ドラ子・マルフォイ「私の妹になりなさい」ジニー・ウィーズリー「妹、ですか?」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/01(土) 19:32:52.70 ID:ZxMTaX2QO
本作品には性転換要素が含まれておりますので、苦手な方はくれぐれもご注意ください。

それでは以下、本編です。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1619865172
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/01(土) 19:35:15.17 ID:ZxMTaX2QO
ダーズリー家で監禁中のハリーは部屋から出れない不自由な生活を余儀なくされていたが、それでもその暮らしは意外にもこれまでの扱いと比べると格段にマシであった。

「台所からくすねて来たぞ」
「ありがとう、ダドリー」

ダーズリー夫妻の息子であるダドリー・ダーズリーが毎晩食事を提供してくれたのでハリーは飢えに苦しむことなく、ペットの梟であるヘドウィグも狭い鳥籠に閉じ込められている不満を除けば文句はない様子だ。

狭い部屋に閉じ込められているのはハリーも同じで、この仕打ちに対してダドリーはこのように考察していた。

「きっと、パパやママはお前が逃げてまた自分の息子が引きこもりになるのが怖いんだろう。だからこうしてお前を閉じ込めている」

先日、引きこもり生活から脱却したダドリーだが、それはあくまでも彼が自分の意思で部屋から出てきただけであり、特別なことは何もしていないが、ダーズリー氏はハリーが何らかの魔法を用いたのだと信じているらしく、腹を下したことを口実に監禁していた。

「このままじゃ2年生の教科書も買えない」
「お前を解放しないとまた引きこもるぞってパパとママを脅してみるか?」
「勘弁してくれ。余計に悪化するよ」

ダドリーに引きこもって欲しくないバーノン夫妻には強すぎる脅しであり、逆効果になることは目に見えていた。何か手はないか。

すると、コツンと。

「なんだろう……?」

鉄格子が嵌められた窓に小石が当たるような音がして、次の瞬間には眩いライトが窓を照らした。そして突然、空飛ぶ車が現れた。
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/01(土) 19:36:32.79 ID:ZxMTaX2QO
「ハリー! 迎えに来たよ!」
「ロン!」

部屋の窓を開けると、ホグワーツの学友、ロナルド・ウィーズリーが空飛ぶ車の窓を開けてロープをこちらに投げて指示してきた。

「それを鉄格子に結んで!」
「わかった!」
「手伝ってやる」

ハリーがダドリーの手を借りて鉄格子にロープを固く結ぶと同時に空飛ぶ車は急発進して鉄格子を窓枠から外すことに成功した。

「なんだ、今の音は!?」

その衝撃で就寝中だったバーノン叔父さんが目を覚ましたらしく、すぐにハリーの部屋に飛び込んでくるかと思ったが、なかなか現れない。その間にハリーは自分の荷物を空飛ぶ車のトランクに押し込んだ。
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/01(土) 19:38:00.04 ID:ZxMTaX2QO
「行くのか?」
「ああ、こんな家とはおさらばだ」
「そうか……寂しくなるな」

空飛ぶ車に乗り込もうとするハリーにダドリーは何やら手渡してきた。それはカードだ。
ハリーは目を丸くして、従兄を見つめた。

「ダドリー、これって」
「いいから早く行け。パパが来るぞ」

ドンドンッ! と、ドアが激しく叩かれた。

「小僧! 開けろ! 絶対に逃がさんぞ!!」

ダーズリー叔父さんは何故か何度も階段を転げ落ちたらしく悪態を吐きながらドアを破ろうとしている。ダドリーは背中でドアが開くのを阻止してくれていた。もう時間がない。

「じゃあ、行ってくる」
「気をつけてな」

短い別れを交わしてハリーは空飛ぶ車に飛び乗った。車は空高くに登って、すぐにダーズリー家が豆粒のほどに小さくなっていく。

「あの従兄、マグルにしてはまともだな」
「つい最近、まともになったんだ」

ロンのその評価に頷き肯定して、ハリーは貰ったバースデー・カードに目を落とす。

「そうだ。ハリー、誕生日おめでとう」
「ありがとう、ロン。それに、ダドリー」

カードの中身と同じ言葉をロンにかけて貰いハリーは12歳となった喜びを噛み締めた。
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/01(土) 19:40:59.14 ID:ZxMTaX2QO
「さあ、ここが我が家だ!」

空飛ぶ車でしばらく夜空の旅を楽しみ、たどり着いたのはウィーズリー家であった。
建築基準法など度外視で建てられたと思しきその家は、無茶な増築が繰り返されており、今にも倒れそうな家だからこそ魔法によって成り立っているという奇妙な説得力があった。

「それにしても、まさか我が家にスリザリン生をお招きする日が来るとはな」

何やら感慨深そうに腕を組むロンに、ハリーは申し訳なさそうに尋ねた。

「迷惑だった?」
「とんでもない! パパやママは大感激さ!」

ロンの言葉は嘘ではなく、家主であるアーサー氏も、モリー夫人もハリーを温かく迎えてくれたのだが、空飛ぶ車の使用についてはお怒りの様子でロンは大目玉を食らった。

「だってママ! 奴らはハリーの部屋に鉄格子まで嵌めて監禁していたんだよ!?」
「お黙り! さっさとお尻を出しなさい!」
「ひえっ!?」

ロンがモリー夫人にお尻を叩かれている様子を眺めながら、兄である双子のジョージとフレッドがハリーに左右から耳打ちしてきた。

「これぞ、我が家の名物」
「我が弟ながら、良いケツしてるぜ」
「フハッ!」

嗤ってはいけないと思いつつも、存外ロンのお尻が綺麗だったこともあり、ハリーは愉悦を漏らした。あとでロンを謝っておこう。
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/01(土) 19:43:10.67 ID:ZxMTaX2QO
「おっと、我が家の姫君がご起床だ」
「ハリー、寝癖を直してやれよ」

ロンのお尻叩きが終わる頃、ジョージとフレッドに促されて視線を向けると、階段を降りてきたばかりのお姫様が固まっていた。

「やあ、おはよう」
「ハ、ハリー・ポッター……?」

恐らくロンの妹だと察して声をかけると、震え声で名前を呼ばれたので頷くと、彼女は目をゴシゴシこすって再び確認してきた。

「ほ、本物……?」
「もちろん。偽物なんているのかい?」
「あ、兄たちが化けてよく揶揄うから……」

未だに半信半疑な様子なので、ハリーは自分の額に残る稲妻のような傷跡を見せた。

「ほら、これで信じてくれる?」
「さ、触っても……?」
「こら、ジニー」
「英雄殿に失礼だろう」
「ご、ごめんなさい」

おずおずと手を伸ばしたジニーを揶揄うジョージとフレッド。なんだか不憫に思ったハリーは兄たちに嗜められて手を引っ込めたジニーの手を取って、傷跡へと導いてあげた。

「大丈夫。触っても消えたりしないよ」
「っ!?」

傷跡をなぞらせて、安心させようとしたのだが、ジニーは何故か髪の色よりも真っ赤になって逃げてしまった。ジョージとフレッドが今度は女に逃げられたハリーを揶揄う。

「おやおや、我が校きっての英雄殿は女の子の扱いをご存じないらしい」
「それとも我が家の姫君が初心なだけか?」

ハリーまで赤くなっていると、同じくらいお尻を赤くしたロンが釘を刺してきた。

「ハリー、君にはもうお姫様がいるだろう」

それがあのドラ子・マルフォイのことを指していることは明白であり、ハリーはあの銀色のお姫様のことを懐かしく感じて、会いたいと思った。
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/01(土) 19:45:17.45 ID:ZxMTaX2QO
「お嬢様、ただいま戻りました」

さてその頃、件のお姫様は大忙しだった。
父親と同行して魔法省に出向いてウィーズリーがやらかしたことの後始末を終えて、それから洋服の採寸をして、出来上がった服に難癖をつけるのに忙しかったのである。

「ドビー、これはどう?」
「大変よくお似合いかと」
「あのお方の好みかしら」
「ハリー・ポッターは恐らくもう少し大人しい格好のほうが好まれるかと……」
「そうね。じゃあ、これはどう?」

魔法使いの着替えは見ていてとても面白い。
杖を振ると服がするりと脱げて、また振ると着ることが出来るのだ。まさしく魔法少女の変身シーンを繰り広げるお嬢様に召使いは咳払いをして、報告する。

「お嬢様、ハリー・ポッターがウィーズリー家に到着しました」
「マグルの足止めはちゃんとこなしたの?」
「言いつけ通り、滞りなく」
「そう。よくやったわ、ドビー」

お褒めの言葉を預かり、ドビーは光栄であった。長くマルフォイ家に仕えてきたが、屋敷しもべ妖精を褒めるという習慣がこの家にはなく、ドビーは長年虐げられてきた。

しかし、ホグワーツに入学し、1学年を終えて帰って来たドラ子お嬢様は変わっていた。
それも悪い方向ではなく、良い方向に。
尊大なところはあるものの、全体的に角が取れて丸くなられた。優しくなったのである。
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/01(土) 19:47:38.97 ID:ZxMTaX2QO
「でもハリーを監視出来ないのは不便ね」

非魔法族のマグルであるダーズリー家を監視することは障子に穴を開けるよりも容易いが、魔法族であるウィーズリー家に匿われてしまえばドビーにはもう手が出せない。

「ウィーズリー家ならば安全かと」
「私はご主人様のご様子を逐一知りたいの」
「お気持ちはわかりますが……」
「そう言えば」

不満を口にするお嬢様を宥めていると、何か思い出したようにウィーズリー家に関する資料を手に取りそして眉を顰め顔を曇らせた。

「如何されましたか?」
「ウィーズリーの末妹が今年入学だそうよ」
「それはおめでたいことで」
「ふん」

何がめでたいものですかと言わんばかりにドラ子は鼻を鳴らして、懸念を口にした。

「つまりその子は今、ハリーとひとつ屋根の下で暮らしているということよね」
「沢山の家族と一緒に、ですが」
「間違いが起こるかも知れないわ」
「さすがに考えすぎでは?」

たしかにドラ子は考えすぎていた。
ここ最近、ご主人様依存症を発症しているお嬢様は禁断症状まで出始めていた。
夢にハリーを見るのである。夢の中でドラ子はいけないことをしそうに何度もなった。

だからこそ、確信を持って警戒していた。

「ドビー」
「はっ」
「このジニー・ウィーズリーを調べなさい。ウィーズリーの末妹に興味が湧いたわ」
「はっ、かしこまりました」

果たして敵となるか、味方となるか。
引き込めるのか、引き込めないのか。
排除せざるを得ないのか、はたまた。

白と赤の姫君。ドラ子とジニーがどのような関係を築くのかは、まだ誰にもわからない。
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/01(土) 19:51:21.72 ID:ZxMTaX2QO
「ダイアゴン横丁!」

ハリーはしっかりとそう発音した。
手に持った粉を暖炉に撒きながら行き先を告げるとそこはもうダイアゴン横丁であった。

「初めてにしては上出来じゃないか」
「まあね」

灰で黒くなったロンの鼻の頭を擦って綺麗にしてやると、聞き覚えのある声で呼ばれた。

「ハリー!」
「やあ、ハーマイオニー」

振り返るとハリーたちと同じく2学年で使う教科書などを買いに来たハーマイオニーがそこに居た。彼女はハグしようとして躊躇う。

「どうしてそんなに汚れているの?」
「僕ら煙突を飛んできたんだよ」
「煙突は飛ばないわ」

誇らしげなロンの要領を得ない説明に首を傾げつつ、ハーマイオニーはエチケットブラシを取り出してでふたりを綺麗にしてたから改めてハグをした。

「久しぶり」
「うん、久しぶり」

久しぶりの再会の喜びを分かち合いつつ、煙突ネットワークについて熱く語るロンを促して、横丁をブラブラした。

「やあ、ポッターさん」
「どうも」
「進級おめでとうございます」
「ありがとう」

ハリーは有名人なので道行く人から声をかけられたり、教科書や道具を買う際にお祝いされたりしてちょっと疲れていた。

だから、闇の魔術に対する防衛術の教科書を揃える際、著者のサイン会やらで混雑している店内の壁際でハリーは休んでいた。
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/01(土) 19:54:35.35 ID:ZxMTaX2QO
「あの人も有名人なんだな」

ハリーがぼんやり見つめる先には、にこやかにサインしている有名人が居た。
何やら今話題の魔法使いらしく、華々しい武勇伝を本にして売り出しているらしい。

ハリーは到底、真似出来そうにないと思う。
あんな風にサインするのは恥ずかしい。
人には向き不向きがあるのだとそう悟った。

たとえばそう、あの銀色のお姫様だったら。

「ハリー、こんなところで偶然ですね」

店の2階から、白銀の妖精が降りてきた。
銀糸のようなプラチナブロンドの髪を靡かせながら、真っ白なワンピースを着た女の子。

「ドラ子……」
「お久しぶりです」

その名を口にすると、品良く微笑んだ。
しかし、そこに以前の気安さはなかった。
あくまでも知り合いと偶然出会った空気感。

ハリーはもっとドラ子と親しかった筈だ。

「混んでますね」
「あ……うん」

ハリーの隣に来て、ドラ子は混雑の原因である著者、ギルデロイ・ロックハートへと薄いグレーの視線を向けた。ハリーはよくわからないが、ドラ子に見つめられているロックハートのアホ面にイライラした。

「あの人のこと、どう思われますか?」
「え? えーと、なんかすごい人らしいね」
「すごい人に見えますか?」

質問の意味はよくわからないが、ひとまず個人的感想ではなく客観的に観察して述べた。

「スネイプ先生やダンブルドア先生と比べると、なんだか普通の人のように見える」
「それは比べる相手があまりにも……」

ハリーの率直な感想に、ドラ子はくすくすと笑った。ハリーはよくわからないが、ロックハートのへっぽこぶりに感謝しておいた。
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