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【モバマス×ポケモン】凛・藍子「ガールズ・イン・ザ・フロンティア!!」
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219 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/06/13(日) 21:37:22.30 ID:ce12qkqu0
乙 気長に待ってるのでゆっくりでも大丈夫ですよエタらないのが一番だと思うんで
220 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/20(日) 23:36:50.35 ID:GhsdoLV60
翌日
藍子「おはようございます、みなさん!」
笑美「おー、おはよう藍子はん!」
藍子「笑美さん、今日は早起きですね」
藍子「ってあれ、笑美さん以外に誰もいない……? みなさん、どこかに行かれてるんですか?」
笑美「あ、ああー、ししょーはな、ちょっと野暮用で出かけてるみたいやで?」
藍子「……?」
221 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/20(日) 23:37:22.41 ID:GhsdoLV60
ガラッ
穂乃香「笑美さん、準備できましたよ!」
笑美「サンキュー穂乃香はん! んじゃ藍子はん、行こっか!」
藍子「……? ……??」
…………………………
藍子「ここは……」
笑美「道場の奥にあるバトルフィールドや。稽古でたまに使ったりするねん」
222 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/20(日) 23:37:55.29 ID:GhsdoLV60
笑美「でも最近放ったらかし気味やったから、朝イチで穂乃香はんに掃除してもろててん」
藍子「バトルフィールド……ということは、誰かとバトルするんですね」
藍子「誰か……はっ。もしかして」
笑美「そう。そのまさかや」
亜季「…………」ズンッ
笑美「藍子はん。最後のミッション――つまり卒業試験は、ししょーとのガチンコバトルや!!」
藍子「えええ〜っ!?」
223 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/20(日) 23:38:30.86 ID:GhsdoLV60
亜季「何をぼやっとしてる、藍子。早く私の向かいに立つのであります」
藍子「あ、亜季さんの口調がいつもと違う……!?」
笑美「……あれがししょーの真性や」
笑美「ししょーはな、バトルのことになると性格が豹変するんや。普段とは比べ物にならんくらい怖なる。どこの誰がそう呼んだか、ついたあだ名は『鬼軍曹』――」
亜季「キサマはとっとと審判の位置につけえ!!」
笑美「はっはいい!」ピューッ
224 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/20(日) 23:38:59.40 ID:GhsdoLV60
藍子「……亜季さんと、バトル……」
亜季「藍子。昨日のザルードとの戦い、陰ながら見守らせてもらっていた」
亜季「倒せこそしなかったが、立ち回りとしてはまあ及第点だっただろう」
亜季「だが!」
亜季「昨日の一戦だけで満足するな。実戦で己を鍛え上げることこそが、真に道を切り開くカギとなるのだ」
亜季「さあ、藍子。これが最後のミッションだ。本土に帰り、トーナメントに参加したくば……私を倒してからにしろ!!」
225 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/20(日) 23:39:43.96 ID:GhsdoLV60
藍子「亜季さん……」
藍子「わかりました。それなら……全力で挑ませていただきます。よろしくお願いします!」
亜季「その意気だ! 審判、ルール説明を!」
笑美「はいよ! ルールはカンタン、先に相手の手持ちを全滅させた方の勝ちや!」
笑美「あとここはパワースポットやから、ダイマックスもジャンジャン使えるで!」
穂乃香「二人とも、頑張ってくださいねー!」
亜季「来いよ藍子、遠慮を捨ててかかってこォい!!」
師範代の亜季が勝負をしかけてきた!
226 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/20(日) 23:40:24.18 ID:GhsdoLV60
藍子 手持ちポケモン
ゴリランダー (しんりょく) Lv62
ドラムアタック/ウッドハンマー/アクロバット/いやなおと
マホイップ (スイートベール) Lv59
マジカルシャイン/てんしのキッス/デコレーション/???
サニーゴ (はりきり) Lv57
アクアブレイク/パワージェム/じたばた/ミラーコート
ドロンチ (すりぬけ) Lv53
りゅうのはどう/ゴーストダイブ/でんじは/みがわり
ヤドキング (きみょうなくすり) Lv56
ぶきみなじゅもん/なみのり/わるだくみ/???
227 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/20(日) 23:40:54.90 ID:GhsdoLV60
藍子「サニーゴ、おねがい!」ポンッ
藍子「サニー!」
亜季「カメックス、出撃であります!」ポンッ
カメックス「カメェ!!」
カメックス こうらポケモン みずタイプ
甲羅のロケット砲から吹き出す水流は正確かつ破壊力抜群
噴射の水圧に耐えられるよう、わざと大きく重たい身体へ進化した
亜季「ハイドロポォンプ!!」
カメックス「カメェ!!」バシュゥゥ
藍子「は、速い――」
ズドォォン
228 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/20(日) 23:41:27.02 ID:GhsdoLV60
サニーゴ「サニ!」
藍子「よし、アクアブレイク!」
サニーゴ「サニッ!」バシュゥ
亜季「ほう、今の直撃を耐えるとは。なかなかタフじゃないか」
亜季「だが近づけさせまい!」
カメックス「カメェ!!」ズドォォン
藍子「ま、またハイドロポンプ……!?」
サニーゴ「サニ……!」ドサッ
笑美「サニーゴが押し返された……なんちゅうパワーや」
藍子「……まだです! パワージェム!」
サニーゴ「サニッ」パァァ
229 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/20(日) 23:41:59.00 ID:GhsdoLV60
亜季「ほう、ゴリランダーが控えているのに交代しないか。その気概は褒めてやろう」
亜季「だがそのような貧弱な技など! カメックスの眼中にも及ばない!!」
カメックス「カメッ」ググッ
藍子「これは攻撃じゃありません……防御です!」
サニーゴ「サニ!」パァァァ
笑美「おおっ、パワージェムを周りに纏わせた!」
藍子「この状態でなら――」
亜季「まとめてブッ飛ばしてやる!!」
ズドォォン
藍子「そ、そんな!?」
藍子「パワージェムごと、吹き飛ばすなんて……」
230 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/20(日) 23:42:35.44 ID:GhsdoLV60
亜季「どうした藍子! キサマの力はそんなものか!?」
藍子「っ……!」
亜季「焦りを捨て、戦場を冷静に見つめろ! そうすれば自ずと打つべき一手を見出せるはず!」
亜季「あとはその一手を果敢に打ち出すのみ!」
藍子「冷静に……」
藍子(そうだ、落ち着いて今の状況を整理しよう)
藍子(あのカメックス、バトルが始まってから一歩も動いていない。わざと大きく重たい身体へ進化した、ってことだから、きっと遠距離攻撃が武器のポケモンだ)
藍子(だったら近づくことさえできれば……だけど攻撃の威力もスピードも並外れている)
藍子(サニーゴじゃ、正面から太刀打ちできない……)
藍子(……本当に、そうなのかな?)
231 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/20(日) 23:43:05.68 ID:GhsdoLV60
ズドンッ
藍子「! サニーゴ、躱して!」
サニーゴ「サニッ」ヒョイ
亜季「逃がすものか!」
ギュン
藍子「!?」
亜季「標的、ロックオン。であります」
ズドォォン
笑美「今のは……はどうだん! 必中技や!」
藍子「サニーゴ……!」
232 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/20(日) 23:43:45.92 ID:GhsdoLV60
藍子(……そうだ。いくら自分のペースといっても、もたもたしていたら相手のペースに呑まれる……)
藍子(一か八か……やってみよう!)
藍子「サニーゴ、カメックスに突っ込んで!」
サニーゴ「サニ!」ダッ
笑美「なっ、真正面からいきよった!?」
亜季「何のつもりだ! 簡単に突破できると思うなよ!」
亜季「カメックス! 蜂の巣にしてやるであります!」
カメックス「カメェ!!」ズドォォン
233 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/20(日) 23:44:35.44 ID:GhsdoLV60
藍子「止まらないで、サニーゴ!」
サニーゴ「サニッ……!」グイッ
笑美「おお、耐えた!」
藍子「耐久力には自信がありますから!」
亜季「ならば押し返すまで! ハイドロポォンプ!!」
藍子「アクアブレイクで打ち消して!」
サニーゴ「サニッ!」
ズドォォン
サニーゴ「――サニッ!」ダッ
笑美「勢いを殺されたのに、まだ近づくんか……!」
亜季「命知らずもいいところだな! 今度こそ風穴を開けてやる!!」
234 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/20(日) 23:45:08.01 ID:GhsdoLV60
カメックス「カメェ!!」バシュゥゥ
藍子「それを待っていました……!」
藍子「サニーゴ、ミラーコート!」
サニーゴ「サニ!」パァァ
ズドォォン
亜季「なんと!?」
笑美「決まった……ゼロ距離での反射や!」
カメックス「カメ……」フラッ
藍子「今だよ、サニーゴ! アクアブレイク!」
サニーゴ「サニー!」
235 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/20(日) 23:45:45.55 ID:GhsdoLV60
亜季「……カメックスッ!!」
カメックス「……カメェ!!」
ズドォォン
カメックス「カメェ……」バタンキュー
サニーゴ「サニ……」バタンキュー
笑美「カ、カメックスとサニーゴ、同時KOや!」
藍子「……!」
亜季「ふっふっふ。あと一手、詰めが甘かったな」
236 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/20(日) 23:46:29.41 ID:GhsdoLV60
亜季「だが、技の性質と相手の馬力、サニーゴのしぶとさを計算しつくしての戦術……素晴らしかったぞ」
藍子「はい。凛さんから教わった「型」……しっかり表現することができました」
亜季「だが、そのやり方だけで私を倒せると思うなよ!」
亜季「ゆくぞぉ、カイリキー!!」ポンッ
カイリキー「リキー!」
カイリキー かいりきポケモン かくとうタイプ
4本の腕から目にも止まらぬ速さでパンチやチョップをたたき込む
ガラルではリザードン、ゲンガーと共に大人気のポケモンだ
237 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/20(日) 23:49:33.56 ID:GhsdoLV60
今回はここまで
このバトルはコマンドー中心に映画ネタを詰め込んでいます
いくつ見つけられるかな?ではまた次回
238 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/06/20(日) 23:56:32.82 ID:BTqzsUuS0
乙 軍曹の手持ちって全部キョダイマックス個体だったりするんかね...
239 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/27(日) 23:09:39.49 ID:ORWsAoqv0
藍子「交代です、ドロンチ!」ポンッ
ドロンチ「ドローン!」
亜季「読み通り! カイリキー、バレットパンチですぞ!」
カイリキー「リキー!」ギュン
藍子「躱して!」
ドロンチ「ドロン――」
ピタッ
ドロンチ「ド、ドロン!?」
ドガッ
240 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/27(日) 23:10:35.18 ID:ORWsAoqv0
藍子「ドロンチ!?」
藍子「ドロンチのスピードなら、絶対に躱せるはずだったのに……!?」
亜季「ふっふっふ……カイリキーの特性は『ノーガード』。よって、いかなる状況においても攻撃を避けるのは不可能!」
笑美「避けようっちゅう意思すら封じるなんて、おっそろしい特性やな……」
藍子「それなら!」
ドロンチ「ドロン!」フッ
藍子(ゴーストダイブで姿を消せば、さすがに当たらないはず――)
241 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/27(日) 23:11:23.74 ID:ORWsAoqv0
亜季「甘いッ!! カイリキー、じごくづき!!」
カイリキー「リキ!」グッ
カイリキー「――リキィ!!」
ズドンッ
ドロンチ「ド、ドロン……!」
藍子「そ、そんな!?」
亜季「たとえステルスを仕込んでいようと、カイリキーからすればただのカカシも同然!」
亜季「これでトドメだ!!」
カイリキー「リキィ!」ブゥン
藍子「躱せないなら、せめてこれだけでも……!」
242 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/27(日) 23:11:59.87 ID:ORWsAoqv0
藍子「でんじは!」
ドロンチ「ドロン!」バリリ
カイリキー「リキッ……」
カイリキー「……リキィィ!!」
ズドンッ
ドロンチ「ドローン」バタンキュー
亜季「最後の最後に置き土産か。だが確実に仕留めたぞ」
藍子「ごめんね、ドロンチ……ゆっくり休んで」
藍子「いくよ、マホイップ!」ポンッ
マホイップ「マホ〜」
243 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/27(日) 23:12:46.08 ID:ORWsAoqv0
亜季「相性が悪かろうが関係ない! ばくれつパンチでスタンさせてやる!!」
カイリキー「リキー!!」ダッ
藍子「わわっ、マジカルシャイン!」
バシィ
藍子(ばくれつパンチ……当たったら混乱させられちゃう技だ)
藍子(本当は命中率が低いけど、『ノーガード』の前では関係ない。それなら……)
藍子「デコレーション!」
マホイップ「マホ〜」シャキーン
亜季「ずいぶんと悠長だな! カイリキー、もう一度叩き込んでやるであります!」
カイリキー「リキ!」ギュン
244 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/27(日) 23:13:49.93 ID:ORWsAoqv0
藍子「マジカルシャインで打ち消して!」
マホイップ「マホ!」
ズバンッ
亜季「フハハ、その程度でカイリキーを止められると思うなよ!」
亜季「一撃で眉間をブチ抜いてやる。ばくれつパンチであります!」
カイリキー「リキー!!」グワッ
マホイップ「……!」
亜季「もらった――」
245 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/27(日) 23:14:30.22 ID:ORWsAoqv0
スカッ
亜季「……な!? 攻撃が外れた!?」
藍子「無防備になりましたね! そこにマジカルシャインです!」
マホイップ「マホ〜!」パァァ
ズドォォン
カイリキー「リキー」バタンキュー
笑美「おおっ、カイリキーを一発KOや!」
笑美「でも何でや? 何でカイリキーの攻撃が当たらんかったんや?」
246 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/27(日) 23:16:22.21 ID:ORWsAoqv0
亜季「……そうか、『なかまづくり』でありますな」
藍子「はい。マジカルシャインで相打ちになった隙に、カイリキーの特性を変えさせてもらいました」
亜季「でんじはをばら撒いてマヒさせたのもこれに繋げるためだったのか」
藍子「繋げるとまでは考えていなかったんですけど……たまたま閃いただけで」
亜季(……閃き。これが彼女の才能か)
亜季「……ふふふ。ははははは!」
247 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/27(日) 23:17:00.80 ID:ORWsAoqv0
亜季「カメックス、カイリキー……皆、倒されてしまった。 次が最後のポケモンです」
亜季「しかし私には、まだ切り札があります。そう簡単には倒されませんぞ」
亜季「ところで藍子殿。笑美殿と戦われた時よりも、肩の力が抜けている様子。どうです、気持ちも体も軽くはありませんか?」
藍子「……はい。私、今はすごくバトルが楽しいです!」
藍子「なんだか、今までよりも私らしく戦えている気がします……!」
亜季「気のせいではありませんよ。その心意気です」
248 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/27(日) 23:17:54.28 ID:ORWsAoqv0
亜季「ですが。私とて弟子が見ているのです。そう簡単に負けられません」
亜季「しばし遅れを取りましたが、今や巻き返しの時です。来い、ウーラオス!」ポンッ
ウーラオス「…………」ダンッ
ウーラオス けんぽうポケモン かくとう・あくタイプ
いちげきのかた
修行の果てに一撃必殺を信条とする「あくの型」を極めた
情け容赦のない戦い方を好み、激情すると手がつけられない
249 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/27(日) 23:18:25.33 ID:ORWsAoqv0
笑美「で、出た……ウーラオスや」
笑美「師匠の持つ最強のポケモン……!」
藍子「かくとう・あくタイプ……ならマホイップのままでいきます!」
藍子「マジカルシャイン!」
マホイップ「マホ〜!」パァァ
亜季「ガード!」
ウーラオス「……!」ズバンッ
亜季「そして――」
250 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/27(日) 23:18:59.39 ID:ORWsAoqv0
ヒュンッ
藍子「……えっ!?」
ズンッッ
笑美「んなっ……一瞬でマホイップの懐に……!」
亜季「ヒット!!」
ウーラオス「……べアーク!!」
ゴツゥゥゥン
藍子「マ、マホイップ!」
マホイップ「マホ〜」
バタンキュー
251 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/27(日) 23:19:57.11 ID:ORWsAoqv0
藍子「そんな……!」
笑美「は、速すぎる……今の、ほんまに『アイアンヘッド』やったんか……?」
亜季「いかにも。技まで見抜くとは、さすが笑美殿ですな」
亜季「鍛え抜かれた瞬発力を持ってして相手の懐に飛び込み、必殺の一撃を見舞う。私の自慢のウーラオスです」
亜季「さあ、藍子殿。コイツを倒せるか試してみるがいい。私も伊達に道場の師範代を務めているわけではないでありますよ!」
藍子「っ……」
藍子(あと戦えるのは、ヤドキングとゴリランダーだけ……)
藍子「……ヤドキング、お願い!」ポンッ
ヤドキング「ヤドキン」
252 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/06/27(日) 23:21:07.53 ID:ORWsAoqv0
今回はここまで。またらいしゅー
253 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/06/27(日) 23:25:26.67 ID:E6wczZF70
乙 フルバトルかと思ったが軍曹の手持ち3体のみなのね
254 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/04(日) 22:39:19.16 ID:ew35YxFp0
笑美「ヤドキング……ってことはアレを試すんやな、藍子はん」
亜季「さあ、もっと来い藍子ォ!」
藍子「やれるだけ、やってみます。これがヤドキングの新しい技……!」
藍子「トリックルーム!」
ヤドキング「ヤドキンッ」
フォンフォンフォン
亜季「!」
笑美「なんや、この感じ……頭がこんがらがりそうや」
笑美「歪んどる……何かが……!」
藍子(これが……トリックルーム。素早さが逆転する空間)
藍子(この空間でなら、ウーラオスに対抗できる!)
255 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/04(日) 22:40:04.39 ID:ew35YxFp0
藍子「ヤドキング、なみのり!」
亜季「ガード!」
ウーラオス「!」ザバァァン
亜季「そんなヌルい攻撃じゃ、いつまでたっても倒せないぞ!」
亜季「ウーラオス、あんこくきょうだッ!!」
藍子「目の前になみのり!」
ヤドキング「ヤドキン」ズバンッ
笑美「波で攻撃を防ぎよった!」
亜季「ほう、攻撃は最大の防御というわけか!」
256 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/04(日) 22:40:48.03 ID:ew35YxFp0
藍子(……亜季さんの言うとおりだ)
藍子(新しく覚えた「ぶきみなじゅもん」はエスパー技だし、このままなみのりだけで戦っていてもウーラオスは倒せない)
藍子(今、私にできることは……)
藍子「なみのり!」
ヤドキング「ヤドキン」
亜季「ならばこちらも! ウーラオス、ストーンエッジを障壁に使うであります!」
ウーラオス「……!」グワッ
ザパァァン
笑美「まさに目には目を、て感じやな。藍子はん、どうするつもりや――」
257 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/04(日) 22:41:28.62 ID:ew35YxFp0
藍子「…………」
笑美「あれっ?」
ヤドキング「ヤド、ヤドキーン」
藍子「…………はっ。ご、ごめんねヤドキング。ボーッとしちゃってて」
藍子「うん、こっちの方が素早い今がチャンスだよね。なみのりでどんどん攻めていって!」
ヤドキング「ヤドキン」ザパァァン
藍子(……考えなきゃ。次のゴリランダーで、どう戦えばいいのか)
藍子(あのウーラオス、どこにも隙がない。パワーもスピードもあって、守りも堅い)
藍子(普通に攻撃してもダメだ。キョダイマックスすれば、太刀打ちできるようになるかな)
藍子(もしくは――)
258 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/04(日) 22:42:07.87 ID:ew35YxFp0
ヒュンッ
藍子「――!?」
ズドンッ
藍子(ザルードとのバトルの時、ゴリランダーがものすごい速さで懐に飛び込んでいた)
藍子(あの攻撃。あれをウーラオスにも当てることができたら)
藍子(あの時……ドラムアタックで体勢を崩したザルードに、ウッドハンマーを打とうとしていた)
藍子(だけど実際には、見たことのない速さで、ザルードを吹っ飛ばしていた)
藍子(あの時と同じ状況になれたら……)
ザッ……
藍子(森の奥地、緑が生い茂っている場所――)
259 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/04(日) 22:42:59.52 ID:ew35YxFp0
ズドンッ
ヤドキング「ヤドキンッ……」ドサッ
藍子「ヤドキング!?」
藍子「! トリックルームが解けてる……!?」
笑美「何してるんや藍子はん!!」
亜季「……目の前でポケモンが健闘しているというのに、肝心のトレーナーは上の空ですか」
亜季「今その目を覚まさせてやるであります。ウーラオス!」
シュゥゥ
笑美「ボールに戻した……ちゅうことは!?」
ゴゴゴゴゴゴ
笑美「ボ、ボールが唸っとる……なんちゅう気迫や」
藍子「……!」
260 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/04(日) 22:43:33.89 ID:ew35YxFp0
亜季「いざ! キョダイ・マックスッ!!」
ズンッ
ズンッッ
ズンッッッ
ウーラオス「ベアアアアアアク!!」
藍子「そ、そんな……!」
亜季「その拳で、全てを穿て!」
亜季「キョダイイチゲキッ!!」
ウーラオス「ベアアアアアアク!!」
ズドゴォォォォン
藍子「わああっ!」
ヤドキング「ヤ、ヤドキン……」
バタンキュー
261 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/04(日) 22:44:13.03 ID:ew35YxFp0
笑美「ヤ、ヤドキング、一発KOや……」
亜季「……これがウーラオスの真の姿。湧き上がる怒りのままに敵を屠る、最強の鎧」
亜季「この鎧、砕けるものなら砕いてみろ! であります!!」
藍子「っ……ごめんね、ヤドキング」
藍子「ゴリランダー!」ポンッ
ゴリランダー「ゴリ」
藍子(まさかキョダイマックスするなんて……今まで戦ったどのポケモンよりも、威圧感がすごい。きっと普通に戦っても、勝てない)
藍子(本当に、勝てるの……?)
藍子(やっぱり私もキョダイマックスで対抗しないと――)
藍子(……!)
藍子(……キョダイ、マックス)
262 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/04(日) 22:44:44.82 ID:ew35YxFp0
藍子「ゴリランダー、いやなおと!」
ゴリランダー「ゴリ!」ォォォン
亜季「構うなウーラオス! 一撃で終わらせてやる、キョダイイチゲキ!!」
ウーラオス「ベアアアアアアク!!」
藍子「ゴリランダー、足元へ逃げて!」
ズドゴォォォォン
笑美「躱した……けどほんまにギリギリやったな」
笑美「まずはいやなおとで守りを薄くして、そっからダイマックスさせるつもりなんか?」
亜季「…………」
藍子「アクロバット!」
ゴリランダー「ゴリ!」バシィ
藍子(少しずつ、少しずつだけど、しっかり体力は削れている)
藍子(……でもこのままじゃ)
263 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/04(日) 22:45:20.81 ID:ew35YxFp0
亜季「キョダイイチゲキ!!」
藍子「か、躱して!」
ズドゴォォォォン
笑美「……んん?」
笑美「藍子はん、まさかダイマックスせんと戦うつもりなんか? 最後の1匹やのに」
亜季「いつまでも逃げ続けられると……思うなよ!!」
グワンッ
藍子「ダ、ダイロック……ゴリランダ――」
ズドォォォン
笑美「め、命中してしもた!」
藍子「ゴリランダー……うっ」
藍子「砂埃で、前が見えない……!」
264 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/04(日) 22:46:07.28 ID:ew35YxFp0
亜季「喰らえええい!!」
ズドゴォォォォン
笑美「ああっ……!」
ゴリランダー「ゴ、ゴリ……」ヨロッ
亜季「ドラムを盾にして凌ぎましたか。だが!」
ピシッ!!
藍子「そんな、ヒビが……」
亜季「生命線であるドラムは失ったも同然。どうやら決着は近いようでありますな」
ウーラオス「ベアアアアアアク!!」
笑美「どないするんや藍子はん! 長くは持たんで、はよダイマックスさせんと!」
藍子「……それじゃダメなんです。キョダイマックスじゃ、ウーラオスには勝てない」
265 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/04(日) 22:46:53.26 ID:ew35YxFp0
藍子(考えないと。どうやってあの攻撃を出せばいいのか)
藍子(あの時……どうして攻撃を出せたのかを)
藍子「……ゴリランダー、もう少しだけ、時間をもらってもいい?」
ゴリランダー「ゴリ」コクン
藍子「ありがとう……ウッドハンマー!」
ゴリランダー「ゴリ!!」ブゥン
ウーラオス「ベアアアアアアク!!」
ズドゴォォォォン
亜季「なぬ、まだこれ程の力が……これが『しんりょく』の力か」
266 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/04(日) 22:47:37.08 ID:ew35YxFp0
亜季「見上げた根性でありますな、ゴリランダー。だが!!」
ズドゴォォォォン
亜季「次で決めてやるであります……覚悟!!」
ゴリランダー「ゴリッ……!」
藍子(…………)
藍子(だんだんと周りが暗くなっていて……森というより、ジャングルみたい)
藍子『この島が豊かな自然にあふれているのは、その同盟のおかげだったんですね』
亜季『そういえば藍子殿のゴリランダーは、元からキョダイマックスの素質を持たれていたようですな』
藍子『あれ、あそこにいるのは……』
267 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/04(日) 22:48:25.53 ID:ew35YxFp0
藍子(――!)
チャキッ
亜季(……ん? スマホロトム、だと?)
藍子(……やるしかない。一か八か、あの技を再現するには――)
藍子「ゴリランダー、スティックでリズムを刻んで!」
ゴリランダー「……ゴリ?」
藍子「思い出して。サルノリはスティックを使うことで、草木を元気にする力があるよね」
藍子「ゴリランダーにも、その力は残っているんじゃないかな?」
ゴリランダー「……!」
ゴリランダー「ゴリ!!」ダダダンッ
268 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/04(日) 22:49:13.77 ID:ew35YxFp0
藍子(このバトルフィールドは荒れ地だけど……)
藍子(そんな場所にだって、緑はあるはず!)
パアッ
笑美「な、なんや!? 草が生えてきおった!」
ゴリランダー「ゴリ!」ダッ
亜季「これは……まさか」
亜季「ウーラオス、キョダイイチ――」
藍子「お願い……決めて! ゴリランダー!」
ゴリランダー「ゴリイイ!!」
亜季「……!」
ズドンッ
269 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/04(日) 22:49:50.00 ID:ew35YxFp0
ウーラオス「ベ、ベア……」
ウーラオス「ベアアアアアア!!!」
バシュゥゥゥゥゥ
藍子「……!」
亜季「……」
笑美「な、なにがどうなったんや?」
ウーラオス「…………」ドサッ
笑美「ウーラオスが、倒れとる……」
ゴリランダー「……ゴリ」
270 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/04(日) 22:51:00.50 ID:ew35YxFp0
藍子「か……勝て、た……?」
亜季「ウーラオス、申し訳ありませんでした。……私も、年を取ったでありますな」
亜季「完敗です、藍子殿。卒業試験は合格です!」
藍子「……は、はい」
亜季「ん、どうかしたのですか? 心ここに在らずといった感じですが」
藍子「いえ、その、本当に勝ったのか、よくわかっていなくて」
笑美「なーに言うとんねん! 審判のウチからも言うたるわ、藍子はんの勝ちや!」
穂乃香「藍子さん、おめでとうございます!」
藍子「……っ!」
271 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/04(日) 22:52:10.41 ID:ew35YxFp0
亜季「まさかサルノリの頃の生態まで戦いに活かされるとは。さすがの私も前代未聞でしたよ。いったいどこでそのセンスを?」
藍子「ど、どこでと言われても……」
亜季「はっはっは、冗談ですよ」
亜季(……普通のトレーナーならば、強引にでもトリックルームを軸に据えて戦いたがる場面だったでしょう)
亜季(ですが藍子殿は、それを時間稼ぎの手段として早々に割り切った。そしてゴリランダーでの対策を練っていた)
亜季(上の空、か。……これが彼女本来のマイペースさとも気づかずに)
272 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/04(日) 22:52:55.34 ID:ew35YxFp0
笑美「にしても、さっきの技はなんやったん? ゴリランダーがすごい速さでウーラオスに飛び込んでいっとったけど」
藍子「ええと、その……実は私も、詳しくはよくわかっていないんです」
亜季「ふむ」
亜季「サルノリの系統は森で暮らすポケモン。おそらく普通の地面よりも、緑がある場所の方が力をより発揮できるのかもしれませんな」
笑美「グラスフィールド的な?」
亜季「まあそんなところでしょう。ゴリランダーはフィールドに生えていた雑草を利用して、擬似的にグラスフィールドを作り上げたのかもしれません」
273 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/04(日) 22:53:37.20 ID:ew35YxFp0
穂乃香「私、入念に手入れしたつもりだったんですけど……まさか草が残っていたとは思いませんでした」
亜季「草の上を滑走するかのような所作……先程の技、『グラススライダー』と名付けられては?」
藍子「グラススライダー……」
ダッ
亜季「む?」
シュタッ!
亜季「何奴!?」
274 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/04(日) 22:54:05.16 ID:ew35YxFp0
ダクマ「べあっ!」
藍子「ダクマ! どうしてここに?」
笑美「何やこのポケモン? さっきのバトル、見とったんかな」
ダクマ「べあっ――」
カッ
ダクマ「べあ! べあ! べああーっ!」シュタタタタ
笑美「どこに向かってパンチしてるんや、このポケモン?」
ダクマ「べあ」シュバッ
笑美「跳んだ」
ダクマ「べあ」シュタッ
笑美「着地した」
275 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/04(日) 22:54:44.19 ID:ew35YxFp0
ダクマ「べああ」ドヤァ
笑美「ドヤった……?」
穂乃香「何かをアピールしたいんでしょうか」
藍子「アピール……」
藍子「もしかして、バトルしたいの?」
ダクマ「べあ」ブンブン
ダクマ「べあ!」ビシッ
藍子「モンスターボール」
ダクマ「べあ!」ビシッ
藍子「そして自分」
ダクマ「べああ……」ドヤァ
276 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/04(日) 22:55:26.91 ID:ew35YxFp0
藍子「ええと……ゲットしてほしいのでしょうか」
笑美「みたいやな。しかも謎に上から目線やし」
亜季「はっはっは! 面白いポケモンではありませんか」
亜季「どの道、トーナメントに挑むには6匹目が必要不可欠です。藍子殿、せっかくの機会です。仲間に加えてみては?」
藍子「……そうですね。なんだか愛着が湧いてきましたし」
藍子「ダクマ、これからよろしくね!」ポンッ
コロ……コロ……カチッ
277 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/04(日) 22:56:07.31 ID:ew35YxFp0
ダクマが手持ちに加わった!
笑美「そのポケモン、ヨロイ島の野生ポケモンなんかな。せやったらめっちゃ強いんとちゃう?」
藍子「そうかもしれません。ええと……」
ダクマ(せいしんりょく)
やんちゃな性格 好奇心が強い
いわくだき/にらみつける/こらえる/きあいだめ
Lv.10
一同「レベル低っ!!!???」
278 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/04(日) 23:01:09.95 ID:ew35YxFp0
今回は以上です。だいぶ早足になった上に語りたいことも山々ですが、次回でヨロイ島編はおしまいです
ウーラオス戦は本当にもうこれ以上書けないという状態になってしまって長い戦いでした
ようやく峠を越えれた
ではまたらいしゅー
279 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/07/04(日) 23:03:03.11 ID:BY9hrj1O0
乙 やっぱり図鑑説明にあるそのポケモンの生態も駆使してのバトルは面白いね
280 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/07/05(月) 18:26:49.61 ID:eqid2Fjd0
>>151
で貰ったわざマシンが「トリックルーム」だったんかな?
281 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/09(金) 23:40:47.75 ID:klBCWQl60
>>280
その通りでござんす
翌日
藍子「穂乃香さん、笑美さん、そして亜季さん。短い間でしたが、お世話になりました!」
笑美「……あかん。昨日のパーティーが楽しかったから、余計寂しなってきた」
亜季「卒業祝いに加えて、トーナメント制覇の前祝いもしようと言い出したのはどなたですかな?」
笑美「ウ、ウチやけどさあ〜」
穂乃香「門下生の皆さんが夜までには帰ってくるので、できれば紹介したかったんですが……」
亜季「仕方ありませんよ。なにせ明日から予選が始まるんですから」
亜季「今日はゆっくり身体を休めて、明日への活力を補って下さい」
282 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/09(金) 23:42:23.81 ID:klBCWQl60
藍子「はい。私も道場の皆さんに会いたかったです。またいつか、顔を出しに来ますね!」
藍子「といっても、ダクマを進化させなきゃいけないので、近いうちにまた来ることになるとは思いますけど」
笑美「せや、ほんならその時にまたバトルしようや! 前は中途半端やったからな、次はコテンパンにしたるわ!」
亜季「ほう、ということは厳しい鍛錬が必要ですな? 笑美殿」
笑美「うっ、急に寒気が……ししょー、いつの間にゲンガーなんか捕まえたん?」
亜季「はて、なんのことやら」
穂乃香「あはは……トーナメント、私たちは会場に行けませんけど、ヨロイ島から応援しています!」
283 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/09(金) 23:43:11.66 ID:klBCWQl60
亜季「そうだ、藍子殿。道場を卒業した証として、とっておきのアイテムを差し上げましょう」
藍子はとくせいパッチを手に入れた!
亜季「それはポケモンの持つ『潜在的な特性』を引き出す貴重な道具。きっと藍子殿の力になってくれると思いますよ」
亜季「……もうそろそろタクシーの時間ですね。では藍子殿、ご武運を!」
笑美「またなー!」
穂乃香「頑張って下さいね!」
藍子「……はい! 皆さん、本当にありがとうございました!」
バサバサバサバサ
亜季(……藍子殿は飛び立ちました。荷物も一緒です)
亜季(楓殿。今年のトーナメントは、例年以上に面白くなりそうですよ)
284 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/09(金) 23:43:43.12 ID:klBCWQl60
翌日
ピピピピピ
『アプリをお持ちのトレーナー全員に通達いたします。本日AM10:00より、トーナメント出場をかけた予選が開始されました』
『付近に同じアプリを持つトレーナーがいた場合、自動的に反応し、バトルの申し込みを行うことができます』
『必ず、互いの了承を得てからバトルを行うようにして下さい』
『それでは、貴方の健闘を、お祈りしております』
285 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/09(金) 23:44:14.76 ID:klBCWQl60
…………………………
凛「そこだよ、ムクホーク!」
ズドォォン
「な、なんなんだよアンタ……強すぎんだろ……!」
……………………
藍子「ドロンチ、ゴーストダイブ!」
ドロンチ「ドローンッ!」ズバンッ
藍子「やった、これで4連勝だね!」
286 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/09(金) 23:45:21.74 ID:klBCWQl60
………………
はぁと「そこだぁーっ!」
ズドドドドド
「ちょ、ちょっと待て! ピカチュウがつららおとしなんて使えるわけないだろ!」
はぁと「それが使えちゃうんだなー。勉強不足だったね、じゅくがえりクン☆」
はぁと「んじゃはぁとの勝ちっつーことで、おっつスウィーティー☆」
マダムピカチュウ「ピカピカァ〜☆」
287 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/09(金) 23:46:08.19 ID:klBCWQl60
…………
「くっ、負けたわ……!」
聖來「やったね、ワンパチ!」
ワンパチ「ワパッワパッ!」
カッ
聖來「ワ、ワンパチ!?」
ズバンッ
パルスワン「ワォンッ!」
聖來「すごい、進化したんだ! ワンパチ、じゃなくてパルスワンか……これからよろしくね!」
……
ピピピピピ
『予選期間が終了しました。これより本戦出場者の選定を行います』
288 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/09(金) 23:47:05.73 ID:klBCWQl60
シュートシティ
ガヤガヤガヤガヤ
卯月「わあ、たくさん人がいるね!」
未央「屋台もたくさんあるし、お祭りみたい!」
亜子「はいはーい! 寄ってらっしゃい見てらっしゃい! ペンライトにカンフーバット、ブブセラに法螺貝! 古今東西の応援グッズ大放出中やでー!」
客「法螺貝ってなんだよ! 誰が吹けんだよ!」
??「ぶおおー」
客「吹いてる!?」
289 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/09(金) 23:48:14.13 ID:klBCWQl60
あかり「ターフタウン産のりんごを使ったりんご飴、いかがですかぁー!」
智絵里「あっ、あかりちゃんっ。 お客さん、連れてきました……!」
あかり「おおっ、智絵里ちゃん! 呼び込みありがとうんご♪」
志保「ジムリーダーかな子ちゃんプロデュースの特製パフェ、残りわずかでーす!」
むつみ「双眼鏡はいかがですかーっ!」
そら「はい、ばるーんをぷれぜんと〜☆ これでだぶるはっぴーの完成だねっ☆」
フェイフェイ「レストラン『防波堤』、シュッチョーハンバイチューだヨー!」
海「マリンスポーツ写真展の受付は今日の17時までだよー!」
290 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/09(金) 23:48:51.31 ID:klBCWQl60
卯月「みんな笑顔で楽しそう。本当にこの日を心待ちにしていたんだねっ」
未央「ねえしまむー、出店もいいけど早くスタジアムに入って、いい席取ろうよ!」
未央「なんたって、我らがしぶりん&あーちゃんの晴れ舞台なんだからさ!」
スタジアム内
未央「わあ、広ーい!」
卯月「アイマス地方のリーグ会場も大きかったけど、それ以上だね」
291 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/09(金) 23:49:32.90 ID:klBCWQl60
『みなさーん、お待たせしましたーー!!』
未央「あれ、この声って……」
『ガラル地方が誇るバトルの祭典・ガラルトーナメント! いよいよオープニングセレモニーの時間ですっ!!』
恵磨『皆さん初めまして! アイマス地方からはるばるやって来ました、実況の恵磨ですっ!!』
卯月「恵磨さん!?」
瑞樹『はぁーい、解説の瑞樹よ! 同じくアイマス地方から呼ばれて来ちゃった♪』
未央「瑞樹さんまで!?」
292 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/09(金) 23:50:02.67 ID:klBCWQl60
恵磨『毎試合アツく実況していきますので、どうぞよろしくゥ!!』
瑞樹『それではさっそく、激戦を勝ち抜き、トーナメント出場を決めた8選手を順番に紹介するわね!』
パァンッ
恵磨『犬ポケモンをこよなく愛し、ただ一つの夢に向かって駆け抜けてきたワンダフルガール!』
恵磨『聖來選手ッ!!』
ワァァァァァァ
聖來「ついにやって来たよ、この舞台にっ……!」
恵磨『狙った獲物は百発百中、大胆不敵なファッショナブル・スナイパー!』
恵磨『あきら選手ッ!!』
ワァァァァァァ
あきら「……どーも」
293 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/09(金) 23:50:58.80 ID:klBCWQl60
恵磨『相棒は変幻自在のピカチュウ!? 多くのトレーナーを翻弄してきた、今大会イチのダークホース!』
恵磨『しゅがーはぁと選手ッ!!』
ワァァァァァァ
はぁと「皆メロメロにしちゃうからな☆ 覚悟しとけよ野郎ども☆」
恵磨『ジムチャレンジへのエントリーはギリギリだったものの、破竹の勢いで勝ち上がってきた謎多き美女!』
恵磨『奏選手ッ!!』
ワァァァァァァ
奏「……」
卯月「あっ、あの人!」
未央「スパイクタウンで助けた人……あの人も出場してるんだ」
294 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/09(金) 23:52:29.58 ID:klBCWQl60
…………………
都探偵事務所
都「うむむ……うむむ」
さくら「どうしたんですか、都ちゃん。顔が怖いですよぉ?」
都「どうしたものでしょうか……」
都「私の推理力を持ってすれば、凛さんと藍子さんが勝ち上がってくるのは明確です。ですが」
さくら「ですが?」
都「その二人が戦うことになったら、私はどちらを応援すればいいのですかあーっ!」
泉「……どっちも等しく応援すればいいんじゃないかな。私もそうするし」
さくら「そうだねぇ。ふふー、トーナメント、楽しみだなあー♪」
295 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/09(金) 23:53:20.01 ID:klBCWQl60
ガラル某所
かな子「みなさーん、マカロンが焼けましたよっ♪」
珠美「おおっ、ありがとうございます、かな子殿!」
李衣菜「んー、おいしい! やっぱかな子ちゃんの作るお菓子はロックだね!」
涼「美波サン、その子がバウタウンの次期ジムリーダー?」
美波「はい! さ、灯織ちゃん、挨拶して」
灯織「あ、あの……灯織です。はじめまして」
李衣菜「よろしくね、灯織ちゃん! あかりちゃんや泉ちゃんと同い年くらいかな?」
夏美「ちょうど二人ともいないのが残念ね。私は夏美よ、よろしくね!」
灯織「あの、美波さん……こんなにジムリーダーの皆さんが集まって、何をされるんですか?」
涼「ハハッ、大したことじゃないよ。これから始まるトーナメントをみんなで観戦するのさ」
296 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/09(金) 23:53:55.67 ID:klBCWQl60
灯織「観戦、ですか?」
夏美「そう。ガラル最高峰の試合をみんなで見て、楽しみながら学ぶのよ」
李衣菜「私たちが戦ってきたトレーナーが、どれだけロックなバトルをしてくれるのか……毎年、すごく楽しみにしてるんだよね!」
美波「それにみんなで意見交換をするのも勉強になるからね。灯織ちゃんも得られるものがたくさんあると思うな」
灯織「それで、わざわざ私を……ありがとうございます」
灯織「私、しっかりと学びの多い1日にします!」
夏美「ふふっ。そんなに気張らなくていいのに」
珠美「灯織殿は真面目なんですな。将来が楽しみです!」
かな子「マカロン、まだまだたくさんあるから、灯織ちゃんも遠慮せずたくさん食べてね!」
涼「お、そろそろセレモニーだな」
297 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/09(金) 23:54:46.27 ID:klBCWQl60
…………………
恵磨『さあ続いては――』
恵磨『予選ではトップクラスの強さを発揮! 穏やかさの内に力強い意志を宿す少女!』
恵磨『藍子選手ッ!!』
未央「あっ、見て見て! あーちゃんだよ!」
藍子「……」ザッザッ
ワァァァァァァ
藍子(……ジムチャレンジの時、スタンドには凛さんしかいなかった)
藍子(でも今日は違う。たくさんの人が見に来てくれていて……)
藍子(こんなにすごい場所に、私は立っているんだ……!)
298 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/09(金) 23:55:30.14 ID:klBCWQl60
恵磨『そして最後に紹介するのは!』
恵磨『まさかまさかのジムチャレンジ無敗! 予選でもなんと一度も負けることなく勝ち進んできた……正真正銘・優勝候補!』
恵磨『凛選手!!』
ワァァァァァァ
未央「しぶりーん!」
卯月「凛ちゃーん!」
凛「……」ザッザッ
凛(聖來さんもだけど……まさか奏もいるなんてね)
凛(……藍子。決勝で会おうね)
瑞樹『以上8選手が出揃ったわね。対戦順については、この後に行われる抽選会で決まる予定よ。みんなは誰と誰のぶつかり合いになるか、楽しみにしていてね』
299 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/09(金) 23:56:24.22 ID:klBCWQl60
恵磨『それでは、最後にこの方から開催宣言を!』
ザッ
楓「……こんにちは、みなs」
ウオオオオオオオオオオ
楓「ふふ、盛り上がっていますね。改めて、ポケモントレーナーの楓です」
ドワァァァァァァ
卯月「すごいなあ、一言しゃべる度にみんなが反応してるよ」
楓「今年も無事、この場所で開会を告げる挨拶ができることを光栄に思います。まずはジムチャレンジに関わってくださったスタッフの皆さん、ジムトレーナー、ジムリーダーの皆さんと、そのポケモン達に、心からの感謝を申し上げます」
パチバチパチパチパチ
300 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/09(金) 23:57:16.39 ID:klBCWQl60
楓「今年はいつも以上にたくさんのトレーナーがジムチャレンジに参加し、大いに盛り上がった年になりましたね。私自身もガラル地方の一員として、嬉しく思います」
楓「と、いうわけで。これから行うトーナメントの名称も、ガラッと変更させていただきました。名づけて――」
ドドンッ
楓「ガラルスタートーナメント!」
ウォォワアァァァアアァァァ
楓「ポケモンバトルはトレーナー同士、ポケモン同士が互いを認め合い、高め合ってゆく舞台です。そこで交わされる一つ一つの軌跡は、やがてまだ見ぬ誰かの憧れとなり、夢となり、行く末を照らす星明かりとなってゆくことでしょう」
楓「8人がジムチャレンジを通して得たもの、大切にしてきたこと。それら全てがぶつかり合うことで、どんな未来が生まれるんでしょうか。私もしっかりと、この目で見届けたいと思います」
301 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/09(金) 23:57:47.60 ID:klBCWQl60
楓「……すみません、また長くなってしまいましたね。それでは――」
バッ
楓「ただ今より、ガラルスタートーナメントの開催を宣言します!」
302 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/10(土) 00:02:37.52 ID:GHl4c1bl0
今回は以上です
一区切りついたので今後の予定を
まずダクマの進化先ですが、次のバトルで出てきた際にコンマで一撃か連撃、どちらに進化したか決定します
塔での修行自体は既に終わっている設定です
そして来週は箸休めにサイドストーリーを投下します
ではまたらいしゅー
303 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/07/10(土) 00:25:00.22 ID:RMEVOR+O0
乙 興味がないって言ってた奏でも参加してんだね
だいぶ展開が早い気がするけど続きを楽しみにしてます
304 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/17(土) 20:54:25.88 ID:7khq4twD0
本日は閑話休題です
305 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/17(土) 20:55:03.34 ID:7khq4twD0
サイドストーリー「Love holiday, alcoholic day.」
ウォォォォォォォ
『す、すげえ! またワンサイドゲームで勝ちやがった!』
『ここまで1匹しか戦闘不能にされていないぜ。こりゃ楓さんの天下も今日までか〜?』
『今年最強のチャレンジャーという噂はダテじゃなかったな!』
亜季「はっはっはっ! 当然の結果であります」
亜季「この亜季、ただ一つの目標であるチャンピオンの座を目がけて、今日までたゆまぬ努力を繰り返してきたのですからな!」
亜季「……さぁ、楓殿、勝負であります! 王者の称号は、この私が射止めてみせますよっ!」
306 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/17(土) 20:55:41.85 ID:7khq4twD0
…………………………
ズドォォォン
『ウーラオス戦闘不能! ウーラオス戦闘不能!』
亜季「そん、な……!?」
『う、嘘だろ……』
『あの亜季ですら勝てないなんて……ヤバすぎだろ楓さん』
TV中継『――というわけで、本年度のトーナメントは現チャンピオン、楓さんが3年連続の王座死守を成し遂げ、幕を下ろしました!』
TV中継『チャレンジャーの亜季選手も期待されてはいたんですがねー。やはり楓さんは強かった! というわけで、後ほど楓さんにじっくりと勝利の喜びを伺いたいと思います』
ワァァァァァァ
307 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/17(土) 20:56:25.90 ID:7khq4twD0
楓「亜季ちゃん、対戦、ありがとうございました。それでは」
亜季「ま……待って下さい、楓殿!」
楓「?」
亜季「私は楓殿を打ち負かすため、己とポケモンを極限まで鍛え上げてきました。そして自分たちの強さに絶対的な自信を持って、このトーナメントに臨んだのです」
亜季「しかし結果的に、足元にも及ばず敗北した……」
亜季「楓殿。その強さはいったいどこから来ているのですか? どれだけの鍛錬を積めば、楓殿のような比類なきトレーナーになることができるのですか!?」
楓「…………」
亜季「私に足りないものは何なのか、どうか教えて下さい――」
308 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/17(土) 20:56:52.07 ID:7khq4twD0
楓「亜季ちゃん。握手、しましょうか」
亜季「へっ?」
楓「ふふっ」サッ
亜季「……私をからかっているのでありますか?」
楓「ああ、すみません。そうじゃないんです。ただ、ねっ?」
亜季「……は、はあ」ギュッ
グイッッ
亜季「――!?」
309 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/17(土) 20:57:23.35 ID:7khq4twD0
楓(明明後日の午後8時に、ブラッシータウンの駅前に来てください)ボソッ
亜季「……え?」
楓「ふふっ、また機会があればバトルしましょうね♪」
楓「では私はお先に失礼します」クルッ
TV中継『最後に楓さんと亜季選手の熱い握手が交わされました。これにてガラルトーナメント、閉幕です!』
亜季「……」ポツン
310 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/17(土) 20:57:51.16 ID:7khq4twD0
3日後 午後8時 ブラッシータウン駅前
亜季「……約束の時間ですな」
亜季「楓殿は――」
楓「亜季ちゃん、こっちですよー」
亜季「おお、その声は楓殿――」
「……ん? いま楓って聞こえたような……」
「え、もしかしてチャンピオンのことー!?」
ザワッ
亜季「あ……」
楓「ふふっ。立ち話もなんですし、移動しましょうか」
311 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/17(土) 20:58:21.53 ID:7khq4twD0
…………………………
亜季「先程の発言は配慮が足りませんでした。どうもすみません」
楓「気にしていませんよ。ええと、ここを右、だったかしら」
ザッザッ
亜季「……路地裏ですか。このような場所に何用ですか?」
楓「実はこの先に、私の行きつけのお店があるんです」
楓「今日はそこで、亜季ちゃんとぜひ食事をしたいと思って。あ、夕食はもう済まされましたか?」
亜季「いえ、ご心配なく。……ほう、このお店ですか」
亜季「『宵乙女』……おや、居酒屋なのですか」
楓「はい。どうかしましたか?」
312 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/17(土) 20:58:58.34 ID:7khq4twD0
亜季「いえ。あのガラルチャンピオンがこのような……なんというか、庶民的なお店に通われているなんて、少し意外だなと」
楓「たしかにそうかもしれませんね。さ、入りましょうか」
カランッ
楓「大将、やってますかー?」
??「もう、やってるも何も……前々から予約されていたじゃないですか、楓さん」
楓「あら、そうでしたね。ここに来るのは久しぶりなもので。よーやく羽を伸ばすことができます♪」
??「ふふ。祝賀会はどうでしたか?」
楓「それはもうとても豪華でした。お料理やお酒もそうですが、かねがねお会いしたかったマクロコスモスの新社長さんともお話しできましたし」
楓「でも……やっぱり私にとっては、ここのカウンター席がいちばんの特等席です♪」
313 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/17(土) 20:59:41.07 ID:7khq4twD0
楓「それから、今日はゲストも呼んでいるんですよ。こちら、先日のトーナメントで戦った、亜季ちゃんです」
美優「ああ、どこかで見たことがあると思ったら。初めまして、美優という者です」
亜季「初めまして、亜季と申します。お店の従業員の方ですか?」
美優「はい。といっても他のスタッフはいませんし、店長と呼ばれることもありますが……」
亜季「なんと、お一人でこのお店を切り盛りしておられるのですか!」
美優「ええ、まあ。それにしても珍しいですね。楓さんが他の人を連れてこられるなんて」
楓「今日は特別ですから。美優さん、いつもの、お願いします」
美優「わかりました。亜季さんも、ゆっくりしていって下さいね」
亜季「は、はあ」
314 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/17(土) 21:00:18.93 ID:7khq4twD0
亜季「……」
亜季(私たち以外にお客さんのいない、静かな居酒屋なんて、そうそう行ったことがありません)
亜季(このお店は、普段からこのような雰囲気なのでしょうか)
コトン
美優「はい、どうぞ」
亜季「ありがとうございます。こちらは?」
楓「この店オススメのブランデーです。ぜひ亜季ちゃんにも飲んでほしいと思って、勝手に2人分、注文しちゃいました」
亜季「ははあ。しかしお値段の張りそうなお酒でありますな……」
315 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/17(土) 21:00:56.37 ID:7khq4twD0
楓「ああ、心配しないで下さい。今日は私が出すので」
亜季「なっ!? いやしかし、チャンピオンに食事を奢っていただくなど……!」
楓「今の私はチャンピオンではなく、亜季ちゃんと同じポケモントレーナーですよ?」
亜季「は、はあ。……いえ、わかりました。そこまで言っていただけるのではあれば、遠慮なくいただこうと思います」
楓「ふふっ。では……」
楓「乾杯っ♪」
亜季「乾杯、であります」
316 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/17(土) 21:01:28.58 ID:7khq4twD0
…………………………
亜季「それにしても、先程から初めてのことばかりでどうにも心が落ち着きませんな」
楓「と、いいますと?」
亜季「ブラッシータウンの路地裏にこのような居酒屋があること、そこにあのチャンピオンが通い詰められていること、さらに自分がその隣に座り、ご馳走になっていること……といった具合でしょうか」
亜季「私たち以外にお客さんがいないというのも、不思議な感じがします」
楓「たしかにそうかもしれません。というのも、実は今日はこの居酒屋を貸し切っているんですよ」
亜季「か、貸し切り?」
317 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/17(土) 21:02:01.61 ID:7khq4twD0
楓「正確には貸し切ってもらっている、といった感じですけれど」
美優「ガラル地方で楓さんを知らない人はほとんどいませんし、普通に来店されたら大騒ぎになってしまいます。かといってずっと変装しているのも気疲れするでしょうし」
美優「ですから楓さんが来られる時は、表向きにはお店を閉めている状態にしておくんです」
亜季「……そういえばたしかに、店頭の立て看板は『CLOSED』となっておりましたな」
楓「そういう事情もあって、このお店にはよくお世話になっているんです」
美優「お店の経営としては少し手痛いですけれど、それで楓さんのプライベートな時間を守れるのなら、と思いまして」
亜季「おお……なんと人間のできた方であろうか!」
318 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2021/07/17(土) 21:02:32.14 ID:7khq4twD0
美優「あ、でも、一度大変な目に遭ったことがあったんです」
亜季「大変な目に?」
美優「一度だけ、楓さんが事前に何も言わず、変装してお店に来られたことがあったんです。私はドキドキしているのに、この人ったら我関せずといった顔で」
美優「それでカウンターに座った瞬間、躊躇うことなく変装を解いてしまったんですよ。そしたら隣に座られていたお客さんがすぐに気づいて……」
楓「その節はご迷惑をおかけしました。忙しなく働いている美優さんを見てみたかったもので。ほんの少しだけ、イタズラ心が芽生えちゃいました」
亜季「楓殿にも、案外お茶目な一面があるのですね」
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