【仮面ライダー555】その３ スパイダーマン「オルフェノクって、それはないでしょ！」

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24 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:37:08.14 ID:GLRHRqzu0

店員A「なんだアイツ」ﾁｯ

沙耶「あの人、バイク免許受けてるんですか？」ｸﾞﾙｸﾞﾙ

マスター「ああ、そうなんだよ」

店員A「費用、マスターが貸したんですね？なのにあの態度」

マスター「ちゃんと毎月分割で返して貰ってるつーの」ﾎﾟｶ

店員A「いた」ｻｽｻｽ

マスター「乾も来たし今日は、もう上がっていいぞ」

沙耶「・・・」ｸﾞﾙｸﾞﾙ

25 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:37:39.89 ID:GLRHRqzu0

――それから数週間

ｻﾞｰｻﾞｰ

ｶﾗﾝｺﾛﾝｶﾗﾝ

ﾊﾞｻﾊﾞｻ

沙耶「マスター、いつも…の…」ｱｯ

巧「…らっしゃい」

沙耶「あの、マスターは？」

巧「買い出しに」

沙耶「そう…なんだ」ｳｯ

巧「…カウンター、どうぞ」

沙耶「あ、は、はい」ﾖｿﾖｿ

26 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:38:13.67 ID:GLRHRqzu0

・・・

巧「」ｶﾁｬｶﾁｬ ｺﾎﾟｺﾎﾟｺﾎﾟ

沙耶「雨、すごいですね」

巧「ああ」ｶﾁｬ

沙耶「・・・」

ｻﾞｰｻﾞｰ

ｺﾎﾟｺﾎﾟｺﾎﾟ

ｻﾞｰｻﾞｰ

巧「はい。これ」ｶﾁｬ

27 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:38:46.02 ID:GLRHRqzu0

沙耶「え？でもこれいつものじゃ」

巧「おごり」

沙耶「でも私、ブラックは…」

巧「水割り」

沙耶「え？」

巧「コーヒーの水割り」

沙耶「なんですそれ？」

巧「いいから飲んでみて」

28 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:39:33.34 ID:GLRHRqzu0

沙耶「は、はぁ」ｽﾞｽﾞｽﾞ

沙耶「あ…」

巧「あんた、ネコ舌だろ？」ﾌｯ

沙耶「え、なんでわかったんですか！」

巧「いつも、ホットラテをグルグルしてたから」

沙耶「あ、あー…なんかここ最近熱いのダメになっちゃって」ﾊﾊ

沙耶「でもそれ言うとマスターに悪いかなって…」ﾊﾊ

沙耶「本当、困りますね、ネコ舌って」

ｶﾞﾀｯ

29 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:40:32.02 ID:GLRHRqzu0

巧「俺、乾巧！よろしくな」ﾊﾟｧｧｧｧｧ ﾆｺﾆｺ

沙耶「え、あ、はい！木村沙耶です！」

巧「ネコ舌同士、がんばろう！」

沙耶「なにを！？」

巧「熱い時はな、フーフーすると飲みやすいぞ」

沙耶「フーフー？」

巧「あぁ、こうやって」ﾌｰﾌｰ

沙耶「」ﾌｰﾌｰ ｽﾞｽﾞｽﾞ

巧「な？飲みやすいだろ？」ﾆｺ

沙耶「そうだね」ﾌﾌ

30 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:41:04.11 ID:GLRHRqzu0

――2週間後

ｶﾗﾝｺﾛﾝｶﾗﾝ

＼ﾜﾊﾊﾊﾊﾊ／

店員A「おはようございます」

沙耶「もう！乾くんの方が不器用じゃん」ｱﾊﾊﾊ

巧「うるせぇな！」ﾑｽｰ

店員A「」ﾑｯ

店員A「なんです？あれ？」

マスター「おお、乾がな大口叩いてワインディングをやったんだが」

マスター「それがもう下手くそでな」ﾌﾟｯ

店員A「へ、へぇ…」

31 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:41:32.92 ID:GLRHRqzu0

マスター「おい乾、今日はもう上がっていいぞ！」ﾌﾌ

巧「あ、はい」

沙耶「じゃあ私もそろそろ！乾くん！バイク乗っけて！」

巧「はぁ？歩けよ！」

沙耶「そう言いつつヘルメット用意してるの知ってるよ？」

巧「お前の為じゃないし」

店員A「」ﾎﾞｰｾﾞﾝ

マスター「あれはお互い満更でもないな」ﾆﾔ

店員A「っ」ｸﾞｯ

32 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:42:01.40 ID:GLRHRqzu0

マスター「乾！沙耶ちゃんを送ってやれー！」

巧「マスターまで！」

マスター「最近、この辺じゃ痴漢が出るらしいぞ！」

巧「うっ」

沙耶「だって」ｷﾗｷﾗ

巧「わかったよ」ﾄﾎﾎ

沙耶「やったー！」

マスター「青春だねぇ」

店員A「あ、沙耶さん！あの」

ｶﾗﾝｺﾛﾝｶﾗﾝ

店員A「っ・・・」ｸﾞｯ

33 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:42:31.46 ID:GLRHRqzu0

――巧のバイク

ﾌﾞｫｫｫｫｫｫｫｫｫｯ

沙耶「乾くんーこの後ひまー？」

ﾌﾞｫｫｫｫｫｫｫｫｫｯ

巧「あぁー？暇じゃないー」

ﾌﾞｫｫｫｫｫｫｫｫｫｯ

沙耶「暇なんだー！ご飯行こうよー」

ﾌﾞｫｫｫｫｫｫｫｫｫｯ

巧「あのなぁ！そういうのは勘違いされ
沙耶「聞こえなーい！ほらあそこ！」

ﾌﾞｫｫｫｫｫｫｫｫｫｯ

34 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:42:58.37 ID:GLRHRqzu0

――ｽｷﾔｷしゃぶしゃぶ『ｷﾞｭｰｷﾞｭｰ楽園』

ｸﾞｯｸﾞｯｸﾞｯｸﾞｯ

巧「・・・」

沙耶「・・・」

ｸﾞｯｸﾞｯｸﾞｯｸﾞｯ

巧「なんでわざわざスキヤキなんだよ！」

沙耶「食べたかったんだもん」ﾌｰﾌｰ

35 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:43:28.00 ID:GLRHRqzu0

沙耶「ほら、ネコ舌仲間じゃないとさ、お肉取られちゃうじゃん」ﾌｰﾌｰ

巧「…それもそうか」ﾌｰﾌｰ

沙耶「はい。乾くん。あーん」

巧「やめろ、くれるなら普通にくれ」

沙耶「あ、春菊嫌いだからあげる」ﾎﾟｲ

巧「お行儀悪いぞ」ﾌｰﾌｰ

36 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:43:55.34 ID:GLRHRqzu0

・・
・・・
・・・・

沙耶「あーお腹いっぱいー」

巧「そうだな」

沙耶「あ！そうだ、ここ行こう！」ｽﾏﾎ ﾎﾟﾁﾎﾟﾁ

巧「公園？」

37 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:44:23.99 ID:GLRHRqzu0

――東京 星美公園

ﾘﾝﾘｰﾝ

沙耶「みて、乾くん！星！」

巧「またこりゃ安易な場所だな」ﾁﾗ

ｲﾁｬｲﾁｬ ｲﾁｬｲﾁｬ

巧「カップルだらけだし」ﾊｧ

沙耶「そういうこと言わない」

38 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:44:56.22 ID:GLRHRqzu0

巧「なんかあったのか？」

沙耶「なんで？？」

巧「今日はわがままが多い」

沙耶「へぇ、乾くんよくわかってんじゃん」ﾌﾌ

沙耶「」ｸﾙｯ

沙耶「…乾くんさ、3年前何してた？」

巧「それなりに生きてた」

沙耶「私さ、施設にいたんだぁ」

巧「へぇ」

39 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:45:23.02 ID:GLRHRqzu0

沙耶「興味なさげ」ﾑｽｰ

巧「別に珍しいことじゃないだろ。あんな事があったんだから」

沙耶「まぁ最近はね、でも私は指パッチンの前から施設育ちなの」

巧「そうか」

沙耶「乾くんもなんでしょ」

巧「……」

40 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:46:49.07 ID:GLRHRqzu0

沙耶「同じ目。なんかわかっちゃうんだよね」

沙耶「みんな、どこか寂し気な目になるから…」

沙耶「…私達ってさ、どうしてひとりなんだろうね」

巧「そんな話がしたいのか？」

沙耶「あ、ごめん。無神経だったね……」

巧「・・・」ﾊｧ

巧「ガキん時、家族で行った飯屋のビルが火事になった」

沙耶「・・・」

巧「その時からひとりだ」

41 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:47:24.32 ID:GLRHRqzu0

沙耶「私は10才の時。お父さんの仕事の関係でラゴスってとこに住んでたんだけど」

沙耶「事故に巻き込まれて…それから」

巧「よく戻ってこれたな」

沙耶「うん。新しいお父さんが迎えに来てくれたから」

巧「そうか」

沙耶「乾くんは、迷惑に思うかもしれないけど」

沙耶「なんかこういう話したかったんだよねぇ」

巧「迷惑じゃねーよ」

42 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:49:39.48 ID:GLRHRqzu0

沙耶「ありがとう…」

巧「別に…」

沙耶「あの喫茶店はさ、お父さんとの思い出の場所なの」

沙耶「��いつもの�＜zットラテも思い出」

巧「そうか…」

沙耶「乾くんが出してくれたコーヒーの水割り、不味かったよ」

巧「随分とロマンチックなクレームだな」

沙耶「でもね、新しい自分と向き合えたんだ」

43 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:50:11.06 ID:GLRHRqzu0

沙耶「思い出にすがるだけじゃ前に進めないもんね」

巧「そんな深い意味はねぇよ。あのコーヒーには」

沙耶「私の“いつもの”が、前に進めた」

沙耶「乾くん、私ね…」ｸﾙｯ

巧「・・・」

沙耶「ううん、なんでもない」

巧「そうか」ﾎｯ

沙耶「あ、告白されると思った？」ﾆｺ

巧「またわがまま言われるんだと思った」

沙耶「そっか」ﾌﾌ

44 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:53:27.34 ID:GLRHRqzu0

ｶﾗﾝｺﾛﾝｶﾗﾝ

海堂「おっす」

マスター「いらっしゃい。お、直也！練習はいいのか？」

海堂「サボりだよサボり！言わせんなちゅうの、奥いい？」

マスター「おう！いいぞ！」

海堂「サンキュ」ﾁﾗｯ
海堂（あ、沙耶さんがいる…今日もお美しい）ﾎﾟﾜｰﾝ

沙耶「……」ｱｯ ﾍﾟｺ

海堂「あ、どうも…」ﾓｼﾞﾓｼﾞ ﾄｺﾄｺ

45 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:53:56.17 ID:GLRHRqzu0

沙耶「はぁ…」

沙耶「はぁぁぁぁぁ」

マスター「で？うまくいったの？」ﾆｺ

沙耶「いや、脈はあると思うんだけどなぁ…」

マスター「あいつ素直じゃないからね」

沙耶「そーなんですよ……ってなんの話してるの！？」

マスター「いや別に」ﾆﾔﾆﾔ

沙耶「ニヤニヤしないで！」ｶｧｧｧｧ

46 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:54:36.25 ID:GLRHRqzu0

ｶﾗﾝｺﾛﾝｶﾗﾝ

沙耶「あっ」ﾊﾟｧｧｧｧｧ

店員A「おはようございます」

沙耶「…あ、おはようございます」ﾆｺ

マスター「あれ？お前今日シフトじゃないだろ？」

店員A「ええ！今日はお客としてきました！」

マスター「おお、そうか。何にする？」

店員A「では��ホットラテ�≠�」

マスター「はいよ」

47 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:55:03.29 ID:GLRHRqzu0

沙耶「あ、マスター。私ぬるいコーヒーおかわり」

マスター「はいよ」ﾌﾌ

沙耶「笑わないでよ！もう！」ｶｧｧｧ

店員A「あれ？沙耶さん、ホットラテは？」

沙耶「あ、私……」

マスター「誰かさんと同じのを飲みたいんだよね」

沙耶「そういうんじゃないから〜！もう！」ｶｧｧｧｧ

マスター「はいはい」ﾆﾔﾆﾔ

店員A「・・・？」

48 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:55:35.14 ID:GLRHRqzu0

ｶﾗﾝｺﾛﾝｶﾗﾝ

巧「おはようっす」

店員A「・・・」ﾑｯ

巧「あ、ども」ﾍﾟｺ

沙耶「乾くん！乾くん！あのさ」

巧「あ、��沙耶�″｡日時間あるか？」

店員A「��沙耶�＝H」

マスター「おっ…とうとう」ｺﾎﾟｺﾎﾟ

49 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:56:05.22 ID:GLRHRqzu0

沙耶「え？じ、時間？オールで空いてるよ！オールで！」

巧「そうか、じゃあシフト後にここで」ﾄｺﾄｺﾄｺ

マスター「はい。ホットラテとおかわりのコーヒー」

沙耶「」ﾎﾟｰｯ

マスター「沙耶ちゃん？」

沙耶「えー？なんですかぁ」ﾆﾏｰ

マスター「わかりやすっ」ﾀﾗｰﾝ

店員A「・・・」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

50 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:56:33.39 ID:GLRHRqzu0

――5時間後

ｶﾗﾝｺﾛﾝｶﾗﾝ

マスター「いらっしゃ…」

沙耶「さっきぶりです」ｷﾗｷﾗ ﾒｲｸﾊﾞｯﾁﾘ

マスター「気合がエグい」

沙耶「え？なんですか？」ﾆｺｰ ﾊﾟｧｧｧｧｧ

マスター「眩しい！美少女って気合が入ると本当に光るんだ！？」

51 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:57:03.31 ID:GLRHRqzu0

巧「おう、来たか」ﾆｺ

沙耶「乾くん！」

巧「勝負だ！！」

沙耶「うん？」ﾆｯ

52 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:57:34.52 ID:GLRHRqzu0

――20分後

巧「」ｸﾙｸﾙ ｶﾁｬ

巧「よし……どうだ」ｴｯﾍﾝ

マスター「25分20秒…」

沙耶「」ﾆｺﾆｺ

沙耶「はい？」ﾆｺﾆｺ

巧「俺の勝ちだな」ﾌﾌ

沙耶「それで？」ﾆｺﾆｺ

53 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:58:07.81 ID:GLRHRqzu0

巧「ワインディング練習したんだよ！」

巧「これで俺のことを不器用とは言わせないぜ」ﾆｺﾆｺ

マスター「負けず嫌いだなぁ」

沙耶「なるほど、そういうこと」ﾆｺﾆｺ

マスター(沙耶ちゃんって怒るとニコニコするんだね)

沙耶「マスター、お願いします」ﾆｺﾆｺ ｳﾃﾞﾏｸﾘ

54 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:58:35.28 ID:GLRHRqzu0

――20分後

沙耶「」ｸﾙｸﾙ ｶﾁｬ

沙耶「よし…」

マスター「23分16秒…」

巧「」ｶﾞﾀｯ

巧「嘘だ！」

沙耶「乾くん、私仕事でやってるから」ﾆｺﾆｺ

沙耶「これでもお店では遅い方だからね」ﾆｺﾆｺ

マスター「力の差を見せつけたね」

55 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:59:01.69 ID:GLRHRqzu0

巧「くそっ」

マスター「乾、お前は何になりたいんだ」

巧「夢は、夢はない」ｼﾞﾜｯ

沙耶「」ｿﾞｸｿﾞｸ

マスター「いや、重い話したいわけじゃないんだ」

沙耶「マスター！」

マスター「どうしたの？」

沙耶「最高の気分れぇふ！」ﾊｧﾊｧ

マスター「何かに目覚めたね」

56 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 17:59:37.88 ID:GLRHRqzu0

巧「覚えてろ！」ﾀﾞｯ

沙耶「待って」ｶﾞｼｯ ｸﾞｯ

巧「え？」

沙耶「敗者がタダで帰れると思うの？」ﾆｺﾆｺ

マスター「これが狙いか」

57 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 18:00:08.38 ID:GLRHRqzu0

――3ヶ月後

ｶﾗﾝｺﾛﾝｶﾗﾝ

店員A「いらっしゃい！沙耶さん！」

沙耶「…あ、どうも、マスターは？」

店員A「買い出しです！」ｷｭｯｷｭｯ

沙耶「そうですか…」

店員A「カウンターどうぞ！」

店員A「今、��いつもの�￥oしますね！」

沙耶「あ、はぁ…」

店員A「僕からのオゴリです！」

58 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 18:01:26.82 ID:GLRHRqzu0

・・・・
・・・
・・

店員A「それで、マスターがね」ﾍﾟﾁｬｸﾁｬ

沙耶「は、はぁ…」ｼﾞｯ

��ホットラテ�∃ｶﾎｶ

沙耶「・・・」ﾌｰﾌｰ

店員A「どうしたと思います？」

沙耶「え？なんでしょう？」ﾌｰﾌｰ

店員A「カレーを間違えて出したんですよ！」ｱﾋｬﾋｬﾋｬ

沙耶「へぇ…はは…」ﾌｰﾌｰ

59 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 18:01:54.65 ID:GLRHRqzu0

店員A「沙耶さんはハヤシライス好きですか！？」ﾆｺﾆｺ

沙耶「いやー私は冷たいのが好きですね」ﾌｰﾌｰ

店員A「僕も冷たい食べ物好きですよ！気が合いますね！」

沙耶「そ、そうなんですか」ﾌｰﾌｰ ﾌｰﾌｰ

60 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 18:02:24.27 ID:GLRHRqzu0

ｶﾗﾝｺﾛﾝｶﾗﾝ

巧「おはようございます」

店員A「おぅ！おはよう！」

巧「…どうしたんすか？」

店員A「何が？」

巧「いや……」ﾁﾗｯ

沙耶「お、おはよう」ﾌｰﾌｰ

巧「おぅ」

沙耶「」ﾌｰﾌｰ

沙耶「」ﾌｰﾌｰ ﾊﾊ

巧「いや、そんな締まりのない面して気持ち悪りぃなって」

61 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 18:03:07.10 ID:GLRHRqzu0

・・・・
・・・
・・

マスター「やめろ！ふたりとも！」

店員A「てめぇ乾！！調子のんな！！」ｶﾞｯ

巧「うるせぇんだよ！気持ち悪ぃな！！」

沙耶「もういいから！乾くん！！」

巧「お前は関係ねぇだろ！」

マスター「乾！！」

店員A「沙耶ちゃんになんて口聞くんだよ！！」

62 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 18:03:37.63 ID:GLRHRqzu0

巧「あんたさ？沙耶にちょっかい出す前に仕事ちゃんとやれよ！」ｸﾞｯ

マスター「乾！もうやめろ！！」

沙耶「乾くん！やめて！」

店員A「はぁ？意味わかんねぇし？お前おかしいんじゃないの？」ｷｮﾛｷｮﾛ

沙耶「乾くん！お願い！」

巧「おまえも無神経過ぎんだよ！！嫌なもんは嫌ってハッキリ言えよ！」

店員A「被害モウソーだな！被害妄想！」

沙耶「乾くん…」

63 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 18:04:44.85 ID:GLRHRqzu0

巧「そういうどっちつかずな態度がこういう奴を勘違いさせんだよ」

店員A「勘違い？お前、沙耶ちゃんの何なんだよぉ！！」

巧「はぁ？」

店員A「お前こそ、勘違いしてんじゃねぇーの？」

沙耶「・・・」

マスター「お前たちいい加減にしろ！！」

巧「・・・っ」

店員A「沙耶ちゃんの何なんだよぉ！お前はぁぁぁぁ」

巧「友達だよ！！」

64 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 18:05:11.65 ID:GLRHRqzu0

マスター「…っ乾、お前」

店員A「��ただ�≠ﾌ友達かよ」ﾎﾞｿｯ

巧「…いや、だい
沙耶「そうですよ。乾くんは��オトモダチ�≠ﾅす」

マスター「沙耶ちゃん…」

沙耶「あの、私、帰ります」ﾍﾟｺ

ﾀｯﾀｯﾀｯﾀ

ｶﾗﾝｺﾛﾝｶﾗﾝ

65 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 18:05:37.41 ID:GLRHRqzu0

マスター「乾…」

巧「…すみません仕事もど
マスター「いや、追いかけろ」

巧「・・・」

マスター「追いかけろ」

店員A「なら俺が」

マスター「お前は店を片付けろ！！」

店員A「は、はい！」ｽﾀﾀﾀﾀ

マスター「乾！！ちゃんと話してこい！！」

巧「」ﾍﾟｺ

ｶﾗﾝｺﾛﾝｶﾗﾝ

マスター「はぁ…不器用過ぎるだろ。あいつら」ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ

66 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 18:06:08.00 ID:GLRHRqzu0

――星美公園 ベンチ

沙耶「」ﾋｯｸﾞ…ﾋｯｸﾞ…

��巧「友達だよ！！」��

沙耶「・・・っ」ｼﾞﾜｯ

沙耶「やだなぁ…かっこわるい」

沙耶「こんなとこ、流星塾のみんなが見たら…笑うだろうなぁ」


��沙耶を泣かせるやつは、あたしがぶっ飛ばすから！！��


沙耶「…本当、いやだ」ﾂｰ

67 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 18:06:34.80 ID:GLRHRqzu0

��巧「俺の勝ちだな」ﾌﾌ��

��巧「その時からひとりだよ」��

��巧「お行儀悪いぞ」ﾌｰﾌｰ��


沙耶「やだ・・・」


��巧「な？飲みやすいだろ？」��


沙耶「・・・きなの」ｼﾞﾜｯ

68 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 18:07:08.28 ID:GLRHRqzu0

��巧「ネコ舌同士、がんばろう！」��


沙耶「友達じゃ・・・」


��一目惚れだった��


沙耶「乾くんが……好き」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ…


巧「」ﾊｧﾊｧ


沙耶「」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ…

巧「泣くな」

69 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 18:07:34.48 ID:GLRHRqzu0

沙耶「タイミング悪過ぎだよ」ｺﾞｼｺﾞｼ

巧「あーその…ちゃんと最後まで言ってないし」

沙耶「やだ、聞きたくない」ｸﾞｽﾝ

巧「大事な友達だ」

沙耶「・・・」

沙耶「残酷だなぁ・・・」ｸﾞｽﾝ

巧「俺、友達いないんだ」

沙耶「でしょうね！！」

70 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 18:08:13.96 ID:GLRHRqzu0

巧「だから、その」

巧「沙耶が初めての友達だ」

沙耶「・・・」

巧「だから、どうしていいか…」



��この人、恋した事ないんだ��



沙耶「そっか」

71 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 18:09:19.95 ID:GLRHRqzu0

��友愛も恋愛も、わからないんだ��


沙耶「じゃあ、男女の友達の仲直りの仕方…教えてあげる」


��それなら、恋人じゃなくていい��


巧「え？性別で作法とかあんの？」


��一生、別れないオトモダチが1番いいじゃん��

72 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 18:09:59.50 ID:GLRHRqzu0

沙耶「そうだよ。こっちきて」

巧「おお」ｻｯ

沙耶「目つぶって」

巧「いや、お前それは」

沙耶「目、つぶる！」

巧「わかったよ！！…これで」

沙耶「」ｸﾞｯ

巧「むぐ」ｸﾞﾜｯ

沙耶「っ…」ｷﾞｭｯ



��私の勝ち��

73 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 18:10:27.95 ID:GLRHRqzu0

巧「っぷ……おま！これ！」

沙耶「あー照れてるー」ﾏｯｶ

巧「いや、お前、これ！」ｱﾜﾜﾜﾜ

沙耶「これで仲直りだね！乾くん」

巧「おい、沙耶！こういうことは！」

沙耶「��私たち�≠ﾍするんだよ��オトモダチ�≠ｾから！」

巧「いや……俺初めてだったんだぞ！」

沙耶「私もだよ」

巧「はぁ？」

74 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 18:10:56.48 ID:GLRHRqzu0

沙耶「ファーストキス」

巧「おま、おま、なおさら！」

沙耶「初めてが私じゃイヤだった？」

沙耶「私は、乾くんで大満足だよ」

巧「・・・っ」

巧「勝手にしろ！」ﾌﾟｲ

75 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 18:11:27.75 ID:GLRHRqzu0

沙耶「耳まで真っ赤じゃん〜」ﾆｺｫ

巧「帰るぞ」ｶｧ

沙耶「お詫びにスキヤキ奢ってよ」

巧「もうお詫びはしたろ」

沙耶「あれはお詫びじゃないよ。スキンシップ！」

76 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 18:11:55.20 ID:GLRHRqzu0

――現在 西洋洗濯舗 菊池

ｸﾞｯｸﾞｯｸﾞｯｸﾞｯ

沙耶「ねぇ乾くん。私たち、どこで間違えたのかな？」

ｸﾞｯｸﾞｯｸﾞｯｸﾞｯ

巧「間違い？」

ｸﾞｯｸﾞｯｸﾞｯｸﾞｯ

巧「いや、今んとこ間違いだと思ったことはない」

沙耶「さびしいやつ」ﾎﾞｿ

巧「・・・」

77 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 18:12:23.21 ID:GLRHRqzu0

沙耶「知ってる？人って泣きながら生まれてくるんだよ」

巧「俺は泣かなかった」

沙耶「乾くんは、生まれた時から文句垂れてそうだね」

巧「ああ、出すのが遅いってな」

沙耶「」ﾌﾌ

沙耶「でも死ぬ時は笑顔か泣き顔か、それは自分で決められるじゃない？」

巧「ああ、そうだな」

沙耶「私は笑顔がいいんだけどなぁ」

巧「俺は…」

78 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 18:12:53.90 ID:GLRHRqzu0

沙耶「しかめっ面してないで一緒に笑顔になろうよ」

巧「何が望みだ？」

沙耶「渡したい物があるの」

巧「・・・」

沙耶「でも、それを渡したら最後になる」

巧「何考えてんだお前」

沙耶「一緒に行かない？ふたりで…あの時みたいに」

ｸﾞｯｸﾞｯｸﾞｯｸﾞｯ

79 ： ◆TpifAK1n8E [!red_res]：2021/07/04(日) 18:21:19.98 ID:GLRHRqzu0

≪オープンユアアイズ フォザ ネクスト 555≫
ﾃﾞｯﾃﾞ ﾃﾚﾚ ﾃｯﾃｰﾃﾚｰ ﾃﾞｯﾃﾞ ﾃﾚﾚ ﾃｯﾃｰﾃﾚｰ♪

デイジー「3本目のベルト？」

草加「忘れもしない……��同窓会�≠ﾌ日だ」

沙耶「乾くんには、友愛も恋愛も……家族愛も全部一緒」
真理「単純そう」
沙耶「1番複雑だよ」

巧「……死なないでくれ、お願いだから」ﾃﾞｯﾃﾝﾃﾝｯﾃﾃﾝ♪

80 ： ◆TpifAK1n8E [sage saga]：2021/07/04(日) 18:22:24.23 ID:GLRHRqzu0

いったんここでストップします。また今日の夜に書き込む予定です。

81 ： ◆TpifAK1n8E [sage saga]：2021/07/04(日) 23:13:38.47 ID:GLRHRqzu0

――同時刻 東京 シティホテル屋上

スパイダーマン「草加さん、こっち」

草加「ありがとう」ﾖﾛ

スパイダーマン「気にしない
カマラ「マサト！」

ﾄﾞﾝ

スパイダーマン「うわぁ」ｽｯﾃﾝｺﾛﾘﾝ

草加「カマラ…悪いけどティシュを」

カマラ「ボロボロじゃん！シモンズ博士！早く！」

82 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:15:14.76 ID:GLRHRqzu0

ｶﾗｶﾗｶﾗｶﾗ

ジェマ「クインジェットに乗せて！早く！」

捜査官「わかりました！！」

草加「・・・っ」ﾄﾞｻｯ

ｶﾗｶﾗｶﾗｶﾗ!

カマラ「マサト？聞こえる？マサト」

草加「ああ、聞こえてる。ティシュをくれ」

カマラ「これでいい？マサト？」ﾌｷﾌｷ

83 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:15:44.02 ID:GLRHRqzu0

草加「…自分でやるから、放っておいてくれ」

ジェマ「鎮静剤を
草加「待て！その前にみんなと話がしたい」

カマラ「やだよ！マサト！私を置いていかないで！」

草加「死なないよ。意識失う前に話したい事があるだけだ」ﾌｷﾌｷ

ジェマ「こんな時まで…」

スパイダーマン「僕も……いるんだけど」ﾄﾞｻｯ

84 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:16:14.17 ID:GLRHRqzu0

――クインジェット内

デイジー「3本目のベルト？」

草加「ああ…あいつはデルタギアと言っていたが…」

フィッツ「ファイズは、くそウォードが持っていてカイザはこっち、じゃあもう一つのデルタは誰が？」

草加「もしかすると流星塾の誰かが持っていたのかもしれない」

フィッツ「流星塾？」

ジェマ「花形社長が開いてた孤児院兼学校ね」

草加「さすがシモンズ博士だ。もうファイルを読んだのかい？」

85 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:16:51.56 ID:GLRHRqzu0

カマラ「ファイルって？」

ジェマ「スマートブレインから貰ってきた極秘ファイルよ」

ジェマ「でも残念なお知らせ…ファイルは破損してた」

草加「まぁあんな戦闘があったんだ、命があるだけラッキーということか」

ジェマ「ええ、だからコピーした時に私が読んだ分しか情報は得られなかった」

デイジー「それでも大収穫よ。それで？その流星塾のメンバーはどこにいるの？」

草加「死んだ」

デイジー「え？」

草加「アメリカで全員、死んだんだ」

ジェマ「・・・」

86 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:17:21.03 ID:GLRHRqzu0

デイジー「小出しにしないで全部教えてよ！」

草加「流星塾のメンバーは父を探しにアメリカに来たんだ。カイザのベルトと一緒にね」

草加「シモンズ博士は知ってるみたいだから隠しても無駄だな」

ジェマ「ええ、カイザのベルトは使用者への負荷がかかり過ぎるの」

ジェマ「個人差はあるけど、変身が解けたら使用者は灰になる」

カマラ「じゃあマサトは！？」

草加「僕は適合したらしい。だから死ななかった」

カマラ「マサトぉぉぉぉ」ﾀﾞﾊﾞｰ ｶﾞﾊﾞｯ

草加「今死にそう」

87 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:17:52.45 ID:GLRHRqzu0

デイジー「カマラ、ハウス」

ジェマ「でもマサト。本当に大丈夫？資料によれば適合者は…」

草加「ああ、それなら大丈夫さ…スマートブレインは俺の存在を知らないからね」

デイジー「知らない？」

草加「シモンズ博士。人体実験のことは？」

ジェマ「去年の11月16日…10代〜20代前半の男女を使った極秘実験があった」

ジェマ「記号適合実験って書いてあったけど、それのことよね？」

草加「ああ、思い出したくもないが…その被験者は流星塾のメンバーだ」

ジェマ「そんなはずないわ！！」

88 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:18:24.32 ID:GLRHRqzu0

デイジー「ジェマ？」

ジェマ「だって、全員カテゴリーレッドだったのよ？」

カマラ「カテゴリーレッド？」

フィッツ「被験者、死亡」

カマラ「うそ……」

デイジー「・・・っ」

草加「そうだ。そして俺は被験者として囚われる直前に逃げ出した」

��？？「ガルルルル」��

草加「忘れもしない……��同窓会�≠ﾌ日だ」

89 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:18:51.50 ID:GLRHRqzu0

ジェマ「なんでその日に亡くなった人達がアメリカに現れたの？」

草加「……」

草加「俺にも、それはわからない」

カマラ「どちらにせよその人達はもういないんだから、ここで行き詰まりじゃない？」

草加「いや、アメリカに来なかった子がいる。その子なら」

90 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:19:21.05 ID:GLRHRqzu0

――西洋洗濯舗 菊池 真理の部屋

真理「・・・」ｸﾞﾀﾞｰ

��沙耶「大事なオトモダチ」��

真理「・・・」ｺﾞﾛｺﾞﾛ

��沙耶「身体は大きいけど、心はチワワかぁって」��ﾏﾘｰ

真理「絶対好きじゃん」ﾎﾞｿ

��啓太郎「スタイルよかったよ？」�⊆ﾝｺﾝ

真理「」ｶﾞﾊﾞｯ

真理「・・・」

真理「」ﾓﾐﾓﾐ

91 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:19:49.78 ID:GLRHRqzu0

真理「・・・」

��沙耶「ワンちゃーん」��ｶﾞﾗｶﾞﾗ

��沙耶「アハハハ」ｽﾄﾝ ｷｭｯ ｷｭｯ��

真理「乳は勝ってる」ﾓﾐﾓﾐ

沙耶「失礼な事考えてない？」

真理「沙耶！！？なんで！」

沙耶「何度も呼んだよ？ノックもしたし」

真理「マジ？」ﾓﾐﾓﾐ

沙耶「あ、ごめん…」

92 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:20:17.89 ID:GLRHRqzu0

真理「？」ﾓﾐﾓﾐ

真理「」ﾊｯ

真理「違う！」ﾓﾐﾓﾐ

沙耶「自分の乳いじくりながら言われても」ｻｰ

真理「違う！そうじゃなくて！乳は沙耶に勝ってるって思っただけ！」

沙耶「やっぱり失礼な事考えてた」ﾆｺﾆｺ

真理「あ…」

沙耶「少し話さない？」

真理「う、うん」

93 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:20:43.69 ID:GLRHRqzu0

――ベランダ

沙耶「・・・」ﾌﾜｯ

真理「」ﾎﾟｰ

真理(いや、女神か？綺麗過ぎるでしょ)

沙耶「風、気持ちいいね」ﾌﾜｯ

真理(大気まで味方につけた！？)

沙耶「乾くん…」

真理「え？」

沙耶「可愛いでしょ？」

真理「いや、どこが？」ﾏｶﾞｵ

94 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:21:12.07 ID:GLRHRqzu0

沙耶「素直じゃないなー」

真理「いやいや、マジでどこが？」

沙耶「人の事ばっか考えて、損な役回り引き受けて」

沙耶「いっつも泣きそうになってるところ」

真理「誰の話してる？」

沙耶「もちろん、乾巧くんの話」

真理「じゃあ見解の相違だね」

沙耶「そう？あの人の泣き顔なんて」ｿﾞｸｿﾞｸ

沙耶「考えただけでドキドキする」ﾆﾏｰ

真理「うわー」(うわー)

沙耶「心の声、漏れてるよ」

95 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:21:43.13 ID:GLRHRqzu0

真理「絶対好きじゃん…」

沙耶「え？そうだよ？」

真理「いや隠しても…え？」

沙耶「乾くんのこと、大好き」

沙耶「大好きなオトモダチ」

真理「ああ、そういう…」

沙耶「彼ね、愛を知らないの」

真理「修羅の国から来たんだもんね」

沙耶「なにそれ」ﾌﾌ

96 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:22:21.70 ID:GLRHRqzu0

沙耶「乾くんには、友愛も恋愛も……家族愛も全部一緒」

真理「単純そう」

沙耶「1番複雑だよ」

真理(怒ってる？)

沙耶「だから、真理が乾くんに感じてる愛は」

沙耶「彼には伝わらないよ」

真理「な、なんの話をしてるの？」

沙耶「恋みたいにドキドキしない、友情みたいに楽しくない、家族愛みたいに無償でもない」

沙耶「じゃあ真理ちゃんは何を求めてるでしょう？」

真理「さっぱりわからない」

97 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:22:50.92 ID:GLRHRqzu0

沙耶「乾くんが取られそうになるとヤキモキするし、乾くんが離れると追いかけちゃう、乾くんがいなくなったら身が引き裂かれる思いになる」

真理「・・・」

沙耶「それは、彼に��安心�≠�求めるから」

真理「違う！そんなの求めてない！！」

沙耶「彼を独占したいのは、そうする事で安心していられるから」ﾆｺﾆｺ

真理「違うよ！」

98 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:23:21.51 ID:GLRHRqzu0

沙耶「機嫌が悪い時は、いじめちゃうの。だって彼は受け止めてくれるもん。」

沙耶「我慢するでもなく、無視するでもなく、圧倒的な力でねじ伏せるのでもなく」

沙耶「対等に、同じ速度で、��一緒に歩いてくれる�＝vﾆｺﾆｺ

真理「私はそんな風にあいつを見てない！！」

沙耶「でもね真理、もう乾くんを解放してあ
巧「大きなお世話だよ」

真理「巧！」

ﾀｯﾀｯﾀｯﾀ

99 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:23:51.03 ID:GLRHRqzu0

真理「私、そんな事考えてない！私！」ｶﾞｼｯ

巧「わーってるよ。そんな器用な脳味噌してねぇだろ」ﾖｼﾖｼ

沙耶「もう、甘やかすんだもんなぁ」ﾌﾟｲ

巧「お前はいじめ過ぎだ」

沙耶「反省してまーす」ﾌﾝ

真理「え、なんなの？なんで2人ともこんな和やかなの？」

巧「あぁ、あのな真理…」

巧「俺しばらく、この家を離れる」

100 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:24:31.18 ID:GLRHRqzu0

――1年半前 喫茶店

マスター「21分31秒」

沙耶「また私の勝ち」

巧「何故だ！なんで勝てねーんだ！！」

店員B「乾くん力みすぎなんじゃね？」

巧「ならやってみろよ！」

店員B「いや仕事中だから」ﾑｶ

沙耶「ほら、すぐ吠えないの」

巧「うるせぇな！」ｶﾞﾙﾙﾙ

101 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:25:01.58 ID:GLRHRqzu0

沙耶「よしよし、お姉さんが相手してあげるから」

巧「同い年だろ！」

店員B「はぁ、イチャイチャするならどっか別の場所でやれよ」ﾁｯ

マスター「まぁ確かに、デートでもしてきたらどうだ？」

巧「いや、デートって」

沙耶「乾くんはここが1番落ち着くんだよねぇ」ﾆﾀﾆﾀ

巧「こんな不気味なマネキン持って他のところ入れないだろ！！」

マスター「うちもやめてくれよ」

102 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:25:32.55 ID:GLRHRqzu0

店員B「マスター、マスター」

マスター「はい、マスターです」

店員B「ふたり付き合ってるんですか？」

マスター「沙耶ちゃんはそのつもりだろうね」

店員B「はぁ？じゃあ乾の方は遊びなんすか？」

マスター「いや、そんな軽薄なヤツではないよ」

103 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:26:08.70 ID:GLRHRqzu0

店員B「でもそれじゃ沙耶ちゃん可愛そうじゃないですか」

マスター「よそは他所ってやつさ。案外ああいうタイプが気付いたらゴールインかましてるもんだよ」

店員B「なんか釈然としませんね。なんで乾とあんな美人が」ｷﾞﾘｷﾞﾘｷﾞﾘ

沙耶「乾くん！乾くん！」

104 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:26:38.36 ID:GLRHRqzu0

――その2か月後 アパート 巧の部屋

ﾐｰﾝﾐﾝﾐﾝ、ｼﾞﾘﾘﾘ

沙耶「乾くん、その段ボールこっち」

巧「はいよ」

沙耶「えーとこれは」ｶﾞｻｺﾞｿ

巧「……なぁ」

沙耶「あ、ハサミとって」ﾊﾟｯﾊﾟｯ ﾄﾞｻ

巧「ほれ」ｻｯ

沙耶「サンキュ」

105 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:27:07.01 ID:GLRHRqzu0

巧「あのさ…」

沙耶「あとは…」ｳｰﾝ

巧「おい、沙耶」

沙耶「なに？？」

巧「なんでうちで荷解きしてんだ」

沙耶「え？一緒に住むから」

巧「だからなんで一緒に住む流れなんだよ！」

106 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:27:36.49 ID:GLRHRqzu0

沙耶「だから、うちが老朽化による立て直しで引越ししないとって話で」

沙耶「マスターがふたりで住めば？って言ったから」

巧「だからなんでそれでOKって話になるんだよ！」

沙耶「だってここ、マスターの実家のアパートだし」

巧「そうだけど！俺の意思はどうなるんだよ！」

沙耶「ダメなの？」ﾋﾞｯｸﾘ

107 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:28:13.46 ID:GLRHRqzu0

巧「お前なぁ、年頃の男女が一緒に住んで間違いがあったらどうすんだよ！」

沙耶「正解にしたらいいんじゃない？」

巧「謎かけしてるわけじゃねぇよ！！」

沙耶「乾くんは狼になるタイプじゃないでしょ」

巧「……まぁ」

沙耶「あ、自信ないんだー」

巧「いや、友達にそんな事はしない」

沙耶「なんか、それはそれで傷つくなぁ」

108 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:28:48.65 ID:GLRHRqzu0

ﾐｰﾝﾐﾝﾐﾝ

沙耶「あー暑い」ﾁﾗ

巧「扇風機回すか」

沙耶「あー暑いなぁー」ﾁﾗ

巧「…何考えてんだ」ﾊｧ

沙耶「しーらない。シャワー浴びてくる」

巧「じゃあコンビニ行ってくる」

沙耶「��一緒に入ってくる�＝H」

巧「どういう耳してんだよ！！率先して間違いを犯すな！！」ﾑｽｰ

ﾊﾞﾀﾝ

沙耶「間違いかぁ」

109 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:29:18.87 ID:GLRHRqzu0

・・・・
・・・
・・

沙耶「」ｽﾞｽﾞｽﾞ
巧「」ｽﾞｽﾞｽﾞ

沙耶「そうめんって最高だね」

巧「冷奴、盛り蕎麦、冷やし中華に次ぐネコ舌界の救世主だからな」ｽﾞｽﾞｽﾞ

沙耶「乾くんってネコ舌の話になると饒舌だよね」ｽﾞｽﾞｽﾞ

沙耶「あ、乾くん。私ふとんは持ってないから」

110 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:29:44.64 ID:GLRHRqzu0

巧「」ｽﾞｽﾞ



ｶｧｰ ｶｧｰ ｶｧｰ



巧「」ｽﾞｽﾞｽﾞ

巧「お前！今、言うか！？」

沙耶「覚悟を決めて来ました」

巧「決めるな！そんな覚悟！」

111 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:30:16.78 ID:GLRHRqzu0

沙耶「でも一晩くらい大丈夫でしょ！なんなら1組あればOKじゃない？2人だし」

巧「2組必要だろ！！」

沙耶「興奮しすぎだって、ちょっと照れるなぁ」

巧「照れるな！照れるな！あーもういい！今日は漫喫に」

沙耶「ダメ」

巧「そういう訳にもいかんだろ」

沙耶「お願い。何もしないから」

巧「セリフが逆だ」

沙耶「お願い……1人にしないで」

巧「わかったよ」ﾊｧ

巧「そのかわり…」ｻｯ

112 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:30:42.92 ID:GLRHRqzu0

――

沙耶(寝袋を持っていたとは…迂闊だった)

沙耶「乾くん、寝た？」

巧「寝た」

沙耶「そっち行っていい？」

巧「ダメ、寝袋は1人用、あと暑いからいやだ」

沙耶「めっちゃ拒否るじゃん」ﾌﾌ

113 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:31:08.83 ID:GLRHRqzu0

巧「……お前さ」

沙耶「なーに？」

巧「自分を大切にしろよ」

沙耶「なにそれ」ﾑ

巧「なんでもねーよ」

沙耶「いや、聞き捨てならない」ｶﾞﾊﾞｯ

巧「だから、なんでもないって」

沙耶「私が軽い女って言いたいの？」

巧「だから、そうじゃなくて」ｸﾙｯ

114 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:31:39.66 ID:GLRHRqzu0

沙耶「じゃあ何？」ｼﾞﾜｯ

巧「泣くなよ…」

沙耶「そんなイモムシみたいな格好でキメ顔されても騙されないよ！」ｿﾞﾜｿﾞﾜ

沙耶「怒ってりゅんだかりゃね」ﾆﾔ ﾑ ﾎﾟﾛ ﾆﾍﾗ

巧「喜怒哀楽全部出すやつ初めてみたわ」

沙耶「乾くんだからこう言うこと言うし、間違いが起きてもいいって思うから一緒にいるんじゃん」

巧「間違いは起こすな」

115 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:32:23.91 ID:GLRHRqzu0

巧「間違いは起こすな」

沙耶「だいたい間違いって何？友達だから？寝たら間違いなの？」

巧「そういうことじゃないだろ。冷静な判断ができない年齢なんだから」

沙耶「真面目なタイプの教師なの？気持ちの問題じゃん」ｽｸｯ

巧「おい、何してんだ」

沙耶「間違いじゃなければいいんでしょ？正解なら」ｶﾞﾊﾞｯ

巧「どうみても間違ってるだろ」

116 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:32:54.26 ID:GLRHRqzu0

沙耶「」ｷﾞｭ

巧「おい」

沙耶「寝た」

巧「おい、コラ」

沙耶「うるさい、寝た！ぐーぐー！」

巧「暑いって」

沙耶「私はイモムシ抱いてるだけ、抱き枕」

巧「・・・」

117 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:33:28.85 ID:GLRHRqzu0

沙耶「静かにしないと、お隣から怒られるよ」

沙耶「夜の音がうるさいってマスターの耳にも入るよ」

巧「それは困るな」

沙耶「そしたら既成事実成立して」

巧「何もしてないのに…」

沙耶「責任オバケの乾くんは、私をお嫁さんにするしかなくなるよ」

巧「選択肢は無いんだな」

118 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:33:56.61 ID:GLRHRqzu0

沙耶「新婚旅行はバイクで九州にいく」

巧「なんで九州？」

沙耶「妹に会いにいく」

巧「ああ、施設の…」

沙耶「こんな人のどこがいいの？とか言われて乾くんはうるせぇって言ってケンカする」

巧「お前の妹、そんな口悪いのか」

119 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:34:36.97 ID:GLRHRqzu0

沙耶「結婚式はしない。乾くん友達いないから。新郎側空席とかイヤだし」

巧「返す言葉もない」

沙耶「新婚生活は結構上手くいくの、喧嘩も少なくて町内で仲良し夫婦として有名になる」

巧「そりゃ素敵だな」

沙耶「子供は2人産みたい。男の子と女の子。男の子は乾くんにそっくりで心配性で面倒見が良くて、さびしんぼう」

巧「可愛そうなガキ」

沙耶「女の子は私に似て、気が強くて意地っ張りでこうと決めた事は曲げないの」

巧「お前がふたりいたら俺は過労死するな」

120 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:38:27.74 ID:GLRHRqzu0

沙耶「お父さんかっこいい、ダメ、お父さんはママのだよ！いつまでやってるんだよ！おふくろーってキャキャするの」

巧「呼び方のジャンルは統一させたいな」

沙耶「」ｷﾞｭ

沙耶「幸せな家族をふたりで取り戻すの」ｷﾞｭｩ

巧「・・・っ」

沙耶「いつしか、子供たちは大人になって…私達もおじいちゃんおばあちゃんになる」ｸﾞｯ

121 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:38:56.87 ID:GLRHRqzu0

沙耶「日向ぼっこして、手を繋いで、たまに熱海の温泉に行って」

沙耶「孫が生まれて、もう一度人生が華やかになる。」

沙耶「お正月、節分、桃の節句、入学式、夏休みのキャンプ、ハロウィン、クリスマス、またお正月」

沙耶「家族みんなで全部やりたい」ﾂｰ

巧「・・・」

122 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:39:54.93 ID:GLRHRqzu0

沙耶「最後は笑顔で、みんなにバイバイしたい。乾くんの泣顔を見て笑ってバイバイするの」

巧「俺、残されるんだ」

沙耶「大丈夫。乾くんの事だから、寂しくなってすぐ私のところに来ちゃうから」ﾎﾟﾄｯﾎﾟﾄｯ

巧「そうだろうな」ｷﾞｭ

沙耶「その気になった？」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

巧「なるかよ・・・っ、バァカ」ｷﾞｭ

沙耶「じゃあ、このまま眠れるね」

巧「あぁ、久しぶりにゆっくり眠れそうだ」

沙耶「おやすみ。愛してるよ巧」

巧「男前かよ」ﾌﾌ

123 ： ◆TpifAK1n8E [saga]：2021/07/04(日) 23:40:33.29 ID:GLRHRqzu0

――1か月後 喫茶店

沙耶「うーん」

女店員「沙耶さん何唸ってるんですかね？」

店員B「美容師の試験勉強らしいよ」

店員B「なんか指パッチンの影響で試験要項の年齢とかが緩和されたみたいでさ」

店員B「今年から受けられるようになったんだけど、試験日がもうすぐなんだってさ」

女店員「へぇーでもなんでここで？」

店員B「ああ、それはアイツがいるから」ﾑｯ