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村人「ま、魔物が襲ってきたぞぉ!」 俺「ふむ、ならば銃で撃ち殺せばいいのでは?」
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2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:31:27.18 ID:oYnuwuluO
ゴブリンA「ガァ!?」ドサッ
ゴブリンB「グギャァ!!?」ブシャア!!
村人C「よ、よし効いてるぞ!」
村人B「だが敵の数が多過ぎる……!」
村人A「くっ…俺さん、何か良い案はないか!?」
俺「ふむ、バズーカで一掃すれば良いのでは?」
村人A「!! その手があった! おいみんな、倉庫からバズーカを持ってこい!!」
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:32:08.04 ID:oYnuwuluO
ドガァアアアアアアアアアアアアンッッ!!!!!
ゴブリンたち『『『ゴギャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!??』』』
ドサドサドサッ
村人B「はぁ、はぁ……一時はどうなる事やらと思ったが」
村人C「流石俺さんだ!あんたが来てくれて本当に良かった!!」
村人A「今日は宴だな! っと、だが酒の量が足りないな……とはいえもう夕刻だし、都市まで行くのはリスクが高過ぎる………」
俺「ふむ、醸造すれば良いのでは?」
村人A「その手があったか!!!!」
村人C「すげえや俺さん!! すぐに醸造機で酒作ってくるぜ!!」ダダダダダッ
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:32:42.06 ID:oYnuwuluO
〜数ヶ月後〜
村人C「よっ若村長!」
村人B「似合ってるな」
村長「はは……まあ俺が村長になれたのも殆ど俺さんのお陰だけどな」
俺「ふむ、まだ公務が残っているのでは?」
村長「おっといけない、確かにそうだったな」
村人B「なら俺たちは邪魔だな、さっさと出t…」
村人D「大変だ!役人の野郎が来やがった!!」ガラッ
村長「なにっ!?」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:33:13.55 ID:oYnuwuluO
村人B「待て、確か納税はあと半月後じゃ……」
村人D「よ、予定が早まったらしい! なんでも王が他国に戦争を仕掛けようとしていて、その為の軍資金を調達する為だとか……」
村長「………」
村人C「……どうすんだ、村長?」
村長「ともかく行くしかない。俺さん、着いてきて貰えるか」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:34:05.64 ID:oYnuwuluO
役人「はあ? まだ全員払い切れる態勢じゃないィィィィ??」
村長「その通りだ。あと十日あれば全村民が納税出来るだろうが、これだけ早いと数世帯は遅れが出る。ゆえに、そちらの要求は呑めない」
役人「……土人が。粋がってんじゃねえぞ」
ボォッッ!!!!
村人D「ひぇっ…」
役人「オレぁ王立魔導学園を卒業し3年間魔導騎士団に所属してたキャリアがある。てめぇらが納税するしねえは勝手だけどよ、オレのノルマに響くにゃ響くんだわ。………村一個潰したとこで、誰も分かんねえんだぞ?」
村長「………っ!」
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:34:40.68 ID:oYnuwuluO
役人「おうビビってんなおい? いや良いんだよそれが正常だっての。な、だからよ、怖いんならさっさと納税してくれや? 何もオレは各人がそれぞれ出せっつってる訳じゃねえのよ、てめぇのポケットマネーで支払いしてくれても額面上は一緒だし構わねえんだ」
村長「……………」
役人「ああ、出すならはよ出してくれよ? 導火線は刻々と燃えていってるんだぜ?」ボォォォ....
村長「………分か」
俺「ふむ、払えば良いのでは?」
村長「えっ?」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:35:16.19 ID:oYnuwuluO
村人C「……どういうこった、俺さん?」
俺「ふむ、あれを見れば良いのでは?」スッ
ゴブリンの培養管×5000「」
村人B「………? あれがどうし」
役人「!? あ、ありゃ全部ゴブリンか!!?」
村人D「えっ……?」
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:36:49.53 ID:oYnuwuluO
役人「っおいてめぇ、あのゴブリン全部魔石取ってねえんだろうな!?」ズイッ
村長「ま、魔石?」
役人「その様子なら取ってねえみてえだな……! よし、あれ全部オレに寄越せ! したら今回どころかこの先半年は取り立てに来ねえでやる」
村長「な、なに……?」
村人B「………いや、いつだったか聞いた事がある。全ての魔物の体内には大なり小なり魔石という資源物質が存在していて、それは王都にある研究施設でエネルギー変換する事で別の汎用エネルギーと化すと」
役人「その通りだ。んでここにあるゴブリン分なら……そうさな、おおよそ60万Gになる。てめぇらが毎月払うのが10万だから、今回除いて半年分取り立てる必要がなくなんだよ」
村長「そ、そうなのか……!」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:37:24.99 ID:oYnuwuluO
村人C「…いいのかよ、んな事俺らに教えて? 俺らは搾取対象なんじゃねえのか?」
役人「オレだって別にイラつきゃしなかったら悪事を為そうとまでは思わねえよ。だいたいここまで来んのは来んので交通費が別途かかんだ、節約出来るならそれに越したことはねえ」
村人B「………」
村長「……そうか。その言葉、信じて良いんだな?」
役人「勝手にしろや。ま、何にせよそこの野郎に感謝するこったな」スタスタ
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:38:00.91 ID:oYnuwuluO
村長「………今回も俺さんに助けられたな」
村人B「俺さんには毎度毎度頭が下がるよ」
村人D「す、凄いな俺さんの機転は…」
村人C「まあ、こんな辺鄙な村に居るのがもったいねえ人材だよなぁ」
村長「余計な発言は置いとくが、本当に俺さんには感謝しているよ。これからも宜しく頼む!」グッ
俺「ふむ、まあ当然なのでは」グッ
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:38:45.39 ID:oYnuwuluO
〜3年後〜
役人「おう向こうの新聞だ、買えや」バサッ
村人C「オメーもなんか馴れ馴れしくなってきたな……」
役人「良いじゃねえか、役人と仲良いってのは得だぜ? てめぇらも意地張ってねーで仲良くしよーぜ、な?な?」
村人B「数年前に俺たちを皆殺しにしようとしたのにか?」ハァ
役人「細かい事ァ気にすんじゃねって、だいたいてめぇらんとこの酒を王都に売り出してやって免税させてんのはドコの誰よ? オレだろ? 十分返すもんは返したっての」
村長「まあ、ブランド化させてくれたのには感謝しているけどな」ザッ
俺「」ザッ
村人C「おっ村長、俺さん!」
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:39:24.42 ID:oYnuwuluO
役人「おー暇んなったのか! 新聞買えよ新聞」
村長「お前の私益になるから嫌なんだがな……」スッ
役人「ほい毎度! おらよ」バサッ
村長「はあ……ん?」
村人B「どうした?」
村長「いや……みんな、手元の新聞の2面を見てくれ」
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:40:21.14 ID:oYnuwuluO
村人C「どれどれ……はぁ!?」
役人「あ?1面と裏しか見てなかったなそうい……あ?」
村人B「………これは、本当なのか」
村長「………。王国が、近日中に開戦の可能性……」
役人「バカな……有り得ねえ、今の王都は十分潤ってる。やるにしたって経済制裁くれぇだ、わざわざ戦争やって死人を増やすなんざ馬鹿げてるぜ」
村長「………俺さん、この村も何か備えるべきか? 考えを聞きたい」
俺「ふむ、砦を作っては?」
村長「砦か……作る事自体は数時間で可能だが、ただの砦を作っても敵国兵が侵入してきた時に普通に突破される気も」
俺「ふむ、迎撃ミサイルや中近距離用バリスタを備えては?」
村長「なるほど……!!」
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:41:06.54 ID:oYnuwuluO
役人「ほう……考えやがったな?」
村人C「確かに迎撃物を設置すれば相手も近づけねえな!」
村人B「いや待て、砦の外から攻められたらどうする? 搦手には正直村の兵力だけではどうする事も出来ないぞ」
俺「ふむ、村の外周を全て鋼鉄の壁で囲めば良いのでは?」
村長「それだ!! 流石俺さんだ、今すぐに建ててこよう!!」
村人B「既に考慮済みだったか……よし、俺も微力ながら手伝おう!」
村人「俺も行くぜ!!」
役人「……悪ィがオレは王都に戻るぜ。事の真偽を確かめなくちゃなんねえからな」ザッ
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:41:47.38 ID:oYnuwuluO
〜4日後〜
パカラッパカラッ!
役人「ハァハァ……おいてめぇら、ここ開けろ!!」
村人D「あれは……おい、どうする!?」
村人C「開けてやれ!何か情報を持ってきてるかもしれない!」
ガララララ...ガシャアンッ!
役人「おう、大変だ!今日遂に王国が帝国と戦争を開始しやがった!」
村人C「マジか……! 俺さん、すまねぇが村長たち呼んできてくれ! 集会所に集まるぞ!!」
俺「」コク タタタッ
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:44:12.18 ID:oYnuwuluO
〜集会所〜
村長「そうか、遂に戦争を……」
村人C「魔王や魔物の脅威もあるってのによ……人類同士争ったって何の益があるんだよ、クソが」
村人B「取り敢えず防衛機構は完成しているが、これからどうするんだ?」
役人「つってもまあ、どうもこうもねえだろ。別にてめぇらは兵隊じゃねえ、これまで通り土いじって酒作って暮らせば良いと思うけどな」
村長「目下は役人の奴の言う通りだ。これまで通り危機があれば対処するが、なければ特に動きたくはない。変に村民を動かしてもストレスになるだけだし、何より女子供には“戦争”を意識させたくないからな…」
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:45:05.60 ID:oYnuwuluO
村人C「そういえば、今王都はどうなってんだ?」
役人「知らね。ただ開戦には都民全員賛意を表してやがってるぜ? 全員狂った見てーにワーワー騒いでやがった、自分が死ぬかもしんねってのに何が面白いんだかな」
俺「ふむ、交易も停止せざるを得ないのでは?」
村長「そういえばそうだな……悪いが役人、暫く酒の取引は中止させてくれ」
役人「そもそももうオレ王都帰んねーから。あんなやべーとこ終戦しねえ限り戻りたくねえよ、真っ先に狙われっだろ敵国の首都なんか」
村人B「………お前、公務員だろ?」
役人「そっすね、で?」
村長「……まあ良い。当座の話は纏まったし、一旦ここは解散しよう」
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:45:39.49 ID:oYnuwuluO
……………
………
…
ザッザッザッザッ...
俺「」パチ
役人「………てめぇも気付いたか?」
俺「」コク
役人「大軍だなこりゃ。万は超えてるかもしんねえ」
俺「ふむ、皆を起こすべきでは?」ボソッ
役人「そうだな、男手だけは起こしとこうや」
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:46:15.84 ID:oYnuwuluO
村人D「んん……? こんな深夜に何の話だ?」
村長「………何となく察しは付くが」
役人「たぶん、帝国兵が夜通しで王都か大都市辺りに向かってやがる。でこの村ん近くを通過してる」
村人B「何故分かる?」
村人C「うんにゃ、よぉく耳澄ませろ。確かに聞こえるぜ、足音がな……」
俺「ふむ、櫓に登って詳細を確認すべきでは?」
村長「ああ、こちらに近付いているとかであれば不味い」
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:47:35.38 ID:oYnuwuluO
村人C「よし、ここは俺が行くぜ。これでもガキんちょの頃は村一番の野生児で通ってたかんな、視力はお前らよか良い」
村長「いいのか?」
村人C「俺は大飯食らいだかんな、こういう時くらいは率先して役に立たせてくれよ」
村人B「無理はするなよ……確か魔法の一種に感知魔法というのがある、相手に感づかれたら弩辺りで蜂の巣だぞ」
役人「一応妨害魔法付与させとく……が、オレもかなりブランクがある。精々無効化出来ても中級下位辺りの魔法までだと思っとけ」パァァ...
村人C「おう。…じゃ、行ってくるぜ」
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:48:15.00 ID:oYnuwuluO
グッ グッ グッ ズイッ
村人C(敵軍影はっと……)キョロキョロ
村人C(…………)
村人C(!)
帝国兵『』ザッザッザッザッ
帝国兵『』ザッザッザッザッ
帝国兵『』ザッザッザッザッ
帝国兵『』ザッザッザッザッ
帝国兵『』ザッザッザッザッ
村人C「…………」
スッ
ソロリ
ソロリ...
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:49:47.35 ID:oYnuwuluO
ガチャ
村長「! 帰ってきたか……!」
村人D「ど、どうだった?」
村人C「……ぶっちゃけやべーぞあの数は。王国軍がどんくらいかは知らねぇけど、都市の2つ3つくらいなら余裕で陥せるぜ」
村人B「おおよそで良い、数はどの程度だ?」
村人C「5万、あるいはそれ以上。あとこっちには向かってきてなかったぜ」
村長「そうか……いや、本当に良かった。ありがとうな、調べてきてくれて」
役人「……王都の常駐騎士団も同数くれえだな。とはいえ都市それぞれは1万以下だ、練度にもよるがまともにぶつかり合えば王国は大ダメージを受けっだろな」
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:50:44.23 ID:oYnuwuluO
俺「ふむ、この後は趨勢を見守るだけでは?」
村人B「そうなるな。別に俺たちに出来る事がある訳でもないし、そも王国自体命を捨ててまで守る気概もないしな…」
村長「もうすぐ冬だし、積雪対策にも傾注しなくてはならないのもある。この村は山間部にあるから吹雪けばその影響がダイレクトに表れやすいのがキツいな」
村人C「屋根にめちゃくちゃ積もっちまうのはなあ……それ以外はなんだかんだどうとでもなるんだけどよ」
俺「ふむ、屋根全てにカイロを敷けば良いのでは?」
村長「積雪対策も完了したところで今年の冬は特にやる事がなくなってしまったな……」
役人「まあ、心配し過ぎてもしょうがねえわな。戦争終了まで待ちの姿勢で居るっきゃねえ」
村人B「とはいえ、どれだけ続くかな……あまり長引かなければ良いんだが」
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:51:16.86 ID:oYnuwuluO
〜1年後〜
村人B「お前もなんというか、ここの住民が板に付いてきたな」
役人「そりゃ丸一年ここで過ごしてんだからそうなっだろ」
村人B「しかし戦争もどれだけ続くのか…たまに来る商人は未だに継戦状態としか話してくれないし、いまいち状況が分からない」
俺「」スッ
村人B「ん?」
役人「アレは……噂をすればってヤツか」
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:51:54.19 ID:oYnuwuluO
商人「ふう…」
役人「おうオッサン、何してんだ?」
商人「ん?あなたがたは……」
村人B「ここの村民です」
商人「ああ、こちらの……いえ休憩してましてね、明明後日辺りには帝国着かなきゃならないんで大変ですよ」
役人「帝国だぁ? ンでだよ」
商人「え、何でって………あぁまあ、商人じゃなければ分かりませんか。最近帝国が王都を陥としたらしいんですよ、界隈内では有名です」
役人「はっ?」
村人B「な……!?」
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:52:48.58 ID:oYnuwuluO
役人「それ、マジで言ってんのか?」
商人「大マジですよ、だから戦勝国の帝国に行って先に身の安全を確保しておきたいなと思ってる訳です」
村人B「………これは」ボソッ
商人「皆さんも国外脱出考えたほうがいいですよ? 幸いこの村は豊かそうですし、今すぐに十分な飲食料を持って逃げれば大丈夫でしょう」
役人「王国は確実に負けたっつう事か?」
商人「確実かは、分かんないですけど。でも王都が陥ちたって事はそういう事でしょう? ……と、そろそろ宿探さなきゃですのでこれにて失礼しますね。では」
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:53:35.23 ID:oYnuwuluO
村長「確かなんだな?」
村人B「言伝だ、正確性には欠ける……けれど、否定するソースもない」
俺「ふむ、テレビで確認すれば良いのでは?」
村長「おお、その手があったな! よし、早速テレビを付けよう」ピッ
TV『速報です! 現在まで続いていた王国と帝国の戦争ですが、首都陥落と複数都市の占拠を受け王国側が降伏を宣言しました! 速報です、王国と帝国の戦争が終了し王国が降伏、帝国の勝利に終わりました!!』
村人C「こりゃマジだな…」
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:54:21.07 ID:oYnuwuluO
村人B「しかし、戦争というのは1年少しで終わる様なものなんだな」
役人「王もアホだな……何もしなけりゃ経済大国になれたってのに調子乗って国力落として、挙句敗戦しちゃ無能どこっか基地外だろうよ」
村長「領土拡大はされているのか? 不安だな……」
村人C「へ? 何で」
村人B「この村も拡大された領土に入っていたら厄介だろ? 所詮は単なるいち農村だし万が一という程度だが、帝国からの接触も有り得るという事なのだから」
村長「………。何も無いと、いいんだけどな」
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:55:01.82 ID:oYnuwuluO
〜半年後〜
帝国兵長「………な、なんだこの砦は?」
帝国兵「この村の防衛機構の模様です。迎撃兵器等が設置されております」
帝国兵長「村? ならここが目的地という事か?」
帝国兵「その通りです。醸造技術に長け高い防衛能力を特徴としている農村との事でしたので、こちらしか有り得ぬかと」
帝国兵長「……ま、まあ良い。入るか」
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:55:49.34 ID:oYnuwuluO
コンコンッ
帝国兵長「あー……元王国国民の諸君、我々は帝国兵だ。王国との和解条約により領土の一部を割譲された結果、この村もその範疇にある事が分かった。従って以降の納税対象の変更についてなど諸々の説明をせねばならない、開門を願いたい」
……………。
ガララララ...
帝国兵長「………おお?」
村長「………」
俺「」
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:56:21.18 ID:oYnuwuluO
帝国兵長「お前さんが村長か?」
村長「いかにも。先程仰られた事についてお話しましょう、集会所の方に来て頂きたい」
帝国兵長「……若いな」
村長「よく言われますよ…さあ、こちらへ」スタスタ
俺「」スタスタ
帝国兵長(………こいつは誰だ?)
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:56:58.44 ID:oYnuwuluO
帝国兵長「……という事だ」
村長「つまり税率は王国時代と大差ないと?」
帝国兵長「それに加えてこちらは帝国から見て辺境だ、特産品の定期献上も不要になる。代わりに帝国兵の常駐もないが……」
村長「そちらに関しては問題ありません」
帝国兵長「そうか。まあ、あの砦があればそうだろうな」
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:57:45.32 ID:oYnuwuluO
村長「では話は終わりという事で」
帝国兵長「だな。いや、円滑に話を進められて助かった」
村長「こちらこそ。馬車を手配しておきましょう、帝都行きで?」
帝国兵長「ああいや、他の村にも行かねばならないからな。手配するなら……そうだな、この村は酒が名産品なんだろう? 酒が欲しいね」
村長「ああ、もちろん良いですとも。というか最近交易をストップしていましたので余り気味なんですよ、どんどん貰って行って下さい」
帝国兵長「ハハ、そりゃ嬉しいな」
帝国兵「兵長、そろそろ時間です」
帝国兵長「おっと、もうか。ではな」
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:58:15.93 ID:oYnuwuluO
村長「な、なんとか乗り切った……」
村人C「はっは、やるじゃねぇか! ちゃんと村長やれてたぜ!」
村人B「対等に交渉出来ていたな。非常に頼もしかったぞ」
役人「まあ、こうなりゃしばらくは動乱も何もねえだろ。また元の平和な時代が続く筈だ」
村長「そうなると嬉しいな。魔王も最近は息を潜めているという話だし、俺さんや皆の力があればこの村は安泰を貫けるだろう」
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:58:58.42 ID:oYnuwuluO
村人C「んじゃ早速一杯呷ろうぜ!今日は平和記念日だ!」
役人「てめぇの一杯は”いっぱい“だろーが」
村長「まあいいじゃないか、今日くらい俺も弾けるぞ? さ、俺さんも一緒に呑……」
俺「ふむ、既に酒瓶は大量にあるのでは?」ズラッ
村長「俺さんはああ見えて抜け目がないな……」ハハ
村人B「俺さんも楽しみにしていたって事か。何だか嬉しいな」
村人C「うっしゃ今日はここで呑むぞォ!! 呑んで呑んで呑んで呑みまくろうやァ!!」
ワイワイ
ガヤガヤ...
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 05:59:40.67 ID:oYnuwuluO
〜50年後〜
俺「」
村長「……そんな顔しなさるな、俺さん。儂ゃ十分生きたよ」
俺「」
村長「…………。あいつらも逝って、役人も逝って、残ったのは俺さんと儂だけだ」
俺「」
村長「5人で過ごした日々は、ほんとうに楽しかった」
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:01:37.29 ID:oYnuwuluO
村長「儂は、今日が峠じゃろう。けれど、儂が言える事、教えられる事は全て息子に伝えてある……特に『クズになるな』、という事をな」
俺「」
村長「………俺さんは、変わらんな。髪の色も、雰囲気も……見た目も」
俺「」
村長「儂もな、莫迦じゃあない。俺さんが『特別』な人だというのは分かっておった」
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:03:30.55 ID:oYnuwuluO
村長「けれど、俺さんは自分の特異性をひけらかさなかった。優秀さを嵩に着て誰かをいじめたりもしなかったし、いつも皆を立てていた」
村長「儂は思ったよ。俺さんは特別なだけではない、誰かの為に思いやれる人間なんだとね」
村長「これだけ良い人を儂は、知らなかった。……俺さんの様に何でも出来て、それでいて人の為に生きられる人間は、この世の中には数えるほどしかいないじゃろう」
村長「だからね、儂は死が怖くないよ。俺さんさえ居れば、全てが上手くいくのが分かっているからな」ニカッ
俺「」
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:04:09.63 ID:oYnuwuluO
村長「………」
村長「いや、それでもひとつだけ、怖い事があった」
俺「」
村長「……もう5人で過ごせる日々はないという事が、怖くて、嫌で、悲しくて………」
村長「辛い、なぁ………」
俺「」
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:04:42.92 ID:oYnuwuluO
ガチャ
息子「………親父は、どうなったんだ?」
俺「」フルフル
息子「…………。そうか」
息子「……いや、分かってた事だ。人はいつか死ぬし、それを避ける事は出来ないものな」
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:05:23.69 ID:oYnuwuluO
息子「俺さん」
俺「」
息子「おれ、村長になるよ。……でも1人じゃ何をやるにも限界がある。どうかおれを、傍で支えてくれないか?」
俺「」
息子「………」
俺「」スタスタ
息子「………?」
俺「ふむ、さっさと公務に取り掛かるのでは?」
息子「……! あ、ああ!」タタッ
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:06:36.01 ID:oYnuwuluO
〜1年後〜
息子「魔物が?」
村人「ええ、最近凶暴化してるっぽいんですよね……村内に入ってきそうなのはバリスタで殺せるんですけど、村外だとそうも行かなくて」
息子「確かライフルやマシンガンの類いがあったろ。それで掃討出来ないのか?」
村人「最近あいつら逃げる事を学習してますからね…ヒットアンドアウェイというのですか、一度攻撃してきたらすぐ身を隠すんですよ。厄介極まりない」
息子「そうか……分かった、対策を考えておく」
村人「頼みましたよ、新村長」
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:07:14.25 ID:oYnuwuluO
息子「…って、話なんだが」
俺「ふむ、マイクロ波兵器を使えば良いのでは?」
息子「マイクロ波兵器?」
俺「https://www.jiji.com/jc/article?k=2020112200236&g=int」
息子「へぇ……そういうのもあるのか。でもこんなの村になくないか?」
俺「」スッ
息子「ん?倉庫?……もしかして倉庫にあるのか?」
俺「」コク
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:08:00.20 ID:oYnuwuluO
〜倉庫〜
電磁波兵器「」
息子「おお……これがマイクロ波兵器か! 親父の言ってた通りだ、確かに俺さんに訊けば最適解を出してくれるな!」
俺「」グッ
息子「よし、早急に砦の上部に設置しよう! 施工の方は大工連中に頼めば良いもんな」
俺「」コクコク
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:09:16.60 ID:oYnuwuluO
大工「……っと、こんなもんですかい?」
息子「いいんじゃないか? これなら事前に数分程度照射しておけば魔物の動きを止められると思う」
俺「」パチパチ
大工「ガハハ、村長や俺さんに褒められたら大工冥利に尽きますわい! んじゃ、またなんかあればいつでも呼んでくだせえ!」
息子「ああ、その時は頼むぜ!」
???「いや、困るっての……」
息子「ん?」
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:11:41.50 ID:oYnuwuluO
帝国兵「今日は休暇で来てるんだ、無理なものは無理だっつの」
幼女「でもでも!」
帝国兵「でもじゃないんだよ、いい加減しつこいとちんちん突っ込んで黙らすぞガキ!」
息子「どうした、何かあったのか?」
帝国兵「え? ああ、村長殿ですか。いやはや、どうもこの娘がですね……」
幼女「パパ、ひとりで兎狩りに行ってから帰って来ないの! 森はみんなで行かなくちゃ危ないんでしょ? だから早く助けに行かないとパパが……!!」
息子「一人で……!? 一体何故…」
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:13:13.21 ID:oYnuwuluO
幼女「……たぶんわたしが今日誕生日だからかもしんない。だから、わたしを驚かそうと思って、わかんないようにひとりで………」
息子「そういう事か……悪い俺さん、武器を調達して貰えるか? あと貴方も、動けるのなら動いて貰いたい。報酬は払うぞ」
帝国兵「…幾らです?」
息子「3500Gでどうだ?」
帝国兵「………まあいいでしょう。それなら旅行分ペイ出来ますし」
息子「おれは人手を集めてくる、君はおうちで待っていてくれ。必ずパパは連れ帰ってみせるからな」
幼女「うん……」
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:14:16.71 ID:oYnuwuluO
ガサガサッ
ゴブリンたち『『ガァ……!!』』
息子「斉射ぁ!!」
村人「っ!」ドドドドドドッ!!
俺「」ドドドドドドッ!!
ゴブリンA「グギッ!?」ブシャアッ!!
ゴブリンD「ギギッ!」サッ
ゴブリンH「ギィッ!!」ササッ
息子「……本当に学習してるな」
50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:15:04.86 ID:oYnuwuluO
村人「とはいえ、当たりさえすれば殺せはします。その点では安心出来ると思いますね」
帝国兵「………これ、自分の出番はないんじゃないですか?」
息子「取り敢えず兎の生息地に進もう。確か西側方面だったな」
村人「はい」
ザッザッザッ...
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:16:20.96 ID:oYnuwuluO
息子「………?」スンスン
帝国兵「む……この臭いは」
息子「ああ、帝国兵殿も気付いたか? これ、一体何の…」
帝国兵「血です。恐らくは、大量の獣や魔物の」
息子「………!」
帝国兵「注意して下さい。ここまで臭うという事、ここが山間部の森林である事……2点を考慮する限り、『ヌシ』が居る可能性があります」
村人「………。マイクロ波、あの娘のお父さんが居るにしても照射すれば良かったですね」
52 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:17:26.86 ID:oYnuwuluO
ザッザッザッザッ
俺「」ピタッ
帝国兵「………」ピタッ
息子「………どうした?」
帝国兵「よく目を凝らして下さい。あの辺り……大木の辺りです」ボソッ
息子「」ジッ
地竜「zzz...」
息子「ッ……!!?」
53 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:18:37.79 ID:oYnuwuluO
帝国兵「竜種です……体色から鑑みるに地竜でしょうか。魔法は使いませんが、筋力は物凄いですよ」
息子「……銃は効くのか?」
帝国兵「バズーカなら確実に効くでしょうが、ライフルやマシンガンでは時間が掛かるかと。だからと言って剣に魔法を付与して斬りかかっても無駄ですが」
息子「………」
帝国兵「それに」チラ
村人「! あ、あれは……」
54 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:20:30.80 ID:oYnuwuluO
幼女父「」
息子「っ、遅かったか!」
帝国兵「顔面が潰れて目玉やら脳ミソやらが飛び出てますね……残念ながら、死んでいるでしょう」
息子「くっ…俺さん、何か良い案はないか?」
俺「ふむ、放水ホースを使えば良いのでは?」
息子「放水ホース? な、なぜ? 一応井戸に繋いで持ってきたには持ってきたが……」
帝国兵「いや、それは有効ですよ。地竜は上位の龍種になると鱗が完全防御能力を獲得しますが、その前のままでは乾燥していないと硬度を保てずむしろ蒟蒻の様にふにゃふにゃになります。そこに銃弾をブチ込めば討伐は容易です、地竜が雨の日は現れない事の所以ですね」
息子「そ、そうなのか!?」
55 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:21:55.91 ID:oYnuwuluO
帝国兵「ただ注意すべきは、鱗が柔くなるだけで筋力自体に変わりはないという事です。銃で遠距離攻撃を続ける分には結構ですが、近距離まで詰め寄られると一撃で死ねますよ」
息子「……そ、そうか。気を付けてやらないといけないな」
村人「……待って下さい。ここは一旦村に戻り、早馬で帝国に連絡をし救援を待つべきでは? 死人が出る可能性もあるんですよ」
息子「…いや、それは得策ではない。これ以上森に居座られて動物や村民を殺されても困る。何より何もせず帰ってきたら、あの娘に会わせる顔がないよ」
帝国兵「自分もそれに賛成ですね。それに竜殺しを達成すれば国から褒賞を戴けます。放水ホースがあって銃も充分に揃っている今、何もやらないというのは考えられない」
村人「………村長がそう言うならやりますが」
56 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:23:32.18 ID:oYnuwuluO
息子「悪いな、埋め合わせはちゃんと考えておくぜ。……俺さん、作戦立案を頼めるか?」
俺「ふむ、包囲陣で行くべきなのでは?」
帝国兵「単純ですが狙いが分散しやすいので良いですね。とはいえ放水役はやや危険ですが」
息子「それはおれがやろう。流石にみんなに啖呵切っといて貢献しないのはどうかと思うしな」
村人「え、いや……でも村長は村長でしょう、そんなリスキーな事は」
息子「大丈夫。その分、みんな1秒でも早く地竜を殺せる様に上手く命中させてくれ」
村人「………分かりました」
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:24:34.68 ID:oYnuwuluO
息子「じゃあ分散するぞ、地竜に気付かれない様にゆっくり動いてくれ」
帝国兵「位置の把握はどうするのです?」
俺「ふむ、LINEで確認すれば良いのでは?」
村人「そうですね、ただバイブレーションじゃなく音量に切り替えて0にしとく様にしましょう」
息子「よし、行くぞ」
サッ サッ サッ...
58 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:26:52.17 ID:oYnuwuluO
地竜「zzzzz......」
息子@村長『各自、位置についたか?』
俺『👍』
村人@低浮上『はい』
てーこくへー『着きました。』
息子@村長『おけ、じゃあ今から放水する、構えとけよ』
俺『👍』
村人@低浮上『りょです』
てーこくへー『了解。』
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:28:27.16 ID:oYnuwuluO
息子「っ、けぇ!!」
ブシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!
地竜「………!!?」ビクッ!
息子「おおおおおおおおおおおおおお!!!!」
帝国兵「斉射ぁッ!!」ドドドドドドッ!!
村人「く………!!」ドドドドドドッ!!
俺「」ドドドドドドッ!!
60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:29:06.45 ID:oYnuwuluO
地竜「グガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!???」
ビリビリ...
村人「ぐっ、み、耳が……!」ドドドドドドッ!!
帝国兵「怯むな!! 目を逸らさず撃ち損じぬ様集中して下さいッ!!」ドドドドドドッ!!
俺「」ドドドドドドッ!!
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:30:09.40 ID:oYnuwuluO
地竜「グゥ……ガァアアアアアア!!」バサッ!!
村人「飛んだっ!?」ドドドドドドッ!!
帝国兵「悪足掻きか……!? 照準、逸らさないで下さい!!」ドドドドドドッ!!
地竜「グァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」ギュオオオオッッ!!
帝国兵「………斉射止め、退避!!」バッ!
村人「う、うおおっ」バッ!
息子「良くやった、みんな!!」
息子(………が、)
62 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:31:09.87 ID:oYnuwuluO
息子(放水ホースってのはこんなに重いのか、ふざけんな畜生………!!)ギリッ
息子(腕が……どんどん痺れてくる………!!)クラ...
息子「!!!」ガシッ
息子(これ以上、保たない………!!)
息子(まずい……辛い、ヤバい、キツい、痛い……もう無理だ………!!)
63 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:32:15.13 ID:oYnuwuluO
地竜「グゥゥゥ………!!!!」
息子(…………もう、諦め……)
村長『いいか、クズにだけはなるなよ。クズになればその名の通り『屑』になるが……クズにさえならなければ、何度だってやり直せるんだからな!』
息子「…………!!!!」
息子(……そうだ………!!)
息子「ここでやめたら………単なるクズだろうがぁあああああああああああああああああああ!!!!!」ブシュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッッ!!!!!
地竜「ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア………!!!??」
グラッ...
ドサァッッ!!
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:32:51.65 ID:oYnuwuluO
帝国兵「………。対象、沈黙」
村人「……ま、まさか」
帝国兵「我々の勝利です。勝ったんですよ、皆さんね」
息子「………よ、良かったぁ」クラッ
俺「」ガシッ
息子「あ、俺さん…」
俺「」グッ
息子「へ、へへ……」
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:33:54.25 ID:oYnuwuluO
幼女「………」
息子「……という事なんだ。本当に、すまな」
幼女「あやまらないで。パパも悪いのは……事実だもん」
息子「………だけど、」
幼女「でもね? でも、わたし冒険者になるよ。冒険者になって、ひとりでも生きていける力をつけてみたい。……パパみたいに無茶するひとを、増やしたくないから」
息子「……そうか」
幼女「だから、都会の方に行ってきます。いつか、つよくなったら、またこの村に戻ってきたいと思うんだ」
息子「………そうか…………」
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:34:59.86 ID:oYnuwuluO
息子「強いな、あの子は」
俺「」コク
息子「あの年齢ならおれの事をぶん殴ったり、癇癪起こすだけ起こして泣き喚くのが当然だよ。俺もあのメンタリティは見習わないとな」
俺「」
息子「……それと俺さん、今回もありがとう。あの帝国兵の人が帝国側に竜殺しの件を報告するらしいから、多分助成金なり褒賞金なりが増えるよ。この村がまた一歩豊かになるんだ」
息子「まあ、俺さんはすごい人だから感謝なんてされ慣れてるかもしれないけど……それでも言わせてもらう、ありがとうな」
俺「」グッ
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:36:13.72 ID:oYnuwuluO
〜2年後〜
息子「ほ、本当か!?」
帝国兵長「ええ、遂に通りましたよ。これで村から“町”になりますね、と言ってもまあ小さな宿場町扱いですが」
息子「ハハ……なんだろ、めちゃくちゃ嬉しいや」
帝国兵長「自分も3500Gとボーナス200万Gの上に昇級まであるとは思いませんでしたよ。ま、またたまに休暇に来たりしますのでその際は宜しくお願いしますね」
息子「ああ、もちろん! 」
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:37:01.58 ID:oYnuwuluO
息子「なあ俺さん聞いたかっ!?」
俺「ふむ、宿場町の事なのでは?」
息子「そうそう! これから居酒屋と宿屋と娯楽施設に飲食店、民間訓練場に書店や町役場も増設して本格的に宿場町としてやってこうと思ってるんだ! ……と言いたいとこなんだけど、元が村だからいかんせん場所が足りないんだよな。どうすりゃいいかな、俺さん?」
俺「ふむ、掘削機を用意すれば良いのでは?」
息子「掘削機? どういう事だ?」
69 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:37:45.42 ID:oYnuwuluO
俺「」カキカキ チョイチョイ
息子「?」ズイッ
息子「………! な、なるほど! 地下を利用するのか!」
俺「ふむ、空も利用するべきなのでは?」
息子「高層ビルを建てるって事か! それで中に詰め込めばいいんだな!?」
俺「」コクコク
息子「俺さんやっぱあんた天才だ!思い立ったが吉日だ、すぐに取り掛かるぞ!!」ダダッ
70 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:39:04.72 ID:oYnuwuluO
大工「ふう……こんなもんですかねぇ? 急拵えになっちまいましたが」
高層ビル「」
息子「問題ないぞ、良くやった! 給金は親方に渡しといたから受け取っといてくれ!」
大工「おお、どうも。そんじゃこれにて失礼しますわ」スタスタ
息子「いやあ、しかし凄いなあ。この高さに地下分もあるし、するってえとどれくらいあんのかねこれ……」ピコン
息子「ん?LINE?」
俺「」ピコン
息子「あ、俺さんにも来てんのか。なんだろうな」スイッスイッ
71 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:40:11.45 ID:oYnuwuluO
帝国公式アカウント『【速報】帝国陸軍が魔王の領域の2都市を奪還しました。我が帝国の士の輝ける栄光はこれより、永劫に語り継がれてゆくことでしょう』
息子「ああ、対魔王軍の…最近は帝国や連邦、王国に公国に都市国家の幾つかが対魔王共同戦線を張ってるんだっけか。まあこんだけの戦力に攻撃されれば流石に魔王軍もキツいよな……」
俺「」コク
息子「とはいっても魔王軍は魔物を使って人類を攻撃したりしてたからな、自業自得といえるかもしれない」
町人「町長、新築ビルの件なんですが〜!」
息子「ん? ああ分かった、今行く! じゃあ俺さん、行ってくるよ」
俺「」グッ
72 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:41:29.69 ID:oYnuwuluO
…
………
……………
息子「あー、あの書類ドコやったっけか……」ガサゴソ
コンコン
息子「うん? どうぞ」
ガチャ
帝国兵「町長殿ですか?」
息子「ああ、そうだが……帝国兵の方がどうしてこの場に?」
帝国兵「いえ、少しお頼み事が……」
帝国兵長「そちらは自分の方から説明しましょう」スッ
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:43:11.81 ID:oYnuwuluO
息子「あ、兵長殿」
帝国兵「へ、兵長? なな、何故ここに?」
帝国兵長「まあ何でもいいだろう? …で、今回の件なんですが。数日前の速報、見ましたよね?」
息子「ああ、2都市奪還の件か?」
帝国兵長「それです。実は1都市目は完全に帝国軍のみで掃討したのでよかったのですが、2都市目が連邦が戦っていたところを終盤に帝国が参戦して勝利を奪取した形になっていましてね……少し揉めているんですよ」
息子「……それで?」
74 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:44:50.56 ID:oYnuwuluO
帝国兵長「直截的に言いましょう。戦争とまでは行きませんが、紛争状態になり掛けています」
息子「………」
帝国兵長「はっきり言ってこちらの武器は剣や槍、弩といった古典的なモノでしかありません。それに魔法を付与して一定の威力増幅を叶えているだけです。対して」
息子「いや、言いたい事は何となくわかった。……狙いは、武器類の供出か」
帝国兵長「貴方は聡明だ。その通りです」ニィ
75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:45:46.93 ID:oYnuwuluO
息子「この町のライフルやマシンガン、バズーカやミサイルは他国にない技術だからな……想像は容易だよ」
帝国兵長「なれば、自分を通して交易許可を頂きたい。自分を通せば癒着が出来ますし、自分の立場が上になればこの町及び貴方に対して最大限の協力が可能です。……どうです? 自分と手を組みませんか」
息子「………」
息子「結論から言えば、OKだ」
帝国兵長「」ニタァ
息子「ただ」
帝国兵長「……ただ?」
76 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:47:26.44 ID:oYnuwuluO
息子「まず、交易に際してこの町の名を無闇に出さない事。紛争終了の為にここを狙われたら溜まったもんじゃない」
帝国兵長「そうなると名誉上は自分だけが得をする事になりますが?」
息子「構わない。そっちも、融通する時はしてくれるんだろ? それで十分だ」
帝国兵長「それなら諒解です。他には?」
息子「今回の紛争だけでなく常に紛争や戦争が起こった場合、この町を防衛する為の人員を割く事。幾ら武器が豊富でも、町民の身の安全はなるたけ担保されていて欲しい」
帝国兵長「すぐには出来ませんね。今回の武器提供が終了して上に自分が認められたら可能だと思いますが」
息子「それで良い」
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:49:40.94 ID:oYnuwuluO
帝国兵長「……貴方も案外黒いですね。これ、仮想敵国とはいえ相手国の人民を殺す事を幇助していますよ? 地竜を殺した時は、わりと熱い正義漢かと思ったのですがね」
息子「おれは正義側の人間のつもりだよ。この町の事、この町に住まう人の事を毎日考えている。ただ世の中、清純な事だけで回っちゃいない……なにより、兵長殿だって真っ黒だろ?」
帝国兵長「まあ、そうですね。……いつお渡し可能で?」
息子「別に今日でも良い。倉庫にライフルだけでも30000丁は眠ってるからな」
帝国兵長「そ、そうですか。 …おい、今日の馬車の残り台数調べてこい」ボソッ
帝国兵「あ、はい!」タタッ
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:50:23.80 ID:oYnuwuluO
帝国兵長「そういえばこれ、あの俺という方には伝えるんですか?」
息子「もちろんだ。俺さんは……否定するかもしれないが、どうにか説得してみせるよ」
帝国兵長「さいですか。まあ、そちらは自分の干渉出来る部分でないので頑張って下さい」
息子「ああ」
息子(………町の発展は少なくとも、町の人間の幸福にはなる。そしてその為の手段や利益が増えるなら、おれのやってる事は……クズ、じゃない筈だ)
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:51:27.89 ID:oYnuwuluO
〜町長邸〜
息子「………という事なんだ」
俺「」
息子(………どう出る? 俺さん)
俺「ふむ、悪くないのでは?」
息子「えっ?」
俺「」コテン?
息子「え、いや、なんかこう倫理的にアレだとか、色々……」
80 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:52:30.29 ID:oYnuwuluO
俺「ふむ、お前が正しいと思ったのならそれは正しいのでは?」
息子「………おれは、親父の言っていた……クズになっちまった、とも言えるかもしれないだろ?」
俺「ふむ、先代とお前の理念は違うのでは? 先代の正義とお前の正義の根本は性質が違うだけで、最大限自分の守れる存在を守るという点は同じなのでは?」
息子「………俺さん」
俺「ふむ、あまり気にする必要はないのでは? 気にし過ぎてもハゲるだけでは?」
息子「…………」
81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:54:36.50 ID:oYnuwuluO
息子「……はは」
息子「そうかもな。おれも、おれの守りたい奴らを守る為に頑張ってるんだ」
息子「そもそも貧富の差がある時点で、おれたちが頑張った結果蹴落とされる奴も居るんだ……ああ本当だ、気にし過ぎてもダメだよな」
息子「…でもさ、俺さん。おれ、どこかで道を踏み外すかもしれないだろ。今回は……自分の中では正義だと思ってるし、納得しちゃってるけど、いつか本格的に間違える時もあると思う。そん時はどうか、直接ダメだ!って言って欲しいんだ」
息子「頼めるか?」
俺「」
俺「」グッ!
息子「俺さん……ありがとな」
息子(……正直、まだ吹っ切れないけど。俺さんも居るんだ、いつかおれもおれ自身に向き合える時が来るだろう)
息子(その時が早く来る事を、願おう)
82 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:56:11.36 ID:oYnuwuluO
〜20年後〜
帝国中将「お互い老けましたねえ」
息子「ああ。……戦争の進捗はどうなっているんだ?」
帝国中将「依然圧倒的ですよ、当町産の武器は現文明の3歩は先を行っています。鹵獲されども解析なんざ出来やしませんし、最近は敵の魔力に反応して自動破壊される術式も開発しましたからね。出来てもモドキでしょうね」
息子「圧倒的というのは総合的にとかではなく、全方面にという事か?」
帝国中将「そうですよ。王国と都市国家連合は壊滅、連邦と合衆国と魔王軍は虫の息、精々海を隔てている共和国が頑張っているくらいじゃないですか?同じ環境の合衆国があれの時点で時間の問題ですけど」
息子「そうか……」
83 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:57:12.73 ID:oYnuwuluO
帝国中将「しかし貴方も無欲ですね、なんだかんだこちらにまだひとつも頼み事してないじゃないですか? 交易による莫大な利益を免税や医療費控除、社会保障に使っているのもそうですが、肝心要の発展もあまり進めていない様ですし」
息子「特に危機もないしな……それに、急に発展させても町民が環境変化に着いていけないのは分かっているからな。遅々としているくらいが丁度いい」
帝国中将「そうですか。じゃあ今日はこの辺で、ここ風俗ありましたっけ?」
息子「入り口から左にある高層ビルの七階奥辺りに店舗が密集している、好きに選べ」
帝国中将「ありがとうございます、早速ちんちん扱かれてきますね」スタスタ ガチャッ
84 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/05/31(月) 06:59:16.61 ID:oYnuwuluO
息子「はぁ……」
スタスタスタ
息子「ん? おお、俺さんか」
俺「」ヨッ
スッ
息子「酒か。どうも」
俺「」ヨッコラセ
85 :
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[saga]:2021/05/31(月) 07:00:02.08 ID:oYnuwuluO
息子「大陸も変わったな……今や帝国がこの大陸世界全土を統べようか、という所まで来ている」
俺「」
息子「それに生産場も帝都にある訳ではないからな……スパイが来ても作成図なぞ無いし、普通に感知魔法で捕まって何の成果も無くお縄という結果になっている」
俺「」
息子「俺さんのお陰であるのはわかっているが……町長だからかね、なんだか自分が世界を変えてしまった様な気がするよ………無論、いいベクトルにではなくね」
86 :
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[saga]:2021/05/31(月) 07:00:51.74 ID:oYnuwuluO
息子「………。いや、湿っぽい話は止そうか。酒呑んでる時に気分暗くしても、な」
俺「」スッ
息子「? …ああ……」
息子「乾杯」
コツン
87 :
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[saga]:2021/05/31(月) 07:02:20.99 ID:oYnuwuluO
〜帝都〜
大臣A「大蔵の方は前年比9.6%増、比例して軍事費も上がる形となるな」
大臣B「にしても中将くん、君は凄いな。何処からアレだけの物を仕入れてくるんだ?」
帝国中将「軍務大臣に聞いてください」
大臣B「その軍務大臣は私だろうが……」
大臣C「さて帝様、如何いたしますかな? 先に共和国を潰しておくか、生意気にも同盟を組んだ合衆国と連邦を潰すか」
帝「………」
88 :
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[saga]:2021/05/31(月) 07:03:20.49 ID:oYnuwuluO
帝「魔王軍は、相手にしないのか?」
大臣A「失礼ながら帝様、魔王軍は人類共通の敵です。従って最後まで生かしておけば敵国全てのフラストレーションとなりましょう、今潰滅させるべきものではないかと」
帝「…………。大臣よ、今一度考えてくれ。我々は、人類は……争う必要があるのか?」
帝国大将「」ハァ...
官僚「」ヤレヤレ
大臣B「……帝様、何度も申し上げております通り帝国は現在人口爆発を起こしております。もはや総人口は20年前の10倍、5億人です。これら全てを余裕をもって収容するには、戦争による併呑しか有り得ぬのですよ」
89 :
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[saga]:2021/05/31(月) 07:04:18.34 ID:oYnuwuluO
帝「……対話の道は、」
大臣C「皆無です。合衆国や共和国は我々を人種的に差別しておりますし、王国の人間も同様でした。相手から蔑視してくる様な状況でこちらが対話すべきとはどういう事です? 対話というものは互いへの正しき理解があって初めて成立するものですぞ」
帝「………」
大臣A「……今日も帝様はお熱が出ておられる様だ。休養させてはどうか?」
大臣B「異議なし」
大臣C「賛成ですな」
90 :
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[saga]:2021/05/31(月) 07:04:51.60 ID:oYnuwuluO
帝「待て、余は……!」
近衛兵『』ザッザッザッ
大臣A「連れて行け」
スッ
近衛兵『』ザッザッザッ
91 :
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[saga]:2021/05/31(月) 07:07:13.18 ID:oYnuwuluO
帝国大将「……ふん。だからあのような小娘、列席させる事自体無駄だというに」ボソッ
他帝国中将「しきたりだから仕方ないんじゃないですか。邪魔なら今みたいにどっか行かせば良いのですし」ボソッ
帝国中将(相変わらず可愛くて勃起してしまった……)ボッキッキ
大臣C「………では、同盟そのものではなく連邦のみを叩くので?」
大臣B「が、妥当だろう。合衆国まで行くのはコストが掛かる」
大臣A「確かにな」
……………
………
…
92 :
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[saga]:2021/05/31(月) 07:08:39.06 ID:oYnuwuluO
息子「これは?」
帝国中将「バズーカの弾の大量発注書ですね。威力が高いのでかなり消費するんですよ」
息子「なるほど。分かった、すぐ手配しよう」
帝国中将「どうも。あと、新聞です」バサッ
息子「ん……む!? これは…」
帝国中将「1面にデカデカと載ってますね、『帝国政府、連邦への侵攻を計画中。遂に大国陥落か』。まあ今の帝国の力なら陥落なんて当然ですが」
息子「………」
93 :
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[saga]:2021/05/31(月) 07:10:14.44 ID:oYnuwuluO
帝国中将「おや、どうしたんですか顔悪くして? まさか良心の呵責に苛まれてるとかですか?」
息子「……長年付き合って来たんだ、分かっているだろう」
帝国中将「まあそうですね。でも貴方は一度悪魔に魂を売っちゃったんですよ? それならもう貫徹するしかないでしょう」
息子「……………」
帝国中将「まあ、悩むのは勝手ですからいつまでも悩んでていいと思いますけどね。悩まないよりは悩んだ方がのちの決定がより正確に下せるんです。だったらモヤついた事は沢山考えて考えて、考え抜いた末に対処すれば少しは納得して出来ると思いますよ? ズッ友からのアドバイスです」
息子「ああ。………ああ、そうだな……」
94 :
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[saga]:2021/05/31(月) 07:12:35.74 ID:oYnuwuluO
〜3年後〜
帝国中将「もう共和国も連邦も合衆国も全部攻略してしまいましたね。6、7割はこの町のお陰ですよ、ははは」
息子「そういえばお前は、ずっと敬語をやめないな。立場的にはもうおれは、下の下も良いところなのに」
帝国中将「自分にも義理って奴はありますよ。いつだったか町長殿が仰られた長年の付き合いって奴ですか、それも関係してはいますね」
息子「そうか…あとは魔王軍だけだな、自信の程はどうなんだ?」
帝国中将「もう9割9分8厘くらいは制圧済みですし余裕かと。あとは魔王城と城下町を浄化するだけですね、じょうかだけに。ふふ」
息子「……まあ、頑張れよ。死なない様にな」
帝国中将「最後の大仕事くらいは頑張りますよ……久し振りに暴れてやりましょうかね」ニィ
95 :
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[saga]:2021/05/31(月) 07:14:00.41 ID:oYnuwuluO
…
………
……………
火龍「」
巨人「」
オークキング「」
大蛇「」
帝国兵『』チャキッ!
帝国兵『』チャキッ!
帝国兵『』チャキッ!
帝国兵『』チャキッ!
帝国大将A「魔王よ、既に勝敗は決した。残るは貴様だけだ」
魔王「………」
96 :
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[saga]:2021/05/31(月) 07:20:14.53 ID:oYnuwuluO
帝国大将B「この屍山血河が築かれるまで耐え切った事には敬意を表そう……しかし帝国はそれを尚上回る。如何に貴様が魔族の王と言われる程の力を持てど、数と技術の前には無力なのだ」
帝国中将(数の暴力過ぎて見てられなかったんだがな)
魔王「……………我は」
魔王「我は、確かに亡びる。だが」スッ
帝国大将A「………む?」
ヴゥンッ!!
帝国大将B「! 総員、魔導術式準備!! 究極防禦式展ッ……」
97 :
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[saga]:2021/05/31(月) 07:21:13.63 ID:oYnuwuluO
パチンッ
帝国大将A「………は?」
帝国大将B「………な?」
魔王「…………」
グラッ
ドサッ
帝国大将A「い、今のは……?」
帝国中将「………」
帝国中将「………いや、これは、まさか」
クルッ!!
98 :
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[saga]:2021/05/31(月) 07:22:13.15 ID:oYnuwuluO
…
………
……………
俺「」ピク
スタスタ
チョンチョン
息子「? なんだ、俺さん」
俺「」スッ
息子「外? ………」
ゴォオオオオオオオオオオオオオオオ...!!!!
99 :
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[saga]:2021/05/31(月) 07:23:17.84 ID:oYnuwuluO
息子「………は? な、なんだあれは……隕石か!?」
俺「ふむ、核シェルターに避難すべきなのでは?」
息子「っ、すぐに建造しなければ! 1時間あれば足りるか……? いやそんな予測は後だ、俺さん手伝ってくれ!!」
俺「」コクッ
タタタタタッ...
100 :
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[saga]:2021/05/31(月) 07:24:23.37 ID:oYnuwuluO
ワーーーーーーー!!
コワイヨーーーー!!
ヒェエエエエエエエエエエ!!?
息子「順番に、順番に入って下さい!中には1億年分の飲食料に外部ビル群と変わらない施設が備わっています!WiFiもエリアごとに備え付けです!!順番ごとに入って下さい!!」
町人A「は、はやく俺を中に入れろォ!!」
町人B「お願いしますっ娘だけでも先に……!!」
町人C「押すんじゃねェ殺すぞ!!?」
町人D「なんだとテメェ死にてえのかァ!!?」
息子(ぐっ、誘導が難しい……!)
101 :
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[saga]:2021/05/31(月) 07:25:02.15 ID:oYnuwuluO
ォォォォ...!!
息子「………っ!」
息子(音が間近に聞こえてきた……! この速度だと……もって10分弱!!)
息子「皆さん、どうか理性を保って聴いてください!! 我先にと避難するのはおやめ下さい!! そうすればそうするだけ時間が延びてしまいます!! どうか皆さん、皆さん自身の為にも考えて避難して下さい!!!」
ワーワー!!
ウワァアアアアアアアアアア!!
息子「くっ、ダメか………!!」
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