結標「私は結標淡希。記憶喪失です」

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341 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:35:17.29 ID:oCYJ/As4o


吹寄「さて、そうと決まったらどこに行くか決めましょう」

結標「どんなジャンルに行きたいかよね。ジェットコースター、空中ブランコ、バイキング、ウォーターライドとか」

打ち止め「その中だったらウォーターライドっての乗ったことないから行ってみたい、ってミサカはミサカは挙手して発言してみる」

禁書「うぉーたーらいどってなに?」

吹寄「水路の上を船みたいなもので進んでいくアトラクションよ。ものすごい坂の水路を船が下っていくようなのテレビとかで見たことない?」

禁書「ああ、それなら前行ったとき乗ったんだよ! たしかうぉーたーあどべんちゃーって名前のやつ」

姫神「……そういえば乗ったね。たしかあれは絶叫度レベル2のやつだった気がする」

吹寄「よくよく考えると来たことある人たくさんいるのよね。だったら出来る限り前行ったのと被らないようにしたほうがいいわね」

結標「別に気にしなくてもいいわよ。面白いアトラクションなら何回乗っても面白いわ」

姫神「まあとりあえず。絶叫度レベル3のウォーターライドに行こう。マリンチェイサーっていうやつがレベル3だし。空いているっぽい」

打ち止め「うん? なに見てるのアイサお姉ちゃん、ってミサカはミサカは持ってる携帯に興味を示してみる」

姫神「これは遊園地が配布しているアプリ。全アトラクションの場所とか調べられる。その上待ち時間もリアルタイムでわかる優れもの」

打ち止め「はえーなんかすごいね、ってミサカはミサカは感心してみる」

吹寄「じゃあそこにしましょ。グズグズしてる間に待ち時間増えてもあれだし、さっそく行きましょうか」

打ち止め「おおっー! ってミサカはミサカは拳を突き上げてみたり」

禁書「ところでまりんちぇいさーってなにかな?」

風斬「さ、さあ? 直訳すると海の追跡者? かな?」

禁書「ああ、やっぱりそういう意味なんだ」

一方通行「…………」ボォー

結標「あっ、またアイツぼーっとしてるわね。ちょっと一方通行! 行くわよ早く付いてきなさい!」

一方通行「……ああ、悪りィ」

結標「貴方、最近そればっかり言っているわよね。本当にどうしたのよ?」

一方通行「……何でもねェよ。気にすンな」

結標「そんなこと言われても気になるものは気になるわ」

一方通行「…………」

結標「……もういいわ。早く行くわよ」

一方通行「……ああ」


―――
――



342 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:36:06.50 ID:oCYJ/As4o


同日 09:20

-スターランドパーク・マリンチェイサー-


吹寄「……なるほどね。マリンチェイサーってそういう意味か」

打ち止め「おおっー、何かサメの絵とかがいっぱい描かれてる、ってミサカはミサカは見たままの光景を口にしてみたり」

禁書「わあっ、なんかすごいねひょうか!」

風斬「そ、そうだね」

結標「何か絶叫度の種類が違う気がするわね……」

姫神「もう一つ絶叫度レベル3の。ウォーターライド系のアトラクションはあるけど。この位置からは真反対だから結構距離がある」

吹寄「うーん、そうなるとここでいいかってなるわね。待ち時間も一〇分とかだし」

打ち止め「ミサカは大丈夫だよ! どんなアトラクションだってどんと来いだ! ってミサカはミサカは胸を張ってみたり」

結標「そう。じゃあ並びましょうか」



〜一〇分後〜



係員「――では次のお客様!」

吹寄「すみません。七人なんですけどいけますか?」

係員「はい。こちらのアトラクションは八人乗りなので大丈夫ですよ。では一緒になれるように調整いたしますねー」

吹寄「ありがとうございます」

係員「では、こちらのボートに乗ってください」


打ち止め「うおおっ! いよいよ始まるのかー楽しみだぜ! ってミサカはミサカは胸を躍らせてみたり」

吹寄「どういう感じのアトラクションなんだろ。最後は坂を滑り降りる感じのだとは思うけど」

姫神「学園都市外のテーマパークに。同じ題材でびっくり系のアトラクションがあったけど。たぶん似たような感じだと思う」

結標「やっぱりそういうやつなのね」

禁書「ところでサメって食べられるのかな?」

風斬「中華料理にフカヒレがあるくらいだから、種類によっては食べられると思うよ」

禁書「そうなんだ」

風斬「……、あの、一応言っておくけど、ここで出てくるサメはたぶん、作り物だから……食べられないよ?」

禁書「そ、それくらいわかっているんだよ! ただ気になったから聞いてみただけであって」

吹寄「というか本物だったとしても食べられないでしょ。むしろ逆にこっちが食べられるわ」

一方通行「…………」


343 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:37:13.21 ID:oCYJ/As4o


係員「それでは危険でデンジャラスな海の旅をお楽しみください」



バシャー!!



打ち止め「われわれは今洞窟っぽいところをひたすら進んでおります、ってミサカはミサカは実況してみたり」

結標「誰に向かって言っているのよ?」

姫神「海の旅とか言っていた気がするけど。洞窟の中なんだね」

吹寄「まあ、洞窟出たら海なんでしょ、たぶん」



ゴゴゴゴゴゴッ!!



禁書「ん? 何か変な音が聞こえてくるかも」

打ち止め「おっ、そろそろサメさんの登場かな? ってミサカはミサカは目を輝か――」



ドパァァン!!



サメ『ガアアアアアアアアアアアア!!』



打ち止め「ぎゃああああああっ!? 船の右側からサメが出てきた!? てか顔怖っ!? ってミサカはミサカは驚きながらも実況を続けてみたり」

吹寄「本物のサメをこの目で見たことはないけど、なんかリアルっぽいわねこの作り物」

姫神「そうだね。図鑑とか動画とかで見る。ホウジロザメそのもの」



ガン!! ガン!! ガン!! ガン!!



禁書「わっ、サメが船に突進してきているんだよ! こ、このままじゃ転覆しちゃうかも!?」

打ち止め「ひゃあああどうしよ海とかプールとかミサカ泳いだことないんだけど!? ってミサカはミサカは未知の世界に恐怖を覚えてみたり」

結標(楽しんでるなー、どうせ作りものだから安全って思っている自分がちょっと寂しい)



ザパン



打ち止め「あっ、サメが海の中に帰っていった。諦めてくれたのかな? ってミサカはミサカは安心のため息をついてみる」



ゴポポ、ドパァァン!! ガギン!!



風斬「ひっ!?」

打ち止め「ああああっ!? 今度は前からサメが出てきてボートの前部分を噛み付いた!? ってミサカはミサカは懇切丁寧に実況してみたり!」

吹寄「へー、すごいわね。乗り物自体に干渉してくる装置なんて見たことないわ」

禁書「これって大丈夫? すごい勢いで噛み付いてきているけど……」

姫神「学園都市製の乗り物だから大丈夫だよ。さすが学園都市」

一方通行「…………」


344 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:38:03.54 ID:oCYJ/As4o


〜五分後〜


打ち止め「いやー、なかなか面白いアトラクションだったねー、ってミサカはミサカは率直な感想を言ってみる」

結標「そうね。すごい風が吹いてきたと思ったら、大量のサメが上から降ってきたヤツはすごかったわね」

姫神「でも。砂浜からサメが突然現れたり。双頭のサメが現れたり。タコみたいな足が生えたサメが出てきたときは。なにかと思った」

吹寄「一体何を見せられてるのかとちょっと困惑したわね……まあ最後の巨大サメに食べられて急落下したところはよかったわ」

打ち止め「でもさ、食べられてから落ちた後それで脱出できました、でアトラクションが終わったってことは、ミサカたちはサメさんのうん――」

姫神「それ以上はいけない」

禁書「なんかガチャガチャしてて派手なアトラクションだったね」

風斬「う、うん……、こ、怖かった……」

打ち止め「ふふふ、レベル3がこれなら4どころか5でも余裕かも、ってミサカはミサカは不敵な笑みを浮かべてみたり」

吹寄「いや、あれは絶叫マシンと言えるか少し怪しいから、もうちょっと様子を見たほうがいいんじゃないかしら?」

打ち止め「よーし、だったら次は絶叫マシンの王道ジェットコースターに行こー! ってミサカはミサカは提案してみる」

結標「たしかにそういうヤツのほうがわかりやすいか」

姫神「ジェットコースター系で絶叫レベル3は。スカイラインコースターってやつと。フロートフィーラーってやつが待ち時間少なめ」

結標「スカイラインは前来たときに乗ったやつね。成長を見られるって意味ならそっちのほうがいいかも」

打ち止め「うっ、い、いややっぱり一度乗ったやつだと新鮮味がないからね。もう一個のほうがいいんじゃないかな、ってミサカはミサカは提案してみる」

禁書「らすとおーだー。なんかすごい汗かいてるよ?」

吹寄「フロートなんとかってのはどんなの?」

姫神「足場がない系のジェットコースター。よくあるやつだね」

吹寄「あー、足場がないだけで恐怖感が増すって聞くあれね」

打ち止め「ふふん。足場があろうがなかろうがジェットコースターには変わりないのだ! ってミサカはミサカは核心に迫った発言をしてみたり」

結標「人生で一回しかジェットコースター乗ったことないのに、よくそんな自信満々に発言できるわね」

姫神「ちなみに待ち時間は今の所二〇分」

吹寄「ジェットコースターは遊園地の花形だから、さっきのやつよりはちょっと長いわね」

結標「それでも人気アトラクションに比べればすぐよ。それじゃあ行きましょ」

打ち止め「うおしゃあああああっ!! 足場なしがなんぼのもんじゃーい!! ってミサカはミサカは勇ましい口調で意気込みをアピールしてみたり」


一方通行「…………」ボォー


結標「……ほらっ、一方通行キビキビ歩くっ!」ガシッ

一方通行「……ッ!? オマエ引っ張ンじゃねェ危ねェだろォが」

結標「だったらぼーっとしてないで自分で歩きなさい!」

風斬「…………」

禁書「? どうかしたひょうか」

風斬「……、う、うん。なんでもないよ、あはは」

禁書「?」


―――
――



345 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:39:18.36 ID:oCYJ/As4o


禁書「へー、なんだか大変そうだね」

吹寄「そうは言うけどインデックス? あなたも修道服着ているから似たような自体には陥っているのよ?」

禁書「そ、そうなの?」

吹寄「だってそれってワンピースみたいなものでしょ? しかも足首まで伸びてるロングスカートの」

禁書「……あー。だから前ここに来たときこもえが『なんで動きづらい修道服で来ちゃったんですか!?』って言ってきたんだね」

姫神「気付いていなかったのか……」

吹寄「ったく。だいたい上条当麻は遊園地に行くってわかっていたのだから、二人に動きやすい服装を準備するように言っておくくらいしてくれててもよかったのに。まったく気が利かないヤツね」

結標「まあ、男の子だしそういうの気付くほうが珍しいからしょうがないわよ」

姫神「で。どうするの? 別のヤツに変える?」

風斬「い、いいですわざわざ私たちのためにそんな! し、下で待っておきますので大丈夫です」

禁書「えっ、私も待つの?」

姫神「修道服の裾をまくりあげた姿を。公衆の面前にさらしてもいいなら。乗ってもいいと思うけど」

禁書「うっ、なんかそういう言い方されると乗りたくなくなるかも」

吹寄「でも待つといっても待ち時間とジェットコースターに乗る時間で二〇分強かかるわよ?」

風斬「それでも、別のアトラクションへ移動する時間と、そこでの待ち時間を考えたら、余計に時間がかかってしまいます。皆さんにそんな、無駄な時間を使わせたくない、です」

結標「だけど、それだと貴女たちだけが私たちが終わるまでの待ち時間という無駄な時間を使うことになるわ。そんなの悪いわよ」

風斬「……いえ、私たちは大丈夫なので」


一方通行「……ったく、面倒臭せェ。だったらその待ち時間で別のアトラクションに乗って時間潰せばイイだろォが」


風斬「!?」

打ち止め「あっ、アクセラレータがシャアベッタアアアアアア!? ってミサカはミサカは子供らしいハイテンションなリアクションをしてみたり」

一方通行「何で俺が喋っただけで、そンなリアクション取られなくちゃいけねェンだ」

結標「いや、それは貴方がさっきからぼーっとしてばかりだからでしょ」

一方通行「……悪かったな」

吹寄「……たしかにアクセラの言う通りかもね。なにもみんなで同じアトラクションに絶対に乗らないといけないなんてことはないんだもの」

一方通行「そォいうわけだからオマエらはそっちのジェットコースターに乗ってろ。俺はこいつらと適当に時間潰す」

姫神「アクセラ君はそっちに行っちゃうんだ」


346 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:40:35.16 ID:oCYJ/As4o
>>345ミスったこれの前にこれ



同日 09:50

-スターランドパーク・フロートフィーラー-



ゴガガガガガガッ!!



<きゃああああああああっ!! <すげえまるで空を飛んでいるみたいだ!! <あっ、ワイの靴がどっか飛んでいった!?



打ち止め「おっ、おう。これが足場なしのやつか。ま、まあ前乗ったやつに比べればちょっと速度が遅いかな? ってミサカはミサカは冷静に分析してみる」

結標「よかったわね打ち止めちゃん。これなら大丈夫そう?」

打ち止め「な、なにを言っているのかなアワキお姉ちゃん。ミサカはも、もうちょっと速くても余裕だったんだぜ? ってミサカはミサカは腕を組みながら答えてみる」

吹寄「さて、さっそく並ぶとしましょ」

姫神「待ち時間は変わらず二〇分待ち。減ってくれていれば嬉しかったけど。まあ。増えているよりはマシか」

風斬「……、あ、あの」

結標「どうかしたの?」

風斬「わ、私は、その、……このアトラクション、乗らなくても、いいですか?」

吹寄「あ、もしかしてジェットコースターとかダメな人だった? ごめんなさい、そうと知らずに勝手に決めちゃって」

風斬「い、いえ、そういうわけじゃないんですが……」

姫神「……ああ。なるほど」

禁書「なにがなるほどなのあいさ?」

姫神「風斬さん制服着ているから。このアトラクションはちょっと辛い」

吹寄「あー、たしかにスカートであのジェットコースターは恥ずかしいわね。まして風斬さんはスカート長めにしてるし」

打ち止め「なんでスカートだと乗れないの? ってミサカはミサカは首を傾げてみる」

姫神「あのジェットコースターの安全装置が。股の間まで固定するものだから。長めのスカートだとかなりめくり上がってしまう」

結標「座り方を工夫すれば下着が見えないようにはできるだろうけど、どうしても太ももとか出ちゃうし格好はよくないわね」

打ち止め「なるほど。だからヨミカワが準備してくれたミサカの今日の服はショーパンだったんだね、ってミサカはミサカは納得してみる」
347 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:41:37.21 ID:oCYJ/As4o


一方通行「何か問題があるのか?」

姫神「いや。別に」

結標「……や、やっぱり貴方は風斬さんのことが……」アワアワ

一方通行「……だから勝手に変なこと決めつけてンじゃねェよ。こいつらだけを野放しにしとけねェと思っただけだ」

禁書「ちょっとあくせられーた? 私たちはあなたに面倒を見られないといけないような子供じゃないんだよ」

一方通行「悪い言い方間違えた。風斬は問題ねェが機械音痴クソシスターの暴走を、風斬一人でどォにかできるとは思えねェから俺が出張ってやるンだ。感謝しろ」

吹寄「……わかったわ。だったらあたしたちがジェットコースター乗り終えるのが二〇分後くらいだから、それくらいの時間にまたここに集合ってことで」

一方通行「ああ」

姫神「ところでアクセラ君たちは。何のアトラクションに乗るつもりなの?」

一方通行「何でもイイだろ。適当にそこらへんにあるヤツにすれば」

姫神「だったらあそこに。面白そうなものがあるよ」

一方通行「あァ?」


『爆転シュート!! カプブレード』


ガキン!! ガキン!! ガキン!!


<ああああああああああああっ!! <目が回るううううううううう!! <おろろろろろろろろろっ!!


一方通行「」

風斬「ひっ!?」

打ち止め「うおおおなんだあれ!? コーヒーカップ同士が回転しながらぶつかり合って火花を散らしまくってる、ってミサカはミサカは目の前の状況に戸惑いながらも解説してみたり」

姫神「絶叫レベル5のコーヒーカップ。待ち時間もこっちと同じ二〇分。ちょうどいいんじゃないかな?」

禁書「はえー、すごいやつなんだ! なんだか面白そうだねひょうか!」

風斬「えっ!? ……あ、えっと、う、うん、そうだね……」

吹寄「風斬さん顔青ざめてきてない?」

結標「……一方通行?」

一方通行「……何だよ」

結標「ジェットコースターに乗るのが嫌でそっちに行ったのでしょうけど、残念ながらそっちのほうがキツそうね」

一方通行「……そンなつもりはさらさらなかったが、たしかに後悔しかねェ」


―――
――



348 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:42:40.95 ID:oCYJ/As4o


同日 10:00

-スターランドパーク・爆転シュート!! カップブレード-


ガキン!! ガキン!! ガキン!!


<やあああああああああああああああああああああああ!! <めええええええええええええええええええええええ!! <てええええええええええええええええええええええええ!!


禁書「目の前で見るとすごい迫力だね!」

風斬「そ、そうだね……」

一方通行「……よし。オマエらはそこの列に並ンで順番を待って、あのアトラクションを楽しンでこい。俺は適当にコーヒーでも飲ンで待っているから」

禁書「えっ、あくせられーたは乗らないの?」

一方通行「俺はオマエらの面倒を見るためにここにいる。つまり、わざわざ一緒になってアトラクションにまで付いていかなくても、ここで遠目に見守ればイイってわけだ」

禁書「でもそれじゃあくせられーたが楽しくないんじゃないかな?」

一方通行「安心しろ。それに乗るよりは遥かに楽しいからよォ」

禁書「えー」

一方通行「そォいうわけだから、オマエらだけ――」



ガシッ



風斬「…………」

一方通行「あァ? 俺の手を掴ンでどォいうつもりだ?」

風斬「……あの、えっと、い、一緒に、いきませんか?」

一方通行「あァ? だから言っただろ。俺は行く必要ねェって」

風斬「い、いえそんなことはないです。なにが起こるかわからないし、あ、あなたに付いていただけると、助かります」

一方通行「別に大したことは起こらねェだろ。せいぜい過度な恐怖感と疲労感、あとは平衡感覚を失うことによって嘔吐感が湧くくれェか」

風斬「け、結構な大事だと思うんですが……」

一方通行「それは俺が居よォが居まいが必ずオマエに訪れる事象だ。だから付いていく必要がねェ」

風斬「あ、あなたが一緒に居てくれれば、な、なんとか頑張れるような気が、します」

一方通行「ハァ? 俺はいつからオマエのそンな精神的支柱みてェなモンになったってンだ? 大体、俺たちが会ったのはスキー旅行ンときとバレンタイン前日のそれくらいでそンな接点ねェだろ」

風斬「……ど、どうしてもだめですか?」

一方通行「だから、一緒に行く理由が――」



バチバチィ!



一方通行「ッ!?」

風斬「……あ、あなたは知っていますよね? 私の持っているチカラ」

一方通行(あのときのヤツか……!?)


349 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:44:44.74 ID:oCYJ/As4o


風斬「正直このチカラはまだ完全に制御できているわけじゃありません。なので、なにかのきっかけで暴発する可能性だってあります」

風斬「もし、こんな場所でチカラが暴走したら、ここにいるたくさんの人たちやあの子へだって被害が出てしまうかもしれません」

風斬「でも、あなたならもしこのチカラが暴走しても止められるかもしれない……いえ、きっと止められると思います」

風斬「……だ、だから一緒に、付いてきてくれないでしょうか?」グスン


一方通行「…………」

禁書「あー、あくせられーたがひょうか泣かせたんだよ! ちょっとあくせられーた! なに言ったの!?」

風斬「……う、ううん、な、何でもないよインデックス。気にしないで」

禁書「でも」

一方通行「……あー、クソ。わかったよ行きゃイインだろ行きゃあ? 面倒臭せェヤツだなァクソッタレが」

風斬「!!」

禁書「えっ、結局あくせられーたもあれに乗るの? さっきまであんなに嫌がってたのにどうして?」

一方通行「チッ、何でもイイだろ別に」

禁書「……なるほど。これが『つんでれ』ってやつなんだね!」

一方通行「オマエその言葉どこのどいつに吹き込まれた?」

禁書「えーと、そう言ってたのはらすとおーだーにあおがみにもとはるにあわきにえんしゅうだよ」

一方通行「馬鹿のオールスターズじゃねェか! つゥか、そンな言葉忘れろクソシスター」

禁書「ふふふ。私には完全記憶能力があるから一度覚えたことは絶対に忘れないんだよ。すごいでしょ?」

一方通行「無駄な特技持ちやがって……」

風斬「……ふふっ」

一方通行「笑ってンじゃねェぞ風斬ィ!」

禁書「あっ、なんかあのアトラクション人が増えてきてるんだよ! 早く並ばないと遅くなってしまうかも! いこ! ひょうか! あくせられーた!」ドタドタ

風斬「あ、うん。ま、待ってインデックス!」タッタッタ

一方通行「チッ、面倒臭せェ……」ガチャリガチャリ


350 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:45:39.41 ID:oCYJ/As4o


〜二〇分後〜


禁書「そろそろ私たちの番が来そうだね。ね、あくせられーた?」

一方通行「そォだな」

禁書「ふーふーふっふん♪ ふーふーふっふん♪ ふーんふーんふーん♪」

一方通行「……なァ、風斬」

風斬「は、はい?」

一方通行「オマエ……何つゥか変わったよな」

風斬「か、変わりましたか……? 私」

一方通行「いや、語弊があるな。俺ン中のオマエの認識がちょっと変わったって言ったほうがイイか」

風斬「?」

一方通行「まさかオマエがこの俺を脅してまでして、こンなところに引きずり込むようなヤツだとは思ってもみなかった」

風斬「お、脅す!? い、いえ、わた、私はそんなつもりで言ったんじゃ……!」

一方通行「ああ、わかってるよ。冗談だ冗談、悪かったな」

風斬「えっ、あ、ああ冗談。そ、そうだったんですねごめんなさい」

一方通行「何でオマエが謝ってンだ」

風斬「……でも、変わったっていうのはあながち間違いではないかもです」

一方通行「あァ?」

風斬「私は、あなたたち能力者の発するAIM拡散力場が集まることによってできた集合体です」

風斬「あなたたちヒトは時間が経てば成長し、変化します。それにともないAIM拡散力場も変化していきます」

風斬「集まるAIM拡散力場が変化しているなら、それが集まって出来た私も自然と変化していくということです」

一方通行「変化ねェ。オマエと会ったのがだいたい一ヶ月前くらいだが、一ヶ月程度そこまで変わるモンなのか?」

風斬「変わっていますよ。この街にいる皆さんや今日一緒に来ているみんな。そして、もちろんあなたも」

一方通行「ケッ、一体なにが変わったのか教えてもらいたいね」

風斬「……そうですね。こういうのは本人に言うのはあまり良くないとは思うんですけど」

一方通行「あァ?」


風斬「あなたのAIM拡散力場が不安定になっています。まるで、あなたの中に大きな迷いがあるみたいに」


一方通行「ッ……」

風斬「あなたは一体、何をそんなに迷ってられるのですか?」

一方通行「……さァな」

風斬「…………」


係員「――次のお客様!」


禁書「あっ、二人共とも! 順番来たんだよ!」

一方通行「さて、本当にこれ乗らなきゃいけねェンだな」

風斬「うっ、……、なんか乗る前から、気分が悪くなってきました」

一方通行「頼むから暴走なンてしてくれるなよ。あンなこと言われた手前でアレだが、正直俺にオマエを完全に止められるチカラなンざあると思えねェよ」

風斬「……がんばります」


―――
――



351 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:46:20.82 ID:oCYJ/As4o


同日 10:30

-スターランドパーク・フロートフィーラー-


結標「――あー、面白かった!」

吹寄「やっぱり足場がないと違うわね。スリルがだいぶ増すわ」

打ち止め「ふ、ふふふふふふ、み、ミサカはまだまだレベル高いやつい、いけるかな、ってミサカはミサカは恐怖で震える唇を必死に動かしてみたり」ガクブル

姫神「体。震えているけど。よっぽど怖かったんだね」

結標「というか語尾からしてバレバレよね」

吹寄「さて、コーヒーカップ組はもう終わってるかしらね」


禁書「あっ、みんな終わったんだね! おーい!!」ノシ

一方通行「…………おェ」ズーン

風斬「……はぁ、はぁ、ごほっ」ズーン


結標「随分とハードなアトラクションだったみたいね」

姫神「約一名。元気そうなやつはいるけどね」

吹寄「二人とも大丈夫?」

風斬「……は、はい。な、なんとか……うぐっ」

一方通行「問題ねェ……よっ」

結標「全然大丈夫そうじゃないわね。ちょっとだけ休憩でもする?」

打ち止め「う、うんそうだね! ミサカもちょっと喉とか乾いたかなーって思ってたから、ってミサカはミサカは賛成の挙手をしてみる」

吹寄「じゃあ休憩所で飲み物でも飲みながら、次行くアトラクションでも決めましょうか」

姫神「ここから近い休憩所は。第四休憩所かな」

禁書「休憩? わーい! ひょうか、一緒にソフトクリーム食べようよ!」

風斬「……あ、あはは、ご、ごめん。私はちょっと今、食べたくない、かなって」

結標「よかったわね一方通行。念願のコーヒーブレイクよ?」

一方通行「……余計なことしやがって」

結標「そんな青ざめた表情で言われてもね」

一方通行「……チッ」


―――
――



352 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:47:33.60 ID:oCYJ/As4o


同日 10:40

-スターランドパーク・第四休憩所-


打ち止め「――やっぱりレベル3のアトラクションを難なくクリア出来たから、次はレベル4にチャレンジしてみたいな、ってミサカはミサカはオレンジジュース片手に強気な発言をしてみたり」

姫神「難なく?」

吹寄「風斬さんたちのことを考えたら、フリーフォールとか空中ブランコみたいなヤツは避けたほうが良さそうね」

風斬「……ご、ごめんなさい。私たちのためにそこまで」

結標「別にいいわよ。他にも楽しいアトラクションはたくさんあるわけだし」

姫神「……いろいろ見てみたけど。バイキング系統のヤツならどうかな」

吹寄「ああ、あの船みたいなのが前後に揺れるやつね」

結標「いいんじゃない? 人数制限も多そうだからみんなで乗れそうだし」

姫神「ちなみに。絶叫レベル4のやつは。フルムーンパイレーツというやつ」

吹寄「フルムーン? 満月ってこと?」

打ち止め「お月様の上にでも乗るのかな? ってミサカはミサカは月で団子を作るウサギさんを想像してみたり」

姫神「まあ。名前の由来は行ってみればわかる。ちなみに待ち時間は三〇分」

結標「三〇分ってことは、ここで休憩してから移動して、待ってから乗ったら一一時半ぐらいってところかな」

吹寄「そこから次のアトラクションに行こうとしたら、集合時間過ぎそうだから実質午前の最後にヤツになるわね」

姫神「まあ。待ち時間短いの探せば。もう一つくらいはいけないこともない」

吹寄「どうするかはそのときに決めましょ? じゃ、次はフルムーンパイレーツに行くけど風斬さんたちは大丈夫?」

風斬「は、はい。大丈夫、です」

禁書「ぺろぺろ……うん! 問題ないんだよ!」

打ち止め「何食べてるの? ってミサカはミサカは尋ねてみたり」

禁書「コーヒー味のソフトクリーム。そこの売店で買ったんだよ」

打ち止め「はえー、チョコレートのやつより色が濃いんだね。……なんかそれを見るとうん――」

結標「打ち止めちゃん。思っていても決して口に出しちゃだめなことってあるのよ?」


353 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:48:08.11 ID:oCYJ/As4o


一方通行「…………」ボォー

禁書「あくせられーた!」

一方通行「あァ?」

禁書「これ、コーヒー味なんだよ!」

一方通行「……それがどォした?」

禁書「おいしいよ?」

一方通行「そォかよ。悪りィが俺は甘いモンは趣味じゃねェンだ」

禁書「苦いよ?」

一方通行「ソフトクリームっつゥのは本来甘くすることを目的として作られたモンだ。そン中に多少苦さが混じったところで無意味なンだよ」

禁書「でもおいしいよ?」

一方通行「話聞いてンのかクソガキ」

禁書「むぅ、だったら食べてみるといいよ! 百聞は一見にしかず。このソフトクリームのおいしさを味わってみればわかるんだよ! ほらっ」スッ

結標「!?」

一方通行「何でそンなモン食わなきゃいけねェンだ? ぶち殺すぞクソシスターが」

禁書「……ほらっ」スッ

一方通行「……ったく、わかったよ食えばイインだろ食えば」パクッ

結標「!!!?!!!?」

一方通行「……ハイハイ、おいしゅうございました……おェ」

禁書「でしょ? 私もそう思うんだよ」

一方通行「わかったから俺の前から消えろ」

禁書「? よくわかんないけどわかったんだよ。……ひょうかー! このソフトクリームおいしいんだよ!」ドタドタ

一方通行「…………ゲロ甘めェ」

結標「あああ貴方って……?」

一方通行「……あァ?」

結標「もしかしてインデックスのことが……」アワアワ

一方通行「……だから、どォしてそっちの方面に思考を直結させンだオマエ? 面倒だから茶番に付き合ってやっただけだ」

結標「い、いやそれにしたって……」

一方通行「……チッ、口直しのコーヒー買ってくる」ガチャリガチャリ


結標「…………」

吹寄「……まあ、なんというか」

姫神「ドンマイ」


―――
――



354 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:49:54.79 ID:oCYJ/As4o


同日 11:00

-スターランドパーク・フルムーンパイレーツ-



グルングルングルングルン!!



<があああこえええええええ!! <まるで世界が反転したみたいだ!? <死にたくなああああああああああい!!



打ち止め「おっ、おう。船が三六〇°回転してやがるぜ、ってミサカはミサカは思わず後ずさりしてみたり」

吹寄「昔、似たようなヤツ乗ったことあってそれは最後だけ数回転してたけど、これは何回も回転するのね」

姫神「これで絶叫度4だと。5は一体なにが起こるんだろう」

禁書「次はこれ乗るんだ。楽しそうだねひょうか!」

風斬「……う、うん。ま、まあこれくらいなら」

結標「それじゃあ行きましょうか」

打ち止め「よ、よーし。レベル4なんて余裕だぜってところを見せてやるぜ、ってミサカはミサカは一歩一歩踏みしめながら進んでみたり」

姫神「怖いなら。やっぱり別のにする?」

打ち止め「こ、こわい? ふふふん、ミサカの辞書にはこわいなどという言葉は存在しないのだ、ってミサカはミサカは偉人の名言をオマージュしながらキメてみたり」

姫神「さっき言っていたような気がするのは。気のせい?」

一方通行「…………」ボォー

結標「あっ、またぼーっとしてやがるわ。一方通行?」

一方通行「……ああ。今行く」

結標「さっきまでちょっといつもの感じに戻ってたように見えたけど、またそんな感じになっちゃったわね。何で?」

一方通行「……俺はいつもこンな感じだろ」

結標「はいはい、そうですね」

一方通行「……チッ」


355 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:50:32.74 ID:oCYJ/As4o



〜三〇分後〜



係員「――では、次のお客様どうぞー!」



結標「あっ、私たちの番が来たわね」

吹寄「ふふっ、楽しみね」

打ち止め「い、いよいよ来てしまいましたか、ってミサカはミサカはつばを飲み込みながら謎の敬語を使ってみる」ゴクリンコ

姫神「まだ引き返せるよ?」

打ち止め「大丈夫だよ! ミサカにあるのはただ制圧前進のみ! ってミサカはミサカは意気込みを語ってみたり」

姫神「……まあ。そこまで言うなら止めはしない」

禁書「あっ、私たちは船の先頭辺りの席みたいだね」

吹寄「バイキングの前側の席は真ん中に比べて迫力がすごいわよ」

風斬「そ、そうなんですか……?」

姫神「地面に衝突しそうなスリルが。一番味わいやすいからね」

風斬「なるほど……」

一方通行「…………」カチッ

結標「……あれ? 一方通行今電極のスイッチ入れなかった?」

一方通行「……気のせいだろ」

結標「いや、でも電極のランプの色が赤色に変わっているんだけど」

一方通行「……気のせいだな」



係員「それでは安全装置の確認もできましたので、これより出発です! どうぞお楽しみください!」



<ブウウウウウウウウウウウウウウ!!



356 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:51:07.96 ID:oCYJ/As4o



<ウイイイイン、フウウウウウウウン!!(傾き四五°くらい)



打ち止め「ままままあ、最初はこんなもんだよね、ってミサカはミサカは腕を組みながら余裕を見せてみたり」

結標「喋っていると舌噛むから危ないわよ? あとちゃんと安全バー掴んでおきなさい」



<ガタン!! フウウウウウウウウウウン!!(傾き九〇°くらい)



<キャーキャー!! <ワーワー!!


風斬「……ひっ」

禁書「おおっー!」



<ガタン!! フウウウウウウウウウウウウウウウン!!(傾き一三五°くらい)



<キャーキャーキャー!! <ワーワーワー!!


一方通行「……ふわァ」



<ガタン!! フウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!(傾き一八〇°くらい)



<キャーキャーキャーキャー!! <ワーワーワーワー!!


吹寄「ぐっ、く、来るわよ回転……!」

姫神「…………」ドキドキ



357 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:52:00.48 ID:oCYJ/As4o



フウウウウウウウウン……フウウウウウウウウウウウウウウウン!!(傾き三六〇°くらい)



<キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!! <ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!


結標「きゃああああああああああああああああああああっ!!」

打ち止め「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!! ってみさみさみさみさみさみさ――」



フウウウウウウウウウウウウウウウン……フウウウウウウウウウウウウウウウン!!(二回転)



<ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!! <アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!


吹寄「ぐぐぐっ……!」

姫神「おおっ……」キラキラ



フウウウウウウウウウウウウウウウン!! フウウウウウウウウウウウウウウウン!!(速度上げて二回転)



<グゥゥオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!! <がああああ がああああ


禁書「あははははははははっ!! 面白いねひょうかー!!」

風斬「!!?!!?!!?!!?!!?」



フウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!(ノーブレーキで回転中)


一方通行(……さて、この回転が終わればアトラクション終了か。チッ、無駄にバッテリー使っちまったな――)


電極<ビイイイイ!!


一方通行「なっ!? 能力使用モードに使用制限がかかった!? どォいうことだ!?」


打ち止め「ミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカは――」ビビビビ


一方通行「あンのクソガキィ、パニクって変な司令ミサカネットワークに流しやがったなァ!? ッ!?」



ピタッ、フウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!(逆向きにノーブレーキで回転中)



一方通行「ふざっけンじゃねェぞ!! ナメやがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!」



―――
――



358 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:52:52.60 ID:oCYJ/As4o


同日 11:40

-スターランドパーク・第二休憩所-


打ち止め「あぁぁぁミサカはミサカは目を回してミサカはミサカは千鳥足にミサカはミサカは――」

結標「初めての絶叫レベル4は相当キツかったみたいね」

吹寄「そりゃそうよ。あたしだってちょっと怖かったんだもの。子どもには辛いわよ」

禁書「ねえねえ、大丈夫ひょうかー?」

風斬「…………、…………」チーン

姫神「そっとしといてあげたほうがいい。結構キツめのアトラクション二連続だし」

一方通行「…………」ズーン

結標「あら、能力使用モード使ってたんじゃなかったのかしら? 随分お疲れのようだけど」

一方通行「……クソガキがパニクりやがって、能力使用モードに制限がかけられちまっただけだ。疲れてねェ」

結標「やっぱり能力は使おうとしていたのね……」

吹寄「ふむ、こんな状態じゃ次のアトラクションへとはいけそうになさそうね。少し休んだら集合場所のゲート前の広場へ行きましょ?」

姫神「了解した」

結標「お昼ご飯何にしようかしら?」

禁書「やっぱりここにあるレストランのパスタがおいしいかったんだよ。あっ、でも個人的にオムライスもおいしいんじゃないかなって気になってはいるんだけど。あっ、あと――」

結標「あ、あはは、ありがとうね。参考にさせてもらうわ」

打ち止め「――ミサカはミサカは……はっ、ミサカは一体なにを……ってミサカはミサカはここ数分の記憶がないことに首を傾げてみたり」

一方通行「オイ、クソガキ。イイ加減能力使用モードの制限を解除しやがれ」

打ち止め「あれ? ミサカそんなものかけてたっけ? ってミサカはミサカは再度首を傾げて考えてみる」

一方通行「さっきのアトラクションでオマエが勝手にパニックになって、無意識のうちに制限しやがったンだよ。さっさと解除しろ」

打ち止め「はえー、よくわかんないけどとりあえず解除の司令出しておくよ、ってミサカはミサカは電波をビビッっと発信してみたり」ビビッ

一方通行「……よし、戻ってきたな」

打ち止め「ところで能力使用モードがアトラクション中に使えないことがわかったってことは、そのときに能力を使っていたってことだよね? ってミサカはミサカは問いかけてみたり」

一方通行「……何が言いてェンだ?」

打ち止め「やっぱりあなたもこのアトラクション怖がっていたんだね、ってミサカはミサカは同族意識を芽生えさせてみたり」

一方通行「オマエと一緒にするンじゃねェ」

結標「やっぱり絶叫マシンダメなのね貴方」

一方通行「……チッ、勝手に言ってろ」

打ち止め「…………」


―――
――



359 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:54:11.24 ID:oCYJ/As4o


同日 12:10

-スターランドパーク・ゲート前広場-


吹寄「……来ないわね。あの馬鹿ども」イライラ

姫神「たしかに遅いね。もう一〇分経っている」

結標「楽しすぎて時間を忘れてましたー、みたいな感じかしら?」

姫神「上条君がいるから。また何かのトラブルに巻き込まれているのかも」

打ち止め「あー、たしかにヒーローさんならありえるね、ってミサカはミサカはいろいろ思い出しながら納得してみる」

禁書「えっ、またとうまが危ないことに首突っ込んでいるの!?」

風斬「い、いや、まだそうと決まったわけじゃないよ」

吹寄「何にせよ連絡の一つも寄越さないのは気に入らないわ」イライラ



タラララ〜♪



吹寄「……って言ってたらかかってきたわね」スッ

結標「誰?」

吹寄「青髪ピアス。……もしもし?」

青ピ『あっ、吹寄さん? ごめーん、ボクらぁそっち行けそうにないわ』

吹寄「はあ? どういうことよ」

青ピ『いまボクら二時間待ちのアトラクションの列の真ん中くらいにおるんよ』

吹寄「何でそんなアトラクションにこんな時間に並んでいるのかしら……?」イライラ

青ピ『ひぃ!? 声色が変わった!? ま、まあそういうわけやから先メシ行っといてーや。こっちはこっちで勝手に食っとくから』

吹寄「……わかったわ。ただこの連絡があと一〇分早くかかってきていたら、あたしがこんなにイライラすることもなかったんだけど」

青ピ『メンゴメンゴ! そういうことで切るわ。ほな……』ピッ

吹寄「ちょっと! そんな雑な謝罪であたしが許すと……くっ、切りやがったわね」

姫神「青髪君。なんだって?」

吹寄「アトラクションの列に並んでるからこっちに来れないそうよ。だから先にお昼ごはん行ってくれって」

禁書「えっー? とうまたち来ないのー?」

姫神「上条君になにか用?」

禁書「うん。ちょっと朝もらったお金じゃ足りなさそうだからもらおうかなって。途中ソフトクリームとかいろいろ買ったからお昼代足りないかも」

姫神「ちなみに。そのお金もらったとき。上条君なにか言ってなかった?」

禁書「えっとねー、『この樋口様が今日一日のお前の軍資金だからな。大事に使うんだぞ? わかったな?』って言っていたんだよ」

姫神「……だったら。上条君と会ったところで。もらえないんじゃない?」

禁書「そうなの?」

姫神「そう」


360 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:54:46.83 ID:oCYJ/As4o


吹寄「そういうわけだから、お昼食べにいきましょうか。どこ行く?」

結標「さっきインデックスが言っていたレストランとか? あー、でも時間が時間だから人多そうよね」

姫神「屋台で売ってるようなもので済ませる。というのも一つの手」

吹寄「そうね。あんまり食べすぎてもあれだしね」

禁書「屋台ならホットドッグがおいしかったんだよ!」

打ち止め「本当にいろいろなこと知ってるねインデックスは。食べ物限定だけど、ってミサカはミサカは感心してみる」

吹寄「だったら屋台が集まっているところで昼食と行きましょうか。各々好きなもの買って食べるってことで」

結標「なら私が空いてる席探しておくわ。だから先に屋台に行って買ってて」

姫神「結標さんの分。よければ私が買ってこようか?」

結標「そう? だったらインデックスおすすめのホットドッグでお願い」

姫神「わかった」

吹寄「じゃ、そういうことで一旦解散!」

禁書「ひょうかー! 一緒に屋台見に行こー!」

風斬「う、うん。と、ところでお金は、大丈夫なの?」

禁書「……な、なんとかこの残りのお金で頑張ってみるよ」

打ち止め「よーし、こういうときこそあの人にたかればいいんだよ。ねえねえアクセラレータ? ってミサカはミサカは上目遣いで声をワントーン上げて話しかけてみたり」


一方通行「…………」ボォー


打ち止め「……あっ、またぼーっとしちゃってるや。おいおーい! アクセラレータ! ってミサカはミサカはぴょんぴょん跳んで存在感をアピールしてみたり」ピョンピョン

一方通行「……ンだよクソガキ」

打ち止め「あなたぼーっとし過ぎだよ。毎回毎回こんなんじゃテンポが悪くなっちゃう、ってミサカはミサカは文句垂れてみたり」

一方通行「チッ、クソ長げェ語尾いちいち使ってやがるオマエには言われたくねェよ。で、何の用だ」

打ち止め「一緒にお昼ごはん買いに行こうよ! ってミサカはミサカは屋台を指差しながら誘ってみる」

一方通行「何で俺が付いていかなきゃいけねェンだ。金ねェンなら適当に渡すからオマエらだけで行け」つ一万円札

打ち止め「ええぇー? そんなにくれるのー? 悪いよー、ってミサカはミサカはニヤつきながらお金を受け取ってみる」

一方通行「チッ、そのムカつく面ァのせいで悪いなって気がかけらも感じられねェなァ」


361 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:55:35.86 ID:oCYJ/As4o


打ち止め「よし、お金が手に入ったぜ! 二人とも、屋台に行こう! ってミサカはミサカは隊長気分で先導してみたり」

禁書「わーい、ごはんだー!」

風斬「う、うん……」

一方通行「チッ、うっとォしいガキだ」

打ち止め「……あっ、そうだ。アクセラレータ!」

一方通行「あァ?」

打ち止め「アワキお姉ちゃんがどこかでお昼食べる場所取ってるはずだから、そこにいって一緒にみんなを待ってるといいよ、ってミサカはミサカは目的地を示してあげてみたり」

一方通行「…………」

打ち止め「……あれ? どうかした? ってミサカはミサカは急に黙り込んだあなたを見て首を傾げてみる」

一方通行「……気が変わった。俺も屋台からの匂い嗅いでたら腹ァ減ってきた。俺も行く」

禁書「あくせられーたも来るんだ! だったら、私がおすすめの屋台を紹介してあげるかも」

一方通行「オマエのおすすめなンざ当てにするかよ」

打ち止め「……はぁ、そっか。じゃあ、一緒にいこう、ってミサカはミサカはあなたの手を掴んで駆け出してみたり」トテチテ

一方通行「杖突きのヤツの手を無理やり引っ張ってンじゃねェよクソガキが」ガチャリガチャリ

風斬「…………」

禁書「どうかしたの?」

風斬「……、なんでもないよ。私たちも行こっか」

禁書「うん!」


―――
――



362 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:56:10.29 ID:oCYJ/As4o


同日 12:30

-スターランドパーク・屋台広場周辺休憩所-


禁書「やっぱりここにある食べ物は全部おいしいんだよ!」ガツガツパクパク

吹寄「相変わらずすごい量ね……成人男性が一日に必要な摂取カロリー分くらいあるんじゃない?」

風斬「あはは……」

吹寄「さて、午後一で行きたいやつなにかあるかしら?」

結標「うーん、食後だからあんまり激しいのはキツイかな?」

姫神「ならば。絶叫レベル2くらいに下げたほうが。いいかもしれない」

打ち止め「別にミサカは3でもイイと思うけどなー、ってミサカはミサカは焼きそばの中にあるピーマンを避ける作業をしながら進言してみる」

結標「ちゃんと嫌いなものも残さず食べなさい」

姫神「レベル3のアトラクションは。大したことないなってヤツと。これけっこうキツイってヤツが。混在しているから。注意して選ばないといけない」

禁書「へー、そうなんだ。詳しいねあいさ」モグモグ

姫神「過去に行った経験と。このアプリに書かれてるレビューとかを見て。そう思っただけ」

吹寄「まあ、絶叫度って言ってもジャンルによっては意味が変わってくるわよね。たとえばスリルを味わう絶叫マシンとビックリ系のアトラクションだと体にかかる負担も変わってくるわ」

姫神「なるほど。いわゆるお化け屋敷みたいなやつだと。食後でも普通に楽しめそう」

打ち止め「うっ、お、お化け屋敷はちょっとやめたほうがいいんじゃないかなぁ、ってミサカはミサカはトラウマを思い出してみたり」

結標「あー、たしかにあれは怖かったわよね」

吹寄「ここのお化け屋敷に行ったの?」

結標「うん。5レベのヤツ」

吹寄「たしかにそれはトラウマになってもおかしくないわね」

結標「それにちょっとした騒ぎ起こしちゃって大変だったわ。ねえ一方通行?」


一方通行「…………」ボォー


結標「…………」

姫神「なにがあったの? 騒ぎって」

結標「いや、まあ、いろいろとね?」

姫神「?」

結標「あはは、それより次行くところ決めましょう」


363 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:57:17.33 ID:oCYJ/As4o


吹寄「それだったらまたジェットコースターはどう? さっきのは足場なしのやつで風斬さんたちが乗れなかったから、普通のにして再チャレンジよ」

姫神「そうだね。レベル2までランクを落とせば。打ち止めちゃんでも難なく乗れる」

打ち止め「ふははははっ! 絶叫レベル4を経験したミサカからすれば、レベル2のジェットコースターなど余裕余裕! ってミサカはミサカは腰に両手を当てて高笑いしてみたり」

禁書「あれ? さっき記憶がないとか言っていたよね?」パクパク

打ち止め「ミサカネットワークからダウンロードしました、ってミサカはミサカは簡潔に説明してみる」

禁書「はえー、なんかすごいんだよ」マグマグ

姫神「ちなみに。セブンスターズレディバグっていうのが。絶叫レベル2のジェットコースター」

打ち止め「どこかで聞いたことある名前だね、ってミサカはミサカは懐かしさを感じてみたり」

結標「たしか子供用のジェットコースターじゃなかったかしら?」

吹寄「へー、絶叫レベル2で子供向きの扱いになるのね」

姫神「まあ。レベル1が普通のメリーゴーランドとか。普通のコーヒーカップとかだから」

吹寄「うーん、しかし高校生が揃いも揃って子供用のジェットコースターに乗ってる様ってどうなのかしら?」

姫神「言いたいことはわかる」

打ち止め「ならば2じゃなくて3にすればいいんじゃないかな? ってミサカはミサカは提案してみる」

吹寄「……そうね。食後にしっかり休憩しておけば、多少の激しいアトラクションでも大丈夫でしょ」

姫神「絶叫度レベル3のジェットコースターは。さっき乗ったヤツを除いてあと四つ。スカイラインコースター。ツインコースターストライク。バック・トゥ・ザ・ゴール。ユー・アー・スーパーマン。以上」

吹寄「何でそんなにジェットコースターがたくさんあるのよ?」

結標「他の種類のアトラクションもだいたいそんな感じよ」

姫神「この中だとスーパーマンの安全装置が。足を通すものだから。行くとしたら他三つ」

打ち止め「スカイラインは前乗ったことあるからわかるけど、他のってどんなの? ってミサカはミサカは好奇心を高めてみたり」

禁書「たしかついんこーすたーすとらいくは、乗り物が二台隣り合ってレールを走るヤツだったんだよ」ムシャムシャ

風斬「……乗ったことあるの?」

禁書「うん、そうだよ! あいさとこもえ一緒に乗ったんだよ!」

吹寄「もう一個のバックなんとか、ってヤツは?」

姫神「バック・トゥ・ザ・ゴール。後ろ向きに走るジェットコースター」

吹寄「なるほどね。ってことは、誰も乗ったことないのはそのバック・トゥ・ザ・ゴールだけってことだから、次乗るのはそれ?」

姫神「別に私たちに気を使う必要はない。好きなのに乗ればいい」

結標「私もそう思うわ」

吹寄「そう。じゃあ、特にこれに乗りたい、ってのがないならそのときに空いていそうなアトラクションへ行くとしましょうか」

打ち止め「よーし、そうと決まればさっさとご飯を食べてジェットコースターへ行くとするぜ、ってミサカはミサカは焼きそばをかきこんで――ごほっ!?」

結標「別にジェットコースターは逃げはしないんだから、落ち着いて食べなさいよ」

吹寄「よく噛んで食べないと消化に悪いわよ?」

禁書「そうだよらすとおーだー。ちゃんと噛まないと……よし、ごちそうさまでした!」

打ち止め「インデックスにだけは言われたくないよ、ってミサカはミサカはもの言いたげな目で見つめてみたり」ジトー

姫神「あの量で。誰よりも先に食べ終わるのか……」


―――
――



364 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:58:08.60 ID:oCYJ/As4o


同日 13:00

-スターランドパーク・道中-


姫神「……待ち時間と距離で考えれば。ツインコースターが一番良さそう。待ち時間は四〇分で徒歩一〇分もかからないくらい」

吹寄「ならそこにしましょうか」

結標「しかし、ジェットコースターがいくら花形とはいえ、待ち時間四〇分もあるのは人が増えてきてるってことよね」

吹寄「そうね。気持ち、周りにいる人の数が増えてる気がするもの」

打ち止め「よし、そうと決まれば善は急げだ。人が集まる前にツインコースターへ向かうのだ! ってミサカはミサカは……ん? ひいっ!?」

禁書「? どうかしたのらすとおーだー」

打ち止め「あ、あ、あ、あれ。ってミサカはミサカは震える手を必死に動かしながら指で指してみる」ガクブル

風斬「あれ……?」



『恐怖! Dr.GENSEIの館』



風斬「ひっ!?」

吹寄「あれって……もしかしてさっき言ってた絶叫レベルマックスのお化け屋敷?」

結標「そうよ。懐かしいわねー」

姫神「たしかに。レベル5と言われるほどの。雰囲気はある」

打ち止め「ああああああああああ、ちょ、ちょっとー!? せっかく忘れてたのにあのときの記憶ネットワーク上にばらまくのやめてよー!! ってミサカはミサカは意地悪してる下位個体たちに文句を言ってみたり!」

禁書「何を一人で騒いでいるのかな?」



<おおーい!!



打ち止め「……うん? なんか聞き覚えのある声が聞こえてきたような、ってミサカはミサカは耳を澄ませてる」



<おおーい! 打ち止めちゃーん!



打ち止め「……あっ、この声はもしかしてえんし――ひゃっ!?」



円周(ゾンビメイク)「打ち止めちゃーん! まさかこんなところで会えるとは思ってなかったわけじゃないけど思ってなかったことにしよう」



打ち止め「ぎゃああああああああああああああああああっ!? なんかエンシュウみたいなゾンビがこっちに向かってきたー!? ってミサカはミサカは思いがけない事態に思考が追いつかなくなってみたり!」




365 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 20:59:04.76 ID:oCYJ/As4o


円周「あっ、そういえばメイクしてるの忘れてた」

結標「円周ちゃんじゃない。どうしたのよこんなところで……というか何その格好?」

円周「ああ、やっぱり淡希お姉ちゃんたちもいたんだね。私はここでお仕事の手伝いしてたんだー」

結標「お仕事の手伝い?」

円周「うん。そこの安っぽいお化け屋敷の手伝い」スッ



『恐怖! Dr.GENSEIの館』



結標「円周ちゃんが手伝っているってことは……木原さんたちの出張先って――」



数多「おう。そういうことだ」



打ち止め「あっ、キハラだ。こんなところで何やってるの? もしかして遊んでる? ってミサカはミサカはサボリ疑惑を浮かべてみたり」

数多「馬鹿言ってんじゃねぇぞクソガキ。仕事だ仕事」

円周「えぇー? でも社員のみんな何かしらやってるのに、数多おじちゃんだけ何もやってないよね? 実質それはサボっていると同等なんじゃ?」

数多「何いってんだテメェ。俺はあれだ、ここのお偉いさんとかといろいろ打ち合わせとかしてたんだよ」

円周「打ち合わせとか言ってるけどどうせあれだよ。キャバクラとか行ってたっかいお酒とかゴチになってるに決まってるよ。ほんとおっさんはいやだねー」

打ち止め「ねー、ってミサカはミサカは同意してみたり」

数多「昼間っからんなとこ行くかよ。アホくさ、勝手に言ってろ」

結標「そういえば前も仕事でここに来てましたよね? たしかここのオーナーさんに世界一のお化け屋敷を作ってくれって依頼があったとか何とか」

数多「そうだ。で、作ってやったのはいいが、俺が離れてからクオリティが著しく下がっちまったらしくてな。それを立て直してくれってまた依頼が俺んとこに来たってわけだ」

結標「へー、そうだったんですか」


姫神「……あの人は?」

吹寄「木原さんっていう結標さんたちの部屋の隣に住んでるなんでも屋をやってる人」

姫神「ああ。あの人が花見のときに。能力使用モードのアクセラ君を殴り飛ばしたって人か」

吹寄「うん。今でも信じられないわね。あのアクセラを正面から殴り飛ばすなんて」

風斬「……、あ、あの人は」

禁書「ひょうか? もしかしてあの人と知り合いなのかな?」

風斬「……ううん、知り合いってわけじゃない、かな?」

禁書「ふーん」

風斬「…………」


366 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 21:00:15.03 ID:oCYJ/As4o


数多「――そういうわけで、あのお化け屋敷は前来たときより数段レベルアップしているっつーわけだ。何ならちょっと寄って試していくか?」

結標「い、いえ。これからジェットコースターに行こうとしてるので、またの機会にお願いします」

数多「そうか、そりゃ残念。まあ、またあのクソガキに暴れられて設備ぶっ壊されても困るしいっか」

結標「あはは、すみませんでしたあのときは」

数多「……そういや、こういう話題出したら真っ先に食い付いてくるヤツが来ねぇな」


一方通行「…………」ボォー


数多「あん? 何一人たそがれてんだあのクソガキは?」

結標「……もう、また……」イライラ

数多「……ふーん、面白れェことになってんじゃねえか」

結標「えっ、それってどういうことですか?」

数多「まあ、そのうちわかるだろ」

結標「?」

数多「それじゃ仕事に戻るとすっか。おい、行くぞ円周」

円周「はあい。あっ、そうだ打ち止めちゃん。この遊園地に打ち止めちゃんが好きそうなイベントがあるのは知ってる?」

打ち止め「ミサカが好きそうなイベント? それってどんなの? ってミサカはミサカは興味を持ってみる」

円周「ヒーローショーみたいなものなんだけど。それのタイトルが『そげぶマンvs超機動少女カナミン』ってヤツなんだ」

打ち止め「なんだって!? あのそげぶマンと超機動少女カナミン(マジカルパワードカナミン)に会えるの!? ってミサカはミサカは夢の共演に胸を躍らせてみたり」

円周「二つとも元はアニメだから、特撮ヒーローみたいな感じのヤツじゃなくて精巧な立体映像なんだけどね。まあ、子供だましにはなるかなあ」

打ち止め「それはいつどこであるの!? ってミサカはミサカは5Wのうちの2Wを聞いてみたり」

円周「たしか一四時からかな。場所はイベント広場だよ」

打ち止め「うおお、これは絶対に行かねば、ってミサカはミサカは決心を固めてみたり」

円周「カナミン目当ての豚みたいなお兄さんたちが早々に場所取りしているって噂だから、今のうちに行って場所確保したほうがいいかもねー」

打ち止め「そうなんだ。貴重な情報ありがとうエンシュウ、ってミサカはミサカは笑顔でお礼を言ってみたり」ニコッ

円周「また感想教えてねー。じゃあ、私はあのボロお化け屋敷で馬車馬のように働かされてくるよ。ばいばーい」ノシ

打ち止め「ばいばーい、ってミサカはミサカは手を振って見送ってみたり」ノシ


367 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 21:01:50.12 ID:oCYJ/As4o


禁書「ええっー!? あのカナミンに会えるのー!?」

打ち止め「そうだよ。一四時からイベント広場でやるらしいよ、ってミサカはミサカは同志に有益な情報を伝えてみたり」

禁書「私も見に行きたいんだよ!」

吹寄「一四時か。ってことは今からジェットコースターに行って帰ってからだったら、時間に間に合わないかもしれないわね」

打ち止め「エンシュウが言うには、豚みたいなお兄さんたちが早くから場所取りしてるから、早めに行ったほうがいいんだって、ってミサカはミサカは聞いたまま言ってみたり」

吹寄「ぶ、豚……?」

打ち止め「そういうわけだから今すぐイベント広場に向かわなければ、ってミサカはミサカは使命感に燃えてみたり」

禁書「うおおおおっ!」

結標「別に行くのは構わないんだけど、二人だけで大丈夫?」

打ち止め「ミサカだっていつまでも子供じゃないからね。イベント広場に向かうことなんて造作も無いことだぜ、ってミサカはミサカは自信に満ち溢れた表情をしてできるアピールをしてみたり」

禁書「私の完全記憶能力を使えばイベント広場を探すのなんて簡単なんだよ!」

姫神「まず。探すとか言ってる時点で。完全記憶関係ない」

風斬「……で、でしたら。私が付いていきます」

禁書「ひょうかもカナミンが見たいんだね」

風斬「そ、そういうわけじゃないけど……」

吹寄「……風斬さんがそっちに行くってことは、こっちがジェットコースターへわざわざ行くこと必要性が薄くなってくるわね」

結標「だったら、そのヒーローショーが終わってからみんなで行きましょ?」

風斬「ごめんなさい。勝手なことを言って……」

打ち止め「……ってことは、みんなも一緒にヒーローショーへ行くってこと? ってミサカはミサカは同志が増えたことに喜びを覚えてみたり」

姫神「いや。さすがにそれは。ちょっと」

結標「間の時間は別のアトラクションで遊んでるわよ」

打ち止め「なんだぁー、せっかくみんなで声援を送れると思ったのにー、ってミサカはミサカは唇を尖らせてみたり」

吹寄「ごめんなさいね」

結標「つまり、ヒーローショーに行く組と普通にアトラクションで遊ぶ組に分かれるってことね」

姫神「ヒーローショーが終わる時間が。おそらく一五時くらいだろうから。そこで喫茶店とかで小休憩に入るのはどうだろう?」

吹寄「いいわね、それ。じゃあ、それくらいの時間で喫茶店に集合しましょ」

禁書「やった! おやつの時間だね、わかったんだよ!」

吹寄「ところでアクセラ? あなたはどっちに付いていくつもり?」


一方通行「…………」ボォー


吹寄「……アクセラ?」

結標「…………」

一方通行「……ああ、悪りィ。何の話してたンだ?」

吹寄「えっと、ヒーローショーに――」



結標「――ちょっと!! 一方通行ッ!!」



みんな「!?」

一方通行「……あァ?」


368 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 21:02:55.35 ID:oCYJ/As4o


結標「さっきから本当に……いい加減にしなさいよ!」

一方通行「……悪りィ」

結標「またそれ!? さっきからそんなふうに謝ってばっかじゃない! 本当に悪いと思っているわけ!?」

一方通行「…………」

吹寄「ちょ、ちょっと結標さん……」

結標「だいたい貴方言ったわよね? 風邪はもう治った。俺は万全だって。なのに何でそんないつまでもずっとぼーっとしてんのよ!?」

一方通行「……オマエには関係ねェよ」

結標「関係ないわけないわよ! そのせいでみんなで楽しく遊園地で遊ぼうっていう空気を壊してるのよ!?」

一方通行「……現在進行系でぶっ壊してンのはオマエだろ」

結標「元の原因は貴方でしょ!?」

一方通行「…………」

結標「…………」


風斬「あの……えっと、………その」

姫神「……二人とも。そのへんに――」


結標「そもそも貴方、遊園地まで遊びに来ててもしなきゃいけない考えごとって何なのよ!? そんなに大事なことなわけ!?」

一方通行「……だから言ってンだろ。オマエには関係ねェって」

結標「ふーん、そうなんだ。そうやって隠すってことは相当大事なことみたいね? みんなと遊ぶことを置いといて考えるくらいには」

一方通行「……勝手に決めつけてンじゃねェよ」

結標「貴方はここに何しに来たのよ? 今は遊ぶことだけ考えればいいのに、ずっと別のこと考えててわけわからない!」

一方通行「……俺の勝手だろォが」

結標「その勝手がハッキリ言って迷惑なのよ! 会話にも全然参加しないし、かといってこっちから喋ったらいちいち何の話してんだって聞いて説明させて……!」

一方通行「……知るかよ」

結標「ぐっ、……もういいわ! 二人とも行こ!?」

吹寄「えっ、ちょっと……」

姫神「いいの? 結標さん」

結標「あんなヤツもう知らないわよ。勝手にどっかの喫茶店にでもこもって、ずっとコーヒー片手にぼーっとしてるがいいわ! このバカセラレータ!!」ズカズカ


一方通行「…………」

風斬「……えっと、結標さん。行っちゃいましたよ?」

禁書「一体これはどういうことなの? あわきもあくせられーたも何かおかしいよ?」

一方通行「別におかしくはねェよ。俺もアイツもあンなモンだろ」

禁書「嘘だよ。絶対におかし――」


一方通行「おかしくねェっつってンだろォが!! さっさとヒーローショーにでも何でも行ってろクソガキどもッ!!」


禁書「……わかったんだよ。いこ? ひょうか。らすとおーだー」

風斬「う、うん……」

打ち止め「…………」



――――――


369 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/08(金) 21:06:00.29 ID:oCYJ/As4o
このギスギスは次回で終わるから我慢してね

次回『迷い』
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/10(日) 02:42:59.74 ID:9W3zadHK0
数ヶ月ぶりにss速報開いたら何年も前にエタったssが復活してるやんけ!
最初から読み返してくるわ
371 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/15(金) 20:29:26.60 ID:5KotB6GBo
主人公とヒロインがキャラ崩壊する回

投下
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/15(金) 20:29:54.40 ID:clWP+WRT0
スパイクタンパク単体で心臓やその他臓器に悪影響を及ぼすことがわかっています

何故一旦停止しないのですか

何故CDCが接種による若い人の心筋炎を認めているのに情報発信がないのですか
20代はたった1ヶ月で接種後死亡がコロナ死と同等になってます
因果関係の調査は?
373 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/15(金) 20:30:55.93 ID:5KotB6GBo


16.迷い


〜回想〜


March Forth Tuesday 08:00 〜修了式の日〜

-第七学区・とある公園-


一方通行「…………」ピッガチャン

一方通行「…………」ガチャリガチャリ

一方通行「…………」←ベンチに座る


一方通行「…………はァ」



『――私は、貴方のことが、一方通行のことが好きってことなのよね』



一方通行「さて、どォすりゃイインだこれ」


一方通行(風邪で寝ているときに気配を感じて、意識を覚醒させたと思ったらあの女が妙なことをつぶやきやがった)

一方通行(このクソ野郎が一生かけてもらうこともねェだろう言葉をだ)

一方通行(まさか、ヤツが俺をそォいう対象で見ているなンて思いもしなかった。気付けやしなかった)


一方通行「…………いや、違うな」


一方通行(本当は既に気付いていたのかもしれない。なぜなら思い当たる節が腐るほどあるからだ)

一方通行(クリスマスやスキー旅行、バレンタインや花見、他にも些細な日常の中にも気付けるポイントが沢山あったはずだ)

一方通行(なのに、あの言葉を聞いてここまで驚けるっつゥことは)

一方通行(無意識のうちに、気付いていないフリをしていたのかもしれない)


一方通行「……チッ、こンなンじゃ上条のこと笑えねェな」


一方通行(とにかく、俺はアイツの気持ちを知った上でこれからどォするのかを考えなきゃいけねェ。……いや、それは考えるまでもねェか)

一方通行(そもそも俺とアイツは、互いの気持ちがどォあれ決して結ばれることがない存在だからだ)

一方通行(なぜかというと、アイツの抱えている一番の問題である記憶喪失、それの原因が紛れもないこの俺、一方通行だからだ)

一方通行(去年の九月一四日。アイツと俺は敵対関係にあり、交戦し、その戦いの結末は俺の一撃で決した)

一方通行(それが原因でアイツは記憶を失い、そこからどォいうわけか、俺とアイツは同じ家に居候する同居人になり、同じ学校に通うクラスメイトという関係になっていた)

一方通行(アイツはこのことを知らないだろう。知っていたら、あンなに馴れ馴れしく接してきたり、昨日みたいな馬鹿な言葉を吐くこともなかっただろォ)

一方通行(……つゥか、何で俺はこの真実をヤツに伝えていなかったンだ? 今まで機会がなかったわけじゃなかっただろうに)

一方通行(さっさと伝えていれば、こンな面倒な事態にならなくて済ンだっつゥのに何やってンだ俺はァ)

一方通行(単に伝えるのが面倒臭かったからか? 喋ることが原因で血みどろの闘争が起こるかもしれないことを警戒したからか?)



一方通行「……そォじゃねェ。伝えなかったンじゃない。伝えられなかったンだ」




374 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/15(金) 20:32:12.85 ID:5KotB6GBo


一方通行(俺とアイツが生活を共にしておおよそ半年。その中でいろいろなことがあった)

一方通行(面倒で退屈な学校生活を送ってきたり、馬鹿みたいでくだらねェイベントごとにも散々参加させられたりもした)

一方通行(いつもアイツは隣にいて、小言をグチグチ言ってきたり、面倒事を引っ張って来たり、馬鹿みたいに笑ったり)


一方通行(そンなアイツの存在が、いつの間に俺の中のでデカくなっていたンだ)


一方通行(アイツがいるこの日常を壊してしまうンじゃねェか、そンなことを感じて俺は真実を自分の中に押し留めたンだ)

一方通行(そンなクソみてェなことをしながら、俺はのうのうと今まで過ごしてきたっつゥことだ)



一方通行「……情けねェ話だなァオイ。いつの間にこンなに弱くなっちまったってンだァ? なあ、学園都市最強の超能力者(レベル5)さンよォ?」



一方通行(今さらそンなこと言ったって何も変わらねェ。考えるべきは今後どォするべきか、だ)

一方通行(さっきも言ったが俺とアイツは結ばれることはない、結ばれてはいけない関係だ)

一方通行(第五位曰くアイツの記憶喪失は、以前までの自分とその記憶が奥底に押し込められていて、全く違う人格が本人を演じているタイプらしい)

一方通行(つまり、アイツが記憶を取り戻した場合、それは俺とアイツの敵対関係にあった当時の人格が蘇るということになる)

一方通行(さっきまで敵対関係にあったヤツと気が付いたら恋人関係にありました、なンてことになったらアイツに多大な精神的苦痛を与えることになる)

一方通行(そうならないよォにするほうが俺にとっても、アイツにとってもいいだろ)

一方通行(まァ、それに関しては今の関係でも起こり得ることだから今さら、か……)


一方通行「……それ以前に俺は償いきれない罪を犯した。そンなモンになる資格なンざ端からねェよ」


一方通行(さて、アイツの中にある想いっつゥのは、寝ている俺にあンなことを言い出すくらい、強くなってきてやがる)

一方通行(いずれ俺の目の前に立って、同じセリフを言う時が来るのもそォ遠くないだろう)

一方通行(そのとき俺は、一体何て答えてやりゃイインだ? どうしてやるのが正解だってンだ?)



一方通行「……面倒臭せェ」



―――
――



375 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/15(金) 20:33:59.66 ID:5KotB6GBo


March Forth Wednesday 13:30

-スターランドパーク・道中-


結標「ごめんなさいね二人とも。嫌な気持ちにさせちゃって」

吹寄「あ、うん。あたしは別にいいけど」

姫神「…………」

結標「気を取り直して遊びましょ? どこいく? 私的にはこことかどうかなって思うんだけど」

姫神「結標さん」

結標「何?」

姫神「本当に。いいの?」

結標「いいって何が?」

姫神「何って……」

結標「ああ、もしかしてアイツのこと? いいのよあんなヤツ。みんなで遊ぼうってときにそれを放っておいて上の空なんて最低だわ」

吹寄「た、たしかにそれはそうだけど……」

結標「あんなのと関わっていたらせっかくの楽しい遊園地が台無しよ。喫茶店にでも休憩所にでも行って大人しくしてくれてたほうがいいに決まってるわ」

吹寄「でも、あれってやっぱりアクセラ本調子じゃなかったってことじゃないかしら? たぶんまだ風邪が残っているんじゃない?」

結標「……その可能性もあるかもしれないわ。でも本人が治ったって言っている以上、治った振る舞いをするべきだと私は思うわ」

吹寄「もしかしたら、どうしても遊園地に来たくて体に鞭打ってここに来てる可能性も……いや、ないか」

結標「ないわね。もしそんな体調が優れない状態ならきっとそれを理由に来ないに決まっているわよ」

吹寄「……うん、そうかも」

結標「でしょ?」

姫神「…………」

結標「そういうわけだから、あとは私たちだけで楽しみましょ?」

姫神「……結標さん」

結標「何かしら?」

姫神「大丈夫?」

結標「……何言ってるのよ私は平気よ?」

姫神「……そう。それならいい」

吹寄「…………」


―――
――



376 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/15(金) 20:36:10.94 ID:5KotB6GBo


同日 13:45

-スターランドパーク・第四休憩所-



一方通行「…………」ボォー



『貴方さっきから本当に……いい加減にしなさいよ!』



一方通行「……何やってンだ、俺は」ボソッ


打ち止め「――アクセラレータ」


一方通行「……クソガキか。何の用だ」

打ち止め「あなたに話があるの、ってミサカはミサカは真剣な眼差しを向けてみる」

一方通行「ヒーローショーとやらには行かなくてもイイのかよ」

打ち止め「場所はインデックスたちに確保してもらってるから大丈夫だよ、ってミサカはミサカはこの場に居ていいことを説明してみる」

一方通行「そォかよ。で、話って何だよ」

打ち止め「さっきのなんなの? ってミサカはミサカは問いかけてみる」

一方通行「さっきだと? いつのことだ?」

打ち止め「誤魔化さないでよ。アワキお姉ちゃんとの口論のことだよ、ってミサカはミサカは単刀直入に言ってみる」

一方通行「口論だァ? あの女が勝手にグチグチ喚いていただけだろォが」

打ち止め「じゃあ質問を変えるよ。昨日からずっとアワキお姉ちゃんとの間に壁みたいなのを作ってるよね? それは一体何で? ってミサカはミサカは問いかけてみる」

一方通行「そンなモンねェよ。オマエの勘違いだ」

打ち止め「じゃなかったらアワキお姉ちゃんがあんなふうに怒ったりしないよ。だから勘違いじゃない、ってミサカはミサカは反論してみたり」

一方通行「アレは俺がこの遊びに積極的じゃねェからキレただけだろ」

打ち止め「あくまでそれはきっかけだと思う。アワキお姉ちゃんもきっと感じていたんだ、あなたとの間に壁みたいなものを、ってミサカはミサカは推測してみる」

打ち止め「そしてアワキお姉ちゃんは不安になって、それに加えてあなたの心ここにあらずの態度を見て、どうすればいいのかわからなくなって……」

一方通行「虫の居所が悪かっただけだろォよ」

打ち止め「ねえ、アクセラレータ」

一方通行「あァ?」

打ち止め「あなたがアワキお姉ちゃんに対してそんなふうになっている理由、聞いてもいい? ってミサカはミサカはあなたの目をジッと見つめてみる」

一方通行「理由も何も俺はもともとこンな――」



打ち止め「もしかして、アワキお姉ちゃんがあなたに対して想っている気持ちが関係あったりするんじゃないかな? ってミサカはミサカは核心をついた質問をしてみたり」



377 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/15(金) 20:37:30.05 ID:5KotB6GBo


一方通行「ッ……」

打ち止め「……少し反応したね。やっぱりそうなんだ、ってミサカはミサカは確信してみる」

一方通行「クソガキのくせに何言ってやがる。アイツが俺のことをそンなふうに想っているだァ? ンなわけねェだろ。クソみてェな妄想垂れ流してンじゃねェよ」

打ち止め「これは妄想じゃないよ。ミサカは事実を言っているんだよ、ってミサカはミサカは否定してみる」

一方通行「何を証拠に言ってやがンだクソガキ。あンま適当言っているとたとえオマエだろォとブチのめすぞ?」

打ち止め「ミサカ、知ってるんだ。一昨日の、あなたが風邪を引いて寝込んでる日の晩に、あなたの部屋であったことを」



『――私は、貴方のことが、一方通行のことが好きってことなのよね』



打ち止め「アワキお姉ちゃんがあなたに対して『好き』って言ったことを、ハッキリこの耳で聞いたんだ! ってミサカはミサカは声を張り上げてみたり!」

一方通行「……何で知ってやがる」

打ち止め「あの日、晩御飯ができたことをあなたの部屋にいるアワキお姉ちゃんに伝えに行こうとしたんだ。そしたらあなたの部屋の扉越しから聞こえてきたんだ、ってミサカはミサカは当時のことを説明してみたり」

一方通行「…………」

打ち止め「さっきあなたは何で知っている、って質問したよね? ってことはあなたもあの言葉を聞いていた、知っていたってことだよね? ってミサカはミサカは問い詰めてみる」

一方通行「……さァな。知らねェよンなモン」

打ち止め「とぼけないでよ!! 今さらそんなことを言ってももう遅いんだよ!! ってミサカはミサカは投げやりな嘘をつかれたことに憤りを感じてみたり!」

一方通行「……うるせェよ」ボソッ

打ち止め「何?」

一方通行「うるせェよっつってンだよ!!」

打ち止め「!?」


一方通行「……ああ、そォだよ!! 俺はアイツの『好き』っつゥ言葉を聞いた!! 俺に対してのなァ!! アイツ自身は知らねェだろォがなァ!! だから、それがどォしたってンだ!?」


打ち止め「だから……あなたはアワキお姉ちゃんにあんないい加減な態度を取ってたんだね? ってミサカはミサカは冷静な口調で問いかけてみる」

一方通行「結果的に見ればそォなるだろォなァ」

打ち止め「何でそんなことをしたの? ってミサカはミサカは率直な疑問を投げかけてみる」


一方通行「やりたくてやったンじゃねェよ。アイツの気持ちを知ってから、アイツとどンなふうに喋ればイイのか、アイツの言葉にどンな反応すればイイのか、アイツに何て言ってやればイイのか」

一方通行「わかンねェンだよ! そォしたらよォ、あンなふうにもなるだろォが! 何の気持ちもこもってねェ言葉を捻り出すしかできない、決まった文言しか喋れねェおもちゃみてェによォ!」

一方通行「オマエにはわからねェだろォなクソガキィ。こンなクソみてェな感情なンてよォ」


378 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/15(金) 20:38:51.11 ID:5KotB6GBo


打ち止め「そうだね。ミサカは異性に『好き』なんて言われたことないから、そんなふうに悩んだりしたことないからわからないよ、ってミサカはミサカは事実を述べてみる」

一方通行「そンなオマエがこの俺に説教垂れよォとするなンて、面白れェ話だよなァ?」

打ち止め「説教? ミサカはそんなことをするつもりは最初からないよ、ってミサカはミサカは否定してみる」

一方通行「あァ? じゃあオマエは何で俺の目の前に突っ立って生意気な言葉ァ並べてンだ? オマエは一体何がしたいンだ?」

打ち止め「ミサカはね、あなたにこの一言を言うためにこの場にいるんだよ、ってミサカはミサカは返答してみる」

一方通行「チッ、一体ナニを――」



打ち止め「――決断することから逃げないで」



一方通行「……逃げるな、だと?」

打ち止め「あなたはどうすればいいのかわからないというのを言い訳にして、どちらか決めることを避けているんだ。アワキお姉ちゃんの気持ちを受け入れるか否か」

打ち止め「このままあなたを放っておけば、一生こんな曖昧なことを続けて、アワキお姉ちゃんを傷付け続けていくに決まってるよ、ってミサカはミサカは予測してみる」

打ち止め「だから、ミサカがこうやってあなたに忠告しているんだ、ってミサカはミサカは改めてこの場に立つ理由を示してみたり」

一方通行「ケッ、クソガキのくせに恋のキューピッド様にでもなろォってか? くっだらねェ」

打ち止め「そんなつもりはないよ、ってミサカはミサカは冷静に否定してみる」

一方通行「そォかよ。つゥか決断しろっつってもよォ、ンなモン初めから決まってンだろォが。大体なァ、俺はあンなクソアマのことなンざ何とも思ってねェンだぜェ?」

打ち止め「…………」

一方通行「何なら今からあの女のところに行ってよォ、『オマエのことなンざ何とも思ってねェンだよ。俺と一緒にいること自体がおこがましいとは思えなかったのか? このアバズレがァ』って貶してやってもイインだからなァ?」

打ち止め「……嘘をついてるね、ってミサカはミサカはバッサリと切り捨ててみる」

一方通行「ハァ? ナニ言ってンだオマエ? これが俺の思っていることそのまま――」

打ち止め「半年間、ずっと一緒に過ごしてきたんだよ?」

一方通行「…………」


打ち止め「たしかに親子とか兄弟とかみたいな関係の人達と比べたら圧倒的に短い時間かもしれないよ。それでも、ミサカにはわかるよ」

打ち止め「あなたが今嘘をついているってことぐらい、ってミサカはミサカは見抜いてみたり」


一方通行「……残念ながらそれは間違いだ。オマエは俺のことなンてまるでわかっちゃいねェ」

打ち止め「そう……なら、仮にそれがあなたの本心だったとしたら、何であなたはそんなふうに悩んでいるの? ってミサカはミサカは矛盾点を指摘してみたり」

一方通行「ッ……」

打ち止め「なんで?」

一方通行「…………」


379 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/15(金) 20:39:45.28 ID:5KotB6GBo


打ち止め「答えられないよね? だってそうだよ。あなたがそんなふうに思っているような人だったなら、とっととアワキお姉ちゃんにそう言って関係を終わらせているよ」

打ち止め「でも、本当は違うんだよね? 違うからこそあなたはこんなふうに悩んで、苦しんでいるんだ、ってミサカはミサカはあなたの心情を言葉にしてみる」


一方通行「……チッ、だったらどォしたってンだよ」

打ち止め「さっきも言ったよね? 決断することから逃げるな、って。アワキお姉ちゃんのことを大事に思っているならなおさらだよ、ってミサカはミサカは再度お願いしてみる」

一方通行「馬鹿言ってンじゃねェよ。そもそも俺にはそンな決断をする資格なンて端から存在しねェンだよ」

打ち止め「資格がない? どういうこと? ってミサカはミサカは聞き返してみる」

一方通行「俺みてェな大罪人が色恋沙汰なンてモンに関わること自体馬鹿馬鹿しいっつってンだよ」

打ち止め「……もしかして、それは『絶対能力進化計画(レベル6シフト)』のことを言っているの? ってミサカはミサカは眉をひそめてみる」

一方通行「ああ。そォだよ」

打ち止め「…………」

一方通行「屑野郎にそンな世界へ足を踏み入ることなンて、許されるわけ――」

打ち止め「……けるな」ボソッ

一方通行「あァ?」



打ち止め「ふざけるなっ!! ってミサカはミサカは思ったことそのままを叫んでみたり!!」



一方通行「ふざけるな、だと?」


打ち止め「そうだよ!! 何が資格がないだっ!! 何が踏み入ることさえ許されないだっ!! あなたそんなことを言って、ミサカたちのことを利用して結局逃げているだけなんだっ!!」

打ち止め「そもそもあれはミサカたちの抱えている問題であって、アワキお姉ちゃんにはまったく関係ないことじゃないか!! ってミサカはミサカは指摘してみる!!」


一方通行「ああ、そォかもな。たしかにオマエらの問題であってアイツには関係ねェことだ。だが、これは俺自身の抱える問題でもある」

打ち止め「……そっか。怖いんだね、ってミサカはミサカは悟ってみる」

一方通行「怖い? この俺がか? 適当なこと言ってンなよッ!? 一体どこが怖がっているってンだッ!?」


打ち止め「自分自身の問題なんて言葉でごまかしているけど、あなたは恐れているんだ。自分が決断することによってアワキお姉ちゃんを傷つけてしまうんじゃないか、自分自身を傷つけてしまうんじゃないかってことに」

打ち止め「でもあなたは気付いていないんだ。結局、そうしたせいでアワキお姉ちゃんが傷ついてしまったことに。もちろん、あなた自身もだよ」


一方通行「……俺は、傷ついてなンていねェ」

打ち止め「本当に? ミサカには少しでも触れたら壊れてしまいそうなくらい、ボロボロになってるようにしか見えないよ、ってミサカはミサカは率直な感想を言ってみる」

一方通行「……壊れてンのはオマエの頭だろ」

打ち止め「少なくとも今のあなたよりはマシだと思うよ、ってミサカはミサカは比較してみる」

一方通行「…………」


打ち止め「……とにかく、もうやめようよ? こんな無意味なこと。いつまでもこんなこと続けていても虚しいだけだよ、ってミサカはミサカは提案してみる」

打ち止め「アワキお姉ちゃんときちんと向かい合って? そして全てにケリをつけてよ、ってミサカはミサカはあなたの目を見つめながらお願いしてみる」


380 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/15(金) 20:41:16.61 ID:5KotB6GBo


一方通行「…………」

打ち止め「…………」



携帯<チャーチャチャチャチャー♪ タタター♪



一方通行「……電話鳴ってンぞ?」

打ち止め「あっ、うん、ごめん、ってミサカはミサカは通話ボタンを押してみたり」ピッ


打ち止め「はい、こちら打ち止めです! ってミサカはミサカは元気よく挨拶してみたり」

風斬『……あっ、出た。えっと、打ち止めちゃん? どこにいるの? も、もうそろそろ始まっちゃうよ?』

打ち止め「ごめんねヒョウカお姉ちゃん。ちょっとトイレが混んでて、ってミサカはミサカは適当なこと言ってみる」

風斬『……えっ、い、今適当って、言った?』

打ち止め「今から急いで向かうよ、わざわざ電話してくれてありがと! ってミサカはミサカはその場で駆け足して大至急アピールしてみる」

風斬『うん、えっと、じゃあ、そういうこと、なので』

打ち止め「了解! ってミサカはミサカは終了ボタンを押してみたり」ピッ


一方通行「…………」

打ち止め「じゃあミサカは行くとするよ。ごめんね。一人の時間を邪魔しちゃって、ってミサカはミサカは謝罪してみる」

一方通行「……ああ」

打ち止め「アクセラレータ。アワキお姉ちゃんに謝ってね? さっきお願いしたこと、絶対やってよね? ってミサカはミサカは何度もお願いしてみる」

一方通行「そォいうのはお願いって言わねェよ。命令だ」

打ち止め「あなたがやってくれるなら命令ってことでもいいよ、ってミサカはミサカは乗っかってみたり」

一方通行「チッ」

打ち止め「絶対だからね!? 実行しなかったら絶対に許さないから、約束だよ! ってミサカはミサカは念を押しながら駆け足でこの場を去ってみたり」トテチテ


一方通行「…………」


―――
――



381 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/15(金) 20:42:34.85 ID:5KotB6GBo


同日 14:10

-スターランドパーク・MUROFUSHI-



ブンブンブンブンブンブン!!



<遠心力がすげえ!! <おっほおおおおっ <飛ぶぞぉ!?



吹寄「……いつの間にか二時過ぎてるわね。あの子たちヒーローショー楽しんでいるころかしら?」

姫神「いろいろ情報を見てみると。精巧なホログラムらしいから。本物が目の前にいる。って叫んでいそう」

吹寄「ふふっ、たしかに目に浮かぶわね」


係員「――お次でお待ちのお客様どうぞー!」


吹寄「そろそろあたしたちの番が来そう。楽しみね」

姫神「絶叫度レベル4の空中ブランコMUROFUSHI。あまりの遠心力で叫びたくなるという」



<ア゛ア゛アアアアア!!! <ア゛ア゛アアアアア!!! <ア゛ア゛アアアアア!!!



吹寄「……何か嫌だから絶対に我慢しよ」

姫神「そうだね」

吹寄「これが終わってからもう一つくらいアトラクションいけそうね。次のアトラクション今のうちに決めときましょうか」

姫神「思い切って。絶叫レベル5のやつとか攻めてみる?」

吹寄「たしかに思い切ったわね。でもレベル5って人気なんでしょ? 集合時間間に合うかしら?」

姫神「……今の状況からするなら。ちょっと過ぎそう」

吹寄「ちょっとってどれくらいよ?」

姫神「一〇分くらい」

吹寄「……うーん、先に連絡しとけば許してはくれそうだけど……どうしようかしら?」

姫神「結標さんはどう思う?」


結標「…………」ボォー



姫神「……結標さん?」

結標「……あっ、ごめん! 統括理事会人気投票誰に入れるかの話だっけ?」

姫神「別にそんな話はしていない」

吹寄「何よその総投票数一〇〇票もいかなさそうな人気投票」


382 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/15(金) 20:43:38.93 ID:5KotB6GBo


吹寄「というか結標さん? さっきアクセラにあんなにぼーっとするなって文句言ってたのに、今度はあなたがそんなにふうになるのはどうかと思うわよ?」

結標「ご、ごめんなさい……」

姫神「やっぱり。アクセラ君のことが気になっているの?」

結標「べ、別にあんなヤツのことなんか何とも思ってないわよ!」

姫神「そんなツンデレの。テンプレートみたいなこと言われても。説得力ゼロ」

結標「うっ……」


吹寄「結標さん? たしかにあなたがアクセラへ言ったことは正しいとは思うし、彼の行動にちょっと問題があったのもの事実よ?」

吹寄「だけど、このままケンカ別れした状態であんなヤツ知らない、って態度を貫こうとするのはあたしは正しいとは思わない」

吹寄「本当にあなたがそれでいいと思っているならそうすればいいと思うけど、少しでも違うと思っているならこの状況は今すぐやめたほうがいいわ」

吹寄「こういうのは時間が立つと変にこじらせてしまうかもしれないから。下手したら一生こんな状況になってしまうかも」


結標「…………」

吹寄「……まあこんなこと言われても、今すぐそうしますってできないのもわかってるつもりよ? けど、そういうふうになるかもしれないってことだけは――」

結標「…………」ジワッ

姫神「あっ。泣いた」

吹寄「えっ!?」


結標「……や、やっぱり私……ぐすっ、い、言い過ぎだったわよね? わ、私、えぐっ、きら、嫌われちゃったよねぇっ……?」グスン


吹寄「説得したあたしが言うのも何だけど、折れるの早っ!? まだ別れて一時間くらいしか経ってないわよ!?」

姫神「まあ。さっき言ったように。下手に長引くとろくなことないから。早いに越したことはない」

結標「あ、アイツって強がりだから……、体調悪くても絶対にそういうの言わないヤツって、ずずっ、わ、わかってたはずなのにぃ……」

姫神「さっきまで。体調悪くても。治ったって言っているなら体調いいフリすべき。って言ってたのは何だったのか……」

結標「わ、わ、私……ど、どうすれば……」エグッ

吹寄「……まあ、言い過ぎたってことを謝ればいいと思うわ。アクセラからは絶対に謝ってきそうにないからこっちから先にね」

結標「な、なるほど」

吹寄「いや、待てよ?」

結標「?」


383 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/15(金) 20:45:12.05 ID:5KotB6GBo


吹寄「そもそも悪いのはアクセラなわけだから変にこっちが平謝りしたら、根本的な問題は解決しないんじゃないかしら?」

結標「そ、それはどういうことですか?」

姫神「自分はやっぱり悪くなかったんだな。って自分が悪いことを自覚させずに調子付かせる可能性がある」

結標「……たしかに、それは嫌ね」

吹寄「よし、結標さん。謝るのは謝るけどあくまでアクセラも悪いって姿勢は崩さずに謝りなさい!」

結標「で、でもそれってまた揉める可能性があるんじゃ……?」

吹寄「それはたしかにありえるけど、まあ、そうならないように頑張ってとしか言えないわね」

結標「なんか薄情!?」

姫神「二人とも。とにかくこの話は一旦置いておこう」

吹寄「どうしたのいきなり?」

姫神「だって……」



ざわ……ざわ……ざわ……ざわ……



係員「……あのーお客様方? 何か問題でもありましたでしょうかー?」



結標「あっ」

姫神「明らかに場違い」

吹寄「す、すみません。お騒がせいたしました……」


―――
――



384 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/15(金) 20:45:53.43 ID:5KotB6GBo


同日 14:30

-スターランドパーク・第四休憩所-


一方通行「…………」

一方通行「……逃げるな。きちンと向かい合え、か……」


一方通行(クソガキ。たしかにオマエの言うことは正しいだろう。このままくすぶってたところで状況は何一つ変わらねンだからな)

一方通行(……だが、俺には資格の有無以前に俺はアイツと向き合うことを許されない事実がある。クソガキ。オマエは知らねェだろォがな)

一方通行(それは紛れもなく俺と結標の間にある問題であり、俺の抱えている罪だ)

一方通行(そンなモンを抱えている状態で、俺は一丁前にアイツと向き合うことが許されるとは俺には到底思えねェ)


一方通行「……悪りィな、クソガキ」

一方通行「許してくれとは言わねェ。だが、やっぱり俺には……」

一方通行「…………」


―――
――



385 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/15(金) 20:47:25.72 ID:5KotB6GBo


同日 15:00

-スターランドパーク・喫茶店-



吹寄「――というわけで、いい結標さん? 最初に『さっきはごめん。ついカッとなっていろいろ言ってしまって……』って感じに謝って様子見よ」

吹寄「それで、もし向こうが調子に乗ってきたら構わないわ! 反論しなさい!」

結標「……だ、大丈夫かしら?」

姫神「なんか。状況によっては二回戦が勃発しそう」

結標「それはいやね……」

吹寄「さて、肝心のアクセラのヤツは集合場所に来ているかしらね?」


打ち止め「あっ、アワキお姉ちゃんたちだ! おおーいっ! こっちこっちー! ってミサカはミサカは大きく手を振ってみる」

青ピ「おつかれやでー!」


吹寄「あら、どうしてあなたたちがここに? 集合場所別に伝えていなかったはずだけど」

青ピ「さっき『そげぶマンvs超機動少女カナミン』っていうショーに見に行っとったんよ。そこで偶然一緒になってって感じや」

土御門「いやーガキの頃見たヒーローショーなんかとは比べ物にならないクオリティだったにゃー。さすが学園都市」

上条「たしかにすごかったけど、客層小さな子とかばっかだったからちょっと居心地が悪かったな」

青ピ「何言うとんカミやん。ところどころに大きなお友達の方たちがいたから全然へーきやったろ?」

上条「そいつらの存在含めて居心地が悪いって言ってんだよ!」

姫神「ところで。アクセラ君は一緒じゃなかったの?」

打ち止め「…………」

風斬「は、はい。ショーにいくときに別れまして……」

吹寄「まあたしかにあの状況でそっちに付いていくようなヤツじゃないか」

上条「あの状況? なんかあったのか?」

結標「あっ……、その、えっと……」

姫神「…………」

上条「?」

土御門「……なんかただならないことがあった感じだにゃー」

青ピ「一体なにがあったんや……?」

吹寄「……実は――」


386 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/15(金) 20:49:18.18 ID:5KotB6GBo


吹寄「――ってことがあったのよ」

青ピ「へー、姉さんがマジギレするなんて珍しいなー。ちょっと見てみたかったなぁ」

結標「うっ、なんか恥ずかしくなってきたから勘弁して……」

上条「まあ、たしかに今日の一方通行の様子、ちょっとおかしかったからな」

土御門「今日じゃなくて昨日くらいじゃないかにゃー?」

青ピ「それで、姉さんは関係がこじれる前に謝りたいからってことでアクセラちゃんを探しとるんか?」

結標「そうなのよ」

青ピ「ほーん、しかし待ち合わせ場所に来てないってことは、さすがのアクセラちゃんもそれなりにショックを受けとるってことなんやろうか」

結標「うぐっ」

上条「たしかにそんなケンカしたあとだったら、また顔合わせるのはちょっと気まずいかもな。ましてやったすぐ後だし」

結標「がはっ」

土御門「今頃どこかの休憩所の隅っこで体育座りしながら泣き崩れたりとかしてたりして!」

結標「…………ひぐっ」ジワッ



ガッ! ドッ! ゴガッ!



吹寄「貴様らもう少し結標さんの気持ち考えてから発言しなさいよ!!」

上条・青ピ・土御門「「「ずびばぜんでじた」」」


姫神「結標さん。そんなに気に病むことはない。たしかにアクセラ君も気まずい気持ちになっているかもだけど。それは当たり前のこと。だからそこまで深刻になるほどのものでもない」

結標「……うん、ありがと姫神さん」グスン


青ピ(……まあ、もしアクセラちゃんが泣き崩れる姿なんてのがあったら、たしかにレアなんやろうけど)

上条(結標がここまで弱っている姿ってのも)

土御門(レアシーンって言ったらレアシーンだにゃー)


吹寄「……あなたたち、もしかしてまた何か変なこと考えているんじゃないかしら?」

土御門「いやいや別に何にも思ってないぜい!」

青ピ「せやせや。別に涙もろくなった姉さんがエロかわいいなぁなんておもごぱぁっ!?」ドガァ

上条「アホがいるぞ」


387 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/15(金) 20:50:35.39 ID:5KotB6GBo


吹寄「……? そういえばインデックスの姿も見えないわね。どうしたのよ?」

打ち止め「インデックスならここでケーキ食べたあと塩辛いものが食べたい、って言って屋台の方へ行ったよ、ってミサカはミサカは説明してみる」

上条「あんにゃろー、自由気ままに食いすぎだろ。もう完全に予算オーバーだよこんちくしょう」

姫神「そういえば。アクセラ君からいくらか。お金出してもらっていたような」

上条「まーた土下座して平謝りしないといけないのか……」

吹寄「やるなら遊園地出てからにしなさいよ? こんな人通りが多いところでそんなことしたら注目されて嫌だわ」

青ピ「で、姉さんこれからどーすんの? アクセラちゃん捜しに行くんか?」

結標「……ううん、やめておくわ」

吹寄「どうして? さっさと謝ってケリつけるんじゃなかったの?」

結標「ここにアイツが来ないってことは、みんなが言ってた通り私にまだ会いたくないってことだと思うわ」

結標「そんな状態で無理やり探し出して謝っても、きっと許してはくれないと思う」

打ち止め「そ、そんなことないよアワキお姉ちゃん! ちゃんと話せばわかってもらえるよ! ってミサカはミサカは――」

結標「……ふふっ、励ましてくれるの打ち止めちゃん? ありがとね」

打ち止め「アワキお姉ちゃん……」

結標「だから待つわ。アイツの中の戸惑いが消えて、私の前に姿を見せてくれるまで」

吹寄「……たしかに結標さんの言う通りかもしれないわね。うん、それで良いと思うわ」

姫神「お互いが冷静になっていたほうが。話もしやすいしね」

青ピ「うおおいいぞ姉さん! 待てる女はいい女ってヤツやなっ!」

土御門「それ使い方合ってんのかにゃー?」

結標「……まあ、本音を言うと自分から行く勇気がなかなか出せないってだけなんだけどね。あはは」

上条「別にいいだろそれで。勇気は実際に会って謝るときまで取っとけばいいさ」

結標「そうね。ありがとう」ニコッ

打ち止め「…………」

風斬「……? えっと、どうかした打ち止めちゃん?」

打ち止め「……ううん、なんでもないよヒョウカお姉ちゃん、ってミサカはミサカは首を横に振ってみる」


打ち止め(アクセラレータ。アワキお姉ちゃんは待ってるよ? あなたが来るのを)

打ち止め(だから、ずっとこのままなんてことはないよね? ねえ、アクセラレータ……)


―――
――



388 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/15(金) 20:51:39.19 ID:5KotB6GBo


同日 同時

-スターランドパーク・第四休憩所-


一方通行「…………」ボォー

一方通行「……? いつの間にかコーヒーが空になっていやがる」

一方通行「チッ、もう一本買うか……」ガチャリガチャリ


禁書「――あくせられーた?」


一方通行「……チッ、今度はオマエか」

禁書「こんなところで何やっているの? みんな向こうの喫茶店でお茶しているよ」

一方通行「そォかよ」

禁書「……どうしたの? 行かないの?」

一方通行「あァ? 行くわけねェだろォが」

禁書「なんで?」

一方通行「何で、ってオマエそンなこともわからねェのか?」

禁書「うーん、あっ! わかったんだよ! 喫茶店の場所がわからないから行けないんだね?」

一方通行「ハァ? オマエじゃねェンだからそンなわけねェだろ」

禁書「むぅ、見くびってもらっては困るかも。私は一度覚えたことは絶対に忘れないんだよ? 何なら今から喫茶店まで案内してあげてもいいよ?」

一方通行「うぜェからすンな」

禁書「うーん、場所がわからないわけじゃないのなら一体何で行かないの?」

一方通行「……オマエ、それ本気で言ってンのか?」

禁書「?」

一方通行「チッ、俺は今アイツらと顔合わせる気もねェし、アイツらも俺の顔なンざ見たくねェだろ。そォいうことだ」

禁書「うーん、そうなのかな? みんな別にそんな様子じゃなかったと思うんだけど」

一方通行「たとえそォだとしても、俺が顔合わせたくねェンだ。もォ俺なンて放っておいて帰れよクソシスター」

禁書「…………」ジー

一方通行「あァ? 何だよさっさと俺の前から消えろ」


389 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/15(金) 20:52:56.61 ID:5KotB6GBo


禁書「ねえあくせられーた。やっぱりあなたなにか悩みを抱えているんだね?」

一方通行「……ナニ適当なことを抜かしてンだクソガキが。だからそンなモン抱えてねェっつってンだろ」

禁書「適当じゃないもん!」

一方通行「ほォ、そンなこと言うなら何か明確な証拠なり理由なりあンだろォな?」

禁書「証拠? 理由? うーん……なんとなく?」

一方通行「適当じゃねェか!」

禁書「悩みがあるなら私が聞いてあげるから話してみるといいかも。なんたって私はシスターなんだからね」フフン

一方通行「何悩みがある体で話ィ勝手に進めてンだオマエ!」 

禁書「そんなに強がらなくてもいいかも。悩みを抱え込み続けちゃうと身体に毒なんだよ。よいしょっと」スッ

一方通行「悩みなンてねェってさっきから言ってンだろォが! てか俺の隣に勝手に座ンじゃねェ、さっさと消えろクソシスター!」

禁書「悩みを聞くまでここを離れる気はないかも」

一方通行「チッ、面倒臭せェ。だったら俺がこの場を離れるだけだ。未来永劫そこに座ってろ」ガチャリガチャリ

禁書「だったら私も一緒に行くんだよ!」テクテク

一方通行「付いてくンな! イイ加減にしろよテメェ!」

禁書「いい加減にするのはあくせられーたのほうかも!」

一方通行「あァ? 何を言って――」

禁書「だって今日のあくせられーた、会ったときからなんかずっとつらそうな、苦しそうな表情をしているんだよ! 放っておけないよ!」

一方通行「……俺はもとからこォいう顔だ」


禁書「あくせられーた。自分の表情は決して自分では視ることはできないんだよ」


一方通行「…………」ギロリ

禁書「…………」ジー

一方通行「……はァ、面倒臭せェ」

禁書「?」

一方通行「……例え話だ」

禁書「例え話?」

一方通行「そォだ。実在の人物・団体とは一切関係ねェただの作り話のフィクションだ」


390 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/15(金) 20:54:28.02 ID:5KotB6GBo


一方通行「ある男と女がいた。ソイツらは敵対関係にあり交戦した。結果はその男が圧倒的なチカラを振るい、その女を殴り飛ばすことで勝敗を決した」

一方通行「その戦いからしばらくしてから男と女が再び出会った。どういう因果かその男が住ンでいる家に女が居候するという形でな」

一方通行「女は記憶喪失になっていた。だから自分の過去のことはもちろン、その男のこともまったく覚えていなかった」

一方通行「記憶喪失の原因は、以前その男と交戦したときに受けた一撃による記憶障害だった」

一方通行「そンな男と女の、加害者と被害者の奇妙な共同生活が始まったわけだ」

一方通行「同じ屋根の下で生活し、同じ学校に通うクラスメイトとして過ごし、いろいろな出来事を共にした」

一方通行「だが、そンな中でも男は女に伝えることができなかった。自分が記憶喪失の原因だということをな」

一方通行「そのまま月日が流れていき、ある日転機が訪れた」

一方通行「女が男に対して好意を持ち、好きだと言った。自分の記憶を奪った張本人に対してだ」

一方通行「さて、その男は一体どォすればイインだろォな? 背負った罪を有耶無耶にしたまま女を騙し続けたクソ野郎はよォ?」


禁書「…………」

一方通行「以上が例え話だ」

禁書「……なるほど。難しい話かもしれないね」

一方通行「そォかよ。まァ、別にオマエなンかに答えなンざ求めてねェからな。そォいうわけだから俺の前から――」


禁書「うーん、とりあえず好意は素直に受け取ってあげたら良いんじゃないかな?」


一方通行「……ハァ? ナニ言ってンだオマエ?」

禁書「あっ、男の人の気持ちもあるから、ただ受ければいいって決めつけてしまうのは早計だったかも」

一方通行「いや、そォじゃねェだろ」

禁書「?」

一方通行「記憶を奪った男だぞ? 女の大切なモンを根こそぎ刈り取ったクソ野郎だぞ?」

禁書「うん。たしかにそうだね」

一方通行「だったらよォ、そンな受けるから受けないかなンていう決定権がある立場に、立つことなンざ許されるわけねェだろォが!」

禁書「……違うよあくせられーた」

一方通行「何が違うってンだクソガキ!」

禁書「許せるか許されないか、それを決めるのは私でもあなたでもないと思うんだよ」

一方通行「ふざけてンのかオマエ? ここには俺とオマエしかいねェだろォが!」

禁書「そういうことを言っているんじゃないんだよ」

一方通行「あァ?」


391 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/15(金) 20:56:22.33 ID:5KotB6GBo


禁書「決められるのは物語の登場人物である、好意を持ってしまった女の人、ただ一人だと思うんだよ」


一方通行「…………」

禁書「だからこそ、その男の人は打ち明けるべきだと思うんだよ。その抱えている罪っていうのを」

禁書「もしかしたら、それによってその女の人の気持ちが変わってしまうかもしれない。でも、それはしょうがないことなんだよ」

一方通行「しょうがない、か。たしかにそォだろォな。それだけの罪を犯してンだ。今まで築き上げたモン全部ぶち壊してしまってもしょうがねェよなァ」

禁書「けどね、私は思うんだよ。その程度の『告白』では物語の女の人の気持ちは揺るがないんじゃないかって」

一方通行「記憶を奪ったっつゥのがその程度だと? ケッ、面白れェこと抜かしやがンじゃねェかクソシスターが」

禁書「……これはね、あくまで想像でしかないんだけど、その男の人はきっとその女の人ことをとっても大切に想っていると思うんだよ」

一方通行「どこをどォ解釈すりゃそンな妄想を垂れ流せられるのか不思議でならねェ」


禁書「だってもともと敵対関係にあったんだよね? いくら記憶を失っているとはいえ、そんな人と生活をともにするってなったら絶対に嫌だと思うんだよ」

禁書「ぞんざいな扱いをしたり、無視したり、傷付けたり、そんなことをしてもおかしくはないくらいに」


禁書「けれど、その女の人はその男の人のことへの好意を抱いた。何でだと思う?」

一方通行「俺が知るわけねェだろ」

禁書「男の人から感じたんだと思うんだよ。さっき挙げた敵意とかとはまったく真逆のものを。この人とと一緒に居たいと思えるほどのものを」

一方通行「……ハッ、くっだらねェ。それは女の見る目がなかっただけだよ。男は紛れもないクソ野郎で、そんなモンとは対極の位置にいるクズでしかねェンだからなァ」

禁書「私にはそうは思えないかも」

一方通行「どォやらオマエの見る目もねェよォだな」

禁書「だってその男の人は迷っているんだよね? 女の子の好意にどう向き合うべきなのか、そもそも罪という十字架を背負う自分が向き合うこと自体許されるのか、って」

一方通行「ッ」


禁書「そんなことを考えられる人が、私には本当に悪い人なんだって決めつけることはできないんだよ」

禁書「その人が本当にあなたの言うような人間なら、こんな例え話っていう物語は絶対に生まれることはなかったと思うよ」


一方通行「……ンなわけ、ねェだろ」


禁書「そんなわけあると思うんだよ。自分がやったことを罪と認識して葛藤できるのは、その罪をどうにかして償いたいと思っているから」

禁書「好意に対してどうすればいいのかって悩めるのは、真剣にその女の人のことを想っているから」

禁書「そうやって考えてみると、その女の人の見る目っていうのは間違っていなかったってことだよね」


一方通行「…………」


392 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/15(金) 20:57:59.60 ID:5KotB6GBo


禁書「あっ、ごめんね。なんかちょっと話が逸れてきちゃってるかも。最初の方に戻るね。たしかどうすればいいのか、だったよね?」

一方通行「……ああ」


禁書「さっきはなんか適当に言っちゃったから、改めてきちんと答えさせてもらうんだよ」

禁書「まずはきちんと二人で向き合って話し合うべきだと思うんだよ。元々の二人の関係やその罪のことをね」


禁書「あえてそのことを打ち明けないという考え方もあるかもだけど、個人的にはおすすめしないんだよ」

一方通行「……何でだよ?」

禁書「そこから二人の関係がどうなるにせよ、罪の十字架にその男の人が一生縛られてしまうことになってしまう」

禁書「きっとね、それはとても辛いことだと思うんだよ」

一方通行「…………」

禁書「だから、そのことを告白した上で、もし女の人の気持ちが変わることなく自分に好意を向けてくれるのなら、そこから先を決めるのは……」ジー

一方通行「あァ?」



禁書「――もうわかっているよね? ねえ、あくせられーた!」ニコッ



一方通行「……オマエ、もしかして全部わかっていて」

禁書「? なんのことかな?」キョトン

一方通行「チッ、何でもねェよ」

禁書「?」

一方通行「……ところでオマエのその言葉は、オマエの信じる十字教やら神様やらの教えから来てんのか?」

禁書「ううん、違うよ。さっきの言葉は全部、素直に私、インデックスが思ったことです」

一方通行「やっぱオマエって駄目なシスターだよな?」

禁書「むむむ、何で相談に乗ってあげたのにそんなこと言われなきゃいけないのかな?」

一方通行「相談だァ? オマエは適当な創作話聞かされてそれに対してペチャクチャ戯言吐いてただけだろォが」

禁書「ぐっ、たしかに言われてみればそうかも……」

一方通行「大体よォ、仮にアレ相談たったとするのなら、普通迷える仔羊ってのに対して布教してやンのがシスター様の仕事じゃねェのかよ?」

禁書「え、えーと、えへへ、わ、私はまだ見習いのシスターだから……」

一方通行「そンなこと抜かしてるうちは一生オマエはそのままだエセシスターが」


393 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/15(金) 21:00:02.76 ID:5KotB6GBo


禁書「……あっ、そ、そういえば私屋台でチュロスとフランクフルトとワッフルとじゃがバターを買いに行く途中だったんだよ!」

一方通行「体裁悪くなって適当な理由つけて逃げるつもりだな。てか何だよその食いモンの組み合わせ」

禁書「わ、私はもとから屋台に行こうと思っていたからそういうのじゃないんだよ!」

一方通行「そォかよ」スッ

禁書「うん? どうしたの急に立ち上がって? もしかしてあなたも屋台に行く気なのかな?」

一方通行「ンなわけねェだろォが」

禁書「じゃあどうしたの?」

一方通行「別に。野暮用だ」

禁書「ふーん、そっか」

一方通行「つゥかオマエ、さっきは散々付きまとってきやがったクセに急に離れだしたな。そンなに突かれたところが痛かったか?」

禁書「そんなことないもん! だから、私は最初から屋台に――」

一方通行「ヘェヘェわかったわかった。俺が悪かったからさっさと屋台にでもなンでも行きやがれ」

禁書「もう! あっ、そうだ。あくせられーた?」

一方通行「あァ?」



禁書「今のあなたの表情、とってもいい感じだと思うんだよ!」



一方通行「は?」

禁書「それじゃ、またあとでねー!」タッタッタ


一方通行「……チッ、くっだらねェ」

一方通行「…………」



『――決断することから逃げないで』



一方通行「……ああ」



『――もうわかっているよね? ねえ、あくせられーた!』



一方通行「わかってるよ。クソッタレが」



――――――


394 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/15(金) 21:01:42.32 ID:5KotB6GBo
ロリ二人に説教される一方さん
これが書きたくて今までのインデックスさんの出番を多めにした感があるよね

次回『いつもの二人』
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/20(水) 22:59:51.10 ID:LaCf7tD+0
懐かしいなあ
読んでたの中学生の時だったな
396 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/22(金) 20:07:45.66 ID:cHwUsclho
前スレ書き終わった頃は社会の厳しさを思い知ってたわ

投下
397 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/22(金) 20:08:53.94 ID:cHwUsclho


17.いつもの二人


March Forth Wednesday 15:30

-スターランドパーク・喫茶店-


青ピ「――そういうわけで、一番すごかったレベル5のアトラクションはフリーフォールのヤツやったなぁ」

打ち止め「うおおすごそう!! 次それ乗ろうよ、ってミサカはミサカは提案してみる」

結標「でもフリーフォール系だと、また安全ベルト問題が出てくるわよ?」

風斬「だ、大丈夫です。また私たちは、別のアトラクションとかで楽しみますので」

吹寄「そういえば上条当麻!? 何で二人に動きやすい格好で来るように言わなかったのよ!?」

上条「へ? どういうことでせうか?」

姫神「実は。かくかくしかじか。ということがあった」

上条「あー、そうだったのか。全然気が付かんかった」

吹寄「……貴様ぁ」ギロリ

上条「ひぃ!? ごめんなさい!!」

姫神「というか。謝る相手が違うと思う」

上条「あ、ああそうだったな。風斬ほんとごめん!」バッ

風斬「い、いえそんなに謝らなくても。遊園地、って聞いた時点で気付けなかった、私も悪いです」

青ピ「風斬さんええ子やなぁ……ほんまええ子やなぁ」

吹寄「青髪ピアスが女の子褒めてるところ見ると、何かいかがわしい感じがして不愉快ね」

青ピ「ひどい言われようやなぁ」

土御門「おっ、もうこんな時間か。オレたちはそろそろ次のアトラクションの列へ並びに行くとするぜい」

青ピ「ほんまやんけ! ついついゆっくりしてもうたなぁ。次はコーヒーカップのレベル5やったっけ?」

土御門「そうそう。あのすっごい速度で回転するやつ」

風斬「うっ」

上条「どうかしたのか?」

風斬「…………いえ」

吹寄「あたしたちは六時くらいに夕食取ろうと思っているけど、あなたたちは?」

土御門「特には決めてはなかったにゃー」

青ピ「せやな。そしたら時間が合いそうなら合流するわ」

吹寄「わかったわ。どこで食べるとかは全然決めてないから、合流しようってタイミングで連絡ちょうだい」

上条「おう、了解だ」

青ピ「そういやアクセラちゃん来んかったなー結局」

結標「……うん。残念だけど」

打ち止め「…………」


398 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/22(金) 20:10:12.64 ID:cHwUsclho


結標「ま、しょうがないわ。アイツはそういうヤツだし」

風斬「結標さん……」

上条「まあ気にすんなよ。まだ機会はあるって」

土御門「次に集まれそうなのは夕食時くらいか?」

青ピ「ほな次の集合時間伝えとかなあかんな。メッセでも送っとくか」

吹寄「ああ、大丈夫よ。こっちでやっとくわ。それにこっちはインデックス待たないといけないから、もう少しここにいるし」

青ピ「はいよー。しっかし楽しみやなー。二人が仲直りした暁にはそれはもう死ぬほどアクセラちゃんおちょくったるわ」

上条「お前、またボコボコにされんぞ?」

青ピ「何言うとんカミやん!? 隙を見せたらおちょくってやる! それが真のともだ――」



スコォン!!



青ピ「――あいたっ!? なんや!? 何か硬いもんが飛んできた!?」

姫神「これは……缶コーヒーの空き缶?」

風斬「!!」

上条「何でこんなもんが……」

打ち止め「缶コーヒー……はっ、もしかして!?」バッ




一方通行「……おォ、悪りィな。何かアホみてェな会話が聞こえてきたから、つい手が滑っちまった」ガチャリガチャリ




吹寄「あ、アクセラ!?」

姫神「あの距離で聞こえてたんだ。なんという地獄耳」

土御門「青髪ピアスの声が馬鹿みたいにデカかっただけだと思うにゃー」


399 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/22(金) 20:11:01.53 ID:cHwUsclho


結標「一方通行……」

一方通行「よォ」

結標「あ、あの、その、えっと……」

一方通行「結標」

結標「は、はい!」


一方通行「さっきは悪か……いや、すまなかった」


結標「!!」

一方通行「……違うな。ゴメンナサイ? 申し訳ございませンでした?」

結標「いや、どれもほぼ同じ意味だから。別にいいわよ言い方なんて」

一方通行「そォか」

結標「あの、一方通行?」

一方通行「何だ?」

結標「その、私もね、さっきは言い過ぎたっていうか、えっと……ごめんなさい!!」

一方通行「……何でオマエが謝ってンだ?」

結標「だって私が怒鳴ったせいで、その、ケンカになっちゃったじゃない?」

一方通行「オマエのせいじゃねェよ。アレは俺が全面的に悪かった」

結標「……ねえ」

一方通行「あァ?」

結標「貴方、本当に一方通行?」ジトー

一方通行「何で俺がそンな疑惑の目を向けられてンだよ」

結標「いや、だって素直に自分の非を認めるなんてらしくないわよ?」

一方通行「ぶち殺すぞクソアマ」プルプル

結標「あはは、ごめんつい」

一方通行「チッ」

結標「ねえ、よかったら聞かせてよ。何であんな変な感じになっていたのか」

一方通行「……そォだな。まァ、端的に言えば俺は逃げていたンだ。オマエから」

結標「逃げていた、って私から?」


400 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/22(金) 20:12:14.90 ID:cHwUsclho


一方通行「ああ。オマエとどォ接すればイイのか、どンな顔をすればイイのか、何もかもがわからなくなっていた」

一方通行「だから、俺はそれをずっと考えていた。今の今までずっとな」

一方通行「だがいくら考えたところで結論は俺の中から出てこなかった。俺にそれだけの能がなかったからだ」

一方通行「そして俺は逃げたンだ。それが今俺が考えうる最善の方法だと思って、その最悪な方法を実行した」


結標「ちょっと待って。貴方が何を言っているのかさっぱりわからないんだけど」

一方通行「……ああ、そォだろォな」

結標「おい」

一方通行「あー、面倒臭せェ。結標、これだけは言っておく」

結標「何よ」




一方通行「俺はもォ逃げねェ。オマエとこれからどンなことがあろうが、どンな結末になろォが、絶対に逃げねェ」




結標「…………」

一方通行「以上だ」

結標「……ねえ」

一方通行「ああ」

結標「何言っているのか全然わかんないんだけど」

一方通行「わかったら逆にすげェよ」

結標「……はぁ、そう言うってことは懇切丁寧に説明しろって言っても聞かなそうね」

一方通行「よくわかってンじゃねェか」

結標「だからね、最後に確認させて」




結標「これから接する貴方はいつもの一方通行ってことでいいのよね?」




一方通行「……ケッ、くだらねェこと聞いてンじゃねェっつゥの」

結標「ふふふ、そう。ありがとうね」ニコッ

一方通行「チッ……」



401 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/22(金) 20:13:17.42 ID:cHwUsclho


青ピ「うおおおおおおアクセラちゃああああああああん!! 休憩所の隅っこで体育座りしながら泣き崩れてたってほんごふぁあっ!?」ドガッ


一方通行「ナァニクソみてェな寝言抜かしながらコッチに向かってきやがってンだオマエ?」カチッ

上条「……何か知らねえけどすげえ懐かしい感じがすんな。何でだろ?」

土御門「だにゃー。ま、何にしろアクセラちゃんが本調子になってくれて嬉しいぜい」

一方通行「ハァ? 俺はずっと本調子だっつゥの」

上条「ははっ、そうだな。たしかにいつもの一方通行って感じだ」

一方通行「笑ってンじゃねェよ。すり潰すぞ三下ども」

姫神「よかったね。結標さん」

吹寄「しかし、まさかアクセラのほうから先に謝るなんて意外だったわね」

結標「あー、うん。たしかに私もそれは思う」

姫神「俺は悪くねェ。っていう態度をずっと貫くと思っていた」

吹寄「そうね。まあでも、結局最後は折れて素直に悪いって認めそうよね」

結標「ああ、それわかるわ」

一方通行「何で先に謝罪しただけでこンな好き放題言われなきゃいけねェンだ?」

吹寄「あはは、ごめんなさい。冗談よ冗談」

一方通行「チッ」

姫神「でもアクセラ君。きちんと謝れることは。とても偉いことだと。私は思う」

一方通行「俺には似つかわしくねェ評価だな」

青ピ「そんなことないって。なんたって謝ったことは事実なんやからなぁ、エライエライ!」

一方通行「そンな人ォ馬鹿にしたよォなツラでンなこと言われてもよォ、一つも心に響かねェンだっつゥの」

吹寄「……そういえば謝るで思い出したわ。青髪ピアス! あなたお昼に電話したときのあの雑な謝罪は何だったのよ? もしかしてあたしをなめているのかしら?」

青ピ「ひっ!? なんかよくわからへん地雷踏んでもうたっ!?」

吹寄「きちんとした謝罪のやり方、あたしが一から叩き込んであげましょうか?」ゴキゴキ

青ピ「謝罪とは真逆の方法を振りかざしそうな気配がするんですが!? ひえええカミやん助けてええええ!!」

上条「なっ、テメェ!? だから俺を巻き込むんじゃねえッ!!」

土御門「カミやんも怒られる機会多いんだから、ついでに叩き込んでもらえばいいんじゃないかにゃー?」

吹寄「それもそうね。上条当麻はとりあえず土下座しとけば許してくれるみたいなこと考えてそうだし、ちょうどいいわ」

上条「そんなことひとかけらも思ったことねえよ!!」


402 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/22(金) 20:14:19.09 ID:cHwUsclho



ワイワイギャーギャー!!



一方通行「……何ハシャイでンだこの馬鹿どもは?」

打ち止め「アクセラレータ!」

一方通行「……打ち止め」

打ち止め「よくできました! ってミサカはミサカは子どもを褒める親御さんのような気持ちになってみたり」ニコッ

一方通行「ガキのクセに親とか何言ってンだオマエ」

打ち止め「まあまあ別にいいじゃんそういう気分なんだから、ってミサカはミサカは軽く流してみたり」

一方通行「うっとォしいヤツ」


風斬「……ふふっ」

禁書「ただいまー」モグモグ

風斬「おかえり。……、またいろいろ買ったね」

禁書「ひょうかも食べる? おいしいよワッフル」

風斬「い、今はいいかな?」

禁書「そっか。……あっ、あくせられーた戻っていたんだ! おーい!」

一方通行「あァ? 何だよ、そンだけ食いモン抱えていてまだ俺に何かせびるつもりかァ?」

禁書「なっ、私はそんなことしないんだよ!」

一方通行「それは新しいギャグか何かか?」

禁書「ぐぬぬ、……ところであくせられーた。ここにいるってことはもう野暮用ってやつは終わったのかな?」

一方通行「ああ」

禁書「そう。それはよかったんだよ」

一方通行「よかったって何だよ」

風斬(……、なるほど。そういうこと、か)クスッ

一方通行「……あァ? 何だよ風斬」

風斬「い、いえ。なんでもないです……」

一方通行「?」


403 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/22(金) 20:15:19.01 ID:cHwUsclho


青ピ「……ってかこんなことしとる場合やなかったわ! はよ行って列並ばなあかんやん!」

吹寄「こんなこと……?」ギロッ

青ピ「あははははそない怒らんといてえな。言葉の綾ですやん」

土御門「今から行けば一時間待ちってところかにゃー」

上条「他のやつに比べたら短く感じるな。まあ、コーヒーカップなんてそんな人気ないか」

一方通行「コーヒーカップだァ? オマエら次何に乗るつもりなンだよ?」

土御門「『爆転シュート!! カプブレード』ってヤツだにゃー」

一方通行「…………おェ」

上条「おえ?」

青ピ「どしたんやアクセラちゃん? もしかして一緒に行きたいんか?」

一方通行「ンなわけねェだろ。誰がオマエら馬鹿三人と行くかよ」

青ピ「そら残念やなぁ。絶叫マシンでギャーギャー言っとるアクセラちゃん見たかったわぁ」

一方通行「一度も言ったことねェよそンな言葉」


青ピ「ほな時間もないし、ボクらは行くとするわー。いくでえー野郎どもおおおおおおおおおおっ!!」ダダダダダ

土御門「急げ急げい! たった今一時間待ちが一時間一〇分待ちに変わったにゃー!」ダダダダダ

上条「だああっまたかテメェら!! だからこんな人通りが多いどころで全力疾走してんじゃねえ!!」ダダダダダ


一方通行「オマエもしてンじゃねェか」

吹寄「さて、みんな揃ったことだしあたしたちも行くとしましょうか?」

姫神「そうだね。休憩は十分できた」

一方通行「あン? そォいやこれからどこに行くつもりなンだ?」

結標「『エターナルフォールブリザード』っていうフリーフォールの絶叫度最高のやつ」

一方通行「」

打ち止め「ふ、ふふふ。初のレベル5のアトラクション、武者震いが止まらないぜ、ってミサカはミサカは現状報告してみる」ガタガタ

姫神「それは本当に武者震いなの?」

一方通行「……つゥか、フリーフォール系は風斬とシスターが行けねェから選択肢から外してなかったか?」

風斬「あっ、今回も私たちは残って別のアトラクションに行くので、大丈夫です」

禁書「そうだったんだ」モグモグ

一方通行「チッ、だったらしょうがねェなァ、また俺がコイツらの面倒を――」

吹寄「あっ、今回はあたしが残るから無理して残らなくていいわよ?」

一方通行「…………は?」


404 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/22(金) 20:16:35.05 ID:cHwUsclho


吹寄「よくわからないけど今まで悩み事とかあって楽しめてなかったんでしょ? だから、今回は譲ってあげたほうがいいかなって思って」

一方通行「クソみてェな心遣いアリガトウ。だが、そンなモンする必要ねェからオマエが行け」

結標「あれあれー? そんなこと言って、やっぱり貴方って絶叫マシンダメってことなのね?」

一方通行「は?」

吹寄「あーそうなんだ。だったらしょうがないわね。代わってあげましょうか?」

一方通行「チッ、ふざけンじゃねェ。余裕なンだよレベル5のアトラクションなンざよォ」

吹寄「そう。だったら楽しんできてね」

一方通行「お、おォ」

姫神「……アクセラ君?」

一方通行「何だ」

姫神「強がるのはいいけど。気絶とかしないでね? 面倒だから」

一方通行「強がってねェよ」


打ち止め「よーし!! そうと決まったら早速いこーう!! ってミサカはミサカは隊長気分で先陣を切ってみたり」トテチテ

結標「先に行くのはいいけど、貴女場所わかっているのかしら?」

禁書「ひょうかー、私たちはどこにいくー?」

風斬「うーん、そうだね。怖くないところならどこでもいいよ」

姫神「ちなみにこっちが行くヤツは。待ち時間一時間半だから。待ち時間少ないところ狙えば。三個くらい乗れると思う」

吹寄「あえてアトラクションにこだわらなくてもいいかもしれないわね。ディスプレイとかゲームコーナーとかも選択肢としてありかも」

禁書「げーむこーなー? だったらまたぷりくら撮ろうよひょうか!」

風斬「う、うん。いいよ……、で、でも裸みたいな格好するのは、ちょっと、嫌かな?」

吹寄「裸?」

風斬「……い、いえ! なんでもないです!」

打ち止め「はい! ミサカもプリクラ撮りたい! ってミサカはミサカは挙手してみる」

結標「だったら、フリーフォール終わったあとね。ゲームコーナーだったら晩御飯までの時間潰しまでにちょうどいいでしょ」

吹寄「そうね。だったらその辺りの時間帯はゲームコーナーにいるわ」


一方通行「……結標」

結標「何?」

一方通行「あとで話がある」

結標「話? 今じゃいけないのかしら?」

一方通行「……ああ。できれば俺とオマエ、二人きりでだ」

結標「…………へ?」


―――
――



405 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/22(金) 20:17:38.61 ID:cHwUsclho


同日 17:30

-スターランドパーク・ゲームコーナー-


-エアホッケー-


禁書「――ふふふふ、このショットで決めてあげるんだよひょうか」スッ

風斬「…………」ゴクリ

禁書「行くよ! たああああああああああああっ!!」バッ



スカッ、ガチャン!!←自分のゴールにパックが入った音



禁書「…………」

風斬「…………」

吹寄「これで7−6で風斬さんの勝ちね」

禁書「ああああ負けちゃったんだよ! ちょっと悔しいかも!」

風斬「お、惜しかったと思うよ。きちんと当たっていたらゴール取れてたよ……たぶん」ボソッ

禁書「たぶん?」ジト-


結標「あっ、三人ともいた! おーい!」ノシ


吹寄「あっ、みんな終わったのね。どう? 面白かった?」

結標「すごかったわね。何だっけ、擬似重力発生装置? ってやつのおかげで見た目は車輪状にグルグル回ってるだけなのに、乗ってみたらずっと落下してる感覚だったのよ」

吹寄「へー、たしかにそれはすごいわね。スカイダイビングを体験しているみたいなものなのかしら?」

姫神「たぶん。そんな感じ。スカイダイビングはしたことないけど」

吹寄「……で、そっちの二人はどうしたの?」


打ち止め「えへっ、えへへへっ、なんかもう、えへえへ、ってミサカはミサカはえへへへへっ」フラフラ

一方通行「がはっ、く、クソガキが。何回能力使用モード誤制限すりゃ気が済むンだコラ」ヨロヨロ


結標「ああ、絶叫マシンにやられただけよ。放っておけば回復するでしょ」

吹寄「やっぱりアクセラって絶叫マシン駄目だったのね」

一方通行「駄目じゃねェよ!」ヨロッ

吹寄「そんなボロボロの状態で凄まれても……」

結標「ほらっ、打ち止めちゃん? ゲームコーナー着いたわよ?」

打ち止め「ふへへへへってゲームコーナー!? うおおっプリクラ撮るぞ撮るぞ、ってミサカはミサカは目を輝かせてみたり」キラキラ

姫神「あっ。復活した」

吹寄「単純ね」

一方通行「オラッ、クソガキ! さっさと能力使用モード返しやがれ!」


406 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/22(金) 20:18:37.82 ID:cHwUsclho


結標「ところで遊園地のプリクラってどんなのがあるの?」

吹寄「見た感じだと普通にゲーセンとかにあるやつとか、あと遊園地オリジナルのもあったわね」

結標「遊園地オリジナル?」

吹寄「なんだっけ? クロホシくんだっけ? パンフとかに書かれてるキャラ。あれと一緒に撮れるみたいね」

結標「ああ、この逆立ちした星みたいなやつか。正直かわいいとは思わないけど」

姫神「地方の変なゆるキャラみたい」

禁書「……むぅ」

風斬「どうかしたの?」

禁書「ここには衣装貸し出ししてくれるところがないんだよ!」

吹寄「衣装? コスプレしたいってこと?」

禁書「そう! そのこすぷれってヤツして撮りたいんだよ!」

姫神「そういえば。地下街のゲームセンターに。そういうのあったね」

打ち止め「そんなのがあの地下街にはあったんだ! ミサカ今度地下街に連れて行って欲しいなぁ、ってミサカはミサカはチラチラ目配せしてみる」チラチラ

一方通行「こっち見ンな」

風斬「ま、まあ、貸衣装がないならしょうがないよね。あはは」

結標「私たちから見たら、その修道服も十分コスプレっぽいけどね」

禁書「?」

吹寄「で、どの機種で撮るの? 遊園地オリジナルのやつ?」

結標「うーん、たしかに思い出に残すならそっちだろうけど……正直微妙よね」

姫神「うん。子供向け感がすごい」

打ち止め「ゲコ太のプリクラはないのかな? ってミサカはミサカはあたりを見回してみたり」キョロキョロ

一方通行「あンなマイナーなキャラのモンが作られるわけねェだろォが」

吹寄「ま、無難に有名所のやつでいっか」

結標「そうね」


407 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/22(金) 20:20:56.10 ID:cHwUsclho


打ち止め「よし、では突撃ー!! プリクラで重要なのは位置取りだ!! 最高の位置を確保しなければ!! ってミサカはミサカはミサカネットワークで得た情報を遺憾なく披露してみたり」タタタ

禁書「そうなんだ! 私もいい位置を取るんだよ!」タッタッタ

風斬「ちょ、ちょっと二人とも、その、走ったら危ないよ……」


一方通行「……さて、俺は適当に缶コーヒーでも買って時間潰すか」

結標「えっ、何言っているのよ一方通行。貴方もこっちに来るのよ?」

一方通行「は? 何で俺まであンなキラッキラッしたモンやらなきゃいけねェンだ?」

吹寄「そりゃここにみんなで来たっていう記念みたいなものだし。まあ、馬鹿三人足りないけど」

一方通行「記念っつっても別にオマエらだけでも十分だろ」

姫神「……アクセラ君。もしかして女の子の中に。男の子一人混じって。プリクラ撮るのが恥ずかしいの?」ニヤリ

一方通行「ハァ? そンなわけねェだろ。逆にオマエらはイイのかよ? 野郎が一人混じってよォ」

吹寄「まあ、アクセラなら別に」

姫神「うん」

一方通行「何でだよ? オマエら頭おかしいンじゃねェのか?」

結標「そういうわけだから、早く来なさいよ」グイッ

一方通行「ッ!? クソがッ! 引っ張ンじゃねェ!」ガチャリガチャリ



-プリクラ内-



打ち止め「ふふふっ、やっぱりミサカは主役だからね。ド真ん中のセンターじゃなきゃ、ってミサカはミサカは中央で仁王立ちしてみたり」

吹寄「まあ、あなたの身長なら必然的にその位置になるわね」

禁書「ひょうかー一緒に写ろー?」

風斬「うん、じゃああなたは私の前くらいがいいかな?」

結標「……ちょっと一方通行! 何でそんな端っこにいるのよ? もうちょっとこっち寄りなさいよ」

一方通行「何で俺はこンなことしてンだ……? 俺はそンな柄じゃねェだろクソッタレが……!」ブツブツ

結標「なにぶつぶつ言ってるのよ?」

姫神「そろそろ撮影が始まる」



機械『ポーズを決めてね! 3・2・1』



パシャッ!!



―――
――



408 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/22(金) 20:22:03.90 ID:cHwUsclho


同日 18:00

-スターランドパーク・道中-


打ち止め「いやー初めてのプリクラ楽しかったなー、待ち受け画面にしとこ、ってミサカはミサカは華麗に携帯を操作してみたり」

結標「……貴方、もうちょっといい表情はできなかったのかしら?」

姫神「仏頂面か。引きつった笑顔しかないね」

一方通行「ふざけンなッ! あンな環境で満面の笑みィ浮かべられる野郎なンざいるわけねェだろォが!」

吹寄「いや、結構いるとは思うけど」

一方通行「大体よォ、俺はそンな呑気に笑顔振り撒けるよォな環境に今までいなかったンだ。あンな状況で笑顔なンか作れるかよ」

吹寄「どんな環境よ?」

禁書「あくせられーた? 笑顔っていうのはこうやるんだよ?」ニコッ

打ち止め「なっ!? ヨミカワ家の癒やし系マスコットの名にかけてミサカも負けられない、ってミサカはミサカは元気っ子にこやかスマイルで対抗してみたり」ニカッ

一方通行「その間抜け面ァ苦痛の表情に歪めてやろォかクソガキども」

結標「ところで夕食は何にするか決めているの?」

吹寄「いろいろ調べてみたんだけど、バイキング形式の野外レストランってのがあるらしいから、そこがいいかなって」

禁書「私たちが前行ったところだね。あそこのドイツ式のソーセージが美味しかった記憶があるんだよ」

姫神「ああ。あそこか。料理の種類も豊富だったし。良いと思うよ」

結標「場所が決まったんだから上条君たちに伝えとかないとね」ピッピッ

姫神「向こうが合流するってときに。連絡が来るんじゃなかった?」

吹寄「まあいいんじゃない? 連絡待つのも面倒だし」

結標「了解。じゃ、メッセージ入れとくわね」ピッピッ

吹寄「ありがと。そしたらレストランに向かうとしましょうか」

打ち止め「なんかレストランって聞くとテンション上がるね、ってミサカはミサカはウキウキ気分でスキップしてみたり」

結標「よく行くファミレスも一応ファミリーレストランっていうレストランよ?」

打ち止め「ファミレスでもテンションは上がるよ! ってミサカはミサカは補足説明してみる」


タララ〜♪


結標「あっ、青髪君からの返事が来たわ」

姫神「なんて?」

結標「タイミングピッタリだから直でこっちに向かってくるって」

吹寄「了解。三馬鹿にしては上出来じゃない」

禁書「バイキング楽しみだねひょうか!」

風斬「……あんまり、食べ過ぎたら駄目だよ?」

禁書「それくらいわかってるかも。さーて、お腹いっぱい食べるぞー!」

風斬「本当にわかってる……?」

一方通行「それでわかるならスキー旅行ンときみてェな悲惨なことは起きねェンだよ」

風斬「あはは……」

禁書「?」


―――
――



409 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/22(金) 20:23:29.02 ID:cHwUsclho


同日 18:30

-スターランドパーク・野外レストラン-


青ピ「――なっははははははっ!! なんやこのプリクラおもろっ!!」


吹寄「馬鹿笑いして、なにがそんなに面白いのよ?」

青ピ「だってこれ見てえや! ただでさえ真っ白なアクセラちゃんが美肌補正かかってさらに白ぉなっとるんよ!? これもう白通り越して無やん!!」

一方通行「あァ? オマエさっさと黙らねェと息の根止めて肌の色青白くさせンぞ」

上条「しかし一方通行がプリクラ撮るなんてな。そういうの嫌がると思ってたんだけど」

一方通行「クソどもに無理やり参加させられたンだよ」

結標「別にいいじゃない? 思い出になったでしょ?」

一方通行「それがいい思い出かどォかはわからねェけどなァ」

打ち止め「ミサカ的にはこっちの王子様風の目にいじったヤツとかカッコよくていいと思うなぁ、ってミサカはミサカはディスプレイにプリクラの画像を表示してみたり」

上条「ぶっ」

青ピ「あはははははっ!! ほんまかっこいいなあははあはははっはははっ!!」

一方通行「クソガキィ!! 余計なモン披露してンじゃねェ!!」

土御門「ふむ、そっちがプリクラなんて面白いイベントやっているとは思わなかったにゃー。正直こっちが回ったアトラクション二つはハズレだったから、そっちに合流しとけばよかった感あるぜい」

姫神「一つは絶叫度レベル5のコーヒーカップだろうけど。もう一つは何に乗ったの?」

青ピ「絶叫度レベル5のメリーゴーランドやで」

結標「そんなものがあったのね……」

土御門「両方とももともと絶叫マシンのジャンルじゃなかったからか、迫力とかそういうのはレベル4クラスだったからちょっと拍子抜けだったな」

上条「たしかにな。最初らへんに乗ったジェットスターとかバイキングとかほどヤバイとは感じなかった」

風斬「……なるほど。あれってそんなにすごくはなかったんですね……あれが?」

青ピ「なんや風斬ちゃん乗ったんかあれ?」

風斬「は、はい。インデックスと一方通行さんと一緒に」

禁書「私は面白かったと思うんだよ!」

一方通行「クソみてェなモン思い出させンな」

土御門「おっ、絶叫マシン大嫌いなアクセラちゃんからしたら、レベル5の絶叫マシンに乗ったらおしっこチビっちゃいそうなくらいビクビクだったのかにゃー?」

一方通行「だから嫌いじゃねェっつってンだろォが!? イイ加減にしねェとハラワタ引っこ抜くぞ!?」

結標「貴方もいい加減苦手って認めたら?」

一方通行「ンだと!?」

上条「別に絶叫マシン駄目だからって誰も笑わねえだろうし、いいと思うけどな俺は」

青ピ「ニヤニヤ」ニヤニヤ

土御門「クスクス」クスクス

一方通行「現在進行系で笑ってるクソどもが後ろにいやがンだがどォ説明してくれる気だ三下ァ?」


410 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/22(金) 20:24:48.88 ID:cHwUsclho


姫神「ところで。夕食が終わったあとは。どうするの?」

打ち止め「また何かアトラクションとか乗るの? ってミサカはミサカはソーセージにフォークを突き刺しながら聞いてみたり」グサリ

吹寄「それもいいけど、あたしはイルミネーションとか見て回りたいわね」

結標「たしかに。もうすっかり夜だしいいわね」

青ピ「ふふん。この時間帯は帰宅した人やイルミネーションに目が奪われてる人がたくさんおるから、ここは手薄になった絶叫マシンに行くのが正解や!!」

吹寄「別に無理してこっちに合わせろとは言っていないのだから、アトラクション行きたいなら好きに行きなさいよ」

上条「俺はもういいや。正直絶叫マシン乗り過ぎてもう疲れたよ」

青ピ「なんやてカミやん!? こんなところでへこたれるなんてどういうことや!? デルタフォース失格やぞ!?」

上条「これでそんな不名誉な称号を捨てられるならいくらでもへこたれてやるよ」

土御門「夜景を見ながらの絶叫マシン。これこそ最高の楽しみ方なのににゃー」

姫神「……! それなら上条君。よかったら。私と――」


禁書「とうまー! だったら私たちと一緒にぷりくら撮りにいこうよー!」


上条「いいけど、お前どんだけプリクラハマってんだよ?」

姫神「…………」

上条「ん? そういや姫神、なんか言いかけてたけど何だったんだ?」

姫神「……なんでもない」ムスッ

上条「なんでそんなに怒っているのでせうか……?」

風斬「えっと……、なんかすみません」

姫神「別に。あなたが謝るようなことではない」

禁書「?」


一方通行「……はァ、俺はとりあえず腹ァいっぱいだからコーヒーでも片手に一服してェ」

結標「いつもやっていることと変わらないじゃない」

一方通行「こンなところに来たところで俺の行動自体が変わるわけねェだろ」

結標「少しは変わった行動してみたらどう? たとえばお土産コーナーでハシャイでみたりとか?」

一方通行「オマエはそンなことする俺が見てェのかよ?」

結標「いや、別に」

一方通行「だったらクソみてェな提案してンじゃねェ!」

結標「ごめんごめん。あっ、ちょっとトイレ行ってくるわね」ガタッ

一方通行「そォかよ」


―――
――



411 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/22(金) 20:25:54.89 ID:cHwUsclho


同日 18:40

-スターランドパーク・野外レストラン近く女子トイレ手洗い場-



ジャバババババババババ



結標「…………はぁ」



『あとで話がある』



結標(……そういえば、アイツ二人きりで話があるって言っていたわね。あれから全然それっぽい素振りは見せてこなかったけど)

結標(一体何の話なのかしら? アイツがあんなこと言ってくるなんてたぶん初めてよね?)

結標(……駄目ね。全然思いつかない。何を喋ろうとしているのかまったくわからないわ)

結標(でも、こういう呼び出しという行為自体は漫画とかそういうのでもよく見るシチュエーションよね)

結標(そこに関連させて思いつくのは……たとえば決闘とか?)

結標(いわゆるヤンキー漫画とかで屋上や河原とかに呼び出して喧嘩する、みたいなのはよく見るわね)

結標(けど、アイツが私にそんなもの挑むなんてことしてくるとは思えないわね。第一、アイツのほうが圧倒的強いっていうのは周知の事実なんだからする必要ないわけだし)

結標(だったら、もう一つ思いつく方、ってことかしら……?)


結標(……愛の、告白?)


結標「って、そんなわけないでしょ!」

結標「はー馬鹿馬鹿し。もしアイツがそんなことしてきたらほんと大笑いよね?」

結標「……馬鹿みたいなこと考えてないで、早くみんなのところに戻ろ」



-スターランドパーク・野外レストラン近くトイレ周辺-



結標「さて、たしかあっちの方向から来たわよね?」キョロキョロ


??「――よう、結標さん」


結標「あっ、木原さんじゃないですか」

数多「ここにいるってことは晩メシでも食っていたのか?」

結標「はい。そういう木原さんもここで晩御飯を?」

数多「いいや、違う」

結標「ならなんでこんなところに……ああ、トイレですね。ごめんなさい」

数多「いや、それも違う。俺はお前に用があって来た」

結標「私に? なんですか?」

数多「……そうだな。お前にちょっと話しておきたいことがある」

結標「話?」

数多「ああ。つーわけで、ちょっと時間もらえるか? 結標淡希」

結標「…………」


―――
――


412 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/22(金) 20:27:42.12 ID:cHwUsclho


同日 19:00

-スターランドパーク・野外レストラン-


一方通行「…………チッ、遅せェなアイツ。一体どこほっつき歩いてンだ」


ザッ


一方通行「あン?」


結標「…………」


一方通行「やっと来やがったか? 他のヤツらはもォここ出たぞ?」

結標「…………」

一方通行「各々行きたい場所がバラバラだからこっからは自由行動だとよ」

結標「…………」

一方通行「吹寄と姫神はイルミネーション見に行って、上条とシスターに風斬はゲーセン、馬鹿二人はどっかの絶叫マシンに乗りに行った」

結標「…………」

一方通行「自由時間っつゥことだから、俺は休憩所に直行して昼寝でもしてかったンだがなァ。吹寄のヤツにオマエをここで待ってろって言われちまってよォ、面倒臭せェ」

結標「…………」

一方通行「オマエを連れてイルミネーション広場に連れてこい、ってな。つゥか、連れてこいって言うくらいならオマエらも待ってろっつゥ話だよなァ? わけわかンねェよ」

結標「…………」

一方通行「……あン? どォした? 急に黙りこくっちまってよォ?」

結標「……あっ、うん。ごめんなさい。ちょっと考え事してて」

一方通行「さっきまでの俺みてェなこと言いやがって、何かあったのか?」

結標「いや、ほんと何でもないから気にしないでちょうだい! イルミネーション広場よね? じゃあ、行きましょうか?」テクテク

一方通行「……ああ」ガチャリガチャリ



一方通行(結標のヤツの雰囲気が変わった? 一体どォいうことだ……?)



――――――


413 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/22(金) 20:30:26.06 ID:cHwUsclho
次でスターランドパーク編&記憶喪失あわきん編のクライマックスやで

次回『二人の告白』

414 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/29(金) 22:23:23.98 ID:6X2WJU4Vo
なんとか週一更新間に合ったな

投下
415 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/29(金) 22:24:52.99 ID:6X2WJU4Vo


18.二人の告白


March Forth Wednesday 19:00

-スターランドパーク・イルミネーション広場-


吹寄「へー、すごいわねー。まるで別世界にでも来たみたい」

姫神「そうだね」

吹寄「……さて、今頃あの二人はうまいことやってるかしらね?」

姫神「やっぱり。そういう意図があって。アクセラ君を待たせたんだ」

吹寄「そうそう。ケンカして仲直りしたあとは絆が深まるなんて話よく聞くし、ここで二人きりにしてあげればもしかしたら、って思ってね?」

姫神「なるほど。そこまで考えていたんだ」

吹寄「姫神さんは残念ね。上条のやつインデックスたちに取られちゃって」

姫神「いい。別に私はここで勝負を決めよう。みたいなこと全然思ってないから」

吹寄「そっか。まあ春休みはまだあることだし、まだまだチャンスはきっとあるわよ」

姫神「チャンスはあるのだろうけど。活かせるかどうかはまた別」

吹寄「随分と弱気な発言ね」

姫神「現実主義と言って欲しい」



ピロリン♪



吹寄「ん? 土御門からメッセが来てる」スッ

姫神「なにかあったのかな?」

吹寄「さあ?」ピッピッ

姫神「なんて書いてるの?」

吹寄「ちょっと待って? ええっと……これは?」


―――
――



416 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/29(金) 22:26:17.46 ID:6X2WJU4Vo


同日 19:10

-スターランドパーク・イルミネーション通り-



一方通行「…………」ガチャリガチャリ

結標「…………」テクテク


一方通行「……なァ?」

結標「……何かしら?」

一方通行「どォしたンだよオマエ? さっきから全然喋らねェし。俺が言うのもなンだが、らしくねェぞ?」

結標「あ、あはは、ごめんなさいね。ちょっと今日はハシャギ過ぎちゃって疲れちゃったのかも」

一方通行「そォかよ」

結標「うん……」

一方通行「…………」

結標「…………」

一方通行「疲れているところ悪りィが」

結標「何よ?」

一方通行「ちょっと前に言った、二人きりで話をしたいっつったヤツ、今やってもイイか?」

結標「ああ、あれね。今なのね……」

一方通行「あン? 嫌なら別にイインだが」

結標「いや……ううん、大丈夫よ。というか二人きりって言っても、そこら中に他のお客さんとかいるけどいいの?」

一方通行「オマエにだけ聞こえるよォ声量を調整して喋るから問題ねェ」

結標「そう。で、どんなお話を聞かせてくれるわけ?」

一方通行「この話を聞いたら、オマエは俺に対して嫌悪感や憎悪を覚えてしまうかもしれねェ」

結標「…………」


一方通行「だが、俺がこれ以上先に進むためには絶対にオマエへ話しておかないといけないことだ」

一方通行「自分勝手だとは思っている。だから、聞いてくれ。俺の『告白』ってヤツをよ」


結標「……わかったわ。話して」

一方通行「悪いな」


417 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/29(金) 22:27:35.57 ID:6X2WJU4Vo


一方通行「まずは俺の過去のことだ」

結標「過去?」



一方通行「ああ。まず俺は、人を殺したことがある」



結標「ッ」

一方通行「それも一人や二人じゃねェ。一万人以上っつゥ馬鹿みてェな数の人間をこの手にかけた」

結標「一万……」

一方通行「その一万の数の大半を、ある実験に参加することによって殺めた」

一方通行「『絶対能力進化計画(レベル6シフト)』っつゥ最悪の実験に参加してな」

結標「絶対能力者(レベル6)。そんなものが実在するの……?」

一方通行「さァな。実際のところあの実験をあのまま続けていたら、本当にそこまで到達できたかなンて俺にもわからねェ」

結標「…………」

一方通行「話を続けンぞ? 家の近くのコンビニでバイトしてるミサカっつゥヤツ覚えてるか?」

結標「え、ええ、覚えてるも何も友達みたいなものじゃない?」

一方通行「そォ言ってもらえるとアイツも喜ぶだろォよ。で、アイツの姉のことは?」

結標「超能力者(レベル5)の第三位、常盤台の超電磁砲(レールガン)、御坂美琴って人でしょ?」

一方通行「そォだ。しかし、事実はそォじゃねェ。アイツらは本当の姉妹じゃねェンだ」

結標「……どういうこと?」

一方通行「アイツは、アイツらは妹達(シスターズ)って言って、御坂美琴のDNAマップを使って生まれた体細胞クローンだ」

結標「く、クローン……? あ、あの子が?」

一方通行「戸惑うのも無理はねェ。国際法で禁止されているよォなヤべェモンだからな」

結標「……そのクローン、ミサカさんが一体貴方と何の関係があるのかしら?」

一方通行「『絶対能力進化計画(レベル6シフト)』の内容。それを教えてやろう」



一方通行「それは二万通りの戦場で二万体の『妹達』を殺害すること。もちろン、殺すのは被験者であるこの俺、一方通行だ」



結標「ッ!?」


418 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/29(金) 22:28:59.62 ID:6X2WJU4Vo


一方通行「アハッ、イカレてンだろ? 二万人の人間をぶっ殺す実験なンてなァ? だが研究者どもからしたらそォじゃなかった」

一方通行「ヒトの形をしているとはいえ、所詮はクローン。薬品とタンパク質で合成された人形、実験動物のモルモットと同価値の使い捨ての消耗品。その程度にしか思っていなかった」

一方通行「当然、被験者であるこの俺も同じことを考えていたっつゥわけだ。ヤツらと同じクソ野郎だったっつゥことだよ」


結標「…………」


一方通行「ま、オマエも察しているとは思うがこの実験は失敗に終わった」

一方通行「第一〇〇三二次実験。その最中にとある無能力者(レベル0)の男が実験に介入し、この俺と交戦した」

一方通行「結果、超能力者(レベル5)の第一位である一方通行は敗北した。無様にも、その無能力者(レベル0)相手にな」


結標「無能力者(レベル0)、ってもしかして……」

一方通行「ああ。オマエの思っているヤツで間違いねェよ。オマエもよく知っているアイツだ」

結標「そっか……」

一方通行「そォいうわけで、この俺が最強の能力者っつゥのを前提で行われていた実験が、最弱の無能力者に敗北したことで前提条件が崩れちまった」

一方通行「そして実験は凍結した。用済みになった妹達九九六八人は学園都市に何人か残して、残りは外にある学園都市の関連機関に移されて生命維持の為の調整を受けてるっつゥ話だ」

結標「……なるほど。それが、貴方が心の中にずっと抱え込んでいた過去、ってことなのね?」

一方通行「そォいうことだ。けど、この話にはまだ続きがある」

結標「続き?」

一方通行「ああ。実は妹達には二〇〇〇一人目の個体が存在していた」

結標「二〇〇〇一……実験では二万人しか用意しないんじゃなかったっけ?」

一方通行「そォだ。だが事実ソイツは存在していて俺の目の前に現れた」


一方通行「ソイツはオマエもよく知るヤツだ。ミサカ二〇〇〇一号。通称打ち止め(ラストオーダー)って呼ばれているヤツだ」


結標「打ち止めちゃんが……」


一方通行「アイツは妹達のいわゆる司令塔っつゥヤツで、ミサカネットワークっつゥ妹達の中で形成された電磁的情報網から妹達へ直接司令を送れる上位個体だ」

一方通行「まあ、内容は省くがその打ち止めを利用して妹達を暴走させるウイルスコードを流させ、学園都市転覆を企てるヤツが出てきた」

一方通行「なりゆきで俺はそれを阻止するために動いて、打ち止めを救い出した。その代償がコレだ」コンコン


結標「チョーカー……電極?」


419 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/29(金) 22:29:52.04 ID:6X2WJU4Vo


一方通行「そう。俺はそンとき脳みそに銃弾をブチ込まれて言語能力、歩行能力、計算能力が奪われた」

一方通行「普通ならそンな傷受けたら一生ベッドの上から降りることができねェよォな、深刻なダメージだったわけだ」

一方通行「だが、俺はアイツら妹達のチカラを借りることによって、一時的にではあるがそれらを取り戻すことができるよォになった」

一方通行「ミサカネットワークを経由して一万近い妹達に代理演算してもらうことができる補助演算デバイス。つまり、俺はアイツらに生かされているっつゥことだ」


結標「それが、頭に電極を付けている理由、能力使用モードっていうものがある理由……?」

一方通行「ああ」

結標「…………」

一方通行「ま、こンなモンか。俺の話したかった過去については」

結標「……ねえ、一つだけ聞かせて」

一方通行「あン?」

結標「貴方はミサカさんたちを、妹達を実験動物って思っていたって言ってたけど、それは今も変わらないわけ?」

一方通行「……ああ、そォいえばこれは言ってなかったな」


一方通行「俺は、今はアイツらのこと人間として見ているつもりだ。一人ひとりが意思を持っている、今を精一杯生きている人間としてな」

一方通行「だが、そンなアイツらを実験動物として見ていて、利用しよォとしているヤツらもまだ腐る程いる」

一方通行「俺は打ち止めを、妹達をソイツらから守るためだったらどンなことだってする。それが俺の紛れもない意思だ」


結標「…………」

一方通行「さて、もォ俺の過去の話はイイだろ。次は俺とオマエの過去の話だ」

結標「貴方と私の過去?」

一方通行「そォだ。っつっても、前話したよォにオマエと俺が接触した時間は五分にも満たねェ」

結標「ええ、覚えているわ。だって、あの家に居候し始めた頃に話したことだしね」


420 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/29(金) 22:30:59.95 ID:6X2WJU4Vo


一方通行「これはさっきの話とも繋がることだ。九月一四日ンときのオマエ、つまり記憶を失う前のオマエはとある『部品』をある機関から強奪し、逃走していた」

結標「……『部品』?」


一方通行「その『部品』っつゥのが、それが存在するだけであの馬鹿げた計画が再開される可能性がある、俺や妹達にとって最悪の代物だったわけだ」

一方通行「俺はそれを聞きつけて、それを破壊するためにオマエの前に立ちふさがった」


結標「それが、私と貴方の初対面ってわけね?」

一方通行「そォいうわけだ。そして、俺とオマエはその『部品』を巡って交戦した。まァ、交戦って言えるほどのモンかどォかはわからないがな」

一方通行「戦いは一瞬で終わった。テレポートで逃げるオマエを高速飛行で追尾して、オマエの持つ部品ごとオマエの顔面に拳を叩き付けることによってな」

結標「それが、私が鼻を怪我していた理由……?」

一方通行「ああ。そしてこれが」




一方通行「オマエが記憶を失った原因。この俺一方通行が全ての元凶だったっつゥことだ」




結標「…………」

一方通行「……あとは、オマエが知っている通りだ」

結標「……そう、だったのね」



一方通行「つまり俺は、一万人以上の人間をぶち殺したクソ野郎でありながら、オマエの記憶を奪い、今の今までそれを知っておきながら黙ってのうのうと過ごしてきた、最悪なクソ野郎でもあるっつゥことだ」

一方通行「どォだ? これを聞いてどォ思った? 幻滅したか? 悲嘆するか? 嫌悪するか? 腹わたが煮えくり返りそォか? グチャグチャの肉塊に変えてやりてェか?」



421 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/29(金) 22:31:46.71 ID:6X2WJU4Vo


結標「…………」

一方通行「それでイイ。オマエが感じているその負の感情は、真っ当な人間なら湧いて当然のモノだ」

結標「…………」

一方通行「……以上が、俺がオマエにだけは話しておきたかったことだ。悪かったな。今まで黙っていて」

結標「……ねえ」

一方通行「何だ?」

結標「なんで突然、そんなこと私に話そうって思ったのよ? 貴方が話さなければ私には一生わかる機会なんて訪れないことだっただろうし」

結標「黙っていれば、今まで通りの変わらない日常をずっと過ごしていけたかもしれなかったのに」

一方通行「言っただろ? 俺はもォ逃げねェって。これ以上罪から目を背けておめおめと生きていくのが許せなくなった」

一方通行「つまり、完璧な自己満足だ。そンなモンに付き合わせちまってすまねェとは思っている」

結標「そう……」

一方通行「…………」

結標「……もうひとついい?」

一方通行「ああ」

結標「あれに……乗らない?」



『スターランドパーク最大の観覧車!! レボリューション!!』



一方通行「……観覧車? 何で急にそンなモンに」

結標「別にいいでしょ? ちょうど待ち時間もないみたいだし」

一方通行「いや、俺が聞きたいのはそォいうことじゃねェ――」


結標「あっ、係員さーん! 次私たち乗りまーす!」


一方通行「……わけがわからねェ」


―――
――



422 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/29(金) 22:33:13.28 ID:6X2WJU4Vo


同日 19:20

-スターランドパーク・レボリューション個室-


結標「……うわー、すごいわね。さすが最大の観覧車。まだ中腹辺りなのに綺麗な夜景が一望できるわね」

一方通行「オイ、どォいうつもりだオマエ?」

結標「どういうつもりって?」

一方通行「あンな話聞いて、俺がどンなクソ野郎かわかっただろォに、何で俺をこンなモンに誘ったンだ?」

結標「理由、か。貴方とこの観覧車に乗りたかった、っていうのじゃ駄目かしら?」

一方通行「駄目じゃねェが、納得はできねェな」

結標「そう。……ねえ、私貴方に言っておかないといけないことがあるの」

一方通行「何だよそれは?」

結標「貴方、三つの話をしてくれたわよね? 『絶対能力進化計画(レベル6シフト)』のことと『打ち止め(ラストオーダー)』ちゃんのこと、私の『記憶喪失の原因』の話」

一方通行「ああ」



結標「実はね。その話、もうすでに知っていたのよ。私」



一方通行「…………は?」

結標「一万人以上のミサカさんを死なせてしまった話も、打ち止めちゃんを命がけで守った話も、私の記憶を奪ってしまった話も、全部知っていたのよ?」

一方通行「…………」

結標「ふふっ、聞いてるときの私のリアクション、なかなかの名演技だったでしょ?」

一方通行「どォいうことだ? いつ? どこで? 誰からだ? 一体どォやってその情報を得やがった!?」

結標「……夕食のとき、私トイレに行くために席を外していたじゃない? そこで木原さんに偶然会って、そのときに」

一方通行「あ、あの野郎ォ……! 何のつもりでそンなクソみてェな真似をしやがった……!」

結標「さあ? 私もその理由までは教えてくれなかったわ。でも話してくれてるときの木原さんの表情は、なんというか、真剣って感じはしたわ」

一方通行「真剣だろォが真剣じゃなかろォが関係ねェ。あの野郎、あとでスクラップ確定だクソ野郎がッ!」

結標「……そういえば、貴方さっき私に質問したわよね? この話を聞いてどう思ったか、って」

一方通行「ああ。そォだな」


結標「たしかに、木原さんにその話を聞いたときはいろいろな感情が頭の中を巡っていったわ。もちろん貴方の言った負の感情っていうのもね」

結標「さらには木原さんが冗談を言っているんじゃないかっていう疑念さえも出てきたりしたわ。目を背けたかったんでしょうね」

結標「その頭の中にある様々な考えや感情を整理して、まとめて、でも結局収まりがつくことはなかった」

結標「けど、改めて貴方の口から直接話を聞いたときに、なんというか、いろいろあったものが頭からすぅっと消えてく感じがしたわ。そして、ある考えだけが残った」

結標「一方通行。私はね」




結標「貴方のことを支えてあげたいと思った。守ってあげたいと思った」




423 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/29(金) 22:35:05.35 ID:6X2WJU4Vo


一方通行「…………」

結標「それが、さっきの質問の答えよ」

一方通行「……何言ってンだオマエ? わけがわからねェよ? 支えてあげたい? 守ってあげたい? ふっざけンじゃねェ!!」

結標「ふざけてなんかいないわ」

一方通行「いィやふざけてる!! 俺は大罪人だッ!! 一万人以上の人間を殺したッ!! オマエの記憶も奪ったッ!!」

一方通行「そンな人間がかけられてイイ言葉じゃねェンだよ!! オマエの言った言葉はッ!!」

結標「たしかにそうかもしれないわ。その貴方の言う罪っていうものだけ見ればね」

一方通行「わかってンじゃねェか。だったらよォ、そンな感情は生まれねェはずなンだよ!」


結標「でも貴方は言ったじゃない? 打ち止めちゃんを、妹達のみんなを守るって」

結標「でも貴方はたくさんの思い出をくれたじゃない? 記憶を失ってどうしようもなく不安になっていた私に」


一方通行「それが、どォしたってンだ! そンなことしたからって過去が変わるわけじゃねェ!」

結標「ええ、そうよ。いくら罪を償う為に行動したところで罪自体が消えるわけじゃない。貴方の言いたいこともわかるわ」

結標「けれど、貴方はそれをわかっていてなお、その罪から逃げようとせずに向き合おうとしていたじゃない」

一方通行「何でそンなことがわかる!? 俺が本当に罪と向き合おうとしているかなンて、わかるわけねェだろォが!」

結標「さっき貴方は自分で言ったじゃない。罪から逃げないって、目を背けないって」

一方通行「そンなモン口から出任せ言っているだけかもしれねェだろォが! 何の信憑性もねェ言葉だ!」

結標「私は信じるわ」

一方通行「どォしてそンなことが言えンだ!?」 

結標「信じるに決まっているじゃない。だって貴方は」



結標「きちんと私に向かい合って、自分の罪を打ち明けてくれたじゃない」



一方通行「ッ」


結標「私がもし貴方と同じ立場だとしたら、こうやって他人に自分の忌々しい過去を打ち明けるなんてこと簡単にできるとは思えない」

結標「けど貴方はこうやって私に話してくれた。相当な覚悟を持って私の前に立っているんだってわかるわ」

結標「そんなこと、口から出任せを言うような人にはできない、本当に罪と向き合おうとしている人じゃないと、絶対にできないことだと私は思う」


一方通行「…………」

結標「だから私も向き合いたい。貴方が背負っているもの、貴方が抱え込んでいるものと」

一方通行「……やっぱり理解できねェ。何でオマエはそこまでのことが言えるンだ?」

結標「……だって、だって私は――」
















結標「私は貴方のことが好きなんだからっ! ずっと貴方の側に居たいと思っているからっ!」



424 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/29(金) 22:36:26.01 ID:6X2WJU4Vo


一方通行「…………」

結標「…………? って、あれ? 私今なんて言った?」

一方通行「…………」

結標「も、も、もしかして、私とんでもないこと口走らなかった?」

一方通行「……ああ。おそらくオマエが思っている通りの言葉を言ったな」

結標「あ、あ、あわ、あ、あわわ」カァ

一方通行「オマエ、頭おかしいンじゃねェの?」

結標「え、えっ?」

一方通行「普通、俺みてェな人間にそンな感情が生まれることなンてねェンだよ。そンな言葉を吐くことなンてありえねェンだよ」

結標「……そうね。たしかにそうかもしれない。でも、私はおかしいとは思わない」

一方通行「ハァ?」

結標「私だって超能力者(レベル5)なんだから。貴方たち人格破綻者のお仲間なんですもの」

一方通行「…………」

結標「……あら? ひょっとしてまた私変なこと言っちゃった?」

一方通行「……アハッ」

結標「?」








一方通行「アハハッ、アハギャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハァッ!!」







425 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/29(金) 22:38:41.39 ID:6X2WJU4Vo


結標「うわっ、急に何よ!? てか笑い方怖っ!?」

一方通行「ハァーッ、ああ。ひっさしぶりに大爆笑しちまったァ」

結標「そ、そんなに私変なこと言ったかしら?」アセッ

一方通行「……オマエ、ホント馬鹿だよな?」

結標「なっ、そこまで言われる筋合いはないと思いますけど?」

一方通行「ホンット、馬鹿みてェだよな、オマエも……俺も」

結標「一方通行?」

一方通行「…………フゥ、結標淡希」

結標「は、はい?」

一方通行「俺は決めていたことがある。こォいう状況になったときどォするべきかを、いや違う。俺自身はどォしたいのかを」

結標「?」

一方通行「だから、今からそれを実行してやるよ」

















一方通行「俺もオマエが好きだ。オマエが隣に居ない世界なンて考えられねェくれェ、オマエのことが好きだ」







426 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/29(金) 22:39:23.09 ID:6X2WJU4Vo


結標「…………えっ? い、今なんて言った?」

一方通行「…………」

結標「ちょ、ごめん、もう一回言って!」

一方通行「……チッ、らしくねェなンて俺だってわかってンだよ。あンなセリフ二回も吐かせよォとすンなクソ野郎が」

結標「ね、ねえ? つまり、これって……?」

一方通行「ああ。オマエが思っていることで間違いねェよ」

結標「これ……もしや夢なんじゃ……?」

一方通行「かもな。ベタだが自分の頬つねってみろよ」

結標「……ふぃたい」ギュー

一方通行「そォかよ」

結標「……いだぃ」ポロッ

一方通行「あン?」

結標「いだぃよ、どっでもいだいよあぐぜられーだぁ」ポロポロッ

一方通行「何泣いてンだよオマエ? 普通笑うところじゃねェのかよこォいうのってよォ?」

結標「ご、ごめんね。わだしにもよくわがんない」ポロッポロッ

一方通行「……はァ、面倒臭せェ」


427 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/29(金) 22:40:27.07 ID:6X2WJU4Vo


一方通行「……ああ、そろそろ頂上か。つゥか長げェよこの観覧車、どンだけデカいンだよ?」

結標「……ねえ、一方通行」

一方通行「何だよ」

結標「私たちって、その……こ、恋人同士ってことでいいのよね?」

一方通行「……ああ、まァ、そォいうことになるな」

結標「本当に?」

一方通行「何でこのタイミングで疑い出してンだよ? どこにそンな不審な点があるっつゥンだ?」

結標「だ、だってよくよく考えたら貴方があんなこと言うのに違和感が……」

一方通行「それはたしかに俺だって自覚はあるけどよォ」

結標「もしかしてどこかにドッキリの札を持った青髪君が潜んでいるんじゃ……?」

一方通行「ンなわけねェだろ! やらせるにしてもソイツじゃなくてもっとマシな人選するわ!」

結標「……怪しいわね」

一方通行「チッ、だったらどォすりゃ信用してくれるっつゥンだよ?」

結標「何って、そうね……あっ!」ピコン

一方通行「あン?」

結標「あ、あの、その、えっと、あのね? あー、えっと、えー」

一方通行「何だァ? 急にどもりやがって。一体何やらせるつもりなンだオマエ?」

結標「……き」

一方通行「き?」




結標「キスして!! この観覧車が頂上に達する瞬間に!!」




一方通行「…………」


428 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/29(金) 22:43:00.30 ID:6X2WJU4Vo


結標「そ、そしたら信じてあげるわ! ほ、本当に恋人だって言うなら、それくらい余裕でしょ?」

一方通行「……何つゥかオマエ、ナニ発情してンだよ?」

結標「そ、そんなんじゃないわよ! 恋人同士ならそれくらい普通にするでしょ普通に!」

一方通行「知るかよ。つゥか本当かよ? 恋人っつゥモンになって即接吻なンてことが常識なンかよ。俺もそォいうのはよくわかンねェがよォ、信じらンねェ」ブツブツ

結標「何一人ブツブツ言っているのよ?」

一方通行「ちょっと頭ン中整理してンだ……あン?」チラッ

結標「ん? 突然窓の外見てどうしたのよ?」

一方通行「……アハッ。いや、イイ景色だなァって思ってよォ」

結標「そうね……ってそんなので誤魔化されないわよ!? キスするの? しないの? どっちよ?」

一方通行「何で俺がこンなに責められてンだ? まァイイ」カチッ

結標「一方通行?」


一方通行「イイだろォ。キスの一つや二つ、やってやるよ」


結標「ええっ!? ……その、ほ、本気なの?」

一方通行「オマエがやれって言ったンだろォが!」

結標「で、でも……」

一方通行「……頂上まであと二〇秒っつゥところか。拒否すンなら今のうちだぜェ?」

結標「え、えと、あっと、その……」

一方通行「あと一〇秒」

結標「ああああ、お、お願いします!」スッ

一方通行「…………」フゥ-

結標「…………」ドキドキ

一方通行「……行くぞ?」

結標「は、はいぃ!」














一方通行「あ、そォだ。言い忘れてたが、窓の外で俺らの行動を監視しているヤツらがいるぞ?」













結標「えぇっ!? う、嘘!? あっ、あれは空撮用のドローン!? なっ、ちょっ、んっ――――」


―――
――



429 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/29(金) 22:43:59.18 ID:6X2WJU4Vo


同日 19:30

-スターランドパーク・レボリューション前-


土御門「……あちゃー、やっぱバレちまったかにゃー」

青ピ「さすがアクセラちゃんやなー。警戒心もレベル5や!」

上条「ってそんなこと言ってる場合かよ!? バレたっつーことはすなわち一方通行ブチギレ確定ってことじゃねえか!」

青ピ「何言うとんやカミやん!! ブチギレたいのはこっちやで!! 一人だけ抜け駆けしおってゆるさーん!!」

上条「そ、そう言われてみればそうだな! くっそーアイツ今日から彼女持ちかよ羨ましいぜ」



ガン!!



上条「痛てっ!? 何でだよ!?」

青ピ「いや、なんかムカついたから」

土御門「同じく」


吹寄「な、ななななななななななななななななな――」カァ

姫神「どうしたの吹寄さん? 顔真っ赤にしちゃって。もしかしてキス見ただけで。恥ずかしくなっちゃった?」

吹寄「なっ、そ、そ、そんなわけないじゃない! キスくらいなんてことないわよ! ドラマとかで何十何百回と見たことあるんだから!」アセッ

姫神(かわいい)クスッ

吹寄「……とにかく! 二人が帰ってきたら祝福してあげないとね?」

姫神「そうだね」

吹寄「この流れで姫神さんも頑張ってね?」

姫神「……まあ。ぼちぼち」


風斬「…………、…………」カァ

禁書「ひょうか?」

風斬「な、なに?」

禁書「二人ともとっても嬉しそう。なんだかこっちも嬉しくなるんだよ!」

風斬「……うん! 私も嬉しいよ!」


打ち止め「…………」テクテク


禁書「らすとおーだー?」


430 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/29(金) 22:44:41.31 ID:6X2WJU4Vo


-離れた場所-


打ち止め「……これでよかったんだよ、ってミサカはミサカは……」ボソッ


禁書「らすとおーだー? どうかしたの?」ドタドタ

打ち止め「ッ、ううん、なんでもないよ! ちょっと人混みに酔っちゃったから避難しただけだよ!」

禁書「…………」

打ち止め「よ、よーし! あの人たちが帰ってきたら精一杯賑やかしてやるぜ、ってミサカはミサカはお祭り野郎の気持ちになってみたり」

禁書「……だめだよ、らすとおーだー」

打ち止め「えっ?」

禁書「そんな悲しそうな顔で祝福されても、二人は喜ばないよ」

打ち止め「悲しそう? あ、あははーまたまたー! 笑顔の伝道師であるミサカがそんな顔するわけないじゃん!」

禁書「…………」スッ

打ち止め「ふえっ!?」ビクッ

禁書「…………」ナデナデ

打ち止め「なっ、なんなの急にミサカの頭を撫でて、み、ミサカはそんなことされて喜ぶお子様じゃないよ、ってミサカはミサカは戸惑ってみる」


禁書「……あの観覧車乗ったことあるけど。あの位置なら二人が帰ってくるまでまだ少し時間があるよ」


打ち止め「そ、そうなんだ。へー、そんなことわかるなんてさすが完全記憶能力だね、ってミサカはミサカは」


禁書「だから、今だけは我慢しなくもいいんだよ? 強がらなくてもいいんだよ?」


打ち止め「が、が、我慢? つ、強がってる? み、ミサカはそんなことしてない、よ」


禁書「私にはよくわからないけど。たぶんずっと一人で抱え込んでいたんだよね。ずっと一人で頑張ってたんだよね」


打ち止め「み、み、み、みさ、ミサカは、ちが、ちがう」ポロッ


禁書「こんなときくらい、一人じゃなくてもいいと思うんだよ?」ニコッ


打ち止め「…………みさ、みさかは、みしゃかは――」









風斬「…………、…………」


―――
――



431 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/29(金) 22:46:25.16 ID:6X2WJU4Vo


同日 19:40

-スターランドパーク・レボリューション前-



吹寄・姫神「「アクセラ(君)!! 結標さん!! おめでとう!!」」



結標「あ、ありがとう二人とも!」

一方通行「おォーおォーどォだった? 楽しンでもらえたかなァ覗き魔どもがァ。見物料はオマエらの命っつゥことで構わねェよなァ?」

青ピ「うるせーこの裏切り者めぇ!! 一人だけ良い思いしやがってえ!!」

土御門「そうだそうだー! 観覧車のてっぺんでキスなんて漫画みたいなことしやがってー!」

上条「つーか、土御門。よくよく考えたらお前舞夏いるんだから文句言う資格ねえんじゃねえか?」

土御門「いやー流れ的にこうするのが正解かと」

一方通行「遺言はそれでイイか? 馬鹿三人、まずはオマエらから血祭りに上げてやるよ」カチッ

青ピ「よーし! いけ、カミやん!! あの腐れ裏切り野郎に粛清を!!」

土御門「オレらの意思を持っていけカミやん!!」

上条「だから俺を勝手に身代わりにするんじゃねえ!! てか俺何も文句言ってねぎゃああああああああああああああああああああああああッ!!」



ドガ!! バガ!! ボコ!! グシャ!! メリィ!!



吹寄「まったく、こんな人通りの多い場所で暴れてんじゃないわよ」

姫神「もはや。定番の流れ」

結標「はは……」

一方通行「バッテリー無駄に使わせてンじゃねェっつゥの」ガチャリガチャリ

吹寄「おかえりアクセラ」

姫神「おつかれ」

一方通行「傍観者面してっけど、オマエらも同罪だからな違法視聴者ども」

吹寄「あはは、ごめんなさいね。どうしても気になっちゃって」

姫神「欲望には敵わなかった」

結標「もー、ひどいわよ二人とも」

一方通行「チッ、うっとォしいヤツらだ」

青ピ「ふざけんなー! 女子にもちゃんと粛清しろー!」ブーブー

土御門「差別だ差別だー! 男女平等に接しろー!」ブーブー

一方通行「…………」カチッ



ドゴォン!!



432 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/29(金) 22:47:40.79 ID:6X2WJU4Vo



タッタッタッタッタッタッ!!



一方通行「あン?」



打ち止め「おりゃー突撃ー!! ってミサカはミサカは助走の勢いをそのままに頭から突っ込んでみたり!」バッ



ドゴッ!



一方通行「ごふっ!?」

結標「打ち止めちゃん!?」

禁書「ちょっと待ってよらすとおーだー!」ドタドタ

上条「ん? そういえばお前ら今までいなかったけど、どこに行ってたんだ?」ボロッ

風斬「い、いえ、その……」

禁書「とうまには関係ないかも。というかとうまは何でそんなにボロボロになっているのかな?」

上条「……ちょっと悪魔の逆鱗に触れちまって」

禁書「?」


一方通行「……痛ってェなァ、何しやがるクソガキ!」

打ち止め「アクセラレータ!」

一方通行「あァ?」

打ち止め「約束守ってくれてありがとう! そしておめでとっ! ってミサカはミサカは感謝の言葉とお祝いの言葉を同時に贈ってみたり」ニコッ

一方通行「……ケッ、何が約束だ。命令とか言ってな……いや違う。そォじゃねェ」

打ち止め「うん? 違うって何が? ってミサカはミサカは――」



一方通行「こっちこそありがとうだ。打ち止め」



打ち止め「ッ、…………アワキお姉ちゃん!!」

結標「はい!?」


打ち止め「この人は無愛想で、口が悪くて、短気で、面倒臭がり屋で、非常識で、ひねくれ者で、笑顔が怖くて、笑い方も怖くて――」


一方通行「オイ」


打ち止め「そんな変人だけど、アクセラレータをよろしくね、ってミサカはミサカはお願いしてみる」


結標「……うん、知ってる。任せてちょうだい」ニコッ

打ち止め「うん!」ニコッ

一方通行「……くっだらねェ」


433 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/29(金) 22:48:53.45 ID:6X2WJU4Vo


青ピ「よっしゃー!! こうなったら二人のお祝いパーティー開催するでー!!」


上条「切り替え早っ!? さっきまで文句垂れてたヤツのセリフとは思えねえな」

吹寄「いいわねお祝いパーティー。あなたにしては珍しくいいアイディアじゃないかしら?」

姫神「いつやるの?」

青ピ「そんなの今日に決まっとるやろ! 鉄は熱いうちに打てってヤツやで!」

上条「げっ、今日はさんざん絶叫マシン乗りまくって疲れ切ってるっつーのに」

青ピ「あの程度で音を上げるなんてだらしないなーカミやん! てなわけでつっちー! パーティー会場の確保や!」

土御門「そう言うと思って、安くてうまくて夜遅くまでどんちゃん騒ぎしても怒られない店の予約を取っておいたぜい」ピッ

青ピ「さすつち!」

吹寄「……もう、勝手に次々と決めちゃって。しょうがないわね」

禁書「わーい! パーティーだー! ごはんだー!」

風斬「さっき、あんなに食べたばかりなのに……」

姫神「相変わらずの食欲で。逆に安心する」

打ち止め「宴会盛り上げ隊長のミサカがパーティーを最っ高に盛り上げてやるぜー! ってミサカはミサカは意気込んでみたり!」

上条「……だぁーもうわかりましたよ!! 日付が変わるまでだろうが朝までだろうが付き合ってやるよこんちくしょう!!」

土御門「その意気だぜいカミやん!」

青ピ「そうと決まればさっそく会場にレッツゴーや!!」

打ち止め「おおっー!! ってミサカはミサカは駆け出してみたり」タッタッタ

風斬「ああ、走ると危ないって言ってるのにまた……」オロオロ


結標「……あはは、私たちのお祝いパーティーですって」

一方通行「面倒臭せェ」

結標「言うと思ったわ。こういうときくらい素直に喜びなさいよ?」

一方通行「素直に面倒臭せェ」

結標「まったく……」


吹寄「二人とも、何してるの? 早く行きましょ?」

打ち止め「おおーい!! 早く早くー!! ってミサカはミサカは飛び跳ねながら急かしてみたり!!」ピョンピョン


結標「うん、ちょっと待っててー! すぐ行くからー! ほら、行くわよ一方通行?」

一方通行「チッ」

結標「……あっ、そうだ。一方通行?」

一方通行「あァ?」



結標「改めて、これからもよろしくね!」

一方通行「……ああ」



――――――


434 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/29(金) 22:50:09.69 ID:6X2WJU4Vo



『結標淡希記憶喪失編』 完




435 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/29(金) 22:51:31.91 ID:6X2WJU4Vo

くぅ疲
とりまこれで8年以上前から5スレに渡って続いた話にケリが付いたってことで
打ち止めに関しては家族愛で通してもよかったけど
公式でも恋愛感情あるっぽい描写あったし、この過去スレでもそれっぽい描写入れちゃったからやらざるを得なかった感じやね

これで1スレから見てくれてる人に対しての話は一区切りってことで
ここから先はおそらく誰も求めていないガチオナニーの蛇足編やから読まなくていいよ
具体的に何するかと言うと回収してない伏線の回収

ではおまけと予告で今日はおわり!w

436 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/29(金) 22:53:05.63 ID:6X2WJU4Vo


〜おまけ〜


同日 21:00

-スターランドパーク・恐怖! Dr.GENSEIの館・スタッフ控室-


円周「――数多おじちゃん」テクテク

数多「あん?」

円周「アクセラお兄ちゃんと淡希お姉ちゃんがくっついたらしいよ」

数多「そうかよ」

円周「あれ? 思ったより薄い反応だね。これを期待して淡希お姉ちゃんにアクセラお兄ちゃんのこと暴露したんじゃなかったの?」

数多「別にそんなつもりはねえよ」

円周「じゃあ何を期待してそんなことをしたの? もしかして血みどろの戦いが起こるほうを期待した?」

数多「それも違うな」

円周「むー、わからないなー。そんなもったいぶらずに教えてよー」

数多「何かを期待していたってほどの話じゃねえっつってんだよ」

円周「なら質問を変えるよ。何のためにあんなことをやったの?」

数多「……そうだな。ただの生意気なクソガキに対しての嫌がらせっつーだけの話だ」

円周「えー、そんなことのために数多おじちゃん直々に出張ったっていうのー? ほんと暇なんだねおじさん」

数多「だから暇じゃねえっつってんだろうがクソガキ!」

円周「社員のみんなが汗水垂らしながら働いているっていうのに、女子高生と楽しくトークトークしてるおっさんなんて暇人以外形容する言葉がないよ」

数多「……よーし、わかった。そんなに死にてえなら新しい木原神拳奥義の実験台にテメェを使ってやるよ」ゴキゴキ

円周「うん、うんうんわかってるよ数多おじさん。おちょくって逃げるヒットアンドアウェイ戦法、それが『木原』の真骨頂なんだよね」ピーガガガ

数多「それはテメェだけだクソガキィ!!」



ゴツンッ!!



円周「ほげぇ!?」バタリ

数多「はぁ……、さーてと」




数多(わかってんだろうな一方通行。テメェは大きな壁を乗り越えたつもりでいるんだろうが、まだテメェは根本的な問題を解決できてねえんだっつーことをな)







円周「きゅー……」




――――――


437 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/10/29(金) 22:54:28.96 ID:6X2WJU4Vo

次回『S1.ファーストデートi』

書き溜め完全に尽きたので来週投下無理かもわからん
438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/30(土) 09:02:02.83 ID:WW+4N3Se0
お疲れちゃん
439 : ◆ZS3MUpa49nlt [sage]:2021/11/04(木) 23:00:32.08 ID:FLEjRC4Ho
先に行っておくけど明日の投下はないです
進捗はどうあれ来週は絶対する
440 : ◆ZS3MUpa49nlt [saga]:2021/11/12(金) 20:39:13.65 ID:4HZ8YDOAo


今回から蛇足編が始まりやす
読む人いないと思うけど一応注意事項追記しとく


今までの話の雰囲気とはだいぶ毛色が変わる(特にS2の終盤以降から)

描写をわかりやすくするため台本形式から台本+地の文形式に変更(本格的な変更はS3から)

やりたいストーリーに無理やりキャラを当てはめてるから今まで以上にキャラ崩壊注意

設定改変・独自解釈のオンパレード

ストーリーの進行上特定のキャラが悪者になったりキャラ下げみたいに思えるような展開あり


では投下
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