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結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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302 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/24(金) 20:11:52.07 ID:WSQjvE0To
青ピ「吹寄さーん、三馬鹿トリオなんてダサい名前で呼ばんといてーな。ボクらにはデルタフォースというかっこいい名前があるんや」
吹寄「知らないわよ! とにかく、お見舞いはあたしと姫神さんで行ってくるわ」
姫神「あっ。吹寄さん」
吹寄「何かしら?」
姫神「ごめんなさい。私は今日。用事があるから行けない」
吹寄「あっ、そうなの。こっちこそ勝手に決めちゃってごめんなさい。だったらしょうがないわね、あたし一人で――」
青ピ「はいはーい!! 一枠空いたんならボクがヒメやんの代わりにいっきまーす!!」
土御門「抜け駆けは許さんぞピアスくん! オレが行って面白おかしいお見舞い会にしてやるんだにゃー」
吹寄「何言ってるのよ。ダメに決まってるでしょそんなの」
青ピ「でも吹寄さんは最初二人と言いましたー!」
土御門「真面目で優等生な吹寄さんが一度言ったことを曲げるなんていけないと思いまーす」
吹寄「ぐっ……」
姫神(本当は『二人くらい』って言ってたけど。放っておいたほうが面白そうだから。黙っておこう)
吹寄「わ、わかったわよ。だったら三馬鹿でじゃんけんして勝った人がお見舞いにいく。これで文句ないでしょ?」
青ピ「了解やでー。よーしやるでー! うおおおおおおっボクのこの手が光って唸るぅぅううううう!!」
土御門「オレのチョキはすべてを切り裂くぜい」
上条(別に俺行きたいとは一言も言ってないんだけどなあ……まあジャンケン弱いしどうせ負けるだろ)
青ピ・土御門・上条「「「ジャンケン!!」」」
結標(別に何人だろうとアイツは嫌がりそうよね……まあ今さら言い出せなさそうな空気だし、別にいいか)
―――
――
―
303 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/24(金) 20:12:55.74 ID:WSQjvE0To
同日 13:00
-黄泉川家・一方通行の部屋-
一方通行(…………眠れねェ)
一方通行(どォいうことだ? いつもなら寝転べば秒で眠れるってのにかれこれ二時間弱意識が消えねェ)
一方通行(午前中に二時間くらい寝たからか? いや、あの程度で俺の睡眠に支障はきたさねェはずだ)
一方通行(だとするとやはり原因は風邪か? それとも飲ンだ薬の副作用か?)
一方通行(チッ、風邪ってヤツは面倒臭せェなァオイ)
コンコン!
一方通行「あァ? 誰だ?」
ガチャ
芳川「あら? もしかしてノックの音で起こしちゃったかしら?」
一方通行「芳川か。いや、もともと起きてたから問題ねェ」
芳川「そう。でも寝てないと風邪は治らないわよ?」
一方通行「わかってるが眠れねェンだからしょうがねェだろ」
芳川「なるほどね。体調不良で身体の調子が出なくて、いつもやっている睡眠が出来なくなっているのね」
一方通行「たぶンな」
芳川「普通は逆なんだけどね。風邪を引いたら身体が十分な睡眠時間を確保するために、脳が休ませようとするはずなんだけど」
一方通行「もしかしたらこれも、ホルモンバランスが崩れたことが原因によるモンなのかもしれねェな」
芳川「眠気を促すためには食事を取ることで血糖値を上げるといいわ。どうせお昼ご飯とか食べてないでしょ? うどんでも作ってあげるわ」
一方通行「いらねェよ。二時間くらい前に食パン一枚食ったからイイだろ」
芳川「風邪を治すためにはきちんとしたものを食べて、エネルギーを摂取することも重要よ?」
一方通行「オマエが適当に食って薬飲めっつったンだろォが」
芳川「あらそうだったかしら? ごめんなさいね。文字通り適当なこと言って」
一方通行「チッ、大体オマエ料理できンのかよ。どっかの料理音痴みてェにダークマター精製したりしねェだろうな?」
芳川「愛穂みたいに上手ではないけど、人並みにはできるつもりよ」
一方通行「アイツの場合上手い下手というより、炊飯器の性能に全部任せてるだけだろ」
芳川「ま、それは否定はしないわ。それじゃ作ってくるからちょっと待っててね」
304 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/24(金) 20:13:43.48 ID:WSQjvE0To
〜一〇分後〜
ガチャ
芳川「ほら、できたわよ」
一方通行「……何だ普通のうどんじゃねェか。てっきりカップ麺でも持ってくるかと思ったが」
芳川「ほんと失礼ねキミ」
一方通行「疑り深いと言って欲しいねェ」
芳川「あと部屋見渡す限り飲み物とか全然飲んでなさそうだから、飲み物も持ってきたわ」つ缶コーヒー
一方通行「うどンに缶コーヒーかよ」
芳川「どうせキミはこれしか飲もうとしないでしょ?」
一方通行「違いねェ。……ああ、そういや今日一回もコーヒー飲ンでなかったな」
芳川「それは珍しいわね。いつもならカフェイン切らすと手足がプルプル震える中毒者なのに」
一方通行「そこまでじゃねェよ。人を薬物中毒者みてェに言うンじゃねェ」
芳川「カフェインも見方を変えれば薬物みたいなものでしょ?」
一方通行「チッ、まァイイ。コーヒー見たら本当に飲みたくなってきた。ありがたくいただく」プルプル
芳川「ほら、手、震えてるわよ?」
一方通行「これは風邪の影響だっつゥの。イイ加減にしろ」パキッ
一方通行「…………」ズズズ
一方通行「……あァ、コーヒーうめェ」
芳川「手の震え、止まってるわよ?」
一方通行「……残念ながらまだ震えてるぜェ? そりゃそォだこれは風邪の影響なンだからなァ」プルップルッ
芳川「なんかわざとらしい震え方ね」
一方通行「気のせいだ、……ろ……」カクン
芳川「あらどうしたの? いきなりボーっとし始めて」
一方通行「……いや、何か急に……睡魔が……」カックンカックン
芳川「えっ!? まさかコーヒー飲んだから!? 普通逆でしょ逆!?」
一方通行「……そォいうわけだ。俺は寝る……じゃあ、な」ガクッ
芳川「ちょ、ちょっと待ちなさい! キミ私が作ったうどん一口も食べてないじゃない! 一口ぐらい食べて食レポしてから寝な――」
一方通行「…………Zzz」
芳川「……はぁ、完全に寝てるわね。というかカフェイン摂取したら落ち着いて眠れるなんて、本格的に中毒者のそれじゃない」
芳川「さて、このうどんどうしようかしらね? 私はさっきお昼食べたばかりだからこんなの食べられないし……」
芳川「…………」
芳川「まあ、冷蔵庫にでも入れていれば誰か食べるでしょ」
―――
――
―
305 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/24(金) 20:15:12.78 ID:WSQjvE0To
同日 16:00
-とある高校・校門-
吹寄「さて、とりあえずコンビニにでも寄ってお見舞いの品買ってからいきましょう」
上条「……まさかバイトの日じゃないのに、ファミリーサイド周辺に行くとは思わなかったな」
結標「ごめんなさい二人とも。わざわざアイツのために時間作ってくれて」
吹寄「いいわよ別に。どうせこの時期は暇だしね」
上条「まあ風邪で弱ってる一方通行というレアな姿が見られるんなら、それくらい安いもんだぜ」
吹寄「貴様もそんな不純な動機でお見舞いに志願したのかしら上条当麻?」
上条「いや、そういうわけじゃねえよ。そういうわけじゃねえけど見てみたいだろ?」
結標「別にそんな面白いものじゃないと思うわよ。咳とかしてる以外普通だと思うし」
上条「冗談だって。ちょっと様子見て帰るだけだから、そんな期待してねえよ」
吹寄「……ところで上条当麻。その手に持ってる紙袋は一体何なのかしら?」
上条「これ? ああ、何か青髪ピアスが、お見舞い行くんやったら代わりに持っていってくれー、って渡してきたヤツ」
結標「お見舞い決まったの今日の昼休みなのに、一体いつの間に用意したのかしら……」
吹寄「何にしてもあの馬鹿が準備したものならロクなものではなさそうね」
上条「さすがにアイツも一回喋ったネタだから、同じことやるようなつまらないヤツじゃないと思うけどな」
吹寄「念の為に中身確認しときなさいよ」
上条「用心深いな。えっと……ジャ○プに○ンデー、その他諸々。ああ漫画雑誌か」
結標「なるほど。退屈しのぎのアイテムってわけね」
吹寄「まともね。不自然なくらいまとも。まともすぎるのが逆に変」
上条「ひでえ言われようだな。しょうがないけど」
吹寄「……まあいいわ。じゃ、コンビニに向かいましょ。結標さん、通学路にコンビニある?」
結標「ええ。五分くらい歩いたところにあるわ」
吹寄「そう。なら向かいながらで寄れるわね」
上条「さーて、何買っていこうかなー。つーか、アイツ何喜ぶんだ?」
吹寄「変なもの買おうとするんじゃないわよ?」ジロッ
上条「買わねーよ!」
―――
――
―
306 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/24(金) 20:16:08.36 ID:WSQjvE0To
同日 17:00
-黄泉川家・一方通行の部屋-
一方通行「…………Zzz」
一方通行「Zzz……ン、……ふわァ。今何時だ?」チラッ
一方通行「五時か。一時過ぎに寝たから四時間弱寝たっつゥところか」
一方通行「やっぱ本調子じゃねェから眠りが浅せェみてェだな。コーヒーでも飲ンで寝直すか」ガチャリガチャリ
ガチャ
-黄泉川家・リビング-
打ち止め「あっ、アクセラレータだ! 起き上がって大丈夫なの? 元気になったのかな? ってミサカはミサカは心配しながらも質問してみたり」
芳川「あらおはよう。随分と早起きなのね」
一方通行「……ああ、オマエらか。まあ身体の状態は前よりはマシっつゥところか。薬が効いてンだろォな」
芳川「熱は?」つ体温計
一方通行「ああ」ピピィー
一方通行「……37.4℃だな」
芳川「体温も落ちてきてるし、このままいけば明日には治ってるわね」
打ち止め「わーい! よかったねアクセラレータ! ってミサカはミサカはバンザイして喜びを表現してみたり」
一方通行「チッ、うるせェな。大げさなンだよクソガキ」
ガチャ
結標「ただいまー……って一方通行!? ちょっと立ち歩いてて大丈夫なの!?」
一方通行「おォ。少しはマシになった」
吹寄「お邪魔します。あら、アクセラ思ったより元気そうじゃない」
上条「たしかにそうだな。わざわざお見舞いに来るほどじゃなかったみてえだ」
打ち止め「あっ、ヒーローさんにセイリお姉ちゃんだ! いらっしゃい! ってミサカはミサカは歓迎してみる」
307 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/24(金) 20:16:51.29 ID:WSQjvE0To
一方通行「ケッ、わざわざこンな場所までご苦労なこった」
結標「ちょっと。せっかく来てくれたのにそんな態度はないんじゃないかしら?」
吹寄「いいのよ結標さん。そっちのほうがアクセラらしいし」
打ち止め「そうそう。あんなこと言ってるけど内心大喜びだしね、ってミサ――あたっ、ちょっと照れ隠しでチョップするのやめてほしいかも、ってミサカはミサカは頭を抑えながら抗議してみる」
一方通行「テレてねェよ。勝手なこと言ってンじゃねェぞクソガキ」
吹寄「あっ、そうだ。お見舞いの品持ってきてたんだった。はい、お腹が空いてるときにでも食べてちょうだい」スッ
一方通行「何だこりゃ」
吹寄「プリンとかそういうの買ってこようと思ったけど甘いもの嫌いらしいし、コーヒー好きだから無糖のコーヒーゼリーよ」
一方通行「へー。まァ気が向いたら食ってやるよ」
吹寄「全然嬉しそうじゃないわね。まあいいけど」
上条「上条さんは安牌の缶コーヒー買ってきたぞ。何が好きなのかわからないから、種類バラバラで適当に買ったヤツだけど」スッ
一方通行「おォおォ、さすがは上条クンだ。見事に最近飽きたヤツばっかセレクトしてやがる」
上条「げっ、まじか」
一方通行「まァ、いつか飲みたくなるときが来るかもしれねェからな。ありがたくもらっとく」
打ち止め「ねえねえ。そっちの紙袋はなんなの? ってミサカはミサカは指を指して尋ねてみたり」
上条「ああこれか。これは青髪ピアスからの見舞いだ。漫画雑誌たくさん入ってるから暇つぶしにでもしてくれ」スッ
一方通行「漫画の雑誌か。風邪で寝込ンでンだから暇もクソもねェと思うがな」ガサゴソ
結標「……というか貴方、さっきから文句しか言ってなくないかしら?」
一方通行「悪りィな。そォいう人間性なンだ。諦めてくれ」
結標「もう」
一方通行「……あァ? 漫画雑誌の中に変なのが混じってンな」スッ
上条「変な雑誌?」
『月間まんが4545タイム』
308 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/24(金) 20:18:05.07 ID:WSQjvE0To
一方通行「…………」
上条「…………」
結標「…………」
吹寄「…………」
打ち止め「ねえねえそれなんの漫画雑誌? みせてみせてー、ってミサカはミサカは興味を示してみたり」
バシィ!!
吹寄「こ、これは何でもないのよ!? 何でも!! おほほほほほほほほほほほほ!!」
打ち止め「えっー? そんなこと言われちゃうと逆に気になるよ、ってミサカはミサカは好奇心が止まらなくなってみたり」
芳川「打ち止め。貴女にはまだ早いわ」
打ち止め「?」
吹寄「そ、それじゃあんまり長居してもいけないし、あたしたちはそろそろ帰るとするわ。ねえ、上条当麻?」ギロリ
上条「ひぃ!? 殺気!? あ、はい、僕も帰ります」
打ち止め「そうなんだー残念だね。ばいばーい! ってミサカはミサカは手を振って見送ってみたり」ノシ
吹寄「お邪魔しましたー!」
上条「ましたー!」
ガチャ
一方通行「……チッ、くだらねェ。俺ァコーヒー飲ンでから寝る」
結標「あ、うん。わかったわ」
打ち止め「晩御飯は食べないの?」
一方通行「飯時に起きてれば食う」
芳川「なんなら冷蔵庫に私が作ったうどんがまだ残ってるけど食べる?」
一方通行「いらねェよ、絶対ェ汁の油とか固まってンだろそれ」
芳川「レンジでチンすれば溶けるでしょ」
一方通行「だとしてもいらねェよ」
窓の外<不幸だああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!
―――
――
―
309 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/24(金) 20:19:26.12 ID:WSQjvE0To
同日 18:00
-黄泉川家・リビング-
ガチャ
黄泉川「ただいまー!」
打ち止め「おかえりー、ってミサカはミサカは返事のあいさつをしてみたり」
結標「おかえりなさい」
黄泉川「お腹空いてるだろうし、ちゃちゃっとご飯作るから待っててくれ」
打ち止め「はーい!」
黄泉川「そういえば一方通行の調子はどうじゃんよ。少しは良くはなったのか?」
結標「体温も下がってきてるようですし、部屋から出歩けるくらいには回復してましたよ」
黄泉川「そっか。それはよかったじゃん。で、今何してんの?」
打ち止め「一時間前くらいに寝るって言って部屋に戻って行ったよ、ってミサカはミサカは説明してみる」
黄泉川「あー、そうなるとしばらく起きないじゃんね。アイツの晩ご飯どうしよう」
結標「夕食時に起きてたら食べるって言ってましたけど……起きないでしょうね、たぶん」
黄泉川「まあいいや。とりあえずお粥でも作っとけば、仮にアイツが腹減って夜中起きたとしても、勝手に温めて食べるじゃん」
芳川「彼がそんな面倒なことしてまで食べるかしら?」
黄泉川「残ってたら残ってたで明日の朝食にするから問題なし」
打ち止め「お粥の話してたらミサカもお粥食べたくなってきた、ってミサカはミサカは唾液を飲み込んでみる」
黄泉川「よし、だったら今晩はお粥パーティーにでもするか!」
結標「何か寝る前とかにお腹とか空きそうね。お粥消化にいいから」
黄泉川「……ところで桔梗はなんでうどんなんか食べてるじゃん? 腹減りすぎて我慢できなかったのか?」
芳川「いえね。これもともと彼のお昼ご飯のために作ったものなのだけど、結局食べてもらえなくてね」
芳川「このまま捨てるのももったいないから、こうやって自分で食べているってわけ」
黄泉川「へー、それ食べて大丈夫じゃん?」
芳川「冷蔵庫で保存してたから問題ないわ。まあ、味は半減してるけどね」
芳川「そういうわけだから、私の夕食少なめで」
黄泉川「へいへい。じゃ、ぱぱっと作るから待っててくれ」
「「はーい」」
―――
――
―
310 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/24(金) 20:20:43.99 ID:WSQjvE0To
同日 19:00
-黄泉川家・一方通行の部屋-
一方通行「……Zzz」
コンコン、ガチャ
結標「……一方通行? 起きてる?」
一方通行「……Zzz」
結標「まあ、起きてるわけないわよね」
一方通行「……Zzz」
結標「……ほんと、寝てるときの表情だけは穏やかよねコイツ。いつもは常に眉間にシワが寄ってて敵意むき出しって感じなのに」
一方通行「……Zzz」
結標「熱はどうなのかしら……よっと」スッ
一方通行「……Zzz」
結標「うーん、私と同じかちょっと温かいくらいだから、たぶん下がってきてるってことよね」
一方通行「……Zzz」
結標「…………」
結標(……ねえ一方通行? 私ね、すごくすごく心配したのよ。貴方が知る由もなかったでしょうけど)
結標(今日、私は学校に行ったのだけど、学校で何があったかまったく覚えてないわ)
結標(登下校で見た景色も、授業で先生が話していたことも、休み時間みんなと喋った内容も、お昼に食べたお弁当の中身も)
結標(全然頭の中には残っていないわ)
結標(……それは当たり前ね。だって何をしてても、貴方のことだけ考えていたから)
結標(きちんとゆっくり寝られているかしら? お薬はちゃんと飲んでいるのかしら? 症状が悪化していないかしら?)
結標(ずっとそんなことばかり考えていた気がする)
結標(だから、家に帰って普通に立ち歩いている貴方に出会えて安心した。嬉しかった)
結標(……ほんと馬鹿みたい。ただの風邪なのにそんな心配事なんてしちゃってね)
結標(でも、そんなことを思えるってことは、やっぱり私は――)
311 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/24(金) 20:22:00.83 ID:WSQjvE0To
結標「――私は、貴方のことが、一方通行のことが好きってこと、なのよね」
312 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/24(金) 20:23:04.60 ID:WSQjvE0To
一方通行「…………」
結標(……ってあれ? 私さっき声に出してた!? 嘘!? 一方通行起きてないわよね!?)
一方通行「…………Zzz」
結標(ほっ、よかった。あんなの聞かれたら恥ずかしすぎて三日間は部屋に引き込もれる自信があるわ……)
結標(……しかし情けない話よね。面と向かって言おうとしても全然言えなかったっていうのに)
結標(相手が寝てたらこんなにすんなり言えちゃうなんて)
結標(何やってんだろ私……)
結標「……はぁ」
コンコン!
打ち止め「アワキお姉ちゃんいるー? 晩ごはんの準備できたよー、ってミサカはミサカは報告してみる」
結標「あっ、ご飯できたんだ」
結標「さて、じゃあ私は行きますか。じゃあね一方通行」
ガチャ
一方通行「…………Zzz」
―――
――
―
313 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/24(金) 20:24:47.82 ID:WSQjvE0To
March Forth Tuesday 07:00
-黄泉川家・結標淡希の部屋-
ピピピピ! ピピピピ!
結標「…………ん」スッ
ピッ!
結標「…………朝か」
結標「…………」ボッー
結標「……起きよ」
ガチャ
-黄泉川家・リビング-
結標「……おはようございます」
黄泉川「淡希おはようじゃん」
芳川「おはよう」
結標「……はぁ、とりあえず今日の修了式が終われば春休みね」
芳川「あらそうなの? もう二年生になるのね、早いわ」
結標「本当は三年生でこれから受験、って歳なんですけどね。あはは、どうしてこうなった……」
黄泉川「ま、なっちゃったもんはしょうがないし、その状況をめいいっぱい楽しめばいいじゃん」
結標「まあ、一年七組のみんなは良い人ばっかりでよかったとは思いますけどね」
芳川「でも二年生になると魔のクラス替えがあるわよ? 仲良かったメンバー全員と離れるなんてことも」
結標「うっ、それはたしかにつらい……」
芳川「特に中二病で陰キャな一方通行クンにとっても怖いイベントよね」
結標「あはは、そうですね。ところで一方通行の風邪は治ったんですか?」
黄泉川「ああ、熱も下がってたし顔色もよかったし大丈夫だと思うじゃん」
芳川「無茶してぶり返さないかだけが心配だけどね」クスッ
結標「そうなんですか。よかった……で、その一方通行はどこですか? まさかまだ部屋で寝てるんじゃ……?」
黄泉川「ああ、一方通行なら何か今日日直だっつって、先に学校へ行ったぞ」
結標「……えっ?」
芳川「たしかに驚くわよね。あの子が日直なんてものに真面目に取り組んでるなんて」
黄泉川「真面目にやってくれているならいいことじゃん。まあたしかに、こんな時間から行ってまでするほどの仕事なんて日直にはないと思うけどな」
芳川「たぶんあれよ。きっと早く行って終わらせて、机に突っ伏して睡眠の続きをやっているに違いないわ」
黄泉川「あー、ありえるじゃんね。てか、机で寝るのは身体に悪いから保健室のベッド借りればいいのに」
芳川「そこツッコむところかしら? ……ん? 淡希どうしたの? 急に黙って」
結標「……いえ、ちょっと疑問がありまして」
黄泉川「何じゃん?」
結標「……一方通行って今日、日直だったっけ?」
――――――
314 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/09/24(金) 20:27:22.12 ID:WSQjvE0To
次回からまた長編に入るらしい
次回『春休み』
315 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/01(金) 20:16:06.68 ID:H/mwOrQ9o
今回からワンクール日常アニメにありがちな終盤のギスギスみたいなのあるからうんちやね
投下
316 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/01(金) 20:17:02.37 ID:H/mwOrQ9o
14.春休み
March Forth Tuesday 08:30
-とある高校・一年七組教室-
ガラララ
吹寄「あっ、結標さんおはよう」
姫神「おはよう」
結標「おはよう。ねえ、一方通行いる?」
吹寄「えっ、アクセラ? 見てないけど」
姫神「アクセラ君。風邪治ったんだ。よかった」
結標「……おかしいわね。何か今日日直だから、って言って先に学校に行ったらしいんだけど」
吹寄「それはないわよ、だって今日の日直はあたしだし。何ならこの教室に最初に来たのもあたしだし」
結標「そうなんだ。何か妙ね……」
姫神「そもそもアクセラ君。日直だからって学校に早く来たことないよね」
結標「うん。一体どういうことなのかしら? なら一方通行は今どこにいるのよ?」
吹寄「電話してみればいいんじゃないかしら?」
結標「それもそうね。じゃあ――」スッ
キーンコーンカーンコーン
ガララ
小萌「はーい、朝のホームルームの時間ですよー。みなさん座っちゃってくださーい!」
結標「あっ、しまった。先生来ちゃった……」
姫神「まあ。ホームルームと修了式の間に。ちょっとだけ時間がある」
吹寄「まったく。最後の最後の日にサボろうなんてことないでしょうね」
317 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/01(金) 20:17:44.52 ID:H/mwOrQ9o
小萌「――ちゃん。アクセラちゃん……今日もアクセラちゃんはお休みですかー?」
結標「いえ、学校には行くってウチを出たみたいなんですけど、まだ学校には来てないみたいで……」
小萌「はえーそうなんですか。それはちょっと心配ですね……なにか事故とかに巻き込まれてなければ良いんですが」
結標「先生。HR中ですけどちょっと電話してみてもいいですか?」
小萌「……そうですね。お願いします結標ちゃん」
結標「じゃあ――」
ガラララ
一方通行「…………」ガチャリガチャリ
青ピ「あっ、アクセラちゃん来たで!」
結標「えっ?」
小萌「アクセラちゃん。遅いですよー何かあったのですかー?」
一方通行「悪い。寄り道してたら遅れた」
小萌「そうだったんですか。ダメですよアクセラちゃん。明日から春休みで浮かれる気持ちもわかりますが」
一方通行「ああ」
結標「ちょっと一方通行」
一方通行「……あァ?」
結標「貴方どこに行っていたのよ? 黄泉川さんたちには日直だから先に行くって言ってたみたいだけど、そうじゃないんでしょ?」
一方通行「……別に。ただの野暮用だ。オマエには関係ねェよ」
結標「だったらそう言えばいいじゃない。何で変な嘘なんか……」
一方通行「…………」
結標「?」
―――
――
―
318 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/01(金) 20:20:05.34 ID:H/mwOrQ9o
同日 09:00 〜修了式〜
-とある高校・体育館-
校長『――であるからして』
青ピ(……二次元か三次元か。はたまたゲームかアニメか漫画か小説か妄想か。今日はどれで一発いこうかなー?)
土御門(ふむ、どうにかして舞夏に花見のときのネコミミミニスカメイド服を着させられないだろうか……)
上条(今日の特売はたしか鶏肉だったよな……、こいつは気合い入れねえといけないな)
姫神(……七回目)
結標「…………おかしいわね」
吹寄「(……どうしたの結標さん? いま式中よ?)」ボソッ
結標「(あれを見てちょうだい)」ボソッ
吹寄「?」
一方通行「…………」
吹寄「(……アクセラがどうかしたの?)」
結標「(……寝てないのよ)」
吹寄「(……えっ、なんて?)」
結標「(校長先生の話の途中だっていうのに……寝てないのよ、アイツ)」
吹寄「(……いや、別にそれ普通じゃない?)」
結標「(おかしいわよ。だって、アイツ校長先生が話してるとき、寝てなかったことなかったのよ?)」
吹寄「(言われてみれば、いつも黄泉川先生に起こされていた気がするわね)」
結標「(でしょ?)」
吹寄「(まあ、普通は起きてるものだから、そういう日もあるってことでいいんじゃないかしら?)」
結標「(……ふむ。でもやっぱりおかしいわよね)」
吹寄「(しかし、そんなこと気付けるってことは結標さん、あなたこういうときはいっつもアクセラのこと見てるってことよね?)」ニヤリ
結標「(えっ、そ、そんなこと……)」
吹寄「(だって寝てなかったことないって断言したってことは、そういうことでしょ?)」
結標「(べ、別に私はいっつも黄泉川さんに怒られてるなぁって思って見てただけで、特にそんな――)」
黄泉川「結標、吹寄。随分と楽しそうになに話しているじゃん?」ニコニコ
結標・吹寄「……あ」
黄泉川「校長先生のありがたーい話の途中なんだから、ちゃーんと聴いとかないといけないじゃんよ?」ニコニコ
結標・吹寄「……す、すみません」
校長『――であるからして』
一方通行「…………」
―――
――
―
319 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/01(金) 20:21:38.15 ID:H/mwOrQ9o
同日 12:20 〜四時間目LHR〜
-とある高校・一年七組教室-
小萌「――というわけで、明日から春休みですがみなさんあまり羽目を外し過ぎないように注意してくださいね」
小萌「そして何より、怪我なく病気なく健康面にも気をつけてください」
小萌「新学期に、二年生になったみんなの元気な姿をまた見せてほしいのですー」
小萌「……それでは――」
青ピ「一年七組!! 起立!!」
ガタッ!ガタッ!ガタッ!ガタッ!ガタッ!ガタッ!ガタッ!
小萌「ふにゃっ!? な、なんです突然ー?」
女子委員長「小萌先生! 一年間ありがとうございました!」
クラス一同「ありがとうございました!!」
青ピ「小萌センセと、この一年七組のみんなとワイワイできた一年間、ほんま最高やったで!」
<うおおおおお一年七組最高おおおお!! <小萌先生、くそお世話になりました!! <FOOOOOOOOOOOOOOOO!!
小萌「……ふえぇ、みなさん大げさですよー、まだ一年生が終わっただけなんですよ? なのに、そんな、ぐすん」
320 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/01(金) 20:22:18.55 ID:H/mwOrQ9o
ワイワイガヤガヤ
結標「さて、帰りますか。お昼どうする?」
一方通行「……何でもイイだろ」
結標「相変わらずの返答ね」
青ピ「アクセラちゃんに姉さん! これから春休みの打ち合わせも兼ねてファミレスで昼どーや?」
結標「あらいいわね。じゃあ行きましょうか」
一方通行「……春休みの打ち合わせ?」
結標「ああ、昨日みんなで話してたのよ。春休みどこか一緒に遊びに行こうって。まあ、私は昨日なに話してたかはあんまり覚えてないんだけど」
一方通行「……そォかよ」
青ピ「もっちろんアクセラちゃんも行くやろ?」
一方通行「どォせ行かねェっつっても、あれこれ抜かして無理やり連れてくつもりなンだろォがよォ。面倒臭せェが行ってやるよ」
結標「素直じゃないわねほんと」
一方通行「…………」
結標「……あれ?」
青ピ「みんな姉さんらも行くってー! ほな、ファミレスにレッツゴー、なので!」
上条「変な語尾付けんな気持ち悪りぃ」
吹寄「打ち合わせするのはいいけど、ちゃんとどこ行きたいかとか決めてきたんでしょうね?」
土御門「それはファミレス行ってからのお楽しみだにゃー」
姫神「随分ともったいぶるね」
一方通行「…………」
結標「ほら、一方通行。私たちも行きましょ?」
一方通行「……ああ」
結標「……一方通行?」
一方通行「……何だ?」
結標「えっと……いや、何でもないわ。気にしないで」
一方通行「……ああ」
―――
――
―
321 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/01(金) 20:23:08.64 ID:H/mwOrQ9o
同日 12:40
-第七学区・とあるファミレス-
青ピ「――というわけで、春休みに『スターランドパーク』に行くことが決定しました!! どんどんぱふぱふー!!」
吹寄「ちょっと待ちなさい! 決定しましたってどういうことよ?」
土御門「ああ、それはこういうことだぜい」スッ
姫神「これは?」
土御門「スターランドパークの入場券。とあるルートで入手したものだぜい」
上条「うさんくせーな。本当に正規品かこれ?」
吹寄「なるほどね。この券が手に入ったからみんなで行きましょう、ってこと」
土御門「そうそう。しかもなんと一〇枚もありまーす!」
姫神「なんでそんな大量に……」
土御門「いや、一口一〇枚だったからにゃー。まあ、人数分足りるしセーフってことで」
青ピ「さすがはつっちーやで! 褒めて使わす!」
上条「褒め方が偉そうだな」
結標「スターランドパークってあの大きな遊園地よね? オープン日に行ったのが懐かしく感じるわ」
姫神「結標さんも初日のナイトパレード。見に行ってたんだ」
上条「あっ、それ俺も行ったぜ。まあ、追っかけ回された記憶ばっかでパレード全然覚えてないんだけどな……」
土御門「なんだ。結構行ったことあるやつ多いのかにゃー」
結標「しかし、楽しみね。一回行ったけど広すぎて全部は回れなかったのよね」
姫神「アトラクションだけでも一五〇種類あるのだから。一日で回るのは不可能」
吹寄「すごい数ね……一日どころか一週間でも無理そう」
青ピ「ある程度的を絞っていけば効率よく回れそうやな。ボクらは絶叫度レベル5のアトラクションはしごしまくるでー!」
上条「げっ、マジかよ? 俺ジェットコースターのやつ乗ったけど死ぬかと思ったぞマジで」
土御門「なにを言っているんだカミやん。死ぬほどじゃないと面白くないぜよ」
結標「ふふっ、そういえば一方通行って絶叫マシンダメなのよね」
姫神「それは意外」
吹寄「能力で音速飛行しまくってるのに、今さら絶叫マシン程度でなにが怖いというのか……」
青ピ「えっ!? アクセラちゃんって絶叫マシンあかんの!? あはははははっアックセラちゃんこっどもっー!」
上条(あっ、これいつもの流れだ)
322 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/01(金) 20:23:43.52 ID:H/mwOrQ9o
一方通行「…………」ボォー
青ピ「こっどもーこっどもー! ……あれ? ベクトルツッコミがない……だと……?」
土御門「なんだと!? これは一体どういうことだ!?」
吹寄「あなたたちの馬鹿さ加減に愛想つかしたってことでしょ? 毎度毎度いい加減飽きるでしょ」
上条「おい一方通行? おーい一方通行?」
一方通行「…………!? お、おォ、何だよ?」ビクッ
姫神「どうしたのアクセラ君。ぼーと窓の外なんか眺めて。なにかあるの?」
一方通行「いや、別に何でもねェよ。ただ何となく外眺めてただけだ」
吹寄「もしかして昨日の風邪まだ残ってる感じ? 早く帰って休んだほうがいいんじゃない?」
土御門「なるほど。病み上がりだから青髪ピアスのしょうもない煽りにも反応しなかったんだにゃー」
一方通行「別にそォいうわけじゃねェ。チカラ使ってきっちり滅菌したから万全のはずだ」
上条「どんなベクトル操ったら風邪のウイルスが全滅すんだよ……」
青ピ「ほーん、そうとわかったらリピートぅ! アクセラちゃん絶叫マシン怖いってこっどもー! ……ほら、ほら、ツッコミカモンカモン!」
一方通行「そンな見え見えの挑発のるかよドM野郎かオマエは? つゥか、絶叫マシンなンて怖くねェ」
姫神「でも。結標さんが言ってたよ。絶叫マシン苦手だって」
一方通行「……また適当なこと抜かしやがって」
結標「あはは、ごめんごめん……ん?」
結標(あれ? そういえば……)
青ピ「まあ、そろそろ本題に戻しましょか。次にスターランドパークへいつ行くかやけど――」
ワイワイガヤガヤ
結標(一方通行、頼んだコーヒー、さっきから全然飲んでない……?)
一方通行「…………」ボォー
―――
――
―
323 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/01(金) 20:24:31.41 ID:H/mwOrQ9o
同日 13:00
-ファミリーサイド・従犬部隊オフィス-
数多「…………あー、なんか面白れェことねえかなー」ボー
円周「はい。こちらが平日の昼間からダラダラしてるダメ人間さんです。よいこのみんなはこんな大人にならないように気をつけようねー」
打ち止め「はーい! ってミサカはミサカは挙手してみる」ノ
数多「あ? 誰がダメ人間だって?」
円周「平日の昼間から面白いことないかなーってぼーっとしてるおっさんが、ダメ人間じゃないわけないよね」
数多「何言ってんだお前。俺は今絶賛仕事中だぜ? 次の仕事が来るまで待機っつー仕事をよ」
打ち止め「ちなみに次の仕事っていつくるの? ってミサカはミサカは好奇心のままたずねてみたり」
数多「あー、あれだよあれ。五分後かもしれねえし、はたまた明日かもしれねーし」
円周「仕事なくてサボってるだけだね。社内ニートってやつだよ」
数多「潰すぞクソガキ」
打ち止め「でも部下の人たちは今も忙しそうにしてるっていうのに、キハラは暇なんだね、ってミサカはミサカは社員のみんなを見ながら言ってみる」
ヴェーラ「ちょっとオーソン! この伝票領収証付いてないわよ! 早く出して!」
オーソン「あっ、悪い! 今から運びの仕事だからまた今度でいい?」タッタッタ
ヴェーラ「いますぐもってこい!!」
ナンシー「……ああっ!? あと少しで終わりだった資料を保存せずに閉じちゃった!? 私の三日間返して……」
マイク「いや、三日間もやってて何で途中保存してないんだよ……って言ってる場合じゃねえ、早く出ねえと」スタスタ
数多「まー、俺はここの社長だからな。席で踏ん反り返るのが仕事みたいなもんだろ」
円周「暇人おじさんが開き直っちゃったよ」
打ち止め「だめだこりゃ、ってミサカはミサカは呆れながらお手上げポーズしてみたり」
数多「そもそもお前らの遊びに付き合ってやってんだから十分だろ。保育も立派な仕事だ」
打ち止め「ええっー? うっそだー、いっつもゲーム一緒にやろうって言ったら忙しいとか言って逃げるくせに、ってミサカはミサカは反論してみる」
円周「これは育児放棄だね。出るとこ出るよ」
324 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/01(金) 20:25:16.87 ID:H/mwOrQ9o
数多「……よーし、じゃあこれから鬼ごっこだ。一秒数えるからその間に逃げろ。捕まったヤツには罰ゲームとして木原百裂拳脳天に食らわせてやるよ」ゴキゴキ
打ち止め「ヴぇっ!? こ、これはまずい! ってミサカはミサカは全力で逃走を図ってみたり!」ダッ
円周「うんうん、わかってるよ数多おじさん。『木原』なら逃走する前にトラップを仕掛けて追跡を振り切る確率を上げるものだよね」スッ
数多「はい、いぃぃち! 覚悟しやがれクソガキども――」
ピピピピッ! ピピピピピッ!
数多「あん? はい、木原だ」
打ち止め「おっ、なんか電話に出たよ。もしかしたら死の鬼ごっこ中止になるかも、ってミサカはミサカは希望的観測をしてみたり」
円周「うーん、せっかく地雷仕掛けたのに。足が吹き飛んで無様に地面を這いつくばる数多おじさんっていう、面白いものが見られると思ったのになあ」
打ち止め「うえぇー、そんなの見たくないから今すぐそれ撤去してよ、ってミサカはミサカはグロテスクな光景を想像したことに後悔を覚えたり」
数多「――ああ。ああ。はい、りょーかい。じゃ、そういうことで」ピッ
円周「何の電話だったの?」
数多「新しい仕事の電話だ。残念だったなクソガキども。テメェらと遊ぶ暇が消えちまった」
打ち止め「仕事ってどんな仕事なの? ってミサカはミサカは聞いてみる」
数多「あー、あれだ。泥臭いクソみてえな裏の仕事じゃなくて、表の世界を盛り上げるエンターテイナーみてぇな仕事だな」
打ち止め「?」
数多「おいヴェーラ!」
ヴェーラ「はい!」
数多「全社員に通達しろ」
数多「明日から死ぬほど忙しくなるぜ、ってな」ニヤリ
―――
――
―
325 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/01(金) 20:25:56.84 ID:H/mwOrQ9o
同日 14:00
-第七学区・通学路-
結標「…………」テクテク
一方通行「…………」ガチャリガチャリ
結標「……ねえ、一方通行?」
一方通行「……あァ?」
結標「やっぱり、昨日の風邪ちょっと残ってるんじゃない?」
一方通行「……どォしてそォ思う?」
結標「いや、何ていうか、今日の貴方何か変よ?」
一方通行「……変?」
結標「うん。何か全然居眠りとかもしてないし、かと思ったらぼーっとしてるし、コーヒーも全然飲んでないし」
一方通行「……オマエがいつも俺のことをどォ思ってンのかがよォくわかった」
結標「それに何か喋り方に違和感があるわ。勢いがないというか……」
一方通行「……いつもこンなモンだろ」
結標「いや、絶対違うわよ。伊達に貴方と毎日一緒にいるわけじゃないわ」
一方通行「……そォかよ」
結標「家に着いたらすぐ休んだほうがいいんじゃない? って、私が言うまでもなくすぐに寝ちゃうんでしょうけどね」
一方通行「……だろうな」
結標「そういえば久しぶりに風斬さんに会えるかもしれないのね。楽しみだわ」
一方通行「……風斬? どォいうことだ」
結標「ぼーっとしてたから貴方は知らないでしょうけど、春休みにスターランドパークへみんなで行くってことになって、それで風斬さんも誘おうって話になったのよ」
一方通行「……スターランドパーク? ……ああ、そォいうことか。だから遊園地の話してたのか」
結標「本当に全然話聞いてなかったのね」
一方通行「……で、何で風斬を呼ぶことになってンだ?」
結標「土御門君が用意したスターランドパークのチケットが一〇枚あって、私たちで七枚使うってことは三枚余るでしょ?」
一方通行「……何で一〇枚も用意してンだよ」
結標「さあ? 何か一セット一〇枚だったらしいわよ? まあ、それで余った三枚は打ち止めちゃんとインデックス、それで風斬さんも誘おうってことになったのよ」
一方通行「…………」
326 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/01(金) 20:26:33.38 ID:H/mwOrQ9o
結標「スキー旅行のとき以来か……来てくれると嬉しいわね」
一方通行「……そォだな」
結標「やっぱり今日の貴方は変ね。素直に同意してくれるなんて」
一方通行「……別にイイだろ」
結標「……はっ!? もしかして貴方、風斬さんのことが……!?」
一方通行「ンなわけねェだろ。馬鹿言ってンなよ」
結標「そ、そうよね。あはは、ごめんごめん」
一方通行「…………」
結標「そうだ。貴方どうせ話聞いてなかっただろうから言っておくけど、スターランドパークに行く日は明日よ? 朝八時に駅集合。忘れないでよ?」
一方通行「……わかった」
結標「本当にわかったんでしょうね? ちゃんと聞いてるわよね?」
一方通行「……チッ、明日の朝八時だろ? うるせェな」
結標「はい、よろしい」ニコッ
一方通行「……はァ」
結標「なによそのため息?」
一方通行「……何でもねェ」
結標「あっ、あとちゃんと風邪治しときなさいよ? 遊ぶ当日までそんな感じだったら嫌よ? 何か調子狂うわ」
一方通行「……ああ。俺もそォ思うよ」
―――
――
―
327 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/01(金) 20:27:16.42 ID:H/mwOrQ9o
同日 14:30
-ファミリーサイド・十三階廊下-
ピンポーン
ガチャリ
ヴェーラ「はい……あっ、黄泉川さんのところの」
結標「いつもお世話になってます。打ち止めちゃん迎えに来ました」
一方通行「…………」
ヴェーラ「打ち止めちゃーん! 迎えが来たわよー!」
ドタドタドタ!
打ち止め「オイース! おかえりなさい二人とも、ってミサカはミサカは元気いっぱいに駆け寄ってみたり」トテチテ
一方通行「少しは静かにできねェのかクソガキ」
打ち止め「元気こそミサカのアイデンティティーだからこればかりはどうしようもないね、ってミサカはミサカは断言してみる」
一方通行「そォかよ」
結標「それじゃあ、明日からは私たち春休みなんで、二週間くらいはこっちで打ち止めちゃんの面倒見ますから」
ヴェーラ「はい、聞いています」
結標「ではお世話になりました」
打ち止め「ましたー! ってミサカはミサカは簡略化して復唱してみたり」
328 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/01(金) 20:27:55.07 ID:H/mwOrQ9o
-黄泉川家・リビング-
打ち止め「ええっー!? 春休みにみんなでスターランドパークに行く!? 行く行く行きたい行きたい!! ってミサカはミサカは歓喜の声を上げてみたり」
一方通行「うるせェ」
結標「あはは、打ち止めちゃんならそう言うと思ったわ」
打ち止め「で、スターランドパークにはいつ行くの? ってミサカはミサカはウキウキ気分でたずねてみたり」
結標「明日よ。別に予定とかないでしょ?」
打ち止め「えらく急だね、うん大丈夫だよ! エンシュウとは一週間くらい会えないからね。暇を持て余しまくってるぜ、ってミサカはミサカは得意げに言ってみたり」
結標「円周ちゃんどうかしたの? 一週間って結構長いわよね?」
打ち止め「何かキハラたちの会社で出張の仕事が入ったみたいで、それが一週間くらいかかるみたい、ってミサカはミサカは人差し指を立てて説明してみる」
結標「なるほどね。それに円周ちゃんも付いていくってことか」
打ち止め「そうそう」
結標「一週間の出張って一体どんな仕事なんでしょうね?」
打ち止め「さあ? 何かエンターテイナーとかなんとか言ってたよ、ってミサカはミサカはあのときの言葉を思い出してみたり」
一方通行「どォせくだらねェ仕事だろ。考えるだけ時間が無駄だ」ゴロン
打ち止め「家に帰って真っ先にソファに寝転ぶなんて相変わらずだね。たまにはミサカと遊んだらどうだあ! ってミサカはミサカは文句垂れてみたり」
結標「あっ、打ち止めちゃんごめんね。一方通行昨日の風邪がまだちょっと残ってるみたいだから、そっとしといてあげて」
打ち止め「……へー、風邪、か。それはたしかにそっとしといたほうが良さそうだね、ってミサカはミサカは優しく見守ることを決意してみたり」
一方通行「うっとォしいこと決意すンな。余計なことすンじゃねェぞ」
打ち止め「はーい、ってミサカはミサカは軽く返事をしてみる」
一方通行「…………」
―――
――
―
329 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/01(金) 20:29:30.17 ID:H/mwOrQ9o
同日 17:00
打ち止め「――あっ、もう五時だ! 超機動少女カナミン(マジカルパワードカナミン)の再放送が始まる時間だぜ、ってミサカはミサカはテレビのリモコンのスイッチを押してみたり」ピッ
テレビ<チャーチャチャチャチャー♪ タタター♪
打ち止め「このオープニング見てると花見でインデックスがコスプレしてたの思い出すなぁ。ミサカもコスプレしてみたいなぁ、ってミサカはミサカは一人で勝手に願望を吐露してみたり」
ガチャ
芳川「ただいま」
打ち止め「おかえりー、ってミサカはミサカはテレビの画面を凝視しながら挨拶してみる」
芳川「あら、二人してテレビ鑑賞? 随分と仲良しなのね」
打ち止め「えっ、二人?」チラッ
一方通行「…………」ボー
打ち止め「……あれ? あなた寝たんじゃなかったっけ? ってミサカはミサカは記憶を思い返しながら聞いてみたり」
一方通行「…………」ボー
打ち止め「? おーい、どうかしたの? おーいアクセラレーター、ってミサカはミサカはあなたの目の前で手の平を振ってみたり」
一方通行「…………何か用かクソガキ」
打ち止め「用っていうかあなた風邪で疲れてるから寝たんじゃなかったの? ってミサカはミサカは首を傾げてみる」
一方通行「……ああ、ちょっと考え事してた」
打ち止め「あれから二時間くらい経ってるのに一体何をそんなに考えてるの? ってミサカはミサカは少し興味を持ってみたり」
一方通行「オマエには関係ねェよ」
打ち止め「……ふーん、そう。まあいいや、カナミンの続き観よっと、ってミサカはミサカは視線をテレビへ移してみたり」
一方通行「……チッ」
芳川「一方通行」
一方通行「あン?」
芳川「ほら、缶コーヒーよ。キミならこれ飲めば熟睡できるのでしょ?」スッ
一方通行「……ああ、悪い」スッ
芳川「…………」
一方通行「…………」
芳川「……ん? 飲まないの?」
一方通行「……何か飲む気が起きねェンだよな」
芳川「家にいる時間の九割は睡眠時間、一日に飲む缶コーヒーは二ダース以上のキミがこんなことになるなんて、異常事態ね」
一方通行「そンなに寝てねェし飲ンでもねェよ」
芳川「まあそれは言い過ぎだとしても、キミのメインの欲求二つを満たそうとしてない時点で十分おかしいわね。さっきあの子は風邪とか言ってたけど、もしかしたら別の病気とかにかかってたりして」
一方通行「……それこそ言い過ぎだな。俺は至って健康体だ」
芳川「それ、仮に万全のキミが言ったとしてもギャグにしか聞こえないわよね?」
一方通行「解体されてェかクソババァ」
―――
――
―
330 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/01(金) 20:30:04.48 ID:H/mwOrQ9o
同日 19:00
一方通行「…………」ボッー
黄泉川「――おおーい、一方通行? 晩御飯の時間じゃんよ」
一方通行「…………」ボッー
黄泉川「おーい」
一方通行「…………」ボッー
黄泉川「…………」
ゴッ
一方通行「痛ェ!? 何しやがる黄泉川ァ!?」
黄泉川「なーにぼーっとしてるじゃんよ。晩御飯できてるって言ってるじゃん」
一方通行「チッ、だったら口で伝えりゃイイだろォが」
黄泉川「口で言っても聞かなかったから、拳で語ってやっただけじゃん♪」
一方通行「そォかよ、悪かったな」
-黄泉川家・食卓-
結標「あっ、やっと起きたのね一方通行」
打ち止め「うーん、まあ起きるのは起きてたんだけどね、ってミサカはミサカは訂正してみる」
結標「どういうこと?」
打ち止め「何かずっとテレビとか窓の外とか部屋の隅のなにもないところとか見ながら、今までずっとぼーっとしてたよ、ってミサカはミサカは事細かく説明してみる」
結標「風邪治せって言ったのに何やってるのよ」
一方通行「……言っただろォが。風邪はもォ完璧に治ってる」
結標「そういう風に見えないから治せって言ったのよ」
一方通行「…………」
黄泉川「はい、そんな調子の悪そうな一方通行には特別メニューを作って上げたじゃん♪」
一方通行「特別メニューだァ?」
黄泉川「おう」カチャ
大皿一杯のサラダ『盛るぜぇー超盛るぜぇー!』
一方通行「……オイオイ、何だこの雑草の山はァ?」
黄泉川「野菜は身体の調子を整えるじゃん。さらに今日の晩御飯のメニューはトンカツ! 豚肉も身体の疲労を回復してくれる優れものじゃんよ」
一方通行「だったら豚肉だけでイイだろォが!」
黄泉川「一方通行」
一方通行「あァ?」
黄泉川「栄養バランスは大事じゃん♪」
一方通行「絶対ェバランスおかしいだろこのメニュー!?」
331 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/01(金) 20:30:52.18 ID:H/mwOrQ9o
黄泉川「へー、明日スターランドパーク行くのか。いいじゃんいいじゃん楽しんできな」
結標「はい」
芳川「春休み真っ只中だから人が多そうね」
結標「ですね。まあそれはどうしようもないから割り切ってます」
打ち止め「イエーイ!! 今から楽しみで夜も眠れなくなりそうだぜ、ってミサカはミサカは興奮を抑えきれなくなってみたり!」
黄泉川「食事中に騒ぐんじゃないじゃん」
打ち止め「ごめんなさい、ってミサカはミサカは行儀よく座り直してみる」
黄泉川「しかし、そんな楽しいイベントがあるならなおさら身体の調子取り戻さないとな。なあ一方通行?」
一方通行「…………」ボッー
打ち止め「あっ、食事中なのにまたぼーってしてる、ってミサカはミサカは少し驚いてみる」
黄泉川「おい一方通行。そんなぼーっとしてたらご飯冷めちゃうじゃんよ」
一方通行「……ああ、悪りィ」
芳川「大方、目の前にある野菜の山から現実逃避していたのでしょうけど、いくら時間を潰しても食べない限りなくならないわよ、それ」
一方通行「チッ、わかってンだよそれくらい……おェ、不味っ」モシャモシャ
打ち止め「がんばえー、って言いつつもミサカも頑張って自分の分のサラダ食べなきゃ……ってミサカはミサカはたじろぎながらも応援してみたり」モシャモシャ
結標「…………」
芳川「どうかした淡希?」
結標「いえ、大丈夫かなって」
芳川「彼のこと? たしかにちょっと様子はおかしいけど、そんな心配するほどじゃないとは思うけどね」
結標「……そうですね。まだぼーっとしてるけど下校してるときよりはハキハキ喋ってる気がするし、よくなってますよね、たぶん」
芳川「そんなに変だったの? 下校中」
結標「はい、喋り方が変っていうか、勢いがないと言うか」
芳川「……ちなみにそのときって二人きりのとき?」
結標「そうですけど、それがどうかしましたか?」
芳川「いえ、なんとなく聞いただけよ……ふーん」
結標「?」
一方通行「ぜェ、ぜェ、クソがっ、やっと半分かよ……おェ」
黄泉川「なんならおかわりもあるぞ?」
一方通行「いるかッ!!」
―――
――
―
332 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/01(金) 20:31:38.60 ID:H/mwOrQ9o
同日 21:00
-黄泉川家・リビング-
テレビ<ギャハハハハハハ!! <チンサキニギガデインナンヨ!!
一方通行「…………」ボッー
ガララ
結標「一方通行、お風呂空いたわよ?」
一方通行「…………」ボッー
結標「またぼーってしてる……ちょっと一方通行? 一方通行ぁ!」
一方通行「……何だようるせェな」
結標「貴方がぼーってしているのが悪いんでしょ。お風呂空いたわよ」
一方通行「……わかった」
結標「……あっ、上条君から連絡来てる! 風斬さん来られるって!」
一方通行「……そォか」
結標「もうちょっとテンション上げてくれると私も報告したかいがあったのだけど」
一方通行「……別にイイだろ」
結標「というかまたその変な喋り方に戻ってるわよ? 一体どうしたっていうのよ今日の貴方は?」
一方通行「……さァな」
結標「早くお風呂入って温まってからゆっくり寝なさいよ」
一方通行「……ああ。そォさせてもらう」ガチャリガチャリ
ガチャ
結標「……もう、本当に大丈夫なんでしょうね明日」
結標「あんな状態で一緒に遊園地回ったって全然楽しくないわ」
結標「まあ、さすがに明日になったらもとに戻ってる、わよね?」
しかし、そんな彼女の希望も虚しく当日も一方通行はあんな感じなのだった。
――――――
333 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/01(金) 20:33:33.67 ID:H/mwOrQ9o
なんで昔のワイは一方さんに絶叫マシン駄目設定なんてつけたんや……?
次回『スターランドパーク、再び』
334 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:27:12.91 ID:oCYJ/As4o
ここまで読んだ人がいれば分かると思うけど過去のネタの使いまわしばっか
投下
335 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:28:03.64 ID:oCYJ/As4o
15.スターランドパーク、再び
March Forth Wednesday 08:00
-第七学区・地下鉄駅前-
結標「あっ、みんなおはよー!」テクテク
打ち止め「おっはよー!! ってミサカはミサカは飛び跳ねてみたり」ピョンピョン
一方通行「……朝っぱらからうるせェ」ガチャリガチャリ
吹寄「三人ともおはよっ」
姫神「おはよう」
青ピ「おっ、姉さんらが来たってことはビリはカミやん組で確定やな」
土御門「ま、それはわかってたことだからにゃー、賭けにもならないぜよ」
結標「やっぱり上条君たちはまだ来てないのね」
姫神「まあ。今回は風斬さんも連れてこないといけないから。しょうがないと言ったらしょうがない」
吹寄「姫神さん甘いわよ。いつもと違うことがあるのなら、それを踏まえて早く行動しなきゃいけないのよ?」
土御門「カミやんにはその言葉、何百何千言ったところでまったく聞かないと思うけどにゃー」
青ピ「すだれに腕押しってやつやな」
姫神「それを言うなら。のれんに腕押し」
上条「うおおおおおおおおおおおっ!!」タタタタタ
禁書「とうまー! だから走るの速いんだよ! ひょうかもいるんだからもっとゆっくり走ってよ!」ドタドタ
風斬「インデックス。私は大丈夫だから、ね?」タッタッタ
打ち止め「あっ、ヒーローさんたち来たよ! ってミサカはミサカは報告してみる」
吹寄「遅いっ!」キッ
上条「ひいぃ!? さ、三分くらいなら誤差なのでは……?」
吹寄「三分だろうが三秒だろうが遅刻は遅刻よ!」
青ピ「おっ、いつもの説教始まった始まった」
土御門「三分で済んだのがこっちからしたらラッキーみたいなもんだにゃー」
336 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:28:56.35 ID:oCYJ/As4o
一方通行「…………」
禁書「おはようあくせられーた。……えっと、何かちょっと元気ない?」
一方通行「そォかもな。オマエは相変わらずアホ面でのんきそォにしてて羨ましいこった」
禁書「むぅ、元気はなくても悪口はいつもどおりなんだよ」
打ち止め「この人の口の悪さには困ったものですなぁ、ってミサカはミサカはため息交じりに呆れてみたり」
一方通行「泣かされてェのかクソガキども」
風斬「……、あの。えっと、ど、どうも」
一方通行「……おォ」
『あなたが思ってる以上に『化け物』かもしれませんよ?』
一方通行「…………」
風斬「え、えっと。その、私の顔に、なにか付いてるでしょうか?」
一方通行「……いや、何でもねェ」
風斬「…………」
結標「? 二人して黙って見つめ合ってなにやってるのかしら?」ジトー
風斬「!? い、いえ、別に何でもないです」
一方通行「……妙な言い回ししてンじゃねェよ」
結標「それより風斬さん! スキー旅行のとき以来よね、久しぶり!」
風斬「は、はい……、お久しぶりです」
結標「今日はめいいっぱい楽しみましょうね」ニコッ
風斬「……はい!」ニッコリ
一方通行「…………」
337 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:30:13.51 ID:oCYJ/As4o
吹寄「さて、みんな揃ったことだし行きましょうか。スターランドパーク」
青ピ「なんやもう説教終わったんかつまらん」
姫神「電車の時間もあるし。しょうがない」
上条「くそー、なんでこうギリギリ間に合わないんだろうなぁ」
土御門「右手ぶった切ったら間に合うようになるんじゃないかにゃー」
上条「無茶言うなっ!」
打ち止め「ミサカね、実はスターランドパーク二回目なんだー! ってミサカはミサカは自慢気に言ってみる」
禁書「私も行ったことあるんだよ。こもえとあいさと一緒に行ったんだよ」
結標「風斬さんは行ったことあるのかしら?」
風斬「……、な、ないです」
打ち止め「そうなんだ! ふふん、だったらスターランドパーク先輩のミサカがスターランドパークのなんたるかを教えてあげよう、ってミサカはミサカは偉そうに胸を張ってみたり」
風斬「え、えっと、……よ、よろしくね」
禁書「ひょうか! 私も先輩だから聞いても大丈夫かも」
一方通行「……オマエに聞いても食い物のことしかまともに答えられねェだろうな」
禁書「あくせられーた? 見くびらないでほしいかも。ちゃんとあのとき乗った乗り物九種類全部名前言えるんだよ。なんならいま言ってあげてもいいよ?」
一方通行「言われたところで答え知らねェから意味ねェよ」
結標「教えてもらったらいいんじゃない? 貴方、行ったことあるって言っても、ほとんどの時間寝てたから全然アトラクションとか行ってなかったでしょ?」
一方通行「……チッ、うっとォしい」
結標「…………」
結標(……はぁ、やっぱり今日も何か変ね。一体どうしたっていうのよ一方通行?)
―――
――
―
338 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:31:28.34 ID:oCYJ/As4o
同日 08:50
-第六学区・スターランドパーク入口-
ワイワイガヤガヤ
吹寄「……ふむ、やっぱり春休みだけあってすごい人ね」
姫神「まあ。それはわかっていたこと」
上条「開園初日並に人がいる気がするな……」
土御門「レビューサイトとか見るとリピーター率結構高めらしいからにゃー。何度も通っている玄人たちもたくさんいるんだろ」
打ち止め「そうなんだ。ミサカも玄人っていうのになってみたいなぁ、ってミサカはミサカは毎日連れてけアピールを交えながら願望を吐露してみたり」
一方通行「ふざけンなクソガキ」
青ピ「よし、つっちー、カミやん、アクセラちゃん! 我らスクエアフォースは開園早々に『トルネードスクリューコースター』へ突撃するぞ!」
土御門「了解だぜい。絶叫レベルマックスのジェットコースターだ。楽しみだぜい」
上条「げっ、マジで絶叫レベル5ツアーを敢行するつもりなのかよ……」
一方通行「……オイ、何で俺までメンバーに入れられてンだよ?」
青ピ「なにいうとんアクセラちゃん! 我らスクエアフォースは一心同体。せやから絶叫マシンで絶叫するときも常に一緒なんやで」
土御門「そうだぜい。ジェットコースターが脱線してアスファルトに頭から突っ込むときも一心同体だにゃー」
上条「遊園地の目の前でそんな不吉なこと口走るんじゃねえ!」
一方通行「くっだらねェ。行くならオマエら三馬鹿だけで行って来い」
土御門「……なるほど。さてはアクセラちゃんビビってんじゃないかにゃー?」
一方通行「あァ?」
上条「あー、そういや絶叫マシン駄目とかなんとか言ってたもんな」
一方通行「馬鹿言ってンじゃねェよ。怖くねェよそンなモン」
打ち止め「はいはーい! だったら代わりにミサカが行ってあげるよ、ってミサカはミサカは立候補してみたり」
一方通行「クソガキは絶叫レベル1ツアーでもやってろ」
打ち止め「ぶーぶー」
青ピ「……まあええわ。せいぜい女子連中と一緒に生ぬるいアトラクションでキャッキャウフフを楽しむとええでアクセラちゃん」
吹寄「たしかにこっちはそんな絶叫レベル高いやつばかり行くつもりはないけど、なんかその言い方イラってくるわね」ピキピキ
青ピ「ひぃ!? すんません生意気言いました!!」
一方通行「チッ、あいにくだが俺は女子連中とも行くつもりもねェよ」
姫神「だったら。あなたは一体どこに行くつもりなの?」
一方通行「そりゃオマエ、カフェに行ってコーヒー飲みながら閉園時間を待つに決まってンだろ」
結標「今日貴方は何しにここに来たのよ? 駄目よそんなの私が許さないわ」
一方通行「……クソが、俺の勝手だろうが好きにさせろ」
結標「せっかくみんなで来たんだからみんなで楽しまないと。だからそういうの禁止よ」
一方通行「……チッ、わかったよ。うっとォしいヤツだな」
禁書「ひょうかひょうか! ここのカフェのケーキもおいしかったし、ここのレストランのパスタもとってもおいしかったんだよ!」
風斬「へー、そうなんだ」
禁書「あとあと、ここにあるソフトクリームもなかなか――」
上条「お前今日は遊園地に遊びに来たんだぞ? 飯食いに来たわけじゃないぞ?」
禁書「わ、わかってるんだよ! ただ私的におすすめなお昼ごはんやおやつを食べられるスポットを紹介してるだけであって」
上条「まだ開園もしてないのに昼メシやおやつの話してんじゃねえ!」
339 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:33:01.49 ID:oCYJ/As4o
係員「ただいま九時となりました。これより開園します。押さず走らずゲートをお通りください」
青ピ「うおお!! 開いたでえ!! 総員突撃!!」ダダダ
土御門「よっしゃあああああ!!」ダダダ
吹寄「走るなって言ってるのが聞こえてないの!? この馬鹿者ども!!」
姫神「放っておいて。他人のふりをしたほうがいいかもしれない」
上条「俺もそうしとこ」
打ち止め「いよいよ入場かー! みなぎってきたあー! ってミサカはミサカは興奮を抑えきれなくなってみたり」
結標「打ち止めちゃん? 盛り上がっているところ悪いけど、今回はちゃんとチケット持ってるわよね?」
打ち止め「もちろんだよアワキお姉ちゃん。この通り! ってミサカはミサカはチケットを掲げてみる」
ビュウウウウン!!
打ち止め「あっ、チケットが風に飛ばされていっちゃった!? ってミサカはミサカは実況してみたり」
結標「って言ってる場合か!」
パシッ
一方通行「……チッ、手間ァかけさせてンじゃねェよクソガキが」カチッ
打ち止め「あっ、ありがとう! またあなたに助けられちゃったね、ってミサカはミサカは以前のことを思い出してみたり」
結標「まったく。ちゃんと気をつけなさいよ?」
打ち止め「はーい、ってミサカはミサカは敬礼してみる」ビシッ
禁書「わっ、わっ、すごい人かも! ひょうか! はぐれちゃいけないからしっかり付いてきて欲しいかも」
風斬「う、うん」
上条「一番はぐれそうなのはお前だろうが!」
―――
――
―
340 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:34:03.48 ID:oCYJ/As4o
同日 09:10
-スターランドパーク・ゲート前広場-
青ピ「ほな、ボクらはさっき言ったとおり絶叫レベル5めぐりしてくるから、ここで一旦お別れや」
吹寄「わかったわ。なら、一二時くらいにここでまた落ち合いましょうか」
土御門「了解だぜい。じゃ、走れ走れー! 絶叫レベル5は人気アトラクションだにゃー! できる限り列の前の方へ行けるように急ぐんだッ!」ダダダダ
青ピ「うおおおおおお!! デルタフォース突撃ぃいいいいいいい!!」ダダダダ
上条「こんなところで体育のときでも見せたことないような全力疾走してんじゃねえよ!」タッタッタ
吹寄「さて、あたしたちはどうしようかしらね?」
姫神「こういう遊園地で遊ぶ時間で。もっとも割合が多いのは順番待ち。つまり待ち時間が少ないアトラクションを乗っていけば。効率よく数をこなせる」
吹寄「なるほどね。さっき馬鹿どもが言ってたように絶叫レベルが高いやつに人気が集中してるようだから、低めのやつを狙えば良さそうね」
結標「そうね。小さい子もいるしそっちのほうがいいわ」
打ち止め「ミサカは絶叫レベル4でも5でもなんでもオールオッケーだよ、ってミサカはミサカは胸を叩きながら豪語してみたり」
結標「でも前来たときは絶叫レベル3くらいのやつでもボロボロになってたじゃない」
打ち止め「ふふん、ミサカは成長しているんだよ? あのときのミサカとは違うのだ! ってミサカはミサカはレベルアップの効果音を頭の中で鳴らしてみたり」
結標「いや、頭の中じゃ聞こえないわよ」
吹寄「ま、とりあえずレベル3のやつ試しに行ってみて、それから方針を決めれば良いんじゃないかしら?」
姫神「異議はない」
結標「そうね。たしかに二回目だから案外いけちゃうかもしれないしね」
打ち止め「いけちゃうじゃないよ、いけるんだよ! ってミサカはミサカは訂正を求めてみる」
吹寄「インデックスと風斬さんもそれでいい?」
禁書「よくわからないけど良いと思うんだよ」
風斬「よくわからないのに了承したらいけないよ……、あっ、私は大丈夫です、はい」
吹寄「アクセラ、あなたもそれでいいわよね?」
一方通行「…………」ボォー
吹寄「……アクセラ?」
一方通行「……ああ、悪りィ。何だ?」
結標「またぼーっとしてたわね、もうっ」
姫神「とりあえずお試しで。絶叫度レベル3のアトラクション行ってみる。っていう話をしていた」
一方通行「ああ、別にそれで構わねェよ」
禁書「……ねえ、あくせられーた」
一方通行「何だよ?」
禁書「なにか悩み事でもあるのかな?」
一方通行「……どォしてそォ思う?」
禁書「いや、なんとなくだけど」
一方通行「そォか。だったらオマエの勘違いだ。安心しろ」
禁書「そうなんだ。ならいいけど……」
打ち止め「…………」
341 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:35:17.29 ID:oCYJ/As4o
吹寄「さて、そうと決まったらどこに行くか決めましょう」
結標「どんなジャンルに行きたいかよね。ジェットコースター、空中ブランコ、バイキング、ウォーターライドとか」
打ち止め「その中だったらウォーターライドっての乗ったことないから行ってみたい、ってミサカはミサカは挙手して発言してみる」
禁書「うぉーたーらいどってなに?」
吹寄「水路の上を船みたいなもので進んでいくアトラクションよ。ものすごい坂の水路を船が下っていくようなのテレビとかで見たことない?」
禁書「ああ、それなら前行ったとき乗ったんだよ! たしかうぉーたーあどべんちゃーって名前のやつ」
姫神「……そういえば乗ったね。たしかあれは絶叫度レベル2のやつだった気がする」
吹寄「よくよく考えると来たことある人たくさんいるのよね。だったら出来る限り前行ったのと被らないようにしたほうがいいわね」
結標「別に気にしなくてもいいわよ。面白いアトラクションなら何回乗っても面白いわ」
姫神「まあとりあえず。絶叫度レベル3のウォーターライドに行こう。マリンチェイサーっていうやつがレベル3だし。空いているっぽい」
打ち止め「うん? なに見てるのアイサお姉ちゃん、ってミサカはミサカは持ってる携帯に興味を示してみる」
姫神「これは遊園地が配布しているアプリ。全アトラクションの場所とか調べられる。その上待ち時間もリアルタイムでわかる優れもの」
打ち止め「はえーなんかすごいね、ってミサカはミサカは感心してみる」
吹寄「じゃあそこにしましょ。グズグズしてる間に待ち時間増えてもあれだし、さっそく行きましょうか」
打ち止め「おおっー! ってミサカはミサカは拳を突き上げてみたり」
禁書「ところでまりんちぇいさーってなにかな?」
風斬「さ、さあ? 直訳すると海の追跡者? かな?」
禁書「ああ、やっぱりそういう意味なんだ」
一方通行「…………」ボォー
結標「あっ、またアイツぼーっとしてるわね。ちょっと一方通行! 行くわよ早く付いてきなさい!」
一方通行「……ああ、悪りィ」
結標「貴方、最近そればっかり言っているわよね。本当にどうしたのよ?」
一方通行「……何でもねェよ。気にすンな」
結標「そんなこと言われても気になるものは気になるわ」
一方通行「…………」
結標「……もういいわ。早く行くわよ」
一方通行「……ああ」
―――
――
―
342 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:36:06.50 ID:oCYJ/As4o
同日 09:20
-スターランドパーク・マリンチェイサー-
吹寄「……なるほどね。マリンチェイサーってそういう意味か」
打ち止め「おおっー、何かサメの絵とかがいっぱい描かれてる、ってミサカはミサカは見たままの光景を口にしてみたり」
禁書「わあっ、なんかすごいねひょうか!」
風斬「そ、そうだね」
結標「何か絶叫度の種類が違う気がするわね……」
姫神「もう一つ絶叫度レベル3の。ウォーターライド系のアトラクションはあるけど。この位置からは真反対だから結構距離がある」
吹寄「うーん、そうなるとここでいいかってなるわね。待ち時間も一〇分とかだし」
打ち止め「ミサカは大丈夫だよ! どんなアトラクションだってどんと来いだ! ってミサカはミサカは胸を張ってみたり」
結標「そう。じゃあ並びましょうか」
〜一〇分後〜
係員「――では次のお客様!」
吹寄「すみません。七人なんですけどいけますか?」
係員「はい。こちらのアトラクションは八人乗りなので大丈夫ですよ。では一緒になれるように調整いたしますねー」
吹寄「ありがとうございます」
係員「では、こちらのボートに乗ってください」
打ち止め「うおおっ! いよいよ始まるのかー楽しみだぜ! ってミサカはミサカは胸を躍らせてみたり」
吹寄「どういう感じのアトラクションなんだろ。最後は坂を滑り降りる感じのだとは思うけど」
姫神「学園都市外のテーマパークに。同じ題材でびっくり系のアトラクションがあったけど。たぶん似たような感じだと思う」
結標「やっぱりそういうやつなのね」
禁書「ところでサメって食べられるのかな?」
風斬「中華料理にフカヒレがあるくらいだから、種類によっては食べられると思うよ」
禁書「そうなんだ」
風斬「……、あの、一応言っておくけど、ここで出てくるサメはたぶん、作り物だから……食べられないよ?」
禁書「そ、それくらいわかっているんだよ! ただ気になったから聞いてみただけであって」
吹寄「というか本物だったとしても食べられないでしょ。むしろ逆にこっちが食べられるわ」
一方通行「…………」
343 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:37:13.21 ID:oCYJ/As4o
係員「それでは危険でデンジャラスな海の旅をお楽しみください」
バシャー!!
打ち止め「われわれは今洞窟っぽいところをひたすら進んでおります、ってミサカはミサカは実況してみたり」
結標「誰に向かって言っているのよ?」
姫神「海の旅とか言っていた気がするけど。洞窟の中なんだね」
吹寄「まあ、洞窟出たら海なんでしょ、たぶん」
ゴゴゴゴゴゴッ!!
禁書「ん? 何か変な音が聞こえてくるかも」
打ち止め「おっ、そろそろサメさんの登場かな? ってミサカはミサカは目を輝か――」
ドパァァン!!
サメ『ガアアアアアアアアアアアア!!』
打ち止め「ぎゃああああああっ!? 船の右側からサメが出てきた!? てか顔怖っ!? ってミサカはミサカは驚きながらも実況を続けてみたり」
吹寄「本物のサメをこの目で見たことはないけど、なんかリアルっぽいわねこの作り物」
姫神「そうだね。図鑑とか動画とかで見る。ホウジロザメそのもの」
ガン!! ガン!! ガン!! ガン!!
禁書「わっ、サメが船に突進してきているんだよ! こ、このままじゃ転覆しちゃうかも!?」
打ち止め「ひゃあああどうしよ海とかプールとかミサカ泳いだことないんだけど!? ってミサカはミサカは未知の世界に恐怖を覚えてみたり」
結標(楽しんでるなー、どうせ作りものだから安全って思っている自分がちょっと寂しい)
ザパン
打ち止め「あっ、サメが海の中に帰っていった。諦めてくれたのかな? ってミサカはミサカは安心のため息をついてみる」
ゴポポ、ドパァァン!! ガギン!!
風斬「ひっ!?」
打ち止め「ああああっ!? 今度は前からサメが出てきてボートの前部分を噛み付いた!? ってミサカはミサカは懇切丁寧に実況してみたり!」
吹寄「へー、すごいわね。乗り物自体に干渉してくる装置なんて見たことないわ」
禁書「これって大丈夫? すごい勢いで噛み付いてきているけど……」
姫神「学園都市製の乗り物だから大丈夫だよ。さすが学園都市」
一方通行「…………」
344 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:38:03.54 ID:oCYJ/As4o
〜五分後〜
打ち止め「いやー、なかなか面白いアトラクションだったねー、ってミサカはミサカは率直な感想を言ってみる」
結標「そうね。すごい風が吹いてきたと思ったら、大量のサメが上から降ってきたヤツはすごかったわね」
姫神「でも。砂浜からサメが突然現れたり。双頭のサメが現れたり。タコみたいな足が生えたサメが出てきたときは。なにかと思った」
吹寄「一体何を見せられてるのかとちょっと困惑したわね……まあ最後の巨大サメに食べられて急落下したところはよかったわ」
打ち止め「でもさ、食べられてから落ちた後それで脱出できました、でアトラクションが終わったってことは、ミサカたちはサメさんのうん――」
姫神「それ以上はいけない」
禁書「なんかガチャガチャしてて派手なアトラクションだったね」
風斬「う、うん……、こ、怖かった……」
打ち止め「ふふふ、レベル3がこれなら4どころか5でも余裕かも、ってミサカはミサカは不敵な笑みを浮かべてみたり」
吹寄「いや、あれは絶叫マシンと言えるか少し怪しいから、もうちょっと様子を見たほうがいいんじゃないかしら?」
打ち止め「よーし、だったら次は絶叫マシンの王道ジェットコースターに行こー! ってミサカはミサカは提案してみる」
結標「たしかにそういうヤツのほうがわかりやすいか」
姫神「ジェットコースター系で絶叫レベル3は。スカイラインコースターってやつと。フロートフィーラーってやつが待ち時間少なめ」
結標「スカイラインは前来たときに乗ったやつね。成長を見られるって意味ならそっちのほうがいいかも」
打ち止め「うっ、い、いややっぱり一度乗ったやつだと新鮮味がないからね。もう一個のほうがいいんじゃないかな、ってミサカはミサカは提案してみる」
禁書「らすとおーだー。なんかすごい汗かいてるよ?」
吹寄「フロートなんとかってのはどんなの?」
姫神「足場がない系のジェットコースター。よくあるやつだね」
吹寄「あー、足場がないだけで恐怖感が増すって聞くあれね」
打ち止め「ふふん。足場があろうがなかろうがジェットコースターには変わりないのだ! ってミサカはミサカは核心に迫った発言をしてみたり」
結標「人生で一回しかジェットコースター乗ったことないのに、よくそんな自信満々に発言できるわね」
姫神「ちなみに待ち時間は今の所二〇分」
吹寄「ジェットコースターは遊園地の花形だから、さっきのやつよりはちょっと長いわね」
結標「それでも人気アトラクションに比べればすぐよ。それじゃあ行きましょ」
打ち止め「うおしゃあああああっ!! 足場なしがなんぼのもんじゃーい!! ってミサカはミサカは勇ましい口調で意気込みをアピールしてみたり」
一方通行「…………」ボォー
結標「……ほらっ、一方通行キビキビ歩くっ!」ガシッ
一方通行「……ッ!? オマエ引っ張ンじゃねェ危ねェだろォが」
結標「だったらぼーっとしてないで自分で歩きなさい!」
風斬「…………」
禁書「? どうかしたひょうか」
風斬「……、う、うん。なんでもないよ、あはは」
禁書「?」
―――
――
―
345 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:39:18.36 ID:oCYJ/As4o
禁書「へー、なんだか大変そうだね」
吹寄「そうは言うけどインデックス? あなたも修道服着ているから似たような自体には陥っているのよ?」
禁書「そ、そうなの?」
吹寄「だってそれってワンピースみたいなものでしょ? しかも足首まで伸びてるロングスカートの」
禁書「……あー。だから前ここに来たときこもえが『なんで動きづらい修道服で来ちゃったんですか!?』って言ってきたんだね」
姫神「気付いていなかったのか……」
吹寄「ったく。だいたい上条当麻は遊園地に行くってわかっていたのだから、二人に動きやすい服装を準備するように言っておくくらいしてくれててもよかったのに。まったく気が利かないヤツね」
結標「まあ、男の子だしそういうの気付くほうが珍しいからしょうがないわよ」
姫神「で。どうするの? 別のヤツに変える?」
風斬「い、いいですわざわざ私たちのためにそんな! し、下で待っておきますので大丈夫です」
禁書「えっ、私も待つの?」
姫神「修道服の裾をまくりあげた姿を。公衆の面前にさらしてもいいなら。乗ってもいいと思うけど」
禁書「うっ、なんかそういう言い方されると乗りたくなくなるかも」
吹寄「でも待つといっても待ち時間とジェットコースターに乗る時間で二〇分強かかるわよ?」
風斬「それでも、別のアトラクションへ移動する時間と、そこでの待ち時間を考えたら、余計に時間がかかってしまいます。皆さんにそんな、無駄な時間を使わせたくない、です」
結標「だけど、それだと貴女たちだけが私たちが終わるまでの待ち時間という無駄な時間を使うことになるわ。そんなの悪いわよ」
風斬「……いえ、私たちは大丈夫なので」
一方通行「……ったく、面倒臭せェ。だったらその待ち時間で別のアトラクションに乗って時間潰せばイイだろォが」
風斬「!?」
打ち止め「あっ、アクセラレータがシャアベッタアアアアアア!? ってミサカはミサカは子供らしいハイテンションなリアクションをしてみたり」
一方通行「何で俺が喋っただけで、そンなリアクション取られなくちゃいけねェンだ」
結標「いや、それは貴方がさっきからぼーっとしてばかりだからでしょ」
一方通行「……悪かったな」
吹寄「……たしかにアクセラの言う通りかもね。なにもみんなで同じアトラクションに絶対に乗らないといけないなんてことはないんだもの」
一方通行「そォいうわけだからオマエらはそっちのジェットコースターに乗ってろ。俺はこいつらと適当に時間潰す」
姫神「アクセラ君はそっちに行っちゃうんだ」
346 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:40:35.16 ID:oCYJ/As4o
>>345
ミスったこれの前にこれ
同日 09:50
-スターランドパーク・フロートフィーラー-
ゴガガガガガガッ!!
<きゃああああああああっ!! <すげえまるで空を飛んでいるみたいだ!! <あっ、ワイの靴がどっか飛んでいった!?
打ち止め「おっ、おう。これが足場なしのやつか。ま、まあ前乗ったやつに比べればちょっと速度が遅いかな? ってミサカはミサカは冷静に分析してみる」
結標「よかったわね打ち止めちゃん。これなら大丈夫そう?」
打ち止め「な、なにを言っているのかなアワキお姉ちゃん。ミサカはも、もうちょっと速くても余裕だったんだぜ? ってミサカはミサカは腕を組みながら答えてみる」
吹寄「さて、さっそく並ぶとしましょ」
姫神「待ち時間は変わらず二〇分待ち。減ってくれていれば嬉しかったけど。まあ。増えているよりはマシか」
風斬「……、あ、あの」
結標「どうかしたの?」
風斬「わ、私は、その、……このアトラクション、乗らなくても、いいですか?」
吹寄「あ、もしかしてジェットコースターとかダメな人だった? ごめんなさい、そうと知らずに勝手に決めちゃって」
風斬「い、いえ、そういうわけじゃないんですが……」
姫神「……ああ。なるほど」
禁書「なにがなるほどなのあいさ?」
姫神「風斬さん制服着ているから。このアトラクションはちょっと辛い」
吹寄「あー、たしかにスカートであのジェットコースターは恥ずかしいわね。まして風斬さんはスカート長めにしてるし」
打ち止め「なんでスカートだと乗れないの? ってミサカはミサカは首を傾げてみる」
姫神「あのジェットコースターの安全装置が。股の間まで固定するものだから。長めのスカートだとかなりめくり上がってしまう」
結標「座り方を工夫すれば下着が見えないようにはできるだろうけど、どうしても太ももとか出ちゃうし格好はよくないわね」
打ち止め「なるほど。だからヨミカワが準備してくれたミサカの今日の服はショーパンだったんだね、ってミサカはミサカは納得してみる」
347 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:41:37.21 ID:oCYJ/As4o
一方通行「何か問題があるのか?」
姫神「いや。別に」
結標「……や、やっぱり貴方は風斬さんのことが……」アワアワ
一方通行「……だから勝手に変なこと決めつけてンじゃねェよ。こいつらだけを野放しにしとけねェと思っただけだ」
禁書「ちょっとあくせられーた? 私たちはあなたに面倒を見られないといけないような子供じゃないんだよ」
一方通行「悪い言い方間違えた。風斬は問題ねェが機械音痴クソシスターの暴走を、風斬一人でどォにかできるとは思えねェから俺が出張ってやるンだ。感謝しろ」
吹寄「……わかったわ。だったらあたしたちがジェットコースター乗り終えるのが二〇分後くらいだから、それくらいの時間にまたここに集合ってことで」
一方通行「ああ」
姫神「ところでアクセラ君たちは。何のアトラクションに乗るつもりなの?」
一方通行「何でもイイだろ。適当にそこらへんにあるヤツにすれば」
姫神「だったらあそこに。面白そうなものがあるよ」
一方通行「あァ?」
『爆転シュート!! カプブレード』
ガキン!! ガキン!! ガキン!!
<ああああああああああああっ!! <目が回るううううううううう!! <おろろろろろろろろろっ!!
一方通行「」
風斬「ひっ!?」
打ち止め「うおおおなんだあれ!? コーヒーカップ同士が回転しながらぶつかり合って火花を散らしまくってる、ってミサカはミサカは目の前の状況に戸惑いながらも解説してみたり」
姫神「絶叫レベル5のコーヒーカップ。待ち時間もこっちと同じ二〇分。ちょうどいいんじゃないかな?」
禁書「はえー、すごいやつなんだ! なんだか面白そうだねひょうか!」
風斬「えっ!? ……あ、えっと、う、うん、そうだね……」
吹寄「風斬さん顔青ざめてきてない?」
結標「……一方通行?」
一方通行「……何だよ」
結標「ジェットコースターに乗るのが嫌でそっちに行ったのでしょうけど、残念ながらそっちのほうがキツそうね」
一方通行「……そンなつもりはさらさらなかったが、たしかに後悔しかねェ」
―――
――
―
348 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:42:40.95 ID:oCYJ/As4o
同日 10:00
-スターランドパーク・爆転シュート!! カップブレード-
ガキン!! ガキン!! ガキン!!
<やあああああああああああああああああああああああ!! <めええええええええええええええええええええええ!! <てええええええええええええええええええええええええ!!
禁書「目の前で見るとすごい迫力だね!」
風斬「そ、そうだね……」
一方通行「……よし。オマエらはそこの列に並ンで順番を待って、あのアトラクションを楽しンでこい。俺は適当にコーヒーでも飲ンで待っているから」
禁書「えっ、あくせられーたは乗らないの?」
一方通行「俺はオマエらの面倒を見るためにここにいる。つまり、わざわざ一緒になってアトラクションにまで付いていかなくても、ここで遠目に見守ればイイってわけだ」
禁書「でもそれじゃあくせられーたが楽しくないんじゃないかな?」
一方通行「安心しろ。それに乗るよりは遥かに楽しいからよォ」
禁書「えー」
一方通行「そォいうわけだから、オマエらだけ――」
ガシッ
風斬「…………」
一方通行「あァ? 俺の手を掴ンでどォいうつもりだ?」
風斬「……あの、えっと、い、一緒に、いきませんか?」
一方通行「あァ? だから言っただろ。俺は行く必要ねェって」
風斬「い、いえそんなことはないです。なにが起こるかわからないし、あ、あなたに付いていただけると、助かります」
一方通行「別に大したことは起こらねェだろ。せいぜい過度な恐怖感と疲労感、あとは平衡感覚を失うことによって嘔吐感が湧くくれェか」
風斬「け、結構な大事だと思うんですが……」
一方通行「それは俺が居よォが居まいが必ずオマエに訪れる事象だ。だから付いていく必要がねェ」
風斬「あ、あなたが一緒に居てくれれば、な、なんとか頑張れるような気が、します」
一方通行「ハァ? 俺はいつからオマエのそンな精神的支柱みてェなモンになったってンだ? 大体、俺たちが会ったのはスキー旅行ンときとバレンタイン前日のそれくらいでそンな接点ねェだろ」
風斬「……ど、どうしてもだめですか?」
一方通行「だから、一緒に行く理由が――」
バチバチィ!
一方通行「ッ!?」
風斬「……あ、あなたは知っていますよね? 私の持っているチカラ」
一方通行(あのときのヤツか……!?)
349 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:44:44.74 ID:oCYJ/As4o
風斬「正直このチカラはまだ完全に制御できているわけじゃありません。なので、なにかのきっかけで暴発する可能性だってあります」
風斬「もし、こんな場所でチカラが暴走したら、ここにいるたくさんの人たちやあの子へだって被害が出てしまうかもしれません」
風斬「でも、あなたならもしこのチカラが暴走しても止められるかもしれない……いえ、きっと止められると思います」
風斬「……だ、だから一緒に、付いてきてくれないでしょうか?」グスン
一方通行「…………」
禁書「あー、あくせられーたがひょうか泣かせたんだよ! ちょっとあくせられーた! なに言ったの!?」
風斬「……う、ううん、な、何でもないよインデックス。気にしないで」
禁書「でも」
一方通行「……あー、クソ。わかったよ行きゃイインだろ行きゃあ? 面倒臭せェヤツだなァクソッタレが」
風斬「!!」
禁書「えっ、結局あくせられーたもあれに乗るの? さっきまであんなに嫌がってたのにどうして?」
一方通行「チッ、何でもイイだろ別に」
禁書「……なるほど。これが『つんでれ』ってやつなんだね!」
一方通行「オマエその言葉どこのどいつに吹き込まれた?」
禁書「えーと、そう言ってたのはらすとおーだーにあおがみにもとはるにあわきにえんしゅうだよ」
一方通行「馬鹿のオールスターズじゃねェか! つゥか、そンな言葉忘れろクソシスター」
禁書「ふふふ。私には完全記憶能力があるから一度覚えたことは絶対に忘れないんだよ。すごいでしょ?」
一方通行「無駄な特技持ちやがって……」
風斬「……ふふっ」
一方通行「笑ってンじゃねェぞ風斬ィ!」
禁書「あっ、なんかあのアトラクション人が増えてきてるんだよ! 早く並ばないと遅くなってしまうかも! いこ! ひょうか! あくせられーた!」ドタドタ
風斬「あ、うん。ま、待ってインデックス!」タッタッタ
一方通行「チッ、面倒臭せェ……」ガチャリガチャリ
350 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:45:39.41 ID:oCYJ/As4o
〜二〇分後〜
禁書「そろそろ私たちの番が来そうだね。ね、あくせられーた?」
一方通行「そォだな」
禁書「ふーふーふっふん♪ ふーふーふっふん♪ ふーんふーんふーん♪」
一方通行「……なァ、風斬」
風斬「は、はい?」
一方通行「オマエ……何つゥか変わったよな」
風斬「か、変わりましたか……? 私」
一方通行「いや、語弊があるな。俺ン中のオマエの認識がちょっと変わったって言ったほうがイイか」
風斬「?」
一方通行「まさかオマエがこの俺を脅してまでして、こンなところに引きずり込むようなヤツだとは思ってもみなかった」
風斬「お、脅す!? い、いえ、わた、私はそんなつもりで言ったんじゃ……!」
一方通行「ああ、わかってるよ。冗談だ冗談、悪かったな」
風斬「えっ、あ、ああ冗談。そ、そうだったんですねごめんなさい」
一方通行「何でオマエが謝ってンだ」
風斬「……でも、変わったっていうのはあながち間違いではないかもです」
一方通行「あァ?」
風斬「私は、あなたたち能力者の発するAIM拡散力場が集まることによってできた集合体です」
風斬「あなたたちヒトは時間が経てば成長し、変化します。それにともないAIM拡散力場も変化していきます」
風斬「集まるAIM拡散力場が変化しているなら、それが集まって出来た私も自然と変化していくということです」
一方通行「変化ねェ。オマエと会ったのがだいたい一ヶ月前くらいだが、一ヶ月程度そこまで変わるモンなのか?」
風斬「変わっていますよ。この街にいる皆さんや今日一緒に来ているみんな。そして、もちろんあなたも」
一方通行「ケッ、一体なにが変わったのか教えてもらいたいね」
風斬「……そうですね。こういうのは本人に言うのはあまり良くないとは思うんですけど」
一方通行「あァ?」
風斬「あなたのAIM拡散力場が不安定になっています。まるで、あなたの中に大きな迷いがあるみたいに」
一方通行「ッ……」
風斬「あなたは一体、何をそんなに迷ってられるのですか?」
一方通行「……さァな」
風斬「…………」
係員「――次のお客様!」
禁書「あっ、二人共とも! 順番来たんだよ!」
一方通行「さて、本当にこれ乗らなきゃいけねェンだな」
風斬「うっ、……、なんか乗る前から、気分が悪くなってきました」
一方通行「頼むから暴走なンてしてくれるなよ。あンなこと言われた手前でアレだが、正直俺にオマエを完全に止められるチカラなンざあると思えねェよ」
風斬「……がんばります」
―――
――
―
351 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:46:20.82 ID:oCYJ/As4o
同日 10:30
-スターランドパーク・フロートフィーラー-
結標「――あー、面白かった!」
吹寄「やっぱり足場がないと違うわね。スリルがだいぶ増すわ」
打ち止め「ふ、ふふふふふふ、み、ミサカはまだまだレベル高いやつい、いけるかな、ってミサカはミサカは恐怖で震える唇を必死に動かしてみたり」ガクブル
姫神「体。震えているけど。よっぽど怖かったんだね」
結標「というか語尾からしてバレバレよね」
吹寄「さて、コーヒーカップ組はもう終わってるかしらね」
禁書「あっ、みんな終わったんだね! おーい!!」ノシ
一方通行「…………おェ」ズーン
風斬「……はぁ、はぁ、ごほっ」ズーン
結標「随分とハードなアトラクションだったみたいね」
姫神「約一名。元気そうなやつはいるけどね」
吹寄「二人とも大丈夫?」
風斬「……は、はい。な、なんとか……うぐっ」
一方通行「問題ねェ……よっ」
結標「全然大丈夫そうじゃないわね。ちょっとだけ休憩でもする?」
打ち止め「う、うんそうだね! ミサカもちょっと喉とか乾いたかなーって思ってたから、ってミサカはミサカは賛成の挙手をしてみる」
吹寄「じゃあ休憩所で飲み物でも飲みながら、次行くアトラクションでも決めましょうか」
姫神「ここから近い休憩所は。第四休憩所かな」
禁書「休憩? わーい! ひょうか、一緒にソフトクリーム食べようよ!」
風斬「……あ、あはは、ご、ごめん。私はちょっと今、食べたくない、かなって」
結標「よかったわね一方通行。念願のコーヒーブレイクよ?」
一方通行「……余計なことしやがって」
結標「そんな青ざめた表情で言われてもね」
一方通行「……チッ」
―――
――
―
352 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:47:33.60 ID:oCYJ/As4o
同日 10:40
-スターランドパーク・第四休憩所-
打ち止め「――やっぱりレベル3のアトラクションを難なくクリア出来たから、次はレベル4にチャレンジしてみたいな、ってミサカはミサカはオレンジジュース片手に強気な発言をしてみたり」
姫神「難なく?」
吹寄「風斬さんたちのことを考えたら、フリーフォールとか空中ブランコみたいなヤツは避けたほうが良さそうね」
風斬「……ご、ごめんなさい。私たちのためにそこまで」
結標「別にいいわよ。他にも楽しいアトラクションはたくさんあるわけだし」
姫神「……いろいろ見てみたけど。バイキング系統のヤツならどうかな」
吹寄「ああ、あの船みたいなのが前後に揺れるやつね」
結標「いいんじゃない? 人数制限も多そうだからみんなで乗れそうだし」
姫神「ちなみに。絶叫レベル4のやつは。フルムーンパイレーツというやつ」
吹寄「フルムーン? 満月ってこと?」
打ち止め「お月様の上にでも乗るのかな? ってミサカはミサカは月で団子を作るウサギさんを想像してみたり」
姫神「まあ。名前の由来は行ってみればわかる。ちなみに待ち時間は三〇分」
結標「三〇分ってことは、ここで休憩してから移動して、待ってから乗ったら一一時半ぐらいってところかな」
吹寄「そこから次のアトラクションに行こうとしたら、集合時間過ぎそうだから実質午前の最後にヤツになるわね」
姫神「まあ。待ち時間短いの探せば。もう一つくらいはいけないこともない」
吹寄「どうするかはそのときに決めましょ? じゃ、次はフルムーンパイレーツに行くけど風斬さんたちは大丈夫?」
風斬「は、はい。大丈夫、です」
禁書「ぺろぺろ……うん! 問題ないんだよ!」
打ち止め「何食べてるの? ってミサカはミサカは尋ねてみたり」
禁書「コーヒー味のソフトクリーム。そこの売店で買ったんだよ」
打ち止め「はえー、チョコレートのやつより色が濃いんだね。……なんかそれを見るとうん――」
結標「打ち止めちゃん。思っていても決して口に出しちゃだめなことってあるのよ?」
353 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:48:08.11 ID:oCYJ/As4o
一方通行「…………」ボォー
禁書「あくせられーた!」
一方通行「あァ?」
禁書「これ、コーヒー味なんだよ!」
一方通行「……それがどォした?」
禁書「おいしいよ?」
一方通行「そォかよ。悪りィが俺は甘いモンは趣味じゃねェンだ」
禁書「苦いよ?」
一方通行「ソフトクリームっつゥのは本来甘くすることを目的として作られたモンだ。そン中に多少苦さが混じったところで無意味なンだよ」
禁書「でもおいしいよ?」
一方通行「話聞いてンのかクソガキ」
禁書「むぅ、だったら食べてみるといいよ! 百聞は一見にしかず。このソフトクリームのおいしさを味わってみればわかるんだよ! ほらっ」スッ
結標「!?」
一方通行「何でそンなモン食わなきゃいけねェンだ? ぶち殺すぞクソシスターが」
禁書「……ほらっ」スッ
一方通行「……ったく、わかったよ食えばイインだろ食えば」パクッ
結標「!!!?!!!?」
一方通行「……ハイハイ、おいしゅうございました……おェ」
禁書「でしょ? 私もそう思うんだよ」
一方通行「わかったから俺の前から消えろ」
禁書「? よくわかんないけどわかったんだよ。……ひょうかー! このソフトクリームおいしいんだよ!」ドタドタ
一方通行「…………ゲロ甘めェ」
結標「あああ貴方って……?」
一方通行「……あァ?」
結標「もしかしてインデックスのことが……」アワアワ
一方通行「……だから、どォしてそっちの方面に思考を直結させンだオマエ? 面倒だから茶番に付き合ってやっただけだ」
結標「い、いやそれにしたって……」
一方通行「……チッ、口直しのコーヒー買ってくる」ガチャリガチャリ
結標「…………」
吹寄「……まあ、なんというか」
姫神「ドンマイ」
―――
――
―
354 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:49:54.79 ID:oCYJ/As4o
同日 11:00
-スターランドパーク・フルムーンパイレーツ-
グルングルングルングルン!!
<があああこえええええええ!! <まるで世界が反転したみたいだ!? <死にたくなああああああああああい!!
打ち止め「おっ、おう。船が三六〇°回転してやがるぜ、ってミサカはミサカは思わず後ずさりしてみたり」
吹寄「昔、似たようなヤツ乗ったことあってそれは最後だけ数回転してたけど、これは何回も回転するのね」
姫神「これで絶叫度4だと。5は一体なにが起こるんだろう」
禁書「次はこれ乗るんだ。楽しそうだねひょうか!」
風斬「……う、うん。ま、まあこれくらいなら」
結標「それじゃあ行きましょうか」
打ち止め「よ、よーし。レベル4なんて余裕だぜってところを見せてやるぜ、ってミサカはミサカは一歩一歩踏みしめながら進んでみたり」
姫神「怖いなら。やっぱり別のにする?」
打ち止め「こ、こわい? ふふふん、ミサカの辞書にはこわいなどという言葉は存在しないのだ、ってミサカはミサカは偉人の名言をオマージュしながらキメてみたり」
姫神「さっき言っていたような気がするのは。気のせい?」
一方通行「…………」ボォー
結標「あっ、またぼーっとしてやがるわ。一方通行?」
一方通行「……ああ。今行く」
結標「さっきまでちょっといつもの感じに戻ってたように見えたけど、またそんな感じになっちゃったわね。何で?」
一方通行「……俺はいつもこンな感じだろ」
結標「はいはい、そうですね」
一方通行「……チッ」
355 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:50:32.74 ID:oCYJ/As4o
〜三〇分後〜
係員「――では、次のお客様どうぞー!」
結標「あっ、私たちの番が来たわね」
吹寄「ふふっ、楽しみね」
打ち止め「い、いよいよ来てしまいましたか、ってミサカはミサカはつばを飲み込みながら謎の敬語を使ってみる」ゴクリンコ
姫神「まだ引き返せるよ?」
打ち止め「大丈夫だよ! ミサカにあるのはただ制圧前進のみ! ってミサカはミサカは意気込みを語ってみたり」
姫神「……まあ。そこまで言うなら止めはしない」
禁書「あっ、私たちは船の先頭辺りの席みたいだね」
吹寄「バイキングの前側の席は真ん中に比べて迫力がすごいわよ」
風斬「そ、そうなんですか……?」
姫神「地面に衝突しそうなスリルが。一番味わいやすいからね」
風斬「なるほど……」
一方通行「…………」カチッ
結標「……あれ? 一方通行今電極のスイッチ入れなかった?」
一方通行「……気のせいだろ」
結標「いや、でも電極のランプの色が赤色に変わっているんだけど」
一方通行「……気のせいだな」
係員「それでは安全装置の確認もできましたので、これより出発です! どうぞお楽しみください!」
<ブウウウウウウウウウウウウウウ!!
356 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:51:07.96 ID:oCYJ/As4o
<ウイイイイン、フウウウウウウウン!!(傾き四五°くらい)
打ち止め「ままままあ、最初はこんなもんだよね、ってミサカはミサカは腕を組みながら余裕を見せてみたり」
結標「喋っていると舌噛むから危ないわよ? あとちゃんと安全バー掴んでおきなさい」
<ガタン!! フウウウウウウウウウウン!!(傾き九〇°くらい)
<キャーキャー!! <ワーワー!!
風斬「……ひっ」
禁書「おおっー!」
<ガタン!! フウウウウウウウウウウウウウウウン!!(傾き一三五°くらい)
<キャーキャーキャー!! <ワーワーワー!!
一方通行「……ふわァ」
<ガタン!! フウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!(傾き一八〇°くらい)
<キャーキャーキャーキャー!! <ワーワーワーワー!!
吹寄「ぐっ、く、来るわよ回転……!」
姫神「…………」ドキドキ
357 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:52:00.48 ID:oCYJ/As4o
フウウウウウウウウン……フウウウウウウウウウウウウウウウン!!(傾き三六〇°くらい)
<キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!! <ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
結標「きゃああああああああああああああああああああっ!!」
打ち止め「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!! ってみさみさみさみさみさみさ――」
フウウウウウウウウウウウウウウウン……フウウウウウウウウウウウウウウウン!!(二回転)
<ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!! <アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
吹寄「ぐぐぐっ……!」
姫神「おおっ……」キラキラ
フウウウウウウウウウウウウウウウン!! フウウウウウウウウウウウウウウウン!!(速度上げて二回転)
<グゥゥオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!! <がああああ がああああ
禁書「あははははははははっ!! 面白いねひょうかー!!」
風斬「!!?!!?!!?!!?!!?」
フウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!(ノーブレーキで回転中)
一方通行(……さて、この回転が終わればアトラクション終了か。チッ、無駄にバッテリー使っちまったな――)
電極<ビイイイイ!!
一方通行「なっ!? 能力使用モードに使用制限がかかった!? どォいうことだ!?」
打ち止め「ミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカはミサカは――」ビビビビ
一方通行「あンのクソガキィ、パニクって変な司令ミサカネットワークに流しやがったなァ!? ッ!?」
ピタッ、フウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!(逆向きにノーブレーキで回転中)
一方通行「ふざっけンじゃねェぞ!! ナメやがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!」
―――
――
―
358 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:52:52.60 ID:oCYJ/As4o
同日 11:40
-スターランドパーク・第二休憩所-
打ち止め「あぁぁぁミサカはミサカは目を回してミサカはミサカは千鳥足にミサカはミサカは――」
結標「初めての絶叫レベル4は相当キツかったみたいね」
吹寄「そりゃそうよ。あたしだってちょっと怖かったんだもの。子どもには辛いわよ」
禁書「ねえねえ、大丈夫ひょうかー?」
風斬「…………、…………」チーン
姫神「そっとしといてあげたほうがいい。結構キツめのアトラクション二連続だし」
一方通行「…………」ズーン
結標「あら、能力使用モード使ってたんじゃなかったのかしら? 随分お疲れのようだけど」
一方通行「……クソガキがパニクりやがって、能力使用モードに制限がかけられちまっただけだ。疲れてねェ」
結標「やっぱり能力は使おうとしていたのね……」
吹寄「ふむ、こんな状態じゃ次のアトラクションへとはいけそうになさそうね。少し休んだら集合場所のゲート前の広場へ行きましょ?」
姫神「了解した」
結標「お昼ご飯何にしようかしら?」
禁書「やっぱりここにあるレストランのパスタがおいしいかったんだよ。あっ、でも個人的にオムライスもおいしいんじゃないかなって気になってはいるんだけど。あっ、あと――」
結標「あ、あはは、ありがとうね。参考にさせてもらうわ」
打ち止め「――ミサカはミサカは……はっ、ミサカは一体なにを……ってミサカはミサカはここ数分の記憶がないことに首を傾げてみたり」
一方通行「オイ、クソガキ。イイ加減能力使用モードの制限を解除しやがれ」
打ち止め「あれ? ミサカそんなものかけてたっけ? ってミサカはミサカは再度首を傾げて考えてみる」
一方通行「さっきのアトラクションでオマエが勝手にパニックになって、無意識のうちに制限しやがったンだよ。さっさと解除しろ」
打ち止め「はえー、よくわかんないけどとりあえず解除の司令出しておくよ、ってミサカはミサカは電波をビビッっと発信してみたり」ビビッ
一方通行「……よし、戻ってきたな」
打ち止め「ところで能力使用モードがアトラクション中に使えないことがわかったってことは、そのときに能力を使っていたってことだよね? ってミサカはミサカは問いかけてみたり」
一方通行「……何が言いてェンだ?」
打ち止め「やっぱりあなたもこのアトラクション怖がっていたんだね、ってミサカはミサカは同族意識を芽生えさせてみたり」
一方通行「オマエと一緒にするンじゃねェ」
結標「やっぱり絶叫マシンダメなのね貴方」
一方通行「……チッ、勝手に言ってろ」
打ち止め「…………」
―――
――
―
359 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:54:11.24 ID:oCYJ/As4o
同日 12:10
-スターランドパーク・ゲート前広場-
吹寄「……来ないわね。あの馬鹿ども」イライラ
姫神「たしかに遅いね。もう一〇分経っている」
結標「楽しすぎて時間を忘れてましたー、みたいな感じかしら?」
姫神「上条君がいるから。また何かのトラブルに巻き込まれているのかも」
打ち止め「あー、たしかにヒーローさんならありえるね、ってミサカはミサカはいろいろ思い出しながら納得してみる」
禁書「えっ、またとうまが危ないことに首突っ込んでいるの!?」
風斬「い、いや、まだそうと決まったわけじゃないよ」
吹寄「何にせよ連絡の一つも寄越さないのは気に入らないわ」イライラ
タラララ〜♪
吹寄「……って言ってたらかかってきたわね」スッ
結標「誰?」
吹寄「青髪ピアス。……もしもし?」
青ピ『あっ、吹寄さん? ごめーん、ボクらぁそっち行けそうにないわ』
吹寄「はあ? どういうことよ」
青ピ『いまボクら二時間待ちのアトラクションの列の真ん中くらいにおるんよ』
吹寄「何でそんなアトラクションにこんな時間に並んでいるのかしら……?」イライラ
青ピ『ひぃ!? 声色が変わった!? ま、まあそういうわけやから先メシ行っといてーや。こっちはこっちで勝手に食っとくから』
吹寄「……わかったわ。ただこの連絡があと一〇分早くかかってきていたら、あたしがこんなにイライラすることもなかったんだけど」
青ピ『メンゴメンゴ! そういうことで切るわ。ほな……』ピッ
吹寄「ちょっと! そんな雑な謝罪であたしが許すと……くっ、切りやがったわね」
姫神「青髪君。なんだって?」
吹寄「アトラクションの列に並んでるからこっちに来れないそうよ。だから先にお昼ごはん行ってくれって」
禁書「えっー? とうまたち来ないのー?」
姫神「上条君になにか用?」
禁書「うん。ちょっと朝もらったお金じゃ足りなさそうだからもらおうかなって。途中ソフトクリームとかいろいろ買ったからお昼代足りないかも」
姫神「ちなみに。そのお金もらったとき。上条君なにか言ってなかった?」
禁書「えっとねー、『この樋口様が今日一日のお前の軍資金だからな。大事に使うんだぞ? わかったな?』って言っていたんだよ」
姫神「……だったら。上条君と会ったところで。もらえないんじゃない?」
禁書「そうなの?」
姫神「そう」
360 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:54:46.83 ID:oCYJ/As4o
吹寄「そういうわけだから、お昼食べにいきましょうか。どこ行く?」
結標「さっきインデックスが言っていたレストランとか? あー、でも時間が時間だから人多そうよね」
姫神「屋台で売ってるようなもので済ませる。というのも一つの手」
吹寄「そうね。あんまり食べすぎてもあれだしね」
禁書「屋台ならホットドッグがおいしかったんだよ!」
打ち止め「本当にいろいろなこと知ってるねインデックスは。食べ物限定だけど、ってミサカはミサカは感心してみる」
吹寄「だったら屋台が集まっているところで昼食と行きましょうか。各々好きなもの買って食べるってことで」
結標「なら私が空いてる席探しておくわ。だから先に屋台に行って買ってて」
姫神「結標さんの分。よければ私が買ってこようか?」
結標「そう? だったらインデックスおすすめのホットドッグでお願い」
姫神「わかった」
吹寄「じゃ、そういうことで一旦解散!」
禁書「ひょうかー! 一緒に屋台見に行こー!」
風斬「う、うん。と、ところでお金は、大丈夫なの?」
禁書「……な、なんとかこの残りのお金で頑張ってみるよ」
打ち止め「よーし、こういうときこそあの人にたかればいいんだよ。ねえねえアクセラレータ? ってミサカはミサカは上目遣いで声をワントーン上げて話しかけてみたり」
一方通行「…………」ボォー
打ち止め「……あっ、またぼーっとしちゃってるや。おいおーい! アクセラレータ! ってミサカはミサカはぴょんぴょん跳んで存在感をアピールしてみたり」ピョンピョン
一方通行「……ンだよクソガキ」
打ち止め「あなたぼーっとし過ぎだよ。毎回毎回こんなんじゃテンポが悪くなっちゃう、ってミサカはミサカは文句垂れてみたり」
一方通行「チッ、クソ長げェ語尾いちいち使ってやがるオマエには言われたくねェよ。で、何の用だ」
打ち止め「一緒にお昼ごはん買いに行こうよ! ってミサカはミサカは屋台を指差しながら誘ってみる」
一方通行「何で俺が付いていかなきゃいけねェンだ。金ねェンなら適当に渡すからオマエらだけで行け」つ一万円札
打ち止め「ええぇー? そんなにくれるのー? 悪いよー、ってミサカはミサカはニヤつきながらお金を受け取ってみる」
一方通行「チッ、そのムカつく面ァのせいで悪いなって気がかけらも感じられねェなァ」
361 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:55:35.86 ID:oCYJ/As4o
打ち止め「よし、お金が手に入ったぜ! 二人とも、屋台に行こう! ってミサカはミサカは隊長気分で先導してみたり」
禁書「わーい、ごはんだー!」
風斬「う、うん……」
一方通行「チッ、うっとォしいガキだ」
打ち止め「……あっ、そうだ。アクセラレータ!」
一方通行「あァ?」
打ち止め「アワキお姉ちゃんがどこかでお昼食べる場所取ってるはずだから、そこにいって一緒にみんなを待ってるといいよ、ってミサカはミサカは目的地を示してあげてみたり」
一方通行「…………」
打ち止め「……あれ? どうかした? ってミサカはミサカは急に黙り込んだあなたを見て首を傾げてみる」
一方通行「……気が変わった。俺も屋台からの匂い嗅いでたら腹ァ減ってきた。俺も行く」
禁書「あくせられーたも来るんだ! だったら、私がおすすめの屋台を紹介してあげるかも」
一方通行「オマエのおすすめなンざ当てにするかよ」
打ち止め「……はぁ、そっか。じゃあ、一緒にいこう、ってミサカはミサカはあなたの手を掴んで駆け出してみたり」トテチテ
一方通行「杖突きのヤツの手を無理やり引っ張ってンじゃねェよクソガキが」ガチャリガチャリ
風斬「…………」
禁書「どうかしたの?」
風斬「……、なんでもないよ。私たちも行こっか」
禁書「うん!」
―――
――
―
362 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:56:10.29 ID:oCYJ/As4o
同日 12:30
-スターランドパーク・屋台広場周辺休憩所-
禁書「やっぱりここにある食べ物は全部おいしいんだよ!」ガツガツパクパク
吹寄「相変わらずすごい量ね……成人男性が一日に必要な摂取カロリー分くらいあるんじゃない?」
風斬「あはは……」
吹寄「さて、午後一で行きたいやつなにかあるかしら?」
結標「うーん、食後だからあんまり激しいのはキツイかな?」
姫神「ならば。絶叫レベル2くらいに下げたほうが。いいかもしれない」
打ち止め「別にミサカは3でもイイと思うけどなー、ってミサカはミサカは焼きそばの中にあるピーマンを避ける作業をしながら進言してみる」
結標「ちゃんと嫌いなものも残さず食べなさい」
姫神「レベル3のアトラクションは。大したことないなってヤツと。これけっこうキツイってヤツが。混在しているから。注意して選ばないといけない」
禁書「へー、そうなんだ。詳しいねあいさ」モグモグ
姫神「過去に行った経験と。このアプリに書かれてるレビューとかを見て。そう思っただけ」
吹寄「まあ、絶叫度って言ってもジャンルによっては意味が変わってくるわよね。たとえばスリルを味わう絶叫マシンとビックリ系のアトラクションだと体にかかる負担も変わってくるわ」
姫神「なるほど。いわゆるお化け屋敷みたいなやつだと。食後でも普通に楽しめそう」
打ち止め「うっ、お、お化け屋敷はちょっとやめたほうがいいんじゃないかなぁ、ってミサカはミサカはトラウマを思い出してみたり」
結標「あー、たしかにあれは怖かったわよね」
吹寄「ここのお化け屋敷に行ったの?」
結標「うん。5レベのヤツ」
吹寄「たしかにそれはトラウマになってもおかしくないわね」
結標「それにちょっとした騒ぎ起こしちゃって大変だったわ。ねえ一方通行?」
一方通行「…………」ボォー
結標「…………」
姫神「なにがあったの? 騒ぎって」
結標「いや、まあ、いろいろとね?」
姫神「?」
結標「あはは、それより次行くところ決めましょう」
363 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:57:17.33 ID:oCYJ/As4o
吹寄「それだったらまたジェットコースターはどう? さっきのは足場なしのやつで風斬さんたちが乗れなかったから、普通のにして再チャレンジよ」
姫神「そうだね。レベル2までランクを落とせば。打ち止めちゃんでも難なく乗れる」
打ち止め「ふははははっ! 絶叫レベル4を経験したミサカからすれば、レベル2のジェットコースターなど余裕余裕! ってミサカはミサカは腰に両手を当てて高笑いしてみたり」
禁書「あれ? さっき記憶がないとか言っていたよね?」パクパク
打ち止め「ミサカネットワークからダウンロードしました、ってミサカはミサカは簡潔に説明してみる」
禁書「はえー、なんかすごいんだよ」マグマグ
姫神「ちなみに。セブンスターズレディバグっていうのが。絶叫レベル2のジェットコースター」
打ち止め「どこかで聞いたことある名前だね、ってミサカはミサカは懐かしさを感じてみたり」
結標「たしか子供用のジェットコースターじゃなかったかしら?」
吹寄「へー、絶叫レベル2で子供向きの扱いになるのね」
姫神「まあ。レベル1が普通のメリーゴーランドとか。普通のコーヒーカップとかだから」
吹寄「うーん、しかし高校生が揃いも揃って子供用のジェットコースターに乗ってる様ってどうなのかしら?」
姫神「言いたいことはわかる」
打ち止め「ならば2じゃなくて3にすればいいんじゃないかな? ってミサカはミサカは提案してみる」
吹寄「……そうね。食後にしっかり休憩しておけば、多少の激しいアトラクションでも大丈夫でしょ」
姫神「絶叫度レベル3のジェットコースターは。さっき乗ったヤツを除いてあと四つ。スカイラインコースター。ツインコースターストライク。バック・トゥ・ザ・ゴール。ユー・アー・スーパーマン。以上」
吹寄「何でそんなにジェットコースターがたくさんあるのよ?」
結標「他の種類のアトラクションもだいたいそんな感じよ」
姫神「この中だとスーパーマンの安全装置が。足を通すものだから。行くとしたら他三つ」
打ち止め「スカイラインは前乗ったことあるからわかるけど、他のってどんなの? ってミサカはミサカは好奇心を高めてみたり」
禁書「たしかついんこーすたーすとらいくは、乗り物が二台隣り合ってレールを走るヤツだったんだよ」ムシャムシャ
風斬「……乗ったことあるの?」
禁書「うん、そうだよ! あいさとこもえ一緒に乗ったんだよ!」
吹寄「もう一個のバックなんとか、ってヤツは?」
姫神「バック・トゥ・ザ・ゴール。後ろ向きに走るジェットコースター」
吹寄「なるほどね。ってことは、誰も乗ったことないのはそのバック・トゥ・ザ・ゴールだけってことだから、次乗るのはそれ?」
姫神「別に私たちに気を使う必要はない。好きなのに乗ればいい」
結標「私もそう思うわ」
吹寄「そう。じゃあ、特にこれに乗りたい、ってのがないならそのときに空いていそうなアトラクションへ行くとしましょうか」
打ち止め「よーし、そうと決まればさっさとご飯を食べてジェットコースターへ行くとするぜ、ってミサカはミサカは焼きそばをかきこんで――ごほっ!?」
結標「別にジェットコースターは逃げはしないんだから、落ち着いて食べなさいよ」
吹寄「よく噛んで食べないと消化に悪いわよ?」
禁書「そうだよらすとおーだー。ちゃんと噛まないと……よし、ごちそうさまでした!」
打ち止め「インデックスにだけは言われたくないよ、ってミサカはミサカはもの言いたげな目で見つめてみたり」ジトー
姫神「あの量で。誰よりも先に食べ終わるのか……」
―――
――
―
364 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:58:08.60 ID:oCYJ/As4o
同日 13:00
-スターランドパーク・道中-
姫神「……待ち時間と距離で考えれば。ツインコースターが一番良さそう。待ち時間は四〇分で徒歩一〇分もかからないくらい」
吹寄「ならそこにしましょうか」
結標「しかし、ジェットコースターがいくら花形とはいえ、待ち時間四〇分もあるのは人が増えてきてるってことよね」
吹寄「そうね。気持ち、周りにいる人の数が増えてる気がするもの」
打ち止め「よし、そうと決まれば善は急げだ。人が集まる前にツインコースターへ向かうのだ! ってミサカはミサカは……ん? ひいっ!?」
禁書「? どうかしたのらすとおーだー」
打ち止め「あ、あ、あ、あれ。ってミサカはミサカは震える手を必死に動かしながら指で指してみる」ガクブル
風斬「あれ……?」
『恐怖! Dr.GENSEIの館』
風斬「ひっ!?」
吹寄「あれって……もしかしてさっき言ってた絶叫レベルマックスのお化け屋敷?」
結標「そうよ。懐かしいわねー」
姫神「たしかに。レベル5と言われるほどの。雰囲気はある」
打ち止め「ああああああああああ、ちょ、ちょっとー!? せっかく忘れてたのにあのときの記憶ネットワーク上にばらまくのやめてよー!! ってミサカはミサカは意地悪してる下位個体たちに文句を言ってみたり!」
禁書「何を一人で騒いでいるのかな?」
<おおーい!!
打ち止め「……うん? なんか聞き覚えのある声が聞こえてきたような、ってミサカはミサカは耳を澄ませてる」
<おおーい! 打ち止めちゃーん!
打ち止め「……あっ、この声はもしかしてえんし――ひゃっ!?」
円周(ゾンビメイク)「打ち止めちゃーん! まさかこんなところで会えるとは思ってなかったわけじゃないけど思ってなかったことにしよう」
打ち止め「ぎゃああああああああああああああああああっ!? なんかエンシュウみたいなゾンビがこっちに向かってきたー!? ってミサカはミサカは思いがけない事態に思考が追いつかなくなってみたり!」
365 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 20:59:04.76 ID:oCYJ/As4o
円周「あっ、そういえばメイクしてるの忘れてた」
結標「円周ちゃんじゃない。どうしたのよこんなところで……というか何その格好?」
円周「ああ、やっぱり淡希お姉ちゃんたちもいたんだね。私はここでお仕事の手伝いしてたんだー」
結標「お仕事の手伝い?」
円周「うん。そこの安っぽいお化け屋敷の手伝い」スッ
『恐怖! Dr.GENSEIの館』
結標「円周ちゃんが手伝っているってことは……木原さんたちの出張先って――」
数多「おう。そういうことだ」
打ち止め「あっ、キハラだ。こんなところで何やってるの? もしかして遊んでる? ってミサカはミサカはサボリ疑惑を浮かべてみたり」
数多「馬鹿言ってんじゃねぇぞクソガキ。仕事だ仕事」
円周「えぇー? でも社員のみんな何かしらやってるのに、数多おじちゃんだけ何もやってないよね? 実質それはサボっていると同等なんじゃ?」
数多「何いってんだテメェ。俺はあれだ、ここのお偉いさんとかといろいろ打ち合わせとかしてたんだよ」
円周「打ち合わせとか言ってるけどどうせあれだよ。キャバクラとか行ってたっかいお酒とかゴチになってるに決まってるよ。ほんとおっさんはいやだねー」
打ち止め「ねー、ってミサカはミサカは同意してみたり」
数多「昼間っからんなとこ行くかよ。アホくさ、勝手に言ってろ」
結標「そういえば前も仕事でここに来てましたよね? たしかここのオーナーさんに世界一のお化け屋敷を作ってくれって依頼があったとか何とか」
数多「そうだ。で、作ってやったのはいいが、俺が離れてからクオリティが著しく下がっちまったらしくてな。それを立て直してくれってまた依頼が俺んとこに来たってわけだ」
結標「へー、そうだったんですか」
姫神「……あの人は?」
吹寄「木原さんっていう結標さんたちの部屋の隣に住んでるなんでも屋をやってる人」
姫神「ああ。あの人が花見のときに。能力使用モードのアクセラ君を殴り飛ばしたって人か」
吹寄「うん。今でも信じられないわね。あのアクセラを正面から殴り飛ばすなんて」
風斬「……、あ、あの人は」
禁書「ひょうか? もしかしてあの人と知り合いなのかな?」
風斬「……ううん、知り合いってわけじゃない、かな?」
禁書「ふーん」
風斬「…………」
366 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 21:00:15.03 ID:oCYJ/As4o
数多「――そういうわけで、あのお化け屋敷は前来たときより数段レベルアップしているっつーわけだ。何ならちょっと寄って試していくか?」
結標「い、いえ。これからジェットコースターに行こうとしてるので、またの機会にお願いします」
数多「そうか、そりゃ残念。まあ、またあのクソガキに暴れられて設備ぶっ壊されても困るしいっか」
結標「あはは、すみませんでしたあのときは」
数多「……そういや、こういう話題出したら真っ先に食い付いてくるヤツが来ねぇな」
一方通行「…………」ボォー
数多「あん? 何一人たそがれてんだあのクソガキは?」
結標「……もう、また……」イライラ
数多「……ふーん、面白れェことになってんじゃねえか」
結標「えっ、それってどういうことですか?」
数多「まあ、そのうちわかるだろ」
結標「?」
数多「それじゃ仕事に戻るとすっか。おい、行くぞ円周」
円周「はあい。あっ、そうだ打ち止めちゃん。この遊園地に打ち止めちゃんが好きそうなイベントがあるのは知ってる?」
打ち止め「ミサカが好きそうなイベント? それってどんなの? ってミサカはミサカは興味を持ってみる」
円周「ヒーローショーみたいなものなんだけど。それのタイトルが『そげぶマンvs超機動少女カナミン』ってヤツなんだ」
打ち止め「なんだって!? あのそげぶマンと超機動少女カナミン(マジカルパワードカナミン)に会えるの!? ってミサカはミサカは夢の共演に胸を躍らせてみたり」
円周「二つとも元はアニメだから、特撮ヒーローみたいな感じのヤツじゃなくて精巧な立体映像なんだけどね。まあ、子供だましにはなるかなあ」
打ち止め「それはいつどこであるの!? ってミサカはミサカは5Wのうちの2Wを聞いてみたり」
円周「たしか一四時からかな。場所はイベント広場だよ」
打ち止め「うおお、これは絶対に行かねば、ってミサカはミサカは決心を固めてみたり」
円周「カナミン目当ての豚みたいなお兄さんたちが早々に場所取りしているって噂だから、今のうちに行って場所確保したほうがいいかもねー」
打ち止め「そうなんだ。貴重な情報ありがとうエンシュウ、ってミサカはミサカは笑顔でお礼を言ってみたり」ニコッ
円周「また感想教えてねー。じゃあ、私はあのボロお化け屋敷で馬車馬のように働かされてくるよ。ばいばーい」ノシ
打ち止め「ばいばーい、ってミサカはミサカは手を振って見送ってみたり」ノシ
367 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 21:01:50.12 ID:oCYJ/As4o
禁書「ええっー!? あのカナミンに会えるのー!?」
打ち止め「そうだよ。一四時からイベント広場でやるらしいよ、ってミサカはミサカは同志に有益な情報を伝えてみたり」
禁書「私も見に行きたいんだよ!」
吹寄「一四時か。ってことは今からジェットコースターに行って帰ってからだったら、時間に間に合わないかもしれないわね」
打ち止め「エンシュウが言うには、豚みたいなお兄さんたちが早くから場所取りしてるから、早めに行ったほうがいいんだって、ってミサカはミサカは聞いたまま言ってみたり」
吹寄「ぶ、豚……?」
打ち止め「そういうわけだから今すぐイベント広場に向かわなければ、ってミサカはミサカは使命感に燃えてみたり」
禁書「うおおおおっ!」
結標「別に行くのは構わないんだけど、二人だけで大丈夫?」
打ち止め「ミサカだっていつまでも子供じゃないからね。イベント広場に向かうことなんて造作も無いことだぜ、ってミサカはミサカは自信に満ち溢れた表情をしてできるアピールをしてみたり」
禁書「私の完全記憶能力を使えばイベント広場を探すのなんて簡単なんだよ!」
姫神「まず。探すとか言ってる時点で。完全記憶関係ない」
風斬「……で、でしたら。私が付いていきます」
禁書「ひょうかもカナミンが見たいんだね」
風斬「そ、そういうわけじゃないけど……」
吹寄「……風斬さんがそっちに行くってことは、こっちがジェットコースターへわざわざ行くこと必要性が薄くなってくるわね」
結標「だったら、そのヒーローショーが終わってからみんなで行きましょ?」
風斬「ごめんなさい。勝手なことを言って……」
打ち止め「……ってことは、みんなも一緒にヒーローショーへ行くってこと? ってミサカはミサカは同志が増えたことに喜びを覚えてみたり」
姫神「いや。さすがにそれは。ちょっと」
結標「間の時間は別のアトラクションで遊んでるわよ」
打ち止め「なんだぁー、せっかくみんなで声援を送れると思ったのにー、ってミサカはミサカは唇を尖らせてみたり」
吹寄「ごめんなさいね」
結標「つまり、ヒーローショーに行く組と普通にアトラクションで遊ぶ組に分かれるってことね」
姫神「ヒーローショーが終わる時間が。おそらく一五時くらいだろうから。そこで喫茶店とかで小休憩に入るのはどうだろう?」
吹寄「いいわね、それ。じゃあ、それくらいの時間で喫茶店に集合しましょ」
禁書「やった! おやつの時間だね、わかったんだよ!」
吹寄「ところでアクセラ? あなたはどっちに付いていくつもり?」
一方通行「…………」ボォー
吹寄「……アクセラ?」
結標「…………」
一方通行「……ああ、悪りィ。何の話してたンだ?」
吹寄「えっと、ヒーローショーに――」
結標「――ちょっと!! 一方通行ッ!!」
みんな「!?」
一方通行「……あァ?」
368 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 21:02:55.35 ID:oCYJ/As4o
結標「さっきから本当に……いい加減にしなさいよ!」
一方通行「……悪りィ」
結標「またそれ!? さっきからそんなふうに謝ってばっかじゃない! 本当に悪いと思っているわけ!?」
一方通行「…………」
吹寄「ちょ、ちょっと結標さん……」
結標「だいたい貴方言ったわよね? 風邪はもう治った。俺は万全だって。なのに何でそんないつまでもずっとぼーっとしてんのよ!?」
一方通行「……オマエには関係ねェよ」
結標「関係ないわけないわよ! そのせいでみんなで楽しく遊園地で遊ぼうっていう空気を壊してるのよ!?」
一方通行「……現在進行系でぶっ壊してンのはオマエだろ」
結標「元の原因は貴方でしょ!?」
一方通行「…………」
結標「…………」
風斬「あの……えっと、………その」
姫神「……二人とも。そのへんに――」
結標「そもそも貴方、遊園地まで遊びに来ててもしなきゃいけない考えごとって何なのよ!? そんなに大事なことなわけ!?」
一方通行「……だから言ってンだろ。オマエには関係ねェって」
結標「ふーん、そうなんだ。そうやって隠すってことは相当大事なことみたいね? みんなと遊ぶことを置いといて考えるくらいには」
一方通行「……勝手に決めつけてンじゃねェよ」
結標「貴方はここに何しに来たのよ? 今は遊ぶことだけ考えればいいのに、ずっと別のこと考えててわけわからない!」
一方通行「……俺の勝手だろォが」
結標「その勝手がハッキリ言って迷惑なのよ! 会話にも全然参加しないし、かといってこっちから喋ったらいちいち何の話してんだって聞いて説明させて……!」
一方通行「……知るかよ」
結標「ぐっ、……もういいわ! 二人とも行こ!?」
吹寄「えっ、ちょっと……」
姫神「いいの? 結標さん」
結標「あんなヤツもう知らないわよ。勝手にどっかの喫茶店にでもこもって、ずっとコーヒー片手にぼーっとしてるがいいわ! このバカセラレータ!!」ズカズカ
一方通行「…………」
風斬「……えっと、結標さん。行っちゃいましたよ?」
禁書「一体これはどういうことなの? あわきもあくせられーたも何かおかしいよ?」
一方通行「別におかしくはねェよ。俺もアイツもあンなモンだろ」
禁書「嘘だよ。絶対におかし――」
一方通行「おかしくねェっつってンだろォが!! さっさとヒーローショーにでも何でも行ってろクソガキどもッ!!」
禁書「……わかったんだよ。いこ? ひょうか。らすとおーだー」
風斬「う、うん……」
打ち止め「…………」
――――――
369 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/08(金) 21:06:00.29 ID:oCYJ/As4o
このギスギスは次回で終わるから我慢してね
次回『迷い』
370 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/10(日) 02:42:59.74 ID:9W3zadHK0
数ヶ月ぶりにss速報開いたら何年も前にエタったssが復活してるやんけ!
最初から読み返してくるわ
371 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/15(金) 20:29:26.60 ID:5KotB6GBo
主人公とヒロインがキャラ崩壊する回
投下
372 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/10/15(金) 20:29:54.40 ID:clWP+WRT0
スパイクタンパク単体で心臓やその他臓器に悪影響を及ぼすことがわかっています
何故一旦停止しないのですか
何故CDCが接種による若い人の心筋炎を認めているのに情報発信がないのですか
20代はたった1ヶ月で接種後死亡がコロナ死と同等になってます
因果関係の調査は?
373 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/15(金) 20:30:55.93 ID:5KotB6GBo
16.迷い
〜回想〜
March Forth Tuesday 08:00 〜修了式の日〜
-第七学区・とある公園-
一方通行「…………」ピッガチャン
一方通行「…………」ガチャリガチャリ
一方通行「…………」←ベンチに座る
一方通行「…………はァ」
『――私は、貴方のことが、一方通行のことが好きってことなのよね』
一方通行「さて、どォすりゃイインだこれ」
一方通行(風邪で寝ているときに気配を感じて、意識を覚醒させたと思ったらあの女が妙なことをつぶやきやがった)
一方通行(このクソ野郎が一生かけてもらうこともねェだろう言葉をだ)
一方通行(まさか、ヤツが俺をそォいう対象で見ているなンて思いもしなかった。気付けやしなかった)
一方通行「…………いや、違うな」
一方通行(本当は既に気付いていたのかもしれない。なぜなら思い当たる節が腐るほどあるからだ)
一方通行(クリスマスやスキー旅行、バレンタインや花見、他にも些細な日常の中にも気付けるポイントが沢山あったはずだ)
一方通行(なのに、あの言葉を聞いてここまで驚けるっつゥことは)
一方通行(無意識のうちに、気付いていないフリをしていたのかもしれない)
一方通行「……チッ、こンなンじゃ上条のこと笑えねェな」
一方通行(とにかく、俺はアイツの気持ちを知った上でこれからどォするのかを考えなきゃいけねェ。……いや、それは考えるまでもねェか)
一方通行(そもそも俺とアイツは、互いの気持ちがどォあれ決して結ばれることがない存在だからだ)
一方通行(なぜかというと、アイツの抱えている一番の問題である記憶喪失、それの原因が紛れもないこの俺、一方通行だからだ)
一方通行(去年の九月一四日。アイツと俺は敵対関係にあり、交戦し、その戦いの結末は俺の一撃で決した)
一方通行(それが原因でアイツは記憶を失い、そこからどォいうわけか、俺とアイツは同じ家に居候する同居人になり、同じ学校に通うクラスメイトという関係になっていた)
一方通行(アイツはこのことを知らないだろう。知っていたら、あンなに馴れ馴れしく接してきたり、昨日みたいな馬鹿な言葉を吐くこともなかっただろォ)
一方通行(……つゥか、何で俺はこの真実をヤツに伝えていなかったンだ? 今まで機会がなかったわけじゃなかっただろうに)
一方通行(さっさと伝えていれば、こンな面倒な事態にならなくて済ンだっつゥのに何やってンだ俺はァ)
一方通行(単に伝えるのが面倒臭かったからか? 喋ることが原因で血みどろの闘争が起こるかもしれないことを警戒したからか?)
一方通行「……そォじゃねェ。伝えなかったンじゃない。伝えられなかったンだ」
374 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/15(金) 20:32:12.85 ID:5KotB6GBo
一方通行(俺とアイツが生活を共にしておおよそ半年。その中でいろいろなことがあった)
一方通行(面倒で退屈な学校生活を送ってきたり、馬鹿みたいでくだらねェイベントごとにも散々参加させられたりもした)
一方通行(いつもアイツは隣にいて、小言をグチグチ言ってきたり、面倒事を引っ張って来たり、馬鹿みたいに笑ったり)
一方通行(そンなアイツの存在が、いつの間に俺の中のでデカくなっていたンだ)
一方通行(アイツがいるこの日常を壊してしまうンじゃねェか、そンなことを感じて俺は真実を自分の中に押し留めたンだ)
一方通行(そンなクソみてェなことをしながら、俺はのうのうと今まで過ごしてきたっつゥことだ)
一方通行「……情けねェ話だなァオイ。いつの間にこンなに弱くなっちまったってンだァ? なあ、学園都市最強の超能力者(レベル5)さンよォ?」
一方通行(今さらそンなこと言ったって何も変わらねェ。考えるべきは今後どォするべきか、だ)
一方通行(さっきも言ったが俺とアイツは結ばれることはない、結ばれてはいけない関係だ)
一方通行(第五位曰くアイツの記憶喪失は、以前までの自分とその記憶が奥底に押し込められていて、全く違う人格が本人を演じているタイプらしい)
一方通行(つまり、アイツが記憶を取り戻した場合、それは俺とアイツの敵対関係にあった当時の人格が蘇るということになる)
一方通行(さっきまで敵対関係にあったヤツと気が付いたら恋人関係にありました、なンてことになったらアイツに多大な精神的苦痛を与えることになる)
一方通行(そうならないよォにするほうが俺にとっても、アイツにとってもいいだろ)
一方通行(まァ、それに関しては今の関係でも起こり得ることだから今さら、か……)
一方通行「……それ以前に俺は償いきれない罪を犯した。そンなモンになる資格なンざ端からねェよ」
一方通行(さて、アイツの中にある想いっつゥのは、寝ている俺にあンなことを言い出すくらい、強くなってきてやがる)
一方通行(いずれ俺の目の前に立って、同じセリフを言う時が来るのもそォ遠くないだろう)
一方通行(そのとき俺は、一体何て答えてやりゃイインだ? どうしてやるのが正解だってンだ?)
一方通行「……面倒臭せェ」
―――
――
―
375 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/15(金) 20:33:59.66 ID:5KotB6GBo
March Forth Wednesday 13:30
-スターランドパーク・道中-
結標「ごめんなさいね二人とも。嫌な気持ちにさせちゃって」
吹寄「あ、うん。あたしは別にいいけど」
姫神「…………」
結標「気を取り直して遊びましょ? どこいく? 私的にはこことかどうかなって思うんだけど」
姫神「結標さん」
結標「何?」
姫神「本当に。いいの?」
結標「いいって何が?」
姫神「何って……」
結標「ああ、もしかしてアイツのこと? いいのよあんなヤツ。みんなで遊ぼうってときにそれを放っておいて上の空なんて最低だわ」
吹寄「た、たしかにそれはそうだけど……」
結標「あんなのと関わっていたらせっかくの楽しい遊園地が台無しよ。喫茶店にでも休憩所にでも行って大人しくしてくれてたほうがいいに決まってるわ」
吹寄「でも、あれってやっぱりアクセラ本調子じゃなかったってことじゃないかしら? たぶんまだ風邪が残っているんじゃない?」
結標「……その可能性もあるかもしれないわ。でも本人が治ったって言っている以上、治った振る舞いをするべきだと私は思うわ」
吹寄「もしかしたら、どうしても遊園地に来たくて体に鞭打ってここに来てる可能性も……いや、ないか」
結標「ないわね。もしそんな体調が優れない状態ならきっとそれを理由に来ないに決まっているわよ」
吹寄「……うん、そうかも」
結標「でしょ?」
姫神「…………」
結標「そういうわけだから、あとは私たちだけで楽しみましょ?」
姫神「……結標さん」
結標「何かしら?」
姫神「大丈夫?」
結標「……何言ってるのよ私は平気よ?」
姫神「……そう。それならいい」
吹寄「…………」
―――
――
―
376 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/15(金) 20:36:10.94 ID:5KotB6GBo
同日 13:45
-スターランドパーク・第四休憩所-
一方通行「…………」ボォー
『貴方さっきから本当に……いい加減にしなさいよ!』
一方通行「……何やってンだ、俺は」ボソッ
打ち止め「――アクセラレータ」
一方通行「……クソガキか。何の用だ」
打ち止め「あなたに話があるの、ってミサカはミサカは真剣な眼差しを向けてみる」
一方通行「ヒーローショーとやらには行かなくてもイイのかよ」
打ち止め「場所はインデックスたちに確保してもらってるから大丈夫だよ、ってミサカはミサカはこの場に居ていいことを説明してみる」
一方通行「そォかよ。で、話って何だよ」
打ち止め「さっきのなんなの? ってミサカはミサカは問いかけてみる」
一方通行「さっきだと? いつのことだ?」
打ち止め「誤魔化さないでよ。アワキお姉ちゃんとの口論のことだよ、ってミサカはミサカは単刀直入に言ってみる」
一方通行「口論だァ? あの女が勝手にグチグチ喚いていただけだろォが」
打ち止め「じゃあ質問を変えるよ。昨日からずっとアワキお姉ちゃんとの間に壁みたいなのを作ってるよね? それは一体何で? ってミサカはミサカは問いかけてみる」
一方通行「そンなモンねェよ。オマエの勘違いだ」
打ち止め「じゃなかったらアワキお姉ちゃんがあんなふうに怒ったりしないよ。だから勘違いじゃない、ってミサカはミサカは反論してみたり」
一方通行「アレは俺がこの遊びに積極的じゃねェからキレただけだろ」
打ち止め「あくまでそれはきっかけだと思う。アワキお姉ちゃんもきっと感じていたんだ、あなたとの間に壁みたいなものを、ってミサカはミサカは推測してみる」
打ち止め「そしてアワキお姉ちゃんは不安になって、それに加えてあなたの心ここにあらずの態度を見て、どうすればいいのかわからなくなって……」
一方通行「虫の居所が悪かっただけだろォよ」
打ち止め「ねえ、アクセラレータ」
一方通行「あァ?」
打ち止め「あなたがアワキお姉ちゃんに対してそんなふうになっている理由、聞いてもいい? ってミサカはミサカはあなたの目をジッと見つめてみる」
一方通行「理由も何も俺はもともとこンな――」
打ち止め「もしかして、アワキお姉ちゃんがあなたに対して想っている気持ちが関係あったりするんじゃないかな? ってミサカはミサカは核心をついた質問をしてみたり」
377 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/15(金) 20:37:30.05 ID:5KotB6GBo
一方通行「ッ……」
打ち止め「……少し反応したね。やっぱりそうなんだ、ってミサカはミサカは確信してみる」
一方通行「クソガキのくせに何言ってやがる。アイツが俺のことをそンなふうに想っているだァ? ンなわけねェだろ。クソみてェな妄想垂れ流してンじゃねェよ」
打ち止め「これは妄想じゃないよ。ミサカは事実を言っているんだよ、ってミサカはミサカは否定してみる」
一方通行「何を証拠に言ってやがンだクソガキ。あンま適当言っているとたとえオマエだろォとブチのめすぞ?」
打ち止め「ミサカ、知ってるんだ。一昨日の、あなたが風邪を引いて寝込んでる日の晩に、あなたの部屋であったことを」
『――私は、貴方のことが、一方通行のことが好きってことなのよね』
打ち止め「アワキお姉ちゃんがあなたに対して『好き』って言ったことを、ハッキリこの耳で聞いたんだ! ってミサカはミサカは声を張り上げてみたり!」
一方通行「……何で知ってやがる」
打ち止め「あの日、晩御飯ができたことをあなたの部屋にいるアワキお姉ちゃんに伝えに行こうとしたんだ。そしたらあなたの部屋の扉越しから聞こえてきたんだ、ってミサカはミサカは当時のことを説明してみたり」
一方通行「…………」
打ち止め「さっきあなたは何で知っている、って質問したよね? ってことはあなたもあの言葉を聞いていた、知っていたってことだよね? ってミサカはミサカは問い詰めてみる」
一方通行「……さァな。知らねェよンなモン」
打ち止め「とぼけないでよ!! 今さらそんなことを言ってももう遅いんだよ!! ってミサカはミサカは投げやりな嘘をつかれたことに憤りを感じてみたり!」
一方通行「……うるせェよ」ボソッ
打ち止め「何?」
一方通行「うるせェよっつってンだよ!!」
打ち止め「!?」
一方通行「……ああ、そォだよ!! 俺はアイツの『好き』っつゥ言葉を聞いた!! 俺に対してのなァ!! アイツ自身は知らねェだろォがなァ!! だから、それがどォしたってンだ!?」
打ち止め「だから……あなたはアワキお姉ちゃんにあんないい加減な態度を取ってたんだね? ってミサカはミサカは冷静な口調で問いかけてみる」
一方通行「結果的に見ればそォなるだろォなァ」
打ち止め「何でそんなことをしたの? ってミサカはミサカは率直な疑問を投げかけてみる」
一方通行「やりたくてやったンじゃねェよ。アイツの気持ちを知ってから、アイツとどンなふうに喋ればイイのか、アイツの言葉にどンな反応すればイイのか、アイツに何て言ってやればイイのか」
一方通行「わかンねェンだよ! そォしたらよォ、あンなふうにもなるだろォが! 何の気持ちもこもってねェ言葉を捻り出すしかできない、決まった文言しか喋れねェおもちゃみてェによォ!」
一方通行「オマエにはわからねェだろォなクソガキィ。こンなクソみてェな感情なンてよォ」
378 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/15(金) 20:38:51.11 ID:5KotB6GBo
打ち止め「そうだね。ミサカは異性に『好き』なんて言われたことないから、そんなふうに悩んだりしたことないからわからないよ、ってミサカはミサカは事実を述べてみる」
一方通行「そンなオマエがこの俺に説教垂れよォとするなンて、面白れェ話だよなァ?」
打ち止め「説教? ミサカはそんなことをするつもりは最初からないよ、ってミサカはミサカは否定してみる」
一方通行「あァ? じゃあオマエは何で俺の目の前に突っ立って生意気な言葉ァ並べてンだ? オマエは一体何がしたいンだ?」
打ち止め「ミサカはね、あなたにこの一言を言うためにこの場にいるんだよ、ってミサカはミサカは返答してみる」
一方通行「チッ、一体ナニを――」
打ち止め「――決断することから逃げないで」
一方通行「……逃げるな、だと?」
打ち止め「あなたはどうすればいいのかわからないというのを言い訳にして、どちらか決めることを避けているんだ。アワキお姉ちゃんの気持ちを受け入れるか否か」
打ち止め「このままあなたを放っておけば、一生こんな曖昧なことを続けて、アワキお姉ちゃんを傷付け続けていくに決まってるよ、ってミサカはミサカは予測してみる」
打ち止め「だから、ミサカがこうやってあなたに忠告しているんだ、ってミサカはミサカは改めてこの場に立つ理由を示してみたり」
一方通行「ケッ、クソガキのくせに恋のキューピッド様にでもなろォってか? くっだらねェ」
打ち止め「そんなつもりはないよ、ってミサカはミサカは冷静に否定してみる」
一方通行「そォかよ。つゥか決断しろっつってもよォ、ンなモン初めから決まってンだろォが。大体なァ、俺はあンなクソアマのことなンざ何とも思ってねェンだぜェ?」
打ち止め「…………」
一方通行「何なら今からあの女のところに行ってよォ、『オマエのことなンざ何とも思ってねェンだよ。俺と一緒にいること自体がおこがましいとは思えなかったのか? このアバズレがァ』って貶してやってもイインだからなァ?」
打ち止め「……嘘をついてるね、ってミサカはミサカはバッサリと切り捨ててみる」
一方通行「ハァ? ナニ言ってンだオマエ? これが俺の思っていることそのまま――」
打ち止め「半年間、ずっと一緒に過ごしてきたんだよ?」
一方通行「…………」
打ち止め「たしかに親子とか兄弟とかみたいな関係の人達と比べたら圧倒的に短い時間かもしれないよ。それでも、ミサカにはわかるよ」
打ち止め「あなたが今嘘をついているってことぐらい、ってミサカはミサカは見抜いてみたり」
一方通行「……残念ながらそれは間違いだ。オマエは俺のことなンてまるでわかっちゃいねェ」
打ち止め「そう……なら、仮にそれがあなたの本心だったとしたら、何であなたはそんなふうに悩んでいるの? ってミサカはミサカは矛盾点を指摘してみたり」
一方通行「ッ……」
打ち止め「なんで?」
一方通行「…………」
379 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/15(金) 20:39:45.28 ID:5KotB6GBo
打ち止め「答えられないよね? だってそうだよ。あなたがそんなふうに思っているような人だったなら、とっととアワキお姉ちゃんにそう言って関係を終わらせているよ」
打ち止め「でも、本当は違うんだよね? 違うからこそあなたはこんなふうに悩んで、苦しんでいるんだ、ってミサカはミサカはあなたの心情を言葉にしてみる」
一方通行「……チッ、だったらどォしたってンだよ」
打ち止め「さっきも言ったよね? 決断することから逃げるな、って。アワキお姉ちゃんのことを大事に思っているならなおさらだよ、ってミサカはミサカは再度お願いしてみる」
一方通行「馬鹿言ってンじゃねェよ。そもそも俺にはそンな決断をする資格なンて端から存在しねェンだよ」
打ち止め「資格がない? どういうこと? ってミサカはミサカは聞き返してみる」
一方通行「俺みてェな大罪人が色恋沙汰なンてモンに関わること自体馬鹿馬鹿しいっつってンだよ」
打ち止め「……もしかして、それは『絶対能力進化計画(レベル6シフト)』のことを言っているの? ってミサカはミサカは眉をひそめてみる」
一方通行「ああ。そォだよ」
打ち止め「…………」
一方通行「屑野郎にそンな世界へ足を踏み入ることなンて、許されるわけ――」
打ち止め「……けるな」ボソッ
一方通行「あァ?」
打ち止め「ふざけるなっ!! ってミサカはミサカは思ったことそのままを叫んでみたり!!」
一方通行「ふざけるな、だと?」
打ち止め「そうだよ!! 何が資格がないだっ!! 何が踏み入ることさえ許されないだっ!! あなたそんなことを言って、ミサカたちのことを利用して結局逃げているだけなんだっ!!」
打ち止め「そもそもあれはミサカたちの抱えている問題であって、アワキお姉ちゃんにはまったく関係ないことじゃないか!! ってミサカはミサカは指摘してみる!!」
一方通行「ああ、そォかもな。たしかにオマエらの問題であってアイツには関係ねェことだ。だが、これは俺自身の抱える問題でもある」
打ち止め「……そっか。怖いんだね、ってミサカはミサカは悟ってみる」
一方通行「怖い? この俺がか? 適当なこと言ってンなよッ!? 一体どこが怖がっているってンだッ!?」
打ち止め「自分自身の問題なんて言葉でごまかしているけど、あなたは恐れているんだ。自分が決断することによってアワキお姉ちゃんを傷つけてしまうんじゃないか、自分自身を傷つけてしまうんじゃないかってことに」
打ち止め「でもあなたは気付いていないんだ。結局、そうしたせいでアワキお姉ちゃんが傷ついてしまったことに。もちろん、あなた自身もだよ」
一方通行「……俺は、傷ついてなンていねェ」
打ち止め「本当に? ミサカには少しでも触れたら壊れてしまいそうなくらい、ボロボロになってるようにしか見えないよ、ってミサカはミサカは率直な感想を言ってみる」
一方通行「……壊れてンのはオマエの頭だろ」
打ち止め「少なくとも今のあなたよりはマシだと思うよ、ってミサカはミサカは比較してみる」
一方通行「…………」
打ち止め「……とにかく、もうやめようよ? こんな無意味なこと。いつまでもこんなこと続けていても虚しいだけだよ、ってミサカはミサカは提案してみる」
打ち止め「アワキお姉ちゃんときちんと向かい合って? そして全てにケリをつけてよ、ってミサカはミサカはあなたの目を見つめながらお願いしてみる」
380 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/15(金) 20:41:16.61 ID:5KotB6GBo
一方通行「…………」
打ち止め「…………」
携帯<チャーチャチャチャチャー♪ タタター♪
一方通行「……電話鳴ってンぞ?」
打ち止め「あっ、うん、ごめん、ってミサカはミサカは通話ボタンを押してみたり」ピッ
打ち止め「はい、こちら打ち止めです! ってミサカはミサカは元気よく挨拶してみたり」
風斬『……あっ、出た。えっと、打ち止めちゃん? どこにいるの? も、もうそろそろ始まっちゃうよ?』
打ち止め「ごめんねヒョウカお姉ちゃん。ちょっとトイレが混んでて、ってミサカはミサカは適当なこと言ってみる」
風斬『……えっ、い、今適当って、言った?』
打ち止め「今から急いで向かうよ、わざわざ電話してくれてありがと! ってミサカはミサカはその場で駆け足して大至急アピールしてみる」
風斬『うん、えっと、じゃあ、そういうこと、なので』
打ち止め「了解! ってミサカはミサカは終了ボタンを押してみたり」ピッ
一方通行「…………」
打ち止め「じゃあミサカは行くとするよ。ごめんね。一人の時間を邪魔しちゃって、ってミサカはミサカは謝罪してみる」
一方通行「……ああ」
打ち止め「アクセラレータ。アワキお姉ちゃんに謝ってね? さっきお願いしたこと、絶対やってよね? ってミサカはミサカは何度もお願いしてみる」
一方通行「そォいうのはお願いって言わねェよ。命令だ」
打ち止め「あなたがやってくれるなら命令ってことでもいいよ、ってミサカはミサカは乗っかってみたり」
一方通行「チッ」
打ち止め「絶対だからね!? 実行しなかったら絶対に許さないから、約束だよ! ってミサカはミサカは念を押しながら駆け足でこの場を去ってみたり」トテチテ
一方通行「…………」
―――
――
―
381 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/15(金) 20:42:34.85 ID:5KotB6GBo
同日 14:10
-スターランドパーク・MUROFUSHI-
ブンブンブンブンブンブン!!
<遠心力がすげえ!! <おっほおおおおっ <飛ぶぞぉ!?
吹寄「……いつの間にか二時過ぎてるわね。あの子たちヒーローショー楽しんでいるころかしら?」
姫神「いろいろ情報を見てみると。精巧なホログラムらしいから。本物が目の前にいる。って叫んでいそう」
吹寄「ふふっ、たしかに目に浮かぶわね」
係員「――お次でお待ちのお客様どうぞー!」
吹寄「そろそろあたしたちの番が来そう。楽しみね」
姫神「絶叫度レベル4の空中ブランコMUROFUSHI。あまりの遠心力で叫びたくなるという」
<ア゛ア゛アアアアア!!! <ア゛ア゛アアアアア!!! <ア゛ア゛アアアアア!!!
吹寄「……何か嫌だから絶対に我慢しよ」
姫神「そうだね」
吹寄「これが終わってからもう一つくらいアトラクションいけそうね。次のアトラクション今のうちに決めときましょうか」
姫神「思い切って。絶叫レベル5のやつとか攻めてみる?」
吹寄「たしかに思い切ったわね。でもレベル5って人気なんでしょ? 集合時間間に合うかしら?」
姫神「……今の状況からするなら。ちょっと過ぎそう」
吹寄「ちょっとってどれくらいよ?」
姫神「一〇分くらい」
吹寄「……うーん、先に連絡しとけば許してはくれそうだけど……どうしようかしら?」
姫神「結標さんはどう思う?」
結標「…………」ボォー
姫神「……結標さん?」
結標「……あっ、ごめん! 統括理事会人気投票誰に入れるかの話だっけ?」
姫神「別にそんな話はしていない」
吹寄「何よその総投票数一〇〇票もいかなさそうな人気投票」
382 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/15(金) 20:43:38.93 ID:5KotB6GBo
吹寄「というか結標さん? さっきアクセラにあんなにぼーっとするなって文句言ってたのに、今度はあなたがそんなにふうになるのはどうかと思うわよ?」
結標「ご、ごめんなさい……」
姫神「やっぱり。アクセラ君のことが気になっているの?」
結標「べ、別にあんなヤツのことなんか何とも思ってないわよ!」
姫神「そんなツンデレの。テンプレートみたいなこと言われても。説得力ゼロ」
結標「うっ……」
吹寄「結標さん? たしかにあなたがアクセラへ言ったことは正しいとは思うし、彼の行動にちょっと問題があったのもの事実よ?」
吹寄「だけど、このままケンカ別れした状態であんなヤツ知らない、って態度を貫こうとするのはあたしは正しいとは思わない」
吹寄「本当にあなたがそれでいいと思っているならそうすればいいと思うけど、少しでも違うと思っているならこの状況は今すぐやめたほうがいいわ」
吹寄「こういうのは時間が立つと変にこじらせてしまうかもしれないから。下手したら一生こんな状況になってしまうかも」
結標「…………」
吹寄「……まあこんなこと言われても、今すぐそうしますってできないのもわかってるつもりよ? けど、そういうふうになるかもしれないってことだけは――」
結標「…………」ジワッ
姫神「あっ。泣いた」
吹寄「えっ!?」
結標「……や、やっぱり私……ぐすっ、い、言い過ぎだったわよね? わ、私、えぐっ、きら、嫌われちゃったよねぇっ……?」グスン
吹寄「説得したあたしが言うのも何だけど、折れるの早っ!? まだ別れて一時間くらいしか経ってないわよ!?」
姫神「まあ。さっき言ったように。下手に長引くとろくなことないから。早いに越したことはない」
結標「あ、アイツって強がりだから……、体調悪くても絶対にそういうの言わないヤツって、ずずっ、わ、わかってたはずなのにぃ……」
姫神「さっきまで。体調悪くても。治ったって言っているなら体調いいフリすべき。って言ってたのは何だったのか……」
結標「わ、わ、私……ど、どうすれば……」エグッ
吹寄「……まあ、言い過ぎたってことを謝ればいいと思うわ。アクセラからは絶対に謝ってきそうにないからこっちから先にね」
結標「な、なるほど」
吹寄「いや、待てよ?」
結標「?」
383 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/15(金) 20:45:12.05 ID:5KotB6GBo
吹寄「そもそも悪いのはアクセラなわけだから変にこっちが平謝りしたら、根本的な問題は解決しないんじゃないかしら?」
結標「そ、それはどういうことですか?」
姫神「自分はやっぱり悪くなかったんだな。って自分が悪いことを自覚させずに調子付かせる可能性がある」
結標「……たしかに、それは嫌ね」
吹寄「よし、結標さん。謝るのは謝るけどあくまでアクセラも悪いって姿勢は崩さずに謝りなさい!」
結標「で、でもそれってまた揉める可能性があるんじゃ……?」
吹寄「それはたしかにありえるけど、まあ、そうならないように頑張ってとしか言えないわね」
結標「なんか薄情!?」
姫神「二人とも。とにかくこの話は一旦置いておこう」
吹寄「どうしたのいきなり?」
姫神「だって……」
ざわ……ざわ……ざわ……ざわ……
係員「……あのーお客様方? 何か問題でもありましたでしょうかー?」
結標「あっ」
姫神「明らかに場違い」
吹寄「す、すみません。お騒がせいたしました……」
―――
――
―
384 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/15(金) 20:45:53.43 ID:5KotB6GBo
同日 14:30
-スターランドパーク・第四休憩所-
一方通行「…………」
一方通行「……逃げるな。きちンと向かい合え、か……」
一方通行(クソガキ。たしかにオマエの言うことは正しいだろう。このままくすぶってたところで状況は何一つ変わらねンだからな)
一方通行(……だが、俺には資格の有無以前に俺はアイツと向き合うことを許されない事実がある。クソガキ。オマエは知らねェだろォがな)
一方通行(それは紛れもなく俺と結標の間にある問題であり、俺の抱えている罪だ)
一方通行(そンなモンを抱えている状態で、俺は一丁前にアイツと向き合うことが許されるとは俺には到底思えねェ)
一方通行「……悪りィな、クソガキ」
一方通行「許してくれとは言わねェ。だが、やっぱり俺には……」
一方通行「…………」
―――
――
―
385 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/15(金) 20:47:25.72 ID:5KotB6GBo
同日 15:00
-スターランドパーク・喫茶店-
吹寄「――というわけで、いい結標さん? 最初に『さっきはごめん。ついカッとなっていろいろ言ってしまって……』って感じに謝って様子見よ」
吹寄「それで、もし向こうが調子に乗ってきたら構わないわ! 反論しなさい!」
結標「……だ、大丈夫かしら?」
姫神「なんか。状況によっては二回戦が勃発しそう」
結標「それはいやね……」
吹寄「さて、肝心のアクセラのヤツは集合場所に来ているかしらね?」
打ち止め「あっ、アワキお姉ちゃんたちだ! おおーいっ! こっちこっちー! ってミサカはミサカは大きく手を振ってみる」
青ピ「おつかれやでー!」
吹寄「あら、どうしてあなたたちがここに? 集合場所別に伝えていなかったはずだけど」
青ピ「さっき『そげぶマンvs超機動少女カナミン』っていうショーに見に行っとったんよ。そこで偶然一緒になってって感じや」
土御門「いやーガキの頃見たヒーローショーなんかとは比べ物にならないクオリティだったにゃー。さすが学園都市」
上条「たしかにすごかったけど、客層小さな子とかばっかだったからちょっと居心地が悪かったな」
青ピ「何言うとんカミやん。ところどころに大きなお友達の方たちがいたから全然へーきやったろ?」
上条「そいつらの存在含めて居心地が悪いって言ってんだよ!」
姫神「ところで。アクセラ君は一緒じゃなかったの?」
打ち止め「…………」
風斬「は、はい。ショーにいくときに別れまして……」
吹寄「まあたしかにあの状況でそっちに付いていくようなヤツじゃないか」
上条「あの状況? なんかあったのか?」
結標「あっ……、その、えっと……」
姫神「…………」
上条「?」
土御門「……なんかただならないことがあった感じだにゃー」
青ピ「一体なにがあったんや……?」
吹寄「……実は――」
386 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/15(金) 20:49:18.18 ID:5KotB6GBo
吹寄「――ってことがあったのよ」
青ピ「へー、姉さんがマジギレするなんて珍しいなー。ちょっと見てみたかったなぁ」
結標「うっ、なんか恥ずかしくなってきたから勘弁して……」
上条「まあ、たしかに今日の一方通行の様子、ちょっとおかしかったからな」
土御門「今日じゃなくて昨日くらいじゃないかにゃー?」
青ピ「それで、姉さんは関係がこじれる前に謝りたいからってことでアクセラちゃんを探しとるんか?」
結標「そうなのよ」
青ピ「ほーん、しかし待ち合わせ場所に来てないってことは、さすがのアクセラちゃんもそれなりにショックを受けとるってことなんやろうか」
結標「うぐっ」
上条「たしかにそんなケンカしたあとだったら、また顔合わせるのはちょっと気まずいかもな。ましてやったすぐ後だし」
結標「がはっ」
土御門「今頃どこかの休憩所の隅っこで体育座りしながら泣き崩れたりとかしてたりして!」
結標「…………ひぐっ」ジワッ
ガッ! ドッ! ゴガッ!
吹寄「貴様らもう少し結標さんの気持ち考えてから発言しなさいよ!!」
上条・青ピ・土御門「「「ずびばぜんでじた」」」
姫神「結標さん。そんなに気に病むことはない。たしかにアクセラ君も気まずい気持ちになっているかもだけど。それは当たり前のこと。だからそこまで深刻になるほどのものでもない」
結標「……うん、ありがと姫神さん」グスン
青ピ(……まあ、もしアクセラちゃんが泣き崩れる姿なんてのがあったら、たしかにレアなんやろうけど)
上条(結標がここまで弱っている姿ってのも)
土御門(レアシーンって言ったらレアシーンだにゃー)
吹寄「……あなたたち、もしかしてまた何か変なこと考えているんじゃないかしら?」
土御門「いやいや別に何にも思ってないぜい!」
青ピ「せやせや。別に涙もろくなった姉さんがエロかわいいなぁなんておもごぱぁっ!?」ドガァ
上条「アホがいるぞ」
387 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/15(金) 20:50:35.39 ID:5KotB6GBo
吹寄「……? そういえばインデックスの姿も見えないわね。どうしたのよ?」
打ち止め「インデックスならここでケーキ食べたあと塩辛いものが食べたい、って言って屋台の方へ行ったよ、ってミサカはミサカは説明してみる」
上条「あんにゃろー、自由気ままに食いすぎだろ。もう完全に予算オーバーだよこんちくしょう」
姫神「そういえば。アクセラ君からいくらか。お金出してもらっていたような」
上条「まーた土下座して平謝りしないといけないのか……」
吹寄「やるなら遊園地出てからにしなさいよ? こんな人通りが多いところでそんなことしたら注目されて嫌だわ」
青ピ「で、姉さんこれからどーすんの? アクセラちゃん捜しに行くんか?」
結標「……ううん、やめておくわ」
吹寄「どうして? さっさと謝ってケリつけるんじゃなかったの?」
結標「ここにアイツが来ないってことは、みんなが言ってた通り私にまだ会いたくないってことだと思うわ」
結標「そんな状態で無理やり探し出して謝っても、きっと許してはくれないと思う」
打ち止め「そ、そんなことないよアワキお姉ちゃん! ちゃんと話せばわかってもらえるよ! ってミサカはミサカは――」
結標「……ふふっ、励ましてくれるの打ち止めちゃん? ありがとね」
打ち止め「アワキお姉ちゃん……」
結標「だから待つわ。アイツの中の戸惑いが消えて、私の前に姿を見せてくれるまで」
吹寄「……たしかに結標さんの言う通りかもしれないわね。うん、それで良いと思うわ」
姫神「お互いが冷静になっていたほうが。話もしやすいしね」
青ピ「うおおいいぞ姉さん! 待てる女はいい女ってヤツやなっ!」
土御門「それ使い方合ってんのかにゃー?」
結標「……まあ、本音を言うと自分から行く勇気がなかなか出せないってだけなんだけどね。あはは」
上条「別にいいだろそれで。勇気は実際に会って謝るときまで取っとけばいいさ」
結標「そうね。ありがとう」ニコッ
打ち止め「…………」
風斬「……? えっと、どうかした打ち止めちゃん?」
打ち止め「……ううん、なんでもないよヒョウカお姉ちゃん、ってミサカはミサカは首を横に振ってみる」
打ち止め(アクセラレータ。アワキお姉ちゃんは待ってるよ? あなたが来るのを)
打ち止め(だから、ずっとこのままなんてことはないよね? ねえ、アクセラレータ……)
―――
――
―
388 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/15(金) 20:51:39.19 ID:5KotB6GBo
同日 同時
-スターランドパーク・第四休憩所-
一方通行「…………」ボォー
一方通行「……? いつの間にかコーヒーが空になっていやがる」
一方通行「チッ、もう一本買うか……」ガチャリガチャリ
禁書「――あくせられーた?」
一方通行「……チッ、今度はオマエか」
禁書「こんなところで何やっているの? みんな向こうの喫茶店でお茶しているよ」
一方通行「そォかよ」
禁書「……どうしたの? 行かないの?」
一方通行「あァ? 行くわけねェだろォが」
禁書「なんで?」
一方通行「何で、ってオマエそンなこともわからねェのか?」
禁書「うーん、あっ! わかったんだよ! 喫茶店の場所がわからないから行けないんだね?」
一方通行「ハァ? オマエじゃねェンだからそンなわけねェだろ」
禁書「むぅ、見くびってもらっては困るかも。私は一度覚えたことは絶対に忘れないんだよ? 何なら今から喫茶店まで案内してあげてもいいよ?」
一方通行「うぜェからすンな」
禁書「うーん、場所がわからないわけじゃないのなら一体何で行かないの?」
一方通行「……オマエ、それ本気で言ってンのか?」
禁書「?」
一方通行「チッ、俺は今アイツらと顔合わせる気もねェし、アイツらも俺の顔なンざ見たくねェだろ。そォいうことだ」
禁書「うーん、そうなのかな? みんな別にそんな様子じゃなかったと思うんだけど」
一方通行「たとえそォだとしても、俺が顔合わせたくねェンだ。もォ俺なンて放っておいて帰れよクソシスター」
禁書「…………」ジー
一方通行「あァ? 何だよさっさと俺の前から消えろ」
389 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/15(金) 20:52:56.61 ID:5KotB6GBo
禁書「ねえあくせられーた。やっぱりあなたなにか悩みを抱えているんだね?」
一方通行「……ナニ適当なことを抜かしてンだクソガキが。だからそンなモン抱えてねェっつってンだろ」
禁書「適当じゃないもん!」
一方通行「ほォ、そンなこと言うなら何か明確な証拠なり理由なりあンだろォな?」
禁書「証拠? 理由? うーん……なんとなく?」
一方通行「適当じゃねェか!」
禁書「悩みがあるなら私が聞いてあげるから話してみるといいかも。なんたって私はシスターなんだからね」フフン
一方通行「何悩みがある体で話ィ勝手に進めてンだオマエ!」
禁書「そんなに強がらなくてもいいかも。悩みを抱え込み続けちゃうと身体に毒なんだよ。よいしょっと」スッ
一方通行「悩みなンてねェってさっきから言ってンだろォが! てか俺の隣に勝手に座ンじゃねェ、さっさと消えろクソシスター!」
禁書「悩みを聞くまでここを離れる気はないかも」
一方通行「チッ、面倒臭せェ。だったら俺がこの場を離れるだけだ。未来永劫そこに座ってろ」ガチャリガチャリ
禁書「だったら私も一緒に行くんだよ!」テクテク
一方通行「付いてくンな! イイ加減にしろよテメェ!」
禁書「いい加減にするのはあくせられーたのほうかも!」
一方通行「あァ? 何を言って――」
禁書「だって今日のあくせられーた、会ったときからなんかずっとつらそうな、苦しそうな表情をしているんだよ! 放っておけないよ!」
一方通行「……俺はもとからこォいう顔だ」
禁書「あくせられーた。自分の表情は決して自分では視ることはできないんだよ」
一方通行「…………」ギロリ
禁書「…………」ジー
一方通行「……はァ、面倒臭せェ」
禁書「?」
一方通行「……例え話だ」
禁書「例え話?」
一方通行「そォだ。実在の人物・団体とは一切関係ねェただの作り話のフィクションだ」
390 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/15(金) 20:54:28.02 ID:5KotB6GBo
一方通行「ある男と女がいた。ソイツらは敵対関係にあり交戦した。結果はその男が圧倒的なチカラを振るい、その女を殴り飛ばすことで勝敗を決した」
一方通行「その戦いからしばらくしてから男と女が再び出会った。どういう因果かその男が住ンでいる家に女が居候するという形でな」
一方通行「女は記憶喪失になっていた。だから自分の過去のことはもちろン、その男のこともまったく覚えていなかった」
一方通行「記憶喪失の原因は、以前その男と交戦したときに受けた一撃による記憶障害だった」
一方通行「そンな男と女の、加害者と被害者の奇妙な共同生活が始まったわけだ」
一方通行「同じ屋根の下で生活し、同じ学校に通うクラスメイトとして過ごし、いろいろな出来事を共にした」
一方通行「だが、そンな中でも男は女に伝えることができなかった。自分が記憶喪失の原因だということをな」
一方通行「そのまま月日が流れていき、ある日転機が訪れた」
一方通行「女が男に対して好意を持ち、好きだと言った。自分の記憶を奪った張本人に対してだ」
一方通行「さて、その男は一体どォすればイインだろォな? 背負った罪を有耶無耶にしたまま女を騙し続けたクソ野郎はよォ?」
禁書「…………」
一方通行「以上が例え話だ」
禁書「……なるほど。難しい話かもしれないね」
一方通行「そォかよ。まァ、別にオマエなンかに答えなンざ求めてねェからな。そォいうわけだから俺の前から――」
禁書「うーん、とりあえず好意は素直に受け取ってあげたら良いんじゃないかな?」
一方通行「……ハァ? ナニ言ってンだオマエ?」
禁書「あっ、男の人の気持ちもあるから、ただ受ければいいって決めつけてしまうのは早計だったかも」
一方通行「いや、そォじゃねェだろ」
禁書「?」
一方通行「記憶を奪った男だぞ? 女の大切なモンを根こそぎ刈り取ったクソ野郎だぞ?」
禁書「うん。たしかにそうだね」
一方通行「だったらよォ、そンな受けるから受けないかなンていう決定権がある立場に、立つことなンざ許されるわけねェだろォが!」
禁書「……違うよあくせられーた」
一方通行「何が違うってンだクソガキ!」
禁書「許せるか許されないか、それを決めるのは私でもあなたでもないと思うんだよ」
一方通行「ふざけてンのかオマエ? ここには俺とオマエしかいねェだろォが!」
禁書「そういうことを言っているんじゃないんだよ」
一方通行「あァ?」
391 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/15(金) 20:56:22.33 ID:5KotB6GBo
禁書「決められるのは物語の登場人物である、好意を持ってしまった女の人、ただ一人だと思うんだよ」
一方通行「…………」
禁書「だからこそ、その男の人は打ち明けるべきだと思うんだよ。その抱えている罪っていうのを」
禁書「もしかしたら、それによってその女の人の気持ちが変わってしまうかもしれない。でも、それはしょうがないことなんだよ」
一方通行「しょうがない、か。たしかにそォだろォな。それだけの罪を犯してンだ。今まで築き上げたモン全部ぶち壊してしまってもしょうがねェよなァ」
禁書「けどね、私は思うんだよ。その程度の『告白』では物語の女の人の気持ちは揺るがないんじゃないかって」
一方通行「記憶を奪ったっつゥのがその程度だと? ケッ、面白れェこと抜かしやがンじゃねェかクソシスターが」
禁書「……これはね、あくまで想像でしかないんだけど、その男の人はきっとその女の人ことをとっても大切に想っていると思うんだよ」
一方通行「どこをどォ解釈すりゃそンな妄想を垂れ流せられるのか不思議でならねェ」
禁書「だってもともと敵対関係にあったんだよね? いくら記憶を失っているとはいえ、そんな人と生活をともにするってなったら絶対に嫌だと思うんだよ」
禁書「ぞんざいな扱いをしたり、無視したり、傷付けたり、そんなことをしてもおかしくはないくらいに」
禁書「けれど、その女の人はその男の人のことへの好意を抱いた。何でだと思う?」
一方通行「俺が知るわけねェだろ」
禁書「男の人から感じたんだと思うんだよ。さっき挙げた敵意とかとはまったく真逆のものを。この人とと一緒に居たいと思えるほどのものを」
一方通行「……ハッ、くっだらねェ。それは女の見る目がなかっただけだよ。男は紛れもないクソ野郎で、そんなモンとは対極の位置にいるクズでしかねェンだからなァ」
禁書「私にはそうは思えないかも」
一方通行「どォやらオマエの見る目もねェよォだな」
禁書「だってその男の人は迷っているんだよね? 女の子の好意にどう向き合うべきなのか、そもそも罪という十字架を背負う自分が向き合うこと自体許されるのか、って」
一方通行「ッ」
禁書「そんなことを考えられる人が、私には本当に悪い人なんだって決めつけることはできないんだよ」
禁書「その人が本当にあなたの言うような人間なら、こんな例え話っていう物語は絶対に生まれることはなかったと思うよ」
一方通行「……ンなわけ、ねェだろ」
禁書「そんなわけあると思うんだよ。自分がやったことを罪と認識して葛藤できるのは、その罪をどうにかして償いたいと思っているから」
禁書「好意に対してどうすればいいのかって悩めるのは、真剣にその女の人のことを想っているから」
禁書「そうやって考えてみると、その女の人の見る目っていうのは間違っていなかったってことだよね」
一方通行「…………」
392 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/15(金) 20:57:59.60 ID:5KotB6GBo
禁書「あっ、ごめんね。なんかちょっと話が逸れてきちゃってるかも。最初の方に戻るね。たしかどうすればいいのか、だったよね?」
一方通行「……ああ」
禁書「さっきはなんか適当に言っちゃったから、改めてきちんと答えさせてもらうんだよ」
禁書「まずはきちんと二人で向き合って話し合うべきだと思うんだよ。元々の二人の関係やその罪のことをね」
禁書「あえてそのことを打ち明けないという考え方もあるかもだけど、個人的にはおすすめしないんだよ」
一方通行「……何でだよ?」
禁書「そこから二人の関係がどうなるにせよ、罪の十字架にその男の人が一生縛られてしまうことになってしまう」
禁書「きっとね、それはとても辛いことだと思うんだよ」
一方通行「…………」
禁書「だから、そのことを告白した上で、もし女の人の気持ちが変わることなく自分に好意を向けてくれるのなら、そこから先を決めるのは……」ジー
一方通行「あァ?」
禁書「――もうわかっているよね? ねえ、あくせられーた!」ニコッ
一方通行「……オマエ、もしかして全部わかっていて」
禁書「? なんのことかな?」キョトン
一方通行「チッ、何でもねェよ」
禁書「?」
一方通行「……ところでオマエのその言葉は、オマエの信じる十字教やら神様やらの教えから来てんのか?」
禁書「ううん、違うよ。さっきの言葉は全部、素直に私、インデックスが思ったことです」
一方通行「やっぱオマエって駄目なシスターだよな?」
禁書「むむむ、何で相談に乗ってあげたのにそんなこと言われなきゃいけないのかな?」
一方通行「相談だァ? オマエは適当な創作話聞かされてそれに対してペチャクチャ戯言吐いてただけだろォが」
禁書「ぐっ、たしかに言われてみればそうかも……」
一方通行「大体よォ、仮にアレ相談たったとするのなら、普通迷える仔羊ってのに対して布教してやンのがシスター様の仕事じゃねェのかよ?」
禁書「え、えーと、えへへ、わ、私はまだ見習いのシスターだから……」
一方通行「そンなこと抜かしてるうちは一生オマエはそのままだエセシスターが」
393 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/15(金) 21:00:02.76 ID:5KotB6GBo
禁書「……あっ、そ、そういえば私屋台でチュロスとフランクフルトとワッフルとじゃがバターを買いに行く途中だったんだよ!」
一方通行「体裁悪くなって適当な理由つけて逃げるつもりだな。てか何だよその食いモンの組み合わせ」
禁書「わ、私はもとから屋台に行こうと思っていたからそういうのじゃないんだよ!」
一方通行「そォかよ」スッ
禁書「うん? どうしたの急に立ち上がって? もしかしてあなたも屋台に行く気なのかな?」
一方通行「ンなわけねェだろォが」
禁書「じゃあどうしたの?」
一方通行「別に。野暮用だ」
禁書「ふーん、そっか」
一方通行「つゥかオマエ、さっきは散々付きまとってきやがったクセに急に離れだしたな。そンなに突かれたところが痛かったか?」
禁書「そんなことないもん! だから、私は最初から屋台に――」
一方通行「ヘェヘェわかったわかった。俺が悪かったからさっさと屋台にでもなンでも行きやがれ」
禁書「もう! あっ、そうだ。あくせられーた?」
一方通行「あァ?」
禁書「今のあなたの表情、とってもいい感じだと思うんだよ!」
一方通行「は?」
禁書「それじゃ、またあとでねー!」タッタッタ
一方通行「……チッ、くっだらねェ」
一方通行「…………」
『――決断することから逃げないで』
一方通行「……ああ」
『――もうわかっているよね? ねえ、あくせられーた!』
一方通行「わかってるよ。クソッタレが」
――――――
394 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/15(金) 21:01:42.32 ID:5KotB6GBo
ロリ二人に説教される一方さん
これが書きたくて今までのインデックスさんの出番を多めにした感があるよね
次回『いつもの二人』
395 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/20(水) 22:59:51.10 ID:LaCf7tD+0
懐かしいなあ
読んでたの中学生の時だったな
396 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/22(金) 20:07:45.66 ID:cHwUsclho
前スレ書き終わった頃は社会の厳しさを思い知ってたわ
投下
397 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/22(金) 20:08:53.94 ID:cHwUsclho
17.いつもの二人
March Forth Wednesday 15:30
-スターランドパーク・喫茶店-
青ピ「――そういうわけで、一番すごかったレベル5のアトラクションはフリーフォールのヤツやったなぁ」
打ち止め「うおおすごそう!! 次それ乗ろうよ、ってミサカはミサカは提案してみる」
結標「でもフリーフォール系だと、また安全ベルト問題が出てくるわよ?」
風斬「だ、大丈夫です。また私たちは、別のアトラクションとかで楽しみますので」
吹寄「そういえば上条当麻!? 何で二人に動きやすい格好で来るように言わなかったのよ!?」
上条「へ? どういうことでせうか?」
姫神「実は。かくかくしかじか。ということがあった」
上条「あー、そうだったのか。全然気が付かんかった」
吹寄「……貴様ぁ」ギロリ
上条「ひぃ!? ごめんなさい!!」
姫神「というか。謝る相手が違うと思う」
上条「あ、ああそうだったな。風斬ほんとごめん!」バッ
風斬「い、いえそんなに謝らなくても。遊園地、って聞いた時点で気付けなかった、私も悪いです」
青ピ「風斬さんええ子やなぁ……ほんまええ子やなぁ」
吹寄「青髪ピアスが女の子褒めてるところ見ると、何かいかがわしい感じがして不愉快ね」
青ピ「ひどい言われようやなぁ」
土御門「おっ、もうこんな時間か。オレたちはそろそろ次のアトラクションの列へ並びに行くとするぜい」
青ピ「ほんまやんけ! ついついゆっくりしてもうたなぁ。次はコーヒーカップのレベル5やったっけ?」
土御門「そうそう。あのすっごい速度で回転するやつ」
風斬「うっ」
上条「どうかしたのか?」
風斬「…………いえ」
吹寄「あたしたちは六時くらいに夕食取ろうと思っているけど、あなたたちは?」
土御門「特には決めてはなかったにゃー」
青ピ「せやな。そしたら時間が合いそうなら合流するわ」
吹寄「わかったわ。どこで食べるとかは全然決めてないから、合流しようってタイミングで連絡ちょうだい」
上条「おう、了解だ」
青ピ「そういやアクセラちゃん来んかったなー結局」
結標「……うん。残念だけど」
打ち止め「…………」
398 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/22(金) 20:10:12.64 ID:cHwUsclho
結標「ま、しょうがないわ。アイツはそういうヤツだし」
風斬「結標さん……」
上条「まあ気にすんなよ。まだ機会はあるって」
土御門「次に集まれそうなのは夕食時くらいか?」
青ピ「ほな次の集合時間伝えとかなあかんな。メッセでも送っとくか」
吹寄「ああ、大丈夫よ。こっちでやっとくわ。それにこっちはインデックス待たないといけないから、もう少しここにいるし」
青ピ「はいよー。しっかし楽しみやなー。二人が仲直りした暁にはそれはもう死ぬほどアクセラちゃんおちょくったるわ」
上条「お前、またボコボコにされんぞ?」
青ピ「何言うとんカミやん!? 隙を見せたらおちょくってやる! それが真のともだ――」
スコォン!!
青ピ「――あいたっ!? なんや!? 何か硬いもんが飛んできた!?」
姫神「これは……缶コーヒーの空き缶?」
風斬「!!」
上条「何でこんなもんが……」
打ち止め「缶コーヒー……はっ、もしかして!?」バッ
一方通行「……おォ、悪りィな。何かアホみてェな会話が聞こえてきたから、つい手が滑っちまった」ガチャリガチャリ
吹寄「あ、アクセラ!?」
姫神「あの距離で聞こえてたんだ。なんという地獄耳」
土御門「青髪ピアスの声が馬鹿みたいにデカかっただけだと思うにゃー」
399 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/22(金) 20:11:01.53 ID:cHwUsclho
結標「一方通行……」
一方通行「よォ」
結標「あ、あの、その、えっと……」
一方通行「結標」
結標「は、はい!」
一方通行「さっきは悪か……いや、すまなかった」
結標「!!」
一方通行「……違うな。ゴメンナサイ? 申し訳ございませンでした?」
結標「いや、どれもほぼ同じ意味だから。別にいいわよ言い方なんて」
一方通行「そォか」
結標「あの、一方通行?」
一方通行「何だ?」
結標「その、私もね、さっきは言い過ぎたっていうか、えっと……ごめんなさい!!」
一方通行「……何でオマエが謝ってンだ?」
結標「だって私が怒鳴ったせいで、その、ケンカになっちゃったじゃない?」
一方通行「オマエのせいじゃねェよ。アレは俺が全面的に悪かった」
結標「……ねえ」
一方通行「あァ?」
結標「貴方、本当に一方通行?」ジトー
一方通行「何で俺がそンな疑惑の目を向けられてンだよ」
結標「いや、だって素直に自分の非を認めるなんてらしくないわよ?」
一方通行「ぶち殺すぞクソアマ」プルプル
結標「あはは、ごめんつい」
一方通行「チッ」
結標「ねえ、よかったら聞かせてよ。何であんな変な感じになっていたのか」
一方通行「……そォだな。まァ、端的に言えば俺は逃げていたンだ。オマエから」
結標「逃げていた、って私から?」
400 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/22(金) 20:12:14.90 ID:cHwUsclho
一方通行「ああ。オマエとどォ接すればイイのか、どンな顔をすればイイのか、何もかもがわからなくなっていた」
一方通行「だから、俺はそれをずっと考えていた。今の今までずっとな」
一方通行「だがいくら考えたところで結論は俺の中から出てこなかった。俺にそれだけの能がなかったからだ」
一方通行「そして俺は逃げたンだ。それが今俺が考えうる最善の方法だと思って、その最悪な方法を実行した」
結標「ちょっと待って。貴方が何を言っているのかさっぱりわからないんだけど」
一方通行「……ああ、そォだろォな」
結標「おい」
一方通行「あー、面倒臭せェ。結標、これだけは言っておく」
結標「何よ」
一方通行「俺はもォ逃げねェ。オマエとこれからどンなことがあろうが、どンな結末になろォが、絶対に逃げねェ」
結標「…………」
一方通行「以上だ」
結標「……ねえ」
一方通行「ああ」
結標「何言っているのか全然わかんないんだけど」
一方通行「わかったら逆にすげェよ」
結標「……はぁ、そう言うってことは懇切丁寧に説明しろって言っても聞かなそうね」
一方通行「よくわかってンじゃねェか」
結標「だからね、最後に確認させて」
結標「これから接する貴方はいつもの一方通行ってことでいいのよね?」
一方通行「……ケッ、くだらねェこと聞いてンじゃねェっつゥの」
結標「ふふふ、そう。ありがとうね」ニコッ
一方通行「チッ……」
401 :
◆ZS3MUpa49nlt
[saga]:2021/10/22(金) 20:13:17.42 ID:cHwUsclho
青ピ「うおおおおおおアクセラちゃああああああああん!! 休憩所の隅っこで体育座りしながら泣き崩れてたってほんごふぁあっ!?」ドガッ
一方通行「ナァニクソみてェな寝言抜かしながらコッチに向かってきやがってンだオマエ?」カチッ
上条「……何か知らねえけどすげえ懐かしい感じがすんな。何でだろ?」
土御門「だにゃー。ま、何にしろアクセラちゃんが本調子になってくれて嬉しいぜい」
一方通行「ハァ? 俺はずっと本調子だっつゥの」
上条「ははっ、そうだな。たしかにいつもの一方通行って感じだ」
一方通行「笑ってンじゃねェよ。すり潰すぞ三下ども」
姫神「よかったね。結標さん」
吹寄「しかし、まさかアクセラのほうから先に謝るなんて意外だったわね」
結標「あー、うん。たしかに私もそれは思う」
姫神「俺は悪くねェ。っていう態度をずっと貫くと思っていた」
吹寄「そうね。まあでも、結局最後は折れて素直に悪いって認めそうよね」
結標「ああ、それわかるわ」
一方通行「何で先に謝罪しただけでこンな好き放題言われなきゃいけねェンだ?」
吹寄「あはは、ごめんなさい。冗談よ冗談」
一方通行「チッ」
姫神「でもアクセラ君。きちんと謝れることは。とても偉いことだと。私は思う」
一方通行「俺には似つかわしくねェ評価だな」
青ピ「そんなことないって。なんたって謝ったことは事実なんやからなぁ、エライエライ!」
一方通行「そンな人ォ馬鹿にしたよォなツラでンなこと言われてもよォ、一つも心に響かねェンだっつゥの」
吹寄「……そういえば謝るで思い出したわ。青髪ピアス! あなたお昼に電話したときのあの雑な謝罪は何だったのよ? もしかしてあたしをなめているのかしら?」
青ピ「ひっ!? なんかよくわからへん地雷踏んでもうたっ!?」
吹寄「きちんとした謝罪のやり方、あたしが一から叩き込んであげましょうか?」ゴキゴキ
青ピ「謝罪とは真逆の方法を振りかざしそうな気配がするんですが!? ひえええカミやん助けてええええ!!」
上条「なっ、テメェ!? だから俺を巻き込むんじゃねえッ!!」
土御門「カミやんも怒られる機会多いんだから、ついでに叩き込んでもらえばいいんじゃないかにゃー?」
吹寄「それもそうね。上条当麻はとりあえず土下座しとけば許してくれるみたいなこと考えてそうだし、ちょうどいいわ」
上条「そんなことひとかけらも思ったことねえよ!!」
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