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【咲-saki-】京太郎「ウルトラマンの力」咲「光よ!」

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517 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/28(火) 01:53:00.23 ID:JBm5g1HU0


納刀した智葉、京太郎はガッツハイパーを降ろして周囲を見回す

おかしなところはない


京太郎「たぶん俺がいると思わなかったから、ここに誘い込んで二人を倒す気だったっぽいな」

智葉「侮られたものだな」ハァ

ネリー「んーワンチャンあった?」

智葉「宇宙人のみなら……?」


おそらく無理だろう


京太郎「雀荘に、元々いた人たちとかはいないのか?」

智葉「おそらくな……基地から連絡があった」

ネリー「ほんとだ、雀荘の店主と連絡ついたって」

京太郎「そりゃなによりで」フゥ


瞬間、地面が揺れる

驚愕する三人が、急いで外へと飛びだす


すでに街中は混乱しているようで、一般人の叫び声が聞こえる

走って避難していく人々

大きな咆哮が聞こえた


京太郎「ッ!」

智葉「あれは……」

ネリー「鳥怪獣!」


ベリアル『ほう、バードンか』

518 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/28(火) 02:06:27.77 ID:JBm5g1HU0


その火山怪鳥バードンが羽ばたくと、凄まじい突風が巻き起こった

背筋に悪寒が走る京太郎は即座に動く


ベリアル『飛ばされるぞ!』

京太郎「ッ!」


すぐに智葉とネリーを抱き寄せた


智葉「なっ!?」カァッ

ネリー「ひゅえっ!?」カァッ


そのまま、雀荘へと飛び込む

外は凄まじい突風により看板が転がっていた

雀荘の窓ガラスも音を立てている


京太郎「っ!」

智葉「た、助かった……」

ネリー「あ、ありがと」


起き上がった京太郎はガッツハイパーを確認して頷く

二人は小首をかしげたが、京太郎は走る


京太郎「二人共大人しくな!」

智葉「お、おい!」


雀荘から飛びだして走る京太郎

突風は既に止んでいるが、バードンは炎を吐いて街を破壊していた

走る京太郎がガッツハイパーを撃てば、直撃を受けたバードンは京太郎の方を向く


京太郎「どこに行ってもこれだな!」

ベリアル『おもしれぇ!』

京太郎「ですよね! ベリアルさんは!」


ゼットライザーのトリガーを引き、出現したゲートへと飛び込む
519 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/28(火) 02:23:12.85 ID:JBm5g1HU0


―――【インナースペース】


京太郎「いきますよベリアルさん!」

ベリアル「ハッ、上等ォ!」


出現するアクセスカードを右手で取り、挿入した


『キョウタロウ・アクセスグランテッド』


さらに右手で、メダルを弾く

弾かれたメダルが周囲を闇に包んだ

赤く輝く瞳、落ちてきたメダルを右手で掴みゼットライザーにセット


京太郎「究極生命体!」


ブレードをスライドさせる


『Alien Rayblood』

京太郎「ベリアァルッ!」


トリガーを引き、叫んだ

520 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/28(火) 02:34:14.52 ID:JBm5g1HU0


現れるのは漆黒のベリアル

左手を顎にそえて首を鳴らし、バードンの方に視線を向けた

少しばかり腰を落とし、構えを取る


京太郎『炎を吐く鳥、ねぇ……』

ベリアル『クチバシには毒もある怪獣だ。使う分には良さそうなんだがなぁ』

京太郎『使うって……』

ベリアル『レイオニクスだからな』フッ

京太郎『レイオニクス?』


疑問を浮かべて聞くも、バードンが突っ込んでくるのでその質問が止まった

真っ直ぐ突撃してきたバードンのクチバシを回避し、即座に距離をとる

振り返ったバードンが火炎弾を吐きだすが、クローでその火を真っ二つに斬り裂く


ベリアル「ハァッ!」


斬り裂かれた二つの炎がベリアルの左右で爆発する


ベリアル『タロウやゾフィーの小僧共のように無様にやられるなよ』

京太郎『誰っすか、まぁ……ベリアルさんと一緒なら、負けませんよ!』


笑みを浮かべた京太郎

ベリアルは勢いよく、バードンに向かって走り出す

521 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/28(火) 02:38:09.27 ID:JBm5g1HU0

今回はここまでー!

次回、バードン戦ってことで東京編第一話後半
色々と出てきたりしつつ、伏線張りつつ

そんじゃ次は水曜にでもー
522 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/28(火) 02:46:36.97 ID:k3Xrtwi00

色んな要素出てきたけど東京はどんな話になるのか
523 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/29(水) 21:42:02.36 ID:k7OPURBf0
本当の戦いはこれからだぜっ!
ってことでやってくよー
524 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/29(水) 21:56:53.71 ID:spM+7z240

迫るベリアルを相手に、バードンが火球を放つ

ベリアルは素早く爪で火球を斬り裂くと、バードンに蹴りを放った


バードン「―――!」


鳴き声をあげてひるむバードンを、さらに爪で攻撃する

だが、バードンはそれを耐えてクチバシを振るう


ベリアル『毒がくるぞッ! そもそもあのクチバシも伊達じゃねぇ!』

京太郎『やべぇじゃないっすかぁっ!』


目の前に迫ったクチバシ

ベリアルは両手でバードンの頭を押さえてそのクチバシを眼前で止めた

がら空きのベリアルの胴体を、バードンは両手で攻撃


バードン「―――!」

ベリアル「グゥッ!」

ベリアル『アレでやるぞ!』

京太郎『はい!』


徐々に押されていくベリアルの黄色い瞳が輝く


ベリアル・京太郎『デスシウムロアー!』


放たれた音波攻撃

吹き飛ぶバードンはビルを破壊しながら倒れる

ベリアルはバードンを見据えつつ首を鳴らす

525 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/29(水) 22:15:40.81 ID:LBBZxP4F0


ベリアル『まずあの毒袋を潰す!』

京太郎『あの頬の袋っすね!』


素早く光弾を放つも、バードンは空へと舞いあがりそれを回避

見上げるベリアルに対し、バードンは空中から火炎弾を放つ


京太郎『このままじゃ街が!』

ベリアル『ならどうする!』

京太郎『全部……弾き返す!』


バリアを張ったベリアル

火炎弾はバリアにぶつかって空へと返って行く


京太郎『難しっ!』

ベリアル『角度を変えろ! 戦いの中で覚えろ!』

京太郎『ッ!』


バリアにぶつかる火炎弾からの衝撃、それに耐えつつ、街に被害が出ないよう……

そこには智葉とネリーがいるのだ


京太郎『んのぉ!』


力を込めて、バリアの角度を変えた

空のバードンからの火球が、跳ね返る


バードン「―――!!?」


その火球にぶつかり、バードンが落ちた
526 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/29(水) 22:21:17.64 ID:LBBZxP4F0


なんとか起き上がるバードンだが、火球が毒袋に直撃したのか頬の袋はボロボロだった

ふらつくバードンが、ベリアルの方に視線を向ける

怒りに震えながら、バードンはベリアルへと走っていく


京太郎『いきまぁす!』


右腕に集まる黒い光と赤い稲妻

水平に構えた左手の後ろに、垂直に構えた右腕をそえた

掌は真っ直ぐ、そしてその腕から―――


ベリアル・京太郎『デスシウム光線!』


―――光線が放たれる


バードン「―――!!?」


その光線がバードンへと直撃

直後、硬直したバードンが―――爆散する


ベリアル「ハッ!」


右腕を払うように振るうと、左手を顎にそえて首を鳴らす

そして、上空へと飛んで消えた

527 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/29(水) 22:34:22.01 ID:LqDuPV0k0


地上へと降り立つ京太郎が、腰を叩きながら路地裏から出る


京太郎「きっつぅ」

ベリアル『ハッ、バードン相手によくやった』

京太郎「うっす……にしても、慣れないことはするもんじゃないっすね」


そう言いながら、身体を左右にひねってから背を伸ばす

今までの戦いとはまた違う戦い方だった

いつも通りだったらまた違ったのだろう


京太郎「最近は、そこまでの戦いしてこなかったですからねぇ」

ベリアル『ふたを開けりゃ今回も苦戦もしてねぇしな』

京太郎「たしかに……俺も中々やるようになったんじゃないですか?」

ベリアル『オレの力がほとんどだろうが……四分の一人前がナマ言うんじゃねえよ』

京太郎「うっす」フッ


どこか嬉しそうに返事をする京太郎

すると、声が聞こえてくる

そちらを向けば、走ってくる二つの影


ネリー「京太郎ー!」

智葉「無事か!」

京太郎「ああ、心配かけました……助けてもらいました。ベリアルさんに」

智葉「ベリアル……」

ネリー「さん?」

京太郎「あー……な、長野からの付き合いなんで」

智葉「なるほど」フム

京太郎(なんとかなった!)
528 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/29(水) 22:57:08.14 ID:AVIz8r390

―――【特異課東京基地:作戦室】


座っているのは京太郎、智葉、ネリーの三人

あの後、車で戻ってきたというわけで、今は画像を見ていた

表示されているのはバードンとベリアル


智葉「にしてもウルトラマンベリアル、ここに来るとはな」

ネリー「意外だったね。原村を追ってるって聞いたことあるけど」

京太郎「……正確には中身なんでしょうね。根源的破滅招来体」


その言葉に、智葉とネリーが頷く

根源的破滅招来体については熊倉トシが色々なところに話はしているのだと思いたいところだ

瞬間、扉が開く


???「ごめん、遅れた……ああ、貴方が須賀京太郎」

京太郎「あ、はい」

???「今日はありがとう。私はアレクサンドラ・ヴィントハイム……一応ここの責任者」

京太郎「ああ、これはどうも」ペコ

アレク「今日はごめんね」

京太郎「いえいえ、結果的にベリアルさんに助けられましたし、また」


その言葉に、アレクサンドラは笑みを浮かべて頷いた


ネリー「監督おそい」

アレク「だから謝ったでしょう」

智葉「色々終わりましたよ」

アレク「知ってる。例の原村和とは会ったんでしょ?」

ネリー「宇宙人連れてたけどねー」

アレク「今回の件、怪獣メダルの件はまだ不明な点が多いからね……根気強くやってきましょ」


そんな言葉に頷く三人


京太郎(和を、取り戻す方法か……)
529 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/29(水) 23:09:38.41 ID:AVIz8r390


―――【特異課東京基地:休憩所】


京太郎「で」

ジャラジャラジャラ

京太郎「どうしてこうなった?」

ネリー「なにが?」

智葉「それはそれとして、だ」

アレク「お手並み拝見」フフッ


現在、麻雀マットを広げて牌を混ぜている四人

目的はもちろん麻雀をするためだ

なぜか自然な流れで麻雀をさせられている


京太郎「えー」

アレク「多少は強いって熊倉さんから聞いたし」

京太郎(ベリアルさんのおかげっていうか今回の事件のおかげっていうか……おかげってのもおかしいか)

智葉「見せてもらおうか、清澄麻雀部男子の実力を」フッ

ネリー「ヤキトリで終わらないでよぉ?」


クスクス笑うネリーに、京太郎は不敵に笑う

牌を手で積んでいく四人

京太郎はカッと目を見開く


京太郎「上等! ヤキトリにしてやらァ!」

530 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/29(水) 23:19:37.79 ID:AVIz8r390


◆安価!


1、松実宥

2、高鴨穏乃

3、福路美穂子

4、瑞原はやり

5、東横桃子

6、竹井久

7、辻垣内智葉

8、ネリー・ヴィルサラーゼ


◇5分間で1↓から〜 コンマが一番高い選択肢

531 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/29(水) 23:20:55.54 ID:1KFCs7hh0
7
532 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/29(水) 23:21:16.89 ID:qkw0yer90
2
533 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/29(水) 23:37:20.04 ID:AVIz8r390
2、高鴨穏乃



―――【特異課東京基地:自室】


割与えられた部屋で、京太郎はシャワー上がりなのかタオルで髪を拭いている

シャツと短パンのみの姿、ベッドに腰掛けるとケータイに触れた

その瞬間、そのケータイから音が鳴る


京太郎「うおっ!」ビクッ


タイミングの良さに驚きながらも相手の名前を確認して通話ボタンを押す


京太郎「穏乃か、どした?」

穏乃『あ、京太郎! 昨日ぶり!』

京太郎「おう」フッ


元気そうな声に、軽く返す


京太郎「ああ、そういえばあの後大丈夫だったか?」

穏乃『うん、先生も宥さんも驚いてたけど』

京太郎「だろうな」ハハハ

穏乃『でも、これからも一緒に戦ってくれるって!』

京太郎「そりゃそうさ……俺もな」フッ

穏乃『うん!』

京太郎「ウルトラマンの力がなくても、だからな」

穏乃『わかってるよ。京太郎はそういう人だって』

京太郎「そっか」

穏乃『やっぱギリギリまで頑張らないとウルトラマンも力、貸してくれないしね!』

京太郎「……そうだな」フッ


ベリアル『そうか?』

京太郎『そうだと言っといてください』

ベリアル『ウルトラマンじゃねぇからな、オレは』

京太郎『……ですね』フッ
534 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/29(水) 23:59:28.83 ID:AVIz8r390


京太郎「そういえば、今日……和と会ったよ」

穏乃『え、さっそく!?』


驚愕する穏乃に、同意で返す


京太郎「ああ……でも、やっぱあれは和じゃないからな」

穏乃『そっか、なんとかできそう?』

京太郎「いや、ヤバそうな宇宙人が一緒にいてどうにもな……玄さんもいなかったし」

穏乃『そっか、でも……きっと熊倉さんがなんか作ってくれるよ!』

京太郎「だと良いけどなぁ」


そう言うと、いつだったか熊倉トシからのものとして受け取ったガッツハイパーのカートリッジを取り出す

手の中で転がしつつ、穏乃に話を続ける


京太郎「まぁ俺もなんとか頑張ってみるよ」

穏乃『私も、憧が起きたら色々聞いてみるね』

京太郎「無理ない範囲で頼んだ」

穏乃『うん!』


元気のいい返事に口元をほころばせる


京太郎「それじゃ、気を付けてな」

穏乃『京太郎こそ! また、電話するねっ』

京太郎「ん、楽しいみにしてる」フッ

穏乃『うん、またね!』


電話が切れる

笑みを浮かべたままの京太郎は、そっとカートリッジとケータイをベッドの枕元に置く

横になった京太郎は、天井を見上げて手を上に持ち上げた


京太郎「俺は……」グッ

535 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/30(木) 00:04:48.18 ID:IZjXnqg50


     第12話【東京の風】 END

536 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/30(木) 00:25:22.81 ID:IZjXnqg50


―――次回予告


京太郎:魔王獣?

ベリアル:太平風土記はあるか?

智葉:邪な者ならば斬る!

テンペラー星人:人間か!?

ネリー:この風!!?

京太郎:スカート捲れそう!


次回【風の魔王獣】


京太郎:お借りします!

537 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/30(木) 00:29:36.90 ID:IZjXnqg50

台風近づいてるせいか頭痛いんでここまでー
次回は魔王獣登場ー

実りがないようである話ー
これでも本筋は進んでるよ!

そんじゃ次は金曜の夜にでもー
538 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/30(木) 01:58:05.68 ID:j8LaZbpx0

今回の雰囲気なんか好きだ
てか魔王獣も出てくるのかこの地球大丈夫か
539 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/30(木) 14:43:09.09 ID:8gt9TZjho
乙ー
頭燃えなくてなにより
540 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/01(金) 00:55:50.56 ID:GJNVTiuuO

最近のウルトラマンあまりわからんけどヤバそうだ風だし明華くるか?
541 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/01(金) 21:56:24.81 ID:KXMPvVGP0
やってくよー

>>538
め、メダルのせいで怪獣が出てくるだけだから(震え声)

>>539
ちなみに一度目の目的地で臨海来てたら燃えてました
542 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/01(金) 22:09:44.91 ID:KXMPvVGP0


―――深夜【江東区:街中】


凄まじい咆哮

車を踏み潰し、肉食地底怪獣ダイゲルンは走る

正面に立っているのは―――ベリアル


ベリアル「ジャアッ!」


勢いよく、放たれる光弾

尻尾を振るったダイゲルンは光弾を相殺


京太郎『予想通り!』

ベリアル・京太郎『デスシウムリッパー!』


放たれた斬撃は、振り返ったダイゲルンの首に直撃

そのままダイゲルンの首は落ち、倒れる

ベリアルは右腕を払うと、真上へと飛び上がって去って行く
543 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/01(金) 22:18:35.30 ID:KXMPvVGP0


ダイゲルンが倒れた地上

落ちているダイゲルンの頭部の近くに車が止まった

出てくるのは智葉、探知機のようなものを手に歩くと……


智葉「これか」スッ


拾ったのはメダル

描かれているのはもちろんダイゲルンだった


智葉「さて……いくか」


車に再び乗りこむと、智葉はその場から去って行く

544 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/01(金) 22:29:42.61 ID:KXMPvVGP0


―――【特異課東京基地:作戦室】


開く扉、帰ってくるのは京太郎

先に座っているのは智葉とネリーとアレクサンドラ


京太郎「う〜」


欠伸をしながら背を伸ばす京太郎


京太郎「お待たせしゃぁしたぁ」

アレク「まぁ深夜だもんねぇ」

智葉「京太郎」ポイッ

京太郎「どうもっす」


投げ渡されたダイゲルンメダルを受け取る


智葉「にしてもどうしてメダルはお前が回収なんだ?」

アレク「まぁ熊倉さんのことだから考えがあるんだろう、特にこの子は色々なとこいかされてるし」

京太郎「まぁ好きで動いてるんですけどね」

ネリー「お金ならともかくメダルなんてなぁ」

京太郎「ま、なんでも良いじゃないっすか……阿知賀じゃ研究部の方に持ってかれたし」

アレク「へぇ〜なにか考えてるんかね」

京太郎「さぁ?」


あれから三日、京太郎はすっかりなじんでいた

545 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/01(金) 22:40:03.97 ID:KXMPvVGP0


ネリー「もー眠いー」

アレク「まぁ今日はこれで解散でいいでしょ」

京太郎「うぃーっす」

智葉「おい京太郎、もう少しだなぁ」


呆れた顔でそういう智葉に、眠気眼のまま頷く京太郎

苦笑するアレクサンドラ


京太郎「すんません」ウトウト

アレク「まぁ、報告書はやっとくからおやすみ」

京太郎「うっす」コクリ


そう応えて部屋を出ようとする京太郎

アレクサンドラがキーボードに触れたモニターにテレビを映した

その画面を見て、全員が眼を点にする


ネリー「……ネリー寝ぼけてる?」

智葉「さぁ……」

京太郎「大型台風同時に七つって……なに?」

ベリアル『こいつぁ……』

546 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/01(金) 22:42:11.15 ID:KXMPvVGP0


     第13話【風の魔王獣】

547 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/01(金) 22:58:24.11 ID:KXMPvVGP0

―――翌朝【特異課東京基地:作戦室】


昨夜と同じくモニターに移されたテレビニュース

そこに映っているニュースがやっているのは突然の大型台風同時発生についてだ

欠伸を噛み殺しつつ、京太郎はその映像を見ている


京太郎「っ……」

アレク「眠そうね」

京太郎「お互いさまっす」

智葉「まったくだ」

ネリー「」zzz


一応の仮眠はとったが、せいぜい3時間程度だ


京太郎「……」

ベリアル『間違いねぇ魔王獣だな』

京太郎『……魔王獣?』

ベリアル『あぁ、こことは別の宇宙で世界を滅ぼすって言われてた怪獣共だ』

京太郎『世界を滅ぼすって……』

ベリアル『ある程度、出現場所が予測できりゃぁ……』

京太郎『予測って』

ベリアル『……この世界に、太平風土記はあるか?』


そんな言葉に、京太郎は小首をかしげた


京太郎「えっと……太平風土記って、知ってます?」

智葉「た、たいへい?」

アレク「ふうど、き?」

京太郎「あーなんかよくわかんないけど」
548 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/01(金) 23:09:03.32 ID:KXMPvVGP0


三者三様、それぞれのリアクション

アレクは調べるためにキーボードを叩く、智葉は思い出そうと頭をひねり、ネリーは……寝ていた

顔をしかめる京太郎


京太郎『やっぱないんですかねぇ』

ベリアル『さてな、あるとこもあればないとこもある』

京太郎『色々博識ですよねベリアルさん』

ベリアル『全宇宙を手に入れようとしてたからな』

京太郎『熱心で』


そんな会話を頭の中でしていると、扉が開く

入ってきたのは一人の少女


?「ただいま帰りました!」

アレク「ん、宇野沢」

ネリー「んー……あ、しおりん」

京太郎「……宇野沢栞、さん?」

栞「あ、須賀京太郎くん、はやりさんから色々聞いてるよ!」

京太郎「色々?」

智葉「ほう、やるじゃないか」フッ

京太郎「なんか勘違いしてません?」

549 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/01(金) 23:20:46.40 ID:eYGCjfEN0


宇野沢栞が、荷物を置いて座る

その豊満な胸がテーブルに置かれた

血眼の京太郎


ネリー「……うわぁ」

京太郎「……睡眠不足のせいだ」

ネリー「絶対嘘」

京太郎「いいから」


話をごまかすが、智葉からの視線も痛い

アレクサンドラの視線はもっと痛い


アレク「巨乳がなんだ……なんなんだ……」ボソボソ

京太郎(こえぇよ)

栞「あ、そうだった! 朝のニュース見ました!?」

アレク「あ、あああれね」

京太郎「台風のジェットストリームアタック?」

ネリー「その二倍ちょい」

智葉「遊ぶな」

栞「それについてなんですけど! 凄いものが見つかったらしくて!」

京太郎「凄いもの?」

栞「その名も、太平風土記!」


京太郎・智葉・アレク「ああー!!」

栞「ええっ!!?」ビクッ

ネリー「……?」
550 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/01(金) 23:45:05.18 ID:eYGCjfEN0


宇野沢栞がモニターを叩く

モニターに表示されるのは古文書『太平風土記』である

見つけたのは瑞原はやりらしいのだが、栞に『必要になる』とのことで預けたらしい


ベリアル『あのイタイ女のダチか』

京太郎『イタイとか言わないであげてくださいよ』


瑞原はやりとの関係はプロ麻雀チーム『ハートビーツ大宮』の仲間である


京太郎「さすがはやりさん」

栞「本当ですよー、さすが」


そう言って、キーボードを叩く

モニターに映ったのは絵、鳥のような怪獣


栞「まだ断片しかないらしいんですけど……」

アレク「十分……で、これは?」

京太郎『なんなんですこれ?』

ベリアル『やはりな、マガバッサー』

栞「禍翼(まがつばさ)……というらしいです」

智葉「今回の台風とこの怪獣に関係が?」

栞「なんか文章を解読したらそうなったとか」

ネリー「雑だなぁ」

栞「でもはやりさんが解読したところ、この文章では禍翼の出現位置から時間まで記されているとか」


そんな言葉に、全員が小首をかしげた


栞「えっと……」

智葉「未来を記した書?」

ネリー「えー全然古文書じゃないじゃん」

京太郎「そういうもんでもないだろ」

ベリアル『禍翼、マガバッサーの出現は間違いねぇ』

京太郎『マジっすか』

ベリアル『ああ、備えとくにこしたことねぇだろうな』

京太郎『……なるほど』

551 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/01(金) 23:56:02.74 ID:eYGCjfEN0


京太郎「……それじゃあ、その予測前提で作戦を立てましょう」

アレク「おお、やる気じゃない」

京太郎「そりゃ怪獣の登場さえ予測できるならそれに越した話ないっすよ」

アレク「確かに、それじゃ……今回は私も現場に出ようか」


立ち上がるアレクサンドラ

ネリーと智葉と京太郎の三人も立ち上がった


栞「それじゃあオペレーターは私が」

智葉「お願いします」

ネリー「よーっし! 早く行こう! そして時間まで寝かせて!」


出口に歩いていくネリーと智葉とアレクサンドラの三人

それを追いかける形で京太郎も歩き出す


栞「あっ、足元!」

京太郎「えっ!?」ガツンッ

ネリー「あ」

京太郎「痛ったぁぁぁぁっ!!?」

栞「あぁっ! ごめんなさぁい!」


倒れた京太郎が転がる


ネリー「なに入ってるのしおりん!?」

栞「ティガの木彫り!」

智葉「!?」
552 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/02(土) 00:02:54.94 ID:t6+OVRaL0
また足ぶつけてるwwてかティガの木彫りってなんだww
553 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 00:24:25.10 ID:flmx49ub0


―――【東京都墨田区】


古文書に書かれた場所に待機する京太郎と智葉の二人

離れた場所ではネリーとアレクサンドラがいるはずだ

住民の避難は既に完了している


京太郎「……きますかね」

智葉「ここまでやってこなかったら問題だな」


そう言う智葉は相変わらず刀を引っ提げていた

有名な侍の持っていた刀らしいが……


京太郎「……」

智葉「どうした?」

京太郎「……いえ」

ベリアル『あの刀、妙な感じだな』

京太郎『そうなんっすか?』


普通の刀ではないのは確かなのだろう


智葉「敵の目的はなんだ?」

京太郎「え?」

智葉「なぜ禍翼を出現させる?」

京太郎「……目的」


??「根源的破滅招来体というのは、とある宇宙で便利状、そう呼ばれただけだ」


京太郎「っ!?」

智葉「あなたは……」

京太郎「トシさん!」

トシ「元気そうでなにより」

554 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 00:33:57.32 ID:flmx49ub0


現れたのは熊倉トシだった

街中、京太郎と智葉の傍に歩いてくる

トシの言葉に、小首をかしげる京太郎と智葉


京太郎「そう呼ばれただけって?」

トシ「所謂怪獣、人類に仇成すものの総称としてそう呼んでた……」

京太郎「総称してって……」

トシ「ただその宇宙で観測されたそれらを、単純に根源的破滅招来体って私らは呼んでるわけだ」


相変わらず、どこか別のことのように話す


智葉「……つまり、私たちにとっては異星人たちを含めてすべてが?」

トシ「まぁそういうことだけど、今のとこ根源的破滅招来体って呼ぶべきは原村和の“中の奴”だけだ」


そう言うと空を見上げるトシ

太陽が隠れ、暗雲が空を覆っていく


トシ「目的としてはシンプル。宇宙に害する地球人の殲滅ってわけだ」

京太郎「害する?」

トシ「地球をこれだけ汚しといて、宇宙まで進出しようとしてるんだから当然ってわけさ」

智葉「しかし人類はそれを乗り越えようと!」

トシ「まぁここでこの話をしてもしようがないけどね……あたしらの宇宙にはほとんど関係ない。それにアレはメダルと怨念の塊さ」

京太郎「……じゃあこの戦いはどうやったら」

トシ「私もそれを今追ってるわけだ……で、結果」

智葉「ここに着いたと」

トシ「そういうこと、なにかあればまた連絡するよ。ただわかることは」

智葉「強大な闇、ですか?」

トシ「さぁてねぇ……」
555 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 00:44:07.21 ID:flmx49ub0


そんなトシが、しっかりと前を向く

京太郎と智葉も合わせてそちらを見る


智葉「っ!」

京太郎「……雀、明華」


そこにいたのは長い髪とロングスカートを風になびかせる少女

フリルのついた日傘を手に、風神―――そう呼ばれた少女がそこにいた


京太郎「……禍翼」

トシ「風の魔王獣、憑代はその娘か」

智葉「っ!」チャキッ


虚ろな瞳で、京太郎たちを見やる

そして―――突風が吹く


京太郎「ッ!」

智葉「ぐっ!」

トシ「……時間か」


その瞬間、京太郎と智葉の付けている端末が音を鳴らす

マガバッサーが現れるその五分前の合図

京太郎の視界の先の明華


京太郎「まずい!」

智葉「どうした!」

京太郎「スカート捲れそう!」

智葉「言ってる場合か!」

トシ「やれやれ」

智葉(直立不動!!?)

556 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 00:52:08.14 ID:flmx49ub0


離れた場所で、車の隣で立っているネリーとアレクサンドラ

突如の突風に、ネリーが上空を見上げる

空から離れた場所に伸びる―――竜巻


ネリー「この風!!?」

アレク「そろそろ始まるってわけ、ていうかやっぱあそこ!」

ネリー「智葉、京太郎!!」

557 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 01:08:15.10 ID:z83lL+MB0


京太郎たちの眼前の雀明華が風と共に、少しづつ浮き上がる

京太郎の首根っこを掴んで後ろへと下がる智葉


智葉「見るな!」

京太郎「ちょ、そんなつもりは!」

智葉「今はないだろ!」


本当にその気はないのだが……信じてはくれていないらしい


トシ「今じゃなきゃ見る機会ないからね、許してやりな」

智葉「熊倉さん!?」

京太郎「失敬な!」

智葉「下着ぐらいいくらでも見せてやるから今は下がれ!」カァッ

京太郎「え?」

トシ「え?」

智葉「いいから!」


とりあえず現状をなんとかしようと言った智葉であった

しかし成功はした、京太郎を引っ張って距離を取る

振り返る京太郎と智葉


京太郎「……あれは!」

智葉「覗くな!」

京太郎「覗いてない!」


明華の日傘が風にさらわれ飛んでいく

そして京太郎は、浮いている明華の背後に巨大な翼を見た


京太郎「くるっ!」


勢いよく吹く風

京太郎は片手にガッツハイパーを構える

狙いは雀明華


京太郎「眠れよぉ!」カチッ


放たれた弾丸は、すぐに光の鞭に叩き落された


京太郎「テンペラー星人か!」

テンペラー星人「ご名答!」
558 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 01:16:00.46 ID:z83lL+MB0


強風の中、現れたテンペラー星人

両手のハサミからビームウィップを振るう

京太郎へと伸びたそれを―――刀が弾く


テンペラー星人「!?」

京太郎「智葉さん!?」

智葉「邪な者ならば斬る!」


納刀し駆けだす智葉が、素早く抜刀

テンペラー星人が後ろへと跳びつつ腕を振るう

不規則に智葉に迫る日本のビームウィップだが、智葉は刀でそれらを弾いていく


テンペラー星人「人間か!?」

智葉「もちのロン……ダァッ!」


それを見ている京太郎とトシ


トシ「怪獣を斬る少女ってとこかねぇ」

京太郎「言ってる場合ですか、てか雀明華!」バッ


そちらを見れば、雀明華の姿が風と共に変わる瞬間


京太郎「あれが……」

ベリアル『マガバッサー!』


現れるのは風の魔王獣マガバッサー

559 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 01:30:30.37 ID:z83lL+MB0


智葉とテンペラー星人が攻撃をぶつけあう

見えている京太郎、ゼットライザーがあるしどうにかついてはいける

だが、そんなウルトラマンと同化している故の身体能力を見せるわけには……


智葉「見えている……負けんッ!」

テンペラー星人「ええい、小賢しいィ!」

智葉「ッ!」


素早い剣戟で、光鞭を弾いていく智葉


京太郎(いや、これならやっても大丈夫か?)

トシ「ヤバい、ひとまず退散するよ!」

京太郎「え?」


現出したマガバッサーが、翼を翻す

その瞬間、凄まじい突風が周囲を襲う

トシが素早くその場から走って行く


京太郎「ターボバ……じゃなくて、俺も!」


柱を掴んで踏ん張る京太郎

だが突風は智葉にも


智葉「なっ!!?」

京太郎「智葉さん!!」


だが智葉は風により宙へと浮き上がる

そして―――


テンペラー星人「うぐおぉぉ!!?」


―――空へと飛んでいくテンペラー星人


京太郎「お前もかよ……ってこのままじゃ!」

560 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 01:42:37.70 ID:z83lL+MB0


風が弱まったその瞬間、京太郎は近場の―――証明写真機に走る


ベリアル『おいあそこでか』

京太郎「見られるわけにはいかないんで……智葉さんを助けなきゃ!」


ゼットライザーのトリガーを引き、証明写真機入口に出現したゲートに入った



―――【インナースペース】


インナースペースに、京太郎は立つ

右手にカードを持ち左手のゼットライザーへと差し込んだ


『キョウタロウ・アクセスグランテッド』

京太郎「レイブラッド星人……!」


メダルを弾くと、周囲に闇が広がる

落ちるメダルを右手で取ると、赤い瞳が輝く


京太郎「究極生命体!」


ゼットライザーにメダルを差し込むと、ブレードをスライドさせた


『Alien Rayblood』

京太郎「ベェリアァルッ!」


トリガーを引き、叫ぶ
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/02(土) 01:43:37.31 ID:t6+OVRaL0
ちょくちょくネタはさむなw
562 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 01:54:18.33 ID:Ear8ECAo0

巻き起こる竜巻

既に四つも五つも出現し、ビルが倒壊、小さな建物は宙に飛んでいる

その中、辻垣内智葉もどうにか生きていた


智葉「ッ! こ、このままではっ!」

マガバッサー「―――!」


智葉の眼前に現れるマガバッサー

その巨大な口が開かれる


智葉「ここまでっ……すまないっ」


智葉がが覚悟を決めたその瞬間、マガバッサーが弾き飛ばされる

驚愕する智葉の周囲、風が弱くなっていく


智葉「これはっ!」


そっと、智葉は突然現れた足場に着地する


智葉「っ! ウルトラマン、ベリアル!?」


それは黒き巨人の手の上

鋭い爪が周囲を囲んでいるが―――


智葉「暖かい、これは……」


ベリアルは智葉を手に乗せたまま地上へと降りていく

そして、ベリアルは風の弱い場所に降りた


智葉「ここは……」

ネリー「智葉!」

智葉「ネリー……」


ネリーとアレクサンドラがいる

ベリアルの手から降りる智葉が、真上を向く

そこには“目つきが悪いウルトラマン”


智葉「……ありがとう」

ベリアル「……」コクリ
563 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 02:08:33.08 ID:Ear8ECAo0


空を飛ぶベリアル

マガバッサーが再び竜巻を発生させていた

それらに光弾を放つ


ベリアル『なれねェことをさせやがって』

京太郎『ウルトラマンっぽいっすね』

ベリアル『ウルトラマンの埃なんざ何万年も前に死んだっての……』


マガバッサーがベリアルの方を向く

翼を羽ばたかせると、ベリアルを強風が襲う


京太郎『ぐっ!』

ベリアル『さすがに魔王獣かっ!』


突風により吹き飛ばされ、さらに竜巻により浮いているビルなどがぶつかっていく


ベリアル「グゥッ!」

マガバッサー「―――!」


さらに素早く接近するマガバッサーの翼で攻撃を受ける

まるで刃物のようなその翼の攻撃を受けて、落ちるベリアル

そのまま落下してビルを破壊してしまう


ベリアル「ガアァッ!」

マガバッサー「!」


上空から建造物を落としてくるマガバッサー

立ち上がったベリアルがすぐに前に転がってそれを回避、さらに上空へと飛び上がる

ベリアルの胸のカラータイマーが点滅を始める


京太郎『こいつ、今までの比じゃっ!』

ベリアル『チッ、やっぱ今のままの力じゃあな!』

京太郎『それでもッ!』


再び接近してくるマガバッサー

同時にビルなども迫ってくる
564 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 02:17:03.12 ID:Ear8ECAo0


ベリアル『位置取りだ!』

京太郎『はい!』


素早く下降する


マガバッサー「!」


そして体を真上へと向けると、両腕を水平に振るった


ベリアル・京太郎『デスシウムリッパー!』


放たれた斬撃が真上へと放たれる

それは真上のマガバッサーとビル群を斬り裂く

片翼に攻撃を受けたマガバッサーが、バランスを崩して落ちていく


ベリアル「シャアッ!」


地上へと着地したベリアル、その背後に体勢を崩したままマガバッサーが落ちてくる

竜巻の数も減って行く

点滅しているベリアルのカラータイマー、予断は許さない


京太郎『これなら……!』

マガバッサー「!」


起き上がったマガバッサーが足を地上にしっかりと着き、翼を振るう

放たれる衝撃波に、ベリアルが吹き飛ぶ

さらに、遅れて跳んでくるビルがベリアルを襲う


ベリアル「グウッ!」

マガバッサー「―――!」

565 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 02:27:04.33 ID:Ear8ECAo0


マガバッサーの背後の竜巻がビルの残骸等を巻き上げていく


ベリアル『クッ……もう一回くるぞ!』

京太郎『なら!』


勢いよく起き上がるベリアルが構える

マガバッサーが翼を振るい、衝撃波を放つ

ビルも遅れてベリアルの方へと向かうも


京太郎『今だァ!』


ベリアルは腕を前に出してバリアを出現させる

角度は問題無い。バードンの時の応用だ

衝撃波はバリアに弾き返され、放たれるビル群を破壊する


マガバッサー「!?」

ベリアル「ハアァッ!」


地を蹴り飛び上がるベリアルが、マガバッサーへと接近しクローを振るう

その攻撃により怯むマガバッサーに、さらに電撃攻撃を打ち込む


マガバッサー「!」

ベリアル「シャアッ!」


さらに爪撃からの、蹴りでマガバッサーを弾き飛ばす

怯んだマガバッサーが上空へと飛び上がる

それを追い、ベリアルも飛ぶ


マガバッサー「!」


放たれる衝撃波をバリアで弾いて竜巻で舞い上がった残骸を破壊する


ベリアル『いくぞ小僧ォ!』

京太郎『これでハコ割れだァ!』
566 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 02:39:15.26 ID:Ear8ECAo0


右腕に漆黒の光、赤き稲妻

空中でベリアルは腕をクロスさせ、必殺の構えを取る

そして放たれるのは―――


ベリアル・京太郎『デスシウム光線ッ!』


放たれた一撃は―――マガバッサーを直撃


マガバッサー「!!?」


そして、爆散



周囲の竜巻が晴れていく、空に立ち込めていた暗雲すらも

雲の切れ間から光が差しこむ

上空のベリアルは、両手を上に上げて空へと去って行く



地上の智葉、ネリー、アレクサンドラ

飛んで去って行くベリアルを見上げてつつ、智葉は笑みを浮かべ頷く


ネリー「京太郎は?」

智葉「……ベリアルが私しか助けなかったんだ、つまりそういうことだろう」

アレク「……確かに」


そう言ってアレクサンドラが見る方向には、歩いてくる青年

ぼさぼさの金髪を掻きながらスーツにかかった埃を払って笑う

567 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 02:46:44.87 ID:Ear8ECAo0


京太郎「ただいまっす」

アレク「……心配かけてー!」

ネリー「はぁ〜」


全員が安心したような表情を浮かべる


ネリー「しおりん聞こえる〜?」

栞『あ、ようやく繋がりましたー私いりました?』

ネリー「いてもいなくても良かったね」

栞『ストレートに!?』


京太郎がアレクサンドラに背中を叩かれる

少しばかりの痛みに顔をしかめつつ笑う京太郎

近寄ってくる智葉にも、京太郎は笑みを浮かべる


智葉「……おかえり」フッ

京太郎「……そういえばあの約束」

智葉「黙れ!」ガシッ

京太郎「んぅっ!?」


口を塞がれる京太郎、智葉の顔は真っ赤だ


ネリー「え、約束って?」

智葉「違う! 勢いだ! 勢いで言っただけで本気ではない!」

京太郎「うぞってごとでずがぁっ!?」

ネリー「?」

智葉「いいから! 帰るぞ!」

アレク「?」

ネリー「?」

智葉「いいから!」

京太郎「あんまりだぁ」

568 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 02:52:27.45 ID:Ear8ECAo0


空から落ちてくる物体

それは、地上に叩きつけられて小さなクレーターを作り出す

物体の正体は―――


テンペラー星人「あんまりだぁ」


ボロボロの体をひきずって、テンペラー星人は帰って行く

569 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 03:05:03.63 ID:Ear8ECAo0


―――夜【特異課東京基地:休憩所】


スタッフたちもまばらになった夜の基地

休憩所には京太郎だけで、テレビに映ったベリアルのニュースを見ている


京太郎「まぁなにはともあれ、雀明華は無事か……へへっ、こうしてまたおもちの平和は守られたってわけだ」


遠くを見ながら達成感溢れた笑顔を浮かべる京太郎

その手にはマガバッサーのメダル


京太郎「にしても疲れたけど……」

ネリー「お疲れー」


一本結いの長い髪をなびかせる少女


京太郎「ネリーか」

ネリー「こんな美少女見て“ネリーか”はないでしょー!」

京太郎「あーかわいいかわいい」ポンポン

ネリー「むぅー思ってない!」

京太郎「思ってる思ってる」


笑いながら言う京太郎に、頬を膨らませる


ネリー「……あーあ、せっかく京太郎のために前に行った海の写真見せてあげようと思ったのにー」

京太郎「えー」

ネリー「智葉と明華とかハオとか」

京太郎「なにそれ詳しく!」

ネリー「食い付きかた……」ジト
570 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 03:13:20.34 ID:Ear8ECAo0


ジトーっと京太郎を見るネリー

一方の京太郎は静かに頷く


京太郎「……見せて?」

ネリー「やだ!」

京太郎「見せるつもりだったんじゃ!?」

ネリー「えー……ネリーの姿が見たいってならしょうがないけどなぁー」


その言葉に、なるほどとうなずく


京太郎「ネリー超見たい」

ネリー「……ほんとー?」

京太郎「ホント!」

ネリー「ネリーかわいいから?」

京太郎「ああ!」ニコニコ


ふと、影からそんな二人を見つける智葉


ネリー「かわいい?」

京太郎「超かわいいぜ!」

ネリー「すき?」

京太郎「超すき!」

ネリー「そこまで言うならしょうがないかなぁー」エヘヘ

京太郎「やったぁ!」

智葉(あいつらこんな往来でなんて話を!? というよりそんな、進んでいたのか!? いつの間に!? 私に報告は!?)

ネリー「えーでもなー」

京太郎「かわいい! 超かわいいネリー!」

智葉(ぐっ、なんだか納得いかない!)

ネリー「じゃあ……いいよ?」

京太郎「お借りします!」

ネリー「いや借しはしないけど」
571 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 03:21:43.62 ID:Ear8ECAo0


ネリーのケータイ画面を食い入るように見る京太郎

しかしネリーもなぜだか楽しそうであった


京太郎「おぉ!!?」

ネリー「凄いでしょー」

京太郎「さすがネリーさん!」

ネリー「……って京太郎」

京太郎「ん?」

ネリー「……」


後ろを向くネリーと同じく、背後を向く京太郎

そこには―――修羅がいた


智葉「お前ら、なにをしてるかと思えば……ネリー!」

ネリー「ひゃいっ!?」

智葉「なにを勝手に人のぉ!」ギリギリ

ネリー「いひゃいいひゃい!」


頬を引っ張られるネリーは涙目になっている

パッと離すと、両手で頬を押さえているネリー

次は自分かと、苦笑いを浮かべる京太郎


智葉「京太郎ぉ……」

京太郎「は、はい?」

智葉「誰だ……」

京太郎「はい?」

智葉「誰が一番よかった」

京太郎(智葉さんと答えたら……殺られる!)

京太郎「ね、ネリーかなっ!?」


瞬間―――空気が凍った

572 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 03:28:30.71 ID:Ear8ECAo0


京太郎(なんだこのプレッシャーは!)

ベリアル(なにやってんだこの小僧)


凍った時が、動き出す


ネリー「……ふひゃっ!?」マッカ

智葉「……お前、私の下着を見たいとか言っておきながらぁっ!」

京太郎「う、うぇぃっ!!?」

智葉「……この浮気者がぁっ!」

京太郎「ちょ、誤解です! 誤解ですって!」ダッ


怒る智葉、理由もわからないがなだめる京太郎

そしてネリーは、先ほどとは違う意味で赤くなった頬を両手で押さえていた


ネリー「も、もぉ京太郎ったらぁ」エヘヘ


そんな休憩所に現れるのはアレクサンドラ


アレク「……騒がしいなぁ」


そう言うと背を伸ばして欠伸をする


アレク「……寝よ」

573 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 03:35:09.29 ID:Ear8ECAo0


―――【雀荘】


暗い雀荘、倒れている数人の人間

そこにただ一人立っているのは―――原村和


和「……」


その視線の先にはテレビ、ニュースがやっている


『ウルトラマンのおかげで大型台風七つも消滅、やはりベリアルは守護者なのでしょうか』

『結果的にそうなっただけな気も』

『しかし最近ではベリアルが各地で怪獣を倒してくれている人類の味方だという意見も』

『世論もすっかりウルトラマン中心とした』


マガバッサーによる台風も消滅

破壊された街は元通りとはいかないが、これ以上のマガバッサーによる災害はないだろう

今までよりも大規模な怪獣災害ではあったのだが避難も済んでいて死者は奇跡的に出ていない


和「めでたしめでたし―――」


そう言った和が隣の雀卓を叩くと、それは破壊される


和「―――じゃあないんですよ。マガバッサーを出現させるコストもバカにならないのに」


息を吐いて、その黒い瞳をニュース映像のベリアルに向けた


和「本気で潰しますか、須賀京太郎……」


その背後には天使の如く光の輝き

そして口元には笑みが浮かんでいた

574 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 03:37:55.93 ID:Ear8ECAo0


     第13話【風の魔王獣】 END

575 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/02(土) 03:40:58.95 ID:XK9gsXNt0
上記荒らしの行為に対しては、掲示板運営会社が当該掲示板内を常にモニタリングしてゴキブリの画像を見つけ、削除するという対応を強いられました。それだけでなく、掲示板運営者が投稿者に対する大規模通信規制を行った結果、当該掲示板のユーザーの利用にも支障を来す事態になりました。

こうした事実の経緯を踏まえ、裁判所は、掲示板運営会社が投稿者の行為に対応することで、業務の円滑な運営が妨げられたために、営業権の侵害があったとして、権利の侵害を認め、違法だと判断しました。

このことから、ゴキブリの画像のような、それ自体が掲示板運営会社にとって名誉権等の権利侵害でなくても、繰り返し投稿し続けるような「荒らし」行為にまで至った場合には、発信者情報開示請求は認められうるということになります。
576 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 03:45:32.30 ID:Ear8ECAo0


―――次回予告


京太郎:呪術っすか?

ベリアル:いくつか憶えがあるな

智葉:眼、だと?

ネリー:眼ェ!?

和:須賀京太郎を潰します

京太郎:お前は!

アレク:なんなんだあれは!

智葉:魔頭鬼十郎!


次回【呪いの微笑】


京太郎:俺はお前だよ須賀京太郎!

577 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 03:48:04.83 ID:Ear8ECAo0

今回はここまでー

もろもろの事情で安価なかったけど次回は二倍で
ちょっとずつ本筋も動いてきた気もする、てか長いなこれ

そんじゃまたー
578 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 03:48:33.46 ID:Ear8ECAo0
あ、ちなみに明日か明後日やりますー
579 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/02(土) 11:13:44.93 ID:wlGbpTz00
おつ
580 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/02(土) 12:09:49.93 ID:t6+OVRaL0

臨海はやけにラブコメするなww
581 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/02(土) 13:13:35.49 ID:ut1YXQjiO
おつ
ガンQか懐かしい
今後は京太郎が狙われてくのかな?
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/02(土) 16:10:59.59 ID:qCknjY4XO
結局ガイトさんは見せたいのか見せたくないのか
頼んだら見せてくれるのかどっちなんだ?
583 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/02(土) 20:06:30.68 ID:Yy6ktnmlo
智葉さんはいつもチョロイン、知ってるんだ
584 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/02(土) 22:30:26.25 ID:4Qz2NhhB0
頼んだら見せてくれるけど責任取らされそう
585 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 22:46:42.67 ID:69leGPyD0
ずいぶん遅くなってしもうたけどもやってく所存ー

>>582
複雑な乙女心なんよたぶん
最初のは勢いで言ったけども今の京ちゃんならワンチャンあり
ただし家族にされる
586 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 23:01:57.95 ID:gSyrksoS0


―――【特異課東京基地:休憩所】


あれから四日後

東京にきてからかれこれ一週間の時が過ぎた

10月も半ば、中々好転しない事態


京太郎「なんかなぁ」

??「どうしたんですか、そんな顔して」

京太郎「あぁ、明華さん」

明華「おはようございます」ニコリ


ふわりと笑う彼女は雀明華、先日マガバッサーメダルで敵にされていた少女

どこも異常なしということで今は自由に動いているそうだ

長いロングスカートをなびかせて、少女は京太郎の対面に座る


京太郎「いやぁ、なんか目的とかなくて……」

ベリアル『適当に雀荘でも練り歩きゃ暴れられんだろ』

京太郎『やったじゃないですか、二日ほど』

ベリアル『……たく、つまんねぇな』

京太郎「確かに、つまんないなぁ」

明華「敵を求めてます?」

京太郎「うぇっ、そ、そういうわけじゃないっすよ」


それではまるでベリアルだ

戦闘狂二人では収集がつかない


明華「でも戦わなければ、きっと見つからないんですよね。ホェイちゃんも、メグちゃんも」

京太郎「ま、それはそうですよ」

明華「どうして敵対するんでしょう……」

ベリアル『そんなことどーだって良い、敵がいるからぶっつぶす! それで十分だ!』ハッ

京太郎『……まぁ俺も同感っすけど』


やはり、思考が毒されているかもしれない


京太郎「んー……」


瞬間、基地内に放送がかかる


栞『えーっと、実戦部隊のみなさん集合してくださーい!』

京太郎「ん?」

明華「呼び出しですね」
587 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 23:20:43.51 ID:gSyrksoS0


京太郎は作戦室へとやってくる

その後ろに着いてくる明華


京太郎「え、いいんですか?」

明華「ダメなんですか?」

京太郎「さ、さぁ……」


そう言いながら既に座っている智葉、ネリー、アレクサンドラ、栞を視界にいれる

頷いて座る京太郎と明華の二人

アレクサンドラがキーボードを叩く


京太郎「進展ですか?」

智葉「おそらく」

京太郎「曖昧っすね」

ネリー「私たちもまだ聞いてないから」

京太郎「なるほど」


モニターに表示される画像は前のような古文書


栞「えっと、前みつかった太平風土記の近くから発見されたの」

京太郎「またっすか? 予言のやつ?」

アレク「予言かどうかはまだわかんないけど……っと」


表示されるのは、不思議な絵


京太郎「……これは?」

アレク「古文書……魔頭鬼十郎のね」

京太郎「魔頭、鬼十郎……?」

栞「戦国時代の呪術師だって」

京太郎「呪術っすか?」

ベリアル『いくつか憶えがあるな』

京太郎『まじっすか?』
588 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 23:36:45.93 ID:1lswkanY0


明華「えっと、呪術っていうと……呪い、ですよね?」

栞「色々と暗躍してたみたいなんだけど、見て欲しいのは……」


映っていた魔頭鬼十郎本人の絵から、別の絵へと変わる

天使のような絵、黒い人型の絵、色々な絵が描かれていた


アレク「それにこれ……今回の事件についても触れてる」

ネリー「えっ!? 太平風土記みたいな!?」

アレク「まぁそれに近いんだろう……もっと邪悪なもののように見えるが」

栞「魔頭さんは呪術を使って数々の戦国武将さんたちを暗殺していったみたいなんですけど……」


掌に眼がついたような絵


栞「……最後は、一人の剣士に追いつめられて自害したって」

京太郎「自害ですか」フム

栞「でも魔頭さんは最後に、色々と布石を打ってたらしくて」

智葉「っ……メダルを使ってでも、世界をものにすると?」

アレク「ん、その通りだが……どうして?」

智葉「邪な者の考えそうなことです」

京太郎「……」

栞「そして魔頭さんの真の姿が、これなんだとか」


映るのは―――巨大な眼の化け物


京太郎「これは……」

ベリアル『ガンQ……』
589 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 23:39:41.67 ID:1lswkanY0


     第14話【呪いの微笑】

590 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 23:43:12.79 ID:1lswkanY0


◆安価!


1、松実宥

2、高鴨穏乃

3、福路美穂子

4、瑞原はやり

5、東横桃子

6、竹井久

7、辻垣内智葉

8、ネリー・ヴィルサラーゼ

9、雀明華


◇5分間で1↓から〜 コンマが一番高い選択肢

591 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/02(土) 23:45:01.50 ID:4Qz2NhhB0
9
592 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/03(日) 00:07:13.19 ID:M4GeDWCM0
9、雀明華



―――【江東区】


壁に背を預けている京太郎

少しばかりの肌寒さ、京太郎はコンビニで買ったホットコーヒーを飲む

その隣にやってくるのは、同じくホットコーヒーを持っている少女


京太郎「ん」

明華「お待たせしました」

京太郎「いえ、別にいまいち……5キロ圏内までは絞れたっぽいですけど」

明華「中途半端な予言ですね」


そう言いながら、両手でコーヒーのカップを持って飲む明華


京太郎「……」

明華「どうしました京太郎くん?」

京太郎「ああ、いえ」

京太郎(数ヶ月前じゃ考えられなかったなこんなの……)


雀士としても中途半端だった自分

まさかこんな事態になって、こんな状況になるなんて想像もしていなかった


明華「それにしても京太郎くんは凄いですね」

京太郎「?」

明華「人々を守るために、見も知らぬ人々を助けるために、戦ってるんですよね」

京太郎「そんな上等なもんじゃないっすよ」フッ

明華「……え?」

京太郎「俺は顔も知らない人らを助けるタイプじゃないんで」


遠くを見る京太郎に、明華は少しばかり首をかしげる


京太郎「顔を知ってる仲間や、知り合いだけですよ助けたいのは……最初ここに来たのはただ和追って来ただけですし」

明華「……でも、今は違う?」

京太郎「智葉さんとかネリーとか監督さんとか、栞さんも……」

明華「優しいんですね」クスッ

京太郎「え?」

明華「それで守る対象になるんですから、優しいんですよ」

京太郎「……そういうもんっすかね」

明華「そうですよ、私はそう思ってます」フフッ
593 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/03(日) 00:19:32.16 ID:Eiv6Vr0m0


気恥ずかしそうに、後頭部を掻く京太郎

笑う明華が歩き出すのでその後ろをついていく


京太郎「にしても、なんでついてきたんですか」

明華「私だって麻雀できますから」フフン

京太郎「麻雀だけだとは限りませんよ? 最近は特に」


麻雀を介する力、それを溜めてメダルから怪獣を生み出す

最近は、こちらが後手に出ているせいか力が十分に溜まっている場合が多い

怪獣の出現が増えてきた……


京太郎「……危ないんっすからね」

明華「ふふっ、私も守ってくれます?」

京太郎「もちろんっすよ」


そう言って笑う京太郎に、明華は嬉しそうに笑みで返す


京太郎(ぐおぉぉ! 俺は俺に優しい巨乳のおしとやか系女子に弱い!)

ベリアル『おい』

京太郎『あーベリアルさんご察ししてます!?』

ベリアル『大体わかるようになってきた』

京太郎『さーせん!』

ピピピピ

明華「ん、通信ですか?」

京太郎「あ……栞さんから」
594 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/03(日) 00:33:16.74 ID:aS5+THyG0


腕時計のような端末を開く

そこに映るのは―――


京太郎『おっぱい』

ベリアル『オレに聞こえるように言うんじゃねぇ』


栞『あれ、あってる? ああ、京太郎君!』

京太郎「どうもっす」キリッ

明華「?」


しっかりと宇野沢栞の顔が映る


栞『京太郎くんたちの近くに妙なエネルギー反応があって……』

京太郎「妙なエネルギー反応って……」

明華「例の、魔頭鬼十郎関係、でしょうか?」

京太郎「さぁ……魔頭鬼十郎、怪獣メダルを使ってでも蘇って世界征服をしようとする輩、か」

栞『気を付けてね。一応他のみんなにも連絡するから』

京太郎「了解です」

明華「……行きますか?」

京太郎「ええ、とりあえず先に向かってから、近くで待って合流しましょう」

明華「はい!」コクリ

595 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/03(日) 00:57:25.42 ID:aS5+THyG0


反応があったという場所―――から数メートル離れた場所

広い陸橋の上にいる京太郎と明華

目的地、というより反応があった場所を見下ろせる陸橋の上


京太郎「……どう思います?」

明華「え、うーん……特に変な感じはしないと思うんですが」

京太郎「同意です、だから気になるんっすよ」


眼を細める京太郎、その赤い瞳が輝く


明華(むしろ、こちらの方が妙な風を感じる……)

京太郎「……」

明華(いえいえ、京太郎くんになにを考えてるんですかっ)フリフリ


頭を振る明華の方を向く京太郎


京太郎「どうかしました?」

明華「ああいえ……ネリーちゃんたちは?」

京太郎「まだみたいっすけど―――だぁッ!!」

明華「ふぇっ!?」


京太郎が、明華を抱くと大きく跳んで転がる

明華を抱えたまま地面を転がり、起き上がると同時に即座に明華を片手に右手でガッツハイパーを構えた

状況を理解できずに、眼を点にしている明華


京太郎「罠ってわけか!」

明華「え……っ!」


バッとそちらを見る明華の視界の先

ピンク色の髪をなびかす少女……


明華「原村、和……」

京太郎「またお前かよ……」

和「こちらの台詞ですが」


そう言う原村和の体を使うナニカの真上に現れ、浮遊する人影……


京太郎「ッ!」

明華「あれは、あの人は確か……」

京太郎「国広一ッ!!」
596 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/03(日) 01:31:18.72 ID:w4sjys6T0


浮遊する国広一は笑顔を浮かべたまま、右腕を向ける

京太郎が立ち上がると明華を後ろにガッツハイパーを国広一へと向けた

向けられた一の右掌に描かれている目玉の絵


京太郎「っ……」

和「魔頭鬼十郎、頼みます」

一「……銭の思念ごときが私に指示するな」

和「それは失礼、しかし力はかしてもらいますよ……須賀京太郎を潰します」


その言葉と共に、殺気が京太郎を貫く

顔をしかめつつトリガーを引くと、その弾丸は国広一の前で止まる

結界のようななにかに止められて弾丸が落ちる


京太郎「っ!」

一「破ァ!」


放たれる紫色の弾

避ける余裕もなく、京太郎は手を前にクロスさせて受け止める

吹き飛ぶ京太郎が背中から地面にぶつかった


京太郎「ぐっ!」

ベリアル『なんで避けねぇ!』

京太郎『明華さんに当たるコースだった!』

ベリアル『ハッ、立てんだろうな?』

京太郎「もちろんですよっ……こんなところでっ」

明華「京太郎くんっ」


起き上がる京太郎をささえる明華

妙に違和感のある両腕に顔をしかめる京太郎は、まだマシな左腕でガッツハイパーを持つ

視線の先には和と一……いや、その中には根源的破滅招来体と魔頭鬼十郎だ


京太郎「テメェ、らっ……!」

和「……」

一「良い魔力を感じる。それ手に入れて我がガンQは完璧になる!」

京太郎「人を素材みたいに言いやがって……!」
597 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/03(日) 01:46:09.79 ID:w4sjys6T0

さらに、一の手に魔力が集まる

紫色の弾が京太郎へと放たれた


京太郎「ッ!」

明華「京太郎くんっ!」バッ

京太郎「明華ッ!?」


前に出て両手を広げる明華

京太郎が顔をしかめてゼットライザーを取り出そうとしたその瞬間―――


「ハァッ!」


紫色の魔力の弾丸が、目の前で斬り裂かれた

呆気にとられている明華

京太郎は安堵に息を吐く


明華「……さ、智葉ちゃんっ」


ガクリと、膝をついて息をつく明華

京太郎は笑みを浮かべながら立ち上がる

智葉は手に持った刀を納刀して、敵を見据えた


一「……貴様、錦田小十郎景竜!」

智葉「の、刀を持っているだけだ……魔頭鬼十郎!」

京太郎「なんなんっすか一体」ハァ

智葉「魔頭鬼十郎を討つならばおあつらい向きということだ」フッ

京太郎「……そりゃなによりっす」

一「消し去れぇ!」

和「私はこれで、ですね」


黒いゲートに消える和

京太郎が追おうとするが、魔頭鬼十郎こと国広一の上空に現れる影

それは―――


智葉「眼、だと?」

598 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/03(日) 01:54:10.23 ID:w4sjys6T0


離れた場所で、ネリーとアレクサンドラが立っていた

本来目的地である場所、だが離れた陸橋の上……


アレク「なんであそこで起こってんのよ!」

ネリー「わかんないよ!」


二人が陸橋の方に視線を向ける

突如、黒き光


アレク「えーっと、なにあれ?」

ネリー「眼ェ!?」

アレク「眼……魔頭鬼十郎!?」

599 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/03(日) 02:10:10.91 ID:mSL/+yGe0


現れるのは巨大な眼の魔物

国広一に憑りついた魔頭鬼十郎―――ガンQ

現れた不条理の魔物が体を揺らす


ガンQ「―――!」

京太郎「……」


独特の鳴き声をあげるガンQ


京太郎「撤退しますよ!」

智葉「チッ!」

明華「は、はい!」


智葉と明華を逃がす京太郎は、ガンQにガッツハイパーを放つ

放たれた弾丸はガンQをすり抜けていく


ガンQ「―――!」


鳴き声と共に放たれた光弾が、京太郎と智葉、明華の間を寸断する

巻き上がる砂煙、智葉たちの声が聞こえるので無事なのだろうと頷く

スーツの内側からゼットライザーを取り出した


京太郎「ベリアルさん、あいつは……」

ベリアル『魔頭鬼十郎、だったか? おそらくガンQのメダルを触媒に蘇ったんだろうよ』

京太郎「ちょっとわかりませんね」

ベリアル『だろぉな……まぁ良い、やるんだろ?』

京太郎「はい!」


そして、トリガーを引く

真上に開かれたゲートが落ちて京太郎をインナースペースに転送する
600 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/03(日) 02:16:03.13 ID:mSL/+yGe0


インナースペースに、京太郎は立って頷く

右手にカードを持ち左手のゼットライザーへと差し込む


『キョウタロウ・アクセスグランテッド』

京太郎「レイブラッド星人……!」


メダルを弾くと、周囲に闇が広がる

落ちるメダルを右手で取ると、赤い瞳が輝く


京太郎「究極生命体……」


ゼットライザーにメダルを差し込むと、ブレードをスライドさせる


『Alien Rayblood』

京太郎「ベリアルゥッ!」


トリガーを引き、叫ぶ

601 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/03(日) 02:21:04.89 ID:mSL/+yGe0


漆黒の光と共に現れる巨人

闇の巨人―――ベリアル


ベリアル「……!」

ガンQ「!!!」


巨大なその背中を見る智葉と明華の二人

駆けていく明華の後ろを追う智葉の足が、止まる


智葉「……京太郎」


つぶやいてから、明華を追って行く

体を震わすガンQの正面、ベリアルが構えをとった


魔頭鬼十郎「闇の巨人……よいではないか、私と共に」

京太郎『寝言は寝て良いなァ!』

ベリアル『気に入らねぇ……テメェは殺す!』

魔頭鬼十郎「ならば、死ねェ!」


ガンQが魔弾を放った
602 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/03(日) 02:24:59.36 ID:mSL/+yGe0

おっし今回はここまでー!

ガンQ戦ってことで、魔頭鬼十郎周りの話をぼんやり
唐突な龍門渕組登場

ちなみに今回が終わったら新しく場所移動ー

そんじゃまたー
603 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/03(日) 02:56:18.91 ID:JDm+/+tU0

てか錦田小十郎景竜を調べたらちゃんと魔頭鬼十朗と関係あるのか
次は岩手か北海道狙ってみたいな
604 : ◆dBIP2XuQhg [sage]:2021/10/03(日) 16:24:42.39 ID:xBbFn0K+0
ちなみに今夜やりますー
605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/03(日) 22:00:23.03 ID:0IIV0zRe0
待ってます
606 : ◆dBIP2XuQhg [sage]:2021/10/03(日) 22:42:32.57 ID:6pdBsuWp0
おっしやってく所存ー
607 : ◆dBIP2XuQhg [sage]:2021/10/03(日) 22:56:28.63 ID:6pdBsuWp0


ガンQから放たれた魔弾を、爪で斬り裂くベリアル

肩を回し、首を鳴らしながらガンQへと歩いていく


京太郎『ベリアルさん、こいつ知ってるんですよね?』

ベリアル『ガンQってもひとくくりにできねぇよ。魔頭鬼十郎のガンQはそれこそ不条理の怪獣だとか聞いたことある』


さらにガンQが放つ魔弾を、弾き、斬り裂く


京太郎『不条理ってどういう?』

ベリアル『かつての下僕のその下僕にガンQがいたがな……おそらくこいつとはまた違う』

京太郎『なら、こいつはまた別の怪獣ってことで良いっすか!』

ベリアル『ああ、問題ねぇ……いくぞ!』


歩いていたベリアルが、強く踏み込み―――跳ぶ

一気に距離をつめるようにガンQへと跳ぶベリアルは、そのままクローを振るう


京太郎『もらったァ!』

ベリアル「ジャアァッ!」


振るわれたクローが斬撃を放つ―――だが


ベリアル「!?」


智葉「バカな!」

明華「すり抜けた!?」


ベリアルの斬撃も体もすり抜けて、ガンQの背後に着地する

振り返るベリアルに対してガンQも振り返った

そしてガンQの全身についた眼が輝くと、ベリアルは見えない攻撃を受けて吹き飛ぶ


ベリアル「ガアァッ!」


ビルを破壊して倒れるベリアル


京太郎『なんっ、だと……!』

ベリアル『これが、魔頭鬼十郎のガンQかっ!』
608 : ◆dBIP2XuQhg [sage]:2021/10/03(日) 23:06:17.70 ID:6pdBsuWp0


立ち上がったベリアルに、ガンQが魔弾を放つ

バリアを張るベリアルがその魔弾を弾き返す


京太郎『テメェの攻撃ならどうだッ!』


弾き返された魔弾は―――再びガンQをすり抜けた


ベリアル『チッ、これでもダメか!』


ガンQがさらに魔弾を乱射する

数発を弾くも、全てを弾けず直撃を受けて怯む


ベリアル「グァッ!」

京太郎『こ、いつっ……!』


倒れたベリアル、京太郎は顔をしかめる

さらに、ガンQの全身の眼が輝く


京太郎『ウアァッ!!』


その一方的な攻撃、ダメージに胸のカラータイマーが点滅を始めた
609 : ◆dBIP2XuQhg [sage]:2021/10/03(日) 23:25:55.57 ID:J0DMloBD0


そこから離れた場所で、智葉が歯ぎしりをする

蘇った魔頭鬼十郎とガンQ

激しい攻撃でベリアルを追いつめている


ネリー「一方的じゃん!」

アレク「京太郎は!」

明華「わ、わかりません……爆発に巻き込まれてっ」


涙目の明華の肩を掴んで、頭を振る智葉


智葉「あいつは大丈夫だ……」フッ

明華「ほんとですかぁ?」ウルウル

智葉「……たぶん」

明華「ふぇっ」

智葉(私も、私も力になれれば……!)


刀を握りしめる


??(ほう、物の怪か……)

智葉「え、なにか……いや、男の声」

ネリー「へ、どしたの?」

智葉「え、あ、いや……」

??(あの大きさになると拙者の手にはおえんな)

智葉「っ……!」ダッ

ネリー「へ、智葉!?」


走る智葉はアレクサンドラたちから離れる

頭の中に声が聞こえていた


??(あちらの人の形をした巨人も十分に邪な気配を感じるが……)

智葉「あっちは、私の友達だ……!」

??(ほう女子、あの巨大な魔頭鬼十郎をどうするつもりだ? 宿儺鬼しかり、拙者はあの寸法では)

智葉「魔頭鬼十郎さえ、ダメージさえ追わせられればいいんだ……錦田小十郎景竜!」

錦田小十郎景竜(そういうことであれば拙者に一案)
610 : ◆dBIP2XuQhg [sage]:2021/10/03(日) 23:39:00.14 ID:J0DMloBD0


ベリアルが、バリアを使って魔弾を凌ぐ

バリアを解くと、ガンQの眼が輝く


京太郎『こっちなら!』

ベリアル『もう少しだ!』

京太郎『おっす!』


力強く、地を蹴り横に跳ぶ

元いた場所に爆発が起きるが、ベリアルはダメージを受けずに回避した

だが、着地したベリアルが放つ光弾はガンQをすり抜ける


京太郎『このままじゃぁっ!』

ベリアル『焦んじゃねえよ、あっちも決め手に欠けてやがる』

京太郎『でも……!』

魔頭鬼十郎「ええい、小賢しい……!」


ガンQが体を震わせてさらなる魔弾を放とうとする

その瞬間―――


智葉「魔頭鬼十郎ぉ!」

京太郎『智葉っ!?』


叫ぶ辻垣内智葉の方を、ガンQが向く

その中の魔頭鬼十郎もだ


魔頭鬼十郎「錦田小十郎景竜の血統の者めぇ……忌々しい!」

智葉「やらせるか……京太郎をぉ!」


刀を抜いて、右手で逆手に持つ

ガンQが瞳に魔翌力を溜めているが、智葉は即座に刀を―――投擲した


魔頭鬼十郎「ん!?」
611 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/03(日) 23:48:03.14 ID:J0DMloBD0


なにかの力が宿っているかのように、真っ直ぐに飛ぶ刀

それは真っ直ぐに、ガンQに―――突き刺さる


魔頭鬼十郎「ぬおぉ!!?」


今までダメージが一切通らなかったガンQが、苦しむ

刀が刺さった部分から紫色の液体を撒き散らす


ガンQ「!!?」

京太郎『あれは……!』

ベリアル『いくぞ小僧ォ!』

京太郎『はい!』


ガンQへと接近したベリアルが、腕を振るう

放たれる斬撃は、ガンQを怯ませる


京太郎『当たる!』


さらに爪撃、蹴り


魔頭鬼十郎「ぬおぉ!? おのれ再びぃ!」

京太郎『いきますよォ!』

ベリアル「シャアッ!」


次々と放たれる攻撃にガンQの巨大な目玉はへこみ、体中から液体を撒き散らしていく
612 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/04(月) 00:03:16.06 ID:BEAUJ56J0


バックステップでガンQから距離を取る


魔頭鬼十郎「貴様ァ!」


ガンQが鳴き声を上げながら揺れる

魔力を集めているようだが、もう遅い

ベリアルの右手に赤い稲妻


ベリアル・京太郎『デスシウム光線!』


放たれる必殺光線


魔頭鬼十郎「いずれ! 私はいずれぇ!」

ベリアル『いずれなんて来ねぇよ!』

京太郎『消え去れェ!』


デスシウム光線を受けたガンQが、爆散する

破片が周囲へと撒き散らされるも、すぐに塵と消えていく

右手を振るい首を鳴らすベリアルが、視線を智葉の方へと向ける


智葉「……!」ニッ

ベリアル「……」


何も言わずになにもせず、ベリアルは視線を上空へと向けると空へと去って行く
613 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/04(月) 00:20:19.43 ID:d7G4HbFy0


立っている智葉

そこにやってくるのはネリー、明華、アレクサンドラの三人

笑みを浮かべて頷く智葉


智葉「……終わった」フッ

ネリー「まだでしょ」

明華「ええ、魔頭鬼十郎を倒してもまだ……私たちは」


その通り、この事件の根本は魔頭鬼十郎ではない

頷いた智葉が思い出すのは、原村和とテンペラー星人


アレク「ところで、京太郎は?」

智葉「京太郎なら……」

「おーい!」

智葉「帰ってきた……」

明華「京太郎くんっ……」


歩いてくる京太郎

その手に刀を持って、近づいてくる

スーツ姿、サングラス―――からの刀


アレク「ジャパニーズヤクザ」

ネリー「智葉の家の人?」

智葉「!!?」


明華「……おかえりなさい」ホッ

ネリー「明華の家の人だったらしいよ」

明華「ふぇっ!?」カァッ

ネリー「いや、そういうことじゃないから」
614 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/04(月) 00:34:50.89 ID:d7G4HbFy0


―――【特異課東京基地:休憩所】


座ってコーヒーを飲んでいる京太郎

なんだか妙な日だった

智葉には助けられたものの、京太郎の手にメダルはない


京太郎「テンペラー星人か和に回収されたか……?」

ベリアル『だろうな、ガンQメダルは喉から手が出るほどほしいだろ』

京太郎「……そうなんっすか?」

ベリアル『まぁな』


静かに、京太郎は息をつく

すると突如、通信が入った

手首の端末を開くとそこにはトシ


京太郎「いつの間にどっか行ったんですか」

トシ『こっちは色々忙しいの……いや“こっちも”か』

京太郎「……お互いさまです」


苦笑する京太郎


トシ『フッ、それと……新しい情報だ』

京太郎「なんの?」

トシ『……原村和じゃない』

京太郎「そっすかぁ」

トシ『宮永咲の』

京太郎「!」
615 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/04(月) 00:50:00.38 ID:d7G4HbFy0


―――【特異課東京基地:屋上】


難しい顔をしつつ屋上への扉を開ける京太郎

目の前には―――


京太郎「……誰だ」

ベリアル『あぁ? 嫌な感じだな』

京太郎「……」


―――須賀京太郎が、いた


京太郎「ハッ、なんだよその顔」


二人の須賀京太郎が向きあっている

京太郎は即座にガッツハイパーを抜くが、相手こと京太郎は何をするでもなく笑っていた

迷いなくトリガーを引く


京太郎?「おっと危ねぇ」


軽く体をかたむけて回避する京太郎(?)


京太郎?「ちょっと顔見せにきただけだよ」

京太郎「なに?」

京太郎?「じゃあな、俺はあいつの方に行く―――咲の方にな」

京太郎「お前は一体なんだ!」

京太郎?「わかってるんだろ?」


笑みを浮かべる京太郎(?)


京太郎「俺はお前だよ須賀京太郎!」

616 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/04(月) 01:04:44.33 ID:jdjI7KP10


―――翌朝【特異課東京基地:作戦室】


京太郎「それじゃ出ます」

アレク「え、なんでまた?」

京太郎「ちょっと次の目的地が決定したんで」


そう言うと財布とケータイをポケットにあるのを確認する

頷いた京太郎が、アレクサンドラの方を見て笑う


アレク「……また戻ってくるの?」

京太郎「まぁ別れの挨拶も済まさず行くつもりですからね」

アレク「……そうか、みんなには話しとくよ」

京太郎「お願いします」フッ

アレク「なにかあったの?」


サングラスをかけた京太郎は、静かに息をつく

その奥の瞳は僅かに歪む


京太郎「……いえ、俺の問題ですから」

アレク「……京太郎」

京太郎「?」

アレク「お前の問題はきっと、私たちの問題でもあるからね」

京太郎「……うっす」ニッ

アレク「行ってらっしゃい」

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