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【シャニマス×ダンガンロンパ】灯織「私はこの絆を諦めません」【安価進行】

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77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/06(日) 16:39:00.90 ID:QKFeunEHO
フロアライト
78 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/06(日) 16:40:19.47 ID:gNSguuoX0

灯織「これで終わりです!」

【BREAK!】

灯織「停電が起きて、それがなかなか直らないとき……そんな時、皆さんならどうしますか?」

愛依「うーん、うちの家はちょっと年季入ってるからたまにブレーカーも落ちるんだけど……」

愛依「そーいう時はスマホかなんかの明かりを使って、ブレーカーの様子を見に行くかな……?」

灯織「そう、明かりを頼りに電力の復旧を目指して動くはずなんです」

めぐる「明かりを……頼りに……」

めぐる「あっ!フロアライト!あれって、死体を発見した時も点いてたよね?!」

摩美々「もともとはステージ演出用だったけど、停電中は一番の道しるべになるよねー」

摩美々「ステージの床に固定されて、右から左まで一定間隔に並んでた」

摩美々「制御室はステージ脇だったわけだし、咲耶がライトを頼りに歩くことは創造に容易いんじゃないー?」

雛菜「その道中にケーブルを置いておけば、それに接触するように細工もできるかもしれませんね〜」

凛世「……」

灯織「現場にすべては残されていた……私たちが咲耶さんの遺体を発見した時の状況に、凛世の犯行計画のすべてのピースが揃っていたんだ……!」

めぐる「それに今思ったら、事件現場に足を踏み入れた時のあの焦げたみたいな匂い……」

めぐる「あれも咲耶が感電した時の匂いだったんだね?!」

雛菜「電気が肉体を通ると火傷しちゃうらしいですからね〜」

凛世「だ、だとしても……凛世は、凛世は……!」

灯織「……まだ、認めてくれないんだね」

智代子「灯織ちゃん……!」

灯織「わかった、それなら凛世のために、チョコのために……事件のすべてをはじめから振り返って、それで終わりにする」

灯織「事件をすべて明らかにすれば……それが可能だったのは凛世だけだってきっとわかるから……!」

(そうだ、終わりにしなくては……)

(この事件を正しい形で終えること)

(それが咲耶さんの、摩美々さんの意志に報いることになるんだから……!)
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/06(日) 16:40:28.18 ID:/J4PFlFB0
フロアライト
80 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/06(日) 16:41:35.98 ID:gNSguuoX0
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【クライマックス推理開始!】

【act.1】

灯織「今回の事件はかなり計画的なものでした。事の始まりは、動機提供……【かくれんぼ】の開始が宣言した日にまで遡ります。【かくれんぼ】で通達されたのは、私たちが【裏切り者】を殺害した場合にコロシアイ合宿生活をその時点で終了するというもの」

灯織「この話を聞いた、【裏切り者】の一人である咲耶さんは、自分の命を利用してコロシアイ合宿生活を終わらせる計画を思いつきます。自分の手で自分を殺す、自殺という方法を選ぶことで【裏切り者】を殺害したと主張すれば、ルールに従ってコロシアイを終わらせられると考えたんです」

灯織「その計画を思いつくや否や咲耶さんは同じユニットの仲間である摩美々さんのもとを訪ね、自分自身が裏切り者であるということ、そしてコロシアイを終わらせるための自殺を考えていることをすべて赤裸々に語りました。咲耶さんにとって、一番信用できる相手、自分の死後を託すことができる唯一の相手であった摩美々さん……彼女がその時に味わった感情は私には想像もつきません」

灯織「ですが、この夜のやり取りは間違いなく、二人の心に一つの覚悟をさせたのは疑いようもありません。だからこそ、摩美々さんはこの裁判の場でモノクマへの真っ向勝負を挑む意思を固めたんです」

灯織「……そしてその一方で、別の覚悟を抱く人間もいました。それが今回の犯人です。偶然にも咲耶さんが裏切り者であるという情報を耳にしてしまった犯人は、咲耶さんの自殺願望……そしてそれを知っている摩美々さんを盾にして犯行を行うことを思いついたんです」


【act.2】

灯織「翌日咲耶さんは私たちに対してライブの開催を提案します。自殺を考えているからこそ、最後に私たちとの思い出を作りたかったのか……今となってはわかりません。ですが彼女が【裏切り者】であったとはいえ、私たちを本当の意味で裏切っていたとは今も思えないんです……」

灯織「ライブの会場となったのは音楽室。樋口さんを除いた全員で翌日に備えてロケハンを行い、設備の確認を行うとその日はそれで解散。準備は翌日に持ち越されたわけですが……おそらく犯人の準備はこの日の晩から始まっていました」

灯織「犯人がやったのは電源ケーブルの切断です。これは停電が起きて非常電源が起動したときでも、照明だけは点かないままにするため。そして咲耶さんを感電させる凶器とするためでした」

灯織「続いて、化学室で今回の事件に持ち込む道具の調達です。犯人が調達したのは、咲耶さん以外を気絶させるための薬品A。死因のミスリードのための薬品B。そして、自殺の可能性をほのめかすための毒薬です。摩美々さんの咲耶さんの自殺に対する心構えを利用するために、服毒自殺に見せかけるための毒薬だったわけですが……結果としてそれが失敗。だって液体の毒薬を持ち込むには容器が必要なんですから」

灯織「そのことに気づかなかった犯人は、別の容器を用意することもなく中身の入っていない薬品Bのボトルだけを置いて、そのまま出て行ってしまいました。二重のミスリードを仕掛けようとした結果、見落としを作ってしまった犯人の急所になってしまったんです」

81 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/06(日) 16:42:49.67 ID:gNSguuoX0
【act.3】

灯織「そして迎えたライブ当日。犯人は最初は食堂で私たちのライブ中に摂る飲食物の準備に携わりました。これはおそらく、踏み台としてクーラーボックスを利用するため。制御室でのトリックのための下準備はこの時から始まっていたんです」

灯織「団扇を作り終えた私たちと共に、犯人は一度音楽室を訪れます。クーラーボックスを肩にかけた犯人は自然な流れで準備中のみなさんにドリンクを渡していき、その流れのまま制御室に足を踏み入れます。適当な理由をつけて制御室にいた摩美々さんを追い出した後は、トリックの準備」

灯織「本来犯人の身長では手が届かない高さにあるブレーカー。ですが犯人は持ち込んだクーラーボックスを踏み台にすることで高さの問題をクリア。ブレーカーを途中まで降ろした状態にしておいて、レバーにピアノ線を括り付ける。そのままピアノ線の反対側は、ぴんと張った状態になるように長さを調節したまま、空調設備のパネルに括りつけて準備完了」

灯織「あとはタイマーさえ設定しておけば、時間が来て空調が起動するのと同時にレバーも降りる仕掛けが成立するんです。これで犯人はその場にいなくとも音楽室の電源を落とすことが可能になり、アリバイが成立するようになるわけです」


【act.4】

灯織「おそらくこれも犯人の計画の内だったんでしょう。私たちは四階の音楽室に来る際に、チュロスを持ってきていないことに気づき、急いで食堂へと戻ることになります。おそらくこれは、私たちを分断するため。そして犯人自身が現場を離れることでアリバイを作り出すため。二重の目論見があったんだと思います」

灯織「あとは退室の直前に薬品Aを開封しておいておく。空気より重たい気体を発生させるので、この段階で誰かが吸ってしまうリスクは低い。そして、タイミングを見計らって燻煙剤を点火だけすれば勝手に仕掛けが進んでいきます。燻煙剤の着火から発煙までのタイムラグで食堂へと犯人は移動。煙が出始めたところでトリックが本格的に動き出します」
82 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/06(日) 16:43:55.94 ID:gNSguuoX0
【act.5】

灯織「突然の煙に動転した摩美々さん、愛依さん、雛菜さんたちは咲耶さんの指示通り煙を吸わないように身をかがめる。それと同時に煙は音楽室の消火設備に感知され、スプリンクラーも作動。そして16時20分になれば制御室の空調も起動。ピアノ線でつながれたレバーが降ろされたことで音楽室は真っ暗闇へ」


灯織「摩美々さん、愛依さん、雛菜さんは何が起きているのかもわからないままに薬品Aを吸うことになりそのまま意識を失ってしまいます。一方、ステージの上で他三人より高いところにいた咲耶さんは薬品Aを吸わずに済んだので意識があるまま。むしろ他の三人の返事が無くなったことで更なるパニックになっていたかもしれません」

灯織「一寸先も見えないほどの暗闇。そんな中で考えるのは、照明の復旧。前日のロケハンで非常電源の存在を認知していた咲耶さんは、非常電源を起動するためにフロアライトの明かりを道しるべに歩いていきます。実はこの時点で非常電源は正常に作動していたのですが……前日に犯人が照明系統のケーブルを切断していて、照明が点いていなかったがために咲耶さんはそのことに気づきませんでした」

灯織「でも、そのフロアライトは非常電源への道しるべであることに加えて、天国への道しるべでもありました。犯人はフロアライトの作るその道中、非常電源につないだままにしておいた断線済みのケーブルを置いておいたんです。暗闇の中、足取りは慎重になる。もしかすると、触角を頼りに触れるものすべてを探りながら歩いていた可能性すらあります」

灯織「咲耶さんが、ケーブルに触れてしまう可能性は誰の目に見ても高く……そして実際咲耶さんは……触れてしまったんです」

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灯織「そうして現場にいなくとも咲耶さんを殺害できてしまうトリックを実行したのは……」

灯織「凛世……あなただったんだね……」

【COMPLETE!】



83 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/06(日) 16:44:55.18 ID:gNSguuoX0

灯織「凛世……どうかな?間違ってるなら、指摘してほしい」

凛世「……」

灯織「私だって、凛世が犯人でないなら……それが一番だから」

凛世「……」

智代子「凛世ちゃん……違う、よね……?」

凛世「……すべては、決しました」

智代子「……そん、な」

凛世「凛世は……すべてを、認めます……灯織さんの、みなさんの導いた推理……」

凛世「凛世はご指摘の通りの犯行を、実行いたしました……」

灯織「……そう、だったんだね」

めぐる「で、でもどうして?!」

めぐる「なんで咲耶のことを殺しちゃったの?!」

めぐる「凛世だって、咲耶のことが大好きだったよね……?!」

凛世「……今回の、動機でございます……」

摩美々「【かくれんぼ】だよねー……」

凛世「先ほど摩美々さんも語っておられた、咲耶さんの【裏切り者】であるという自白……凛世も通りすがりに耳にしてしまっていたのです……」

凛世「裏切り者ならば、凛世がやらねば……凛世が殺害せねば……その義務感にかられたのです……」

智代子「凛世ちゃん……そんなに抱え込んで……」
84 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/06(日) 16:45:43.41 ID:gNSguuoX0

凛世「ライブの話を聞いた時より、此度の犯行を計画しておりました……」

凛世「ライブの話を、咲耶さんから持ち寄られた際に、事細かに会場の情報を尋ね……」

凛世「犯行に利用可能なものを探し、計画を練りました……」

めぐる「空調の設定、燻煙剤の仕掛け、停電の仕掛け……かなり計画的だったよね……」

凛世「はい、凛世一人では……とても計画が立てられず……」

摩美々「……やっぱり、円香だったんだ」

円香「その様子だと勘づいていらっしゃったんですか?」

摩美々「……まぁねー、密室制作の最後のピース。接着剤を注入したのは円香じゃないと成立しないからー」

愛依「そっか……そん時凛世ちゃんたちは相互に監視状態だったわけだし、フリーだったのは円香ちゃんだけか……」

円香「まぁ、私が協力したのは些細なところですけど」

円香「犯行計画に助言したのはしましたけど、基本準備は凛世がやったし……」

円香「あとはせいぜい裁判中の発言ぐらい?」

(……やっぱり今回の事件でも樋口さんが関与していたんだ)

(……ん?)

凛世「凛世は樋口さんと共にこの犯行計画を企て……」

灯織「ちょっと待って!」

智代子「ひ、灯織ちゃん……?」

灯織「凛世……それっておかしいよね……」

愛依「え?ど、どしたん?」

灯織「樋口さんが凛世に協力する……それっておかしいよ……」

めぐる「え?で、でも円香はコロシアイに意欲的だったよね?!」

めぐる「二人が協力関係でもおかしくないと思うけど……」

灯織「今回に限ってはそうはいかないんだよ……!」

(今回の事件で樋口さんが協力するのが矛盾である証拠を示そう……)


【正しいコトダマを選べ!】

↓1
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/06(日) 16:47:12.82 ID:/J4PFlFB0
かくれんぼ
86 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/06(日) 16:48:12.77 ID:gNSguuoX0

灯織「これです……!」

【解!】

灯織「今回の動機、かくれんぼですよ……!」

灯織「かくれんぼでは、私たちのいずれかが裏切り者である咲耶さんを殺害した場合、このコロシアイ合宿生活が終了するというルールが提示されていました」

摩美々「……それってー」

灯織「そしてそれが発表されたとき、コロシアイ合宿生活の存続を希望する樋口さんは不用意に私たちに手を出しづらくなったはずです」

円香「……」

雛菜「万が一殺した相手が裏切り者だった場合、コロシアイ合宿生活が終わっちゃうので雛菜たちを皆殺しにするチャンスが無くなっちゃいますもんね〜」

灯織「だから、裏切り者を今から殺そうとしている凛世に協力する理由が樋口さんには全くないはずなんです……!」

凛世「そ、それは……」

摩美々「……これってどういうことー?」

めぐる「ほ、ホントは咲耶は裏切り者じゃなかった……とか?」

灯織「いや、流石に本人の発言が嘘だとは思いづらいよ……」

(これは……どういうこと……?)

摩美々「咲耶が裏切り者であるがゆえに生じる矛盾はもう一つ、この合宿生活自体もそうだよー」

摩美々「凛世が裏切り者の殺害に成功したのに、かくれんぼのルールが適用されてない」

愛依「ど、どういうこと?!何が起きてるわけ?!」

モノクマ「……」

(【裏切り者】をめぐる矛盾……これは一体どういうことなの……?)

87 :これで安価は最後になります ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/06(日) 16:49:22.36 ID:gNSguuoX0
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【ロジカルダイブ開始!】


Q1.白瀬咲耶は本当に裏切り者だった?
A.裏切り者だった B.裏切り者ではなかった

Q2.どうしてコロシアイ合宿生活が終わっていない?
A.咲耶が自殺だったから 
B.かくれんぼによる合宿生活終了条件を満たしていないから 
C.モノクマがルール違反をしているから

Q3.かくれんぼの条件の内、どれを満たすことができなかった?
A.「オマエラの中に潜む」裏切り者をオマエラの手で殺害する
B. オマエラの中に潜む「裏切り者」をオマエラの手で殺害する
C. オマエラの中に潜む裏切り者を「オマエラの手で」殺害する
D. オマエラの中に潜む裏切り者をオマエラの手で「殺害する」


【正しい道筋を選んで推理を組み立てろ!】

↓1

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88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/06/06(日) 16:50:26.17 ID:LLFsavAH0
ABC
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/06/06(日) 16:51:28.31 ID:XF7bcd5T0
B→B→C
90 :お疲れ様でした。 ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/06(日) 16:52:20.07 ID:gNSguuoX0

灯織「推理はつながりました……」

【COMPLETE!】

灯織「そうか……そういうことだったんだ」

灯織「樋口さんの不自然な協力、コロシアイ合宿生活が終わらない理由……そのいずれも一つの仮説で説明がつく……」

めぐる「……仮説?」

灯織「もう一度かくれんぼにおけるコロシアイ合宿生活の終了条件を確認しましょう」

灯織「ここを見てわかるように、コロシアイ合宿生活を終わらせるには……『私たちが私たちの中に潜む裏切り者を殺害すること』が条件になっています」

愛依「う、うん……」

灯織「ここでは明らかに『私たち』と『裏切り者』が区別されてることがお判りでしょうか」

雛菜「ん〜?それはそうですよね〜」

愛依「違ったら……どうなんの?」

摩美々「……!!そ、そんな……!!」

灯織「摩美々さんもお気づきになられましたか……」

灯織「この条件を信じるのなら……コロシアイ合宿生活を終わらせずに裏切り者を殺害する方法が一つだけあるんです」

めぐる「合宿生活を終わらせずに、裏切り者を……?」

灯織「裏切り者が、裏切り者を殺害するんだよ……!」

めぐる「ふむふむ……裏切り者が、裏切り者を……」

めぐる「えーーーーーーーーっ?!」

愛依「ちょ、ちょい待ちちょい待ち!裏切り者は咲耶ちゃんなんだよね?!」

愛依「裏切り者が裏切り者を殺害って、それってつまり自殺ってことにならん?!」

灯織「いえ……必ずしもそうなるとは限りません」

灯織「そもそも私たちは前提からして間違えていたんですよ……今回の事件の犯人が凛世である以上、残された可能性はただ一つ」

灯織「凛世自身も、【裏切り者】だったんですよ……」
91 :お疲れ様でした。 ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/06(日) 16:53:08.44 ID:gNSguuoX0

智代子「り、凛世ちゃんが……裏切り者……?」

円香「……」

灯織「モノクマは何も裏切り者が一人だなんて明言していない……咲耶さんだけじゃなかったんです」

智代子「そ、そんなのありえないよ……!り、凛世ちゃん……!」

摩美々「それに、さっきの凛世の話の矛盾もそれで解決できるんだー」

愛依「ムジュン……?」

摩美々「私が咲耶が裏切り者だって話を聞いたのは私の部屋での出来事だったのでー」

摩美々「個人の部屋は全部完全防音じゃないですかー、通りすがりに話を聞くなんて不可能なんですよー」

愛依「そっか……それも凛世ちゃんがもともと裏切り者だったなら解決……」

愛依「同じ裏切り者なら、立場を知っててトーゼンなんだ……!」

凛世「何から何まで、お見通しでございますね……」

智代子「凛世……ちゃん……」

凛世「灯織さんの仰る通り……凛世は、ここでの生活が始まった時より……モノクマさまと内通しておりました……」

摩美々「……」
92 :お疲れ様でした。 ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/06(日) 16:53:58.88 ID:gNSguuoX0

モノクマ「ぶひゃひゃひゃひゃ!杜野さんの言う通り!」

灯織「も、モノクマ……!」

モノクマ「オマエラが仲良しこよししてた間も、オマエラの中にはボクの手先の白瀬さんと杜野さんが紛れ込んでいたんだよねー!」

モノクマ「それなのに協力だのなんだのって面白くて仕方ないよ!」

凛世「違います……!」

灯織「……凛世?」

凛世「凛世は、確かに間者としての任を受けておりました……」

凛世「ですが、凛世の心は常に皆さんと共に……決して、皆さんにコロシアイを強いりたかったわけではないのです……」

(……え?)

凛世「そもそも、裏切り者として与えられた仕事は……皆さんの動向調査、そして……」

凛世「万が一、事件が一度も怒らない場合は……モノクマさまに見せしめ代わりに殺されることの二つのみでした……」

めぐる「み、見せしめ?!」

愛依「そ、そんなのって……!」

凛世「真乃さんが、事件を起こしたこともあり……その任からは解かれることになりましたが……」

摩美々「咲耶も、同じことを言われていたんだねー……」

93 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/06(日) 16:55:36.01 ID:gNSguuoX0

雛菜「でも、今の話が本当なら確かに裏切り者っていうほど裏切り者でもないですよね〜」

円香「……雛菜?」

雛菜「だって、このコロシアイ合宿生活の運営に直接携わってるわけでもないし〜」

雛菜「むしろ、モノクマにいいように使われてるだけみたいな〜」

摩美々「……咲耶は、恋鐘と三峰を人質に取られて、従われたんだって言ってた」

摩美々「凛世も、そうだったんじゃないの」

凛世「……はい、お察しの通りです」

智代子「……えっ?!そ、それって……」

凛世「果穂さんと、夏葉さんです……」

智代子「か、果穂と夏葉ちゃんが……人質……?!」

凛世「お二人を人質に取られた凛世は無力で……ただ、モノクマさまの傀儡になることしかできず……ここまで参りました……」

灯織「凛世……」
94 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/06(日) 16:56:27.26 ID:gNSguuoX0

摩美々「でも、それなら……どうして、咲耶を殺したの」

灯織「摩美々さん……」

摩美々「私たちと同じ気持ちだったっていうなら、なんでよりにもよって咲耶を……」

摩美々「同じ裏切り者の、咲耶を殺して……コロシアイ合宿生活を続ける選択をとったのー……?」

凛世「凛世が咲耶さんを手にかけたのは……摩美々さんの仰る通り……このコロシアイ合宿生活を終わらせないため、でした……」

灯織「え……?」

モノクマ「はいはい!そういう長話は投票が終わった後にしてちょーだいね!」

凛世「……!!モノクマさま……」

モノクマ「杜野さんもそれでいいよね?」

凛世「……はい」

(……?)

モノクマ「それにしても田中さんは風野さんに救われたね!あの時異議を唱えてくれなかったら、今頃田中さんは処刑台の上だったよ!」

摩美々「……そうですねー」

モノクマ「さ、一応これは形式上やっとかなきゃなんで……」

モノクマ「オマエラはお手元のスイッチで、犯人と思う生徒に投票してください!」

モノクマ「裁判の結果導き出したクロは正解なのか、不正解なのかー!さあ、どっちなんでしょうかね?」
95 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/06(日) 16:57:21.17 ID:gNSguuoX0
-------------------------------------------------
    【VOTE】


〔凛世〕〔凛世〕〔凛世〕


 CONGRATULATIONS!!!!



   パッパラー!!!


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96 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/06(日) 16:58:14.67 ID:gNSguuoX0





【学級裁判閉廷!】






97 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/06(日) 17:00:18.72 ID:gNSguuoX0

というわけで4章学級裁判これにて終了です。
次回裁判終了パートへと移ります。

裁判序盤、何かと進行ガバが重なって申し訳ありませんでした。

次回更新は6/8 21:00〜を予定しております。
それではお疲れ様でした。
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/06/06(日) 17:02:08.63 ID:XF7bcd5T0
お疲れ様でした!
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/06(日) 17:05:15.94 ID:dPCmWlpC0
これってもし異議を唱えなかったらまみあじ処刑からクロ咲耶指名で全滅のBADENDだった…?
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/06(日) 20:52:12.56 ID:O/ckcJjno
そのうち埋めネタか何かでやってくれるでしょう()
101 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 20:45:01.38 ID:a3uHmeLX0
うっかりボイスアリーナ会員になってしまったので声優さんの番組を見る都合で少し遅くなります。
すみません。
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/08(火) 21:03:31.24 ID:Y76/pixg0
了解です
103 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:32:43.11 ID:a3uHmeLX0
戻りました、それでは4章裁判終了パート〜完結まで更新します。
104 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:34:19.24 ID:a3uHmeLX0

モノクマ「あっぱれ!オマエラの推理は大正解!裏切り者の白瀬さんを殺害したのは同じく裏切り者の杜野さんだったのです!」

凛世「……」

モノクマ「いやはや、今回の仕込みはみんなびっくりしてくれたみたいだね!裏切り者が二人いるとは思わなかったんじゃないかな!」

灯織「どうして……どうして、こんなことを……!」

モノクマ「どうして?それって杜野さんがオマエラを裏切った理由?それともボクが杜野さんを選んで裏切らせた理由?」

モノクマ「なんであれ深い理由はないよ!まあ強いていうなら、ユニットのメンバーを人質にする仕掛け上、高校生以外のメンバーがいるユニットを選んだってぐらいかな?」

モノクマ「あとは西城さんはお構いなしに歯向かって来そうだし、園田さんはアホっぽいし、田中さんは頭がよく働くし、幽谷さんは例外だし!消去法的なところかな!」

愛依「……許せない」

智代子「モノクマ……絶対に許せないよ……!凛世ちゃんが、モノクマと内通して……毎日どれだけ苦しんでいたか……!」

凛世「智代子さん……」

智代子「凛世ちゃんは悪くないよ!果穂と夏葉ちゃんが人質に取られてたなんて……そんな人間として最低の行為、絶対に許すわけにはいかないよ!」

モノクマ「ぶひゃひゃひゃひゃ!ボクはクマなんだけど!園田さん、視力矯正した方がいいんじゃない?」

灯織「ちがう……チョコの怒りはモノクマの後ろにいる黒幕……あなたに向けられているんだよ」

モノクマ「はぁ……そんなこと言われなくてもわかってるよ。冗談が通じないなぁ」

灯織「冗談だなんて……!人の心をどこまで踏みにじれば気が済むんですか……!」

モノクマ「ぼろきれになるぐらい擦り切れるまでは踏みにじりたいと思う所存です、はい」

めぐる「ひどすぎるよ……!」

めぐる「無理やり裏切らせた上に、関わった人たちの苦しみまで嘲笑うなんて……そんなの!」
105 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:35:59.16 ID:a3uHmeLX0

摩美々「……!!」

摩美々「もしかして、咲耶の遺書もモノクマの差し金だったんですかー?」

灯織「えっ……?」

摩美々「あの遺書の内容を鵜呑みにしてしまったからこそ、私は議論を間違った方向に導こうとしてしまった……それがモノクマの狙いだったんじゃないですかー?」

(そうだ……咲耶さんが自殺でなかった以上、摩美々さんの懐に仕込まれていたあの遺書は偽物ということになる)

(そんな非道な偽装工作……モノクマがやったに違いない……!)

モノクマ「いしょ……?」

めぐる「とぼけないでよ!裁判中も議論に出てきてたでしょ!」

モノクマ「んーと……ああ、あれか。あれのことね!」

モノクマ「多分それは杜野さんの方が詳しいんじゃないかな?」

凛世「……っ!」

智代子「そ、そんな……嘘だよ、ね……?凛世ちゃんが、あれを書いたの……?」

凛世「……はい」

灯織「り、凛世が……」

雛菜「ねえ、さっき……自分の心は雛菜たちと常に共にあって、裏切るつもりはなかったって言ってましたよね〜」

凛世「……」

雛菜「でも、遺書の偽造はそれに思いっきり矛盾してませんか〜?」

雛菜「アンティーカのアイドルが、勝手に勘違いして暴走するように仕向けた……明確に裁判に勝ちに来てるじゃないですか〜」

(……!!)

(確かに、そうなる……あれは完全なミスリード……そんな証拠品をでっち上げた時点で凛世は、私たちを欺こうとしていたことになる……)
106 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:37:06.62 ID:a3uHmeLX0

智代子「で、でも……生き残るためには、凛世ちゃんも仕方なかったことだし……」

雛菜「雛菜たちと協力するっていう意思表示をしてきたのに〜、ここに来て雛菜たちは生きてても死んでてもいいってそれなんかおかしくないですか〜?」

智代子「もうやめてよ!」

雛菜「え〜?」

智代子「これ以上……凛世ちゃんを苦しめないであげてよ……!」

愛依「チョコちゃん……」

雛菜「……確かに、お友達からすれば雛菜がいじめてるように見えるのかもしれないですけど……ここを明らかにしないのは違うと思うんですよね〜」

雛菜「別に雛菜もいじめてるつもりじゃないんです、ただ真実を明らかにしたいのは雛菜も同じなんですよ〜」

智代子「で、でも……」

凛世「智代子さん、いいんです……凛世の口から、語らせてください……」

灯織「それって裁判の最後に語ろうとしていた……『コロシアイ合宿生活を続けようとした』ことと関係してるの?」

凛世「……はい」

めぐる「コロシアイ合宿生活を続けたかったってこと……なんだよね?どうして……?」

めぐる「わたしたちと同じ気持ちだったら、むしろ全員生き残ることを目指したかったんじゃないの……?」

凛世「凛世の気持ちが、みなさんと共にあることと……生還を望む気持ちとは、必ずしも同じでないのです……」

円香「……それ、どういう意味?」

凛世「この学園から、生きて出ていくこと……それは死するよりも、残酷なことなのでございます……」

灯織「……え?それってどういう意味……!?」

凛世「……詳しくは、語れません」


凛世はちらりとモノクマの方を見やる。
ということは、核心的なことを話すのは人質のお二人に危害が及ぶ可能性があるということなんだろう。
107 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:38:25.85 ID:a3uHmeLX0

凛世「ただ、今コロシアイ合宿生活が終われば……これまでのみなさんの苦しみ、そして想いが……泡沫に散り果てることとなってしまうのです……」

凛世「ここで生活が終わるくらいなら、みなさんをここで……凛世の手で弔いたく、この裁判を起こさせていただいたのです……」

(死以上に苦しむことになる生還……?)

灯織「……凛世は、凛世なりに考えてこの事件を起こしたってことだったんだね」

凛世「……左様です」

めぐる「だとしてもだよ!」

凛世「……めぐるさん?」

めぐる「だとしても……なんで、なんで……わたしたちのことを頼ってくれなかったの!?」

(めぐる……)


めぐるの目からは大粒の涙が流れ落ちていた。
前回の裁判で、私たちは周りのみんなと助け合い、前に進むことを誓い合った。
それに強く賛同してくれた凛世は、私たちを頼らず抱え込んで……そして、この事件を起こしてしまった。
裏切り者であることを打ち明けることは高い高いハードルだ。
でも、もしも……私たちが凛世のことをもっと知っていれば……この事件は防ぐこともできたのかもしれない。


凛世「申し訳、ございません……」

めぐる「……うぅ」


でも、めぐるもわかっている。
人質を取られて、こんなわけのわからない事態に巻き込まれて……
人を信用していても、それを打ち明けるには勇気が……命を投げ出す覚悟も必要になる。
自分の命だけじゃない、他の人の命、大事な人の命だってかかわる問題だ。
凛世を責めることは、できない。
108 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:40:18.98 ID:a3uHmeLX0

摩美々「ねえ、円香は今回の事件どこまで知ってたのー?」

円香「……はい?」

摩美々「凛世も言ってたけど、今回の事件にも関与してたんでしょー?」

円香「……ええ、まあ。といっても今回は大したことは。せいぜい音楽室の扉に接着剤を注入したぐらいのもので」

円香「凛世が裏切り者だとは聞いていましたけど、私が頼まれたのはそれくらいでした」

(そう、樋口さんと凛世は……コロシアイを続けるという目的が合致したがゆえに手を結んでいた)

(それなのに、今回の樋口さんの事件へのかかわり方は……思っていたより希薄だ)

灯織「凛世……もしかして、ずっと迷ってたんじゃないかな」

凛世「灯織さん……?」

灯織「というよりも、今も迷ってる……自分の選んだ道について、自分の決断について……その善悪の判断をしかねている。そんな風に見えるんだ」

凛世「……」

凛世「それは、買い被りです……凛世は、醜悪に生に縋っただけ……それ以外でも、それ以下でもございません……」

(凛世はきっとどれだけ言っても認めないだろう。彼女はそういう奥ゆかしい女の子だから)

(だから、このことは胸に刻み付けておこう。凛世がそれを望むのなら、私たちはあえて口には出さない)

(それが凛世を、私たちが信じることになるから)
109 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:43:11.60 ID:a3uHmeLX0

モノクマ「さてと、もうそろそろいいですか?他に何か話したいことは?」

智代子「も、モノクマ!ちょっと待ってよ……まだ、まだ!話し足りないよ!」

凛世「智代子さん……」

智代子「凛世ちゃん、一緒に帰ろうって誓ったよね?!樹里ちゃんの気持ちを、命を受け継いで……一緒に生きていこうって言ったよね?!」

智代子「それで、一緒に日常に戻って……また一緒に買い物に行って、おいしいお菓子を食べて……また同じステージに立つって……!」

智代子「こんなお別れなんて……絶対嫌だよ!」

凛世「智代子さん……!」

凛世「凛世も、凛世も……一緒にこれからの時を過ごしたかった……!」

灯織「凛世……」

凛世「ですが、それは叶わない……凛世が、愚かにも……咲耶さんを手にかけてしまったから……」

智代子「……うぅ、そんなの、そんなのって……」

凛世「智代子さん……こんな凛世がお申し付けするのは、道理に沿わぬことですが……一つだけ、お聞き入れいただいても……よろしいでしょうか……」

智代子「……え?」

凛世「断じて行えば鬼神も之を避く……その心を、不惑のままでいれば……智代子さんの行く道に、障害などありません……」

凛世「どうか、うつけの凛世のように……どっちつかずの判断となるのではなく……」

凛世「皆さんを信じ、共に生きていく……その信念を、最後まで通してくださいませ……」

智代子「凛世ちゃん……!」

凛世「そして、摩美々さん……」

摩美々「……何―?」

凛世「摩美々さんにお渡しした咲耶さんの遺書、あれは完全な偽造ではございません……」

摩美々「……え」

凛世「あれは、凛世が新たに別紙に書き写したもの……遺書の原本は、こちらに……」

摩美々「な、なんで凛世が……」

凛世「咲耶さんと凛世は、双方ともに裏切り者であることを承知の上でした……」

凛世「そして、かくれんぼのルール提示のあの日……摩美々さんのもとを訪ねるより先に、咲耶さんは凛世の部屋に……」

110 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:44:20.07 ID:a3uHmeLX0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【凛世の部屋】

ピンポーン

凛世「もし……咲耶さん……?」

咲耶「……凛世、話があるんだ」

凛世「……お入りください」

~~~~~~~~~

咲耶「凛世……同じ十字架を背負ったキミにだからこそ、この話をさせてもらうよ」

凛世「【かくれんぼ】について、でございますね……」

咲耶「……モノクマはもう手段を択ばないところまで来ている。摩美々や灯織の活躍もあって、私たちの団結力はすさまじいものになっているからね」

凛世「はい……霧子さんの裁判では……胸打たれる演説を……」

咲耶「だからこそ、脱出という餌をつるして無理やり事件を起こそうとさせている」

凛世「はい、脱出などと……モノクマさまの策謀が」

咲耶「私もできることならみんなを脱出させてあげたい」

凛世「……っ?」

(このとき、凛世は悟りました……コロシアイ合宿生活【終了の意図】は、咲耶さんには伝えられていないということに)
111 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:45:17.11 ID:a3uHmeLX0

咲耶「でも、彼女たちの手を汚すわけにはいかない……ここを出た後の人生に大きく影を落とすことになってしまう」

(ですが、そのことを咲耶さんに伝えることはできず……モノクマさまに、口止めをされていましたから……)

咲耶「だから私は……自らその命を絶とうと思っている」

凛世「じ、自害……ということですか……」

咲耶「ああ、私が自分の命を懸ければ……自分で自分を殺害すれば、裏切り者を殺害するという条件を満たすことができるはず、そう思ってね。なんたって理屈っぽいモノクマのことだ、押し切れなくはない」

咲耶「もし失敗したとしても、この動機は流れて……彼女たちが殺人に手を染める可能性は再び下げることができるはずだ」

(凛世は咲耶さんの話を聞きながら思考をしておりました……)

(咲耶さんの意志は固い、しかし……このままコロシアイ合宿生活を終わらせてしまえば、それは咲耶さんも望まない結末を迎えてしまう……)

(凛世のなすべきことは、なんなのか……)

咲耶「だから凛世、キミにこれを託したい」

凛世「こちらの書状は……」

咲耶「私の遺書だ。私が自殺を終えたその時、みんなの前で読み上げてほしい。中には私が裏切り者であったこと、そして私からみんなに伝えたいメッセージがかかれている」

咲耶「同じく裏切り者のキミにこれを託すのは、少々ずるいことだとは思うんだけどね」

(最後に見せた咲耶さんの笑顔は、もの悲しく……)

(そして、とても美しく、凛世の瞳には映りました……)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

112 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:46:13.90 ID:a3uHmeLX0

凛世「ですから、あの遺書に書かれていたのは咲耶さんの真意でございます……」

凛世「咲耶さんは、最後までみなさんのことを……愛しておりました……」

(……咲耶さん)

摩美々「凛世……それでも私は、咲耶を手にかけた凛世のことは許せない」

凛世「摩美々さん……」

摩美々「でもきっと、天国の咲耶は今頃退屈にしてるだろうから……あっちに行ったら、仲良くしてあげてほしいかなー」

凛世「……!!」

凛世「お心遣い、感謝します……」

摩美々「多分咲耶は、気にしてないと思うからさー」


摩美々さんは、そう言って笑った。
泣きながら笑っている。摩美々さんらしい……別れ文句だと思った。

113 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:47:53.64 ID:a3uHmeLX0

モノクマ「はいはい、これで話もひと段落かな!」

モノクマ「ふぅ〜……ちょっと話させてやろうと思ったらまあまあ長話するんだもん、困っちゃうよね」

智代子「……うっ……うっ」

摩美々「……」

モノクマ「というわけで、お待ちかねのおしおきタイムだよー!」

凛世「牽衣頓足ではございますが……お別れの時です……」

灯織「凛世……」



モノクマ「今回も、超高校級の日本舞踊家である杜野凛世さんのために、スペシャルなおしおきを用意させていただきましたぞ!」



凛世「本当に、申し訳ございませんでした……」

凛世「ですが、うつけ者の凛世に……最後に一つだけ我儘を言わせてもらえないでしょうか……」



モノクマ「それでは張り切って参りましょう!」



凛世「叶うのなら、凛世の墓前には……紫苑の花を……」



114 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:49:27.82 ID:a3uHmeLX0





モノクマ「おしおきターイム!」

凛世「紫苑の花言葉は、『あなたを忘れない』ですから……」





115 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:50:45.06 ID:a3uHmeLX0
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GAMEOVER

モリノさんがクロにきまりました。
おしおきをかいしします。



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116 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:52:29.59 ID:a3uHmeLX0

夜桜……この国が世界に誇る自然の芸術ですね。
人々が篝火を焚き、暖かな光が花弁を照らす。
月明かりの下散りゆく桜色の雪は、いつの時代も私たちの心を掴んで離しません。

しかし、桜の花が散りゆく中で、今にも散り行かんとする命が一つ。
白装束に身を包むのは杜野凛世。
目の前には台の上に置かれた短刀。

殺人という罪に手を染めた彼女、その幕引きは自分の手で引かねばなりません。
古くからこの国に伝わる、【切腹】という作法で。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

凛として散る花の如く

超高校級の日本舞踊家 杜野凛世 処刑執行


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

切腹とは文字通り自分の手で腹を掻っ捌く行為。
並大抵の覚悟では行えません。

____大きく息を吸う。

杜野さんの呼吸に合わせるように脇に控える見届け人モノクマたちが鼓を打ちます。
どうせ見送るなら盛大に。
太鼓を乱れ打ち、盆踊りを踊って、神楽の龍も空に舞う。

杜野さんを和の文化で盛大に見送りましょう。
117 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:54:36.03 ID:a3uHmeLX0

_____頬を汗が伝う。

もう逃げ場などありません。
杜野さんの後ろには介錯人が控えています。
下手な気を起こせば即座に首を跳ねられて終わり。

震える体、浅くなる呼吸。
ギュッと目を閉じる。

_____覚悟を、せねばなりません

短刀をその手に持った!そして刃先を自らに向け……

最後に一度、深呼吸。

さらば、現世よ!
ええい、ままよ!






杜野さんがその刃を自分の腹に突き立てようとしたその時でした。

外野の見届け人モノクマたちは盛り上がり過ぎてしまったようです。
いつのまにか酔いも回ってへべれけ状態。

おっと、危ねえ危ねえ転んじまうとこだった。
どうも暗くていけねえなあ、もっと明るくしとくれや。

〽️灯りをつけましょ爆弾に
ドカンと一発 爆殺だ
五人囃子の笛太鼓
今日は楽しい おしおきだ

あーあ、せっかく覚悟を決めたのに……
杜野さんどころか桜の木まで木っ端微塵。

風流もクソもあったもんじゃないね。

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118 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:55:40.05 ID:a3uHmeLX0

モノクマ「ひゃっほーーーーう!エクストリーム!」

モノクマ「杜野さんみたいな物静かなインキャも、散り際ぐらいは華々しく!いやぁ、おしおきっていい文化ですね!」

智代子「……りんぜ、ちゃん」


凛世が、処刑された。
目の前で起きた凄惨で衝撃的な光景が目に焼き付いている。
彼女は死の間際、その瞬間まで裏切り者となってしまった自分のことについて責任を感じ、その想いのまま亡くなってしまった。
なんて言葉をかけるべきだったんだろうか。彼女を許してあげるべきだったんだろうか。
そこに正解なんてない。それはわかっているけど、私たちはそのループする思考を止めることができずにいた。


モノクマ「あ、そうだ!一応言っておくと【かくれんぼ】は今回の事件でもうおしまいだからね!」

モノクマ「まぁそもそも裏切り者が残ってないからそれ以前の問題なんですけどね!」

円香「……ふぅん、それ言っちゃっていいんですね」

モノクマ「別に隠すもんでもないでしょ、このコロシアイもそろそろ終盤だしね!」

めぐる「一体いつまで続けるつもりなの……?」

モノクマ「正直いつ終わってもいいっちゃいいんだけどさ……どうせならもうちょっと数を絞ろうかなーって」

灯織「……数を絞る……?」

モノクマ「それにさ、ボクは樋口さんに期待してるんだよ」

円香「……」
119 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:56:35.82 ID:a3uHmeLX0





モノクマ「いい加減見せてくれるんだよね?キミの考える【絶望計画】をさ!」





120 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:57:32.04 ID:a3uHmeLX0

灯織「絶望、計画……?」

モノクマ「オマエラのことを殺したくて殺したくて仕方ない樋口さんが考えた……オマエラを絶望の渦に落とし込むための計画なんだって!」

めぐる「な、なにそれ……!円香!?」

円香「……ご心配には及びません」

円香「私の方ももうすぐ準備が整いますから」

灯織「樋口さん……どういうおつもりなんですか……!?」

円香「……ふふ、焦らなくてもわかるから」

摩美々「よくこんな状況で笑えますねー……」

円香「とっくの前に宣言したはず、灯織にはね」

灯織「……!!」

円香「私は必ず誰かを殺す、その時は……もうすぐ」

愛依「そ、そんなんって……!」

円香「あなたたちの仲良しごっこも、どこまで続くのか見物ですね」


樋口さんはそうやってモノクマと二人でほくそ笑むと、また我先にと裁判場を後にしてしまった。
残されたのは凛世の死の絶望と、樋口さんの言う計画に対する不安にどっぷりと浸かってしまっている私たち。
121 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 22:00:02.58 ID:a3uHmeLX0

めぐる「円香……どうして、なの……咲耶と凛世の想いも円香には届かなかったの……!?」

灯織「……本格的に、樋口さんは対策を講じなくてはいけませんね」

雛菜「……」

めぐる「……これから、どうすればいいんだろう」



この合宿生活は終わらない。コロシアイは終わらない。
そして、どうしても凛世の犯行理由も気にかかる。
ここでの生活を終わらせることもまた絶望であるのならば、私たちはどこに向かっていけばいいの?


灯織「……」

めぐる「……」

摩美々「……」


もう空元気でどうにかなる話でもなかった。
前まではこんな時に率先して導いてくれた咲耶さんももういない。
……この空気は、覆らない。


そこから、何を話して、何をして、自分の部屋に戻ったのかわからない。
気が付けば私は自分の部屋のベッドに横になっていた。

もういっそ明日なんか来なければいいと思った。
生きても死んでも絶望、そんな生活ならば時計が進まないままでいい。

一生私は今だけのこの空虚な時間で、空気を吸って埃を食べて……人とも言えない状態になり果てる方がましだ。


122 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 22:00:48.49 ID:a3uHmeLX0





「もう……いいよ」





123 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 22:01:43.17 ID:a3uHmeLX0
-------------------------------------------------
【???】

智代子「もう、わたしだけになっちゃった……」

智代子「樹里ちゃん、凛世ちゃん……放クラ、もうわたしだけだよ……?」

智代子「どうして、こんなことになっちゃったんだろう……」

智代子「……」カサッ

智代子「……全然、味がしないや」

智代子「みんなで一緒に食べたお菓子なのに……あんなに大好きだったお菓子なのに……」

智代子「……おいしくない」

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124 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 22:02:31.42 ID:a3uHmeLX0
-------------------------------------------------
【???】

愛依「凛世ちゃんと、咲耶ちゃん……二人は裏切り者だった……」

愛依「二人とも、キョーハクされて、無理やり……」

愛依「でも、それって……人質は無事ってことじゃん……」

愛依「うちらが動機で見せられたビデオの二人も……」

愛依「あさひちゃんと、冬優子ちゃんも……きっと……」

愛依「なら、うちは……うちは……」

-------------------------------------------------
125 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 22:04:18.24 ID:a3uHmeLX0
-------------------------------------------------
【???】

摩美々「……ああ、咲耶の字じゃんこれー」

摩美々「凛世、必死にまねて書いたみたいだけどこうして比較すると全然違うし……」

摩美々「……」

摩美々「ホント、咲耶もバカだよねー……摩美々に託すには荷が重すぎますってー……」

摩美々「はぁ、摩美々は悪い子だからしっかり咲耶のお願い聞くとは限らないのにねー」

摩美々「……」

摩美々「やれるだけのことはやってみてもいいかもねー……」

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126 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 22:05:26.52 ID:a3uHmeLX0
-------------------------------------------------
【???】

雛菜「……雛菜が、やらないと」

雛菜「円香先輩の暴走を止められるのは、雛菜だけ」

雛菜「だって、幼馴染なんだもんね……」

雛菜「他のみんなには、円香先輩のことはきっと……わからないから」

雛菜「雛菜がみんなを守らないと……雛菜が、ケリをつけないと……」

雛菜「雛菜は雛菜のやりたいことだけをやるから」

雛菜「見てて、透先輩、小糸ちゃん」

-------------------------------------------------
127 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 22:06:22.06 ID:a3uHmeLX0
-------------------------------------------------
【???】

円香「……ふふ」

円香「結局あの『コトキレルX』の所在を特定せずに裁判は終わった……」

円香「……やっと、透と小糸のために……私も」

円香「この時を、待ち望んでいた」

円香「煮えたぎるような、溶岩のような……そんな感情をもう押さえつける必要はない」

円香「想いに、殺意に身をゆだねて」

円香「_______ただ私は、獣になり果てる」

-------------------------------------------------
128 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 22:07:24.88 ID:a3uHmeLX0
【???】

「……行こう」

「わたしは灯織みたいに推理したり、難しいことを考えたりはできない」

「でも、きっとそんなわたしでも……わたしだからこそ、出来ることがあるんだよね」

「……うん、決めたよ」

「少しでも悩んだり、苦しんだり、脚を止めたりしている時間があるなら……わたしはその時間で一歩を踏み出す」

「全力で動いて、全力で抗って、全力で立ち向かうんだ……!」
129 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 22:08:37.83 ID:a3uHmeLX0





「それが残ったわたしにできること、なんだよね……真乃」




130 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 22:09:45.00 ID:a3uHmeLX0
-------------------------------------------------

【CHAPTER 04 Marionetteは絶望と眠る】

END

残り生存者数 7人

To be continued...

-------------------------------------------------
131 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 22:10:57.52 ID:a3uHmeLX0

【CHAPTER04をクリアしました!】

【学級裁判クリア報酬としてモノクマメダル52枚を入手しました!】

【CHAPTER04クリア報酬としてアイテム『藁人形』を手に入れました!】
〔CHAPTER04を生き抜いた証。凛世がかつて想い人を投影していた人形は、解れてしまって見る影もない〕

【CHAPTER04クリア報酬としてスキル『水色感情』を習得しました!】
〔学級裁判で不正解時コトダマが減少して正解が導きやすくなる〕

132 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 22:12:54.70 ID:a3uHmeLX0

というわけで4章完結したところでここまで。
いよいよストーリーは終盤も終盤、5章へと突入します。
現状5章はまだ書き溜めもないので、またしばらくの間お休みをいただきます。
一応ストーリーの終わりまでは考えてあるので、エタることの無いよう完走まで頑張る所存です。

それでは4章もお付き合いいただきありがとうございました。
また5章更新時にお会いしましょう。
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/08(火) 22:15:52.01 ID:7GUyyRdW0
乙です
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/08(火) 22:17:57.00 ID:Y76/pixg0
お疲れ様でした
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/08(火) 22:21:23.37 ID:ln/SFvEe0
乙です!
円香は原作2-5っぽくなりそう…
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/09(水) 01:13:07.43 ID:m294cVro0
乙です。
円香がどう動くのか期待
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/11(金) 01:14:06.25 ID:zXS+LiuU0
乙です。二転三転して面白かったー
クライマックス推理 act.1、灯織が裏切り者の1人って発言したからまさかと思ったけど本当に複数いるとは…
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/06/12(土) 10:22:25.93 ID:5BnH461X0
Chapter1とEX以外のタイトルはパロディ?
Chapter2→デレステ「共鳴世界の存在論」の歌詞
Chapter3→平松愛理「部屋とYシャツと私」
Chapter4→ミリシタ「Marionetteは眠らない」
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/06/19(土) 00:43:31.01 ID:iESGqDgr0
乙です すげぇ面白くて楽しみな気持ちと放クラ担当として辛くなる気持ちで続きが気になって仕方ないです、期待してます
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/30(水) 00:29:51.69 ID:fOXUMQkZ0
乙です pixivの方から一気読みで追いついた…
次で5章だから円香が何かやらかしそうだし、舞台設定も原作に近そうではあるけどそれだけではなさそうだし、先が楽しみだ
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/30(水) 02:26:22.19 ID:VwBp/BEK0
一気読みした
滅茶苦茶面白いし続きも期待
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/02(金) 18:18:11.97 ID:pqILlQRK0
続き待ってます!
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/21(水) 01:28:42.56 ID:h7KIJ8D50
続きのんびり待っとるで〜
144 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/21(水) 21:04:32.62 ID:2fsxRw+e0
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GAMEOVER

シラセさんがクロにきまりました。
おしおきをかいしします。



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145 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/21(水) 21:05:31.75 ID:2fsxRw+e0

さあさあ、今年も始まりました!
モノクマガールズコレクション!

全国の女子高生が注目するこのファッションショーに、なんと!ななななんと!
あの伝説的カリスマモデル、白瀬咲耶が戻ってきたァーーーーーーッ!!!


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

殲夜アリア

超高校級のモデル 白瀬咲耶 処刑執行


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

流石は白瀬さん、抜群のスタイルに誰もを唸らせるクールな表情で魅せてくれますね。
ファーストルックからクールにスーツスタイルでキメッ☆
観客の女子高生たちも黄色い歓声をあげます!
146 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/21(水) 21:06:29.53 ID:2fsxRw+e0

このファッションショーは白瀬さんの独壇場、次々から次へとスタイルチェンジしては何度もランウェイへ。
赤に緑に青に黄、スパンコールにドレスにワンピース。
意匠を凝らした色鮮やかな美しい衣装に身を包み、回転寿司のレーンのように出ては入って出ては入ってを繰り返します。
過酷ですがこれがモデル業!
白鳥が水面下でバタ足をするように、華々しい世界の裏には弛まぬ努力があるのです!
白瀬さんも疲れが溜まってきてはいますが、表情は鉄仮面をつけたかのように崩しません。
ランウェイで表情を崩すのはタブー。笑うなんて持ってのほか。

それがモデルとしての義務であり矜持なのです!

しかし、芸能業界には大きな闇があります。

_______それは『嫉妬』。
堂々とライトを集めれば集めるほどそのライトの下にいない、暗中の少女たちは嫉妬の炎を燃やしてしまうのです。
147 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/21(水) 21:08:09.99 ID:2fsxRw+e0

ああ、可哀想に寸胴体系に生まれてしまったばかりにモデルモノクマはライトを浴びることはできません。
それなら嫉妬に走っても仕方ないですよね。
白瀬さんもトップモデルですしヒールに細工をされたぐらいじゃ大丈夫なはず……


……あれ?

あらら、ブッサイクに転んじゃってますね。ドレスも破けちゃってあれまあ!
そりゃ観客たちも怒り狂いますよ!
彼女たちが見たかったのはクールビューティ白瀬咲耶。こんな新喜劇みたいなのはお呼びじゃない!

白瀬さんの全身を包み込むのはランウェイのライトなんかではなく、カメラのフラッシュの好奇の光。
光の合間を縫って投げ込まれる観客からの罵声とゴミ。
埋もれるような失望に飲み込まれ、飲み込まれ……






ごみ山の中で誰にも見られることなく、
ボロ切れみたいなドレスを着たままひっそりとスーパーモデルは息を引き取りましたとさ。
148 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/21(水) 21:08:52.15 ID:2fsxRw+e0

というわけで大体一か月半ぶりですね。
149 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/21(水) 21:14:43.52 ID:2fsxRw+e0

というわけで大体一か月半ぶりですね。
久しぶりで改行の使用を忘れてShiftキーを押したまま改行してしまった……

お待たせしました、なんとか5章再開の準備ができて来たので近いうちに再開予定です。
5章書き溜めを点検などして問題なければ今週末からでも。
現状では7/22(土)21:00〜を予定しています。

物語も終盤に差し掛かります、どうかお付き合いいただければ〜!

>>138
章のタイトルでパロディするならするで
もっと早くからちゃんとアイマスになぞらえてやっときゃよかったですね…
1章とか3章とか浮きすぎている……
一応各章のタイトルは章の中身のニュアンスをふんわりと表している(つもり)


150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/21(水) 21:17:20.36 ID:eSBFK2LRo
久々に乙
151 : ◆zbOQ645F4s [sage saga]:2021/07/21(水) 21:51:31.11 ID:2fsxRw+e0
>>148
滅茶苦茶ガバってますね…

× 使用 →〇 仕様
× 7/22(土)→7/24(土)
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/24(土) 17:36:32.30 ID:3McXtLMe0
たのしみ
153 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 20:55:20.58 ID:W2C/KaPl0
予定通り5章より再開いたします。
学級裁判を跨ぎ一か月以上空いたので改めて主人公周りの情報を整理しておきます。

なお、今回の更新では自由行動まで進むことはないと思うので予めご了承を。

-------------------------------------------------
【5章現在での主人公の情報】

・習得スキル
【一番星の魔法】
〔自由行動二回目終了時にモノクマメダル10枚を消費することで、その日の自由行動を一回プラスすることができる〕

【ポシェットの中には】
〔自由行動のある日に限り一日の終わりにコンマ判定を行い、末尾の数字の枚数分だけのモノクマメダルを獲得できる〕

【意地っ張りサンセット】
〔反論ショーダウン・PTAのコンマ値の基礎値が+10される〕

【包・帯・組・曲】
〔学級裁判で不正解時のペナルティを三回まで無効化する〕

【HAPPY-!NG】
〔交流による親愛度上昇が+0.5される〕

【摩的・アンチテーゼ】
〔反論ショーダウン・PTAでコンマ値の基礎値が+15される〕

【水色感情】
〔学級裁判で不正解時コトダマが減少して正解が導きやすくなる〕


・現在のモノクマメダル枚数…123枚
154 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 20:56:42.37 ID:W2C/KaPl0
・現在の所持品

【ミネラルウォーター】
【虹色の乾パン】
【色恋沙汰リング】×2
【スカラベのブローチ】×3
【あしたのグローブ】×2
【おでこのメガネ】×2
【はっぱふんどし】×2
【白うさぎの耳あて】
【もちプリのフィギュア】×2
【ラジオ君人形】
【残鉄剣】
【狂戦士の鎧】
【毛虫くん】
【昭和ラジオ】
【黄金のスペースシャトル】
【聖徳太子の地球儀】
【ミレニアム懸賞問題】
【携帯ゲーム機】
【プロジェクトゾンビ】
【動くこけし】
【オブラート】
【スモールライト】
【古代ツアーチケット】×2
【もしもFAX】
【隕石の矢】
【アゴドリル】×2
【みどりの着ぐるみ】
【あかの着ぐるみ】
【EYE GRASS】
【ジャスティスV変身ベルト】
【ログインボーナス】
155 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 20:58:48.16 ID:W2C/KaPl0
【ここまでの親愛度】

・【超高校級の飼育委員】櫻木真乃……1.0【DEAD】
・【超高校級の占い師】風野灯織……(主人公)
・【超高校級の助っ人】八宮めぐる……0

・【超高校級の保健委員】幽谷霧子……0【DEAD】
・【超高校級のモデル】白瀬咲耶……3.5【DEAD】
・【超高校級の服飾委員】田中摩美々……12.0

・【超高校級の幸運】園田智代子……3.0
・【超高校級の応援団長】西城樹里……3.0【DEAD】
・【超高校級の日本舞踊家】杜野凛世……2.0【DEAD】

・【超高校級のゲーマー】大崎甜花……3.0【DEAD】
・【超高校級のスタイリスト】大崎甘奈……1.0【DEAD】

・【超高校級のギャル】和泉愛依……2.0

・【超高校級の???】浅倉透……0【DEAD】
・【超高校級のディベート部】樋口円香……6.0
・【超高校級の帰宅部】市川雛菜……12.0
・【超高校級の学級委員】福丸小糸……12.0【DEAD】

-------------------------------------------------

以上です、それでは第5章開始いたします。
156 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:00:21.72 ID:W2C/KaPl0





___________一人目は不運に巻き込まれて。






157 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:02:41.65 ID:W2C/KaPl0

一人目は不運に巻き込まれて。
突然放り込まれた状況を理解も出来ず、ただわめくうちに仲間を手にかけてしまいました。
まさかそれが、この長い長い物語の始まりになるとも思わずに。

二人目は強さに憧れて。
強さの象徴と弱さの象徴が巡り合ったのは運命のいたずらか。
不思議と引き付けられた二人はみんなが寝静まった夜中に秘密の会合。
二人で強さを語らいます。その結果、二人は強さの倒錯を知り、本当の強き者は本当の弱き者の前に散り果てました。

三人目はエゴイズムに飲まれて。
ただ己が欲求を満たすためだけに二人もの人間を手に駆けました。
想いを同じくした二人の仲を引き裂いて、わざわざ不審者の存在を作り出してまで。
混迷で煙に巻こうとするのは人間の浅ましさか。

四人目は仲間のため。
裏切り続けた罪悪感と自己嫌悪。
自分の心に打ち込まれた楔は日を重ねるごとに大きくなり、やがて心臓もろとも突き破りました。
その結果の選択は仲間を救うと信じて、大きな決断に踏み切ったのです。


五人目は……………………

………………………
………………………
………………………
………………………
………………………
………………………
………………………
158 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:03:23.77 ID:W2C/KaPl0





………………………五人目なんか、いたか?





159 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:04:22.95 ID:W2C/KaPl0
-------------------------------------------------


CHAPTER05

Die the sky.

(非)日常編


-------------------------------------------------
160 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:06:04.25 ID:W2C/KaPl0


…………

……………………

…………………………………………
…………………………………………
…………………………………………
…………………………………………




…………………………………………ダメ。




161 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:06:46.88 ID:W2C/KaPl0

灯織「……はぁ」


裁判を終えて、もう動く気力も湧かず。
樋口さんの殺意を食い止める術を考えても、答えが出るはずもなく。
思考の堂々巡りがより一層靄を濃くするばかり。
ただひたすらに夢の世界に篭りたい一心で瞳を閉じ続けてきたけどこれ以上は眠れないらしい。


灯織「……なんだか、お腹が空いたな」


動きたくもないのに、誰かと話したくもないのに。
体は私の意思とは無関係に栄養を欲する。
別に何もいらないけど、眠ることもできそうにない。
むしろ眠るためには何かを口に入れて血糖値をあげたほうがいいかもしれない。


灯織「そういえば今、何時なんだろう」


睡眠も食事もいつのまにか疎かになっていた、モノクマのアナウンスも聞いていないしこの部屋には窓一つない。
もしかしたら夜時間真っ只中なのかもしれない。

……一応、出歩きは禁止だけど。


灯織「……行こうか」

162 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:08:42.76 ID:W2C/KaPl0
-------------------------------------------------

【寄宿舎エリア 廊下】


廊下に出ても人の気配はない。みんな寝ているのか、それとも学校エリアにいるのか。

……まあ、いいか。
食堂に行こう。夜時間なら閉鎖されてるだろうから、ダメだった時は倉庫かな。

-------------------------------------------------

【食堂】


ガチャガチャ

ダメ、閉まってる……
やっぱり今は夜時間なんだ。あの事件から、咲耶さんと凛世の死から数えて……何日めなんだろう。

……寝過ぎて頭痛すらする。
考えがまとまらない。

とりあえず、倉庫に行こうかな。

-------------------------------------------------
163 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:10:01.89 ID:W2C/KaPl0
【倉庫】

倉庫には生活用品以外にも豊富な食料が保管されている……小糸やチョコとの交流でも確認した通り。
お菓子でもなんでも口に入れるだけならなんとかなるだろう。

大きなあくびをしながら扉を開けた。

……何も考えずに。


愛依「……えっ?!灯織ちゃん?!」

灯織「め、愛依さん?!」


倉庫の扉を開けるとそこには蹲み込んで段ボールの箱を漁る愛依さんの背中があった。


愛依「え、ひ、灯織ちゃん大丈夫なん?!病気とかじゃ……」


私の姿を確認するなり、飛びつかんばかりの勢いで側にやってきて私の手を取った。
寝起きそのままの形で出てきてしまったのに愛依さんが顔をマジマジと見てくるのでよろけてしまった。


愛依「わ、灯織ちゃん?!やっぱチョーシ悪い系?!保健室行く?!」

灯織「い、いえ!そういうわけではないので……」

愛依「そ、そうなん?でも久しぶりに灯織ちゃんの姿見れてマジでよかった〜〜〜!うちらみんな心配してたんだかんね!」

灯織「そ、そうなんですか……?」

愛依「うん!裁判の後から部屋から出なくなっちゃったから……めぐるちゃんとか毎日部屋のインターホンも鳴らしてたと思うんだけど」


そういえば何回か部屋のインターホンが鳴らされていたような気もする。
私はそれにすら耳を閉ざしてしまっていたけれど……あれはめぐるだったんだ。
164 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:11:29.29 ID:W2C/KaPl0

愛依「ご飯とかちゃんと食べてる?!睡眠はとってる?!」

灯織「め、愛依さん……ありがとうございます、ご心配をおかけしました」


塞ぎ込んでいたのは……私だけだったみたいだ。
あれだけ周りに希望だなんだの強いて来たのに、結局足を引っ張ってしまっている。情けない限りだ。


灯織「……立ち止まってるだけじゃダメだって、みなさんに偉ぶって伝えてきたのに私が一番できてなかったですね」

愛依「灯織ちゃん……うちが言うのもおかしな話だけどさ、弱い気持ちを隠したり意地張ったりする必要って無いと思う」

灯織「愛依さん……」

愛依「うちらは友達じゃん?」

灯織「はい……すみません、友達……を裏切ってしまうような真似を……」

愛依「いや、それも違う!」

灯織「愛依さん……?」

愛依「灯織ちゃんはうちらのことを考えて考えて……その結果パンクしちゃっただけなんだから何も悪くない!自分のせいだとか考えなくてマジでいいから!」

愛依「灯織ちゃんがしょげてるなら、その分うちらが頑張る!応援するし、支えるから!」

愛依「……ね?ちょっとずつ頑張れれば、それでいいじゃん!」


愛依さんは胸を張ってそう答えた。弱り切った今の私には何より頼もしくて、なによりも嬉しい言葉だ。
ガチガチになっていた心の凝りがほぐれて、モチモチになっていくのを感じる……
私の中で大きな峠を一つ越えたんだろう。
165 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:12:37.08 ID:W2C/KaPl0

灯織「愛依さん、私がいなかった間のことを詳しく教えてもらえないでしょうか。……許されるなら、今からでも皆さんと共に前を向いて行きたいですから」

愛依「モチ!……てゆーか、もう来てもらったほうが早いかな」

灯織「……え?」

愛依「今、みんなで体育館にいるんだよね。灯織ちゃんも来てもらったほうが早いかも?」


夜時間に体育館に集まってる……?
なんのために……?


灯織「わ、わかりました……体育館、ですね」

愛依「大丈夫?一緒に行く?」

灯織「い、いえ……大丈夫です!お手数をおかけするわけには……!」

愛依「いやいや、遠慮しなくていいから!うちもどうせ行くんだし!」

灯織「あ、あの……その……」

愛依「?」

灯織「シャワー、浴びてから行ってもいいでしょうか……?」

愛依「あっ……」

166 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:14:03.99 ID:W2C/KaPl0
-------------------------------------------------
【体育館】

愛依さんと一旦分かれ、シャワーを浴びてから体育館の扉を開く。
何日も扉を開けていなかった右腕にはその扉は重厚に、そして威圧感を持って感じられた。
中から差してくる光の中に見たのは……

_______モノクマを解体している皆さんの姿?!?!


めぐる「灯織〜〜〜〜〜!!」


驚くのも束の間、正面から抱きついてきためぐるで遮られる。


灯織「め、めぐる……苦しいってば……」

摩美々「お熱いですねー」

めぐる「灯織、大丈夫なの?!心配したよ〜〜!!」

灯織「ご、ごめん……めぐる、もう大丈夫だから。心配かけてごめんね」

めぐる「病気はしてない?!怪我はしてない?!」

灯織「うん、そういうのとはまた違うの……ちょっとだけ、元気がなくなってたけどもう大丈夫だから」

めぐる「本当に?!無理してない?!」

灯織「してない、してないから」


めぐるの目元には涙が携えられていて、私を抱きしめる力も強く。
感情を真正面からぶつけられたような感覚だ。その両腕からじんわりと優しいものが広がるのを感じる。
私はめぐるの頭にそっと右の掌を添えて、撫で下ろした。
167 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:15:29.34 ID:W2C/KaPl0

摩美々「ご堪能のところ申し訳ないですケド、灯織にも今の状況を説明したいんだよねー」

灯織「あ、はい!むしろこちらからお願いしたいぐらいで……このモノクマは一体?」

雛菜「あは〜?でも正直雛菜たちにもよくわかってないよね〜?」

灯織「えっ……?」

智代子「うん……凛世ちゃんの裁判が終わった後のことなんだけどね……」

摩美々「いつもと同じように、エリアの開放があってー。その探索をした後はまたいつもと変わらず生活を続けてたんだケド、今朝になって愛依がこの状態のモノクマを発見したんだよねー」

雛菜「もともとアナウンスも流れなくなってておかしいなとは思ってたんだよね〜」

愛依「うちが校内で適当に散策してるとポツンってモノクマがいてさ!マジでビビったんだよね!」


そういえば、今日は朝と晩のアナウンスを聞いてないような気がする。
モノクマがここで動かなくなっていることと無関係なわけ、ないよね……


摩美々「あ、灯織これ渡しとくねー」

灯織「え?これは……?」

摩美々「モノクマの体に入ってた爆弾だよー」

灯織「ば、ばく……?!」

摩美々「ふふー、スイッチは切ってるから大丈夫だよー」


摩美々さんのからかいを受けるのも数日ぶりだな……
それにしても爆弾がモノクマの中に……何を目的として……
168 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:16:42.85 ID:W2C/KaPl0

……いや、目的なら知ってる。
実際私も目にしたじゃないか……この学園に来た初日、樹里が単身モノクマに抵抗したあの時。

____もう、そんな樹里はこの世にはいないんだけど。


摩美々「爆弾は置いとくにしても、モノクマの体はかなり緻密な機械設計みたいだよー。詳しいことはわからないけど、運動性能は信じられないほど高いと思う」

智代子「まあ実際あのおしおきをやってるぐらいだもんね……」

灯織「開発費用なんかもかなりかかってそうですね……」

雛菜「その結果やってるのがコロシアイの強要ってわけわかんない〜〜〜!」

摩美々「……まぁ、せっかく灯織に来てもらったことだし5階の調査報告をしとこうかぁ。モノクマに関しては摩美々たちもさっぱりですしー」

灯織「……あ、助かります」

めぐる「はいはい!それじゃあわたしが灯織に教えてあげるね!灯織のために一生懸命調べたんだよ!」

灯織「めぐる……うん、ありがとう」


モノクマのことは気にかかるけど、今はそれよりみなさんに追いつくことが先だよね。
ひとまずめぐるの報告に集中しよう。


灯織「じゃあ、聴かせてもらえる?」

めぐる「うん……あのね!」

______________

__________

______
169 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:18:08.71 ID:W2C/KaPl0
-------------------------------------------------
【めぐるの部屋】

キーン、コーン…カーン、コーン

モノクマ『オマエラ、おはようございます!朝です、7時になりました!起床時間ですよ〜!さぁて、今日も張り切っていきましょう〜!』


朝が来た……
凛世の事件の直後、円香の言い残した絶望計画。
それが頭から離れなくていても経ってもいられず、学校中を夜中は駆け回ってたけど円香の姿は見えず。
わたしが寝不足になっただけで終わっちゃった。

うぅ……わたしは灯織みたいに推理したりできないから、こういう時こそ力にならなきゃなのに……

ううん!だからってへこたれないよ!
諦めない限り、希望はあるって学んだから!
真乃から、みんなから受けついだ絆を果たすんだ!

とりあえずは灯織を起こすところから!

170 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:20:17.42 ID:W2C/KaPl0
-------------------------------------------------
【廊下 灯織の部屋前】

めぐる「おはよーーーーーー!!灯織ーーーーーー!!」


インターホンを何度も鳴らしてるのに灯織からの反応はない。
こんなの初めてだよ……灯織はいつも早起きで、わたしと一緒に食堂に行ってるのに……


めぐる「まさか……事件が……!?」


ガチャガチャ!ガチャガチャ!

何度もドアノブを下ろすけど、内側からかけられた鍵が外れることはない。
廊下にはわたしのあくせくと漏らす声と耳障りな音だけが響く。


めぐる「灯織!!返事してーーー!!」

モノクマ「あーもう!ストップ、ストップだよ八宮さん!」

めぐる「モノクマ?!この扉を開けてくれる?!灯織が……灯織が中で……!」

モノクマ「はいはい分かった、分かったから!いったん落ち着いてみよっか!ほら、1から素数を数える!」

めぐる「そ、素数……?えっと、3.141592……」

モノクマ「それは円周率!全然違うよ、せめて自然数とか無理数とかでボケてよ!」

171 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:21:44.70 ID:W2C/KaPl0

モノクマ「とにかく落ち着いてボクの話を聞くんだ、ベイビー。いい知らせと悪い知らせ、二つある。どちらから聞きたい?」

めぐる「え……?そ、それじゃあ悪い知らせ……?」

モノクマ「今日のボクは便秘なんだ、というかここ1週間ほどずっとご無沙汰でね。今朝なんか腸の働きを促進にする薬を飲んでみたんだけ_____」

めぐる「で?!?!いい知らせって?!?!」

モノクマ「圧がすごいよ圧が……入社4年目が新卒に説教するときぐらい圧を感じるよ……」

モノクマ「風野さんは無事!何も起きてないから!だからそのドアノブガチャるのやめてくれるよね?!」

めぐる「そ、そうなんだ……」

モノクマ「まあ、メンタルが無事とは限らないけどね?今みたいにガチャガチャすると逆に彼女にとって負担になっちゃうかもしれないから」

めぐる「……!?」

モノクマ「ボクとしては鍵が摩耗するような真似はやめて欲しいってだけだから!風野さんを部屋から出したいなら別の方法でも考えるんだね!」


モノクマはわたしにそれだけ注意を伝えると何処かに行っちゃった。
灯織は昨日の事件で閉じこもっちゃったってことだよね……
これまでわたしたちを引っ張ってくれてた分、やっぱり負担をかけちゃってたんだ……
灯織、ごめんね……


めぐる「……うぅ、灯織」


ドアの向こうにはきっと落ち込んじゃってる灯織がいて……体を震わせてるかもしれない。
ギュゥって抱きしめてあげて、これまでの分もいっぱい「ありがとう」って伝えたい。
でも、それをするには遅すぎたみたい。
扉は、わたしの力じゃ開けられない。
扉に沿わせた掌が無気力にずるずると落ちていく。


めぐる「……でも、わたしは……円香を止めないと」


灯織が動けないのなら、それは今わたしの役目。
灯織の想いを、願いを引き継いで……わたしがみんなを守る!
だから、今はちょっとだけ灯織のそばを離れないといけない。


めぐる「灯織、待っててね。わたしが灯織の分まで、頑張ってくる!」


わたしは最後に灯織のネームプレートにタッチした。
172 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:23:05.24 ID:W2C/KaPl0
-------------------------------------------------
【食堂】


みんなが集まったけど、やっぱり灯織はやってこなかった。円香も変わらず。
昨日の事件で二人を失っただけでなく、中心核だった灯織がいなくなったことでいつもよりも食堂はしんみりしちゃってる。


愛依「灯織ちゃん……やっぱ抱え込んでたんだね」

智代子「……灯織ちゃんに、応援の言葉をかけて欲しかったな」

雛菜「……どんよりした空気、雛菜きらい〜」

摩美々「……」


でも、だからこそ。
今はわたしが頑張らないとダメなんだ……
この嫌な空気も丸ごとギュッと抱きしめて、大丈夫にしてあげないとダメなんだ……!


めぐる「みんな、灯織がいっつもなんて言ってたか忘れてない?!」

愛依「えっ?……ひ、灯織ちゃんが言ってたこと……?」

雛菜「……絆、ですか〜?」

めぐる「雛菜正解!そう、わたしたちが大事にしなくちゃなのは絆……それは今でも変わらないよ!」

めぐる「灯織がいないからこそ、灯織との絆を大事にしないと……ダメなんじゃないかな?!」

摩美々「なんかふんわりしすぎてよくわかんないケド」

摩美々「要は『灯織がここにいれば何をしてたか』『私たちは灯織のためにも何をすべきか』ってことだよねー?」

めぐる「えっと……うん!多分!」

智代子「灯織ちゃんのために……」

愛依「……止まってる時間はないってことだよね」

雛菜「それに、円香先輩を止めないといけないですね〜」

摩美々「まあ、そんなのめぐるにわざわざ言われなくてもでしたケド」

めぐる「……ありゃ?」

摩美々「でも、摩美々のキャラ的に言いづらい話だったのでー……頑張り賞ぐらいはあげましょうかねー」
173 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:25:17.39 ID:W2C/KaPl0

モノクマ「はい!お話はまとまりましたでしょうか!」

雛菜「あ、来た〜!」

モノクマ「まあ、一応これもお約束というやつなのでアナウンスはしとくね?」

モノクマ「おめでとう!そなたたちはついに第四の壁を乗り越えた!その努力と成果を称えて新しき世界の扉を開こうではないか!」

愛依「5階……ってことだよね?」

モノクマ「そして大事なことなので、これも」

モノクマ「今そなたらの開いた扉は、この世界における最後の扉である!」

智代子「最後の……扉……?」

モノクマ「はやい話がこの学園は5階建てってこと!これ以上はもう無いってことだね!」

摩美々「……なるほどぉ」


5階が最後のフロア……ってことは、これが最後の手がかりってこと?
なら、なんとしても探索で成果を上げなきゃだよね!


モノクマ「それと合わせて、4階の学園長室も開放しておいたから探索はご自由に!」

モノクマ「きっと……オマエラの知りたい真相に近づくヒントが隠されてるはずだよ」

めぐる「……!!」

モノクマはそう言ってほくそ笑むと姿を消しちゃった。残されたわたしたちは、迷うこともなく一気にお互いを見合わせた。

摩美々「最後のフロアなら、気合入れなきゃですねー」

めぐる「うん!絶対に手がかりを見つけ出してみせるよ!」

智代子「……そうだね、頑張らないと」

愛依「おしっ!気合入れた!うちも本気で、死ぬ気で頑張るから!」

雛菜「円香先輩もきっともう探索してるよね……よし」


その一歩は力強く。
食堂を後にした。

174 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:26:47.81 ID:W2C/KaPl0
-------------------------------------------------

さて、新しく開かれた五階にあるのは……武道場に植物庭園、生物室。それと教室みたい。
あとモノクマの話だと学園長室の扉も解放されたんだっけ?
灯織がいない分、いつも以上に気合を入れないと!


めぐる「よーし、がんばるぞー!」

-------------------------------------------------
【探索について】

場所指定の安価と同時にコンマを判定し、末尾の数字と同じ枚数だけモノクマメダルが獲得できます。
※めぐるの獲得したモノクマメダルがそのまま灯織の枚数に加算されます

-------------------------------------------------

めぐる「どこから探索しようかな……?」

1.学校エリア5F 武道場
2.学校エリア5F 植物庭園
3.学校エリア5F 生物室
4.学校エリア4F 学園長室

↓1
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/07/24(土) 21:39:32.81 ID:K+gajc9v0
4
176 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:41:41.94 ID:W2C/KaPl0
4 選択

-------------------------------------------------
【学園長室】


4階の閉ざされていたはずの部屋。観音開きの重厚な扉は意外なほどにすんなりと開いた。

中はいかにもと言った感じな厳かな空間。
樫の木のデスクは威圧感を放っていて、壁にかけられた歴代の学園長の肖像画はわたしたちを睨みつける。
本当に通っている学園ではないのに、背筋をついつい正しちゃう。そんな雰囲気が漂っている。


摩美々「この部屋、ここまで隠してただけあって、結構色々あるねー」

めぐる「うん……摩美々は何か気になったものとかある?」

摩美々「とりあえずはあれかなー」


摩美々が指差した先にあったのは……ショーケース?中にはファイルホルダーといくつかの小物が見える。
摩美々はその一冊を手に取ると、わたしの目の前でパラパラとめくった。


摩美々「『コロシアイ合宿生活動機概要』……なんだか見覚えないー?」


目の前の書類には、見覚えどころか実際にわたしたち自身が経験したあの残酷な動機について手段からその狙いまで細かに記されている。

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