【安価】精霊アンカと異世界

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1 :テス ◆Ox.4IPTZ1c [saga]:2021/06/15(火) 20:36:58.96 ID:Oi60mgtQ0
そこは石造りの壁に覆われた薄暗い部屋だった。

光源は部屋の四方に灯された蝋燭のみ。

ひんやりとした空気が漂っている。

恐らく地下室だろう。

そこでは老婆と若い女性が話し合っていた。

服装こそ普通の村娘と老婆のようだが、手にする指揮棒のような杖がやけに本格的だった。

見る人が見れば、彼女らのことを「魔術師」と呼んだだろう。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1623757018
2 : ◆Ox.4IPTZ1c [saga]:2021/06/15(火) 20:38:24.39 ID:Oi60mgtQ0
弟子「お師匠、私は何を召喚してしまったんでしょうか」

師匠「ううむ、見たところ唯のエクトプラズムの塊」

弟子「砂のようで、水のようで、煙のような、よく見る霊質ですね」

師匠「……しかし、なるほどこれは」

弟子「わかるんですか?」

師匠「わしも文献でしか見たことがないが」

弟子「ごくり」

師匠「集合意識の精霊、アンカに違いない」

弟子「集合意識の、精霊……?」
3 : ◆Ox.4IPTZ1c [saga]:2021/06/15(火) 20:38:53.70 ID:Oi60mgtQ0
師匠「この世界とは異なる次元に存在する、特殊な意思決定を行う集合意識が概念化した……」

弟子「かいつまんで言うと?」

師匠「思い通りには動いてくれない精霊じゃ」

弟子「そんなっ……!」

師匠「精霊を使役して一生楽したいというお前さんとは相性最悪の精霊じゃな」

弟子「救いは、無いんですかっ!」

師匠「扱いは難しかろう。じゃが内包する力は別格じゃな」

弟子「お師匠の精霊くらい?」

師匠「それ以上やもしれん」

弟子「!!!」
4 : ◆Ox.4IPTZ1c [saga]:2021/06/15(火) 20:39:22.59 ID:Oi60mgtQ0
弟子「どうやったらこの精霊を扱えるんですか!?」

師匠「アンカは安価と呼ばれる特殊な判断基準で行動する」

弟子「安価、とは?」

師匠「簡単に言えば意見を募りそのうち一つを採用するというものじゃ」

弟子「……? よくわかりません」

師匠「やってみれば分かる。アンカに問いかけてみよ」

弟子「え、アンカって言葉が通じる精霊なんですか? それってかなり高位の精霊じゃ……」

師匠「返事があるかも、言葉が通じるかも安価によるのぉ」

弟子「コミュニケーションから不安定なのか……。えっと、じゃあ、こんにちは?」

アンカはどうする↓1
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/15(火) 20:40:01.18 ID:+C5q9J2W0
こんにちはと元気に自己紹介
6 : ◆Ox.4IPTZ1c [saga]:2021/06/15(火) 20:47:24.58 ID:Oi60mgtQ0
アンカ「こんにちは! 私はアンカ」

弟子「っ! 喋った! 何処から声出してるのかも分かんないけど! お師匠、この子挨拶返してくれましたよ!」

師匠「うむ、友好的なレスが付いたようじゃ」

弟子「もー、びっくりしたじゃないですか。この子きっといい子ですよ!」

師匠「偶然、という可能性もなくはないが」

弟子「疑ってるんですか?」

師匠「安価とはそういうものじゃ。良くも悪くも不安定なモノ」

弟子「そんなことないですって、ね?アンカちゃん!」

アンカはどうする↓1
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/15(火) 20:48:35.76 ID:RUhxpFaIO
材料を召喚・寿司を握ってご馳走してくれる
8 : ◆Ox.4IPTZ1c [saga]:2021/06/15(火) 20:55:11.92 ID:Oi60mgtQ0
アンカ「へい、らっしゃい!」

弟子「えっと、これは?」

師匠「魔術を扱いおったな、系統は召喚じゃろう」

弟子「食べ物? が出てきましたが」

師匠「ここより遥か東、海を渡った先の大陸で食される料理じゃな。スシという」

弟子「アンカちゃんの故郷なんですかね」

師匠「わしに聞かれても分からんよ」

弟子「何はともあれ歓迎されているに違いありません。スシ、貰いますね」

師匠「わしも一つ」

パク

師匠・弟子「「う、上手い!」」
9 : ◆Ox.4IPTZ1c [saga]:2021/06/15(火) 21:01:38.62 ID:Oi60mgtQ0
師匠「この様子なら使役できそうじゃな」

弟子「一時はどうなるかと思いましたが、ホッとしました」

師匠「うむ、お主は永続使役の術を扱うまでになった。もうワシの教えることはない」

弟子「今まで、お世話になりました」

師匠「では、ワシはまた放浪の旅に出るとするかの」

弟子「いつかまた、お会いしましょう」
10 : ◆Ox.4IPTZ1c [saga]:2021/06/15(火) 21:02:29.84 ID:Oi60mgtQ0
師匠が杖を一振りすると、窓一つない地下にそよ風が吹いた。

一体、いつの間に現れたのか。

師匠の背後には寄り添うようにして一体の精霊がいた。

半透明の美しい女性だ。

弟子「風の大精霊シルフィード、やっぱり師匠はすごいです」

師匠「ホッホ、褒めても何も出んよ」

師匠とはここでお別れらしい、アンカは何かする?↓1
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/15(火) 21:04:13.43 ID:Kl3T7WBe0
甘やかさないので安心してくだされ、と挨拶
12 : ◆Ox.4IPTZ1c [saga]:2021/06/15(火) 21:11:01.66 ID:Oi60mgtQ0
アンカ「甘やかさないので安心してくだされ」

弟子「いや、甘やかしてよ。それ目的で呼んだんだから」

師匠「これはこれは、頼もしいことじゃ」

シルフィード「お弟子さんはずぼらですからね」

弟子「シルさんまで……」

師匠「こんなでも私の可愛い弟子じゃ。よろしく頼む」

弟子「まあ、お世話してくれるなら大歓迎だけど」

そんなやり取りを挟み、お師匠とはお別れとなった。

お師匠は風に巻かれてどこかへ吹き抜けていった。

薄暗い地下室に弟子と二人になった。

アンカは何かする?↓1
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/15(火) 21:15:00.81 ID:RUhxpFaIO
二人でタッグを組んでプロレスラーになって稼いで楽して生きよう、と提案&実行
14 : ◆Ox.4IPTZ1c [saga]:2021/06/15(火) 21:26:09.31 ID:Oi60mgtQ0
アンカ「プロレスラーになりましょう。ファイトマネーで悠々自適に暮らしましょう」

弟子「プ、プロレスラーって?」

アンカ「プロレスラーとはかくかくしかじか」

弟子「つまり、闘技場の剣闘士って感じね。でもあれって儲かるのかしら」

弟子「と言うか、私は今楽したいの。楽をするための努力はあなたを召喚するまでに十分してきたの」

弟子「剣闘士で稼ぐというなら止めはしないけど、アンカちゃんだけで頑張るのよ」

弟子「いいことアンカちゃん!あなたは私を養い!甘やかし!一生面倒を見るの!」


目の前の彼女はドヤ顔でアンカに言い放った。

アンカはどうする?↓1
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/15(火) 21:28:25.97 ID:wtS/5EG8o
ご褒美として毎日踏んでくれるなら
16 : ◆Ox.4IPTZ1c [saga]:2021/06/15(火) 21:35:48.86 ID:Oi60mgtQ0
アンカ「ご褒美として毎日踏んでいただけるなら」

弟子「えっ、ん? はぇ?」

アンカ「毎日踏んでいただけますな?」

弟子「急にどうして……、いや、それはいいんだけど」

弟子「あなた、エクトプラズムじゃない。実体のないエネルギー」

弟子「それとも変身みたいなことが出来るのかしら?」

アンカは変身や実体化が出来る?
出来るとしたらどんな見た目?↓1
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/15(火) 21:44:59.14 ID:w43ECyPRo
できる
実体化すると岩の塊になる
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/15(火) 21:45:33.53 ID:Kl3T7WBe0
変身はまだわからないが実体化はできる、ポケ〇ンのメタモンみたいな愛嬌ある粘土状のかたまり
19 : ◆Ox.4IPTZ1c [saga]:2021/06/15(火) 21:56:23.42 ID:Oi60mgtQ0
アンカ「実体化でしたらお手の物です」

弟子「へえ、石灰岩がいくつも群れて浮いてる感じになるのね」

アンカ「中心の一番大きな岩を踏んでいただければ」

弟子「この岩がなんか特別なの?」

アンカ「……」

弟子「黙られると怖いんだけど。ま、いいわ、踏んであげる」

弟子が簡素なローブの裾をまくって足を上げた。

始めはおっかなびっくり足の甲でアンカをつついていたが、なんともないと分かると遠慮なく足裏をぐりぐりした。
20 : ◆Ox.4IPTZ1c [saga]:2021/06/15(火) 21:57:26.75 ID:Oi60mgtQ0
弟子「これでいいかしら」

アンカ「素晴らしい」

弟子(やっぱりお師匠の云った通りちょっと変かも)

弟子(まあ対価に血肉を捧げろとか言うデーモンよりは全然ましだけど)

弟子「さて、いつまでもこんな地下室にいるわけにはいかないわね」


弟子は地下室から上に上がるらしき階段へ歩を進めた。

そこでふと、振り返る。


弟子「そういえば、私の名前言ってなかったわね」

弟子「ジル、よ。あなたのご主人様の名前、ちゃんと覚えておいてね」


こうして、アンカの使役される生活が始まった。
21 : ◆Ox.4IPTZ1c [saga]:2021/06/15(火) 21:59:09.74 ID:Oi60mgtQ0
今日は寝るんじゃ。
とりあえず実体化は岩ということで、変身が出来るかは別の機会があれば再安価する予定。
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/15(火) 22:14:14.59 ID:Kl3T7WBe0
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/15(火) 23:18:56.99 ID:g20CItM7o
おつ
24 : ◆Ox.4IPTZ1c [saga]:2021/06/16(水) 20:44:45.40 ID:bqQ+RFqM0
弟子改め、ジルの後を追って階段を昇った先は、狭い家だった。

低い木組みの天井と年季の入った石造りの壁。

キッチンとリビングでほとんど部屋が埋まっている。

使い古されたソファーや安楽椅子が寝室の代わりを果たしているようだ。

部屋全体を香草や根菜、鉱石の標本、由来の分からぬ生き物の一部などが飾っている。

魔術師の隠れ家があったらこんな見た目だろうと思わせる部屋だった。
25 : ◆Ox.4IPTZ1c [saga]:2021/06/16(水) 20:45:29.32 ID:bqQ+RFqM0
ジル「さ、私たちも旅の準備をしましょ」

ジル「私、修行が終わって一人前の術師になったら、世界中を旅してみたかったのよね」

ジル「美味しいもの食べて―、綺麗な景色を見て―」

ジル「街で買い物したり―、何日も宿屋でグータラしたりー」

ジル「で、その間の護衛、資金調達、身の回りのお世話はアンカちゃんに頼むからね」

ジル「手始めに旅支度おねがいね。剣闘士になるなら近場で闘技場のある町は歩いて一月ってとこかしら」

ジル「私はこっちで本読んでるけど、聞きたいことがあったら声かけていいわよ」


旅支度を頼まれたアンカはどうする↓1
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/16(水) 20:50:34.74 ID:wCPl8PyVo
水と食料を集める
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