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【咲-saki-】京太郎「ウルトラマンの力」咲「光よ!」

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464 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/25(土) 00:52:28.74 ID:u1q0J2d10
今日はなかったのか
>>463
プロとかにウルトラマンいそうだし東京?
465 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/25(土) 21:18:23.26 ID:ZPJk9T8R0
やってく所存ー
とりま続きからでごぜーます
466 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/25(土) 21:30:19.16 ID:HK2K41Su0


―――【松実館:廊下】


あれから三日、京太郎は相も変わらず松実館だった

それなりにここでの暮らしも慣れてきた……慣れてきてしまったのだ

これでは良くない。目的と違う


京太郎「……」

ベリアル『良い目をするようになったじゃねぇか』

京太郎『え?』

ベリアル『なんでもねぇよ……とりあえず、また気配があったら教えてやる。潰させろ』

京太郎『是非っすよ』


宥「あ、おはよう京太郎くん」

京太郎「ん、おはようございます宥さん」フッ

松実父「京太郎くーん」

京太郎「おはようございますおとうっ……えっと、松実さん」

松実父「お義父さんで良いって!」バシバシ

京太郎「そういうの普通逆なんじゃ……」

宥「あぅっ」カァッ


赤くなる宥、京太郎は松実父の方に眼をやるが笑いながら去って行くのみ

少し気恥ずかしそうに、京太郎は後頭部を掻きながら宥に笑いかけた


京太郎「……それじゃ、いきます」

宥「あ、うんっ……わ、私もすぐ行くから玄関で待ってて!」

京太郎「はい」フッ


そう返事をして去って行く京太郎の背を見送る宥

少しばかり赤い顔、だが宥は少しばかり心配そうな視線を京太郎の背中に送る


宥「大丈夫かなぁ、恐い目してたけど……」

467 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/25(土) 21:33:31.13 ID:HK2K41Su0


     第11話【悪魔】

468 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/25(土) 21:50:55.32 ID:HK2K41Su0


―――【特異課奈良支部:作戦室】


宥と共に、基地へとやってきたが今そこにいるのは京太郎一人である

机の上に並べられているのは京太郎が持っているメダル

中々な枚数になったなと思いながら、一枚一枚を見ながらしまっていく


京太郎「増えたなぁ」

ベリアル『まぁなんの足しにもなんねぇけどな』

京太郎「たしかに」フッ


・ベムラー
・ネロンガ
・ゴモラ
・レッドキング
・グビラ
・エレキング
・ゴドラ星人
・クレージーゴン
・アーストロン
・タッコング
・アリブンタ
・ガギ
・シルバゴン
・レギュラン星人
・ガグマ(α・β)
・レイブラッド星人


京太郎「……しかし」

ベリアル『ああ?』

京太郎「レギュラン星人、こいつってメダルじゃないって言ってませんでした?」

ベリアル『よーやくか』

京太郎「はい……なのにメダルになった」

ベリアル『こいつはかなりのエネルギーを持ってたんだろうな。それこそメダルを必要としないほどにな』

京太郎「元は、メダルなんですよね?」

ベリアル『ああ、だが意思と執念とエネルギー、それで実体化したんだろぉよ』

京太郎「そんなこと、が……」

ベリアル『あるんだろぉな、見た通りな』

京太郎「……」


メダルをすべてしまい終ったその瞬間、扉が開く


京太郎「ん?」

晴絵「よ!」

京太郎「晴絵さん」
469 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/25(土) 22:13:34.43 ID:G/ZltYch0


入ってきたのは赤土晴絵

そもそも、今ここにいるのは晴絵に呼ばれたからだ

だからこそ待っていましたとばかりに顔をそちらに向けた


京太郎「で、今日はなんですか?」

晴絵「いやぁ〜どうかなって」

京太郎「近況報告なんて聞きたいですか? 俺の」

晴絵「なんていうか、進展なさ過ぎてね」

京太郎「まぁ……」


手がかりはあの日から一切ない

顔をしかめる京太郎と、苦笑する晴絵

立ち上がった京太郎はケータイを確認する


京太郎「行ってきますよ?」

晴絵「待った」

京太郎「?」

晴絵「ほい」


投げられたガッツハイパーのカートリッジ、それを受け取る


京太郎「なんで?」

晴絵「さぁ、なんかの役に立つかもだし……って熊倉さんが」

京太郎「……トシさんか、どうもです」


そう言うと、それをポケットに入れて京太郎は部屋を出る

座った晴絵がため息をついて一枚のメダルを取り出した

そこに描かれているのは―――トゲトゲ星人ことジャグラス・ジャグラー


晴絵「私はどーすれば良いのかねぇ」

470 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/25(土) 22:14:55.95 ID:G/ZltYch0


入ってきたのは赤土晴絵

そもそも、今ここにいるのは晴絵に呼ばれたからだ

だからこそ待っていましたとばかりに顔をそちらに向けた


京太郎「で、今日はなんですか?」

晴絵「いやぁ〜どうかなって」

京太郎「近況報告なんて聞きたいですか? 俺の」

晴絵「なんていうか、進展なさ過ぎてね」

京太郎「まぁ……」


手がかりはあの日から一切ない

顔をしかめる京太郎と、苦笑する晴絵

立ち上がった京太郎はケータイを確認する


京太郎「行ってきますよ?」

晴絵「待った」

京太郎「?」

晴絵「ほい」


投げられたガッツハイパーのカートリッジ、それを受け取る


京太郎「なんで?」

晴絵「さぁ、なんかの役に立つかもだし……って熊倉さんが」

京太郎「……トシさんか、どうもです」


そう言うと、それをポケットに入れて京太郎は部屋を出る

座った晴絵がため息をついて一枚のメダルを取り出した

そこに描かれているのは―――トゲトゲ星人ことジャグラス・ジャグラー


晴絵「私はどーすれば良いのかねぇ」

471 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/25(土) 22:36:33.06 ID:DdSWADeE0


そのまま、ケータイでの連絡通りに京太郎は基地の正面玄関へとやってくる

手を振られてそちらに近づく

立っていたのは穏乃と宥の二人


京太郎「珍しいっすね歩きとは」

穏乃「まぁやることないしねー」

宥「玄ちゃんも、灼ちゃんも、憧ちゃんも……和ちゃんの手がかりもないし」


その言葉に頷く京太郎は、二人と共に歩き出す

基地を出て、街中へと出る

カイザードビシやアグルとの戦いの爪痕はまだ残っているがそれでも復興速度はかなりのものだ


京太郎(特異課ってか、御上のパワー?)

宥「どうしよっかぁ」

穏乃「当てもなく歩いててもしょうがないしなぁ」


そう言いながらも三人で歩く

スーツ姿の穏乃、宥の違和感、そして京太郎の納得感

それでも不思議なものでこう日数が経てばそれなりに慣れているのか街中では挨拶までされる
472 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/25(土) 22:50:56.78 ID:YzVVhoFV0


歩く三人、京太郎はふと立ち止まった

後ろの二人も足を止める


京太郎「もう、いないのかなぁ」

穏乃「……和かぁ、玄さんたち連れてっちゃったかなぁ」

宥「憧ちゃんも……」

穏乃「……はぁ」


手がかりさえ見つかれば、動きようがあるのだ

だが最近ではベリアルですら気配を掴めていない

ともなれば……


京太郎「もう、いないのか?」

ベリアル『っ! おい小僧ォ!』

京太郎「え?」

?「誰がいないんですか?」


三人の、誰の言葉でもなかった。声でなかった

だがしかし、聞き覚えのある。聞きなれた声だ

だからこそ勢いよく振り返った京太郎


京太郎「ッ!?」


その視界に映るのは―――原村和

さらに振り返った穏乃と宥の二人の腕を掴んで、原村和から離して京太郎は自分の後ろにやる

流れるような動きで、京太郎はガッツハイパーを抜いた


京太郎「……なんで」

和「なんでなんて、簡単なことじゃぁありませんか?」

京太郎「……」

和「別れの挨拶です」

京太郎「……は?」

473 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/25(土) 23:38:49.04 ID:zo6/eFgX0


拍子抜けして、止まる

言いたいことは何一つとして思い浮かばない

目の前の和は和では無い。それもそうだ


和「とりあえず、ここはもう用はありません」

穏乃「……あ、あなたたちは一体何が目的で!」

和「?」

京太郎「やめろ穏乃、どうせ根源的破滅招来体なんだ……」

和「その通り」

京太郎「その、紛い物だけどな」

和「……」


殺気を感じて、京太郎は眼を鋭く細めてからガッツハイパーをしっかりと和に向ける

だが、その後ろにさらに現れる影

それは、松実玄と鷺森灼


京太郎「ッ!」

和「さよならです」


そう言う和の前に立つのは鷺森灼

消える和と玄の二人


宥「玄ちゃぁん!」


宥が伸ばそうとする手を下げさせて、京太郎は鷺森灼に銃口を向けた


穏乃「京太郎!?」

京太郎「下がれ!」


灼の中心から溢れるのは―――光


穏乃「光!? 闇!?」

京太郎「いや……!」

ベリアル『闇も光もねぇ』

京太郎「純粋な、破滅の意思……!」


そして舞い上がる光と共に現れるのは―――


ベリアル『宇宙悪魔ベゼルブ!』

474 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/25(土) 23:57:46.65 ID:/m/60dX/0


空に現れる黒い蟲型怪獣こと宇宙悪魔ベゼルブ

羽音を立てながら一度飛び上がると、勢いよく地面に降り立った

吹き飛ばされそうになる京太郎は宥と穏乃をしっかりと抱えている


京太郎「くそっ!」

穏乃「きょ、京太郎っ!」


暴風がおさまると、二人の手を握って走る

近場の路地裏へと入ると、息をついてガッツハイパーを握り直す

カートリッジは実弾へと変えた


穏乃「ちょっと京太郎!」

宥「京太郎くんっ!」

京太郎「大人しくしとけよ」


路地裏の向こう、大通りの方では暴風が吹いている

瓦礫が飛んでいるのも見えた

穏乃は、グッとスーツの内側にしまってあるそれを握る


穏乃「ダメだよ!」

京太郎「は?」

穏乃「……行くよ私が、でなきゃ一緒に」


その強い瞳を真っ直ぐと見て、言い返すこともできなかった

静かに息をつくと頷いて宥の方を見る

首を横に振る宥の頭を、そっと撫でた


京太郎「いってきます」

宥「だ、ダメだよ! 玄ちゃんも帰ってこないのにっ、京太郎くんと穏乃ちゃんまでっ!」

京太郎「……俺たちは、死なないから」

宥「そ、そんなっ」


頷いた京太郎が、宥の制止を振り切って飛びだす

同じく穏乃も飛びだすので、宥が追いかけようとするが路地裏からの出口を丁度、瓦礫が塞いだ

僅かな隙間から走って行く二人が一瞬だけ見えた


宥「ッ……玄ちゃんっ、私一体どうすればっ」

475 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/26(日) 00:17:21.36 ID:peVSvvL80


路地裏から飛び出た京太郎と穏乃の二人がベゼルブへと走る

勿論ガッツハイパーを撃ちながらな京太郎だが、その隣の穏乃は周囲を見回すとエスプレンダーを握った

やることは一つ、なのだろう……


京太郎「……」

穏乃「行ってくる!」


無言でうなずくと、穏乃は笑みを浮かべてベゼルブの方へと走る

宇宙悪魔ベゼルブは爪と口から火炎弾を撃ち出した


穏乃「ガイアァァッ!」


爆発―――だが、赤き光と共に、土を巻き上げてウルトラマンガイアが現れる


ガイア「チャァッ!」

◆BGM:逆転のクァンタムストリーム【http://www.youtube.com/watch?v=LleQVTBhwXQ


素早く構えを取ると、ベゼルブもガイアを警戒しているのか動きを止める

ベゼルブを中心に、円を描くように横に移動するガイア

出方を待っているのだろう……


京太郎「光の巨人、ガイアか……」

ベリアル『ハッ、どうしたい?』

京太郎「まだ、前と同じなら……!」

ベリアル『そういうことか、ちったぁ頭使うじゃねぇか』

京太郎「案外頭脳派っすよ。これでも雀士なんで!」

476 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/26(日) 00:41:16.81 ID:peVSvvL80


ベゼルブが尾を伸ばす


穏乃『やばい気がする!』


その尾の先の針に当たらぬよう回避

長いその手のものは先のカイザードビシのバトル触手で学習済みだ

ガイアが素早く光弾を放って尾を破壊する


ベゼルブ「―――!」

ガイア「ハアァッ!」


素早く接近して拳を打ち込み、怯んだところで回し蹴り

仰け反るベゼルブにさらに拳を打ち込んだ

だが、ベゼルブはその一撃を耐えた


ガイア「!」

ベゼルブ「!」


口から、火球が放たれる

その直撃をうけてガイアが後ろへと吹き飛ぶ

倒れるガイアの傍、ビルの屋上に立つ影


ガイア「ッ!」

穏乃『―――憧!?』


そこに立っているのは、新子憧だった

虚ろな瞳で、ガイアを見つめる


穏乃『憧ォ!』


咆哮を上げてから、ゆっくりと近づくベゼルブ

屋上の憧へと手を伸ばすガイア

そして―――


京太郎「ホールドアップだ……ベタ下りを勧めるぜ新子憧」

憧「……」

京太郎「いや、ウルトラマンアグル……根源的、破滅招来体……」


真っ直ぐに、ガッツハイパーの銃口を新子憧に向けていた
477 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/26(日) 00:45:09.67 ID:peVSvvL80
よもやよもや今回はここまでー
ここで阿知賀編が一旦一区切りつく、かも? どうなる憧!

またどこ行くか安価って感じでー

そんじゃまたー
478 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/26(日) 01:26:56.86 ID:l0PC3AMb0

やっぱ京太郎は正統派っぽくないなベリアルだから当然だけど
あこちゃーはやっぱ洗脳されてる感じか?
479 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/26(日) 22:02:28.07 ID:mDDPBhgJ0
よっし、やってくよー
480 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/26(日) 22:17:13.78 ID:mDDPBhgJ0


京太郎「……俺は撃つぞ、生身だろうと」

憧「……」


迷いのない京太郎の瞳

ゆっくりと、新子憧が振り返った

その瞳は“アグルと同じくピンク”だ


京太郎「……」

ベリアル『やはりな、あれはアグルじゃねえ!』

京太郎「なら!」


その言葉を聞き、トリガーにそえた指に力を込め引く

ガッツハイパーから銃弾が放たれる。スタン能力が宿ったショック弾

だがその弾丸が憧にぶつかるよりも早く、憧の体から光が溢れる


京太郎「ッ!?」

穏乃『嘘っ!?』


倒れる新子憧だがその光は上空でカタチとなった

起き上がるガイア、そこから少し離れたベゼルブの前に降り立つのは―――アグル

土を舞い上げ、降臨する


京太郎「アグルっ!」

ベリアル『やはりな、あれは本物のアグルじゃねぇ』

京太郎「ガイア! 新子憧はここにいる!」


倒れている憧を抱き上げて叫ぶ京太郎

それに頷いて、ガイアはアグルとその隣に並ぶベゼルブに構えをとった

ビルの中に入る京太郎が、勢いよくかけていく


京太郎「……さっさとやる!」

ベリアル『アグルじゃねぇってもあれは、能力を丸々コピーした代物だ』

京太郎「了解、注意しますよ……」


そう言ってビルから出る京太郎

その背後でガイアが走り出す
481 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/26(日) 22:29:56.10 ID:mDDPBhgJ0


大きく腕を振るって、拳を振るうガイア

その一撃がベゼルブを怯ませるが、アグルが素早くガイアの胴体に蹴りを打ち込む

ひるんだガイアを、ベゼルブが火球で攻撃


ガイア「グアァッ!」


吹き飛び、地上へと倒れるガイアだが転がって距離を取り起き上がる

だがその瞬間、目の前へとやってきたアグルが腕を振るう

そしてその腕に出現していた光の剣がガイアを斬り裂いた


穏乃『ぐっ、ああぁっ!』


ガイアが膝をつく

その正面に立つアグルは、ゆっくりと剣を持った右手を振り上げる

アグルの口元が歪に曲がる


穏乃『ぐっ! こいつはぁっ!』

アグル「フッ!」


京太郎「やらせるかよぉ!」


走る京太郎がゲートをくぐる

482 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/26(日) 22:47:04.00 ID:mDDPBhgJ0


黒い光が真っ直ぐに飛び、途中で漆黒のベリアルが現れる

その勢いのまま、ベリアルはアグルの体をクローで斬り裂く

吹き飛んだアグルが、ビルを破壊しながら倒れる


ベリアル「ハァッ!」

京太郎『次はァ!』


ベゼルブが放つ火球をクローで斬り裂くと、光弾を放ちベゼルブを怯ませた

素早く、ベゼルブへと近づくと膝蹴り、さらに爪撃を打ち込む


ベゼルブ「―――!」

ベリアル「ハァッ!」

京太郎『鷺森灼だろうと!』


さらなる爪撃で、ベゼルブは吹き飛んで倒れた

右腕を空に振るうベリアル

そこから少し離れた場所で、起き上がるアグル


アグル「グウッ!」

ガイア「……シュワッ!」

穏乃『憧に憑りついてあんなことしてッ!』


アグルが両手を構える

強く握った拳を目の前に構えたガイア


穏乃『……許さんッ!』

483 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/26(日) 23:02:02.27 ID:mDDPBhgJ0


ベゼルブを蹴り飛ばして、ベリアルが振り返る


インナースペースの京太郎は握りしめた拳を見つつ、開く

そこにあるのは、一枚のメダル

怪獣メダルとは違う


京太郎「……」


初めて見る―――ウルトラマンのメダル

そこにはアグルが描かれていて、目に色はもちろん白

その本物のアグルのメダルを握りしめて、しっかりと正面のベゼルブを見据える


京太郎「ならっ!」


素早く回し蹴りをすると、外側ではベリアルが蹴りを放つ

ベゼルブが吹き飛んだのを確認して、京太郎はガイアの方を向く

アグル相手に防戦一方のガイア


京太郎「……受け取れよ、ガイア!」


腕を振るい、メダルを投げた

インナースペースで投げられたメダルは、外側のベリアルのカラータイマーから放たれる

そのまま真っ直ぐに、ガイアへと跳ぶアグルメダル


穏乃『ッ!!?』


それは途中で青い光へと変わり、ガイアの胸のカラータイマーへと吸い込まれていく

立ち上がるガイア、その体が輝きを放つ

アグルがその光に怯む
484 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/26(日) 23:17:09.36 ID:mDDPBhgJ0


そして、ガイアの姿が変わる

玄が混ざり、その胸には青き光すらも宿していた

ウルトラマンガイアV2―――新たなる光の誕生である


それを見ていたベリアル

その中で、苦笑を浮かべる京太郎


京太郎『……光、か』

ベリアル『あぁん? 憧れたか、今更?』

京太郎『まさか、今は闇の力が強い。だから使うだけっすよ……光が強けりゃそれを使う』

ベリアル『ハッ、上等だ!』


飛び上がったベゼルブを追い、ベリアルも飛び上がる


相対するガイアV2とニセアグル

剣を出現させるアグルと、相成すようにガイアもその手に剣を出現させた

二つのアグルの力、だが本物の光は―――


穏乃『これが、地球から、アグルから受け取った光の力ッ!!』

ガイア「シェアッ!」

アグル「フンッ!」


二つの剣がぶつかりあう

485 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/26(日) 23:54:37.58 ID:zkAlcSlz0


素早い剣戟の応酬、だがガイアのパワーの方が上なのか、アグルは徐々に押されていく

剣を振るう速度を上げるアグルだが、ガイアの剣を止めるのにペースが乱れる

そして―――


ガイア「チャァッ!」

アグル「グアッ!」


斬撃を受けて、吹き飛ぶアグル

立ち上がるアグルが、怒りをあらわにするように両腕を左右に振るう

怒りのままに、アグルは右腕を真上へと上げていく


穏乃『なら!』


アグルの額から伸びる光刃

だが、ガイアも同じように構えを取る

そしてガイアの額からも同じように光刃が出現する

いつものフォトエッジとは違う……光の剣


ガイア「ッ……!」

アグル「……デヤアァッ!」

ガイア「ハアァァッ!」


二つの光刃が、ぶつかり合う

486 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/27(月) 00:12:27.08 ID:gWIe4LpM0


空中でベゼルブがベリアルへと飛ぶ

一方のベリアルはそのまま、真っ直ぐに飛んでいる


京太郎『正面から潰す!』

ベリアル『わかりやすいな!』

ベゼルブ「―――!」


そしてそのまま―――すれ違う

だが、ベゼルブの羽が斬り裂かれて地上へと落ちていく


京太郎『俺達かなり強くなってんじゃないっすか?』

ベリアル『ハッ、本来のオレの半分の力もねぇよ』


アスファルトと土を巻き上げて落下するベゼルブ

その正面に降り立つ、ベリアル

起き上がったベゼルブが、ベリアルへと走り出す


京太郎『いきまァす!』

ベリアル『いくぞォ!』


クロスする腕、右腕の手の平は相手の方に向けている


ベリアル・京太郎『デスシウム光線!』


そして、光線が放たれる
487 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/27(月) 00:24:33.41 ID:uudAP7Ie0
最近の京太郎基本余裕勝ちしてるな
488 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/27(月) 00:27:52.52 ID:gWIe4LpM0


ガイアとアグルの二つの光刃がぶつかりあう

だが、ガイアの光刃のパワーは圧倒的だった

そのまま真っ直ぐにアグルにがぶつかり、それと共にアグルは爆散


ガイア「!」


吹き飛んだ破片は金属、それが正体だったのだろう

そして一方、ベゼルブもデスシウム光線を受けて爆散した

右腕を払うように振るベリアルが、振り返ってガイアの方を向く


穏乃『誰、なの? ベリアル……あなたは一体!』

ベリアル「……シャッ!」

穏乃『ベリアル……』


空へと消えるベリアル

それを見送ると、ガイアもまた上空へと飛んでいく


そして地上、ベゼルブがいた場所には―――鷺森灼がいた
489 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/27(月) 00:44:59.33 ID:gWIe4LpM0


地上で横たわる鷺森灼

そしてそこに現れるのは―――アンドロイド兵 バリスレイダー


バリスレイダー「……!」


手を伸ばすその瞬間、バリスレイダーの手が切断されて宙を舞う

バリスレイダーが攻撃があった方向を向く

だが遅い、刀はバリスレイダーを真っ二つにする


晴絵「……」


トゲトゲ星人こと無幻魔人ジャグラス ジャグラーの姿をした赤土晴絵がそこにいた

真っ二つになったバリスレイダーを前に、刀を逆手持ちして膝をつく


晴絵「灼!」

灼「うっ……」

晴絵「……灼」ホッ


息をつく晴絵だが、すぐに立ち上がった

視線の先には、少女―――を抱いた少年


晴絵「お前か」

京太郎「離れろ……」

晴絵「はいはい、なんだよ助けてやったのに」

京太郎「信用ならないだろ。顔も見せない奴」

晴絵「やっぱベリアルと一緒の奴は違うねぇ」


その言葉に返すことなく、京太郎はそのまま灼に近づいて憧を降ろす

上着を脱ぐと、それをまくらにして二人の頭をそっと降ろした


晴絵「優しいねぇ」

京太郎「うるせ」
490 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/27(月) 00:56:31.59 ID:gWIe4LpM0


晴絵「それじゃ私はこれで……」

京太郎「おい、お前一体なにが目的で」

晴絵「さて……じゃあな」


それだけ言うと、黒い閃光となって消えるジャグラス ジャグラー

息を吐いた京太郎

敵意を感じないことに確かな納得を感じつつ、膝をつく


京太郎「怪我は、許してくれよな……鷺森さん」

穏乃「おーい!」

京太郎「穏乃……」


走ってきた穏乃が、憧と灼を見て安心したように息をついた


京太郎「……アグルの光、か」

穏乃「え」

京太郎「……いや」


フッと微笑みつつも憧の方を見る

穏乃には見えていないようだが、京太郎には見えた

暗い場所からだからこそ見える僅かな星の光


京太郎『……まだ、残ってるんですね』

ベリアル『みてぇだな、金属生命体とウルトラメダルを合わせることでウルトラメダルの力を強制的に引き出すたぁ考えたな』

京太郎『でも』

ベリアル『ま、どうなるかはわかんねぇがな』
491 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/27(月) 01:14:06.08 ID:gWIe4LpM0


頭の中でベリアルと話をしていると、声が聞こえる

そちらを見れば―――揺れていた


京太郎「宥さん!」

宥「きょ、京太郎くんっ! 穏乃ちゃんっ!」


勢いよく走ってきた宥を受け止める

ギュッと背中に回された腕に、戸惑うも穏乃は笑みを浮かべていた

後から歩いてくる晴絵


晴絵「私は?」

京太郎「すみません見えませんでした」

晴絵「宥の胸しか見てなかったの間違いじゃ?」

京太郎「う゛!」

宥「あぅっ」カァッ


離れる宥、いたしかたないと汗を浮かべながら頷く京太郎

ともかくだ、今はそんなことをしている場合ではない


晴絵「灼、憧……」

宥「玄ちゃん、は……」

京太郎「和と共に、か」


顔をしかめる京太郎だが、穏乃は頷く


穏乃「やるよ、私は……玄さんも、和も救い出す!」グッ

京太郎「……そうか」フッ

穏乃「そのために、ガイアの光を託された!」

京太郎・晴絵「あ」

宥「え」

穏乃「……え、あ、うわぁっ!!?」

京太郎「お前が驚くな、驚くタイミング逃すから」

宥「え、え!? ど、どういうこと!?」

晴絵「あーなるほどね」

穏乃「どどど、どうしよう!」

京太郎「ま、まぁ二人なら良いだろ、うん」

穏乃「ま、まぁ確かに……?」


無理矢理納得する穏乃、そして京太郎

とりあえず状況説明も必要だろうと、話すことを頭で整理する

まずは―――
492 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/27(月) 01:30:27.17 ID:9b4S8r0J0


「こっち! こっちにウルトラマンの気配ィ!」

「絶対いないですってぇ!」


突然、声が聞こえた

数十メートル離れた場所に人影が見えた


晴絵「ん? マスコミ?」

京太郎「この声……」

ベリアル『逃げるぞ!』

京太郎『ベリアルさんが即座にその判断とは……了解です!』


即座に持ち物を確認して頷くと、宥、晴絵、穏乃の順で顔を合わせる

言いたいことを理解してくれたのか、笑顔を浮かべて頷く晴絵


宥「また来たら、松実館に……お帰りお待ちしてます」ニコッ

京太郎「また帰ってきます。お父さんにもよろしくっす」

穏乃「ありがとう京太郎! また一緒に!」

京太郎「……ああ、また一緒に」コクリ


次に目線は、新子憧―――アグル守られた者に


京太郎(さよならだ、新子憧)


静かに頷くと、京太郎は走り出した



目的地はまだ決まっていない

だが、友と約束した……


京太郎「―――和、玄さん、必ず……!」

ベリアル『いくぞ小僧ォ!』

京太郎「はい!」


返事と共に、京太郎はゼットライザーのトリガーを引いた

493 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/27(月) 01:41:55.07 ID:9b4S8r0J0


     第11話【悪魔】 END


494 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/27(月) 02:02:18.27 ID:9b4S8r0J0


◆どこへ向かう!


×、奈良(阿知賀・晩成)
2、東京(臨海)
3、大阪(千里山→姫松)
4、大阪(姫松→千里山)
5、岩手(宮守)
6、東京(アナ・プロ)
7、東京(白糸台)
8、北海道(有珠山)
9、長野(鶴賀・風越)




495 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/27(月) 02:05:30.15 ID:9b4S8r0J0
今回はここまでー
次回は明日たぶん22時ぐらいからはじめまーす

安価ってことで是非ー

阿知賀編一回目、晩成の出番ほぼなし!
まぁ次回はある次回はー

そんじゃまたー
496 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/27(月) 02:32:46.09 ID:GcEtqBaV0

安価なら4で
497 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/27(月) 02:55:45.80 ID:uudAP7Ie0

阿知賀が終わったけどまだなんかありそうだな
安価は789が追加で出たけど悩むな
498 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/27(月) 22:09:16.55 ID:nv3Okrwo0
お待たせしましたー
やってくよー

15分ぐらいから安価投下してくー
499 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/27(月) 22:13:34.85 ID:uudAP7Ie0
きた!
とりあえず臨海狙ってみるか
500 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/27(月) 22:15:08.12 ID:nv3Okrwo0

◆どこへ向かう!


×、奈良(阿知賀・晩成)
2、東京(臨海)
3、大阪(千里山→姫松)
4、大阪(姫松→千里山)
5、岩手(宮守)
6、東京(アナ・プロ)
7、東京(白糸台)
8、北海道(有珠山)
9、長野(鶴賀・風越)


◇5分間で1↓から〜 コンマが一番高い選択肢
501 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/27(月) 22:15:37.70 ID:uudAP7Ie0
2
502 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/27(月) 22:41:45.41 ID:okMKpijE0
2、東京(臨海)



―――次回予告


京太郎:東京……久しぶりだな

ベリアル:余計なもんをさっそく感じんな

京太郎:余計なもの、ですか?

智葉:男?

ネリー:でもカネゴンはどうかな?

京太郎:どこに行ってもこれだな!


次回【東京の風】


京太郎:ヤキトリにしてやらァ!
503 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/27(月) 22:55:36.91 ID:PZofMT9+0


―――【江東区】


駅を出て、京太郎は背を伸ばす

10月ともなれば空気もずいぶん涼しく夏来た時とはまた違った雰囲気を感じる

腕時計型の端末を開く


京太郎「……和の目撃情報、東京とはな」

ベリアル『にしてもその小娘ばかりだな、他は?』

京太郎「優希、まこ先輩、それに咲……」


誰一人見つかっていない

今は和しか、手掛かりがないのだ


京太郎「……とりあえず合流を待つか」

ベリアル『ハッ、面倒なことだな』

京太郎『走ってくのはナンセンスですよ。今の運動能力だとしたら余計に』


京太郎はロータリーで周囲を見回す

そうしていると、一台の車が目の前に止まった

窓が開いて、運転席に見たことがある顔


??「待たせたな」

京太郎「いえ……いいなぁ車」ボソッ

??「辻垣内智葉だ、よろしく頼む」フッ

504 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/27(月) 23:05:12.60 ID:PZofMT9+0


辻垣内智葉の運転する車の助手席に乗り込む京太郎

目的地はここからそう遠くはないらしいものの、緊張が隠しきれない

自分の仲間たちと戦った相手……


智葉「君が、熊倉トシさんの秘蔵っ子か」

京太郎「秘蔵っ子って、どういう伝わり方しているんですか」

智葉「言った通りのだ……まぁ尾ひれはついてるだろうが」

京太郎「だと思いますよ」


長野や阿知賀とはまた違った街並みを横目に、京太郎は苦笑する

ただ、ベリアルだから色々と動いているにすぎない


智葉「だが奈良からとは……良く働くみたいだな」

京太郎「まぁ仲間もやられてますからね」

智葉「そうなのか?」

京太郎「はい、清澄高校の」

智葉「清澄に……男?」

京太郎「あ〜そうなりますよねぇ」ハハハ


当然のことだという風に京太郎は笑った
505 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/09/27(月) 23:11:07.48 ID:Zj9NZDJG0
スパイクタンパク単体で心臓やその他臓器に悪影響を及ぼすことがわかっています

何故一旦停止しないのですか

何故CDCが接種による若い人の心筋炎を認めているのに情報発信がないのですか
20代はたった1ヶ月で接種後死亡がコロナ死と同等になってます
因果関係の調査は?
506 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/27(月) 23:21:54.21 ID:PZofMT9+0


―――【特異課東京支部】


ガレージに入った車

出てくるのは京太郎と智葉の二人

体を伸ばして、長野とも阿知賀とも違う雰囲気の基地


ベリアル『余計なもんをさっそく感じんな』

京太郎『余計なもの、ですか?』

ベリアル『基地内だ』

京太郎「え、それってとってもマズイ状況では……」

智葉「どうした?」

京太郎「ああいえ! いいえ!」


ついつい普通にベリアルに応えてしまった京太郎

両手を振りながら頭を振るうと、外はは首をかしげる


智葉「まぁいいか……行くぞ」

京太郎「はい!」


長い髪をなびかせて歩く智葉の後ろを歩いていく

少しばかり警戒しながら……


京太郎(警戒……警戒……)

ガンッ

京太郎「痛ぁ! なんで一斗缶ンンッ!」

智葉「ああ、気を付けろ」

ベリアル『どこが警戒だ』

507 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/27(月) 23:31:28.77 ID:PZofMT9+0


扉が開く、長野基地と同じつくりの作戦室に入るのは二人

辻垣内智葉と、足を気遣いながら歩く京太郎


智葉「戻ったぞ」

???「おかえりー」

京太郎「痛ぁ……」

智葉「あー……ネリー、こちら」

???「須賀京太郎、でしょ?」


そこに座っていたネリー・ヴィルサラーゼがそう言うと、智葉は意外そうな表情をした

それもそうだ。須賀京太郎を知っている人物なんぞ長野の雀士でも珍しい部類

清澄だからなんとなく知っているという人間がいるぐらいである


京太郎「し、知ってるとは意外……」

ネリー「宮永の彼氏でしょ?」

智葉「そうな」

京太郎「違います」

智葉(だいぶ食い気味……)

508 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/27(月) 23:44:28.57 ID:PZofMT9+0


作戦室のテーブル

やはり囲むように座るのが正解らしく、モニターに背を向けぬように智葉は座る

既に座っているネリーが、指差すのでそちらに座ろうとするも―――


ガンッ

京太郎「いったぁぁあぁぁっ!」

智葉「次はなんだ!」

ネリー「あー、それねこの間、しおりんが買ったダイエット器具」

智葉「あの人は……」

ネリー「ねー体重増えたって言ってたけど絶対おっぱいにいってるだけだよ」


あまりの激痛に倒れる京太郎


ネリー「うわぁ」

智葉「どんだけ痛いんだ……」

京太郎「ぐおぉ……いてぇ」

チャリンチャリン


立とうとした時、なにかが落ちた音がした


ネリー「お金!」バッ

京太郎「はえーよ、ちげぇし」

ネリー「……ほんとだ怪獣メダルだ」ハァ

京太郎「露骨にガッカリするなぁ」

ネリー「ネリーは許そう……」


瞬間、作戦室の扉が開いてナニカが入ってくる


????「お金!!?」

京太郎「怪獣だぁぁぁっ!!?」

ネリー「でもカネゴンはどうかな?」
509 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/27(月) 23:54:45.27 ID:PZofMT9+0


入ってきた怪獣カネゴン

京太郎の方を、いや落としたメダルを見る

前に出る智葉


智葉「どうどうどう」

カネゴン「なぁんだメダルかぁ……」

智葉「ほら、今は真面目な話をしてるんだ」


そう言って智葉が京太郎の方を見る

手でメダルをしまえとジェスチャーされるので、京太郎はメダルをホルダーに入れた

カネゴン、と呼ばれた怪獣をマジマジ見る


京太郎「……怪獣だ」

ネリー「カネゴンの怪獣メダル入れられててさぁ」

京太郎「え」

ネリー「最近、ネリーから出てきて……あ、メダルと一緒に」

京太郎「なにそのパターン」


少し気になりもする

ネリーの話ぶりからしておそらく被害などはなかったのだろう


智葉「ほら、小銭は別でやるから」

カネゴン「サトハは優しいねぇー!」

智葉「現金だな」

カネゴン「現金!?」

智葉「そういう意味じゃない」

ネリー「智葉は表に出せないお金一杯あるだろうし、処理に困ったらカネゴンにあげてね」

智葉「あるか!」

京太郎「やっぱり……」

智葉「お前も私をなんだと思ってるんだ!?」

510 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/28(火) 00:13:42.54 ID:8IpIgfJV0


カネゴンが出て行き、京太郎、智葉、ネリーの三人がそこにいた

キーボードを叩く智葉

モニターの表示が切り替わり、画像が出てくる


京太郎「これは……」

智葉「昨日の画像だ。原村和、だろ?」

京太郎「ええ、それに玄さん……」

智葉「ああ、松実玄……覚えている」


その言葉の重み

戦ったからこそわかることもあるのだろう


京太郎「この二人、どこで?」

智葉「案外近場だ……やはり雀荘らしいが」

ネリー「むぅ、麻雀さえできればネリーがメダル吐き出させたるのにぃ!」

京太郎「怪獣メダル入ってる奴は舐めない方が良いぞ」

ネリー「ネリーだって入ってたからわかるよぉ」

京太郎「でも、だよ」


戦ったからこそよくわかる原村和の異常さ

自分はともかく南浦数絵と染谷まこの二人を封殺した強さを……


智葉「まぁともかくだ。まずはこの場所に行ってみるとしようか」

京太郎「はい、ついでにここ最近でここらで起きたこととか教えてもらえれば」

ネリー「ネリーもいく!」

智葉「ああ、監督もまだ戻ってこないし……とりあえず私たちでできることをやろう」
511 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/28(火) 00:15:24.05 ID:k3Xrtwi00
最初に来たらカネゴンの話あったのかね
512 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/28(火) 00:27:34.63 ID:8IpIgfJV0


走る車の運転席に座る智葉、助手席に京太郎

そして後部座席にネリー


京太郎「え、神代がスポンサーをしてる?」

智葉「と聞いたが……」

京太郎「なんでまた」


頭に思い浮かぶのは永水女子の雀士たち

石戸霞、神代小蒔、滝見春、石戸霞、石戸霞、狩宿巴、石戸霞、薄墨初美


京太郎(いかん、おもち欠乏症だ)

ベリアル(たぶんアホなこと考えてやがんな)

智葉「それはまぁ、日本の……いや、地球の危機だからな」

ネリー「他の大手企業とかもこぞって特異課にお金出してるらしいよ!」

京太郎「そうか、まぁそうなれば不思議じゃないか」フム

ネリー「やったね須賀! お給料が増えるよ!」

京太郎「おいやめろ」

ネリー「なんで?」

京太郎「なんでも」


そう言って深く頷く


智葉「仲良くてなによりだが……着くぞ」

ネリー「おー禍々しい気配」

京太郎「そうか?」

ネリー「たぶん」
513 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/28(火) 00:49:33.01 ID:JBm5g1HU0


駐車場に車を置いて、三人は雀荘の前に立つ

ネリーが言っていたこともあながち間違いでもないのか、京太郎は顔をしかめる

異様な雰囲気が、漂っていた


京太郎「……電話繋がります?」

智葉「ダメだ、中に電話したがつながらない」

京太郎「こりゃダメだ」

ネリー「えー」


ガッツハイパーを持つ三人

おまけに智葉は、なぜか帯刀している


京太郎「……なんで?」

智葉「……放っておけ」

京太郎「はぁ」


そう言って頷くと、息をつく京太郎が二人を見る

頷く二人に頷いて扉を蹴破るとガッツハイパーを構えながら入った京太郎

そして後から、智葉とネリー


京太郎「……」

智葉「やはり……」


暗い雀荘……その中で雀卓に座っている少女が一人

脚を組んで座っているその少女、原村和は妖艶に笑みを浮かべた

風も無いのにそのピンク色の髪が揺れている


京太郎「和ぁ……」

和「また貴方ですか」ハァ
514 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/28(火) 01:19:15.37 ID:JBm5g1HU0


銃口の先に原村和

動揺の色すら見せず、原村和がため息をついた

松実玄の姿はどこにもないように見える


京太郎「……玄さんは」

和「今回の目的は雀士なので、あまり連れ回したくないんですよね。私の大事な殲滅兵器なので」

京太郎「貴様ッ!」


トリガーを引いてショック弾を放つも、見えないバリアに阻まれた


和「まぁこの辺で怪獣メダル持ちを倒す雀士がいると聞いたので……私が直々に来てみたわけですけど」

智葉「偉そうに……!」スチャッ

和「偉いんですよ実際に人類よりよほど理性的です」

京太郎「だったらさっさと大人しく和の体から出ろ!」


そう言って近づこうとする京太郎

だが和は眉一つ動かさずに、指を鳴らす


ベリアル『小僧ォ!』

京太郎「っ!」


即座に後ろに跳ぶと、一瞬前までいた場所に“光の鞭”が振るわれた

近くの雀卓が真っ二つに斬り裂かれる


京太郎「こいつっ!」

和「さすがですね」フッ


暗闇の影から現れたのは―――宇宙人

青い体、両腕がハサミ

金色のマントをつけた異質な宇宙人


ベリアル『テンペラー星人か!』

ネリー「雀荘は戦う場所じゃないでしょぉ!」

京太郎「まったく同意見だよ!」
515 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/28(火) 01:37:52.31 ID:JBm5g1HU0


テンペラー星人「避けられた!?」

和「まぁ他の方法でいきましょう。勿体ないですし」

テンペラー星人「悠長なことを!」


言い争う和とテンペラー星人

京太郎は素早くガッツハイパーを放つも、やはりバリアで防がれた

ネリーが、テンペラー星人に銃を撃つが、ビームウィップで弾かれる


テンペラー星人「鬱陶しい!」

京太郎「ッ!」


ビームウィップが攻撃のため、ネリーに振るわれた

確実な直撃コースで、京太郎は顔をしかめつつネリーを抱きかかえる


ネリー「須賀っ?!」

京太郎「ッ!」

ベリアル『くるぞ!』

智葉「させるかッ!」


素早い抜刀―――智葉がビームウィップを弾いた


テンペラー星人「なに!?」

智葉「かの錦田小十郎景竜の刀だ、並ではない!」

和「倒してはもったいない……撤退ですよ」


そう言うと、和とテンペラー星人は闇の中に消える
516 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/28(火) 01:47:20.84 ID:k3Xrtwi00
宿那鬼封印したヤツのじゃん!
517 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/28(火) 01:53:00.23 ID:JBm5g1HU0


納刀した智葉、京太郎はガッツハイパーを降ろして周囲を見回す

おかしなところはない


京太郎「たぶん俺がいると思わなかったから、ここに誘い込んで二人を倒す気だったっぽいな」

智葉「侮られたものだな」ハァ

ネリー「んーワンチャンあった?」

智葉「宇宙人のみなら……?」


おそらく無理だろう


京太郎「雀荘に、元々いた人たちとかはいないのか?」

智葉「おそらくな……基地から連絡があった」

ネリー「ほんとだ、雀荘の店主と連絡ついたって」

京太郎「そりゃなによりで」フゥ


瞬間、地面が揺れる

驚愕する三人が、急いで外へと飛びだす


すでに街中は混乱しているようで、一般人の叫び声が聞こえる

走って避難していく人々

大きな咆哮が聞こえた


京太郎「ッ!」

智葉「あれは……」

ネリー「鳥怪獣!」


ベリアル『ほう、バードンか』

518 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/28(火) 02:06:27.77 ID:JBm5g1HU0


その火山怪鳥バードンが羽ばたくと、凄まじい突風が巻き起こった

背筋に悪寒が走る京太郎は即座に動く


ベリアル『飛ばされるぞ!』

京太郎「ッ!」


すぐに智葉とネリーを抱き寄せた


智葉「なっ!?」カァッ

ネリー「ひゅえっ!?」カァッ


そのまま、雀荘へと飛び込む

外は凄まじい突風により看板が転がっていた

雀荘の窓ガラスも音を立てている


京太郎「っ!」

智葉「た、助かった……」

ネリー「あ、ありがと」


起き上がった京太郎はガッツハイパーを確認して頷く

二人は小首をかしげたが、京太郎は走る


京太郎「二人共大人しくな!」

智葉「お、おい!」


雀荘から飛びだして走る京太郎

突風は既に止んでいるが、バードンは炎を吐いて街を破壊していた

走る京太郎がガッツハイパーを撃てば、直撃を受けたバードンは京太郎の方を向く


京太郎「どこに行ってもこれだな!」

ベリアル『おもしれぇ!』

京太郎「ですよね! ベリアルさんは!」


ゼットライザーのトリガーを引き、出現したゲートへと飛び込む
519 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/28(火) 02:23:12.85 ID:JBm5g1HU0


―――【インナースペース】


京太郎「いきますよベリアルさん!」

ベリアル「ハッ、上等ォ!」


出現するアクセスカードを右手で取り、挿入した


『キョウタロウ・アクセスグランテッド』


さらに右手で、メダルを弾く

弾かれたメダルが周囲を闇に包んだ

赤く輝く瞳、落ちてきたメダルを右手で掴みゼットライザーにセット


京太郎「究極生命体!」


ブレードをスライドさせる


『Alien Rayblood』

京太郎「ベリアァルッ!」


トリガーを引き、叫んだ

520 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/28(火) 02:34:14.52 ID:JBm5g1HU0


現れるのは漆黒のベリアル

左手を顎にそえて首を鳴らし、バードンの方に視線を向けた

少しばかり腰を落とし、構えを取る


京太郎『炎を吐く鳥、ねぇ……』

ベリアル『クチバシには毒もある怪獣だ。使う分には良さそうなんだがなぁ』

京太郎『使うって……』

ベリアル『レイオニクスだからな』フッ

京太郎『レイオニクス?』


疑問を浮かべて聞くも、バードンが突っ込んでくるのでその質問が止まった

真っ直ぐ突撃してきたバードンのクチバシを回避し、即座に距離をとる

振り返ったバードンが火炎弾を吐きだすが、クローでその火を真っ二つに斬り裂く


ベリアル「ハァッ!」


斬り裂かれた二つの炎がベリアルの左右で爆発する


ベリアル『タロウやゾフィーの小僧共のように無様にやられるなよ』

京太郎『誰っすか、まぁ……ベリアルさんと一緒なら、負けませんよ!』


笑みを浮かべた京太郎

ベリアルは勢いよく、バードンに向かって走り出す

521 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/28(火) 02:38:09.27 ID:JBm5g1HU0

今回はここまでー!

次回、バードン戦ってことで東京編第一話後半
色々と出てきたりしつつ、伏線張りつつ

そんじゃ次は水曜にでもー
522 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/28(火) 02:46:36.97 ID:k3Xrtwi00

色んな要素出てきたけど東京はどんな話になるのか
523 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/29(水) 21:42:02.36 ID:k7OPURBf0
本当の戦いはこれからだぜっ!
ってことでやってくよー
524 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/29(水) 21:56:53.71 ID:spM+7z240

迫るベリアルを相手に、バードンが火球を放つ

ベリアルは素早く爪で火球を斬り裂くと、バードンに蹴りを放った


バードン「―――!」


鳴き声をあげてひるむバードンを、さらに爪で攻撃する

だが、バードンはそれを耐えてクチバシを振るう


ベリアル『毒がくるぞッ! そもそもあのクチバシも伊達じゃねぇ!』

京太郎『やべぇじゃないっすかぁっ!』


目の前に迫ったクチバシ

ベリアルは両手でバードンの頭を押さえてそのクチバシを眼前で止めた

がら空きのベリアルの胴体を、バードンは両手で攻撃


バードン「―――!」

ベリアル「グゥッ!」

ベリアル『アレでやるぞ!』

京太郎『はい!』


徐々に押されていくベリアルの黄色い瞳が輝く


ベリアル・京太郎『デスシウムロアー!』


放たれた音波攻撃

吹き飛ぶバードンはビルを破壊しながら倒れる

ベリアルはバードンを見据えつつ首を鳴らす

525 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/29(水) 22:15:40.81 ID:LBBZxP4F0


ベリアル『まずあの毒袋を潰す!』

京太郎『あの頬の袋っすね!』


素早く光弾を放つも、バードンは空へと舞いあがりそれを回避

見上げるベリアルに対し、バードンは空中から火炎弾を放つ


京太郎『このままじゃ街が!』

ベリアル『ならどうする!』

京太郎『全部……弾き返す!』


バリアを張ったベリアル

火炎弾はバリアにぶつかって空へと返って行く


京太郎『難しっ!』

ベリアル『角度を変えろ! 戦いの中で覚えろ!』

京太郎『ッ!』


バリアにぶつかる火炎弾からの衝撃、それに耐えつつ、街に被害が出ないよう……

そこには智葉とネリーがいるのだ


京太郎『んのぉ!』


力を込めて、バリアの角度を変えた

空のバードンからの火球が、跳ね返る


バードン「―――!!?」


その火球にぶつかり、バードンが落ちた
526 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/29(水) 22:21:17.64 ID:LBBZxP4F0


なんとか起き上がるバードンだが、火球が毒袋に直撃したのか頬の袋はボロボロだった

ふらつくバードンが、ベリアルの方に視線を向ける

怒りに震えながら、バードンはベリアルへと走っていく


京太郎『いきまぁす!』


右腕に集まる黒い光と赤い稲妻

水平に構えた左手の後ろに、垂直に構えた右腕をそえた

掌は真っ直ぐ、そしてその腕から―――


ベリアル・京太郎『デスシウム光線!』


―――光線が放たれる


バードン「―――!!?」


その光線がバードンへと直撃

直後、硬直したバードンが―――爆散する


ベリアル「ハッ!」


右腕を払うように振るうと、左手を顎にそえて首を鳴らす

そして、上空へと飛んで消えた

527 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/29(水) 22:34:22.01 ID:LqDuPV0k0


地上へと降り立つ京太郎が、腰を叩きながら路地裏から出る


京太郎「きっつぅ」

ベリアル『ハッ、バードン相手によくやった』

京太郎「うっす……にしても、慣れないことはするもんじゃないっすね」


そう言いながら、身体を左右にひねってから背を伸ばす

今までの戦いとはまた違う戦い方だった

いつも通りだったらまた違ったのだろう


京太郎「最近は、そこまでの戦いしてこなかったですからねぇ」

ベリアル『ふたを開けりゃ今回も苦戦もしてねぇしな』

京太郎「たしかに……俺も中々やるようになったんじゃないですか?」

ベリアル『オレの力がほとんどだろうが……四分の一人前がナマ言うんじゃねえよ』

京太郎「うっす」フッ


どこか嬉しそうに返事をする京太郎

すると、声が聞こえてくる

そちらを向けば、走ってくる二つの影


ネリー「京太郎ー!」

智葉「無事か!」

京太郎「ああ、心配かけました……助けてもらいました。ベリアルさんに」

智葉「ベリアル……」

ネリー「さん?」

京太郎「あー……な、長野からの付き合いなんで」

智葉「なるほど」フム

京太郎(なんとかなった!)
528 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/29(水) 22:57:08.14 ID:AVIz8r390

―――【特異課東京基地:作戦室】


座っているのは京太郎、智葉、ネリーの三人

あの後、車で戻ってきたというわけで、今は画像を見ていた

表示されているのはバードンとベリアル


智葉「にしてもウルトラマンベリアル、ここに来るとはな」

ネリー「意外だったね。原村を追ってるって聞いたことあるけど」

京太郎「……正確には中身なんでしょうね。根源的破滅招来体」


その言葉に、智葉とネリーが頷く

根源的破滅招来体については熊倉トシが色々なところに話はしているのだと思いたいところだ

瞬間、扉が開く


???「ごめん、遅れた……ああ、貴方が須賀京太郎」

京太郎「あ、はい」

???「今日はありがとう。私はアレクサンドラ・ヴィントハイム……一応ここの責任者」

京太郎「ああ、これはどうも」ペコ

アレク「今日はごめんね」

京太郎「いえいえ、結果的にベリアルさんに助けられましたし、また」


その言葉に、アレクサンドラは笑みを浮かべて頷いた


ネリー「監督おそい」

アレク「だから謝ったでしょう」

智葉「色々終わりましたよ」

アレク「知ってる。例の原村和とは会ったんでしょ?」

ネリー「宇宙人連れてたけどねー」

アレク「今回の件、怪獣メダルの件はまだ不明な点が多いからね……根気強くやってきましょ」


そんな言葉に頷く三人


京太郎(和を、取り戻す方法か……)
529 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/29(水) 23:09:38.41 ID:AVIz8r390


―――【特異課東京基地:休憩所】


京太郎「で」

ジャラジャラジャラ

京太郎「どうしてこうなった?」

ネリー「なにが?」

智葉「それはそれとして、だ」

アレク「お手並み拝見」フフッ


現在、麻雀マットを広げて牌を混ぜている四人

目的はもちろん麻雀をするためだ

なぜか自然な流れで麻雀をさせられている


京太郎「えー」

アレク「多少は強いって熊倉さんから聞いたし」

京太郎(ベリアルさんのおかげっていうか今回の事件のおかげっていうか……おかげってのもおかしいか)

智葉「見せてもらおうか、清澄麻雀部男子の実力を」フッ

ネリー「ヤキトリで終わらないでよぉ?」


クスクス笑うネリーに、京太郎は不敵に笑う

牌を手で積んでいく四人

京太郎はカッと目を見開く


京太郎「上等! ヤキトリにしてやらァ!」

530 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/29(水) 23:19:37.79 ID:AVIz8r390


◆安価!


1、松実宥

2、高鴨穏乃

3、福路美穂子

4、瑞原はやり

5、東横桃子

6、竹井久

7、辻垣内智葉

8、ネリー・ヴィルサラーゼ


◇5分間で1↓から〜 コンマが一番高い選択肢

531 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/29(水) 23:20:55.54 ID:1KFCs7hh0
7
532 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/29(水) 23:21:16.89 ID:qkw0yer90
2
533 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/29(水) 23:37:20.04 ID:AVIz8r390
2、高鴨穏乃



―――【特異課東京基地:自室】


割与えられた部屋で、京太郎はシャワー上がりなのかタオルで髪を拭いている

シャツと短パンのみの姿、ベッドに腰掛けるとケータイに触れた

その瞬間、そのケータイから音が鳴る


京太郎「うおっ!」ビクッ


タイミングの良さに驚きながらも相手の名前を確認して通話ボタンを押す


京太郎「穏乃か、どした?」

穏乃『あ、京太郎! 昨日ぶり!』

京太郎「おう」フッ


元気そうな声に、軽く返す


京太郎「ああ、そういえばあの後大丈夫だったか?」

穏乃『うん、先生も宥さんも驚いてたけど』

京太郎「だろうな」ハハハ

穏乃『でも、これからも一緒に戦ってくれるって!』

京太郎「そりゃそうさ……俺もな」フッ

穏乃『うん!』

京太郎「ウルトラマンの力がなくても、だからな」

穏乃『わかってるよ。京太郎はそういう人だって』

京太郎「そっか」

穏乃『やっぱギリギリまで頑張らないとウルトラマンも力、貸してくれないしね!』

京太郎「……そうだな」フッ


ベリアル『そうか?』

京太郎『そうだと言っといてください』

ベリアル『ウルトラマンじゃねぇからな、オレは』

京太郎『……ですね』フッ
534 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/29(水) 23:59:28.83 ID:AVIz8r390


京太郎「そういえば、今日……和と会ったよ」

穏乃『え、さっそく!?』


驚愕する穏乃に、同意で返す


京太郎「ああ……でも、やっぱあれは和じゃないからな」

穏乃『そっか、なんとかできそう?』

京太郎「いや、ヤバそうな宇宙人が一緒にいてどうにもな……玄さんもいなかったし」

穏乃『そっか、でも……きっと熊倉さんがなんか作ってくれるよ!』

京太郎「だと良いけどなぁ」


そう言うと、いつだったか熊倉トシからのものとして受け取ったガッツハイパーのカートリッジを取り出す

手の中で転がしつつ、穏乃に話を続ける


京太郎「まぁ俺もなんとか頑張ってみるよ」

穏乃『私も、憧が起きたら色々聞いてみるね』

京太郎「無理ない範囲で頼んだ」

穏乃『うん!』


元気のいい返事に口元をほころばせる


京太郎「それじゃ、気を付けてな」

穏乃『京太郎こそ! また、電話するねっ』

京太郎「ん、楽しいみにしてる」フッ

穏乃『うん、またね!』


電話が切れる

笑みを浮かべたままの京太郎は、そっとカートリッジとケータイをベッドの枕元に置く

横になった京太郎は、天井を見上げて手を上に持ち上げた


京太郎「俺は……」グッ

535 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/30(木) 00:04:48.18 ID:IZjXnqg50


     第12話【東京の風】 END

536 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/30(木) 00:25:22.81 ID:IZjXnqg50


―――次回予告


京太郎:魔王獣?

ベリアル:太平風土記はあるか?

智葉:邪な者ならば斬る!

テンペラー星人:人間か!?

ネリー:この風!!?

京太郎:スカート捲れそう!


次回【風の魔王獣】


京太郎:お借りします!

537 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/30(木) 00:29:36.90 ID:IZjXnqg50

台風近づいてるせいか頭痛いんでここまでー
次回は魔王獣登場ー

実りがないようである話ー
これでも本筋は進んでるよ!

そんじゃ次は金曜の夜にでもー
538 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/30(木) 01:58:05.68 ID:j8LaZbpx0

今回の雰囲気なんか好きだ
てか魔王獣も出てくるのかこの地球大丈夫か
539 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/30(木) 14:43:09.09 ID:8gt9TZjho
乙ー
頭燃えなくてなにより
540 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/01(金) 00:55:50.56 ID:GJNVTiuuO

最近のウルトラマンあまりわからんけどヤバそうだ風だし明華くるか?
541 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/01(金) 21:56:24.81 ID:KXMPvVGP0
やってくよー

>>538
め、メダルのせいで怪獣が出てくるだけだから(震え声)

>>539
ちなみに一度目の目的地で臨海来てたら燃えてました
542 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/01(金) 22:09:44.91 ID:KXMPvVGP0


―――深夜【江東区:街中】


凄まじい咆哮

車を踏み潰し、肉食地底怪獣ダイゲルンは走る

正面に立っているのは―――ベリアル


ベリアル「ジャアッ!」


勢いよく、放たれる光弾

尻尾を振るったダイゲルンは光弾を相殺


京太郎『予想通り!』

ベリアル・京太郎『デスシウムリッパー!』


放たれた斬撃は、振り返ったダイゲルンの首に直撃

そのままダイゲルンの首は落ち、倒れる

ベリアルは右腕を払うと、真上へと飛び上がって去って行く
543 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/01(金) 22:18:35.30 ID:KXMPvVGP0


ダイゲルンが倒れた地上

落ちているダイゲルンの頭部の近くに車が止まった

出てくるのは智葉、探知機のようなものを手に歩くと……


智葉「これか」スッ


拾ったのはメダル

描かれているのはもちろんダイゲルンだった


智葉「さて……いくか」


車に再び乗りこむと、智葉はその場から去って行く

544 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/01(金) 22:29:42.61 ID:KXMPvVGP0


―――【特異課東京基地:作戦室】


開く扉、帰ってくるのは京太郎

先に座っているのは智葉とネリーとアレクサンドラ


京太郎「う〜」


欠伸をしながら背を伸ばす京太郎


京太郎「お待たせしゃぁしたぁ」

アレク「まぁ深夜だもんねぇ」

智葉「京太郎」ポイッ

京太郎「どうもっす」


投げ渡されたダイゲルンメダルを受け取る


智葉「にしてもどうしてメダルはお前が回収なんだ?」

アレク「まぁ熊倉さんのことだから考えがあるんだろう、特にこの子は色々なとこいかされてるし」

京太郎「まぁ好きで動いてるんですけどね」

ネリー「お金ならともかくメダルなんてなぁ」

京太郎「ま、なんでも良いじゃないっすか……阿知賀じゃ研究部の方に持ってかれたし」

アレク「へぇ〜なにか考えてるんかね」

京太郎「さぁ?」


あれから三日、京太郎はすっかりなじんでいた

545 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/01(金) 22:40:03.97 ID:KXMPvVGP0


ネリー「もー眠いー」

アレク「まぁ今日はこれで解散でいいでしょ」

京太郎「うぃーっす」

智葉「おい京太郎、もう少しだなぁ」


呆れた顔でそういう智葉に、眠気眼のまま頷く京太郎

苦笑するアレクサンドラ


京太郎「すんません」ウトウト

アレク「まぁ、報告書はやっとくからおやすみ」

京太郎「うっす」コクリ


そう応えて部屋を出ようとする京太郎

アレクサンドラがキーボードに触れたモニターにテレビを映した

その画面を見て、全員が眼を点にする


ネリー「……ネリー寝ぼけてる?」

智葉「さぁ……」

京太郎「大型台風同時に七つって……なに?」

ベリアル『こいつぁ……』

546 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/01(金) 22:42:11.15 ID:KXMPvVGP0


     第13話【風の魔王獣】

547 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/01(金) 22:58:24.11 ID:KXMPvVGP0

―――翌朝【特異課東京基地:作戦室】


昨夜と同じくモニターに移されたテレビニュース

そこに映っているニュースがやっているのは突然の大型台風同時発生についてだ

欠伸を噛み殺しつつ、京太郎はその映像を見ている


京太郎「っ……」

アレク「眠そうね」

京太郎「お互いさまっす」

智葉「まったくだ」

ネリー「」zzz


一応の仮眠はとったが、せいぜい3時間程度だ


京太郎「……」

ベリアル『間違いねぇ魔王獣だな』

京太郎『……魔王獣?』

ベリアル『あぁ、こことは別の宇宙で世界を滅ぼすって言われてた怪獣共だ』

京太郎『世界を滅ぼすって……』

ベリアル『ある程度、出現場所が予測できりゃぁ……』

京太郎『予測って』

ベリアル『……この世界に、太平風土記はあるか?』


そんな言葉に、京太郎は小首をかしげた


京太郎「えっと……太平風土記って、知ってます?」

智葉「た、たいへい?」

アレク「ふうど、き?」

京太郎「あーなんかよくわかんないけど」
548 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/01(金) 23:09:03.32 ID:KXMPvVGP0


三者三様、それぞれのリアクション

アレクは調べるためにキーボードを叩く、智葉は思い出そうと頭をひねり、ネリーは……寝ていた

顔をしかめる京太郎


京太郎『やっぱないんですかねぇ』

ベリアル『さてな、あるとこもあればないとこもある』

京太郎『色々博識ですよねベリアルさん』

ベリアル『全宇宙を手に入れようとしてたからな』

京太郎『熱心で』


そんな会話を頭の中でしていると、扉が開く

入ってきたのは一人の少女


?「ただいま帰りました!」

アレク「ん、宇野沢」

ネリー「んー……あ、しおりん」

京太郎「……宇野沢栞、さん?」

栞「あ、須賀京太郎くん、はやりさんから色々聞いてるよ!」

京太郎「色々?」

智葉「ほう、やるじゃないか」フッ

京太郎「なんか勘違いしてません?」

549 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/01(金) 23:20:46.40 ID:eYGCjfEN0


宇野沢栞が、荷物を置いて座る

その豊満な胸がテーブルに置かれた

血眼の京太郎


ネリー「……うわぁ」

京太郎「……睡眠不足のせいだ」

ネリー「絶対嘘」

京太郎「いいから」


話をごまかすが、智葉からの視線も痛い

アレクサンドラの視線はもっと痛い


アレク「巨乳がなんだ……なんなんだ……」ボソボソ

京太郎(こえぇよ)

栞「あ、そうだった! 朝のニュース見ました!?」

アレク「あ、あああれね」

京太郎「台風のジェットストリームアタック?」

ネリー「その二倍ちょい」

智葉「遊ぶな」

栞「それについてなんですけど! 凄いものが見つかったらしくて!」

京太郎「凄いもの?」

栞「その名も、太平風土記!」


京太郎・智葉・アレク「ああー!!」

栞「ええっ!!?」ビクッ

ネリー「……?」
550 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/01(金) 23:45:05.18 ID:eYGCjfEN0


宇野沢栞がモニターを叩く

モニターに表示されるのは古文書『太平風土記』である

見つけたのは瑞原はやりらしいのだが、栞に『必要になる』とのことで預けたらしい


ベリアル『あのイタイ女のダチか』

京太郎『イタイとか言わないであげてくださいよ』


瑞原はやりとの関係はプロ麻雀チーム『ハートビーツ大宮』の仲間である


京太郎「さすがはやりさん」

栞「本当ですよー、さすが」


そう言って、キーボードを叩く

モニターに映ったのは絵、鳥のような怪獣


栞「まだ断片しかないらしいんですけど……」

アレク「十分……で、これは?」

京太郎『なんなんですこれ?』

ベリアル『やはりな、マガバッサー』

栞「禍翼(まがつばさ)……というらしいです」

智葉「今回の台風とこの怪獣に関係が?」

栞「なんか文章を解読したらそうなったとか」

ネリー「雑だなぁ」

栞「でもはやりさんが解読したところ、この文章では禍翼の出現位置から時間まで記されているとか」


そんな言葉に、全員が小首をかしげた


栞「えっと……」

智葉「未来を記した書?」

ネリー「えー全然古文書じゃないじゃん」

京太郎「そういうもんでもないだろ」

ベリアル『禍翼、マガバッサーの出現は間違いねぇ』

京太郎『マジっすか』

ベリアル『ああ、備えとくにこしたことねぇだろうな』

京太郎『……なるほど』

551 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/01(金) 23:56:02.74 ID:eYGCjfEN0


京太郎「……それじゃあ、その予測前提で作戦を立てましょう」

アレク「おお、やる気じゃない」

京太郎「そりゃ怪獣の登場さえ予測できるならそれに越した話ないっすよ」

アレク「確かに、それじゃ……今回は私も現場に出ようか」


立ち上がるアレクサンドラ

ネリーと智葉と京太郎の三人も立ち上がった


栞「それじゃあオペレーターは私が」

智葉「お願いします」

ネリー「よーっし! 早く行こう! そして時間まで寝かせて!」


出口に歩いていくネリーと智葉とアレクサンドラの三人

それを追いかける形で京太郎も歩き出す


栞「あっ、足元!」

京太郎「えっ!?」ガツンッ

ネリー「あ」

京太郎「痛ったぁぁぁぁっ!!?」

栞「あぁっ! ごめんなさぁい!」


倒れた京太郎が転がる


ネリー「なに入ってるのしおりん!?」

栞「ティガの木彫り!」

智葉「!?」
552 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/02(土) 00:02:54.94 ID:t6+OVRaL0
また足ぶつけてるwwてかティガの木彫りってなんだww
553 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 00:24:25.10 ID:flmx49ub0


―――【東京都墨田区】


古文書に書かれた場所に待機する京太郎と智葉の二人

離れた場所ではネリーとアレクサンドラがいるはずだ

住民の避難は既に完了している


京太郎「……きますかね」

智葉「ここまでやってこなかったら問題だな」


そう言う智葉は相変わらず刀を引っ提げていた

有名な侍の持っていた刀らしいが……


京太郎「……」

智葉「どうした?」

京太郎「……いえ」

ベリアル『あの刀、妙な感じだな』

京太郎『そうなんっすか?』


普通の刀ではないのは確かなのだろう


智葉「敵の目的はなんだ?」

京太郎「え?」

智葉「なぜ禍翼を出現させる?」

京太郎「……目的」


??「根源的破滅招来体というのは、とある宇宙で便利状、そう呼ばれただけだ」


京太郎「っ!?」

智葉「あなたは……」

京太郎「トシさん!」

トシ「元気そうでなにより」

554 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 00:33:57.32 ID:flmx49ub0


現れたのは熊倉トシだった

街中、京太郎と智葉の傍に歩いてくる

トシの言葉に、小首をかしげる京太郎と智葉


京太郎「そう呼ばれただけって?」

トシ「所謂怪獣、人類に仇成すものの総称としてそう呼んでた……」

京太郎「総称してって……」

トシ「ただその宇宙で観測されたそれらを、単純に根源的破滅招来体って私らは呼んでるわけだ」


相変わらず、どこか別のことのように話す


智葉「……つまり、私たちにとっては異星人たちを含めてすべてが?」

トシ「まぁそういうことだけど、今のとこ根源的破滅招来体って呼ぶべきは原村和の“中の奴”だけだ」


そう言うと空を見上げるトシ

太陽が隠れ、暗雲が空を覆っていく


トシ「目的としてはシンプル。宇宙に害する地球人の殲滅ってわけだ」

京太郎「害する?」

トシ「地球をこれだけ汚しといて、宇宙まで進出しようとしてるんだから当然ってわけさ」

智葉「しかし人類はそれを乗り越えようと!」

トシ「まぁここでこの話をしてもしようがないけどね……あたしらの宇宙にはほとんど関係ない。それにアレはメダルと怨念の塊さ」

京太郎「……じゃあこの戦いはどうやったら」

トシ「私もそれを今追ってるわけだ……で、結果」

智葉「ここに着いたと」

トシ「そういうこと、なにかあればまた連絡するよ。ただわかることは」

智葉「強大な闇、ですか?」

トシ「さぁてねぇ……」
555 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 00:44:07.21 ID:flmx49ub0


そんなトシが、しっかりと前を向く

京太郎と智葉も合わせてそちらを見る


智葉「っ!」

京太郎「……雀、明華」


そこにいたのは長い髪とロングスカートを風になびかせる少女

フリルのついた日傘を手に、風神―――そう呼ばれた少女がそこにいた


京太郎「……禍翼」

トシ「風の魔王獣、憑代はその娘か」

智葉「っ!」チャキッ


虚ろな瞳で、京太郎たちを見やる

そして―――突風が吹く


京太郎「ッ!」

智葉「ぐっ!」

トシ「……時間か」


その瞬間、京太郎と智葉の付けている端末が音を鳴らす

マガバッサーが現れるその五分前の合図

京太郎の視界の先の明華


京太郎「まずい!」

智葉「どうした!」

京太郎「スカート捲れそう!」

智葉「言ってる場合か!」

トシ「やれやれ」

智葉(直立不動!!?)

556 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 00:52:08.14 ID:flmx49ub0


離れた場所で、車の隣で立っているネリーとアレクサンドラ

突如の突風に、ネリーが上空を見上げる

空から離れた場所に伸びる―――竜巻


ネリー「この風!!?」

アレク「そろそろ始まるってわけ、ていうかやっぱあそこ!」

ネリー「智葉、京太郎!!」

557 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 01:08:15.10 ID:z83lL+MB0


京太郎たちの眼前の雀明華が風と共に、少しづつ浮き上がる

京太郎の首根っこを掴んで後ろへと下がる智葉


智葉「見るな!」

京太郎「ちょ、そんなつもりは!」

智葉「今はないだろ!」


本当にその気はないのだが……信じてはくれていないらしい


トシ「今じゃなきゃ見る機会ないからね、許してやりな」

智葉「熊倉さん!?」

京太郎「失敬な!」

智葉「下着ぐらいいくらでも見せてやるから今は下がれ!」カァッ

京太郎「え?」

トシ「え?」

智葉「いいから!」


とりあえず現状をなんとかしようと言った智葉であった

しかし成功はした、京太郎を引っ張って距離を取る

振り返る京太郎と智葉


京太郎「……あれは!」

智葉「覗くな!」

京太郎「覗いてない!」


明華の日傘が風にさらわれ飛んでいく

そして京太郎は、浮いている明華の背後に巨大な翼を見た


京太郎「くるっ!」


勢いよく吹く風

京太郎は片手にガッツハイパーを構える

狙いは雀明華


京太郎「眠れよぉ!」カチッ


放たれた弾丸は、すぐに光の鞭に叩き落された


京太郎「テンペラー星人か!」

テンペラー星人「ご名答!」
558 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 01:16:00.46 ID:z83lL+MB0


強風の中、現れたテンペラー星人

両手のハサミからビームウィップを振るう

京太郎へと伸びたそれを―――刀が弾く


テンペラー星人「!?」

京太郎「智葉さん!?」

智葉「邪な者ならば斬る!」


納刀し駆けだす智葉が、素早く抜刀

テンペラー星人が後ろへと跳びつつ腕を振るう

不規則に智葉に迫る日本のビームウィップだが、智葉は刀でそれらを弾いていく


テンペラー星人「人間か!?」

智葉「もちのロン……ダァッ!」


それを見ている京太郎とトシ


トシ「怪獣を斬る少女ってとこかねぇ」

京太郎「言ってる場合ですか、てか雀明華!」バッ


そちらを見れば、雀明華の姿が風と共に変わる瞬間


京太郎「あれが……」

ベリアル『マガバッサー!』


現れるのは風の魔王獣マガバッサー

559 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 01:30:30.37 ID:z83lL+MB0


智葉とテンペラー星人が攻撃をぶつけあう

見えている京太郎、ゼットライザーがあるしどうにかついてはいける

だが、そんなウルトラマンと同化している故の身体能力を見せるわけには……


智葉「見えている……負けんッ!」

テンペラー星人「ええい、小賢しいィ!」

智葉「ッ!」


素早い剣戟で、光鞭を弾いていく智葉


京太郎(いや、これならやっても大丈夫か?)

トシ「ヤバい、ひとまず退散するよ!」

京太郎「え?」


現出したマガバッサーが、翼を翻す

その瞬間、凄まじい突風が周囲を襲う

トシが素早くその場から走って行く


京太郎「ターボバ……じゃなくて、俺も!」


柱を掴んで踏ん張る京太郎

だが突風は智葉にも


智葉「なっ!!?」

京太郎「智葉さん!!」


だが智葉は風により宙へと浮き上がる

そして―――


テンペラー星人「うぐおぉぉ!!?」


―――空へと飛んでいくテンペラー星人


京太郎「お前もかよ……ってこのままじゃ!」

560 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 01:42:37.70 ID:z83lL+MB0


風が弱まったその瞬間、京太郎は近場の―――証明写真機に走る


ベリアル『おいあそこでか』

京太郎「見られるわけにはいかないんで……智葉さんを助けなきゃ!」


ゼットライザーのトリガーを引き、証明写真機入口に出現したゲートに入った



―――【インナースペース】


インナースペースに、京太郎は立つ

右手にカードを持ち左手のゼットライザーへと差し込んだ


『キョウタロウ・アクセスグランテッド』

京太郎「レイブラッド星人……!」


メダルを弾くと、周囲に闇が広がる

落ちるメダルを右手で取ると、赤い瞳が輝く


京太郎「究極生命体!」


ゼットライザーにメダルを差し込むと、ブレードをスライドさせた


『Alien Rayblood』

京太郎「ベェリアァルッ!」


トリガーを引き、叫ぶ
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/02(土) 01:43:37.31 ID:t6+OVRaL0
ちょくちょくネタはさむなw
562 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 01:54:18.33 ID:Ear8ECAo0

巻き起こる竜巻

既に四つも五つも出現し、ビルが倒壊、小さな建物は宙に飛んでいる

その中、辻垣内智葉もどうにか生きていた


智葉「ッ! こ、このままではっ!」

マガバッサー「―――!」


智葉の眼前に現れるマガバッサー

その巨大な口が開かれる


智葉「ここまでっ……すまないっ」


智葉がが覚悟を決めたその瞬間、マガバッサーが弾き飛ばされる

驚愕する智葉の周囲、風が弱くなっていく


智葉「これはっ!」


そっと、智葉は突然現れた足場に着地する


智葉「っ! ウルトラマン、ベリアル!?」


それは黒き巨人の手の上

鋭い爪が周囲を囲んでいるが―――


智葉「暖かい、これは……」


ベリアルは智葉を手に乗せたまま地上へと降りていく

そして、ベリアルは風の弱い場所に降りた


智葉「ここは……」

ネリー「智葉!」

智葉「ネリー……」


ネリーとアレクサンドラがいる

ベリアルの手から降りる智葉が、真上を向く

そこには“目つきが悪いウルトラマン”


智葉「……ありがとう」

ベリアル「……」コクリ
563 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/10/02(土) 02:08:33.08 ID:Ear8ECAo0


空を飛ぶベリアル

マガバッサーが再び竜巻を発生させていた

それらに光弾を放つ


ベリアル『なれねェことをさせやがって』

京太郎『ウルトラマンっぽいっすね』

ベリアル『ウルトラマンの埃なんざ何万年も前に死んだっての……』


マガバッサーがベリアルの方を向く

翼を羽ばたかせると、ベリアルを強風が襲う


京太郎『ぐっ!』

ベリアル『さすがに魔王獣かっ!』


突風により吹き飛ばされ、さらに竜巻により浮いているビルなどがぶつかっていく


ベリアル「グゥッ!」

マガバッサー「―――!」


さらに素早く接近するマガバッサーの翼で攻撃を受ける

まるで刃物のようなその翼の攻撃を受けて、落ちるベリアル

そのまま落下してビルを破壊してしまう


ベリアル「ガアァッ!」

マガバッサー「!」


上空から建造物を落としてくるマガバッサー

立ち上がったベリアルがすぐに前に転がってそれを回避、さらに上空へと飛び上がる

ベリアルの胸のカラータイマーが点滅を始める


京太郎『こいつ、今までの比じゃっ!』

ベリアル『チッ、やっぱ今のままの力じゃあな!』

京太郎『それでもッ!』


再び接近してくるマガバッサー

同時にビルなども迫ってくる
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