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【シャニマス×ダンガンロンパ】灯織「その矛盾、撃ち抜きます!」【安価進行】
- 235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/04/30(金) 21:24:36.56 ID:ydNHOJ/L0
- 1 【おでこのメガネ】
- 236 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 21:28:19.36 ID:3crg9ztu0
- 【キャットドッグプレスを渡した……】
灯織「摩美々さん、こちら気分転換のリフレッシュにいかがでしょうか?」
摩美々「んー?……あー、ペットの本ねー、かわいいじゃーん」
灯織「摩美々さんはこういうのお好きですか?」
摩美々「ボチボチって感じかなー、爬虫類の飼育とかが好きだケド、別に犬猫も嫌いじゃないしー」
パラ……パラ……
摩美々「……えっ」
灯織「摩美々さん?」
摩美々「灯織、この本って中身みたー?」
灯織「い、いえ……表紙しか……」
摩美々「……これ、途中から動物の繁殖の話、そこから脱線して……その、人間の男女の話になってるんだケド……」
灯織「!?!?!!????!?!?」
摩美々「……灯織、ちょっとこれはー……」
(しまった……別のものを渡せばよかったかな……)
-------------------------------------------------
摩美々「なんだか不気味だよねー」
灯織「不気味……ですか?それはいつものことでは……」
摩美々「まぁ、この学園が不気味なのは確かに今更だけどさー……何より不気味なのは円香じゃない?」
灯織「樋口さん……ですか」
摩美々「樹里の事件が終わってすぐ、私たちに裏切り者の話を持ち出したくせに以降は全く音沙汰なしでしょー?」
摩美々「どうせロクなことしてないんだろうケド、あまりにも姿が見えなさすぎじゃない?」
灯織「確かにそうですね……私もあれから毎日校内を探索していますが、樋口さんの姿はお見受けしていないような……」
摩美々「円香、また暴走したりしないよねー……?」
(脳裏によぎるのは小糸の事件。樋口さんはあれ以降変わってしまわれた……)
(『誰か殺す』……あの発言の真意を読めないままだ)
摩美々「まさか甜花の病気に関係してたりしてー」
灯織「そ、そんな……?まさか、毒……?!」
摩美々「冗談だよー」
灯織「わ、笑えませんよ……」
1.そういえば、『裏切り者』について何かわかったことなどは……
2.樋口さんはどんな『動機』を手に入れたんでしょうか……
3.自由安価
↓1
- 237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/04/30(金) 21:38:06.91 ID:ydNHOJ/L0
- 2
- 238 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 21:43:51.25 ID:3crg9ztu0
- 2 選択
灯織「樋口さんは一体どんな動機を手に入れたんでしょうか……」
摩美々「あー、そういえばそんなのあったねー」
灯織「モノクマに渡された【プレゼント】の中身次第ではそれを用いて凶行に及ぶ可能性もありますし……」
灯織「私たちの取るべき警戒も変わってきますよね」
摩美々「確か円香は【超高校級のディベート部】?だっけ……ディベートって何使うんだろー」
灯織「卓上ベルや……コピー用紙……?」
摩美々「けっきょく弁論だしねー、具体的なもののイメージがあんまりないしー……」
灯織「だからこそ、モノクマの意図が読みづらいですね……」
摩美々「……」
摩美々「とりあえず、円香をどうにかして早いところ見つける方がいいかもねー」
摩美々「動機提供からすでに数日経ってるんだし、準備するには十分じゃないかなー」
灯織「はい……そうですね」
摩美々「任せたよ、リーダー」
灯織「もぉ……リーダーは私じゃないですよ」
摩美々「ふふー」
【親愛度が上昇しました!】
【田中摩美々の現在の親愛度…7.5】
-------------------------------------------------
【スキル:一番星の魔法は今回は発動しません】
【事件発生パートに移ります】
- 239 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 21:46:21.83 ID:3crg9ztu0
- (さて、自分の部屋に戻ってプレゼントを整理したらまた交流でも……)
この学校の生活の中で半ばルーティン化した日中の交流。
次は誰とどんなことをして過ごそうか、そんなお気楽な考えを抱きながら自分の部屋に向かっていた。
________その始まりは唐突だった。
唐突しか表現のしようがないほどに唐突。
前触れなんて一切なく、それは始まってしまった。
「どっひゃあああああああ……!!!!」
校内に響き渡った絶叫、演技なんかじゃない恐怖の色がその中に見てとれた。
お気楽だった私の頭の中は一気に真っ白になり、足の先から身体中の熱が引いていく。
(……急がなきゃ!)
私の足は勝手に動き出していた。
- 240 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 21:48:41.91 ID:3crg9ztu0
-
【学校エリア 1F 廊下】
学校エリアに踏み入ると、すぐに絶叫の主がその姿を現した。
凛世「ひ、灯織さん……」
体を小刻みに震わせている凛世は、うるんだ瞳でこちらを見つめていた。
めぐる「灯織!凛世が……凛世が……!」
私よりも先にめぐるは現場に駆けつけており、凛世の介抱をおこなっていた。
灯織「凛世、大丈夫……?な、何があったの……?」
私が問いかけると凛世は言葉に詰まった様子.
凛世がめぐるに目配せをすると、めぐるも黙ってうなずいた。
凛世「凛世が申し上げるよりも、先にこちらを見ていただいた方が……」
そういって凛世が差し出してきたのは一枚の写真。
凛世「以前灯織さんに見つけていただいたカメラで撮影したもので、ございます……」
百聞は一見にしかず、ということだろう。
色々と聞きたいことはあるが、まずはその写真を見てみることにした。
「…………え?」
- 241 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 21:50:25.15 ID:3crg9ztu0
-
________そこに写っていたのは、紫色の布に身を包んだ何者か。
シルエットはてるてる坊主に近い。
ポンチョのように布を身に纏い、腕や脚を覗くことができる。
だが顔の部分は布地そのままであり、中に入っている人間の顔は全く見えない。
その代わりに丸々とした目、牙の生えたU字の口が描かれている。
……どこか既視感のある顔。
灯織「デビ、太郎……?」
甜花さんの大好きなキャラクター、【デビ太郎】が二足歩行になったような不審者がその写真に写っていた。
- 242 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 21:51:43.06 ID:3crg9ztu0
-
灯織「り、凛世……?これは……?」
凛世「はい、凛世はこちらの……デビ太郎さまに襲われたのでございます……」
灯織「で、デビ太郎に?!」
よく見ると確かにデビ太郎の手元には刃物らしきものが見える。
これでデビ太郎は凛世に襲い掛かったのだろう。
めぐる「こ、怖かったよね凛世……」
灯織「だ、大丈夫なの?!怪我とかは……?」
凛世「幸い、直接的に斬られたり刺されたりなどは……ただ、もみ合いになった際に足をくじいてしまいました……」
凛世の足首辺りは青あざのようになっておりなんとも痛ましい。
咄嗟のことでパニックだったんだろう。
凛世「転んだ状態ではとどめを刺されてしまいかねない……そこで皆さんをお呼びしたのです……」
灯織「それであの絶叫だったんだ……凛世にしてはすごい声量だったもんね……」
こんな不気味な人間に襲われたらそりゃ叫びたくもなる。
なんにせよ凛世が命を落とすようなことにはならなくてよかった。
- 243 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 21:53:25.22 ID:3crg9ztu0
-
凛世とめぐると共に不審者の写真を眺めているとすぐに他のみんなが集まってきた。
雛菜「痛そ〜……何があったんですか〜?」
咲耶「凛世、だ、大丈夫かい?!」
摩美々「何が起きてるんですかぁ?」
灯織「み、皆さん……こ、これを……」
私はすぐに凛世の写真を集まった皆さんに手渡した。
それを見た反応はみんな揃って、困惑。
咲耶「な、なんなんだいこれは……」
摩美々「もしかして今ってハロウィンですかぁ?」
雛菜「かわいくな〜い」
灯織「どうやら凛世がこの写真の人物に襲われたようなんです……ほら、見てください……刃物を握っています」
咲耶「ホントだ……!!これはまずいね……!!」
雛菜「……これ、どこに行ったんですか〜?」
凛世「凛世が声を上げるとすぐに階段へ向かって廊下を走って逃げて行きました……」
摩美々「追いかけた方が良いよねー?今この場にいない人が危ないでしょー」
咲耶「霧子と甜花は保健室のはずだ……犯人の逃げた方向と一致している……!」
めぐる「そういえば……チョコも愛依も円香もいないよ!」
灯織「……急ぎましょう、凛世も保健室まで一緒に来て!」
凛世「はい、お供いたします……」
- 244 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 21:55:14.25 ID:3crg9ztu0
-
【保健室】
急いで保健室の扉を開けると、霧子さんはキョトンとした様子で私たちを出迎えた。
霧子「あれ……みんな、どうしたの?またお見舞いに来てくれたのかな……」
咲耶「霧子、無事かい?!」
霧子「うん……咲耶さん、心配してくれてありがとう……」
摩美々「とりあえずは一安心ですねー」
めぐる「ま、まだだよ!不審者を捕まえないと!」
霧子「あ、あの……何かあったのかな……」
灯織「霧子さん、凛世が先ほど何者かに襲われまして……」
凛世が不審者に襲われた際の捻挫痕を霧子さんに見せると、
霧子さんは血相を変えて保健室の奥から救急箱を持ち出した。
霧子「凛世ちゃん……?!い、急いで治療しないと……!!」
霧子「ど、どうしよう……湿布……テーピングもした方がいいかな……」
咲耶「き、霧子……凛世の治療も存分にやってくれて構わないんだけど……その、不審な人物を見かけたりしなかったかい?」
霧子「え……?」
- 245 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 21:57:04.68 ID:3crg9ztu0
-
摩美々「さっき灯織も言ったけどー、凛世はザ・不審者って感じのやつに襲われたんだよねー」
凛世「細かい説明は、こちらの写真を見た方が早いかと……」
霧子「……」
霧子「で、デビ太郎さん?!」
雛菜「この不審者が逃げた方向が保健室の方だったんですよねー」
霧子「……あ!」
咲耶「何か思い当たることでもあるのかい?!」
霧子「うん、ついさっきなんだけど……誰かが思いっきり勢いよく階段を駆け上がるような音が、聞こえたような気がするんだ……」
めぐる「それだよ!不審者は二階に逃げたんだ!」
灯織「急ぎましょう……!今なら不審者を捕まえられるかも……!」
凛世「あ……」
咲耶「凛世は無理をしちゃダメだ。霧子、頼めるかい?」
霧子「うん……いってらっしゃい……!」
私たちは保健室の霧子さんに手負いの凛世を託し、すぐに階段を駆け上がった。
- 246 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 21:58:44.18 ID:3crg9ztu0
- 【二階】
摩美々「まずは二手に分かれませんかー?」
灯織「そうですね、不審者が二階に逃げたのか三回に逃げたのかわからない以上は複数班に分かれた方がいいかもしれません」
めぐる「よし、それじゃあ灯織と雛菜はわたしと一緒に二階を調べよう!」
雛菜「あは〜?」
灯織「三階はアンティーカのお二人にお任せできますか?」
咲耶「ああ、任せてくれ」
摩美々「もしも不審者を見つけても無茶はしちゃダメですからねー?相手は刃物を持ってる、すぐに他のみんなを呼ぶコト」
灯織「はい!」
(なんとしても不審者を見つけないと……!)
(急がないと取り返しのつかないことになりかねない……!)
-------------------------------------------------
【不審者を見つけましょう】
1.プールを探す
2.図書室を探す
3.空き教室を探す
↓1
- 247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/04/30(金) 21:59:32.32 ID:5m6tAwQ0o
- 2
- 248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/04/30(金) 21:59:42.57 ID:r0z/iqRh0
- 3
- 249 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 22:03:46.17 ID:3crg9ztu0
- 2 図書室選択
【図書室】
図書室……ここなら本棚も多いし身を隠すのには適している……!!
ここに隠れてる可能性は高い……!!
……ダメ、誰もいない。
本棚の後ろまで見たけどまるで痕跡もない……
書庫も一応確認したけど違うみたい……
急いで違うところを探さなきゃ!
-------------------------------------------------
【不審者を見つけましょう】
1.プールを探す
2.空き教室を探す
↓1
- 250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/04/30(金) 22:04:29.08 ID:r0z/iqRh0
- 2
- 251 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 22:07:17.32 ID:3crg9ztu0
- 2 空き教室選択
【空き教室】
二階の構造は特殊……
廊下の奥まったところになって初めて教室が姿を現す。
逃げ込むならやっぱりここ?!
……と思ったけど、不審者の姿はなく、隠れる所もない。
ロッカーも一応開いては見たけど、見当外れだったみたい。
……急いで不審者を見つけないといけないのに!
- 252 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 22:08:24.60 ID:3crg9ztu0
-
ピピピピピ・・・・・・
咲耶「出た!デビ太郎だ!」
廊下に出るとすぐに聞こえてきたのは咲耶さんの声。
不審者は三階に潜んでいたんだ!
咲耶「急いでくれ、階段のほうに行った!」
咲耶さんの口ぶりからして不審者はすぐに逃走を開始、階段からまた下の階に逃げようとしている。
(逃すわけにはいかない……!)
そのまま声に促されるままに階段へと走る。
めぐる「灯織、聞いた?!」
灯織「うん、多分もう階段を降りたはず……一階を急いで調べないと!」
雛菜「はぁ……はぁ……すばしっこい……」
みんな緊張と焦りとで呼吸が浅い。
でもここで立ち止まるわけにはいかない、なんとしても事件を防がないと……!
- 253 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 22:09:49.76 ID:3crg9ztu0
- 【1F 階段前】
ピピピピピ・・・・・・
階段を駆け下りると、一つ目に付くものがあった。
(保健室の扉が、開いている……?)
さっき霧子さんと別れた時扉は確かに閉めたはず。
不審者が校内に潜伏している以上、自ら危険に身を晒すはずもない。
この扉を開けたのが霧子さんや凛世だとは思い難い。
犯人の動きはある程度掴めている。
凛世を襲った後三階へと逃げた犯人は、潜んでいたところを咲耶さんに目撃されて一階へと逃げてきた。
なら、この扉を開けたのは……
(まさか……!)
めぐる「灯織!」
まだ間に合う。そう思っていた。
だって事件はまだ起きている真っ最中。私たちはみんなその中心にいる。
だから頑張ればどうにでもなる、防げるはず。
- 254 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 22:10:41.47 ID:3crg9ztu0
-
________本気でそう思っていた。
だから、この鼓膜を破りそうなほどに早まる鼓動を早く止めたくて……
保健室を覗き込んだんだ。
- 255 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 22:12:22.18 ID:3crg9ztu0
-
【保健室の中には、腹部の刺し傷から大量の出血をして息絶える大崎甜花の姿があった】
- 256 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 22:14:08.03 ID:3crg9ztu0
-
間に合わなかった。
私たちはわかっていなかった。現実に情けなんてものはない。
いくら希望を願っても、絶望は無関係に湧き上がる。
灯織「わああああああ!!!」
めぐる「ひ、灯織?!なに、が…………」
雛菜「…………」
ピンポンパンポーン!
モノクマ『死体が発見されました!一定の捜査時間の後、学級裁判を開きまーす!』
死体発見アナウンス。目の前の甜花さんが息絶えていることの何よりの証明だった。
私たちが呆然とすること数秒。
すぐに咲耶さんと摩美々さんが階段を駆け下りて駆けつけた。
咲耶「さ、さっきのアナウンスは……!?」
摩美々「……間に合わなかった」
咲耶「そんな……」
咲耶さんと摩美々さんも言葉を失ってしまう凄惨な現場。
体温が急速に下がったように錯覚するほどの冷たい空気。
- 257 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 22:15:34.47 ID:3crg9ztu0
-
雛菜「……あれ?これおかしくないですか〜?」
立ち尽くす私たちを他所に市川さんが一つ疑問を漏らした。
雛菜「あとのアイドルの二人いませんね〜」
めぐる「……ホントだ!霧子と凛世がいないよ!?」
思わず辺りを見渡す。二人の指摘通りだ。
この部屋で手当てを行っていたはずの霧子さんと凛世の姿は跡形もなく消え去っている……?
咲耶「な、なにが起きてるんだい……?」
摩美々「……事件はまだ終わってないってことでしょ」
咲耶「摩美々……!?」
摩美々「急がないと、次の犠牲者が出るかもしれないよー」
灯織「そ、そんな……!」
だけど摩美々さんの言う通りだ。
現場の状況、事件の流れからして考えてみても霧子さんと凛世はあの不審者によって拐われてしまったものと考えるのが自然。
このまま放って置いたら、第二第三の事件へとつながりかねない……!
めぐる「……灯織、行こう!」
灯織「めぐる……」
めぐる「急がないと……今できることをやらないと、次もできなくなっちゃうよ!」
灯織「……!!」
そうだ、今は足を動かすしかない……
立ち止まってる時間はないんだ……!
- 258 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 22:17:18.96 ID:3crg9ztu0
-
甜花さんの死にも向き合わねばならないけど、今はそれよりも不審者を捕まえることが先決。
_______保健室を出ようとしたその時だった。
扉は外側より開かれた。
円香「……甜花?」
樋口さんだった。
めぐる「円香……!?」
円香「……どうやら、起きてしまったみたいですね」
樋口さんは甜花さんの死体を一瞥すると苦虫を噛み潰したような表情でそう呟いた。
灯織「ど、どうしてここに……?」
円香「どうしても何も……死体発見アナウンスがあったでしょ?どこで殺しがあったのか気になったから」
樋口さんは私たちの言葉にほとんど耳を貸さず、中腰になって甜花さんの亡骸に触れた。
- 259 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 22:18:49.92 ID:3crg9ztu0
-
円香「……辛かったんでしょうね、こんな表情で。苦しくて痛くて……恨んでも恨みきれない、そんな表情です」
咲耶「円香……何を」
円香「やっぱり、絆なんてそんなものなんですよ」
樋口さんは一歩ずつ私に向かって詰め寄ってくる。
心臓に刃物を突きつけられているような感覚……
限りなく深い色をした瞳孔に思わず吸い込まれていきそうになる。
灯織「……樋口、さん」
円香「口先だけで仲良しぶっても意味なんかない、特にエゴとエゴがぶつかり合うこのゲームでは」
喉がひりつく。
言葉が出てこない。
認めたくなくとも、現実は樋口さんの言うとおりになっている。
円香「いい加減認めたらどうですか?あなたたちの言う絆なんて嘘っぱ」
めぐる「あーもう!今はそれどころじゃないよ、円香!」
だけど、それをめぐるは正面から無視した。
- 260 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 22:20:58.20 ID:3crg9ztu0
-
円香「はぁ?」
めぐる「事件の真っ最中!学校の中を犯人が走り回ってるの!」
円香「……知りませんけど」
めぐる「もう、難しい話ばっかりしすぎ!円香も手伝ってもらうからね!」
円香「いや、だから」
めぐる「時間がないの、ほら早く!」
〜〜〜〜〜
咲耶「というわけで不審者の捜索を再開だ。どこに行ったか手がかりはない、学校エリアだけでなく寄宿舎エリア全体も調べないといけないね」
円香「……なんで私まで」
(本当に樋口さんを抱き込んでしまった……)
めぐる「うん、急がないとね!とりあえずわたしと灯織は寄宿舎エリアを捜索するよ!」
円香「待って」
咲耶「円香?」
円香「今私は自分の部屋からここまできた、だけど何も不審なものは見てない」
円香「不審者とやらは寄宿舎エリアから学校エリア一階にはいないでしょ」
摩美々「だとしたら私たちと入れ替わりになったってコト?」
咲耶「上の階にまた逃げたというわけかい……」
めぐる「それなら急いで戻らないと!霧子と凛世が危ないよ!」
咲耶「よし、それなら分担はさっきと基本は同じだ、円香は私についてきてくれ」
円香「……はぁ、なんで手伝ってるんだか」
(なんとしても事件が続くことだけは防がないと……)
(急いで不審者を見つけるんだ……!)
-------------------------------------------------
【不審者を見つけましょう】
1.プールを探す
2.図書室を探す
3.空き教室を探す
↓1
- 261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/04/30(金) 22:22:35.46 ID:r0z/iqRh0
- 1
- 262 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 22:24:58.17 ID:3crg9ztu0
- 1 プール選択
【プール】
さっきは調べられなかったけど……ここも隠れる所は豊富。
更衣室にプールサイド、潜水してる可能性もある。
隅々までくまなく探さないと!
……いない、霧子さんと凛世を襲った後にどこまで活発に動けるの?!
急がないと……!これ以上は、時間をかけるわけには……!
-------------------------------------------------
【不審者を見つけましょう】
1.図書室を探す
2.空き教室を探す
↓1
- 263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/04/30(金) 22:29:06.55 ID:ydNHOJ/L0
- 2
- 264 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 22:31:12.91 ID:3crg9ztu0
- 2 空き教室選択
【空き教室】
_____今度こそ!
人間の心理として、逃げれば逃げるほど追い込まれるはず……
そうなると行き着くのは、こういう袋小路のはず!
……いない、か。
やっぱりまた三階に逃げてしまったのかな……?
- 265 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 22:32:10.21 ID:3crg9ztu0
-
円香「いた……!いましたよ、不審者……!」
廊下に出た瞬間聞こえてきたのは今度は樋口さんの声。
ということは不審者はまたしても三階……?
また急いで階段に向かう私たち。
雛菜「なんかデジャブですよね〜……」
めぐる「……今度こそ、絶対に止めるよ!急ごう!」
灯織「うん!」
- 266 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 22:33:46.61 ID:3crg9ztu0
-
【1F 階段前】
もう……次はない。
ここまで散々かき乱してきた不審者を私たちの手でつかまえて、全てを終わりにする。
その覚悟で階段を降りてきた。
それなのに
灯織「また、扉が開いている……?」
保健室の扉はまたしても開け放たれていた。
めぐる「そん、な……」
雛菜「……」
樋口さんと合流して、保健室を出た時、確かに私たちはあの扉を閉めていた。
不審者の目撃証言と同様に、デジャブを感じてならない。
- 267 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 22:35:03.50 ID:3crg9ztu0
-
_________もう、頭の中で確信していた。
間に合わなかったんだ。
事はすでに終わっている。
それでも、ほんの僅かにも希望があるならそれを信じたい。
そんな心の強さと弱さの二律背反に突き動かされ、保健室を覗き込んだんだ。
世界は、残酷だった。
- 268 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 22:37:21.72 ID:3crg9ztu0
-
【大崎甜花の亡骸の脇で、自ら首を掻っ切って息絶えたかのような大崎甘奈の姿があった】
- 269 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 22:38:34.47 ID:3crg9ztu0
- -------------------------------------------------
CHAPTER03
部屋とオーパーツとワタシ
非日常編
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- 270 :もう少しだけ進みます ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 22:39:53.08 ID:3crg9ztu0
-
ピンポンパンポーン
『死体が発見されました!一定の捜査時間の後、学級裁判を開きまーす!』
寒い。寒い寒い寒い。
全身を突き抜けた寒気が体温を急速なまでに下げていた。
ただ死体を目撃した、ただ友人を失ったというだけではなく、自分たちの無力さがもたらした最悪の結末。
守ることができなかったという絶望感が全身を支配していた。
モノクマ「はいはい、皆さんお待ちかねのモノクマファイルの時間ですよー!」
灯織「も、モノクマ……」
モノクマ「いやぁ起きちゃいましたね、事件!しかも続け様に二回の殺しですか、とんだスピードアタッカーもいたもんですね!」
咲耶「待ってくれ、事件の解明は確かに急務だけど……今はそれどころじゃない」
モノクマ「ん?」
摩美々「カメラみてたんでしょー?今私たちは殺人鬼の不審者を追跡するので手一杯なんですよ」
モノクマ「あー、今ってみんなで鬼ごっこ中なんだっけ!」
- 271 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 22:40:56.64 ID:3crg9ztu0
-
雛菜「人の命がかかってるんですけど〜?」
モノクマ「ま、それはもういいんじゃない?」
めぐる「よくないよ!!!!!」
モノクマ「ほら、大崎さんの死体をよく見なよ」
モノクマは甘奈のぐったりとした死体に近寄ると、
左手に握られていた一つの封筒を手に取った。
モノクマ「代読、風野灯織さん!」
灯織「わ、私ですか……?」
モノクマに手渡された血染めの封筒、それを恐る恐る開くと『遺書』の文字があった。
『遺書
もうこれ以上コロシアイに耐えられません。お姉ちゃんを殺したのは甘奈です。みんなを道連れにして甘奈は死にます。ごめんなさい。』
咲耶「……これは」
摩美々「遺書、甘奈は自殺して死んだ……そういう意味だねー」
めぐる「そ、それにこの文面……あの不審者が甘奈だったって言ってるようなものだよ!」
甘奈が凛世を襲い、甜花さんを殺し、霧子さんと凛世を誘拐した犯人だった……?
だが、手紙はその真実を裏付ける根拠としては十分な証拠。
この文面通りなら、事件はここに完結したことになる。
- 272 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 22:42:50.46 ID:3crg9ztu0
-
雛菜「やっぱり不審者の正体はアルストロメリアのアイドルだったんですね〜」
灯織「市川さん…?」
雛菜「これ、死体が被ってるのも写真の不審者が着てたやつと一緒ですよね〜」
よく見ると甘奈は布のようなものが覆いかぶさりかけたような形で倒れている。
姿勢から見て正しくは脱げかけた形なんだろう。
絶命に伴い、後ろ向きに倒れた時に体が一部露出した。
そしてその布は……紫色だ。
咲耶「私の見た不審者と全く同じ着ぐるみだね……」
顔の部分にはデビ太郎そっくりの目と鼻がついており、凛世の撮った写真とも合致する。
咲耶さん樋口さんの両名が目撃した不審者もおそらくこれと同一のはずだ。
……つまり、不審者の正体は甘奈だった?
モノクマ「うぷぷ……ボクが言いたいことはわかってくれた?」
摩美々「不審者が連続殺人を引き起こした、けどその犯人もとい不審者はすでに自殺しているからこれ以上の事件が起こりようはない……ってコト?」
モノクマ「そうそう!まあ同一のクロが殺せるのは二人までなんで、少なくともここから同じクロが引き起こす事件はないってことだよね!」
咲耶「そういうわけか……」
- 273 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 22:44:20.68 ID:3crg9ztu0
-
灯織「ま、待ってください!まだ霧子さんと凛世……それにチョコと愛依さんの所在が明らかになってないんです……」
モノクマ「あー、まあそれも大丈夫だよ。少なくとも死ぬことは無いんじゃないっすかね」
灯織「そ、そんな適当な……」
モノクマ「というわけで改めまして〜……『ザ・モノクマファイル』〜〜〜!!」
雛菜「ひと息つく間もないですね〜」
めぐる「うぅ……また学級裁判をやらなきゃなんだね……」
モノクマ「今回は二人も死んでるからね、モノクマファイルも2倍の厚みでございますよ!」
モノクマ「ところでオマエラは夜にハンバーガーを食うときは倍にする?ボクはがめついクマだと思われたくないから2個ハンバーガーを注文するんだけどさ」
咲耶「捜査に集中したい、無駄話をするなら避けてくれるかい?」
モノクマ「……(チッ、うっせーな)反省してまーす」
モノクマは咲耶さんに窘められるままに現場から消えていった。
めぐる「灯織……」
まだ、体は凍りついたようになっていた。
引いた血の気は戻ってこないし 、頭は真っ白なまま。完全にショート寸前だ。
だけど、ここで足踏みしているわけにはいかないことは嫌でも分かる……
灯織「めぐる、やろう。絶対にこの事件の全てを明らかにしよう……!」
めぐる「うん!」
【捜査開始】
- 274 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/04/30(金) 22:47:37.31 ID:3crg9ztu0
-
というわけで今回の更新はここまでです。
3章にて大崎姉妹が両名揃って退場となりました。
ダンガンロンパシリーズでは3章は連続殺人……これは外せませんからね。
さて、次回更新なのですがGWの予定がまだちょっと定まりそうにないので次回更新のめどはまだ立っておりません。
明日もできる……かもちょっとわからないので改めてまたお伝えさせていただきます。
次回は捜査パートから、それではお疲れ様でした。
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【ここまでの親愛度】
・【超高校級の飼育委員】櫻木真乃……1.0【DEAD】
・【超高校級の占い師】風野灯織……(主人公)
・【超高校級の助っ人】八宮めぐる……0
・【超高校級の保健委員】幽谷霧子……0
・【超高校級のモデル】白瀬咲耶……3.5
・【超高校級の服飾委員】田中摩美々……7.5
・【超高校級の幸運】園田智代子……3.0
・【超高校級の応援団長】西城樹里……3.0【DEAD】
・【超高校級の日本舞踊家】杜野凛世……2.0
・【超高校級のゲーマー】大崎甜花……3.0【DEAD】
・【超高校級のスタイリスト】大崎甘奈……1.0【DEAD】
・【超高校級のギャル】和泉愛依……2.0
・【超高校級の???】浅倉透……0【DEAD】
・【超高校級のディベート部】樋口円香……0
・【超高校級の帰宅部】市川雛菜……7.0
・【超高校級の学級委員】福丸小糸……12.0【DEAD】
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- 275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/04/30(金) 22:55:42.32 ID:ydNHOJ/L0
- お疲れ様でした
- 276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/04/30(金) 22:55:53.02 ID:1V+slsFV0
- 乙です、やっぱりかー…
原作1-3のノリだと凛世に何かあるな…?
- 277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/04/30(金) 23:07:38.26 ID:r0z/iqRh0
- 乙です
複数人で行動していたからクロをある程度絞り込めるとはいえ
どうなることやら
- 278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/05/01(土) 02:10:45.84 ID:rUGeNrEz0
- 凛世を担ぎ込んだ時の保健室に甜花ちゃんいなかったのが鍵かなー
トイレ行ってただけか、既に別室で殺されてたか、単に寝てたのを描写しなかった叙述トリックか
死体発見アナウンスが鳴っても姿を見せない行方不明者といい怪しい奴ばっかですな
- 279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/05/01(土) 14:07:58.78 ID:BqnHDDsu0
- 行方不明の2人いれば保健室待機2人含めて3・3・2で分割できたろうになぁ
- 280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/05/01(土) 21:14:37.30 ID:KP2bucdR0
- 不謹慎かもだけど、大崎姉妹がどちらか欠けて辛くなるような展開にはならなくてよかった…せめて2人で安らかに眠ってほしい…
- 281 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/03(月) 10:14:28.36 ID:h61bRmIJ0
- GW期間中、いつもの時間にはまとまった時間は取りづらいのですが、23:00~の更新ならいけそうです。
本日23:00~捜査パートの更新を行ってもよろしいでしょうか?
- 282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/05/03(月) 12:29:20.38 ID:fu+fm4oLo
- おkです
- 283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/05/03(月) 12:39:25.20 ID:AjiKd8tU0
- 承知しました
- 284 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/03(月) 23:00:10.45 ID:h61bRmIJ0
- それでは3章捜査パートより更新いたします
- 285 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/03(月) 23:01:28.57 ID:h61bRmIJ0
- 【捜査開始】
摩美々「捜査を始めるのはいいとして、4人の捜索も並行して行わないといけないですよねー」
雛菜「不審者さーん?どこに連れて行ったんですか〜?」
咲耶「雛菜……死者は答えてはくれないよ」
摩美々「不審者の行動パターンからして学校エリアの1〜3階のどこかだとは思いますケド」
円香「……まあ、捜査の途中で見つかったらでいいんじゃないの」
雛菜「円香先輩はみんな死んじゃってもいいと思ってるから適当言えますよね〜」
円香「……」
咲耶「しかし円香の言うことにも一理ある、モノクマの口ぶりからしていますぐどうこうという話ではなさそうだし、何よりいまこちらの人手も6人と少数だ」
摩美々「円香の監視もしないといけないですし実際はもっと少ないかもね」
円香「……は?」
樋口さんの監視……それも致し方ないことだろう。
樋口さんは前回の裁判以来『殺す』ことに躊躇がなくなり、
私たち全員がこのコロシアイ合宿生活の中で死んでしまっても構わない破滅的な思想を持つようになってしまった。
自由にさせていては現場を荒らされる可能性すらある。
円香「まあ好きにしていただければ、私は私で『頑張ります』ので」
雛菜「む〜……」
咲耶「よし、ひとまずは捜査だ。もしかすると霧子たちの所在の手がかりもあるかもしれないしね」
摩美々「なにより学級裁判で負けてちゃ元も子もないですからー」
めぐる「うん……!頑張ろうね!」
灯織「はい!」
- 286 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/03(月) 23:03:38.64 ID:h61bRmIJ0
-
まずはモノクマファイルの確認から。
今回は甜花さんと甘奈の二人が犠牲者になってるから…二人分か。
『被害者は大崎甜花。死因は腹部を滅多刺しにされたことによる失血死。
被害者は大崎甘奈。死因は頸動脈を裂かれたことによる失血死』
どちらも死因としては失血死、つまり出血多量で死んだことになるみたい。
確かに現場には彼女たちのものと思われる血液がそこら中に散っている。
特に甜花さんは滅多刺しとまで書かれているのだから相当なものだったんだろう。
コトダマゲット!【モノクマファイル3】
〔被害者は大崎甜花。死因は腹部を滅多刺しにされたことによる出血死。
被害者は大崎甘奈。死因は頸動脈を裂かれたことによる出血死。〕
(さて、今回の調査で大切になるのは私たちが事件にリアルタイムで居合わせていたこと)
(となると不審者の移動経路は調べておく必要はあるよね……)
(もちろん遺体のある現場の保健室も調べておく必要がある)
(それと事件に関与していない学校エリアの部屋……これも調べておかないと。霧子さんたちがそこにいるかもしれない)
(まずは私がいる、現場からだね)
-------------------------------------------------
どこを調べよう……?
1.二人の死体
2.ゴミ箱
3.ベッド
4.咲耶に話を聞く
↓1
- 287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/05/03(月) 23:06:29.55 ID:AjiKd8tU0
- 4
- 288 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/03(月) 23:10:11.51 ID:h61bRmIJ0
- 4 選択
咲耶「どうだい、灯織……捜査は順調かい?」
灯織「……うーん、まだわからないことも多いです」
咲耶「私たちの目の前で起こったとはいえ、かなり複雑なものだったからね……どうだろう、ここで一度事件について整理してみようか」
灯織「そうですね、お願いします」
咲耶「まず最初に凛世が学校エリアの廊下で襲われた……その際に駆け付けたのはめぐると灯織、摩美々と雛菜と私だったね」
灯織「はい……あれはたしか13時頃だったかと思います」
咲耶「その後不審者は階段を使って上の階に移動したので、そこで探索を開始……次に不審者が姿を現したのは私の前だった」
灯織「咲耶さんの声に従ってすぐに一階まで全員で駆け下りたんですよね」
咲耶「その結果、保健室が荒らされていることに気づき……そこで覗いてみると甜花の死体があったんだ……」
灯織「それと同時に樋口さんが合流してたんでしたね」
咲耶「概ね同時刻だね……姿を消した霧子と凛世を探すために動き出した瞬間、部屋に入ってきたんだ」
灯織「それで樋口さんの証言を基にもう一度上の階で捜索を始めたんですよね」
咲耶「そう、最後に不審者が現れたのは円香の前……またしても階段を駆け下りたので後を追うと、保健室の中には不審者の着ぐるみを着て息絶えた甘奈の姿があったんだ」
灯織「……ありがとうございます。改めて整理できました」
咲耶「礼には及ばないさ、私にできることはこれくらいだからね」
コトダマゲット!【不審者の目撃情報】
〔まず最初に凛世が学校エリアの廊下で襲われた。
その後不審者は階段を使って上の階に移動し、灯織たちはそこで探索を開始。
咲耶が3階から降りていく不審者を発見し、一同は階段を駆け下りて、保健室が荒らされていることに気づく。
そこで覗いてみると甜花の死体があった。
それと同時に円香が合流。
姿を消した霧子と凛世を追うため円香の証言を基に不審者を捜索、一同は再度階段を登ることに。
捜索を続けていると不審者が再度出現、またしても階段を駆け下りたので後を追うと保健室の中に不審者と全く同じ格好で息絶える甘奈の姿があった〕
-------------------------------------------------
どこを調べよう……?
1.二人の死体
2.ゴミ箱
3.ベッド
↓1
- 289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/05/03(月) 23:15:54.26 ID:j12nbobs0
- 1
- 290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/05/03(月) 23:17:09.15 ID:lXmVciR30
- 1
- 291 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/03(月) 23:21:31.51 ID:h61bRmIJ0
- 1 選択
二人の血痕はまだ新しく、血液にも彼女たちが生きていたころの熱気を感じさせる……
私たちの目の前で事件が起こったゆえの生暖かさ……
これを、私たちは受け止め、刻み付けなくてはならない……
先に死んだのは甜花さんのはずだ。
不審者の捜索以後、はじめに保健室に覗いた際に彼女は既に死んでいた……
そこから再度不審者の捜索に移って、
今度保健室に戻ると死んでいたのは甘奈……
奇しくも姉妹が同じ事件で似たような絶命をしている……
犯人の意図はいったいどこにあるんだろう……?
さて、死体とその近辺をざっと見たところ、やっぱり注目すべきは甘奈の方かな?
甘奈の格好もそうだし……遺体近辺に気になるものが多い。
これら一つ一つを調べていく必要がありそう。
-------------------------------------------------
どこを調べよう……?
1.甘奈の死体
2.甘奈が着ているデビ太郎の着ぐるみ
3.甘奈の遺書
4.甘奈の握っている刃物
↓1
- 292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/05/03(月) 23:24:42.70 ID:j12nbobs0
- 2
- 293 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/03(月) 23:26:23.85 ID:h61bRmIJ0
- 2 選択
摩美々「やっぱり甘奈は死んだときデビ太郎の着ぐるみを着ていたみたいだねー」
灯織「摩美々さん……」
めぐる「確かに着ぐるみが脱げかけみたいに見えるけど……言い切れるの?」
摩美々「ほら、甘奈は首から大量に出血してる……でもその血液は着ぐるみの内側にしか付着してないよねー?」
言われてみればそうだ。頸動脈を裂かれた甘奈出血量は尋常ではない、だけどその血液は決して着ぐるみの外側には付着していない。
摩美々「しかも着ぐるみの裂かれたところは甘奈の首元の位置と一致してるよねー」
めぐる「そっか……着ぐるみって言っても布地だし、その上から刃物で切り裂かれた可能性もあるんだ……」
摩美々「甘奈の命を奪った犯人が甘奈本人にしろ、別の誰かにしろ相当急いでたのかもねー」
コトダマゲット!【甘奈の着ぐるみ】
〔甘奈の死体が着ていた着ぐるみは血液が内側にしか付着していない。刃物で切った痕跡は甘奈の首元と一致しているため、着ぐるみの上から切りつけたものと思われる〕
- 294 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/03(月) 23:27:29.49 ID:h61bRmIJ0
-
(甘奈が着用していた着ぐるみをもっと調べてみよう……)
(作り自体は単純だ。シーツのような布地を上から着色したものをてるてる坊主のように仕立てたもの)
(頭部より下はポンチョのようになっているので手足は自由に動かすことができる。事件発生直後に凛世の撮影した写真とも特徴が一致している)
めぐる「これだけ手と足が自由に動かせたら学校中を走り回ったりできるね!」
灯織「うん……みんなの証言に出てきた不審者の情報にも矛盾はないね」
めぐる「布で作った簡単な作りだから、誰でも自由に使えそうだよね」
灯織「そうだね、デパートとかでよく見るのとは違うから……着ぐるみっていい方もふさわしいかどうか」
めぐる「うーん……布……かぶる……はしる……布かぶり……違うな〜……」
(重要なのはこれを着たままでも十分事件は実行可能だったってことだよね、ちゃんと覚えておこう)
コトダマゲット!【デビ太郎の着ぐるみ】
〔シーツのような布地を上から着色し、てるてる坊主のように仕立てたもの。頭部より下はポンチョのようになっているので手足は自由に動かすことができる〕
- 295 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/03(月) 23:29:29.40 ID:h61bRmIJ0
-
灯織「……あれ?」
着ぐるみを調べていると一点目に止まるものがあった。
これもまた上から着色されているので目立つものではないけど、ガムテープをバッテンに重ねて補修した痕がある。
めぐる「破れちゃったのかな?」
灯織「……みたいだね、何かに引っ掛かったとか……とっさに塞いだ痕みたいでかなり雑。製作者としては想定外だったのかも」
めぐる「あ、だったら不審者を自分の目で見た人たちにこの特徴を聞いてみようよ!もしも補修した跡に見覚えがあれば裏付けになるよね?」
灯織「うーん、どうだろう……緊急時も緊急時、私ほどじゃなくてもみんなパニックに近かっただろうししっかり観察できたとは思いづらいかな」
めぐる「そっか……」
(でも、もし形として残している人がいればそれと照らし合わせることは可能かも?)
コトダマゲット!【補修痕】
〔甘奈の着ていた着ぐるみにあった補修痕。ガムテープを×印に重ね合わせていてよく目立つ〕
-------------------------------------------------
さて、着ぐるみ周りはこのくらいかな……?
1.甘奈の死体
2.甘奈の遺書
3.甘奈の握っている刃物
↓1
- 296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/05/03(月) 23:31:33.95 ID:AjiKd8tU0
- 2
- 297 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/03(月) 23:33:15.20 ID:h61bRmIJ0
- 2 選択
甘奈の遺体付近に落ちていた紙……ついさっき私も読んだ甘奈の遺書だ。
めぐる「うぅ……甘奈、この合宿生活で思い詰めてたんだね」
灯織「この遺書を信じると、そうだね……心中なんて並大抵のことではないし……」
めぐる「だってお姉ちゃんの甜花を殺しちゃってるんだもんね……」
(そう、この遺書は甘奈が甜花さんを殺害したことまで書かれている……)
(甘奈が、甜花さんを……)
(本当に、そうなのかな……)
(なんだろう、この違和感……この遺書自体に強い違和感を感じる……)
めぐる「灯織?」
灯織「この遺書……もしかするともっと別の手掛かりになるものかもしれない」
めぐる「……?」
(なんにせよ、しっかりと覚えておこう)
コトダマゲット!【甘奈の遺書】
〔現場に落ちていた甘奈の遺書。犯行を自供する内容が書かれており、甘奈は心中のために犯行に及んだ。『遺書 もうこれ以上コロシアイに耐えられません。お姉ちゃんを殺したのは甘奈です。みんなを道連れにして甘奈は死にます。ごめんなさい。』〕
-------------------------------------------------
あと少しかな……
1.甘奈の死体
2.甘奈の握っている刃物
↓1
- 298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/05/03(月) 23:34:17.45 ID:AI/ls6Z+0
- 2
- 299 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/03(月) 23:35:52.56 ID:h61bRmIJ0
- 2 選択
甘奈の遺体の側で鈍く光る銀色の刃物……
これは、彫刻刀……?
めぐる「これって……美術室にあったやつだよね……?」
灯織「うん、多分……凛世を襲った時にも不審者が刃物を持ってたけど、これだったのかな」
めぐる「どうだったっけ……写真を見たら一発なんだけど」
灯織「凛世が見つかったら、それも含めて確認しておきたいよね」
めぐる「えっと……彫刻刀が凶器ってことは、甘奈は人を刺して殺害しようとしてたってことだよね?」
灯織「そうなる……実際甜花さんは腹部をめった刺しにされて殺されてるし」
めぐる「うぅ……残酷だね」
(……あれ?甜花さんを殺したのはこの凶器、なんだよね……?)
(にしては、綺麗すぎるような気がするんだけど……)
コトダマゲット!【彫刻刀】
〔甘奈が実際に持っていた凶器。美術室で誰でも入手可能な代物で、人を刺殺するためのもの。不自然なまでにきれいな状態である〕
-------------------------------------------------
【選択肢が残り一つなので自動進行します】
- 300 :sage :2021/05/03(月) 23:36:02.68 ID:j12nbobs0
- 1
- 301 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/03(月) 23:38:51.66 ID:h61bRmIJ0
- 【甘奈の死体】
甘奈……
思えば学級裁判でも頻繁に疑問を投げかけてくれて私たちを前に進めてくれていたし、
なにより甘奈の明るさは私たちのとってかけがえのない希望だった……
そんな彼女が本当に不審者だったんだろうか……
(うぅ……これが死因、なんだよね……)
甘奈の死体を調べようと意気込んだものの、流石に傷跡を直視はしがたい……
それでもなんとか目を開けたり瞑ったりを繰り返して甘奈を確かめる。
なるほど、モノクマファイルの情報通り首元の切り傷がそのまま死因みたい。
他に目立った外傷はない、ということは争った後も無いってことだよね。
(……あれ?)
そんな中で目に入ったのは甘奈の右手。掌がべったりと血の跡で汚れている。
めぐる「わわっ!甘奈擦りむいちゃってるのかな?!」
灯織「めぐる、落ち着いて……これは傷痕じゃないよ、付着してるだけ」
めぐる「そ、そっか……」
(でも、こんなに全面に付着するなんて……何か出血中のものを触ったのかな……?)
(……あ!)
灯織「めぐる、わかったよ。これは首の傷を抑えた跡なんだ」
めぐる「え?どういうこと?」
灯織「ほら、首元の血の跡、よく見たら手の指みたいに伸びてるところがあるでしょ?これが甘奈の手が重なってた証拠なんだよ」
めぐる「……ほんとだ!一致したよ!」
(間違いない、甘奈は絶命する前に傷痕を自分の手で抑え込んでいる)
(つまりは止血を試みたってことなんだ……!)
コトダマゲット!【甘奈の右手】
〔甘奈の右手には血液がべったり付着している。その痕跡は首元と完全に一致。甘奈が絶命前に止血を試みていたことがわかる〕
-------------------------------------------------
遺体の関連で調べるべきところは概ね調べ終わったかな。
後はこの保健室という事件現場について。
遺された疑問は一つでも解消しておかないと。
どこを調べよう……?
1.ゴミ箱
2.ベッド
↓1
- 302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/05/03(月) 23:40:16.38 ID:s1Wjb4RO0
- 1
- 303 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/03(月) 23:41:53.25 ID:h61bRmIJ0
- 1 選択
円香「……雑」
灯織「樋口さん?」
めぐる「円香、何見てたの?」
円香「……はぁ」
樋口さんがため息まじりに指さしたのは保健室の片隅にあるゴミ箱。
樋口さんの言葉通りに、何かビニールの容器が乱雑に押し込まれたままになっている。
灯織「これはなんでしょうか……?」
めぐる「Blood transfusion……えーっと輸血、かな?」
灯織「輸血……?」
摩美々「二人は知らないのー?」
摩美々さんは保健室の冷蔵庫を開いて見せた。そこには飲料水の類は少ししかなく、あとはすべてゴミ箱の容器と同じビニールがずらりと並んでいる。
摩美々「ここに輸血パックがずっと保存されてたんだよ」
灯織「すごい……こんなにも数が……」
摩美々「誰でも使用可能だったし、治療か何かに使われたのかもしれないねー」
円香「そうそう使わないでしょ、輸血パックなんて」
(誰でも使えた輸血パックか……)
(怪しいな、覚えておこう)
コトダマゲット!【輸血パック】
〔保健室の冷蔵庫に備蓄されていた輸血パック。ゴミ箱に乱雑に空の容器が捨てられていた〕
-------------------------------------------------
【選択肢が残り一つなので自動進行します】
- 304 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/03(月) 23:43:16.02 ID:h61bRmIJ0
- 【ベッド】
灯織「ま、摩美々さん……?」
妙に静かだと思ったら摩美々さんは床に這いつくばるようにして、保健室のベッドの下に手を伸ばしていた。
灯織「な、何をしてるんでしょうか……?」
摩美々「成人向け雑誌を隠すならここかなーって」
灯織「え、は、え、ええっ?!そ、そんな本が……?」
摩美々「冗談だって、大体ここ女子しかいないじゃーん」
灯織「そ、それはそうですが……」
しばらくすると摩美々さんはなにかを引っ張り上げ、私の前に立ち上がった。
摩美々「やっと取れた、やたら奥に押し込んであったんだよね」
灯織「それは……?」
プラスチックでできた楕円形の容器……?
あまり見慣れない形状だけど……
咲耶「湯たんぽだね?」
摩美々「あ、わかるー?」
咲耶「ああ、以前病気になった時父が用意してくれてね。先人の知恵というやつさ、お湯を入れて抱きしめるだけで驚くほど体が温まるんだよ」
灯織「へぇ……そうなんですか、話には聞いていましたが、実際に見たことはなかったです」
咲耶「フフ、私たち世代にはあまり馴染みがないかもね」
2000年代にはエアコンが主流だし、こうしたものは写真ぐらいでしか見たことがないかも。
灯織「……でも、どうして湯たんぽが?」
咲耶「うーん……甜花の体を温めるのにでも使っていたのかな?」
摩美々「だとしたらあんなに奥まで押し込む必要はないと思うんだよねー」
(まさか……事件にこれも関係あるの?)
コトダマゲット!【湯たんぽ】
〔保健室のベッドの下に押し込められていた湯たんぽ。中にお湯を入れて抱きしめておくだけで体中がグッと温まる〕
- 305 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/03(月) 23:45:08.57 ID:h61bRmIJ0
-
(事件現場で気になったのはこれくらいかな?)
(今回の事件は私たちの目の前で起きた……事件の捜査をするならその要所要所をしっかり確認しておかないといけないよね)
咲耶「おや、イルミネの二人は保健室での捜査はひと段落ついたのかい?」
めぐる「うん、そろそろ移動して捜査をしようかなーって」
摩美々「私もそろそろ移動したいんだケド、どうしましょうかー」
摩美々「現場の保全と円香の監視が必要でしょー?」
雛菜「雛菜円香先輩と一緒は嫌なのでそれ以外ならなんでも〜」
円香「……好きにすれば」
咲耶「はは……それなら雛菜、私と一緒に現場の保全を頼めるかい?」
雛菜「わかりました〜」
摩美々「咲耶ぁ?」
- 306 :すみません、少し短いですが丁度捜査パートの折り返しぐらいになると思うのでそろそろいったん終わります ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/03(月) 23:47:29.98 ID:h61bRmIJ0
-
咲耶「摩美々、私の分も任せたよ」
摩美々「それじゃあ円香は私についてきてもらえますー?」
灯織「えっ、ま、摩美々さんがお一人で監視するんですか?」
摩美々「大丈夫だよー」
摩美々「今は事件の捜査中だから円香が危害を加えてくることはないし、私は霧子たちの捜索をメインにするからー」
めぐる「そっか……もう事件は起きないってモノクマも言ってたしね」
摩美々「円香も離れないでよねー」
円香「……わかってる」
雛菜「あは〜、円香先輩金魚のフン〜」
めぐる「ってことは捜査をメインでやるのはわたしと灯織なんだね?責任重大だ!」
灯織「うん、めぐる!頑張ろう!」
今回は人手が足りていない……
捜査を任された人間として責任は大きいよね、抜かりなくやらないと……!
- 307 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/03(月) 23:49:54.34 ID:h61bRmIJ0
-
めぐる「捜査はどこを調べればいいかな?」
灯織「事件が起きたところで言うと……凛世が襲われた学校エリア一階の入り口近辺が最初だったよね」
めぐる「その後に咲耶が三階で不審者を目撃して……」
咲耶「ああ、そういえば私が不審者を目撃したのは美術室の方だったよ。何か証拠があるかもしれない、是非調べてみて欲しい」
灯織「あ、ありがとうございます!」
めぐる「で、保健室に行って……その後に不審者を目撃したのは、円香だったよね」
円香「……そうだけど」
灯織「あ、あの……不審者はどこで見かけたんですか?」
円香「私も一緒……美術室の方だったはず」
めぐる「オッケー!それなら三階はそこだけで良さそうだね!」
灯織「あと調べておきたいのは……甘奈の部屋かな」
めぐる「え?どうして?」
灯織「ほら……今回は甘奈が犯行を自白した旨の手紙が落ちてたでしょ?それなら甘奈の部屋にも自殺を仄めかすような手がかりがあるかもしれないし……」
めぐる「そっか!それじゃあちゃんと調べておかないとね!」
(よし……整理できた)
(今回調べるべきは、学校エリア一階の入り口付近、美術室、甘奈の部屋の三箇所がメイン)
(……絶対に真実を明らかにしてみせる!)
- 308 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/03(月) 23:54:40.58 ID:h61bRmIJ0
-
というわけで短めですがここまで。
次回捜査パートは一つの箇所につきコトダマが一個ぐらいになりそうなので安価そこまで出さず自動進行するかもです。
それと前もってお伝えしておくのですが、現状4章は書き溜めが出来ていないので、
更新を暫くお待たせすることになると思います。
それと五月の後半から本格的に実生活が忙しくなるので、
前スレでも言った通り数か月ほど空ける可能性も出てくるかと思います。申し訳ない。
それまでに3章をやって一つの区切りにしておきたいので、どうかお付き合いください。
それではお疲れ様でした。
次回更新は5/4 22:30〜予定です。
- 309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/05/03(月) 23:57:21.81 ID:AjiKd8tU0
- 乙です
無理はなさらないよう
いつまでも待ちますので
- 310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/05/04(火) 00:27:45.97 ID:cV3k0AiW0
- お疲れさまです
楽しませていただいている身です
いくらでも待ちますとも
- 311 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/04(火) 22:30:38.58 ID:/8Dwz+lS0
- -------------------------------------------------
【学校エリア一階廊下】
(今回の事件の始まりはここだった)
(学校中に響き渡る凛世の絶叫を耳にして、私たちは駆けつけたんだ)
灯織「そういえばめぐるは私より先に駆けつけてたよね?」
めぐる「うん、だけどもう不審者はいなくなってたよ」
めぐる「わたしが着いたときにはもう、凛世は怪我しちゃってたんだ……」
(思えば凛世は怪我で済んだのは幸運だった)
(あの時、めぐるが来るのが遅れていれば……もしかすると……)
めぐる「うーん……でも手がかりらしい手がかりはないね……」
灯織「確かに目ぼしいものはなさそうだね……」
めぐる「……ん?ねえ、灯織!あそこの扉って凛世の事件があったとき開いてたっけ?」
めぐるが指さしたのは1-B教室。
真乃の事件で浅倉さんが命を落とした教室のすぐ隣の部屋だ。
その扉は不自然に半開きになっている。
灯織「ホントだ……」
めぐる「この扉、しっかり閉めないとすぐ開いちゃうんだよねー」
めぐる「……ん?ってことは……誰かが出入りしたのかな?!」
おそらくはそういうことだ。
私たちが凛世と共にこの場所を離れた後、何者かがこの部屋を出入りした。
霧子さんたちを捜索中の摩美々さんと樋口さんが開けた可能性もないわけではないけど、見ておいて損はないだろう。
私とめぐるは1-B教室へと踏み入れた……
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- 312 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/04(火) 22:34:11.49 ID:/8Dwz+lS0
- 【1-B教室】
めぐる「うーん、何か事件があった雰囲気……ではないね」
灯織「うん……でも、いくつか気になるものはあるよ」
めぐる「ほんと?!」
灯織「めぐる、お手柄だよ。多分この部屋は今回の事件でも鍵を握ってるよ」
めぐる「やった!それじゃあ隈なく調べよう、灯織!」
-------------------------------------------------
教室の机の上にポツンとおかれているのは手のひらに収まるほどの大きさの機械。
めぐる「あれ?こんなのこの学校で見たことないよね?」
灯織「……うん、見かけないね。ストップウォッチ……みたいだね」
めぐる「……こうやって使うのかな?よいしょ」
ピピピピピ!
めぐる「わ、わぁっ?!」
(……すごい大きな音!)
灯織「め、めぐる……止めて、止めて……!」
めぐる「わわわ、わかった……お願い、止まって!」
- 313 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/04(火) 22:38:07.41 ID:/8Dwz+lS0
-
めぐる「……止まった」
(……鼓膜が破れるかと思った)
めぐる「ストップウォッチなのにこんなに大きな音じゃ校内中に響いちゃうよ……」
灯織「……うぅ、頭がガンガンする」
(……あれ?)
灯織「ねえめぐる、今の音……聞き覚えない?」
めぐる「え……?うーん……」
めぐる「あっ!咲耶が不審者を目撃したとき、鳴ってたよね?!」
(そうだ……私たちが慌てて保健室まで駆け下りたあのとき、学校中にこの音が鳴り響いていた!)
めぐる「でも、甜花の死体を発見して気がついたらもうこの音止んでたよね?」
灯織「うん……きっと誰かが今のめぐるみたいにこのアラームを止めたんだよ」
めぐる「てなると、誰かがこの部屋に来てたのは間違いないんだね!」
コトダマゲット!【ストップウォッチ】
〔1-Bに置かれていたストップウォッチ。一定の時間を設定することができ、時間になると学校中に響き渡るほどの爆音が鳴る。咲耶が不審者を目撃したときにも鳴っていた〕
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- 314 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/04(火) 22:39:54.27 ID:/8Dwz+lS0
- -------------------------------------------------
(事件に関係あるものを何か隠すとすれば、ロッカーあたりかな?)
灯織「うわっ?!」
教室後ろのロッカーをそんな何気ない気持ちでガチャリと開けると
ドサリと私に向かって一枚の布が覆いかぶさって落ちてきた。
めぐる「灯織?!大丈夫?!」
灯織「う、うん……急に布が……なんだろう、これ」
めぐる「ちょっと待ってて、広げてみてみよう!……よいしょ!」
めぐると協力して二人で教室の床に布を広げてみた。
布は全面が紫色に着色されており、一部には既視感のあるイラストが書かれている。
めぐる「あれ?これって……」
灯織「甘奈の着ていたきぐるみと同じデザイン、だね」
めぐる「うん、不審者が着てたやつだよ!甘奈のやつは一部が破れて補修した跡があったけどこっちには無いね!」
灯織「どうして同じデザインの着ぐるみが二個……?しかもかなり乱暴にロッカーに押し込められていた……」
めぐる「くしゃくしゃになっちゃってるね……誰かが使った後みたい」
(どういうこと……?不審者の正体は甘奈じゃなかったの……?)
コトダマゲット!【教室の着ぐるみ】
〔1-B教室のロッカー内に押し込まれていた着ぐるみ。デザインは全く甘奈のものと同じ。誰かが着用したような痕跡がある〕
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- 315 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/04(火) 22:41:33.92 ID:/8Dwz+lS0
- -------------------------------------------------
【美術室】
咲耶さんと樋口さんの証言では、この辺りで不審者を目撃したらしい。
何か不審者が潜んでいた痕跡でもあればいいんだけど……
めぐる「あっ!灯織!これ見て!」
灯織「……それって、彫刻刀……だよね?」
めぐる「うん、甘奈が握ってたのと同じ型みたい……やっぱりここにあったものを凶器として持ち出したんだね」
灯織「……うん、数も合ってないし、やっぱりそういうことなんだ」
灯織「そう考えるとデビ太郎の着ぐるみもここで作られたものなのかな……ほら、あそこにビニールシートみたいなのもあるし、使用後の塗料もある」
めぐる「ホントだ……!!今回の事件に関係するものは、ほとんどここから持ち出されてたんだね!」
-------------------------------------------------
めぐる「あれ、そういえばこの部屋って鍵がついてるんだね」
灯織「めぐる?」
めぐる「ほら、美術倉庫の扉だよ。ここって内側から鍵がかけられそうじゃない?」
灯織「え?……ホントだ、個室以外にこんなところがあったんだ」
めぐる「ここになら潜伏できそうじゃないかな?」
灯織「……うん、めぐるの言う通りだよ。ここなら不審者は捜査の目を掻い潜って潜むことができたんだよ」
めぐる「ここに隠れてタイミングを伺って……それで咲耶と円香の前に現れたんだね?」
灯織「うん……そうだと思う」
コトダマゲット!【美術倉庫】
〔学校エリアで唯一内側から鍵をかけることができる部屋。不審者はここに潜伏していた可能性が高い〕
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- 316 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/04(火) 22:43:15.09 ID:/8Dwz+lS0
- -------------------------------------------------
【甘奈の部屋】
めぐる「甘奈の部屋……もしかしたらここにも手がかりがあるかもしれないんだね」
灯織「うん、遺書が本当だとしたら事件の計画書なんかがあってもおかしくない……調べておいて損はないよ」
めぐる「でも……どうしよう、個室だから調べようにも鍵がないよ?」
灯織「それはそう、なんだけど……」
めぐる「あっ……もしかして」
灯織「うん、あんまり呼びたくはないんだけど、仕方ないかなって……モノクマ」
モノクマ「はいはいお呼びですかお嬢さん?!」
めぐる「わわっ?!どこから出てきたの?!」
モノクマ「イカがインクの中に潜むように、クマは陰に潜むことができるんだよ」
灯織「はぁ……」
- 317 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/04(火) 22:44:19.12 ID:/8Dwz+lS0
-
モノクマ「で?なんの御用?」
灯織「あの……甘奈の部屋の扉の鍵開けてもらえないでしょうか」
モノクマ「あらま!破廉恥!」
灯織「ち、違っ……!」
モノクマ「いいねぇ、青春まっしぐらですな。ボクもそういう時代があったもんだよ。かつてはこのキュートな見た目の中にピンクの綿が詰まってたからね」
めぐる「ん?破廉恥ってどういうこと?」
モノクマ「……八宮さんは眩しいなぁ」
灯織「あの、モノクマ。これは捜査のためなんです。学級裁判を公平に運営する立場なら捜査に協力してもらえませんか」
モノクマ「……うーん、プライバシーやらリテラシーやらデモクラシーやらモロモロを天秤にかけて……いいでしょう!許可します!」
めぐる「やった、ありがとう!」
モノクマ「被害者の私生活にもヒントがある、その着眼点が気に入りました!力を貸してしんぜよう!」
- 318 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/04(火) 22:46:18.35 ID:/8Dwz+lS0
-
モノクマ「危ないから二人はちょっと離れててね」
モノクマは私たちを廊下の隅に追いやると、
なにやら仰々しい構えで甘奈の部屋の扉の前に向き直った。
モノクマ「……すぅぅぅぅぅぅ」
モノクマ「開けクマーーーーー!!」
モノクマが叫ぶと数瞬の静寂の後、ガチャリという音が響いた。
めぐる「す、すごい……音声認識だ!」
灯織「だとしても私たちを離す必要はあったの?」
モノクマ「ふぅ……もう大丈夫だよ、無事に扉は開かれました!」
めぐる「ありがとうモノクマ!」
モノクマ「いやいや、礼には及びませんよ!なんたってボクは世界一フェアな学園長なんですから!」
モノクマの態度に多少いらつきながらも、そのまま甘奈の部屋の捜査を開始した。
- 319 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/04(火) 22:49:18.55 ID:/8Dwz+lS0
-
扉を開けると甘い香りが鼻孔をくすぐる。
甘奈が生きていたとき、幾度となく嗅いでいた彼女の香りだ。
部屋も甘奈らしく可愛らしい装飾が施されていて、棚の上には甜花さんとのツーショット。
『大崎甘奈』という存在が強く刻み付けられたこの部屋では、気を抜くと涙がこみあげてきてしまう。
-------------------------------------------------
目に着いたのは甘奈の部屋の卓上。
一封の封筒がそこには置かれていた。
めぐる「なんだろう、お手紙かな!」
糊付けよりも更に上の部分でハサミか何かを使用して開封したような跡を見ても、
誰かが甘奈に送ったものを甘奈が開封したもののようだ。
封筒の中にはめぐるの予想通り、一通の手紙。
灯織「……読んでみるね」
折り畳まれたその手紙をゆっくりと開いた。
しかし、その瞬間私たちは言葉を失うことになる。
めぐる「こ、これって……」
灯織「きょ、脅迫状……?」
その筆跡は書かれている言葉以上に荒々しく、殺意のようなものが透けて見える。
これは正常じゃない……
コトダマゲット!【脅迫状】
〔甘奈が受け取っていた脅迫状。『大崎甘奈 お前の命運は既に私の手中にある すべてを失いたくないのなら私の命令に従え』〕
-------------------------------------------------
- 320 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/04(火) 22:51:49.52 ID:/8Dwz+lS0
- -------------------------------------------------
めぐる「よし、とりあえず調べたいところは一通り調べ終わったかな?」
灯織「うん、手がかりもだいぶ集まってきたと思うよ」
____と、一通り調べておきたいところの調査を終えたところだった。
めぐる「よし、それじゃあ一旦保健室に戻って咲耶たちと合流……」
摩美々「あ、ここにいた」
息を切らしながら私たちのところに駆けつけてきたのは、摩美々さんと樋口さん。
灯織「……摩美々さん?それに樋口さんも、どうして?」
円香「どうしても何も……お仲間、見つかったんだけど」
めぐる「えっ?!凛世たちが?!どこ、どこ?!」
摩美々「体育館、今から助けるから急いでついてきてー」
灯織「は、はい……!」
私たちはすぐに体育館へとむけて駆けだした。
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- 321 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/04(火) 22:52:58.27 ID:/8Dwz+lS0
- -------------------------------------------------
【体育館】
摩美々さんたちの言葉通り、体育館扉を開けてみるとそこには拘束された状態のチョコ、愛依さん、凛世、霧子さんの姿があった。
めぐる「わーーーー?!みんな、大丈夫?!」
愛依「〜〜〜〜〜!!」
私たちの声はどうやら聞こえているらしく、声にならない呻き声で反応して答える。
摩美々「とりあえずは解くところから、円香も手伝ってよー?」
円香「……了解」
私たちは急いで4人の拘束を解いていった……
灯織「大丈夫?!凛世?!」
凛世「灯織さん……凛世は、無事です……」
めぐる「すごいきつく結んである……!うんしょ……!」
愛依「めぐるちゃん、角度が……か、角度が……!」
摩美々「ほら暴れなーい」
智代子「ま、摩美々ちゃん〜〜〜!!怖かったよ〜〜〜!!」
円香「……ほら」
霧子「ありがとう……円香ちゃん……!」
- 322 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/04(火) 22:54:01.80 ID:/8Dwz+lS0
-
智代子「ぷは〜!生き返る〜〜〜!」
愛依「あ〜、マジで辛かった……」
凛世「助かりました……」
霧子「うん……すごく、怖かった……」
灯織「皆さんがご無事で良かったです……どこか体に異常などは……!?」
愛依「うーん、大丈夫、それは問題なさそう!」
摩美々「凛世は怪我が悪化とかしてないー?」
凛世「摩美々さん、お気遣いありがとうございます……凛世は無事です……」
霧子「良かった……凛世ちゃんのことも気になってたんだ……」
円香「……」
ひとまず四人とも無事なようで一安心。
結論からしてみれば、モノクマの言葉通りだったことになる。
一応は公平な立場というのも嘘じゃないらしい。
しかし楽しい歓談をしている時間はない、本題に戻らなければならない。
- 323 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/04(火) 22:56:03.42 ID:/8Dwz+lS0
-
智代子「そ、それよりさっき鳴ってたのって死体発見アナウンスだよね?!しかも二回も鳴ってなかった?!」
そう、四人の預かり知らぬところで事件は起きてしまっている。
灯織「……甜花さんと甘奈が、亡くなってしまって」
愛依「……嘘、そんな……」
霧子「甜花ちゃん……ここにいないと思ったら……」
自分たちの知らない間に二人の仲間の命が失われた、そのことは事件が起きた以上の衝撃を与えている様子だった。
だけど、そんな感傷に浸るような時間がないことはもうみんな気付いている。
この学園では生き残るためには無理やりでも前に進むしかない。
摩美々「細かい説明は後でするから、とりあえず四人に話を聞かせてもらうよー」
摩美々「もう学級裁判までの時間もあんまり残ってないしねー」
愛依「……うん、うちらの知ってることで力になれることがあれば何でも話すから!」
智代子「と言ってもずっと閉じ込められてたし話せることってそこまでないんだけどね」
凛世「凛世たちの知ることは、包み隠さず全てお話しいたします……」
霧子「うん、不審者さんのことも……知ってる範囲でなら……」
(ここで手に入る情報が事件の最後の手掛かりになる……)
(情報の取りこぼしはないようにしないと……!)
- 324 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/04(火) 22:57:53.04 ID:/8Dwz+lS0
- -------------------------------------------------
愛依「うちとチョコちゃんはここに閉じ込められて既に数時間ぐらい経ってたよね?」
智代子「うん、朝礼の後学校を散歩してたら突然後ろから襲われて……気がついたら体育館にいたんだよ!」
灯織「じゃあ、襲ってきた犯人とかは……?」
愛依「ごめん、分かんないわ」
めぐる「そっか……」
智代子「確か私が体育館に押し込められた時にはもう愛依ちゃんはいたよね?」
灯織「そうなんですか?」
愛依「うん、多分うちのが先だった……捕まってしばらくしたら扉の開く音がして、チョコちゃんっぽい呻き声が聞こえたし……」
めぐる「あれ?そういえば二人、音は聞こえてたんだね」
智代子「へ?」
灯織「そういえば……手と足と口と目は塞いでいても、耳は塞がれてなかったね」
愛依「うん、おかげで死体発見アナウンスが聞こえたわけだしね」
智代子「ほかの情報は入ってこないから、音の情報には注意しておりました!」
コトダマゲット!【愛依と智代子の監禁】
〔二人は事件発生前より体育館で監禁されていた。手足を縛られ、目を封じられていたが耳は自由だった〕
-------------------------------------------------
- 325 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/04(火) 22:59:03.17 ID:/8Dwz+lS0
- -------------------------------------------------
灯織「そ、それじゃあ何か手掛かりになるような音とか……」
智代子「そ、それが……」
愛依「アハハ……」
めぐる「うーん、そんな都合のいい話はないかー……」
智代子「聞き落としとかはないと思うんだけど……体育館の扉の開閉音以外には、特に……」
灯織「体育館の扉の開閉音……?」
智代子「多分凛世ちゃんと霧子ちゃんを不審者が連れて来た時の音じゃないかな?」
めぐる「そっか……ここまで連れてこられてたんだもんね」
智代子「……あれ?」
灯織「どうかした?チョコ?」
智代子「そういえば、時間差でもう一回扉が開いてたような気がするんだよね……」
めぐる「えっ?!」
愛依「そういや確かに……なんか一回あったような……?」
(時間差で聞こえた、体育館の扉の開閉音……?)
(何か手掛かりになるのかな、覚えておこう……)
コトダマゲット!【体育館の扉の開閉音】
〔智代子は監禁されてから救出されるまでに体育館の扉の開閉音を二回聞いている。うち一回は犯人が霧子と凛世を監禁するためのものと思われる〕
灯織「そっか……ありがとう、話聞かせてくれて」
智代子「ううん、こっちこそ力になれなくてごめんね?」
灯織「二人が捕まっていた、それだけで十分な手掛かりになるよ」
めぐる「うん、推理は灯織に任せて!」
愛依「アハハ、頼りになる〜!」
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- 326 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/04(火) 23:00:34.36 ID:/8Dwz+lS0
- -------------------------------------------------
灯織「二人とも体育館に監禁されてたんですね……」
霧子「うん……みんなと別れてしばらくしてから、保健室に不審者さんがやってきちゃって……」
めぐる「その不審者って凛世が見た不審者と一緒だったの?」
凛世「はい、凛世が見たのと同じデビ太郎さまの姿をしておりました……」
霧子「抵抗しようとしたんだけど、すぐに薬か何かを嗅がされちゃって気絶させられて……」
凛世「目が覚めた時には既に体育館でございました……」
霧子「病気だった甜花ちゃんは逃げることもできずに、そのまま殺されちゃったんだね……」
灯織「……はい」
めぐる「不審者がやってきたのが何時ごろかってのはわかるかな?」
凛世「いえ、その……凛世も一度襲われたばかりでまだ頭が真っ白な状態で……」
霧子「わたしも、時計は見てなかったから……」
灯織「そうですか……」
(私たちが保健室を離れた後にそんなことがあったなんて……)
(何か私たちにできなかったのか、悔やんでも仕方ないけど……)
-------------------------------------------------
- 327 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/04(火) 23:01:43.97 ID:/8Dwz+lS0
- -------------------------------------------------
灯織「そうだ、凛世。一つ確認したいことがあるんだけど……」
凛世「はい、なんでしょうか……」
灯織「不審者に襲われた時に撮影した写真、あれを今でもみることってできる?」
凛世「こちらに……」
凛世「デジカメで撮影したものですので……こちらの写真で、ございます……」
(……やっぱり)
さっき保健室で甘奈の着ぐるみで確認した、ガムテープの補修痕がこの写真の中の不審者にも確認できる。
やはり凛世を襲ったのは甘奈だったと見て問題ないみたい。
凛世「咄嗟ゆえ、あまりうまく撮れておりませんが……」
灯織「ううん、大丈夫だよ凛世……十分な証拠だよ」
コトダマアップデート!【補修痕】→【凛世の写真】
〔凛世を襲った不審者を撮影した写真。不審者の着ぐるみにはガムテープで補修した痕が残っている〕
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- 328 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/04(火) 23:04:07.90 ID:/8Dwz+lS0
- -------------------------------------------------
キーンコーンカーンコーン……
『子供の時って20分の休憩時間でめちゃくちゃ遊べたのに、大人になったら20分なんてあっという間に感じるのどうしてなんだろうね?』
『一説によりますと時間の流れを感じる脳内分泌物が年齢とともに増加するようになるため、なんて言われてるらしいね』
『オマエラはあの20分休憩のことなんて呼んでた?ボクはエンペラータイムって呼んでたよ!』
『まあそんなことは置いといて、そろそろ学級裁判と洒落込もうじゃないの!学校エリア一階、エレベーターホールに集合だよー!』
(……時間だ)
今回の事件は、これまでと違って私たち全員がその輪の中に入れられたリアルタイムの事件。
それ故に感じるのはこれまで以上の無念さ。
防ぐことはできなかったのか、何かできることはなかったのか……
そんな感情が湧き上がるのは今更止めようもない。
だから、ここでその贖罪をしないといけない。
灯織「めぐる、行こう」
めぐる「うん、ここからが本番だよ……気合入れていかないとね!」
前に進まないと、いけない。
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- 329 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/04(火) 23:05:13.06 ID:/8Dwz+lS0
- -------------------------------------------------
【エレベーターホール】
エレベーターホールでは既にみんなが待ち受けており、情報共有に勤しんでいた。
特に体育館に監禁されていたみんなは、今回の事件の流れすらよくわかっていない。
……今回の事件は一筋縄ではいかない。
咲耶「みんなお疲れ様、捜査の程はどうだったかな?」
灯織「はい、概ね調べたいところは全て……」
雛菜「お疲れ様で〜す、雛菜たちはずっと現場にいたけど異常なかったですよ〜?」
めぐる「うん、雛菜もありがとう!」
摩美々「円香も私の視界では何もやってなかったと思いまーす」
円香「……」
今回は今まで以上に私たちにかかる責任は大きい。
事件の当事者……そして推理を託された人間として、最後まで食らいついていかないと……!
-------------------------------------------------
- 330 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/04(火) 23:06:40.34 ID:/8Dwz+lS0
- -------------------------------------------------
めぐる「ねえ、灯織……どうして今回の事件は起きたのかな」
灯織「……めぐる?」
めぐる「わたしね、捜査中ずっと考えてたんだ……わたしたちの中に、こんな残虐な犯行に及んだ人がいるなんてとても思えなくて……」
めぐる「モノクマだって今回はほとんど何もしてないのに……」
めぐる「誰かが、ずっと胸の奥にしまい込んでたのが爆発しちゃったのかな……?」
(そうだ、今回の事件は動機が見えていない……モノクマの提供した動機は今回はあくまで道具のプレゼントでしかなかったはず……)
(それなのに、どうしてこんな凶行は起きてしまったんだろう……)
コトダマゲット!【モノクマの動機】
〔今回の事件でモノクマが提供した動機は各人の才能に応じたプレゼントの贈呈だった〕
-------------------------------------------------
- 331 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/04(火) 23:08:02.10 ID:/8Dwz+lS0
-
エレベーターに私が乗り込むと、すぐに扉は閉まり下降を始めた。
これで耳にするのは三度目になるエレベーターの音。
ゴウンゴウンという音と共に全身に伝わってくる振動……
事件の衝撃で未だ揺さぶられ続けている脳がより一層揺れるような錯覚。
……ふと振り返った。
私の後ろにいるのは、10人の仲間たち。
既に6人の仲間が、ここまでに離脱してしまった。
私たちの歩んだ道には、その六人の尸が積み重なっている。
……この揺さぶりを感じなくなる頃には、私の心は既に麻痺し切っているんだろう。
まだこの居心地悪い振動を感じられている限りは大丈夫、まだ前に進める。
自分にひたすらにそう言い聞かせる長い長い時間の末、
_______チーン
エレベーターは停止した。
モノクマ「はいはい、いらっしゃいませー!」
智代子「また模様替えしてる……」
モノクマ「尊き双子の犠牲を弔う意味を込めて、ふたご座流星群をモチーフにした模様替えだよ!」
咲耶「……こんな学園でなければ、もう少しロマンチックだったのだけれどね」
- 332 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/04(火) 23:09:31.30 ID:/8Dwz+lS0
-
犠牲になったアルストロメリアの二人……
お姉さんの甜花さんは、
マイペースな一面からムードメーカー的な役割も果たしていて、
こんな状況下で戸惑う私たちを癒してくれていた。
それに他のみんなにも負けず劣らずの努力家で、私たちもその背中を見て頑張らないとって思えたんだ……
妹の甘奈は私よりも一つ年上だけど人懐っこくて、誰とでもすぐ打ち解けられる人だった。
気後れする私に率先して話してくれて、そのおかげで私は元気をもらえたんだ。
二人は誰がみても仲良しの姉妹で、二人を見ているだけで元気をもらえた……
______そんな二人は死んだ。
刃物で刺され、裂かれ……
これまでの事件とは違う残虐な方法で……
- 333 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/04(火) 23:10:29.89 ID:/8Dwz+lS0
-
こんな事件を引き起こした人間が私たちの中に、本当にいるの……?
そんなことは信じたくないし、できれば考えたくもない……
でもこの合宿生活に「できれば」なんてものは存在しない。
意思とは関係なくその選択は迫ってきて、逃げ場なんかない。
だから今回も私たちがやるべきことは、それに正面から挑むこと。
真実を明らかにすること。
- 334 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/05/04(火) 23:11:06.41 ID:/8Dwz+lS0
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____学級裁判で生き残ること。
その選択肢しか、選ぶ余地はない。
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