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冨岡義勇♀ 「炭治郎は優しい。だから好きだ」
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2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/14(日) 20:36:29.52 ID:UGFpCWbxO
『生殺与奪の権を他人に握らせるなッ!!』
彼に初めて出会った時に言われたその言葉は、忘れることなく心に刻まれている。
家族を喪い、最後に残った禰豆子までをも奪われそうになり、請い願うことしか出来なかった俺を義勇さんは叱咤してくれた。
厳しく、そして残酷な言葉だとは思う。
けれどこれはそれから先、俺が禰豆子と共に生きていく上で必要な心構えだった。
義勇さんに出会えたからこそ、俺は禰豆子を守る力を手に入れる努力を継続出来た。
意思を示したことで義勇さんに認められ、彼に鱗滝さんを紹介されたからこそ俺は今、鬼狩りとして禰豆子と共に生き、戦うことが出来ている。そのことに深く感謝している。
「義勇さん……?」
そんな彼が先日、鬼との戦いで負傷し、蝶屋敷に運び込まれたと鎹鴉より聞いた俺は、たまたま近くで任務に当たっていたこともあり、おっとり刀で見舞いに駆けつけた。
幸い、命に別状はないそうで、義勇さんは寝台の上で身を起こしていた。顔色は悪い。
目立った外傷は見受けられないものの病床の雰囲気のせいか、いつもより小さく見える。
「鎹鴉から聞いて、お見舞いに来ました」
「そうか」
寝台の隣に置かれた丸椅子に腰掛けて、ひとまず無事であることに胸を撫で下ろしていると、彼の声に違和感を覚えた。声が、高い。
「あれ? 義勇さん、声が……?」
「ああ。鬼の血鬼術のせいで俺は今、女の身体となってしまった。その影響だろう」
義勇さんが女に? あまりの衝撃で声を失う。
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/14(日) 20:42:18.05 ID:UGFpCWbxO
「どうした、炭治郎?」
しばらく固まっていた俺を怪訝そうに伺う義勇さんに慌てて取り乱したことを謝罪する。
「あ、いえ。ちょっと驚いてしまって……あの、その……大丈夫なんですか?」
「ああ。命に別状があるわけではないからな。胡蝶が女体化を解く薬を調合してくれているから心配は要らない」
「そう、ですか……」
「しかし、薬が出来るまで鬼と戦うことは難しそうだ。俺の戦い方では、胡蝶や甘露寺のような力は出せない。不甲斐ない限りだ」
こんな状態になってまで鬼と戦おうとしている義勇さんを改めて尊敬しつつ、労った。
「仕方ないですよ。今はゆっくり休んでください。休むことも、鬼との戦いです」
「炭治郎……お前は本当に良い後輩だな」
ん? 義勇さんの顔が赤い。額に手を伸ばす。
「良かった。熱はないようですね」
「炭治郎……お前は他の女にもそうやって無遠慮に触れているのか?」
「え? な、何か気に障りましたか……?」
「いや、いきなり額に触れられて驚いただけだ。それにしてもお前の手は……温かいな」
額に当てた俺の手を取る義勇さんの指先は、まさしく女性のもので、変な気分になる。
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/14(日) 20:43:26.92 ID:UGFpCWbxO
「義勇さんその、手を離して貰えると……」
「見舞いに来たのなら、手くらい握れ」
そう言われるとそういうものかと思えたが、いやしかし、果たして本当にそうなのか。
義勇さんとこうして手を繋いでいる現状は、見舞いの光景として本当に正しいのか。
「時に炭治郎」
「は、はい! なんですか?」
「お前は今、意中の相手は居るのか?」
「はい?」
尋ねられた意味が分からず、困惑していると義勇さんは言葉を選ぶように再び尋ねた。
「懸想している相手が居るのか聞いている」
「懸想って……いえ、特には」
「そうか。ならば丁度いいな」
丁度いいってなんだ。なんだか嫌な予感が。
「炭治郎。もしもこのまま俺が男に戻れなかったら、俺にお前の子供を産ませてくれ」
「な、ななな、何を言ってるんですか!?」
いよいよわけのわからない展開になり始めたと自覚した時には既に遅く、義勇さんは完全にその気になってしまっていると悟った。
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/14(日) 20:45:17.72 ID:UGFpCWbxO
「たとえ自ら刃を振るえずとも、俺はこれまで積み上げてきた技術を残したい。俺とお前の子供ならば、きっと鬼舞辻無惨を倒せる隊士となれる筈だ。悪くない提案だと思うが」
「いやいや! いやいやいやいや! おかしいですって! どうしてそうなるんですか!?」
とんでも理論を振りかざす義勇さんを必死で説得しようと試みるも彼はすっかり弱気で。
「ここ数日、俺なりに悩んだ。自害すらも考えた。もしも薬が調合出来なければ、俺にはもうこうするしか選択肢はない。もし拒むというのなら、いっそのことお前の手で始末をつけてくれ。頼む、炭治郎」
そう言って頭を下げる義勇さんを見た瞬間、脳裏に雪山でのやり取りが過ぎって、俺は無意識に怒鳴っていた。彼に言われた言葉を。
「生殺与奪の権を他人に握らせるなッ!!」
彼はハッとして、俺を見る。静かに諭した。
「義勇さんの言葉です。俺はこの言葉でこれまで努力してきました。だから義勇さんも頑張ってください。諦めず、生きてください」
言ってから、先輩に対してあまりに偉そうだったのではないかと後悔が湧いてくる。
しかし、義勇さんは何故か俺の手を握って。
「わかった。俺は……炭治郎と共に生きる」
あ、そうなるのかと妙に納得して、焦った。
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/14(日) 20:47:27.00 ID:UGFpCWbxO
「義勇さんには俺なんか居なくても平気ですよ。大丈夫です。きっと薬は完成します」
「炭治郎は俺のことが嫌いなのか?」
また弱気になってしまう義勇さんに咄嗟に。
「嫌いじゃないですよ。むしろ好きです」
「炭治郎……」
思わず口を突いて出た言葉に義勇さんは目を丸くして驚き、そしてホロリと涙を流した。
初めて見る彼の涙に驚き、その身を案じた。
「だ、大丈夫ですか!?」
「あ、ああ……すまない。俺はみんなに嫌われていて、誰かに好きだと言われたのが初めてで、だから嬉しかった。ありがとう」
ありがとうとしみじみ口にする義勇さんはなんだか可愛らしくて、目尻に浮かんだ涙を拭うその仕草が儚くて、ごくりと生唾を飲む。
「どうした、炭治郎?」
「あ、いえ……義勇さんがその、綺麗で」
何を言ってるんだと思いつつ素直に言葉に出して伝えると、義勇さんにまた火がついた。
「炭治郎」
「は、はい!」
「俺は正直男女の関係については疎いが、お前のその文句は反則ということはわかる」
「反則って、そんな」
「女をその気にさせたならば、責任を取れ」
責任と言われてもどうすれば良いのだろう。
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/14(日) 20:49:53.74 ID:UGFpCWbxO
「せ、責任と言われましても……」
「難しく考える必要はない。俺を娶れ」
娶る。妻にする。義勇さんが、俺の奥さん。
「義勇さんは、それで良いんですか?」
「ああ。異存はない」
なんだかすんなり話がまとまりそうで怖い。
「俺なんて、大したことないですよ?」
「炭治郎は優しい。だから好きだ」
好きなのか。お互い両思いなのか。そうか。
「わかりました。それなら責任を……」
「炭治郎! 待って! 早まらないで!!」
責任を取ろうとした俺の首根っこを掴んで立たせたのは蝶屋敷で暮らす栗花落カナヲだ。
その細腕に似つかわしくない腕力で俺と義勇さんを引き離し、華奢な背中に庇った。
「君はたしか胡蝶の……」
「しのぶ様の継子のカナヲです」
「そうか……君も炭治郎のことを」
突然の乱入に驚いた様子の義勇さんだったが、すぐに何やら納得して、要件を尋ねた。
「何の用だ?」
「しのぶ様の薬が完成したのでそれを富岡様に投与するように頼まれ、参りました」
「そうか。完成したのか」
「はい。なので炭治郎は取らないで下さい」
薬の完成を喜びたいのに、剣呑な雰囲気に圧されて何も言えない。どうしてこうなった。
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/14(日) 20:53:21.88 ID:UGFpCWbxO
「カナヲとやら」
「はい」
「わざわざ薬を作って貰った手前申し訳ないが、もはやそれは不要だ。俺はこれから炭治郎の妻として、共に生きる覚悟を決めた」
「この蝶屋敷から出る時は、治るか死ぬかです。それ以外の選択肢はありません」
カナヲは変わった。はっきりと物を言うようになった。それにしても厳しすぎる掟だ。
「どうしても治療を拒まれるのでしたら、こちらも実力を行使させて頂きます」
「舐められたものだな。如何に力が落ちようとも、この冨岡義勇。たとえ名ばかりの水柱であってしても、侮って貰っては困る」
「戦いは……避けられませんか」
え? 戦うの? などと、口を挟む余地はなく。
「お覚悟!」
「来い」
機能回復訓練の時よりも速く動き、背後に回ろうとするカナヲを軽くあしらう義勇さん。
女になっても俺などより断然素早い身のこなしはやはり呼吸の精度によるものだろうか。
めげずに仕掛けるカナヲの手を払い、足を払い、その背中を踏みつけて、動きを封じた。
「どうした、この程度か?」
うつ伏せに胸を圧迫されて苦しげなカナヲはもはや為す術なしかに思われたが、彼女は諦めずに起死回生の一手を放った。
「やはり、お強い。しかし、慣れない身体で動いたから、着物が乱れてしまいましたね」
「ッ!?」
大きく肌けた義勇さんの胸元を指摘すると、咄嗟にそれを庇った。勝機はここしかない。
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/14(日) 20:56:21.83 ID:UGFpCWbxO
「てぇあああああああああああっ!!!!」
身を捩り、カナヲが手に持った薬を義勇さんの尻穴に目掛けて突き刺す。座薬であった。
「ぬあっ!?」
これには堪らず呻く義勇さん。痛そうだ。
しかし、彼は水柱。お尻だって鍛えている。
もしも彼が男性の身体のままならば、座薬の侵入を許さなかっただろう。しかし今は女。
カナヲの細腕でも強固な義勇さんの括約筋をこじ開けて、その先端部を差し込めた。
「なんの、これしき……!」
しかし、やはり水柱。凄まじい生存本能だ。
それ以上の侵入を阻みつつ異物を押し出す。
もしも彼が男のままならば、その圧によって射出された座薬によりカナヲの額には風穴が空いてしまっていたに違いない。危機一髪。
「炭治郎! あとはお願い!」
「ッ……わかった!」
我に返った俺は義勇さんを寝台に押し倒す。
最後のひと押しが必要だ。座薬を埋め込む。
義勇さんの着物の裾を捲り上げて俺は見た。
義勇さんの白くて綺麗なお尻。美しい。
中央の穴には座薬が差し込まれている。
これ以上は入っていかない。どうする。
早く判断をしないと、座薬が飛び出る。
「義勇さん!」
「炭治郎!」
絡み合う視線。罪悪感と背徳感が募る。
しかし、今やらなくては。今、ここで。
義勇さんを倒すんだ。相打ちを厭わず。
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/14(日) 20:58:26.47 ID:UGFpCWbxO
「ヒノカミ神楽……陽華突!!」
日の呼吸に切り替えて、突き技を放つ。
この唯一の突き技が効かなければ、他に打つ手はない。だから、全ての力を込めた。
「あ、あああ、ああああ、炭治郎!?」
義勇さんの痛ましい叫び声がこだまする。
痛いだろう。苦しいだろう。切ないだろう。
だけど、やらないと。義勇さんの為にも。
「うぉおおおおおおおおおおおッ!!!!」
心を燃やせ。
「俺と義勇さんの絆は!!」
恥ずかしくとも。情けなくとも。
「たとえ性別が変わっても引き裂けない!」
前を向いて生きていこう。寂しくとも。
「炭治郎……すまない」
謝罪を口にして、義勇さんの意識が飛んだ。
座薬を埋め込み指を引き抜くと義勇さんの香りが鼻をつき、俺の中の『鬼』が目覚める。
「フハッ!」
「炭治郎!?」
良い気分だ。カナヲの叫びはもう届かない。
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/14(日) 21:00:26.80 ID:UGFpCWbxO
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」
高らかに、天を脅かす哄笑の産声をあげる。
身体の隅々まで巡る万能感。これが鬼化か。
今ならばなんだって出来る。俺が鬼の王だ。
「炭治郎! 正気に戻って!?」
煩いな。俺は正気だ。俺は、絶対の存在だ。
「胡蝶の継子! 下がれ!!」
意識を取り戻した水柱が、継子を背に庇う。
男性の身体に戻ったようだが、たかが柱だ。
俺の敵ではない。柱如きなど取るに足らん。
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」
狂ったように笑いながら鬼の力を光球に凝縮して放ち、この屋敷もろとも破壊しようとしたその時、背中の箱から妹の禰豆子が飛び出して、そして俺の隊服の袴を下ろした。
「むー!」
「あらあら、間一髪でしたね」
尻に衝撃。そしてすぐに目の前が暗くなる。
眠りに落ちる間際、胡蝶しのぶの声が耳朶を打ち、彼女の毒によって、俺は昏倒した。
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/14(日) 21:03:42.05 ID:UGFpCWbxO
「ううっ……ここは……?」
目が覚めると、そこは蝶屋敷の寝台の上で、すぐ傍で禰豆子が寝息を立てていた。
まるで悪い夢でも見ていたような気分だ。
「炭治郎、起きた?」
禰?豆子の頭を撫でていると反対側からカナヲの声が聞こえて。ようやく彼女を認識した。
「ごめん、カナヲ」
「ううん。謝らなくていいの」
微かに残っている記憶を辿り、彼女に謝らなければならないと思って頭を下げると、カナヲは優しく微笑んで首を横に振った。
怪我はないようで、許してくれるらしい。
「炭治郎に迷惑、かけちゃったね」
「こっちこそ巻き込んでごめん」
お互い謝り合うと、張り詰めていた空気が弛緩して、ようやく笑うことが出来た。
あの邪悪な嗤いではなく、安心する笑いだ。
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/14(日) 21:05:54.04 ID:UGFpCWbxO
「目覚めたか、炭治郎」
「義勇さん……」
ふらりと、義勇さんが見舞いにやってきた。
男に戻った彼は、以前よりも大きく見えた。
ひとまず、迷惑をかけたことを謝るべきか。
「あの、ご迷惑をおかけして……」
「迷惑をかけたのは俺のほうだ」
「炭治郎に近づかないで」
義勇さんが俺の傍に寄ろうとすると、警戒したカナヲが両手を広げて通せんぼした。
彼は困ったように眉を下げつつ、諭す。
「心配せずとも、炭治郎を取りはしない」
「……わかりました」
カナヲが両手を下ろすと、義勇さんはじっと俺を見つめて、ため息混じりにこう呟いた。
「お前が女だったら良かったのにな」
「また世迷言を!?」
「本気にするな。ただの冗談だ」
刀に手をかけるカナヲを制しつつ、ムフフと笑ってみせ、冗談であると示す義勇さん。
そんな彼に、俺も出来る限りの冗句を返す。
「たとえ女だろうと、男だろうと、魂の色や形は変わりません。だから、俺は変わらず、義勇さんのことが好きですよ」
もしも魘夢が血鬼術で作り出した夢の世界に義勇さんが囚われたならば、その無意識領域に存在する核の色は鮮やかな青色な筈だ。
それを俺はきっと、美しいと思うだろう。
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/14(日) 21:08:17.40 ID:UGFpCWbxO
「カナヲとやら」
「はい」
「前途は多難だろうが、精進しろ」
「はい、心得ました」
とびきりの冗句を返したのに義勇さんはくすりとも笑わずに、そしてカナヲも真顔で神妙に頷いている。冗談だったのに、なんで?
「では、俺はそろそろ行く」
「もう任務に赴かれるんですか?」
「ああ。せっかく取り戻した力を持て余すわけにはいかない。鬼を斬るのが存在意義だ」
そう語り、出陣する義勇さんの背中は大きくて遠く、まだ手を伸ばしても届きそうにないけれど、それでも俺はせめて言葉だけでも。
「すぐに追いつけるように頑張りますから」
義勇さんは立ち止まらない。言葉を重ねる。
「だからそれまで、どうかご無事で!」
「……後ろ髪を引くな。太刀筋が鈍る」
素っ気ない言葉を残して彼は去って行った。
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/03/14(日) 21:11:03.54 ID:UGFpCWbxO
「炭治郎」
「え? なんだい、カナヲ」
「私は炭治郎が心配」
「大丈夫だよ! 俺はもう元気だから!」
「それなら、仕方ないね」
何故か俺の心配をしてくれたカナヲに元気であることを示すと、彼女は仕方ないと言いつつ、何やら奇妙なものを手に取った。
「カナヲ? それはなぁに?」
「炭治郎がしばらく大人しくなるお薬」
「でもそれどう見ても瓢箪だよね? あ! もしかして、その中に薬が入っているのかな?」
「ううん。これで炭治郎のお尻を壊すの」
それはもはや薬ではなくただの凶器である。
「し、しのぶさぁーん! 助けて!?」
「師範の許可は貰ってるから」
「フハッ!」
あまりの根回しの良さに嗤えて泣けてきた。
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」
「嗤って誤魔化しても、だめ」
狂ったように哄笑する俺とは正反対にカナヲは冷徹で、どうやら怒っているらしく、本当に変わってしまったようだと悟り、この先、暫くの入院生活を余儀なくされたのだった。
【鬼滅のやいフハッ! 糞の呼吸・肆ノ型】
FIN
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/03/14(日) 23:40:05.33 ID:j3ban7g2o
本当に掴みが美すぎる
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