他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
BBS2ch
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報VIP
更新
検索
全部
最新50
小林「あなたは……誰ですか?」トール「……えっ?」【小林さんちのメイドラゴンSS】
Check
Tweet
1 :
◆bhlju8wMK6
[saga]:2021/06/06(日) 21:42:27.46 ID:35WDfJzJ0
・「小林さんちのメイドラゴン」の二次創作SSです。原作とアニメ版1期の両方を参考にしていますが、基本的にアニメ版準拠の内容となります。
・独自設定を多少ですが含みますので、ご注意ください。
・VIPで投稿するのは初めてですが、頑張りたいと思います!至らぬ点があれば遠慮なくご指摘ください。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1622983347
2 :
◆bhlju8wMK6
[saga]:2021/06/06(日) 21:45:12.30 ID:35WDfJzJ0
【夕方のマンション・小林宅、キッチン】
…………♪ …………♪ …………♪ …………♪
…………♪ …………♪ …………♪ …………♪
トール「……ン♪ ……フン〜……♪ ……フフフ〜〜ン♪」コトコト
トール「フンフンフ〜〜ン♪ フフフンフ〜〜ン♪」グツグツ
トール「フンフンフ〜ン、混沌・料理のさしすせそ〜♪」トントン
3 :
◆bhlju8wMK6
[saga]:2021/06/06(日) 21:50:21.10 ID:35WDfJzJ0
トール「最初はサタン〜、悪魔の王〜♪」ザクザク
トール「しからばシヴァ神、破壊神〜♪」ジュウジュウ
トール「砂国の魔獣、スフィンクス〜♪」ガリガリ
トール「船舶沈めろ、セイレーン〜♪」ドポドポ
トール「そ〜してソロモン、魔神〜の主♪」パリン!
トール「さあ征くぞ! 邪神よ! 其っの名っを此処に! 食材よ〜、悲鳴を上げろ〜!」ノリノリ
4 :
◆bhlju8wMK6
[saga]:2021/06/06(日) 21:51:24.62 ID:35WDfJzJ0
トール「斬っ裂、圧っ潰、掻っき混っぜろ〜♪ 細断、熱板、火っ炙っり刑〜♪」グチャグチャ
トール「『邪竜の業火、その身で味わえ……!!』(語り)」シャキーン
トール「地獄の釜に〜蓋をして〜♪ 気化した涙も逃がさない〜♪」ボボボボ
トール「うっらむっならっ弱っい、おっのれっをうっらめ♪」バチバチ
トール「そ〜して『悠久の時間(ルビ:しばらく)』待ったなら〜♪」パカッ
トール「完成! ハンバーグ〜〜〜!!」ジャジャーーン!!
カンナ「トール様、ごぎげん」ヒョコ
トール「おや、カンナ。どうしました?」
カンナ「とっても、いいにおいする。お腹すいてきた」フンフン
トール「もー、カンナは食いしん坊ですね。でも小林さんが帰ってくるまで、もうちょっとだけ待っててくださいねー」ナデナデ
5 :
◆bhlju8wMK6
[saga]:2021/06/06(日) 21:52:49.37 ID:35WDfJzJ0
カンナ「今日は、ハンバーグ? おいしそう」ジュルル
トール「いいえ、これは今日の夕食のほんの一品に過ぎません……」ニヤリ
カンナ「マジで」
トール「楽しみにしていなさい、カンナ。今日は沢山のご馳走を食べさせてあげますよ!」クワッ
カンナ「おー! トール様、すごーい。マジやばくねー」ピョンピョン
トール「ふふふ、そうでしょうそうでしょう! これでも混沌の邪竜ですからね!」フフン
カンナ「でも何で今日、ごちそう?」
トール「ふっふっふ、よくぞ聞いてくれました……!」クックック
トール「聞いて驚くがいいです! 何と今日はーー……っ!」ドドドドドドド
トール「パンパカパ〜ン! 私と小林さんが出会ってから、ちょうど1年経った記念日なので〜す!」ドドーン!
カンナ「おー」パチパチ
6 :
◆bhlju8wMK6
[saga]:2021/06/06(日) 21:54:42.26 ID:35WDfJzJ0
――――――――――――――――――――――――――――
【小林、帰りの電車内】
ガタンゴトン…… ガタンゴトン…… ガタンゴトン……
小林(はあ、疲れた……)プヘー
小林(今日はちょっと遅くなっちゃったなあ)
ガタンゴトン…… ガタンゴトン…… ガタンゴトン……
小林(今日はトールが、私と出会ってちょうど1年の記念に、ご馳走作って待ってるって言ってたっけ)
小林(トールのやつ、今日の朝は……)ホワンホワン
トール『実はこの日のために、何日もかけて綿密な準備をしていたんです!
おおっと、驚かせたいためメニューについては秘密ですが、
絶対に美味しいものを作りますので、ぜひ楽しみにしていて下さい!』フンス!
小林(……って張り切ってたけど、大丈夫だろうか)ウーン…
7 :
◆bhlju8wMK6
[saga]:2021/06/06(日) 21:56:29.49 ID:35WDfJzJ0
ガタンゴトン…… ガタンゴトン…… ガタンゴトン……
小林「……今日でちょうど、1年かあ」ポツリ
小林(思い返してみれば、トールと出会ってから1年、沢山の事があった……)
小林(初めは、1年前の今日。私が仕事のストレスから飲みすぎて、酔いに酔って知らない駅で降りて、山に迷い込んで……)
小林(そして、傷ついたトールと出会った)
《(回想)〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
トール『人間……?』フシュウウウウ……
小林『ドラゴンだぁ!! 超カッコイイ!! 抱いてーヒュー!』ブハー
8 :
◆bhlju8wMK6
[saga]:2021/06/06(日) 21:57:15.38 ID:35WDfJzJ0
トール『ドコカラ入ッテキタ……去レ! 食イ殺スゾ!』ギンッ
トール『……マア、ドノミチ……我モモウスグ死ヌガナ……』
小林(……? 剣がドラゴンの背中に、刺さって……)
トール『神共ト戦イ、敗レテコノ地……異界ヘ来タ……』
トール『最後ニ会ッタ者ガ人間トハ…… クク、ミジメナモノ――』
小林『あのさぁ、その話し方疲れない?』ユラユラ
トール『ナッ……』ピキッ
小林『ぜったいつかれるわー』
トール『貴様……』グググ……
9 :
◆bhlju8wMK6
[saga]:2021/06/06(日) 21:58:20.92 ID:35WDfJzJ0
小林『その剣抜けばいいの?』ゲフー
トール『愚カナ…… 人間ナンゾガ神ノ剣ニ触レレバ、精神ヲ破壊サレ――ッテオイ!』
小林『アーーー? 知らねーし……神がいるなら……んぬっつ!』ガシッ
小林『今すぐ納期をっ……延ばしてみせろってんだ!!』ズボォッ!
トール『!?……!?……!?』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜》
小林(剣を抜いた後は、トールと酒を飲んで愚痴り合ったんだっけ)
《〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
小林『会社のバカヤロー! あたしゃあたしの仕事があんだぁ!!』ブハー!
トール『神のスカタン! おとなしく終焉させろぉ!!』バハー!
10 :
◆bhlju8wMK6
[saga]:2021/06/06(日) 21:59:44.67 ID:35WDfJzJ0
…………
小林『あー……なんで私一人なんだろ……』
トール『……! ……私も一人です…… 一人になりました。この世界で、さっき』
小林『……行くあてあるの?』
トール『いえ、というより、元々一人ですので……』
小林『――じゃあ、私のとこ来る?』
トール『……! い、行きます!』
小林『じゃあメイドやって!!』ガシィッ! ハアハア
トール『…………はい?』タジッ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜》
11 :
◆bhlju8wMK6
[saga]:2021/06/06(日) 22:01:15.97 ID:35WDfJzJ0
小林(そしたら、その次の日の朝…… 彼女は本当に家に、メイドとしてやって来た)
《〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
トール『じゃーーーーーーーん!』ジャーーーーン
小林『…………!?』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜》
小林(二日酔いで昨晩の記憶がおぼろげだった私は最初、彼女を雇うのを断った。けれど気付けば会社に遅刻ギリギリになっていたので……)
《〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
小林『トール!!……翔べる!?』ガシッ
トール『!――――――はい!』ニコッ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜》
小林(それで、トールがうちでメイドとして住む事になった)
12 :
◆bhlju8wMK6
[saga]:2021/06/06(日) 22:02:27.34 ID:35WDfJzJ0
小林(しばらくすると、他にも色んな人……いや、色んな『ドラゴン』が、私の周りに現れる様になった)
小林(初めは、幼い竜の、カンナちゃん)
《〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
カンナ『トール様とわかれて』
小林『様……?』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜》
小林(カンナちゃんは行方不明だったトールを連れ戻しに来たと言うものの、実際は悪戯した事が原因であっちの世界を追放されていて―― 彼女は一人ぼっちになっていた)
《〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
小林『カンナちゃん。行くとこないなら、うち来る?』
カンナ『に…人間なんか信じてない! 何か企んでる!』ジリッ
小林『…………』ポン
カンナ『!』
小林『知らない世界で誰も信じられない…… 当たり前だと思う。私だって信じない』
カンナ『…………』
小林『友達になろうなんて言わないよ。一緒にいよう。そんだけ』ナデナデ
カンナ『っ……、 ……、 ……うん』コクリ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜》
13 :
◆bhlju8wMK6
[saga]:2021/06/06(日) 22:05:13.35 ID:35WDfJzJ0
小林(次に宝を守る邪竜で、人嫌いでゲーム好きで、引きこもり体質のファフニールさん)
《〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ファフニール『全く、人間の世界は面倒なものだ…… 絶やしたくなる』チッ
ファフニール『何故俺が人間に隠れてコソコソせねばならん。いっそのこと滅ぼして……』ギリッ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜》
小林(彼は今、私の会社の同僚でオタ友達の、滝谷くんの家に住んでいる)
《〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ファフニール『あそこのアイテムは取らんのか?』
滝谷『あれトラップでヤンス』ガチャガチャ
ファフニール『小賢しい……』
ファフニール『なんだコイツは!? 勝てんぞッ!!?』ガチャガチャ
滝谷『負けイベントでヤンス』
ファフニール『チィ……!!』ガチャガチャ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜》
14 :
◆bhlju8wMK6
[saga]:2021/06/06(日) 22:06:47.43 ID:35WDfJzJ0
小林(物知りで常に落ち着いていて頼れる、けれど何故かいつも痴女めいたファッションのルコアさん)
《〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ルコア『はじめまして、ケツァルコアトルです。長いのでルコアでいいですよ』タプーン
小林『その格好は?』
ルコア『うふふ、これは若者のフォーマルなものなんだよ』ドタプーン
小林『ではなく、体型的に痴女っぽいです』
ルコア『え!?』タプッ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜》
小林(彼女は今、隠れ魔法使い一家の少年、翔太くんの家に、使い魔として居候している)
《〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ルコア『ほら〜悪魔じゃないよ〜、もっとよく見て〜』スッパダカッ
翔太『うわー! お風呂に入ってくるなー! この悪魔めー!』ワタワタ
ルコア『いってらっしゃい、翔太くん♥』ムギューッ
翔太『むぎゅう、やめろー!!』ジタバタ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜》
15 :
◆bhlju8wMK6
[saga]:2021/06/06(日) 22:08:19.83 ID:35WDfJzJ0
小林(調和を尊び、いつもトールと喧嘩している、でも美味しいものには目がないエルマ)
《〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
エルマ『トール!! ドラゴンはこの世界の秩序を乱す!! 私と一緒に戻るんだ!!』キッ
トール『相変わらずクソ真面目なカタブツみたいですね。私、帰りませんよ』フンッ
エルマ『うっ……』ぐぐううううぅぅぅぅぅぅ(腹の音)
小林『……食べる? クリームパン……』スッ
エルマ『……で、では、ご好意に甘えて……』ハムッ
エルマ『(―――何これ、おいしい……ほっぺたおちる、幸せぇ……!!)』はふぁ……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜》
小林(彼女は今、うちの会社の新入社員として一緒に働いている)
《〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
小林『結構PC操作覚えてきたねエルマ』
エルマ『任せておけ! このまま仕事の役に立ってやる!』フンス
エルマ『小林先輩、帰りアイス食べようアイス! あれはうまいぞ!』ウキウキ
小林『あーはいはい(すっかり餌付けしてしまった)』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜》
16 :
◆bhlju8wMK6
[saga]:2021/06/06(日) 22:09:45.44 ID:35WDfJzJ0
小林(そして……終焉帝と呼ばれる、トールのお父さん)
《〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
終焉帝『一緒に帰るのだ、トール。この世界に迷惑をかけてはいけない』ゴゴゴゴゴ
トール『………っ嫌です!』グッ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜》
小林(彼は本気でトールを連れ戻そうとやって来た)
《〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
小林『あの……』
終焉帝『―――』バシュッ!
パリンッ!(小林の眼鏡が魔法で割られる音)
小林『ぐっ!?』ドサッ
トール『こ――――小林さんっ!?』
終焉帝『気を付けて喋ってほしい。放つ言葉によっては消し飛ぶのはあなたになる』
小林『――っ……!! ……はぁっ、はぁっ……!!』フルフル
終焉帝『何 か な ?』ゴゴゴ
小林『っ………………っ………………』ゴクッ
17 :
◆bhlju8wMK6
[saga]:2021/06/06(日) 22:11:47.71 ID:35WDfJzJ0
小林『………………へっ』ギリィッ
小林『トールは帰りたくないってさ!』
トール「……………!!」ギュッ
小林『私のメイドを持っていくな。これは私んだ!』
終焉帝『調子にっ……!』バチバチッ……!
トール『―――――!』ザッ!
終焉帝『!―――やる気かトール。ならばここは少々窮屈だ』バサッ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜》
小林(トールが戦意を見せた事で、その後二人は場所を移し、激闘という名の親子喧嘩を繰り広げた)
《〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
終焉帝『初めてだな、お前が私に逆らったのは』ゴオッ!
トール『自分の居場所は自分で決めます! 小林さんは私の、私の光です!』キッ
終焉帝『お前は何も分かっておらぬ! 戻ってこいバカ娘!』ドゴォッ!バシュッ!
トール『戻りません!』ガギッ、バギィッ!
終焉帝『ゆるさん、人間となど!』ゴバアァッツ!
トール『小林さんは特別なんです!』ボシュウゥ!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜》
小林(戦いの末の説得で、トールのお父さんは、なんとか退いてくれた)
18 :
◆bhlju8wMK6
[saga]:2021/06/06(日) 22:12:54.83 ID:35WDfJzJ0
《〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
終焉帝『……認めはせん。人間など、共に生き切る寿命も持たぬ分際如きが。トール、愚かな娘よ……!』バサッ!
………………
トール『…………』
小林『……行っちゃった』
トール『―――――!』ダキッ
小林『うわっ!?』ドタッ
トール『………………』ギュウウウウ
小林『…………トール、わがまま言っちゃってごめん』
トール『……何を、あげたらいいですか? 全部……全部あげます』ギュウウウウ
小林『……そんなにいらん』ナデナデ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜》
19 :
◆bhlju8wMK6
[saga]:2021/06/06(日) 22:13:59.36 ID:35WDfJzJ0
ガタンゴトン…… ガタンゴトン…… ガタンゴトン……
小林(色んな…… 本当に色んな事があった)
小林(時には互いの常識の違いから衝突してしまう事もあったけど、その都度話し合って、すり合わせて、何とかやって来れた)
小林(最近は大きな喧嘩になるような事も減って、自分でも上手くやれてると思う)
ガタンゴトン……キキーッ プシュー
……〇〇エキー、〇〇エキー、オデグチハミギテガワ……
小林「お、着いた。よいしょっと……んーっ」ノビーッ
小林(このまま、仲良く一緒に暮らし続けられればいいなあ)
20 :
◆bhlju8wMK6
[saga]:2021/06/06(日) 22:16:34.54 ID:35WDfJzJ0
――――――――――――――――――――――――――――
【夜、小林宅】
小林「ただいまー」ガチャ
トール「あ、小林さん! おかえりなさーい!」パアッ
カンナ「コバヤシ、おそいー」プー
小林「あはは、ごめんごめん。今日はちょっと仕事が重なっちゃってね」
カンナ「『今日は』じゃない、『今日も』ー!」プープー
小林「あ、あはは……」ニガワライー
トール「毎度の事ではありますが、やっぱり小林さんは帰ってくる時間遅いですよね……」ムウ……
トール「……はっ!? まさか本当は私たちに内緒で夜のお店に遊びに……!?」ピキーン
小林「まーた変な事覚えて…… そもそも私がどんなお店に行くっていうの?」ハア
トール「それはもちろん、メイドのコスプレをした娘達でいっぱいのキャバクラに!」ドン!
小林「マニアックだな!? いや探せばありそうだけども!」
カンナ「ウワキモノー! カイショウナシー! ドロボウネコー! コノオンナダレヨー!」ワーワー
小林「カンナちゃんまで! ちょっとトール、子供に変な言葉教えちゃダメだよ?」
トール「私が休日にお昼のドラマを流してると、傍から聞いて覚えちゃうみたいなんですよねー。意味はまだ分かってないみたいですけど」アハハ
トール「ところで昼ドラって、本当に不倫とか三角関係とか多いですよね。
他人のドロドロの愛憎劇を見て喜ぶとかやっぱり人間って度し難いというか、
それに昼ドラって略称ドラゴンと被っててホント不敬というか、
というわけでとりあえず人間滅ぼしちゃっていいですか?」ゴゴゴ
小林「ダメに決まってるでしょーが!」
トール「え〜しょうがないですね〜……」プクー
小林「まったく…………」ハアァァー……
小林「…………」
小林「……ははっ」
トール「……ふふふっ」クスクス
21 :
◆bhlju8wMK6
[saga]:2021/06/06(日) 22:18:34.02 ID:35WDfJzJ0
カンナ「? 何が面白い?」クビカシゲ
小林「いや、この流れも久しぶりだなと思って」クックック
トール「はい、始めの頃は毎日こんな感じでしたよね」クスクス
小林「そうそう」
トール「でも、あの頃に比べたら私、随分成長したでしょー、小林さん?」エッヘン
小林「エー、ソウカナー? ソウカモネー?」シラジラ
トール「もー、小林さんっ!」プンプン クスクス
小林「ごめんごめん、あっはっはっはっは……」ケラケラ
トール「うふふふふ……」クスクス
カンナ「ふーん? よくわかんないけど、私もなんかうれしー」パタパタ
小林「あっはっはっは……おろ?」フラッ
トール「っ小林さん!?」パシッ
カンナ「コバヤシっ! だいじょぶ?」
小林「……ああうん、大丈夫大丈夫、疲れてただけだよ」ヨッコイセット
小林「いやあ、ちょっと気が抜けたら足がよろけちゃった。あはは……」
トール「…………小林さん」
小林「ん?」
トール「冗談は抜きにしても、やっぱりここ数日はずっと帰りが遅いですよ」
小林「…………」
トール「私、小林さんの体が心配です……」シュン
小林「……まあ、仕事柄どうしても、気張らなきゃならない時が出てきちゃうからねー」アハハ
トール「でも……!」
22 :
◆bhlju8wMK6
[saga]:2021/06/06(日) 22:20:46.70 ID:35WDfJzJ0
小林「心配しなくて大丈夫だよ」ポン
トール「!」カァッ
小林「今日の分でもう山場は越えた。明日からはもう普通の時間に帰って来れるからさ」ナデナデ
トール「もうっ、約束ですからね……」テレテレ
カンナ「あー、ずるいー、私もなでてコバヤシー!」ギュッ
小林「はいはい」ナデナデ
カンナ「〜〜♪」
小林「さて、我が家のメイドさんっ! 元気を取り戻すためにも、ご飯にしようか。私達が出会って、1年を祝して!」
トール「っ! はいっ、そうですねっ! どうぞこちらへ、ご主人様!」ニコッ
カンナ「トール様、料理とってもがんばってたー」
小林「おー、そりゃ楽しみだ。期待してるよー?」ニヤニヤ
トール「ええ、お任せ下さい! この日のために準備してきた、最高級のフルコース料理をご覧あれ!」ドーン!
23 :
◆bhlju8wMK6
[saga]:2021/06/06(日) 22:22:02.04 ID:35WDfJzJ0
――――――――――――――――――――――――
【小林宅・食卓】
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
小林「……………………」ゴゴゴゴゴ
トール「〜〜〜♥」フンフンフーン
カンナ「?」ボケー
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
小林「トール…… これ、なに?」ジー
トール「トールお手製、龍の尻尾肉フルコースで〜す♥」ジャーン!
小林「……………………………………………………………………」ゴゴゴゴゴ
24 :
◆bhlju8wMK6
[saga]:2021/06/06(日) 22:23:30.87 ID:35WDfJzJ0
トール「龍肉のステーキに〜♥ こっちは龍肉ハンバーグ、龍肉のシチューに龍挽肉のピーマン詰め――」
小林「…………」
トール「――それで、こちらが龍肉の冷製ジュレ、龍肉の照り焼き、龍肉のハムサラダ、そして最後のとっておきは〜〜〜〜〜…… こちら、龍肉の丸焼きになりま〜す♥」
小林「あのさあ…… トール」
トール「いえいえ、言わずとも分かります。とっておきがただの丸焼きかよ! とお思いなのでしょう、いつも見せてますからね。ですが今回は下拵えから普段の三倍は入念に――」
小林「そういう事じゃない」
トール「へ?」ピタッ
小林「トール、今回はさすがに私も怒るよ?」ゴゴゴゴゴ
トール「もー、小林さんそうやっていつも好き嫌い言って、私の尻尾肉食べてくれないじゃないですか! もう良い機会ですし好き嫌い克服しましょうよ〜!」プンプン
小林「好き嫌いとか、そういう話じゃない!」バンッ!
トール「わっ!?」ビクッ
25 :
◆bhlju8wMK6
[saga]:2021/06/06(日) 22:26:56.74 ID:35WDfJzJ0
小林「最初に出された時からずっと言ってるよね? 好き嫌いとか偏食とかじゃなくて、生理と倫理に合わないから食べられないってさ」
トール「あ、あの、小林さん?どうしたんですか、急に……」オドオド
小林「そりゃもちろん、私だって種族や文化の違いくらい考慮してるさ。
トールからしたら自分の肉を食べてもらう事がなにより嬉しい事なんだろうって思うし、
その気持ちに応えてあげられなくて申し訳ないともいつも思っちゃいるさ!」
小林「つっても、こっちの事情も考えてくれたっていいじゃん!
私にとっちゃ隣人の体の一部を食べるっていうのはとてもハードルの高い事なの!
覚悟決めなきゃ出来ない事なの!」
小林「今までは料理の中に一品だけ混ぜてくるぐらいだったからさ?
私が自分で気付いて食べなければいいだけだったし、強く文句も言ってこなかったけどさ?」
小林「こんな全部に入れられちゃったら、もう強制されてるのと同じで……」
トール「…………」
小林「ちょっとトール、ちゃんと聞いてる――」ピクッ
トール「…………」プルプル
小林「……トール? (泣いて……)」
26 :
◆bhlju8wMK6
[saga]:2021/06/06(日) 22:28:12.96 ID:35WDfJzJ0
トール「なんで怒るんですか……私だって一生懸命、小林さんに美味しいって言ってほしくて作ったのに……」ポロポロ
小林「あの、その……別に怒ってる訳じゃなくて……」
トール「怒ってたじゃないですか、机叩いて、怒鳴って!」
小林「いや、それは、確かにちょっと熱くなっちゃったけど怒った訳じゃ」
トール「ちょっと!? ちょっとって何ですか! 今のが怒ってないなら何なんですかあ!」
小林「トール、話を聞いて――」
トール「もう小林さんなんて知りません!」バサッ
小林「トール!」
ガシャーン!
小林「あ…………」
カンナ「トール様、窓から飛んで出てっちゃった……お行儀悪い」
27 :
◆bhlju8wMK6
[saga]:2021/06/06(日) 22:29:19.42 ID:35WDfJzJ0
小林「…………」ペタン
カンナ「コバヤシ、だいじょぶ?」
小林「ああ、うん…… 大丈夫だよ、カンナちゃん」
カンナ「ほんとに?」
小林「うん、本当に本当」
カンナ「…………」ポン
小林「……?」
カンナ「……ムリ、しないでね」ナデナデ
小林「……うん」
小林(………ああ、くそ…… 仕事で疲れ切って、余裕がなかったからって………)
小林「……あんな事言うつもりじゃ、なかったのに……」
小林「何やってんだ、私……」ギュウウウ
28 :
◆bhlju8wMK6
[saga]:2021/06/06(日) 22:30:38.21 ID:35WDfJzJ0
――――――――――――――――――――――――
【地上から遥か上空】
ゴオオオオオオオオオオオオオオ!!
トール(竜形態)「GUOAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」ビュゴオオオオオオオ!!
トール(何で!? 何であんな事言うんですか小林さん!)
トール(私、一生懸命に料理頑張ったんですよ!? 時間も手間も愛情もよりをかけて、今日のために準備してたんですよ!?)
トール(なのに、なのにっ、あんなっ……!!)
トール「……GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」キイィィィィィィィン!!
ビキ…………
トール(もう……)
ビキビキ……
トール(もう………!)
ビキ、ビキッバキッ!
トール(小林さんの顔なんて、もう見たくない!)
バキィーーーーーーーン!!
……………………………………………
………………………
……………
29 :
◆bhlju8wMK6
[saga]:2021/06/06(日) 22:38:05.55 ID:35WDfJzJ0
とりあえず、原作の振り返りも兼ねた導入はここまでです。
書き溜めたストックはまだあるので、近日中に再開します。では今日はお休みなさい〜。
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/06/07(月) 17:08:36.15 ID:QmDNXbMDO
おつ
親子喧嘩の後のトールのセリフ好き
371.30 KB
Speed:0.2
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報VIP
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
名前:
E-mail
(省略可)
:
書き込み後にスレをトップに移動しません
特殊変換を無効
本文を赤くします
本文を蒼くします
本文をピンクにします
本文を緑にします
本文を紫にします
256ビットSSL暗号化送信っぽいです
最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!
(http://fsmから始まる
ひらめアップローダ
からの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)
スポンサードリンク
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)