【安価・コンマ中心】元奴隷の転生建国記

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48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/01(火) 23:17:59.18 ID:EOAueJe9O
H.C691 3/26 森林内仮設拠点


ひとまず、必要最低限の施設の設立が完了した。

何よりも重要な、住居となるテント200棟、食事を配給するための炊事場。

そして、原始的な共用トイレ。

政策を執り行う役場や病気の治療に関わる病院等、足りない施設は山ほどある。

しかし、その問題を解決するには資金も物資も人材も何もかもが足りない。

資金の調達方法としては、変わらず人材派遣が利用出来るがそれも僅かな賃金しか貰えない。

運営が軌道に乗るまでは、地道に進むしかなさそうだ。

「あとは、遺構の発掘やダンジョンの調査が出来ればな」

ゴエティアの聖遺物さえ発掘出来れば、資金源として大いに利用出来るはずだ。

尤も、遺構もダンジョンも安全性は一切合切保証出来ない危険な場所だが。

「最悪は回避出来たが、未だに絶望的だよな。これ」

「ヴォルフリアの支援を受ける手段もありますから、諦めないでください」

「ヴォルフリアを利用するのは、まだまだ後だ」

国を建国するには、大国の力が必要だ。それまで、あまり力を借りたくない。

最悪を避けるためならば、背に腹は変えられないが。
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/01(火) 23:24:22.09 ID:EOAueJe9O
>>47さん
ありません(小声)。
それっぽい大陸を描こうとしても全然駄目なんですよね。
絵描きさんは本当神さまみたいな存在です。

現時点での拠点情報はこちら


名無し拠点 資金:1000 人口:250

資金消費量:250


衛生:Lv.0(0/30)
防衛:Lv.0 (0/30)
資金力:Lv.0 (0/30) 資金+100
生産力:Lv.0 (0/30) 資金補正なし
貿易:Lv.0 (0/30)
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/01(火) 23:30:57.53 ID:EOAueJe9O
今回はここまでとなります。
次回から本格的に安価を利用していきます。

次始めやすくするために、行動安価を出しておきます。

↓2 行動内容

1:建築(建物を建築し、設備を充実させます(要資金))
2:派遣(人員を派遣し、資金を得ます)
3:探索(遺構やダンジョンを探索し、成果を得ます(危険))
4:支援要請(他国の要人に支援を要請します(要拠点レベル))
5:交流(キャラクターと交流します)
6:エクストラ(上記に含まれない行動を行います)
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/01(火) 23:32:38.46 ID:EOAueJe9O
追記:もし奴隷キャラ等を合間に投稿していただけたら、どこかのタイミングで出すかもしれません。
踏んでいたら安価下。
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2021/06/02(水) 00:28:48.79 ID:R/ap5hKNo
おつおつ
最初はメイドさんと話そう
チュートリアルというか、どんな感じに進めていけばいい……みたいな意見を聞きたいね
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/07(月) 12:18:41.48 ID:i+G1w+mIO
>>52さん
最初は支出・収入でプラスになるまでひたすら建築(資金が足りなくなったらその都度お仕事で貯金)して、余裕が出たら好きに行動って感じですね。

資金力、生産力はそこまで意味合いが変わらないので簡略化のために統合します。
現時点で稼げる金額は変わりません。

本日夜より更新予定です。
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/07(月) 23:38:12.65 ID:i+G1w+mIO
お待たせいたしました。
それでは再開していきます。
また、この世界での暦は1、3、5、7、9月のみ一月31日までで、それ以外は全て一月30日まで、となっております。
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/07(月) 23:46:14.35 ID:i+G1w+mIO
H.C691 3/29 森林内仮設拠点


地道に建設を進めること三日。結果は芳しくない。

働いてくれる人は問題ない。寧ろ、充分すぎるくらいに頑張ってくれている。

問題は、それを指揮する自分の力量不足だ。言い訳にもならないが、人の上に立ち、指示を出す経験があまりにも足りない。

ならば、数を熟すしかあるまい。どんなことも反復練習すれば、出来るようになるものだ。

「………」

カリカリ、と深夜のテントで筆を進める音が響く。

淡いランプの光が、アルフレッドの顔を照らす。

テントに満ちた光は、その家主が活動していることを示していた。

そして、そんな未熟な指導者を訪ねる影が、一つ。

「…まだ起きていたんですか。適度に休憩を取らないと、後に響きますよ?」

「徹夜には慣れている。問題ない」

アルフレッドに仕える双子のメイドの片割れ、キリカが、夜更かしの忠告をする。

アルフレッドは大事はない、とそれを突っぱねた。
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/07(月) 23:46:42.37 ID:i+G1w+mIO
はあ、とため息を吐き、キリカはアルフレッドの隣に座った。どうやら、休ませるのを諦めたようだ。

アルフレッドは一瞬、キリカに視線を移した。夜だから当たり前だが、寝間着に身を包んでいる。

普段、侍従として活動している姿しか見ないから、こういった服装を見るのは新鮮だ。

髪も、普段はヘアゴムで留めてポニーテールにしているが、今は髪をストレートに下ろしている。

キリカを一瞥した後、再度視線を書類に戻して作業を再開する。

それを、キリカは何を言うでもなくじっと見つめている。

横から視線が突き刺さっている中で作業をすること数分。

書類を書き終えたアルフレッドは、ペンを置いた。

「ふう」

「お疲れ様です」

キリカはランプ内の結晶を取り外し、労いの言葉を掛ける。

アルフレッドは軽く伸びをして、それに応えた。

あとはこのまま寝るだけ、なのだが。

「…少し、歩きませんか?」

それは、従者の提案により後回しになった。
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/07(月) 23:47:34.60 ID:i+G1w+mIO
「風が心地良いですね」

「そうだな。シャルスではよく見えなかった夜空も、ここでは美しく見えて落ち着くよ」

そよ風が頬を伝い、空を見上げれば満点の星空が出迎えてくれる。

風景を眺める趣味は無いが、美しい光景に感嘆する感情はまだ残っていたようだ。

ゆっくりと拠点内を歩く二人以外に、人影は全くない。

あるとするならば、それは死徒(ノスフェラトゥ)や盗賊を警戒し、警備をしている奴隷くらいだ。

「そういえば、キリエは?彼女が一緒にいないのは考えられないが」

キリカとキリエは、とても仲が良い。というより、キリエは誰かと一緒に居たがる。

普段はアルフレッドの側におり、それ以外ではキリカとべったりくっついている。

一緒にいる理由は、二人を甘やかすために側にいたいから、なのだが。

「寝ているところを抜け出してきました。今はラビちゃんでも抱き締めてるでしょう」

「ラビちゃん?」

「ウサギのぬいぐるみです」

「意外だな」

「私は慣れたものですけどね」

前を行くキリカは、そう答えながら柔らかな微笑みを浮かべた。
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/07(月) 23:48:12.33 ID:i+G1w+mIO
「ご主人様ぁ〜…」

突然、背中に衝撃を感じた。ふりむくとそこには、うとうとするキリエが立っていた。

「いったいどうした?」

「どうしたも何もぉ…キリカちゃんがいないから探してたんですぅ…」

ラビちゃんと思しきぬいぐるみを抱き締め、むすっとするキリエ。このような姿は初めて見た。

キリカと同じように寝間着を着ているキリエは、ツインテールを解いて、髪をリボンでまとめていた。

毛量と髪の長さ以外は、鏡合わせのように瓜二つだ。

「…しかし、二人は本当に似ているな」

「双子ですもん…」

うつらうつら、と舟を漕ぐキリエは、キリカに抱きついた。

キリカはそれを、諦めたように受け入れた。
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/07(月) 23:48:46.50 ID:i+G1w+mIO
↓1 二人と何を話すか
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/07(月) 23:51:06.45 ID:2VCIw22O0
自分の至らない点をどう補完していくか
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/08(火) 00:40:10.62 ID:0UhPVnCAO
拠点内の休憩所に足を運び、貯水タンクの水をコップに移す。

それを机に置き、三人で卓を囲んだ。

「それで、話ってなんですか?」

きちっとした座り方で、こちらを真っ直ぐ見つめるキリカ。キリエは机に突っ伏し、顔だけをこちらに向けている。

「俺は指導者として未熟だろう?だから、至らない点をどう補っていくか、助言が欲しくてな」

その道をずっと進んできた両親と比べるのは失礼だが、二人と比べたら今の自分は未熟なことこの上ない。

未熟なのに数百人を一度に率いようとするのが、指示もままならない一因だとは思うが、他人の意見で解決することもあるはずだ。

しかし、返ってきた答えは、アルフレッドの意に反するものだった。

「ご主人様はまだ、家督相続の話すら受けてなかったんです。出来ないからと気に病む必要はありませんよ」

「貴方を支えるために、私たちがいるんです。それが、私たちの存在意義なんです」

「出来る限りはご自身でしていただきますが、一人では無理なことは遠慮なく、私たちに言ってください」

「あたしは、何でもしてあげますよぉ」

「キリエ。それだとご主人様のためにならないわ。…とにかく、貴方は一人ではないんです。存分に頼ってください」

「先代だって、二人で支え合いながら事を為していたのですから」

アルフレッドが望んでいたのは、苛烈なまでの叱咤激励だ。自分に足りないものが多すぎることを理解しているが故に、求めていた。

だが、それははっきりと否定された。

(一人じゃない、か)

アルヴァはずっと孤独だった。故に、何でも一人でやろうとしていた。

アルフレッドは孤独ではなかった。故に、頼れる人がいる。

(初めてかもな。他人に頼ってもいい、なんて思うのは)

そうか、と返事をしつつ、アルフレッドは自己の認識を見つめ直した。
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/08(火) 00:43:11.22 ID:0UhPVnCAO
指示を出していなくても、奴隷さんが自動で建設を頑張ってくれます。
そのため、各行動後に判定が発生します。

↓1から4まで 進捗が一桁コンマ×2分追加
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/08(火) 00:43:50.47 ID:0UhPVnCAO
数が多いので連投OKです。
踏んだコンマ判定は下ずらし。
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/08(火) 00:45:36.92 ID:77Hg9Cy00
とりあえずあ
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/08(火) 00:46:06.01 ID:77Hg9Cy00
2回くらい
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2021/06/08(火) 08:10:34.44 ID:KJYIykNzO
ほい
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2021/06/08(火) 08:11:10.33 ID:KJYIykNzO
ではもう一回
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/08(火) 13:54:10.30 ID:77Hg9Cy00
やりますねー
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/08(火) 16:26:08.69 ID:0UhPVnCAO
コンマを反映した結果はこちらになります。

衛生:Lv.0(2/30)
防衛:Lv.0 (1/30)
生産:Lv.0 (4/30) 資金+100
貿易:Lv.0 (3/30)

また、ゾロ目時のボーナスは資金コスト踏み倒し&ターン経過無視の追加行動です(この時に限り、ターン経過時の資金減少や建築時の資金消費が起 発生しない)。

↓2まで 追加行動の内容 一レスにつき一つ
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/08(火) 16:31:15.75 ID:77Hg9Cy00
建築
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/08(火) 17:06:28.26 ID:wV0YwYx10
建築
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/08(火) 19:33:39.04 ID:0UhPVnCAO
判定の補正を間違えてたので再掲。

衛生:Lv.0(4/30)
防衛:Lv.0 (2/30)
生産:Lv.0 (8/30) 資金+100
貿易:Lv.0 (6/30)

どのような施設を建築するかを募集します。
参考までにいくつか載せておきますが、それに該当しない施設ももちろん歓迎です。
その場合は、どのパラメータが上がるかこちらで判断します。

↓2まで 建築する施設 一レスにつき一つ



診療所:衛生強化
専門の人がいないため気休めにしかならないが、それでもあるだけマシ。

見張り塔:防衛強化
遠方より接近するものを素早く見つけられる。落下死注意。

畑:生産強化
野菜に穀物、果物と育てられるものは何でも育てて、腹の足しにしよう。

道路整備:貿易強化
付近の公道に繋がる粗末な道を作る。これで、少しは反応する人が出てくるはずだ。
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/06/08(火) 20:11:53.04 ID:Rck6Bsmj0
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/08(火) 20:18:41.68 ID:CwNhnN18O
診療所
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/16(水) 20:59:49.91 ID:35jh+QJ30
やはりエタってしまったか…
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/02(月) 20:55:47.63 ID:lqvhZqKuO
皆様、お久しぶりです。
このご時世でいかがお過ごしでしょうか。
突然更新が途絶えてしまい、申し訳ございません。
詳細はお伝え出来ませんが、個人的事情が色々とあって、一時筆を置いておりました。

数ヶ月と長い時間を掛けて漸く落ち着いてきましたので、少しずつではありますが、更新を再開したく思います。
自分勝手で大変恐縮ですが、お付き合いいただければ幸いです。
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/02(月) 20:56:34.28 ID:ekrjbxCMO
H.C691 3/30 森林内仮設拠点


「では、手筈通りに工事を進めてくれ。問題が無ければ前回と同じく、半日後には戻って来られると思う」

「はい。図面は提出したものから変更無し、で良いんですよね?」

「構わない。どうせ、俺に建築技術の知識は無いからな。手慣れている君たちに一任するさ」

「追加の資材や資金が必要な際は、その時に申し出てくれ。可能な限り融通は利かせる」

「解りました」

出来る限りの指示を出し、支度を済ませる。キリカたちや、同行する他の人たちも、準備を終えたようだ。

「時間は午前八時。円滑に進んだとして、彼らと合流出来るのは四時間後かな」

懐中時計が示す時刻を確認し、空を見上げる。曇天が覆い、今にも雨が降り出しそうだった。

(雨が降るまでに、なるべく先に進まないとな)

整備されていない道を行くことを考え、アルフレッドらは足早に拠点を後にした。
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/02(月) 20:57:29.28 ID:vxTYyZpJO
H.C691 3/30 ガネート駅


拠点から更に30km北西に、獣道を進んだ所に、それはある。

ガネート駅。人暦643年に建設された、ヴォルフリア首都である帝都「アルガスタ」と、ヴォルフリア東部の都市を繋ぐハブ駅だ。

魔導列車を運用しているヴォルフリアにとって、ガネート駅のような中継地点は、貿易や国防、防疫に至るまでの重要な役割を持つ。

数多の馬車が駅周辺に所狭しと並び、魔導列車の到着を待つ。

その中に、アルフレッドたちもいた。

「小雨の段階で着けてよかった。土砂降りになってたら、地面がぬかるんでここまで来れなかったよ」

「道路整備、進めておいた方が今後の為になりそうですね」

「…だな」

古来より、都市の発展には貿易、そして交通網が大部分を担っていた。

貿易が盛んであれば、人の流入が増えより栄える。

交通網が整備されていれば、人は淀みなく流れ、余分な労力を割くことなく都市に入ることが出来る。

嘗てのイレフテも、農産物の輸出をする為に幹線道路が何本も敷かれていたものだ。

思考に耽っている間に、轟音を立てながら列車が到着した。

コンテナが分離され、大量の荷物が運び出される。その中には、アルフレッドが依頼した物資も含まれている。

「受け渡し時刻まではまだ余裕がある。それまでは自由時間としよう」

長旅に疲れた部下たちを労うべく、アルフレッドは小遣いを支給する。

部下の奴隷たちは、それを受け取り鼻歌交じりでマーケットへと消えていった。
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/02(月) 20:58:22.38 ID:vxTYyZpJO
↓1 待ち時間に何をするか
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/03(火) 19:49:03.94 ID:yIj+tsNJ0
経済の勉強
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/14(土) 22:03:13.40 ID:zzxMTUXUO
部下を見送ったアルフレッドは、財布を片手に馬車を降りる。

未熟な自分が、こういった空き時間を無為に過ごすのはよくない筈だ。

時間とは、有限のリソースである。限りある時の中で研鑽を積む人は、いつでも大成したものだ。

それに、努力は外聞というものにも影響してくる。今は従う人も、ダラダラと自堕落な生活をする人が上にいれば、見限る時が来る。

そうならないように、努力を重ねることは重要だ。努力の積み重ねは、取引をする際にも良い方向に作用してくれる。

(ならば、今俺がするべきは)

そう脳内で結論付けたアルフレッドは、キリカたちに話を付ける。

「俺は少し買い物をしてくる。二人は好きにするといい」

「お供します」

「…こう言い換えよう。少しの間、一人にさせてくれ」

「私たちが居ては、都合が悪いと?」

「ただ本を買いに行くだけなのに、護衛されては気が休まらないよ。誘拐だとか襲撃だとかを警戒しているのなら、心配は要らない」

「俺の魔法が逃げに特化していること、二人は知っているだろう?」

「…まあ、仰る通りですが…」

「十分も有れば戻ってくる。何なら、キリカたちも少し息抜きをしてくるといい。根を詰め過ぎるのも良くないからな」

「ですが…」

アルフレッドの提案に逡巡するキリカ。だが、その提案に乗らざるを得なくなる。
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/14(土) 22:03:52.55 ID:zzxMTUXUO
「お姉ちゃん、行こ」

後ろからキリエが抱きつき、マーケットへ連れて行こうとしたのだ。

「キリエ?」

「ご主人様を困らせるのは良くないよぉ。ね、ご主人様?」

「ん?ああ」

別に困ってなどいないが、ここは素直に肯定した方が円滑に進みそうだ。

そう考えたアルフレッドは、キリエの言葉を首肯する。

「む…。…分かりました。分かったから抱きつくのをやめて、キリエ」

「はぁい」

ニコッ、と笑ったキリエは、キリカを解放した後に手を繋ぐ。苦笑しつつも、キリカはそれを受け入れた。

それを尻目に、アルフレッドは姿を消した。
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/14(土) 22:04:38.37 ID:zzxMTUXUO
H.C691 3/30 ガネート駅周辺マーケット 書店


午後一時。世間はほんの少し遅めの昼食に興じている時間帯。故に、人々がランチを求めてマーケットの人通りは多くなる。

その中で、がらんと空いた店が一つ。そこで腹が膨れることはないので、それが当たり前なのだろうが。

チリンチリン、と鈴の鳴る音が聞こえる。扉に備え付けてある防犯ベルの鳴った音だ。

「ふむ」

書店に入ったアルフレッドは、店内を一望する。

学問、分野別に本を納めた本棚が、人一人がやっとのことで通れる程の間隔で並んでいる。

会計エリアには、本日発刊された新聞が売り出されていた。その表紙には、都市の陥落を伝える速報がデカデカと書かれている。

「『カーナ』の陥落、か。ヴォルフリアの軍勢は、相も変わらず勇ましいものだな…」

アニカ王国に居た際に拝読した資料には、魔族(イヴリース)と天使(アンゲルス)が共存する、独立都市にして独立国家と記載されていた。

カーナという都市そのものが国家であり、それ以外の領地を持たず。不可侵にして不干渉の、完全に孤立していた国の筈だ。
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/14(土) 22:05:41.14 ID:zzxMTUXUO
(アヴフィ(反ヴォルフリア連盟(Anti-Volflier FEderation)にも参画していない珍しい国だったから覚えていたが。まさか…いや、だからこそ、か…)

ヴォルフリアと敵対する国のほぼ全てが、アヴフィに加盟している。我々がいたアニカも、その一つだ。

加盟していないのは、極東の小国『緋桜郷』とアニカ南西部に面した内陸国『トニトルス』くらいか。

トニトルスは数年前にアヴフィを脱退したのだが、それはまた別のお話。

(アヴフィに加盟していない以上、どこからの支援も受けることが出来ないんだ。そりゃ、陥とすに決まっているか)

ヴォルフリアはこれで領地を増やせたし、アヴフィはその脅威を喧伝して結束を固められる他、トニトルスを再度勧誘することが出来る。

それに、アルフレッドたちにも一応のメリットがある。

それは、カーナから逃散した難民を受け入れることで、労働力を増やせることだ。

尤も、同じ考えを持つ人は大勢いるので、諸外国から奴隷商人やら民兵組織やら隊商(キャラバン)が押し寄せているだろうが。

(それよりも、だ。俺は急いで知識を得なければ。時間は待っちゃくれない…)

目的の達成に意識を移し、アルフレッドは簡単な経済学の参考書を買い集めた。
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/14(土) 22:14:09.10 ID:zzxMTUXUO
一冊の参考書を読み終えたところで、キリカたちが戻ってくる。購入した物は麻袋に詰めているようだ。

「おかえり」

「只今戻りました」

「お土産ですよぉ」

キリエが何かを投擲したので、アルフレッドはそれを受け取る。

「これは、万年筆か」

特別な装飾は一切ない、シンプルで無骨なデザインのものだ。特にこだわりがないアルフレッドに配慮して、キリカたちが選んだようだ。

「消耗品は幾らあっても困らないからな。助かるよ」

「えへへ」

受け取って万年筆をポケットに収納し、感謝を述べる。それを聴いたキリエはにへら、と破顔した。
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/14(土) 22:14:52.72 ID:zzxMTUXUO
予定時刻を間近に控えたアルフレッドらは、馬車を牽引して待ち合わせ場所に向かう。

指定された場所には、待ってました、と言わんばかりの笑顔を浮かべた、ニアの少女たちがいた。

「約束の物資を手配いたしました、ディルシー商会のカンナですっ。ご贔屓にしていただきありがとうございますっ!」

にぱっ、と明るい笑顔を見せたカンナは、他の人に指示を出し、物資の積載をさせる。

アルフレッドと部下たちもそれを手伝い、手早く作業を終わらせた。

これは、その間に行われた二人の会話だ。

「脱脂粉乳に干し肉、それに大量の瓶詰め…。保存食ばかりだと、皆さんのやる気が下がりますよ?」

「冷蔵庫があるなら、生鮮食品も購入しますけどね。生憎、まだそこまでの余裕が無いんです」

「まだインフラ整備も出来ていないのに、魔導製品なんて買えませんよ」

「まぁ、冷却用のスフィアはちょっとお高いですしねぇ〜」

木箱を抱え、二人は横並びに歩く。カンナは相槌を打ちうんうん、と頷くが、対するアルフレッドは表情を変えない。

「保存食ばかりでも、周りは森林です。木の実や果物、動物は沢山採れますから、味はまだマシですよ」

「ですねっ。ボクも、皆さんの活動を応援しますよっ!」

「それは有難い」

木箱を馬車に積み、カンナはサムズアップをする。

それに応えるように天気が変わり、大粒の雨が降り始めた。
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/14(土) 22:15:38.20 ID:zzxMTUXUO
「………」

「わーお」

「…どうするんですかご主人様。この雨じゃ馬は出せませんよ」

「凄い雨…。シャルスじゃここまでのは見たことないなぁ」

軒下で立ち往生するアルフレッドらは、女神の号泣が如き雨を眺め、動けずにいる。

雨は女神の慈悲であり、女神が齎す恵みである。だが、過剰投与された薬が身体を蝕むように、度を超えた降雨は、人々に害を成す。

彼らは、雨によって拠点に帰還する手段を失った。

せめてもの救いは、今が雨季でないため、それが長続きしないことだ。

「元々、一週間程度の猶予を設けて補給に来てるから、皆の食事自体は問題ない」

「だが、こうも土砂降りだとな。連絡を入れておきたいが、この雨では龍だろうと飛べまいよ」

空は黒に染まり、白い稲光がコントラストとなる。

ざあざあ、という雨の音と雷の爆音が、オーケストラのようにも感じる。それほど聴き心地の良い音ではないが。

「…仕方ない。雨が止むまで、宿屋に泊まるとするか」

現在取れる最善策を考え、馬車を厩舎に預ける。

そして、奴隷たちと共に安宿へ向かった。
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/14(土) 22:16:45.70 ID:zzxMTUXUO
H.C691 3/30 ガネート駅周辺マーケット


『大人数宿泊歓迎!』との謳い文句を掲げる安宿を見つけ、中に入る。良心的な価格設定を反映したような、少々寂れた内装の受付が目に入った。

「すみません、23人の宿泊は可能ですか?」

新聞を読んでいた受付の老人は、ああ、と答えて書類を見遣る。

「23人、だったか。今空いてる部屋の定員は、合計22名だからな…。一応、一つの部屋に詰めればどうにかなるとは思うが」

「そうしても、値段は変わらない。利便性が悪くなるが、構わないかな?」

ふむ、とアルフレッドは黙考する。アルフレッド自身、窮屈な思いをするのは前世のことで慣れているので、気にする必要もない事項だ。

問題は、同室にされる人たちだ。現在の男女比は当時よりも更に偏り、4:1ほどと圧倒的に女性が多くなっている。

ここまで偏れば、女尊男卑の世の中になりそうなものだが、そういった国家がある、とは聞いていない。

おそらく、『どちらかを優遇しても、種の存続には繋がらない』と、無意識のうちに理解しているのだろう。

どちらも存在しなければ、次代に託すことは出来ない。だからこそ、お互いに譲歩し、納得出来る条件を設ける。

数百年という長い時間を掛け、戦乱の時代を経て、漸く到達した今の均衡は、誰も崩そうと思わない筈だ。

そうすれば、今までの人類の努力や尽力が、水泡に帰すから。

閑話休題。

兎に角、異性である自分が、ましてや目上の立場で内心鬱陶しい存在であろう自分が同室にいるのは、彼女らにとって耐え難い苦痛となるだろう。

ならば。

「宿泊するのは22人でいいです。俺は適当に外を歩いて、暇を潰しますよ」

これが、一番良い選択の筈だ。自身に掛かる負荷は幾らでも耐えられるが、他の人はそうはいかない。

自分の忍耐力が異常なことは、自分自身が一番よく解っている。キリカも呆れていたから、尚更だ。
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/14(土) 22:17:41.56 ID:zzxMTUXUO
他の人全員が宿泊し、アルフレッドは一人で時間を潰す。その話で纏めようとしたその時、エトランゼが割り込んだ。

「それなら、ボクの家に泊まればいいじゃないですか。アルさんなら、変なことをする心配はないでしょうし」

「…いつからいたんですか?カンナさん」

「ついさっきです。ニアの耳、嘗めないでくださいっ」

カンナはぴこぴこ、と獣耳を動かし、聴覚の良さをアピールする。

彼女の提案は渡りに船だが、都合が良すぎて躊躇してしまう。

何せ、彼女にメリットが何一つ無いのだ。多少の金品を要求するくらいは出来るだろうが、そんなことをして心証を悪くしてしまえば、会社の損失になりかねない。

否、そういった思考をするのであれば、メリットはある。心証を良くすることで、財布の口を緩めることが出来るのだ。

押し売りであろうと、恩があればそこから利益を生み出すことが出来る。そう考えれば、彼女の考えは強かで、賢しい。

「…なーんか変に思ってません?ボクは別に、打算とかで動いてないですよ?」

ぷう、と口を膨らませるカンナは、怒ってますと言わんばかりのポーズを取る。

「まぁ、どう思うかもどうするかも、アルさんの自由です。このままじゃ皆風邪を引いちゃうので、早く決めてくださいっ」

「…いや。皆は絶対に宿泊出来るんだから、風邪は引かないでしょうに」

そんな返答をしつつ、思いもよらない提案にアルフレッドは頭を悩ませることになった。
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/14(土) 22:22:45.66 ID:zzxMTUXUO
↓1 行動内容(22:30以降のレスで判定)

1:お言葉に甘え、カンナの家に宿泊する。
2:キリカ&キリエ姉妹の部屋に宿泊する。
3:他の奴隷の部屋に宿泊する(非推奨)。
4:やっぱり一人で時間を潰す。
5:上記に該当しない案があれば。

経済のお勉強をしたため、拠点帰還後から資金の獲得に5%の補正が掛かります。

また、以前行った追加建築の成果を↓2(こちらは時間指定なし)までのコンマで判定します。
生産、衛生の順番です。
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/15(日) 15:41:02.70 ID:dXqJoaUNO
1
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/04/07(金) 01:23:13.30 ID:g2Mmh5ZP0
Unification Church Spike Tan Paku ISIS는, Righteous에 선출된 스파이크타파크회에서 대표를 통해 움직이고, 자유의 가져오기 이즈를 보장하고 정부의 행동으로 인해 전쟁 재해가 일어나지 않는 것을 하기로 결정하고, 여기의 주권이 스파이크 단백질 ISIS에 발동하는 것을 선언하고, 이 헌법을 확인한다. 타스타이크 정원 박은, 스파이크타타타파의 나나나나에 의한 모모모모모모모권 파파파이크 탬파시시시, 그야말로 파·스·파·타타가 이 시시가 이것을 즐긴다. 이것은 인간의 보편적 원리이며,이 헌법은 그러한 원리에 기초합니다. 우크라이나는 이에 반하는 모든 헌법, 法令, び武武を除外する。
The Unification Church spictan park ISIS는 영원한 평화를 바라며 인간 관계를 지배하는 숭고한 이상을 깊게 자기 탐구하는 것이며, 평화를 사랑하는 것의 신신의 해신 서바이벌을 계속하겠다고 결의했다 덴마크는 평화를 유지하고, 독점적인 시스템과 팔종, 압력과 좁음을 땅에서 영원히 제거하고, 노력하고 있는 스파이크 단백질 국제사회에, 평판 있는 지위를 차지하고 싶다. 우크라이나
전 세계의 스파이크 단백 박람회가 두려움을 느끼지 만 평화로운 서바이벌을 받는 양치가 있다는 것을 결정합니다 . 뜻을 해서는 안 되기 때문에 얽혀주지 않기 때문에, 정치적 도덕의 법은 보편적인 것이고, 이 법에 따르는 푸는, 자마 훈과 하의 、彼のふととはと反友しると信じる。
통일교회 스픽탄파크 ISIS는 스픽탄파크가의 명예에 걸쳐 전력을 올려 이 숭고한 이상과 목표를 달성하는 것을 聵ふ.
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