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【咲-saki-】京太郎「ウルトラマンの力」咲「光よ!」

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769 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/13(水) 03:12:40.60 ID:7AUgda+N0
この始まりの感じ……トシさんや葵が主要メンツに来る……もしやスパロボとかデジモンとかライダーの方?
770 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/13(水) 13:29:00.86 ID:9f8BA+On0
>>768
葵はトシさんが見てたメダル的にダークネス系統っぽい
771 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/13(水) 22:53:31.16 ID:OQUs+arm0
やってくよーん
徐々に進んできたー!

>>767
実はもうちょい早めにくるとヤメタランスだったりしたりー

>>769
酉間違って出しちゃってるし白状するとせやで!
772 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/13(水) 23:00:18.99 ID:OQUs+arm0


―――【熊倉家】


あれから二日、特に何事もなく

10月も半ばにさしかかり、スーツ姿もすっかり悪くない環境となってきた

それでも今は―――


ジャラジャラジャラ

京太郎「なぜに麻雀?」

葵「だって情報ないし……」

トシ「当てもなく歩くにはねぇ」


その言葉に、頷く葵


京太郎「小瀬川さんを早く見つけたいんじゃないんっすかぁ?」

葵「そうだけど!?」

京太郎「うおっ、圧が強い」

トシ「グラビティレズ」

京太郎「あ、そういう」

葵「ちげぇから!」


なんだかんだ、基地にいるよりもトシの家にいるほうが長くなっている

情報があれば端末に送られるし、そうでなければなにもない

京太郎は手慣れた仕草で雀牌を並べていく


葵「まぁなにはともあれ」

トシ「やろうか」

京太郎(なら一旦、ほかの場所に行くのが良いかもなぁ)


こうしているのは楽しい、だが……

773 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/13(水) 23:09:20.47 ID:OQUs+arm0


―――少しして


べリアル『おい小僧!』

京太郎「!?」


南三局の三本場、開始直後に声が聞こえた

ハッとする京太郎の手元の牌が倒れる


葵「うわチョンボ……てか国士聴牌ってるし」

トシ「三麻だし多少はね」

京太郎「ってそれどころじゃ!」

葵「え、あ! べリアル……さん?」

べリアル『わかってる女だな』

京太郎「そうじゃなくて!」

べリアル『っと、妙な気配がしやがる』

京太郎「妙な気配?」

べリアル『ああ……!』


立ち上がった京太郎

それに次いで、トシと葵も立ち上がる

べリアルが京太郎だと知っていることもあり、二人とも行動が早い


京太郎「次は……」

トシ「シロか豊音だろうね」

京太郎「ウィッシュアートさんの可能性は?」

トシ「あの子はこの事件が起きる前に一旦、ニュージーランドに帰ってる」
774 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/13(水) 23:18:02.82 ID:n4LTJIQp0


京太郎「え、そうなんっすか?」

トシ「ああ、だから次は……」

葵「小瀬川さんか姉帯さん……!」


気合の入った様子の葵

頷いた京太郎が玄関に向かって歩き出す

ほか二人ももちろん一緒だ


京太郎『べリアルさん、位置は?』

べリアル『わりと近ぇぞ……』

京太郎『……なんでまた』

べリアル『罠かもな、あっちにはメフィラスにテンペラー星人もいる』

京太郎『狡猾なんですか?』

べリアル『姑息で狡猾だ』


そりゃ厄介だと、京太郎は顔をしかめつつも車に乗り込む

運転席に乗った葵と後部座席に乗るトシ

すぐにギアを変えて葵がスーツの内側からしっかりとガッツハイパーに視線を送った


京太郎「撃たなくていい」

葵「え」

京太郎「そういう罪は俺が背負う」


そんな言葉に、葵はふっと笑ってアクセルを踏む


べリアル『かっこつけてんじゃねぇよ』

京太郎『いいじゃないっすかカッコつけたくなる年頃なんっすよ』


バックミラーに視線を向けると、トシが温かく笑っているのが見えた


京太郎『……男なら誰かのために強くなるんですよ』

べリアル『クハハハッ!』

775 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/13(水) 23:20:47.34 ID:n4LTJIQp0


    第18話【絶えぬ執念】

776 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/13(水) 23:32:38.81 ID:n4LTJIQp0


京太郎がべリアルのナビの元、葵をナビする

二度手間的な行為ではあるがいたしかたないだろう

場所はやはり―――雀荘


京太郎「位置は動いてます?」

べリアル『いいや、待ってんじゃねぇか?』


駐車場に車を停めて、三人が降りる

ガッツハイパーを持つ京太郎が、サングラスを外してポケットに入れた

暗い雀荘―――東京の時を思い出す


京太郎『どうっすか?』

べリアル『気配が強いな……』


やはりデビルスプリンターかメダルの力を感じているのだろう

しゃがんだまま、静かに息を吐く


京太郎「……いきます」

葵「了解……!」


トシは後ろで立っているが、頷く

扉を蹴破ってから突入―――しない

開いている扉には、なにもない


京太郎「……」

葵「肝冷やすわぁ」


呟くように言ってから今度こそ突入

転がるように侵入した京太郎が素早くガッツハイパーを構える

そしてそんな彼の背後から葵も銃を構えていた
777 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/13(水) 23:40:16.31 ID:n4LTJIQp0

京太郎「……誰も?」

葵「須賀っ!」

べリアル『小僧ォ!』

京太郎「っ」


殺気を感じて、前に転がる

先までいた場所に―――ナイフが突き刺さった


京太郎「ゾッとした……」


そう言いながら、ナイフが飛んできた方向を見る

そこには―――


葵「っ……小瀬川さんっ」

京太郎「小瀬川白望!?」


白い髪の少女、小瀬川白望がいた

その瞳は虚ろであり、メダルの力で動いているのだと理解できる

だが妙な感覚、それは通常とはまた違う


京太郎(いや、覚えはある……これは)

トシ「操られてる。思考誘導とかその類じゃぁないね」

京太郎「ゆみさんの……エースキラーの時と同じ!」

白望「……」


なにを言うでもなく、白望はいた

右手にハンマー、左手に鎌を持っている

やけに物騒な武装をした小瀬川白望に、京太郎は銃口を向けた


京太郎「ダルそうなイメージなんっすけどね……」

葵「小瀬川さんが、そんな感じなわけない!」


そう叫びながらも、宇夫方葵が構えるガッツハイパーの銃口は震えている

表情一つ変えることなく、小瀬川白望は口を開く


白望「見つけたぞべリアル……エースキラーを倒したぐらいで調子に乗るなよ」

葵「っ!?」

京太郎「コイツっ!」

べリアル『ヤプールか!』

京太郎「ヤプール?」

白望「貴様がいまだ弱いこともわかっているのだ」

京太郎「っ……!」

葵「小瀬川さんの口でべらべらとっ!」
778 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/14(木) 00:09:35.65 ID:gii0zsIM0


それでも、銃口は震えていた

小瀬川白望に向けられるわけがない

憧れていた、その場所にいるべき一人―――


葵「くっそ!」

白望「……ハッ、なんだ小娘」

葵「小瀬川さんの顔で、声でクソみたいな台詞喋んなよっ!」


歯を食いしばって、しっかりと銃口を小瀬川白望に向けた


葵「解釈違いにも程があんだよっ!」

白望「……!」


迷った末に引かれたトリガー

放たれた弾丸は、小瀬川白望に当たることもない

飛び上がって空中へと回避する小瀬川白望に京太郎が銃口を向ける


京太郎「こいつでッ!」

ベリアル『まだいるぞ!』

京太郎「!?」


さらなる殺気に、京太郎が後ろへと跳ぶ

京太郎が元いた場所に火球がぶつかる

爆散する火球、炎の向こうに着地するのは―――小瀬川白望


京太郎「外したっ」

葵「なにあいつっ!」

トシ「そうきたか……」

京太郎「!」バッ


火球が放たれた方向、そちらにいたのは―――宇宙人


京太郎「何者っすか!」

ベリアル『今度はデスレ星雲人か!』


そこにいたのは黒い体に白い骨のようなものを纏った宇宙人

左手は扇型で右手に比べて大きい

そんなデスレ星雲人は、さらに顔部分から火球を放つ


京太郎「っ!」

葵「須賀っ!」


素早く転がって回避すると、出口付近の葵の隣に立つ
779 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/14(木) 00:31:54.28 ID:gii0zsIM0


ガッツハイパーを小瀬川白望に向ける京太郎

葵はというと、デスレ星雲人に向けている

二人が同時にトリガーを引く


デスレ星雲人「しゃらくさい!」

白望「この私にそのような攻撃」


再び跳ねて、小瀬川白望は回避

迫る銃弾をデスレ星雲人は左腕で弾く


京太郎「こいつっ!」

デスレ星雲人「一時撤退するぞヤプール!」

白望「私に指示するな!」

葵「返せよォ!」


さらに放たれた弾丸を、デスレ星雲人は弾き、手を向ける

京太郎が素早くポケットから出したカートリッジを弾く


デスレ星雲人「消えろ!」

葵「っ!?」


放たれた火球、京太郎が近くにあった椅子を勢いよく蹴る

少しでも衝撃を消せるようにと素早くだ

さらに、先ほど弾いたカートリッジを素早くガッツハイパーに装填すると、トリガーを引く


京太郎「っ!」


放たれた弾丸が目の前で小さなバリアを形成する


京太郎「葵っ!」

葵「っ!?」


素早く身を翻し、葵を抱いて背をバリアの方に向けた

火球が爆散してバリアが砕ける

その衝撃を受けて、吹き飛ぶ京太郎
780 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/14(木) 00:47:31.20 ID:7Uf3K40z0


雀荘の外に、葵を抱えたまま転がり出る京太郎

京太郎の腕の中から出た葵が、京太郎の上体をそっと起こす

怪我をしているようで、痛みに顔をしかめながら眼を開く


京太郎「っそが!」

ベリアル『おい小僧、あいつらの気配が消えた!』

京太郎「っ……そりゃ、なによりでっ」

トシ「京ちゃん……」


傍に寄るトシが、京太郎の胸に手を当てる

息をつくと頷いた


トシ「早く基地に運ぶよ」

葵「あっ、はい……ご、ごめん須賀っ」

京太郎「いや、謝ることなんて……痛っ」

葵「須賀、肩貸すからっ」


そう言いながら、葵の肩に腕を回してなんとか起き上がる


京太郎(アイツ、ヤプール……潰すッ!)

781 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/14(木) 01:07:34.37 ID:tuUDOuhC0


―――【特異課岩手基地:休憩所】


ベンチに座って京太郎は静かに、息をつく

顔にガーゼをつけて、頭には包帯を巻いていた

さらに左手は首からかけた包帯で吊るしている


京太郎「……軽傷かな」

塞「重傷でしょ」


隣に座っていた臼沢塞にそう言われて、苦笑する


京太郎「……ですよね」

塞「どうしたの、また……戦い?」

京太郎「階段から落ちて……って言えば信じます?」

塞「信じないけど」


その言葉い、笑う京太郎

そりゃそうだろうと頷くと素早く自分の右手を見る

別に問題なさそうな右手……


京太郎「どうすっかなぁ」

塞「なにが?」

京太郎「ああいや……」


塞は、京太郎がベリアルだということをわかっていない

京太郎と葵が助けようとしたことは憶えているが、そこ以外は曖昧

小首をかしげる塞が、そっと京太郎の顔を覗き込む


京太郎「聞いてます?」

塞「……葵に聞いた。シロでしょ?」

京太郎「はい」コクリ
782 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/14(木) 01:36:55.35 ID:ir9ZAa5S0


その言葉に、塞が苦々しい表情を浮かべた

やはり仲間が敵に回るというのはそういうものなのだろう

いつだって……


京太郎「大丈夫っす、なんとかしますよ」

塞「葵じゃ無理なのに?」

京太郎「だからこその俺でしょ。俺が撃つ……それに」

塞「それに?」


息をついてコーヒーを一口

喉を鳴らして苦味を飲み込むと、口元を綻ばす


京太郎「葵さんにとっての夢らしいですよ」

塞「ゆ、め?」

京太郎「はい、臼沢さんたちがいた場所を取り戻すことが、それを見ていることが」

塞「……そこは一緒にとかで良いのに」フフッ

京太郎「それができる人じゃないっすから」

塞「確かに……シロコンだし」


言いえて妙である


京太郎「ま、なんとかしますよ」

塞「そのさ」

京太郎「?」

塞「いざとなったら、撃ちなよ?」


そんな言葉に、眼を見開く


塞「あっちは、殺しに来るんでしょ?」

京太郎「まぁ、異次元人らしいですし中身」

塞「だから撃ちな」

京太郎「……」

塞「須賀君が死んだらきっと一生後悔する。私も葵も」


死ぬ気なんてない。だが……


京太郎「……それで、シロさんが戻ったら?」

塞「シロが戻ったらきっとシロが苦しむ」

京太郎「わかりました」フッ


歩いていく京太郎、その背中に塞は口を開いた


塞「死んだら、一生許さないからっ!」


無事な右手をあげ応えつつ、京太郎は歩いている

783 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/14(木) 01:40:33.06 ID:ir9ZAa5S0

◆安価!

1、松実宥
2、高鴨穏乃
3、福路美穂子
4、瑞原はやり
5、東横桃子
6、竹井久
7、辻垣内智葉
8、ネリー・ヴィルサラーゼ
9、雀明華
10、清水谷竜華
11、江口セーラ
12、愛宕洋榎
13、宇夫方葵

◇10分間で1↓から〜 コンマが一番高い選択肢
784 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/14(木) 01:41:29.09 ID:9FrokIqZ0
10
785 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/14(木) 01:42:15.71 ID:bYgsVLZC0
4
786 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/14(木) 01:43:34.44 ID:5uzCJ6g20
13
787 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/14(木) 01:46:32.71 ID:eMTmm9VJO
7
788 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/14(木) 01:53:08.12 ID:bYgsVLZC0
どうなんだこれw
789 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/14(木) 02:10:18.02 ID:XlcxgabG0
(まさかの同数……両方やっちゃうよー


4、瑞原はやり



歩いていた京太郎のポケットのケータイが鳴る

小首をかしげながら、右手でポケットからケータイを取る

画面に表示される名前


京太郎「はやりさん……」ピッ

はやり『あ、もっし〜君の愛しの牌のおねーさん、はやりんだよ☆』

京太郎「……」

はやり『あれ、聞こえない?』


その言葉に、京太郎は息をつく


京太郎「はいはい、聞こえてますよ愛しのおねーさん」

はやり『はやっ!? なに恥ずかしいこと言ってるの!?』

京太郎「あんたが言ったんでしょうが」

はやり『まったくもぉ、はやりんはみんなのアイドルなんだから、ダメだよ?』


どこか上ずったようなはやりの声が聞こえる


京太郎「ところで、なんの用で?」

はやり『えー用がないと電話しちゃだめー?』

京太郎「まぁ俺も久しぶりに声聞きたかったし良いけど」

はやり『はやっ!?』

京太郎「声でかっ」キーン

はやり『すぐそーやってぇ!』

京太郎「そうやって、ってなんっすか?」

はやり『なな、なんでもないけどぉ!』

790 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/14(木) 02:20:02.28 ID:XlcxgabG0


なんだか妙だと、京太郎は眉をひそめる

立ち止まって壁を背に、口を開く


京太郎「……え、なんかありました?」

はやり『……なんかあったと言えばあったけど』

京太郎「異変っすか?」

はやり『いやそうじゃなくって……もー』


その言葉に京太郎は小首をかしげる

察して系は苦手である

そういう鈍感さで咲に怒られた記憶もある


はやり『もーなに言おうとしたか忘れちゃったぁ』

京太郎「俺もわかんないっすよ」

はやり『……まぁなにはともあれ、あまり無理しないでよ?』

京太郎「……それは無理っすよ」フッ


そう言う京太郎の怪我を、はやりは知らないだろう

無理も無茶もしないわけにはいかない

前とは違う。使命感等でもない。ただ純粋に自分の望みのためだ


京太郎「ありがと、はやりさん」

はやり『うん、また会いにきてね?』

京太郎「近いうちに、必ず……」
791 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/14(木) 02:38:59.14 ID:XlcxgabG0
7、辻垣内智葉



はやりとの会話が終わって電話を切る

その瞬間、電話が再び鳴った

驚きながらも通話ボタンを押す


京太郎「……智葉さん?」

智葉『あ、京太郎か』ホッ

京太郎「どうしたんっすか……てかタイミング良いっすね」

智葉『かけたの七回目だし』

京太郎「あ、へ……ふ、ふぅん」


少しばかり眉がピクピクと動く


智葉『い、いや友達を心配してだぞ!』

京太郎「わ、わかってますよ」

智葉『わかってなさそう!』

京太郎「心配かけてますからね、はい」

智葉『本当に、わかってるか?』

京太郎「もちろん」フッ


そんな言葉に、智葉はケータイの向こうでクスリ、と笑う


京太郎「そういえば、メガンダヴァンさんは?」

智葉『起きた、そういえば国広一は長野に帰った』

京太郎「え、はやりさんなにも言ってなかったなぁ」

智葉『はやり……瑞原はやりか』

京太郎「はい、世話になってるんで」フッ

智葉『その……』

京太郎「?」

智葉『瑞原はやりとはどういう関係だ?』

京太郎「えっ……あ、いや普通に仲間っすよ!? 普通に!」

智葉『怪しい……』

京太郎「怪しくないって!」
792 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/14(木) 02:46:27.27 ID:XlcxgabG0


京太郎「俺なんかがあの瑞原はやりと親密になれるわけないじゃないっすかぁ」

智葉『お前のような奴の言うことは信用しない』

京太郎「え〜そんな上等な男じゃないですってぇ」


そう言って笑う京太郎

ケータイの向こうの声は、少し震えるようだった


智葉『京太郎は……』

京太郎「?」

智葉『そ、それぐらい上等で……かっこいいと、思う』

京太郎「……ふぇっ!?」カァッ

智葉『い、以上! また異常があったら連絡する!』

京太郎「ちょ、智葉さ」プツッ


そしてケータイが消れた

少しばかり赤い顔の京太郎が、そのままケータイをぽっけに突っ込む

後頭部を掻きつつ、京太郎は息をつく


京太郎「……なんだよもぉ」

793 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/14(木) 02:49:44.59 ID:XlcxgabG0

今回はここまでー

次回はもう一回安価からー
その後に後編……

それからとうとう第二部も佳境にー

そんじゃまたー
794 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/14(木) 03:20:39.06 ID:3Yl1MXyC0
乙〜
795 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/14(木) 07:49:37.88 ID:eMTmm9VJO
796 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/14(木) 09:29:06.81 ID:Gl/FKLXM0
もし京太郎に「処女のアソコの毛ってお守りになるらしいっすよ」と冗談を言われたら
はやりんは恥じらう。ガイトさんはまとまった量を送ってくる。そんな感じだな
797 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/14(木) 12:56:28.15 ID:bYgsVLZC0

はやりんもガイトさんもかわいい
ちゃんと怪我したけど変身できるのか?
798 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/16(土) 00:12:01.33 ID:/bTiQ6WuO
乙です
べリアルとだいぶ仲いいな
他ともだが
799 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/16(土) 22:48:10.07 ID:erknlitE0
遅くなったけどやってく所存ー
次は誰や!
800 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/16(土) 22:55:12.89 ID:erknlitE0


◆安価!

1、松実宥
2、高鴨穏乃
3、福路美穂子
×、瑞原はやり
5、東横桃子
6、竹井久
×、辻垣内智葉
8、ネリー・ヴィルサラーゼ
9、雀明華
10、清水谷竜華
11、江口セーラ
12、愛宕洋榎
13、宇夫方葵

◇10分間で1↓から〜 コンマが一番高い選択肢

801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/16(土) 22:57:59.75 ID:h9nwppMP0
はじまったか
1
802 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/16(土) 23:05:51.24 ID:HgPFxrhy0
13
803 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/16(土) 23:26:09.23 ID:b8dC/Lv+0
8
804 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/16(土) 23:26:12.26 ID:B59WI06F0
1、松実宥


―――【熊倉家:京太郎の部屋】


静かに、息をつく京太郎

シャワーはなんとか浴びて晩御飯も食べ終えた

あとは再び、白望の情報を待つのみだ


京太郎「……」

ベリアル『黄昏てるんじゃねぇよ。そんな暇ありゃ歩け、んで戦え』

京太郎「そうできりゃ……てか鍛えるとかできるんっすか?」

ベリアル『お前が強くなりゃ良いだけだろ』

京太郎「シンプルっすね」

ベリアル『場合によっちゃ麻雀、とかだろ?』

京太郎「ああ、そういう戦いなら……」

ピリリリ

京太郎「ん?」


音を鳴らすケータイを取り出す

その画面に表示されるのは―――


京太郎「宥さんだ」

ベリアル『あの暑がり女か』

京太郎「可愛いじゃないっすか」


そう言いながら、通話ボタンを押す
805 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/16(土) 23:38:18.33 ID:B59WI06F0


京太郎「もしもし?」

宥『あ、京太郎くん?』

京太郎「はい、京太郎です」フッ


おっとりとしたその声に自然と、笑みが浮かぶ


宥『その、元気?』

京太郎「え、そりゃまぁ……」

宥『そのね、私ね……』

京太郎「ん?」

宥『……最近、寒がりになっちゃって』


京太郎(元々では?)

ベリアル(元々じゃねぇのか?)


京太郎「えっと……」

宥『い、いつもよりだよ?』

京太郎「どういう状況ですか」

宥『いま、こたつから出れなくて……ストーブも』

京太郎「本格的な冬になったらどうするんっすか」

宥『ど、どうしよぉ……』

京太郎「ん〜」ムムム

京太郎(でも、宥さんの縦セーターなら見て見たいかも)

宥『だから、その……』

京太郎「はい?」

宥『……ふ、不安だから早く、きて?』

京太郎(ああぁぁ!!!! 好きされるぅ! あぶねぇ!)
806 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/16(土) 23:57:55.30 ID:SH76M+3n0

京太郎「あぶねぇあぶねぇ」

宥『なにが?』

京太郎「ああいや、行きますよ……近いうちに」


そう言う、自分の感情がどうとかではない

穏乃や憧、玄や灼に近い彼女になにかあったということは、メダル関係かもしれない

もしくは異星人関係か……


京太郎「絶対」

宥『……うんっ、うれしぃ』エヘヘ


京太郎『やばぁい! 好きになっちゃう!』

ベリアル『うるせぇよ』


宥『ぜったい、きてね?』

京太郎「行きます。穏乃や晴絵さんたちにも会いたいし」

宥『……ぅん』

京太郎「?」

宥『帰ってくるときは、ぜったい連絡してね?』

京太郎「はい……ちゃんと」

宥『絶対、だからね?』


その念の押しように、小首をかしげる


京太郎「はい」フッ

宥『それじゃ、約束……』

京太郎「約束します」

宥『うん、じゃあ……待ってるね』

京太郎「……はい」コクリ


そう言うと京太郎は星空を見上げる

今、やるべきことは一つだ

だが、それでも次にやれることがあるならば……

807 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 00:20:28.23 ID:tLbuMdXB0


―――朝【街中】


その後ろには宇夫方葵と臼沢塞がいる

片手を頭に当てて立ち止まっている京太郎

そんな京太郎の顔を覗き込む葵


葵「なにその顔?」

京太郎「……」

葵「愛しの辻垣内さんとの電話でなにかあった〜?」ニヤリ

京太郎「は!? なんで知って! って愛しってなんっすか!?」

葵「おーおー動揺しちゃって」

京太郎「そーいうんじゃないですって、俺が頭抱えてたのは!」


その言葉の直前で、言い淀む

小首をかしげる葵と塞の二人に、京太郎は頭を抱える

溜息をついてから、京太郎は葵の方を向く


京太郎「塞さん、なんでいるんです?」

塞「えー仲間外れ?」

京太郎「なんでトシさんも許可だしてんですか」

塞「……二人だけじゃ気が気じゃないからね」

葵「私も!?」

塞「そ、葵は葵でシロのためなら無茶しちゃうしねぇ」

葵「こ、小瀬川さんのためだし!」

塞「……まぁそこに偽りはないだろうけど」ジト

葵「……レズじゃねぇわ!」

京太郎「はいはい」

葵「だからぁ!」

京太郎「行きますよ」

塞「りょーかい!」

葵「ちょっ!」
808 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 00:36:15.38 ID:SqLuZIrX0


そうして街中を歩いていると、ふと京太郎が立ち止まる

その後ろを歩いていた葵と塞も立ち止まり、京太郎の横から顔を出す


塞「っ」

葵「……」


動揺する塞、顔をしかめる葵

京太郎は眼を細めて目の前の相手を見据える

そこにいるのは―――


京太郎「……和」

和「お待たせしました」


―――原村和


京太郎「待ってねぇよ、今回限りはな」


そう言った京太郎の目の前に現れる原村和

横に立っているのは、小瀬川白望

後ろの二人は顔をしかめつつ、ガッツハイパーを持つ


京太郎「俺は撃てるぞ」


そう言って、ガッツハイパーを真っ直ぐ構えた

瞳に迷いはなく、素早くトリガーを引く

だがその弾丸は小瀬川白望が振るった鎌に弾かれる


京太郎「っ」

和「無駄ですよ」

白望「終わらせるぞ、ベリアル……!」


瞬間、黒く輝き白望の内からあふれ出す闇

そしてその背後に蠢くのはさらに深く憎悪と執念に満ちた闇だ

京太郎はガッツハイパーをしまうと、代わりにゼットライザーを持ちだす
809 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 00:51:19.84 ID:SqLuZIrX0


大きくなっていく闇を前に、葵は塞の腕を取る

引かれたことにより葵の傍に体を寄せる塞

だが、京太郎は―――


塞「ねぇなんで!」

葵「っ……」

塞「葵……?」


顔をしかめる葵に、首をかしげる塞

だが、京太郎は巨大な闇を前に立っている


葵「須賀ぁ!」

京太郎「?」


振り返る京太郎を相手に、葵が手を下から上に振るう

放り投げられたなにかを受け取った京太郎が、そっと手を開く

そこにあるのは……


京太郎「マスコット?」

葵「ガンバルクイナくん! お守り!」

京太郎「お守り?」

葵「あとで返してよ!」

京太郎「……りょーかいっす」


そう言う京太郎の返事を聞くと、頷く葵

二人が去って行く

ただ一人残った京太郎が見上げる闇が巨大になっていく

810 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 01:03:58.53 ID:SqLuZIrX0

―――【特異課岩手基地:作戦室】


一人残っている熊倉トシ

その隣に座っているのは―――鹿倉胡桃

インカムをつけたままキーボードを叩く


トシ「……」

胡桃「塞と葵、撤退済み……あと須賀も」

トシ「そうか、あの闇は?」

胡桃「ちょっと待って」


そう言うと、素早くキーボードを叩く

映像の闇が個体となって形を形成していくのが見える

横にはそのデータなどが表示されていく


胡桃「これ……出てくるっ」

トシ「っ!」


闇が巨大な怪獣へと変わる

頭部には剣、右手にハンマー、左手には鎌

その怪獣。否、超獣は―――


トシ「きたね殺し屋超獣!」


―――殺し屋超獣バラバ
811 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 01:04:37.87 ID:wNOapWfc0
ガンバルクイナくんやめろ!
812 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 01:09:07.29 ID:SqLuZIrX0


咆哮をあげる殺し屋超獣バラバ

京太郎は、ゼットライザーを構えて頷いた

その口元に浮かべるのは笑み


ベリアル『ハッ、小僧いつからそんな好戦的になった?』

京太郎「戦うのが楽しいわけじゃないっすよ。ただ―――」

ベリアル『あぁ?』


トリガーを引くと、正面に現れるゲート


京太郎「夢に、近づくっぽいです」

ベリアル『夢だぁ?』

京太郎「はい、ベリアルさんにはあります?」

ベリアル『ねぇよ。そんなもん』

京太郎「……俺にも夢はない」


一歩一歩、進んでいく

ヤプール人が中にいるというバラバの視線を受けながら、京太郎はゲートへと歩む


京太郎「でも、夢を守ることはできる……から!」

813 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 01:22:57.74 ID:SqLuZIrX0


街中に現れた殺し屋超獣バラバを、突如として暗い光が打つ

後ろへと怯むバラバを前に、暗い光が漆黒の闇を纏い姿を現す


バラバ『ベリアルぅ……!』


目の前の漆黒の闇を纏いし巨人、ベリアルにバラバが殺意を向ける

ベリアルは首を鳴らしながらバラバを見据えた


京太郎『恨みかってるらしいっすよ。何個目っすか?』

ベリアル『ハッ、今更数えきれるか』

バラバ『ベリアルゥ!』


右腕のハンマーを振るうバラバ

その先についたアンカーがチェーンにつながれ伸びる

それをベリアルは上に飛んで回避すると、素早く光弾を放つ


バラバ「!!?」


その光弾をうけて、バラバが怯む

さらに上空から蹴りを放つベリアル

それを受けて、さらにバラバは怯んだ


京太郎『厄介だけど……』

ベリアル『オレにはなァ!』


接近するベリアル

振るわれる鎌を爪で凌ぐと、もう片手の爪で斬撃を放つ

それを受けたバラバがさらに後ずさった


京太郎『俺達ならぁ!』

ベリアル「ハッ……ハァッ!」


さらに、膝蹴りを打ち込んでから拳を打ち込む

814 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 01:43:50.06 ID:/qcDEUiW0


その拳によってバラバが怯む

だが、ベリアルは攻撃の手を緩めない

数々の戦い、闇を受け入れるということ―――それらを持ってベリアルは


京太郎『さっきの闇は、取り込ませてもらった!』


闇のオーラがその拳に宿る

そして放たれた一撃がバラバの巨体を吹き飛ばす

吹き飛んだバラバはそのまま倒れるも、すぐに起き上がり頭部の剣を射出する


ベリアル「! ハァッ!」


放たれたその剣を、爪で弾く


バラバ『まだだぞベリアルぅ!』

ベリアル『しつけぇ野郎だ!』

京太郎『俺達であればなァ!』


弾かれた剣は、バラバの思いのままに動く

ベリアルの背後から迫る剣が、バラバの背中に斬撃を放つ

ひるむベリアル


京太郎『ぐっ、でもなぁ……!』


倒れることなく、前に走る

ベリアルが接近するとバラバはアンカー伸ばした右腕を振るった

伸びるアンカーがベリアルを襲う


ベリアル「ハアァッ!」


だが、即座に爪撃を放ちアンカーを弾く


ベリアル『オレの本来の力ももどってきたぞぉ!』

京太郎『これなら、闇だろうが光だろうがァ!』

バラバ『闇に堕ちた……ウルトラマンがァ!』
815 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 02:01:20.27 ID:fvMq2ZPZ0


ベリアル『闇に堕ちた? ナマ言ってんじゃねぇよ!』

京太郎『闇だって使うだけだろ、力を手に入れるためならァ!』


バラバの、振るわれた鎌を受けるベリアル

だが怯まない、後退りもしない

ただその場で、腕を振るった


バラバ「!!」


爪撃に怯むバラバ、だがさらにバラバが反撃をしようとする

だが、ベリアルはそのまま拳を打ち込む

追撃に次ぐ追撃によってさらに怯んでいくバラバ


バラバ『一度、距離をっ!』

ベリアル『距離なんてなぁ!』

京太郎『これで、終・わ・り・だァァァッ!』


振るわれた鎌を、暗い光と赤い稲妻が宿った右腕で弾く

そして、両腕を十字の形に構える


ベリアル・京太郎『デスシウム光線ッ!!』


放たれた光線が、超至近距離でバラバを撃つ

その光線はバラバを貫く


バラバ「!!?」

京太郎『うおぉぉぉ!』

ベリアル『消え去れェッ!』


バラバの両目が、飛びだす


ヤプール『ベリアルぅぅぅぅ!!!』


そして―――爆散
816 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 02:14:51.63 ID:fvMq2ZPZ0


爆煙渦巻く中、イエローに輝く瞳

腕を振るい爆煙を張らすベリアルが、そこにはいた

右腕を振るって首を鳴らすと、目の前に落ちていく光を見つめる


ベリアル「……」


その光は地上へと落ちる

小瀬川白望が眠っていた

駆け寄る葵と塞を見て、頷く


京太郎『守れたみたいっすよ。俺にも……』

ベリアル『そうかよ……いくぞ』


空へと飛び去って行くベリアル

地上の葵は、白望を抱き上げたまま空を見上げ強く頷いた

817 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 02:29:45.73 ID:sPOr8mxI0


―――【特異課岩手基地:作戦室】


気の抜けたような表情で、京太郎は息をつく

ホットコーヒーの湯気はすでに出ていない

そこにいたトシは深く息をつく


京太郎「……はぁ」

胡桃「気の抜けた顔しない!」ビシッ

京太郎「厳しいっすね」

塞「まぁ、京太郎も頑張ってくれたみたいだから、ね?」

胡桃「……そうなの?」

塞「まぁほとんどベリアルらしいけど、てかよくあそこに残ったね京太郎」

京太郎「勝てる見込みあったんですけどね」アハハ


そういう京太郎の顔を見て、小首をかしげる塞と胡桃

立ち上がった京太郎が背を伸ばす

手に持っているのはガンバルクイナくんのストラップ


塞「ん、もういく?」

京太郎「はい……長野、なんかあるっぽいんで」

塞「そっか」

胡桃「……ありがと」

京太郎「いいえ」


そう言って笑うと、荷物を確認する


トシ「送ってく……とりあえずガレージで待ってるね」

京太郎「?」

トシ「葵にも挨拶してきな」

京太郎「……了解です」フッ

818 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 02:41:41.78 ID:sPOr8mxI0


歩く京太郎が、休憩所付近で葵を見つけた

向こうも京太郎に気づいたようで笑みを浮かべて片手をあげる

向かっているのは出口の方だ


京太郎「これから帰りですか?」

葵「……まぁね」

京太郎「俺もっす」

葵「もう行くんだ」


その言葉に頷くと、そっと手を差し出すその掌には―――


葵「ありがと、ガンバルクイナくん」

京太郎「効果覿面でしたよ。ベリアルとバラバに踏み潰されずに済みましたし?」

葵「はいはい」


彼の手の中にあるストラップを勢いよく取る葵

そしてストラップを握りしめた葵は、京太郎の胸に拳を当てる

笑みを浮かべて、頷く


京太郎「?」

葵「頑張って、あんたのおかげであたしの夢……かないそうだから」

京太郎「うっす、そっちも……早く帰ってくるといいですね。エイスリンさん」


そう言うと、去って行く京太郎
819 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 02:55:33.83 ID:sPOr8mxI0


京太郎の背中が見えなくなると同時に、葵が膝をつく

顔をしかめて、自らの胸部分を押さえる

そこから僅かに滲みだすのは―――闇


葵「ぐっ……さっさとここ、離れないとっ」


漏れだす闇に蓋をするように胸を押さえる葵


葵「っ……はぁっ、はぁっ」


立ち上がると、一歩ずつ歩き出す

一刻も早くその場から去るために……

820 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 03:02:59.56 ID:sPOr8mxI0


ガレージへとたどり着いた京太郎

先に車に乗っていたトシの助手席に座る


京太郎「ありがとうございます」

トシ「いや……こっちこそありがとう」


その言葉に、笑みを浮かべて頷く京太郎


京太郎「……だって、ベリアルさん」

ベリアル『あ? なにがだ?』

京太郎「お礼ですって」

ベリアル『……んなもんどーだっていい』


その言葉に苦笑する京太郎は、トシの方を見る

表情で察したのか、トシも苦笑を浮かべた

闇を手にし、ベリアルと共に歩む京太郎


トシ「奴もいずれ……いや、どうだかね」

京太郎「?」

トシ「いや、いくよ」

京太郎「はい……」

トシ「長野―――」


―――始まりの地へ

821 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 03:09:28.32 ID:sPOr8mxI0


    第18話【絶えぬ執念】 END

822 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 03:25:36.18 ID:sPOr8mxI0


―――次回予告


京太郎:しつこいんだよ!

和:お互い様です

ベリアル:レイキュバスか!

?:氷塵と朽ち果てろ

京太郎:長野に海はねぇんだよぉ!

久:闇と光……!


次回【終わりがはじまる日】


ベリアル:じゃあな

京太郎:ベリアルさんっ!?

823 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 03:36:40.37 ID:sPOr8mxI0

今回はここまでー

ようやくや、ようやくここまできたぞ
とりあえず色々伏線ばら撒きつつ

そうですガンバルクイナくんです

そんじゃまた明日ってか今夜ー
824 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 09:56:34.10 ID:wNOapWfc0

葵がヤバそうだけどベリアルもヤバそう
825 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 10:19:24.01 ID:SVNh8V+yO
乙です
強くなってきたしべリアル弱体化きそうね
826 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 22:52:06.63 ID:lw2RnXgb0
やってくよー

SS書くのに究極生命体アブソリューティアンの戦士、アブソリュートタルタロスの能力使いやすそう
827 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 22:59:16.57 ID:lw2RnXgb0


故郷へとたどり着いた京太郎

左手を確認して、それほどない違和感に頷く

心配をかけるわけにもいかないと、体の動作を確認した


京太郎「さて……このへんも久しぶりだな」

ベリアル『ずいぶん復興が進んでるみてぇだな』

京太郎『そうっすね。しかしまぁ、あのあとも戦いが何度もあったらしいですけど』


今いるあたりはかつてベムラーと戦った場所だ

その周囲は復興が進んでいるが、それ以外の戦場ではどうなっているかわからない


京太郎『とりあえず行きましょう』

ベリアル『迎えは?』

京太郎『一応、くるとは聞いてますよ。実家に来てくれるらしいんで一度帰りますけど』

ベリアル『お前の家、ねぇ……』

京太郎『初めてでしたっけ?』

ベリアル『まぁな』
828 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 23:15:45.26 ID:LArrACE50


歩いて、自宅へと帰ってきた京太郎

財布に入っている鍵を使ってドアを開けて入る

変わらぬ雰囲気、匂い


京太郎「……ただいま」


息をついてそう言うと、ほっとしたような表情で靴を脱いで中に入る


ベリアル『普通だな』

京太郎「裕福な方っすよ」

ベリアル『ハッ、ぼんぼんか』

京太郎「そこまでじゃないっすけど……」


言いながら、居間などを見回る

別段問題はないようで、京太郎は次に階段を上って行く


京太郎「親父の部屋へ行きます」

ベリアル『ゼットライザーを持ってたとかいう親父か?』

京太郎「はい、盗ったらしいっすけど」


苦笑しながらそう言う京太郎


ベリアル『相変わらずのザル警備だな、光の国』

京太郎「光の国?」

ベリアル『ウルトラマン共が住んでる星だ』

京太郎「……ベリアルさんも?」

ベリアル『昔はな、オレもあそこから盗んだり、あそこを襲ったりしたしな』

京太郎「え〜」

ベリアル『滅ぼす一歩手前までいったもんだ』

京太郎「……やることやってますね」

829 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 23:37:49.07 ID:LArrACE50


階段を上り、廊下を歩く

父の書斎を前に、ドアノブに手をかける

ふと妙な感覚を覚えて、扉を開く


京太郎「ッ!」

ベリアル『こいつは……』


書斎には―――1人、いる


京太郎「……しつこいんだよ!」


目の前にいるのは、須賀京太郎の顔をした男

曰く、彼自身……


京太郎?「そう言うなって、俺の家に俺がいるだけだろ?」

京太郎「気安く俺の家とか言うな」


そう言いながら、ガッツハイパーを構える京太郎

本を持ったまま、京太郎(?)は京太郎へと近づいていく

迷いなく引かれたトリガー、放たれた弾丸は京太郎(?)に当たることなく―――床にぶつかる


京太郎?「脚を撃つか、尋問目的か?」

京太郎「調べてもらわなきゃだろ」

京太郎?「冷静なこった……なぁ!」


投げられた本、それが視界を覆うもすぐに右手で本を払いのけてガッツハイパーを構えた

だが、そこには誰もいない

投げられた本すら存在せず、床に弾痕だけが残されている


京太郎「……なに?」

ベリアル『おい小僧、奴は……』

京太郎「え、あ……すみま、せん」


そう言うと頭を振るう


京太郎「あいつ、一体……」

ベリアル『さぁな』


顔をしかめて、京太郎は父の書斎の机へと歩く
830 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 23:50:35.60 ID:LArrACE50


ゼットライザーの入っていた金庫を開ける

だがやはり、そこにはなにもない

顔をしかめて他の引き出しを開けるも―――


京太郎「なんもない?」

ベリアル『そもそもお前の父親ってのはなんだ? 地球人じゃねぇのか?』

京太郎「いや、普通の親父だったように見えましたけど」

ベリアル『ヒューマノイドタイプってのもなくはねぇが、もしかするかもしれねぇぞ?』

京太郎「……トシさん曰く、ウルトラマンになりたかったらしいじゃないっすか?」


その言葉に、ベリアルは黙る

やはりベリアルには『ウルトラマンになりたかった』という思考が理解できないのだろう

今となっては京太郎は“なれない”という思考に至っているので別段思うことは特にない


京太郎「……」

ベリアル『で、なにが調べたかったんだ?』

京太郎「なんかあると思ったんですけど」

ベリアル『……』

京太郎「いっか、また戻ってくれば……」


そう言って、京太郎は苦笑を浮かべた


京太郎「ベリアルさんが、ちゃんと分離できる方法とかあるかもしれないし」

ベリアル「そりゃ魅力的なこったな」

831 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/17(日) 23:57:52.07 ID:LArrACE50


◆安価!

1、福路美穂子
2、東横桃子
3、竹井久
4、加治木ゆみ
5、蒲原智美
6、津山睦月
7、妹尾佳織
8、瑞原はやり
9、佐藤裕子

◇10分間で1↓から〜 コンマが一番高い選択肢

832 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/18(月) 00:02:11.23 ID:AdQgBKWn0
8
833 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/18(月) 00:21:50.28 ID:WkXeW+pz0
8、瑞原はやり



家の前、立っている京太郎

見慣れた車が走ってくると前で止まる

窓が開くと……


京太郎「久しぶりっす」フッ

はやり「ほんとだよ、まったく」クスッ


瑞原はやりがそこにいた

電話で連絡はしていたが実際に会うともなればまた別だ

助手席に乗り込むと、息をつく


はやり「美穂子ちゃんたちも会いたがってるよ?」

京太郎「あはは、そりゃ嬉しいことで」

はやり「一ちゃんも、お礼言いたいってさ」

京太郎「国広さんか……」


なんだか妙な感覚だった

遠くから見ているだけと思っていた咲たちの好敵手たち

その面々から自分が認知されているというのは……

走り出す車、黙っている京太郎


京太郎「……」

はやり「……また無茶したでしょ?」

京太郎「っ、な、なんでまた?」

はやり「女の勘だゾ☆」

京太郎「咲にもそれで何度看破されたことか」アハハ…

はやり「咲ちゃん、かぁ」

京太郎「はい」フッ
834 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/18(月) 00:34:54.48 ID:WkXeW+pz0


はやり「うらやましいなぁ」

京太郎「ん?」


横を見るが、はやりは前を向いて運転をしている

不思議に思い首をかしげるもそれは伝わっていない


はやり「……私が、京ちゃんと同じ歳だったらなぁ」アハハ

京太郎「変わらないっすよなにも」

はやり「え〜変わるよ〜」


不満そうにそういうはやりがどこか可愛らしく見えて、笑う


はやり「アイドルのはやりを一人占めできるかもだゾ☆」

京太郎「いえ、それはちょっと」

はやり「即答!!?」

京太郎「はやりさんはみんなの牌のお姉さんっすからね」フッ

はやり「……そんなこと言ってるとはやりが30代になっちゃうんだよ!!?」クワッ

京太郎「え、はい」


なんだか、苦しそうな表情をしている


はやり「30代はまだしも……後半なんて」

京太郎(アイドルじゃ別に不思議じゃないんじゃ……?)

はやり「はやりは辛い、耐えられない!」

京太郎「あ、はい」

はやり「……だから、ね?」ニコリ

京太郎「……?」

はやり「あ、ダメなやつだこれ」トオイメ

京太郎「?」

835 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/18(月) 00:49:13.60 ID:WkXeW+pz0


    第19話【終わりがはじまる日】

836 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/18(月) 00:54:48.74 ID:WkXeW+pz0

短いけど今回はここまでー
次回はまた明日ってか今夜

誤字が多いけどなんとなく脳内変換よろしくっすー

そんじゃまたー
837 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/18(月) 12:49:33.70 ID:ybWJfAJIO

はやりんかなり露骨なアタックしてくるなw
838 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/18(月) 20:11:26.64 ID:IqdYdoGF0
乙です
もしかして終わりが近い?
839 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/18(月) 22:59:44.35 ID:LHn44iHF0
またまた遅くなったけどもやってく所存ー

ちなみにまだ終わらない。まだまだ終わらない
なんならこっから
840 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/18(月) 23:12:42.77 ID:Uxesuh7C0


―――【特異課長野基地】



はやりに着いて歩く京太郎

離れて短いながらも、その懐かしさに感慨深さを感じる

作戦室の扉が開かれると、はやりに続いて京太郎が入った


京太郎「お久しぶりです」


そこにいたのは福路美穂子をはじめとする風越高校の面々と鶴賀学園の面々

さらに、国広一と竹井久

京太郎自身は見知っている顔だ……


美穂子「京太郎っ!」パァッ

ゆみ「おかえり」フッ

桃子「京さんっ!」

京太郎「ただいま」


そう言いながら、椅子に座る

自身が倒した池田華菜と目が合う


華菜「……」

京太郎(睨まれてる? なぜ?)

華菜「須賀ぁ……キャップ、キャップが……」

京太郎「はい?」

華菜「キャプテンがお前の話ばっかするし!」シャー!

京太郎(しらんがな)

美穂子「か、華菜! やめなさいっ」

華菜「この野郎キャップとなにをした!」

京太郎「いやなにも」

美穂子「な、なにもないからっ、京太郎とは……ね?」

京太郎「あ、はい」

華菜「なんかあった顔してるし!!?」

桃子「ちょ、匂わせはよくないっすよ!」ビシッ

美穂子「えっ、そ、そんなんじゃっ」
841 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/18(月) 23:19:55.19 ID:BQw4eozZ0


京太郎「なんの話っすか」

ゆみ「相変わらず人気者だな」


そう言うゆみに小首をかしげる

これまで人気者だったことが一度でもあっただろうか、ハンドボールやってた時ぐらいのものだ


末春「あはは、須賀くんも中々……」

睦月「うむ」コクリ

星夏「さすが特異課のエース」

純代「怪獣を何頭も撃ち殺してるとか」


おそらく噂が独り歩きしてるのは確定だろう


智美「ワハハ、とりあえずはじめないか?」

佳織「智美ちゃん、誰もきいてないよ」

智美「ワハハ……」

一「えっと、もうちょっと落ち着かない?」

久「同意……てか須賀君、あなたね」

京太郎「俺のせい?」

久「うん」

京太郎「えぇ〜」


不満そうな表情をする京太郎に、眉をひそめる久

どこか、拗ねているようにも見える


はやり「まぁまぁみんな! 京ちゃんははやりんのだか落ち着いてネ☆」


瞬間、空気が凍る


はやり「え?」

京太郎「なにはともあれ会議はじめましょ」

はやり「あ、はい……」
842 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/18(月) 23:37:11.91 ID:jrvgveco0


面々がテーブルを中心にして座る

待っていると、入ってくるのは―――


裕子「お久しぶり」

京太郎「裕子さん!」

裕子「ん、みんな揃ってるようね……熊倉さんは?」

京太郎「まだやることあるって岩手です」

裕子「……そう」


そうとだけ答えると、佐藤裕子はそのままキーボードを前にした席に座る

全員がモニターの方に顔を向けた

そこに映る映像は監視カメラのようで―――


京太郎「これは、路地裏?」

裕子「各地の雀荘周辺には最近、設置してるの」

京太郎「こういうのある程度文句とかきそうっすけど」

ゆみ「まぁ現状、致し方なしだな……」

桃子「怪獣災害も増えてるっす」


その言葉にうなずいて、裕子はさらにボタンを押す

監視カメラの映像が動いていくと人間が奥からやってくるのが見える


京太郎「これは……和と咲」

ゆみ「そういうことだ……」

一「宮永咲っ……」

久「咲のせいじゃないわよ」

一「わかっているけど、どう呼べばいいのさ」

久「……確かに、ね。嫌なことだけどそう呼ばざるをえないのか」ハァ

京太郎「部長……」

久「なにはともあれ、見つかったのよ。二人が……」


やることは決まっている

だが……


京太郎「俺がみつけても麻雀、付き合ってくれねぇんだよな」ハァ

美穂子「わかってるわ。それに異星人を差し向けられて逃げられる場合も多いし」

843 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/18(月) 23:45:41.29 ID:jrvgveco0


京太郎「……それでも、やることは一つっす」


その言葉に、頷くはやりと美穂子

わかっているからこそ、理解しているからこそだ


京太郎「ぶっとばしてでも連れ帰る」フッ

ベリアル『ハッ、良いじゃねぇかわかりやすい!』


末春「や、野蛮だねぇ」

純代「でも、理にかなってる」

星夏「というよりそれしかない、ですね」フム


京太郎は自らの手を見る

幻視するのは漆黒の手、ベリアルのその手

真っ直ぐモニターの方を向けばそこには、その手で倒すべき相手


京太郎「場所は?」

裕子「数件の目撃情報があるけれど、どれも……清澄高校の近く」

ゆみ「帰巣本能か?」

はやり「そんな可愛いもんじゃないよ」

京太郎「挑発してるんですよ。たぶん……向こうも準備が整ったってことでしょ」


そう言って立ち上がる京太郎


はやり「……」

佳織「あ、でも怪獣が出てきちゃったらどうしよう……また、ティガが来てくれるかなぁ?」

智美「ワハハ、ウルトラマン頼りはよくないぞー……そろそろベリアルあたりが来てくれ」

ゆみ「お前もウルトラマン頼りか」コツ

智美「確かに」ワハハ


京太郎『ウルトラマン、ですって』

ベリアル『ハッ、呼びたきゃ好きに呼ばせとけ……』


美穂子「やれるだけやりましょう。人の力で、でも」

華菜「キャップの言うとおりだし!」

京太郎「……ですね」フッ
844 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/18(月) 23:55:32.01 ID:jrvgveco0


会議が終わって、京太郎は休憩所でコーヒーを飲んでいた

それぞれパトロールに行ったり、情報を待つために作戦室に残ったりだ


京太郎(俺だけ暇してるなぁ)

ベリアル『情報が来りゃまっさきに向かってやりあわなきゃなんねぇんだ、大人しくしてろ』

京太郎『俺の思考漏れてました?』

ベリアル『でなくてもわかる』


そんな言葉に、苦笑を浮かべる

すっかり相棒という感じだ

まぁベリアルに言えば拒否されるのだろうけれど―――


京太郎「……」ズズッ

一「須賀、くん」

京太郎「へ? ああ、国広さん」


ガンQ、いや魔頭鬼十郎に憑依されていた彼女

フリルのついた服を着てそこにいる


京太郎「……」

一「……いや、肌寒い季節だし厚着だよ」

京太郎「いや別になにも言って」

一「眼は口ほどにモノを言うんだよ」

京太郎「顔じゃ?」

一「ほらボクって目玉の化け物だから、ちょっとかけてみた」

京太郎「……」

一「冗談だって、真面目な話ありがとうって……言いそびれたからさ?」

京太郎「いや、別に……俺はお礼をされるようなこと」

一「戦ってくれたんでしょ? 聞いたよ、雀さんに」

京太郎「明華さん……」

一「だからね」


そう言って軽く笑みを浮かべる国広一


京太郎「……はい」フッ

845 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 00:04:14.12 ID:XdG4uEGV0


基地内を歩いていると、前から見慣れない人物が歩いてくる

見たことがないわけではない。ただ見慣れないだけだ

先ほどはいなかったが……


京太郎「久保、貴子さん?」

貴子「んぁ? 須賀京太郎……そっか、戻ってたんだっけ」

京太郎「ああ、どうもです」ペコ

貴子「こちらこそ、お礼がまだだった……ありがとう」


そう言って頭を下げる貴子を相手に、京太郎は動揺する


京太郎「い、いいですって!」

貴子「いや、私だけじゃなくて、私の生徒たちもたすけてくれたからな」

京太郎「それでも、頭を上げてください。みなさんは俺の仲間を救うために戦ってくれてるんですし」

貴子「……」


頭を上げる貴子が、フッと笑みを浮かべた


京太郎「……今後とも、お願いします」

貴子「ああ、この礼はかならず返す……結果でな」ニッ

京太郎(こんな女教師が許されるんですか!?)

846 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 00:23:00.20 ID:sYvGwwVG0


貴子と別れて歩く京太郎

目的地など特にはないのだが、なんとなく足を運んだのは前にババルウ星人と戦った部屋

巨大な機械が置いてあるが不思議とそれは、邪な気配を感じる


京太郎「……なんなんですか、これ」

ベリアル『おそらくだが、メダルを製造するもんだな』

京太郎「メダルを?」

ベリアル『ああ、怪獣の素材を入れてその怪獣メダルを製造するもんだ』

京太郎「なっ! なんでこんなものっ」

ベリアル『さぁな、あのばあさんがなにを考えてるのかわかんねぇが……』


目の前にあるのは怪獣メダルを生成するもの

そんなものが必要になるとは思わない……

ならばなぜ、彼女はそんなものを作ったのか


京太郎「トシさん……」

ピピピピピピ

京太郎「っ!」


手首についている端末が音を鳴らす

即座にそれを開いてボタンを押すと、声が聞こえた


裕子『原村和を発見しました!』

京太郎「行きますッ!」

847 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 00:31:15.10 ID:sYvGwwVG0


走る京太郎

ガレージへとたどり着くと、車がある

運転席には―――


京太郎「はやりさん!?」

はやり「はやく!」

美穂子「行きましょうっ!」

京太郎「……はい!」


素早く、助手席へと乗り込む

運転席のはやりが勢いよくアクセルを踏むと、車が走り出す

目的地は……


京太郎「清澄の近く、か」チッ

美穂子「私も戦う……たぶん、すぐに戦うことになるでしょうし」

京太郎「まぁそりゃそうっすね。まともに麻雀でやり合うなら俺達である必要もない」


懐から、ゼットライザーを取り出す


京太郎「ベリアルさん……アイツらは」

ベリアル『今までのどいつよりも強ぇだろうな……』

京太郎「でも俺達なら」グッ
848 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 01:01:37.64 ID:sYvGwwVG0


大通りのど真ん中に、原村和はいた

その前に、ドリフトして止まる車

そこから出てくるのは京太郎、はやり、美穂子の三人


和「……きましたか」

京太郎「テメェ、今日こそ潰す!」

和「お互い様です」


そう言う原村和に立つのは―――


京太郎「天江衣!?」

美穂子「龍門渕さん!?」


―――天江衣と龍門渕透華の二人


京太郎「っ」

和「さて……スヒューム」


天江衣が邪悪な笑みを浮かべ、指を鳴らした

その瞬間、龍門渕透華の胸の中心から黒い闇が溢れだす


衣「さぁ、沈め人類!」


闇は透華を包み込み、巨大な影を形成していく

天江衣と原村和の二人を巻き込まないためか、少し離れた場所に現れる怪獣

蟹のようなその姿……


ベリアル『レイキュバスか!』

京太郎「あれはっ!?」

衣「氷塵と朽ち果てろ!」


巨大な蟹型怪獣が咆哮をあげた


衣「地球を水の星にする……そして、私たちの星にする! まずはここからだ!」

京太郎「長野に海はねぇんだよぉ!」

849 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 01:17:06.56 ID:sYvGwwVG0


背後の美穂子が、素早くスパークレンスを取り出す

京太郎もゼットライザーを手にするも、目の前の原村和が手から波動を放つ

顔をしかめつつ、トリガーを引いた


はやり「京ちゃん!?」

京太郎「クソっ!」


吹き飛ばされる京太郎の背後に現れるゲート

その勢いのまま、京太郎はゲートへと吸い込まれた

フッと、笑みを浮かべる原村和を前に、美穂子は眼を鋭くする


美穂子「あなたは、京太郎をッ!」

和「あとはよろしくお願いします」

衣「ふん、至極当然」

850 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 01:24:45.61 ID:sYvGwwVG0


―――【インナースペース】


転がる京太郎が、その勢いのまま起き上がる

両足と右手を地につけてしっかりと止まると、立ち上がって前髪を払う

左手のゼットライザーを持つ手に力がこもる


京太郎「ベリアルさん!」

ベリアル「あぁ、オレたちを見下した奴だ……ぶっ潰す!」

京太郎「はいッ!! 速攻で決めます!」


右手持ったアクセスカードを挿入


『キョウタロウ・アクセスグランテッド』

京太郎「レイブラッド星人!」


メダルを弾くと、周囲に広がる闇

落ちるメダルを右手で取ると、赤き瞳が輝く


京太郎「究極生命体……」


ゼットライザーにメダルを差し込みブレードをスライドさせる


『Alien Rayblood』


トリガーを引く
851 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 01:29:32.25 ID:sYvGwwVG0


美穂子が、腕を回してスパークレンスをかかげる

はやりは素早くその場から車を走らせ離れていく


美穂子「ティガぁ!!」


京太郎「ベェリアァルッ!!」



そして光と闇の二色と共に現れる二体の巨人

レイキュバスを前に構える

ベリアルとティガ

852 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 01:38:44.14 ID:sYvGwwVG0


二体の巨人を見上げる天江衣ことスヒューム

その影の形がクラゲのような生き物に変わる


衣「闇に堕ちた巨人と、闇から光に還った巨人」


笑みを浮かべつつ、その手に三つのメダルを持つ


衣「……ゴルザ、メルバ、超ゴッヴ」


三種類のメダルを天江衣は吸収する

そして胸から闇を溢れさせていく

瞳が輝き、巨大な闇を形成していった


衣「さぁ、終末の時だ……!」


現れるのは、強大な闇


―――トライキング


853 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 02:08:17.12 ID:sYvGwwVG0


ベリアルとティガの前のレイキュバス

そこからさらに現れるトライキング


京太郎『あいつ、合体怪獣!?』

ベリアル『ゴルザ、メルバ、超コッヴの合体怪獣か!』


その言葉に、京太郎は顔をしかめる

レイキュバスが赤い目を輝かせながら火球を放つ

トライキングは腹部から拡散ビームを放った


ベリアル「ジャアッ!」

ティガ「タッ!」


二体の巨人が横に転がって回避する

起き上がると同時に、二体は光弾を放った

それを弾くレイキュバスとトライキング


ベリアル「シャアッ!」


レイキュバスへと接近したベリアルが爪を振るう

だがレイキュバスも爪を振るい、斬撃を相殺した


京太郎『チィ!』

美穂子『京太郎!』


ティガ「フンッ……チャアッ!」


パワータイプへと変わったティガがレイキュバスを殴りつける

怯んだレイキュバスへすかさず光弾を放つベリアル

ティガが追撃で光弾を放つも、その背後に迫るトライキング


ベリアル「ハアッ!」


だがそんなトライキングを膝蹴りで怯ませると、即座に爪を振るった

それを受けて僅かに怯むトライキングだが、即座に頭部から超音波攻撃を放つ

ベリアルはバリアでそれを凌ぐ


レイキュバス「―――!」

美穂子『京太郎っ』


レイキュバスの目が青く変わると、冷凍ガスを放つ

それを受けたティガが、怯む

トライキングの音波攻撃をバリアで凌いだベリアルがレイキュバスを相手に両腕を振るう
854 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 02:14:59.98 ID:sYvGwwVG0


ベリアル・京太郎『デスシウムリッパー!』

レイキュバス「!!?」


放たれた斬撃がレイキュバスを弾き飛ばす

切断までに至らないのはそれほどの強さだから、だろう

冷凍ガスの攻撃を免れたティガはベリアルへと頷き、さらにタイプをスカイタイプへと変化させる


トライキング「!」


スヒューム『消えろベリアル……!』

ベリアル『オレを誰だと思ってんだ。テメェ如きがそんな言葉言っていい相手じゃねぇんだよぉ!』

京太郎『ベリアルさんと、オレを……舐めるなァ!』


振るわれた拳、を受けてトライキングが怯む


スヒューム『やはり、三つでは……!』

ベリアル『さっさとやるぞ小僧!』

京太郎『当然ッ!』


トライキングへの攻勢を強めるベリアル

一方のティガは、レイキュバスの冷凍ガスを飛んで避けると背後へと着地

背中を向けたまま両腕にエネルギーを溜め、右手に集める


美穂子『ランバルト光弾で!』

ティガ「チャアッ!」


振り返ると同時に放ったランバルト光弾がレイキュバスの背中に直撃する

大きく怯んだレイキュバスが振り返り、眼を赤く変えた

口から放たれる火球を、パワータイプに変わったティガがバリアで凌いだ


京太郎『強くなってる……!』

ベリアル『ハッ! オレ達ほどじゃねぇがよくやる!』

855 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 02:25:35.12 ID:sYvGwwVG0


トライキングを爪撃で怯ませると、素早く後ろへと下がる

同じく下がってきたティガが背中合わせになった


ベリアル『まさか……おい!』

美穂子『え、私ですか!?』

ベリアル『テメェ、レイキュバスを倒すな!』

美穂子『え、えぇっ!?』

ベリアル『いいから先にこっちをやる!』

京太郎『……ということで!』


地を蹴り、トライキングへと飛ぶベリアルが膝蹴りを放つ

怯むトライキングにさらに蹴りを打ち込む


スヒューム『くっ、読んでいるかベリアルっ』

ベリアル『戦闘向きでもねぇ半端クラゲが調子に乗ってんじゃねぇよ!』


さらなる攻撃で怯むトライキング


スヒューム『ならばっ……!』

ベリアル『あぁ?』


トライキングが超音波を放つ

それを回避するベリアルを確認すると、即座に拡散ビームを放った

射線上にはティガだが、素早く回避する


ティガ「!」

レイキュバス「!!?」


ビームの直撃を受けたレイキュバスが、爆散する


ベリアル『こいつッ!!』


吹き飛んだレイキュバスから光が地に落ちる

それは龍門渕透華

だがメダルは、トライキングの方へと飛んで行った


京太郎『あれはっ!』

ベリアル『チィッ!』


スヒューム『きたぞぉ!』

856 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 02:35:11.40 ID:sYvGwwVG0


吸収されるメダル

トライキングの両腕が輝く


スヒューム『レイキュバス! ガンQ!』


―――ファイブキング


ベリアル『きやがった!』

京太郎『さらに!?』

美穂子『合体した!!?』


右腕にレイキュバスの顔とハサミ、左腕にガンQの顔が現れる

それこそが真の姿、ファイブキング

叫びをあげながらファイブキングは右腕から冷気と火炎を放つ


ティガ「!!」


その射線上には龍門渕透華

ティガは素早くその射線上に立つが、バリアを張る余裕がなく真正面から受ける


ティガ「グアァッ!」


攻撃が止まると、膝をつく

そのカラータイマーが点滅を始めた

地上の龍門渕透華の元へと、車が近づくと中にいたはやりが素早く透華を回収していく


はやり「頑張って! お願い、二人共!」


その言葉に、ティガは顔をあげて立ち上がると素早く構えた

ベリアルもファイブキングの方を見て腕を構える

咆哮をあげるファイブキングに、光弾を放つティガ


ベリアル『マズいな!』

京太郎『ガンQの腕ってことは……!』


放たれた光弾を、左腕のガンQの瞳が光弾を吸収

そして、そこから光弾が射出される

そのまま放たれた光弾を、ベリアルはティガの前に出て弾く


美穂子『ベリアルさんっ、京太郎!』

京太郎『コンビネーションでやります。ベリアルさんなら攻略法知ってるでしょ!』

ベリアル『ハッ、誰に口きいてやがる……当ォ然だ!』
857 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 02:47:17.23 ID:sYvGwwVG0


ベリアルとティガが、走り出す

ファイブキングが拡散ビームを放つも、素早くそれを回避してベリアルとティガが斬撃を放つ

ガンQの腕がベリアルの斬撃を吸収するも、レイキュバスの腕がティガの斬撃でダメージを受ける


スヒューム『くっ、この程度で!』

ベリアル「ジャアッ!」


さらに放たれた音波攻撃

それをガンQの腕から斬撃を放ちかき消す

転がってそれを回避するベリアル、だがティガは―――


美穂子『デラシウム光流!』


放たれたティガの赤い光が、レイキュバスの腕を完全に破壊した

驚愕するスヒュームがメルバの翼を広げて空へと飛ぶ


ティガ「チャッ!」


素早くスカイタイプへと変わったティガが空へと飛ぶと、ベリアルも飛び上がる

高度を合わせたティガとベリアルに、ファイブキングが上空から拡散ビームと音波攻撃を同時に放つ


ベリアル『ハッ、大したことねぇな!』

京太郎『オレ達なら!』


その攻撃を回避していくティガとベリアル

ティガは高速でファイブキングの背後へと飛ぶと、手から放つ光弾でメルバの片翼を撃つ

怯むファイブキングに接近したベリアルが背中から両翼を掴んで、その背に足をかけた


京太郎『こんなもん!』

ベリアル「ハアァッ!」


勢いよく、その翼をもぎ取る

地上へと落ちるファイブキング

その正面に降りたベリアルとティガ


京太郎『これで決める!』

美穂子『うんッ!』


マルチタイプへと変わるティガ

そして二体の巨人が腕を構える


スヒューム『なぜ、こんな……私たちの戦力で!?』
858 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 02:59:02.56 ID:sYvGwwVG0


京太郎『当然だろォが!』

ベリアル『下っ端如きがオレ達に勝てるわけねぇだろォが!』


ティガが腕を脇に構えた後に、目の前で合わせ―――離す

紫色の光、そしてベリアルの漆黒の光

腕をクロスする


ベリアル・京太郎『デスシウム光線!』

美穂子『ゼぺリオン光線!』


放たれた二つの光線

デスシウム光線の方をガンQの腕が吸収するも、ゼぺリオン光線がその体を撃つ

その直撃により、ガンQの腕がズレ、デスシウム光線もその体を撃つ


スヒューム『キャアアァァァァッ!!』


断末魔が響き、ファイブキングが爆散する

光りと共にメダルと天江衣が地に落ちていく

すかさず走って行く車、それを見て頷くティガ


美穂子『……終わった、の?』

京太郎『呆気ないもんっすね』

ベリアル『……まだだ』


その声と共に、眩い輝きがベリアルとティガの背後に現れる

白銀の光、そして真っ白な―――女神が現れた


京太郎『なん、だ?』

美穂子『天、使……?』

ベリアル『ゾグ……!』


和『さぁ審判の刻です』

京太郎『ッ、和ァッ!』



―――根源破滅天使ゾグ
859 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/19(火) 03:01:22.27 ID:sYvGwwVG0

今回はここまでー
再開は水曜の夜にでもー

とうとう大ボス

ってことでそんじゃまたー
860 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/19(火) 13:47:15.26 ID:IXSYcTOE0

ファイブキングのあとにゾグってすごいな
861 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/20(水) 22:56:58.97 ID:1gJ9vHTO0

やってくゾイガー

今回でこの話だけでも終われればいいなー
862 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/20(水) 23:00:33.58 ID:1gJ9vHTO0


現れたゾグを相手に構えるティガとべリアル

白銀の天使が笑みを浮かべている


京太郎『でかくないっすか!?』

べリアル『そういうもんだ……チッ、こっちも本来の力に戻ってねぇんだがな』

美穂子『輝いているけれど、あれは強大な闇に感じるわッ!』


べリアルとティガが光弾を放つ

だがそれは、ゾグが手をかざし出現させたバリアで凌ぐ

今まで戦ってきた敵とは桁違いの強敵


京太郎『べリアルさんっ』

べリアル『チッ、情けねぇ声出すんじゃねぇよ……やんぞ!』

京太郎『……はいッ!!』
863 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/20(水) 23:04:47.21 ID:1gJ9vHTO0


地上にて、離れた高台で二体の巨人と女神を見据える久

歯ぎしりをしながら、そちらを見る


久「闇と光……!」


拳を握りしめると、爪が掌の食い込んで血が滲む

悔しそうな表情で勢いよく柵を殴りつける

今度はハッキリと、血が流れた


久「強大な、力っ……!」


ゾグの波動により街が破壊される

わずかに攻撃を受けたのか、ふらついているべリアルとティガが見えた


久「私にも……光をっ……力を!」


奥歯がギリッと音を鳴らす
864 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/20(水) 23:17:26.70 ID:1gJ9vHTO0

ゾグが軽やかに手を振るう

ベリアルと京太郎が回避するために体を翻そうとするが―――


京太郎『ぐっ!?』

ベリアル『拘束、超能力まで使うんだったか!』

美穂子『京太郎っ!』


ティガが素早く光弾を放つも、ゾグがもう片方の手をかざしバリアでそれを凌ぐ

超能力により体を拘束されるベリアルが、空中に持ち上げられる


京太郎『この拘束はッ!』

ベリアル『だが奴の本来の能力は強大だ!』

京太郎『なら連発も長時間使用もできないっ』


抵抗を試みるも、ゾグはそのままもう片方の手をベリアルへと向けた

不味い―――そう思うが抵抗の方法もない


和『消え去り、闇に還りなさい―――!』

美穂子『京太郎ォ!』


透明の波動が放たれる

その一撃は真っ直ぐにベリアルに直撃、そのまま吹き飛ばす

波動は当たって消えることもなく、ベリアルを地上へと吹き飛ばし……


京太郎『これはっ!』

ベリアル「グアァッ!」

美穂子『やらせ、ないっ!』


地上で、ティガがベリアルを受け止める

だがそれでもその波動の威力に押されて、今度は二人まとめて吹き飛ばし“続けた”
865 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/20(水) 23:25:21.53 ID:1gJ9vHTO0


地上を波動によって引きずられるベリアルとティガ

ベリアルのカラータイマーが点滅を始める

だが―――


京太郎『まだまだァッ!』

ベリアル『気張れよ小僧ォ!』


爪を左右のビルに突き立てる

それでも後ろへと吹き飛ばされ続けるのだが、勢いは消えていく


美穂子『キャアァッ!!!?』

京太郎『美穂子ォ!』


瞳が赤く輝く、波動が消えてベリアルとティガが止まった

ふらつきながら起き上がるベリアル


京太郎『っ、はぁ……はぁ……』

美穂子『きょ、うたろっ……』


美穂子の声が聞こえる

ティガは起き上がろうとするも膝をついた。そのカラータイマーの点滅は激しくなっていく

ゾグを睨みつける京太郎、そしてベリアル


和『っ!』


少しばかりゾグが怯んだが、ベリアルが致命傷を受けたことには変わりない

カラータイマーは点滅している

もはや大技もそう連発できないだろう


和『ッ、ここで終わらせます。ベリアル……!』

ベリアル『ハッ勝手に終わってろ!』

京太郎『ここで和を奪い返して、お前らの終わりを初めてやるよ!』

866 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/20(水) 23:41:51.39 ID:1gJ9vHTO0

地を蹴り走り出すベリアル

そんな彼の背後で、ティガは立ち上がろうとするがやはり膝をついてしまう

手を伸ばすがそれも届きはしない


美穂子『京太郎! ベリアルさん!』


強く地を蹴り、飛び上がるベリアル


ベリアル「ハアッ!」

和『愚かな……』

ゾグ「フフフフ!」


笑みを浮かべるゾグが、右手を前に出す

だがベリアルはさらに上昇

右手をそちらに向けるが、ベリアルは上空でジグザグに移動しその射線上から回避していく


和『ちょこまかと!』

ベリアル『ハッ、小僧のわりに良い考えじゃねぇか』

京太郎『相手によって色々変えてかないとっす!』

ベリアル『……ハッ』ニッ


動きながら、両腕を振るう


ベリアル・京太郎『デスシウムリッパー!』


放たれた斬撃だが、ゾグが手をかざしてバリアでそれを凌ぐ

だが反撃の手を打たれるより早く、ベリアルは光弾を両手で放つ

放たれた二発の内、一発がバリアを抜けてゾグにダメージを与える


ゾグ「あぁっ!?」

ベリアル『ハッ、やはりこいつも本来の力は出せてねぇな!』

京太郎『ならばァッ! 』


さらに、接近するベリアル

だがゾグが右手で攻撃を放つ

波動ではなく、光線


ベリアル「ガアァッ!!」


胸に放たれた光線、だがそれを耐えるベリアル

光線を浴びながらベリアルは、そこから一歩も下がらない


京太郎『サンダーを受けろォっ!』

ベリアル『骨の髄まで焼けなァ!』


放たれた電撃が、光線を放つゾグへとダメージを与える

さらに怯んだゾグは攻撃の連続もあってか、かなり弱っていた
867 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/21(木) 00:02:05.58 ID:2CYWVEZH0


ゾグが放っていた光線が怯んだことにより止まる

ベリアルはゾグの目の前で、腕を構えた

カラータイマーの点滅が激しくなっていく


京太郎『ベリアルさんッ!』

ベリアル『やるぞ!』

京太郎『闇の力、お借りしますッ!!』


周囲に充満する闇を右腕に集めていく

そしてその右手に闇の光と共に、赤い稲妻を纏う

ゾグがハッと気づいて右手を前に出す


和『ベリアルゥぅゥ!!』

ベリアル『デスシウム光線!!』


放たれたデスシウム光線、ゾグが両手を前に出して光線を放つ

その二つがぶつかり合うも力は拮抗していた

光線がぶつかる中心がバチバチと音を立てている


京太郎『デアァァァァァッ!』

ベリアル『オォォォォッ!』


空中にて、ゾグの前にて……ベリアルが前方に加速していく

ゾグへと接近していくベリアルと反対に、ゾグが後ろへ下がろうとするがその余裕も既にない

超至近距離へと接近した瞬間、その二つの光線の中心部分が―――爆発を起こす


和『アアァァァァアァッ!!!?』


叫ぶゾグの中の和、ベリアルの中で―――京太郎はゆっくりに時間を感じていた


京太郎『これで、終わるっ……』

ベリアル『もろともなぁ』

京太郎『……はい』フッ

ベリアル『チッ、テメェといたせいで碌でもねぇ結末だ』

京太郎『す、すみません』


相打ちというつもりはなかった

もろとも死ぬつもりもなかった

だが―――


京太郎「ベリアルさんを、元に戻すつもりだったんですよこれでも……」

ベリアル「ハッ、元になら戻るだろ」

京太郎「え?」

ベリアル「オレは元々死んでんだよ」
868 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/21(木) 00:27:15.61 ID:tk9sIAC70


そんな言葉に、京太郎は頷く


京太郎「知ってます。それでも……」

ベリアル「メダルの残留思念とデビルスプリンターだったか、あれが干渉して生み出された人格がオレだ」

京太郎「……」

ベリアル「死ぬも生きるもねぇよ」


笑うベリアルはどこか自嘲しているようだった

それでも京太郎は思う。夢見たベリアルの記憶は本物のはずだと


京太郎「それでも……俺にとってのベリアルさんはベリアルさんですから」

ベリアル「ハッ、テメェはテメェの心配だけしやがれ」

京太郎「自分の心配って言われても……」

ベリアル「京太郎」

京太郎「え?」

ベリアル「じゃあな」

京太郎「ベリアルさんっ!?」


それだけを言って笑うベリアル

瞬間、京太郎が自身の体に違和感を感じる

ハッとするも既に遅い


京太郎「これっ!?」


既に、京太郎は“外”にいた

黒い闇に包まれたまま、地上へと降ろされる

ハッとして上空を見上げる、ベリアルとゾグの姿が視線の先に見えた


京太郎「ベリアルさぁん!」


そして―――爆発

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