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【シャニマス×ダンガンロンパ】灯織「私はこの絆を諦めません」【安価進行】

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162 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:08:42.76 ID:W2C/KaPl0
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【寄宿舎エリア 廊下】


廊下に出ても人の気配はない。みんな寝ているのか、それとも学校エリアにいるのか。

……まあ、いいか。
食堂に行こう。夜時間なら閉鎖されてるだろうから、ダメだった時は倉庫かな。

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【食堂】


ガチャガチャ

ダメ、閉まってる……
やっぱり今は夜時間なんだ。あの事件から、咲耶さんと凛世の死から数えて……何日めなんだろう。

……寝過ぎて頭痛すらする。
考えがまとまらない。

とりあえず、倉庫に行こうかな。

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163 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:10:01.89 ID:W2C/KaPl0
【倉庫】

倉庫には生活用品以外にも豊富な食料が保管されている……小糸やチョコとの交流でも確認した通り。
お菓子でもなんでも口に入れるだけならなんとかなるだろう。

大きなあくびをしながら扉を開けた。

……何も考えずに。


愛依「……えっ?!灯織ちゃん?!」

灯織「め、愛依さん?!」


倉庫の扉を開けるとそこには蹲み込んで段ボールの箱を漁る愛依さんの背中があった。


愛依「え、ひ、灯織ちゃん大丈夫なん?!病気とかじゃ……」


私の姿を確認するなり、飛びつかんばかりの勢いで側にやってきて私の手を取った。
寝起きそのままの形で出てきてしまったのに愛依さんが顔をマジマジと見てくるのでよろけてしまった。


愛依「わ、灯織ちゃん?!やっぱチョーシ悪い系?!保健室行く?!」

灯織「い、いえ!そういうわけではないので……」

愛依「そ、そうなん?でも久しぶりに灯織ちゃんの姿見れてマジでよかった〜〜〜!うちらみんな心配してたんだかんね!」

灯織「そ、そうなんですか……?」

愛依「うん!裁判の後から部屋から出なくなっちゃったから……めぐるちゃんとか毎日部屋のインターホンも鳴らしてたと思うんだけど」


そういえば何回か部屋のインターホンが鳴らされていたような気もする。
私はそれにすら耳を閉ざしてしまっていたけれど……あれはめぐるだったんだ。
164 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:11:29.29 ID:W2C/KaPl0

愛依「ご飯とかちゃんと食べてる?!睡眠はとってる?!」

灯織「め、愛依さん……ありがとうございます、ご心配をおかけしました」


塞ぎ込んでいたのは……私だけだったみたいだ。
あれだけ周りに希望だなんだの強いて来たのに、結局足を引っ張ってしまっている。情けない限りだ。


灯織「……立ち止まってるだけじゃダメだって、みなさんに偉ぶって伝えてきたのに私が一番できてなかったですね」

愛依「灯織ちゃん……うちが言うのもおかしな話だけどさ、弱い気持ちを隠したり意地張ったりする必要って無いと思う」

灯織「愛依さん……」

愛依「うちらは友達じゃん?」

灯織「はい……すみません、友達……を裏切ってしまうような真似を……」

愛依「いや、それも違う!」

灯織「愛依さん……?」

愛依「灯織ちゃんはうちらのことを考えて考えて……その結果パンクしちゃっただけなんだから何も悪くない!自分のせいだとか考えなくてマジでいいから!」

愛依「灯織ちゃんがしょげてるなら、その分うちらが頑張る!応援するし、支えるから!」

愛依「……ね?ちょっとずつ頑張れれば、それでいいじゃん!」


愛依さんは胸を張ってそう答えた。弱り切った今の私には何より頼もしくて、なによりも嬉しい言葉だ。
ガチガチになっていた心の凝りがほぐれて、モチモチになっていくのを感じる……
私の中で大きな峠を一つ越えたんだろう。
165 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:12:37.08 ID:W2C/KaPl0

灯織「愛依さん、私がいなかった間のことを詳しく教えてもらえないでしょうか。……許されるなら、今からでも皆さんと共に前を向いて行きたいですから」

愛依「モチ!……てゆーか、もう来てもらったほうが早いかな」

灯織「……え?」

愛依「今、みんなで体育館にいるんだよね。灯織ちゃんも来てもらったほうが早いかも?」


夜時間に体育館に集まってる……?
なんのために……?


灯織「わ、わかりました……体育館、ですね」

愛依「大丈夫?一緒に行く?」

灯織「い、いえ……大丈夫です!お手数をおかけするわけには……!」

愛依「いやいや、遠慮しなくていいから!うちもどうせ行くんだし!」

灯織「あ、あの……その……」

愛依「?」

灯織「シャワー、浴びてから行ってもいいでしょうか……?」

愛依「あっ……」

166 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:14:03.99 ID:W2C/KaPl0
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【体育館】

愛依さんと一旦分かれ、シャワーを浴びてから体育館の扉を開く。
何日も扉を開けていなかった右腕にはその扉は重厚に、そして威圧感を持って感じられた。
中から差してくる光の中に見たのは……

_______モノクマを解体している皆さんの姿?!?!


めぐる「灯織〜〜〜〜〜!!」


驚くのも束の間、正面から抱きついてきためぐるで遮られる。


灯織「め、めぐる……苦しいってば……」

摩美々「お熱いですねー」

めぐる「灯織、大丈夫なの?!心配したよ〜〜!!」

灯織「ご、ごめん……めぐる、もう大丈夫だから。心配かけてごめんね」

めぐる「病気はしてない?!怪我はしてない?!」

灯織「うん、そういうのとはまた違うの……ちょっとだけ、元気がなくなってたけどもう大丈夫だから」

めぐる「本当に?!無理してない?!」

灯織「してない、してないから」


めぐるの目元には涙が携えられていて、私を抱きしめる力も強く。
感情を真正面からぶつけられたような感覚だ。その両腕からじんわりと優しいものが広がるのを感じる。
私はめぐるの頭にそっと右の掌を添えて、撫で下ろした。
167 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:15:29.34 ID:W2C/KaPl0

摩美々「ご堪能のところ申し訳ないですケド、灯織にも今の状況を説明したいんだよねー」

灯織「あ、はい!むしろこちらからお願いしたいぐらいで……このモノクマは一体?」

雛菜「あは〜?でも正直雛菜たちにもよくわかってないよね〜?」

灯織「えっ……?」

智代子「うん……凛世ちゃんの裁判が終わった後のことなんだけどね……」

摩美々「いつもと同じように、エリアの開放があってー。その探索をした後はまたいつもと変わらず生活を続けてたんだケド、今朝になって愛依がこの状態のモノクマを発見したんだよねー」

雛菜「もともとアナウンスも流れなくなってておかしいなとは思ってたんだよね〜」

愛依「うちが校内で適当に散策してるとポツンってモノクマがいてさ!マジでビビったんだよね!」


そういえば、今日は朝と晩のアナウンスを聞いてないような気がする。
モノクマがここで動かなくなっていることと無関係なわけ、ないよね……


摩美々「あ、灯織これ渡しとくねー」

灯織「え?これは……?」

摩美々「モノクマの体に入ってた爆弾だよー」

灯織「ば、ばく……?!」

摩美々「ふふー、スイッチは切ってるから大丈夫だよー」


摩美々さんのからかいを受けるのも数日ぶりだな……
それにしても爆弾がモノクマの中に……何を目的として……
168 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:16:42.85 ID:W2C/KaPl0

……いや、目的なら知ってる。
実際私も目にしたじゃないか……この学園に来た初日、樹里が単身モノクマに抵抗したあの時。

____もう、そんな樹里はこの世にはいないんだけど。


摩美々「爆弾は置いとくにしても、モノクマの体はかなり緻密な機械設計みたいだよー。詳しいことはわからないけど、運動性能は信じられないほど高いと思う」

智代子「まあ実際あのおしおきをやってるぐらいだもんね……」

灯織「開発費用なんかもかなりかかってそうですね……」

雛菜「その結果やってるのがコロシアイの強要ってわけわかんない〜〜〜!」

摩美々「……まぁ、せっかく灯織に来てもらったことだし5階の調査報告をしとこうかぁ。モノクマに関しては摩美々たちもさっぱりですしー」

灯織「……あ、助かります」

めぐる「はいはい!それじゃあわたしが灯織に教えてあげるね!灯織のために一生懸命調べたんだよ!」

灯織「めぐる……うん、ありがとう」


モノクマのことは気にかかるけど、今はそれよりみなさんに追いつくことが先だよね。
ひとまずめぐるの報告に集中しよう。


灯織「じゃあ、聴かせてもらえる?」

めぐる「うん……あのね!」

______________

__________

______
169 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:18:08.71 ID:W2C/KaPl0
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【めぐるの部屋】

キーン、コーン…カーン、コーン

モノクマ『オマエラ、おはようございます!朝です、7時になりました!起床時間ですよ〜!さぁて、今日も張り切っていきましょう〜!』


朝が来た……
凛世の事件の直後、円香の言い残した絶望計画。
それが頭から離れなくていても経ってもいられず、学校中を夜中は駆け回ってたけど円香の姿は見えず。
わたしが寝不足になっただけで終わっちゃった。

うぅ……わたしは灯織みたいに推理したりできないから、こういう時こそ力にならなきゃなのに……

ううん!だからってへこたれないよ!
諦めない限り、希望はあるって学んだから!
真乃から、みんなから受けついだ絆を果たすんだ!

とりあえずは灯織を起こすところから!

170 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:20:17.42 ID:W2C/KaPl0
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【廊下 灯織の部屋前】

めぐる「おはよーーーーーー!!灯織ーーーーーー!!」


インターホンを何度も鳴らしてるのに灯織からの反応はない。
こんなの初めてだよ……灯織はいつも早起きで、わたしと一緒に食堂に行ってるのに……


めぐる「まさか……事件が……!?」


ガチャガチャ!ガチャガチャ!

何度もドアノブを下ろすけど、内側からかけられた鍵が外れることはない。
廊下にはわたしのあくせくと漏らす声と耳障りな音だけが響く。


めぐる「灯織!!返事してーーー!!」

モノクマ「あーもう!ストップ、ストップだよ八宮さん!」

めぐる「モノクマ?!この扉を開けてくれる?!灯織が……灯織が中で……!」

モノクマ「はいはい分かった、分かったから!いったん落ち着いてみよっか!ほら、1から素数を数える!」

めぐる「そ、素数……?えっと、3.141592……」

モノクマ「それは円周率!全然違うよ、せめて自然数とか無理数とかでボケてよ!」

171 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:21:44.70 ID:W2C/KaPl0

モノクマ「とにかく落ち着いてボクの話を聞くんだ、ベイビー。いい知らせと悪い知らせ、二つある。どちらから聞きたい?」

めぐる「え……?そ、それじゃあ悪い知らせ……?」

モノクマ「今日のボクは便秘なんだ、というかここ1週間ほどずっとご無沙汰でね。今朝なんか腸の働きを促進にする薬を飲んでみたんだけ_____」

めぐる「で?!?!いい知らせって?!?!」

モノクマ「圧がすごいよ圧が……入社4年目が新卒に説教するときぐらい圧を感じるよ……」

モノクマ「風野さんは無事!何も起きてないから!だからそのドアノブガチャるのやめてくれるよね?!」

めぐる「そ、そうなんだ……」

モノクマ「まあ、メンタルが無事とは限らないけどね?今みたいにガチャガチャすると逆に彼女にとって負担になっちゃうかもしれないから」

めぐる「……!?」

モノクマ「ボクとしては鍵が摩耗するような真似はやめて欲しいってだけだから!風野さんを部屋から出したいなら別の方法でも考えるんだね!」


モノクマはわたしにそれだけ注意を伝えると何処かに行っちゃった。
灯織は昨日の事件で閉じこもっちゃったってことだよね……
これまでわたしたちを引っ張ってくれてた分、やっぱり負担をかけちゃってたんだ……
灯織、ごめんね……


めぐる「……うぅ、灯織」


ドアの向こうにはきっと落ち込んじゃってる灯織がいて……体を震わせてるかもしれない。
ギュゥって抱きしめてあげて、これまでの分もいっぱい「ありがとう」って伝えたい。
でも、それをするには遅すぎたみたい。
扉は、わたしの力じゃ開けられない。
扉に沿わせた掌が無気力にずるずると落ちていく。


めぐる「……でも、わたしは……円香を止めないと」


灯織が動けないのなら、それは今わたしの役目。
灯織の想いを、願いを引き継いで……わたしがみんなを守る!
だから、今はちょっとだけ灯織のそばを離れないといけない。


めぐる「灯織、待っててね。わたしが灯織の分まで、頑張ってくる!」


わたしは最後に灯織のネームプレートにタッチした。
172 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:23:05.24 ID:W2C/KaPl0
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【食堂】


みんなが集まったけど、やっぱり灯織はやってこなかった。円香も変わらず。
昨日の事件で二人を失っただけでなく、中心核だった灯織がいなくなったことでいつもよりも食堂はしんみりしちゃってる。


愛依「灯織ちゃん……やっぱ抱え込んでたんだね」

智代子「……灯織ちゃんに、応援の言葉をかけて欲しかったな」

雛菜「……どんよりした空気、雛菜きらい〜」

摩美々「……」


でも、だからこそ。
今はわたしが頑張らないとダメなんだ……
この嫌な空気も丸ごとギュッと抱きしめて、大丈夫にしてあげないとダメなんだ……!


めぐる「みんな、灯織がいっつもなんて言ってたか忘れてない?!」

愛依「えっ?……ひ、灯織ちゃんが言ってたこと……?」

雛菜「……絆、ですか〜?」

めぐる「雛菜正解!そう、わたしたちが大事にしなくちゃなのは絆……それは今でも変わらないよ!」

めぐる「灯織がいないからこそ、灯織との絆を大事にしないと……ダメなんじゃないかな?!」

摩美々「なんかふんわりしすぎてよくわかんないケド」

摩美々「要は『灯織がここにいれば何をしてたか』『私たちは灯織のためにも何をすべきか』ってことだよねー?」

めぐる「えっと……うん!多分!」

智代子「灯織ちゃんのために……」

愛依「……止まってる時間はないってことだよね」

雛菜「それに、円香先輩を止めないといけないですね〜」

摩美々「まあ、そんなのめぐるにわざわざ言われなくてもでしたケド」

めぐる「……ありゃ?」

摩美々「でも、摩美々のキャラ的に言いづらい話だったのでー……頑張り賞ぐらいはあげましょうかねー」
173 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:25:17.39 ID:W2C/KaPl0

モノクマ「はい!お話はまとまりましたでしょうか!」

雛菜「あ、来た〜!」

モノクマ「まあ、一応これもお約束というやつなのでアナウンスはしとくね?」

モノクマ「おめでとう!そなたたちはついに第四の壁を乗り越えた!その努力と成果を称えて新しき世界の扉を開こうではないか!」

愛依「5階……ってことだよね?」

モノクマ「そして大事なことなので、これも」

モノクマ「今そなたらの開いた扉は、この世界における最後の扉である!」

智代子「最後の……扉……?」

モノクマ「はやい話がこの学園は5階建てってこと!これ以上はもう無いってことだね!」

摩美々「……なるほどぉ」


5階が最後のフロア……ってことは、これが最後の手がかりってこと?
なら、なんとしても探索で成果を上げなきゃだよね!


モノクマ「それと合わせて、4階の学園長室も開放しておいたから探索はご自由に!」

モノクマ「きっと……オマエラの知りたい真相に近づくヒントが隠されてるはずだよ」

めぐる「……!!」

モノクマはそう言ってほくそ笑むと姿を消しちゃった。残されたわたしたちは、迷うこともなく一気にお互いを見合わせた。

摩美々「最後のフロアなら、気合入れなきゃですねー」

めぐる「うん!絶対に手がかりを見つけ出してみせるよ!」

智代子「……そうだね、頑張らないと」

愛依「おしっ!気合入れた!うちも本気で、死ぬ気で頑張るから!」

雛菜「円香先輩もきっともう探索してるよね……よし」


その一歩は力強く。
食堂を後にした。

174 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:26:47.81 ID:W2C/KaPl0
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さて、新しく開かれた五階にあるのは……武道場に植物庭園、生物室。それと教室みたい。
あとモノクマの話だと学園長室の扉も解放されたんだっけ?
灯織がいない分、いつも以上に気合を入れないと!


めぐる「よーし、がんばるぞー!」

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【探索について】

場所指定の安価と同時にコンマを判定し、末尾の数字と同じ枚数だけモノクマメダルが獲得できます。
※めぐるの獲得したモノクマメダルがそのまま灯織の枚数に加算されます

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めぐる「どこから探索しようかな……?」

1.学校エリア5F 武道場
2.学校エリア5F 植物庭園
3.学校エリア5F 生物室
4.学校エリア4F 学園長室

↓1
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/07/24(土) 21:39:32.81 ID:K+gajc9v0
4
176 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:41:41.94 ID:W2C/KaPl0
4 選択

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【学園長室】


4階の閉ざされていたはずの部屋。観音開きの重厚な扉は意外なほどにすんなりと開いた。

中はいかにもと言った感じな厳かな空間。
樫の木のデスクは威圧感を放っていて、壁にかけられた歴代の学園長の肖像画はわたしたちを睨みつける。
本当に通っている学園ではないのに、背筋をついつい正しちゃう。そんな雰囲気が漂っている。


摩美々「この部屋、ここまで隠してただけあって、結構色々あるねー」

めぐる「うん……摩美々は何か気になったものとかある?」

摩美々「とりあえずはあれかなー」


摩美々が指差した先にあったのは……ショーケース?中にはファイルホルダーといくつかの小物が見える。
摩美々はその一冊を手に取ると、わたしの目の前でパラパラとめくった。


摩美々「『コロシアイ合宿生活動機概要』……なんだか見覚えないー?」


目の前の書類には、見覚えどころか実際にわたしたち自身が経験したあの残酷な動機について手段からその狙いまで細かに記されている。

177 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:42:32.55 ID:W2C/KaPl0

めぐる『一つ目の動機は【疑心暗鬼】、あえて黒幕との接点を公開することにより必要のない疑いあいに持ち込む。お互いがお互いを信じ合えない状況下でアイドルたちは信頼をどんな形で発揮してくれるのか』

摩美々「透と真乃の事件……黒幕の目論見通り、真乃が疑心暗鬼の果てに透を手にかけた」

めぐる『二つ目の動機は【焦燥】、フェイク映像による近縁者の危機を告示する。この学園から出たいという意思を一層駆り立てた上で、真のアイドルになるための決断力を養成する』

摩美々「小糸は脱出しようと意思が強まった結果、殺害以外の方法を見つけるために樹里を頼って……事故に巻き込まれた」

めぐる『三つ目の動機は【才能】、各人の才能を伸ばすためのヒントを授ける。柔軟な思考力のもと、与えられた道具をどう活用するかに着目したい。
備考:当初の予定と異なり、コロシアイがそこまで精力的に行われなかったため一部変更。後の計画の予備実験としての役割も兼ね、被験体Aに人格の移植を行う』

摩美々「霧子はモノクマに人格を植え付けられて、自我の崩壊を起こして凶行に及んだ……」

めぐる『4つ目の動機は【犠牲】、集団としての生存のために1人を切り捨てる決断を迫る。損得勘定と個人の感情との間のすり合わせを適正化し、これから先生き残っていく上での野心を研ぎ澄ますのも狙いの一つである』

摩美々「私たちに紛れた裏切り者、咲耶と凛世はそれぞれ考えを別にして……凛世は私たちのために、咲耶を殺害した」

めぐる「ここまでのわたしたちと完全に一致してるね……」

摩美々「まぁ学園長室ってだけあってモノクマの書類なんだろうねー」

178 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:44:25.83 ID:W2C/KaPl0

めぐる「……あれ?第3の動機のところはもっと続きがあるみたいだよ?」

摩美々「……ああ、それは渡されたプレゼントの詳細についてみたい。見てみるー?」


数ページめくると、わたしたちに渡されたプレゼントが私たちの名前と才能、そしてそのプレゼントの写真付きで記されていた。

『八宮めぐる【超高校級の助っ人】ゼッケン』
『風野灯織【超高校級の占い師】水晶玉』


今生き残っているわたしたちの分は当然として、すでにあの動機が配られた段階で犠牲になっていたみんなの分も。一応用意はされていたらしい。


『櫻木真乃【超高校級の飼育委員】止まり木』

めぐる「……真乃の分」

摩美々「……ショーケースの中に入ってるケド、めぐる持って帰る?」

めぐる「うーん、流石にちょっと手で持って帰るにはおっきすぎるかな」

摩美々「……そうだねー」


『浅倉透【超高校級のカリスマ】テープレコーダー』

めぐる「あれ、透の才能ってこれ……」

摩美々「見るのは初めて……だけどある程度納得はいくよねー、カリスマってそれっぽいじゃーん」


透自身も才能のことは明かされてなかったらしいし、電子生徒手帳にも記載はなかった……
その才能が、カリスマ……
179 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:45:20.46 ID:W2C/KaPl0

『福丸小糸【超高校級の学級委員】タスキ』

摩美々「実用性のなさそうなプレゼント、私たちの中にも渡されてる人はいたけど小糸もそのパターンだったみたいだねー」

めぐる「『あんたが主役』……パーティとかで使うやつ?」

摩美々「つくづくモノクマって悪趣味だよねー」


と、亡くなった三人のリストを見た後パージをめくって……その手が止まった。
そこにあるはずの部分が、樹里の項目がまるまるバッサリと切り取られていたから。


めぐる「あれ?!樹里のページは?!」

摩美々「落丁ってわけでもなさそうだねー……もしかして、円香……?」

めぐる「えー?!もう先に来てたのー?!」

摩美々「かもね、モノクマにも円香が気に入られてるみたいだし……その程度の加担はしててもおかしくないでしょー」

めぐる「でも、なんで樹里のページが……?」

摩美々「……樹里の、プレゼント……?」


円香の行動の意図はわからないけど、今手元にない限りは諦めるしかない……
この謎は解消しようにもできない謎だ。
180 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:46:53.67 ID:W2C/KaPl0
【額縁】

学園長室の壁にはあんまり見慣れないおじいさんたちの肖像画。
うーん、下のプレートをよく見てみると……『希望ヶ峰学園歴代学園長』……?
ってことはこのおじいさんたちはみんな校長先生、だったのかな。
一番古いのは、これみたい。
『初代学園長・神座出流』……?
何て読むんだろう、『かみ、ざ、で、る』……?
人の名前、なんだよね……?

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【コンマ判定81】

【末尾1】

【モノクマメダル1枚を手に入れました!】

1.学校エリア5F 武道場
2.学校エリア5F 植物庭園
3.学校エリア5F 生物室

↓1
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/24(土) 21:48:06.64 ID:Qqvqa1iu0
1
182 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:50:55.27 ID:W2C/KaPl0
1 選択
-------------------------------------------------
【武道場】

これは……弓道場?
人工で植えられてる桜が綺麗、その向こうには弓道の的が並んでる。
結構な奥行きはありそうだな、練習にはちょうどいいかも?


愛依「わー……すっご、マジで和風系じゃん」

めぐる「愛依!そういえば愛依は小さい頃から書道をやってたんだっけ?」

愛依「まーね♪ばーちゃんに教えてもらって、それなりには書けるんだけどさ、なんかこの武道場の雰囲気は懐かしい感じがすんね」

めぐる「そうだね、ザ・ジャパニーズスタイルって感じがするよ!」


弓道だけじゃなく鎧甲冑や掛け軸もあるし、モノクマが意匠を凝らして作ったのかな?
……とと、何か使える手がかりを見つけないと。


愛依「この部屋で気になるのは、このロッカーぐらい?」

めぐる「ロッカー……木の札を差し込んで開閉するタイプか……」

愛依「うん、それぞれのロッカーに対応した番号の札があるから……替は効かないっぽいね」

ロッカーを一つ一つ開けてみると、その一つに書類が無造作に押し込められているのを見つけた。書面には『塔和シティ大規模暴動事件』と書いてある。
183 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:52:10.89 ID:W2C/KaPl0

めぐる「塔和シティ……?なんだろう、愛依は聞いたことある?」

愛依「いや、うちもピンとこない……どっか有名なとこなのかな?」

『この暴動は国内有数の財閥グループ、塔和グループの管理する大規模埋立居住区・東和シティで起きた子供による大人に対する反乱である』

めぐる「そもそもこの塔和グループ、って聞いたことがないんだよね……」

愛依「めっちゃ有名なカイシャみたいに書いてるけど、聞いたことなくね?」

めぐる「うん……それに子供による大人に対する反乱って……?」

『未来機関は即座に事態の沈静化のため、14支部支部長の十神白夜を中心とした部隊を派遣。その際に新開発兵器・メガホン型ハッキング銃を隊員たちには所持させた。これは新開発された兵器の実用性を試験する意味合いもあった』

愛依「み、未来機関……?なんかよくわかんない言葉ばっかで……頭こんがらがってくるんだけど?!」

めぐる「……あれ?この十神白夜って名前、どこかで……」

-------------------------------------------------

『十神財閥の御曹司も確か高校生でしたよね?彼も今年デイトレードでかなり有名になりましたが』

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めぐる「……そうだ!あの時のテレビで見た第78期生の名前だよ!希望ヶ峰学園の新入生徒!」

愛依「確かにそうじゃん!なんか聞いたことあると思ったら!……あれ?でもだとしたらおかしくない?なんで十神って人は希望ヶ峰学園じゃなくて未来機関って方にいるの?」


そう、明らかにこれはおかしい……
わたしの知らない情報が多すぎる……
184 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:53:53.48 ID:W2C/KaPl0

『メガホン型ハッキング銃にはいくつかの機能を搭載している。
専用の特殊な弾薬を使い分けることで、電子機器類を『破壊』『燃焼』『噴出』『操作』『麻痺』などさせることができる』


めぐる「なんかすごい機械だったんだね」

愛依「てかなんでメガホン型なんだろう……普通に銃じゃダメだったん?」

めぐる「でもすごい技術だよね、銃で撃つことで機械を破壊したりできるなんて!」

愛依「ハッキングってマジすごいね!」

『未来機関とレジスタンスとの攻防は長期にわたり、多くの犠牲を伴った。都市機能は完全に停止し、生き残るために暴徒化した大人たちを新たに鎮静する必要も生じ事態は混迷を極める。その際に鎮静に一役買ったのは他でもないあの【超高校級の希望】の妹の……』

めぐる「あれ?これで終っちゃってる……」

愛依「え〜?!ここからがめちゃくちゃ気になるところじゃん!」

めぐる「この暴動がどう治ったのか、きっとモノクマにとって秘密にしたいことなんだね」

愛依「う〜ん、わっかんないね……そもそもこの超高校級の希望ってなんなん?」

めぐる「希望ヶ峰学園の生徒に、そんな称号の生徒って今までいなかったよね?」

愛依「だと思う……うちも割と毎年生徒の発表は見てたけど、聞き覚えない系」

めぐる「この情報、どこかで活きてくるのかな」


武道場で得られた情報はこれぐらい。
聞き覚えのない場所で起きた聞き覚えのない事件。それを鎮静化したのもまた聞き覚えのない組織。
これって本当にあったことなの……?

-------------------------------------------------

【コンマ判定64】

【末尾4】

【モノクマメダル4枚を手に入れました!】

【現在のモノクマメダル…128枚】

1.学校エリア5F 植物庭園
2.学校エリア5F 生物室

↓1
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/24(土) 21:54:19.13 ID:aY7QKwEW0
1
186 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:57:09.97 ID:W2C/KaPl0
1 選択
-------------------------------------------------
【植物庭園】

すごい……入った瞬間おっきな花が目に入る。
思わず目を奪われ、近づいていくと……


モノクマ「あっぶなーーーーーい!!」

めぐる「うわぁっ?!も、モノクマ?!なになに、どうしたの?!」

モノクマ「八宮さん、迂闊に近づいちゃダメだよ!それはモノクマフラワー、雑食性の食虫植物だよ!」

めぐる「ざ、ざっしょく……?!」

モノクマ「超高校級の植物学者が開発した植物でね、プラスチックだろうと鉄だろうと人だろうと、なんでもお構いなしに溶かしちゃうんだから!」

めぐる「え、えぇ?!」

モノクマ「うおォン!さながら植物火力発電所だね!」

めぐる「そ、そんな植物あり……?」

モノクマ「まあ肝心の開発者の色葉田田田くんはそのモノクマフラワーの餌z……ゲフンゲフン」

めぐる「よ、よくわからないけど近寄ると危ないんだね……?」

モノクマ「そういうこと、まあ太陽の光が出てる時だけ活性化してそうなるんだけどさ。夜時間は静かなもんだよ」

めぐる「え?た、太陽……?でもこの学園じゃ太陽なんてどこも……」

モノクマ「今まではそうでした!が!熱い要望にお応えして!ついに!」

モノクマ「この植物庭園では人工太陽を導入しているのですーーーーー!!」

めぐる「じんこうたいよう……?」

モノクマ「紫外線を含む光を放つ、文字通りの太陽だよ!植物の生育のためには暖かい太陽光が不可欠だからね!」


確かにモノクマの言う通り、植物庭園自体は他の部屋同様窓も何もない部屋だけど天井には他の部屋とは表情の違う照明がついている。
この光が多分人工太陽ってことなんだよね。

灯りだけでも外の環境を再現してるってことなんだ……
187 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:58:10.49 ID:W2C/KaPl0
-------------------------------------------------
【智代子に話しかける】

智代子「……」

めぐる「……チョコ」


チョコは咲耶の裁判で、凛世を失った。
この生活が始まった時には放クラは三人いたのに、もう2人は……
明らかにチョコの元気は無くなっている。


智代子「めぐるちゃん……ごめんね、心配してもらっちゃって。大丈夫、ちょっとだけ時間をもらえれば……立ち直れるから」


それに凛世の死を前にしてなお犯行の意思を変えようとしない円香の存在。
灯織と同じく、抱えているものは多分わたし以上……


めぐる「……」


人と人はみんな違う。似てはいても、絶対に同じものは一つとしてない。
だから不用意に踏み込むようなことをすれば、かえってチョコを傷つけちゃう。
……こんな時、真乃や灯織ならどうするのかな。
なにかわたしが、チョコのためにしてあげられることは……
188 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:59:59.63 ID:W2C/KaPl0

智代子「……凛世ちゃんも、わたしに裏切り者だったって話はしてくれなかったし……やっぱり頼りなかったのかな」

めぐる「……チョコ!そんな風に、自分を責めちゃダメだよ!」

智代子「……でも、私がもっとちゃんとしてたらこうはならなかったんじゃないかなって……」

めぐる「チョコ……気持ちはわかるけど、それはチョコ自身が凛世の思いを反故にしてることになるんじゃないかな」

智代子「……え?」

めぐる「凛世は、最後のその瞬間までチョコのことを想ってた。わたしたちにその真意まではわからないけど、そのために事件を起こしたんだよね?」

智代子「確かに、そう言ってたけど……それは逆に私たちが凛世ちゃんを追い詰めたことになるし……」

めぐる「ちがう!追い詰めたのはモノクマの方だよ!チョコが責任に感じることじゃ……」

智代子「……」

めぐる「それに、凛世が最後にチョコに託した言葉……えっと、断じて行えば……ええっと……」

智代子「断じて行えば鬼神もこれを避く……だった、かな。信念を強く持てば、どんな障害も乗り越えられる……そういう言葉、なんだよね」

めぐる「チョコ……」

智代子「……うん、私の中でもきっと答えはもう出てるんだ。それなのに、その一歩を踏み出す勇気を寂しさが、孤独感が邪魔しちゃってたんだ……」

智代子「ごめんね、めぐるちゃん。なんだか吹っ切れたよ!泣くのはいつでもできるけど、前を向けるのは、向くべきなのは今だけだもんね!」

めぐる「……うん、頑張ろうチョコ!一緒にこの難局を乗り越えるんだよ!そのための応援なら、いつでもわたしが頑張るから!」

智代子「えへへ、そうだね!よし、それじゃあ意気込む意味も込めて……これを!」

めぐる「……?それって?」

智代子「凛世ちゃんの好きだったお菓子、なんだかもったいなくて食べれずにいたんだけど……はむっ!」

智代子「おいひ〜〜〜!!」

智代子「よーし!力が湧いてきちゃった!ここからまた、園田智代子再始動だよ!」


チョコはまだ少しだけ不安げだけど、元気を取り戻した。
無理をしているように見えるけど、今は無理をしてでも前を向くべきだってそう感じるから……それを指摘することはできなかった。
それに、チョコの意思を何よりも尊重すべき。
わたしはその側でチョコを支えることで、答えていかないと。

189 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:02:29.38 ID:W2C/KaPl0
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【鶏小屋】

こんなところに鶏が……1、2、3、4ちょうど4羽だね。真乃がいればすごく喜んだと思うんだけど……


【倉庫】

ここには園芸用品がいっぱい詰め込まれてる。
肥料にブルーシート、芝刈り機に……ツルハシ?
ツルハシって園芸に使うのかな……?


【スプリンクラー】

入り口付近にはスプリンクラーを制御する装置。
でも管理者権限はモノクマにしかないみたい。

【毎朝7時半】に水やりをするように設定されてる。その時間に植物庭園にいると水を浴びちゃうから気をつけないとだね!

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【コンマ判定13】

【末尾3】

【モノクマメダル3枚を獲得しました!】

【現在のモノクマメダル…131枚】

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【残り選択肢が1つとなったので自動進行します】

【獲得モノクマメダル枚数の判定のため直下のレスでコンマ判定を行います】

↓1
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/07/24(土) 22:12:47.37 ID:W/OQ59zX0
わくわくぅ!
191 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:15:06.62 ID:W2C/KaPl0
【生物室】


5階廊下の最奥部、のっぺりとしたグレーの扉が生物室みたい。
ゆっくりとその扉を開け……開け……


めぐる「開かない!」


結局まだ全部の部屋に行けるようになったわけじゃないんだ……がっくし。


雛菜「あ〜、やっぱりそこって入れないんですね〜」

めぐる「あ、雛菜!お疲れ様、探索は進んでる?」

雛菜「ん〜、まずまずですかね〜。この部屋も中を見てみたかったんですけど、開きませんし〜」


これまでにも閉鎖されてる部屋はあったけど、なんで生物室が?
学園長室とか情報処理室とかは重要そうなのも納得がいくけど生物室ってそこまで重要にも感じないような……


雛菜「この部屋、なんだか不気味ですよね〜……最上階のこんな一番奥でまるで隠すみたいに存在してる部屋ですし」

めぐる「うん……なんだか、他の部屋とも空気感が違うよね……」


空気感が違う、その言葉は部屋の見た目から発したものだったんだけど……
どうやら当たらずも遠からずだったみたい。


雛菜「ていうか……なんだか部屋の下から冷気が漏れ出てませんか〜?」

めぐる「え?……わっ、ホントだ!なんだか寒いと思ったら!」

雛菜「この中で何やってるんですかね〜」

めぐる「うーん……検討もつかないや……」


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【コンマ判定37】

【末尾7】

【モノクマメダル7枚を獲得しました!】

【現在のモノクマメダル…138枚】
192 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:17:09.37 ID:W2C/KaPl0

……さて、残すところはあと一つ。
入る前から異様な雰囲気を感じ取り、何故か先回し先回しにしてしまった教室。

_______意を決してその扉を開けた。

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【教室】

めぐる「……っ!」


明らかに異様だった。
部屋に入った瞬間鼻を刺す刺激的な匂い。
それはここでの生活を送るうちに、嗅ぎ慣れてしまった匂い。
人の命を凝縮した、想いや感情を詰め込んだものが、無残にも散り果てた時の匂い。
血の匂い……人がそこで、死んだ時の匂いだった。


円香「……」


赤黒く染め上げられた教室は机や椅子も無残に破壊されており、その退廃的な光景の中心に円香は立っている。
わたしの入室に気づくと、そっとわたしの近くに寄った。


円香「……この教室にいると、思い出すでしょ?」

めぐる「お、思い出す……?」

円香「最初の事件……透も教室で、真乃に殺された」

めぐる「……っ!」

円香「……まあ、ここまでの惨状ではなかったけど。この教室はもっと遥かに凄惨な現場のようだから」

193 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:18:12.85 ID:W2C/KaPl0
円香はわたしの返答も待たずつらつらと言葉を綴る。

円香「殺人が起きたの事態は遥か前……それこそ私たちがここでの生活を始める前だったりするのかもしれないけど。それでもこの様子だと、死んだのは1人や2人じゃないんだろうね」

円香「……人の熱気を今でも感じるようじゃない?机に、椅子に、血痕に。手を触れただけで阿鼻叫喚の声が浮かび上がってくるみたい」


円香の言葉のままの想像が次々に浮かび上がり、胸のあたりがキュゥっとし始める。口のあたりに胃酸のような香りもする。


円香「でも、足りない」

めぐる「……え?」

円香「こんなものじゃ、私は満足しない。ただあなたたちを殺すだけじゃ満足しない。命を散らすだけじゃなく、そこに絶望を……生きる希望の一切を奪うだけの『最悪』をぶつける」

円香「灯織もめぐるも摩美々さんも愛依さんも智代子も……その瞳から希望の一切を失わせて見せる」


円香はその言葉とともに、私の胸に手を当てた。奥歯を噛みしめ、睨みつけ、そのドスの効いた声を上げる。


円香「その心臓を、潰す」

めぐる「……円香!」


わたしの制止に耳をかすはずもなく、円香は最悪の所信表明を下すとそのまま教室を後にした。
残されたのは地獄のような惨状となっている教室とわたし。
194 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:19:48.51 ID:W2C/KaPl0

モノクマ「ふぅ〜〜〜、樋口さんたら殺気放ちすぎだよ!怖くて出てくるタイミングを逃しちゃったじゃん!」

めぐる「わ?!モノクマ?!」

モノクマ「ボクは空気が読めるクマなので!シリアスムードの時にはROM専なんだよね!だってほら、ボクってば口を開けば口説き文句が出るじゃない?」

めぐる「よ、よくわからないけど……この教室ってなんなの?!円香が言ってたみたいに、何かの事件現場なの?!」

モノクマ「良い質問ですねぇ、全くもってその通り!」

モノクマ「この部屋は、とある凄惨な殺人事件の現場そのままなのです!死体は避けてるけど、他は一切手を加えてないそのままの形だね!」


うっ……やっぱりそうなんだ。
この匂いも、熱も……全てが本物。
これなら紛い物の方がよかったよ……


モノクマ「まあこれもオマエラの知りたがってる真実の一部だったりして?」

めぐる「えっ……それってどういう」

モノクマ「はいはい!これ以上は教えないよ!お母さんにネタバレする大人にだけはなるなって育てられたからね!」

めぐる「モノクマのお母さん……?」

モノクマ「まあ、手掛かりになりそうなものも残ってたりするし……結局オマエたち次第だよね!」


モノクマがそう言って目を向けたのは、机に突き立てられたままになっているナイフ。
あれも、その事件とやらで使われたものなのかな。


モノクマ「じゃ、頑張ってその足りない脳味噌で考えるんだね!ファイト〜〜〜!」

めぐる「……行っちゃった」


結局モノクマはまだ断片的な情報しか教えてくれない。
……この合宿生活の真実に、わたしたちは本当に近づいているんだよね……?

ひとまず、モノクマも気にかけていたあのナイフが気になるな。机に突き立てられていたナイフを引き抜く。刃渡りは10cm程度で、特殊な形状。
柄の部分にはモノクマの目元みたいな装飾。
これだけじゃ何にもわからないけど……ナイフをこのままにしておくわけにはいかない、よね。
いったんわたしで回収しておこう。
195 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:21:24.11 ID:W2C/KaPl0
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【食堂】

探索を終えたわたしたちは再度食堂に集まっていた。
目立った成果はないものの、徐々にこの学園の真相に近づくヒントが集まっていることで落胆はあまりなく、むしろ真剣な表情が並んでいる。


摩美々「この学園の全貌、少しずつ見えてきたって感じだよねー」

智代子「うん……希望ヶ峰学園、まだまだわたしたちの知らない秘密がいっぱいあったんだね!」

雛菜「というか、雛菜たちの知ってる希望ヶ峰学園と食い違う点が所々にあるような気がするんですよね〜……」


雛菜と同じ違和感をわたしも感じている。
希望ヶ峰学園の存在はずっと知っていた。日本中の憧れの学園、それは間違いないんだけど……
合宿前の記憶との矛盾も解決してないし、5階の疑問点の数々もこれと関係あるのかな……


めぐる「そうだ!探索中に円香に会ったよ!」

雛菜「……!!円香先輩は、なんて言ってました……?」

めぐる「……気持ちは変わらないみたいだよ」

愛依「……円香ちゃん、マジでうちらの誰かを殺すつもりなんかな」

智代子「め、愛依ちゃん……」

摩美々「間違いないだろうねー……」

雛菜「……」

摩美々「……でも、円香と単身交渉なんて真似はやめてよねー。誰かが相討ちなんか、そんなの望んでないので」

雛菜「……それ雛菜に言ってますー?」

摩美々「ここにいる全員だケド」


でも、これまでとは円香の話題になったときのみんなの顔は違った。

戸惑い、怯えるような顔じゃなくて……食い止めるという強い意志。
そして、それはわたしも同じ。真乃と灯織、この場にいない二人の気持ちも同じはずだから。

__________

________

______
196 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:22:45.22 ID:W2C/KaPl0

めぐる「……って感じかな!」


めぐるの報告を聞いた一通り聞き終わった私は、まずみなさんに改めて頭を下げた。


めぐる「ひ、灯織?!」

愛依「あ、謝られるようなことじゃないって!さっきも言ったじゃん?うちらは友達だから気を使わなくても……」

灯織「いえ……これは、謝罪だけでなく感謝の意味も込めた礼なので。受け取ってもらえませんか」

雛菜「灯織ちゃん、相変わらず義理堅いよね〜」

摩美々「まぁ、灯織はこうでもしないと気が済まないんだろうし気持ちは受け取ってあげようよー。お互いに負い目とか蟠りとかない状態じゃないと結束はできないしー」

灯織「……すみません」

めぐる「灯織、大丈夫!わたしたちも灯織にはずっと感謝してるんだから!」


めぐるは私の手を取ると、そのまま上体を引き起こしてみなさんを見るように顎で指示した。


めぐる「大事なのはこれから!でしょ!」

灯織「うん……」
197 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:24:21.12 ID:W2C/KaPl0

摩美々「じゃあこれからの話をしよっかー」

めぐる「うんうん!これからどうするかを決めなくっちゃだね!」

摩美々「灯織に渡した爆弾、これを使って情報処理室の扉を破壊しにいこっかー」

智代子「うん!そうだね!扉を破壊しにいこー!」

智代子「……え?!は、破壊?!」

愛依「ま、摩美々ちゃん?!そんなことしたら校則違反でおしおきされちゃうよ?!」

摩美々「コロシアイの首謀者……が操ってるモノクマが機能してない状態で誰が摩美々たちにおしおきを加えるわけー?」

灯織「……!!」

摩美々「今が絶好のチャンスだよー。円香が動いていない、こちらには灯織も帰ってきた。……脱出のためのヒントを得るための決死の作戦が今なら結構できるんじゃないー?」

愛依「た、たしかにそうかもだけど……」

めぐる「ひ、灯織……どう思う?」

灯織「え?」

めぐる「摩美々の言う通り、多分大きな意味がある作戦なんだと思うんだ。でも、灯織がやめておくべきだって思うなら……それにみんな従うよ」


ふと周りを見ると、みなさんが私のことを見つめている。
それは期待の視線ではなく、まして好奇の視線なんかでもない……信頼の視線。
一度逃げ出した私を、再び代表として迎え入れてくれる温かい視線だった。

198 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:25:26.39 ID:W2C/KaPl0

摩美々「灯織はどう思うか聴かせてもらってもいいー?」

灯織「摩美々さん……」

灯織「……」

灯織「行きましょう」

めぐる「灯織……!」

灯織「もう、逃げません。足踏みもしません。目の前に進むべき道があるのなら、それが悪路だろうと、危険な道だろうと、私は絆という指針がある限り折れはしません」

雛菜「やは〜〜〜!!」

愛依「そうだよね……やっぱ、ここまできたらもう進むしかないよね!」

智代子「……よし!わたしも一緒に行くよ!勇気と一握りのお菓子を持って!」

摩美々「ふふー、そう言ってくれると思ってたケドねー」


先程摩美々さんが私に爆弾を手渡したのは、ただのからかいだけではなかった。私に戦う覚悟があるかどうかを試したんだ。私にもう一度みなさんとの絆を背負う力があるかどうかを。
なら、それに答えないと。

恐怖なんか感じている時間が勿体無い。
前へ、前へ、前へ……!!



______行くしかないんだ……!!
199 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:26:04.50 ID:W2C/KaPl0


と、我武者羅に踏み出したのに。



__________絶望は私たちを簡単に逃そうとはしなかった。




200 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:27:23.69 ID:W2C/KaPl0
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【情報処理室前】

灯織「なん、で……」

めぐる「うぅ……」

摩美々「……最悪」

愛依「ど、どうなってんの……!?」

智代子「そ、そんなぁ……」

雛菜「……」






モノクマ「みなさんお揃いでお散歩とは健康的ですね!新しい生活様式でもやっていけそうで何より何より!」


体育館で解体されていたはずのモノクマが私たちを待ち構えていた。
体表の毛皮には僅かなほつれもなく、挙動にもなんら不自然な点はない。完全体のモノクマだ。


摩美々「ちょっとぉ……下で解体したはずなんですケド……」

モノクマ「あー、あれね!第162代モノクマことモノトトスの死は何とも痛ましいものでした……」

モノクマ「動けなくなった隙を狙って、オマエラの手でバラバラに……小学生が蝶の羽を毟るようにそれはそれはバラバラに……」

モノクマ「そうかいそうかい!オマエラはそういう奴だったんだな!」

めぐる「な、なんで?!モノクマは、黒幕はいま動けないんじゃなかったの?!」

モノクマ「はぁ……いつの話してるのさ、確かに諸事情で動けなくなった瞬間はあったし、うっかりモノトトスはそこで手放したけどさ」

モノクマ「もう用件は済んじゃったし、普通に通常制御で元どおりなんだよね!うぷぷぷぷ!」


考えてみればそうだ。モノクマは複数体、しかもこちらで把握しきれないほどの台数がいるなんてわかり切ってたことだった。
一瞬の隙があったからって、こちらの思い通りになんか進むはずなかった。
201 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:28:17.92 ID:W2C/KaPl0

モノクマ「それよりオマエラ何しに来たわけ?この部屋の扉は閉め切ってるので入室できませんが?」

摩美々「……」

モノクマ「ねえ、黙ってないで教えてよ!喋らないならその体に聞いちゃうよ?ぐへへへ」

雛菜「うわ〜……」

灯織「そ、それはその……」

摩美々「……別にぃ?雑談しながら校舎散歩してただけなのでー、もう帰りまぁす」

モノクマ「ん?そうなの?センブリ茶くらいなら出しておもてなしするけど?」

摩美々「結構でーす」


口籠る私を他所に、摩美々さんはまともな言い訳すらせずに踵を返してしまった。慌てて後を追う私たち。


灯織「ま、摩美々さん!?諦めるんですか?!」

摩美々「トーゼンでしょー?モノクマがいるんじゃ、扉を破壊なんかしても無駄死にだしー……」

めぐる「で、でも……!」

摩美々「まぁ収穫はあったし、とりあえず今は撤退でいいんじゃなーい?」

愛依「しゅ、シューカク?なんもなくない?」


戸惑う私たちに、摩美々さんは声を潜めてその答えを返した。
202 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:30:00.94 ID:W2C/KaPl0

摩美々「第一に灯織が今隠し持ってる爆弾。モノクマに対しても、円香に対しても対抗策になり得るでしょー」

灯織「……!!」

摩美々「危機に迫られた時、使い道によっては状況を打破できる可能性のある代物だよねー。流石に玄関のあの重厚な扉は破壊できなくても、他の学園内設備を破壊することは容易なはずだよー」


思わずポケットに仕舞い込んでいる爆弾を強く握り込む。
そうだ、これは私たちの今持てる最高武力。これは抑止力にも、最終兵器にもなり得る。


摩美々「そして今モノクマが言った通り、モノクマには動けない瞬間が存在するっていう事実。この事実の裏を解明することができればぁ、自然とチャンスはまたやってくるんじゃないかなー」


確かにそうだ。モノクマは先程確かに、動けない瞬間があったことを認めた。
つまり摩美々さんたちで解体していたモノクマは何らかの意図があって停止していたわけではない、イレギュラーの産物だったということ。


愛依「なんか理由があって止まってたってことなんだよね?」

智代子「食事とか、トイレとか睡眠とか?」

摩美々「そこら辺をどうやってるのかはわからないケド、これまでの生活で目立ったボロはなかったからそういう整理的な要因ではないと思うんだよねー……もっと何か、別な理由が」

灯織「そうですよね……モノクマが停止するなんてこれまでになかった事態、ですもんね」

摩美々「……この学園の外で何かが起きた、とか」

智代子「け、警察が来たのかな?!」

雛菜「だとしたら遅すぎないですか〜?そろそろ雛菜たち、一ヶ月ぐらいここで住んでると思うんですよね〜」

愛依「うーわ、そういやもうそんなになんの……?」

めぐる「うーん、でも一ヶ月経ってやっと見つかったのかもしれないし可能性はないってことじゃないよね?!」

灯織「うん……それはそうだと思う、けど」

(コロシアイが始まった当初に言っていたあの言葉……モノクマは警察を恐れてすらいない様子だった)

(だとすると、警察が来たからってモノクマが離席することもないんじゃ……)
203 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:31:06.57 ID:W2C/KaPl0

摩美々「仲間割れ、とかー?」

智代子「な、仲間?!黒幕って一人じゃないの?!」

灯織「……!!そうですね、その可能性がありました……だって、私たちは実際黒幕に加担していた人間を知っているんですから……!」

めぐる「咲耶と凛世……そっか、脅迫されてたとはいえ黒幕側の人間として動いてたのは事実だもんね」

愛依「え?!裏切り者って他にもいんの?!」

摩美々「この前の裁判でのモノクマの発言を考えるとその可能性は流石に無さそうかなぁ」

智代子「じゃあもっと、根本的な……主犯格側の存在、とかなのかな?」

灯織「あくまで可能性、だけど」

摩美々「……なにかこちらからのアプローチで再度モノクマに隙を生む余地はあるかもしれないよねー」

智代子「もしも仲間割れが起きてるのなら、その仲間割れ相手はこっちの味方になるかもしれないんだもんね!」

めぐる「そうだよね!」


黒幕の仲間割れ、じゃなかったとしても間違いなく黒幕にとっての不都合が生じた結果なのは間違いないんだ。
希望はないわけじゃない……!


摩美々「さて、とりあえずこのまま帰るとして……爆弾はそのまま灯織が持っとくー?」

灯織「……みなさんがよろしければ、預からせていただきます」

愛依「うん、灯織ちゃんなら心配ないと思う!」

雛菜「雛菜も異議なしです〜」

智代子「でも大丈夫?灯織ちゃんは怖くない?」

灯織「……ううん、これぐらい平気。むしろ武器が手元にあって心強いよ」

摩美々「うっかり爆発させたりしないでよねー」

灯織「し、しませんよ!……多分」

愛依「そこは言い切ろ?!」
204 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:32:21.43 ID:W2C/KaPl0
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【灯織の部屋】

情報処理室の開放は一時諦めて、それぞれの部屋へと戻った。
道中体育館に再度立ち寄ったけど、モノクマの姿はもう無くなっていた。黒幕に回収されてしまったんだろう。
結果として手元に残ったのはこの爆弾のみ。


灯織「慎重に、管理しないと……」


刺激しないように、丁寧に布に包んでデスクの引き出しにしまい込んだ。部屋の鍵をかけている限りは盗まれることもないはず。
みなさんに託された希望、大事に保管しておかないと。

さて、今からはみなさんは睡眠時間をとるらしい。
動作が停止していたモノクマの監視ですっかり遅くなっていたこともあり、別れ際には欠伸が止まないぐらいだったし……しっかりと休んでほしいな。

私はというと、ここ数日ひたすらに睡眠をとって現実逃避をしていたので寝足りている。
夜時間の外出は禁じられていたけれど……流石に時間を持て余しちゃうな。

少し、散歩でもしようかな。

205 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:34:12.10 ID:W2C/KaPl0
-------------------------------------------------
【学校エリア】

コツ…コツ…

太陽光なんか微塵も入らないし、温度も空調で制御されて一定になっているから、正直昼と夜とでこの学園に違いはない。
ただそれでも昼間より無機質に感じるのは、私以外のみんなが眠っているという事実がそうさせるんだろう。

階段を上り、上の階へ。
そういえばまだ私は自分の目で5階は確認していなかったな。めぐるの話を自分で確かめて見るのもいいかもしれない。
そんなふうに考えながら一段一段登っている時だった。

……ズズ


灯織「……ん?」

(二階の男子トイレ?から、聴き慣れない音がしたような……)

灯織「……入って、確かめてみる?」

(いやいや!流石に……異性のトイレに入るのは倫理的にも問題があるし……万が一、他の人に見られでもしたら……)

灯織「……いや、なにを言い訳してるんだろう」


この学園で、そんなしがらみに囚われていたら前に進むことなんてできないのはこれまでの経験でも分かりきってること。
さっきはその一歩をモノクマに遮られたけど、今ここにはこの一歩は妨げるものはない。


灯織「……行こう!」


私は無駄に仰々しく意志を固めると、そのままお手洗いの扉を引いた。
206 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:35:21.58 ID:W2C/KaPl0
-------------------------------------------------
【2F 男子トイレ】

灯織「だ、男子トイレってこんな感じなんだ……」


よくよく考えれば男子トイレなんてこれが人生で初めての入室かもしれない。
個室以外に壁にくっつく形で設置されているのは、小便器……なんだよね。全然見慣れない。


灯織「……あれ?」


小恥ずかしさから脱せず、しばらく視線のやり場に困っていたけど冷静を取り戻すとともにあることに気がついた。
並んでいる個室トイレの一番奥、そこだけ扉が半開きになっている。
この学園にいるのは私たちだけ、利用者なんているはずもない。となるとさっきの音は……ここだ。

その個室を覗き込めば、タイルの壁があるはずの空間にはポッカリと人一人潜れるぐらいの穴が空いている。
偶然開いた風ではない、ちゃんと切り取られた空間。


灯織「……隠し通路?」


途端に心臓が破裂しそうなほどに拍動する。
聞こえるはずのないドクンドクンという音が耳元でうるさい。
緊張、不安、怯え……そういう感情がごちゃ混ぜになって体が震えだす。
だからそれは、武者震いということにした。
この穴の先に感じているのは、期待と興奮。そういうことにして。

無理やりにその一歩を踏み出した。
207 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:36:07.22 ID:W2C/KaPl0
-------------------------------------------------
【謎の空間】

その空間は異常なまでに無機質だった。
コンクリートが打ちっぱなしの教室に、簡素な机と本棚。
照明も白熱電球で、明かりとして頼りない。
まるで独房のような、冷たくなんの匂いもしない空気が漂っている。

灯織「この空間は、一体……?」

男子トイレの最奥、明らかに人目を避ける目的で設けられた部屋だ。
この、簡素なつくりの部屋には隠しておきたい秘密があるはず。

灯織「……よし!」


……隅々まで、調べ尽くす!
208 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:37:43.95 ID:W2C/KaPl0
-------------------------------------------------
【本棚】

本棚はスカスカ。数冊の本を収めるには私の背丈以上の本棚は流石に過剰な大きさじゃないかな。

まず目についた青いファイルを手に取る。ラベリングには【希望ヶ峰学園歌姫計画】と書かれている。

『超高校級のアイドル、超高校級のマネージャーをはじめとした学園の生徒協力のもと日本のエンタメ産業を担う新時代の“歌姫”を育成する計画』

『人為的に才能を生みだす意図ではなく、環境からのアプローチで才能を伸ばすことを目的とする』

『計画には現役のアイドルに参加してもらい、学園の生徒同様のトレーニングを実施する。適宜別のメニューも考案し、“超高校級”に匹敵する実力を習得する。成功した暁には、その生徒を【超高校級の歌姫】として迎え入れる予定』

……こんな計画が行われてたんだ。
超高校級のアイドルって、あの舞園さやかさんのことだよね……もし彼女と一緒にトレーニングさせてもらえたら、大きな成長を見込めそう。
なんだか羨ましくなっちゃうな。
でも、この学園は今こんな状態なわけだし……実際には実施されたわけでもないのかな。

続いて手に取ったのは赤のホルダーファイル。
膨大な数の紙がクリッピングされている、全部に目を通すのは厳しいけど……ザッピング的に見てみよう。
図説……これは、この学園の見取り図?各階ごとに解説が纏められている。
そこには、この隠し部屋のことも。男子トイレから繋がるこの空間は意図して作られたものみたい。

それと気になるのは、自分たちでは入ることのできない部屋。
情報処理室と生物室の2部屋が気になるな。何に使われている部屋なのか、どんな間取りなのか……ある程度掴めるかもしれない。

情報処理室は……なるほど、コンピュータがいくつも並んでいる。これは図書室にあったおもちゃとは別物、だよね。
さらにその奥にはもう一つ部屋があるみたい。そっちの情報は書いてない……?
いや、情報がないということは、むしろその部屋が重要なことの証拠。他の書類と併せて見ることで考察を深めて見るのがいいかも。

そして生物室。こちらは予想と違ったな……実験台などはほとんどなく、あるのは冷凍庫?かなりの収納スペースがあるみたい。何に使うんだろう……?
うーん、具体的に新たに得られた情報はあまりないかも。でも、見取り図としては使えそうだし、有力な材料かも。
209 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:38:50.86 ID:W2C/KaPl0
-------------------------------------------------
【机】

本当に簡単な作りの木製のデスクだ。
ただ、こんなところにあるのに不思議と埃が溜まっていない。……ということは、誰かが近いうちに使っていたことの現れになる。
そして気になるのは引き出し。
物を隠すなら、この中だよね。鍵すらついていない辺り、ここに私たち生徒がやってくることは想定していないんだろう。

一つ目の引き出しを引くと現れたのは……弾薬?
ドラマとかで見るのとは少し違う角張った形だ。リボルバー式の拳銃とかじゃ使えない、何か専用の銃がありそうなものだ。
危険物には変わりないし、これも回収しておいたほうがいいかな……?

そして2つ目の引き出しを引くと現れたのは……一枚の紙切れ。
メモ用紙を破ったような簡素な一枚。
それを軽い気持ちで手にして、裏へと目を向けた。





もしかしたらただのゴミで、手がかりなんか皆無の証拠未満の品かもしれない……そんな感じで本当に、軽い気持ちだった。
210 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:39:45.41 ID:W2C/KaPl0






『このコロシアイは浅倉透のため』




「……え?」

ガンッ


迂闊だった。
そもそも私がこの部屋に気づいたのは、物音がしたから。
なら、何者かがそこに出入りしていたということ。その【何者か】を完全に見落としていた。

突然の後頭部への強い衝撃は、一瞬で世界を揺るがせ、私を地に伏させ、意識を手離させるには十分すぎた。




犯人の姿を見ることすらなく、私はわずか数秒のうちに………………
211 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:40:15.14 ID:W2C/KaPl0





______意識を失った。




212 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:41:43.28 ID:W2C/KaPl0

というわけで今回はここまで。
5章ともなると全体としての話が多くなり、かなり文章量も増えてしまいましたね……
色々と考えていただければなと思います。

続きは近日中に公開します。
また更新日時が決まれば事前に告知いたします。

それではお疲れ様でした。
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/07/24(土) 22:42:30.24 ID:K+gajc9v0
お疲れ様でした!
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/07/24(土) 23:04:20.67 ID:X2lQnH/d0
緊迫してきましたね。一気読みしてしまいました。続き楽しみに待ってます!
215 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/27(火) 18:23:50.12 ID:Ai6SuBuE0
すみません、告知をすっかり失念していたのですが本日20:00〜再開しても大丈夫でしょうか?
自由行動パートを含めて少しばかり進めることになるかと思うのですが…
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/27(火) 18:34:52.53 ID:7Vbdrbcno
はい
217 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/27(火) 20:02:00.39 ID:Ai6SuBuE0

……あれからどれくらいの時間がたったんだろう。
目を覚ますと私は冷たい床の下、あの白熱電球の薄明かりの中にいた。
立ち上がると後頭部がガンガンと痛む。
腫れ上がってないかな、タンコブになってないかなと摩りながら立ち上がると、衝撃的な光景を目にした。

「…………ない」

本棚に入っていた数冊の本とファイルは忽然とその姿を消し、机の引き出しを引いてもそこには何一つなくなっていた。

「……やられた」

私が意識を失っている間に、あの何者かが全て持ち出してしまったんだ。
せめて姿さえ見ることができれば、何か手掛かりになったかもしれないのに。
それすらできず、気絶してしまって……

この足元のふらつきは、気絶の反動か自分自身に対する落胆か。
ひとまず私はふらつきながらも部屋を後にした。
218 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/27(火) 20:03:22.23 ID:Ai6SuBuE0
-------------------------------------------------
【2F 男子トイレ前】

めぐる「えぇーーーーーー?!」

灯織「め、めぐる……?」


しまった、気を失っているうちにもう夜時間が空けていたんだ。
めぐるは男子トイレから出てきた私をみて凍りついてしまった。


灯織「違う、違うのめぐる……これはそういうことじゃなくて……」

めぐる「う、うん……?」

灯織「細かいことは後で話すから、とりあえず今は落ち着いて」

めぐる「わかった、灯織のことを信じるよ……」

(どんな勘違いをされてるんだろう……)

219 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/27(火) 20:04:48.62 ID:Ai6SuBuE0
-------------------------------------------------
【食堂】

めぐると二人で食堂に行くと、そこには誰もおらず。
私は座って他のみなさんが戻るのを待つように指示された。
昨日まで塞ぎ込んでいたこともあって、朝食に顔を出さない私をみなさんはかなり心配してくださったらしい。
私を視界に捉えると愛依さんはまた駆け寄ってきてガクガクと肩を揺すった。


灯織「すみません、またしてもご心配をおかけしてしまって……」

愛依「ううん!灯織ちゃんが無事なのがマジで一番だから!大丈夫?どうしたん?!」

灯織「そうですね、まずは何があったのかをお伝えしないと……」

めぐる「うん!灯織が男子トイレから出てきた理由を聞かせてよ!」

灯織「え」

めぐる「……あれ?」

摩美々「灯織、もしかして……」

灯織「ち、違います!もしかしてに続くものが何か分かりませんが、とりあえず違うと思います!」
220 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/27(火) 20:05:56.40 ID:Ai6SuBuE0

灯織「私は昨晩みなさんとお別れしてから、その……眠りにつくことができず、学園の散策に向かったんです」

雛菜「灯織ちゃん、夜時間って出歩き禁止じゃなかった〜?」

灯織「それは……ごめん、申し開きもできない」

智代子「まあまあ、とりあえずはそれで夜の散策で何があったのかを聞いてみようよ!」

灯織「二階へ登っていた時、何かを引きずるような音が……男子トイレから聞こえてきたんです。昨晩、情報処理室に入ろうとしたところをモノクマに妨害されたこともあって、はやる気持ちもありました」

めぐる「それで灯織は男子トイレに入っちゃったんだね?」

灯織「うん……そうしたら、その中の一室。壁が隠し扉みたいになっている部屋があって、私はその中に入ったんです」

愛依「か、隠し扉?!マジで?!」

摩美々「……男子トイレじゃぁ、ここまで発見できなくてもおかしくないですねー」

智代子「そ、それで?!何をみたの?!」

灯織「うん……順を追って説明するね」


現物を持ち出すことはできず、何者かに持ち出されて手元にないので私の記憶の中からの話になる。
思い出せる限りで、情報の全てを伝えた。
221 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/27(火) 20:07:20.56 ID:Ai6SuBuE0

摩美々「『希望ヶ峰学園歌姫計画』……」

灯織「みなさん、聞いたことは……?」

愛依「ううん、初耳。全然聞いたことない……」

めぐる「希望ヶ峰学園って才能の研究をやってる学園だし、やっぱり変わったことをやってたんだね!」

智代子「わたしのチョコアイドルとしての個性もグンと伸ばせたりしたのかなぁ」

摩美々「…………それより、気になるのはやっぱり紙切れの方じゃない?」

雛菜「……うん、雛菜もそっちの方が気になる」

愛依「雛菜ちゃんに心当たりは無い系?」

雛菜「はい〜、透先輩がここに来てから変わった様子もなかったですし、コロシアイなんてそれまで一言も口にしたこともないですよ〜?」

智代子「透ちゃん本人はもう亡くなっちゃってるし、謎のままだね……」

めぐる「大体コロシアイに誰かのためも何もないよ!絶対に許されないことなのに!」

(それはそう、なんだけど……何かこの言葉には大きな裏がありそうな気がしてるんだよね……)
222 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/27(火) 20:09:35.72 ID:Ai6SuBuE0

摩美々「浅倉透のためってことはぁ、透にこのコロシアイを捧げるって意味合いだよねー」

摩美々「円香の暴走と何か関係があったりしないのかなぁ」

雛菜「円香先輩が何かを知ってるってことですか〜?」

智代子「うーん、でも円香ちゃんが変わっちゃったのは小糸ちゃんの事件が起きてからだしなぁ」

摩美々「円香が知ってたことじゃなくて、円香が暴走することまでが浅倉透のためのコロシアイ……だったりしてー」

(……え?)

摩美々「このコロシアイ、誰かの描いた絵図通りになってるような気がしてたんだよねー。まるで、あらかじめ存在していたシナリオをなぞるようなコロシアイっていうかぁ」

(ここで起きた事件が、何かをなぞっている……?いや、そんなこと……ありえない)

(真乃も、樹里も、霧子さんも、凛世も……事件が起きた理由は彼女たち自身の葛藤や苦悩から来たものなんだ)

(人の感情を予想したシナリオなんて……組めない、はず……だよね……)

灯織「すみません、現物を持ち出すことができず……あろうことか襲撃されてしまうなんて」

愛依「ううん!灯織ちゃんが無事だったことが一番なんだし気に止む必要ないって!」

摩美々「それにしても、灯織を襲ったのって誰なんですかねー」

雛菜「やっぱり、黒幕なんじゃないですか〜?雛菜たちはモノクマの監視でクタクタになってましたし、夜時間の間はぐっすりでしたよ〜?」

めぐる「うん……流石にわたしたちの中の誰かってことはないと思うな!」

摩美々「……」
223 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/27(火) 20:12:14.06 ID:Ai6SuBuE0

摩美々「もし灯織を襲ったのが黒幕なら、灯織は警戒しておくべきかもしれないねー」

灯織「え?」

摩美々「ファイルが持ち出されていたところを見るに、その情報は黒幕にとっても重要機密。それを知ってしまっている以上、灯織の存在はかなり厄介に感じているだろうからぁ」


それもそうだ。もしかすると黒幕はあの後頭部への一撃で私のことを殺そうとすらしていたのかもしれない。そう思うとゾッとする。
……と同時に、私はあの黒幕の急所に辿り着けたのだという効力感を抱いた。
この痛みは、これまでで一番の進歩を物語っているんだ。


灯織「ご忠告ありがとうございます、でも大丈夫です。私には、信頼出来る皆さんがいますから。そう簡単に殺されはしませんよ」

雛菜「あは〜?灯織ちゃん、はじめの頃から見ると図々しくなっちゃったね〜!」

灯織「ふふ、そうかも。でもこれは本当の気持ちなんだ。ここまで一緒に生き残ってきたみなさんのお力があれば、黒幕にも負けることはないって思うから」

めぐる「うん!ぜ〜〜〜ったいに!黒幕に灯織を殺させなんかしないよ!」

摩美々「摩美々もここで灯織を殺されたら困るので、協力ぐらいはしてあげますー」

愛依「うん、何かあったらうちらにすぐ言って!いつでもどこでも助けに行くから!」

智代子「頼りないかもしれないけど、精一杯力になるよ!」

灯織「……はい!」


こうして私たちは食堂を後にした。

命がけで手にした大きな手掛かり、これが学園の真実と黒幕の正体に近づく大きな一歩なんだ……!

224 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/27(火) 20:14:06.14 ID:Ai6SuBuE0
-------------------------------------------------

【灯織の部屋】

さて、休んでいる暇はないな。
後頭部は少し腫れちゃってるけど、このぐらい平気。
それより今は皆さんと協力して前に進むことの方が大事だよ。

絶対に真実に辿りついてみせる……!

【自由行動開始】


-------------------------------------------------
1.購買に行ってモノモノマシーンか自動販売機を使う(現在モノクマメダル138枚)
2.交流 (人物指定安価)
3.休憩

↓1
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/27(火) 21:13:23.78 ID:7Vbdrbcno
2.円香
参加遅れた……
226 : ◆zbOQ645F4s [sage saga]:2021/07/29(木) 18:11:38.34 ID:UlMeWqt90
先日は申し訳ありませんでした、突発的に開始したので安価も回らず途中で放棄してしまいました。
改めて仕切り直したいと思います、明日7/30 22:00〜更新でいかがでしょう。
安価で現在指定されている円香交流から再開予定です。
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/29(木) 20:28:04.86 ID:FA64epw80
承知しました
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/29(木) 20:59:29.95 ID:c0RKDfOKo
了解です
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/30(金) 00:56:09.34 ID:u0HFKguQO
了解です
230 : ◆zbOQ645F4s [sage saga]:2021/07/30(金) 21:55:08.65 ID:OG0SNMWi0
2 円香選択

【円香の部屋】

私があの空間で見つけた、「このコロシアイは浅倉透のため」という謎のメッセージ……
その真相を明らかにするに、どんな手掛かりでも欲しい……

そう思って歩いていると、自然と彼女の部屋の前にたどり着いていた。
樋口さん……あの裁判以降、どう動いているんだろう……

めぐるが探索の時に一度出会ったとは言っていたけどそれ以降の詳細は不明だ。

ピンポーン

出るはずも、ないか_____

-------------------------------------------------
【5章における樋口円香の交流について】
樋口円香は本章では灯織からでは出会うことすら叶わない状況下にあります。
この章においては雑談パートは発生しません。
プレゼントを部屋の前に置いておくことで渡すこと自体は可能なので、親愛度上昇の判定は発生いたします。
-------------------------------------------------

なにかプレゼントを置いておけば、反応があるかな……?

-------------------------------------------------
プレゼントを渡しますか?

・現在の所持品

【ミネラルウォーター】
【虹色の乾パン】
【色恋沙汰リング】×2
【スカラベのブローチ】×3
【あしたのグローブ】×2
【おでこのメガネ】×2
【はっぱふんどし】×2
【白うさぎの耳あて】
【もちプリのフィギュア】×2
【ラジオ君人形】
【残鉄剣】
【狂戦士の鎧】
【毛虫くん】
【昭和ラジオ】
【黄金のスペースシャトル】
【聖徳太子の地球儀】
【ミレニアム懸賞問題】
【携帯ゲーム機】
【プロジェクトゾンビ】
【動くこけし】
【オブラート】
【スモールライト】
【古代ツアーチケット】×2
【もしもFAX】
【隕石の矢】
【アゴドリル】×2
【みどりの着ぐるみ】
【あかの着ぐるみ】
【EYE GRASS】
【ジャスティスV変身ベルト】
【ログインボーナス】


↓1
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/07/30(金) 21:59:45.70 ID:a7qEOMLF0
スカラベのブローチ
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/30(金) 22:04:39.07 ID:VLbhsbmS0
虫かぁ…
233 : ◆zbOQ645F4s [sage saga]:2021/07/30(金) 22:04:50.34 ID:OG0SNMWi0
【スカラベのブローチを置いておいた……】

樋口さん、今は会うこともできないけど……
私たちはずっと仲間だと思ってる、その証明としてこれを置いていくよ……


~~~~~~~

円香「……なにこれ、プレゼントボックス?」

円香「……」

円香「……ひっ」ビクッ

円香「虫をかたどったブローチ……?なにこれ、敵対の意志表明……?」

円香「……そっちがその気なら、こっちも遠慮なくいっていいってこと?」

円香「……上等」


(うっ……別のものを渡せばよかったかな……)


【親愛度が上昇しました!】

【スキル:HAPPY-!NGの効果により親愛度上昇値がわずかに増えます!】

【現在の樋口円香の親愛度…7.5】

234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/30(金) 22:06:33.95 ID:UhDuCth50
どう見ても嫌がらせでしかないのに親愛度上がって草
235 : ◆zbOQ645F4s [sage saga]:2021/07/30(金) 22:06:36.54 ID:OG0SNMWi0
-------------------------------------------------
【灯織の部屋】

樋口さんに渡したプレゼント、あれで釣るわけじゃないけど何かしらのとっかかりにならないかな?
……可愛いブローチだったし、喜んでもらえるといいけど。

灯織「まだ少しだけ時間はあるかな」

【自由行動開始】

-------------------------------------------------
1.購買に行ってモノモノマシーンか自動販売機を使う(現在モノクマメダル138枚)
2.交流 (人物指定安価)
3.休憩

↓1
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/07/30(金) 22:08:05.40 ID:a7qEOMLF0
雛菜
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/07/30(金) 22:08:48.65 ID:VLbhsbmS0
2 めぐる
238 : ◆zbOQ645F4s [sage saga]:2021/07/30(金) 22:16:02.96 ID:OG0SNMWi0
2 雛菜選択

【植物庭園】

雛菜「ぬくぬく〜〜〜♡」

灯織「あ、雛菜……お疲れ様、今は調査中?」

雛菜「う〜ん、今はただの日向ぼっこかな〜」

灯織「そ、そうなんだ……」

雛菜「円香先輩にももしかしたらどこかで会えないかな〜とか思わなくもなかったり〜」

灯織「……雛菜」

(そういう割にニワトリ小屋をのぞき込んだりしているのはなんなんだろう……)

-------------------------------------------------
【親愛度がMAXになっているキャラの交流について】

これ以上ないほど灯織との友情が成熟しているキャラからはもうスキルを得ることはできません。
代わりに交流の終わりにコンマ判定を行い、その末尾に応じた枚数分のモノクマメダルを獲得できます。
-------------------------------------------------

プレゼントを渡しますか?

・現在の所持品

【ミネラルウォーター】
【虹色の乾パン】
【色恋沙汰リング】×2
【スカラベのブローチ】×2
【あしたのグローブ】×2
【おでこのメガネ】×2
【はっぱふんどし】×2
【白うさぎの耳あて】
【もちプリのフィギュア】×2
【ラジオ君人形】
【残鉄剣】
【狂戦士の鎧】
【毛虫くん】
【昭和ラジオ】
【黄金のスペースシャトル】
【聖徳太子の地球儀】
【ミレニアム懸賞問題】
【携帯ゲーム機】
【プロジェクトゾンビ】
【動くこけし】
【オブラート】
【スモールライト】
【古代ツアーチケット】×2
【もしもFAX】
【隕石の矢】
【アゴドリル】×2
【みどりの着ぐるみ】
【あかの着ぐるみ】
【EYE GRASS】
【ジャスティスV変身ベルト】
【ログインボーナス】


↓1
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/07/30(金) 22:21:28.10 ID:a7qEOMLF0
もちぷりフィギュア
240 : ◆zbOQ645F4s [sage saga]:2021/07/30(金) 22:24:27.95 ID:OG0SNMWi0
【もちプリのフィギュアを渡した……】

灯織「雛菜、これどうかな」

雛菜「……え゛っ゛」

灯織「ひ、雛菜……?」

雛菜「灯織ちゃん、これ……もしかして、雛菜に『かわいい』ものを渡そうとしてコレ持ってきたの……?」

(そ、そんな怪訝そうな目で見ないで……)

(うっ、別のものを渡せばよかったな……)

-------------------------------------------------

雛菜「……」

灯織「……雛菜?」

雛菜「あっ、ごめん灯織ちゃん……ちょっとだけ考え事〜」

(雛菜が私に心を開くようになって数日、気兼ねなくお互い話はできるようになったけれど……)

(時々こうやってどこか物憂い気な表情を浮かべることがある)

(これはきっと私に対する関わり方ではなく、樋口さんの幼馴染であることによって生じる負い目のようなものなんだろう)

灯織「雛菜、樋口さんのことだよね?」

雛菜「あは〜……やっぱ灯織ちゃんにはバレちゃってる〜?」

灯織「雛菜はわかりやすいから。……まあ、私も人のことは言えないんだけどね」

雛菜「だよね〜、灯織ちゃんってばお腹がすいてるときって露骨に『空腹〜』って顔してるから」

灯織「えっ?!そんなに分かりやすい?!」

雛菜「あは〜〜〜〜!灯織ちゃんの分かりやすいのってそういうとこだよね〜〜〜!」

雛菜「アンティーカの子がよくからかうのも気持ちがわかるな〜!」

灯織「……もう、雛菜」


1.誤魔化さなくていいから
2.雛菜、間違っても一人で抱え込まないでよ
3.自由安価

【本セリフ指定安価で同時にモノクマメダル獲得枚数のコンマ判定を行います】

↓1
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/07/30(金) 22:29:00.81 ID:a7qEOMLF0
2
242 : ◆zbOQ645F4s [sage saga]:2021/07/30(金) 22:39:52.80 ID:OG0SNMWi0
2 選択

灯織「雛菜、間違っても一人で抱え込まないでよ」

雛菜「え〜?」

灯織「言ったでしょ、雛菜はわかりやすいって。今、雛菜が樋口さんのことで一人で責任とか後悔とか……一人で色々と背負い込もうとしてるのが丸わかりだから」

雛菜「……」

灯織「その……雛菜は優しいし、万が一のことがあれば……私は悲しい」

雛菜「……灯織ちゃんは心配性だな〜」

灯織「……なっ!」

雛菜「灯織ちゃんも知ってるよね〜?雛菜は、灯織ちゃんのおかげで変わることができた、幼馴染とそれ以外のみんなとの間にあった線を飛び越えることができたって〜〜〜!」

雛菜「それに、雛菜は灯織ちゃんが側にいてくれてることは知ってるから!灯織ちゃんが悲しむことは雛菜もしあわせじゃないし〜」

灯織「雛菜……その言葉に嘘はないんだよね」

雛菜「うん〜〜〜♡なにかあればまず相談、それがお友達でしょ〜?」

灯織「……うん、信頼してるよ」

(大丈夫、今の雛菜なら間違いは起こらない、起こさせない)

(それが私たちの培ってきた、積み重ねて来た絆……)

【コンマ判定81】

【モノクマメダル1枚を手に入れました!】

【現在のモノクマメダル枚数…139枚】

-------------------------------------------------

【スキル:一番星の魔法を発動できます】

【モノクマメダルを10枚消費して自由行動を追加できます】

【現在のモノクマメダル枚数…139枚】

【スキル:一番星の魔法を使用しますか?】

↓1
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/30(金) 22:42:39.46 ID:Byq+S8buO
使う
244 : ◆zbOQ645F4s [sage saga]:2021/07/30(金) 22:44:20.37 ID:OG0SNMWi0

【スキル:一番星の魔法を使用しました】

【残りのモノクマメダル枚数…129枚】

-------------------------------------------------

【灯織の部屋】

樋口さんのあの一言で、みんな大きく変わってしまっている。
私がふさぎ込む一方で、雛菜のように何かを考え込んでいる人もいる。

……何も間違いが起きなければいいんだけど。

【自由行動開始】

灯織「まだ、時間はあるかな」

-------------------------------------------------

1.購買に行ってモノモノマシーンか自動販売機を使う(現在モノクマメダル129枚)
2.交流 (人物指定安価)
3.休憩

↓1
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/07/30(金) 22:44:52.97 ID:a7qEOMLF0
めぐる
246 : ◆zbOQ645F4s [sage saga]:2021/07/30(金) 22:49:15.62 ID:OG0SNMWi0
2 めぐる選択

【体育館】

灯織「めぐる……?何してるの、こんなところで」

めぐる「あっ、灯織ー!えっとね、この前モノクマがここで動かなくなってたことで何かヒントが残ってないかって思ったんだー!」

灯織「そっか……どうだった?」

めぐる「うーん、手掛かりは何も……」

灯織「そっか……」

めぐる「でもでも、絶対に諦めないよ!あのモノクマの挙動……何か秘密があるはずだからねっ!」

(めぐるの底なしの明るさ……それがある限り、私はまだ戦っていける……)

-------------------------------------------------
プレゼントを渡しますか?

・現在の所持品

【ミネラルウォーター】
【虹色の乾パン】
【色恋沙汰リング】×2
【スカラベのブローチ】×2
【あしたのグローブ】×2
【おでこのメガネ】×2
【はっぱふんどし】×2
【白うさぎの耳あて】
【もちプリのフィギュア】
【ラジオ君人形】
【残鉄剣】
【狂戦士の鎧】
【毛虫くん】
【昭和ラジオ】
【黄金のスペースシャトル】
【聖徳太子の地球儀】
【ミレニアム懸賞問題】
【携帯ゲーム機】
【プロジェクトゾンビ】
【動くこけし】
【オブラート】
【スモールライト】
【古代ツアーチケット】×2
【もしもFAX】
【隕石の矢】
【アゴドリル】×2
【みどりの着ぐるみ】
【あかの着ぐるみ】
【EYE GRASS】
【ジャスティスV変身ベルト】
【ログインボーナス】


↓1
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/30(金) 22:51:45.06 ID:g566MPpK0
ミネラルウォーター
248 : ◆zbOQ645F4s [sage saga]:2021/07/30(金) 23:01:55.36 ID:OG0SNMWi0
【ミネラルウォーターを渡した……】

灯織「これ、めぐる。使って」

めぐる「ん?……わぁ!水だ!ありがとう灯織!わたしのために持ってきてくれたの?!」

灯織「うん、めぐるは何かと毎日走り回ったり私たちのために尽力してくれたりでエネルギーを使ってるから……水分補給をおろそかにしたら駄目だよ?」

めぐる「うん!灯織はわたしのことを気遣ってくれて優しいなぁ……ありがとう!」

灯織「ううん、これぐらいなんてことないよ」

【PERFECT COMMUNICATION】

【親愛度がいつもより多めに上昇します】

-------------------------------------------------

めぐる「灯織!灯織灯織灯織ー!」

灯織「めぐる……どうしたの?」

めぐる「えへへ、呼んでみただけ!なんだか、灯織の名前が呼びたいなーって!」

灯織「もう……なにそれ」

めぐる「灯織の名前を口に出すと、なんだかすごく力がもらえるんだよ!」

灯織「力?そんなの私がむしろめぐるから貰ってることで……」

めぐる「ちがうよちがうよ!わたしも灯織に力をもらってばっかりなんだから!」

灯織「もぅ……」

めぐる「わたしには灯織がいる、かけがえのない仲間がいる……この仲間を失っちゃダメなんだぞって!」

(めぐるの言う『力』は……真乃を失ったことに基づくものなのかもしれない)

(イルミネはもう、あのトライアングルを描くことはない……それを寂しく思う気持ちは私にだってある)

(それが無自覚なうちに、意識することなく、私への執着という形で現れたのが、今の掛け合いなのかもしれない)


1.じゃあ今度は私からめぐるの名前を呼んじゃうから
2.めぐる、手を握ろっか
3.自由安価

↓1
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/30(金) 23:06:03.63 ID:VLbhsbmS0
2
250 : ◆zbOQ645F4s [sage saga]:2021/07/30(金) 23:10:40.11 ID:OG0SNMWi0
2 選択

灯織「めぐる……手、握ろっか」

めぐる「へ?」

灯織「私とめぐるは切っても切れない仲間、いつまでもどこまでも切れない絆を持っている。それを改めて確認したいなって」

めぐる「う、うん……」

ギュッ

灯織「めぐる……どうかな」

めぐる「……灯織の手、つめたいね」

灯織「え?!ご、ごめん……」

めぐる「ううん!ちがうの!……ほら、手が冷たい人って心はあったかいって言うでしょ?」

めぐる「それをわたしは知ってるから!この手から感じるものが、灯織の優しさの表れだって思うと……なんだか離したくなくなっちゃう!」

灯織「そ、そんな……照れるから」

めぐる「えへへっ、灯織!」

灯織「……もう」

めぐる「灯織灯織灯織ーーーー!!」

灯織「……もうったら……」


【親愛度が上昇しました!】

【スキル:HAPPY-!NGの効果により親愛度上昇値がわずかに増えます!】

【現在の八宮めぐるの親愛度…2.5】

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【スキル:ポシェットの中にはの判定に移ります】

【直下コンマの末尾の数字と同じ枚数のモノクマメダルを獲得できます】

↓1
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/30(金) 23:16:37.48 ID:g566MPpK0
252 : ◆zbOQ645F4s [sage saga]:2021/07/30(金) 23:19:05.66 ID:OG0SNMWi0
【コンマ48】

【モノクマメダル8枚を獲得しました!】

【現在のモノクマメダル枚数…138枚】

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【灯織の部屋】

ピンポーン

こんな時間に来訪者。……流石に黒幕がインターホンを鳴らしてはやってこないよね。
ある程度緊張を解いて来客を受け入れる。
扉を開くと、そこに立っていたのは……


めぐる「こんばんは、灯織!」

灯織「めぐる……どうしたの、何か用事?」

めぐる「えへへ、用事って言うか少し心配で……」

灯織「もしかして、私が黒幕に襲われないかってこと?」

めぐる「うん……灯織は今怪我もしてるから、万が一のことがあったら心配なの」

灯織「ありがとうめぐる……でも大丈夫、夜はちゃんと施錠してこの部屋に閉じこもるつもりだから」

めぐる「う〜〜〜ん、足りないんじゃないかな。だってモノクマはいつでもどこでも出てこれるんだよ?鍵だけじゃ心配だよ〜!」

灯織「そ、それはそうだけど……」

めぐる「ねえ灯織、今から一緒に護身用の武器を取りに行かない?何か自分の手で使える武器があった方が安心だよ!」


めぐるの口から武器なんてものが出てきて少し驚いたけど、めぐるの言う通りだ。
夜時間の個室は絶対安全なように見えて、その実自分を閉じ込める檻のようなもの。黒幕相手じゃ心細い。


灯織「でも、護身用の武器なんてどこに……」

めぐる「わたしにいい考えがあるんだ!体育館の前のトロフィとかの陳列スペース、あそこに立派な模擬刀があったと思う!」

灯織「模擬刀……確かに私でも使い方がわかるし、護身用にはいいかもね」

めぐる「よし、そうと決まったら善は急げだよーーー!」
253 : ◆zbOQ645F4s [sage saga]:2021/07/30(金) 23:20:12.31 ID:OG0SNMWi0
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【体育館前】

めぐる「えっと……ここにあったと思うんだけど……」


モノクマに呼び出しを食らった時など頻繁に出入りはしてたけど、そこまで注視したことはなかったな。
めぐるは品定めするように腰を曲げ、しばらく眺めたかと思うとその手に模擬刀をとった。


めぐる「これだね!本物の日本刀……じゃないから、斬れないけど緊急時は相手を叩いて使ったらいいと思う!」

灯織「うん、ありがとう……これなら私でも使えそう」

私のありがとうの言葉を満面の笑みで受け取るめぐる。本当にめぐるには助けられてばかりだな。

灯織「でもめぐる、めぐる自体は大丈夫?」

めぐる「え?」

灯織「せっかくだから、護身用の武器とかめぐるも持って帰ったらどうかな?備えあれば患いなし、っていうでしょ?」

めぐる「ううん!大丈夫!実はわたし、ナイフを持ってるから!」

灯織「え、ナイフ?」


私の問いかけにめぐるは懐からナイフを持ち出した。
そういえば、今朝のめぐるの報告でもとある教室の机に刺さっていたと言っていた。それを回収したままだったらしい。


めぐる「ナイフ自体は怖いものだけど……使い方に気を付ければ大丈夫!」

灯織「もう……大丈夫?ちゃんとそれで自分の体を守れる?」

めぐる「うん!ばっちりだよ!」


めぐるは自信満々に言うけど、大丈夫かな……
少し心配にはなるけど、狙われるなら私の方が先だ。
ナイフをめぐるが振るう機会もそうそうないだろうし、今のところはめぐるにそのまま任せておくことにした。

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254 : ◆zbOQ645F4s [sage saga]:2021/07/30(金) 23:21:38.78 ID:OG0SNMWi0
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【灯織の部屋】

キーン、コーン…カーン、コーン

モノクマ『えー、校内放送でーす。午後10時になりました。ただいまより、“夜時間”になります。間もなく、食堂はドアをロックされますので、立ち入り禁止となりま〜す』

モノクマ『ではでは、いい夢を。おやすみなさい…』

大きな収穫のあった1日だったな。
今に見てろ、モノクマ。このふざけた放送も、そう長くは続かせないんだから。

……っと、一応最大限の警戒はしておかないとね。
しっかりと部屋の施錠を確認して、護身用に持ち出した模擬刀も用意。これでそう易々とは殺されはしないはず。

なんとしても生き残って、この学園を皆さんと一緒に脱出するんだ……!
だから今はとりあえず、体を休めよう。
頭の傷もそうだし、昨日の晩から動きっぱなしだしね。

私は改めて固く決意をして、ベッドへと潜り込んだ。

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255 : ◆zbOQ645F4s [sage saga]:2021/07/30(金) 23:22:42.22 ID:OG0SNMWi0
_____
________
____________

【灯織の部屋】

キーン、コーン…カーン、コーン

モノクマ『オマエラ、おはようございます!朝です、7時になりました!』

モノクマ『起床時間ですよ〜!さぁて、今日も張り切っていきましょう〜!』


素っ頓狂なアナウンスで今日も目を覚ます。両手をグーパーで確かめる、なんの異常もない。

……昨晩は襲撃を受けることはなかったな。
当然そのほうがいいんだけど、警戒していた分少しだけ拍子抜け。黒幕は私の存在をどう捉えているんだろう。

ひとまずは私の生存を示す意味合いでも食堂に行かないと。


256 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/30(金) 23:23:43.86 ID:OG0SNMWi0
-------------------------------------------------
【食堂】

智代子「あ、灯織ちゃんだ!よかった!無事なんだねー!」

愛依「灯織ちゃんだよね?!ちゃんと灯織ちゃんだよね?!」

灯織「だ、大丈夫!私は無事ですから!」

摩美々「ひとまず何もなくぅ?黒幕に襲われもしなかった感じっぽいねー」

めぐる「うん、夜の間定期的に灯織の部屋の前を見回ってたけど怪しい人も来なかったよ!」

灯織「そ、そんなことをしてくれてたのめぐる?!」

灯織「ご、ごめん!全然気付いてなかった!めぐる、今晩は私がめぐるの部屋を見回りするから、今日はゆっくり休んで!」

摩美々「別にめぐるの部屋を見張る意味はないと思うケド……」


食堂では私の生存をみなさんが喜んでくださり、そのまま今後の体制についての話し合いに。
『希望ヶ峰学園歌姫計画』の全貌、浅倉透という人間のこのコロシアイにおける立ち位置なので目下の課題を調べるのは当然として……






円香「おはようございます」

樋口さんにも警戒をせねばならない。
257 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/30(金) 23:24:31.85 ID:OG0SNMWi0

摩美々「一体何の用ー?摩美々たちは黒幕対策で忙しいんだケド」

円香「……生きて帰るお仲間の頭数にもう私は含まれていないんですか?」

灯織「そ、そういうわけでは……」

円香「別にそのつもりもないのでどうでもいいけど」

愛依「円香ちゃん……そんなこと言わないでよ」

円香「……」

摩美々「で?何が目的なわけ?まさか一緒にご飯食べたいわけでもないんでしょー?」

円香「よくおわかりで。こんな雑談をしに訪れたわけではないですね」

円香「みなさんにご挨拶をと思いまして」

めぐる「あいさつ……?」

円香「皆さんとお話しできるのもあと僅かですから」

灯織「そ、それって……」





円香「あなたがたの絆をズタズタに引き裂く準備は整いつつあります」

灯織「!?」





258 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/30(金) 23:25:31.15 ID:OG0SNMWi0

円香「見るも無残な、絆なんて世迷言の成れの果てをお見せしますよ」

智代子「ま、円香ちゃん!考え直してよ!凛世ちゃんの想いは……円香ちゃんには届かなかったの?!」

円香「凛世の想い?……智代子こそ、凛世の想いを都合のいいように曲解してない?」

円香「凛世はただ、このコロシアイを続けたかった。それだけのことなのに、あなたがたは勝手に希望を託しただの絆を繋いだだの、お得意の理屈を並べて悦に浸っている」

円香「本当に下らない、見ているだけで反吐が出る」

めぐる「ちがうよ!凛世は、わたしたちのことを思ってくれてた……そこに間違いなんて!」

円香「だとしても、私には関係ない。私にとって大切なのは透と小糸、二人のためにこの命を懸けることだから」

雛菜「円香先輩、どうしてそうもねじ曲がっちゃったの……」

円香「あんたこそね。灯織たちのくだらない洗脳を受けて、もう同情すらできない」

雛菜「……!!そんな言い方するなんてやっぱり円香先輩おかしい〜〜〜〜〜!!」

円香「……おかしい?おかしいのはどっち?」

雛菜「そっち〜〜〜!!」

円香「……はぁ、あんたとは議論すらまともにできない」


いくら言葉を投げかけても立板に水。
樋口さんの殺意と敵意は微塵たりとも揺らぐことはなく、私たちをしっかりと睨みつけている。


円香「では、いつまでその食事を味わえるかハラハラしながらお過ごし下さい」


そしてその敵意を突き付けたまま、樋口さんは背を向けた。私たちに一頻り恐怖をばら撒いて満足し、退室するつもりだ。





でも、それを彼女は許さなかった。
259 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/30(金) 23:26:30.53 ID:OG0SNMWi0

摩美々「待ったぁ、このまますんなり見逃すとでも?」

愛依「ま、摩美々ちゃん?!それ……?!」

智代子「い、いやぁぁぁぁぁぁぁ?!」


いつのまに厨房から持ち出していたのか、摩美々さんの手には包丁が握られていた。急速に食堂の空気が張り詰める。


円香「……へぇ、あなたがたにそんな勇気があるとは思いませんでした。てっきり平和主義を徹底するのかと思ったんですが」

摩美々「摩美々は平和主義ですよー、ただその平和を阻害する相手なら攻撃も辞さないだけでー」

愛依「わわ、わわわわ……ど、どうしよどうしよ!」

灯織「ま、摩美々さんやめてください!こんな形での幕引きは……望んでいません!」

摩美々「灯織!!」

灯織「……!!」

摩美々「灯織の言うことは間違ってないしぃ、全部その通り。こんな形で幕引きなんて、咲耶もきっと望んでない……」

摩美々「でも、円香を止めるにはこれしかない……言葉じゃ通じる相手じゃないんだよねー……」

円香「流石。よくわかっていらっしゃいますね」

摩美々「お生憎さま、摩美々も円香ほどじゃないケド悪い子なのでー」


まずい。摩美々さんをなんとしても止めないと……
この前の裁判とおんなじだ。また摩美々さんは自分の命を賭してでも、私たちを、絆を守ることに執心している。
260 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/30(金) 23:27:40.16 ID:OG0SNMWi0

どうやって止めるべきか、そもそも止めないべきなのか。
こうでもないああでもないとあたふたしているうちに……ことは唐突に終結を迎えた。


摩美々「……!?」

円香「……どうしました?私をここで止めるのでは?」

めぐる「ど、どうしたの摩美々…………って!?」

雛菜「ま、円香先輩その薬……!!」

円香「持ってきて正解でしたね、この前の事件でも使われた薬品A・B。既にこのボトルの中で調合済み。私は刺された瞬間ここでこれを開封しますよ」

摩美々「……」

円香「私の邪魔をすれば、即座に全員が共倒れ。さて、どうしますか?」


摩美々さんは奥歯をギュッと噛み締め、プルプルと腕を震えさせながら包丁の鋒を樋口さんの胸元から徐々に高度を下げていった。
どうしようもない、樋口さんは最強の自己防衛策を持っていた。


円香「では、失礼します」


私たちは食い入るような目で、その去り際を見送ることしかできなかった。


摩美々「……はぁ」


ガックリと肩を落とす摩美々さん。
手離した包丁が耳障りな金音を立てて床に落ちた。


灯織「摩美々さん……」

摩美々「……私は間違ったことはしていないと思ってるからぁ、謝罪も釈明もしないよ」

摩美々「ただ、無力な自分に苛立ってるだけなのでー……」


大丈夫。摩美々さんとの間に行き違いがあるわけじゃない。
想いは同じ……ただ、その苛烈さの違いなだけ。
摩美々さん自体不安なんだ、樋口さんの動向そして咲耶さんの意思を受け継ぐことに。

誰も凶行に走ろうとした摩美々さんを責めようともせず、朝礼は意図せぬ形で解散となった。


雛菜「……」
261 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/30(金) 23:28:52.64 ID:OG0SNMWi0
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【灯織の部屋】

樋口さん、本当にやる気なんだ。
急がないと……急いであの部屋で知った秘密を解き明かさないと……
取り返しがつかなくなる、その前に。

【自由行動開始】

【事件発生前最終日の自由行動です】

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1.購買に行ってモノモノマシーンか自動販売機を使う(現在モノクマメダル138枚)
2.交流 (人物指定安価)
3.休憩

↓1
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