wsKDr0
-------------------------------------------------
【ノンストップ議論開始!】

コトダマ
‣【希望】
‣【絶望】


愛依「うちは……生きて帰らなくちゃダメだし……兄弟も、あさひちゃんも、冬優子ちゃんも……会わなくちゃいけないし……」

愛依「でも……別の人格が入ったら、うち、ちゃんとみんなに心から話すことはできるのかな……」

智代子「凛世ちゃんの気持ちを……なんで汲み取ってあげられなかったんだろう……」

智代子「わたしたちが生きていることは、本当に正しかったのかな……」

雛菜「今になって、円香先輩が羨ましいよ〜」

雛菜「円香先輩は最後まで透先輩と小糸ちゃんを思って逝けたのに……雛菜は……」

摩美々「霧子と咲耶の死なんて最悪を経験しておきながら、今度は自我の喪失―?」

摩美々「どこまで言っても最悪しかないじゃーん……」


灯織「希望を、えらぶしかない……」

灯織「絶望を選ぶことなんか許されない……」

灯織「でも……希望だって……選びたくない……」


【正しいコトダマなんてない、私たちに選択権なんかない】

242 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 15:40:51.08 ID:uz0wsKDr0
-------------------------------------------------
【ノンストップ議論開始!】

コトダマ
‣【希望】
‣【絶望】


愛依「うちは……生きて帰らなくちゃダメだし……兄弟も、あさひちゃんも、冬優子ちゃんも……会わなくちゃいけないし……」

愛依「でも……別の人格が入ったら、うち、ちゃんとみんなに心から話すことはできるのかな……」

智代子「凛世ちゃんの気持ちを……なんで汲み取ってあげられなかったんだろう……」

智代子「わたしたちが生きていることは、本当に正しかったのかな……」

雛菜「今になって、円香先輩が羨ましいよ〜」

雛菜「円香先輩は最後まで透先輩と小糸ちゃんを思って逝けたのに……雛菜は……」

摩美々「霧子と咲耶の死なんて最悪を経験しておきながら、今度は自我の喪失―?」

摩美々「どこまで言っても最悪しかないじゃーん……」


灯織「希望しか道は残っていない。人間は例え辛くても悲しくても、逃げることなんて許されない」

灯織「自分を滅ぼす希望でも、それに縋ることしか許されない」

灯織「私たちは希望の奴隷だ」


【もう諦めた方がいいかもしれない】
243 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 15:43:35.82 ID:uz0wsKDr0
-------------------------------------------------
【ノンストップ議論開始!】

コトダマ
‣【希望】
‣【絶望】

愛依「うちは……生きて帰らなくちゃダメだし……兄弟も、あさひちゃんも、冬優子ちゃんも……会わなくちゃいけないし……」

愛依「でも……別の人格が入ったら、うち、ちゃんとみんなに心から話すことはできるのかな……」

智代子「凛世ちゃんの気持ちを……なんで汲み取ってあげられなかったんだろう……」

智代子「わたしたちが生きていることは、本当に正しかったのかな……」

雛菜「今になって、円香先輩が羨ましいよ〜」

雛菜「円香先輩は最後まで透先輩と小糸ちゃんを思って逝けたのに……雛菜は……」

摩美々「霧子と咲耶の死なんて最悪を経験しておきながら、今度は自我の喪失―?」

摩美々「どこまで言っても最悪しかないじゃーん……」


灯織「……いつまでこうやってるんだろう」

灯織「私たちに選択肢はないって分かってるはずでしょ?」

灯織「さっさと希望で、終わらせないと……みんな、それを待っているんだし」


【……本当に?】
244 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 15:45:59.45 ID:uz0wsKDr0
-------------------------------------------------
【ノンストップ議論開始!】

コトダマ
‣【希望】
‣【絶望】

愛依「うちは……生きて帰らなくちゃダメだし……兄弟も、あさひちゃんも、冬優子ちゃんも……会わなくちゃいけないし……」

愛依「でも……別の人格が入ったら、うち、ちゃんとみんなに心から話すことはできるのかな……」

智代子「凛世ちゃんの気持ちを……なんで汲み取ってあげられなかったんだろう……」

智代子「わたしたちが生きていることは、本当に正しかったのかな……」

雛菜「今になって、円香先輩が羨ましいよ〜」

雛菜「円香先輩は最後まで透先輩と小糸ちゃんを思って逝けたのに……雛菜は……」

摩美々「霧子と咲耶の死なんて最悪を経験しておきながら、今度は自我の喪失―?」

摩美々「どこまで言っても最悪しかないじゃーん……」


灯織「……ダメ、早く選ばないと……前に、進まないと……」

灯織「希望の道に進まないと……犠牲になったみなさんの想いを踏みにじるわけにはいかない……」

灯織「私たちは、希望を選ぶこと以外期待されていない……!!」


【……絶対に、選ばないといけないのか?】
245 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 15:47:27.67 ID:uz0wsKDr0


「……え?」


無限にも思える自問自答。
希望と絶望という回答の分かり切った二択を前にして逡巡していた私の脳裏に何かが響いた。

___それは、私の内側から鳴らすもの。
銅鑼でも鳴らされたのように、内側から臓物と血管とを振動させ、やがてその揺れは無気力な希望で凍えさせられた脳を再度刺激した。
思考を止めて、傀儡になろうとしていた私の脳幹に、俄かに何かが走る。
それは絶望でも、まして希望なんかでもない。
そんな漠然としたくだらない概念なんかじゃない。もっと形があって、根源的で、原初の存在。


この学園で過ごすうちに実り実って膨らんだ、人と人とのつながり。
断崖から身を投じて地の底へと向かっていた私を、【絆】の綱が結び留めた。


246 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 15:48:42.66 ID:uz0wsKDr0

浅倉さんはこんな時でも悠然とした態度でなにか斬新な発想をしてくれる。
真乃はきっと私の横であの掛け声とともに鼓舞してくれる。
小糸は怯えながらも、一緒に戦う皆さんに必死についていく。
樹里は震える私たちの背中を力強く押してくれる。
甜花さんはここぞという時はやる人だから逆境でこそ強くなる。
甘奈はみんなを気遣って明るく振舞ってくれる。
霧子さんはこんな時だからこそ落ち着かせてくれる空間を提供してくれる。
咲耶さんは頼りがいのある振る舞いでみんなを率いてくれる。
樋口さんはきっと変わらず冷静に事態を見極める。
めぐるは震える私たちの手を取って、温かく抱きしめてくれる。


_____きっと、皆さんが生きていたら……私たちは……!

何かが急にこみ上げてくる。胸へとせりあがってきたそれは、抑えることもできず……そのまま……!!


コトダマゲット!【絆】
〔このコロシアイ合宿生活で得た力。信じるべきものはそこにある〕

247 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 15:50:37.97 ID:uz0wsKDr0

何が『希望』だ『絶望』だ……
希望ヶ峰学園も、超高校級も、ダンガンロンパも……何もかも知ったことじゃない!
私たちは、私たちなんだ……

誰にも、選ぶべき道を左右されるべきじゃない……!
だから、私にできることは……これだけ……!!

-------------------------------------------------

【議論スクラム開始!】

「希望を選ぶしかない」vs【私たちは……】

愛依「うちは……生きて帰らなくちゃダメだし……兄弟も、あさひちゃんも、冬優子ちゃんも……会わなくちゃいけないし……でも……別の人格が入ったら、うち、ちゃんとみんなに心から話すことはできるのかな……」

智代子「凛世ちゃんの気持ちを……なんで汲み取ってあげられなかったんだろう……わたしたちが生きていることは、本当に正しかったのかな……」

雛菜「今になって、円香先輩が羨ましいよ〜……円香先輩は最後まで透先輩と小糸ちゃんを思って逝けたのに……雛菜は……」

摩美々「霧子と咲耶の死なんて最悪を経験しておきながら、今度は自我の喪失―?……どこまで言っても最悪しかないじゃーん……」

-------------------------------------------------
【意見スロット】

【絆】
【絆】
【絆】
【絆】

【意見スロットを正しい順番に並び替え、敵スクラムを向かい討て!】

↓1
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 15:52:29.60 ID:QkaTF2IzO
【絆】
【絆】
【絆】
【絆】
249 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 15:54:22.37 ID:uz0wsKDr0

【灯織「これが私たちの進むべき道……!」】

愛依「うちは……生きて帰らなくちゃダメだし……兄弟も、あさひちゃんも、冬優子ちゃんも……会わなくちゃいけないし……でも……別の人格が入ったら、うち、ちゃんとみんなに心から話すことはできるのかな……」
【灯織「大丈夫です!」
灯織「希望を選ばずとも変える方法は必ずあるはずです……今のままの愛依さんで、ご家族に、ストレイライトのお二人に再会しましょう!」】


智代子「凛世ちゃんの気持ちを……なんで汲み取ってあげられなかったんだろう……わたしたちが生きていることは、本当に正しかったのかな……」
【灯織「思い出して!」
灯織「凛世はチョコの選ぶ道のことを最期まで信じていた……凛世のために生きる、そのために選ぶ道は希望の他にもあるはず……!」】


雛菜「今になって、円香先輩が羨ましいよ〜……円香先輩は最後まで透先輩と小糸ちゃんを思って逝けたのに……雛菜は……」
【灯織「信じて!」
灯織「雛菜、幼馴染の全員に託されたその想いを信じよう。ここで希望を選ぶ生き方じゃなく、幼馴染の三人が望んだ生き方が他にあるはずだよ!」】


摩美々「霧子と咲耶の死なんて最悪を経験しておきながら、今度は自我の喪失―?……どこまで言っても最悪しかないじゃーん……」
【灯織「諦めるにはまだ早いですよ!」
灯織「何も希望で終わらないといけないわけじゃないです……私たちは……絆を信じるという道があります……!!」】


-------------------------------------------------
【CROUCH BIND】

【SET!】

【コンマの合計値700以上で相手のスクラムを打ち破れ!】

【スキルとアイテムの効果によりコンマ値が+70されます】

↓直下より六回連続でコンマ判定
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 15:55:48.05 ID:QkaTF2IzO
ばい!!
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/09(土) 15:56:16.24 ID:cKcIg8Sd0
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 15:56:49.22 ID:QkaTF2IzO
す゛こ゛い゛て゛す゛〜
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/09(土) 15:57:02.39 ID:DB/mDvct0
はい
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 15:57:11.18 ID:QkaTF2IzO
わぁ、牛丼!
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/09(土) 15:57:17.07 ID:nUhwo7t00
むん!
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 15:57:29.90 ID:QkaTF2IzO
わくわくぅ!!
257 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 16:00:38.63 ID:uz0wsKDr0

>>250>>255

【コンマ判定 5+24+22+39+18+7+70×6<700】


(……私は諦めない)

(希望でも絶望でもない……私たちだけの答えを突き付けるその瞬間までは……!)


【CROUCH BIND】

【SET!】

【コンマの合計値700以上で相手のスクラムを打ち破れ!】

【スキルとアイテムの効果によりコンマ値が+70されます】

↓直下より六回連続でコンマ判定
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/09(土) 16:01:19.98 ID:cKcIg8Sd0
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 16:01:50.92 ID:QkaTF2IzO
てやーん
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 16:02:36.80 ID:QkaTF2IzO
どうもです!
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 16:03:11.92 ID:8F/Zo4Oe0
ほい
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 16:03:22.29 ID:xz1Baf6HO
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 16:03:33.26 ID:QkaTF2IzO
本日のログインボーナスですよ〜
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 16:03:59.02 ID:QkaTF2IzO
ひぃん
265 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 16:06:01.24 ID:uz0wsKDr0

>>258>>263

【コンマ判定 98+92+80+92+29+26+70×6>700】


【全  論  破】


灯織「絆を信じて進むんです!」


【BREAK!】


どちらかを選ぶ必要なんかない。

希望も絶望も……そんなの自分の意志、まして誰かの意志に基づいて選び取るようなものじゃない。
どっちも抱き込んで呑み込んで、そうやって人は生きていくものだから。
それで初めて人は成長できる。
だから、そのどちらにも縋るようじゃダメ。私たちは、もっと別のものを信じて立ち上がって希望も絶望も、正面からぶつかっていく。

その手に取った武器の名前は、【絆】。
このコロシアイ合宿生活の中で私たちが育んできた……




____才能なんかよりよっぽど強い力だ。



266 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 16:07:25.96 ID:uz0wsKDr0

努「お前たちには手元にあるスイッチで投票をしてもらう。黒幕である私に入れるのが『希望』の選択肢、それ以外の誰に入れても『絶望』の選択肢だ」

努「さあ、始めようか……新時代のアイドルが誕生する、世界中が待ちわびた投票タイムを!」

灯織「待ってください!」

努「……何?」

灯織「皆さん……投票の前に一度、ここで過ごしてきた日々を振り返ってみてください」

灯織「そこには必ず、かけがえのない仲間という存在がいたはずです。彼女たちは私たちに思いを託して命を落としてしまいました」

灯織「確かに、『希望』か『絶望』か……なら、私たちには希望しか選択肢がないように見えてしまうかもしれないですが、それだけじゃないと思うんです」

灯織「だって、私たちの仲間がそんな退廃的な選択肢を選ぶことを望むとは思えませんから」

灯織「これまでに犠牲になったみなさんに胸を張れる生き方を私はしたい……それは間違っても、黒幕の言う通りになることじゃない」

灯織「……だから私は、【絆】を信じることにしました」

灯織「これまでの人生で関わってきた絆、ここで培った新しい絆……このすべてが、私に進むべき道を示してくれるはず……」

努「……何を言うのかと思えば、ただの感傷的なスピーチか」

努「目の前にある通り、お前たちに残された選択肢は『希望』と『絶望』の二択だけだ。その胸に絆を抱くのは勝手だが、他にできることも何もないだろう?」

灯織「……それは違います」

努「……何?」
267 :最後の戦いです ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 16:09:32.96 ID:uz0wsKDr0

灯織「私たちにできることはまだ残っています……そうでしょう、皆さん……?!」

愛依「……うちらに、できること……?」

灯織「私たちが信じられる絆……それを思い出してください……!」

灯織「私たちには、誰よりも信頼できる人がいるじゃないですか……!」

努「くだらん! いい加減その口を閉じたらどうだ、風野!」

灯織「そうはいきませんよ……! 絆を紡ぐために、止めるわけにはいきません……」

努「小癪な……! お前たちは黙って才能の受け皿になればいいものを……!」

灯織「私は絶対に……希望にも、絶望にも……負けはしませんから……!」

(……やるしかない、これが正真正銘最後の戦い。皆さんに、絆の力を証明するしかない……!!)

-------------------------------------------------
【パニックトークアクション開始!】


努「私は甘くないぞ」
努「……網膜に焼き付いている」
努「チーム・ダンガンロンパの悲願のために」
努「希望が明日を照らす!」
努「希望が未知を退ける!」
努「思い出を希望の犠牲にしろ!」


【コンマの合計値600以上で相手に反論しろ!】

【スキルとアイテムの効果によりコンマ値が+70されます】

↓直下より六回連続判定

-------------------------------------------------
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 16:10:15.11 ID:QkaTF2IzO
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 16:10:43.12 ID:QkaTF2IzO
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/09(土) 16:10:55.10 ID:cKcIg8Sd0
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 16:10:57.19 ID:QkaTF2IzO
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 16:11:29.09 ID:QkaTF2IzO
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 16:11:55.09 ID:QkaTF2IzO
274 :最後の戦いです ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 16:14:35.81 ID:uz0wsKDr0

>>268〜273

【コンマ判定 11+12+10+19+09+09+70×6<600】


努「お前たちは希望を選び取るだけでいい……! その選択をなぜ拒むのだ……!」

(……違う)

(そんな選択なんかが私たちの進む道じゃない……)

(選ぶんじゃなくて……道を切り開くんだ……!)

-------------------------------------------------
【パニックトークアクション開始!】


努「私は甘くないぞ」
努「……網膜に焼き付いている」
努「チーム・ダンガンロンパの悲願のために」
努「希望が明日を照らす!」
努「希望が未知を退ける!」
努「思い出を希望の犠牲にしろ!」


【コンマの合計値600以上で相手に反論しろ!】

【スキルとアイテムの効果によりコンマ値が+70されます】

↓直下より六回連続判定

-------------------------------------------------
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 16:15:20.34 ID:JrMFmVsn0
にへ………!
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 16:15:21.59 ID:QkaTF2IzO
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 16:15:40.10 ID:xz1Baf6HO
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/09(土) 16:15:49.08 ID:LAXPi2vl0
にち………!
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 16:15:54.83 ID:QkaTF2IzO
よし、楽しく話せたな!
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 16:16:19.72 ID:xz1Baf6HO
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 16:16:23.34 ID:QkaTF2IzO
滅びの爆裂疾風弾!!
282 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 16:18:57.00 ID:uz0wsKDr0

>>275>>280

【コンマ判定 34+59+10+08+83+72+70×6>600】

【ALL BREAK!】

-------------------------------------------------

灯織「信じられる希望がある限り、私が折れることはありません!」


【努「どこに信じられる絆がある! お前たちの絆はすべて希望の前に無に帰すのだ!」】


ロ/―/ュ/プ/―/サ/デ


【正しい順番に並び替えてすべてを終わらせろ!】

↓1
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 16:19:22.93 ID:QkaTF2IzO
プロデューサー
284 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 16:20:59.78 ID:uz0wsKDr0

灯織「絆は決して折れません!」



【BREAK!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!】



灯織「私たちには残された可能性が、信じられる絆が残っています」

灯織「そしてその絆は実際に私たちを救ってくれた、守ってくれた」

灯織「そして今もなお、私たちと共に戦ってくれている」

灯織「……皆さん、これを見て下さい」


そして私は皆さんの前で、あの手記を広げる。
几帳面にも私たち全員のプロデュース録の残された、あの人の性格の滲み出た手帳。
ボールペンで丁寧に記されたそれを、ゆっくりと読み上げていく。

285 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 16:22:37.62 ID:uz0wsKDr0

『摩美々本人はついつい照れ隠しをしてしまいがちだが、仕事に対する真摯な姿勢は立派なものだ。仕事先の評判もいい、またバラエティのオファーも入ったし、ファッションブランドとのコラボの話も持ち上がっている。本人のスケジュールと相談しつつ進めていきたい』

摩美々「……」


『雛菜も最近ではレッスンにしっかりと打ち込んでくれているようだ。トレーナーさんからもお褒めの言葉をいただいた。甘やかしすぎてもいけないけど、今日くらいはいいだろう。雛菜が大好きなケーキ屋さんで、とっておきのおみやげだ』

雛菜「……」


『他の二人を支えようとするあまり自己主張が抑えがちだった愛依も、その弱点を克服しつつある。ツイスタでの発信も好調、自分自身の写真を自ら投稿する回数が増えたのが俺からしても嬉しい。もっとファンとの距離を縮めて行けるように、俺がイベントの幅を広げていかないとな』

愛依「……」


『自分自身の個性と常に悩んで来た智代子だが、本人が思う以上に世間はアイドルの園田智代子を必要としている。彼女のひたむきに努力する姿勢が評価されつつある今、智代子を波に乗せてやるのが俺の仕事だ。売り込み先ならリストアップしておいた、今日も空いた時間があれば少しでも電話をかけていこう』

智代子「……」


灯織「こうして、誰よりも私たちの側で、私たちのことを思ってくれた方がいる。そして、この方は今も私たちのために動いてくれている」

灯織「今こうやって私が立てているのも、この方のおかげですから」

努「……まさか、その手帳の持ち主は」

灯織「ええ、あなたもご存じの通り。私たちのプロデューサーですよ」

努「なぜ、なぜこんなところにあいつの手記が……?!」

灯織「みなさん……お願いします! 確かに今の私たちにできることは何もないかもしれない……でも、だからといって希望なんて道に逃げるのは違う……」

灯織「絆を……プロデューサーを……あの言葉を信じましょう……!」

-------------------------------------------------
『待……ザザ……れ……ザザ……』

灯織「あ、あの……!!なんとお礼を申し上げたらいいか……!!私の命を救ってもらっただけでなく、裁判に挑む準備まで手伝ってもらって……」

『ザザ……おをあげ……くれ……俺は……ザザ……無事なら……れでいい……ザザ……大丈……対助け……るからな……ザザ』

灯織「あの……あなたは……もしかして……」

『灯織、待っててくれ』

-------------------------------------------------

灯織「あの人は、必ず私たちを助け出してくれますから……!」

286 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 16:24:04.93 ID:uz0wsKDr0

愛依「うちも……プロデューサーならきっと助けてくれるって信じる……! だって、あのプロデューサーだもんね!」

灯織「愛依さん、ありがとうございます」

【愛依「オーブネ?に乗ったつもりでプロデューサーに任せちゃう! 信じることも強さ、だもんね!」】



智代子「そうだよね……凛世ちゃんも樹里ちゃんも、誰かの選択肢に従うだけの生き方なんか望まないもんね……!」

灯織「チョコ……!」

【智代子「うん、わたしはわたしが信じたいものを信じて、行きたい道を行くよ! チョコアイドルの道もそうやって選んだんだしね!」】



雛菜「円香先輩……雛菜たちは信じて信じてここまで来たよ……そして、それはこれからも……」

灯織「雛菜……」

【雛菜「雛菜は雛菜がやりたいことしかやらない! 希望を選ぶなんて雛菜はやりたくないんだよね〜〜〜〜〜♡」】



摩美々「……そんなにかっこつけておいて最後は他力本願って締まんないなぁ。ふふー、そういうのも灯織らしいケド」

灯織「摩美々さん……!」

【摩美々「いいよー? 摩美々もプロデューサーのこと信じてあげます、でも助けてくれなかったら灯織共々デコピンの刑ねー」】
287 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 16:25:08.27 ID:uz0wsKDr0

努「……くだらん」

努「くだらんくだらんくだらん! お前たちには、希望になる以外の選択肢なんか用意されていない! たとえあいつがお前たちを助け出そうとしていても、そんなことは知ったことではない……! お前たちに希望を選ばせて……それで私は……私は……!」

努「投票タイムだ……手元のスイッチで『希望』に投票しろ! それで私の方舟計画を実現させろ!」

愛依「うちらはうちらの信じたいものを信じる」

摩美々「今の摩美々たちにはプロデューサーを信じて待ち続けることが求められてる」

雛菜「それなら、雛菜たちがすべきことはわかるよね〜?」

智代子「う、うん……! このスイッチに、わたしたちの選ぶべき道はないんだもんね……!」

(……『希望』も『絶望』も、知ったことじゃない! 勝手にやっていればいい!)

灯織「私たちが選ぶのは……!」
288 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 16:26:07.47 ID:uz0wsKDr0
-------------------------------------------------
【投票タイム】

どちらかを選んでスイッチを押してください

【希望】を選んで方舟計画を実現させる
【絶望】を選んで犬死する

制限時間 5min
※制限時間絶対厳守!

↓1
-------------------------------------------------
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 16:26:59.62 ID:QkaTF2IzO
どちらも選ばない
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/09(土) 16:27:54.71 ID:Upebbwqs0
(これは「5分間放置しろ」という意味では…?)
291 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 16:31:18.46 ID:uz0wsKDr0

(……私たちは、選んだ)

(選ばないという選択肢を、選んだ……!)

(誰一人としてこの五分間、スイッチに触れることはなかったんだ……!)

努「……は?」

努「何をしてる……おい、投票しろ! 投票をするんだ!」

灯織「すべて自分の思い通りになると思っているのなら、勘違いですよ社長」

努「な、なに……?」

灯織「プロデューサーは私たちに『必ず助けるから待っていてくれ』と言ったんです。私たちはプロデューサーとの間の絆を信じることにした……だから」

雛菜「たとえ一生かかっても、雛菜たちはそれまで結論なんか出さないよ〜〜〜〜〜♡」

努「な、なにを言っている……」

智代子「希望なんか絶対に選びませんからね! だって、別の人格だなんて入ってきちゃったらチョコアイドルって言う唯一無二の個性がみすみす死んじゃいますから!」

愛依「うちはちゃんと、うちのまんまで皆に会いたいから……それができない希望も絶望もマジでキョーミない!」

努「……くッ! それならこっちで票を操作するまで……!」

摩美々「えー、そんなことしちゃっていいんですかぁ? このコロシアイって全国に配信されてるんでしょー? まさか黒幕が票の操作なんて、公平じゃない真似しませんよねー?」

努「な……お、お前たち……! 本気で言っているのか……?」

灯織「本気も本気ですよ。絶対に私たちは投票なんかしません。『希望』だの『絶望』だの……あなたたちに巻き込まれるいわれもありませんので」

努「ふ、ふ、ふざけるなぁ! そんなこと、許されるわけないだろう! アイドル事務所を立ち上げてからずっと夢見て来た悲願があと少しで達成されるというのに、お前たちは私の夢を……夢を……!」

愛依「自分の夢のために他の人の命を弄ぶなんて、うち絶対許せないから!」

努「どれだけの時間と金を費やしたと思っている……! もはやこの計画は、私の人生そのものなんだぞ……!」

雛菜「散々雛菜たちの人生をかき乱しておいてよく言えましたよね〜〜〜〜!」

努「た、頼むッ! せめて誰か一人だけでも票を入れてくれれば、多数決で結論を出せる……!」

智代子「だったら一票も入れられませんね! わたしたちの絆の結束はそう簡単には敗れませんよ!」
292 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 16:32:40.72 ID:uz0wsKDr0


努「……なんてことだ」

努「私は、希望を追い求め……その希望に適うだけのアイドルを作り出そうと努めたばかりに……その希望をも凌駕する存在を作り出してしまったというのか」

努「……はは、プロデュース業としては一丁前じゃないか」


私たちの絆の結束を前に、天井社長は膝から崩れ落ちてしまった。
人の命と尊厳とを踏みにじる彼の計画は完全に瓦解したのである。

彼はそのまま朽ちた低木のように力なくうなだれたまま、私たちはスイッチを前にしてにらみつけるようにしていた。

今できるのは、プロデューサーからの助けを待つことのみ。

大丈夫、必ず助けは来る。
何度もお互い声を掛け合い、何分も、何十分も、もしかすると何時間も……






ずっとずっと待ち続け……その時は来た。



293 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 16:33:54.08 ID:uz0wsKDr0





『みんな、待たせた!』





294 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 16:35:06.21 ID:uz0wsKDr0

場内に響き渡る聞き馴染みのある声。
モニターに目を向けると見覚えのあるスーツの男性がそこには映っていた。


「「「「「プロデューサー!」」」」」

『ようやっと学園内設備にアクセスできた……大丈夫、その巨大な思い出しライトは無効化済みだ。投票してくれて構わないよ』

灯織「ありがとうございます、プロデューサー」

『いや、お礼を言うべきは俺の方だ。不安な中、よく俺のことを信じて待ち続けてくれたな』

摩美々「まぁ助けてくれなければデコピンだったのでー」

『ははっ、それじゃあ俺も九死に一生ってところか』


久方ぶりの再会と救出とに歓喜する私たち。
その声に呼び起こされてか、天井社長はよろよろとその身を起して、モニターに縋るようにしてプロデューサーに向き合った。

295 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 16:36:09.00 ID:uz0wsKDr0

努「よくも、よくもやってくれたな……私の計画をここまで台無しにしたことは何があろうとも許さん」

『……私も、自分自身許されるべきだとは思いません。あなたに近しい立場にいながら、あなたの狂気を感じ取ることができず、あろうことかアイドルたちを何人も失ってしまった。私もあなたと同じく大犯罪者ですよ』

努「お前……私の宿願を狂気だと……? どの立場からそんなことが言える……!」

『……同僚だからこそですよ』


その口調は、これまでに聞いたどのプロデューサーの言葉よりももの悲し気だった。
天井社長はそれに感化されてかどうか、額をモニターに付けたまま、ずりずりと地面に滑り落ちていった。
296 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 16:37:22.68 ID:uz0wsKDr0

灯織「さて、終わらせなくてはいけませんね」

愛依「もう……大丈夫、なんだよね。プロデューサーがしっかりライトは解除してくれたんだよね!」

智代子「うん!大丈夫だよ、だってあのプロデューサーさんなんだよ!」

摩美々「ま、できてなかったらそれこそデコピンなんでー」

雛菜「雛菜はコーヒーを百倍苦くしちゃおっかな〜!」

灯織「ふふっ、そうだね……それぐらいのことはしてもいいかも」


(……これで、本当に終わる)


(誰かに与えられたエンディングでない、本当のエンディング)


(自分の手で、仲間たちの手と共につかみ取った、どんな終わり方よりも美しいエンディング)


(……決してハッピーエンドじゃないけれど、これは一つの最適な終わり方)


(絆を頼りにした、トゥルーエンドは今この手の中に)

297 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 16:38:23.77 ID:uz0wsKDr0

灯織「それでは、お手元のスイッチで投票してください!」


智代子「わたしたちで!」


愛依「うちらで!」


雛菜「雛菜たちで〜!」


摩美々「摩美々たちでー」


灯織「私たちで! このコロシアイ合宿生活を終わりにしましょう!」
298 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 16:39:12.55 ID:uz0wsKDr0
-------------------------------------------------


   【VOTE】
〔希望〕〔希望〕〔希望〕

 CONGRATULATIONS!!!!

   パッパラー!!!


-------------------------------------------------
299 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 16:40:03.80 ID:uz0wsKDr0
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【学級裁判 閉廷!】





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300 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 16:44:35.99 ID:uz0wsKDr0

最後の学級裁判、これにて終了です。
演出の意図を皆さん汲み取っていただけて非常にありがたかったです。
絆の議論スクラムとかもう解答はそのままコピペでしかないので、お付き合いしていただけるか心配でした笑
また、>>288での投票タイムは、『投票しない意思表示』が為されればそれでOKだったのでそのまま進行いたしました。
やることとしては変わりませんしね。

さて、ここでしばらく休憩を挟ませていただきます。
学級裁判終了パート及びコロシアイ合宿生活の閉幕を20:30〜から投稿させていただこうと思います。
安価・コンマはもうございませんがどうか最後まで見届けていただけると幸いです。

それではいったんお疲れさまでした。
また後でお会いしましょう。
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 16:50:32.93 ID:eC9rh4bLO
お疲れ様でした!!
学園外のみんな早く見たい!
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/09(土) 17:23:02.60 ID:r2ZqYPeX0
乙です!
>>249 変える→帰る かな?
303 :誤字申し訳ない……やっぱりありましたね ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 20:30:22.45 ID:uz0wsKDr0





____ゴルゴダの丘の果ては見えない。




304 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 20:31:27.53 ID:uz0wsKDr0

背に感じるその重みは一歩一歩と歩みを進めるたびに重量を増していくような気すらして、
その重さに負けて臓物を吐き出してしまいそうになったことも一度や二度ではない。


___いっそ押し潰されてしまった方が楽になるのだろうか?


……いや、そうではない。
背負い続けるからこそ、最後にはそれで命を落とすからこそ十字架は十字架足り得るのである。
その責務から外れるようでは贖罪などできるはずもない。

だから私はこの丘を登り続けることしか許されない、してはならないのである。
305 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 20:33:09.49 ID:uz0wsKDr0

彼女と出会ったのはほんの偶然だった。

当時の私はまだキャリアも浅く、仕事にやりがいを見出すことに必死になっていた。
自分から望んで飛び込んだ世界、そこはそれまで思っていたように透き通る場所ではなく、淀みの底から濁りのない水面を求めて泳ぎ続けるような場所。
なんとかこの心の拠り所となる場所を探し続ける日々だった。

そんな中で、彼女を見つけたのだ。
何気なく同僚の担当する事務所のアイドルが参加したオーディションの結果を見ている時だったか、
……今でもなぜ彼女があれほどまでに私の目を引いたのかはわからない。

ただ、邪な考えだったことは言うまでもないだろう。
私は彼女を見て、プロデュースしたい、つまりは【自分の道具にしたい】と思ったのだ。

彼女はまるでうだつの上がらない日々を送っていた。
女優の眩い光明に当てられた彼女は、夜灯に集う羽虫のように触れることもできない理想の傍で右往左往するばかり。
参加するオーディションというオーディションに次々に落ちていた。




____彼女なら、簡単に籠絡できると思ったのだろう。
私がスカウトするまでそう日数はなかったはずだ。

306 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 20:36:51.21 ID:uz0wsKDr0

そして私の目論見は正しかった。
女優になりたいという彼女の欲望を芸能界で活躍したいという欲望にすり替えて彼女をアイドルとして売り出した。
容姿はそれなりだったこともあり、レッスンでダンスを上達させれば見栄えはするものになった。
仕事も女優志望時代に比べると入ってくるようになり、彼女自身も途中までそれに納得していた様子だった。


だが、メッキはすぐに剥がれた。


彼女は元々、アイドルなんて存在には魅せられていなかった人間。
女優ではどうしようもないからアイドル、その妥協が歌唱力となって現れた。
執拗なレッスンでなんとか聴けるものにはした。
それでも他のアイドル連中に比べれば満足のいくものではなく、収録現場で雑音が聞こえてくることが増えた。

『これ、どこまで調整できる?』
『別に歌は普通なんだよな……』
『かわいいだけでもね……』

それが発端だったのかもしれない。ずっと従順だったはずの彼女が時折反発を見せるようになった。


______こんなの私じゃない


そう言って飛び出す彼女を見ると、「その通りだ」という言葉しか見つからなかった。。
女優志望がどこへやら、アイドルという妥協で押し込まれた場所で無理やりレッスンと仕事をさせられ、さらにはそこで小言を受ける。

そんなのやりたいはずもない。
307 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 20:39:11.80 ID:uz0wsKDr0

だから、時には彼女の好きなようにさせてやった。
ガス抜きでもさせてやれば満足するだろうと思った。

だが、彼女がガスを抜くことなどできなかった。
私の方針に沿わない形では、世の評価は全く得られなかったのである。
ガス抜きをするどころか、むしろそれに栓をするような結果を受け取って戻った彼女はこれまで以上に従順になった。

私が見ているのは彼女ではなく、彼女という容器に注ぎ込まれるアイドルのエッセンス。
だから彼女自身の足に合わせようなんてことは思いもせず、その靴に足を合わせるように指示をした。彼女はそれに従順に従った。




____私は、最後まで彼女のことを見ようとしなかった。



308 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 20:41:23.03 ID:uz0wsKDr0

突然、彼女が仕事の約束を破ってきた。
空港集合だというのに、いつまで経ってもその影はない。
焦燥に駆られた私は彼女の姿を探し回り、ようやく事務所近くの神社でその姿を見つけた。
仕事を放棄しようとした怒りもあったが、その様子を見ているとどうしても心配が沸いてならなかった。

というのも、私は一度彼女にプレゼントを渡して拒絶されていた。
特に他意があったわけでもない、ただその日がちょうどクリスマスだったというだけ。

それなのに異常なまでの拒絶を示した彼女の心から、
荒びを感じてならなかった私は宥めることに必死で、プレゼントを今度こそ受け取ってもらおうとそれを差し出した。


……今思えばそれが彼女の背中を最後に押した要因だったのだろう。


私が彼女のために渡したのは新品の【ダンスシューズ】。


『足に合わせるんじゃない靴に合わせるんだ』
『こんなの私じゃない』


おそらく彼女の脳裏には過負荷、自己同一性の喪失、将来の展望への不安……そういったものが一度に想起されたのだろう。
箱を開けた瞬間の彼女の表情を私は未だに忘れることができない。

309 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 20:42:49.80 ID:uz0wsKDr0





『只今速報が入りました。アイドルとして現在も活動中だった八雲なみさんがホテル内で死亡しているのが確認されました。警察は自殺と見て捜査を進めている模様です。繰り返します________』





310 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 20:45:29.74 ID:uz0wsKDr0

あの神社で泣き崩れてしまった彼女をいくら宥めても仕事に戻れるような状態にはならず、そのままホテルに送り届けた。その日の晩のことだった。

私は彼女を最期の最期、その瞬間までアイドルとしての器に無理やり押し込んでそのまま潰してしまったのだ。
そこに『八雲なみ』という人間の姿はない、あるのは空虚な幻想のみ。
思えば私が見た彼女の人間らしい姿は、あのプレゼントの箱を開けた瞬間の表情ぐらいのものだっただろう。

私にはアイドルをプロデュースすることができなかった。
いくら磨きあげても、人間というものは根底では変わり得ない。弱い心があれば、いずれそれが必ず災いを呼び込む。

彼女にも、夢の続きを見せてやりたかった。
飢えていた私は彼女のプロデュースを自分のやりがいのために消費していたところもあったが、いつからか彼女と共に上へと上り詰めることを夢見ていたのも事実。
私は、その道を途中で自らの手によって折ってしまった。

彼女は私を恨んでいるだろう、憎しんでいるだろう、殺したいと思っているだろう。
だからそれを全て十字架として背負うことにした。

かつてアイドルを使い潰した人間として、新たに贖罪のために生き、必ずや彼女の夢を俺が叶えることで代行する。
それが私に唯一できる彼女への餞だ。

だから、なんとしても頂点に立てるアイドルを作りたかった。人の心を動かせるアイドルを生み出したかった。
311 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 20:46:28.19 ID:uz0wsKDr0





______絶望を乗り越えられるアイドルを、見たかった。






312 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 20:47:50.40 ID:uz0wsKDr0
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努「なぜだ……なぜお前たちは私の『希望』を選ばない……!」


投票タイムの直後、社長は声を荒げながら台を叩き、私たちのことを恨めしそうに睨みつけた。全て決着がついたのちの『希望』の投票。
私たちは社長の提示した退廃的な『希望』ではなく、自分たちの絆の延長にあった『希望』を選んだ。その結末は、見ての通り。


灯織「……私たちは、もう自分たちの足で歩いていける。あなたにそのための靴を用意してもらわなくても結構ですから」

摩美々「そういうことですねー、過保護はもうカンベンってことでー」

努「お前たちは、あの『才能』の器になれる、受け皿になれる、希望になれる……! それだけ稀有な存在なのに、なぜ自分自身の可能性に抗うんだ……!」

灯織「今のあなたに、私たちの可能性を問われるいわれは無いと思います」

摩美々「アイドルプロダクションの社長が一番アイドルの可能性を信じてなかったって笑い種にも程があるでしょー」
313 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 20:50:42.49 ID:uz0wsKDr0

努「……お前たちがそのまま外の世界に出て何になる? コロシアイを生き残ったお前たちの手元に残る絆、それは他の連中を犠牲にした上での絆だ」

努「なんの『才能』を持たずままこの学園を飛び出て、お前たちに未来があるとでも思っているのか?」

雛菜「未来、未来……それって本当にいります〜?」

努「……なんだと?」

雛菜「未来って誰かに用意してもらうものでもなくて、自分で作っていくものじゃないですか〜」

愛依「うちらには絆がある、一緒に未来を作れる仲間がいるってことだしね!」

智代子「確かに社長さんの言うとおり、いまのわたしたちには何の『才能』もないかもしれないですけど……でも、わたしたちにはここを生き抜いただけの『個性』がありますから!」

努「……馬鹿馬鹿しい」

努「お前たちが選んだのはただの『逃避』だ。『希望』も『絶望』も、そのどちらでもない凡庸で最悪の元の生活に戻るだけ。世界に対しても、自分に対しても不義理を働くのみ」

努「このコロシアイの成果に、見合っていない」

雛菜「その論理はおかしいですよね〜? 雛菜たちは元々社長の暴走がなければコロシアイなんかしてないわけですし〜、それを棚に上げて雛菜たちのことを悪く言えると思うんですか〜?」

努「それはお前たちが蒙昧が為に、己が責務を理解していないからだ。お前たちがアイドルとして頂点を目指すと言うのなら、それに見合うだけの犠牲を払わねばならない」
314 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 20:52:56.73 ID:uz0wsKDr0



_____ダメだ、この人はもう……


努「自分自身を喪失しながらでも、夢は追うものだろう?」


……取り返しのつかないところで、ネジが外れてしまっている。



315 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 20:54:54.85 ID:uz0wsKDr0

努「犠牲なき者に輝きなどあり得ない、ただ自分の実力だけで勝ち上がれるほど優しい世界など存在しない……存在してはいけないんだ」

努「そうでなくては私の選んだ道が、この背中に縋り続ける彼女が間違っていたことになる」

努「お前たちが、お前たちのままでいていい道理などないのだよ……」

摩美々「言ってること、まるで要領を得ないんですケド」

智代子「なんだか怖いよ……社長さん、元々あんな風じゃなかったのに」


変わってしまった社長の大立ち回りを見て絶句する私たち。
この人を止めることはできなかったのだろうかという後悔と共に、いい知れない厭悪の念も湧き上がる。
この体がそんな二つの感情で揺れ動き始めたその時。
316 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 20:56:04.78 ID:uz0wsKDr0


『社長!』


モニターが再度点り、プロデューサーが姿を表す。
先ほど私たちを救い上げた時とは異なり、その表情には痛烈な想いがにじみ出ていた。口元はきつく結ばれ、その目元にも力がこもっている。


『……私ははじめ、自分自身の実力に自信がありませんでした。アイドルのプロデュース業は完全に未経験、どこから手をつけたものかと始業早々に頭を悩ませたものです』

『でも、あなたが私を助けてくれた。“期待している”と一言をかけてくれた。私はその一言に応えようと必死にここまでやってきたんです』

『あの時のあなたは……偽りだったんですか……?!』


私たちよりも、プロデューサーの方がより近いところで社長を見てきたんだ。
その声は憤り、悲痛がこもり……モニター越しなのに私たちの肌を震わせた。
感情のままの音声がそこになんの遜色ない形で存在していた。

317 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 20:57:47.66 ID:uz0wsKDr0

努「偽り、か……あれが本心でなかったら、確かに偽りかもしれないな」

『社長……?』

努「並一通りのアイドルのプロデュース業などに、私は興味も期待も寄せてはいなかったさ」

『……』

努「だが、私はお前には期待をしていた」

『え……?』

努「お前なら、或いは……私の二の轍を踏まずとも、私の夢を、希望を、叶えられるかもしれない……お前に旧友の影を重ねていたんだろうな」

『……あなたは』

努「どうして、信じて待ってやれなかったんだろうな」


それは社長が最後に見せた、ありのままの感情だった。私たちがあの事務所で見てきた社長と変わりない、生きたままの表情。
その最後の最後に見た顔を、一生忘れることはできないだろう。自責とも、後悔とも、自嘲とも違う。あれはもっと刹那的な……贖罪のための表情だった。
318 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 20:59:36.80 ID:uz0wsKDr0

そして、社長の言う『希望』の全てを突っぱねた私たちに社長は諦観の眼差しを向けると、
ヨロヨロとした足取りでモノクマの元いた席……があった場所へと歩いていった。
そしてそこで身をかがめ、なにかを持ち上げる。


愛依「そ、それ……おしおきのスイッチじゃん……」

智代子「う、嘘……?! た、確かにわたしたち最終的には希望に入れましたけど……!」

努「安心しろ、これは私のとってのケジメだ」

摩美々「それってつまり……社長が死ぬってことじゃあ……!?」

灯織「ま、待ってください!! 私たちは別にあなたに死んでいただきたいわけではなく……ただ……!」

努「ふん、分かっている。これはお前たちの意思とはなんら関係ない、私自身が背負い込んだ十字架の代償だ」

摩美々「はぁ……?」

努「責任を取ると言うことだ。私がこれまで追ってきた影との因果を断ち切り、自分自身の肩にのしかかる重荷を払う」

努「お前たちも言ったとおり、私はチーム・ダンガンロンパの意思とは外れる形、完全な独断でここにいる。この希望ヶ峰学園の建築費、運営費、組織に対する懲戒……事務所を売ったところで足りるものでもない」

努「生きていたところで待っているのは、希望も絶望もない破滅だ」

灯織「で、でも……生きていれば、必ず……」

努「散りゆく老体から、心ばかしの助言をしてやろう。アイドルとは夢を追う存在ではあるが、夢を叶える存在ではない」

努「……いや、夢など叶わないからこそ夢なのかもしれないな」

『社長……』
319 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:01:33.97 ID:uz0wsKDr0

努「……さて、そろそろ終わりにしようか。なにも残されていない、空虚な人間に別れの時間などは別段いらないだろう」

灯織「待ってください……何も残っていないなんて……私たちと過ごした時間、私たちのために費やしてくれたものがあるじゃないですか……例え形がなくとも、それが……」

努「やめてくれ、そんなもので引き止められると思っているのなら思い違いも甚だしい」

灯織「……っ!」

努「私は今、死を目の前にして安堵すらしているんだ。これで漸く、終止符が打てる。背負い続けた十字架を下ろすことができるとな」

『社長の言う十字架とは以前社長自らが担当していたアイドルのことですよね……』

努「なんだ、知られていたのか。……情けない話だろう?」

『だとしても、その人が社長にこんな死を望んでいるとは到底思えないですよ……!!』

努「そうだろうな、だからこれは逃避なんだ」

努「背負い続けた重責に、私は押し潰されてしまった。……もう、背負いたくないんだよ」

『そ、そんな……』
320 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:03:12.96 ID:uz0wsKDr0


努「さて、時間を取られてしまったが……今度こそ幕引きだ。お前たちを苦しめ続けた悪夢も今ここで終わる」


努「そして、希望も絶望もない停滞だけの日々が今再び幕を開けるのだ」


努「絆をよすがにして生きていくと言うのなら、それを私は地獄の底から見定めることにしよう」


努「それが私の生き様、そして死に様を否定するようなものだとしても……な」

321 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:04:08.41 ID:uz0wsKDr0





努「______おしおきタイムだ」





322 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:06:37.34 ID:uz0wsKDr0
-------------------------------------------------



CONGRATURTIONS‼︎

アマイしゃちょうがクロにきまりました
おしおきをかいしします



-------------------------------------------------
323 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:13:34.15 ID:uz0wsKDr0

彼が右手を伸ばしたのは、一際輝く三角形に並んだ星々。
黄色の輝きがなんとも眩く、見ている私たちの心を暖かくしてくれます。
でも、じっと見ているうちに……その星々は突然散り散りになってしまいました。


その横にあった、紫色の5つの星。
星々が形作る星座も美しく、見ていると頭の中で無限に物語を作ることができそうです。
でも、そのうちの一つの星。寂しやがりな星が徐々に徐々に残りの四つから離れていき……やがてその全てが淡く消えてしまいました。


今度見つけたのはオレンジのギラギラとした光を放つ五つの星。
代償様々な大きさの星は見ているだけで走り出したくなるような元気をもらえますね。
でも、その星の光がそれぞれ大きくなるにつれて……やがて星々としてのまとまりを失っていくのでした……
まるでどこか別の道を選んだかのように、軌道が分かれて消えていくのです。


次に見たのは桃色の星々。
大きな輝きが、姉妹のように愛らしい一対の星を暖かく包みます。蕩けるような魅力が、見ているだけでも伝わってきます。
でも、どうしたことでしょう。突然大きな星と小さな星の一つがぶつかり合い、いがみ合い……薄桃色の閃光の中に消えて行ってしまいました。

324 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:16:08.38 ID:uz0wsKDr0
すみませんコピペ順序間違えました……
>>323はスルーでお願いします。


星々は集まり、連なり、夜空を彩ります。
その星々に古くから人々は魅せられてきました。
星々に自分たちを投影し、そこから物語を作り出し、毎晩訪れる恐ろしい暗闇を希望に満ちた明るいものにしようとしてきたのです。

さあ、天体観測を始めましょうか。

この高く聳え立つ塔の上でこそ見える星々があるはずです。

-------------------------------------------------


W.I.N.G
〜Worst Inmoral Nasty Genocide〜

超社会人級の絶望 天井努処刑執行


-------------------------------------------------

天井さんは望遠鏡を構えるでもなく、ただありのままの立ち姿で夜空に向き合っていました。
彼のとってはそれで十分、だって彼がこれまでやってきた仕事は無限の暗闇に光を添えるようなものでしたから。
夜空に散らばる星を見つけることなど容易なことです。
325 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:17:01.96 ID:uz0wsKDr0

彼が右手を伸ばしたのは、一際輝く三角形に並んだ星々。
黄色の輝きがなんとも眩く、見ている私たちの心を暖かくしてくれます。
でも、じっと見ているうちに……その星々は突然散り散りになってしまいました。


その横にあった、紫色の5つの星。
星々が形作る星座も美しく、見ていると頭の中で無限に物語を作ることができそうです。
でも、そのうちの一つの星。寂しやがりな星が徐々に徐々に残りの四つから離れていき……やがてその全てが淡く消えてしまいました。


今度見つけたのはオレンジのギラギラとした光を放つ五つの星。
代償様々な大きさの星は見ているだけで走り出したくなるような元気をもらえますね。
でも、その星の光がそれぞれ大きくなるにつれて……やがて星々としてのまとまりを失っていくのでした……
まるでどこか別の道を選んだかのように、軌道が分かれて消えていくのです。


次に見たのは桃色の星々。
大きな輝きが、姉妹のように愛らしい一対の星を暖かく包みます。蕩けるような魅力が、見ているだけでも伝わってきます。
でも、どうしたことでしょう。突然大きな星と小さな星の一つがぶつかり合い、いがみ合い……薄桃色の閃光の中に消えて行ってしまいました。


326 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:18:25.34 ID:uz0wsKDr0

彼の視界に飛び込んできたのは赤の星々。
彷徨う光は行雲流水といった様子で、それぞれの軌道を描きつつも、その軌道は交差を繰り返し、だんだんと近づいていきます。
……でも、最終的にその光が重なることはなく、軌道はそれたままにどこか遠くへ行ってしまいました。

水色の星々は不思議な淡さを持っていました。
他の星々よりも強固な繋がりがあるように見えますが、その淡さ故にすぐに消えてしまいそうな節もある。
見ている者に抱かせる予感は……当たってしまいました。その四つの繋がりは強固なままに、我々の前からだけ、その姿を消してしまうのです。

残ったのは、僅か二つの星。
緑色の二つの星は付かず離れずの距離感、輝きは増したり小さくなったりを繰り返し……どちらが大きいともありません。
ですが、その引力は、結びつきにまでは昇華せず。そのまま道は分かたれてしまったのか……消えてしまいました。


一通り観測を終えた彼は自嘲気味にため息をつきました。
その手には何も残っていない、後ろを振り返っても彼が歩んできた道には何もない。

全てを失った彼は力なくそこに座り込み、天を仰ぐ。
327 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:19:58.96 ID:uz0wsKDr0

その時、微かに彼の視界の中で輝く一つの星がありました。

危うく、儚く、点滅する光。


_____それはかつて、彼がその光を奪ってしまったはずの星。


気づけば彼は走り出していました。
必死にその光に向かって手を伸ばしながら、塔の上から足を踏み外しても雲を蹴って走り続けます。
その背中に生えた翼が彼をどこまでも連れて行き、やがてその輝く一つの星に……届いた。

彼はその輝きを胸に抱きしめます。
失ったはずの輝きを前にして、年柄でもない涙を大粒で流しながら、その光の持つ熱を噛みしめます。


……ああ、また会えた。



328 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:21:06.95 ID:uz0wsKDr0

でも、その熱は今の彼には過ぎた暖かさだったのかもしれません。
全てを捨て去ることを選んだ彼の背中には本当の翼など生えているはずがありませんから。
蠟でできた翼は熱に溶かされ、やがて翼の形すら保てなくなり……落下。

重力に抗うことはできず、真っ逆さま。
掴んだはずの光も手からこぼれ落ちて……


落ちて落ちて
墜ちて墜ちて
堕ちて堕ちて






……グシャ

仕方ありません。
彼は夜空を彩る輝きを生み出す役目を担っていたにもかかわらず、誰よりもその輝きを信じていなかったのですから。

世界を包む、美しき光はあまりにも暖かすぎたのです。

329 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:22:49.24 ID:uz0wsKDr0
-------------------------------------------------





_____すべてが、終わった。





330 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:23:58.30 ID:uz0wsKDr0

社長の凄惨な死を目の前で目撃した。
あれほどまでの悪虐を尽くした、希望と絶望の亡者は自身で積み上げた“夢”と“栄光”とから転落して、死んだ。
血が通っていないような発言を繰り返していた彼も、その死は人としてあるべき熱をその身に帯びていた。
熱く、燃え盛るような血しぶきがあたり一帯の床をキャンバスに赤黒く染め上げる、死。

何も思わないはずはない。
これ以上なく最悪な裏切りではあったものの、社長自身が私たちにとって恩人の一人であったことは今更否定のしようもないのだから。

死と終わりとを噛み締めるように、その一部始終を見届けると、その傍に何か落ちていることに気がついた。
彼の死がトリガーとなって姿を表したであろうそれ。
錆びついたような鉄色の装置にはわざとらしくも図々しく、その中央には大きな赤いボタンが取り付けられている。

その上にはラベリング、そのテープには「脱出ボタン」と明記されていた______

331 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:25:31.64 ID:uz0wsKDr0
-------------------------------------------------

「……ここですね」


私たちは、玄関ホールに集まっていた。


「いよいよ脱出……う〜ん! なんだか緊張しちゃうよ〜!」


社長のおしおき終了後、エレベーターの扉が自動で開いた。
生体認証が行われていたのか、彼がもともと所属していた“チームダンガンロンパ”という組織による制御なのか、はたまたプロデューサーによるハッキングだったのか。そのいずれにしろ、私たちには『もうここにいる必要はない』というメッセージであったことは間違いない。
すぐに目を見合わせエレベーターに乗り込み、地の底から私たちは這い出てた。


「本当に開くんかな……これ」


愛依さんが手の甲で扉をたたくと、無機質な音があたり一帯に響き渡った。
ほかに反応は一切なし、この学園と日常との隔絶とを体現しているようだ。本当に、この扉が開くのだろうか。そんな疑問を抱かずにはいられない。
332 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:26:42.43 ID:uz0wsKDr0

「開かなかったらいよいよここに骨を埋めなきゃじゃーん」
「え、縁起でもないこと言わないでよ摩美々ちゃん!?」


重厚な鉄の扉は相変わらずその口を閉じており、来るものを拒む。周りに取り付けられた防衛設備、その銃口もまた私たちに向けられている。


「そのスイッチ、押したらこの銃がバーン! ってなるかもね〜」
「こっちはもっと縁起でもない?!」


雛菜は冗談めかして笑うけど、そういう可能性も、全くないわけではない。
なんたって、ここは希望ヶ峰学園……その存在だって仮初で、すべてが嘘と不条理とで埋め尽くされている。
黒幕を倒して大団円、その構図を不条理で破壊してきても何らおかしくはない。


「もし出られなくてもプロデューサーが助けてくれるし〜!」
「雛菜ちゃんは楽観的だなぁ……」
「え〜? でもそうじゃない〜?」


……でも、もうそんな不条理、怖くなんかない。
生きるか死ぬかなんて、もはや非日常でもない、ただの(非)日常なんだから。
そんな私たちにしたのは、ほかでもない社長なのがまた皮肉だ。
333 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:27:46.49 ID:uz0wsKDr0

「他でもないプロデューサーが宣言したんですからねー、むしろ助けに来なかったら嘘つきって事で針千本飲ましちゃえばいいんじゃないかなぁ」
「は、ハリセンボン?! ……って生で食べられんの?!」
「そっちじゃないし、そっちだとしてもかなり拷問じゃないー……?」


それに、皆さんと一緒にいれば怯えるような暇がそもそも無いから。
一緒にいるだけで自然と緊張がほぐれて、口角が上がり、胸のあたりが暖かくなる。

脱出を前にして、私たちに委縮するようなそぶりはまるでなく、むしろ学校の休み時間のような安らぎすら感じていた。


「ねえみんな! 外に出たら何がしたい?!」


そんな中、チョコが突然に切り出した。お昼休みにお菓子をつまみながらする雑談のような始まり方で、未来と夢とを彼女は語る。


「何、急にー……」
「えへへ、せっかくなら外の世界に……元居た世界に戻る前に、夢のある話がしたいなと思いまして……」
「あは〜! 楽しそ〜!」


すぐに全員がその頭に思い思いの未来を描いた。それは、私も。
この学園に来る前に浸っていた日常のその延長線上にある【未来】、この学園で得たものを交えたうえでの【未来】。

334 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:28:46.27 ID:uz0wsKDr0

「はいはい! うちは今度こそみんなと一緒にちゃんとキャンプがしたい!」

最初に語ったのは、愛依さんだった。
それは無邪気で、退屈しない、最高の【あるはずだった未来】。

「雛菜たちも合宿はちゃんとやったらしいけど、記憶ないもんね〜」
「だったら焼きマシュマロがやりたいな! みんなで焚き火してその火で炙ると……あぁ〜! 想像しただけで頬が蕩けちゃいそうだよ〜!」
「もう……チョコ、大袈裟すぎるよ」
「チョコちゃんチョコちゃん、そのマシュマロをクッキーで挟んじゃって……スモアにしちゃうのはどう?!」
「愛依ちゃん……青天の霹靂というやつだよ!」ガシィッ
「なんの握手なわけー?」

奪われてしまった記憶の中に、確かに存在していたはずの過去。
それを私たちは取り戻す、自分たちの手で新たに刻むことによって。
失われたものと全く同じものは帰ってこないけど、それを埋めて補うことはできるから。
一つずつでも、ゆっくりでもいい。失われた記憶のピースを、埋めていくんだ。
335 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:29:44.65 ID:uz0wsKDr0

「あ、灯織ちゃんとも話したんだけど〜、雛菜はユアクマカフェにみんなで行きたいな〜!」

次に語ったのは、雛菜。
それはこの学園で変わった彼女だから描ける、親睦のためにある【友好の未来】。

「……! 雛菜!」
「それ、雛菜の趣味なだけじゃないー?」
「それはそれでアリなんじゃん? みんなの好きとか嫌いとか、うちもっと知りたい!」
「うんうん! 前にテレビで見たけどユアクマパンケーキも美味しそうだったし、わたしも賛成だよ!」
「また食べる話してるー……」
「摩美々さん、ダメでしょうか……」
「……別に、ダメとは言ってないし……」
「やは〜〜〜♡ それじゃあ摩美々ちゃんには店員さんの格好もしてもらっちゃおっかな〜! 雛菜、前にお仕事したから店長さんにお話し通せるし〜」
「前言てっかーい」

かつて彼女との間に存在していた隔たり。
いや、それはそんなに大層なものではなかったんだろう。
私たちはこの学園で過ごすうちに、いつしかそれを無視する図々しさを手にしていた。
でも、その図々しさは生きていくための大切な道具だ。
私たちはもう、その線を越えることができる。
仲間を心の底から信じる、その一線を。
336 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:31:26.44 ID:uz0wsKDr0

「わたしはー……」
「みなさま、胃薬のごよーいをー」
「まだ何も言ってないよ摩美々ちゃん?!」
「えー、でもどうせ食べ歩きとかでしょー?」
「違う、違うよ! ……あのね、せっかくならみんなでカラオケに行きたいなって」


次に語ったのはチョコ。
それはこの学園で失ったものを失ったままで終わらせない、【継承の未来】。


「あは〜?」
「咲耶ちゃんが亡くなっちゃう前に音楽会を開いてくれようとしてたでしょ? それを引き継ぎたいなって……この学園生活で犠牲になったみんなとの思い出、記憶……ユニットの曲を歌う事で胸に刻みたいなって」
「……」
「摩美々ちゃん……? どうしたん、そんな口をあんぐり開けて……」
「いや、殊の外チョコの口からまともな案が出ちゃったからぁ……」
「わたしは初めからまともだよ?!」
「でも、すっごくいいアイデアだよね〜! 雛菜、円香先輩のソロ曲歌っちゃお〜! 円香先輩が生きてた時は、歌うと不機嫌になられちゃってたし〜」
「あはは、なんだかイメージできるなぁ」


もう彼女たちは帰ってこない。
どんな手を尽くそうとも、彼女たちの体温も、声も、呼吸も感じることはできない。
でも、確かに感じられることは残っている。
私たちの中に残り続ける彼女たちの“存在”。
そして、生も死も乗り越えてつながる絆。
私たちは、未来に彼女たちを連れていくことができる。
……ともに歩むことができる。
337 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:33:13.06 ID:uz0wsKDr0

「ま、ずっと外に出てなかったしショッピングぐらいはやりたいかなぁ」
「あはは、長いこと外出てなかったしトレンドも変わってるかもしんないね!」
「それもだしー、みんなを摩美々のセンスでコーデしてあげたくてー」


次に語ったのは、摩美々さん。
それは常にみんなを引っ張ってきた彼女だからこそ許される我儘で自由奔放な、【共にある未来】。


「ここにいる間ろくにおしゃれもなにも無かったから、いい加減皆の格好にも見飽きちゃったんだよねー」
「確かに! うちら同じ格好の着替えしかなかったもんねー!」
「摩美々ちゃんのコーデなら大歓迎だよ! 摩美々ちゃんのセンスの服、前から興味あったんだー!」
「わ、私も……あまり着ない服が着れるかと思うと楽しみです……!」
「あは〜? それじゃみんなでお互いに着せあいっこしようよ〜!」
「えー……? ……ま、いいですケド」
「やった! それじゃあ決まりだね! 今からいっぱい勉強しておかなくちゃだ!」
「もぅ……チョコ、張り切りすぎだよ」


人間は、人と関わるうちに相互に影響を与え行く。
色と色とが混ざり合って、変化が起きて、また新しい色になる。
この世に二つとて同じ色はないし、色がずっと同じままでとどまることもない。
千変万化、流伝無窮。
私たちは、変わり続ける。新しい色を求め続けて、新しい輝きを、求め続けて。

338 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:34:27.38 ID:uz0wsKDr0

「で、灯織はどうなのー」
「え……わ、私ですか……?」


そして、最後に語るのは私。
私が描きたい未来は、一つしかない。


「うん! 灯織ちゃんが何したいかわたしも聴きたいな!」
「えっと……そうですね……」
「それなら、私はまた……ライブのステージに立ちたいです」
「ライブの……ステージ……」
「天井社長の言葉、勿論その全てに賛同するわけではないんです。この合宿生活で私たちが失ったものは余りに多くて、重たい……もうこれまでの私たちではない。でも、私たちがこの合宿生活で大切なものを得たことも事実だと思うんです。自分自身の成長も僅かながらありますが、それよりも大切なのは……」
「絆、だよねー」
「……はい。この合宿生活で生き抜いてきた私たちの間に生まれた結束はこれまで以上……ユニットだから、同じ事務所だから……そういうものを抜きにして。心の底から、繋がっているといえる」


この学園で過ごす前の日常があったからこそ、この学園で過ごしてきたからこそ、描く価値のある唯一絶対の、最高の未来。


「そして、この合宿生活で犠牲になった皆さんの気持ちは、私たちがステージまで持っていく義務を背負っていると思うんです。同じ夢を追い続けた者として、彼女たちのためにも現実にしないと」



……【絆の先にある未来】。




339 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:35:47.89 ID:uz0wsKDr0

ずっと見たかった未来を口にした。
それは共に時間を過ごした誰しもが考えていた未来で、だからこそ。


「……灯織」
「摩美々さん……」
「もっと別のないのー?」
「えっ」
「アハハ、摩美々ちゃん……それって、叶えてトーゼンだからっしょ? ちゃんとそこまで言わないと」


皆さんはそれを口にした私が少しおかしかったらしい。
俄かに笑い声が上がって、私たちは顔を見合わせた。
そこに悲痛さはかけらほどもない、友達同士に向けあう笑顔だけがそこに在る。


「またみんなでライブする……わたしも元からそのつもりだよ、灯織ちゃん!」
「だって雛菜たちってば、アイドルなんだもんね〜!」
「……ふふっ、そうですね。私たちは、アイドル……他の誰に道を決められたわけでもない、私たち自身でこの道を選んだ」


「だからこの道をどこまでも突き進みましょう」


「【絆】があれば、怖くないですから」


「……ホント、灯織ってばクサすぎだよー」
「ふふ、やっぱりそうですよね」
「……でも、悪くないと思うよー。真乃も、めぐるも……みんな、きっと喜んでくれるんじゃないかなぁ」


ふと後ろを振り返った。
この学園には、皆さんの亡骸がなおも収められている。
それを持ち出すことは私たちにはできないし、どうあがいてもここでお別れだ。
でも、さっきチョコが言った通り、彼女たち自身の思いは今も受け継いでいる。
そういう意味では、私が今口にした未来は、彼女たちの思いに少しでも応えられているんじゃないのかな。

そう思うと、なんだかうれしかった。
340 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:36:58.56 ID:uz0wsKDr0

穏やかな休み時間の雑談は一たびの盛り上がりを見せ、そして再び現実に。
今改めて背筋を正して、その固く閉ざされた扉に向き合った。


____これで本当に終わり。そして、ここからすべてが始まる。


「よーし、学園を出てからの目標も決まった事ですし、そろそろ行きますか!」
「だね、善はナントカって言うし!」
「灯織ちゃん、準備はいい〜?」
「うん、このボタンを押せば、出られるんですよね」
「灯織のタイミングで押してくれていいからねー」


私は皆さんから信頼されて託されたボタンに目を落とした。
これを押せば、それは成る。
扉は開いて、この合宿生活はその幕を下ろす。


____大きく深呼吸した。



「……それでは、いきます」


341 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:38:17.97 ID:uz0wsKDr0

_______私たちには仲間がいる、【絆】がある。


希望や絶望なんて漠然としたものじゃなくて、確かにここに在る“つながり”。
これがある限り、歩み続けることに恐怖なんてしない。

絆自体には、何の力もない。
卵を砕くことも、紙を破くことすらもできない。

でも、絆は確かに存在する。

私たちの胸の中で燃えているそれが、【絆】だ。
私たちの手が掴んでいるそれが、【絆】だ。
私たちの口が紡いでいるそれが、【絆】だ。

私たちの行く道を照らしているそれが、【絆】だ。

どれほど険しい壁が聳え立とうとも、どれだけ大きな溝が開いていようとも、どれだけ天が荒れていようとも……
絆がある限り、私たちの進む道の障害にはなり得ない。
たとえ見苦しくとも、泥臭くなろうとも、私たちは諦めない。仲間の手を取り、仲間に手を差し伸べ……






_______私たちの“目的地”を、目指し続ける。

342 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:39:05.11 ID:uz0wsKDr0





「行こう」





343 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:40:05.98 ID:uz0wsKDr0





____扉から、光が差し込んできた。





344 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:41:08.75 ID:uz0wsKDr0
-------------------------------------------------



EPILOGUE 光のdestination

END



-------------------------------------------------
345 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:41:52.18 ID:uz0wsKDr0
-------------------------------------------------

【コロシアイ合宿生活をクリアしました!】

【モノクマメダル55枚を獲得しました!】

【CHAPTER06クリア報酬としてアイテム『イースターエッグ』を手に入れました!】
〔コロシアイ合宿生活を生き抜いた証。私たちの歩む道に、希望も絶望も必要ない。ただ仲間たちと、絆を信じて歩み続けるのみ〕

-------------------------------------------------
346 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:45:27.86 ID:uz0wsKDr0





「……うーわ」





347 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:46:21.98 ID:uz0wsKDr0

「なにこのキャラクター、ぜんっっぜん可愛くない」

「そもそもネーミングが安直すぎ、モノクロのクマだからモノクマって……センスないのを誤魔化すにしても杜撰すぎじゃないです?」

「ていうか、そもそものコンセプトからしておかしいじゃないですかー!」

「アイドル同士のコロシアイ、だなんて……そんな設定突飛すぎてパンチですって!」

「デスゲームとかそんなのもう時代遅れですよ、おじさんくさすぎます……」

「……もういいですか? 行きますよ?」

348 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:47:01.56 ID:uz0wsKDr0





「そろそろ美琴さんとレッスンの時間なので!」




349 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:47:56.41 ID:uz0wsKDr0
-------------------------------------------------



To be continued…?



-------------------------------------------------
350 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/09(土) 21:50:40.55 ID:uz0wsKDr0

というわけで今年の2月から約8か月に及んで続けてきたシャニマス×ダンガンロンパのお話は一旦ここでおしまいになります。

私自身初めての安価進行の長編SSということでストーリーや進行で多々拙い点がありお見苦しい場面があったと思います。
それでもなんとか完走できたのは参加していただけた皆さんあってこそです、本当にありがとうございました!

351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/09(土) 21:59:45.19 ID:cKcIg8Sd0
お疲れさまでした
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 22:03:41.96 ID:jyWukDEY0
ありがとうございました
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/09(土) 22:04:48.00 ID:FiSb4AUJO
お疲れ様でした!
最後まで面白かったです!
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/09(土) 22:15:06.14 ID:iL5AHmL80
お疲れ様でした!
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/09(土) 22:43:17.77 ID:MrbKOpJ+O
おつかれさまでした!
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/09(土) 22:59:23.43 ID:tvuMcEuz0
8か月間お疲れ様でした!
これからも応援しています!!
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/09(土) 23:09:10.21 ID:vtAO4zyF0
本当にお疲れ様でした、ありがとうございます
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/10(日) 01:56:22.44 ID:x5y8vXl80
おつかれさまでした!
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/10(日) 21:10:52.76 ID:e0DKXjixo
乙乙です
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/12(火) 18:52:56.61 ID:NEOTe81+0
今更だが公式のエイプリルフールも探偵とは驚いた
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/06(金) 17:57:19.97 ID:rYV+b3N9O
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