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【咲-saki-】京太郎「ウルトラマンの力」咲「光よ!」
- 816 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 02:14:51.63 ID:fvMq2ZPZ0
-
爆煙渦巻く中、イエローに輝く瞳
腕を振るい爆煙を張らすベリアルが、そこにはいた
右腕を振るって首を鳴らすと、目の前に落ちていく光を見つめる
ベリアル「……」
その光は地上へと落ちる
小瀬川白望が眠っていた
駆け寄る葵と塞を見て、頷く
京太郎『守れたみたいっすよ。俺にも……』
ベリアル『そうかよ……いくぞ』
空へと飛び去って行くベリアル
地上の葵は、白望を抱き上げたまま空を見上げ強く頷いた
- 817 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 02:29:45.73 ID:sPOr8mxI0
-
―――【特異課岩手基地:作戦室】
気の抜けたような表情で、京太郎は息をつく
ホットコーヒーの湯気はすでに出ていない
そこにいたトシは深く息をつく
京太郎「……はぁ」
胡桃「気の抜けた顔しない!」ビシッ
京太郎「厳しいっすね」
塞「まぁ、京太郎も頑張ってくれたみたいだから、ね?」
胡桃「……そうなの?」
塞「まぁほとんどベリアルらしいけど、てかよくあそこに残ったね京太郎」
京太郎「勝てる見込みあったんですけどね」アハハ
そういう京太郎の顔を見て、小首をかしげる塞と胡桃
立ち上がった京太郎が背を伸ばす
手に持っているのはガンバルクイナくんのストラップ
塞「ん、もういく?」
京太郎「はい……長野、なんかあるっぽいんで」
塞「そっか」
胡桃「……ありがと」
京太郎「いいえ」
そう言って笑うと、荷物を確認する
トシ「送ってく……とりあえずガレージで待ってるね」
京太郎「?」
トシ「葵にも挨拶してきな」
京太郎「……了解です」フッ
- 818 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 02:41:41.78 ID:sPOr8mxI0
-
歩く京太郎が、休憩所付近で葵を見つけた
向こうも京太郎に気づいたようで笑みを浮かべて片手をあげる
向かっているのは出口の方だ
京太郎「これから帰りですか?」
葵「……まぁね」
京太郎「俺もっす」
葵「もう行くんだ」
その言葉に頷くと、そっと手を差し出すその掌には―――
葵「ありがと、ガンバルクイナくん」
京太郎「効果覿面でしたよ。ベリアルとバラバに踏み潰されずに済みましたし?」
葵「はいはい」
彼の手の中にあるストラップを勢いよく取る葵
そしてストラップを握りしめた葵は、京太郎の胸に拳を当てる
笑みを浮かべて、頷く
京太郎「?」
葵「頑張って、あんたのおかげであたしの夢……かないそうだから」
京太郎「うっす、そっちも……早く帰ってくるといいですね。エイスリンさん」
そう言うと、去って行く京太郎
- 819 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 02:55:33.83 ID:sPOr8mxI0
-
京太郎の背中が見えなくなると同時に、葵が膝をつく
顔をしかめて、自らの胸部分を押さえる
そこから僅かに滲みだすのは―――闇
葵「ぐっ……さっさとここ、離れないとっ」
漏れだす闇に蓋をするように胸を押さえる葵
葵「っ……はぁっ、はぁっ」
立ち上がると、一歩ずつ歩き出す
一刻も早くその場から去るために……
- 820 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 03:02:59.56 ID:sPOr8mxI0
-
ガレージへとたどり着いた京太郎
先に車に乗っていたトシの助手席に座る
京太郎「ありがとうございます」
トシ「いや……こっちこそありがとう」
その言葉に、笑みを浮かべて頷く京太郎
京太郎「……だって、ベリアルさん」
ベリアル『あ? なにがだ?』
京太郎「お礼ですって」
ベリアル『……んなもんどーだっていい』
その言葉に苦笑する京太郎は、トシの方を見る
表情で察したのか、トシも苦笑を浮かべた
闇を手にし、ベリアルと共に歩む京太郎
トシ「奴もいずれ……いや、どうだかね」
京太郎「?」
トシ「いや、いくよ」
京太郎「はい……」
トシ「長野―――」
―――始まりの地へ
- 821 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 03:09:28.32 ID:sPOr8mxI0
-
第18話【絶えぬ執念】 END
- 822 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 03:25:36.18 ID:sPOr8mxI0
-
―――次回予告
京太郎:しつこいんだよ!
和:お互い様です
ベリアル:レイキュバスか!
?:氷塵と朽ち果てろ
京太郎:長野に海はねぇんだよぉ!
久:闇と光……!
次回【終わりがはじまる日】
ベリアル:じゃあな
京太郎:ベリアルさんっ!?
- 823 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 03:36:40.37 ID:sPOr8mxI0
-
今回はここまでー
ようやくや、ようやくここまできたぞ
とりあえず色々伏線ばら撒きつつ
そうですガンバルクイナくんです
そんじゃまた明日ってか今夜ー
- 824 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 09:56:34.10 ID:wNOapWfc0
- 乙
葵がヤバそうだけどベリアルもヤバそう
- 825 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 10:19:24.01 ID:SVNh8V+yO
- 乙です
強くなってきたしべリアル弱体化きそうね
- 826 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 22:52:06.63 ID:lw2RnXgb0
- やってくよー
SS書くのに究極生命体アブソリューティアンの戦士、アブソリュートタルタロスの能力使いやすそう
- 827 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 22:59:16.57 ID:lw2RnXgb0
-
故郷へとたどり着いた京太郎
左手を確認して、それほどない違和感に頷く
心配をかけるわけにもいかないと、体の動作を確認した
京太郎「さて……このへんも久しぶりだな」
ベリアル『ずいぶん復興が進んでるみてぇだな』
京太郎『そうっすね。しかしまぁ、あのあとも戦いが何度もあったらしいですけど』
今いるあたりはかつてベムラーと戦った場所だ
その周囲は復興が進んでいるが、それ以外の戦場ではどうなっているかわからない
京太郎『とりあえず行きましょう』
ベリアル『迎えは?』
京太郎『一応、くるとは聞いてますよ。実家に来てくれるらしいんで一度帰りますけど』
ベリアル『お前の家、ねぇ……』
京太郎『初めてでしたっけ?』
ベリアル『まぁな』
- 828 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 23:15:45.26 ID:LArrACE50
-
歩いて、自宅へと帰ってきた京太郎
財布に入っている鍵を使ってドアを開けて入る
変わらぬ雰囲気、匂い
京太郎「……ただいま」
息をついてそう言うと、ほっとしたような表情で靴を脱いで中に入る
ベリアル『普通だな』
京太郎「裕福な方っすよ」
ベリアル『ハッ、ぼんぼんか』
京太郎「そこまでじゃないっすけど……」
言いながら、居間などを見回る
別段問題はないようで、京太郎は次に階段を上って行く
京太郎「親父の部屋へ行きます」
ベリアル『ゼットライザーを持ってたとかいう親父か?』
京太郎「はい、盗ったらしいっすけど」
苦笑しながらそう言う京太郎
ベリアル『相変わらずのザル警備だな、光の国』
京太郎「光の国?」
ベリアル『ウルトラマン共が住んでる星だ』
京太郎「……ベリアルさんも?」
ベリアル『昔はな、オレもあそこから盗んだり、あそこを襲ったりしたしな』
京太郎「え〜」
ベリアル『滅ぼす一歩手前までいったもんだ』
京太郎「……やることやってますね」
- 829 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 23:37:49.07 ID:LArrACE50
-
階段を上り、廊下を歩く
父の書斎を前に、ドアノブに手をかける
ふと妙な感覚を覚えて、扉を開く
京太郎「ッ!」
ベリアル『こいつは……』
書斎には―――1人、いる
京太郎「……しつこいんだよ!」
目の前にいるのは、須賀京太郎の顔をした男
曰く、彼自身……
京太郎?「そう言うなって、俺の家に俺がいるだけだろ?」
京太郎「気安く俺の家とか言うな」
そう言いながら、ガッツハイパーを構える京太郎
本を持ったまま、京太郎(?)は京太郎へと近づいていく
迷いなく引かれたトリガー、放たれた弾丸は京太郎(?)に当たることなく―――床にぶつかる
京太郎?「脚を撃つか、尋問目的か?」
京太郎「調べてもらわなきゃだろ」
京太郎?「冷静なこった……なぁ!」
投げられた本、それが視界を覆うもすぐに右手で本を払いのけてガッツハイパーを構えた
だが、そこには誰もいない
投げられた本すら存在せず、床に弾痕だけが残されている
京太郎「……なに?」
ベリアル『おい小僧、奴は……』
京太郎「え、あ……すみま、せん」
そう言うと頭を振るう
京太郎「あいつ、一体……」
ベリアル『さぁな』
顔をしかめて、京太郎は父の書斎の机へと歩く
- 830 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 23:50:35.60 ID:LArrACE50
-
ゼットライザーの入っていた金庫を開ける
だがやはり、そこにはなにもない
顔をしかめて他の引き出しを開けるも―――
京太郎「なんもない?」
ベリアル『そもそもお前の父親ってのはなんだ? 地球人じゃねぇのか?』
京太郎「いや、普通の親父だったように見えましたけど」
ベリアル『ヒューマノイドタイプってのもなくはねぇが、もしかするかもしれねぇぞ?』
京太郎「……トシさん曰く、ウルトラマンになりたかったらしいじゃないっすか?」
その言葉に、ベリアルは黙る
やはりベリアルには『ウルトラマンになりたかった』という思考が理解できないのだろう
今となっては京太郎は“なれない”という思考に至っているので別段思うことは特にない
京太郎「……」
ベリアル『で、なにが調べたかったんだ?』
京太郎「なんかあると思ったんですけど」
ベリアル『……』
京太郎「いっか、また戻ってくれば……」
そう言って、京太郎は苦笑を浮かべた
京太郎「ベリアルさんが、ちゃんと分離できる方法とかあるかもしれないし」
ベリアル「そりゃ魅力的なこったな」
- 831 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 23:57:52.07 ID:LArrACE50
-
◆安価!
1、福路美穂子
2、東横桃子
3、竹井久
4、加治木ゆみ
5、蒲原智美
6、津山睦月
7、妹尾佳織
8、瑞原はやり
9、佐藤裕子
◇10分間で1↓から〜 コンマが一番高い選択肢
- 832 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/18(月) 00:02:11.23 ID:AdQgBKWn0
- 8
- 833 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/18(月) 00:21:50.28 ID:WkXeW+pz0
- 8、瑞原はやり
家の前、立っている京太郎
見慣れた車が走ってくると前で止まる
窓が開くと……
京太郎「久しぶりっす」フッ
はやり「ほんとだよ、まったく」クスッ
瑞原はやりがそこにいた
電話で連絡はしていたが実際に会うともなればまた別だ
助手席に乗り込むと、息をつく
はやり「美穂子ちゃんたちも会いたがってるよ?」
京太郎「あはは、そりゃ嬉しいことで」
はやり「一ちゃんも、お礼言いたいってさ」
京太郎「国広さんか……」
なんだか妙な感覚だった
遠くから見ているだけと思っていた咲たちの好敵手たち
その面々から自分が認知されているというのは……
走り出す車、黙っている京太郎
京太郎「……」
はやり「……また無茶したでしょ?」
京太郎「っ、な、なんでまた?」
はやり「女の勘だゾ☆」
京太郎「咲にもそれで何度看破されたことか」アハハ…
はやり「咲ちゃん、かぁ」
京太郎「はい」フッ
- 834 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/18(月) 00:34:54.48 ID:WkXeW+pz0
-
はやり「うらやましいなぁ」
京太郎「ん?」
横を見るが、はやりは前を向いて運転をしている
不思議に思い首をかしげるもそれは伝わっていない
はやり「……私が、京ちゃんと同じ歳だったらなぁ」アハハ
京太郎「変わらないっすよなにも」
はやり「え〜変わるよ〜」
不満そうにそういうはやりがどこか可愛らしく見えて、笑う
はやり「アイドルのはやりを一人占めできるかもだゾ☆」
京太郎「いえ、それはちょっと」
はやり「即答!!?」
京太郎「はやりさんはみんなの牌のお姉さんっすからね」フッ
はやり「……そんなこと言ってるとはやりが30代になっちゃうんだよ!!?」クワッ
京太郎「え、はい」
なんだか、苦しそうな表情をしている
はやり「30代はまだしも……後半なんて」
京太郎(アイドルじゃ別に不思議じゃないんじゃ……?)
はやり「はやりは辛い、耐えられない!」
京太郎「あ、はい」
はやり「……だから、ね?」ニコリ
京太郎「……?」
はやり「あ、ダメなやつだこれ」トオイメ
京太郎「?」
- 835 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/18(月) 00:49:13.60 ID:WkXeW+pz0
-
第19話【終わりがはじまる日】
- 836 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/18(月) 00:54:48.74 ID:WkXeW+pz0
-
短いけど今回はここまでー
次回はまた明日ってか今夜
誤字が多いけどなんとなく脳内変換よろしくっすー
そんじゃまたー
- 837 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/18(月) 12:49:33.70 ID:ybWJfAJIO
- 乙
はやりんかなり露骨なアタックしてくるなw
- 838 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/18(月) 20:11:26.64 ID:IqdYdoGF0
- 乙です
もしかして終わりが近い?
- 839 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/18(月) 22:59:44.35 ID:LHn44iHF0
- またまた遅くなったけどもやってく所存ー
ちなみにまだ終わらない。まだまだ終わらない
なんならこっから
- 840 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/18(月) 23:12:42.77 ID:Uxesuh7C0
-
―――【特異課長野基地】
はやりに着いて歩く京太郎
離れて短いながらも、その懐かしさに感慨深さを感じる
作戦室の扉が開かれると、はやりに続いて京太郎が入った
京太郎「お久しぶりです」
そこにいたのは福路美穂子をはじめとする風越高校の面々と鶴賀学園の面々
さらに、国広一と竹井久
京太郎自身は見知っている顔だ……
美穂子「京太郎っ!」パァッ
ゆみ「おかえり」フッ
桃子「京さんっ!」
京太郎「ただいま」
そう言いながら、椅子に座る
自身が倒した池田華菜と目が合う
華菜「……」
京太郎(睨まれてる? なぜ?)
華菜「須賀ぁ……キャップ、キャップが……」
京太郎「はい?」
華菜「キャプテンがお前の話ばっかするし!」シャー!
京太郎(しらんがな)
美穂子「か、華菜! やめなさいっ」
華菜「この野郎キャップとなにをした!」
京太郎「いやなにも」
美穂子「な、なにもないからっ、京太郎とは……ね?」
京太郎「あ、はい」
華菜「なんかあった顔してるし!!?」
桃子「ちょ、匂わせはよくないっすよ!」ビシッ
美穂子「えっ、そ、そんなんじゃっ」
- 841 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/18(月) 23:19:55.19 ID:BQw4eozZ0
-
京太郎「なんの話っすか」
ゆみ「相変わらず人気者だな」
そう言うゆみに小首をかしげる
これまで人気者だったことが一度でもあっただろうか、ハンドボールやってた時ぐらいのものだ
末春「あはは、須賀くんも中々……」
睦月「うむ」コクリ
星夏「さすが特異課のエース」
純代「怪獣を何頭も撃ち殺してるとか」
おそらく噂が独り歩きしてるのは確定だろう
智美「ワハハ、とりあえずはじめないか?」
佳織「智美ちゃん、誰もきいてないよ」
智美「ワハハ……」
一「えっと、もうちょっと落ち着かない?」
久「同意……てか須賀君、あなたね」
京太郎「俺のせい?」
久「うん」
京太郎「えぇ〜」
不満そうな表情をする京太郎に、眉をひそめる久
どこか、拗ねているようにも見える
はやり「まぁまぁみんな! 京ちゃんははやりんのだか落ち着いてネ☆」
瞬間、空気が凍る
はやり「え?」
京太郎「なにはともあれ会議はじめましょ」
はやり「あ、はい……」
- 842 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/18(月) 23:37:11.91 ID:jrvgveco0
-
面々がテーブルを中心にして座る
待っていると、入ってくるのは―――
裕子「お久しぶり」
京太郎「裕子さん!」
裕子「ん、みんな揃ってるようね……熊倉さんは?」
京太郎「まだやることあるって岩手です」
裕子「……そう」
そうとだけ答えると、佐藤裕子はそのままキーボードを前にした席に座る
全員がモニターの方に顔を向けた
そこに映る映像は監視カメラのようで―――
京太郎「これは、路地裏?」
裕子「各地の雀荘周辺には最近、設置してるの」
京太郎「こういうのある程度文句とかきそうっすけど」
ゆみ「まぁ現状、致し方なしだな……」
桃子「怪獣災害も増えてるっす」
その言葉にうなずいて、裕子はさらにボタンを押す
監視カメラの映像が動いていくと人間が奥からやってくるのが見える
京太郎「これは……和と咲」
ゆみ「そういうことだ……」
一「宮永咲っ……」
久「咲のせいじゃないわよ」
一「わかっているけど、どう呼べばいいのさ」
久「……確かに、ね。嫌なことだけどそう呼ばざるをえないのか」ハァ
京太郎「部長……」
久「なにはともあれ、見つかったのよ。二人が……」
やることは決まっている
だが……
京太郎「俺がみつけても麻雀、付き合ってくれねぇんだよな」ハァ
美穂子「わかってるわ。それに異星人を差し向けられて逃げられる場合も多いし」
- 843 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/18(月) 23:45:41.29 ID:jrvgveco0
-
京太郎「……それでも、やることは一つっす」
その言葉に、頷くはやりと美穂子
わかっているからこそ、理解しているからこそだ
京太郎「ぶっとばしてでも連れ帰る」フッ
ベリアル『ハッ、良いじゃねぇかわかりやすい!』
末春「や、野蛮だねぇ」
純代「でも、理にかなってる」
星夏「というよりそれしかない、ですね」フム
京太郎は自らの手を見る
幻視するのは漆黒の手、ベリアルのその手
真っ直ぐモニターの方を向けばそこには、その手で倒すべき相手
京太郎「場所は?」
裕子「数件の目撃情報があるけれど、どれも……清澄高校の近く」
ゆみ「帰巣本能か?」
はやり「そんな可愛いもんじゃないよ」
京太郎「挑発してるんですよ。たぶん……向こうも準備が整ったってことでしょ」
そう言って立ち上がる京太郎
はやり「……」
佳織「あ、でも怪獣が出てきちゃったらどうしよう……また、ティガが来てくれるかなぁ?」
智美「ワハハ、ウルトラマン頼りはよくないぞー……そろそろベリアルあたりが来てくれ」
ゆみ「お前もウルトラマン頼りか」コツ
智美「確かに」ワハハ
京太郎『ウルトラマン、ですって』
ベリアル『ハッ、呼びたきゃ好きに呼ばせとけ……』
美穂子「やれるだけやりましょう。人の力で、でも」
華菜「キャップの言うとおりだし!」
京太郎「……ですね」フッ
- 844 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/18(月) 23:55:32.01 ID:jrvgveco0
-
会議が終わって、京太郎は休憩所でコーヒーを飲んでいた
それぞれパトロールに行ったり、情報を待つために作戦室に残ったりだ
京太郎(俺だけ暇してるなぁ)
ベリアル『情報が来りゃまっさきに向かってやりあわなきゃなんねぇんだ、大人しくしてろ』
京太郎『俺の思考漏れてました?』
ベリアル『でなくてもわかる』
そんな言葉に、苦笑を浮かべる
すっかり相棒という感じだ
まぁベリアルに言えば拒否されるのだろうけれど―――
京太郎「……」ズズッ
一「須賀、くん」
京太郎「へ? ああ、国広さん」
ガンQ、いや魔頭鬼十郎に憑依されていた彼女
フリルのついた服を着てそこにいる
京太郎「……」
一「……いや、肌寒い季節だし厚着だよ」
京太郎「いや別になにも言って」
一「眼は口ほどにモノを言うんだよ」
京太郎「顔じゃ?」
一「ほらボクって目玉の化け物だから、ちょっとかけてみた」
京太郎「……」
一「冗談だって、真面目な話ありがとうって……言いそびれたからさ?」
京太郎「いや、別に……俺はお礼をされるようなこと」
一「戦ってくれたんでしょ? 聞いたよ、雀さんに」
京太郎「明華さん……」
一「だからね」
そう言って軽く笑みを浮かべる国広一
京太郎「……はい」フッ
- 845 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 00:04:14.12 ID:XdG4uEGV0
-
基地内を歩いていると、前から見慣れない人物が歩いてくる
見たことがないわけではない。ただ見慣れないだけだ
先ほどはいなかったが……
京太郎「久保、貴子さん?」
貴子「んぁ? 須賀京太郎……そっか、戻ってたんだっけ」
京太郎「ああ、どうもです」ペコ
貴子「こちらこそ、お礼がまだだった……ありがとう」
そう言って頭を下げる貴子を相手に、京太郎は動揺する
京太郎「い、いいですって!」
貴子「いや、私だけじゃなくて、私の生徒たちもたすけてくれたからな」
京太郎「それでも、頭を上げてください。みなさんは俺の仲間を救うために戦ってくれてるんですし」
貴子「……」
頭を上げる貴子が、フッと笑みを浮かべた
京太郎「……今後とも、お願いします」
貴子「ああ、この礼はかならず返す……結果でな」ニッ
京太郎(こんな女教師が許されるんですか!?)
- 846 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 00:23:00.20 ID:sYvGwwVG0
-
貴子と別れて歩く京太郎
目的地など特にはないのだが、なんとなく足を運んだのは前にババルウ星人と戦った部屋
巨大な機械が置いてあるが不思議とそれは、邪な気配を感じる
京太郎「……なんなんですか、これ」
ベリアル『おそらくだが、メダルを製造するもんだな』
京太郎「メダルを?」
ベリアル『ああ、怪獣の素材を入れてその怪獣メダルを製造するもんだ』
京太郎「なっ! なんでこんなものっ」
ベリアル『さぁな、あのばあさんがなにを考えてるのかわかんねぇが……』
目の前にあるのは怪獣メダルを生成するもの
そんなものが必要になるとは思わない……
ならばなぜ、彼女はそんなものを作ったのか
京太郎「トシさん……」
ピピピピピピ
京太郎「っ!」
手首についている端末が音を鳴らす
即座にそれを開いてボタンを押すと、声が聞こえた
裕子『原村和を発見しました!』
京太郎「行きますッ!」
- 847 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 00:31:15.10 ID:sYvGwwVG0
-
走る京太郎
ガレージへとたどり着くと、車がある
運転席には―――
京太郎「はやりさん!?」
はやり「はやく!」
美穂子「行きましょうっ!」
京太郎「……はい!」
素早く、助手席へと乗り込む
運転席のはやりが勢いよくアクセルを踏むと、車が走り出す
目的地は……
京太郎「清澄の近く、か」チッ
美穂子「私も戦う……たぶん、すぐに戦うことになるでしょうし」
京太郎「まぁそりゃそうっすね。まともに麻雀でやり合うなら俺達である必要もない」
懐から、ゼットライザーを取り出す
京太郎「ベリアルさん……アイツらは」
ベリアル『今までのどいつよりも強ぇだろうな……』
京太郎「でも俺達なら」グッ
- 848 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 01:01:37.64 ID:sYvGwwVG0
-
大通りのど真ん中に、原村和はいた
その前に、ドリフトして止まる車
そこから出てくるのは京太郎、はやり、美穂子の三人
和「……きましたか」
京太郎「テメェ、今日こそ潰す!」
和「お互い様です」
そう言う原村和に立つのは―――
京太郎「天江衣!?」
美穂子「龍門渕さん!?」
―――天江衣と龍門渕透華の二人
京太郎「っ」
和「さて……スヒューム」
天江衣が邪悪な笑みを浮かべ、指を鳴らした
その瞬間、龍門渕透華の胸の中心から黒い闇が溢れだす
衣「さぁ、沈め人類!」
闇は透華を包み込み、巨大な影を形成していく
天江衣と原村和の二人を巻き込まないためか、少し離れた場所に現れる怪獣
蟹のようなその姿……
ベリアル『レイキュバスか!』
京太郎「あれはっ!?」
衣「氷塵と朽ち果てろ!」
巨大な蟹型怪獣が咆哮をあげた
衣「地球を水の星にする……そして、私たちの星にする! まずはここからだ!」
京太郎「長野に海はねぇんだよぉ!」
- 849 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 01:17:06.56 ID:sYvGwwVG0
-
背後の美穂子が、素早くスパークレンスを取り出す
京太郎もゼットライザーを手にするも、目の前の原村和が手から波動を放つ
顔をしかめつつ、トリガーを引いた
はやり「京ちゃん!?」
京太郎「クソっ!」
吹き飛ばされる京太郎の背後に現れるゲート
その勢いのまま、京太郎はゲートへと吸い込まれた
フッと、笑みを浮かべる原村和を前に、美穂子は眼を鋭くする
美穂子「あなたは、京太郎をッ!」
和「あとはよろしくお願いします」
衣「ふん、至極当然」
- 850 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 01:24:45.61 ID:sYvGwwVG0
-
―――【インナースペース】
転がる京太郎が、その勢いのまま起き上がる
両足と右手を地につけてしっかりと止まると、立ち上がって前髪を払う
左手のゼットライザーを持つ手に力がこもる
京太郎「ベリアルさん!」
ベリアル「あぁ、オレたちを見下した奴だ……ぶっ潰す!」
京太郎「はいッ!! 速攻で決めます!」
右手持ったアクセスカードを挿入
『キョウタロウ・アクセスグランテッド』
京太郎「レイブラッド星人!」
メダルを弾くと、周囲に広がる闇
落ちるメダルを右手で取ると、赤き瞳が輝く
京太郎「究極生命体……」
ゼットライザーにメダルを差し込みブレードをスライドさせる
『Alien Rayblood』
トリガーを引く
- 851 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 01:29:32.25 ID:sYvGwwVG0
-
美穂子が、腕を回してスパークレンスをかかげる
はやりは素早くその場から車を走らせ離れていく
美穂子「ティガぁ!!」
京太郎「ベェリアァルッ!!」
そして光と闇の二色と共に現れる二体の巨人
レイキュバスを前に構える
ベリアルとティガ
- 852 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 01:38:44.14 ID:sYvGwwVG0
-
二体の巨人を見上げる天江衣ことスヒューム
その影の形がクラゲのような生き物に変わる
衣「闇に堕ちた巨人と、闇から光に還った巨人」
笑みを浮かべつつ、その手に三つのメダルを持つ
衣「……ゴルザ、メルバ、超ゴッヴ」
三種類のメダルを天江衣は吸収する
そして胸から闇を溢れさせていく
瞳が輝き、巨大な闇を形成していった
衣「さぁ、終末の時だ……!」
現れるのは、強大な闇
―――トライキング
- 853 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 02:08:17.12 ID:sYvGwwVG0
-
ベリアルとティガの前のレイキュバス
そこからさらに現れるトライキング
京太郎『あいつ、合体怪獣!?』
ベリアル『ゴルザ、メルバ、超コッヴの合体怪獣か!』
その言葉に、京太郎は顔をしかめる
レイキュバスが赤い目を輝かせながら火球を放つ
トライキングは腹部から拡散ビームを放った
ベリアル「ジャアッ!」
ティガ「タッ!」
二体の巨人が横に転がって回避する
起き上がると同時に、二体は光弾を放った
それを弾くレイキュバスとトライキング
ベリアル「シャアッ!」
レイキュバスへと接近したベリアルが爪を振るう
だがレイキュバスも爪を振るい、斬撃を相殺した
京太郎『チィ!』
美穂子『京太郎!』
ティガ「フンッ……チャアッ!」
パワータイプへと変わったティガがレイキュバスを殴りつける
怯んだレイキュバスへすかさず光弾を放つベリアル
ティガが追撃で光弾を放つも、その背後に迫るトライキング
ベリアル「ハアッ!」
だがそんなトライキングを膝蹴りで怯ませると、即座に爪を振るった
それを受けて僅かに怯むトライキングだが、即座に頭部から超音波攻撃を放つ
ベリアルはバリアでそれを凌ぐ
レイキュバス「―――!」
美穂子『京太郎っ』
レイキュバスの目が青く変わると、冷凍ガスを放つ
それを受けたティガが、怯む
トライキングの音波攻撃をバリアで凌いだベリアルがレイキュバスを相手に両腕を振るう
- 854 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 02:14:59.98 ID:sYvGwwVG0
-
ベリアル・京太郎『デスシウムリッパー!』
レイキュバス「!!?」
放たれた斬撃がレイキュバスを弾き飛ばす
切断までに至らないのはそれほどの強さだから、だろう
冷凍ガスの攻撃を免れたティガはベリアルへと頷き、さらにタイプをスカイタイプへと変化させる
トライキング「!」
スヒューム『消えろベリアル……!』
ベリアル『オレを誰だと思ってんだ。テメェ如きがそんな言葉言っていい相手じゃねぇんだよぉ!』
京太郎『ベリアルさんと、オレを……舐めるなァ!』
振るわれた拳、を受けてトライキングが怯む
スヒューム『やはり、三つでは……!』
ベリアル『さっさとやるぞ小僧!』
京太郎『当然ッ!』
トライキングへの攻勢を強めるベリアル
一方のティガは、レイキュバスの冷凍ガスを飛んで避けると背後へと着地
背中を向けたまま両腕にエネルギーを溜め、右手に集める
美穂子『ランバルト光弾で!』
ティガ「チャアッ!」
振り返ると同時に放ったランバルト光弾がレイキュバスの背中に直撃する
大きく怯んだレイキュバスが振り返り、眼を赤く変えた
口から放たれる火球を、パワータイプに変わったティガがバリアで凌いだ
京太郎『強くなってる……!』
ベリアル『ハッ! オレ達ほどじゃねぇがよくやる!』
- 855 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 02:25:35.12 ID:sYvGwwVG0
-
トライキングを爪撃で怯ませると、素早く後ろへと下がる
同じく下がってきたティガが背中合わせになった
ベリアル『まさか……おい!』
美穂子『え、私ですか!?』
ベリアル『テメェ、レイキュバスを倒すな!』
美穂子『え、えぇっ!?』
ベリアル『いいから先にこっちをやる!』
京太郎『……ということで!』
地を蹴り、トライキングへと飛ぶベリアルが膝蹴りを放つ
怯むトライキングにさらに蹴りを打ち込む
スヒューム『くっ、読んでいるかベリアルっ』
ベリアル『戦闘向きでもねぇ半端クラゲが調子に乗ってんじゃねぇよ!』
さらなる攻撃で怯むトライキング
スヒューム『ならばっ……!』
ベリアル『あぁ?』
トライキングが超音波を放つ
それを回避するベリアルを確認すると、即座に拡散ビームを放った
射線上にはティガだが、素早く回避する
ティガ「!」
レイキュバス「!!?」
ビームの直撃を受けたレイキュバスが、爆散する
ベリアル『こいつッ!!』
吹き飛んだレイキュバスから光が地に落ちる
それは龍門渕透華
だがメダルは、トライキングの方へと飛んで行った
京太郎『あれはっ!』
ベリアル『チィッ!』
スヒューム『きたぞぉ!』
- 856 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 02:35:11.40 ID:sYvGwwVG0
-
吸収されるメダル
トライキングの両腕が輝く
スヒューム『レイキュバス! ガンQ!』
―――ファイブキング
ベリアル『きやがった!』
京太郎『さらに!?』
美穂子『合体した!!?』
右腕にレイキュバスの顔とハサミ、左腕にガンQの顔が現れる
それこそが真の姿、ファイブキング
叫びをあげながらファイブキングは右腕から冷気と火炎を放つ
ティガ「!!」
その射線上には龍門渕透華
ティガは素早くその射線上に立つが、バリアを張る余裕がなく真正面から受ける
ティガ「グアァッ!」
攻撃が止まると、膝をつく
そのカラータイマーが点滅を始めた
地上の龍門渕透華の元へと、車が近づくと中にいたはやりが素早く透華を回収していく
はやり「頑張って! お願い、二人共!」
その言葉に、ティガは顔をあげて立ち上がると素早く構えた
ベリアルもファイブキングの方を見て腕を構える
咆哮をあげるファイブキングに、光弾を放つティガ
ベリアル『マズいな!』
京太郎『ガンQの腕ってことは……!』
放たれた光弾を、左腕のガンQの瞳が光弾を吸収
そして、そこから光弾が射出される
そのまま放たれた光弾を、ベリアルはティガの前に出て弾く
美穂子『ベリアルさんっ、京太郎!』
京太郎『コンビネーションでやります。ベリアルさんなら攻略法知ってるでしょ!』
ベリアル『ハッ、誰に口きいてやがる……当ォ然だ!』
- 857 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 02:47:17.23 ID:sYvGwwVG0
-
ベリアルとティガが、走り出す
ファイブキングが拡散ビームを放つも、素早くそれを回避してベリアルとティガが斬撃を放つ
ガンQの腕がベリアルの斬撃を吸収するも、レイキュバスの腕がティガの斬撃でダメージを受ける
スヒューム『くっ、この程度で!』
ベリアル「ジャアッ!」
さらに放たれた音波攻撃
それをガンQの腕から斬撃を放ちかき消す
転がってそれを回避するベリアル、だがティガは―――
美穂子『デラシウム光流!』
放たれたティガの赤い光が、レイキュバスの腕を完全に破壊した
驚愕するスヒュームがメルバの翼を広げて空へと飛ぶ
ティガ「チャッ!」
素早くスカイタイプへと変わったティガが空へと飛ぶと、ベリアルも飛び上がる
高度を合わせたティガとベリアルに、ファイブキングが上空から拡散ビームと音波攻撃を同時に放つ
ベリアル『ハッ、大したことねぇな!』
京太郎『オレ達なら!』
その攻撃を回避していくティガとベリアル
ティガは高速でファイブキングの背後へと飛ぶと、手から放つ光弾でメルバの片翼を撃つ
怯むファイブキングに接近したベリアルが背中から両翼を掴んで、その背に足をかけた
京太郎『こんなもん!』
ベリアル「ハアァッ!」
勢いよく、その翼をもぎ取る
地上へと落ちるファイブキング
その正面に降りたベリアルとティガ
京太郎『これで決める!』
美穂子『うんッ!』
マルチタイプへと変わるティガ
そして二体の巨人が腕を構える
スヒューム『なぜ、こんな……私たちの戦力で!?』
- 858 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 02:59:02.56 ID:sYvGwwVG0
-
京太郎『当然だろォが!』
ベリアル『下っ端如きがオレ達に勝てるわけねぇだろォが!』
ティガが腕を脇に構えた後に、目の前で合わせ―――離す
紫色の光、そしてベリアルの漆黒の光
腕をクロスする
ベリアル・京太郎『デスシウム光線!』
美穂子『ゼぺリオン光線!』
放たれた二つの光線
デスシウム光線の方をガンQの腕が吸収するも、ゼぺリオン光線がその体を撃つ
その直撃により、ガンQの腕がズレ、デスシウム光線もその体を撃つ
スヒューム『キャアアァァァァッ!!』
断末魔が響き、ファイブキングが爆散する
光りと共にメダルと天江衣が地に落ちていく
すかさず走って行く車、それを見て頷くティガ
美穂子『……終わった、の?』
京太郎『呆気ないもんっすね』
ベリアル『……まだだ』
その声と共に、眩い輝きがベリアルとティガの背後に現れる
白銀の光、そして真っ白な―――女神が現れた
京太郎『なん、だ?』
美穂子『天、使……?』
ベリアル『ゾグ……!』
和『さぁ審判の刻です』
京太郎『ッ、和ァッ!』
―――根源破滅天使ゾグ
- 859 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 03:01:22.27 ID:sYvGwwVG0
-
今回はここまでー
再開は水曜の夜にでもー
とうとう大ボス
ってことでそんじゃまたー
- 860 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/19(火) 13:47:15.26 ID:IXSYcTOE0
- 乙
ファイブキングのあとにゾグってすごいな
- 861 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/20(水) 22:56:58.97 ID:1gJ9vHTO0
-
やってくゾイガー
今回でこの話だけでも終われればいいなー
- 862 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/20(水) 23:00:33.58 ID:1gJ9vHTO0
-
現れたゾグを相手に構えるティガとべリアル
白銀の天使が笑みを浮かべている
京太郎『でかくないっすか!?』
べリアル『そういうもんだ……チッ、こっちも本来の力に戻ってねぇんだがな』
美穂子『輝いているけれど、あれは強大な闇に感じるわッ!』
べリアルとティガが光弾を放つ
だがそれは、ゾグが手をかざし出現させたバリアで凌ぐ
今まで戦ってきた敵とは桁違いの強敵
京太郎『べリアルさんっ』
べリアル『チッ、情けねぇ声出すんじゃねぇよ……やんぞ!』
京太郎『……はいッ!!』
- 863 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/20(水) 23:04:47.21 ID:1gJ9vHTO0
-
地上にて、離れた高台で二体の巨人と女神を見据える久
歯ぎしりをしながら、そちらを見る
久「闇と光……!」
拳を握りしめると、爪が掌の食い込んで血が滲む
悔しそうな表情で勢いよく柵を殴りつける
今度はハッキリと、血が流れた
久「強大な、力っ……!」
ゾグの波動により街が破壊される
わずかに攻撃を受けたのか、ふらついているべリアルとティガが見えた
久「私にも……光をっ……力を!」
奥歯がギリッと音を鳴らす
- 864 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/20(水) 23:17:26.70 ID:1gJ9vHTO0
-
ゾグが軽やかに手を振るう
ベリアルと京太郎が回避するために体を翻そうとするが―――
京太郎『ぐっ!?』
ベリアル『拘束、超能力まで使うんだったか!』
美穂子『京太郎っ!』
ティガが素早く光弾を放つも、ゾグがもう片方の手をかざしバリアでそれを凌ぐ
超能力により体を拘束されるベリアルが、空中に持ち上げられる
京太郎『この拘束はッ!』
ベリアル『だが奴の本来の能力は強大だ!』
京太郎『なら連発も長時間使用もできないっ』
抵抗を試みるも、ゾグはそのままもう片方の手をベリアルへと向けた
不味い―――そう思うが抵抗の方法もない
和『消え去り、闇に還りなさい―――!』
美穂子『京太郎ォ!』
透明の波動が放たれる
その一撃は真っ直ぐにベリアルに直撃、そのまま吹き飛ばす
波動は当たって消えることもなく、ベリアルを地上へと吹き飛ばし……
京太郎『これはっ!』
ベリアル「グアァッ!」
美穂子『やらせ、ないっ!』
地上で、ティガがベリアルを受け止める
だがそれでもその波動の威力に押されて、今度は二人まとめて吹き飛ばし“続けた”
- 865 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/20(水) 23:25:21.53 ID:1gJ9vHTO0
-
地上を波動によって引きずられるベリアルとティガ
ベリアルのカラータイマーが点滅を始める
だが―――
京太郎『まだまだァッ!』
ベリアル『気張れよ小僧ォ!』
爪を左右のビルに突き立てる
それでも後ろへと吹き飛ばされ続けるのだが、勢いは消えていく
美穂子『キャアァッ!!!?』
京太郎『美穂子ォ!』
瞳が赤く輝く、波動が消えてベリアルとティガが止まった
ふらつきながら起き上がるベリアル
京太郎『っ、はぁ……はぁ……』
美穂子『きょ、うたろっ……』
美穂子の声が聞こえる
ティガは起き上がろうとするも膝をついた。そのカラータイマーの点滅は激しくなっていく
ゾグを睨みつける京太郎、そしてベリアル
和『っ!』
少しばかりゾグが怯んだが、ベリアルが致命傷を受けたことには変わりない
カラータイマーは点滅している
もはや大技もそう連発できないだろう
和『ッ、ここで終わらせます。ベリアル……!』
ベリアル『ハッ勝手に終わってろ!』
京太郎『ここで和を奪い返して、お前らの終わりを初めてやるよ!』
- 866 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/20(水) 23:41:51.39 ID:1gJ9vHTO0
-
地を蹴り走り出すベリアル
そんな彼の背後で、ティガは立ち上がろうとするがやはり膝をついてしまう
手を伸ばすがそれも届きはしない
美穂子『京太郎! ベリアルさん!』
強く地を蹴り、飛び上がるベリアル
ベリアル「ハアッ!」
和『愚かな……』
ゾグ「フフフフ!」
笑みを浮かべるゾグが、右手を前に出す
だがベリアルはさらに上昇
右手をそちらに向けるが、ベリアルは上空でジグザグに移動しその射線上から回避していく
和『ちょこまかと!』
ベリアル『ハッ、小僧のわりに良い考えじゃねぇか』
京太郎『相手によって色々変えてかないとっす!』
ベリアル『……ハッ』ニッ
動きながら、両腕を振るう
ベリアル・京太郎『デスシウムリッパー!』
放たれた斬撃だが、ゾグが手をかざしてバリアでそれを凌ぐ
だが反撃の手を打たれるより早く、ベリアルは光弾を両手で放つ
放たれた二発の内、一発がバリアを抜けてゾグにダメージを与える
ゾグ「あぁっ!?」
ベリアル『ハッ、やはりこいつも本来の力は出せてねぇな!』
京太郎『ならばァッ! 』
さらに、接近するベリアル
だがゾグが右手で攻撃を放つ
波動ではなく、光線
ベリアル「ガアァッ!!」
胸に放たれた光線、だがそれを耐えるベリアル
光線を浴びながらベリアルは、そこから一歩も下がらない
京太郎『サンダーを受けろォっ!』
ベリアル『骨の髄まで焼けなァ!』
放たれた電撃が、光線を放つゾグへとダメージを与える
さらに怯んだゾグは攻撃の連続もあってか、かなり弱っていた
- 867 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/21(木) 00:02:05.58 ID:2CYWVEZH0
-
ゾグが放っていた光線が怯んだことにより止まる
ベリアルはゾグの目の前で、腕を構えた
カラータイマーの点滅が激しくなっていく
京太郎『ベリアルさんッ!』
ベリアル『やるぞ!』
京太郎『闇の力、お借りしますッ!!』
周囲に充満する闇を右腕に集めていく
そしてその右手に闇の光と共に、赤い稲妻を纏う
ゾグがハッと気づいて右手を前に出す
和『ベリアルゥぅゥ!!』
ベリアル『デスシウム光線!!』
放たれたデスシウム光線、ゾグが両手を前に出して光線を放つ
その二つがぶつかり合うも力は拮抗していた
光線がぶつかる中心がバチバチと音を立てている
京太郎『デアァァァァァッ!』
ベリアル『オォォォォッ!』
空中にて、ゾグの前にて……ベリアルが前方に加速していく
ゾグへと接近していくベリアルと反対に、ゾグが後ろへ下がろうとするがその余裕も既にない
超至近距離へと接近した瞬間、その二つの光線の中心部分が―――爆発を起こす
和『アアァァァァアァッ!!!?』
叫ぶゾグの中の和、ベリアルの中で―――京太郎はゆっくりに時間を感じていた
京太郎『これで、終わるっ……』
ベリアル『もろともなぁ』
京太郎『……はい』フッ
ベリアル『チッ、テメェといたせいで碌でもねぇ結末だ』
京太郎『す、すみません』
相打ちというつもりはなかった
もろとも死ぬつもりもなかった
だが―――
京太郎「ベリアルさんを、元に戻すつもりだったんですよこれでも……」
ベリアル「ハッ、元になら戻るだろ」
京太郎「え?」
ベリアル「オレは元々死んでんだよ」
- 868 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/21(木) 00:27:15.61 ID:tk9sIAC70
-
そんな言葉に、京太郎は頷く
京太郎「知ってます。それでも……」
ベリアル「メダルの残留思念とデビルスプリンターだったか、あれが干渉して生み出された人格がオレだ」
京太郎「……」
ベリアル「死ぬも生きるもねぇよ」
笑うベリアルはどこか自嘲しているようだった
それでも京太郎は思う。夢見たベリアルの記憶は本物のはずだと
京太郎「それでも……俺にとってのベリアルさんはベリアルさんですから」
ベリアル「ハッ、テメェはテメェの心配だけしやがれ」
京太郎「自分の心配って言われても……」
ベリアル「京太郎」
京太郎「え?」
ベリアル「じゃあな」
京太郎「ベリアルさんっ!?」
それだけを言って笑うベリアル
瞬間、京太郎が自身の体に違和感を感じる
ハッとするも既に遅い
京太郎「これっ!?」
既に、京太郎は“外”にいた
黒い闇に包まれたまま、地上へと降ろされる
ハッとして上空を見上げる、ベリアルとゾグの姿が視線の先に見えた
京太郎「ベリアルさぁん!」
そして―――爆発
- 869 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/21(木) 00:38:56.48 ID:tk9sIAC70
-
上空での爆発
それを見守っていたティガが、光と共に消える
その場にいた美穂子が、ふらつきながらそちらを見ていた
美穂子「ベリアルさんっ、京太郎ぉ……」
ゆっくりと歩いていくも、足をもつれさせ地に倒れる
美穂子「あぁっ」
痛みに顔をしかめながら、両手を使ってどうにか起き上がった
未だに晴れない爆煙だがそこから邪悪な気配は感じない
ゾグは既にいないのだろう、けれど……
美穂子「京太郎っ、ベリアルさんっ、無事なの……?」
一歩一歩を踏み出し、歩いていく
そしてそんな彼女を影から見ている―――竹井久
久「……私にも、光があればっ」
- 870 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/21(木) 00:58:24.84 ID:wC2YyL0Y0
- 最後に名前呼ぶのは王道でいい
てか久ヤバい
- 871 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/21(木) 01:12:46.56 ID:yH88GLPy0
-
地上にて、上空を見上げる京太郎
爆煙が晴れるがそこにはなにも残っていなかった
ゾグも、ベリアルすらもだ
京太郎「なんでっ、ベリアルさん……そんなことできたなら、言っといてくださいよっ」
悔しさが顔ににじみ出る
顔をしかめ、膝を地につけその爆煙が晴れた空を見上げていた
京太郎「俺はっ、ベリアルさんなしで、一体なにができるってんだォ!」
「できるよ」
京太郎「!」バッ
振り返ったそこにいるのは―――熊倉トシ
トシ「これは読めなかった。あのベリアルが……」
京太郎「俺に、なにが……できるってんですか」
トシ「なんでもできるってんだよ。それにね京ちゃん」
近づいた熊倉トシが、京太郎の胸倉をつかむ
トシ「闇を受け入れた男が、仲間一人死んだからって―――うじうじ悩むな」
京太郎「うじうじ!? 誰がッ!」
トシ「……悩むなとは言わない。だから」
力強く立ち上がる
京太郎「……やれることを探します。それにやるべきことを」
トシ「そうだね……」フッ
京太郎「闇だろうが光だろうなにを使ってでも、オレがやるべきことは……」
トシ「それでこそベリアルの……」
どこか嬉しそうに笑みを浮かべて、頷く熊倉トシ
- 872 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/21(木) 01:25:19.22 ID:yH88GLPy0
-
車が走ってきて目の前で止まる
そこから降りてくるのは、瑞原はやり
福路美穂子も乗っている
美穂子「京太郎っ」ダッ
走ってきた美穂子を受け止めて、そっと離す
美穂子「その、ベリアルさんはっ」
京太郎「……」
なにも言わない京太郎に、美穂子とはやりが同時に察する
その手に持ったゼットライザーのトリガーを引くが、なにも起きはしない
はやり「京ちゃん」
美穂子「京太郎、ウルトラマンになれなくなっちゃったね」
京太郎「ええ、でも……ウルトラマンになれなくても俺は、オレは戦える……いや」
見上げる夕焼け空
その空も相まって、血のように赤い瞳は上空を見る
敵はまだいる。戦うべき相手も、取り戻すべき相手もだ……
京太郎(戦いたい……!)
その手のゼットライザーを、強く握りしめる
- 873 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/21(木) 01:27:28.96 ID:yH88GLPy0
-
第19話【終わりがはじまる日】 END
- 874 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/21(木) 01:48:43.84 ID:9UzPQl2Z0
-
―――次回予告
京太郎:レイオニクス?
トシ:レイブラッドの遺伝子か
美穂子:戦えない京太郎のためにっ、私が!
久:なんでッ、なんであなたが光なのよっ!
はやり:バトルナイザー……?
京太郎:オレは、オレたちでもっと……!
トシ:いけ京ちゃんッ!
京太郎:戦いたいッ!
次回【闇-ダークネス-】
京太郎:闇よォォォッッ!!
- 875 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/21(木) 01:50:52.85 ID:CqoyREe30
-
今回はここまでー
よーやっと中盤
ここから話がぐいぐいと、いやどうだろーか
とりあず新展開、ネクサスだと二人目が出るぐらい
そんじゃまたー
- 876 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/21(木) 02:56:28.97 ID:wC2YyL0Y0
- 乙
ベリアル帰ってきてからまたなんかありそうだな
京ちゃんは結構精神安定してるな
- 877 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/22(金) 16:53:14.51 ID:qjpGCQvk0
- ひっそりとやってみるー
ここが終わったら色々それっぽい感じになるかもー
- 878 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/22(金) 17:12:59.79 ID:qjpGCQvk0
-
―――【特異課長野基地:作戦室】
あれから一日、時刻は午前10時15分
須賀京太郎がそこにはいた
他にはもちろん鶴賀、風越の面々、さらに久と一、はやりや裕子、そしてトシもいる
京太郎「はぁ」
貴子「どした?」
京太郎「あぁ、いやなんでも」
近くにいた久保貴子が心配そうに京太郎を見るが、笑みを浮かべて頭を横に振る
だが美穂子やはやりは顔をしかめた
理解しているからだ、彼がこの戦いでなにを失ったか
京太郎「……」
トシ「さて、昨日はお疲れ様だったね……“みんな”」
その言葉は、避難誘導や救助をした面々に向けても言った言葉だ
戦いだけが特異課の仕事でもない
裕子がキーボードを叩くとモニターに表示される画像は龍門渕透華と天江衣
トシ「龍門渕透華及び、天江衣の救出は完了……だけども」
久「……和っ」
トシ「そう、原村和が行方不明」
京太郎「足取り、手掛かりは?」
トシ「ないね。でも足取りがないってのが」
はやり「まだ終わってないって証拠、かな?」
トシ「そういうこと」
溜息をつくトシが、京太郎の方を向く
苦々しい表情を浮かべているのは自分が捕り逃した故、というのもあるのだろう
誰一人としてそんなことは思っていないのだが、失ったモノと見合わない結果
トシ「……しかしまぁ、生きていたところで、だ」
京太郎「?」
トシ「相当弱ってるだろうね」フッ
京太郎「なら今の俺達でも?」
トシ「たぶんね」
京太郎「なら、やることは一つか」ニッ
トシ「そういうこと」クスッ
- 879 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/22(金) 17:29:11.69 ID:qjpGCQvk0
-
今の京太郎にベリアルはいない
だが、やれることはあると理解はしている
だからこそ京太郎は原村和-ゾグ-を探しに行くつもりだったのだが……
トシ「ってことでとりあえず解散、それぞれ街の探索に」
桃子「パトロールってことっすか? その……」チラッ
ゆみ「ん、原村等を見つけた場合は、即行動に移って良いのでしょうか熊倉女史」
トシ「ダメ、必ず連絡入れること……戦力によっては許可出すけど」
ゆみ「了解しました」コクリ
とりあえずはやることが決まった
だが同時に、まだ見つかっていない生徒は多いのだ
龍門渕で言えば井上純、沢村智紀、杉乃歩が見つかっていない
京太郎「みんな気を付けて……」
一「いや、昨日爆心地にいたらしい君に言われたくはないよ」
京太郎「うっ」
一「……ジョーダン、君が頑張ってくれてることは知ってる」
京太郎「一さん……」
一「しっかり休みなよ? 1人で色々やろうとするタイプだって聞いてるし」
京太郎「え、どこから?」
一「色々だよ」フッ
そう言って立ち上がった一が京太郎の肩をポンと叩いて部屋を出る
他の面々も続々出ていく中、トシが手を叩く
トシ「瑞原と福路、京ちゃんは集合ー」
京太郎「えっ」
美穂子「私も?」
華菜「キャップが残るなら私も!」
はやり「鰹節あげるから行っておいで☆」
華菜「誰が猫だし!?」
京太郎(お前しかいないだろ……)
- 880 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/22(金) 17:47:53.63 ID:qjpGCQvk0
-
結局、残ったのは京太郎と美穂子とはやり
華菜は美穂子がやんわりと出て行かせた
トシ「で、残ってもらったわけだけど」
京太郎「なんでまた?」
トシ「いや京ちゃんだけでも良かったっちゃそうなんだけど」
はやり「えー」
その言葉にはやりが不満そうな表情をする
美穂子が苦笑しながらも京太郎の方に視線を向けた
トシ「京ちゃんはベリアルからレイオニクスについてなんか聞いた?」
京太郎「え、あ……聞いたことあるような、バードンとの戦いんときだったか」
トシ「なんて?」
京太郎「いや詳しくは……バードンを使うとか使わないとか」
はやり「怪獣を、使う?」
美穂子「怪獣使い?」
その言葉に今度はトシの方が苦笑した
軽く平手を出して中指と人差し指だけをつけたり離したり
トシ「まぁそれとはちょっと違う気もするけど……いや、似たようなもんか?」
京太郎「それでそのレイオニクスってのは?」
トシ「今となっちゃ怪獣を使役しやすい遺伝子を持った者って考えで良い」
京太郎「えっと、ベリアルさんが……そのレイオニクスなんっすよね?」
トシ「そういうこと、それとたぶんあんたも」
京太郎「へ?」
はやり「は?」
美穂子「えぇっ!? ベリアルさんと京太郎って血がつながってるんですか!?」
トシ「いやそういうことじゃない」
京太郎「で、ですよねっ」ホッ
- 881 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/22(金) 18:03:29.68 ID:qjpGCQvk0
-
トシ「レイブラッド星人は様々な種族に因子をばら撒き埋め込んだ……そして生まれたのがレイオニクス」
京太郎「なんで俺が?」
トシ「正確にはベリアルと融合してあんたにそれが残ってるってことだ」
京太郎「……外見でわかったりします?」
トシ「あたしの場合は感覚だよ」
京太郎「風水的な?」
トシ「スピリチュアルじゃない」
そう言いながら取り出したのは、小さな端末
スロットが一つ付いている不思議な横長の機械だった
京太郎「これは?」
トシ「バトルナイザー」
美穂子「?」
トシ「怪獣を召喚して使役するものだ」
京太郎「えっ、スゴイ!」
美穂子「でも今の話の内容的に、その……れ、レイオニクスにしか使えないってことよね?」
トシ「いやこれは誰でも使える」
はやり「えっ!?」
その言葉に、はやりが食いつく
バトルナイザーに顔を近づけて色々な角度から見た
天才故の好奇心なのか……
はやり「私にくれます!?」
トシ「今はこれ一個だからダメだよ。あたしのだ」
はやり「えー」
トシ「できたら渡す」
はやり「やった! できるならさらに解体とか」
トシ「ダメ、人類には早すぎるから」
はやり「トシさん宇宙人?」
トシ「さぁね」フッ
まぁ不思議でもないなと、三人は同時に頷いた
今更未来人だろうが異星人だろうが異世界人だろうが驚ける気がしない
トシ「……と言いつつ京ちゃんにはあげる」
はやり「なんで!?」
トシ「なにも渡さない方が危ないからね」
はやり「う゛っ」
京太郎「面目ない」メソラシ
- 882 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/22(金) 18:17:42.61 ID:qjpGCQvk0
-
トシ「それにさ、戦いたいんだろ?」フッ
京太郎「っ……はい」フッ
笑みを浮かべて、バトルナイザーを受け取る
そこから感じる異様な気配
だがそれでも、京太郎は戦う
京太郎(ベリアルさん、あなたのためとかじゃない……俺のためにオレは戦いたい)
だがバトルナイザーを持つ、その手を掴む者がいた―――美穂子だ
美穂子「だ、ダメよっ」
京太郎「え?」
美穂子「京太郎はもう戦わなくて良い。沢山戦って、傷ついたのも知ってる!」
真っ直ぐに、京太郎の眼を見る美穂子、そして逆に美穂子の両目をしっかりと見つめる京太郎
美穂子「戦わなくても良い。戦えない京太郎のためにっ、私が!」
京太郎「美穂子さん」
美穂子「っ」
京太郎は自らの手を掴む彼女の手に、そっと手を乗せる
はやりが何かを言おうとするが、トシが口を塞いだ
京太郎「俺は戦いたい、戦いたいんだ」
美穂子「っ、なんで?」
京太郎「みんなのため、なんかじゃない。前から一緒だよ」
美穂子の手がそっと下りていく
バトルナイザーを握った手を見て京太郎は笑った
京太郎「俺は俺のために戦うんだよ」
美穂子「自分の、ため?」
京太郎「俺が守りたいから、俺の大切な人たちを」ニッ
その意味を理解してかしないでか、美穂子は少しばかり頬を赤らめて微笑む
はやりが口を塞がれたまま大声を出そうとするも……京太郎と美穂子に届くことはなかった
- 883 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/22(金) 18:31:49.60 ID:qjpGCQvk0
-
その後、バトルナイザーの説明も受けた京太郎
美穂子も頷き、共に戦うということを了承した様子……なのだが
京太郎「なんっすかはやりさんの不満そうな顔は」
はやり「なんでもー」ジトー
京太郎「?」
よくわからないので、とりあえず置いておくこととした
当面の目標のつもりだった“怪獣と戦う力”は手に入れたのだ
だがもう一つ、雀士たちを怪獣メダルから解き放つ方法はそれだけではない
というより最悪、バトルナイザーを使って戦うことになるというだけであって、その前段階でなんとかできればそれに越したことはない
京太郎「ちょっと麻雀しなきゃな」
美穂子「どうしてまた?」
京太郎「今までは怪獣メダル所有者の雀士と一緒でメダルで強くなってたんで……ベリアルさんがいなくなって今はどうなのかなって」
はやり「丁度良いから一緒に雀荘行こっか☆」
京太郎「確かに一石二鳥っすね」
トシ「それじゃ行ってらっしゃい……福路は?」
美穂子「竹井さんか華菜と合流するつもりです」
その言葉にうなずいて、椅子に腰を下ろすトシ
トシ「それじゃ気を付けてね、特に京ちゃん」
京太郎「うっす!」
美穂子「それじゃあ、またね京太郎」ニコッ
京太郎「はい」フッ
はやり「……あー! 早く行くよ京ちゃん!」ガシッ
腕を組むように掴まれる京太郎
胸が当たる。豊満な
京太郎(ぐっ! なんてプレッシャー!)
美穂子「行ってらっしゃい」フリフリ
はやり「ぐぬぬ、余裕ぶってぇ……京ちゃん!」
京太郎「あーはいはい」
引っ張られるままについていく京太郎
トシ「やはりおっぱいか京ちゃん」
美穂子(おっぱい、京太郎はおっぱいが……な、なら私も……?)カァッ
トシ(おもしろいことになりそう……)
- 884 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/22(金) 18:44:42.59 ID:qjpGCQvk0
-
◆安価!
1、松実宥
2、高鴨穏乃
3、福路美穂子
4、瑞原はやり
5、東横桃子
6、竹井久
7、辻垣内智葉
8、ネリー・ヴィルサラーゼ
9、雀明華
10、清水谷竜華
11、江口セーラ
12、愛宕洋榎
13、臼沢塞
◇10分間で1↓から〜 コンマが一番高い選択肢
- 885 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/22(金) 18:48:37.16 ID:it2p9BYu0
- 5
- 886 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/22(金) 19:04:28.13 ID:qjpGCQvk0
- 5、東横桃子
基地からはやりと出ようとガレージに入ると、ケータイに電話がかかってくる
はやりが先に車に入ってると指で合図するのでそれに頷く
京太郎「……モモ?」
スッ
京太郎「もしもし?」
桃子『あ、京さん』
京太郎「どした?」
桃子『京さんって、調査行きます?』
京太郎「ああ、雀荘に行く予定で」
桃子『えへへ、それじゃこれから私と合流してー』
京太郎「ああ、人手が多い方がはやりさんも助かるだろうし」
桃子『はやりんも一緒っすか!?』
京太郎「お、おう」
桃子『危うく二人きりになるとこでしたね! はやりんと!』
やけに焦ったように言う声に、京太郎は小首をかしげた
言わんとしていることの意味が理解できない
京太郎「危うくって……はやりさんとなら安心だろ?」
桃子『逆に危ない! そういうとこ!』
京太郎「……もしかしてはやりさん、宇宙人が化けてたり?」
桃子『そーいうことじゃなくって!』
京太郎「えーどういうこと?」
桃子『こっちの台詞っすよ……』
- 887 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/22(金) 19:15:49.84 ID:qjpGCQvk0
-
京太郎「まぁともかく、合流するならあとでポイント送るから」
桃子『お願いします!』
やけに迫真、むしろ桃子が偽物の可能性まで考えてしまう
まぁ言葉の熱的にそれはないのだろうが……
京太郎「大丈夫か?」
桃子『むしろそれでよく今までなにもなかったすね』
京太郎「なにが?」
桃子『いいえなんでもー! このモモがすぐに行くんで先走んないでくださいっす!』
京太郎「わかってるよ、打たずに待ってる」
桃子『はい! あ、それと京さん』
京太郎「ん?」
ケータイの向こうで、桃子の息を飲む音が聞こえた
桃子『こ、今度はちゃんと二人でお出かけ、っすからね?』
京太郎「お、おう……」
桃子『そ、それじゃあまたあとで!』
それだけ言うと、桃子が通話を切った
京太郎はケータイをポケットにしまって腕時計側の端末を開く
目的地に目星をつける
京太郎「なんなんだ、モテ期きたか俺」カァッ
- 888 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/22(金) 19:30:28.20 ID:qjpGCQvk0
-
◆安価!
1、松実宥
2、高鴨穏乃
3、福路美穂子
4、瑞原はやり
×、東横桃子
6、竹井久
7、辻垣内智葉
8、ネリー・ヴィルサラーゼ
9、雀明華
10、清水谷竜華
11、江口セーラ
12、愛宕洋榎
13、臼沢塞
14、佐藤裕子
◇10分間で1↓から〜 コンマが一番高い選択肢
- 889 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/22(金) 19:39:28.24 ID:it2p9BYu0
- 連投してもいいかな?
1
- 890 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/22(金) 20:18:51.21 ID:1WNEuAa/0
- (>>889 人おらんし大丈夫ですよー
1、松実宥
車を降りて、雀荘の近くで桃子を待つ京太郎とはやり
合流の話をした時になにか言っていたがもうすっかり普通になっている
時計を見るがまだ十分かかりそうだ
京太郎「……」
はやり「ちょっとそこのコンビニ行ってくるね」
京太郎「うっす」
そのままはやりが去って行く
1人で待つことになってしまったと、どうしたものかとケータイを出すと丁度電話がかかってくる
名前を見てすぐに通話に出た
京太郎「もしもし」
?『あ、京太郎くん?』
京太郎「宥さん」フッ
宥『あ、ごめんね突然電話しちゃって』
京太郎「いえ、どうかしました?」
宥『ううん、その、ニュース見て』
京太郎「ニュースですか?」
少し心配そうなその声に京太郎は眉をひそめる
宥『ベリアルがその、長野で……』
京太郎「ああ、死んだとか言われてますね」
宥『……京太郎くん、いるかなって』
京太郎「なんでまた?」
宥『いつも同じところにいるでしょ?』クスッ
京太郎(ごもっともで)
- 891 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/22(金) 20:29:41.67 ID:1WNEuAa/0
-
宥『だから心配になって……被害も大きかったでしょ?』
たの戦った地域周辺は確かに、大きかった
だがこのあたりはそうでもない
京太郎「……でも平気です。人的被害は最小限におさえましたし」
宥『ちゃんと、京太郎くんは自分のことも考えないとダメだよ?』
京太郎「え?」
宥『大事な体、なんだから……』
その言葉に、フッと口元が綻ぶ
京太郎「はい」
宥『えへへ、いいこだねっ』
京太郎(うわぁぁぁぁ! 宥さんは俺の母親になってくれるかもしれない!)
京太郎「ぐっ、冷静になれ」フゥ
宥『どうしたの?』
京太郎「ああいえなんでも、また近々……」
宥『うん、待ってるからね』フフッ
京太郎「はい」
宥『いつでも、ね』クスッ
京太郎「……うっす」
- 892 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/22(金) 20:35:25.03 ID:1WNEuAa/0
-
通話を切って京太郎が欠伸をしながら背を伸ばす
そうすると、走ってくる桃子がはっきりと“視える”
そちらを見ていると、驚いたように首をかしげる桃子
桃子「なんで視えるんっすか」
京太郎「なんでもなにも……」
桃子「もしかして運命!!?」
京太郎「んなことない」
桃子「えー」
ゆみ「相変わらず仲がいいな」フッ
京太郎「ゆみさんも一緒でしたか、そりゃそうかセットだし」
ゆみ「まぁな」
桃子「えへへー」
クールに笑うゆみと、嬉しそうに笑う桃子
そうしていると右腕に重さを感じる
はやり「じゃあはやりと京ちゃんはセットだネ☆」
京太郎「そうっすか?」シレッ
はやり「冷たー」
ゆみ「さ、それでこの雀荘になにか?」
京太郎「ああいや、一局付き合っていただけます?」
ゆみ「ほう……もちろん」フッ
桃子「どんとこいっす!」ニコッ
はやり「お見せしようかな、牌のお姉さんの実力を!」
京太郎「あはは……お手柔らかに」
- 893 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/22(金) 20:41:49.22 ID:1WNEuAa/0
-
今回はここまでー次は明日やるっすー
次回はなにか出てくるかなーって感じで
あと安価なんだけども
救出済みのキャラで追加してほしいキャラとかいたら書いといていただければ追加しますー
そんじゃまたー
- 894 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/22(金) 22:13:52.88 ID:Y63D8CEm0
- そういえばシノさんおらんね
おじさんいるドイツに帰った?
- 895 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/23(土) 01:38:45.62 ID:rX0qKkbHo
- 乙ー
- 896 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/23(土) 01:50:55.64 ID:dsxu4H1D0
- 乙
やっぱ始まりだったしかおりん欲しいな
みんなヒロイン力高くていいな!
- 897 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/23(土) 02:25:17.79 ID:+Ea7XDdo0
- 乙です
ハギヨシさんはどうしてるんやろ?
あの人なら人型宇宙人倒せそう
- 898 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/23(土) 09:42:50.87 ID:M4KLh2PG0
- 追加かー…直近なら透華かな。泉もいいな
- 899 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/23(土) 23:09:44.73 ID:7eTTaUkc0
- おっしやってくよー
今回でこの話は終わらせたいとこー
>>894
慕はまた後々にって感じになるっすー
調査員的な設定が生きる!
>>894
かおりんオッケーっす!
>>897
なんやかんや、出てくるのいつになるかなぁ
>>898
透華と泉了解っすー
- 900 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/23(土) 23:24:04.61 ID:7eTTaUkc0
-
雀荘にて座るのは京太郎、はやり、桃子、ゆみの四人
全国レベルの雀士と言えど、学生が二人なのだからとはやりは少しばかり手を抜こうとする
だが、突如妙な雰囲気を感じた
はやり(これは、京ちゃん……?)
桃子(これは……っ?)
ゆみ(なんだ、二人の表情が変わった……?)
スゥッ、と息をつく京太郎
静かに、そっと目の前にせり上がってきた雀牌に触れる
失ったはずの何かが、戻ってくるような妙な感覚
京太郎「これは……いや、そういうわけではないか」
はやり(ベリアルが抜けたのに、深い闇を感じる……?)
京太郎「さて、やりますか……胸をお借りしますよ」フッ
はやり「はやりのおっぱいは京ちゃんのものだゾ☆」
桃子「なぁっ!?」
京太郎(マジで?)
京太郎「マジで?」
はやり「責任とってネ☆」
京太郎「さて、麻雀やりましょうか」
はやり「はやぁっ!?」
桃子「高1には重いっすよ」フフッ
ゆみ(なぜに得意気?)
- 901 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/23(土) 23:35:37.77 ID:7eTTaUkc0
-
そして―――
京太郎「ふぃ〜」
はやり「はぁ〜」
大きく息をついて背を背もたれに預ける京太郎とはやりの二人
桃子とゆみの二人はというと、疲れた表情を浮かべている
ゆみ「京太郎、こんなに強かったのか?」
京太郎「あ〜いや」
桃子「前やった時よりはマシっすよ」
ゆみ「そうなのか? それで県予選敗退?」
京太郎「強くなったんですよ。それなりに修行したので」
記憶にあるのは確かにした闘牌である
もう一つ同時間軸には、精神世界でベリアルと共に戦った記憶もあった
修行と言っていいのかは微妙だが、自ら得た力ということに間違いはない。間違いなどと言わせない
京太郎「……これで、ちょっと確認したいことも終わりました」
ベリアルがいなくても、どの程度麻雀ができるか……
はやりと同レベルでやれるということは、麻雀で雀士を解放することもできるということだ
京太郎「さて、出ますか」
ゆみ「ああ……今度、私の修行に付き合ってもらおうか」フッ
京太郎「俺の修行のためにも、是非」ニッ
- 902 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/23(土) 23:47:13.75 ID:7eTTaUkc0
-
外に出る四人
ともかく、やるべきことは決まった
戦い方もおおよそは固まってきた
京太郎(ともなれば、今やるべきことは……)
桃子「……」ジー
京太郎「ん?」
桃子「なんでもないっす」フフッ
京太郎(何この子かわいい、好きになっちゃうよ?)
自らを覗き込んで笑う桃子……その胸は豊満である
京太郎の弱点である
京太郎「ふむ……」
はやり「もう京ちゃんったら、わかるよ?」
京太郎「え、なにが!?」
明らかな動揺
はやり「……はやりをお嫁さんにした時のこと考えてたんでしょ?」フフフ
京太郎「なんか変なメダルでも入ってますか?」
はやり「なんで!?」
ゆみ「瑞原さん……」
はやり「そんな目で私を見ないで!」
- 903 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/24(日) 00:00:21.53 ID:kosH5Exs0
-
車までの道を歩いていると、突如四人の腕に付けている端末が鳴る
同時に手首の端末を開く
そこに映るのは佐藤裕子
京太郎「なにが!」
裕子『異常な反応です!』
京太郎「っ……敵ですか!?」
裕子『雀荘とかじゃない。もうメダルの力は溜まってたのか、溜めたのか……とりあえずエネルギーの波長がどんどんとっ』
その言葉を言い終える前に、轟音が響き地が揺れる
驚きながらも両足をしっかりと地につけて耐える京太郎
ふらつく桃子を支える
京太郎「っと!」ガシッ
桃子「ひゃっ!?」カァッ
京太郎「大丈夫か?」
桃子「は、はぃっ……」
はやり「わー倒れそう!」フラフラ
ゆみ「おっと大丈夫ですか?」スッ
はやり「違うよ!」
ゆみ「?」
くわっと表情を変えるはやりに、首をかしげるゆみ
京太郎「ふざけてないで!」
はやり「ふざけてないよ!」
京太郎「あ、え、いや……あれを見ろ!」
はやり「っ!?」
ゆみ「あれは!」
- 904 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/24(日) 00:17:53.85 ID:kosH5Exs0
-
離れた場所、ビルの間の道
そこを通る―――
京太郎「背びれ?」
はやり「さ、サメだ!?」
京太郎「サメって!」
だが確かに背びれが通っていた
さらに、再び視界に映る背びれ……道を泳ぐ、サメ
京太郎「このアスファルトを泳ぐサメだぁ!?」
桃子「よくあることっす!」
ゆみ「どういうことだ、まるで意味がわからんぞ!?」
桃子「相手はサメっすよ!?」
わけがわからないが、そういうことなのだろう
はやり「どどど、どうしようこっち来てるよ!?」
京太郎「……やります!」
そう言うと、バトルナイザーを取り出す
理解はしている
だがやるのは初めてだ
京太郎(俺にベリアルさんの力が僅かでも残ってるのだとしたら……!)
「―――!!」
背びれだけの姿だったサメがその顔を地上へと出す
地中鮫ゲオザークが咆哮を上げる
京太郎「ッ!」
- 905 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/24(日) 00:44:07.60 ID:kosH5Exs0
-
掲げたバトルナイザーが輝きだす
“本来のバトルナイザー”とはまた違ったモノ
だがその能力に遜色はない
京太郎「いけ、バギラ!」
光と共に、現れるのは怪獣―――裂刀怪獣バギラ
京太郎「……でき、た?」
現れた怪獣バギラが咆哮をあげる
京太郎は顔を引き締めて、そのバトルナイザーに力を込めた
バギラは全身につけた鋭いナイフを輝かせながら、腕を振るう
バギラ「!」
放たれた剣閃がゲオザークを撃つ
怯むゲオザークだが即座に地中にもぐり背びれをみせたままバギラの方へと突っ込む
勝手がわからないながらも、回避のためにバギラを移動させようとするが、背びれでの攻撃を受けてバギラが怯む
京太郎「っ!」
痛みが僅かに伝わり顔をしかめる
それは“通常のバトルナイザーであれば本来起きないこと”であった
京太郎「ぐっ、でも!」
はやり「京ちゃんっ」
京太郎「いいから早く撤退して!」
はやり「でもっ」
桃子「っ……」
ゆみ「行くぞ瑞原さん! モモ!」
二人の手を掴んで走り出すゆみ
そちらに視線を向けて、京太郎は笑みを浮かべて頷く
視線をそちらへ向けたゆみが、苦虫をかみつぶしたような表情で頷いて走る
- 906 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/24(日) 01:03:53.88 ID:kosH5Exs0
-
バギラが徐々に押されていく
その度に、京太郎の体には負荷と痛みが増していく
膝をつく京太郎が、悪態をつく
京太郎「っ……慣らし運転もしないで使うからかっ」
バギラ「!」
ゲオザークが地上から飛びだす
それがバギラを吹き飛ばす直前で、京太郎はバトルナイザーにバギラを戻す
京太郎「セーフっ」
ゲオザーク「!」
だが次に地上にいるゲオザークの視線が向く先は―――
京太郎「俺かっ」
だがその瞬間、京太郎の前に立ち上る光
そして、現れたウルトラマンティガが、ゲオザークを受け止めた
ティガ「タァッ!」
パワータイプに変わったティガがそのままゲオザークを投げ飛ばす
京太郎「っ、美穂子か!」
ティガ「!」
膝を突く京太郎の方へと視線を向けるティガ
頷く京太郎にティガは同じく頷いて、ゲオザークに構えを撮った
ティガが光弾を放つが、ゲオザークはそのまま地中へと潜航する
京太郎「っ」
ティガ「!」
- 907 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/24(日) 01:15:45.55 ID:kosH5Exs0
-
周囲を見回すティガの背後から、ゲオザークが突っ込む
その勢いのまま、ティガが背中からゲオザークの突撃を受けて吹き飛ぶ
ティガ「グァッ!」
倒れたティガ
ゲオザークはそのまま再び潜航する
立ち上がるティガのカラータイマーが鳴る
京太郎(まだ回復しきってないのか……?)
再び、ゲオザークが飛びだす
もちろん背後からであり、ティガは振り向くと同時にゲオザークを受け止める
だがその尖った鼻先から光線が放たれる
ティガ「グッ!」
京太郎「ッ、もう一回、行けるか?」
もう一度バトルナイザーを握りしめる
ティガ「!」
だが、ティガは光線に耐えながらもゲオザークを振り回して空に飛ばす
吹き飛んでいくゲオザークに、ティガが両腕を構える
ティガ「タァッ!」
―――デラシウム光流
放たれた一撃が空中のゲオザークに直撃し、爆散させる
ティガが光と共に消え去った
京太郎「ッ!」
光と共に、目の前に降り立つのは福路美穂子
立ったまま現れるも、すぐに膝から崩れ落ちる
ハッとして京太郎は美穂子を受け止めた
京太郎「ぐっ!」
美穂子を受け止めつつ、そっと地面に座る京太郎と美穂子
美穂子「ご、ごめんねっ……」ハァハァ
京太郎「無理、しないでくださいよ……っ」
美穂子「お互いさま、でしょ?」フフッ
京太郎「まぁ」フッ
- 908 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/24(日) 01:26:43.30 ID:kosH5Exs0
-
そう言って笑う二人
だが、再び轟音が響く
京太郎「!?」
美穂子「そ、んなっ」
視線の先に現れるのは―――ゴルザ
京太郎「なっ」
美穂子「でも、少し違う……」
その怪獣はファイヤーゴルザ
赤い体を持つそのゴルザは、角から光線を放った
京太郎が美穂子を抱えて走り出すも、その光線が二人が元いた場所にぶつかった衝撃から逃れることもできない
京太郎「っ!」
美穂子「京太郎ぉっ」
吹き飛んだ二人
地上を転がるが、止まった
しっかりと目を見開いて確認すれば、周囲に砂埃が巻き起こっている
建造物の残骸が周囲に散らばっていた
京太郎「ぐっ」
美穂子は近くに倒れていた
京太郎「俺はっ、俺にはっ」
うつぶせのまま、京太郎は美穂子から視線を動かした
吹き飛んだ時に落としたメダルやゼットライザー
京太郎「ぐっ……」
美穂子「京太郎っ……」
京太郎「っ」
近くに落ちているメダルを取る
それは―――
京太郎「レイブラッド星人……っ」
- 909 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/24(日) 01:39:35.71 ID:kosH5Exs0
-
右掌にあるそのメダル
青い宇宙人を視界に入れて、顔をしかめた
ベリアルを利用し、ベリアルが利用した究極生命体
京太郎「……」
そのメダルを握りしめて、京太郎は力を振り絞りつつ立ち上がろうとする
視界の先にいるのはファイヤーゴルザ
一歩一歩近づいてくる姿を視えた
京太郎「ッ!」
その赤い瞳が輝く
京太郎「俺は……オレは、戦いたい!」
自らの欲望のために、戦う……
誰を、誰かを守りたいという欲望
京太郎「オレはァッ!!」
その京太郎の胸からあふれ出した闇
美穂子「あ、れはっ……」
闇は京太郎の握りしめた右手へと集まる
その赤い瞳、京太郎の左手にひとりでに舞い戻るゼットライザー
京太郎「面子は、揃った……!」
- 910 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/24(日) 01:43:27.98 ID:kosH5Exs0
-
ファイヤーゴルザの跡地を走るのは、はやり
ゆみからの手を振り払いやってきたが、足に当たったそれを見て眼を見開く
そっと腰を下ろしてそれを撮った
はやり「バトルナイザー……?」
そことは離れた場所、砂煙だけではない
周囲には何かが焦げたようなにおいと共に黒煙もあがっている
立っているのは―――竹井久
久「なんで……なんでッ、なんであなたが光なのよっ!」
視界の先に小さく映るのは美穂子と京太郎
歩く京太郎、そんな彼が纏っているのは―――闇
久「あれは、闇……?」
- 911 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/24(日) 01:48:23.41 ID:kosH5Exs0
-
歩く京太郎が、トリガーを引く
それと共に真上に現れるゲート
京太郎「オレは、オレたちでもっと……!」
真下に落ちたゲートが京太郎を消し去る
残された美穂子が、顔をしかめた
そこに現れる人影
美穂子「っ熊倉さん……!」
トシ「いけ京ちゃんッ!」
- 912 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/24(日) 02:03:19.37 ID:kosH5Exs0
-
―――【インナースペース】
京太郎「もっと、もっとだ!」
赤い瞳を爛々と輝かせる京太郎
左手のゼットライザーにひとりでに挿入されるアクセスカード
『キョウタロウ・アクセスグランテッド』
京太郎「もっとオレ達で……戦いたいんだ!」
右手を開くと、レイブラッド星人メダルが赤い雷と共に変わる
それは―――ベリアル
京太郎「ベリアルさんっ!」
取り出したのはさらに二枚のメダル
京太郎「ゴモラ、レッドキング」
ブレードに、三枚のメダルを差し込む
『Belial』『GOMORA』『RED KING』
京太郎「これでオーラスだ!」
そして、トリガーが引かれる
『Skull Gomora』
深い闇の力が増幅していく
だがそれは京太郎にとって別れてからそれほど経ってないにも関わらず懐かしさを感じさせる
眼を見開き、咆哮した
京太郎「闇よォォォッッ!!」
そして―――ベリアル融合獣、スカルゴモラが顕現する
- 913 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/24(日) 02:05:24.65 ID:kosH5Exs0
-
第20話【闇-ダークネス-】
- 914 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/24(日) 02:19:36.32 ID:yqrFy0Jd0
-
てことで今回はここまでー
また明日かもー
ようやくベリアル融合獣
今後はこんな感じでなんやかんや
次回こそは終わるかなーそんじゃまたー
- 915 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/24(日) 08:51:47.21 ID:qKb1mHusO
- おつ
京ちゃんとキャップ、もうお互いを名前で呼び捨てにできる仲なんやね
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