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【シャニマス×ダンガンロンパ】灯織「私はこの絆を諦めません」【安価進行】

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735 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 21:31:01.50 ID:/fY6YMbW0
30分が来たので一部修正
ヒントとしてもさっきのが出せるのは最後になるかなといった形なので
4を自動進行にして再安価

-------------------------------------------------
1.パスワードを入力する【数字4桁】
2.観葉植物を調べる(済)
3.置物を調べる(済)
4.愛依に相談する(自動進行)

↓1
736 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/01(金) 21:34:09.17 ID:unkD6adb0
1.パスワードを入力する【1234】
737 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 21:36:02.45 ID:/fY6YMbW0
1 選択

【1234】

灯織「とりあえず入れてみましたが……」

ブブー!

灯織「さすがに違いますね……」

愛依「まぁこれで通ったらセキュリティがガバいって感じだよね……」

(うーん……あと少しまで、出かかってるんだけどな……)

-------------------------------------------------
1.パスワードを入力する【数字4桁】
2.観葉植物を調べる(済)
3.置物を調べる(済)
4.愛依に相談する(自動進行)

↓1
738 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/01(金) 21:42:19.90 ID:unkD6adb0
1.パスワードを入力する【1331】
739 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 21:44:27.87 ID:/fY6YMbW0
1 選択

【1331】

ブブー!

灯織「これも違うみたいですね……」

愛依「うーん、さっきの暗号をやっぱ読み解かなきゃいけない系だよね……?」

灯織「8×3で作った表、あれにも意味があるはずなんですが……」

-------------------------------------------------
1.パスワードを入力する【数字4桁】
2.観葉植物を調べる(済)
3.置物を調べる(済)
4.愛依に相談する(自動進行)

↓1
740 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/01(金) 21:45:30.05 ID:ahL0JSiRO
パスワードを入力する 0816
741 :ヒントなし版のテキストになるので一部かぶります、ご容赦ください ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 21:47:01.22 ID:/fY6YMbW0
1 選択

『0816』

ピピッ 

よかった、正解みたいだ。
なんとか導き出したパスワードを入力するとその液晶は緑色に光り、部屋のそこら中から駆動音が聞こえてくる。
これでようやっと、この学園最後のエリア・地下階に行けるようになる……!


愛依「灯織ちゃんスゴ! なんでパスワードわかったん?!」

灯織「いえ、そう難しいものではありませんでしたよ。あの算数の問題を、別の形のものだと捉えなおすとすぐに結論にたどり着けました」

愛依「算数の問題を……?」

灯織「3×8の計算式。あれは計算式ではなく、集合の形式を現していたんです」

愛依「シューゴー……?」

灯織「……ほかのところから説明いたしますね。問26、あれは問題番号が26なのではなく、『26』という数字がまつわる問いだという意味なんです。身近なもので26というと何か思いつきませんか?」

愛依「んー……?」

灯織「……アルファベットです。AからZまでその総数は26。これを3×8の形式で並べなおします」

愛依「……あっ! 余り2ってそっから?! 26個のものを3×8で並べなおすから!」

(よかった、なんとかついてきてくださっているようだ)

『アルファベットは26個存在しているが、これを無理やり3×8で並べなおす。その時発生する末尾のあまり2個の文字、YとZは【切り捨て】=【なかったもの】とする』

灯織「この規則に従って並べなおすとこのようになります」

AB CD EF GH
IJ KL ML OP
QR ST UV WX

愛依「……あれ、この並びって!」

灯織「そうです、ちょうど四分割すると、それぞれのブロックと重なるような並びになって植木鉢下の暗号と合致するんです。あとはあの暗号の通りにアルファベットをなぞっていくと……」

『ABJRQIA DCKLTSKLD EMU HGOWXPO』

愛依「……あっ、『0816』!」

灯織「そう、ちょうどその軌跡が数字を現すことになるんです。デジタル時計と同じ要領ですね。それに従ってパスワードを入力すれば、無事解決といったところです」

愛依「は〜……すっご、よく考えつくわ」

灯織「そんな……大したことないですよ」

742 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 21:48:05.91 ID:/fY6YMbW0

べた褒めする愛依さんを前に謙遜していた、その時だった。
ついに準備が整ったらしく、地下階への入り口が開かれた。

……想定外の形で。


ドッカーーーーーーーン!!


愛依「え、えええええ?! か、壁が崩れ落ちたんだけど?!」

灯織「み、見てください愛依さん! あそこ、階段が見えます……下に下る階段が!」


てっきりエレベーターの行く先に地下階が追加されるものだとばかり思っていたけど、当てが外れた。
いや、モノクマならこういう意味のない裏の掻き方をしてくるものだとわかっていたのに。
すっかり騙されてしまったことが少し腹立たしい。


愛依「うち、みんなを呼んでくるね! 地下に行く階段が見つかったって!」

灯織「あっ、愛依さん……行っちゃった」


愛依さん、すっかり張り切って……制止する間もなく行ってしまった。
まだ崩れ落ちたばかりの壁からは砂煙が舞い上がっている。
……でも、私も愛依さんほどではないがどこか体が舞い上がっているようで落ち着かない。
この砂煙が収まるまで、なんて待っていられないのだ。


「……よし」


私ははやる気持ちを抑えることも知らず、そのままその中へ飛び込んでいった。

743 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 21:49:26.38 ID:/fY6YMbW0
-------------------------------------------------
【学園地下階】

突如として現れた階段を下っていくと、ついにこの学園の最後のエリア・地下階にたどり着いた。

学園の地上階は一応は学園としての体裁を守ってはいた。
教室然とした教室に、実際学校といえばで名前の挙がる専門教室の数々。
希望ヶ峰学園という高次元の尺度でそれらが再現されていた。

……にも拘らず、地下階はそれらを鼻で笑うような。


「……なに、これは」


形容するなら研究所とでも言おうか。
あの目にどぎつい発色の電灯は廊下にも点灯していない、白を基調とした清潔感すら漂う内装。
それでいてどこかゴージャスな雰囲気もある装飾が為されている。正直地上とはまるで同じ建物とは思えない、こちら側が黒幕の趣味ということなのだろうか。

そんなこれまでにない雰囲気に気圧されながら、私は地下階の探索を開始した。

さて、どこから調べようか……

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1.中央制御室
2.モノクマプライベートルーム
3.おしおきメンテナンスルーム
4.トレーニングルーム
5.技術開発室

↓1
744 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/01(金) 21:49:47.25 ID:ahL0JSiRO
1
745 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 21:52:50.87 ID:/fY6YMbW0

【コンマ判定25】

【モノクマメダル5枚を獲得しました!】

【現在のモノクマメダル枚数…56枚】

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【中央制御室】

地下階の文字通り中央に構えているのがこの大きな部屋。
円柱状のその間取りをはじめ理解しがたかったが、実際に足を踏み入れてみると即座にその意味を理解する。

この部屋は、学園の中枢なのだ。
私が十人以上縦に並んでも足りないだろう巨大な発電機が堂々と鎮座し、そこから枝分かれするような無数のケーブルが壁に接続している。
この学園の設備ははっきり言って規格外だ。
高校、大学、研究施設……そんなどころの話ではない、下手すれば一自治体レベルの電力が必要になるやもしれない。

それをこの発電機一つで賄っているんだろう。


モノクマ「どう? すごいでしょ、これがこの学園の心臓……中央制御室だよ!」

灯織「……やっぱりそうなんですね、この学園の設備はすべてここで?」

モノクマ「うん! 原動力となる電力はこいつが生み出してるし、ここから機械も制御できるよ? 試しに空気清浄機を暴走させて学園を真空にしてみようか?」

灯織「や、やめてください!」

(……まったく、油断も隙もありゃしない)


ひとまずこの学園にいるうちはこの部屋で暴れたりはしない方がよさそう。
巨大な発電機からは一度離れて、周囲を調べることにした。
746 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 21:55:15.93 ID:/fY6YMbW0
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【ジェネレーター】

部屋には中央の発電機から直接電力を引いている機械が置いてある。
これまた規格外のサイズ……だけど操作するモニターはかなり小さなものだ。触っては見たけど反応はない。
何かライセンス的なものが必要みたい。


「……あれ?」


操作はできないものの、ある程度いじることはできる。
手の届くところには透明なフィルター、その取っ手を引くとすんなりと開き……見覚えのあるそれが姿を現した。

これは……【思い出しライト】だ。
私たちがこの学園に踏み入る際にモノクマに奪われていた希望ヶ峰学園と第78期生の記憶。
それを取り戻すきっかけになった機械なんだけど、なぜこんなところに?
モノクマはここからこのライトを持ち出したのだろうか、と改めて機械を観察すると操作盤とは別にまたモニターを見つけた。
しかもこっちは点灯していて、何か文字を読むことができる。

『LOG:希望ヶ峰学園 78期生』

……これって?

コトダマゲット!【思い出しライト】
〔照射した相手の記憶を呼び起こす不思議なライト。中央制御室の一角に落ちており、その近くの装置のモニターには『LOG:希望ヶ峰学園 78期生』とあった〕
747 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 21:57:09.94 ID:/fY6YMbW0
-------------------------------------------------
【マザーコンピューター】

正直なところ、触れるか触れまいかずっと悩んでいたんだけど……
この部屋には明らかに異質なものがもう一つ。
それはなんなら超巨大発電機よりも存在感を放っていて……今にもこちらに話しかけてほしそうに視線を寄せているのだ。

『巨大なモノクマの頭部』、そうとしか形容のできない物体がコードに繋がれている。


『おーい! いい加減ボクにもかまってよ! ここに人が来るなんてめったにないんだしさ、お話の相手ぐらい……ねえ、いいでしょ?! ウサギとモノクマは寂しいと死んじゃうんだよ?!』

灯織「うさぎが孤独だと死ぬなんてデマカセですよ……ただ病気が他の動物に比べてわかりづらいから飼い主が放っておくと死んでしまうケースが多くて、そこから誤解されたそうです」

『おっ! やっとこっち向いてくれたね! お話、お話ししようよ!』

(……しまった、ついマメ知識を披露してしまった……)

(まあ、いいか……どうせこれも調べる予定ではあったんだし)

灯織「……雑談の相手をしている暇はありません、我々の調査に協力していただけるなら少しの間聞き取りということで応じることはできますが」

『チェー、なんだか事務的だなぁ……風野さんって、情報通りの人なんだねー』

灯織「……情報?」

(今、何か気になることをこぼしたような……)
748 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 21:59:26.68 ID:/fY6YMbW0

(というか、このモノクマ……なんだか様子がおかしい、私たちが普段接するモノクマとまるで人格が違うような……そこまで不快感のない人懐っこさがあるというか……)

『うん、ボクはオマエラコロシアイ合宿生活の参加者全員のデータはインプットされてるけど、逆に言えばデータでしかオマエラのことを知らないんだ』

灯織「……あなたは黒幕とはまた別の存在、ということですか?」

『うーん……まあ、そういうことになるのかな? いや、でも黒幕って言えば黒幕なのかな……』

灯織「なんだか随分と歯切れが悪いですね……」

『うん、風野さんの言う黒幕の定義が今の文脈からではわからないんだ。ボクはこの学園の管理系統を指揮している、その意味合いでは黒幕ともいえるけど……コロシアイ合宿生活に招集した張本人ではないから、その意味合いでは黒幕ではないんだよ』

灯織「……え?」

『うーん、せっかくこの部屋に来てくれたお客さんだから正確な回答をしたいんだけど……なんだか難しいなぁ』

灯織「ちょ、ちょっと待ってください!? い、今あなたは……この学園を管理している、そう言ったんですか?!」

『うん、そうだよ。なんたってボク、モノクマはこの学園の学園長なんだからね!』

(それって……黒幕がすべてを管理していたわけではないってこと……?)

灯織「すみません、あなたの言う学園の管理、もう少し詳しくうかがえますか?」

『うぷぷぷ……興味津々って感じだね。いいよ、なんだかボクも話すのが楽しくなってきたところだから!』

749 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 22:00:43.10 ID:/fY6YMbW0

『このコロシアイ合宿生活の黒幕は当然だけど風野さんと同じく人間だからね。どうしても体力には限界があるし、休憩が必要になるタイミングがあるんだよ。だからそういうときに学園の監視を行っていたのはボクになるね!』

灯織「……! それはつまり、深夜などのタイミングなどは黒幕本人は監視していなかったってことですか?!」

『そうだね……一応、事件や異常が起きたら報告するプログラムになってるけどね。それ以外の情報は基本的にボクが預かる形かな。誰かが誰かを殺したり、脱出のために学園設備を破壊したり、そういうのはすぐに緊急事態として報告することになってたんだ』

(……それって、深夜なら一部黒幕の監視を免れることができたってことなんじゃ)

『あとはどうしても人間の力じゃ難しい物資の補給とかかな。黒幕の正体がうっかりばれてしまうリスクもあるし、ボクの管理のもとオートメーション化されてたんだよ、エッヘン!』

(……よくよく考えてみたら当然のことだ。もうここでの生活は一か月にも及ぶ。それを人間一人で管理しきれるはずがない)

(なら、必然的にそこに付け入るスキは生まれるはず……!)


コトダマゲット!【コロシアイ合宿生活の運営】
〔コロシアイ合宿生活の運営はすべてがすべて人力で行われていたわけではない。物資の搬入などはオートメーション化されており、深夜の監視は黒幕自身は行わずAIに任せていた〕

750 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 22:02:44.51 ID:/fY6YMbW0

灯織「ありがとうございます、大変有意義なお話が聞けました……でも、いいんですか? あなたは黒幕の側のコンピューターなのでは……?」

『大丈夫大丈夫! ボクは別にどっちの味方でもないんだ、だってそうでしょ? 完全に黒幕の側ならこんな情報を話しもしないし、キミたちの味方ならとっくにこの学園系統をすべて停止させて玄関ホールの扉だって開けてる』

『ボクはただ、このコロシアイ合宿生活を観測し続けるだけのAIなんだよ。本当にそれだけさ』

灯織「……なるほど」

なんだか不思議な体験をした気分だ。自立思考するAIとの会話なんて、テレビの中でしか見なかった……それでいえば貴重な体験なのかもしれないけど。ただ、このAIは本人が言う通り私たちにとって敵でも味方でもない。
私がすべきなのは、この体験に歓喜することでもAIに同情することでもない。
得た情報を使うべき使い方をするだけのことなんだ。

……だって、ほら。振り向いたらマザーコンピュータは黒幕と全く同じ笑みを浮かべているんだから。

-------------------------------------------------

この部屋で調べられるのはこれくらいかな……?
少しでも真相に近づけているならいいんだけど……

1.モノクマプライベートルーム
2.おしおきメンテナンスルーム
3.トレーニングルーム
4.技術開発室

↓1
751 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/01(金) 22:03:52.13 ID:unkD6adb0
2
752 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 22:07:12.28 ID:/fY6YMbW0
【コンマ判定13】

【モノクマメダルを3枚獲得しました!】

【現在のモノクマメダル枚数…59枚】

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2 選択

【おしおきメンテナンスルーム】

部屋の名前を見た時から、背中に悪寒が走っていた。
真乃、樹里、霧子さん、凛世、そして私。
5人の人間に牙をむいて、私を除いた全員の命を奪ってきた最悪の存在。
それを管理し、維持するためだけに存在する空間。
今すぐにでも爆弾を放り込んでめちゃくちゃにしてやりたくなる。
この部屋にいる限り、彼女たちの死が心臓を内側から刺してならないから。

でも、この痛みをぐっとこらえて調査を進めるしかない。
私には武力も、黒幕を凌駕する知力もないから。

____それが彼女たちの死に報いる唯一の筋道だ。
753 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 22:08:58.47 ID:/fY6YMbW0
-------------------------------------------------
【おしおきセット】

「…………」

真乃が命を落としたステージセットだ。
私たちがこの学園で最初に目撃することになった、『おしおき』……その光景は今でも焼き付いている。
おしおきの進行とともにステージと衣装とが華やかになっていき、最終的にはカラスに目をつけられて、その輝きごと啄み殺される。
私の目の前にある衣装セットにも真乃の流したであろう血液の赤黒いシミがついたままになっている。


「…………」

樹里のおしおきに使われた放クラの皆さんのお面だ。これをつけたモノクマたちに樹里は袋叩きにされて、その結果……
彼女が最期の最期、その一瞬まで仲間のことを思って戦い続けていたことを私たちはこの先一生忘れることはない。


「…………」

霧子さんを絞め殺した巨大なモーターだ。先端に取り付けられた棒にその体を拘束され、高速回転で帯を巻き取り、最終的には窒息死。
霧子さんは、人格を破綻させて事件を起こしてしまったし、おしおきの最中でさえもそれは変わらなかった。彼女は最後に、何を思っていたんだろう。

754 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 22:11:10.40 ID:/fY6YMbW0

「…………」

凛世が切腹に使おうとした短刀だ。
彼女は事件に踏み切るうえでとてつもない覚悟をしていたというのに、モノクマはそれを一蹴して、踏みにじるようなおしおきを行った。
あのとき、頬を撫でた爆風の冷たさがまだ感触として残っている。


「…………」

そして、私を裁断して殺そうとした巨大なカメラのシャッター。
もはやシュレッダーにも近しい鋭利な切断面、もしこれをまともに受けていたら私は骨一つとしてまともに残ってはいなかっただろう。
こうして遠目に見ているだけでも寒気が押し寄せる。


……この部屋には、この学園でこれまでに起きた事件がそのままに写し取られている。
この機械に命を奪われた彼女たちの苦悶と葛藤、それが空気中に漂い、呼吸をするだけでむせ返るような思いだ。

だけど、それに目を背けてはいけない。
死の証というのは裏を返せば彼女たちの生きた証でもある。
彼女たちの流した血は、彼女たちの味わった苦しみは、彼女たちの抱え込んだ絶望は、彼女たち自身を形作る要素の一つであることは否定できないのだ。


今ひとたび、そんな彼女たちに触れたことで一つ想起されたものがある。それは、【コロシアイの動機】だ。
彼女たちが事件を起こすきっかけ、命を落とすきっかけとなった事件の動機。

思えばモノクマはあの手この手でコロシアイに精力的でない私たちを無理やりに動かしてきた。
あれには、ただ動機としての意味以上のものを感じてしまう。ただコロシアイをさせたいだけなら食料を取り上げたり、睡眠を奪ったりしてしまえばいい。
そうではなくあくまで私たち自身の葛藤の中から殺意を引き出したことには何か目的意識があったのではないだろうか。

……もう一度、【動機】は確認しておいたほうがいいかも。


-------------------------------------------------

【捜査パートの行先に学園長室が追加されました!】
755 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 22:13:20.96 ID:/fY6YMbW0
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【管理者コンピュータ】

おしおきセットはいずれもケーブルのようなものと繋がっており、この一つのコンピュータで制御されているようだ。
専門的な装置なのだろうか、妙に仰々しい設備で触るのが少し気が引ける。

少し操作してみたけど、基本は私たちの良く知るコンピュータと相違はない。
インターネットには接続していないようで、データの保管とこれらおしおきセットの管理が目的のものらしい。

……流石におしおきセットをいじる気にはならない、保管されているデータを確認することとした。
中で確認できるデータは、一つのファイルのみ。しかも中身が暗号化されていて読むことができない。わかるのはそのファイルの名前のみだ。

暗号化されたファイルにも一応の目は通す。
データ自体は解析不可能、特殊な操作やパスワードが必要みたい。現状わかるのは、そのファイル名のみ。

ファイルの名前は……『方舟計画』。
方舟と聞くと、神話の『ノアの方舟』をすぐにイメージするけど、これって一体……?


コトダマゲット!【方舟計画】
〔おしおきメンテナンスルームのパソコンに隠されていた謎の計画のファイル。詳細は一切不明〕

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この部屋で調べられるのはこれくらいかな。
……あんまりここに長居はしたくない、ほかのところに行こう。

1.モノクマプライベートルーム
2.トレーニングルーム
3.技術開発室

↓1
756 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/01(金) 22:15:41.24 ID:unkD6adb0
3
757 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 22:18:35.51 ID:/fY6YMbW0

【コンマ判定24】

【モノクマメダル4枚を獲得しました!】

【現在のモノクマメダル枚数…63枚】

-------------------------------------------------
【技術開発室】

機械の駆動音が響き渡る中鼻を刺すのは化学薬品の香り。
かと思えば窓の向こうには手術台の姿が見える。一体ここは何を研究している場所なんだろうか、ジャンルがまるで分らない……


摩美々「とにかく詰め込みましたって感じだよねー……あんなたいそうなロボットアームじゃ手術なんかできないでしょー……」

灯織「摩美々さん……いらしてたんですね」

摩美々「まあねー、灯織が地下階見つけてくれたんでしょー? お手柄じゃーん」

灯織「い、いえ……そんな……」

摩美々「この部屋にも何かしらの手掛かりはあるだろうし、とりあえず協力してあそこでも漁ろうかぁ」


摩美々さんが指さした先は研究設備とはまた別の区画。
どうやらここで行われている研究について詳細に記した報告記録が集積されているらしい棚だ。
パラパラとめくっていくとどこか見覚えのある内容がちらほら。


摩美々「科学室の薬品ってここで作られてたんだねー、薬品A・Bの調合記録なんかもあるよー」

灯織「空気清浄機の整備記録もありますね……ロボットに改造した時の記録まで」

摩美々「……あれ、なんだったんだろうねー」


こちらの報告記録も化学も物理もないまぜになっていてまるでまとまりがない……
頭痛がしそうな記録を眺めているうちに、あるページに行きついた。ここに書いてあるのは……どちらかというと“生物”の内容みたい。
758 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 22:20:44.92 ID:/fY6YMbW0

『我々の開発も一定の成果をあげた。マウスによる生体実験も無事に成功、いよいよ続いての段階に遷移することとした。本実験の最後では全被験者への適用が予定されているが、特に適正値の高い被検体αに先行して適用した。彼女はもとより性格面で類似性があったためか、特に拒絶反応も発生することなく実験も成功した』

摩美々「『神経系統に基づく移植実験』……?」

灯織「これって一体……?」

摩美々「……なんだか変な記述だよねー、マウス実験の後の臨床実験っぽいケド」

灯織「はい……【性格面】だなんて、精神科の診断か何かでしょうか?」

摩美々「【全被験者への適用】……【性格面で類似性】……」

摩美々「なんか、藪蛇な気分だよー……なんか嫌な予感がする……」

(……なんなんだろう、この報告書は)

(摩美々さんの言うとおりだ……書いてあることはまるで理解できないのに、なぜか胸のあたりがざわつくような……)


コトダマゲット!【被検体α】
〔我々の開発も一定の成果をあげた。マウスによる生体実験も無事に成功、いよいよ続いての段階に遷移することとした。本実験の最後では全被験者への適用が予定されているが、特に適正値の高い被検体αに先行して適用した。彼女はもとより性格面で類似性があったためか、特に拒絶反応も発生することなく実験も成功した〕

-------------------------------------------------

この部屋で調べられるのはこれくらいかな。
なんだか情報が得られたような、そうじゃないような……

1.モノクマプライベートルーム
2.トレーニングルーム

↓1
759 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/01(金) 22:22:02.07 ID:unkD6adb0
1
760 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 22:24:57.32 ID:/fY6YMbW0
1 選択

【コンマ判定07】

【モノクマメダル7枚を手に入れました!】

【現在のモノクマメダル枚数…70枚】

-------------------------------------------------
【モノクマプライベートルーム】

学園内でも異質な地下階、その中でもさらに異質な部屋がある。
というよりもこれは場違いといったほうがいいだろうか。
胃もたれがしそうなほどにゴテゴテの装飾が為された扉にはへたくそな字で『モノクマの部屋』と書かれている。
これ一つで雰囲気ぶち壊しもいいところだ。


「……はぁ」


その残念なデザインセンスに対する失望なのかなんなのか。自分でもよくわからないため息とともにその扉を開けた。


「……うわぁ」


中に入ると更にどぎつい。床、壁、天井。360度すべてを覆い尽くすモノクマの顔。
世界一のナルシストでもなかなかこうはいかないだろうに、よくやるものだ。


モノクマ「ようこそ! ボクの勝負部屋へ!」

灯織「……はぁ」

モノクマ「はぁって何さ! なんなのさ! この部屋でボクがどれほど激しいプレイをしてきたと思ってるんだ!?」

灯織「ぷ、プレイ……って……やめてください、そういうの……」

モノクマ「ん? ボクはプレイとしか言ってないよ? ただちょっと格闘ゲームの“プレイ”が熱くなりがちだって……そういうお話なんだけど?」

灯織「……」

モノクマ「むきー! なんだよ、冷たいな! せっかく人がセクハラ弄りしてやってるのに!」

(……地獄だ)
761 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 22:26:18.02 ID:/fY6YMbW0

ガチャ

雛菜「あれ〜? 灯織ちゃんだ〜!」

灯織「雛菜……雛菜も捜査の途中?」

雛菜「うん〜! 地下室がいけるようになったって聞いたから〜、それでこの部屋に来たんだけど〜?」

モノクマ「市川さん、ようこそボクのしょ___」

雛菜「なにこれ〜! この部屋気持ち悪い〜〜〜〜〜〜!」

(……あっ)

雛菜「なんだかこの部屋に長くいたくないかも〜、雛菜もう行くね〜……」

灯織「えっ、ちょっ……雛菜?!」

モノクマ「」

(……二人きりにされてしまった)


なんとも気まずい思いだけど、モノクマが精神崩壊している今のうちに調べさせてもらおう。
モノクマの個人部屋だというなら、何か手掛かりはあるかもしれないし……


モノクマ「」


モノクマ自身に話を聞くのもありなんじゃないかな……
762 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 22:28:20.49 ID:/fY6YMbW0
-------------------------------------------------
【アルバム】

手に取ってまず後悔した。部屋の節々から感じてはいたけど、ナルシストとかいうレベルの話ではなく自分に酔っている。
幼稚園のスモックを着ているモノクマ、サッカー部のユニフォームを着ているモノクマ、成人式でがちがちの袴を着ているモノクマ、マイクロビキニを着ているモノクマ……
どれも悪趣味な写真ばかり。あまり人の思い出に文句を言うものではないけど、深いという言葉をつけずにはいられない。
それでもこれも調査のうちと自分に言い聞かせてページをめくると……

助かった。ちゃんと有益な情報だ。

モノクマの写真の数々はカモフラージュ。木を隠すなら森の中、写真を隠すならアルバムの中。
モノクマの醜悪な写真には途中から私たち自身の写真が混じるようになっていた。

「……なに、これ」

しかし、その写真の悉くに見覚えがない。
恋鐘さんと屋外で料理をしている写真、果穂と川で草の船を浮かべて遊んでいる写真……樋口さんと一緒にバーベキューを食べている写真。
それは何も私だけではない、めぐるがあさひと一緒に木登りしている様子なんかこれまでに見たこともない。
ほかにも摩美々さんが冬優子さんにいたずらを仕掛けている写真なんかもあるし、283プロの全員が写真に登場しているのだ。
特に加工や編集がされたような痕跡も残っていない、この写真は素人目に見ても本物。それなのに、当の本人に記憶がないというのもおかしな話だろう。

そして、最後に見つけた写真は……

「真乃と、小糸の写真……これって」

-------------------------------------------------
灯織「写真……?誰が撮ったんだろう……?」

そう、純粋な興味で私はその写真を手に取った。
この学校に関係するものだろうか、外の世界に関係するものだろうか。ただそれだけの興味だった。
でも、そこに残されていたのは。

(……え?)

_______真乃と小糸が二人で料理をしている写真だった。

(……な、なんで?)

めぐる「こ、これって……?」

モノクマ「わーーーーー!!なに見てるのさーーーー!!」

-------------------------------------------------
あの時、美術倉庫でモノクマに回収された写真そのものだった。


コトダマゲット!【キャンプの写真】
〔灯織を含む283プロ全員が登場しているキャンプの写真。加工編集がされたようには見えないが、灯織たちにその記憶は全く存在しない〕

763 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 22:29:48.79 ID:/fY6YMbW0
-------------------------------------------------
【モノクマ】

……この合宿生活を引き起こした諸悪の根源。
私たちの命をそのエゴで奪い去り、人生そのものを勝手に踏み荒らしてきた憎き存在。
だが、この学園で唯一すべての真相を知る存在でもある。
それなら、話を聞かない理由はない。私たちが真実に少しでも近づくため、勝利をもぎ取るためにも……なんとしても有効な証言を引き出してやる!


灯織「モノクマ!」

モノクマ「」

灯織「話してもらいますよ……この学園の真相について……少しでも!」

モノクマ「……は!? しまった、センスを否定されたショックで思わず三途の川を反復横跳びしてしまっていた……!」

灯織「死にかけてるじゃないですか……そ、そんなことより! あなたにお伺いしたいことがこちらは山ほどあるんですよ!」

モノクマ「だろうね、ボクの魅力的なボデェを前にしたら質問の一つや二つや三億ぐらいは湧いてくるよね!」

灯織「モノクマ自身のことはどうでもいいです、それより学園生活についてです!……どうしてあなたは私たちをこの学園に集めてコロシアイをさせたんですか?! なぜ私たちを選んだんですか?!」

モノクマ「なんだよ、どうでもいいってさ。いじけちゃうよね、チェッ!」

灯織「誤魔化さないでください、今回ばかりは逃がしませんよ!」

モノクマ「むむむ……シリアスモードの風野さんはいつも以上にノリが悪いぜ……」

(モノクマの小ボケにいちいち反応している暇はない……!)

(一歩も引くな、風野灯織……!)
764 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 22:31:15.98 ID:/fY6YMbW0

モノクマ「……はぁ、しょうがないね。核心的な部分は教えてあげれないけどさ、オマエラを選んだことには確かに明確な理由が存在するよ!」

灯織「……! もちろん、聞かせてもらえるんですよね?」

モノクマ「いいかい? コロシアイ合宿生活に参加できるのはあくまで現役の高校生のみなんだ。だからオマエラ283プロダクションの人間でもお姉さん方やお子さん連中は参加できないんだよね」

灯織「それはこの生活が始まるときにも言っていたことですよね?」

モノクマ「うん、宣言したね。そしてこれこそがオマエラを参加者に選んだ理由でもある。オマエラが現役の高校生で、かつ283プロダクションのアイドルだったから……これ以上でもこれ以下でもないよ!」

灯織「……え?」

モノクマ「だからこの15人でなくてはならなかったってことだね! ほかの人間では替えが利かないんだよ!」

灯織「ちょっと待ってください、これじゃ前に伺ったのと何も変わらな……!」

モノクマ「まあもっといろいろ知りたいって言うんなら図書室の書庫でも調べればいいんじゃないかな? 現役の高校生アイドルにこだわった理由を推理するヒントになるかもね」

灯織「と、図書室の書庫……ですか……?」

モノクマ「今ボクからいえるのはこれぐらいのもんだよ、こっから先はモロに答えになっちゃうからね〜!」

灯織「あっ……ちょっと……!」

(だめだ……摩美々さんのようにはうまくはいかないな……)

765 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 22:34:25.26 ID:/fY6YMbW0

モノクマはすぐにその場を立ち去ってしまった。
聞き出せたのは、以前にも確認したとおりの内容。私たちが現役の高校生で、アイドルだなんてわかりきっていることだ。


灯織「……はぁ」


仕方ない、モノクマから情報を引き出すのはほかの方にお任せしよう。

……ん? ちょっと待って。
今回モノクマに改めて質問して、全く同じ内容が返ってきた。

……それってつまりは、それだけその情報に意味があることの証明にならないかな。
モノクマにとって、よっぽど【現役の高校生】で【アイドル】であることに意味があるっていうことなんじゃ……

大丈夫、自信を失うな風野灯織。
今の問答にだって、きっと意味があったに違いない……!


コトダマゲット!【モノクマの証言】
〔今回のコロシアイ合宿生活の参加者は、283プロの現役高校生アイドル15人のみ。そしてこのコロシアイはこの15人でなくては意味がなかったらしい〕

-------------------------------------------------
それに、モノクマは去り際に興味深い一言も残していた。
【図書室 書庫】、知りたければそこを調べなくてはならないらしい。

小糸の事件以来だ、ほこりのかぶった空間には悪趣味な事件資料の数々が収められていたと思うけど、そこに何か手掛かりが……?
余裕があれば向かうようにしよう。


【捜査パートの行先に図書室 書庫が追加されました!】

-------------------------------------------------

この部屋で調べられるのはこれくらいかな……
モノクマという存在、ますますわからなくなってしまった気がする……

【選択肢が残り一つになったので自動進行します】

【モノクマメダル獲得のためのコンマ判定を行います】

【直下レスのコンマ末尾と同じ枚数だけ獲得できます】

↓1
766 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/01(金) 22:36:06.40 ID:unkD6adb0
どうもです!
767 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 22:37:39.37 ID:/fY6YMbW0

【コンマ判定40】

【モノクマメダル10枚を獲得しました!】

【現在のモノクマメダル枚数…80枚】

-------------------------------------------------
【トレーニングルーム】

この一角は黒幕のプライベート用なのだろうか。
学校エリアの2階にもプール前の更衣室でトレーニングのできる空間はあったけど設備が段違いだ。
ルームランナーにベンチプレス、その他もろもろトレーニング器具が一通りそろっているし、壁は鏡張り。
肉体を仕上げるにはもってこいの設備が整っている。


智代子「ひゃ〜〜〜! なんだかここにいるだけでカロリーを消費しちゃいそうな部屋だね!」

灯織「チョコ、捜査の進捗はどう?」

智代子「うん、順調かな! ……それにしても、すごい部屋だよね! トレーニングジムが丸ごと一個入ってるみたい!」

灯織「うん……シャワーもロッカーもあるみたいだし、なんなら冷蔵庫にプロテインまで完備されてるよ」

智代子「……ん?」

(どうしたんだろう、チョコ……何か引っ掛かってるみたいだ)

(深く考え込んでる、ひとまずはそっとしておこう)
768 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 22:40:22.45 ID:/fY6YMbW0
-------------------------------------------------
【ポスター】

部屋の一角には一枚のポスターが飾られている。
華々しいステージの上でパフォーマンスを披露するアイドルの写真、そのアイドルはこの国の人間ならだれもが知っている往年の伝説的なアイドルだ。


智代子「あっ、それって【VERTEX】のポスター?」

灯織「うん……どうしてここに……」


【VERTEX】、この業界の人間なら知らない人間はいない最高規模のオーディションだ。
最高とは文字通りの最高、優勝して得られる恩恵は並大抵のものではない。
アイドルはモチロン事務所も一気に注目が集まり、それだけで芸能の歴史に名を刻むことになるとまで言われる代物。

実際優勝者はいずれもアイドルを引退した後でもいわゆる“大御所”としての椅子を用意されて一生くいっぱぐれることはない。
だが、それゆえに優勝の道は険しく、審査員の判定も厳しい。開催は定期的に行われるものの、基本的に優勝者を出さないことのほうが多いのだ。


智代子「やっぱりアイドルになったからには一番の夢だよね、VERTEX優勝!」

灯織「うん……まだまだ私たちには遠い道のりだけど、いつかあの舞台で歌ってみたいな……」

智代子「やっぱりコロシアイ合宿生活の参加者がわたしたち283プロのアイドルだからこのポスターも貼ってあったのかな? 世間的にVERTEXは知名度はあるといっても、わざわざこんなポスターを貼るなんて……」

灯織「うーん……どうなんだろう、そもそもこの地下階ってもともとは隠されていた場所なんだし、私たちのために用意したのなら学校エリアの地上階に貼りそうなものだけど……」

智代子「そ、それもそうか……! あれ? それじゃあこのポスターは……?」

灯織「黒幕が、黒幕自身のために貼った……?」


コトダマゲット!【VERTEX】
〔アイドルのオーディションとして別格の規模を誇る最高峰のオーディション。これに優勝すればアイドルとその所属事務所は至上の名誉を得られると言われている。そのポスターがなぜか地下一階のトレーニングルームに貼られていた〕
769 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 22:43:15.50 ID:/fY6YMbW0

さて、地下階での捜査もひと段落かな。
少しずつだけど、黒幕の正体や学園の真実に近づけているような気がする。
まだ時間は少し残っている、悔いのないように最後まで調べ尽くさないと……!

【地下階の捜査が終了しました】

【別のエリアの捜査に移行します】

-------------------------------------------------

1.寄宿舎エリア2F
2.学園長室
3.図書室 書庫

↓1
770 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/01(金) 22:44:49.90 ID:unkD6adb0
2
771 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 22:49:06.24 ID:/fY6YMbW0
2 選択

【コンマ判定90】

【モノクマメダル10枚を獲得しました!】

【現在のモノクマメダル枚数…90枚】

-------------------------------------------------
【学園長室】

おしおきメンテナンスルームを調べた時から気になっていた。
なぜモノクマは回りくどい動機を渡してコロシアイを強いるんだろうか。
人の生き死にが見たいだけなら、いくらでももっと強制する方法はある。
あくまで私たちが自分の手で殺害を選ぶことに意味があるといわんばかりの動機の数々……
改めて検討して、モノクマの真意を探らないと……!

ショーケースを開けて、そのファイルを手に取った。
『コロシアイ合宿生活動機概要』、モノクマがわたしたちにぶつけてきた動機のその全てが収められている一冊だ。


『一つ目の動機は【疑心暗鬼】、あえて黒幕との接点を公開することにより必要のない疑いあいに持ち込む。お互いがお互いを信じ合えない状況下でアイドルたちは信頼をどんな形で発揮してくれるのか』

『二つ目の動機は【焦燥】、フェイク映像による近縁者の危機を告示する。この学園から出たいという意思を一層駆り立てた上で、真のアイドルになるための決断力を養成する』

『三つ目の動機は【才能】、各人の才能を伸ばすためのヒントを授ける。柔軟な思考力のもと、与えられた道具をどう活用するかに着目したい。
備考:当初の予定と異なり、コロシアイがそこまで精力的に行われなかったため一部変更。後の計画の予備実験としての役割も兼ね、被験体αに人格の移植を行う』

『4つ目の動機は【犠牲】、集団としての生存のために1人を切り捨てる決断を迫る。損得勘定と個人の感情との間のすり合わせを適正化し、これから先生き残っていく上での野心を研ぎ澄ますのも狙いの一つである』


こうやって改めて見直すとやはり殺意を抱かせる動機としては異質なものを感じる。
動機にそれぞれ題されたものはもちろんのこと、文章の結びにあるのは黒幕から私たちに対する期待や狙いといった記述なのである。
まるでこの合宿生活で私たち自身に成長を促しているかのような、教育者ぶった顔がよぎってしまうような書き方だ。

(……もしかして、このコロシアイって……)

いや、さすがに考えすぎだ……
このコロシアイで私たちはあまりにも多くのものを失いすぎている。その失ったものと引き換えに、何かを手にするなんて……そんな……

黒幕は、私たちに何をさせたいの……?


コトダマゲット!【コロシアイの動機】
〔これまでの事件の引き金となったモノクマ提供の動機の数々。
@【疑心暗鬼】黒幕が事務所の仲間内にいるという情報
A【焦燥】身近な人物の身に危険が及ぶフェイク映像
B【才能】それぞれに与えられたさいのうにかんれんする物品
C【犠牲】裏切り者の暴露
そのいずれにおいても黒幕には何かしらの期待や狙いが存在していると思われる〕

-------------------------------------------------

1.寄宿舎エリア2F
2.図書室 書庫

↓1
772 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/01(金) 22:51:43.89 ID:unkD6adb0
1
773 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 22:53:41.68 ID:/fY6YMbW0
【コンマ判定89】

【モノクマメダル9枚を獲得しました!】

【現在のモノクマメダル枚数…99枚】

-------------------------------------------------
【寄宿舎エリア 2F】

「……っ!?」

踏み入れた瞬間に言葉を失った。学園内の他のエリアの中でも異質……このエリアは、荒らされている?
壁面は崩れかけ、鉄筋は剥き出し。床にはそこら中にコンクリ片が落ちている。
倒壊寸前だと聞いても信じてしまうだろう。

下手に捜査を行ってケガをしないようにしないと。
慎重な足取りで捜査へと向かった。

どこから調べようかな……?

1.ロッカールーム
2.学園長の個人部屋

↓1
774 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/01(金) 22:54:07.27 ID:unkD6adb0
1
775 :これいる? ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 22:57:32.26 ID:/fY6YMbW0
1 選択

【コンマ判定27】

【モノクマメダル7枚を獲得しました!】

【現在のモノクマメダル枚数…106枚】
-------------------------------------------------

【ロッカールーム】

壮観な光景だ。部屋の右から左、所狭しと配置されているのは金属製のロッカー。
見上げるばかりの背丈のロッカーにはそれぞれカードリーダーが備え付けられていて、セキュリティも万全といった感じ。

……誰かのこじ開けようとした痕がなければ。
しかし、人の力でこんなことになるだろうか。
まるで鉄球をぶつけられたように歪曲した鉄の箱は言い知れぬ不気味さをにじませる。
まるで人よりもはるか大きな怪物が暴れたような……そんなことはあり得ないんだけども。


入室時にも確認したとおり、この部屋のロッカーにはすべてカードキーがついている。
つまりは持ち主本人でなくては開錠できない仕組み。


……【今の私では調べることは出来なさそうだ】。

-------------------------------------------------

【選択肢が残り一つになったので自動進行します】

【モノクマメダル獲得のためのコンマ判定を行います】

【直下レスのコンマ末尾と同じ枚数だけ獲得できます】

↓1
776 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/01(金) 22:59:15.39 ID:unkD6adb0
むんっ
777 :そろそろ終了します…… ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 23:01:42.38 ID:/fY6YMbW0
【コンマ判定39】

【モノクマメダル9枚を獲得しました!】

【現在のモノクマメダル枚数…115枚】
-------------------------------------------------
【学園長の個人部屋】

寄宿舎エリアの二階ということもあり、誰かの部屋がまた存在していることはある程度予想していた。
ただ、まさかここまでの部屋があるとは……
私たちの部屋とは大違い、部屋のサイズも倍以上で家具も一通りは整っている。
部屋の雰囲気もあの悪趣味な目につく刺激的な配色ではなく、落ち着いた大人な雰囲気すら漂っている。


摩美々「まるでホテルの一室だよねー……」

灯織「摩美々さん……いらっしゃってたんですね」

摩美々「寄宿舎エリアの2Fで一番目に付くのはここだからねー……ったく、私たちにあんなタコ部屋押し付けておいてこんな部屋にいた人間って何様なんでしょうねー」

灯織「タコ……?」

摩美々「……なんでもなーい」


さて、この部屋にも手掛かりは結構ありそうだ。
念入りに調べることにしよう。

1.パソコン
2.デスクの引き出し
3.ブックラック

↓1
778 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/01(金) 23:03:20.45 ID:unkD6adb0
3
779 :もうちょっとだけ… ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 23:06:22.71 ID:/fY6YMbW0
3 選択

【ブックラック】

木造シックなブックラックにはギチギチに教育書やビジネス書といった書類が詰め込まれている。
『経営者目線の学園運営』『褒めちぎり教育』……どれも字が小さくて、挿絵や図も見当たらない。読んでいたらかなりの時間がかかりそうだ。

摩美々「灯織、そんなの読んでても仕方ないでしょー? 将来の夢学校の先生だったりした感じー?」

灯織「あ、いえ……すみません」

摩美々「んー……ぱっと見重要そうなのは、これですかねー……」

私の脇から顔をのぞかせた摩美々さんが手に取ったのは白いファイル。ほかのファイルとは違って、ラベリングやタイトル付けがされていない。

摩美々「露骨に怪しいですねー」

パラパラとめくっていくと、目についたのは数々のスライドが小分けに収録されたページ。
わかりやすく大きな文字のタイトル付けで、文字の説明は最小限。何かの発表で使う、プレゼン用のスライドだろう。


『新時代のアイドルを生み出す革新的発想』
『希望を新たに生み出す新・希望ヶ峰的アプローチ』
『成功すればどんなに凡庸なアイドルでもトップアイドルへ』
『見違えるような成果』
『無から有を生み出す発想』
『アイドル…新しい自分との出会い』
『すべてのアイドルを過去にするアイドルの創造』


灯織「新時代の、アイドル……」

摩美々「希望ヶ峰学園といえば才能の研究……それを利用してアイドルの育成を行うってのはありそうな話ですよねー」
780 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 23:07:05.19 ID:/fY6YMbW0

灯織「摩美々さん、これって……前に話した『希望ヶ峰学園歌姫計画』の話なんじゃ……」

摩美々「え、それって確か男子トイレ奥のファイルで見たやつー?」

灯織「はい……あのファイルは、樋口さんによって回収されてしまったんですが……」

摩美々「ふーん、その計画に希望ヶ峰学園の学園長も絡んでたんだったら、やっぱり歌姫計画ってのは公認だったのかなぁ……」

灯織「……あれ? 摩美々さん、これって少し変じゃないですか?」

摩美々「んー?」

灯織「希望ヶ峰歌姫計画とこのプレゼン資料……似てるようで、矛盾があるような気が……」

摩美々「摩美々はそっちの計画のファイルを見たわけじゃないから滅多なことは言えないなぁ……」

(そうだ……実際にあのファイルを自分の目で確認した私だから気づいた違和感)

(これは、改めて確認しておくべきかもしれない……)

(いけるタイミングがあれば【樋口さんの部屋】を改めて調査しよう……!)


コトダマゲット!【プレゼン資料】
〔寄宿舎2Fの学園長の個室にあったプレゼン資料。新時代のアイドルを作り出すための計画について、プレゼンのスライドがまとめられている〕

-------------------------------------------------
【捜査パートの行先に円香の部屋が追加されました!】
-------------------------------------------------

1.パソコン
2.デスクの引き出し

↓1
781 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/01(金) 23:07:12.07 ID:W3yST3ds0
>これから先生き残って
きのこる先生!きのこる先生じゃ…ないなお前誰だお前

メダルコンマがさっきからずっと高いな
これはちょっとした小金持ちですよ
782 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/01(金) 23:08:31.73 ID:unkD6adb0
2
にへへ、甜花、お金好き……
783 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 23:10:22.34 ID:/fY6YMbW0
2 選択

【デスクの引き出し】

デスク脇には私の腰よりすこし低いぐらいのキャビネットが備え付けられている。
実際にここで過ごしていた人間がいるのなら、何かしらの痕跡が残っているだろう。
一番上の引き出しから慎重に見ていくことにした……


うーん、一番上の段にあったのは【娘さんとの家族写真】、ぐらい?
紫髪の女の子が嬉しそうに高い高いをされている。
ほほえましい一枚だけど、手掛かりにはならなそうかな……?
合宿生活の黒幕はあくまで私たちと同じ事務所の人間だったはずだ。
こんな親族がいるなんて話は聞いたこともない。

続いての段は……黒いノート?
でも、特に何も書いてないな、人の名前ぐらい?
どれも見たことも聞いたこともないような名前……『渋井丸』……?
変わった苗字だな……

最後の段にようやく一定の成果が出た。
これはカードキーだろうか。私たちの電子生徒手帳によく似ている。


摩美々「……それって、マスターキーなんじゃないー?」

灯織「マスターキー、ですか!?」

摩美々「学園長の部屋に意味ありげに保管されていたあたり、重要なものっぽいし……これなら今までにいけなかった部屋とか、閉まってる部屋とかにも入れるんじゃないかなぁ」

灯織「寄宿舎のそれぞれの個室なども調べられそうですね……」

摩美々「うわぁ……プライバシーゼロ発言、今言質とったからねー」

灯織「え、ええっ?!」

摩美々「冗談ですよー、多分灯織の言った通り……誰かの部屋を調べたりするのも重要、今回ばかりは手段も選んでられないでしょー」

(こんなところで思わぬ武器を手に入れちゃったな……)

(この学園の真実に近づく重要なカギだ、大切に扱おう)

(これがあれば、【ロッカールーム】も調べられるかな……?)

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【選択肢が残り一つになったので自動進行します】
784 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/01(金) 23:11:29.16 ID:unkD6adb0
785 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 23:13:47.68 ID:/fY6YMbW0
-------------------------------------------------
【パソコン】

やはり調べるべきはパソコンだろう。
この部屋の持ち主が希望ヶ峰学園の学園長だというなら、それ相応の価値ある情報がこのパソコンには入っているはず……!
そう思ってキーを押したけど……だめだ、パスワードロックがかかっている。


摩美々「まぁ、そりゃそうだよねー……今時そんなセキュリティが甘いことなんてないかぁ……」

灯織「【7文字のパスワード入力】……」

摩美々「はぁ……しょうがない、ここはいったん諦め……」

灯織「……いえ、摩美々さん、やりましょう」

摩美々「えぇー?」

灯織「パスワードの解除、そのための糸口はどこかにあるはずです……ここで立ち止まるわけにはいきません!」

摩美々「……なぁんかカロリー使いそう……」

(つい先ほど地下階を解放するためのパスワードを私は明らかにしたばかり……)

(このパソコンのロックだって……なんとかなるはずだ……!)
786 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/01(金) 23:17:38.49 ID:/fY6YMbW0

というわけで次回は二つ目のパスワード解除の謎解きより再開いたします。
今からやるとさすがに遅くなりそうなのでここで今日は終わらせていただきますね。

謎解きパート、回答がしにくいなどあれば安価の方法を変えたほうがいいですかね。
暗号など考えたのも初めてのことで難易度調整などよくわからず手探りでやってるので……

今回の捜査パートでだいぶんお話としては進んだ気がしますね、次回で非日常編の捜査パートも終われるかな……
次回更新は10/2 21:00〜予定です。またよろしくお願いします。
787 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/01(金) 23:19:05.57 ID:wmokhvKR0
お疲れさまでした
788 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 20:48:57.25 ID:6uSYVKAc0

再開少し遅れます。
789 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/02(土) 21:00:27.07 ID:PI3NxXyx0
了解です
790 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 21:19:48.09 ID:6uSYVKAc0
所用で少し遅れてしまって申し訳ありません。
学園長の個人部屋、パソコンのパスワードキー開錠謎解きパートより再開いたします。
791 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 21:20:30.69 ID:6uSYVKAc0

【パスワードロック開錠】

摩美々「じゃあまずは状況の確認からしようかー、このパスワードは【7文字】入力するシステムになってるみたいだねー」

灯織「アルファベットか……数字でしょうか?」

摩美々「何か手掛かりが少しでもあるといいんだケド……」

(摩美々さんはガサゴソのデスクの上を漁っている……)

摩美々「あ、これっぽいねー。パソコンの裏側に貼ってあったよー」

灯織「パスワードを示したメモ……でしょうか?」

『たえそふえちく』

摩美々「うーん……これだけじゃ意味はわかんないかなぁ……」

灯織「何かの言葉なのでしょうか……?」

摩美々「机の上には他にも気になるものがあるし、それを踏まえて検討したほうがいいかもねー」

(これ一つで完結しない謎の可能性もあるってことか……)

摩美々「謎解きはここからって感じだねー、基本は灯織にお任せするケド、私も私なりに考えてはみるからぁ……相談したければ声をかけてよねー」

(なんとしてもこのパスコードロック……開錠して見せるぞ……!)

-------------------------------------------------
【開錠開始】

『たえそふえちく』

1.パスワードを入力する【パスワード7文字指定】
2.パソコンを調べる
3.カレンダーを調べる
4.机の上を片付ける
5.摩美々に相談する

↓1
792 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/02(土) 21:22:09.00 ID:PI3NxXyx0
2
793 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 21:24:11.75 ID:6uSYVKAc0
2 選択

【パソコン】

さっき摩美々さんがこのメモ用紙を見つけてくれたんだし、何か他にも隠されたヒントがあるかも!

そう思って自分でもあちこち見てみたけど……特に変わった様子はないかな。
普通のノートパソコンで、モニターと【キーボード】があるだけ。
外付けの設備なんかもない、ごく最低限のものだ。

うーん……
最終的にはこのパソコンでパスワードを入力するんだけど、新しい手掛かりはなさそうかな……

『たえそふえちく』

1.パスワードを入力する【パスワード7文字指定】
2.パソコンを調べる(済)
3.カレンダーを調べる
4.机の上を片付ける
5.摩美々に相談する

↓1
794 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/02(土) 21:35:34.32 ID:PI3NxXyx0
3
795 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 21:37:29.91 ID:6uSYVKAc0
3 選択

【カレンダー】

卓上カレンダーだ。月が替わるごとにめくる形式のものらしいけど、これも特に変わった様子はない。
日付が一定の区間ごとに区切られて色が変わっているけど、これは【12星座】に基づく色分けみたいだ。私の誕生日は3月4日でうお座。
……うん、2月19日から3月20日の区間で着色されているあたり間違いない。

他には特定の日付にマークがされているような様子もないし、特に予定表なんかも書き込まれていない。

うーん、ここにヒントは特にないのかな?

-------------------------------------------------
『たえそふえちく』

1.パスワードを入力する【パスワード7文字指定】
2.パソコンを調べる(済)
3.カレンダーを調べる
4.机の上を片付ける
5.摩美々に相談する

↓1
796 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 21:38:16.81 ID:6uSYVKAc0
別に大きな意味で違いはないですが……
一応誤解を生まないように修正して再安価

-------------------------------------------------
『たえそふえちく』

1.パスワードを入力する【パスワード7文字指定】
2.パソコンを調べる(済)
3.カレンダーを調べる(済)
4.机の上を片付ける
5.摩美々に相談する

↓1
797 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/02(土) 21:43:22.11 ID:PI3NxXyx0
4
798 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 21:44:20.24 ID:6uSYVKAc0
4 選択

【机の上】

さっきからなんだか気になっていたけど、この机はなんだかごちゃついている。
ペンやメモが出しっぱなしだし、紙がくしゃくしゃに丸められたまんまなのも目につく。

……仕方ないので整理することにした。
ゴミを除けて、鉛筆やペンはあるべき場所へ。
よし、これでパソコン周りもきれいに……あれ?

さっきは気づかなかったけど、ペンケースの中に押し込められたぐしゃぐしゃの紙がある。
急いで取り出してその場に広げると……

『しか…1→
 ふさ…5←
 てい…□□』

こ、これって……何かしらのメッセージだよね……?
パスワードを読み解くうえで必要になるものに違いない……ちゃんと覚えておかないと……!

-------------------------------------------------
『たえそふえちく』

『しか…1→
 ふさ…5←
 てい…□□』

1.パスワードを入力する【パスワード7文字指定】
2.パソコンを調べる(済)
3.カレンダーを調べる(済)
4.机の上を片付ける(済)
5.摩美々に相談する(ヒント)

↓1
799 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/02(土) 21:50:16.87 ID:PI3NxXyx0
5
800 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 21:56:31.98 ID:6uSYVKAc0
5 選択

灯織「摩美々さん……とりあえず材料はそろったみたいですが何か思いついたことなどは……」

摩美々「えー、さっそく摩美々頼りですかぁ……?」

灯織「す、すみません……摩美々さんの頭脳が必要なんです……!」

摩美々「……まあ、一つ言えるのはあのカレンダーもこの意味深な暗号も全部全部無関係なはずはないってコトだよねー」

灯織「ええ、おそらくは……特にこちらの暗号はパスワードを求めるうえでは大きな役割を果たすのではないでしょうか……」

『しか…1→
 ふさ…5←
 てい…□□』

摩美々「……この左辺の二文字と繋がれた右辺の【数字と矢印】には何かしらの意味があるよねー、となるとこの左辺の二文字が何を指すのかを考えたほうがいいカモ……?」

灯織「確かに、クイズ番組などでもありがちですよね……意味不明に見える文字列が実は何かの頭文字だった、のように……」

摩美々「NEWSで北東西南……みたいなことだねー」

(……なにか『しか』『ふさ』『てい』が頭文字になるような組み合わせはあるだろうか……)

1.パスワードを入力する【パスワード7文字指定】
2.パソコンを調べる(済)
3.カレンダーを調べる(済)
4.机の上を片付ける(済)
5.摩美々に相談する(ヒント)

↓1
801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/02(土) 22:13:42.54 ID:PI3NxXyx0
5
802 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 22:20:53.94 ID:6uSYVKAc0
5 選択

摩美々「……灯織、わかったかも」

灯織「摩美々さん、本当ですか?!」

摩美々「今摩美々たちの身近にあるキーワードで、ちょうどこの二文字ずつが頭文字になる組み合わせ……それって12星座なんじゃないかなー」

灯織「……!」

摩美々「わざわざこんな予定も空白な卓上カレンダーおいてる辺り妙だと思ってたんだよねー。このカレンダーの特徴ってば12星座ごとに色塗りされてることぐらいのものだしー」

灯織「となると……『しか』は『しし座』と『かに座』。『ふさ』は『ふたご座』と『さそり座』。『てい』は『てんびん座』と『いて座』……ですか?」

摩美々「多分ねー。で、そうなると、右辺の数字と矢印の意味も見えてこないー?」

灯織「……! もしかして、関係性、ですか……?!」

摩美々「そういうコト、かに座はしし座の一つ後。さそり座はふたご座の5つ前。……ほら、右辺の数字と矢印、それに一致するでしょー?」

灯織「となると『てい』の右辺に来るのは……二つ前、つまり『2←』なんですね!」

摩美々「……でも、問題はそれが何を意味するかってこと……この暗号の答えを、どこかで使うとは思うんだケド……」

-------------------------------------------------
『たえそふえちく』

『しか…1→
 ふさ…5←
 てい…□□』

1.パスワードを入力する【パスワード7文字指定】
2.パソコンを調べる(済)
3.カレンダーを調べる(済)
4.机の上を片付ける(済)
5.摩美々に相談する(ヒント)

↓1
803 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/02(土) 22:37:03.84 ID:PI3NxXyx0
5
804 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 22:40:54.72 ID:6uSYVKAc0
5 選択

灯織「うーん……」

摩美々「……灯織、何を迷ってるのー?」

灯織「え? いや、先ほどの暗号の答えはわかっても、それを当てはめる先が……」

摩美々「シーザー暗号」

灯織「え?」

摩美々「シーザー暗号、聞いたことないー? 意味不明の文章でも、ある一定の文字数前または後ろにずらすと意味のある文章になるっていうやつだよー」

灯織「は、はぁ……」

摩美々「いま、摩美々たちの前には謎の暗号がひとつありますよねー?」

灯織「……!!」

摩美々「それを二つ前にずらす、ただそれだけの簡単なことじゃないかなぁ」

灯織「な、なるほど……」

摩美々「……まあ、それがパスワードとして正しいかは別として、ねー」

(……え?)

-------------------------------------------------
『たえそふえちく』

『しか…1→
 ふさ…5←
 てい…□□』

1.パスワードを入力する【パスワード7文字指定】
2.パソコンを調べる(済)
3.カレンダーを調べる(済)
4.机の上を片付ける(済)
5.摩美々に相談する(自動進行)

↓1
805 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/02(土) 22:53:51.90 ID:PI3NxXyx0
1 せいすはいそか
806 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 23:03:09.55 ID:6uSYVKAc0
正確には微妙に正解ではないのですが、時間の都合もあるので正解ということにします。

-------------------------------------------------

私は一文字一文字、丁寧に丁寧に入力していく。
先の暗号二つで明らかになった、『せいすはいそか』

これは、これこそが、本当のパスワード……



……を入力するための手順だ。


『PERECT』


灯織「いけました……!」

摩美々「ナイス灯織ー、よくできましたー」

灯織「いえ、ほとんど摩美々さんのおかげですよ……摩美々さんの言う通りに暗号を解いていっただけですから」

『しか…1→
 ふさ…5←
 てい…□□』

灯織「12星座の二つを取り出した組み合わせ、その頭文字から関係性を割り出して……」

『たえそふえちく』

『せいすはいそか』

灯織「それをそのままシーザー暗号の解法として適用する。でもこれだけではまだ、意味として通りませんから」

摩美々「あとはその平仮名に合わせて【キーボード入力】ってことなんだねー」

灯織「はい、パソコンのキーボードのかな入力でこの七文字を入力する際に経由するアルファベットキー。それが一つの単語になるんです」

摩美々「【PERFECT】……随分なメッセージだねー」

【開錠成功】
807 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 23:04:17.02 ID:6uSYVKAc0

暗号化されたパスワードに隠していた情報、そこには何かしら重要な意味があるのは間違いないはず。
宝物を見つけた冒険家のように、モニターに飛びついて一つ一つ入念に確認していく。


灯織「……どうやら、このパソコンの持ち主はこの学園の学園長のようですね」

摩美々「みたいだねー、摩美々たちがこの学園に来る前に見ていた【希望ヶ峰学園第78期生】についての情報もあるしー」

灯織「……これ、なんでしょう……【絶望の残党】……?」

摩美々「あんまり聞きなじみがない言葉……ちょっと開いてみてー」

灯織「は、はい……」

『絶望の残党と呼ばれる人間たちがついに我が希望ヶ峰学園への襲撃を始めた。絶望に心酔する彼らが希望の象徴を憎しみ目の敵にする道理はわかる。だが、なんとしてもこの一線を彼らに譲るわけにはいかない。希望を守り、はぐくむ者の宿命として、この身を賭してでも、なんとしても彼らを守ってみせる』

摩美々「いや、結局何にもわからないんですケドー……」

灯織「でも、どうやらこの絶望の残党と呼ばれる人たちは希望ヶ峰学園を襲っていた……それって私たちの状況と何か関係があるのではないでしょうか……?」

摩美々「うーん……そもそも【絶望】って何―? なんだか抽象的な話ばっかりでつかめない感じー……」

(……まるで具体的な情報はないけれど、見過ごしていい情報ではない気がする……)


コトダマゲット!【絶望の残党】
〔希望ヶ峰学園を襲っていたとされる集団の俗称。正体素性に関する情報はまるでない〕
808 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 23:07:00.70 ID:6uSYVKAc0

摩美々「それと見逃せないのがメールだよねー、そっちのアイコンクリックしてよー」

灯織「は、はい……!」

摩美々「……結構数あるねー、全部見てる時間はなさそうだケド……」


摩美々さんに促されるままクリックするとメールリストがポップアップ。
上から下までずらりと表示され、私たちはそれを流し流しで確認していく。
その一つ一つに目を通すことは難しかったけど、俯瞰的にとらえていると一つ感じるところがあった。
____それは明確な違和感。


灯織「……摩美々さん、これ、少し変じゃないですか?」

摩美々「灯織も気づいたー? このメールのやり取り……全部一方的なんだよねー」


メールは特定の相手とばかり為されている様子で、しかもこちらからはほとんど返信がされていない。
一方的に向こうが送り付けている様子、このコンピュータの持ち主はものぐさな人物なのだろうか。

こちらにメールを送り付けている何かプロジェクトに携わっているかのように見えるその人物は、
はじめは穏やかな口調の文面だったが、一向に返信しないとみるやその様子は変わっていく。
最終的には、かなり冷淡な口調となってしまっていた。

809 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 23:11:14.83 ID:6uSYVKAc0

『A、君のこれまでの功績は評価に値する。我々は実際君に高い期待を寄せていた。だからこそ、今回の独断での行動は看過することはできない。即座に計画を打ち切ってほしい、我々の要求に応じない場合立場を追われることも覚悟しておいてくれ。理解ある行動を我々は望む』

摩美々「これ、どういう関係性なんだろうねー」

灯織「どうなんでしょう……これだけでは見えてきませんが、『これまでの功績』『立場』などといった言葉からしても同一の組織に属する人間であることは間違いなさそうに思います」

摩美々「……希望ヶ峰学園の管理者団体……?」

灯織「にしては文面に違和感を感じてしまいますね……」


まるで明確な情報はそこにはない。
だけど、何か不吉な空気が漂っているという確信だけは抱かせるような不気味な違和感が声高々に主張しているのだ。

……これは、一体……?

コトダマゲット!【Aへのメール】
〔A、君のこれまでの功績は評価に値する。我々は実際君に高い期待を寄せていた。だからこそ、今回の独断での行動は看過することはできない。即座に計画を打ち切ってほしい、我々の要求に応じない場合立場を追われることも覚悟しておいてくれ。理解ある行動を我々は望む〕

-------------------------------------------------

この部屋で調べられるのはこれくらいかな。
結局、この部屋の持ち主は本当に希望ヶ峰学園の学園長、だったのかな……?

でも、収穫は大きい。
何よりこの【マスターキー】だ。これがあれば、今まで行けなかったところもいけるようになるし、開けられなかったところも開けられるようになる!
まずは【ロッカールーム】の調査のやり直しだけど……ほかにも使えそう!

樋口さんの部屋を見るのもそうだし……

なにより、これまで一度も踏み入れることのなかった、【あの部屋】だ……!


【捜査パートの行先に情報処理室が追加されました!】

810 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 23:12:30.14 ID:6uSYVKAc0
-------------------------------------------------
【ロッカールーム】

壮観な光景だ。部屋の右から左、所狭しと配置されているのは金属製のロッカー。
見上げるばかりの背丈のロッカーにはそれぞれカードリーダーが備え付けられていて、セキュリティも万全といった感じ。

……誰かのこじ開けようとした痕がなければ。
しかし、人の力でこんなことになるだろうか。まるで鉄球をぶつけられたように歪曲した鉄の箱は言い知れぬ不気味さをにじませる。
まるで人よりもはるか大きな怪物が暴れたような……そんなことはあり得ないんだけども。

入室時にも確認したとおり、この部屋のロッカーにはすべてカードキーがついている。
つまりは持ち主本人でなくては開錠できない仕組み。本来なら捜査なんて全くできないんだけど……


つい先ほど学園長室で手に入れた【マスターキー】。
これならすべてのロッカーを開けられるはず!
私は目につくロッカーを片っ端から開けていくことにした……

811 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 23:13:56.03 ID:6uSYVKAc0
___
____
_____

いくつかの収穫はあったな。
どうやらこのロッカーはこの学園の生徒のもの……だけではないらしい。
科学の実験に使うような白衣、しかも着古されたような痕跡のあるものがいくつも入っていた。学園の職員の備品なのだろうか?

白衣の入っていたロッカーには他にも興味深いものが入っていた。
【候補者リスト】と題されたノートだ。複数人で使いまわされている様子で、筆跡も異なる記述がいくつも入っている。
そして何より重要なのが、その記述は【私たちの名前】であることだ。


『櫻木真乃:【超高校級の飼育委員】【超高校級の調教師】【超高校級の獣医】
 風野灯織:【超高校級の占い師】【超高校級のうたのおねえさん】【超高校級の料理人】
 八宮めぐる:【超高級の助っ人】【超高校級のチアリーダー】【超高校級のバスケ部】』


この合宿生活に参加している16名全員の名前、その横には【超高校級の才能】が書き添えられている。
今現在割り当てられている、才能の他にもいくつか。
もとより身に覚えがない才能では有るけども、こうも沢山書かれているとどうしても気になってしまう。

そして、一番気になったのは……浅倉さんの記述だ。

『浅倉透:【超高校級のカリスマ】【超高校級のクライマー】【超高校級の■■】→風野灯織』

才能のうち一つが黒塗りされて、そこから延ばされた矢印の先には私の名前があるのだ。
学園長室で浅倉さんの才能は確認した、あの時は確か【超高校級のカリスマ】だったはずだ。
なのに、なぜ……割り当てられていない才能をわざわざ隠すような工作が?

何が意味があるのは間違いない。
このリストは後に何か重要な意味を持つはずだ……!


コトダマゲット!【候補者リスト】
〔灯織たちコロシアイの参加者全員の名前と共に、謎の候補が書き添えられている。なぜか透の候補だけ黒塗りされ、矢印で灯織にその候補が切り替えられた旨が記されている〕
812 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 23:15:25.56 ID:6uSYVKAc0

そして、それとは別に気になるものがもう一つ。
これは学園の関係者のロッカーとはまた別のロッカーのようだ。
ほかのロッカーとは異なり、それ以外のものが何も置いていない。あったのは【手帳】ただ一つだけ。
人の目をはばかるように置かれたその手帳には、どこか見覚えがあり、親しみすら覚えるほどだ。

思わず手に取り、手帳を開いた。
ページの上から下まで隅々に至るまで緻密な記述がある、書きなぐった様子でもなく、整然とした字体だ。
誰かに見せるもの、といった様子ではないし、持ち主は余程几帳面な人間だったのだろう。
そんな持ち主の方にはすこし申し訳ないけど、今は手掛かりが少しでもほしい。遠慮がちに目を落とした。


『灯織とともにここまで歩んできて、彼女自身の変化を時折感じることがある。はじめはアイドルとしての自分自身に対するとらえ方も定まっていなかったけど、自分に向けられる行為と興味のベクトルをしっかりと受け止めらるようになった。自分自身の力で、ファンの期待に応えるような発信をできるようになったことを、彼女自身はまだ気づいていないのかもしれないが確かな成長だ。しっかりと伸ばしていけられるように、俺がそのすぐ側で見守っていきたい』


……これって。
そこに書いてあったのは疑いようもない私の話、しかもそれは私をプロデュースする側の、目線から書いてある話だ。
間違いない、この手帳の持ち主は……『プロデューサー』だ。


コトダマゲット!【プロデューサーの手記】
〔プロデューサーによる灯織を始めとした283プロのアイドルのプロデュース録。出会ってから今日に至るまでの記録に加え、これからの方針まで書き漏らしなく彼の所感と共に記されている〕
813 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 23:17:00.19 ID:6uSYVKAc0

寄宿舎エリアの2階はこれで調査し終えたかな……?
ひとまずの大きな収穫としてマスターキーがある、これを使えば今まで入れなかった部屋にも入れるようになるはずだ。
【樋口さんの部屋】にも一度入っておきたいな、私が二階男子トイレ奥の空間で見つけたファイルを樋口さんが持ち出していたはず。
再度そのファイルの検討はしておくべきだ。
そして何より【情報処理室】。学校エリアで唯一いまだに入ることができなかった部屋、黒幕にとっても重要な意味を持つ部屋だろう。
これから先は、その二部屋も捜索の対象に入れておくべきかな。

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1.図書室 書庫
2.円香の部屋
3.情報処理室

↓1
814 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/02(土) 23:19:23.40 ID:bUoQR+Y90
情報処理室
815 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 23:23:16.26 ID:6uSYVKAc0
【コンマ判定 40】

【モノクマメダル10枚を獲得しました!】

【現在のモノクマメダル枚数…125枚】

-------------------------------------------------
【情報処理室前】

……いよいよといった感じだ。
この部屋はやはり異質。今までずっと開かなかったその扉は見た目以上の威圧感を感じるというか、何もしていないのに心臓の音がうるさくなってしまう。
一応は学園の見取り図で中を確認はしている。
電気設備が充実しているいわゆる情報教室なのだけど、
黒幕がここまでひた隠しにしてきた部屋ということもあって嫌な予感というものを色濃く感じてしまうのだ。

流石に一人で入る勇気は持てず、皆さんに声をかけて回った。
調査中でいらっしゃったのにすぐに皆さんは首を縦に振ってくださり、全員が集まった。本当に快い方々ばかりだ。


愛依「だ、大丈夫かな……バクハツとかしないよね?!」

智代子「め、愛依ちゃん……怖いこと言わないでぇ……」

摩美々「そんな心配しなくてもー、部屋の扉を開けるのは灯織なんだしー」

灯織「わ、私ですか?!」

雛菜「がんばれ〜! 灯織ちゃん〜〜〜〜!」

(うう……そんな殺生な……)
816 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 23:26:18.73 ID:6uSYVKAc0

皆さんは廊下に散り散りになって私だけが扉の前に。
……うう、これでは皆さんを招集した意味が……

ピピッ

意を決して、開錠。
爆発は……起きなかった。


灯織「……はぁ」

ほっと胸をなでおろす。
こんなところで私たちをみすみす爆殺するようなことはないとは頭ではわかっているものの、
この学園で過ごしているとどんな行動にもリスクが付きまとって感じられてしまうのが嫌なところ。


摩美々「それじゃあ探検開始―」

灯織「少しくらいねぎらいの言葉をかけていただいても……」

摩美々「……そうだねー、灯織の尊い犠牲のおかげで私たちは前に進めるわけだし、敬礼ぐらいしとくー?」

灯織「この学園だと笑えませんよ……」

(うぅ……世知辛い……)

817 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 23:26:55.19 ID:6uSYVKAc0
-------------------------------------------------
【情報処理室内部】

実際に踏み込んだ情報処理室は、思っていたよりもさらに近未来的な空間だった。
壁面一帯はモニターで覆い尽くされ、テレビの報道で目にするようなスーパーコンピューターが我が物顔で部屋の一角を占拠している。
デスクトップパソコン……なんだろうか、やたらと厚みあるモニターにはよくわからない設備も付属している。


智代子「いかにも飲食厳禁って感じの部屋だね……」

愛依「やば……ウカツに触れないカンジ……?」

摩美々「まぁ専門的な話はわからないケドさぁ、手掛かりになりそうなものだらけじゃーん?」


情報機器がこれだけ多いというのは文字通りそれだけの情報があるということ。どこまで引き出せるかはわからないけど、調べないことには始まらない……!
818 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 23:27:37.25 ID:6uSYVKAc0
-------------------------------------------------
【テレビ】

部屋には薄型の大きめなテレビが置いてある……
とくにテレビ自体に変わったところはない、よくある市販品のものだ。


摩美々「電源にもつながってるし、スイッチを押せば見られそうだねー」

愛依「こっちにリモコンもあるし、押してみる?」

雛菜「もしかして、外の世界のニュースとかも見られるかも〜〜〜〜!」

……と、思ったのだけど。

智代子「あれ……?! 電源を入れてもつかないね?!」

灯織「……うーん、アンテナと繋がってないのかな……?」

摩美々「……ただの電源コードであくまでここら辺のパソコンと同期するためだけのものって感じだねー」

雛菜「なーんだ……テレビが見れればいろんな情報が手に入ると思ったのになぁ……」

(そう易々とは情報はつかませてはくれないか……)
819 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 23:28:27.32 ID:6uSYVKAc0
-------------------------------------------------
【モニター】

壁面には無数のモニターが取り付けられており、その全てが異なる映像を流している。
だが、そのいずれにも見覚えがある……というよりもむしろ。


摩美々「この学園の監視カメラ映像だよね、明らかにー」


脱衣所などを除いたほぼすべての部屋と廊下の監視カメラ映像がライブ映像で流れている。
それは勿論私たちの今いる情報処理室も含めて。


愛依「これって……黒幕はこの部屋でうちらを監視してたってことなん?!」

雛菜「なるほど〜、これだけたくさんのモニターがあればどこで誰が何をしてたかもすぐにわかっちゃうね〜!」

智代子「だからモノクマは事件の犯人もそのトリックもわかってたんだ……」


思わず歯ぎしりしてしまう。黒幕はこの部屋からすべてを見ていた。
それはつまり、すべての事件について被害者を見殺しにしていたことに他ならないのである。

……コロシアイ合宿生活の黒幕に人の心を求めるなんてお門違いなことだとはわかっている。
ただ、私の中の良心が叫びだしそうになってしまうのは止めることもできやしない。


摩美々「でも、あくまで黒幕にわかるのはこのモニターに映る範囲のことだけ……なら、灯織を救い出す道はまだあることの証明でもあるよねー」

灯織「……摩美々さん」

摩美々「めぐるの体は覆面にタオルに凛世の左手にいろいろと工作がされていたからねー、こんな俯瞰視点だけじゃ全部は把握しきれないでしょー」

愛依「あっ、それじゃあうちらで円香ちゃんが事件を起こした時の映像を見るのはどう?! そしたらこれまでの調査で分からなかったことも見えたりするかもしんないじゃん!?」

摩美々「このモニターの操作方法もわからないしー、その映像は黒幕もしっかりと調べてはいるだろうし……あんまり新しい情報のあてにはならなそうじゃないー?」

愛依「そ、そっか……」

(うーん……このモニター映像、手掛かりの一歩手前までは迫れそうなんだけど……)
820 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 23:29:42.66 ID:6uSYVKAc0
___
____
_____

しばらく調査をしたものの、目立った成果としては上げることはできなかった。
ここは黒幕にとって重要な部屋であることこそ間違いないが、この学園の核心に迫るものとはまた別だ。
実際操作の仕方もわからない機器を前にして攻めあぐねているところもあり、無為な時間ばかりが流れてしまった。

せっかくこれまで開かなかった部屋に入れたのに……その焦りの念ばかりが押し寄せる。
ここまでの努力が徒労に終わる、そう思いかけた時だった。


『……ザザ……ザ……』

智代子「……あれ?」

雛菜「チョコちゃんどうしたの〜?」

智代子「……今、そこのパソコンから何か音がしたような……」


すぐにチョコの指摘の下にパソコンモニターの前に集まる。
つい先ほどはファイルを開こうとしてもパスワードに阻まれ匙を投げたのだが、改めて向き直ると何か通話アプリのようなものが起動している。
暗闇の中に白い線が不規則に流れていく砂嵐。

____画面の向こうに、何者かの存在が感じ取れた。
821 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 23:30:24.15 ID:6uSYVKAc0

『……ザ……ザザ……るか……聞こ……か……』


音声は乱れていて、声の持ち主はだれかはっきりとわからない。
だが、その何者かは間違いなく、リアルタイムで私たちに呼びかけている。


灯織「あの……! もしかしてこの学園の外の方ですか……!?」

『……りか……ザザ……無事……ザザ……』

摩美々「……電波障害が激しくて、何言ってるかはほとんどわからないねー」

『……す……ザザ……もっと……けに……行……な……ザザ……』

智代子「だ、だとしてもこっちからの声は聞こえてるかもだよ! た、助けを呼ぼうよ、この人が助けてくれるかも!」

愛依「そ、そうじゃん! あの、ケーサツ! ケーサツに電話して!」

『……でに……ごい……ザザ……る……ザザ……』

雛菜「うーん……こっちの声が届いてるのかどうかも怪しそうだけどな〜」

『……す……ザザ……ん……ザザ……』


画面の向こうの人物の声のトーンが少し下がったような気がする。
おそらく私たちの状況をある程度分かった上の通信なんだろう、私たちを救出できないことに責任を感じているような、そんなニュアンスを感じ取れる。
しばらくこちらとの通信を取り図ろうと四苦八苦している様子だったが、砂嵐はやむこともなく、むしろ一層激しくなろうかという勢いだった。


摩美々「うーん……せっかくチャンスだと思ったんだケド……」
822 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 23:32:07.43 ID:6uSYVKAc0

____と、その時。


智代子「……あ、あれ!」

灯織「チョコ? どうかした……?」

智代子「あのモニター、見て! なんか、変だよ……!?」


今度は壁のモニターに異変が起きたのだ。
学園内の監視カメラ映像をリアルタイムで映しているはずのモニター、その一つが突然に急速巻き戻り始めた。
その映像は……寄宿舎エリアの【大浴場前】の監視カメラ映像だ。


『……れでは……ザザ……で精……ザザ……』

灯織「こ、これはもしかしてあなたが……!?」

『……ザザ……ああ……』


画面の向こうの人物は確かに肯定した。
首を縦に振るのが見えたわけでも、まして『ああ』の二文字以上の言葉が聞こえたわけでもない。
だが、意思伝達というのはそれ以上を必要としないこともある。
私たちには、このモニターの巻き戻りがこの人物によってもたらされた千載一遇のチャンスであることが、即座に確信できた。
そこに理由はない、本能にも近しい“勘”というやつだ。

摩美々さんもその勘に従ってすぐに動いた。近くにあったメモリーカードをすぐにつかみ取り、コンピューターにつないだ。
823 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 23:34:11.27 ID:6uSYVKAc0

摩美々「もしもしー? あのモニター映像、何か意味があるのならこっちに移してもらえますー?」

(す、すごい……摩美々さん、即座に反応したぞ……)

『……ザザ……』


パソコンの画面にはまた別のウィンドウがポップアップ。
データの授受が行われている表示だ、どうやら画面の向こうの人物もまた摩美々さんの行動を“勘”で理解したらしい。


摩美々「とりあえずデータはこれで手に入る、その内容は自分の目でも見ておくべきだよー」


摩美々さんは迅速に対応したかと思うと、これまた迅速に私たちに指示を出した。
モニターを注視しろ、その指示通りにすぐに私たちはかじりついた。
映像はなおも巻き戻り続け、数時間、数日前……めぐるが命を落とした事件の前夜にまで戻ると、再生を始めた。


愛依「こ、これってうちらが円香ちゃんに監禁されてた時の映像……?」

雛菜「し〜〜〜! だれか出てきたよ〜?」


画面の手前側の死角から歩いて出てきたのは……【樋口さん】そして【めぐる】の二人だ。
事件の首謀者と被害者その関係性は明らか……なのに、だからこその違和感を感じる光景だ。

めぐるの歩き方があまりにも自然すぎるのだ。自分の意志で歩いていて、迷いがない。
今命の危機にさらされている状態のはずなのに、怯えたり不安に駆られたりしているときの体の揺らぎのようなものもほとんどない。
加えて、樋口さんも何も脅しているような素振りすらない。
武器を手に持っているわけでもない、めぐるの手は拘束されてはいるものの、足は全くの手付かず。
突然走り去って逃げてしまうリスクもありそうな状態なのに、樋口さんは何も手を打つ様子がない。

そんな不自然な散歩をしている二人は、そのまま脱衣所へと入ってしまった。
824 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 23:36:04.96 ID:6uSYVKAc0

灯織「こ、この映像は……?」

摩美々「めぐるが命を落とす直前の映像……二人が大浴場に入った映像……」

愛依「こ、これがうちらにとって重要な意味を持つの?」

智代子「最期の晩餐ならぬ最期の入浴……なわけ、ないよね……?」

雛菜「わざわざ雛菜のためにこの映像を見せてくれてることを考えても、二人でお風呂に行った以上の意味があるのは間違いないよね〜」

摩美々「まあ、お風呂に入ったんじゃないみたいだよー?」


摩美々さんの指摘通り、映像の中の二人は大浴場からものの数分で出てきてしまった。
衣服が乱れた様子も特になく、何事もなかったようにそのままスタスタと歩いて学校エリアへとその姿は消えていった。


灯織「……行ってしまいましたね」

智代子「……行っちゃったね」


正直、これだけでは何が何だかわからないといったところだ。
目に見えて大きな何かが起きたわけでも、新しい登場人物が出てきたわけでもない。


『……きっと……ザザ……くも……ザザ……らな……』


ただ、この映像を私たちに見せるために動いてくれた人物がいるという事実がある以上、これは黙って見過ごせるものでないのも事実。
きっとこの謎が私たちを真相に近づけさせる大きな一手になるはず……


コトダマゲット!【脱衣所前の監視カメラ映像】
〔めぐる殺害の事件の発生前夜のカメラ映像。円香とめぐるが二人で脱衣所に入り、物の数分で退室、学校エリアに向かうまでが記録されている〕
825 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 23:38:32.85 ID:6uSYVKAc0

摩美々さんはメモリーカードにデータを移し終えたことを確認すると、丁重にポケットにしまい込んだ。


摩美々「とりあえず、ありがとうございましたー。あとは私たちでまた調べてみますー」

灯織「あ、ありがとうございました!」


満足に意思疎通が取れている相手ではないにしろ、この人物が私たちのために動いてくれたのも事実。
それに対するお礼はしっかりと自分の口で述べておきたい。私は摩美々さんに続いて慌てて頭を下げた。


『……ザザ……らこそ……ザザ……ない……』


私たちのお礼を受け取るような拒むようなそぶりをしたかと思うと、砂嵐はにわかにその勢いを増した。
どうやら電波障害がさらに激しくなってきたようで、これ以上の通信は難しくなりそうだ。


『……ザザ……れ……たすザザ……』


声はどんどん雑音に飲み込まれていき、もうほとんど聞き取れない。


『……ザザ……ひお……ザザ……』


だが、その断片的に聞こえてくる声を拾い集めていくと、何か意味のある言葉のようにも聞こえてくるのだ。

826 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 23:39:18.47 ID:6uSYVKAc0

『待……ザザ……れ……ザザ……』

灯織「あ、あの……!!なんとお礼を申し上げたらいいか……!!私の命を救ってもらっただけでなく、裁判に挑む準備まで手伝ってもらって……」

『ザザ……おをあげ……くれ……俺は……ザザ……無事なら……れでいい……ザザ……大丈……対助け……るからな……ザザ』

灯織「あの……あなたは……もしかして……」


完全に通信が途絶えるその僅か数コンマの時間。一瞬にも満たないその刹那に、言葉と思いとが通った瞬間があった。


『灯織、待っててくれ』


それが聞こえたわけではない。画面の中でうねる人影と砂嵐に飲み込まれた音と声とが織りなした奇跡ともいうべきか。文章を読んでいるかのように鮮明に脳内にそのメッセージが浮かび上がったのだ。

____プツン!

その浮上とともに、通信は途絶えた。


愛依「切れちゃった……ね」

雛菜「う〜ん、結局何言ってるのかは全然わかんなかったね〜」

智代子「それでも何かしら意味のある情報が得られたのは事実だよね!? 大浴場に入っていく二人、これまでになかった情報だもん!」

摩美々「だねー、今はその意味は分からないケド、調査していけばモノクマののどに突き付けるナイフになるかもしれないしー……」

灯織「そうですね……後であの監視カメラ映像に映っていた脱衣所は調査しておくべきかもしれません……」

-------------------------------------------------

【捜査パートの行先に脱衣所が追加されました!】
827 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/02(土) 23:41:07.44 ID:6uSYVKAc0

というわけで少しキリが悪いですが今回はここまで。
もうパスワードの謎解きも無いので次回更新で今度こそ捜査パートは終われるかなと思います。

次回更新は10/3 21:00〜を予定しています。
またよろしくお願いします、それではお疲れさまでした。
828 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/02(土) 23:45:47.49 ID:PI3NxXyx0
お疲れさまでした
829 :少し早いですが再開します ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/03(日) 20:51:53.93 ID:aL/1oNSF0

突然の外部との通信をし終えた私たちは情報処理室の調査にひと段落をつけた。
自分たちの手でできることには限界もある、そろそろ先に進めないとだめだろう。

……ともなると、いよいよここを調べるタイミング。
この部屋に踏み入れた瞬間から目についていた扉。
監視カメラモニターと同じ壁面に取り付けられた扉には、なぜかモノクマの顔がそっくりそのまま描かれている。

これは学園の見取り図でもその存在を確認していた【奥の部屋】の扉だと思われる。特に鍵のかかっている様子もない。


雛菜「悪趣味な扉だね〜〜〜〜!」

摩美々「この学園でモノクマの顔を模した扉ってだけでその部屋の持つ重要さが隠せてないよねー……この部屋、絶対やばいでしょー」

愛依「こ、今度こそバクハツとかすんのかな?!」

摩美々「じゃあ灯織の出番だぁ」

灯織「ま、またですか?! というか私はいつから爆発物担当になったんですか!?」

智代子「ふ、ファイトだよ灯織ちゃん!」

(うぅ……世知辛い……)


すぐに皆さんは部屋の隅へと引っ込んでしまった。残された私は一人で扉を開けるしかない。
……意を決して開錠。

ガチャ

扉は意外なほどにすんなりと何事もなく開いてしまった。
830 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/03(日) 20:54:23.24 ID:aL/1oNSF0
-------------------------------------------------
【???】

手前の部屋である情報処理室も大概なフィクションだったけど、この部屋においてはレベルが違う。
ロボットアニメでしか見ないような立体的な360度にも近しいモニター、
それと接続しているのはこれまたロボットアニメでしか見ないようなレバーとボタンの並んだ操縦桿。
そう、一言で言うならそこにあったのは【コックピット】だ。果穂やあさひがここにいたら目を輝かせていただろうな。


愛依「すっご〜〜〜! マジでかっこいい〜〜〜〜!」

摩美々「えー? そうー?」

愛依「うちの弟がこういうのマジで好きでよくアニメとか見てんの! 銀河で撃ち合ったりするやつとか、ダンボールの中で戦ったりするやつとか!」

智代子「スケールの差が激しいね……」

雛菜「でも、何を動かす設備なのかな〜? ロボットなんかこの学園にいたっけ〜?」

愛依「もしかして、学校が変形してロボットになるんじゃ……!?」

智代子「変形ボタンがどこかにあるのかな!?」

摩美々「自爆ボタンもあったりしてー」


皆興味津々といった様子でコックピットへと駆け寄る。
まるで操作方法のわからないそれを嘗め回すように見つめてはああでもないこうでもないと首をかしげる人もいれば、
手当たり次第にボタンを押そうとする人もいて、さすがに止めようとしたんだけど……
831 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/03(日) 20:55:22.32 ID:aL/1oNSF0

灯織「ちょ、ちょっと皆さん……あんまり下手に触らない方が……」

雛菜「へ〜〜〜〜?」


ポチッ

____間に合わず。


灯織「ひ、雛菜……今何か押した?」

雛菜「あは〜?」

智代子「……な、何も起きないね?」


とりあえず自爆ボタンなんかではなかったと胸をなでおろした、その瞬間。
背後からなんだか妙な音が聞こえてきた。何かが勢いよく射出されたような音ののちに、クッションのように柔らかいものが落下したような音。


灯織「い、今のは……?」

愛依「なんか……情報処理室から聞こえたよね?」

雛菜「そう〜? 雛菜気づかなかったな〜」

摩美々「灯織、出番だよー」

灯織「わ、私ですか!?」

摩美々「だってホラ、爆発するかもしれないしー」

灯織「だからいつから私は爆発物担当になったんですか!?」

(うぅ……世知辛い……)


やたら非情な摩美々さんに押し切られるままに、不安を抱いたまま私は一人情報処理室に戻ることになった……

832 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/03(日) 20:56:31.09 ID:aL/1oNSF0
-------------------------------------------------
【情報処理室】

摩美々さんの意地悪さと世間の世知辛さとを噛みしめている私を待ち受けていたのは、爆発物なんかよりよっぽど危険で凶悪なものだった。


モノクマ「……」

灯織「も、モノクマ……!?」


堂々たる態度で無駄に姿勢よく仁王立ちして部屋の中央に立ち尽くすモノクマ。
この学園で嫌というほど見てきた絶望の象徴が突然に姿を現したのである。


(……しまった、この部屋を調べていることをかぎつけて姿を現したんだ!)


最初に考えたのはそのリスク。
私たちが今踏み入っているのは黒幕がひた隠しにしていた暗部ともいうべき一室。私たちを部屋から追い出すためにやってきたのだと思った。
だけど、モノクマが口にしたのは驚くべき一言だった。


モノクマ「ガオー! お菓子よこせー!」

灯織「……え?」

モノクマ「お菓子くれなきゃロボットパンチをお見舞いするぞー!」

灯織「……チョコ?」

モノクマ「ええっ!? なんでわかったの!?」
833 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/03(日) 20:57:42.17 ID:aL/1oNSF0

これまで私たちが接してきたモノクマとは全くの別物。
いや、正確にはガワは同じだ。モノクマの中にいる人、操縦している人間が違うんだ。
あの聞き覚えのある濁声でチョコのかわいらしいお菓子のおねだりが為されているのがなんとも素っ頓狂。
ともなると、さっきの部屋は……


モノクマ「モノクマのコックピットだったってワケだねー」

灯織「摩美々さん……そのようです、学園内に姿を見せていたモノクマはおそらくその部屋から操縦していたものかと」

モノクマ「マジで!?キョーダイもとぐらしってやつ!?」

灯織「新しい都のほうですね……」

モノクマ「ここからモノクマが出る部屋とかも選べるみたいだね〜、灯織ちゃんの部屋にも出したげよっか〜?」

灯織「……なんとなく遠慮しておこうかな」


やっぱりこの情報処理室とその奥の部屋は黒幕にとって要ともいうべき部屋だったんだ。
モノクマの操作を行う部屋なら私たちの侵入をこれまで拒み続けたのも納得がいく。

この部屋は、実質的にコロシアイの運営部屋なんだから。
834 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/10/03(日) 21:00:06.47 ID:aL/1oNSF0

灯織「とりあえずは何の部屋かはわかりましたね……私もそちらに戻りますので調査を再開しましょう」

モノクマ「おいで〜! モノクマの操作、難しいけど楽しいよ〜!」

灯織「い、一応モノクマの体には爆弾も入ってるし気を付けてね……」


モノクマ越しに通信し終えた私が部屋に戻ろうとしたその瞬間だった。


『ブー!!ブー!!』


モノクマのスピーカー越しに聞こえてきたのは耳鳴りがするほどのブザー音。さらには皆さんの慌てふためく声もそれに交じる。


灯織「な、なにが起きてるんですか!?」

モノクマ「ひ、灯織ちゃん! 逃げて! こ、この部屋……バクハツするって!」

灯織「え、えええええっ!?」

モノクマ「自爆ボタンとか押しちゃったんじゃないのー?」

モノクマ「雛菜何にも触ってないよ〜?」

モノクマ「そ、それどころじゃないよ二人とも!?」

モノクマ「へ、部屋がブザーとランプでめちゃくちゃなんだけど!?」

灯織「み、皆さん落ち着いて……ひとまず身の安全の確保を……近くに机などは……!?」


突然の出来事にパニックになるばかり、事態を冷静に見極める余裕などあるはずもなく、
私たちは全員で警告に従うままに情報処理室から急いで逃げ出してしまった……
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